プロクイーン決定戦 レポート

プロクイーン決定戦 レポート/第15期プロクイーンベスト16D卓レポート 楠原 遊

プロクイーンベスト16の残すところあと1戦となった。
ベスト8へ進出を決めたのはA卓より高田・西嶋、B卓より王・山脇、C卓より清水・佐月。
残された2つの椅子を巡って、D卓の戦いが始まろうとしている。
ルールは日本プロ麻雀連盟WRCルール、半荘4回戦で2名の勝ち上がり。
それではD卓に出場する対局者を紹介していこう。
(敬称略)
 
 
100
茅森早香(カヤモリサヤカ) 第11期女流最高位 前年度決勝進出
最高位戦日本プロ麻雀協会所属 北海道出身
 
 
100
仲田加南(ナカタカナ) 第4期11期女流桜花・第21期新人王
東京本部所属 21期生 五段 神奈川県出身
ロン2プロフィール
 
 
100
魚谷侑未(ウオタニユウミ) 第6期7期女流桜花
東京本部所属 25期生 四段 新潟県出身
ロン2プロフィール
 
 
100
古谷知美(フルタニトモミ)
東京本部所属 25期生 三段 千葉県出身
ロン2プロフィール
 
前年度ファイナリストで、最高位戦を代表する選手のひとりである茅森と、現女流桜花の仲田がここから登場。予選から勝ち上がってきた魚谷・古谷を迎え撃つ。
連盟所属の3名は、現桜花の仲田を含め全員桜花Aリーグに所属。お互いの手の内をよく知る間柄だけに、1回戦から全力での戦いを見ることが出来るのではないだろうか。
 
1回戦(起家から古谷→魚谷→仲田→茅森)
大きな点棒移動も無く迎えた東3局。北家・魚谷の手。
 
100
 
ここからテンパイ取らずの打9とする。巡目も早く、ドラの受け入れやタンヤオもある手。手に蓋をせずともの判断か。
そして次巡、二万を引き入れこの形。
二万三万三索四索五索二筒二筒二筒四筒四筒六筒七筒八筒  ドラ三筒
一万が自身を含め河に2枚、四万は生牌。
形と四万引きの打点・他家のスピードを鑑みての折り合いはついたと、ここで逡巡無くリーチ。
ドラトイツの茅森が仕掛け、他家は受けるが5巡後にしっかりと四万をツモり裏ドラも乗せ2,000・4,000のアガリ。そして更に付け加えるならば八索でのアガリのがしも無し。
フリテンリーチのリスクは承知の上、ここは他家の速度と自身の手のアガリやすさをしっかりと計算してアガリ切った魚谷らしい1局となった。
南4局1本場
前局、ラス親の茅森が2,000オールをアガリトップ目になった1本場。
ここまでの持ち点は 古谷29,800 魚谷31,800 仲田23,800 茅森34,600
ラス目の仲田も満貫をツモればトップまである点差。
西家・魚谷が西を仕掛けてドラの二筒を打っている状況。
8巡目親の茅森の手。
六万七万七索八索八索一筒一筒三筒八筒八筒八筒南南  ツモ二筒  ドラ二筒
目一杯に構えていた手に嬉しいドラのツモ。打一筒。ここに次巡、南を引いてトップをさらに盤石にするリーチをかける。この時点で山に6枚残っているリャンメン待ち。
その2巡後、その茅森の欲しい五万を引いてテンパイしたのは北家・仲田。
三万四万二筒三筒四筒五筒五筒六筒七筒八筒九筒白白  ツモ五万
高め一通になった手をリーチ、勝負といく。西家の魚谷もリャンメンと3メンチャンの1シャンテン。
いよいよオーラスが面白くなったと思う間もなく茅森が一発で四筒を掴みリーチ一発ドラの5,200のアガリとなった。この移動で仲田は2着に、茅森はラスになり1回戦が終了する。
1回戦結果
魚谷+16.8P 仲田+5.3P 古谷▲5.2P 茅森▲16.9P
 
2回戦(仲田→茅森→魚谷→古谷)
南3局、トップ目の魚谷が4万点を超え、それを追う茅森と古谷が3万点越え、ひとり1万点を切ってしまった仲田は親も無く苦しいラス前。
南家・古谷が4巡目から軽快に仕掛けてゆく。
一索一索四筒四筒  ポン南南南  ポン白白白  ポン発発発  ドラ西
8巡目にして跳満のテンパイを入れる。これを受け、西家・仲田の手がこちら。
 
