九州プロリーグ レポート

九州プロリーグ レポート/第14期九州プロリーグ A・B・Cリーグ 第1節レポート

Aリーグレポート: 東谷達矢
A卓(柴田×小車×大和田×藤原×福田)
B卓(浜上×塚本×安東×中尾)
C卓(西原×小川×青木×新谷)
皇帝位決定戦が、終わり2ヶ月が経った。優勝した藤原の口から発せられた『連覇します』という言葉に、闘志に火を点けられた者は少なくないはず。
新シーズンは幕を開けた。2ヶ月前、皇帝位を争う決勝の舞台に、私、東谷も立っていた。負けた瞬間に溢れた涙は、2日間全12半荘に起こったドラマだけではなく、1年間必死に戦い続けて蓄積された思いの証だと、今はそう断言できる。
私は今期から拠点を東京に移すため、皇帝位に挑む挑戦からは離れるわけだが、誰がこれから九州のプロリーグを盛り上げていくのか興味は尽きない。今年こそは自分が主役になる、誰もがそう意気込んでいるだろう。
九州本部所属のプロは、総合力で着実に力を伸ばしてきている。それは、十段戦や王位戦、新人王戦に決勝進出者を輩出していることからも伺い知れるが、Aリーグはそんな現状を象徴するかのように、若手とベテラン勢が混在しているからおもしろい。技術的・実力的に当然差異はあるものの、それぞれ実に個性的な打ち手が多い。
今回はその一部を紹介させていただきたい。今回私が着目したのはB卓。
十段戦ファイナリスト、浜上・安東の両名に、実力者である塚本。そして昇級組であり、私と同期の27期生、中尾が挑むといった組み合わせだ。果たして、中尾が持ち前の豪腕を見せつけるのか、はたまた先輩達3名がそれを受け流すのかが注目される。
2回戦、東1局。中尾が以下の形から発を仕掛ける。
一万一万三万六万七万七万八万八万白中 ポン発発発 ドラ南
どうだろうか?
早い巡目で発を1鳴きしたわけだが、この仕掛けを見て中尾は今後苦戦するのではないか、そう感じさせられた。というのも、明らかに色寄せだとわかる捨て牌時に安易に鳴くと、手が入ってない人からは牌を絞られ、手が入っている人からは押し返されるのだ。安手であればあるほどリスクに対してのリターンが小さい。
私もAリーグで初めて戦った年は、手が整わないうちに仕掛けて、手の中を見透かされ、何度も辛酸を舐めさせられたものだ。
その時浜上はこの形、
二万四万五万七万八万九万二索二索七索八索七筒八筒九筒西
ここから打二万とし、リリースした二万に中尾がさらに仕掛ける。手牌を短くすることを恐れていない。
この局は塚本がアガリ大きな動きは無かったが、この積極性が裏目に出たのが南1局だった。
五万五万六万七万六索六索三筒五筒五筒六筒 ポン五索五索五索 ドラ七筒
中尾がこの仕掛けを入れるが、数巡後に塚本のマンズの染めと浜上のピンズの染めに挟まれて身動きが取れなくなる。 そして、
三筒三筒四筒五筒六筒七筒七筒七筒西西 ポン南南南 ロン西 ドラ七筒
この12,000を放銃し、中尾は一気にラスへと転落してしまう。やはり単調に攻めるばかりでは通用しない、この時まではそう思っていた。だが、中尾はその後もまったくスタイルを崩さなかった。打点は低くても、先手を取られても、鳴いて、ある時はリーチをかけて、とにかく攻め続けた。
ノーテン罰符や小さなアガリで加点を積み重ね、原点近くまで浮上すると、迎えた南4局。
二万二万四万四万四万五万五万五万七万七万八万二筒二筒
この四暗刻の1シャンテンから五万をポンする。私には無い発想である。清一色に移行するにしても、五万から仕掛けることはできない。そして九万を引き入れて、七対子をテンパイしている浜上が放った八万をチーしてこの形。
二万二万四万四万四万七万八万 チー八万七万九万 ポン五万五万五万
そして、最後のアガリ牌である六万を引き入れて見事満貫アガったのである。
浜上も安東も、塚本も決して下手を打っているわけでは無い。だが、愚直に攻め続けた中尾が、4回戦を通して常に動き、主導権を握っていたのは間違いない。
苦戦するかもしれないと予想したが、彼の状況判断能力は私の分析力を大きく越えていたようだ。
最終的には浜上が貫録の卓内トップ。山のように静観しながら、終始安定していた塚本はさすがのプラス終了。中尾も浮いて終わり、そしてチャンス手をアガリきれなかった安東は1人大きくマイナスするという、波乱の展開となった。
逆に言えば、これまで九州プロリーグの第一人者として活躍し続けていた諸先輩方も油断していれば降級もあり得るほど、全体のレベルが上がってきていると言えるのかもしれない。
A卓は、現皇帝位の藤原が前半大きくマイナスしたものの、その後は粘りマイナスを最小限に抑えた。小車は皇帝位を好きに打たせないよう包囲網を敷くことができた、と語る。
一昨年、昨年と決勝進出まであと一歩届かず、苦虫を噛み潰す思いをした彼は、今期こそは決勝に進出し、九州の頂点に立ちたいと誰よりも強く思っているだろう。そしてその小車がライバル視する昇級組の25期生、大和田がこの卓トップになると同時に、今期Aリーグ全体の首位となった。
数期にわたってBリーグから次点で脱却できず苦しんだが、実力には定評があるので、このまま一気に昇りつめるかもしれない。
C卓は、昨年安定した成績で決勝進出争いを繰り広げた青木が卓内トップとなり、そして今節は幕を閉じた。
10節ある内のたった1節であるが、されど1節1節の積み重ねが大事になるリーグ戦。今回のレポートで取り上げなかった者も実力者揃いのため、次節以降の展開がどうなるのかまったく予想できない。今後の九州リーグの動きから目が離せない。
第2節組み合わせ予定
A卓(大和田×柴田×西原×浜上×安東)
B卓(小車×福田×小川×中尾)
C卓(藤原×青木×新谷×塚本)
(組み合わせは都合により変更になることもあります)
Aリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 6節 7節 8節 9節 10節 合計 順位
1 大和田 篤史 40.3 40.3 1
2 青木 胤道 35.8 35.8 2
3 浜上 文吾 31.6 31.6 3
4 中尾 多門 16.7 16.7 4
5 塚本 将之 15.6 15.6 5
6 西原 亨 1.8 1.8 6
7 小車 祥 ▲ 2.5 ▲ 2.5 7
8 藤原 英司 ▲ 2.7 ▲ 2.7 8
9 小川 善章 ▲ 6.7 ▲ 6.7 9
10 柴田 祐一朗 ▲ 18.0 ▲ 18.0 10
11 新谷 翔平 ▲ 30.9 ▲ 30.9 11
12 福田 正道 ▲ 38.1 ▲ 38.1 12
13 安東 裕允 ▲ 63.9 ▲ 63.9 13

