プロ雀士インタビュー

第190回:プロ雀士インタビュー 仲田 加南  インタビュアー:武石 絵里

平成31年。もうすぐ平成が終わりを迎える。ここ数年で映像対局は急激に増え、麻雀プロが活躍する場も増えた。何万人もの人がトッププロ達の闘牌に一喜一憂している様は、ほんの10年前には考えられなかった世界だ。麻雀界は大きく変化し、新しい時代へと進んで行く。

平成30年12月21日。平成最後の女流桜花決定戦は、仲田加南の3連覇で幕を閉じた。優勝直後のインタビューで本人も言っていたが、完勝だった。

 

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武石「明けましておめでとうございます!3連覇おめでとうございます!!」

仲田「明けましておめでとう!ありがとう!!」

武石「見事な3連覇でしたねー!素晴らしかったです!3連覇のかかった今回の決定戦、一番マークしてたのは?」

仲田「やっぱりゆーみんだね。一番たくさん資料を見たし、ゆーみんがポイント先行した場合どういう展開になるかとか、色んなシミュレーションをしたよ。」

武石「徹底したマークですね。」

仲田「ゆーみんが親の時は、高くなりそうな手もわざと安くしたりして、周りから打ってもらえなくならないようにしたよ。自分が親ならアガれなくても良いからゆったり構えて高く手組みするけど、ゆーみんの親はアガれないと困るからね。」

初日、一番マークしていた魚谷さんが全沈み。昨年同様、大きな差をつけて初日を終えた。今期既に3冠を獲得し、この桜花で4冠を狙う魚谷さん。このまま終わるわけがない、魚谷ファンでなくてもそう思っていた視聴者は多かったことだろう。仲田さんが、この貯金を使ってどう戦うのか。攻め続けるのか、それとも守り切るのか。仲田ファンの私としては、2日目が来るのが待ち遠しかった。

武石「マークしていた魚谷さんと100ポイントの差をつけて迎えた2日目は、どう戦おうと思ってましたか?」

仲田「もちろん攻める気でいたよ!二日目でトータル+100ポイントを目指してたんだ。結果は10ポイントくらいしか上乗せできなかったんだけどね。」

武石「攻めてましたねー!無筋何枚切る気だろうこの人って思いました笑 裸単騎もかっこよかった!」

 

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仲田「ありがとう、あれアガリたかったなー笑」

武石「今回、仕掛けがすごい多かったですよね?」

仲田「うん、年々増えてると思う。リーチに頼りたくないから、必然的に鳴きが増えるんだよね。リーチはおまけだから、かけないで済む手組みをしようと思ってる。だからプロクイーンとかも公式ルールだと思って打ってるよ。」

今回の決定戦、仲田さんは実によく鳴いていた。元々仕掛けの多いタイプではあるが、それにしても軽快だった。2シャンテンや3シャンテンの鳴きも何度もあった。私が一番好きだった鳴きは、4回戦オーラス、2巡目のペン三万チー。

 

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私には発声できない3シャンテンのチーだった。何度見返しても、すごくいい仕掛けだなと思う。
初日…12/41局 29.2%
二日目…16/49局 32.6%
三日目…26/56局 46.4%

仲田さんのフーロ率を調べたら、予想以上の数字に思わず笑ってしまった。仕掛けのスペシャリストと言えば古川孝次プロを思い浮かべる。今年古希を迎える古川さんが、変わらずにA1リーグで活き活きと波乗りし続けているのは本当に凄いと思う。ちなみに、A1リーグ最終節の古川さんのフーロ率が39%なので、3日目の仲田さんがいかに躍動的だったかがわかる。

武石「この局は良かった!と自分で思う局はありますか?」

仲田「ゆーみんの親リーチに、ツモ番1回しかないのに追っかけた二万五万待ちのリーチかな。色んな意見聞いたけど、テンパイとるけどリーチ出来ないとかテンパイ組めていないっていう意見が多かった!あれは良かったよーって褒められたよ!」

 

