リレーエッセィ

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まずはじめに、お断りしておかねばならぬ事がある。
このリレーエッセィは、ある者があるものを書き、それを名指しである者に送る。
送られたある者は、一ヶ月以内にやっぱりあるものを書き、それをある者に送る。
これ、いわば幸福の手紙の麻雀版である。
もちろん、送られた方は幸福どころか不幸の矢を射られたようでたまったものではない。
しかし、こんな読み物が麻雀ファンや仲間の見る楽しみとなれば幸いである。

(ホームページ編集部)

第82回:河井保国

2013/11/14


201311リレーエッセィ:河井保国

はじめまして。 今回、岡本プロからバトンを受け取りました、北関東支部所属24期生の河井保国です。
文章は、書くのも読むのも苦手ですが、皆様に読んでもらえるようにがんばって書いて行きます。
よろしくお願いします。

まずは、自分を知ってもらうために、簡単に自己紹介をさせていただきます。

1974年6月23日生まれ、寅年のA型。(バツ1)一緒に暮らしていませんが、愛娘(ゆずちゃん)と麻雀、お酒(酒乱で名が売れているみたいですが) をこよなく愛している39歳です。

今回は、先日行われた最強戦全日本プロ予選のことなど、自分の麻雀感を交えながら書こうと思います。

約170人と大勢のプロが参加する今大会のシステムは、まず半荘4回の合計で上位25人に絞られます。
そのあとに、地方予選を勝ち上がったプロ6人と、最強戦ガール対決で勝った松岡千晶プロが加わり、
32人が8卓に分かれて1回勝負のトーナメントでベスト 16進出者が決まるというシステムでした。

自分は、予選1回戦から37,000点持ちの3着スタートで、今日は苦しい戦いになるなぁと思いましたが、
その後、2回戦はトップ、3回戦3着で合計+20Pくらい。
最後の4回戦が始まる前に発表されたボーダーは+85P前後。
次の半荘で、60,000点くらいのトップを取ることが勝ち上がるために必要な条件になりました。

自分の麻雀のスタイルは、簡単に言うと打点重視の攻めです。
ノーテン罰も払わない気持ちで攻めて攻めて自分らしい麻雀に撤したところ、
それが上手く嵌まり、オーラスは42,000点持ちのトップ目で親番を向かえることができました。

オーラスは、条件が厳しくなった者は手作りが窮屈になります。
そのため、最後の親は有利な展開になることがあるのです。

しかし、制限時間は残り10分… おそらくあと2局…
ソーズのホンイツ手が入りましたが、残り局数を考えて無理やりチンイツに移行。
なんとか4,000オールのアガリにこぎつけ、持ち点は54,000点に。

(トップを取るとオカと順位点で+50。総トータルが+94。発表されたボーダーはなんとか越えた。しかしこういった短期戦では、ボーダーが上がることが多い。とにかく、あと1回アガリがほしい。サイコロを振って…残り5分… 次の手牌はタンピン系…7巡目にテンパイが入り、迷わずリーチ!!

11巡目に2,600は2,700オール!!これで目標の60,000点に到達。
次局は流局し、1人テンパイで終了。+84Pのトップでトータル+104P。

そして、発表の時を待つ… +97Pの選手のポイント表が外された…
つまり、100P以上ないと厳しい… 
大丈夫かなぁと不安がよぎった…

103Pの選手が最後に外され、自分はギリギリセーフの24位で次のステージへ。
やった!残った!
本当にギリギリのライン。最後の局の1人テンパイ料で残ったのかぁ…
もしあの局の前に時間になってたらと思うとぞっとした。

ベスト32はトーナメント方式で、同卓者2人勝ち上がりとなるシステム。

試合が始まった。この試合は自分なりにテーマを作って試合に望んだ。
先手を取れたらまずリーチを打って相手に考えさせる麻雀をしようと…そしてリードしたら丁寧に打つ、これも テーマのひとつだった。

1人がダントツのトップ。残り3人のうち1つの椅子を狙い最終局…
トップ走者からリーチが入る…
自分は現在2着。残り2人は3,000点で2着という大接戦だ。

なぜこの状況でトップ目がリーチをかけてきたのか考えた。
役なし多面待ちがセオリー。しかし一発裏ドラがあるルールだと打点が読みずらい。

自分は少考の末、オリを選択した。
自分で決めに行くべきか、オリるべきか…
これまでの自分の麻雀人生で、似たような状況が何度かあったが、自ら決めにいって吉と出ることが少なかった。

(頼む、ツモってくれ…)祈りが通じて、リーチ者が他家から出アガリした瞬間、自分の勝ち上がりが決まった。
リーチ者の手牌は、役ありの三索-六索-九索待ち。
(???ヤミでいいじゃないかっ)

最後に運を味方にしてこの日を無事に終えた。

翌日のベスト16は、自分にとって初めてカメラの前で麻雀を打つことになる。
心地よい緊張感だ。当日は台風のため関東は大荒れ。
自分の出番は1回戦目。対戦相手はみな連盟員。

現場ではみなが緊張している。ある選手は牌の切り方やフォームを今更チェックしているような始末。
初のテレビ対局で仕方ないことかもしれないが、今から戦いに挑む体制ができてない証拠だろう。

最北の雀士、石田プロと運営などで活躍している太田プロ。もう1人は自分の後輩にあたる北関東支部所属1年目の斎藤プロなのだ。現在、プロリーグでB1リーグに所属している自分としては、勝って当たり前、負ければ言い訳にしかならないと思って勝負に臨んだ。

