特別昇級リーグ 決勝観戦記

一覧

第14期特別昇級リーグ 決勝レポート

2013/08/02
執筆:山口 大和


第14期を迎えた特別昇級リーグ。 決勝が7月20日、有楽町は「錦江荘」にて行われた。

同日、プロクイーンの一次予選も行われていたため、会場に着くと既にピリピリとした空気と緊張感で包まれていた。

決勝に残ったのは以下の5名(ポイントは7節終了時)

堀内正人+122.0P
客野直 +111.3P
中村慎吾+83.6P
北野由実+65.2P
鷲見隼人+59.1P

今期より、プロリーグ最終節の前に決勝が行われる事となり、どの選手にも特別昇級の権利が残されているため更に激しい闘いが予想される。 また、4位と5位のポイント差があまりないため、決勝は5人打ちとなった。

第13期特別昇級リーグを優勝しながら、プロリーグで特別昇級権利を失った堀内に意気込みを聞いてみた。
「連覇します。」と一言。
とても自信に満ち溢れているのが印象的だったが果たして結果はいかに?

 

1回戦(起家から、鷲見・客野・北野・中村)

暫定首位の堀内は抜け番。東1局、北家、中村が、

三万四万五万六万七万五索五索六筒七筒八筒  ポン中中中  ロン八万  ドラ七万

この2.000を客野からアガる静かな立ち上がり、4人が牽制し合うような一局であった。
東2局 4巡目に東家の客野は高目タンピン三色の1シャンテンから手が全く動かない。

12巡目にもう我慢できないと、チーして高め2,900のテンパイを取ると、同巡「ツモ」の声。

手を開いたのは中村だった。

三万三万四万四万四索五索六索六索七索八索発発発  ツモ三万  ドラ東

点数こそ700・1,300だが感触はかなり良さそうだ。
東3局 また中村と客野の手がぶつかる。
北家・客野。

一筒一筒一筒七筒八筒九筒七索七索八索八索九索九索南  ドラ二万

雀頭を探していた客野が右往左往していると、中村の手が開かれた。
南家・中村。

二万二万二万六索八索三筒四筒四筒五筒五筒六筒六筒六筒  ツモ七索

この2,000・4.000のアガリ。
まさにホップ・ステップ・ジャンプ。中村の勢いは増すばかりか。

南2局 ここまで落ち着いて戦ってきた中村が痛恨の放銃をしてしまう。

捕らえたのは東家の客野。

一万一万九索九索一筒三筒三筒五筒五筒発発中中  ロン一筒  ドラ五筒

9.600のアガリ。これも待ち頃の牌を探していた客野が、ピンズの下が場況的にも良いことから待ちを変えた瞬間だった。 客野は、9.600とやや大きい本手をモノにして、また主導権を握るであろう中村からの直撃で少しはホッとしただろうか?

南3局、東家・北野。ここまで、ずっと歯を食いしばり耐えてきた北野にチャンス手が入る。
6巡目に発をポンしてこの形。

一万一万七索八索九索一筒二筒六筒七筒八筒  ポン発発発  ドラ一万

ピンズの下は安く、ペン三筒とはいえアガリは早いと思った。
その後、北野はツモ二筒でドラとのシャンポンにも受けずノータイムでツモ切る。

よほどこの受けに自信があったのだろう。
すると9巡目、もう1人耐えてきた鷲見からリーチが入る。

二万二万四万五万六万二索二索三索三索四索四索七筒八筒  リーチ

カン三索を引き入れてのリーチ。こちらも手応えバッチリなのか気合の入った発声だった。

13巡目、鷲見が一万を切ると北野は当然のようにポンして打二筒一筒単騎に受ける。

一筒六筒七筒八筒七索八索九索  ポン一万一万一万  ポン発発発

形を見るとアガリがあっただけに鷲見有利かと思いきや、直後に北野は力強く一筒を引き寄せ4.000オールのアガリを決める。
北野は続く1本場、テンパイで親権を維持するも、2本場は終盤に使えないドラを引き、オリに回され流れを掴むことが出来ない。

鷲見、中村のテンパイで流局して向かえた 南4局3本場。
東家・中村。

二索三索一筒二筒三筒四筒五筒六筒八筒八筒  ポン南南南  ドラ八筒  ロン一索 この5.800は6.700を北野からアガリ。
続く2本場 浮き確保、これ以上の連荘はさせないと北野が客野からピンフのみの1.000は2.200をアガリ1回戦は終了した。

結果的に主導権は握れなかったものの、親でのアガリをモノにして、その後は慎重に打ち続けた客野が3人浮きとはいえトップをもぎ取った。
逆に5位スタートの鷲見にとっては苦しいスタートとなった。

1回戦成績
客野+11.1P 中村+5.8P 北野+1.8P 鷲見▲18.9P

1回戦終了時
客野+122.4P 堀内+122.0P 中村+89.4P 北野+67.0P 鷲見+40.2P

 

