静岡プロリーグ 決勝観戦記

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第14期静岡プロリーグ 決勝観戦記

2019/04/05
執筆:鷲見 隼人


2018年1月某日
我が静岡支部に大きな知らせがあった・・・
「望月支部長が鳳凰戦を引退!」
我々支部員は大きな衝撃を受けたのは言うまでもない。

引退の理由の1つが「支部の活動に注力する為」であった。

そしてプロリーグが開催される少し前、もう1つ知らせが舞い込んできた。
「藤島健二郎、静岡プロリーグ参戦」
鳳凰戦上位リーガーの参戦に胸を躍らせた支部員も多いはず。
藤島は「決勝戦進出は義務だと思っている。」と言っていた。

この2つの知らせを聞き
「望月・藤島は決勝戦に残りそうだな・・」
そう思った支部員も少なくない。
しかし麻雀という競技の性質上なかなかそのようにはならないのだが・・・
2人とも決勝に進出を見事に果たした。
そして残りの2人も静岡の誇る実力者が勝ち残った。
では決勝の椅子を勝ち取った4人の選手を紹介しよう。

1位通過 鈴木郁孝
鳳凰戦 C2リーグ所属
攻撃力:SS
守備力:B
機動力:C
戦術力:C
好きな物:ドラ
もともと攻撃よりの選手だが今シーズンは更に前に出て戦うことを選択してきた。
それが見事にはまり、堂々の1位通過。
決勝もリーグ戦同様に、前に出て戦えば優勝も難しくない。

 

2位通過 藤島健二郎
鳳凰戦 A2リーグ所属
攻撃力:A
守備力:A
機動力:S
戦術力:S
嫌いな物:ノーテン
静岡プロリーグでは格の違いを見せつけ安定した戦いで、決勝進出を決めた。
読みの精度の高さと持ち前の機動力と戦術で初出場・初優勝を狙う。

 

3位通過 望月雅継
最年少鳳凰位
攻撃力:S
守備力:A
機動力:A
戦術力:S
シャツの袖:花柄
鳳凰戦に出ていたころには見せなかったような仕掛けやリーチを駆使し、危なげなく決勝進出を果たした。
しかし決勝進出は過程でありゴールではない。

 

4位通過 京平遥
女流桜花Bリーグ
攻撃力:S
守備力:A
機動力:B
戦術力:B
二つ名:漆黒の打点使
リーグ戦道中では安定した戦いをみせ最終節は、5位の太田と同卓。
追いすがる太田を振り切り決勝進出最後の椅子を勝ち取った。

攻撃力の高い4人が揃い
「面白い決勝戦になりそうだ」
と思ったのは私だけではないはず。
私の当てにならない展開予想などは置いておいて早速試合を見てみよう。

 

1回戦(起家から望月・藤島・鈴木・京平)
開局早々手に汗握る展開に!
東1局
まず先手を取ったのは藤島。
決して良いとは言えない配牌を丁寧に仕上げ、三色のリーチ。
対する望月は

望月 東家 ドラ六万 10巡目

一万一万二万二万六万八万八万六索六索六索三筒四筒五筒  ツモ四筒

親番という事を考えると、ツモ切りする人が多そうだが、望月はここから打五筒としメンツ手は見切り縦一本に絞る。
これが見事にはまり、三筒を重ねて七対子のドラ単騎で追いかけリーチ!
更に京平もメンタンピンドラ1で追いつきリーチ!!!

藤島
七万八万九万五索五索七索九索五筒六筒七筒七筒八筒九筒 出アガリ5,200

望月(親)
一万一万二万二万六万八万八万六索六索三筒三筒四筒四筒 出アガリ12,000

京平
四万四万六万七万八万二索三索四索五索六索七索五筒六筒 出アガリ7,700

いきなり高打点の3件リーチ。
これを制したのが残り山に1枚のドラをツモった望月。
6,000オールで一歩リード。
公式ルールの6,000オールは一歩どころのリードではないのだが、このメンツでは一歩リードぐらいの感覚だろう。

