中部プロリーグ レポート

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第21期中部プロリーグ 決勝レポート

2013/08/14
執筆:葛山英樹


参議院議員選挙が告示され、遊説などで活気づく街中。
名古屋の雀荘では、中部プロリーグ決勝戦が行われ、活気づこうとしていた。
観戦記は鬼軍曹、葛山が務めさせて頂きます。
まずは出場選手を簡単に紹介しよう。

-1位通過- 佐藤あいり
25期生 二段
決勝進出:初

中部唯一の女流Aリーガー。
攻めっ気が強い印象があったが、最近は攻守のバランスを意識しているようである。
しかしながら、大きく崩れやすい事も特徴の1つである。
崩れることなく、最後まで突っ走る事が出来るのか?
面前、リーチ型

-2位通過- 日下健司
24期生 初段
決勝進出:3回目(最高成績:準優勝)

Aリーグ7期在籍の内、決勝進出は3回目。
降級経験を活かしてか、再昇級をしてから、降級争いをする事無く、上位の成績を収めている。
優勝実績はないものの、近年の闘いは最も安定している。
持ち味だった爆発力が鳴りを潜めてしまったが、その爆発力が出せれば勝機ありか?
面前と仕掛けを巧みに使うバランス型

-3位通過- 山田優駿
24期生 三段
決勝進出:初

仕掛けを多用する麻雀を好む。
その仕掛けを元に相手の反応から、打点や早さを読み取る。
卓内で山田の発声が多ければ、優位に立てているかもしれない。
発声の数がバロメーター
仕掛け型

-4位通過- 杉浦貴紀
21期生 三段
決勝進出:4回目(最高成績:優勝2回)

今回のメンバーの中で最も実績があるのが杉浦。
対局者全員が後輩に囲まれ、勝たなければならないプレッシャーとの戦いもあるだろう。
昔に比べ守備力が高くなった半面、大胆な攻めがなくなった印象。
僅差の勝負や条件戦に強いため、接戦に持ち込められればチャンスありか?
面前型

展開を予想すると、初出場の山田と佐藤が緊張せずに、自分らしさを出せるのか?
初優勝を目指す日下が上手く局を進められるのか?
対局者が全員後輩となった決勝戦は初めての杉浦。
優勝経験の実績を鑑みても、今回の相手には勝たなければならない戦い。
前評判では優勝戦線に最も絡んで来るであろう、杉浦はプレッシャーに勝つ事が出来るのか?

鬼軍曹の予想としては、
本命◎:杉浦
対抗○:日下
穴△:佐藤
注意×:山田

 

【1回戦】 ~光と影~
競技ルールではダブロンが認められておらず、アガリは1人に限定されている。
このアガリ(光)を目指して4人の戦いが静かに幕を開けた。
各人の配牌を以下の通り。

東家・日下
一万五万一索一索三索五索八索八索二筒九筒東東南南  ドラ五索

南家:山田
一万二万三万八万九万五索七索二筒北白発中中

西家:杉浦
三万五万六万八万九万二索三索六索四筒五筒東北白

北家:佐藤
二万四万一索六索六索八索八索二筒四筒六筒七筒八筒九筒

字牌のトイツや、ドラ色があるなど、若干、親の日下が優位に見える。
ただし、容易に牌が出て来るとは考えにくく、ネックが意外とある。
仕掛けが出来れば、このまま突っ走れそうか?
一方、タンヤオのみではあるが、4面子1雀頭の形が揃いそうなのが佐藤。
ここに三色や一通が加わればいきなり本手になると言った所か。対して山田、杉浦はやや苦しい感じ。

5巡目、早速先手を取ろうと山田が動き出す。

一万二万三万八万九万五索二筒南西白発中中  チー七万  打五索

ホンイツとチャンタの天秤であろうか?
字牌がバラバラなこの形からならば、私は声が出ない。
役牌が手の内にあるため、ドラをリリースする形にはまだ不十分だろう。
もしこのドラに声がかかるようであれば、山田はここでオリを選択するかもしれない。
山田らしいと言えば、山田らしい。
中を仕掛けて字牌が重なれば…と言う所まで手が進む。
この山田の仕掛けに注目を浴びたのが親の日下。

