プロ雀士コラム

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プロテスト受験にあたって

2013/02/19
執筆:プロテスト実行委員会・大庭三四郎


■プロテスト受験にあたって
プロテスト――毎年たくさんの受験者がおり、今回も大勢の方が受験したそれは、プロになるための試験である。
アシスタントとしてプロテスト実行委員会に入った自分は、半年間プロテストの仕事に携わってきた。
その一部始終を、2年前はまだ受験者だった自分自身を思い出しながら、書いていきたいと思う。

【一次試験】
まず、一次試験は書類審査である。
履歴書や、プロ試験申込書の内容などから審査する。

【二次試験】
二次試験は2日間にわたって行われる。
1日目に筆記と面接を行い、それに合格した者だけが2日目の実技に進めるというものである。

2年前……。
前日に会場の下見に来てみたり、当日も30分前には席に座り、余裕を持って待機していた。
段々人が集まってきて、そこで自分はある異変に気付く。
なんと、受験者の大体がスーツを着ていたのである。
実はこの日、自分は何も考えずに私服で来てしまっていたのだ。
結果自分は、スーツに囲まれ、周りから浮いた状態でテストを受けることになったのであった。

※どこにも書いてはいないが、プロテストを受ける側としては、それなりの服装で来るのが相応しいと言えよう。
その辺りの常識があるかどうかも、審査の中に入っているのかもしれない。(とすれば、自分はどうだったのかという話だが・・)

ともあれ、二次試験が始まった。

≪筆記試験≫
筆記試験は、例年の傾向から3つの項目が出題される事が多い。それは以下の通りである

①点数計算
当然、点数計算が出来ないとプロにはなれない。
70符以降の、普段あまり出る事がない点数も当然の如く答えられなければならない。
当時の自分は、2,300、4,500、3,600、7,100…と1つ1つ暗記したものだが、符と翻から出す元々の点数計算を覚えてしまえば、確実に答えを導き出すことが出来る。
そうすれば、わざわざ暗記する必要もなくなってくるので、計算のスピードを上げれば時間が足りなくなるということもないだろう。

②何待ち問題
染まっている時の、何が待ちなのであるかは素早く正確に把握したいものである。
これはパズルのようなものなので、サクッと解いてしまいたい。
練習すれば、満点近くを取ることが出来るようになるはずである。
何を切れば何待ちか、などを考えながら打つことで、自然とチンイツにも慣れていく。やがて問題にもすぐ答えられるようになるはずである。

③条件問題
これが分からなければ、条件があるオーラスで自分が何点アガればいいのか、分からなくなってしまう。
リーグ戦やタイトル戦の予選などで条件計算が必要な場面に遅かれ早かれ必ず出くわす。
その時のためにも出来るようになっておかなければならないのである。
ただし、計算が苦手な人は、これだけは本当に練習をして出来るようにしておかなければ、まず本番でも出来ないだろう。

以上の3つが、例年メインで出題される事が多い。当然、今年も出題された。
ちなみに、正解率が高かったのは『何待ち問題』で、正解率が低かったのはやはりというべきか『条件問題』であった。
こういう正解率の低い『条件問題』などは、正解すると講師陣に注目されるチャンスである。
是非、ここで先手を取ってもらいたいと思う。

2年前……。
自分は筆記試験には自信があった。
なぜなら、試験1週間前位から麻雀も打たずに、ひたすら点数計算と何待ち問題の練習をずっとやっていたからである。
その甲斐あってか、筆記試験ではそこそこ優秀な点数を取ることが出来た。
しかし、この筆記試験重視の偏った勉強方法が後々響いてくることになるとは、その時の自分は思いもしなかったのである……。

筆記試験の後は、順番に面接が始まる。

≪面接≫
5人1組くらいのグループずつで集団面接を行う。
有名なプロを目の前にして、しっかりと話せるかどうかが大事である。
おそらくは、なぜプロになろうと思ったのかなど、志望理由を中心に質問されると思う。
勿論、理由は人それぞれあると思うが、どんな理由であれ、そこに熱い想いを持っていれば回答に困ったりする事はない。そんな質問ばかりだと思う。
しかし、「ただなんとなくプロになりたい」という理由ではやはり合格は難しい。

筆記試験、面接の結果によって、翌日に行われる実技試験に進めるものが決まり、発表される。
筆記が極端に悪かったりしなければ、大抵の人は実技に進むことが出来るだろうと思う。

≪実技試験≫
試験内容だが、まず半荘を4回打つ。そこでポイント成績下位の何人かがそこで終了となり、最後に残った上位者で半荘を1回打つ。
成績が悪く、4回戦目で終わり、最後の半荘に進めなかったからといって、すぐに不合格になるというわけではない。
この実技試験では、ポイントも大事だが、打ち方やマナーもしっかりと見られている。
講師陣が審査表を持ちながら自分の卓の周辺を歩く中、緊張せずしっかりと打てるかどうかが大事である。
普段から牌に触れていて、かつ良い姿勢で麻雀に取り組んでいれば、特に問題はないとは思う。