東3局
親番の鈴木はここまでの失点を取り返すべく前に出るだろうと思い観戦していた。
しかし藤島が鈴木に呪いをかける。

藤島 北家 ドラ九万 3巡目

二万三万九万九万五索九索九索四筒四筒七筒九筒九筒東

ここから九筒をポンして打五索
更に一万をチーして打七筒
6巡目の藤島の手牌が

九万九万九索九索四筒東南  チー一万 左向き二万 上向き三万 上向き  ポン九筒 上向き九筒 上向き九筒 上向き

まだバラバラである。
しかしこの仕掛けに対し、鈴木は字牌と1~3と7~9の牌が打てない。
まさしく呪いにかかってしまったのだ。

この後も藤島の仕掛けに翻弄されることとなる。
鈴木は、この呪縛を解かない限り勝機は見出せない。
良く言えば丁寧な対応なのかもしれないが「勝つ麻雀」ではないように私の眼には映ってしまった。
結局全員ノーテンで流局。鈴木は伏せられた藤島の手牌を見て何を思っただろう・・・。

南1局 1本場
藤島 親番 5巡目 ドラ東

五万五万八万八万三索三索四索七筒七筒七筒  ポン中中中

5巡目にして五万八万も山には残っておらず、トイトイでのアガリは難しく思えた。
しかし麻雀は何が起きるか分からない!
マンズの形が七万八万八万になった望月が八万を打ち出し藤島がポン。
更にドラを重ねて七対子の1シャンテンになった京平が五万を切り、これが藤島の7,700に放銃となった。
続く2本場も、藤島が満貫のテンパイをしていた望月から7,700をアガリ、遂に望月を捲った。

オーラス
望月42,800 藤島41,000 鈴木18,800 京平17,400
望月・藤島の2人はほぼアガリ勝負。
京平は連荘あるのみ。
鈴木としては素点を回復して1回戦を終えたいところ。

望月 南家 4巡目 ドラ六万

六万六万九万九万三索八索九索九索二筒南南西中  ツモ南

絶好のダブ南暗刻。
西を切るかと思い見ていたらここから打八索。そして九索をポンして打二筒
字牌を重くし、相手に簡単に字牌を打たせない。これが功を奏し、京平と鈴木の手牌進行を止める。
結果望月が2,000・4,000をアガリ、1回戦をトップで終える。
藤島もらしさを存分に発揮した良い半荘だった。

1回戦成績
望月+22.8P 藤島+13.0P 鈴木▲17.2P 京平▲24.6P

 

2回戦(起家から望月・鈴木・京平・藤島)
東1局は京平が1回戦の失点を取り戻すべく2,000・3,900のツモアガリで幸先良いスタート。
そしてもう1人、1回戦のマイナスを何とかしたい鈴木は藤島の呪いを振り払うべく、一心不乱にリーチを打つ!!

東3局
鈴木 北家 ドラ中

三万四万五万五万六万七万四索四索五索五索六索中中

このリーチは1人テンパイで流局。

東4局
南家 望月 ドラ七索

二万三万四万四索四索五索六索七索六筒七筒七筒八筒八筒

高めをツモると跳満のリーチ。
これに追いついたのは鈴木。

西家 鈴木 ドラ七索

七万七万三索四索五索七索八索九索五筒六筒七筒七筒八筒

奇しくも望月と同じ待ちでリーチ。牌をツモる手に力がこもる両者!!軍配は望月!
望月の手元に置かれた九筒を憂うような目で見つめる鈴木。

「どうして俺の手元にコナインダ・・・」

更に続く南1局
またしても鈴木が先制リーチ。

鈴木 南家 ドラ四万

四万五万六万七索八索九索二筒二筒三筒四筒四筒五筒五筒

鈴木はこれで3局続けてのリーチである。
しかもすべて「待ち・打点」共に申し分ない。
しかし再び望月が立ちふさがる。

望月 東家 ドラ四万

二万三万四万六万七万八万八万二索三索四索六筒七筒八筒

親番という事もありリーチを打つかと思ったが、望月はヤミテンを選択。
ここに鈴木のあたり牌の六筒をツモってきて少考。七万が望月から4枚見えている。五万八万の待ちは相当アガれそうである。
打点的にも、待ち的にもツモ切ってしまいたい。しかし望月はそんな誘惑には負けない。
きっちりあたり牌をおさえ打八万とし、直ぐに鈴木から2,900をアガる。
開かれた望月の手牌を見つめ
「それ六筒切ってよ・・・」
鈴木の声が画面越しに聞こえてきそうであった。