とはいえ、正直自分の中にも、得体のしれない緊張感は潜んでいる。
そんな中、撮影スタッフとして現場にいた、後輩の大木プロが声をかけてくれる。
なんでもない会話なのだろうが、気持ちの高ぶりを抑えてくれた。

まず開始前にインタビューで意気込みを言った。

『がむしゃらに攻めます!』

この1回勝負でカッコ良く勝とうとはしない。
ただ、自分らしい麻雀で3人を圧倒してやるという思いでいっぱいだった。

起家から、河井、斎藤、石田、太田

自分は親番スタート。まずは先手をとりたかったが、西家の石田が6巡目にドラを打ち出す。 明らかに早そうだ。 自分は1シャンテンから手が進まず、2枚目の五索をポンして六索片アガリのタンヤオテンパイを入れる。
数巡後に、石田から六索が出て1,500のアガリとなった。

次局1本場、今度は太田がリーチ。 このときの自分の手牌は…

四万六万三索五索六索六索八索二筒二筒四筒六筒六筒八筒  ツモ六索  ドラ六索

先手を取られたが戦うと決めた。数巡後手牌が

四万六万三索四索五索六索六索六索二筒二筒四筒六筒六筒  ツモ七万

攻めるなら打四万が普通だろう。しかし1シャンテンは所詮1シャンテンというのが私の持論でもある。
勝負牌は2つまでにしている。ひとまず五筒のスジになっている二筒を切り、数巡後、ツモ八万四万を勝負牌として勝負にでた。

残り1回のツモで三筒をツモリ4,000は4,100オール!
次局、またも太田プロがリーチ! そしてツモられ裏ドラ2枚で満貫…

東2局、石田プロからリーチがくるが、態勢的に自分が打つ局ではないと思ってただ真っ直ぐアガリを目指し勝負を決める倍満を引きアガった。

さらに南2局で、太田プロの先制リーチを受けながらもメンホン七対子を引きアガリ、リードを広げそのまま決勝進出となった

とりあえずホッとした気持ちと、同時に、「あと1つ」という気持ちが抑えられずにいた。
決勝戦までの時間を過ごすため、会場をあとにして、あまりよろしくない行動にでてしまった …
それは最後に…

決勝戦対局開始。
起家から、河井、村上、井出、荒木

自分はベスト16同様に起家スタート。
なんとか主導権をとりたかったが、井出プロからリーチ!
そして、ツモ2,000・4,000のスタートと、悪い立ち上がりとなった。

そして次局。
これが自分の敗因となる一局。 井出プロの仕掛けに対しての3,900の放銃…

ドラが北。井出プロの最終手出し八万を見たのにも関わらず、生牌の九万で打ち込むという初歩的なエラーをしてしまった。

そのあとは荒木プロの変幻自在の麻雀に翻弄され、局は進み自分1人だけ蚊帳の外。

最終オーラスでは、自分以外がアガリトップという条件。自分の打牌で決着をつけてしまわないよう、一打一打丁寧にオリるしかない。 決勝戦解説だった森山会長に、『あの九万での放銃がなぁ…自分が負けた理由が解っているならいい。次がんばれ』とありがたい言葉をいただいた。

そして、1日中解説をしてお疲れの瀬戸熊鳳凰位を(半ば強引に)連れて打ち上げに…
もちろん、自分は瀬戸熊さんの話を聞きたい一心での誘いだ。

瀬戸熊『河井は劣勢に立たされたときの麻雀がなぁ』 これもありがたい言葉である。
しっかり見てくれていた。鳳凰位が自分の麻雀を…

克服すべきことは沢山ある。これを機に稽古を積んで、絶対に今より良くなろうと強く思った。

そして、それは決勝戦が終わってから2、3日すぎた日のこと。先輩と飲む機会があった。
『ベスト16を勝ち上がり、終わってから軽く軽食を食べて、ビデオルームに行き対戦する相手の麻雀を見て研究してました。』

この話に対して先輩が…

『なんで見るんだ!ダメなんだよ見ちゃ!』
『最後まで見てしまうのがよくない。1、2局見て、ぼけぇ~~としていたほうがまだよかった』

この話をしてくれたのが、北関東支部でお世話になっている沢崎プロの言葉だった。
決勝に残ってたった1回の勝負なら見てもいいことがないと…

リーグ戦などの長いスパンなら相手の打ち筋やクセを見ることはいい。
1回勝負の場合、余計な情報が入るからよくない。

自分にとって、とても理解できるし思い当たる話だった 。 これは経験の差… 経験の差はその先輩プロが麻雀をやめない限り追いつけない。 その経験を淀みなく話をしてくれる先輩プロは、自分の宝物だと実感している。

自身の麻雀の進化…

自分にはトッププロの先輩達のような経験はない。しかし麻雀が強く巧い経験者から、ありがたいお話や指導があったおかげで今の自分の麻雀があると思う。 立ち止まることなく進化できる麻雀プロを目指したい。
そのためには、こういった交流はとても大切だと自分はありがたく思う。(ただ酒が好きというのはありますが(笑))色々な麻雀の知識を教わり、自分の引き出しにできれば今より強く、巧くなれると自分は思っている。

こうやって目にかけてもらっている先輩プロの方々に、河井は強い!河井の麻雀は変わった!と言わせるような麻雀を打ち、見てくれているファンの方々を魅了するパフォーマンスができるようにこれからも精進していきたいと思います。今後も応援よろしくお願いします!!

こんな話を、最後までお付き合いいただきありがとうございました。
それでは次にバトンを渡したいと思います。

同じB1リーグに所属している、現在、十段戦の決勝を戦っている最中の中村毅プロよろしくお願いします。
このエッセィでいい報告ができるよう期待していますよ。