北陸リーグ レポート

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第17期北陸リーグ 決勝レポート

2018/03/22
執筆:荒谷 誠


平成30年2月18日、第17期北陸リーグの頂点を決めるべく、静かに、だが熱く、決勝戦が開催された。

予選1位通過 開さん (+40P)
予選2位通過 尾間さん(+20P)
予選3位通過 平澤さん(+10P)
予選4位通過 表さん (+0P)

北陸リーグでは久方ぶりの、オールアマチュアの方による決勝戦である。
上位2名は初参加。競技麻雀の条件戦という点では、おそらく経験者は3位通過の平澤さんのみであろう。この辺りがポイントのシビアになる終盤にどう影響してくるのか。リーグ過去最多の参加人数でのリーグ戦を勝ち残った4名による頂上決戦の火ぶたが切って落とされた。

 

1回戦 平澤―開―表―尾間(敬称略)

東1局
開さん以外の3人が主導権を握るべく軽快に仕掛けてほぼ同時にテンパイを入れる。ペースを握りたい3人と、どっしり構える開さんの構図がのっけから浮かび上がる。
先制のジャブを入れたのは表さん。

一万二万三万四万五万六万七索八索四筒四筒  ポン東東東  ロン九索  ドラ五万

表さんは上記のような軽い仕掛けを多用する鳴き麻雀の巧者。声の出ないような遠い、あるいは安い仕掛けに対して躊躇いが無い。ペースを握れば同卓者にとって厄介この上ない。アドバンテージポイントの差もある事から、序盤から普段以上に積極的に主導権争いに名乗りを上げている。

東2局
ここは開さんが、首位通過の状態の良さか、配牌でダブリ―チャンスの1シャンテン。即テンパイとはならなかったが、ここで焦らずシャンテン数を落として確実に手を広げてリーチ。

三万三万三万六万七万八万三索四索八索八索  暗カン牌の背六索 上向き六索 上向き牌の背  リーチ  ツモ二索  ドラ一万 3,200オール

「アドバンテージは考えない。無いものとして勝ちに行く」と強気に発言した開さん。攻めて良し、受けて良しと若さに似合わず重厚な麻雀を打つ、メンバー経験も長い一般参加の強者である。

続く東3局、軽くアガった表さんが1本場・5巡目にしてドラドラ七対子のテンパイを入れる。待ちは東。生牌だが何せ早い。打ち出される可能性も十分にある。
しかしこの気配を察した平澤さんが、掴んだ東を一点で止めテンパイまで取る。

一万一万一万四索五索六索東  ポン二万 上向き二万 上向き二万 上向き  ポン一筒 上向き一筒 上向き一筒 上向き

表さんの大物手を防ぎ、テンパイ料も逃さない平澤さん。北陸リーグでは決勝/上位入賞の常連である、誰もが認める実力者。「先ずは並びを作ることが大事」と語るように、決して他家に楽をさせない麻雀にて優勝を窺う。
そして表さんが軽快に積み棒を重ねていく中、我慢を重ねた平澤さんの本手が炸裂する。

東3局

七万八万九万五索五索五索七索七索七索三筒三筒五筒五筒  ツモ五筒  ドラ五索

この3,400・6,400で一気にトップに躍り出た平澤さん。更なる加点を目論むが、決勝という場に残った4者の状態は高いレベルで拮抗しており、次の矢を放てない。
初戦を制したのは、東4局の親番から南場にかけて細かいながらもアガリ続けた尾間さんである。

南1局5本場

四万五万六万四索四索六索七索八索三筒三筒  ポン発発発  ロン三筒  ドラ四索 3,900は5,400

上記のアガリを含め、東場の親番から南3局まで、テンパイ料含めて6回の加点。平澤さんを抜きこの半荘をトップで終える事に成功する。
尾間さんは手役派では無いが、アガリに値する嗅覚、距離感が秀逸で、打点に拘らず最短でアガリをものにする上手さが目を引いた。それでいて危険牌を掴んでのオリも迷いがなく、状態の良さと自分の麻雀に対する自信が窺えた。

