リレーエッセィ

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まずはじめに、お断りしておかねばならぬ事がある。
このリレーエッセィは、ある者があるものを書き、それを名指しである者に送る。
送られたある者は、一ヶ月以内にやっぱりあるものを書き、それをある者に送る。
これ、いわば幸福の手紙の麻雀版である。
もちろん、送られた方は幸福どころか不幸の矢を射られたようでたまったものではない。
しかし、こんな読み物が麻雀ファンや仲間の見る楽しみとなれば幸いである。

(ホームページ編集部)

第96回:清原 継光

2015/01/22


この度、東城プロよりリレーエッセィのバトンを受けました清原継光です。
昨年末、王位戦にて初のタイトル戦決勝進出、初タイトルを獲得できました。
終わった後はタイトルを獲った実感もなく、半ば呆然として、夢の中にいるかのような心地でした。
皆から「おめでとう」とお祝いの言葉をかけられて、やっとタイトルを獲った実感を得ました。
何よりも、皆が喜んで祝ってくれたことがとても嬉しかったです。

初タイトルは様々な縁と運とが絡み合い、僕の手に転がりこんできましたが、実力的にはまだまだ差があることを痛感した決勝でした。
(勝利の実感は未だに得られてません)
タイトルホルダーに相応しい力を身につけるべく、さらなる精進が必須と感じています。

では、軽く自己紹介を。
1979年1月20日生まれの35歳です。
王位戦決勝の舞台では一番年下でした。
「見た目よりは若いね」と、よく言われますが、その言葉に素直に喜ぶことはなかなかできません。

連盟25期生、同期には、新人王を獲り映像媒体でも活躍する福光聖雄プロ。
同じく女流桜花を連覇し映像でも活躍する魚谷侑未プロ。
グランプリ準優勝、B1リーグまで破竹の勢いで昇級してる本格派の安村浩司プロ、他にも、女流桜花Aリーグで活躍する斎藤理絵プロ。
現在はD1リーグですが去年C2リーグで活躍してた荒牧冬樹プロ。

彼らは研修時代からも仲が良く、戦友という意識もあり常に注目してました。
そんな彼らが次々と活躍していく中で、僕は全く芽もでず、置いてけぼりをくっていたように感じており、今回タイトルを獲得して、少しは仲間たちに近づけたかなぁ?とか考えています。

麻雀に関しては、他人よりも経歴は短い異色の経歴だと思ってます。
最初に麻雀を知ったのは高校生の時。仲間内でやる程度の麻雀でしたし、大学に入ってからも、その程度の遊びの麻雀でした。
大学を卒業してからは、麻雀をやる機会はまったくなく、仕事漬けの生活でした。
今思い返すとワーカーホリックにかかってたのだと思います。

いろいろあって「仕事だけが人生の価値ではないな」と考え、しばらく遊び人生活をはじめます。
(人生におけるそういうきっかけは、たいてい恋愛絡みですが、謎設定にしておきます)
そんな中で「学生時代に皆でわいわいやってた麻雀は楽しかったな、もう一度やってみようかな?」とふと思い、そして入った店で現A2リーガーの刀川昌浩プロと出会いました。
刀川プロからは麻雀に関する基礎的な考え方をいろいろと教えてもらいました。
そして、刀川プロが麻雀プロとして連盟に入ることになったので、僕も入ってみようかな?と思い、なかば興味半分で入りました。

麻雀経歴も当時で5年ほど、現在でも11年ほど、年齢の割に短いキャリアだと思います。
プロになってからも麻雀を舐めていた部分はあったかと思います。
「結局、牌の絵合わせでしょ」そんな気持ちが心のどこかにあったかもしれません。

そんな僕が、ショックを受けることがありました。
当時、お世話になってた刀川プロに誘われて、藤崎智プロの決勝を観戦した時のことです。
2009年度のグランプリの決勝は、荒正義プロ、前原雄大プロ、藤崎智プロ、沢崎誠プロの超激闘、そこには自分の麻雀観を一変させる内容がありました。

カルチャーショックを受けたというのが正直な感想。
超僅差の接戦、紙一重の攻防、見るものを魅了させる試合がそこにはありました。

応援していた藤崎プロは惜しくも負けたのですが、そこにいた4人全員が勝者に見えるようなかっこいい麻雀でした。
以来、僕もそんな舞台で戦いたいという気持ちが芽生えました。
また、麻雀に対する意識、姿勢も変わったと思います。

このショックをきっかけに、僕は勝利至上主義を捨てました。
「勝利という結果が大事」という言葉では、僕が感じた感動が汲み尽くせない気がしました。
(優勝した荒プロはもちろん、優勝できなかった前原プロ、藤崎プロ、沢崎プロも主役であったように感じました)

今回、拙いながらも自分の麻雀を決勝で打つことができ、観戦者から「観戦してて感動したよ」と言われることがありました。
(僕個人としては他人に見せるには恥ずかしい麻雀でもあるのですが)
数年前に僕が感じた感動を、プレイヤーとしてまた別の人に伝えることができたならば、これほど幸せなことはありません。
「あの時、僕が観戦していて感じた1%でも誰かに分け与えることができたなら、僕がいた役目もあったかな?」
そんなことをふと思ってしまいます。

もちろん、今回で満足することもなく、次もその次も、もっと決勝の舞台に立ちたいですし、そのためにも決勝で戦える実力を身につけねばならないと感じています。
視聴者の方にいい内容の試合を見せること、コンテンツを魅力的にすることが僕らの仕事だと思ってます。
また、そんな麻雀を打っていたら麻雀の女神もいつか振り向いてくれる、そんな気持ちで臨んでいます。

長々と自分の価値観を書いてしまいましたが、それも僕という1人の人間の考え方、「こんな変人が1人ぐらいいてもいいかな?」とか考えています。

終わりに、日本プロ麻雀連盟ではたくさんの人にお世話になったので、この場を借りてお礼を言いたいと思います。
特に、日頃からお世話になっている刀川昌浩プロ。
様々な麻雀観を吸収させていただいた藤崎智プロ、沢崎誠プロ、
決勝前日に、激励の言葉をかけていただいた吉田幸雄プロ、茂さん。
その存在が励みになった同期の福光聖雄プロ、安村浩司プロ。
その他、諸先輩方、同期の方々。
そういったまわりの方たちの存在がこの度の結果につながったと思います。

最後に、王位戦の決勝の舞台で共に戦った荒正義プロ、矢島亨プロ、五十嵐毅プロに感謝の意を表して、締めくくりたいと思います。
どうもありがとうございました。

次回は、麻雀格闘倶楽部「彩の華」から参戦している、山脇千文美プロにお願いしたいと思います。
よろしくお願いします。