プロ雀士インタビュー

プロ雀士インタビュー/第27期新人王戦優勝特別インタビュー:岡本和也

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第27期新人王戦を優勝した岡本和也プロと
プレゼンテーターの瀬戸熊直樹プロ

「第27期新人王は岡本和也!!」
新幹線の時間の都合上、決勝戦の対戦途中に後ろ髪を引かれる思いで会場を後にした私は、この知らせを帰りの新幹線で聞いた。
その知らせを聞いた私は素直に、
「岡本プロすごいなー。」
と、仲間の活躍に心躍らせたのだった。
翌日、望月支部長からメールが届く。
「今回の新人王戦に参加した選手に、岡本プロのインタビューをやってもらいたいと思います。希望者は明日までに返信をください。」
私は
「是非やらせてください。」
とすぐに返信。
こうしてこの度、岡本プロのインタビュアーをさせて頂くこととなりました、28期生の鷲見隼人です。
(実は岡本プロは同じ高校の後輩なのです。)
不慣れで読みにくい点も多々あると思いますが、最後までお付き合いいただければ幸いです。
8月某日、望月支部長が用意してくれた天婦羅屋にて。

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望月・鷲見「岡本プロおめでとう!」

岡本「ありがとうございます。」
望月「とりあえずあれ見る?」
あれとは、第24期チャンピオンズリーグ優勝の藤原プロと、第27期新人王の岡本プロが出演した、ニコ生の放送の事である。
岡本「恥ずかしいからやめましょうよ。」
望月「大丈夫だって♪」
その放送を見ながら
望月「緊張してるね~(笑)」
岡本「(新人王の)決勝の5倍ぐらい緊張しました。」
鷲見「でも決勝戦の1回戦の東1局は後ろで見ていて、緊張しているのが伝わってきたよ。」
岡本「確かに最初の局はすごく緊張していました。でも大久保プロのリーチ(リーチ・ピンフ・ドラ2・高目イーペーコー)が流局してホッとしました。そして次の局からは対局に入り込めました。」
鷲見「そう!次の局!よく東打たなかったね。」
岡本「清水プロが両面チーした局ですよね。まさかホンイツとは思いませんでしたが、ダブ東と中のダブルバックもあるかな?と思って止めました。東2局から不思議と局面がクリアーに見えて、手出し・ツモ切りから危険牌などが自然にわかりました。」
望月「いわゆるゾーンってやつだよね。俺も長いこと麻雀プロをやっているけど、ゾーンに入ったって思えるのは一度だけ。第23期鳳凰位決定戦の時だけだな~。」
この会話を聞きながら、これくらいの極限に達しないと、タイトルは取れないのだなと思った。
同時に自分の未熟さを痛感した瞬間でもあった。
鷲見「東止めたのを見て、岡本プロ行けそうって思ったよ。」
岡本「僕もよし!って思いましたよ・・・でも1回戦終わってみればCラス(一人沈みのラス)で正直焦りました。」
望月「よくそこから立て直したね。」
岡本「きっかけは2回戦東3局の親番で5,800アガれたところですね。」
望月「あれよく鳴けたね。」
岡本プロは
東家・持ち点28300・3巡目
三万四万四万六万七万二索五索五索六索六索七索八筒八筒  ドラ六索
ここから七索をチーして5,800をアガる。
1回戦1人沈みのポイントと、巡目を考えたらなかなか鳴けない。
望月支部長のスタイルならまず鳴かないだろう。
岡本「今の状態では門前では仕上がらないだろうと思っていました。その矢先に七索を続けて打たれたので反応しました。」
鷲見「そして次の局。」
望月「これ下手だよね?普通に打七索で良くない?」
5,800をアガった次の局、岡本プロは
東家・持ち点34100・3巡目
二万三万四万四万六万七索一筒二筒三筒四筒六筒白白  ドラ五万
ここにドラの五万を引いてテンパイ・・・と思いきや、打一筒
その後、ツモ白で打六筒ツモ一筒・・・ツモ切り
ツモ五万で打七索
二万三万四万四万五万五万六万二筒三筒四筒白白白  ロン二万 
これを清水プロから出アガる。
岡本「下手ですね・・・普通なら一筒で4,000オールアガってますね。」
鈴木「うん、うん。」
ん?鈴木?
岡本プロインタビューの噂をどこで聞きつけたか、鈴木秀プロがここから飛び入り参加!