光の的は親の日下に注がれた。
13巡目
一索一索二索三索三索五索八索八索九索東東南南 ツモ七索

ホンイツの上でチャンタと七対子の選択である。
ドラが出てこない、既に山田が打ち出している、字牌のポンテンが取れる、それらを鑑みて日下は打五索とした。
この日下のドラ切りを見て、山田は撤退。この局の光は日下へ、山田は自ら影へ。
しかし、この局はまだ光を浴びようとしている選手がいた。
私のメモには「佐藤が押し返している」「杉浦が前に出ている。」と記されていた。
この両名の手は以下のようになっていた。

西家・杉浦
四万五万六万一索二索三索四索五索六索四筒五筒六筒東

北家・佐藤
四万四万六万七万六索七索八索二筒三筒四筒六筒七筒八筒

上記の形で両名がテンパイしていた。
杉浦の待ちは厳しいが、佐藤のマンズ待ちは悪くない。
ここで、佐藤が打牌選択で簡単なミスを犯す。

四万四万六万七万六索七索八索二筒三筒四筒六筒七筒八筒

この手に五筒をツモった佐藤は打八筒としてしまった。
三色が見えていなかったと後で語ってくれたが、切ってからすぐに気がついたようだ。
決勝戦ではこう言う小さなミスが致命傷になりかねない。
本人は緊張していなかったと語っていたが、普段は切る事のない打牌をさせてしまう所が、決勝戦の緊張感なのであろう。
しかし、光は佐藤をまだ見捨てなかった。切った次のツモが八筒で、再び高め三色の形に。

親の日下をケアする余り、山田はソーズと字牌にばかり気を取られていた。

四万四万六万七万六索七索八索二筒三筒四筒六筒七筒八筒  ロン八万

佐藤がミスを挽回する7,700点のアガリで幕を開けた。
3フーロして前に出る姿勢は山田らしい。それを踏まえて相手の出方を判断する所が山田の長所である。
本人もわかっていたようだが、この状況では放銃を最も避けなければならなかったのではないか?
撤退を決め込んだ以上、徹底してオリなければならない。
読みもあるだろう。読めないなら、中途半端に出なければ良いのではないか。
いろんな葛藤が現れた一局であった。しかし、山田はこの1局の判断を終始引きずる事に。

chubu21

≪山田優駿≫

7,700点、8,000点と連続放銃で迎えた東3局、山田にドラ3の手が入る。
丁寧な手順で、10巡目にテンパイ

四万五万六万六万六万七万八万八万七索八索九索三筒四筒  ツモ三万  打八万  ドラ六万

山田の持ち点は14,300点
「トップを目指す。」
対局前にこう話してくれた山田。でも、ここでリーチの声が出ない。
前に出た結果、オリ打ちしてしまった、連続放銃してしまった。少しでも失点を挽回したい。
いろんな判断材料の中、場に高いピンズ待ちであったが、山田はヤミテンを選択した。
トップ目の佐藤はテンパイしていたが、途中でピンズを引いて撤退。場を冷静に見ているようだった。

二筒-五筒は山に5枚残っていた。
ほどなくして、山田のツモアガリ。最低限のアガリと言った印象を受けた。
出アガリを含めてのヤミだったが、ツモれるのであればリーチをしておけば…
そんな後悔が伝わってくる表情であった。

トップ目の佐藤に1つの分岐点が訪れる。
東4局3本場

六万八万九万六索七索八索九索五筒六筒七筒八筒八筒九筒  ツモ六筒  打八筒  ドラ五万

前巡に567、678、789の三色を見据えて佐藤は打四索としていた。
最終的に789に狙いを固定した。

789にこだわるのであれば、打六筒ではなく打五筒や打六索でもありじゃないの?
いろんな選択肢を与え、佐藤の思考に迫ろうと私は考えていた。
「難しく考えたくなかった。」と後に語った佐藤。
日頃からこの手の類の質問は苦手なようである。
佐藤は新人の頃からこの手の何切るや、思考を考えるのが苦手である。
1年目は何も出来なくて済まされるかもしれない。
でも、佐藤がこれから成長するために、敢えて厳しく書かせて頂く。
「考えるのをやめたらそこで成長は止まる。出来なくても良い。でも、考える努力はしよう。プロなのだから。」
私も諦めずに今まで何回か問いかけたが、そこから逃げ出そうとする佐藤に物申す。
牌姿が覚えられないのであれば、せめてメモをする努力ぐらいはしよう。

