特集企画/インターネット麻雀選手権2014 大会概要

インターネット麻雀 日本選手権2014のご案内

 
優勝は瀬戸熊直樹!!
2013_fes
2013_fes


 

● タイトル戦概要 ●

日本プロ麻雀連盟が主催する “インターネット麻雀の日本一” を決めるタイトル戦!
『 インターネット麻雀 日本選手権2014 』
インターネット麻雀の強者が一堂に集結!
日本プロ麻雀連盟のプロも参戦し、日本一の称号をかけた闘いが今、始まります!
多数のインターネット麻雀サイトで行われる予選を勝ちあがった雀士がトーナメントで闘います。
大会の模様は、以下の媒体に掲載を予定しております。
日本プロ麻雀連盟ホームページ
・YouTube JPMLandRON2チャンネル
その他、TV(MONDO TV)、雑誌等での告知、掲載も交渉中です。

● 特典 ●

優勝者には以下の特典!

・日本プロ麻雀連盟認定 インターネット麻雀日本選手権優勝 トロフィー贈呈
・日本プロ麻雀連盟認定 五段免状贈呈
・JTB旅行券30万円分
・次期麻雀マスターズ本戦シード権、次期王位戦A級本戦シード権を贈呈
インターネット麻雀とリアル麻雀の二階級制覇を目指せっ!!
2位には以下の特典
・日本プロ麻雀連盟認定 三段免状贈呈
・JTB旅行券5万円分
・次期王位戦A級本戦シード権を贈呈
インターネット麻雀の実力をリアル麻雀で発揮っ!!
3位、4位には以下の特典
・日本プロ麻雀連盟認定 二段免状贈呈
・JTB旅行券5万円分

● 参加サイト ●

ハンゲーム 麻雀4
ロン2

● 各サイトで開催される予選スケジュール ●

ハンゲーム代表選出戦スケジュール
予選A(ハンゲーム)3/27(木)12:00~4/1(火)9:00
予選B(ハンゲーム)4/3(木)12:00~4/8(火)9:00
本選(ハンゲーム) 4/10(木)12:00~4/15(火)9:00 ※予選A+予選B通過者計200名が対象
代表選出戦(ハンゲーム)4/24(木)21:00~4/25(金)21:00~ 本選通過者16名+連盟プロ16名
 
4/24(木)参戦プロは以下8名

ともたけ雅晴 猿川真寿 白鳥翔 杉浦勘介
小車祥 和泉由希子 白河雪菜 ジェン

 
選出戦A卓
白鳥翔 vs ともたけ雅晴 vs echos3freeze vs syakazuya
1位通過:白鳥翔 2位通過:ともたけ雅晴
選出戦B卓
猿川真寿 vs 白河雪菜 vs 遊びに来い vs χmerciχ
1位通過:猿川真寿 2位通過:χmerciχさん
選出戦C卓
小車祥 vs ジェン vs 朱雀taka vs すずきやまと
1位通過:すずきやまとさん 2位通過:ジェン
選出戦D卓
杉浦勘介 vs 和泉由希子 vs harusanriri vs mj3862
1位通過:mj3862さん 2位通過:杉浦勘介
 
 
4/25(金)参戦プロは以下8名

前原雄大 勝又健志 佐々木寿人 ダンプ大橋
井出康平 ガース 森下剛任 高宮まり

 
選出戦E卓
前原雄大 vs 5026satoshi vs deadlaw vs 欠員のため代打ち
1位通過:前原雄大 2位通過:deadlawさん
選出戦F卓
勝又健志 vs 森下剛任 vs samujt vs めるくん。
1位通過:めるくん。さん 2位通過:勝又健志
選出戦G卓
ガース vs 佐々木寿人 vs マスター携帯 vs 欠員のため代打ち
1位通過:佐々木寿人 2位通過:ガース
選出戦H卓
高宮まり vs ダンプ大橋 vs 徳川龍之介 vs 【としぞう】
1位通過:【としぞう】さん 2位通過:徳川龍之介さん

 
 
