静岡プロリーグ レポート

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第20回静岡リーグ 決勝戦観戦記

2013/03/12
執筆:鈴木秀幸


決勝進出率8割。
50名程度で行うリーグ戦において、8割の決勝進出率は尋常ではない。
静岡支部設立直後には、望月支部長が4回連続、日吉プロが3回連続決勝進出の記録があるが、当時は今と比べれば参加人数は遥に少なかった。

静岡リーグも20回目の開催を迎えることとなり、改めて一般参加の方々の支えあってのものだと身が引き締まる。そんな記念すべき20回目の静岡リーグ決勝進出者は以下の通り。

予選第1位
竹内仁さん 全5回出場 4回目の決勝進出 最高成績:3位
サンプル数は少ないものの8割の決勝進出率。
繊細な手組からの高打点を生み出すパワーは観る者も引きつける。
一般参加でありながら経験も豊富。今回の優勝候補であろう。

予選第2位
関根秀介さん 初出場 初の決勝進出
初出場にしていきなりの決勝進出はお見事。
我慢が効き、点数を持ったら崩すのは難しい。
打点力は劣るが、丁寧な手組から最速のアガリも目指す。

予選第3位
鮎川卓プロ 全7回出場 初の決勝進出
実績では断然格上。静岡プロリーグでは堂々の連覇を果たした。
メンタルは非常に強く、誤解を恐れずに記せば≪図太い≫麻雀である。
放銃を重ねても、いつのまにか戦線に復帰する。
もちろん理にかなった打牌からの攻撃力は学ぶべきところが多い。

予選第4位
鷲見隼人プロ 全10回出場 3回目の決勝進出 最高成績:優勝
鳳凰位戦では連続昇級、静岡プロリーグは第2位。今年度、結果を残した1人ではなかろうか。
他家の打牌に敏感に反応できる受け重視の麻雀。非常に繊細な麻雀を打つ。

予選第5位
京平遥プロ 全10回出場 初の決勝進出
リーグ最終節では古橋プロとの直接対決を制し初の決勝進出。
支部長が【跳満の申し子】なら彼女は【倍満プリンセス】か。
先行した時の彼女の攻撃麻雀は見事である。その反面、受けに回った時に課題が残る。
いずれにしろ今回の決勝のキーパーソンになるであろう。

静岡リーグ決勝戦は予選通過順に、
1位通過+40.0P 2位通過+30.0P 3位通過+20.0P 4位通過+10.0P 5位通過+0.0P
この通過ポイントが加算される。このポイント差こそが、静岡リーグ決勝戦の特徴である。

(以下敬称略)

 

1回戦(起家から 鮎川・京平・鷲見・関根)抜け番:竹内

誰がスタートダッシュを決めるのか。
東1局

六万七万五筒五筒六筒七筒八筒二索三索四索六索七索八索  リーチ  ドラ東

南家・京平は得意の三色リーチ。
これを高目で引きアガれば、点数的にはもちろん気分的にも大きなアドバンテージになる。結果は流局。

東2局1本場、

一万一万二万二万五万五万九万九万四索四索八索中中  ロン八索  ドラ九万

初アガリは鷲見。関根から打ち取り6,400は6,700。
次局、鮎川が500・1,000のツモアガリ。

開局から点棒を出し続けている関根の親番。
東4局

配牌
五万八万九万一筒五筒七筒九筒一索三索四索四索五索九索北  ドラ七筒

この苦しい手牌を七対子に仕上げ4,000オール。

八万八万九万九万七筒七筒九筒九筒三索四索四索五索五索  ツモ三索

このアガリでトップ目に立った関根は、南場に入り5,200、2,000、5,800と加点し終わってみれば、45,600のトップ。
予選1位の竹内が抜け番の今回、予選2位の関根がトップ。追う立場の3人には苦しいスタートとなった。

1回戦成績
関根+23.6P  鷲見+6.8P  鮎川▲11.4P  京平▲20.0P

1回戦終了時
関根+53.6P  竹内+40.0P  鷲見+16.8P  鮎川+8.6P  京平▲20.0P

 

2回戦(起家から 竹内・関根・京平・鮎川)抜け番:鷲見

8割男、竹内の登場。私も竹内の背後に位置取りメモを走らせる。
東3局2本場、

五万六万七万一筒二筒二筒三筒三筒七筒八筒九筒東東  リーチ  ドラ東

鮎川がドラを重ね10巡目リーチ。4巡後に2,000・3,900。
ここまで目立った動きのなかった鮎川。
私は【このアガリの次局が鮎川にとって分岐になる】とメモに記した。

