プロ雀士コラム

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戦術の系譜6 前田 直哉

2020/04/30
執筆:前田 直哉


今回は昨年の鳳凰戦A1リーグ第6節C卓の局を取り上げようと思う。
対戦者は伊藤、沢崎、HIRO柴田、私である。
微差ながらもラス目で迎えた親番の南3局。配牌は良くも悪くもない。

六万七万九万四索二筒三筒四筒六筒九筒東西北北白  ドラ七索

まあ良くてピンズの一通が見えるくらいだろうか。
すると北家の柴田の2巡目の手がこれだ。

一万二万一索二索三索八索九索二筒三筒八筒九筒発発  ツモ一万

三色もチャンタもジュンチャンも見えるこの手、柴田の選んだのは発切りだった。ジュンチャン三色の最高打点に照準を合わせた一打だ。すると私の切った白をトップ目の沢崎が仕掛ける。

五万六万六万二索三索四索七索二筒三筒東  ポン白白白

形は十分だ。この仕掛けによって柴田の手がこうなった。

一万一万一万二万一索二索三索八索九索二筒三筒八筒九筒

捨て牌に発が並ぶ。これを見て私は早いのは間違いない、メンタンピンドラ1くらいかな?と勝手な想定をしていた。そして柴田の次巡

一万一万一万二万一索二索三索八索九索二筒三筒八筒九筒  ツモ四筒

全く有り難くない四筒である。しかし、ラス前で微差ながら浮いていることも考えると一旦手に入れたくもなるが、少し考え柴田はツモ切りを選んだ。更に次巡

一万一万一万二万一索二索三索八索九索二筒三筒八筒九筒  ツモ三万

絶好の三万を持ってきてまたも難しい選択になる。アガリ易さならドラ受けの八索九索落としもあるが、ドラさえ引けば倍満までも見える。悩んだ末に柴田は八筒を選ぶ。
そんな中1番早くテンパイを入れたのは沢崎だ。

六万六万二索三索四索七索八索二筒三筒四筒  ポン白白白

すぐに柴田も追いついた!

一万一万一万二万三万一索二索三索八索九索一筒二筒三筒

フリテンだった高目の一筒を引き超弩級のテンパイだ。ドラ待ちのこともあり皆が引いてくれたらチャンス有りとみてここはリーチとした。何人の人がこのテンパイに辿り着けるだろう?この見事な手順の捨て牌がこうだ。

七万 上向き発発四筒 上向き八筒 上向き九筒 上向き
三万 左向き

まず発のトイツ落としでピンフ系かと思ったのだが、その後の四筒での小考からのツモ切り、そして八筒九筒のペンチャン落としでメンタンピンでは無さそうだ。発よりも八筒九筒を大事にしたということは一通か三色かチャンタっぽい。だがもしピンズの一通が見える程ピンズを厚く持っているなら発発を持ってホンイツに行くのではないだろうか?ドラで1メンツ出来ているのであればそういうことも考えられるが、下の三色とジュンチャンの可能性が1番高いと推察することが出来る。でもそんなに早くジュンチャンって出来るっけ?私の頭の中はプチパニックである(笑)そう思いながらも同巡私もテンパイを入れる。

六万七万八万二筒三筒四筒五筒六筒七筒九筒九筒北北

親ということもあり、このままリーチする人もいそうだが私はもちろんヤミテンだ。沢崎も無筋を切り飛ばしオリる気など毛頭無さそうだ。すると次巡私の手はこうなるのだった。

六万七万八万二筒三筒四筒五筒六筒七筒九筒九筒北北  ツモ八筒

高目一通の勝負手に仕上がる。ここで振りかぶってリーチ!!
とは行かず、ここでもヤミテンを選択した。何故ヤミテンなのか、それは柴田の手が高いことと、沢崎の手も高いか好形であると確信していたからだ。もちろんリーチしたかったが、伊藤から四筒七筒が出る可能性を0にしたくは無かったのだ。だが更に次巡持って来たのが…

六万七万八万二筒三筒四筒五筒六筒七筒八筒九筒北北  ツモ七索

ドラ…この牌が通る理由を探してみるが、柴田の手がジュンチャンだとしたら当たる可能性は十分あるし、ピンフ系の手でも同じだ。沢崎はリャンメンならソーズの上か一筒四筒あたりだろうか?シャンポンならドラとのシャンポン待ちの可能性も高い。
歯を食いしばり、ドラを切らずに押し返せるよう九筒を切る。そして次巡

六万七万八万七索二筒三筒四筒五筒六筒七筒八筒北北  ツモ八索

絶好の八索を持ってきてリーチ!結果これを柴田から12,000のアガリとなったのである。

六万七万八万七索八索二筒三筒四筒六筒七筒八筒北北  ロン六索

いったい何が良かったのか、一通になった時にリーチしなかったことだろう。あの手はアガリがあるとしても四筒七筒だと感じていた。要するにあの手は私の中ではただのピンフ手だったのだ。六索九索待ちであれば安目でも5,800、高目ツモなら6,000オールまである。あの状況で2人にぶつけていくのに価値ある手だから勝負に出たのだ。
だが、これが先に一筒が切られ結果七索で放銃したら本当に最悪である。どちらの可能性もあっただけにイッツーでリーチするのも全く当たり前なのだ。今回は結果的にラッキーなだけなのだ。

だが皆さんに見て欲しいのは、柴田の手順、沢崎の攻めきる姿勢、伊藤の守備、私の押し引きその全てなのだ。誰がアガッたとしても内容の濃い1局であったと思う。
ユーチューブでも見られるので是非ご覧くださいね!

第36期鳳凰戦A1リーグ第6節C卓2回戦
前田直哉vs沢崎誠vs伊藤優孝vsHIRO柴田
実況:古橋崇志
解説:近藤久春・白鳥翔

これで私の回は最後になるが、戦術の系譜はこの後も続くのでお楽しみに!!