続く1本場
3局続けて本手リーチが空ぶった鈴木。
しかし手牌は落ちない。

鈴木 南家 ドラ四索

四万五万六万四索五索六索六索二筒三筒四筒五筒六筒七筒  ツモ七筒

絶好の手替わり。
4局続けてのリーチかと思いきや、「これ以上の空振りはご免だ。」と言わんばかりに静かに六索を河に置いた。
しかしこの六索に反応したのが京平。

京平 西家 ドラ四索

四万五万六万七万七万四索四索五索七索七索七索三筒四筒

鈴木の切った六索をチーしてドラの四索を切ってテンパイ。
鈴木がリーチをしていれば起きなかったであろうアクションである。
もしこれにより鈴木の手が京平に捌かれるようなことになれば・・・
2巡後
鈴木「ツモ!3,000・6,000」
嬉しい嬉しい初アガリは値千金の跳満。
このアガリでトップ目に立つと、迎えた親番でも2局続けてアガリをものにして40,500点まで点棒を増やした。
このまま突き抜けるかと思って見ていたがあの男が立ちふさがる。

南2局 2本場
まずは鈴木が仕掛けて3900のテンパイ。

鈴木 東家 ドラ五筒

五万六万七万五筒六筒六筒七筒八筒九筒九筒  加カン南南南南

これに望月も応戦。

望月 北家 ドラ五筒

六万六万七万八万七索七索九索九索一筒一筒白白白

ここから鈴木の切った七索をポンしてテンパイ。
どちらがアガるかでこの半荘の運命を左右しそうな局面。
しかし藤島は指をくわえて見てはいない。

藤島 西家 ドラ五筒

五万二索四索四索五索六索七索八索八索四筒五筒五筒六筒

ここから四索をポンして1シャンテン。
ドラの五筒周りをツモってテンパイなら良いが・・・と思っていたらツモってきたのは四万
すると藤島は何事もなかったかのようにドラの五筒を切った。
藤島クラスなら鈴木と望月がテンパイなのは読めていたはずである。
しかし藤島にはそんなことは関係ない。
いやこの局はアガリ逃しが罪だと思ったのかもしれない。
私ごときの雀力では計り知れないが藤島はドラを切りそしてアガリきった。
2,000点のアガリではあるが「この人コワイ・・」と戦慄を覚えた。

南3局は鈴木が藤島のダブ南ポンに屈せず3,900をアガる。
呪いは完全に解けたようである。こうでなくては面白くない。
南4局は京平が1,000・2,000をアガリ1回戦浮きだった望月・藤島が沈み面白い展開となった。

2回戦成績
鈴木+21.4P 京平+8.1P 望月▲6.1P 藤島▲23.4P

2回戦終了時
望月+22.7P 鈴木+4.2P 藤島▲10.4P 京平▲16.5P

 

3回戦(起家から望月・鈴木・藤島・京平)
東1局
望月が1枚目の白を積極的に仕掛ける。

望月 東家 ドラ西

三万三万七万七万三索三索二筒二筒二筒西  ポン白白白

この仕掛けに3者が丁寧に対応し望月にテンパイを入れさせない。
そして望月の最終手番。テンパイしない八万をツモって来て全員ノーテンで流局だな~と思って見ていたら、全員ノーテンを読み切った望月はノーテンからドラの西を河に置いた。
「親(望月)がテンパイですから皆さんしっかりオリてくださいね!」
と言わんばかりに・・・。
しかし親のいう事を聞かない子供が1人いた。
藤島である。
藤島はハイテイ牌でテンパイをすると、初牌である発を叩き切って1人テンパイをもぎ取った。
理屈は分かる。
白をポンしている望月の3打目が中で、発を持っている可能性は低い。
だが万が一ハイテイで発を放銃した場合5,800以上の失点となる。
それを考えるとなかなか切れる牌ではない。
望月のノーテンを読み切ったわけでもないだろう。
しかし藤島は勝つために発を切った。
そしてもぎ取った3,000点。
「この人をオロすには三元牌を三つ鳴かないと無理だな!」と思った。

東3局 1本場
望月にチャンス手!

望月 西家 ドラ五筒 7巡目

三万四万二索三索四索二筒二筒四筒五筒五筒中中中

ここから三筒をチーして高め7,700のテンパイ。
これに応戦したのが鈴木

鈴木 北家 ドラ五筒

六索六索七索七索七索三筒三筒六筒七筒発発発中

ここから三筒をポンして望月に暗刻の中を勝負!次巡ツモ七筒!!
六筒を切ればトイトイに変化、さらにツモれば三暗刻と絶好にも見える手替わり。
しかし
「この手は捌き手!アガリにくい変化はいらない!!」
七筒をツモ切る。
すると次の望月のツモは皮肉にも雀頭の五筒
暗刻の中を切り三色の片アガリにすることも、三万四万を切って単騎に受けることも出来る。
しかし望月の選択は打五筒
結果、鈴木に2,600の放銃となったが、一番強い選択をしたように思えた。
鈴木も打点上昇の誘惑に負けず、しっかりと捌いた良い1局だった。

