プロクイーン決定戦 レポート

プロクイーン決定戦 レポート/第10期 ベスト16レポート

厳しい残暑が続く9月上旬、ベスト16の熱い闘いが行われた。
A卓:筒井久美子、鳥越智恵子(最高位戦)、清水香織、中山奈々美

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左から 筒井 久美子、中山 奈々美、鳥超 智恵子(最高位戦)、清水 香織

筒井は、昨年準優勝でここからのシード。最高位戦の鳥越は今回初出場で一次予選からの勝ち上がり。
第2期覇者の清水と、昨年ベスト16の中山は二次予選からの勝ち上がり。
ベスト16と準決勝は半荘5回戦のトーナメントで、ルールは一発裏ドラ有りの連盟Bルールだ。
いきなり跳満ツモからの大トップで、幸先良くスタートした筒井だったが2回戦から失速。
地力に勝る清水が圧倒的に場を制し4回戦終了時点で当確。
4回戦終了時成績
清水+76.9P  鳥越+2.7P  筒井▲31.7P  中山▲47.9P
最終戦、筒井と中山はトップが最低条件で、鳥越をラスにするか、かなりの点差をつけることが必要になった。
東2局、西家・筒井が中山の親で倍満ツモ。
五万六万六万七万七万三索三索六索七索八索六筒七筒八筒 リーチ ツモ八万 ドラ北 裏ドラ三索
一撃で鳥越に並びかけたが、中山もまだ諦めない。
南場の親で、筒井からリーチ一発七対子の9.600を打ち取ると、次局、リーチツモ一発イーペーコーの4,000オールでトップを捲くる。
筒井も1.300・2.600を引き返して再びトップ目に立つ。
鳥越もガードが固く放銃しないが、2人がツモリ合うので3着目。
オーラスは、筒井の親番。
現状のトータル込みで、ポイントは筒井が2.7Pまだ下である。
連荘必死の筒井が、機敏に仕掛けて1.000オール。これで筒井が1.3P上になった。
同1本場でも2フーロで決めにいく。
四筒五筒六筒六筒七筒八筒九筒 ポン北北北 チー一筒二筒三筒 ドラ八筒
南家・鳥越も条件を満たす2.000点のヤミテン。
二万二万六万七万八万一索二索三索四索五索七筒八筒九筒
ピンズはもう脇からは出ないが、三索六索なら両脇からもこぼれるかも知れない分、鳥越がやや有利かと思ったが、鳥越が三筒を掴んで勝負が着いた。
最終成績
清水+62.2P  筒井+0.1P  鳥越▲23.4P  中山▲38.9P

勝ち上がり者  清水香織  筒井久美子

B卓:石井阿依(協会)、魚谷祐侑未、京杜なお(最高位戦)、内田美乃里

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左から 京杜 なお(最高位戦)、内田 美乃里、魚谷 侑未、石井 阿依(協会)

石井阿依は第7期に初出場した時から、3年連続で決勝に残っている強者。
魚谷は現女流桜花でここからのシード。
京杜は、昨年準決勝のオーラスまで筒井と大接戦を繰りひろげて悔しい逆転負けを味わったが、今年またトーナメントまで勝ち上がった。
内田は第5期と第8期に決勝に残った実力者で、3度目の正直を狙う。
ゲームは初戦ダントツを決めた内田が3戦目も制し、1人だけ早々と当確。
他の3人は同じ位のマイナスで横一戦だったが、女流桜花の底力か、
ラストスパートをかけた魚谷が4、5回戦を連勝して内田と共に余裕で勝切った。
石井は4年目にして初の途中敗退。
京杜は今年も無念の敗退となったが、2人にはまた来年の再挑戦に期待したい。
最終成績
内田+38.2P  魚谷+36.1P  石井▲22.0P  京杜▲35.1P

勝ち上がり者  内田美乃里  魚谷侑未

C卓:黒沢咲、石井あや(最高位戦)、安田麻里菜、室伏理麻

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左から 黒沢 咲、室伏 理麻、安田 麻里菜、石井 あや(最高位戦)