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鈴木「あの東2局さあ~」
望月「サムちゃんその話終わったよ(笑)」
鷲見「冗談はさておき、南1局1,300・2,600をアガってトータルトップに立つんだけど、どうしてこれシャンポン待ちにしたの?」
望月「そうそう!普通はカンチャンにとるよね!」
鈴木「どうせ、七索ポンで九索出やすいな~なんて思ったんだろ?」
岡本プロは
西家・持ち点39800・11巡目
一索一索三索三索四索五索七索七索九索九索中中中  ドラ八万
ここから七索をポンし打三索とした。
これだけ見れば普通なのだが、この時の場況が、一索二索が両方2枚切れ。九索は生牌。
つまり、シャンポン待ちにしてもカンチャン待ちにしても残り2枚。
それならば、その後の手牌変化を考えて、打一索とするのが普通であろう。
岡本「この時九索に相当自信があったんですよ!」
確かにこの時九索は山に2枚眠っていた。
この後すぐ、親の清水プロからリーチが入るのだが、あっさりと九索をツモアガる。
自分の山読みを信じ、シャンポン待ちにした岡本プロは大したものだと素直に思った。
鷲見「トータルトップに立った時の心境は?」
岡本「この時は、必死でそれほどポイントは意識していませんでした。」
南2局、三浦プロが2,000を岡本プロからアガリ、再び三浦プロがトータルトップとなる。
そして迎えた南3局、
岡本プロはこの局以下のテンパイ
東家・持ち点49,300・8巡目
一万一万二万三万四万四索五索六索六索七索八索五筒六筒  ドラ一万
これをヤミテンに構える。
ここまでのトータルポイントは、
三浦プロ +8.1P
岡本プロ +7.0P
大久保プロ+0.4P
清水プロ ▲15.5P
ここで4,000オールや11,600をアガれば決定打となる。
しかも仕掛けている清水プロはソーズのホンイツ模様。
リーチを打ちたくなる局面だ。
しかし岡本プロはリーチを打たなかった。
鷲見「どうしてこれリーチしなかったの?」
岡本「清水プロが大物手気配で、何か字牌を引いたら止めようと思っていました。ポイントから考えたら1枚目の白から鳴くという事は大三元や字一色まであるなと思いました。」
実際この時の清水プロの手牌は、
一索二索三索七索発中中  ポン西西西  ポン白白白
この後すぐ中もポンして発単騎の倍満テンパイとなる。
2巡後、清水プロは、九索をツモリ発では出アガリが出来ないと思い、九索単騎に受けかえた。
その直後、岡本プロの手元に発が・・・
もし岡本プロがリーチをしていたら、清水プロはそのまま発単騎にしたかもしれない。
そうすると、岡本プロの倍満放銃となり、岡本プロの優勝は無かっただろう。
あの大舞台でこの冷静さ。
優勝するのも頷ける。
望月「岡本もここからが大事だよな。」
岡本「そうですね。今後タイトル戦などでチャンスがもらえるので、そのチャンスを生かせるように精進したいです。」
望月「今回の優勝で、新人王岡本和也になるわけだ。新人王という枕詞がつく。それが将来、連盟の岡本和也・麻雀プロ岡本和也になるかどうかは、岡本次第。」
岡本「はい。頑張ります!」
鷲見「それでは最後に今後の抱負を、聞かせてください。」
岡本「タイトル戦などで・・・」
鈴木「固いな~!もっと面白い事言えよ(笑)」
岡本「では、グランプリMAXで望月支部長に勝つ!・・・でどうですか?」
鈴木「まっいいだろう。これで(新人王を獲った事で)俺より格上だし(笑)」
こうしてインタビューが終了した。
ゆっくり岡本プロと話したのは、実はこれが初めてで、
「気さくでまじめ」
という印象を受けた。
望月支部長曰く、
「まだまだ下手!」
ではあるが、彼の麻雀に対する熱意と意志が伝わってきた。
今後の彼の活躍が、非常に楽しみである。
家に帰り、ボイスレコーダーを再生しながら、もう一度牌譜データ―サービスを見返す。
最終戦オーラス。
アガれば優勝の2人(三浦プロと岡本プロ)にテンパイが入る。
岡本プロは中バック
三浦プロは発バック
この時清水プロの手牌に、発が2枚・中が1枚。
そして大久保プロの河に中が放たれる。
岡本プロの優勝が決まった瞬間だ。
この牌の並びは、麻雀の神様が決めた物だろう。
そして、麻雀の神様に選ばれたのが岡本プロ。
そう思うと熱いものがこみ上げてくる。
岡本プロ、改めておめでとうございます。
僕も早くタイトルを獲って追いつきますからね!