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プロ雀士インタビュー

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第159回:プロ雀士インタビュー 佐々木 寿人  インタビュアー:山口 大和

2017/02/24
インタビュアー:山口 大和


「ここ2、3年は勝負の構えが良くなかった。私生活でもヘルニアで入院など。でも嫁(奥様は手塚紗掬プロ)に今年は良くなるよと言ってもらって少し気が楽になった」

まさに圧巻の完全勝利だった第17回モンド杯。

 

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モンド杯といえば佐々木寿人。
第12回以来5年ぶり4回目の優勝(最多優勝回数)を果たした佐々木寿人プロにインタビューをしていきたいと思います。

改めて紹介するまでもないと思うが少しだけ。

今年で40歳を迎える佐々木寿人プロ。
プロ連盟入会当初から高い実力を評価され今ではプロ連盟の看板選手でもある。

先日行われた「麻雀プロ団体対抗日本一決定戦」でも8人の代表に選ばれ、1日目に放送対局で「地和」をアガリ、日本中の麻雀ファンの度肝を抜いたのは記憶に新しい。
そんな「スター」を前にインタビューなんて私も緊張・・・という事もなく、実は寿人プロとは私がプロ連盟に入る前から顔見知りではあったのでむしろワクワクの方が大きかった。

2月初旬、夏目坂スタジオへ。

14時の待ち合わせで30分前には到着していた私。
すると間もなく佐々木寿人プロ(以下ヒサト)も到着。

山口「ヒサトさん今日はよろしくお願いします!」

ヒサト「OK墨汁。」

・・・(笑)
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予選をダントツの1位で勝ち上がったヒサトプロ。
ポイントはリセットされ決勝2半荘の短期戦。
相手は井出康平プロ、村上淳プロ(最高位戦)、小林剛プロ(麻将連合)の3人。

山口「まず今回のメンバー見てどう思いましたか?」

ヒサト「予選の段階で貴重な収入源の滝沢(滝沢和典プロ)、藤崎さん(藤崎智プロ)がいなくてどこからポイント貰おうかと思ってたんだよね。それで井出(井出康平プロ)とは組み合わせの都合で予選では一度も当たらなかったからチャンスだと思ったんだよ。」

