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プロ雀士インタビュー

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第177回:第18回モンド杯優勝特別インタビュー 白鳥 翔  インタビュアー:中川 基輝

2018/02/20
インタビュアー:中川 基輝


「えっ?それは強さですね。だから奇抜なファッションとかされるんですか?」

あなたは知っていますか?ここ数年、ビッグタイトルを毎年獲得している若手麻雀プロを?31歳で既にプロ歴10年オーバー・高学歴でオシャレ・目立ちたがりなコミュ力魔人・実況も解説も上手く・ハイブリッド麻雀を嗜む最年少Aリーガー記録保持者。ここまで書けばもうわかりますよね?そう、白鳥翔プロです。

2015年、2016年とマスターズを連覇し、この度2017~2018年に行われた第18回モンド杯を優勝、3期連続でビッグタイトルを獲得し、名実ともに連盟を代表する若手となりました。既に若手の中では最強の名前をほしいままにしてきた彼の強さの秘密はどこにあるのか?白鳥翔に憧れている1人である私、中川基輝が探ってきました。

彼の麻雀プロ生活の産声が上がったのは慶応大学商学部1年生の時。約100人が受けたプロ試験の難関を軽々と突破し、最初の1年こそリーグ戦で苦戦するものの持ち前の柔軟性ですぐに対応し、その後は連続昇級。特昇リーグ2位でリーグを1つまたぎ、次もすぐに昇級、一度だけ昇級逃がすもまた連続昇級、たったの4年でA2リーグへと登りつめた。この昇級率の高さを「僕ツキが尋常ない」と彼は言う。

本当にツキだけなのか確認するためにリーグ戦の役満の回数を確認するも、C1リーグの時に残り2巡でテンパイした変則4面待ちの四暗刻、役満になる牌は残り見た目で2枚だけ、そこに残り1巡で出た安めをアガらず、すぐにツモのたったの1回。これで昇級ボーダーの高いリーグも突破できたと言う。これを実力じゃなくてツキというのが彼の強さの一つなのかもしれない。

しかし、そんな鳴り物入りでA2入りした彼もA2リーグではさらなる高い壁に阻まれ7年間で1度しか昇級争いに参加できずに今年度降級してしまう。

「A2から落ちた敗因があるんですよ。」と彼から言ってきた。

「麻雀においてテンパイした時にノーテン罰符で見合うからなんでも打っても良い、それはテンパイの時に▲1,000点が1,500点になるから2,500点の価値があって、1牌通してそれがもらえるなら相手の平均打点も考えるとそんなに危険な牌はない。損得だけで言えば得って言われてますよね?だけど麻雀プロ特にA2リーグだと44半荘しかないから試行回数が少ない。さらに昇級が2人だけ約150ポイント、降級が4人約▲70ポイントだとすると仮に10回成功して15Pを増やしても昇級には全然近づかないのに、A2リーグの平均打点が5,200~8,000ぐらいだとすると連続して裏目を引いたときに降級率がグッとあがるんですよね。期待値的にはあっていてもこの方法があんまり意味がないってことにやっと気づいたんですよ。まあ、他にもそんなに細かいところじゃなくて色々ありますけどね。」

思考停止で数字こそすべてという人間では絶対に辿り着けないであろう発想。デジタル面を注目されやすい彼だが何事も考え、試行錯誤し、気づき、反省できる点。私を含め若手全員に見習ってほしい。そして、短期決戦、ボーダー、平均打点を加味したこの結論はモンド杯に十分に活かされていた。

 

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モンド杯データ(白鳥プロ出場回)

モンド杯第18回

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モンド杯第16回

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モンド杯第17回

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上記が彼がこれまでにモンド杯に出場した際の全データ。16回、17回は惜しくも準決勝で涙をのんでいるので5回戦のみ。16回、17回も決して悪い数字ではないが、トップに意味があるこのルールではトップ率が少し足りなかった。とりわけ16回の平均順位には目を見張るものがあるが、あと1回トップをとれなかったのが敗因であろう。それに比べて優勝した18回は別格の数字。トップ率の急上昇、アガリ率の増加、放銃率の低下等がわかりやすい勝因だが、注目して頂きたいのはテンパイ率である。データの作成時にもかなり印象に残ったので本人に確認したところ、そう意識していたわけではないらしいが、A2リーグの敗因と思ったものを既に実践していたのである。ここでの成功経験からあのテンパイ率をあげることが必ずしも勝因にならないことを導き出せたのかもしれない。さらなる成長の過程が垣間見えて、恐ろしくも頼もしくもある彼に今後も注目していきたい。

 

