静岡プロリーグ レポート

静岡プロリーグ レポート/第24回静岡リーグ決勝観戦記

去る2月1日(日)、第24回静岡リーグ決勝戦が行われた。
静岡リーグは予選5節・半荘20回を戦い、上位5名が決勝進出となる。
また、予選通過順に 1位40.0P 2位30.0P 3位20.0P 4位10.0P が加算される。
決勝戦は全6回戦行われ、5回戦終了時にポイント最下位の者が敗退となる。
栄えある決勝の舞台に勝ち進んできたのは、この5名。
1位通過 竹内仁さん(一般)
9回の参加で7回の決勝進出と圧倒的な成績を残している。
ここ数年の静岡リーグは彼を中心に回っていると言っても過言ではないほど。
そして、今回も優勝候補筆頭。
コメント「自分の麻雀が打てれば良い。前回の決勝では勝ちを焦った鳴きが敗因となってしまったので、落ち着いて打つことを心掛ける。」
 
2位通過 越川清一プロ(中部本部)
今期、静岡プロリーグを制した越川プロ。
史上初の併冠を目指し、決勝の舞台へ舞い戻って来た。
コメント「最後まで攻め切り、併冠出来るようにがんばります。」
 
3位通過 中澤諒さん(一般)
豊橋技術科学大学麻雀部から初の決勝進出となる。
今節は安定した麻雀でポイントを加点し決勝の切符を手に入れた。
決勝戦では、緊張を乗り越えて普段通りの麻雀を打ち切ってもらいたい。
勢いに乗ることが出来れば、初決勝の舞台で初優勝も期待できる。
コメント「今日のために稽古を積んで来ました。稽古に付き合ってくれた部員達のためにも優勝します!」
 
4位通過 太田昌樹プロ(静岡支部)
静岡支部きっての試合巧者。
4位通過は通過ポイントが首位と30ポイント差となるが、太田にとってはそれほど気になる点差ではないだろう。
コメント「丁寧に打っていきたい。いろいろなパターンを考えている。4位通過だが優勝のチャンスはある。」
 
5位通過 岡本和也プロ(静岡支部)
近年の岡本プロの成績は、第27期新人王・第10期静岡プロリーグ3位と目覚しいものがある。この勢いをそのままに初の決勝戦に名乗りを上げてきた。
岡本のスタイルを考慮すると、首位と40ポイント差も十分にひっくり返すことも可能だろう。今回の決勝戦のキーマンになりそうな存在である。
コメント「厳しい位置からのスタートですが、優勝を目指して頑張ります。1回戦は普通に打ち今日のスタイルを決めて行きます。」
(以下敬称略)
 
1回戦(起家から、中澤・太田・越川・岡本)抜け番 竹内
今回の決勝戦は高打点を狙うパワーヒッターが揃っていることから、激しい打ち合いが予想されたが、序盤は静かな立ち上がりとなった。
初アガリは中澤。東3局2本場
三万四万四万五万五万六万三索四索五索三筒五筒中中  ツモ四筒  ドラ七索
緊張気味な初出場の中澤にとっては、この1,000・2,000のアガリは点数以上に価値があったのではないだろうか。
続く東4局も中澤が太田から1,000をアガリ試合をリードしていく。
南1局、ここまでおとなしく様子を見ていた越川が動く。
三筒四筒五筒五筒六筒七筒北北発発  ポン二筒 上向き二筒 上向き二筒 上向き  ロン北  ドラ四筒
この3,900を中澤からアガる。
そして南2局、越川に本手が入る。
一筒一筒二筒二筒三筒三筒六筒七筒八筒九筒九筒東東  ロン九筒  ドラ西
これを太田からアガリ8,000の加点、頭一つ抜け出す展開となった。
南3局、ここまでアガリが無い太田と岡本の手がぶつかる。
太田
四万四万一索二索三索七索八索九索四筒五筒  ポン白白白  ドラ白
岡本
一万二万三万七万八万九万南南西西  ポン北北北
この勝負は太田に軍配が上がる。岡本が六筒を掴み7,700を献上。
南4局は30,200点の中澤が丁寧に2,000をアガリ、浮きの2着を決めた。
トップの越川は抜け番の竹内をかわして暫定首位に立った。
また、緊張気味だった中澤はこの半荘を浮きで終われたことで、次の半荘からは伸び伸びと自分の麻雀を打つことが出来るだろう。
そして、5位通過の岡本は今回のラスで優勝するにはもう後が無い苦しい状況に追い込まれた。
1回戦成績
越川+20.2P 中澤+7.2P 太田▲8.0P 岡本▲19.4P
1回戦終了時
越川+50.2P 竹内+40.0P 中澤+27.2P 太田+2.0P 岡本▲19.4P
 