南2局
京平 西家 ドラ一筒 13巡目

一万二万三万四万四万六万七万八万二索三索四索一筒二筒

手替わり待ちでヤミテンにしているとドラの一筒をツモって来てここでリーチ。
京平の捨て牌は、3打目に二筒が切って有り、そしてリーチ宣言牌も二筒である。
対局者にはどの様に映るだろう。
ドラの一筒だけは放銃したくない捨て牌相に見える。
その時藤島もテンパイをしていた。

藤島 南家 ドラ一筒

二万二万五万七万六索七索八索五筒六筒六筒七筒七筒八筒

こちらも手替わり待ちの状態。
京平のリーチを受けツモって来たのは五万!4巡前に自身で切っていて七万切りのシャンポン待ちはフリテン。
だが、二万五万は藤島の目から6枚見えていて相当切りにくい。しかも藤島はカンチャン待ちの1,300。しかし藤島の選択は、打五万!!
私の正直な感想は
「なんだこの人は・・・」である。(・・・はご想像くださいw)
いや東1局同様に理屈は分かる。
現物を切ったところでオリきれる保証はない。
一手変われば本手になり得る。それなら1枚ぐらい押そう!と。
だが次の藤島のツモは四筒・・・
「これはさすがに無理か・・・」なんてことは無く、すっとツモ切る。
すると京平が六万を掴み、藤島のアガリとなる。
「すごい」の一言である。

オーラス 1本場
藤島40,800 鈴木30,100 京平26,500 望月22,600
ここまで3回戦の最高打点はなんと2,600である。
なんなら東1局の藤島の1人テンパイが一番大きな点数移動であった。
しかし藤島は40,000点以上持っている。
藤島としてはこのままトップで終えたいところ。
鈴木は、藤島を捲りたいところだが、最低原点はキープして終わりたい難しい点数状況である。

藤島 北家 ドラ白 6巡目

二万三万四万四万五万五万六万一索三索五索七筒八筒九筒  ツモ一索

藤島はここからテンパイ取らずの打三索とした。
3巡後に発をツモってくると打五索とし、マンズのくっつきだけにした。
トップ目である事を考えれば普通の手牌進行に見えるが、これが藤島に悲劇を招くこととなる。

鈴木 西家 ドラ白 5巡目

六万八万四索五索三筒三筒三筒六筒七筒八筒白発発  ツモ五索

どうしても原点をキープしたい鈴木は、ドラの白を切ると思って見ていたが、鈴木は打八万としリャンシャンテン戻し。
相手が「ノーテン嫌いの藤島」ならこちらは「ドラ大好き鈴木郁孝」である。
10巡目にドラを重ね11巡目テンパイ。

鈴木 西家 ドラ白 11巡目

三索四索五索三筒三筒三筒六筒七筒八筒白白発発

すると
藤島 北家 ドラ白 11巡目

二万三万四万四万五万五万六万一索一索七筒八筒九筒発  ツモ五万

ここでテンパイを取り発を切るとジャストタイミングで鈴木に5,200の放銃となった。
9巡目に発をツモ切っていれば違う展開になっただけに悔やまれそうだが、きっと藤島は意に介さないだろう。
鈴木としては最高の形で3回戦を終えた。

3回戦成績
鈴木+14.6P 藤島+9.3P 京平▲8.5P 望月▲15.4P

3回戦終了時
鈴木+17.8P 望月+7.3P 藤島▲1.1P 京平▲24.0P

 