★ロン2最終予選(ロン2で対戦)
ロン2ユーザー代表16名vsプロ代表16名で勝ち上がりの16名を決める
5/13(火)参戦プロは以下4名

荒正義 藤崎智 魚谷侑未 滝沢和典

 
選出戦A卓
藤崎智 vs 魚谷侑未 vs クラピカ vs おさるきんぐ
1位通過:藤崎智 2位通過:クラピカさん
選出戦B卓
荒正義 vs 滝沢和典 vs 漫☆画太郎 vs 一丈青扈三娘
1位通過:一丈青扈三娘さん 2位通過:荒正義
 
 
5/20(火)参戦プロは以下4名

森山茂和 伊藤優孝 瀬戸熊直樹 内川幸太郎

 
選出戦A卓
森山茂和 vs 内川幸太郎 vs 平和島マンさん vs ハクさん
1位通過:森山茂和 2位通過:内川幸太郎
選出戦B卓
伊藤優孝 vs 瀬戸熊直樹 vs Atsuki vs dio
1位通過:伊藤優孝 2位通過:dioさん
 
5/27(火)参戦プロは以下6名

沢崎誠 山井弘 黒沢咲
二階堂亜樹 和久津晶 宮内こずえ

 
選出戦A卓
沢崎誠 vs 和久津晶 vs 一撃帝王 vs ワードナ
1位通過:ワードナさん 2位通過:沢崎誠
選出戦B卓
山井弘 vs 黒沢咲 vs おだたかし vs royal365
1位通過:royal365さん 2位通過:山井弘
選出戦C卓
二階堂亜樹 vs 客野直 vs モンド視聴者 vs aero14
1位通過:客野直 2位通過:二階堂亜樹
選出戦D卓
宮内こずえ vs 加藤博己 vs .KANE vs 崔 同伊
1位通過:崔 同伊さん 2位通過:加藤博己

 
ロン2から本戦へは16名が進出。
ハンゲーム 麻雀4の勝ち上がり16名を加えた32名が本戦へ出場。
 
★本戦スケジュール(ロン2で対戦)
ベスト32         6/3(火) ロン2(16名)+ハンゲーム(16名)半荘2回
 
●A卓6/3 20:00開始~
白鳥翔 vs 勝又健志 vs クラピカ vs 山井弘
1位通過:クラピカさん 2位通過:山井弘
●B卓6/3 20:00開始~
ともたけ雅晴 vs めるくん。 vs 一丈青扈三娘 vs 沢崎誠
1位通過:めるくん。さん 2位通過:ともたけ雅晴
●C卓6/3 20:40開始~
猿川真寿 vs 徳川龍之介 vs 瀬戸熊直樹 vs ワードナ
1位通過:瀬戸熊直樹 2位通過:徳川龍之介さん
●D卓6/3 20:40開始~
ジェン vs 藤崎智 vs 【としぞう】 vs 崔 同伊
1位通過:崔 同伊さん 2位通過:藤崎智
●E卓6/3 21:20開始~
杉浦勘介 vs deadlaw vs 森山茂和 vs 客野直
1位通過:deadlawさん 2位通過:森山茂和
●F卓6/3 21:20開始~
佐々木寿人 vs mj3862 vs dio vs 二階堂亜樹
1位通過:mj3862さん 2位通過:佐々木寿人
●G卓6/3 22:00開始~
ガース vs 荒正義 vs χmerciχ vs royal365
1位通過:荒正義 2位通過:ガース
●H卓6/3 22:00開始~
前原雄大 vs すずきやまと vs 内川幸太郎 vs 加藤博己
1位通過:前原雄大 2位通過:すずきやまとさん
※C卓:伊藤優孝プロが欠場となったため、瀬戸熊直樹プロが繰り上がりとなりました。
準々決勝(ベスト16) 6/16(月)&6/17(火)半荘2回
●A卓6/16 20:00開始~
山井弘 vs 藤崎智 vs ガース vs すずきやまと
1位通過:山井弘 2位通過:ガース
●B卓6/16 21:30開始~
瀬戸熊直樹 vs 前原雄大 vs めるくん。 vs mj3862
1位通過:瀬戸熊直樹 2位通過:前原雄大
●C卓6/17 20:00開始~
荒正義 vs 佐々木寿人 vs クラピカ vs deadlaw
1位通過:荒正義 2位通過:佐々木寿人
●D卓6/17 21:30開始~
森山茂和 vs ともたけ雅晴 vs 徳川龍之介 vs 崔 同伊
1位通過:徳川龍之介さん 2位通過:ともたけ雅晴
 