ここからシードの黒沢は、第6、7期の連覇を含み、昨年まで4年連続決勝を闘っているプロクイーンの第一人者。
本場所のプロリーグでもA2リーグで堂々の優勝争いをしていて、今や女流ではトップクラスの実力者として君臨している。
同じくシード選手の石井は、第8期に黒沢の三連覇を阻止して優勝し、和久津に奪われた昨年も黒沢と決勝で闘った。
2人の女王が早くも合間見えることになったが、二次予選から勝ち上がりの安田は、前期の女流桜花で決勝進出。
室伏はチャンピオンズリーグ優勝経験があり、2人とも女流ではAリーガー、女王達に土をつける力は持っている。
試合展開はスタートから明暗を分けた。
石井が抜け出し、安田が後に続く。置いていかれた黒沢と室伏は、3回戦でも3着かラスなら早々と敗戦濃厚になってしまう。
お互いに後が無い室伏と黒沢の、3回戦南2局、南家の黒沢が意志のこもった手作りで七対子リーチ。
五万五万一索九索九索二筒二筒四筒四筒五筒五筒西西 リーチ ドラ五万
場には二索が4枚切れで一索が1枚切れ、狙って作った絶好の待ちで2枚山。
親の室伏が苦し紛れで追いかける。
二万三万四万七万八万九万四索四索四索二筒二筒三筒四筒 リーチ
五筒も1枚だけ山にいるが、形から見ても打点的にも普通は黒沢の勝ちかと観ていると、他家にカンが入った後、黒沢がラス五筒を掴んでしまった。
リーチのみならまだ救われるが、カン裏が二筒で7,700になったのは痛すぎる。
裏も五万だったから、黒沢の手は出アガリでも倍満だった。同情するくらいのツカンポだが、この局で黒沢は事実上ジ・エンド。
最後まで諦めの表情を見せずに闘ったが、この日はどうしようも無かった。
逆に、このアガリをきっかけに、室伏が突然確変に入る。
次局リーチで黒沢から4.800。次は石井から12.000。
そして6.000オールと、怒涛のラッシュで約5万点浮きの特大トップ。
一躍トータル2位に踊り出た。
2年前に優勝したときは、手硬く攻守のバランスのとれた麻雀だった石井だが、確変中の親の室伏のリーチに一発で飛び込むなどして箱ラスを引き、
1回で貯金を殆ど吐き出したのは彼女らしくなかった。
しかし、室伏が4回戦でまたラスを引き3位に落ちるなど、出入りの激しい麻雀だったため、再び石井がトータル2着に戻ったのだが、
最終戦では、石井がお返しのようにラスを引き、元女王と前女王が2人共敗退する波乱となった。
最終成績
安田+55.1P  室伏+8.1P  石井▲18.9P  黒沢▲44.3P

勝ち上がり者  安田麻里菜  室伏理麻

D卓:豊後葵(協会)白河雪菜 藤井すみれ 北野由実

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左から 藤井 すみれ、北野 由実、白河 雪菜、豊後 葵(協会)

協会の豊後は今回が初参戦。
白河も藤井もこれまでプロクイーンでの好成績は特に無い。
前期のチャンピオンズリーグ優勝の北野は、新人の頃、このプロクイーンの準決勝に残り、決勝まで後一歩及ばなかった経験があり、
この卓のメンバーでは、一日の長があるかと思われたが、この日は超絶不調だったようで、一度もプラスすること無く大敗に終わった。
勝敗を分けた大きな分岐点は、2回戦のラス前、豊後の親。
初戦が2着だった豊後は、15.000点持ちのラス目で、南家の藤井は45.000点持ちのトップ目だった。
藤井は初戦ラスだったが、このまま2回戦をトップで終わればこれからの勝負だ。
まず豊後が、七対子ドラ2の1シャンテンから6巡目に1枚目の白をポンで、リャンシャンテンに戻る仕掛けを敢行する。
一万一万六索六索七索一筒一筒発発中 ポン白白白 ドラ一万
南家・藤井が、豊後の切った三筒をチーテンに取る。
一索二索三索六索七索南南南北北 チー二筒三筒四筒
残りの形と巡目の早さを考えると、少し勿体無いような気もするが、どうしてもトップで終わりたくて捌きに行ったようだ。
ところが、藤井の次のツモはドラの一万で、これをツモ切ると豊後がポンして打中。藤井に回ってきたのは生牌の発
ここまで中を引っぱるのは、三元役を追いかけたと読めるので、超怖い発だが藤井はこれもツモ切り豊後もテンパイ。
六索六索七索一筒一筒 ポン発発発 ポン一万一万一万 ポン白白白
豊後は六索が1枚切れていることもあり、トイトイにせず六索切りで両面に受けた。
藤井と同テンであるが、脇の2人は当然ベタオリだから何も出ない。
五索八索は河に1枚も顔を見せていないが、豊後の次のツモは七索、ここで豊後は思いなおして打六索とし、トイトイに戻した。
この判断が良く、五索八索ならアガれていなかった。
途中、白発を加カンするとカンドラが一筒になり親倍にアップ。
最後のツモで一筒を引き当て、一気にラスからトップになった。
実は藤井は、途中掴んだスジ牌の三索で怖くなってオリたのだが、押しきっていれば藤井が先に八索をツモッていたのだ。
捌くと腹を括ったのなら最後まで押すべきだと思うし、受けるならドラか発のところで止めていれば豊後は仕掛け倒れに終わっただろう。
一番中途半端な押し引きで逆転を許した藤井は、この後苦しい闘いとなり、勢いに乗った豊後は4回戦で当確。
手堅くプラスを重ねて2位に着ける白河も、4回戦終了時で3位の藤井と70P近い差となり最終戦は消化ゲームとなった。
最終成績
豊後+90.6P  白河+56.8P  藤井▲24.9P  北野▲126.0P

勝上がり者  豊後葵  白河雪菜

これで準決勝進出者が全て確定し組合せは次の通り。
A卓:清水香織vs内田美乃里vs筒井久美子vs豊後葵
B卓:安田麻里菜vs魚谷侑未vs室伏理麻vs白河雪菜
さて、現女王・和久津晶への挑戦者となるのは誰なのだろうか?
(文中敬称略)