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新人王 レポート

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第28期新人王戦 予選レポート 岡本 和也

2014/09/12
執筆:岡本 和也


2014年8月、今年も新人王戦の季節がやってきた。

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新人王戦の初日である8月30日、暦の上では8月であるが、夏の茹だるような暑さは薄れ、外気は秋の入りを感じさせるものであった。

前年度までは1dayで実施されていた新人王戦であったが、今期から初日に予選7回戦を実施し、翌日に決勝4回戦を実施することとなった。

また、前年度と大きく違う点は、決勝2回戦であったのが決勝4回戦に増えた点と、決勝戦は連盟チャンネルにて動画生配信される点である。参加選手は、「是が非でも決勝に残り、自分の対局をオンエアで流し、優勝したい。」そう思わずにはいられないだろう。

このように新人王戦の若干のシステム変更があったものの、今期の新人王戦の参加者は前年度6名減の122名での争いとなった。
参加者は東京本部61名、東北本部13名、中部本部10名、関西本部10名、九州本部14名、静岡支部4名、北陸支部1名、北関東支部5名、広島支部4名、この日のために全国各地から多くの連盟員が集結した。
参加人数も多いため、予選は2会場を使用して実施されることとなった。

改めて、今期の新人王戦のシステムについて紹介したい。

●参加資格は入会3年目までの連盟員のみである。
●ルールは一発裏ドラのない連盟Aルール(いわゆる競技ルール)である。
●初日に予選7回戦を行い、翌日に決勝4回戦を行う。
●予選は4回戦終了時の上位48名が5回戦に進出、5回戦終了時の上位32名が6回戦に進出、6回戦終了時の上位20名が7回戦に進出、7回戦終了時の上位4名が決勝戦に進出となる(ポイント持ち越し)。
●決勝戦は予選でのポイントはリセットされ、4回戦の合計ポイントがトップの者が優勝となる。

【予選】
対局開始である12時を向かえ、大会委員長である伊藤優孝副会長の挨拶、競技委員長の藤原隆弘プロからの説明・合図により、予選1回戦が開始となった。

まずは全卓を回り、参加選手の様子を見る。

前年度の新人王戦の決勝で共に戦った清水哲也プロ、三浦智博プロ。
清水プロ、三浦プロともに今期が最後のチャンスだけに頑張ってもらいたい。

第25期チャンピオンズリーグ優勝の森岡貞臣プロ、特別昇級リーグで準優勝し、C1リーグへとジャンプアップした本田朋広プロ、第31期D2リーグ前期で、1節で脅威の+170ポイントを叩き出し、D1リーグへ昇級となったケネス・徳田プロ。

また、同じ静岡支部である鷲見隼人プロ、坪井哲也プロ、平野敬悟プロ、土屋幸弘プロ。
日頃、頻繁に接するだけあって、観戦記者をやりながらも彼らの活躍に期待したい。

続いて、コナミ「麻雀格闘倶楽部」で活躍中の女流プロを紹介したい。

小笠原奈央プロ
石田亜沙己プロ
井上絵美子プロ
鈴木彩夏プロ
月江いくこプロ
手塚紗掬プロ
東城りおプロ

小笠原奈央プロ、手塚紗掬プロは28期生であるため、今年が最後の新人王戦。今期の新人王戦にかける意気込みも一入であろう。

また、今年度の最強戦ガール東日本の菅原千瑛プロ。

菅原千瑛プロ

予選4回戦の開始直前、運営より5回戦への進出ボーダーが発表される。目安は10ポイント程度。
決勝に残るためには約100ポイントが目安とされているが、まずは5回戦に進まなければ決勝への道もそこで閉ざされてしまう。ポイントが足りない選手は予選を勝ち上がっていくためにはどうしても踏込みを深くせざるを得ないが、5回戦への進出ボーダーにポイントが足りている選手も手を緩めることができないのが新人王戦の予選である。

5回戦に進出できるのは122名のうち上位48名のみ。4回戦が終了した段階で、清水哲也プロ、三浦智博プロ、森岡貞臣プロ、ケネス徳田プロ、坪井哲也プロ、平野敬悟プロ、土屋幸弘プロ、小笠原奈央プロ、石田亜沙己プロ、井上絵美子プロ、鈴木彩夏プロ、東城りおプロ、菅原千瑛プロがここで敗退となった。

森岡貞臣プロ 『今日は完敗です。負けました。』
三浦智博プロ 『出来ることはやれたと思いますが、悔しいです。』
小笠原奈央プロ 『一生獲れない新人王というタイトルなので、本当に悔しいです。』
井上絵美子プロ 『高い手の材料が来たのにアガリに結び付かず、厳しかったです。』
菅原千瑛プロ 『高い手が決まらず、終始苦しい戦いでした。』