1回戦成績
尾間さん(+17.4P) 平澤さん(+10.0P) 開さん(▲4.6P) 表さん(▲22.8P)

1回戦終了時
尾間さん(+37.4P) 開さん(+35.4P) 平澤さん(+20.0P) 表さん(▲22.8P)

 

2回戦 開―尾間―表―平澤

4位通過に加えて初戦ラスを引いた表さん、ここでマイナスを引くわけにはいかない。ともすれば手役、打点を追いたくなる局面だが、表さんは得意の仕掛けにアクセルを入れる。

東1局

八万九万一索一索七索八索九索発発発  ポン九筒 上向き九筒 上向き九筒 上向き  ロン七万  ドラ東  2,600

このアガリを皮切りに、東場全てで仕掛けを入れる積極性を見せ、細かく加点してゆく。
分岐点となったのは東4局平澤さんの親番。

平澤さんの手牌

二万三万五万六万六万七万八万二筒三筒四筒五筒六筒七筒  ツモ八筒  打三万

ドラは五万・観戦する私の主観では、打六万ではなかったかと思う。ドラの重なりと、一万四万引きの3面張リーチも打てる。平澤さん自身も河に三筒九筒を並べており、ピンズの好形変化は限られる局面だったのではないだろうか。
ここから平澤さんはドラの五万を重ね、次巡四筒を引き入れてのフリテンリーチ。

五万五万六万七万八万二筒三筒四筒四筒五筒六筒七筒八筒

勿論打点は十分。しかしこのリーチを含めた最終選択が大きく裏目を引いてしまう。

3枚目のドラ、しかもヤミならば振替のできた牌を表さんに打ち込んでしまう。

後日「あれは痛恨のミスでした」と語った平澤さん。結果として大きなラスを引いてしまい、ここより後は条件を押し付けられた戦いを強いられる事となる。

表さんの独走かと思われた2回戦、待ったをかけたのはトータルトップに立った尾間さん。東3局にドラヘッドの5,200をものにしつつ、振り込みに回らぬ手堅い立ち回りからの南1局。

南1局1本場

六万六万四索五索六索七索八索七筒八筒九筒白白白  リーチ  ツモ六索  ドラ八筒 2,100・4,000

トータル首位だけに、ここで連勝を決めれば優勝は大きく近づく。その思いを形にするかのような力強いアガリである。
逆に是が非でもトップの必要な表さん。苦しみながらも再度のトップ奪取に成功する。

南2局1本場

五万五万一索二索三索三索三索二筒三筒四筒七筒八筒九筒  リーチ  ロン五万  ドラ五万 8,300

ドラヘッドのカン七索受けを嫌い、三索を重ねて最終形と判断したかのリーチ。これに追っかけリーチを打った平澤さんが、再度ドラの五万を掴まされてしまう。
平澤さんのリーチも、高めツモ満貫まである勝負形だっただけに立て続けのドラ放銃が痛い。

この後の1人テンパイを加え、微差ながら表さんがトップ奪還。
アガリトップの2者で迎えたオーラス。ここを締めたのは、この半荘我慢を重ねていた開さん。ヤミで押す尾間さん、南ポンで仕掛ける表さんに挟まれながらも最終形に仕上げてリーチ。

南4局

二万二万三万三万四万四万六索六索五筒六筒六筒七筒八筒  リーチ  ツモ四筒  ドラ二索 2,000・4,000

一発で満貫を引きアガる。半荘自体は沈みだったが、マイナスを最小限とする大きなアガリ。後述するが、開さんは上記のような「要所での強いアガリ」を確実にアガリきる強さが秀でていたように感じる。

2回戦成績
表さん(+20.3P) 尾間さん(+15.2P) 開さん(▲7.2P) 平澤さん(▲28.3P)

2回戦終了時
尾間さん(+52.6P) 開さん(+28.2P) 表さん(▲2.5P) 平澤さん(▲8.3P)

 

