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戦術の系譜3 滝沢 和典

2020/01/22
執筆:滝沢 和典


【痛恨のオリ打ち】


今回は1月17日の第1戦から。
西家スタートの東1局は、テンパイ2番乗りでピンフドラ1のリーチ。

 

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早い段階で仕掛けた北家松本選手はリーチを受けて迂回、ドラ2枚が内蔵された1シャンテンの親・茅森選手から8,000点を出アガることができました。

 

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所謂「手なり」で打つことができれば簡単なアガリですが、まだ東1局。このリードを生かして更に加点していきたいところです。

東2局
と思った矢先、早速茅森選手にオリ打ちで8,000点を返してしまいます。
配牌は悪くない。4巡目に攻守兼用の発が重なり、更に戦いやすい手格好になりました。

 

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北家茅森選手のリーチを受けたのは10巡目、2シャンテンでリーチに対して仕掛け返すほどの手牌ではないため発のトイツ落としを選択すると、不要な数牌を連続で引いてしまい、完全なベタオリに。
さらに14巡目、目立つ牌を打っていなかった親の小林選手から追っかけリーチが飛んできて、16巡目に完全に手詰まってしまいました。

 

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親小林選手のリーチに対して完全に通る牌は七索のみ。割と通りそうなのは八筒
常識的に考えれば、選択肢はこの2牌でしょう。
河から読み取れる情報は何かないか?
光っているのは松本選手が打った赤五索です。

赤五索を打ったということは、その周辺をシュンツで持っていることはないということです。
たった2枚ですが、壁に当たる七筒六索のうち、少なくとも松本選手が持っている可能性が高いのは六索ではなく七筒の方。というわけで打八筒を選択すると、先制リーチ茅森選手に放銃となってしまいました。

 

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そもそも守備的に構えておけば、と後悔するも、

 

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この時点では更なる加点を意識して手を組もうと思ったわけで、それが裏目に出ただけだと処理することしかできません。残り局数が少なければ序盤から手の組み方が違ってきますが、まだ東2局だからなあ…
ちなみに赤五索を打った時の松本選手の手牌はこちらでした。

 

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共通の安全牌がないなら放銃率が高くても、暗刻牌やトイツを打てなんて話も聞いたことはありますが、2件リーチで次巡に安全牌が増える可能性も高いので却下。
結局、この2つの選択肢以外から選んだことはなく、ここで、ウソかホントかわからない理論を持ち出して打牌しなかったことは精神が弱っていない証拠だ(ということにしておくしかない)
つまり展開が良くない、運が悪い。
こんな身も蓋もないようなことを言ったら怒る人もいるか…

いや待て、前原選手や瀬戸熊選手ならド真っすぐ打ち抜いている可能性がある。
と思って、とにかくアガリに向かって真っすぐ打った場合に並べ替えてみたら、放銃をすり抜けて局はまだ続いていましたわ。
そういうことかもしれないなあ。結果論かもなあ。

 

 

【丁寧さと大胆さ】


続いては1月20日1戦目、東1局。
6,000オールをツモった沢崎選手の親が続いているところ、早々に九万をポンしたのは親の沢崎選手。
主導権を取りにくるケースが多い沢崎選手ですが、基本的には高い仕掛けが多いです。しかし、仮に遠い仕掛けだった場合は若干のスキが生まれることもあり、毎回おろされるわけにはいきません。

とはいえ私の手牌は現状とても戦えない手牌。

 

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沢崎選手は捨て牌から察するに、おそらく一色手でしょう。
この時、相手がノーテンの可能性は高いのですが、何でも打って良いわけではありません。例えばこの手牌なら、ポンされやすい字牌と一万だけは打たずに進めていくのが良いと思います。数牌に関しては一万九万に近い牌ほどポンされやすいので、それ以外を打ちつつテンパイに近づけていく、または安全牌をかかえるべきだと考え、打七万を選択しました。

沢崎選手の手牌は、

 

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遠い仕掛けだろうとアタリをつけて危険牌を先切りして一気に攻め込む場合もありますが、自分の手牌の価値が低いのであれば、基本的には真面目に対応しようというのが私の流儀です。この場面では、6,000オール分のビハインドがあるとはいえまだ東1局、沢崎選手に決め手となるアガリを決めさせないよう丁寧に、じっくり打つのが得策でしょう。

東2局親番
配牌で三元牌2種とドラの二筒がトイツ、チャンス手をもらいました。

 