2回戦(起家から、中澤・越川・竹内・岡本)抜け番 太田
東1局、越川が1,000・2,000をアガる。
東2局も親の越川が
三索三索三索五索六索東東南南南  ポン中中中  ツモ四索  ドラ発
この3,200オールをアガリ順調に加点していく。
東場は竹内に動きは無く、暫定首位の越川が一人浮きで南場に突入する。
南1局1本場、岡本がリーチを打つ。
一万二万三万四万五万七万八万九万一索一索一筒二筒三筒  リーチ  ドラ三筒
しかし、親の中澤が追い付きリーチを打つ。
五万六万六万七万七万六索六索三筒四筒五筒六筒七筒八筒  リーチ
しかし、次巡中澤が持ってきたのは岡本のアタリ牌の六だった。
リーチ・ピンフ・一通・ドラ1 の8,000は8,300のアガリ。
このアガリをきっかけに岡本の反撃が始まる。
南2局、越川に先制リーチが入るが、直ぐに岡本が追いかける。
岡本リーチ
二索三索三索四索四索五索六索六索七索七索八索八筒八筒  リーチ  ドラ八筒
軽々と高目の二索をツモり 3,000・6,000。
首位の越川に親被りをさせてトップ目に立つ。
南3局、このまま岡本の時間帯になると思われたが、親の竹内が立ちはだかる。
ここまでアガリの無い竹内だが、自分の親までしっかりと足を溜めてチャンスを伺っていた。
五万六万三索四索五索七索八索九索二筒二筒四筒五筒六筒  ツモ七万  ドラ六万
ドラ跨ぎの四万七万待ちを力強くツモり2,600オール。
しかし、二の矢は続かず南3局1本場は岡本が700・1,300をアガり竹内の親を落とす。
南4局、岡本が2,000オール、1,300は1,400オールと加点し、60,000点オーバーの一人浮きで2回戦を終了した。
2回戦成績
岡本+42.3P 越川▲1.8P 竹内▲9.4P 中澤▲31.1P
2回戦終了時
越川+48.4P 竹内+30.6P 岡本+22.9P 太田+2.0P 中澤▲3.9P 
 
3回戦(起家から、太田・竹内・岡本・越川)抜け番 中澤
東1局、越川が縦の流れに乗ってトイツ一組からホンロウ・七対子・ドラドラをアガる。
一索一索九筒九筒東東南南西北北中中  ツモ西  ドラ東
この3,000・6,000で独走態勢に入るかと思われたが、これに待ったを掛けたのは竹内。
南2局、親番の竹内がリーチ・ドラ2の7,700をアガる。
四万四万四万三索四索五索一筒三筒六筒六筒六筒西西  ロン二筒  ドラ西
南2局1本場、竹内4,000は4,100オールのアガリ。
四万四万四万四万五万九索九索九索二筒二筒七筒八筒九筒  リーチ  ツモ六万  ドラ二筒
南場に入りこの2局のアガリを含め、4局連続のアガリで越川を捕らえる。
南4局、親の越川がリーチを打つ。
四万五万六万四索五索六索六索七索八索二筒二筒四筒五筒  ドラ三索
しかし、竹内がヤミテンで2,000をアガリ3回戦が終了。
竹内が越川をかわしてトータルトップとなった。
3回戦成績
竹内+35.2P 越川+14.2P 岡本▲21.2P 太田▲28.2P
3回戦終了時
竹内+65.8P 越川+62.6P 岡本+1.7P 中澤▲3.9P 太田▲26.2P  
3回戦が終了して、竹内と越川の2名が抜け出す展開となった。
また、現在トータルポイント最下位の太田と5回戦抜け番の岡本はかなり厳しい状況となってきた。
 
