プロ雀士インタビュー

プロ雀士インタビュー/第102回:沢崎 誠

「日本で麻雀が一番強いのは誰だっ…!!」
先日行われた、麻雀最強戦2013ファイナルで強豪たちを打ち破り、見事優勝したのが、沢崎誠プロである。
彼は何を思い、何を考え、勝負していたのか。そして勝因はどこにあったのか。
という事で、今回、沢崎誠プロのインタビュアーを勤めさせて頂くのは、
麻雀最強戦2013で、最強戦ガールズ西日本代表として活動してきました、
日本プロ麻雀連盟29期生、石田亜沙己です。よろしくお願い致します。
私と沢崎プロは、今回のインタビュー以外では、ほとんどと言っていい程、
言葉を交わしたことはありませんでした。
唯一言葉を交わしたのは、麻雀最強戦で沢崎プロが優勝した時です。
石田「おめでとうございます!!」
そして、今回のインタビューの日程で連絡をすると、私が名古屋に在住しているということを知り、
沢崎プロから…
沢崎「名古屋は大好きです。少し考えたのですが名古屋でもいいかな?って。」
という事で急遽、名古屋でインタビューする事となりました。
石田「私は麻雀の映像を観るって事も、プロになるまでなかったんです。おじいちゃんが麻雀やってるくらいで、麻雀の事はなにも知らなかったし、麻雀の映像があるなんてことも知らなかったんです。それが今となっては…。」
沢崎「これからはもう映像の時代だからね。ぼくなんかはね、映像の時代がくるってわかっていた。
けど、ぼくが出ようとは思ってないんだよ。連盟の若い世代が映像にたえられないと。
そのためには、色んな事がきちんと出来ないと。ポン、チー、ロンでアガリが1,000点じゃ…。
それが大事な局面ももちろんあるけれども、それが2局3局続いたら、麻雀って観ている人はつまんないってなっちゃう。それで勝つかもしれないけど、視聴者はね…。」