準決勝(ベスト8)    7/7(月)&7/8(火)半荘3回
●A卓7/7 20:00開始~
山井弘 vs 瀬戸熊直樹 vs 佐々木寿人 vs ガース
勝ち上がり:瀬戸熊直樹  佐々木寿人
●B卓7/8 20:00開始~
徳川龍之介 vs 前原雄大 vs 荒正義 vs ともたけ雅晴
勝ち上がり:ともたけ雅晴  徳川龍之介さん
決勝           8/10(日)
佐々木寿人プロ vs 瀬戸熊直樹プロ vs ともたけ雅晴プロ vs 徳川龍之介さん
優勝:瀬戸熊直樹プロ  準優勝:ともたけ雅晴プロ  第3位:佐々木寿人プロ  第4位:徳川龍之介さん

※スケジュール、特典は都合により変更となる場合があります。
なお、当連盟では今回のインターネット麻雀日本選手権に関わらず、 オンライン麻雀サイト様のオンラインイベント、オフラインイベントへのゲストプロの派遣も賜っております。
ご興味がございましたら、support@ma-jan.or.jpまで、お問い合わせくださいますよう、お願い致します。

歴代優勝者

年度 優勝者 2位 3位 4位
第3回 2014 瀬戸熊 直樹 ともたけ 雅晴 佐々木 寿人 徳川 龍之介さん
第2回 2013 クラピカさん 安田 麻里菜 二階堂 亜樹 前原 雄大
第1回 2012 前原 雄大 いちのせ@さん 佐々木 寿人 ダンプ 大橋

インターネット麻雀選手権2014 大会概要

インターネット麻雀 日本選手権2014のご案内

 

優勝は瀬戸熊直樹!!

2013_fes

2013_fes

 

● タイトル戦概要 ●

日本プロ麻雀連盟が主催する “インターネット麻雀の日本一” を決めるタイトル戦!
『 インターネット麻雀 日本選手権2014 』

インターネット麻雀の強者が一堂に集結!
日本プロ麻雀連盟のプロも参戦し、日本一の称号をかけた闘いが今、始まります!
多数のインターネット麻雀サイトで行われる予選を勝ちあがった雀士がトーナメントで闘います。

大会の模様は、以下の媒体に掲載を予定しております。
日本プロ麻雀連盟ホームページ
・YouTube JPMLandRON2チャンネル
その他、TV(MONDO TV)、雑誌等での告知、掲載も交渉中です。

● 特典 ●

優勝者には以下の特典!

・日本プロ麻雀連盟認定 インターネット麻雀日本選手権優勝 トロフィー贈呈
・日本プロ麻雀連盟認定 五段免状贈呈
・JTB旅行券30万円分
・次期麻雀マスターズ本戦シード権、次期王位戦A級本戦シード権を贈呈
インターネット麻雀とリアル麻雀の二階級制覇を目指せっ!!

2位には以下の特典
・日本プロ麻雀連盟認定 三段免状贈呈
・JTB旅行券5万円分
・次期王位戦A級本戦シード権を贈呈
インターネット麻雀の実力をリアル麻雀で発揮っ!!