Bリーグレポート:古本和宏
A卓(吉田×藤井×中島×川崎)
B卓(藤原×古本×服部×伊東)
C卓(安永×鶴×名倉×福田)
D卓(榎田×宮崎×菊池×矢野)
E卓(佐藤×藤岡×石原×氷室)
今回Bリーグのレポートを担当させていただきます古本です。よろしくお願いします。
新年度になり、九州でも第14期九州プロリーグの開幕戦の日を迎えた。
前期、各リーグではさまざまなドラマがあったが、各人、心機一転新たな気持ちでこの日を迎えたことと思う。
さてBリーグでは、Cリーグからの昇級者6名を含む20名が揃った。
初戦ということもあり色々な思いもあるだろうが、共通するのは誰もがAリーグ昇級に向けて最高のスタートを切りたい!という思いではないだろうか。
その中で特に際立ったのが+116.4Pの成績を残した菊池だ。
本手を何度も決めきり、大きなポイントを勝ち取った。
初戦ではあるが昇級に向けて大きなアドバンテージになっただろう。
また、菊池と同卓していた宮崎は、菊池の猛攻を受けながらもうまくポイントを重ね、+18.6Pとまとめた。
宮崎は今期よりプロデビューした新人で、新人とは思えないほど安定した打ち回しを披露し、着実にポイントを重ねていた。今後、彼の活躍に注目したい。
1節目を終え、残りは4節。
私も熱い気持ちを持って、悔いの無いように戦っていきたいと思う。
Bリーグ

順位 名前 プロ/アマ 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 菊池 豪 プロ 116.4 116.4
2 藤井 崇勝 アマ 59.8 59.8
3 服部 学 プロ 33.3 33.3
4 福田 譲二 プロ 31.9 31.9
5 鶴 浩昭 プロ 22.4 22.4
6 宮崎 皓之介 プロ 18.9 18.9
7 藤岡 治之 プロ 5.2 5.2
8 藤原 琢 プロ 4.0 4.0
9 古本 和宏 プロ 2.1 2.1
10 名倉 徹 プロ 0.7 0.7
11 吉田 雄紀 アマ ▲ 0.7 ▲ 0.7
12 佐藤 健治 プロ ▲ 1.2 ▲ 1.2
13 氷室 哀華 プロ ▲ 2.0 ▲ 2.0
14 石原 忠道 アマ ▲ 3.0 ▲ 3.0
15 川崎 行広 プロ ▲ 18.2 ▲ 18.2
16 伊東 宏倫 プロ ▲ 39.4 ▲ 39.4
17 中島 行泰 アマ ▲ 40.9 ▲ 40.9
18 安永 敏郎 アマ ▲ 55.0 ▲ 55.0
19 矢野 拓郎 プロ ▲ 63.0 ▲ 63.0
20 榎田 賢二郎 プロ ▲ 92.3 ▲ 92.3

