プロ雀士インタビュー

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第81回:勝又 健志
「じゃあそれを勉強してやろうって・・・」

2012/04/16
インタビュアー:白鳥 翔


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第2期麻雀グランプリMAXを優勝した勝又 健志プロ

2012年3月3日、第2期グランプリMAXの準決勝が行われていた。
予選を勝ちあがりし8名が2卓に分かれて闘い、各卓2名ずつが決勝へ進む事ができる。
そのたった8つの席に私は座っていたのだが・・・。

17時を少し過ぎた頃だったと思う。最終戦オーラスを迎えて、私にはすでに決勝通過の可能性はなかった。
対局開始前からの燃え滾っていた胸の内から一転、悔しさや不甲斐なさよりも妙に納得した気持ちになっていた。

負けが悔しくないはずがない。
ただ、この時は現時点での力の差を、闘って肌で感じたのだと思う。

対戦相手は、藤崎智、堀内正人、そして勝又健志。
藤崎は当確。堀内と勝又の競り勝負となっていた。

こうなったら潔く、勝負の行方を見届けてやろうじゃないか。
悔しいが、一番近い席で。

最終戦オーラス、堀内が攻める。勝又は冷静に受ける。堀内の1人テンパイ。
1本場、堀内が攻める。勝又、受ける。また堀内の1人テンパイ。
2本場、今度も堀内が攻める。先制のリーチ。勝又、受け・・・ない!!

別人の様に闘志剥き出しで危険牌を連打し、終局間際に手繰り寄せたツモ牌をそのまま手牌の横に開示し、アガリ形を披露した。
『なんてかっこよくて美しい幕切れなんだ・・・』と、しばらく呆然としていたのを覚えている。
こうして、決勝の切符を手にいれた勝又は、次の日の決勝に駒を進め、見事優勝した。

それから2日後、私にインタビューの依頼が来た。
『勝又さんの強さがどこからきているか直接聞けるチャンスなんじゃないか?』
と思った私はすぐ返事を送っていた。

と、前置きが長くなりましたが、そろそろ本題に入りたいと思います。
私、白鳥が勝又建志プロのインタビューをして参りました。勝又プロの魅力がご覧の皆様に伝われば幸いです。

都内の居酒屋にて。

白鳥「グランプリMAX、優勝おめでとうございます。」
勝又「ありがとう。」
白鳥「なんかこうやって2人で改まって話すのって、初めてですよね?」
勝又「確かにそうだね(笑)」
白鳥「じゃあ早速なんですけど、どんどん質問しちゃっていいですか?」
勝又「いきなりかよ!・・・まぁ大丈夫だけど!」
白鳥「じゃあまず麻雀を始めたきっかけから教えてください。」
勝又「中学から剣道部だったんだけど、部活の先輩から教えてもらったのがきっかけで・・・ってこの話いる(照)!?」
白鳥「いやいや、剣道やっていたなんて初めて知りましたよ!あ、料理来たんで食べちゃって下さい。」
勝又「全くもう・・・(ぶつぶつ)。」

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焼き鳥を食べている勝又プロ。
皆様、勝又プロは僕が思っていた以上にシャイな方でしたよー。
じゃあ勝又プロがしっかり話せる様に、麻雀の内容の話に行きますか!

白鳥「そういえば勝又さん、2010年(第36期)の王位戦以来の決勝でしたよね??
あの時は5位で途中敗退だったんですけど・・・。
王位戦の時と、今回のグランプリMAXで何か自分の中で変化はありましたか?」
勝又「そうだね・・・。
王位戦の時は攻め倒す!って思っていたけど、実際闘ってみたら大事に行ってしまったり、行こうとした時に無謀な攻めになっていたと思う。
あの時はそれで失敗したけど、それはよかったのかもしれないなぁ。それを経験して確実に今に繋がったよ。
でも、今回も優勝を意識してから『決めたい』って思いが強くてちょっと行き過ぎたかな。」

白鳥「実際に優勝を意識した瞬間とかってあります?」
勝又「4回戦目で白をツモって3,900オールってアガった時。完全に意識しちゃった。」

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白鳥「でもポイント的には相当有利な立場ですよね、これ。」
勝又「いや、4回戦目で焦って自分で相当悪くしちゃったの分かったから、このまま楽に勝つことはないなって思っていた。
必ずもう一山あるぞって。」