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武石「9回戦オーラス!確かにテンパイ料はもらえても、あの五万を捕えられない人が多そうです。残りのツモ番1回しかないのにリーチ棒出すのってもったいないような気もするし。結果的に、あれで魚谷さんの親を終わらせられて、また差が開きましたよね。」

仲田「うん、あのアガリで決まったかな。最終日は、初戦プラス出来れば勝ちだと思ってたから。」

武石「今までの経験があるから、優勝がチラついて緊張することもなさそうですね。しっかりあと3半荘打つだけ、って感じですか?」

仲田「そうだね、プレッシャーはあるけど緊張はないよ。放銃してもいいと思ってるから、1回打ったら次は気をつけようって思って打つかな。連続放銃は罪だと思ってて、打ってアガって打ってアガって…が理想だから。」

この強い精神力はどうやったら手に入れられるのだろう、と思って色々な話を聞かせてもらった。きっと、自分がいちばん準備をしてきたという自信があるから、自分の麻雀を信じているから、最後まで強い仲田さんだったのかなと思った。
麻雀以外の趣味を聞いても、ないよーと笑って答える。家にはテレビがなく10年間家でテレビを見ていない。家に帰ったら麻雀を見て、旦那さんと麻雀の話をする。お休みの日は、麻雀格闘倶楽部をしたり、旦那さんと麻雀デートをする。
「静岡支部と北陸支部のプロアマリーグにはゲスト参戦させてもらったから、他の本部支部にも全部行きたいんだ。ロン2、麻雀格闘倶楽部、巣鴨道場、夏目坂スタジオ、森山さんが色々作ってくれたよね。そういうものを守りたいし、連盟の軸に協力して連盟を支えられるプロになりたい。裏方は向いてないけどさ、道場とかは顔出すだけで喜んでもらえるから応えて行きたいなと思ってるよ。」
麻雀が大好きで、連盟が大好きで、毎日麻雀のことばっかり考えていて、もっともっと上を目指している。そんな仲田さんだから、女流桜花3連覇が出来たのだろう。
インタビューの日も、終わってから巣鴨道場に打ちにいっていた。

 

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武石「今後の目標は?」

仲田「今期はまだWRCと女流日本シリーズとグランプリがあるから、それを頑張るよ。あと桜花4連覇はもちろん目標だけど、男女混合のタイトルをとりたい。女流相手にしか勝てないと言われるのが嫌だから。」

武石「それを期待しているファンの方は多いと思います!最後に、ファンの皆様へ一言お願いします。」

仲田「いつも応援していただき、ありがとうございます。対局を見てもらって、感想を言ってもらったり褒めてもらったりするのが、モチベーションになっています。次はもっと頑張ろう、その次はもっと頑張ろう、って。そうやって3連覇を達成出来たと思っています。だから、これからも見てもらえる舞台に立ち続けたいです。舞台に立つまでは自分の力でどうにか頑張るので、そこからはファンの皆さんに力を借りて、結果を出せたらいいなと思っています。これからも応援よろしくお願いします!!」

今回の決定戦で、仲田さんは力を存分に見せつけた。私なら勝てた、と思えた女流プロはどれくらいいただろうか。若きエース魚谷さんでさえ、3年連続で仲田さんに敵わなかった。
「仲田討伐時代が始まる。」
来期、仲田さんに挑戦出来るのは誰か。誰がこの牙城を崩すのか。4月からまたリーグ戦が始まる。来期はついに黒沢さんがAリーグに帰ってくる。仲田さんは、黒沢さんのことが一番苦手らしく、出来れば決定戦に残ってほしくないなーと笑いながら言っていた。9年前に初めて女流桜花を獲得したときにも苦手と言っていたので、余程苦手なのだろう。仲田さんと黒沢さんの決定戦なんて、想像しただけでとても面白そうだ。そのときに、観戦者ではなく対戦相手としてその場にいられるように、私も1年間頑張りたいと思う。

仲田さん、女流桜花3連覇おめでとうございます。すごく面白かったし、本当にかっこよかったです。一ファンとして、来期の活躍も楽しみにしています!

 

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