プロ雀士インタビュー

第206回:第28期發王戦優勝特別インタビュー 白鳥 翔  インタビュアー:早川 林香

「白鳥翔さんの發王戦のインタビュアーをお願いします」

正直驚いた。
私はインタビュアーというものを過去に一度だけした事があるのだが、それは東北本部の同期である井上美里(現:波奈美里)が新人王を取った時だった。
依頼された時に、右も左も分からないままにアレコレ準備をして、ヒィヒィ言いながらなんとか書き上げたことを今でも覚えている。
(気になる方がもしいらっしゃるのであれば一読して頂けると幸いです)

第129回:プロ雀士インタビュー 井上 美里 インタビュアー:早川林香

過去の記事もいくつか読んだのだが、そもそもインタビュアーというものはその人と関係が深い人間がするものだと思っていた。
かくいう私は白鳥翔という人間になんの縁もゆかりも無く、彼に対して知っている情報はMリーガーである事と供託泥棒という異名だけだった。
故に今回の依頼に関しては疑問しか浮かばず、もしかして過去のインタビュアーがかなり評価されていたのでは、という幻想を一瞬だけ抱いたがさすがに自意識過剰が過ぎるだろうか。

さて前置きはこれくらいにして、白鳥翔という人間の魅力、彼の麻雀の在り方をたくさん伝えていきたいと思う。

某所にて

早川「白鳥さん發王戦優勝おめでとうございます!!!」

白鳥「声でけえな。うん、ありがとう。」

 

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早川「早速ですが色々思考を聞いていきたいと思います!」

 

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早川「メンタンピンの1シャンテン四万五万五万六万から六万チー2,000点のテンパイを取った局面!メンゼンでいけば勝負手になりそうでなかなか勇気のいる仕掛けですよね?」

白鳥「これは1回戦目の並びで、トップだった瀬戸熊さんの親を落として沈めて、自分が2着以上になることを優先したのと、あとは他家のスピードが早そうで、周りの手牌に三万六万がかなり組み込まれてそう。感覚だけどかなり手応えのない三万六万だったんだよね。」

 

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早川「トップ目の矢島さんから6巡目リーチが入る。こちらは白をポンしたのみ手の1シャンテン。現物は一筒のみ…」

白鳥「この時は着順勝負である矢島さんにアガられることが相当罪だったから、1枚しかない一筒を切ってその次にオリられる確証も無いし1シャンテンを崩すほどの猶予も無いと判断したんだよね。決勝って勝ち方としてはどこかで勝負しないといけないっていうのが身に付いてるから。不利な勝負のめくり合いもしないといけないっていうのがやっぱりあるからね。」

 

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早川「一番の見せ場!カン二索をチーしてホンイツ濃厚の下家の矢島さんに対して、ソーズを絞りながらようやくカン七索のテンパイが入ってリーチ!」

白鳥「こんな苦しい受けにはしたくないよ俺だって。でも自分勝手にワガママに六索八索を落としていって良い結果になった事は俺の経験とか麻雀観では無かったから、六索八索を落として鳴かれてアガられたら終わるなって思う。藤崎さんや瀬戸熊さん前原さんみたいな強い人たちを見てきているから、だから我慢できたしリーチも打てたんだと思う。」

結果は園田さんが勝負して切った七索でロンアガリ。
でもその牌は矢島さんの当たり牌でもあって、なんと頭ハネ!!リーチを打てなかったら勝者が変わったかもしれなかった。
物凄いドラマがそこにあったのだ。

観てない人は是非観てほしい。
白鳥翔の集大成であり、白鳥翔の麻雀が詰まった局とも言えるだろう。

白鳥「俺はセルなの。強い人たちを見てきて全部吸収してこれたから。」

こんな迷言で締めくくられた。

続いて白鳥翔のプロ観についてお聞きしました!

早川「麻雀プロとは?」

白鳥「勝つことが正しくて正義だと思っている。勝って結果出していくことが全て。だって麻雀プロだから。そう思ってる。でも、いまプロテストの試験官で一緒の藤崎さんなんかは勝つことにこだわってないように見える時があって、そこが自分の中では納得してなくて藤崎さんに聞いたら、今後タイトルをまた取ったとしても自分の評価はあまり変わらない。だから自分の麻雀を応援してくれているファンの人のために、結果はどうあれ自分の麻雀を最後まで打ちたいって言ってたのがすごく印象的ですごく納得したんだよね。それと藤崎さんってさ、なんでこれを切ったのか説明できるようにしなさいってプロテストでいつも言うんだよ。その理由がさ、『ファンがプロの人に話しかけるのって勇気いる事でしょ?それで勇気出してあの時あの牌を切った理由が聞きたいです!って聞かれた時にきちんと答えられないとダメなんだよ』って。かっこよくない?」

早川「めちゃくちゃかっこいい!!!!!!」

早川「若手プロに何かアドバイスをするならば?」

白鳥「みんなに言いたいことは自己プロデュース力を付けようよという事。ちゃんとした雀力が必要なのは元々大前提であるけど、キャラが立ってれば何かには出れるよ。」

早川「ここだけの話今の若手でそういう子はいますか?」

白鳥「居ないよね。俺33歳なんだよ?俺より年下で俺みたいに光ってる子、居る?それが俺は結構問題だなーって思ってる。」

早川「それは白鳥さんが今世紀最大の超スーパースターだっただけでは…」

白鳥「いや、そういうのじゃなくて!」

早川「白鳥さんの麻雀スタイルは?」

白鳥「形がないのがスタイル。俺はそういうのを作っちゃいけないと思ってる。打ち方なんてのは相手によって変えていかないといけないものだから。」

今やこの麻雀界において白鳥翔の名を知らないものはいない。
彼が最年少Aリーガーになり、多数のタイトルを持つトッププロとして君臨しているのは、並々ならぬ努力と経験がそれを形作っているからだ。

白鳥(はくちょう)は優雅に涼しい顔をして泳いでいるように見えるが、実はその水面下ではバタ足をしているのである。そう、まるで白鳥(しらとり)のように。
彼の活躍は今後もとどまることはないだろう。

 

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白鳥翔さん(33)は、いやほんと俺イケてるわユーライクが俺に合わせてきてるわという訳の分からない事を言って場を和ませた。