プロクイーン決定戦 レポート

第20期プロクイーンベスト16D卓レポート

100

 

【第20期プロクイーン~ベスト16D卓~、山脇、蔵がMリーガーを倒してベスト8進出】
『死の組』と称されたD卓、本日の出場選手はこの4名。

山脇千文美
前年度決勝進出によるベスト16シード
100

 

魚谷侑未
現女流桜花によるベスト16シード
100

 

蔵美里(協会)
1次予選からの勝ち上がり
100

 

黒沢咲
2次予選からの勝ち上がり
100

 

Mリーガーの黒沢、魚谷の実力や実績について、語る必要はないだろう。
山脇は、連盟のタイトル戦での優勝はないが、テレビ対局での優勝は何度もある。
次期Mリーガー候補にも常に名前が上がり、内外での評価は高い。

蔵は、2006年に日本プロ麻雀協会に入会。もう15年選手である。
[参考]黒沢が2005年、魚谷が2009年、山脇が2013年の入会
第11回(2016年)オータムチャンピオンシップ優勝、これは当時女流プロでは初の優勝という快挙だった。
協会の雀王戦(プロリーグ)ではAリーグに所属したこともある。
プロクイーンでは初めてのベスト16進出というのが不思議なくらいだ。

解説の宮内こずえに“無邪気”と表現された山脇、いつもポジティブな麻雀を打つのだが、この日は違った。
魚谷がソーズのホンイツで2フーロ、安目の一万は3枚場に切れているという悩ましい状況で、山脇は五万切りのヤミテンを選択。

 

100

 

100

 

(魚谷は一索をポンして打五筒、次巡手出しで四筒発をポンして打中

すぐに四万をツモって2,000オールという結果は別にして、僕はリーチがやや優位かなと思ったので、山脇がヤミテンにしたのはかなり驚いた。
(※リーチが得かどうかはわかりません。誤解なきよう。)
それだけ相手を評価しているし、勝ちたかったのだろう。

山脇(後日談)「最後魚谷さんとの勝負になる可能性が高いし、着落ちはしなくとも8,000直撃は嫌だからソーズはもう切らないでおこう。」
山脇「でもこれはやっぱりリーチだったなぁと思ってます。敗着にもなりえそう。」

1回戦は蔵に逆転されトップを譲ったが、2回戦の開局から高打点を2発。
早々抜け出して勝ち上がりを決めた。

 

100

 

100

 

100
(戦後のインタビューでは、第一声「いっぱいアガれました。」と嬉しそうでした。)
 

2番手争いは3回戦、親番の蔵のこの手牌を取り上げる。
この3回戦の暫定の順位点も加えたトータルポイントが黄色字になるが、蔵がだいぶリードして迎えた南3局だった。

 

100
(※ 下家の黒沢が前巡に発を仕掛けている)
 

リードしているこの状況では、カン二索待ちのリーチを打つ気はなかったのだろう。
四筒まわりでの良形への変化を見て、九索切り。
実は、すでに山脇に一筒四筒待ちのピンフのテンパイが入っていたので、四筒切りで放銃になっている人も多いと思われる。

 

100

 

この手牌進行はさすがだと思う。
と同時に、視聴者は4人の手牌も見えているので、上手だったことが最悪の結果を招く麻雀の残酷さも目の当たりにする。

 

100

 

2着争いのライバル、黒沢への8,000点の放銃。激痛。
ただ蔵からは、納得済というか覚悟があった表情に見えた。
もちろん蔵には、四筒を切ると1,000点の放銃で終わっていたことはわからないので、「白を勝負した結果だからやむなし。そう簡単には逃してくれないか。」という心境だっただろう。

最終戦、蔵と黒沢は着順勝負。
この1局も素晴らしい手順だった。
八万はドラ表示牌も含めて、すでに3枚見え。
牽制も含めて、対面黒沢から切られた北をポンする打ち手も多いだろう。

 

100

 

100

 

しかし、北を鳴いてしまうと、このトータルポイントの上家魚谷からはよほどの手にならないとマンズは切られない。
さすがに2枚目は鳴いただろうが、そういった思考から1枚目を鳴くのは得策ではないという判断と思われる。
今度は最善の選択が最高の結果になった。
黒沢の粘りも見事だったものの、この4,000オールのリードは大きく、蔵が勝ち上がりを決めた。

 

100

 

蔵「(3回戦の白の放銃の局)ここでアガれれば、4回戦目が楽になるなと。今、放銃になっても4回戦目で取り返しがきくし、と白を切ったけど、行き過ぎだったかな。」と戦後のインタビューでは苦笑い。
蔵「攻めっ気ムンムンの麻雀が出来て今日はよかったな、と思っています。次も頑張っていきたいなと思いますので、応援よろしくお願いします。」

 

100

 

ベスト8A卓、9/15(木)16時~

ベスト8B卓、9/22(木)16時~

(文:福光聖雄)