良い状態の時は誰でもアガれる。その状態を如何に作るか。鮎川はこの時の、二の矢、三の矢が非常に優れている。決して派手な形ではない。それでもアガリに結び付けてくる。これが鮎川の≪図太さ≫。

東4局、親番を迎えた鮎川が、5巡目にツモ二万で以下のテンパイ。

二万二万三万三万四万四万六万二筒三筒四筒一索二索六索六索  ドラ四索

ここからテンパイ取らずの打一索
鮎川はこのテンパイ取らずをしないタイプだと認識していただけに、私は少々驚いた。

9巡目、鮎川のツモは四万。ここで鮎川の判断はリーチ。

二万二万三万三万四万四万四万六万二筒三筒四筒六索六索  リーチ

確かに巡目、打点とも申し分ない。しかし気になるのは残されたカンチャン待ちと、直前に処理された竹内の五万。私はメモに【微妙・・・】と記す。この鮎川にぶつけたのが京平。同巡に四筒を引き入れて、

六万六万七万八万九万四筒五筒五筒六筒六筒四索四索四索  リーチ

結果は、鮎川が16巡目に七筒を掴み8,000の放銃となった。
鮎川も対局後、この局について悔いていた。
この後、全体を通して丁寧に戦うも、態勢が上がってくることはなかった。
鮎川にとって分岐となった1局。河の14巡目には三索が置かれていた。

南4局1本場、

二万三万四万六万七万八万六筒七筒六索七索八索八索八索  ロン八筒  ドラ六索

ここまでまったく参加出来なかった竹内の一撃。
鮎川のツモ切りの八筒を捕まえ8,000。鮎川は序盤から以下の手牌。

一万二万三万二筒三筒七筒七筒二索三索三索四索五索六索

6,000オールまである1シャンテンから9巡ツモ切りでの放銃。
鮎川にしては淡泊に映る放銃だった。

2回戦成績
京平+13.5P  竹内+6.4P  鮎川▲5.5P  関根▲14.4P

2回戦終了時
竹内+46.4P  関根+39.2P  鷲見+16.8P  鮎川+3.1P  京平▲6.5P

 

3回戦(起家から 京平・鮎川・竹内・鷲見)抜け番:関根

重い場が続く。7局目にあたる東3局。ここからいきなりの乱打戦となる。
鷲見は5巡目にテンパイ。一手替わりチャンタ、イーペーコーもありここはヤミテン。
東3局

六万七万七万八万八万九万一筒一筒一筒二索三索白白  ドラ南

8巡目、京平がツモ三筒四筒のリーチ。

二万二万三万三万四万六万六万六万三筒三筒五索六索七索  リーチ

このリーチに一発で鷲見が四万を放銃。このような放銃はあまり記憶にない。
【らしくない放銃、鷲見危うし】とメモ。

この後、京平は実に5回ものアガリを積み重ねる。
完全に京平の半荘かと思いきや、竹内が2回の満貫ツモアガリ、鮎川も2度の1人テンパイで粘り、鷲見の1人沈みとなる。

3回戦成績
京平+19.2P  竹内+5.6P  鮎川+1.1P  鷲見▲26.9P

3回戦終了時
竹内+52.0P  関根+39.2P  京平12.7P  鮎川+4.2P  鷲見▲10.1P

 

4回戦(起家から 鷲見・京平・関根・竹内)抜け番:鮎川

現在トータルポイント最下位の鷲見はトップが欲しい半荘。
東場を小さいアガリながら着実に加点し、43,700点まで持ち点を伸ばす。
南場の親は流れるも次局には以下の好配牌。
南2局

配牌
一万二万三万五万六万七万九万一筒西北北発発  ドラ北

3巡目、発をポン、4巡目に八万を引き高目12,000のテンパイ。

一万二万三万五万六万七万八万九万北北  ポン発発発

6巡目、関根の七万を捕え8,000。持ち点を50,000点オーバーとし望みをつなぐ。
このまま鷲見の独走で終わるかと思われたこの半荘。京平が粘る。
南3局1本場

配牌
四万五万六万六万七万七万六索西白発発中中  ドラ六万

8巡目にテンパイ。

一万一万四万四万五万六万六万七万七万発発中中

待ち牌の五万はドラ表示牌と河に1枚。9巡目一筒をツモリ待ち変え。
序盤に二筒が3枚3者から切られている。13巡目に2,000・4,000。大きな原点回帰。
これにより5回戦終了後の敗退は関根・鮎川・鷲見の3人のいずれかという混戦へ。