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満貫クラスを目指すなら、第一打に選択すべき牌は中です。
特に私は役満を目指すイメージがついていると思うので第一打に中を打っておけば、その後の白発が仕掛けやすくなります。
しかし、今回はまた三元役の可能性を残すため中を手牌に残しました。これで、この先どのタイミングで中を打とうが、白発のトイツを想定されてしまいますが、跳満、さらには役満の大物手を狙うことができます。
アガリ率と引き換えに打点力をとっているイメージです。
ドラが少ない設定の麻雀だと、かなり工夫しないと相手に絞られて終わってしまいますが、赤入りルールの麻雀では、赤なしの麻雀と比較して他家が勝負手になっていることが多い、且つ最近流行?の場に出ていない役牌を先に打ち出していくスタイルの打ち手が多いことなどから、わりとアガリやすいイメージもあります。
この選択は、チームポイントや評価の対象となる残りゲーム数を加味して選択すべきだといます。

このように、第一打から大きな選択があったわけですが、この後はアガリをものにするためには、工夫が必要となります。
勝負手となっている人の手に三元牌が行けばわりと簡単に出てきますが、そうならなかった場合は大切なチャンス手を棒に振ることになってしまいます。
なるべく相手を脅かさないよう、ひっそりと読みを狂わせることが大事なのです。

例えばこの場面。

 

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西家の瀬戸熊選手から発を仕掛けています。
捨て牌は一色手風ではないため、中を打ち出すと高いバージョンとして真っ先に想定されるのはドラ、赤が固まっているパターンで、三元役なのか、ドラなのかどちらか判別できない状態にしておいた方が次は仕掛けやすくなるのです。
というわけで私が選択したのは打八筒
特に今回はトップ目の沢崎選手が上家にいるので、がっちりとガードされてしまうことでしょう。

 

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次のツモ四万では打中とします。
ここでピンズのターツ落としを見せると早そうな捨て牌に見えてしまいます。しかも六筒を後で手出しすることによって五筒六筒六筒などのターツを連想させることもできます。
危険度の高い六筒を残したのは八筒六筒で打つための布石です。
この先の局で赤3枚+表ドラ4枚、計7枚のうち、5枚を手牌で使っているときも、できるだけおとなしい捨て牌になるよう打牌をチョイスしているので興味がある方はご覧になってください。

 

 

【再び痛恨の放銃】


先ほどの三元牌の局は、1シャンテンの段階で西家瀬戸熊選手からリーチを受けます。
もちろん私も引く気はないので、無筋を連打して応戦します。そして12巡目にようやくテンパイ。

 

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打点ならシャンポン、待ちの強さならリャンメン。
打ったときに失点するリスクは高いですが、瀬戸熊選手のリーチに対抗するため待ちの強さを優先して打二筒とすると、

 

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8,000の放銃。
痛い…
安全牌の発より後に八筒切りリーチ、開いた手を見て、

三筒四筒四筒五筒六筒八筒

多分1シャンテンはこうかな?

「あーーあるある、よくある」
「裏乗らなくてよかった」「痛い」

まあ、発を仕掛けたのも瀬戸熊選手からだし、手が入っているのは明らかだったんですけど、すでにドラがあるから攻めてきたのでは?とかごちゃごちゃ考えて打ちました。
そもそも1シャンテンの段階で分岐点がありました。

 

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アガリを目指すなら、ドラの二筒打ち。打点を見るなら打三筒
このとき私は間違いなく瀬戸熊選手をマークしていたのですが、その間をとる打六万を選択しました。
六万の危険度の高さは二筒と大差ありません。仮に七万を引いたら再び二筒を打ってフリテン3メンチャンを残して、迂回気味の上家から仕掛けることも想定していたのです。
バランスが良い一打っていうのは、意志の弱い一打と紙一重になっちゃっていますね。
解説の寿人選手はさぞかし気持ち悪かったでしょう。

ただ、一貫性というのも考えもので、上の画像の場面で打点か?アガリか?の2択だけで選ぶのはプロとしては浅すぎるような気もしているのです。
1シャンテン当時は、リーチはかかっておらず、仮に瀬戸熊選手が途中で諦めた場合はベストな選択になっていたかもしれません。
普段ギリギリまで強めの打牌をしてくる瀬戸熊選手のイメージが打牌選択に影響を及ぼしてきたのは間違いありませんが、それが勝因になることもあるし、逆に敗因になることもあります。

だらだらと好きなことを書いてきましたが、私にバシッとした答えはまだありません。もしかしたら一生答えはでないかもしれませんが、それでもいいのかなとも思っています。

次回以降ですが、白鳥選手、佐々木選手に編集部が依頼しているようですが、二人とも難色を示しているそうです。
忙しいふりは良くないと思います。その辺で遊んでいる姿を見かけたら編集部まで連絡をお願いいたします。
それではまた。

編集部より
次回は、連盟鳳凰リーグの最高峰である、A1リーガーの前田プロに戦術を書いてもらうことが決定しました。
お楽しみに!!