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プロ雀士インタビュー

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第187回:プロ雀士インタビュー 内川 幸太郎  インタビュアー:松本 裕也

2018/10/31
インタビュアー:松本 裕也


2018年麻雀界は大きく動きはじめた。麻雀プロの第一人者でもあるミスター麻雀小島武夫プロが亡くなりそしてMリーグがスタートした。
麻雀に携わる者なら忘れもしない1年になるであろう年にファンみんなが待ち望んでいた勝利が生まれた。

今年の第35期十段位決定戦を制したのは逆転につぐ逆転劇で見事にG1タイトルを初戴冠した内川幸太郎プロ。

内川幸太郎プロといえば2005年に日本プロ麻雀連盟でプロデビューをし2014年にA2リーグ昇級、2017年にA1リーグ昇級。そしてRTDリーグや麻雀プロ団体日本一決定戦等メディアでも大活躍している日本プロ麻雀連盟を代表する若手選手。そんな内川プロだが第37期王位戦3位、第7期グランプリMAX4位、第34期鳳凰位決定戦4位と決勝には残っているもののタイトル獲得には至っていなかった。

 

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[やっと取りました]

これは今回の十段戦決勝が終わり森山茂和会長からトロフィーを渡された後の第一声。容姿端麗で麻雀の腕前もA1リーグまで上がる程の実力者、若手の頃からメディアで注目を浴び、周囲の期待を背負ってきたがゆえタイトルを取りたいという気持ちは非常に大きかったと思う。そんな内川幸太郎プロが何を思い戦いその中で何を感じ、そして今後何を目指していくのかわたくし松本裕也が今回インタビューを努めさせていただきました。そして今回のインタビューは聞きたい事がたくさんあったので詳しい牌譜については割愛させていただきます。麻雀の詳しい内容については前田直哉プロが素晴らしい観戦記を書いていらっしゃるのでそちらをご覧下さい。

初日観戦記

最終日観戦記 

僕と内川プロの出会いは初めは選手(僕)と運営(内川プロ)でした。それからしばらくはそれだけの関係でしたが、日本プロ麻雀連盟巣鴨本部道場が出来て僕は働かせてもらう事に。そこで内川プロと共に働く事になりました。そして僕は今現在麻雀教室講師もやらせていただいていますが、そのきっかけを与えてくれたのが内川プロ。道場で働き始めてちょっと経ったくらいにいきなり「連盟道場で麻雀教室やってみない?」と言われたのがスタートでした。あの一言が無ければ僕は今麻雀教室講師をやっていないでしょう。

ある日の事、道場での仕事終わりに内川プロ、僕、それと共に道場で働く高沢雅プロ、松田彩花プロでお茶をしていました。その時グランプリMAX決勝に残っていた内川プロは我々3人に
「もし優勝したら好きな物ご馳走してやるよ!」
我々3人は
「焼肉!!」
と答えたのを覚えています。
しかしグランプリMAXは敗れ楽しみにしていた焼肉も無くなってしまいました…。

2018年10月都内某所

インタビューをするにあたり場所は内川プロに任せていました。そして当日待ち合わせ場所に着くとなんとそこは[焼肉店]

内川「ようやく連れてこれたね!笑」

松本「!!!マジっすか!?」

そうです。あの日の約束を今回果たしてくれたのです。高沢プロ、松田プロも合流して4人で乾杯をし焼肉を食べながらインタビュー開始。

 

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松本「まずは十段位獲得おめでとうございます!」

内川「ありがとう!」

松本「今回の十段戦ですが、内川プロは逆転での勝利ばかりだったと思うのですが、振り返ってみていかがですか?」

内川「うーん、そうだね。今回は全部追っかけてたね。そういう意味では展開が本当に良かったよね。逃げる事が無かったから(笑)」

内川「それとさ、ベスト16ですげーのあったじゃん?」

松本「あの88P差をひっくり返した試合ですね?」(88P差を1半荘でひっくり返すというのは凄く大変な事です。連盟公式ルールの順位点は12P加減方式。3万点の浮き沈みで12Pが動きます。

1位 2位 3位 4位
一人プラス +12P △1P △3P △8P
二人プラス +8P +4P △4P △8P
三人プラス +8P +3P +1P △12P
四人マイナス +8P +4P △4P △8P

つまり一番良い状況のトップラスでも順位点は20Pしか変わりません。素点で68,000点差付けないとダメということです。)

内川「そう!あの半荘もほぼほぼ厳しい所から四暗刻とオーラスの跳満をアガって勝ち進んだけど、本当に欲しい時に欲しい手が入ってくれたって感じだったね。他の試合でもそうだし今十段戦はとにかくそんな感じだったかなー。」(第35期十段戦ベスト16A卓です。)

松本「なるほど。」

内川「それとね、今回は欲が無かったのも良かったかな?無かったというか薄かったというか。」

松本「それは勝ちたいという気持ちが無かったという事ですか?」

内川「もちろん勝ちたい気持ちはあったよ!でも焦りは全く無かった。やっぱり今まではずっとタイトルが欲しい、早い内にタイトル取れたら活躍出来るかもって思いながらやっていたけどね。でもタイトル取るよりも先にA1に上がっちゃったからね。今回の十段戦はそろそろ取らないとなって感じだった。俺ね、A1に上がってすぐにグランプリMAXの決勝に残ったのよ。その時はよーし!絶対やってやる!って気合い入れていって惨敗。でもへこたれずにリーグ戦めちゃくちゃ頑張って鳳凰位決定戦に残って今回こそはと意気込んで挑んでまた惨敗と。その2回と比べたら正直全然欲が無かったね。」