4回戦成績
鷲見+25.1P  京平+10.3P  竹内▲12.4P  関根▲24.0P

4回戦終了時
竹内+39.6P  京平+23.0P  関根+15.2P  鷲見+15.0P  鮎川+4.2P

 

5回戦(起家から 関根・竹内・鮎川・鷲見)抜け番:京平

小場の展開で迎えた南1局。鮎川5巡目に、仮テンのタンヤオテンパイ。10巡目に六筒を引きリーチ。
南1局

四万五万六万六万七万八万二筒三筒四筒六筒八筒八筒八筒  リーチ  ドラ八万

その折、鷲見は8巡目に1シャンテン。

二万三万四万四万四筒五筒六筒三索三索五索五索六索七索

11巡目七筒を引かされ打五索と勝負。12巡目ツモ三万、打七筒とし5,200放銃となった。
開かれた牌姿を見つめる鷲見の表情は(やっちまった・・)。対局後鷲見は、

「直前まで四筒を切ろうと思っていたんですが、三万ツモった瞬間七筒つまんでいました・・」

残りは最終6回戦。鷲見は規定により敗退となった。

この半荘トップは関根。苦しい展開ながら後手を踏んだ時にはしっかりと対応。
竹内へ挑戦状を叩きつける。

5回戦成績
関根+17.6P  鮎川+11.6P  竹内+7.3P  鷲見▲36.5P

5回戦終了時
竹内+46.9P  関根+32.8P  京平+23.0P  鮎川+15.8P  鷲見▲21.5P

 

6回戦(起家から 関根・京平・鮎川・竹内)

東2局2本場

七万八万九万八筒九筒二索三索四索七索八索九索発発  ドラ七筒

親番の京平は10巡目にテンパイ。これを引きアガることができれば、初優勝が見えてくる。
しかし、鮎川が京平を捕え5,200。

三索四索八索八索八索東東東中中  チー六索五索七索  ロン二索

親番を迎えた鮎川。5巡目1シャンテンもこの日はここからが長い。見ているこちらが辛くなる。
やはり14巡目までツモ切りが続き河に放った五索に【ロン!】の声。
南家・竹内が開いた手牌はツモリ四暗刻。
東3局1本場

四万四万四万五万五万五万八万八万八万四筒四筒五索五索  ドラ一索

まだ東場ではあるが、同卓者には強烈なインパクトを与える。
このまま竹内優勝の空気が漂い始めるも、最後の波乱・・・・
やはりこの日のキーパーソンは京平だった。

南3局を迎え、親番の落ちた京平、関根はかなり苦しい条件となった。
親番の鮎川が10巡目リーチ。竹内はリーチの瞬間に現物を抜いた。隙がない。
1度のツモアガリは仕方なしの構えか。そして、このリーチに対し一発目から無筋を放つ京平。
私は即座に得点が記されている掲示板に目をむけた。

【役満しかないだろう・・・】
ツモアガリなら一撃で逆転・・・

14巡目、安牌に詰まった関根が手にかけたのはそれだった。
南3局

一万九万一筒九筒一索一索九索東南西白発中  ロン北  ドラ五筒

このアガリにより、一転して緊迫のオーラスを迎えることとなる。
京平の条件は、5200出アガリ、1000・2000ツモアガリ、2600直撃。
南4局

一万三万七筒九筒九筒三索三索六索七索九索東白発  ドラ一万

京平はこの配牌をどのように仕上げるのか。直撃、出アガリの期待は出来ない以上、ツモアガリが現実的である。考えられるのは、リーチツモドラ一索、またはリーチツモ役牌あたりか。
2巡目、京平が選んだ白が無情にも3連続で河に並んだ・・・・

最後に気まぐれな麻雀の女神は、最強のアマチュアを選んだ。

6回戦成績
京平+30.7P  竹内+11.5P  鮎川+3.8P  関根▲46.0P

6回戦終了時
竹内+58.4P  京平+53.7P  鮎川+19.6P  関根▲13.2P  鷲見▲21.5P

 

アマチュアでありながら、下馬評で断然の支持受けた竹内さんが初優勝。
竹内さんおめでとうございます。

対局者の皆様今回も素晴らしい対局ありがとうございました。