100
 
六筒をツモってこの形。六万を切ると現状片アガリのテンパイ、三万五万を切るとタンヤオが確定する形。ここでの選択は六万。仲田が見ているのはこの先にある形。
そして2巡後にこの形となる。
二万二万三万三万四万五万五万六筒六筒六筒  暗カン牌の背三筒 上向き三筒 上向き牌の背  ツモ三万  ドラ西八索
待望の四暗刻テンパイ、ヤミテンとする。次巡ツモってきた北、これは最悪の場合字一色にもアタリの牌だが、こちらも勝負手、静かに切って行く。
この時二と五は山に残り3枚、1(4)も3枚残り。
両脇が完全に回った空気の中、残りツモは5回ほど。両者のツモ牌に注目が集まったが、アガリの声は聞こえない。そして巡ってきた仲田の最後のツモはドラの西。
手番がなくなっては勝負ができぬとここはオリ、古谷の1人テンパイで流局となる。
二五はテンパイ時そのまま、山に3枚眠っていた。
オーラスも国士無双の1シャンテンと大きな手作りを魅せた仲田だったが、アガリに結び付くことはなく4着で半荘終了。苦しいゲームとなった。
2回戦結果
魚谷+26.7P 茅森+10.4P 古谷▲0.4P 仲田▲37.7P(供託1)
トータル
魚谷+43.5P 古谷▲5.6P 茅森▲6.5P 仲田▲32.4P(供託1)
 
3回戦(魚谷→古谷→茅森→仲田)
折り返しを迎えここまで2連勝の魚谷が一歩抜けだした形。それを追うのは1ケタマイナスの古谷と茅森、そして2回戦大きなラスを引いてしまった仲田は、借金返済のために是が非でもポイントを積み上げたいところだろう。
残り2戦、各者の戦いを見ていきたい。
東2局1本場供託2
ここまで大きなアガリの無かった親の古谷のリーチ
四万五万五万六万六万七万三索四索六索六索二筒三筒四筒  リーチ  ドラ二筒
こちらを受け、トータルトップ目の北家・魚谷。
五索一筒二筒四筒五筒六筒六筒七筒八筒九筒九筒東東  ツモ東
手バラの配牌からソーズ、マンズのターツを外しゆっくりと手を作っていた魚谷だったが、ここで手が完成してしまう。待ちはリーチの現物。
小考して打ち出した五索で古谷に12,000は12,300。大きな放銃となってしまった。そしてアガった古谷は一転、トータルトップ目に立つ。
東2局2本場
そのポイント移動を眺めていた南家・茅森からの先制リーチに同巡、北家・魚谷からもリーチ。
それを受け、東家の古谷の手はこちら。
 
100
 
(下家が茅森、上家が魚谷の捨て牌)
ダブ東が暗刻でドラドラの手。
皆さんだったらどの牌を切るだろうか。
古谷が選択したのは三索のツモ切り。
しかしその三索に、魚谷の声が掛かる。
一万二万三万一索二索九索九索一筒二筒三筒七筒八筒九筒  リーチ  ドラ三筒  裏九索
リーチ一発純チャン三色ドラ3、16,000は16,600のアガリ。親の満貫をアガった相手に、子の倍満のお返しと、そう簡単にトータルトップの椅子には掛けさせてもらえない。
東3局
北家・古谷の手がいい。
一万二万三万九万九万九万一索二索三索七筒八筒九筒発  リーチ  ドラ白
仮テンの八索単騎から場に1枚切れの発を引いての8巡目リーチ。
それを受け、こちらも役無しカンチャンテンパイを入れていた魚谷、せっかく返してもらった点棒をそうやすやすとは返すわけにはいかないと、すっと引いて暗刻の牌を外してゆく。
そしてこのリーチに飛び込んでしまったのはここまで2人の点数移動を眺めていた茅森。タンヤオのテンパイに、手の内から切りだした発で6,400。
アガって放銃してまたアガリ、まるでジェットコースターのような麻雀。
古谷の前に出る姿勢のしっかりと現れた半荘となった。
3回戦結果
古谷+17.5P 魚谷+6.0P 茅森▲4.2P 仲田▲19.3P
トータル
魚谷+49.5P 古谷+11.9P 茅森▲10.7P 仲田▲51.7P (供託1)
 
