プロ雀士インタビュー

第197回:第1期小島武夫杯帝王戦優勝特別インタビュー 藤原 隆弘  インタビュアー:吉田 直

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“天国の小島先生に捧げる藤原隆弘涙の載冠”

こんな風に麻雀新聞に載るなんて本当にカッコよくて羨ましい。

私はというと、最終戦ラスを引かなければベスト16に残れる所で痛恨のラスを引いてしまい、残念ながら次の日は解説になった(涙)
準決勝の解説が終わり、決勝1回戦は携帯を見ながら家に向かい、最終戦は家のパソコンで見ていた。
最終戦のオーラス、藤原さんがテンパイして残り1枚しかない七筒が手元に舞い降りた瞬間、本当に嬉しくて当然の様に泣いていた(笑)

その翌日、夏目坂スタジオに行く用事があったので、編集担当者に帝王戦のインタビューって決まっていますか?と尋ねると、まだだよと言われ、是非やらせて下さいとお願いした。

連盟に出戻る前から大変お世話になっていて、ずっと藤原さんの麻雀を見てきた。だからどうしても書きたかった。
しかし、元々文章は得意ではないので、拙い文章になると思うがご了承願いたい。

吉田「わらさん(藤原プロ)インタビュー自分が書くのでいつ空いてますか?」

藤原「◯日の運営終わった後とかどう?」

吉田「自分はその日試合終わりなら行けるので、時間的にちょうどいいですね。」

藤原「じゃあその日、食事でもしながら話そう。」

当日待ち合わせ場所に着き、運営が終わった藤原さんと合流してお店に入る。
まずは藤原さんの大好きなビールを頼み乾杯。

 

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吉田「わらさん帝王戦優勝おめでとうございます(涙)」

藤原「ありがとう」

吉田「オーラス七筒ツモった瞬間、自分が優勝した時と同じくらい嬉しくて勝手に泣いてました。」

藤原「俺だってタダシが鳳凰戦で優勝した時、家族でファミレスでご飯食べてて携帯見ながら泣いちゃったよ(笑)」

吉田「ありがとうござます(涙)。本当にわらさんが優勝して良かったです。」

藤原「俺もチャンピオンズリーグしか勝てないと思ってたから本当に嬉しいよ。それに初代は気持ちいいよなぁ。」

吉田「確かに初代は本当羨ましいです(涙)。」

チャンピオンズリーグしかって言うけど、第8期、第16期、第24期って3回も優勝してるのは凄いよなぁ。ただこの人はオリンピック選手かとも思った(笑)
※チャンピオンズリーグ(現WRC)は半年に1回開催

とりあえずわらさんが酔っ払う前にインタビューしなければ

吉田「予選はどんな感じだったんですか?」

藤原「2回終わって2着1着でそこからずっと16位のボーダー付近。それで最終戦2着条件で誠さん(沢崎プロ)と瑠美ちゃん(二階堂瑠美プロ)と一般の人とやったんだけど、東1局からいきなり瑠美ちゃんが大三元ツモるんだよ(汗)」

吉田「えー!(◎_◎;)ヤバイじゃないですか?」

藤原「でも親じゃないから8,000点払っただけだし、2着になればいいからね」

吉田「自分だったらめちゃくちゃ焦りそうです」

藤原「ただこの後、誠さんが8,000点アガった時は流石にヤバイかなとは思ったけど(笑)」

吉田「相手が相手なだけに相当キツイですね」

藤原「そしたら親で9,600アガってその後、誠さんからリーチが来てそこが勝負局だった」

吉田「ほー。」

藤原「誠さんからリーチ来た時にダブ東ホンイツ三暗刻の一万四万のノベタンでテンパイしてるんだよ。だから一発でドラの七筒押して、そこから3枚ぐらい無筋切ったかなぁ。」

吉田「わらさんがそんだけ押してたら尋常じゃないなって周りも思いますね(笑)」

藤原「瑠美ちゃんも完全にオリてたね。それで一万をツモって8,000オール。」

吉田「それで通過が決まったんですね。」

藤原「小島先生が入れてくれた9,600と8,000オールかなって思って終わった後は気分が高揚してたね。」

吉田「やっぱり天国にいる小島先生はわらさんの事見てくれてるんですね(涙)。ただ予選も凄かったと思うのですが、自分が解説していた準決勝のオーラスが凄すぎて、
自分には一生かかっても真似出来ないなって思いました。」

藤原「まぁ確かにあれが優勝に繋がったよね」

 

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吉田「条件としては、6,400直撃か跳満ツモでしたが、ドラ単騎になった場合、ツモったら最悪だから普通リーチすると思うのですが、何故ヤミテンだったんですか?」

