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プロ雀士インタビュー

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第129回:プロ雀士インタビュー 井上 美里 インタビュアー:早川林香
「テンパイって最強なんだよ・・・・・・」

2015/09/25
インタビュアー:早川 林香


インタビュアーやりたい?
それが第29期新人王として輝いた、井上プロからの最初のメール。
東北本部の第30期生として一緒に戦ってきた同期である。

プロになって1年目で、井上プロは2015最強戦全日本女子プロ代表になり、更には2年目で第29期新人王になり、その勢いはもう止まることを知らない。
同じ東北本部所属として誇らしい気持ちがある反面、どんどん活躍していって寂しい気持ちがあるのはここだけの話。

もちろん私はインタビュー自体も初めてだったし、このような公式の場に私が書いた文章が載るなんて、と緊張したが、井上プロの指名という事もあり、喜んでインタビュアーを受けさせて頂いた。

拙い文章ではありますが、お付き合い頂けますようよろしくお願いします。

リーグ戦の後、集合場所は駅前のやきとり屋さん。
乾杯もそこそこに、焼き鳥がどんどん運ばれてくる。
ねぎまはやっぱり塩がうまい。

早川「新人王おめでとう!カンパーイ!」

井上「ありがとう!カンパーイ!」

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早川「まずは、新人王戦の予選ではどう戦おうと思ったの?」

井上「うーん、なるべく上の方にはいたいと思ったかな~」

早川「うんうん。」

井上「7回戦まで残れば、必ずチャンスはあるから、ボーダーを下回らない様に大事に打ったよ。決勝に残ってからはもう優勝の事しか頭になかった。」

早川「緊張感とか、そういったのは無かった?」

井上「そりゃ少なくとも緊張はするけど、心地いい緊張感というか、さぁ戦うぞって気持ちかな。」

早川「テレビ対局も慣れてるもんね~。」

井上「決勝が次の日だったから、予選が終わったのは8時半くらいだったけど仙台に帰って、ついたらもうグッスリ寝ちゃった。」

早川「すごいね!緊張して寝られない~って人が多いと思うけど…。」

井上「ちゃんと寝ないとダメだよ!大事な戦いの日に寝不足なんてもったいない!」

早川「そうだよね。他には心がけている事とかある?」

井上「大事な対局の前、ご飯は2時間前まで!」

早川「へぇ~!それはどうして?」

井上「ご飯を消化するためのエネルギーがもったいなくて。その分の血液を脳に使わないといけないのに、って!」

この様に、井上プロはストイックであり、どんな時でも冷静だ。
麻雀に対しての真剣な気持ちは誰にも負けないだろう。

そこが彼女の一番の強さだと私は思うのだ。

早川「決勝で優勝するための作戦とかはあった?」

井上「うーん、1回戦目は3位以内を心がけたよ。様子見というか、誰かのポイントが大きく動いたりしなければ良いなって。丁寧に打とうって思ってた。」

1回戦目終了時のポイントは、

弘中プロ+16.1P
平野プロ+8.5P
井上プロ▲6.1P
土屋プロ▲18.5P

と、1回戦目は各人大きくポイントが動かず、まずまず井上プロの作戦通りといったところ。

2回戦目 東2局 西家 5巡目

三万三万四万四万四索五索六索六索七索八索五筒六筒東  ドラ七索

この牌姿から三万をポン

早川「この巡目であっさり三万を仕掛けてテンパイとっちゃうんだよね。なんか仕上がりそうな手でちょっと勿体無いかな~って思ったんだけど。」

井上「取れるテンパイは取るよ。テンパイって最強なんだよ。それで、しっかりアガっておくこと!それが後に生きるから。」

前局に満貫を放銃しているので、私だったら焦ってこの局で取り返す!なんて思ってしまう。
この新人王戦の決勝戦において、冷静な判断と自分のスタイルを変えない、ブレない打ち方はなかなか出来るものではない。
テレビ対局ということもあって、緊張してしまって普段通りの打ち方が出来なかったりするものだ。