最終戦(茅森→仲田→古谷→魚谷)
最終戦を迎え、ここまでトップトップ2着の魚谷。古谷と茅森の2位争いは22.6ポイント差と、若干古谷が有利だが着順次第でまだまだ分からない。
そしてポイントが欲しかった3回戦でラスを引いてしまった仲田。厳しい戦いではあるが、現女流桜花の大逆転を楽しみにしているファンのためにも、ここは大きく強く攻めてゆくだろう。
東2局
その仲田の親番、ドラドラとなった北家・茅森が仕掛けてゆく。
五索六索七筒七筒  ポン北北北  ポン九索 上向き九索 上向き九索 上向き  チー四筒 左向き三筒 上向き五筒 上向き  ドラ七筒
2つ仕掛け、最後に仲田から打たれた北をポンしてテンパイ。そして数巡後に引いてきた北を加カンしてリンシャンから引いてきた五索をツモ切ると、仲田からロンの声。
二索三索四索四索五索六索六索七索八索八索  チー二索 左向き三索 上向き四索 上向き  ドラ八筒白
勝負が長引いた結果、仲田の大きなアガリとなった。
南2局
最終半荘になり、ポイントを積み上げている仲田。ここで持ち点が6万点を超え迎えた親番。
しかしまだトータル2着目の古谷には届かない。
7巡目にこの形。
 
100
 
ここから一筒を切ってテンパイ外し。次巡ツモはドラの一筒。789の三色を強く意識した六万切りで、大きく構える。
そしてツモ九索で打四筒でカン三筒待ちの三色・ドラの7,700テンパイ。
そこにラス目の茅森からリーチが入るも、六筒を力強く押してゆく。
このままヤミテンか思われたが、次々巡、空切り出来る牌を引いての手出しリーチ。
この見事な手順に絡め取られたのは、既に受けていた南家・古谷。
手の内から切ったトイツの三筒が、リーチ一発三色表裏裏の18,000をライバルの仲田に放銃となってしまう。
自分の上にいた茅森・古谷から順に18,000をアガリ、仲田がトータル2位に躍り出る。
しかしここで古谷も諦めるわけにはいかない。
南2局3本場
三万三万四万四万五万二索三索四索二筒三筒四筒五筒五筒  ドラ中
この手をしっかりとリーチし、高めの二万をツモって3,000・6,000の3本場。長かった仲田の親を終わらせる。
南3局
ここまで、トータル2位の仲田と3位の古谷の差は5.7ポイント。オーラス、魚谷がトータルトップ目のまま親を迎えた場合、連荘は考えづらく、この古谷の親が落ちれば残り1局の勝負となる。
ベスト16D卓も、勝負の山場をむかえている。
6巡目、親の古谷が先行リーチ。
そして同巡、テンパイを入れたのは南家・魚谷がこの形。
 
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テンパイ打牌の六筒はリーチの裏スジ。しかも一発目。
長考ののち、魚谷はそっとその牌を河に置く。
そして次巡、次々巡と引いてくる、通っていない中張牌をツモ切ってゆく。
この局をアガリ切ってしまえば、オーラスの戦い方がぐっと変わってくる。
ここをベスト8進出の勝負所と見て、押してゆく。
そして仕掛けを入れていた北家・仲田にもテンパイが入る。
三索四索五索八索八索白白白発発  ポン中中中
なんと高め大三元テンパイ。発は山に1枚。勝負の行方を大きく変える可能性のある超大物手。3者にとって、大きな大きな勝負となった局。
見ているこちら側もまばたきを忘れるめくり合いとなったが、アガリの声を発したのは魚谷だった。
六万六万五索六索六索七索七索二筒三筒四筒六筒七筒八筒  ツモ八索
自身の勝ち上がりをほぼ決める、自力でのアガリ。
楽をせずに戦う魚谷の姿勢がよく表れた一局となった。
オーラスは、トータル3位の古谷が粘って手を作るも流局、魚谷・仲田の勝ち上がりで、長かったベスト16の最後の卓の幕が閉じる。
最終戦結果
仲田+65.5P 古谷▲1.4P 魚谷▲14.8P 茅森▲49.3P
トータル
魚谷+34.7P 仲田+13.8P 古谷+10.5P 茅森▲60.0P(供託1)
勝ち上がり 魚谷 仲田
こうして、D卓の勝ち上がり者が決まり、プロクイーンベスト8進出者が全て出揃った。
ベスト8A卓 高田麻衣子vs山脇千文美vs清水香織vs仲田加南
ベスト8B卓 西嶋ゆかりvs王政芳vs佐月麻理子vs魚谷侑未
あと1回勝てば、女王・宮内こずえの待つ決勝卓。
今年は一体誰が、光り輝くティアラを戴冠することになるのか、ますます目が離せない。
 
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