2年前……。
筆記試験と面接を、なんとか通過して実技試験に臨むことができた自分は……。
なんとこの日も私服で来てしまっていた。再び、自分は周りから浮くことになる。
昨日(筆記・面接試験当日)、私服で来たことについてとくに注意を受けなかったため、問題ないと考えてしまったのである。
余談だが、当時の自分は実技試験の成績は調子が良く、実はトップクラスだった。
そのため「よかった、三次試験に進めそうだ」と勝手に思っていたのだが、牌捌きや内容がかなり酷かったため、最終的にはギリギリ合格ラインだったらしい。

そして、それらを通過したものは、数日後に三次試験へと進むこととなる。

【三次試験】
三次試験は月に一度程度、計5回行われる。
麻雀の内容については勿論のこと、その他にも、打牌のフォームをチェックするためビデオカメラで撮影し、後でそれを見て修正点を教えてもらったり、自分の麻雀を採譜してデータをもらったり……普段は経験出来ないようなことを体験することが出来る。
そして、毎回宿題という形で様々なお題が与えられ、小論文という形で提出しなければならない。
全5回の三次試験の最後には再び試験があり、そこでプロとしての基準を満たしてると判断された者のみが、晴れてプロとなることが出来るのである。

二年前…
二次試験を突破することが出来た自分は、それはもう浮かれており、何もせずにただ三次試験が来るのを待っていた。
そして当日、やはり自分は私服で来てしまっていた。理由は前回と同様で、とくに注意されなかったからである。
会場で受付を済ませて、席に着こうとした時である。
ついに呼び出された。
理由はもちろん服装についてだった。そういう軽い気持ちならば受けに来ないでほしい、という話だった。全くもってその通りである。
しかし当時の自分は、ここで初めて自分のしてきた過ちに気づいたのだ。情けない話である。
結局、その後も自分は麻雀のフォーム・内容などで注意され続けた。注意されるのに慣れていなかった自分はおのずとメンタルがボロボロになっていった。
最後に課題の説明をされて、とてもとても長い1日がようやく終わった。と、駅で一息つこうとした時に、自分は最後の失敗に気付く。
講師から頂いた資料一式を、試験会場に忘れてきてしまったのだ。
最大限に焦り、ダッシュで会場に走って戻り、何回も謝って、なんとか次回への望みを繋いだのである。
その日からである。自分にスイッチが入り、麻雀に取り組む姿勢も変わったのは。
課題の提出。本当に見てもらえるかどうか心配だったが、自分なりに頑張って書いたものを出す。
印象最下位からのスタートだったに違いない自分は、2回目以降の三次試験も注意されっぱなしだった。
ここで諦めてしまう人もいるのだろうな、と思いながら、しかし自分は絶対に諦めなかった。
時間があれば四ツ谷の連盟道場に見学・採譜しに行き、ひたすらプロになるための勉強を続けた。
そして、三次試験の最終5回目の試験を終え、自分は無事に合格することが出来た。

今年、全5回の三次試験を見て、色々な事を学ばせてもらった。
毎回出される論文の課題、自分が受けた当時は本当に読んでもらえるのかどうか不安だったものだが、講師側になって、審査表を項目別にしっかりと全員分、毎回記入していることを知る。
講師陣は、プロになっても大丈夫かどうか判別するのに、一切手を抜いていなかった。
全5回を終えた後の、合格か不合格かの判定会議においても、講師陣は真面目に話し合い、公平に判定していた。(これは最近聞いた話だが、2年前自分を合格にするか不合格にするかで30分ほど講師陣は議論したらしい)

結局のところ、まず大切なのはやる気である。
どんなに麻雀が上手くても、それだけで受かるわけではない。そして、たとえ麻雀が下手であっても、やる気があれば受かる可能性はゼロでは無い。
講師陣が見ているのは、その人の伸びしろである。現在の雀力よりも、今後伸びていくのかどうか、その人に期待が持てるかの方が大事である。
それに必要なものは、やはりやる気だと自分は思う。
今回の三次試験では、残念ながら途中でリタイアしてしまった方も数名いた。その気持ちは、自分にもよく分かる。
それでも、自分が最後まで頑張ることが出来たのは、担当講師のこんな言葉のおかげだった。

『プロになることばかり考えるんじゃなくて、プロになってからのことを考えた方がいい』

プロテストは、半年という長い期間に渡り行われるため、しばし合格するための手段に集中しすぎて、なぜプロになろうと思ったかという本来の目的を見失ってしまうことがある。
そんな時は、プロテストに応募した時の事を思い出してほしい。
そこには必ず、熱い想いがあるはずである。
是非ともそれらを思い出し、モチベーションを高く保った状態で、長いプロ試験を良い結果で終わらせていただけるよう、心から願っている。

次の試験は3月16日に始まります。締め切りは3月8日です。
プロへの熱い想いを持ったあなたの応募を心からお待ちしております。