3回戦 表―尾間―開―平澤

尾間さんにリードを広げられると最終戦を前に勝負が決まってしまう。この半荘は、尾間さん以外の3者がそれを理解し、どう立ち回るかが重要な局面である。

東1局

配牌1シャンテン、ダブリーの可能性もあった尾間さん。しかしこの局は尾間さん以外の3名が1段目で全員テンパイを果たす電光石火の1局、制したのは起家の表さん

三万四万五万八万八万一索二索五索六索七索七索八索九索  リーチ  ツモ三索  ドラ六索 2,000オール

50P超離されてはいるが、まだまだ諦めるには早すぎる。形は悪くとも、アガリ逃がしのない手順を的確に捉えている。

次局気を吐いたのは平澤さん。こちらも闘志に衰えは無い。

東1局1本場

三索四索六索七索八索八索八索三筒四筒五筒八筒八筒八筒  ツモ二索  ドラ八索 2,100・4,100

ここから巻き返しを図りたい平澤さん。しかし東4局、親番でドラヘッドのリーチを打つも表さんのホンイツに振り込んでしまう。

東4局

一万一万一万三万三万四万五万六万八万九万  ポン東東東  ロン七万  ドラ九筒 5,200

表さんは1人浮きも見える出所よしのアガリ。南場でリードを確実なものにしたいところだが、次局に難関が待ち受けていた。

南1局
表さんの手牌

二万三万四万五万五万六万六万七万七万六索三筒四筒五筒  ツモ七索  ドラ七索

雀頭を作れずの苦しい形。ハイテイで掴んだのがドラの七索。長考の末、切り出したのは六索。これが開さんのホウテイでのアガリとなる。

六万七万八万四索五索七索七索  ポン発発発  チー五万 左向き四万 上向き六万 上向き  ロン六索 ロン6 7,700

結果論かもしれないが、4万点弱持っているトップ目の親権。大切には違いないが、場況として危険極まりない牌を打つには些か早かったのではないだろうか。最終戦を前に、「並びを作る事」を考えての押し引きが優先すべき局面ではなかったかと思う。

しかしながら、痛恨の振り込みもどこ吹く風か、表さんは南2局で3,900、南3局で1,000・2,000と、瞬く間に再浮上。失点を無かった事にしてオーラスを迎える事となる。

南4局
トップは表さんで39,400、これに開さん30,500、ラス親の平澤さんが30,400と続く。
この要所を締めたのも開さん。

四万五万二索二索三索四索五索八筒八筒八筒  チー五筒 左向き四筒 上向き六筒 上向き  ロン六万  ドラ三筒

2,900のテンパイを入れていた平澤さんから、点数はミニマムながら実に大きな1,000点。
前述の7,700と併せて、この半荘をプラスで乗り切ることに成功する。
表さんは苦境からの連勝で最終戦に望みを繋ぐ。平澤さんは最後に原点切られて厳しい条件を強いられる。苦しんだ尾間さんも、結果として1人沈みを回避できて最終戦に臨む。

3回戦成績
表さん(+17.4P) 開さん(+5.5P) 平澤さん(▲4.4P) 尾間さん(▲18.5P)

3回戦終了時
尾間さん(+34.1P) 開さん(+33.7P) 表さん(+14.9P) 平澤さん(▲12.7P)

 

4回戦 開―表―平澤―尾間(トータル順位による席順)

開さんと尾間さんは着順勝負。表さんは2人を沈めてのトップ。平澤さんは大トップ条件となる最終戦。4者の目から闘志の炎未だ衰えず。泣いても笑ってもの最終戦である。

東1局から果敢に手を作りに行く平澤さんと表さん。しかし実らず。この決勝戦・4回戦目にして初のオールノーテンによる流局である。
東2局、四暗刻も見える手牌から、場況を読んで即座に七対子に変更した平澤さん。勘鋭く最速で引きアガリ800・1,600
東3局はメンホン1シャンテンの表さん、ヤミ押しの開さんを抑えて尾間さんが2,600を表さんからアガリ。地味ながら大きな加点。
東4局、諦めない平澤さん。最速の手順で好形のリーチを放つ。

