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プロクイーン決定戦 決勝観戦記

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第16期プロクイーン決定戦二日目観戦記 日吉 辰哉

2018/11/06
執筆:日吉 辰哉


大混戦。
第16期プロクイーン決定戦は4回戦を終えた時点で5名が上下35ポイント以内に収まっている。
2日目、この大混戦が続くのか、それとも抜け出す者が現れるのか・・・

 

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5回戦【起家から 水口・日向・天音・浅見】抜け番・西嶋

この大混戦を演出しているのが浅見。
連続4着スタートも、初日最終戦をトップで締めくくり、トータルポイント最下位ながら気分よく2日目に臨めるのではないか。

その浅見が東1局から大物手。

 

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北発ドラ3の8,000。放銃は親番の水口。
注目は水口が役なしのテンパイをしていることだ。

7巡目、水口は以下の1シャンテンからドラの北切り。

三万四万二索三索六索七索八索一筒二筒三筒七筒七筒北  ツモ七筒  打北  ドラ北

このドラを浅見が仕掛ける。
9巡目、日向がタンヤオテンパイで待ちは四筒七筒。浅見の捨て牌には四筒があり、ヤミテンを選択。天音から今にも放たれそうである。

11巡目、水口役なしテンパイをヤミテンとする。待ちの二万五万二万が1枚切れ。
初日の戦いを見た限り、水口はリーチを選択するかと思われた。
そしてこれをリーチでアガリきることが水口の強さだとも感じていた。
開局早々での大物手放銃はごめんか。あるいは浅見に対して押し返している日向がアガリ切ってくれるとの期待感もあったか。

(どこかでオリとなるのだろう・・・)
そんなことを思った瞬間、浅見からツモ切られたのは五万。たとえ親のリーチに対しても止まらなかったであろう五万。その五万を横目で見やった直後、水口の手に舞い降りた一。

麻雀の恐ろしさと無常さが集約された1局だと感じた。
次局も浅見に8,000の放銃。水口の点棒が削られていく。

水口は初日3半荘で僅か4回のアガリしかものに出来なかったが▲4.2Pで堪えていた。
淡々とした表情で摸打を繰り返しアガリを目指す。大きな失点の後も自身の麻雀を貫き、アガリとテンパイ料でジワジワ持ち点を回復していく。

 

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この5回戦も満貫2回分のビハインドから徐々に持ち点を回復。しかし、この日は初日のように事は運ばなかった。

 

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持ち点を20,000点に回復した水口が日向に痛恨の12,000。
日向はここでも持ち前のメリハリをしっかり効かせたアガリ。

3巡目、南家天音が白ポンでピンズのホンイツ狙い。6巡目の日向

三万五万六万六万七万七万八万三索五索七索四筒八筒八筒  ツモ三万  打七索  ドラ二筒

ここから下家天音に対してピンズを打たずにソーズのターツ固定。
そして9巡目

三万四万五万六万六万七万七万八万三索五索四筒八筒八筒  ツモ三索  打四筒

ここからは一転、ピンズを打ち出し勝負に出る。日向の反撃だ。
直後浅見にテンパイが入りヤミテン。そして日向に待望のテンパイ。

三万四万五万六万六万七万七万八万三索三索五索八筒八筒  ツモ八万  打五索

日向がヤミテンを選択すると天音が白の加カン。新ドラは八筒となり日向は一気に打点アップ。
天音がツモ切ったリンシャン牌の二索をポンして攻め返した水口の手痛い放銃となった。
この半荘は3着となるが、日向らしい重厚な受けからの大きな加点だ。

 

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その後、水口は先制リーチを放つも天音に12,000の放銃。
東場で2回の8,000をものにした浅見は、日向、天音に交わされ一時は3着に沈むも、オーラス二度のツモアガリでトップ再浮上となった。
浅見は初日最終戦から数えて2連勝だ。

5回戦成績
浅見+27.7P 天音+15.5P 日向▲0.5P 水口▲42.7P

5回戦終了時
天音+19.5P 日向+12.1P 西嶋+8.6P 浅見+5.7P 水口▲46.9P

 

 

6回戦【起家から 天音・日向・西嶋・浅見】抜け番・水口

まだまだ大混戦ではあるが、トータルポイントのマイナスを1人で背負込んでしまった水口が抜け番。
この6回戦を制したものが僅かに抜け出すことになるだろう。

南1局を迎え一進一退の攻防。西嶋が出遅れ持ち点は以下の通り。

天音31,200 日向32,600 西嶋19,600 浅見36,600

6巡目、親番天音は以下の牌姿。

三万二索四索五索六索七索二筒三筒三筒三筒四筒五筒六筒  ツモ一筒  打二索  ドラ三万

高打点狙いの天音は、ノータイム打二索のテンパイ取らず。しかし次巡のツモは皮肉にも三索。結果アガリ逃がしではあるが、これは致し方ないところ。
ここからの選択肢もいくつかあると思うがここで天音は長考。高打点狙い、手役派の天音の打ち筋でこういった場面は多々あると思われるがこのツモによる想定を怠ったか。
長考の末、天音はフリテンリーチを選択。