白鳥「最終戦に向けて心の準備はできていたと。東2局、ピタっと当たり牌とまりましたもんね。最後まで打たなかった。
結局、小島先生に4,000オール引かれましたけど、焦りそうな局面なのに、精神的に強いなと思いましたよ。」

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勝又「苦しかったけどね。今回経験してみて、決勝って舞台って本当にいつもやっている麻雀とは違うなと思ったよ。何ていうか、別世界みたいな。
例えば平面で見せられたら『これ通るよね』って牌が切れなくなったり、リスクとリターンが見合っていない様な2,000点に欲がでたりとか。
そういうプレッシャーが沢山ある。」

やっぱり優勝した人が言うと、説得力がありますよね!!

白鳥「じゃあ、勝又さんの自分の麻雀の長所とか短所を教えて下さいよ。」
勝又「え!うーん・・・長所はよく分かんないけど、悪いとこはいっぱいあるよ。すぐ局面を読み間違えたりとか。だからあんな放銃を・・・(ぶつぶつ)」

いやいや、判断が常に早くてしかも正確ってイメージがありますけど・・・。謙虚すぎないかこの人・・・。

白鳥「個人的に一番聞きたかったことなんですけど、勝又さんの麻雀のトレーニング法ってどんなのですか?」
勝又「うーん、なんだろうなぁ。あ、牌譜はもの凄く読んでいるよ。これは同年代の人達より絶対読んでいると思う。これは自信あるかな。
今は牌譜データサービスとか、パソコンで見られるから便利だけど、昔は紙だった。それでも手にいれられる牌譜は全部読んでたよ。」

白鳥「あ、本当にイメージなんですけどそんな感じします!だから牌理とかやたら強いんですね!」
勝又「牌譜の見方もいろいろ変えたりしたよ。」
白鳥「というと??」
勝又「僕も昔は、牌の組合せとか、そうゆう所に比重をおいて麻雀をしていた。
でも、いわゆる『ボスキャラ』みたいな人達、荒さんとか前原さんとかに勝てなかった。
そうゆう人達がみんな『状態』とかそういうのを意識して打っているって言うんだよ!じゃあそれを勉強してやろうって思うじゃん!
そしたら牌譜の見方もちょっと変わった。理では絶対押さない様な所でその人が押していたりしたら、その数局前に遡って理由を探したり。
そこで学んだことを実戦で生かしていったりしたよ。」

白鳥「なるほど・・・。本当にものすごく真面目なんですね。」
勝又「真面目だよ!麻雀に関しては。」
白鳥「他に何かあります?」
勝又「後は3人麻雀とかかな。基本的な牌理の勉強にもなるしね。」
白鳥「勝又さんめちゃめちゃ強そうですもんね。」
勝又「ふっふっふ・・・。」
白鳥「・・・(これはやばいな)

では最後に、今後の目標など教えて下さい。」

勝又「月並みだけど、リーグ戦昇級!後は、グランプリの4回戦目がホントに悪すぎるから、
また決勝に残ってそういう部分を修正した麻雀を見せたいな、と思っているよ。」

白鳥「僕も昇級したいですよ!」
勝又「お互い頑張ろうね。」
白鳥「今日はわざわざありがとうございました」
勝又「こちらこそ。あ、今度は3人麻雀を教えてあげよう。」
白鳥「・・・お疲れさまでしたー!!!」

帰り道を1人で歩きながら、先ほどまでの勝又プロとの会話を思いおこしていた。
本当に麻雀が大好きで、麻雀に対してまっすぐで、誠実な人。
そんな人が私は大好きだ。

私は、麻雀プロになってから今までずっと、競技者として『最強』を目指している。
麻雀に対する想いは誰にも負けないつもりである。
しかし、やはりこうして実際にタイトルをとった先輩の話を聞くと、その『想い』の強さに感心させられる。
戴冠し、自分よりも先を走っている先輩が、自分よりも努力をしているのではないかと思わせられる瞬間、
自分の気も引き締まり、いっそう努力をしようと心に誓う。

「努力しているものが必ず成功するとは限らないが、成功しているものはすべからくみな努力している」

ある漫画にてきた私の好きな言葉の1だが、まさしくその通りだと思いながら家路についた。
グランプリMAX優勝者との1対1での対話は、多くの事を感じさせて貰えた貴重な時間になった。

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(このインタビューは2012年4月現在のものです)