松本「冷静だった?という事ですかね?」

内川「冷静だったというかグランプリの決勝、鳳凰位決定戦とこの2回の決勝の経験で戦い方というのがなんとなく学べてそれが今回活きた。特に鳳凰位決定戦は最終日にあの化け物の様に強い人達相手に100Pくらい縮められて感触を得られたというかね。」

松本「なるほど。強い人達と戦って得た経験が良かったんですね。」

内川「A1なんかでも常にレジェンドと呼ばれる様な人達と戦ってるんだもん。そりゃ良い経験にしかならないよね!だからこそそういう方々が元気な内に色々な事を学び吸収していきたいね。そして勝ちたい!」

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そして僕は今年亡くなったミスター麻雀小島武夫先生の事を伺うことにした。小島先生は内川プロが連盟入会当初から凄く可愛がっていらっしゃったという話を聞いた。今回の十段戦の最中に亡くなられてその想いを聞いてみた。

松本「今年十段戦の最中に小島先生が亡くなりました。内川プロは凄く可愛がっていただいていたと話を聞いたのですが?」

内川「俺は本当に小島先生には可愛がってもらった。麻雀の話ももちろんだけど麻雀プロとは何ぞや?という話も沢山聞いたし学んだ。もちろん小島先生にご馳走になりながらね。今回十段戦を勝つことが出来て少しは恩返しが出来たかな?とは思う。それとね、決勝終わったあとにお孫さんの小島優ちゃんからLINEで優勝おめでとうございます。おじいちゃんも喜んでいると思います!って言われて本当に嬉しかった。」

内川「まだまだ小島先生の様にファンに魅せる麻雀だったり自分にしか出来ないオリジナリティ溢れる麻雀というのは出来ないけれども、今現在の自分が出来る精一杯を積み重ねていくしかないよね。それで勝ちが積み重なってきてはじめてそういう域に行くんじゃないかな?」

松本「なるほど。小島先生は麻雀プロの先頭を走られていた方。僕ら麻雀プロは少なからず影響は受けてますもんね。でもそんな方から直接お話が聞けるのは本当に羨ましいです。」

内川「小島先生しかり色々な方々の教えがあったからこそ今回の勝利だよね。」

松本「なるほど。そして今回の勝利で鳳凰位と並ぶシードも獲得されて最強戦ファイナルも決定という事ですが?」

内川「終わったあとに沢崎誠さんに言われたけど勝った所がスタートなんだよと。ここから二の矢三の矢と次のタイトルを取っていかなきゃね。そうやって勝ち方を身体に刻み込んでいかなくちゃ。そういった意味では今年は王位戦、WRCと良いシードも貰えるしRTDや最強戦ファイナルとあるからこのチャンスを活かして良い結果を出さなきゃね!」

松本「このあとの試合にも期待(美味しいご飯)していますよ!(笑)」

高沢&松田「ごちそうさまです!(笑)」

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そして話題は今や大注目のMリーグへ。

松本「そして今年十段位を獲得した事でMリーガーへの道も当然視野に入ってくると思いますが?」

内川「Mリーガーねー。十段戦終わって今後の目標は?と聞かれてMリーガーです!と答えたらコメントで鳳凰位じゃないんかーいとツッこまれてたけどね(笑)もちろん近い目標としてはMリーガーだよ!でも俺の麻雀プロとしての最大目標はやっぱり鳳凰位だよ。だって鳳凰位になりたくて連盟入ったんだもん。でも今年はちょっとあれだけどね(笑)とにかく降級争いを勝ってA1に残留する事!」

松本「毎年A1リーグは決定戦争いも降級争いも熾烈ですからね。ファンのみなさんはもちろん僕らも楽しみに見ています。」

内川「A2に落ちて内川何やってんだって言われないようにしないとね!」

松本「そういえばMリーグですが、第1回ドラフトにも足を運ばれていましたけど、僕は正直内川さんは選ばれると思っていました!」

内川「うーん、俺も正直選ばれたかったけど、自分が選ばれなかったという事は自分が他の人より至らなかったという事だからね。企業様もしっかり見ているから。自分が選ばれない一番は麻雀プロとして足りてない部分がタイトルという実績かなと。」

松本「それが解消されました!来年こそという思いはありますよね?」

内川「それはあるけどね!でも本当に大切なのはTwitterでも呟いたけど選ばれなかった人達がMリーグをどう盛り上げていくか?だと思うんだよね!今回俺は選ばれなかったけどMリーグを盛り上げようという気持ちは本当に強かったよ。Mリーグが成功して盛り上がればもっともっとチャンスも増えるじゃない?だから麻雀プロみんなで盛り上げてMリーグ全体を大きくしていこうとしないとね!」

松本「ありがとうございます!では最後にファンの皆様へメッセージがあればお願いします!」

内川「とにかく今の自分に出来ることを一生懸命やる。それが今の内川幸太郎だから。これがupされる頃にはRTD準決勝?決勝?やってるかな?終わってるかな?それも含めて今後も頑張りますので応援よろしくお願いします!」

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今回インタビューを通して内川プロに感じた印象それは
[常に前だけを見て走っている]
という事。敗北や失敗を恐れずにそして立ち止まらずに強さに変えて前を向く。当たり前の事だがそれが本当に難しい。数々の敗北や失敗を重ねてようやく掴んだ十段位のビッグタイトル。このチャンスはきっと逃さないだろう!

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