【予選5回戦】
122名の参加者から48名が5回戦へと進出となったが、通過ボーダーは+14.7Pと例年に比べ若干高くなっていた。さらに、5回戦終了時のポイント上位32名が6回戦に進出となるため、ぎりぎりで5回戦に進出できた選手にとってはここからは1つも落とせない非常に厳しい戦いとなる。

4回戦終了時の1位は九州本部の北島勇輝プロの+81.7P。次いで、東京本部の柴田吉和プロ、金子正明プロの78.1P。回を重ねるにつれて、上位陣のポイントも増えていくのが新人王戦であるが、5回戦終了時の上位は以下のとおりとなった。

1位:九州本部 金子正明プロ +94.0P
2位:東京本部 五反地清一郎プロ +88.2P
3位:東京本部 柴田吉一プロ +87.0P
4位:北関東支部 小谷美和子プロ +86.7P
5位:東京本部 大野彩乃プロ +80.0P

5回戦が終了した段階で、注目選手である本田朋広プロ、月江いくこプロが敗退となった。

【予選6回戦】
6回戦進出のボーダーは+28.1Pと、少しずつであるが選手にかかる重圧は大きくなってくる。
決勝戦に進めるのはポイント上位4名のため、6回戦付近から決勝を意識して選手は皆ポイントを叩こうと必死になるが、前のめりになり過ぎるとその分、大きな失点を招く可能性も高くなる。逸る気持ちを抑え、平常心で場況を判断し、打牌選択をしていくことがより重要となっていく。

開始から25分が経過した頃、現状5位の大野彩乃プロが東4局の親番5巡目に以下の牌姿。

三万四万五万四索五索六索一筒二筒三筒六筒七筒八筒八筒  ドラ西

ピンフのみのテンパイをしている所、7巡目にドラの西をツモり、ドラ単騎でリーチ。

三万四万五万四索五索六索一筒二筒三筒六筒七筒八筒西

そこに新井駿一プロが、テンパイ打牌でドラの西を勝負。大野プロにとっては大きなアドバンテージとなる7,700点のアガリ。

また、別卓では現状4位の小谷美和子プロが南1局で29,400点持ちの2着目。同卓の福島佑一プロが42,200点持ちのトップ目・親番で9巡目にツモり四暗刻のリーチ!

四万四万四万四索四索三筒三筒三筒発発中中中  リーチ  ドラ五索

ドラ表示牌に四索が1枚あるため、アガリ牌は3枚となるが、ツモりアガることができれば16,000オールのアガリとなるため、早くも福島プロの決勝進出が濃厚となる。福島プロの模打に力が込められるが、三索,五索,七索,二索とツモるが一番欲しい四索だけがツモれない。最終的に、小谷プロも発トイツの七対子をテンパイしており、福島プロ、小谷プロの2人テンパイで流局となった。

6回戦が終わり、7回戦への通過ボーダーは+53.0P。5回戦まで順調にポイントを重ねていた手塚紗掬プロもここで敗退となってしまった。また、最後の静岡支部員である鷲見隼人プロもここで涙を飲む結果となった。

32名いた選手からさらに上位20名に絞られて7回戦が行われることとなった。

【予選7回戦(最終戦)】 ※敬称略
予選最終戦である7回戦は5卓20名で行われ、7回戦終了時の上位4名が決勝進出となる。
最終戦の順位、ポイント、卓組みは以下のとおりとなった。

[1卓] 五反地清一郎(①+104.8P)×土田小緒里(⑩+68.4P)×白銀紗希(⑪+67.3P)×金子正明(⑳+51.1P)
[2卓] 船木伸一(②+103.4P)×柴田吉和(⑨+72.5P)×新井駿一(⑫+66.6P)×山神達也(⑲+53.0P)
[3卓] 大野彩乃(③+89.4P)×上村政雄(⑧+72.9P)×福島佑一(⑬+65.7P)×青山秀佑(⑱+58.0P)
[4卓] 石田智成(④+88.7P)×宮崎皓之介(⑦+76.3P)×進栄二(⑭+65.2P)×樋口徹(⑰+60.6P)
[5卓] 小谷美和子(⑤+80.7P)×北島勇輝(⑥+76.6P)×佐々木啓文(⑮+63.8P)×高谷圭一(⑯+61.4P)

対局開始前、選手たちは同卓者にポイントを開示することで条件を確認するが、卓内トップであれば決勝戦に進めるわけではなく、大きなトップを取れば下の位置からでも十分な巻き返しが出来ることが分かる。

決勝に進めるのは僅か4名。泣いても笑っても最後の戦いが始まった。

開始早々、1卓では東1局に親番の金子が土田からホンイツ白ドラ1の11,600点のアガリ。

一索二索三索四索五索六索七索九索白白  ポン南南南  ドラ四索

続く東2局は土田がツモり四暗刻の1シャンテンとなるも、8巡目に金子からリーチ!
ここは五反地が冷静にタンヤオピンフツモの1,300オールのアガリで素点を稼ぎながら親番を維持。