山口「・・・(笑)なるほど。とりあえず振り返ってみていきましょう!」

1回戦、東1局
佐々木寿人プロらしい開局となる。
井出プロの先制リーチに見向きもせず結果放銃となる。

ヒサト「構えがいいでしょ。結果放銃にはなったけど手はすくんでないから。短期戦は序盤が大事なんだよ。入りから相手のリーチに怯んでたらダメなんだよ。」

山口「なるほど。今回の決勝は全体的にストレートに進めている印象でした。」

ヒサト「だって、いらないもん。でもさすがに2局連続放銃は嫌だったけど満貫分くらいしか失点しなかったからそこまで気にならなかった。」

そして待望の初アガリは東4局。発中ドラ2の満貫を小林からアガる。

山口「このアガリで一息つけましたか?」

ヒサト「明らかにドラトイツの捨て牌で時間がかかると思ったのが、あっさりアガれて風が変わったと思ったよ。」

そして南3局、一度カン五筒のテンパイを外してドラと四筒のくっつき1シャンテンにとるとすぐに二筒を引き即リーチ。
あっさりと三筒をツモりアガる。

山口「ヒサトさんらしいですね。」

ヒサト「しっかり迷彩も効いてて良いアガリだったと思う。自分が引っ掛かったんだけど(笑)」

山口「これって迷彩ですか?」

ヒサト「当たり前だろ!この辺はよく勉強しておくように(笑)」

山口「はい!」

そして1回戦は3着で終える。

山口「どんな気持ちだったのですか?」

ヒサト「ラスじゃなきゃ大丈夫だと思ってた。順位点やオカがある分大丈夫だと思ったしね。」

この辺は、モンド杯の決勝に何度も残っている経験から。そして何より、自分の構えが牌や状況などとマッチしてきたのを感じていた本人の自信もあったのだろう。

2回戦
親の井出が一度アガって、1本場にまたも井出から先制リーチが入る。

ヒサト「この手、勝負手だったんだけど止めたんだよね。」

山口「ヒサトさんなら鳴いて捌くのかと思ったんですけど。」

ヒサト「勝負手だから鳴いちゃダメなんだよ。案の定、当たり牌引かされてるし。流局はラッキーだったね。」

攻めのイメージが強いがこういう繊細な部分と勝負の駆け引きの強さが光る。

ヒサト「こういうのがビタ止めのヒサちゃんって言われる所以だな。」

そしてここから攻めダルマの怒涛の攻撃が始まる。
親での満貫含め一気に加点、井出に並びかける。

ヒサト「ここは放送でカットされるかもしれないから書いといて。」

南2局 がらくたリーチ発動。
一手変わり三色の手だがノータイムテンパイ即リーチ。

ヒサト「結果、流局だけどここはもう誰も向かって来れないのは分かってたし、三色になっても待ちが良くなるわけではない。だから相手に隙をあたえない事が大事。これでつないだ親番で次局フィニッシュブローが決まるから。」
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南2局1本場
村上のドラ3リーチに立ち向かい決めた満貫で勝負あり。
最後のフィニッシュはまさにホンイツ評論家らしい、アガリであった。

 

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山口「次は王座ですね!」

ヒサト「王座はからっきしダメなんだよ。一度も連帯したことない・・・(笑)」

山口「今回の対策とかありますか?」

ヒサト「対策?対策なんてないよ。いらないもん切るだけ。ただ今までは打ち方が甘かったからな。姿勢とか構えとか。ミスも多かったし。もちろん難しい手牌もあったり、その逆で誰でもアガれるような手が来るときもある。ただ麻雀で大事なのはチャレンジ精神だと思うんだよね。どんな手牌でも最善をつくす事が、チャレンジだと。その精度は上がってきてるよ。」

山口「なるほど。」

ヒサト「あとね、負けは人を大きくするよね。やっぱり。ヤマト君、君も少しは学習したまえ!」

山口「はい!ちなみにヒサトさんはゲンとか担ぎますか?」

ヒサト「シャツかな?このシャツでリーグ戦も昇級したし、良い結果を出せた物は身に付けるようにしてるよ。」

山口「いろいろ結果を出せなかった時期もあったと思いますが・・・」

ヒサト「やっぱ一番はメンタル面だね。本当に良くなかった。構えがちゃんと出来てなかった。どっしり構えてれば良いものを、慌てたりとかあたふたしたりとかで自分を見失ってたよね。」

山口「それがどう良くなったのですか?」

ヒサト「吹っ切れたんだよね。A2で負け続けて。でも年間のリーグ戦だし降級するとは思わなかった。麻雀の内容も構えも良くなってる実感はあった。」

山口「まさに復活!って感じですかね。じゃあまずは王座勝ってくれますか?」

ヒサト「当たり前だろ」

山口「やっぱり、王座で勝つヒサトさんがみたいですよ!とりあえず1回でもトップを取って欲しいですね(笑)」

ヒサト「生意気だな(笑)当たり前田直哉って書いとけよ!」

ヒサトさん書いておきましたよ。
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初めてヒサトさんに出会ったのは吉祥寺だった。
私が勤めていた店によく麻雀をしに来ていた。ピンとした背筋と迷いのない摸打。
どんな愚形でもリーチ!相手に先制されても無筋をさも安全かのように切り飛ばしていく。
半荘終わるといつもトップ。そんなイメージしかない。
負ける事なんてない人だと当時は思っていた。
そんなヒサトさんから負けが人を大きくするなんて言われると思わなかった。

そしてこの第17回モンド杯であの頃の「ヒサト」が戻ってきた。
待っていた人も多いだろう、本当の佐々木寿人を。

モンド王座でも究極の攻めを見せてくれるだろう。
これからも注目していきたい。

 

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