藤原「多分ほとんどの人がリーチでしょ。そっちの方がマジョリティ。ただ俺はヤミテンの方が6:4で得だと思った。」

吉田「えー!全然わかりません。」

藤原「親が切った西を誰もあわせなかったから山に2枚あるのは確信。ただ不安なのは、山に2枚あるからツモると困るんだよなぁ。」

吉田「じゃあやっぱりヤミテン駄目じゃないですかー。」

藤原「本当引退覚悟のヤミテンだよ(笑)。まぁツモった時は何か落として単騎で回して行こうと思ってたし、親がドラを切って来る以上、好形1シャンテンだろうからもう1局あるからね。」

確かに親と2人テンパイだと、次局は満貫ツモ条件になるし、ドラをツモってもいい単騎待ちなら直撃もある。
その前にドラが打たれる事もあると考えると、ヤミテンが本当にいいような気がしてきた。それを瞬時に判断するなんて流石“緻密な仕事師”。

吉田「自分がしーらさんの立場だと、ドラの西単騎ならリーチを打ってくると思って切っちゃいそうです。」

藤原「本当に直撃出来たのは上手く行き過ぎたけど、ああいう時にツモった記憶がないんだよ(笑)。だから俺のツモ山にはいないと思った。」

常に守備型というかネガティヴ思考の藤原さんだから出来たヤミテンなんだなぁ

吉田 「決勝で焦った所とかありました?」

藤原「決勝は伸び伸び楽しんで打とうと思ったんだよ。特に荒さんと決勝で打つことが出来るから。」

吉田「やっぱり藤原さんでも荒さんと決勝が打てるって嬉しいんですね」

藤原「荒さんとは、もう何年も前の十段戦で戦った以来だし、ずっと荒さんの背中を追っかけて来たから、決勝で打てるのは本当に楽しみだよね」

自分も藤原さんの背中を追っかけて来たから気持ちは凄くわかります(涙)
ちなみに、わらさんが十段戦で荒さんと戦ったのは、自分が入って来た23期ですよ。あの頃のわらさん本当カッコ良かったんだけどなぁ笑

藤原「荒さんが1回戦で4,000オールツモった時は、小島先生は荒さん選んだのかなぁって思ったよ(笑)。」

吉田「随分早いですね(笑)。ただ荒さんはそこから失速したんですよね。」

藤原「そうなんだよ。親の斉藤さんにリーチ負けして、ウラドラ2枚の親満打ったからビックリしたよ。」

吉田「勢い的には荒さん勝ちそうですもんね。ただ今回の決勝に残った斉藤さんも五月女さんも、準決勝から見ててめちゃくちゃ強いと思ったんですけど。」

藤原「斎藤さんは、以前連盟に居たので顔は見覚えあったけど麻雀の印象は無かった。五月女さんも関西の方だから勿論初対面。2人共決勝の1回目を打ってみて、かなり実力があることはわかった。お陰で最終戦は気合が入ったし、2人共無茶な事はしない方だから、麻雀にも信頼ができるので、そうした意味では安心して闘えると思ったよ。」

吉田「やっぱりわらさんも評価が高かったんですね。決め手になったと思う局はありますか?」

藤原「南2局の4,000オールの時に勝てるかもって思ったよ。まぁラス前に再逆転されたけどね(笑)。」

 

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吉田「確かに南場の攻防は目が離せなくてドキドキしました。それでも最後にラス牌の七筒がわらさんの所に来てくれましたね。」

藤原「第1期だし連盟員が優勝しなきゃって思いが強かったから、最後ツモった時は本当に嬉しかったし小島先生ありがとうございますって思った。」

吉田「本当におめでとうございます(涙)。最後に今後の目標を教えて下さい。」

藤原「今後の目標は、第1期小島杯覇者として、このタイトル戦のグレードを上げて権威あるタイトル戦にしていくために、僕が頑張って行かなければならない自覚、責任感を持って麻雀プロとしての活動を続けていく!勿論これまで以上に強い気持ちでA1への復帰と最年長鳳凰位を狙います!」

吉田「絶対泣くと思うけど決定戦やりましょう(笑)。今日はありがとうございました。」

日本プロ麻雀連盟を作り、ここまで麻雀界を盛り上げ大きくしてくれた第一人者と言っても過言ではなく、皆に愛されカッコイイ麻雀を打ってきた「ミスター麻雀」小島武夫。
自分も勉強会で一緒に打たせてもらったり、後ろで見させていただき本当に憧れの存在であり、今でもその背中を追いかけている。
そんな偉大な小島先生だからこそ、「第1期小島武夫杯帝王戦」というタイトル戦が作られた。我々連盟員はこれからもこの日本プロ麻雀連盟を皆さんに愛される、素晴らしい団体にしていきたいと思っています。

小島先生、どうか心配なさらず天国から「ガハハ」と豪快に笑いながら見守っていて下さい。

 

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