四索五索六索六索七索八索二筒二筒三筒四筒四筒五筒六筒  ツモ五筒

5卓では、北島からリーチがかかるも、親番である小谷が、

六万七万二索二索  ポン白白白  チー七筒 左向き六筒 上向き八筒 上向き  チー六索 左向き四索 上向き五索 上向き  ドラ二索

この5,800は6,400を佐々木からアガリ、決勝進出への足掛かりとする。

~25分経過~
2卓では局が進むのが早く、既に南3局、柴田の親番となっていた。
船木27,500点、柴田28,000点、新井38,500点、山神26,000点。
最後の親番で柴田が以下の牌姿からタンヤオへ移行しての1,500点をアガリ、親番を死守。

四万四万五万五万六万二索二索三索五索五索五筒九筒九筒

~30分経過~
3卓では、南2局で親番の大野が41,200点、上村38,300点という状況。
上村が決勝進出するには大野を捲ってトップに立つか、大きな素点を叩いての2着が必要であるが、ここで大野が

五万五万六万六万七万七万九万九万五索五索四筒五筒五筒  ドラ五筒

この七対子ドラ2の9,600点は9,900点を福島からアガリ、5万点オーバーとなり決勝進出に王手をかける。

~40分経過~
1卓は南3局で五反地が39,800点の2着目。親番も無いため、あとは無理さえしなければ決勝はほぼ間違いない状況である。
2卓は南3局で柴田が親番で連荘を続け、持ち点は46,800点の1人浮きトップ状態となっていた。
大外からの決勝進出も十分にあり得る。
3卓は南3局で大野が53,800点。このまま行けば、決勝進出はほぼ間違いない。
4卓は南4局で親番の進が43,900点持ちで、渾身のダブルリーチをかける。

二万二万六万六万九万二筒二筒三筒三筒東東西西  ドラ八索

これをツモりアガれれば決勝進出も十分にあり得る状態であったが、無情にも流局となった。
ダブルリーチの宣言牌は五索 左向きであったが、五索単騎にしていれば5巡目にツモりアガっていた。きっと同じ場所に座っていたら、私も九万単騎待ちを選択していたであろうが、進の心境は複雑なものであっただろう・・・。

5卓は南3局で持ち点21,900点の小谷の親番。連荘さえすれば決勝が見える位置にいる小谷であるが、そうはさせないと北島からリーチが放たれる。
しかし、ここは歯を食いしばって攻め抜いた佐々木の勝利。

二万三万四万五万六万七万北北発発  ポン白白白(さらに白を加槓)

北島のリーチを掻い潜り、力強く北をツモり、ホンイツ白の1,600、3,200のアガリで持ち点は5万点オーバーに。

~残り5分~
残すは1卓のみで、オーラス親番の土田が2本場まで積んでいた。

金子40,400点、土田35,100点、五反地31,500点

南家の金子はツモがあと1回という所で、ハイテイツモを狙った渾身のリーチを打つ。

一万二万二万三万三万四万四万五万六万六索六索三筒四筒  ドラ三万

だが、ハイテイ牌は無情にも西で、全卓7回戦が終了することとなった。

~7回戦終了~
2卓の柴田が49,500点、5卓の佐々木が50,200点という大トップを取ることで大外からの決勝進出となった。また、7回戦開始時の首位であった五反地は、最終戦を30,500点持ちのプラスで終えることが出来たため、決勝進出のチケットを守った。7回戦開始時、3位であった大野は更にポイントを上乗せし、五反地を抜いて首位での予選通過となった。

7回戦が終わり、最終的に以下の結果となった。
1位通過: 大野彩乃 +126.6P
2位通過: 五反地清一郎 +106.3P
3位通過: 柴田吉和 +100.0P
4位通過: 佐々木啓文 +96.3P
5位: 石田智成 +92.8P

5位の石田は7回戦開始時は+88.7Pの4位にいて、最終戦も浮きの2着で終えることができたが、柴田、佐々木の猛烈な追い上げに抜かれる結果となってしまった。

長かった予選も終わり、122名の参加者から決勝進出は、大野彩乃、五反地清一郎、柴田吉和、佐々木啓文の4名で決まった。

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決勝は翌日の8月31日に行われ、予選のポイントはリセットされ、4回戦の戦いを残すだけとなった。
最終戦で大捲りを見せた柴田、佐々木が新人王を獲るのか。または大野が女流で3人目となる新人王を獲るのか。まだ若いながらも、予選では終始安定した戦いを見せていた五反地が獲るのか。

決勝4回戦については、後日掲載される決勝観戦記にてレポートさせて頂きたい。