4回戦(起家から、岡本・太田・竹内・中澤)抜け番 越川
東1局2本場、これまで苦しい展開だった太田にようやく本手が入る。
二万三万四万四万五万六万七万二索三索四索二筒三筒四筒  ドラ一万
この7巡目リーチに対し親の岡本が追いかけリーチを打つ。
一万二万一索二索三索四索五索六索七索七索七筒八筒九筒
しかし、数巡後太田の高目四万を掴み8,000は8,600の放銃となった。
南1局、親の岡本が12巡目にリーチを打つ。
五万五万二索四索六索七索八索四筒五筒六筒  暗カン牌の背三万 上向き三万 上向き牌の背  リーチ  ロン三索  ドラ五筒
この9,600を意地でアガる。
しかし、次局はテンパイすることが出来ず最後の親が流れてしまう。
南3局、中澤リーチ。
六万七万八万一索一索三索四索五索六索七索八索六筒七筒  ロン八筒  ドラ七索
このリーチに飛び込んだのは太田。この8,000の放銃で太田は原点を割ってしまう。
南4局、親の中澤が700オールをツモアガリ、トップ目となった。
南4局1本場、岡本7巡目の先制リーチ。
一万六万六万七万七万一筒一筒三筒三筒四筒四筒中中  ドラ九索
岡本の点数は24,000点。これをツモアガることが出来れば原点を超える。
しかし、太田が追い付きリーチを打つ。
四万四万二索二索三索三索四索四索七索八索九索六筒七筒  リーチ
岡本が五筒を掴み8,000の放銃。
岡本は痛恨の1人沈みとなり4回戦が終了。
4回戦成績
中澤+13.3P 竹内+8.2P 太田+5.5P 岡本▲27.0P
4回戦終了時
竹内+74.0P 越川+62.6P 中澤+9.4P 太田▲20.7P 岡本▲25.3P  
 
5回戦(起家から、越川・太田・中澤・竹内)抜け番 岡本
この5回戦が終了した時点でポイント最下位の者が敗退となる。
現在のポイントだと、今回抜け番の岡本が敗退となる。
太田も岡本との差は4.6Pと厳しい状況となっている。
東1局、先手を取ったのは竹内。7巡目リーチ。
六万六万一筒一筒二筒二筒五筒五筒九筒南南発発  リーチ  ツモ九筒  ドラ九索
これを10巡目にあっさりとツモる。
当面の敵越川を親被りさせる見事なアガリ。
東2局、越川がドラ暗刻でテンパイするが、テンパイ一番乗りしていた中澤のアタリ牌を掴み2,600の放銃となってしまう。
越川はトータル首位の竹内が現状トップだということを考慮すると、これ以上の失点は防ぎたいところだが、ノーテン罰符などで東場終了時には18,700点まで点数を削られてしまう。
南1局、親の越川は積極的に1枚目の役牌から仕掛けて行くが、アガリに結びつけることは出来ずテンパイで流局。
南1局1本場、竹内が仕掛けを駆使して、ライバル越川の親落としに成功する。
五万六万三索四索五索五索五索  ポン中中中  加カン一万 上向き一万 上向き一万 上向き一万 上向き  ロン七万
南3局、越川リーチ
四索五索六索六索七索八索二筒二筒四筒五筒五筒六筒七筒  リーチ  ツモ三筒  ドラ四索
越川が意地の2,000・4,000をアガるが反撃もここまで。竹内のトップで5回戦が終了。
5回戦成績
竹内+12.8P 中澤+8.2P 太田▲5.9P 越川▲15.1P
5回戦終了時
竹内+86.8P 越川+47.5P 中澤+17.6P 岡本▲25.3P 太田▲26.6P
ここでトータルポイント最下位の太田が敗退となった。
 