流局で回って来た親番を日下が存分に活かす。
南1局5本場、7巡目に山田が仕掛ける。まだアガリまでは遠い仕掛けだ。
良く言えば山田らしい。場を読む材料を探しているのしかもしれない。
しかし、この動きが全てマイナスに働いている事に本人はまだ気付いていない。
連続放銃も全て山田の動きがもたらした結果であるが、大事な部分を見落としている気がした。
そんな山田の仕掛けに、西家の杉浦が合わせてしまう。

七万七万七索七索三筒四筒六筒七筒北北北 ポン西西西  打七万  ドラ六索

普段、杉浦がこういう時にする仕掛けは、本手か、テンパイの時である。
決勝戦だった事もあり、親の連チャンを阻止するために無理してでも前に出た。と言ってくれた。
この時、私は杉浦の対面にいたが、
「杉浦合わせるな。自分のスタイルを崩すな。鳴くのであれば、テンパイしていなければダメ。」と。
他の先輩の言葉を借りると「顔を上げるな。」の瞬間であった。

親の日下にとって、これらが全てプラスに働いた。

二万二万四万五万六万七万五索六索七索五筒六筒発発 ツモ三万  打三万リーチ  ドラ六索

ネックだった三万が入り、迷う事なくリーチ、安目ではあるが次巡、手元に四筒が置かれ、佐藤、日下が抜けた。

1回戦は先行逃げ切りで途中から守りに入った佐藤と、南場の親番で加点した日下の戦い。
南2局で佐藤の判断がブレる。

二万三万六万三索五索六索六索二筒二筒四筒六筒中中 ツモ三索  打六索  ドラ五万

アグレッシブに打つなと感心した打六索
本人はトップで逃げ切るために、両面に固定したかったそうだが、3巡目の中に声が出なかった。
親を交わすために固定した両面。
タンヤオが確定しない形が残っているため、打中の選択が出来なかったようだが、この中に声が出なかった。
リーグ戦の佐藤であれば、この中を鳴かないと私は思う。
でも、決勝戦なら…交わしに行くのであれば…両面に固定するのであれば…
いろんな思いが交錯した。
結局9巡目にテンパイを入れるのだが、

二万三万四万二索三索三索五索六索二筒三筒四筒中中 ツモ七索  打二索リーチ

佐藤は打二索でリーチをした。
河に一索が打ってあり、フリテンは嫌なので打二索を選択したとのこと。
ならば聞こう。何を引いたら234の三色の狙いで、フリテンにならないのかと。
どれを引いても狙うのであれば、フリテンのリスクが生じ、それを把握した上で対局していると思ったから出た言葉である。
234を狙う為に引っ張った二索であるならば、山に2枚残っている四索をツモりに行って欲しかった。
観戦者としての感想でもあった。

そんな想いとは裏腹に、佐藤はオーラスにも4,000オールをアガリ、のらりくらりではあったが1回戦の光をほぼ全て吸収したように見受けられた。

1回戦成績
佐藤+36.6P 日下+7.6P 山田▲13.7P 杉浦▲30.5P

 

【2回戦】 ~それぞれのスタイル~
ここからは各選手のスコアを見て、闘う相手、判断を見据えなければならない。
東2局6巡目に、ドラ七索で親の山田がマンズに寄せる中をポンする。
ためらいなく発声している点を見るに、山田はまだ戦っていた。戦う意思を出す打七索
ドラをリリースするにはまだ形が定まっていないように思えたが、1回戦と同じ戦い方。
これに反応してしまったのが下家の佐藤。
1回戦のスコアや手が入っていた事を踏まえると、このドラに飛びつく必要がないと思うのだが、山田に合わせさせられた感じでチーと発声してしまう。
チーしてテンパイするならまだしも、テンパイしていなかった。
この辺りから佐藤がどんどん雰囲気に飲まれていってしまう。

11巡目に上家の杉浦が打九万
この時、山田の手牌

四万五万六万六万七万九万北  ポン二万二万二万  ポン中中中

そう、この九万は何も動くことが出来ない。
しかし、次に山田は八万をツモ。三万六万九万待ちに受ける。
これら全てを踏まえた上で、日下は九万を切った。
放銃を避ける局面であれば、オリ切らなければならない。
山田の北切りをどう感じるかにも寄るか、1回戦の結果を見た上で、面前の杉浦、ドラを仕掛けた佐藤には通る九万を選択したのだろう。
日下には戦う相手が見えているようだった。