2回戦(起家から北野・堀内・中村・鷲見)抜け番:客野

東1局、南家・堀内6巡目。  六索六索六索七索七索九索九索五筒六筒六筒七筒七筒八筒   ドラ南

これを少考の末リーチ。堀内らしいリーチだが、開局からこのリーチに踏み切れるのはさすがの一言。

しかし堀内のアガリは無く、ホウテイで鷲見が手の詰まった中村から現物の筋で2.600をアガる。

六万六万七万八万八万八索八索中中中  ポン五万  ホウテイロン七万

鷲見はその後、テンパイ打牌が脇に捕まる事が多くなるが、攻めの姿勢は崩さない。
そして迎えた親番、北野が九種九牌で流局させ1本場。

二万三万六万六万六万六万七万八万二索二索四索五索六索  リーチ  ツモ一万  ドラ四索

この2,000は2,100オール。 続く2本場、

四万五万六万八万八万五筒六筒八筒八筒八筒  チー三索四索五索  ツモ七筒  ドラ八万

この2,000は2,200オールをアガる。
更に加点しようとする鷲見。3本場では3、4巡目にそれぞれ中発をポンしてマンズのホンイツに向かう。
しかし、堀内がそうはさせないと、生牌の字牌も切り飛ばしていき鷲見を捕らえる。

西家・堀内。

四万五万六万七万八万九万二索三索六筒六筒七筒八筒九筒  ロン一索  ドラ九万

ここはヤミテンでしっかり流れを断ち切る2,000は2,900のアガリであった。
その後、4人の牽制で場は小場で進むのだが、中村が唯一メンピンドラドラのワンチャンスをモノにしそのままトップで2回戦は終了した。
現チャンピオンズリーグ覇者の中村がじわりじわりとポイントを伸ばしてきた。 上が三つ巴になりつつある中、北野、鷲見もこのままではまだ終われないだろう。

2回戦成績
中村+12.1P 鷲見+4.9P 堀内▲5.6P 北野▲11.4P

2回戦終了時
客野+122.4P 堀内+116.6P 中村+101.5P 北野+55.6P 鷲見+45.1P

 

3回戦(起家から北野・客野・堀内・鷲見)

東1局、堀内が2巡目から東をポン。こちらから堀内の手牌は見えない。
8巡目、堀内の動きが入ってか、親、北野のツモが利きピンフのみだがあっさりとテンパイする。

そして10巡目テンパイ時に打ち出した七筒をツモ切ると堀内の手牌が開かれた。

一筒一筒一筒五筒六筒七筒八筒九筒八索八索  ポン東東東  ロン七筒  ドラ一筒

この8,000のアガリを皮切りに、他の3人が堀内に対応してしまう。
勿論、それを解っている堀内は自然と場を支配していく。
堀内は後に、「このアガリは相当手応えがあった」語っている。
そして最初は、無理な仕掛けなんじゃないか?と思わせるモノも、その仕掛けに皆が対応してしまうため成就してしまう。 故に展開までもが堀内の望む通りに進んで行くのが、卓の外からでも感じ取れた。

道が仕上がってからでは遅いのである。 南3局
序盤に一筒九筒をポンしている東家の堀内に、南家の鷲見がダブ南を暗刻にしてのホンイツで果敢に立ち向かう。

南家・鷲見。

一万一万二万二万三万九万九万南南南  チー六万七万八万  ドラ七万

だが、ピンズの溢れている堀内に五筒をツモ切るとロンの声

東家・堀内。

二筒三筒四筒五筒五筒六筒六筒  ポン一筒一筒一筒  ポン九筒九筒九筒  ロン五筒

この12,000を献上する。
鷲見のこの戦う姿勢がもう少し早く出ていればどうなっていたかわからないが、終わってみれば堀内の60,000オーバーの1人浮きのトップだった。さすがの一言である。ポイント以上に、精神的優位に立ったのは間違いないだろう。

3回戦成績
堀内+43.4P 鷲見▲6.3P 客野▲9.3P 北野▲27.2P

3回戦終了時
堀内+159.8P 客野+113.1P 中村+101.5P 鷲見+38.2P 北野+28.4P

 

4回戦(起家から、中村・堀内・鷲見・客野)抜け番、北野

ポイントが完全に上下で分かれてしまう。鷲見、そして北野は残り1半荘のためポイント的には厳しいが、最後までプロらしく牌と向き合って欲しいと心の中で願った。逆に、上位の3名は直対であと2半荘のため、この4回戦はとても重要な半荘になる。そして、この4回戦も東場は堀内の1人舞台となる。

大きなアガリこそないが、堀内の先手の仕掛け、リーチに先程と同様に対応してしまう。
それにより、コツコツとまた堀内が1人得点を重ねていく。

しかし中村、客野も隙を見つけてやろうと虎視眈々とチャンスを窺っているかのように見えた。

南1局3本場。
東家の中村が粘りをみせ得点を原点まで戻すも、その親を流したのは堀内だった。

4巡目、南家・堀内。

五万六万一筒三筒三筒三筒四筒五筒七筒七筒八筒八筒九筒九筒  ドラ六筒

ここから、打一筒としてテンパイを取る。次巡、客野から七万が出て2,000は2,900のアガリ。
確かに中村の追走もあるが、4巡目でこの形。
門前で倍満クラスまで見込める手を2,000点で終わらすには少々物足りない気がした。