3回戦目 南2局 南家 9巡目 2本場

四万五万六万七万三索四索五索六索七索三筒四筒五筒六筒  ツモ八万  ドラ七筒

早川「ここではちょっと考えて八万をツモ切りしたんだよね?三筒六筒切るっていう選択肢もあったと思うんだけど。」

井上「八万は自分で九万切っているからフリテンを嫌ったんだよね。345か456の三色にしたかったから、ピンズにはまだ手をかけたくなかった。」

早川「なるほどね。」

早川「それで、最終的に三索七索のシャンポン待ちになって5,200点の出アガリ!」

四万五万六万三索三索四索五索六索七索七索四筒五筒六筒  ロン三索

早川「一番印象に残っている局はある?」

井上「やっぱり、最終戦の南1局かな。」

最終戦 南1局 北家 3本場

カン三筒をすかさず仕掛け、4巡目にテンパイが入る

三万四万五万六万七万五索六索七索八筒八筒  チー三筒 左向き二筒 上向き四筒 上向き  ドラ九万

その後、親の弘中プロと平野プロの2軒リーチ!

早川「そこね!見ていて私も凄くハラハラしたし頑張れ!って応援してた!」

井上「親のリーチに対して全くの無スジの四筒を切った時は震えたよ。通った時はもう全部押すつもりだった。どうか同じ待ちでありますように!って。」

早川「結果、親の弘中プロから二万の出アガリ!」

弘中プロの牌姿

四万五万六万六万七万二索三索四索六索七索八索五筒五筒  リーチ

早川「でもさ、まだポイントは結構離れてたし、そこまで無理しなくても良かったんじゃない?」

井上「前局に先制でテンパイをしていたのに、親のリーチでオリたから。それがいけなかったんだなって嫌な予感がしたんだよね。どこかで勝負しないといけないっていう意識があって、それが今なんだ!って思った。」

早川「うんうん。」

井上「油断したらやられる!ってずっと思ってたから、最終戦始まった時にポイントは結構持ってたけど、弘中プロと平野プロの親番が終わるまでは気は抜けなかったよ!」

一生懸命、という言葉は彼女には適さない。
冷静に、そして丁寧に。それが当然であるかのように、優雅にこなす。
頑張っているから強いのではない。麻雀が好きだから上達していく。
彼女のインタビューをしていて、普段の彼女を見ていて、つくづくそう思うのだ。

早川「休みの日は何をしてるの?」

井上「寝てる。」

早川「えっ(笑)」

井上「あとは、休みの日でも勤務先に顔出して麻雀打ってる!」

早川「麻雀ほんとに好きなんだね!」

井上「うん!」

早川「じゃあさ、好きな牌とかある?」

井上「うーん…高目のロン牌!三色の方ね!(笑)」

早川「それ採用!!(笑)」

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早川「改めて新人王おめでとう。これからの目標とかはある?」

井上「タイトルをいっぱい獲りたい!」

早川「一番獲りたいタイトルは?」

井上「女流桜花!…ってまだBリーグの私が言うのはおこがましいことだから、とりあえずAリーグ昇級を目指して、Aリーグになってから改めて女流桜花を獲りたい!って言いたい。」

早川「そうだね、私も早く追いつけるように頑張るから待っててね!」

実は、最初の頃(この人性格きつそう!怖い!)と人見知りな私はビビりまくっていた。
研修の時に回転切りが出来なくて、井上プロに聞いた時の話。

早川「(勇気を出して)あの、井上さん!回転切りのやり方教えてもらってもいいですか?」

井上「…え?普通にやれば出来るよね?(笑)」

早川「(ひえ~怖い!)すみませんわかりました!」

井上「いやいや、回転切り今からやるから、それ見てなよ。」

きゅん…//

と、この様に、性格はオラオラ系でありサバサバ系であり、とりあえずSだ。

好きなものはラッコ。
本人曰く、あのほにゃ~んとした顔と餃子みたいな耳がたまらなく可愛いらしい。(よくわからない)

そういう事を書けちゃうくらい今では仲良しになった。
人としても、麻雀のプロとしても、彼女の事をいつまでも尊敬し続けるし、いつまでも彼女の背中を追いかけていくつもりだ。

今後の活躍にさらなる期待をしよう。
きっと彼女はそれに応えてくれるから。

8月30日(日)新人王戦決勝戦の当日。
東北本部の平田孝章本部長がお亡くなりになりました。
前日まで、井上プロの決勝戦進出を祝い、優勝を願っていました。
最後に力を貸してくれたのかもしれません。
ご冥福をお祈り申し上げます。