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モンド杯優勝インタビュー

中川「優勝おめでとうございます。」

白鳥「ありがとうございます。」

中川「早速ですが印象に残っている局はありますか?」

白鳥「自分の3回戦目の東2局ですね。普通に一発裏アリオカアリのルールで先制でタンピンドラ1テンパイしたらリーチじゃないですか?3枚切れか4枚切れの両面だったんですけどそれでもリーチ打つのが一般的だと思うのですが、他の人が速そうでなおかつそことぶつかった時に自分の待ちが対抗できないと思ってヤミテンにしたんですよ。案の定エビちゃん(蛯原朗プロ)とコウヘイちゃん(井出康平プロ)からリーチがきて、すぐにエビちゃんのあたり牌つかんでやめれたんですよね。それが自分の中でしっかり打ててるというか数字だけに囚われないで自分の読みを信じてできたので印象に残っている。」

 

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中川「これ蛯原さんも井出さんも高いリーチだったのですよね?」

白鳥「高かった。でも、親だからコウヘイちゃんのリーチはなんでもあるから、コウヘイちゃんよりもエビちゃんを警戒してて、エビちゃんからリーチ来たときは三索六索待ちじゃ相手にもかなり使われてるので対抗できないと思った。それで思い通りになったというか先が見えていてあたり牌つかんでやめれたので良かった。弱気になったわけじゃなくてちゃんとその局面がみえていたっていうのが良かったし、成長したなと思う。」

中川「過去の出場の経験はいきましたか?」

白鳥「一番良い状態になった。もちろん出るたびに緊張感はあるけど、落ち着いている、場に慣れてきているけどいい意味で慣れすぎてない凄くいい状態。」

中川「16回、17回、18回常にビックマウス的な発言は作戦とかなんでしょうか?」

白鳥「作戦というか普通に出て普通に終わってもつまんないと思っていて、麻雀プロってキャラクターが大事なんだよね。僕が進路を決めるとき、まだ何もメディアに出てないB2リーガーだったんだけど、麻雀プロとしてやろうと決めたんだ。その時の周りが全くセルフプロデュースとかできてなかったし、コミュニケーション能力もないなと思って、僕は麻雀よりそっちのほうは自信があって、そうゆう意味合いで言ったんだと思う。」

(麻雀より自信あるってそうとうだな。だから毎年キャラクター変更しているのか)

白鳥「あとこの前プロテストの講師をやっていた時に、藤崎さんと一緒だったんだけど、藤崎さんが『ファンの方が自分に対して何であれ切ったんですか?とか話しかけてくれる時はすごい勇気を振り絞って話しかけてくれているんだよ。だから、そうゆう時はちゃんと納得いく答えを話せるプロになるのも大事なことだよ』って言ってて、そうゆうのも大事だし、さすが藤崎さんだなあって思った。」

(さすが藤崎さんだ、良い事いうな)

中川「特に第18回は優勝宣言はもちろん、佐々木さんを挑発してましたね。僕と2回対戦するからツイてないですねみたいな。やっぱり佐々木さんとの相性が良いからの発言ですか?白鳥さんは佐々木さんのこと得意だと思ってるんですか?」

白鳥「得意じゃないんですけど研究はしていますね。でもそれ結構うれしいですよね正直。僕ヒサトのこと強いと思っているし、対外試合でも勝ちまくってるからね。でもヒサトが負けているわけじゃないけどヒサトと対戦してる時僕いいんだよね。」

中川「勝負の前はどのように過ごしてるんですか?」

白鳥「絶対に休むようにしてる。前は前日を休みにして公式ルールの前なら公式ルールのセットをしてたけど、今は家でゆっくり映像をみたり、一人麻雀をしています。体調を一番大事にしています。」

中川「それはメンタルに影響するからとかですか?」

白鳥「めちゃくちゃ影響しますね。実は体力ってメンタルに直結するんですよ。心理学的に絶対に間違いないんですよ。」

中川「えっ心理学もやられてるんですか?」

白鳥「俺ね、大学の時に心理学を専攻してたわけじゃないんだけど、暇なときは麻雀の戦術書を読むか心理学の本を読むかのどっちかしてた。」

(なるほど。白鳥さんの根源みたいなのがわかった気がする。そりゃ強いわけだ。メンタリスト白鳥だな)

中川「じゃあ日によったり、相手によって作戦を変えたりしますか?」

白鳥「相手の挙動だったり、心理的な面とかは図るようにしてる。例えば、瀬戸熊さんだったら態勢を重んじるじゃないですか?そしたらその日に3回対戦するとしたら、初戦の瀬戸熊さんには絶対3着かラスになってほしいと思うので辛く打つことが多い。調子が良いと思って相手に打たせたくない。僕そうゆうところは凄く意識する。今日1日不調だから抑えるように打ってくださいねってなるようにプレーするね。だからその1局は損でも、その日トータルで得になるならそうゆう選択もするよ。」