4回戦(起家から望月・藤島・京平・鈴木)
1位の鈴木から4位の京平まで、約40ポイント。
京平だけ少し厳しいが、全員に可能性がある。

東2局1本場大きく点棒が動く。
京平の手牌がよい。

京平 1巡目 ドラ西

二万二万二万五万四索五索七索八索八索三筒五筒白中  ツモ中

ドラこそ無いもののアガるだけなら難しくなさそうである。
打点を見るなら、中の暗刻かタンヤオや345の三色か。
一打目は白を選択。すると望月が1巡目から仕掛ける。

望月 1巡目 ドラ西

三万三万四万六万九万一筒二筒二筒五筒八筒九筒白白

ここから白を仕掛け九万を切った。
愚形残りの1,000点の2シャンテン。私には仕掛けることは出来そうにない。
しかしこの仕掛けが功を奏す。あの仕掛けが11巡目に

二筒二筒七筒八筒九筒西西  ポン一筒 上向き一筒 上向き一筒 上向き  ポン白白白  ドラ西

このテンパイ。すると藤島

藤島 東家 ドラ西

五万六万一索二索三索五索七索二筒二筒西  チー五筒 上向き六筒 上向き七筒 上向き  ツモ六万

ここから二筒を切り望月に8,000の放銃となる。
この放銃は賛否が分かれるところだろう。むしろ批判的な意見の方が多いかもしれない。
しかし藤島はこの二筒を切るから決勝まで残ったのだと思った。五筒が通っていて二筒が放銃になるなら、カンチャンかシャンポンか単騎である。カンチャンは望月が一筒をポンしていてワンチャンス。シャンポンは自分で2枚持っているため可能性は低い。単騎なら、前巡に切っている九筒の方が優秀そう。それなら形テンを目指すのでなくアガリを目指し二筒を切ろうと。この手牌から二筒を切ることが良いことか、そして望月のあの配牌から白を仕掛けることが良いことか今の私には分からない。だが2人は結果を出しこの舞台にいる。きっと「今の私に足りないものなんだな」と思った。

そして局は進み南1局1本場。
それほど良いとは言えない配牌だった望月だがツモが効いてテンパイ一番乗り。

望月 東家 ドラ北

二万三万四万四索五索一筒二筒二筒四筒四筒七筒八筒九筒  ツモ六索

親番という事もありどちらかを選択してリーチをするかと思っていたら、望月の選択は一筒切りのヤミテン。
2巡後、持ってきたドラの北をスッとツモ切ると、場に緊張が走る。
3者ともヤミテンを警戒しながらの手牌進行をする。
中でも目を見張ったのが藤島。

藤島 南家 ドラ北 13巡目

三万四万一索一索二索三索四索二筒四筒五筒七筒七筒九筒  ツモ発

ここから藤島は通っていない二筒発も打たず、京平の通した五筒を切る。
東2局に二筒で8,000放銃した人間とは思えない丁寧さ。これが藤島なりのバランスなのだろう。
234の三色が決まった時だけ勝負するという事だ。
これが見事にはまり、三筒八筒と続けてツモり高め三色でリーチ。
2人の手牌をもう一度整理すると

望月 東家 ドラ北

二万三万四万四索五索六索二筒二筒四筒四筒七筒八筒九筒

藤島 南家 ドラ北

三万四万一索一索二索三索四索二筒三筒四筒七筒八筒九筒  リーチ

17巡目、リーチをしている藤島が四筒をツモ切る。その瞬間観戦していた私は思わず
「ポンだ!」と言っていた。
望月は役が無いためアガれないのだがポンすることにより、藤島の最後のツモを無くし、ハイテイを無くし、かなり安全に親番をもう一度やれる。
一石三鳥である。
しかし望月は鳴かなかった。
元々ハイテイずらしなどをする選手ではないので
「やっぱり望月は鳴かないのか・・・」
と思っていたのだが試合後話を聞くと
「あの四筒は鳴いた方が良かったね。結果云々じゃなく。」
「ただあの時は郁孝(鈴木)との点差を意識していたから藤島君に放銃するのは良いと思っていたよ。」
結果は二万で藤島に7,700放銃となる。
更にこう続けた。
「普段出来ると言っているのにあそこで声が出ないのは、出来ないのと一緒だよね」と。
望月レベルでもまだ上を見ている。
私ごときが、研鑽を怠ってどうすると身の引き締まる思いだった。
兎にも角にもこれで面白くなった!!

南3局1本場
ここでポイントを一度整理すると
望月:30,300 トータル+10.6P
藤島:33,900 トータル+10.8P
京平:30,100 トータル▲22.9P
鈴木:25,700 トータル+1.5P
現状1位は藤島だが、鈴木・望月に上がられると直ぐに躱される。
とりあえず3人は超僅差ってことは伝わっただろうか。
そして4回戦ここまで大人しかった鈴木にリーチがかかる!!