この長考を見逃さなかったのが日向、西嶋。
日向は西嶋がツモ切った生牌の南を以下の牌姿から仕掛ける。

三万四万二索四索六索七索八索八索六筒八筒八筒南南

親番天音のリーチに安パイを減らして無筋の八索打ちである。
更に西嶋も仕掛ける。

四万五万五索六索二筒二筒二筒三筒四筒五筒六筒七筒七筒

ここから三万を仕掛けて三筒打ち。これも無筋。
その後、日向もテンパイを入れ3人テンパイでのめくり合いとなる。テンパイとはいえ日向、西嶋の打ち出す牌はどれもこれも無筋ばかりだ。

 

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結果、西嶋が日向から2,000点のアガリとなるが、リーチ時の長考から不十分なリーチと読み取った日向、西嶋の押し返し。両者の観察眼に驚かされた1局となった。
対して親落ちとなった天音にとっては、僅かに見せた隙を突かれた手痛い親落ちとなった。

 

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オーラス1本場を迎え以下の持ち点。

天音25,100 日向36,700 西嶋20,500 浅見37,700

日向がトップ奪取の執念を見せる。8巡目に五索チー、10巡目に九筒ポンでテンパイ。

七万八万九万六筒六筒中中  ポン九筒 上向き九筒 上向き九筒 上向き  チー五索 左向き三索 上向き四索 上向き  ドラ三筒

中の後付け、保険は一切なし。しかし中が天音にトイツとあってはアガリは厳しい。
ノーテンでは逆転を許す親の浅見は当然攻め返す。13巡目に以下のリーチ。

二万三万四万五索六索六索六索七索七索七索八索二筒三筒  ツモ四筒  打五索 左向き

日向のアガリ牌は山には残っていない。浅見負けなしの状況にもう1人の戦士が参戦。西嶋だ。
同巡追いつき追っかけリーチ。これが成就した瞬間に3着浮上、更に浅見、日向からの直撃で2着浮上、一発あるいは裏ドラ1枚のツモアガリは大逆転のトップである。

四万五万五万七万七万四索五索六索三筒四筒六筒七筒八筒  ツモ六万  打五万 左向き

山に残った待ち枚数は浅見4枚、日向0枚、西嶋2枚である。
浅見の放銃でもトップが転がり込む日向は、直後の無筋で冷静に撤退。

浅見と西嶋のめくり合い。浅見には3回戦の大逆転を許した悪夢が脳裏を過ってはいないだろうか。
結果は流局間際の17巡目。西嶋から八索がツモ切られた。

浅見は3回戦の悪夢を西嶋からの直撃という形で払拭。
3連勝を収め、この大混戦を僅かながら抜け出した。

 

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6回戦成績
浅見+38.6P 日向+7.4P 天音▲12.2P 西嶋▲34.8P

6回戦終了時
浅見+44.3P 日向+19.5P 天音+7.3P 西嶋▲26.2P 水口▲46.9P

 

 

7回戦【起家から 西嶋・浅見・水口・天音】抜け番・日向

連続4着スタートも3連勝でトータル首位に躍り出た浅見。
しかし例年の優勝ポイントは100ポイントを超えておりまだまだ予断を許さない。

東1局から手がぶつかる。4者が1シャンテンの10巡目、先制リーチは水口。

三万四万三索四索五索二筒四筒五筒六筒七筒九筒九筒九筒  ツモ五万  打二筒  リーチ  ドラ四筒

文句なしの3面待ち。連続4着で失ったポイントを巻き返しに行く。
同巡追いついたのは水口の下家天音。

一万二万二万一索二索三索六索七索八索四筒五筒西西  ツモ三筒  打一万

水口の3面待ちとは対照的にシャンポン待ち、しかも西は2枚切れ、二万も1枚切れとあっては当然のヤミテン。
更に同巡、天音の下家西嶋がテンパイ。

八万八万二索三索五索六索六索七索七索八索六筒七筒南  ツモ四索  打南

タンピン確定のリャンメン待ち。八筒が2枚切れ。先制リーチ水口の現物でもない。
6回戦大きな沈みとなり巻き返しを図りたい。当然の追っかけリーチと思われたがヤミテンを選択。
独特の感性を持ち合わせる西嶋。トータルポイント4番手となった東1局の親番で、この手をどれだけの人がヤミテンに構えることが出来るのだろう。

3者テンパイ。しかし、まだ、、、まだだ。
更に更に同巡、西嶋の下家浅見がテンパイ。

六万六万六万七万八万九万七索八索四筒五筒東東中  ツモ三筒  打中

浅見は即リーチ。プロクイーン奪取のため4連勝を目論む。

なんと僅か1巡以内に4者がテンパイ。
軍配は誰に上がるのか。水口の一発目のツモはまさかの二万。天音のアガリ牌。しかしこの形でリーチに踏み込むというのは酷な話である。
2件リーチとなった今、満を持して西嶋もリーチかと思われたが、、、ヤミテンを続行。