ここまでは完全に堀内のペース。それを感じているに違いない堀内。
あと少し心に余裕を持てれば、この局が決めてにもなり堀内圧勝で幕を閉じたかもしれない。
きっと焦りでは無く、勝利への執念と綿密に頭の中で計算された選択だったのだろう。

その後も安手ではあるが、今まで同様に先手を取り局を流していく。そのリーチ、仕掛けには一瞬の躊躇いもない。そして堀内トップのままオーラスを迎えた。

南4局、東家の客野はメンホン七対子の1シャンテンから五索をポン、続けて一索をポンする。
4巡目にこの形。

三索三索南南南西西  ポン一索一索一索  ポン五索五索五索  ドラ七索

だが、堀内にもすでにテンパイが入っていた。七対子の三索単騎である。
次巡、客野はドラの七索もノータイムでツモ切る。明らかなテンパイ気配。
そして、堀内から待ち頃の牌と三索が入れ替わるまで時間はかからなかった。

東家・客野。

三索三索南南南西西  ポン一索一索一索  ポン五索五索五索  ロン三索  ドラ七索

値千金12,000のアガリを堀内から直撃する。
続く1本場、今まで手を目いっぱいに広げて最速のテンパイを組んでいた堀内が安全牌を抱え、手を狭めると
5巡目までに1メンツを河に並べてしまう。すると、親の客野からリーチが入る。

東家・客野。

四万五万六万一索三索六索七索八索五筒五筒七筒八筒九筒  ドラ八索

これは客野の1人テンパイに終わる。
2本場、まだ得点は浮いている堀内。なんとか浮きで終わらそうと2巡目に両面チーからの中バックテンパイ。
しかし、一度くるった歯車は中々元には戻らない。
まっすぐ手を進める客野。9巡目、生牌の発を力強く切ってリーチを打つ。

東家・客野。

二万二万四万四万四万八万八万八万七索七索三筒四筒五筒  ドラ九万

すると堀内はオリに周る。
中を2枚並べた直後、中をツモってきた堀内が、やや苦しい表情をみせたのが印象的だった。
この局は流局、客野の1人テンパイで3本場へ。

4回戦を締めくくったのはここまで耐えながら攻めの姿勢だけは崩さなかった中村だった。
牌のイタズラなのか、また堀内に発がトイツの軽い手が入る。
その発を動くと中村にドラが流れテンパイが入り、即リーチに踏み切る。
手応えは十分だっただろう。アガリ牌を持ってくるまで時間はかからなかった。

南家・中村。

六万七万八万一索一索一索三索四索一筒一筒四筒五筒六筒  リーチ  ツモ二索  ドラ一索

4回戦トップまで躍り出る2,000・4,000は2,300・4,300のアガリだった。

4回戦成績
中村+11.5P 客野+5.1P 堀内+5.1P 鷲見▲21.7P

4回戦終了時
堀内+164.9P 客野+118.2P 中村+113.0P 北野+28.4P 鷲見+16.5P

 

最終5回戦(規定により、起家から客野・中村・北野・堀内)抜け番:鷲見

ついに残すは最終戦のみとなった。
最終戦前の対局者を見てみると、当然ではあるが口数は少なく条件など確認しながら静かに闘志を燃やしている。

客野、中村は最低でも堀内を沈めて、やや大きなトップを取れば逆転も夢ではない。
堀内は4回戦での動揺などは感じられない。気持ちはリセットできているだろう。
いつも通りの柔らかい表情で卓に着いた。

東3局、西家・客野が流局間際にこの3,000・6,000をツモアガり、一瞬ではあるが堀内を沈めて優勝への布石を作る。

三万三万七万七万七万発発  ポン九万九万九万  ポン東東東  ツモ発  ドラ六筒

しかし、堀内が親で決定打と言えるアガリをモノにする。

東4局、東家・堀内。

一万二万二万三万三万五万六万七万八万八万七索八索九索  ロン一万  ドラ八万

この11,600を中村からアガる。
ロンの声が今日一番の気合の入った発声だった。本人も手応えを感じていたのだろう。
その後、堀内は優勝を決定づける7,700をアガリ、長かった特別昇級リーグは幕を閉じた。

5回戦成績
中村+14.7P 堀内+8.7P 客野+2.2P 北野▲25.6P

最終成績
堀内+173.6P 中村127.7P 客野120.4P 鷲見16.7P 北野+2.8P

 

堀内に感想を聞いてみた。
「苦しいかと思ったが自分の麻雀が打てた。次こそはB2リーグで昇級します!」と力強く言ってくれた。
堀内の勝利への執念が際立っていた決勝戦。課題も見つかったことだろう。それらを糧にして欲しい。そして上の舞台で更に進化した堀内の麻雀というものを我々を始めファンの方々に魅せて欲しいと願う。

まだプロリーグ最終節が残っているだけに油断はできないが、きっと次のステージへ上ると信じている。
来期はどんなメンバーで特別昇級リーグが始まり、誰がチャンスを掴むのだろうか?
私も次こそはと、心の中で思い帰路に就いた。