この半荘、早くも杉浦に集中力が欠如する。
南1局、南家の杉浦はいつも通り配牌を取った。
他家が理牌しているタイミングであったため、同卓者は気付いていないかもしれないが、杉浦は第1打を切るのに牌を2回持った。何気なく切ろうとした牌を慌てて引っ込めたのだ。
余剰牌ではあったがドラを切ろうとしていた杉浦。
今回、アガリ回数が最も少なかったのがこの杉浦であった。
この辺の小さなミスが杉浦の判断を鈍らせていたのかもしれない。
この動作を見て「杉浦苦しいか。踏ん張れ。」とペンを走らせた。

chubu21
≪杉浦貴紀≫
自分のスタイルをどこまで貫けるのか?
現状、山田と日下が貫いている印象がある。
佐藤は崩されかけている印象で、杉浦に至っては、もっといけていないような印象であった。
スタイルを貫くのも大事であるが、修正・対応するのも大事である。

南1局1本場、5巡目に佐藤がリーチを打つ。

一索二索二索三索三索四索四筒五筒六筒七筒八筒東東  ドラ三索

優勝争いを2人にさせまいと、杉浦が戦いを挑む。
4枚無筋を押して追いかけリーチを打った。

二万三万四万五万五万四筒五筒六筒六筒七筒四索五索  ツモ六索  打二万リーチ

手役がありドラがない形であれば、杉浦はまずリーチを打たない。
1回戦の杉浦ならヤミにしていたと思う。これが杉浦の対応なのか?
リスクを考えると無謀の勝負のようにも思えた。
これまた集中力の欠如か?とすら思えたが、結果は佐藤が八筒を掴んで、杉浦の3.900点のアガリ。
打点以上に佐藤の勢いを止める意味で、戦いが面白くなるような気がした。
スコア的にはまだ優勝争いをしているのだが、佐藤はこの放銃で、更に追い込まれていった。
オーラスは山田がラス回避のアガリをし、佐藤はラスを押しつけられてしまった。

2回戦成績
日下+19.4P 杉浦+4.3P 山田▲9.6P 佐藤▲14.1P

2回戦終了時
日下+27.0P 佐藤+22.5P 山田▲23.3P 杉浦▲26.2P

 

【3回戦】 ~紙一重~
2回戦が終わって2対2の構図となった。
日下、佐藤は、出来れば抜けたいところ。
山田、杉浦にとってはこれ以上離されないようにしたいところ。
両者の意思がぶつかったのが東3局。」
ピンズのホンイツテンパイを入れた日下、日下が切ったドラをポンした山田が、日下のアガリ牌である六筒を入れてピンズのホンイツで対抗。

日下
三筒四筒五筒七筒八筒北北白白白  ポン一筒一筒一筒  ドラ発

山田
二筒四筒六筒六筒六筒七筒八筒中中中  ポン発発発

日下の九筒は山に1枚、山田の三筒は山に0枚。この紙一重の差で、18巡目に日下が九筒を手繰り寄せた。
打点こそ2,600オールであるが、打点以上に相手に与えたダメージは大きかっただろう。
日下にとっては佐藤との点差をつける、願ってもいないアガりになった。

このままではいけないと杉浦、山田が攻める。
東3局 1本場は杉浦がツモアガリ。
東4局は山田がツモアガリ。
流局を挟んで、杉浦がツモアガリ。

杉浦が本来の形を見せつつあったが、辛くも日下が逃げ切る形で3回戦を終えた。
杉浦、山田が反撃の狼煙を見せつつ、じっとしていた佐藤が1人割りを食ってしまった。

3回戦成績
日下+13.9P 杉浦+6.2P 山田+3.1P 佐藤▲23.2P

3回戦終了時
日下+40.9P 佐藤▲0.7P 杉浦▲20.0P 山田▲20.2P

 

【4回戦】 ~闘う相手~
快走していた佐藤を捕まえられた日下、何とか立て直したい佐藤。
徐々にらしさを発揮する杉浦、山田。
表現が適切でないかもしれないが、苦虫を噛まされるのは誰か。
そんな4回戦が始まった。