中川「そうなんですね。じゃあ決勝戦の相手の石橋プロとは考え方似てるんですかね?」

白鳥「僕の見解でですが、石橋プロは相手のメンタルは考慮しない。相手の嫌なことは僕よりいっぱいやるんですけど、だから僕より戦略家だと思いますよ。」

中川「決勝第2戦の石橋プロのチンイツ見逃しとかはどう思いました?」

白鳥「あれは当然かな。優勝を1ミリも諦めませんっていうスタイルの石橋プロはデータであるから。特に驚きもしなかった。」

 

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中川「決勝戦はどうでした?」

白鳥「最高のメンバーで優勝できたのが凄くうれしい。自分が一番ツイてたと思うので、ツイてた時に一番取りこぼさないで優勝するのが僕は得意なので優勝できなきゃダメだなと正直思った。次に優勝するときは劣勢なんだけどそれをはねのけて優勝したっていうのを見せれたらいいかなと思ってる。」

(そんなにツイてたかな?しかも向上心がおかしくない?優勝する内容まで考えるとか器が違いすぎるよ)

中川「優勝できるなと思った場面はありますか?」

白鳥「1回戦トップだったけど、2回戦滝沢さんが復調してて、滝沢さんにトップとられると自分の優勝が危うくて、凄いドキドキしていた。でも南2局1本場の七対子ドラ2を滝沢さんから直撃でアガったので正直決まったと思った。」

(あぁ確かに、あれは決定打だったな。)

 

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中川「予選で若手にはなかなかできない大胆な選択があったんですよね。白鳥さん自身の2回戦の南1局親番の0本場と2本場とかの。これって怖くないんですか?」

 

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白鳥「効率はわかってるけど、自分の読みを信じてるね。ミスったらダサいけど。決まったらメチャクチャカッコいいからね。」

中川「えぇ凄いですね。実際メチャクチャカッコよかったです。」

白鳥「これ強さだと思うんだよね。恥ずかしいと思ったことがないんだよ。」

中川「えっ?それは強さですね。だから奇抜なファッションとかされるんですか?」

白鳥「それもそうだけど、小学校の時からなんだよね。国語の授業で先生にあてられて朗読するやつとかあるじゃないですか?ああゆうので間違えちゃいけないとか、恥ずかしくて読めない、失敗して笑われるから読めないっていう感情がなかったんですよね。」

中川「へぇ、むしろ読みたいぐらいですか?」

白鳥「読みたいっていうか、失敗しても誰でも失敗することあるでしょ?って思っちゃうタイプでしたね。」

(小学校からそう考えられるのは凄い。仲間はずれが一番怖い時期からそう思えるのは強さの秘訣以外の何物でもないな。)

中川「今年の目標はなんですか?」

白鳥「A2リーグに戻ること。」

(是非またA2リーグでの白鳥さんみたい。絶対みたい。)

中川「私も含めてこれから麻雀を上手くなっていくために若手に対してアドバイスお願いできますでしょうか?」

白鳥「とにかく打ったほうがいいんじゃないですか?打荘数が足りてないと思う。だって現状上のリーグの人、特に若くて活躍している人でいったら勝又さんや佐々木さんとかいると思うんだけど、その2人より強くなりたいと思ったらその人たちより打ってなきゃ話になんないと思うんだよね。だってそうしないと追いつくことすらないじゃないですか。なのに圧倒的に2人のほうが打っているので無理ですよね。もっと打たないと。」

(ごもっともな理論です。もっと打ちます)

中川「最後に将来の夢とゆうか展望を教えてください。」

白鳥「麻雀って難しいゲームで観戦者の立場が上なことが多くて、若手に対しては厳しいことが多いんだよね。トッププロはわりと許されているんだけど、それでもそれはないでしょってこともあるんだよね。僕の主観だけど、将棋とか囲碁のトップ棋士が定石とは違う指し方しても絶対に理由があるって思われると思うんだよね。だから俺がその常識を無視した打牌した時に何かあると思ってもらえる様なプロになりたい。そう思ってもらえるようになりたいし、麻雀プロ全体が凄いって思われるようにまずは自分がそうなりたいね。」

(自分だけじゃなく麻雀業界全体についてまで考えてる・・・御見それしました。)

 

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今回のインタビューで白鳥プロの強さのほんの一部を知ることができた気がします。白鳥プロは技術が秀でていてそこに特化しているのかと思っていましたが、トップの競技者には必須の心・技・体すべてに気を遣っていました。対局前にはどんなに忙しくても休みをとり、体を労り、万全の体調で本番に臨み良い精神状態を保つ。勉強し続けてきた心理学を活かし、羞恥心を捨て去り、常に磨き続ける雀力で最善の選択をして、優勝を狙う。まだ今回は白鳥プロの強さのごく一部しか紹介できませんでしたが、今後も活躍を見届け、その強さを探求していきます。今年はどんなビックマウス、キャラクターでビックタイトルを獲得してくれるのか?全てにおいて楽しみな白鳥プロに期待しましょう。

 

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