鈴木 南家 ドラ六索 10巡目

四万四万四万四万五万七万七万三索四索五索六筒七筒八筒  リーチ

鈴木の捨て牌には八索のトイツ落としがあからさまに見え、望月・藤島としてはポイント状況的にも飛び込みたくはない。
・・・はずだったのだが

藤島 北家 ドラ六索

七万七万八万八万九万五索七筒九筒九筒南南白白

ここから九万をチーして五索を押す!実際、鈴木の入り目で相当危ないがおかまいなし!!
更に八筒をチーして打九筒で追いつくと、無筋の三筒を押し更にはドラの六索まで押す!
すると山に残り1枚の南をツモり700・1,300のアガリ。

最終戦 オーラス 0本場
各選手の条件は以下の通り。
望月は1,000・2,000
藤島はアガれば優勝、流局も可。
京平は役満ツモ
鈴木は親なのでアガっても続くが30,000点を超えれば藤島を捲る。

そして接戦で迎えたオーラスが始まった。
まず先手を取って動いたのは藤島

藤島 西家 ドラ八索

二万四万四索四索五索九索九索三筒四筒四筒六筒西西

ここから西をポンして2シャンテン。
役満条件で国士無双を狙っている京平の手牌に四索がある。
これが打ち出されると、藤島がポンして1シャンテンになるのだが、京平は四索を打たない。
「自分の打牌で優勝者を決めるのはやめよう。しっかり守ろう。」
京平の苦渋の、そして麻雀プロとしての決断が、藤島のテンパイを遅らせる。
4回戦通して、一番辛い状況が続いたのが京平であっただろう。しかし京平は、丁寧な打牌を繰り返し、決してくさらず戦い続けた。時に笑みがこぼれ、時に相手に噛みつきそうな、そんな京平の表情と打牌に心打たれた視聴者も多かったはず。
結果を先に言ってしまうと4位で終わってしまうのだが、負けても
「良い麻雀だった!」とファンの方に言ってもらえる内容だったと私は確信している。
さて話を対局に戻し3人の手牌を見てみると

鈴木 東家 ドラ八索 9巡目

四万四万五万六万六万八万三索三索六索七索八索四筒五筒

望月 南家 ドラ八索 10巡目

二万三万三万五万六万七万六索七索二筒二筒三筒四筒五筒  ツモ一万

藤島 西家 ドラ八索 10巡目

二万四万三索四索五索九索九索三筒四筒四筒  ポン西西西

望月が安目の一万をツモり長考。そして意を決してリーチ!!ドラの八索ツモ条件。
藤島も絶好の三万が鳴け四筒勝負!!!
やや藤島有利かと思われたが、アガったのは鈴木。
2人の現物になった七万を京平が切り、それをチーしてテンパイすると直ぐに望月が三筒を掴み、2,900の放銃。
続く1本場は、鈴木・望月の2人テンパイで流局。
そして2本場
遂に決着の時が訪れた!

望月 南家 ドラ八万 5巡目(1,000・2,000条件)

六万八万一索一索四索五索六索二筒三筒四筒六筒七筒発発

条件はリーチ+1翻。望月は一索のトイツ落としを選択。
するとラス牌の七万を引き入れリーチ。
ツモれば優勝!テンパイした鈴木から当たり牌が出るが勿論目もくれない。
その刹那
「ツモ、1,000・2,000は1,200・2,200」
静かな点数申告とは裏腹に、手元は少し震えているように見えた。
それだけ望月もこの決勝戦に期する物があったのだろう。

最終戦成績
藤島+13.2P 望月+5.7P 鈴木▲6.9P 京平▲12.0P

最終戦終了時
望月+13.0P 藤島+12.1P 鈴木+10.9P 京平▲36.0P

1位望月と2位藤島の差はなんと900点。
こうして第14期静岡プロリーグは望月の優勝で幕を閉じた。

4位の京平は、前述したように、丁寧な対応と手組を見せ、きっと結果以上に周りの評価も上がったに違いない。
3位の鈴木は、気合十分の坊主頭と新調した面白い眼鏡で会場を沸かせた。
麻雀も1回戦こそ、藤島の呪いに手も足も出なかったが2回戦以降は持ち前の攻撃力を見せ、最後の最後まで戦い抜いて見せてくれた。
そして2位の藤島。
この決勝戦で改めて、鳳凰戦上位リーガーの強さを見せてくれた。
「負けて尚強し!」
この言葉がぴったりとくる敗戦だったように思う。
最後に優勝した望月。
今までの映像対局では見せなかった幅広い戦術を見せ、
「まだまだお前らには負けん!」
そんな麻雀を見せてもらった。
私も、1支部員としてそして1麻雀プロとして彼の背中を追っていきたいと思った。

いつの日か
「お前も(本当の)麻雀プロになったな。」
と言ってもらえる日を夢見て・・・