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鳳凰の部屋

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「疑問、そして感触」 勝又 健志

2016/06/29
執筆:勝又 健志


最近、麻雀ファンの方にこんな質問をいただいた。
「やはり鳳凰位決定戦は他の対局の何倍も緊張するものですか?」と。

他のプレイヤーの方々がどれだけ緊張されるのかはわからないが、私は普段の対局から割と緊張するほうで、対局前の電車の中等では「早い国士に放銃したらどうしよう。連続で選択ミスしてボロボロに負けるんではないか。」のようにマイナスなことがかなり頭をよぎり不安を募らせている。しかし、今年はほとんど緊張することなく決定戦に臨むことができたと記憶している。自分でもその理由はわからないが、かなり良い精神状態で決定戦を戦うことができたのではないかと今になって思う。

さて、本題の対局の方はというと、ここまでまずまずの戦いができていたにも関わらず、飛び出た疑問手は1回戦南3局3本場。
古川が仕掛けて2,900、仕掛けて2,000オールとリズムに乗ってきたところ。しかし、私はこの連荘を止めにいくのでなく、良い形でオーラスの親番を迎えられるようにいつも通りの手組をしようと考えていた。

9巡目、古川が四索のポン。ドラが九筒であり河もタンヤオの代表例のようなものであったので、おそらく打点は低い仕掛けであろう。
10巡目、前田が2枚目の発を仕掛けてドラの九筒切り。前田は2巡前に七筒を切っているので、おそらく打点を諦めしっかりとアガれる形を作りにきたのであろう。
そのように2人の仕掛けを見ていた。

100

そして11巡目私にテンパイが入る。
どちらに受けるかに関しては、どちらもさほど魅力のある待ちとは思えなかったので、ソウズがリャンメンに変化したならアガれるのではないかとシャンポンに構える二筒切り。
すると同巡、瀬戸熊が切った二万を前田がチー。これで前田のテンパイはほぼ確実となった。すると次巡、アガリ逃がしとなる三筒をツモるとこれをツモ切りリーチ。結果はホウテイで前田に2.000点の放銃となった。

自身の河が強いだけに、私がリーチにいけば打点の低い2人は戦いづらいであろうというのが思惑だが、それならば即リーチにいくべきであった。ツモ切りリーチだけに迫力がなくなるという点は今局にはそれほど影響があるとは思えないが、この1巡で前田が一手進んでしまったのが大きい。こうなれば最終形の強さからこの結果は必然に近いものである。
結果論であるが、即リーチにいってさえいれば、おそらく自身のツモアガリの結果になっていたと思われる。大事にいったと言えば聞こえはいいが、戦う気持ちにかける甘い選択をしてしまった。

そして、オーラスの親はわずか5巡目にして古川がツモアガリ。1回戦は沈みの2着という結果であった。

1回戦にその疑問手が直接沈みの原因となったことは、より集中力が高まることにつながったと今は思う。
2回戦。東1局に瀬戸熊が2巡目から四索三索二索と1メンツ落としてきた。最後の二索切りは三索切りの時のツモかもしれないのでメンツ落としと断定はできないが、トイツ系か一色系の打点ある手組をしていることは間違いない。しかし、二索切り以降ツモ切りの瀬戸熊を見て、手牌の方針とツモが噛み合わず苦労しているであろうと予想していた。そのため自身に打点あるテンパイが入ると即リーチにいく。

八万八万八万九万九万四索五索六索八索八索三筒四筒五筒  リーチ  ドラ八索

すると同巡瀬戸熊からツモ切りリーチが入る。

二筒三筒四筒六筒六筒六筒八筒八筒八筒東東中中  リーチ

一人旅での山との勝負を避け、相手を勝負の土俵に上げるヤミテンであった(本意は1回戦の出来などを踏まえてかもしれず瀬戸熊さんに尋ねてみないとわからないところだが)。
一人旅を選択しなかった以上、瀬戸熊の待ちも苦しい可能性が高いと踏んでいたが、私の待ちも狙ったものでなく、効率的に手牌を組み残っただけの待ちであり大きなリスクを伴った1局になった。

結果は流局と嬉しいものであったが、私の気持ちとしては「打点に甘えずもっと有利な局面を作り出しそこで勝負しなければ。それこそが自分の勝機になる。」そんなことを思っていた。
それが南3局の親番で早くも実現する。

100

ドラの中が暗刻になったことで打点は十分、役もできたわけで、後はいかに4面子1雀頭を完成させるかというところ。
ここで河を見て、古川は十中八九ピンズの一色手。前田は七索切りの後の二万切りと三万のツモ切りで一万四万は厚く持っている可能性はあるが、ピンフ系のマンズ1メンツ、ソーズ1メンツくらい。もう少し踏み込むなら、ドラが自身の手牌にある以上、打点重視の前田は何かしらの手役を追っていると仮定できる。七対子、チャンタは序盤からかなり可能性が低く、七索六索二万三万あたりを見ると三色よりも一気通貫、他にはタンピンイーペーコーが考えられる。それならばやはりピンズを多くもっているのではないか。
瀬戸熊はシンプルに攻めている河で、後々打ちづらくなるであろうピンズを先に処理してマンズソウズの多い形。

このように考えていた。
ならば、リャンメンとはいえピンズが一番苦しいターツであるのでここは四筒切りとする。
1シャンテンの段階であればリャンメンという形よりも、古川から打ち出されチーテンに取れる可能性の方が価値は高いと判断した。
さらにメンゼンでテンパイできヤミテンを選択すればリャンメンターツを払って目立ってしまうとはいえ、若干ではあるが出アガリも期待できると思っての選択だった。
(余談ですが、この時滝沢さんがおっしゃっていた解説がドンピシャ!さすがプロ入り前からずっと一緒に麻雀してきたタッキー!)

そして結果は、
100
二万三万四万五万五万六万七万六索七索八索中中中  ロン八万

もちろん幸運に恵まれての結果ではあるが、有利な局面を作り出しそこでしっかりと戦うということができた満足のいく1局であった。
この2回戦でトップを取れたことで、これまで研究してきた戦い方でいけるという自信につながった。
3回戦以降はまた次回!
できるかぎり自分の考えをお伝えできればと思います!