プロ雀士コラム

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「プロテスト」 黒沢 咲

2019/07/12
執筆:黒沢 咲


大学4年生の秋、私は人事コンサルティング会社の最終面接を受けていた。
趣味は何かと聞かれ、堂々と答えた。

「麻雀です。」

社長が柔らかい表情でさらに聞いた。

「自分でどのくらいの腕前だと思いますか?5段階でいくつくらい?」
「4くらいだと思います。」

当時の私は、間四軒も理解していないくらいのレベルだったのに…随分自分の麻雀に自信を持っていたようだ。
面接では他にも麻雀について聞かれた。それまでの緊張が嘘だったかのように、私は意気揚々麻雀の魅力や麻雀への自分の想いを語ったのだった。
まさかその会社に就職し、何年後かにプロ試験を受け、麻雀プロとして生きていくことになるとは夢にも思っていなかった。

人生はわからないものだ。

麻雀荘で働いたこともなかった私は、麻雀プロとの接点がほとんどなかったのだが、行きつけだったお店にある麻雀プロのお父さんが働いていた。とても優しくしてくれて、私も「パパさん」と呼んで、たまに待ち席で会話するようになっていた。

「瑠美ちゃんと亜樹ちゃんが、プロになればいいのにって言ってたよ。」

プロに疎かった私でも知っている、いや麻雀をやる人ならば誰もが知っているだろう二階堂姉妹、そのお父さんだったのだ。

2人は覚えていないだろうし、何の気なしに言ったのだろうけれど、私はものすごく嬉しくて、麻雀プロという未知なる世界を思い浮かべてワクワクした気持ちが止まらなかった。
そして、数ヶ月後。またそのお店の待ち席で近代麻雀を見ていたら…日本プロ麻雀連盟のプロ試験募集要項を見つけたのだ。

「これは、亜樹ちゃんと瑠美ちゃんが所属している団体だ!」

私は帰りにその近代麻雀を買い、数日迷って履歴書を書いた。そして、その封筒を鞄に入れたまま、また数日が経った。

自分なんか受かるわけない…でも、プロの世界を見てみたい…チャレンジしてみたい…最初の一歩がなかなか踏み出せないまま、締め切りの日を迎えた(当日消印有効)。

「よし、人生は一度きりだ。落ちたっていいじゃないか。挑戦してみよう!」

私は、力強くポストに封筒を投げ込んだ。

私のプロ入りの経緯はざっとこんな感じだ。麻雀を好きで好きで仕方ない私にとって、麻雀プロになったことは最高の選択だった。
日本のトップクラスの選手たちと、熱い真剣勝負ができるのだ。それは何も、Mリーグの舞台やタイトル戦の決勝に限ったことではない。プロ入りした時から、どんどんそんな機会に恵まれる。

そして、私がプロ入りした時はまだほとんどなかった映像対局が急増し、自分の麻雀を見てもらえるチャンスも格段に増えた。
私は、私と同じように麻雀が好きで好きで仕方ない人にプロ試験を受けてほしい。そして一緒に麻雀の面白さを日本中、世界中に伝えていきたい。

そんな仲間がこれからどんどん増えていったら嬉しい。