東1局、14巡目に南家の山田が勝負に出る。
場に2枚切れ、表示牌に1枚の七万待ちでリーチを打つ。

八万九万五索六索七索三筒三筒四筒四筒五筒五筒六筒六筒  ドラ八万

3回戦の状況を踏まえての勝負であっただろう。佐藤もその事は承知しているはずだ。
その山田のリーチを受けて北家の佐藤が現物の九万をチーして応戦する。

二万二万五万五万七索八索一筒六筒七筒八筒  チー九万七万八万

苦しい形での仕掛けになっており、佐藤はもはや本来のスタイルではなくなっていた。
最大2枚しかない七万であったが、佐藤が晒した事により残りは1枚に。
この1枚が本来の山田のツモ筋にいたのだが、佐藤が喰い下げる事に。
結果論ではあるが、山田の僥倖のアガリを阻止した仕掛けになった。
喰い下がった七万は西家の日下の手へ。
その日下が、「ツモ」の発声。
4枚目の七万は山田のアガリを阻止すると同時に、自身のアガリを生んだ。

六万八万五索五索七索八索九索二筒三筒四筒白白白  ツモ七万

リーチの山田に対し、特に強い牌を打つことなく、テンパイが入った日下。
他家の動きはそんな日下に全てプラスに作用していた。

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≪日下健司≫

東2局、日下にアガリがついた次局、これ以上離されたくない山田と佐藤の両者がぶつかる。

東家・山田
二筒二筒四筒五筒  チー六筒五筒七筒  ポン一筒一筒一筒  ポン東東東  ドラ一筒

西家・佐藤
七万七万一索二索三索四索五索六索七索九索発発発

山田は18,000点、佐藤は5,200点
ドラを切って勝負をする佐藤にはオリる気配がない。
これだけ2人が出てくる局面は、日下が完全に撤退。
どちらにも放銃しないよう、慎重に牌を選択する。
日下を追う2番手は私だ。と日下を除く2名の戦いが何度となく繰り広げられた。
山田の三筒-六筒は山に0枚、佐藤の八索は山に2枚。
流局間際に山田が八索を掴んで佐藤に軍配が上がる。

東3局、8巡目に北家の山田がポンした一万で、山田はマンズの山を引き当てる。
12巡目に無駄なしで、以下の形でテンパイする。

三万四万五万六万六万七万七万八万九万九万   ポン一万一万一万  ドラ西

しかし、山田をケアする佐藤が二索をツモ切ったところ、親の日下からロンの発声。

三万三万二索四索四索二筒二筒五筒五筒南南西西  ロン二索  ドラ西

場に三索が4枚切れているとは言え、不用意に切った牌で放銃した佐藤に取って、この9,600点は致命傷。
確かに山田はマンズで染まっていた。だから、マンズと字牌を切りたくないのはわかる。
だが、優勝を目指す決勝戦において、最も放銃してはいけない相手は誰か。
言うまでもなく、日下である。

山田がマンズで染まっていると判断したのであれば、この局は山田vs日下の構図にし、日下に親被りをさせる選択肢もあっただろう。
撤退する勇気も必要であると佐藤は学んだだろう。
最も避けたかった日下への失点。この経験を糧にして欲しいと思う。

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≪佐藤あいり≫

4回戦成績
日下+18.2P 山田+10.7P 杉浦▲5.0P 佐藤▲23.9P
4回戦終了時
日下+59.1P 山田▲9.5P 佐藤▲24.6P 杉浦▲25.0P

 

【五回戦】 ~忘れ物~
日下は半年前の忘れものを取りに来た。半年前の決勝戦。
3回戦を終え、約50Pのプラス。2位と約50P離れていたが、4回戦、5回戦と失速し古川に優勝を奪われた。
「まだ優勝する器じゃなかったです。」と語ってくれたが、悔しかったに違いない。
私も同じような経験をしただけに、その気持ちは良くわかる。
でも、その悔しさはここ(決勝戦)でしか晴らせない。
前回の悔しさを今度は、もう逃さない。
60P差が変わる事なく、第21期の中部プロリーグが終了し、日下は忘れ物を受け取った。
アガリ数 日下19回、佐藤10回、山田10回、杉浦9回
放銃数 日下3回、杉浦4回、山田9回、佐藤10回

アガった回数が最も多く、最も放銃が少なかった日下。
理想の展開と言えば理想であった。
日下自身、終始手が入っていた。と語ってくれたが、日下が理想の展開にしたと言うより、周りが自滅した印象を受けた今回の決勝戦であった。
佐藤、山田は今回の忘れ物をいつか取りに来るだろう。この決勝戦の舞台へ。
その時を楽しみにしておこう。

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前列左より:木村本部長、日下健司
後列左より:杉浦貴紀、佐藤あいり、山田優駿