Cリーグレポート: 西川舞
A卓(進×藤瀬×松尾×公文)
B卓(友保×山本江利香×弘中×山本秋桜里)
C卓(濱田×原×松本×相本)
D卓(高末×山本光男×樋口×西川×スカルリーパーA-ji)
E卓(下山×哀河×陣野×流水×吉田)
F卓(水町×北島×河野×高田×高野)
4月に入り、新たに29期生を迎え今年度も九州リーグが開幕した。
Cリーグ参加者は、Bリーグへの昇級と優勝をかけて今期27名での戦いとなった。
人数が多いだけあり色々な打ち手がいるCリーグは、私が勝手にそう思っているだけかもしれないが、毎年ポイントが大きく動く印象がある。
今節も結果から言うと、上下差は約250ポイントと大きく開いた。
予想はしていたのだが今期もやはり大荒れ模様。
競技Aルールにおいては、あまり大きく差をつけられると、例え残り4節あっても優勝という文字が遠くに感じられてしまう。
首位を走っているのは、過去九州リーグに参加していて今期から久しぶりにまたリーグ戦に参加するアマチュア参加の弘中さん。(122.3P)
彼の卓は前年度九州グランプリ覇者の山本(江)・4月から29期生としてプロになった友保と山本(秋)・弘中さんという、華やかな卓だった。
3名の美人女流達に囲まれながらも弘中さんは跳満クラスの手を次々成就させ、順調に加点。
本手を成就させられるのは、好調だったとはいえ、さすがの実力である。
山本(江)も弘中さんのアガリに負けじと喰らい付いていっていたが、第6位(30.1P)と、思うようにポイントを叩けなかったようだ。
現状第2位の原(115.1P)は4半荘の中で、四暗刻・国士無双をアガリ大きく加点。
手役派で安定感のある打ち手なので、来月からも上位をキープするためにポイントを積み重ねていくだろう。
第3位・第4位は、28期の同期の2人、下山(73.3P)・樋口(65.8P)で各卓内トップである。
どちらも攻撃力が高く勝負強いので、できれば戦いたくない相手なのだが、今回私は樋口と戦う事になった。
印象に残った局は、2回戦樋口の圧倒的なトップを決めたアガリなのだが、南場の樋口の親で早い巡目での親のリーチ。
七万八万九万一索一索七索八索九索七筒八筒南南南  リーチ
ここにアッサリと九筒をツモり6,000オール。
そのリーチがなければ九筒のトイツ落としを考えていた私にとっては、半分の支払いで済んだので助かったリーチであった。
2回戦は樋口の猛攻に耐えながらも、自分にもダブルリーチなどそれなりに手が入りなんとかオーラスに原点確保できた2着で済んだ。そのダブルリーチの局なのだが配牌が、
二万三万四万六万六万七万八万九万九万三索四索白白 ドラ八筒
こうで、ソーズをはらってホンイツに持っていこうかと思っていたら、第1ツモが五索
六万を切ってダブルリーチという選択になるのだが、第一ツモで別の牌を引いていたらどうしていただろうと考えさせられる局だった。
今回の対局は自分にも少しはチャンス手が来ていたのに、押しが足らず樋口に吹き上がられてしまった。しかし、少しだがプラスで終わる事ができた。
今回の反省と少しのポイントと共にこれから半期戦っていこう。
まだ5節ある内の1節しか終わっていない。しかし、残り4節しかないのだ。
毎回各々自分の持っているものをぶつけ合い戦う。
来節も負けないように頑張ろう。
Cリーグ

順位 名前 プロ/アマ 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 弘中 栄司 アマ 122.3 122.3
2 原 宙史 アマ 115.2 115.2
3 下山 哲也 プロ 73.3 73.3
4 樋口 徹 プロ 65.8 65.8
5 相本 長武 アマ 54.0 54.0
6 山本 江利香 プロ 30.1 30.1
7 西川 舞 プロ 15.4 15.4
8 高野 翔太 アマ 10.8 10.8
9 北島 勇輝 プロ 9.6 9.6
10 河野 みのり プロ 9.0 9.0
11 松尾 樹宏 プロ 7.8 7.8
12 藤瀬 恒介 アマ 7.6 7.6
13 陣野 良貴 プロ 5.3 5.3
14 流水 聖人 プロ 3.7 3.7
15 山本 光男 プロ ▲ 4.5 ▲ 4.5
16 進 栄二 プロ ▲ 4.9 ▲ 4.9
17 スカルリーパーA-ji プロ ▲ 11.4 ▲ 11.4
18 水町 慎一 プロ ▲ 17.4 ▲ 17.4
19 吉田 彩乃 アマ ▲ 27.5 ▲ 27.5
20 公文 寛明 アマ ▲ 31.5 ▲ 31.5
21 髙田 優香 アマ ▲ 32.0 ▲ 32.0
22 濱田 貴幸 アマ ▲ 50.0 ▲ 50.0
23 哀河 斗南 プロ ▲ 54.8 ▲ 54.8
24 山本 秋桜里 プロ ▲ 58.7 ▲ 58.7
25 高末 文永 アマ ▲ 65.3 ▲ 65.3
26 友保 美香里 プロ ▲ 93.7 ▲ 93.7
27 松本 路也 アマ ▲ 121.2 ▲ 121.2

皇帝位戦進出ライン、昇降級ライン:順位枠内に表示