最終戦(起家から、越川・中澤・岡本・竹内)
席順は起家からトータルポイント2・3・4・1の順で座る。
1位の竹内と2位の越川の差は39.3P。仮に越川が1人浮きのトップで竹内をラスにすることができても、素点で19.4Pの差を付けなければならない。
中澤・岡本が優勝するには親での大連チャンが必須となってくる。各選手のポイント確認が行われ最終戦が開始された。
東1局、越川2巡目
六万七万一索一索三索四索五索五索六索一筒二筒八筒南  ツモ三筒
親の越川が2巡目に絶好の三筒を引き入れ1シャンテンとするが、この後有効牌を一向にツモることが出来ずに流局。東場の親が流れてしまう。
そして、東場は竹内が巧みに場を進ませ南場に突入する。
東場終了時
越川 29,500 中澤 24,300 岡本 33,000 竹内 33,200
南1局、越川はこの親が落ちてしまうと非常に苦しくなる。
しかし、中澤が500・1,000をアガリ越川の最後の親が落ちる。
南2局、中澤・岡本・越川にテンパイが入るが流局。
南2局1本場・南2局2本場は中澤の1人テンパイで流局。
南2局3本場、越川が勝負に出る。
打点を求め打七索のフリテンリーチを打つ。
五万六万七万一索二索三索五索六索七索八索九索発発  リーチ  ドラ西
しかし、親の中澤も追い付きリーチを打つ。
三万三万三万四万五万六万七筒七筒七筒七筒九筒西西  リーチ  ツモ八筒
中澤はこれをすぐにツモリ4,000は4,300オール。
このアガリで中澤が現状トータルポイント2位となった。
そして、更に中澤の連荘が続く。
南2局4本場、竹内が中澤の親を落とそうと仕掛けて行く。
しかし、この仕掛けを見て中澤も仕掛けを入れてスピードを合わせに行く。
五索五索六筒六筒七筒七筒八筒  チー四索 左向き二索 上向き三索 上向き  暗カン牌の背中中牌の背  ツモ五筒  ドラ三万
この勝負は中澤のアガリで決着がつく。
南2局5本場、越川が先制リーチを入れる。
三万三万七万八万九万二索三索四索八索九索七筒八筒九筒  リーチ  ドラ六索
中澤はこのリーチを受け丁寧に回していき、最後のツモでテンパイを入れ親を維持する。
南2局6本場、竹内が勝負所と判断し、リーチ・ドラ1の手で先制リーチを打つ。
三万四万八万八万八万九万九万二索三索四索七筒八筒九筒  リーチ  ドラ七筒
しかし、越川が追い付きリーチ。
四万四万五万五万六万七万七万五索六索七索二筒三筒四筒  リーチ
越川はトータルトップの竹内から高目を召し取りたいところだ。
そして、もちろん中澤も勝負に出る。
この時の中澤の手牌
一万二万二万三万三万三万四筒五筒五筒六筒七筒八筒八筒
この1シャンテン。ここへ一万をツモリ打三万。越川へ3,900は5,700の放銃となった。
竹内からすれば、自分がアガれ無くても中澤の親が落ちたことで目的達成といったところか。
南3局は竹内の1人テンパイで流局。残すは南4局のみとなった。
ここまでの得点状況は下記となる。
越川 28,000・中澤 46,200・岡本 23,300・竹内 22,500
現在の得点をトータルポイントに加算すると下記となる。
1位 竹内 +71.3P 2位 中澤 +45.8P 3位 越川 +44.5P 4位 岡本 ▲35.0P
中澤が優勝するには、3倍満ツモか倍満直撃。
越川が優勝するには、倍満ツモか跳満直撃。
岡本が優勝するには、ダブル役満ツモが必要となる。
経験豊富な竹内から甘い牌が出てくることは考えづらいため、優勝するためには条件を満たすツモアガリが現実的となる。
しかし、条件が一番軽い越川でさえ倍満ツモという厳しい条件となっている。
競技麻雀(Aルール)を経験されている方は分かるだろうが、一発・裏ドラ・赤牌の無いこのルールで倍満をアガるのは簡単なことでは無い。
2着狙いのアガリも十分に考えられるところだ。
各選手がポイントを確認した後オーラスが再開された。
越川の配牌を見ると、純チャン・三色が見える。
一万八万一索二索三索八索九索一筒三筒六筒南発中  ドラ七索
これにリーチ・ツモ・ドラ1を加えれば倍満になる。
越川は純チャン・三色に向かい手を進めて行く。
ノーテンを宣言できる竹内は安牌を抱えアガリに向かわない様子。
中澤と岡本は配牌から条件を満たす手役は見えず、今後のツモと相談しながら手を組んで行くこととなった。
そして、順調にツモが伸びた越川から優勝の条件を満たすリーチが入る。
一万三万七万八万九万一索二索三索九索九索一筒二筒三筒  ドラ七索
しかし、アガリにまでは至らず試合終了。
第24回静岡リーグは、竹内の優勝で幕を閉じた。
試合が終わると会場から自然と拍手が沸き起こった。
この拍手は優勝した竹内を賞賛するだけでは無く、素晴らしい決勝戦を見せてくれた選手たちを称えるものだったに違いない。
最終成績
1位 竹内+71.3P 2位 中澤+49.7P 3位 越川+40.6P 4位 岡本▲35.0P
竹内さん優勝おめでとうございました。
また、素晴らしい決勝戦を見せてくれた対局者の皆様、本当にありがとうございました。

100

左から 岡本プロ・越川プロ・竹内さん・中澤さん・太田プロ