石田「確かに勝つかもしれないけど、観ている人はもっとドキドキしたいと思う!!」
沢崎「でしょ?だから連盟のプロっていう意識を持ってやらないと。視聴者が離れてっちゃうって思うね。」
石田「それこそ今回の最強戦も、やっぱり逆転劇っていうか、そういうのを連盟のプロが次々と見せたわけじ
ゃないですか。それで最終的に決勝に残ったのが、4人とも連盟のプロっていうところも、視聴者からしたら、おっ!!全員勝ち上がったんだって盛り上がりますよね。」
沢崎「残るだろー。3人残ったら最後はぼくだからね。あそこで残らなかったら、何を言われるか…3人に言われちゃうよ。(笑)」
石田「そういったプレッシャーもありますよね。(笑)」
沢崎「早い段階でやる分には負けちゃうかもしれないけどね。1、2、3って連盟、連盟って来たら最後が負けるわけにはいかないよー。逆転した森山さんになんて言われちゃうか…(笑)」
石田「うん。(笑)」
沢崎「でも麻雀はきちんと打たないとね。」
石田「はい。いやぁー、それにしても素晴らしかったです。ぜひもう一度観たい!!会場にいた観客の皆さんの歓声が、控え室まで聞こえるくらいだった。」
沢崎「近代麻雀に、跳満の手をオリたとか書いてあったでしょ?ツモり三暗刻の形の。」
石田「はい、読みました!」
最強戦予選D卓 南2局
親・茅森の捨て牌 
北南発三索 上向き北五索 上向き一万 上向き五万 上向き三筒 左向き二万 上向き白七万 上向き五筒 上向き南四万 上向き
沢崎手牌
四索四索四索八索八索東東東中中  チー五索 左向き六索 上向き七索 上向き  ツモ六索  ドラ八索
沢崎「六索は多分あたると思ってるの。でも六索八索かって事じゃないんだよ。もっと大事なことは、ちゃんとゲームを考えていけば、放銃が絶対にいけないんだよ。あの局だけは放銃しちゃいけない、大事なことなんだけどわかる?」
石田「うーん、はい…。」
沢崎「誰かがアガる分にはしょうがないけど、放銃だけはいけないという、自分の中のテーマは明確だった。何でかっていうと、親がぼくの上家のじゃいさんだったでしょ?」
石田「はい、じゃいさんが親でした。」
沢崎「それでトップ目が最強位じゃん。」
石田「はい、そうでしたね。」
沢崎「最初にお前だけはやっつけてやるって宣言していたでしょ?」
石田「うん、うん!!じゃいさんが水沼さんに言ってました!!」
沢崎「だからそれを覚えてたから。ぼくがツモるのも、誰かがアガるのもいいけど、放銃して局を進めてラス前をむかえたら負けだから。だからあれは絶対に放銃だけは許されないの。」
石田「利用するってことですか?」
沢崎「うん、だからあれは六索九索だと思っているよ。六索は打たないにしろ、多分八索は通ると思っている。八索は通るんだけど、じゃあぼくは何を見ていたのかって事。五索を鳴いたのはツモろうと思っているから。ツモって跳満は魅力的だから仕掛けた。だから六索がきて八索を切るのはおかしいじゃん。アガっても安いし。だから両方切っちゃダメなんだ。親を連荘させる事も大事なテーマ。そうすると3局残ることになるでしょ?逆転するチャンスがある。それが放銃すれば、残り2局となる。放銃してむかえる親でしょ?」
石田「はい…。」
沢崎「そんなのすぐ終わっちゃうよ。東1局だったら切っている。燃えている男に連荘してもらう。親が連荘してくれて、元最強位をいじめてくれるのが大事なこと。」
石田「もう一度親に頑張ってもらうためにも、放銃だけは許されないってことですね。
そういう戦い方もあるんだ…。」
沢崎「局が進まなくて困るのはトップ目で、3人は困ってないから。そういうのを考えて打っていた。対応、対応で打っているからね。」
石田「最強戦ガールズはもうびっくりでしたよ。強かった。連盟のプロ。」
沢崎「連盟は強いよ。僕も強いでしょ。(笑)」
石田「(笑)」
沢崎「そんなことばっかり言ってるよ。でもそれを言い続けるには、勝たなきゃいけないんだよ。負けていると言えないから。」
石田「やっぱり自信が強さや勝ちに繋がっているのかな?」
沢崎「自信は何かって言うと、やっぱり練習だよー。昇降級とかは関係ない。自分で決めたことをできるようにそれだけを特訓する。ついている人間は勝てるよ。でも、プロとして一線級になるには、ついていなくても勝負になんないと。」
石田「うん、うん…確かに。」
沢崎「だからやっぱり普段から練習しないと。リアルで打たなくても、麻雀の事ばかり考えている。若い頃は毎日、麻雀の夢を見ていたくらい!!麻雀の夢見る?」
石田「いやぁ、私あんまり夢って見ないので、麻雀の夢は1、2回しかないですね。」
沢崎「そうなの?いっぱい見たほうがいいよ。いいのあったら、あっもう1回とか言ってもう一度見るんだよ」
石田「そんな都合よく、夢ってみられるんですね!!(笑)」
沢崎「放銃した夢は見たことないな。(笑)悪い夢はすぐポイ!!子供の頃、ヘビのテーマパーク見に行ってから見た夢が、空から落ちるとそこにヘビがいるんだよ。コンクリートに一万匹ぐらい!マムシがね。そしたらいつの日か、会長が“まむしの沢崎”ってネーミングをつけたんだ。最初は絶対に嫌だと思ったよ。(笑)1日ぐらいしてOKした。まぁ、くらいついて離れないって方のまむしだから。」
石田「へぇー、そんなこととは知りませんでした。話は変わるんですけど、私ゲームでの麻雀がリアルに比べると苦手で…。」
沢崎「情報が少ないもんね。でもロン2の成績いいじゃん。(笑)」
石田「なんで知ってるんですか!?(笑)」
沢崎「見てきた。(笑)」
石田「そうだったんですね。麻雀格闘倶楽部も今回から新規参戦させていただいてるんですが…。」
沢崎「一番使える牌ってなにかわかる?」
石田「うーん、3?4?使いやすいけどなぁ。なんだろ?」
沢崎「みんなに聞くと大体5とか言うんだよ。」
{ここから中々答えが出ない私でしたが理由を説明して頂いて、3と7ということがわかりました。}
沢崎「パッて見たときに、3とか7が2つぐらい出てきたらあそこは危ないって思うわけ。くっつきやすい牌が出ているから早いって思うわけよ。国士とかやっていたら別よ。そういう風にも判断したりできるわけよ。そういうのが、データが教えてくれたことでもあるよね。安牌がすって最後に出てきたりさ。」
石田「まだまだ、麻雀の情報が足りなさ過ぎるってことですよね。私は実際にゲームセンターへ行って、麻雀格闘倶楽部をやったことってなかったんですよ。それこそ、後ろで見ているだけっていうか…女の子ってだけで、やっぱり行きづらい空間で…。でも、今回新規参戦ってことで、とてもチャンスだなって。女の子がもっとプレイしやすいように、イメージ変えたり、それこそ、私に与えられた仕事のような気がして…!」
沢崎「やっぱり今は、麻雀に興味多い女性も多いもんね。ぼくですら雀荘とか入りづらいもん。(笑)」
石田「それは嘘ですよね?(笑)やっぱり同世代の女の子の麻雀人口が増えたら嬉しいな。」
沢崎「健康麻雀とかでも増えたもんね。今はシニアだけど、ジュニアとかも作ってもいいよね。」
石田「うん、色んな分野を増やしていったら魅力的だと思います。」
今回は、こんな感じで将来の麻雀についてもお話しました。
ここには書ききれませんでしたが、強くなりたいならどうするべきか、
沢崎プロの強さの秘密を、ほんのちょこっとだけですが教えていただきました。
私は単純なので、家に帰ってこの日話したことを実践しようってことを、ノートに書き出してみました。(笑)
少し話しただけでオーラを感じ、今回話していることも、沢崎プロにとっては、
麻雀人生のごく一部でしかないんだなってだって思ったらなんだか…
インタビューの最初に、どうやって強くなるのか、勝つのかって質問をぶつけたとき沢崎プロは、
「勝とうとなんて思っていない。勝つんだから。自分で納得いく麻雀ができるかってことだけ。」
と答えてくれました。
“勝ちたいではなく勝つんだ”
最強位の麻雀への思いは誰よりも強く、たった数時間しか話していない私にまでも、
それは伝わってくるものでした。
名古屋にいる分、他のプロにおいていかれるのが不安だという私に、
沢崎プロは、「大丈夫、周りにそういう人がいなくても、今の時代は勉強する環境はもう整っている。
何か麻雀で困ったら、ぼくに聞いてくれればいいから。」と。
最強位、沢崎誠。
これからもきっと彼は、誰よりも勉強し続け、麻雀の技をアイテムとして増やし、
麻雀を観る者を楽しませてくれることでしょう。私も期待しています。
長くなりましたが、今回のインタビュー記事を読んで頂き、ありがとうございました。
mas22