東4局

七万七万八万八万九万二索三索四索七索八索九索七筒七筒  リーチ  ツモ九万  ドラ白 1,300・2,600

一発で高めを引きアガる。これで1人浮きで東場を終え、大逆転への希望を繋ぐ。

南1局も平澤さんが1,000点を加点。迎えた南2局は最後の親番をむかえた表さんの粘り腰。

南2局

三万四万五万二筒三筒四筒五筒六筒七筒八筒  チー四筒 左向き三筒 上向き五筒 上向き  ロン八筒  ドラ一筒 1,500

南2局1本場

六索七索八索四筒四筒五筒六筒六筒東東  ポン発発発  ツモ五筒  ドラ四索 600オール

打点こそ少ないが連荘で原点近くまで戻す。尾間さん開さんが沈んでいるので、平澤さんさえ抜かせばトータルトップに立てる正念場である。

南2局2本場。配牌1シャンテンの表さん。テンパイ一番乗りとなるが、三色の変化を見てヤミに受ける。しかし平澤さんが上手く捌き、2,600は3,200を尾間さんよりアガる。

南3局、平澤さんの最後の親番。並びは出来ているので、後は4,000オール1回でトップに肉薄する平澤さん。ここで望外のドラ槓子が配牌で舞い降りる。

南3局

四索四索四筒五筒六筒九筒九筒  ポン中中中  暗カン牌の背西西牌の背  ドラ西

中を仕掛けて上記のテンパイ。固唾を飲む終盤の1局が訪れた。
しかし、である。この勝負局をオリずに立ち向かい、アガリをものにしたのは開さん。

八万八万一索三索一筒一筒二筒二筒三筒三筒七筒八筒九筒  ロン二索 1,300

ドラカンの親に対してオリを選択した表さんの打牌を捉えての会心のアガリ。
尾間さんもこの局はオリに回っており、彼が立ち向かわねばおそらく決着そのものが変わっていたのではないだろうか。対局後、開さんもこの局を良かった局の1つとして述懐している。

南4局
平澤さん40,800 開さん28,500 表さん26,400 尾間さん24,300

ラス親の尾間さんは連荘あるのみ。当面の敵である開さんも沈んでいるだけにビハインドは4,000点程度である。開さんは尾間さんの上にいればOK、表さんは跳満ツモあるいは平澤さんから跳満直撃で1人浮き条件、平澤さんは倍満ツモが必要である。

この最終局面で、表さんが条件を満たした乾坤一擲のリーチを打つ。

南4局

三万四万四万五万五万六万六万三索四索五索三筒四筒五筒  ドラ九索

どちらをツモっても大逆転の大物手。この場面でこの手が入る強さに嘆息するも、結果としてこの手は不発に終わる。

そしてこれが運命の分かれ道となるのだが、ラス親の尾間さんがこのリーチに対してオリを選択してしまう。テンパイを入れねば開さんの優勝が確定するという事、表さんが出アガリするには倍満が必要な事等を考えれば絶対に押す局面ではなかっただろうか。

最後はギリギリまで押してテンパイを入れた開さんと表さんの2人テンパイにて、北陸リーグの決勝は終局した。

4回戦成績
平澤さん(+17.3P) 開さん(+4.0P) 表さん(▲7.1P) 尾間さん(▲15.2P)

最終成績
開さん(+37.7P) 尾間さん(+18.9P) 表さん(+7.8P) 平澤さん(+4.6P)

初参加初優勝の開さん、本当におめでとうございます。
「ポイントの有利を考えず、最後まで戦う姿勢を崩さない」公言通りの強い麻雀を貫き、要所をアガリ切った、優勝にふさわしい麻雀だったと思います。
他のお三方も、それぞれに見せ場のある良い戦いをしたのではないでしょうか。
益々レベルの高まりを見せる北陸リーグ。来期はどのような戦いが繰り広げられるのでしょうか。

第18期北陸リーグは、3月18日(日)~金沢にて開催されます。
皆様のご参加・ご観戦を心よりお待ちしております。

最後になりますが、半年間ではありますが、至らぬ文章にお付き合いいただき有難うございました。またどこかでお目にかかる機会ありましたら、どうぞ宜しくお願い致します。
 

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