結果は13巡目。手負いの水口が掴んだのは九索

 

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浅見のアガリとなる。更に裏ドラは雀頭の東となり、4連勝に向けて大きなアガリとなった。
しかしそれ以上に気になったことは、親番西嶋のヤミテンである。その西嶋は南2局でも興味深い一打。
持ち点が均衡して迎えた南1局

三万五万六万一索二索三索四索五索七筒七筒北北北  ツモ三索  打三万 左向き  ドラ七筒

西嶋はこれを一発でツモリ、裏ドラ北の8,000オールで大きく抜け出す。
次局、更なる加点を目指し先制リーチも水口の追っかけリーチに一発で捕まり、8,000の放銃。
そして迎えた南2局である。

 

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6巡目、水口が少考の末の先制リーチ。11巡目に西嶋は三色含みの1シャンテン。
そしてツモ七索。皆さんはここから何を切るのであろう。

「あぁこれは危ないですね」解説の黒沢プロである。

しかし西嶋の手が止まる。
「凄いですね、自分なら切ってますね」同じく山田プロである。

相手のアタリ牌を掴んだ直後の長考。何度も見たこのシーン。こうなったら西嶋はもう打たない。
西嶋は長考の末、河に一万を切り出した。結果は水口の500・1,000ツモアガリとなった。

七索だから止めたわけではないんです。水口さんへ8,000放銃直後で、テンパイまでは現物しか切るつもりはありませんでした。水口さんの少考から何か不満があるリーチであろうとは思いましたが、スジを追うつもりはありませんでした」

西嶋の感性の鋭さを象徴する驚愕の1局となった。

 

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7回戦成績
西嶋+30.8P 天音+2.0P 浅見▲8.9P 水口▲23.9P

7回戦終了時
浅見+35.4P 日向+19.5P 天音+9.3P 西嶋+4.6P 水口▲70.8P

 

 

8回戦【起家から 水口・天音・日向・西嶋】抜け番・浅見

トータルポイントをプラスに戻した現プロクイーン西嶋。8回戦は圧巻の大トップ。

東1局、親番水口とのリーチ合戦を日向から仕留める。裏ドラ3枚の12.000。

一索一索一索七索七索七索八索九索二筒三筒七筒八筒九筒  リーチ  ロン一筒  ドラ一索  裏七索

こうなった西嶋は攻めることをやめない。そしてアガリを拾うことはしない。徹底的に相手を叩き潰しに行く。

東2局では水口のリーチに無筋連打で700・1,300。
東3局でも以下の手牌を即リーチ。裏ドラ2枚の4,000・8,000。

二万二万六万七万五索六索七索四筒五筒五筒六筒六筒七筒  リーチ  ツモ五万  ドラ九筒  裏二万

ワンサイドゲームである。
そして親番を迎えた西嶋。この手もリーチだ。

 

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トータルポイントを大きく減らし、後がない水口から北を打ち取り12,000のアガリとなる。
4局連続でのアガリ。西嶋の独り舞台である。

南3局を迎え持ち点は以下。

水口5,800 天音23,700 日向9,300 西嶋80,200

トータルポイントを踏まえると西嶋が首位浮上、水口は非常に厳しくなった。
天音はギリギリのラインで堪えている。
そして日向、、、西嶋とは60ポイント近くの差が付いてしまっている。この親があっさりと流れるようでは今後の戦いが厳しくなってくる。

その日向にドラトイツのチャンス手。トイツ4組の以下の配牌をどうまとめるか。

五万五万八万八万一索一索八索二筒四筒六筒六筒東西中  ドラ六筒

2巡目に東を重ねて七対子1シャンテン。トイツとなった東は役牌である。
仕掛けか、メンゼンか・・・
七対子でまとめれば一気に高打点のアガリが見える。しかしスピードで出遅れてしまえば親落ちの危険性もある場面。

直後に東が放たれる。日向動かず。更に次巡にも東
最後の決断、分岐点。日向動かず・・・メンゼンでの勝負に出る。

これが好判断、日向は直後にテンパイを果たし即リーチ。
裏ドラ2枚の18,000を水口から出アガリ、優勝戦線に踏みとどまる非常に大きな2着浮上を果たした。

8回戦成績
西嶋+64.2P 日向+11.6P 天音▲18.3P 水口▲57.5P

8回戦終了時
西嶋+68.8P 浅見+35.4P 日向+31.1P 天音▲9.0P 水口▲128.3P

初日の大混戦とは対照的な2日目の戦いであった。
首位に躍り出たのは現プロクイーン西嶋。黒沢が成し遂げた第6、7期以来の連覇を狙う。しかしこのまま簡単にゴールテープを切れるとは考えづらい。

背後にピタリと付けた浅見、日向。虎視眈々と上位陣を伺う天音。厳しいながら自身の麻雀を貫く水口。

12回戦が終わったその時、麻雀の女神は誰に微笑むのだろうか・・・