3位、4位には以下の特典
・日本プロ麻雀連盟認定 二段免状贈呈
・JTB旅行券5万円分

● 参加サイト ●

ハンゲーム 麻雀4
ロン2

● 各サイトで開催される予選スケジュール ●

ハンゲーム代表選出戦スケジュール

予選A(ハンゲーム)3/27(木)12:00~4/1(火)9:00

予選B(ハンゲーム)4/3(木)12:00~4/8(火)9:00

本選(ハンゲーム) 4/10(木)12:00~4/15(火)9:00 ※予選A+予選B通過者計200名が対象

代表選出戦(ハンゲーム)4/24(木)21:00~4/25(金)21:00~ 本選通過者16名+連盟プロ16名

 

4/24(木)参戦プロは以下8名

ともたけ雅晴 猿川真寿 白鳥翔 杉浦勘介
小車祥 和泉由希子 白河雪菜 ジェン

 

選出戦A卓

白鳥翔 vs ともたけ雅晴 vs echos3freeze vs syakazuya

1位通過:白鳥翔 2位通過:ともたけ雅晴

選出戦B卓

猿川真寿 vs 白河雪菜 vs 遊びに来い vs χmerciχ

1位通過:猿川真寿 2位通過:χmerciχさん

選出戦C卓

小車祥 vs ジェン vs 朱雀taka vs すずきやまと

1位通過:すずきやまとさん 2位通過:ジェン

選出戦D卓

杉浦勘介 vs 和泉由希子 vs harusanriri vs mj3862

1位通過:mj3862さん 2位通過:杉浦勘介

 

 

4/25(金)参戦プロは以下8名

前原雄大 勝又健志 佐々木寿人 ダンプ大橋
井出康平 ガース 森下剛任 高宮まり

 

選出戦E卓

前原雄大 vs 5026satoshi vs deadlaw vs 欠員のため代打ち

1位通過:前原雄大 2位通過:deadlawさん

選出戦F卓

勝又健志 vs 森下剛任 vs samujt vs めるくん。

1位通過:めるくん。さん 2位通過:勝又健志

選出戦G卓

ガース vs 佐々木寿人 vs マスター携帯 vs 欠員のため代打ち

1位通過:佐々木寿人 2位通過:ガース

選出戦H卓

高宮まり vs ダンプ大橋 vs 徳川龍之介 vs 【としぞう】

1位通過:【としぞう】さん 2位通過:徳川龍之介さん

 

 

★ロン2最終予選(ロン2で対戦)
ロン2ユーザー代表16名vsプロ代表16名で勝ち上がりの16名を決める

5/13(火)参戦プロは以下4名

荒正義 藤崎智 魚谷侑未 滝沢和典

 

選出戦A卓

藤崎智 vs 魚谷侑未 vs クラピカ vs おさるきんぐ

1位通過:藤崎智 2位通過:クラピカさん

選出戦B卓

荒正義 vs 滝沢和典 vs 漫☆画太郎 vs 一丈青扈三娘

1位通過:一丈青扈三娘さん 2位通過:荒正義

 

 

5/20(火)参戦プロは以下4名

森山茂和 伊藤優孝 瀬戸熊直樹 内川幸太郎

 

選出戦A卓

森山茂和 vs 内川幸太郎 vs 平和島マンさん vs ハクさん

1位通過:森山茂和 2位通過:内川幸太郎

選出戦B卓

伊藤優孝 vs 瀬戸熊直樹 vs Atsuki vs dio

1位通過:伊藤優孝 2位通過:dioさん

 

5/27(火)参戦プロは以下6名

沢崎誠 山井弘 黒沢咲
二階堂亜樹 和久津晶 宮内こずえ

 

選出戦A卓

沢崎誠 vs 和久津晶 vs 一撃帝王 vs ワードナ

1位通過:ワードナさん 2位通過:沢崎誠

選出戦B卓

山井弘 vs 黒沢咲 vs おだたかし vs royal365

1位通過:royal365さん 2位通過:山井弘

選出戦C卓

二階堂亜樹 vs 客野直 vs モンド視聴者 vs aero14

1位通過:客野直 2位通過:二階堂亜樹

選出戦D卓

宮内こずえ vs 加藤博己 vs .KANE vs 崔 同伊

1位通過:崔 同伊さん 2位通過:加藤博己

 

ロン2から本戦へは16名が進出。

ハンゲーム 麻雀4の勝ち上がり16名を加えた32名が本戦へ出場。

 

★本戦スケジュール(ロン2で対戦)

ベスト32         6/3(火) ロン2(16名)+ハンゲーム(16名)半荘2回

 

●A卓6/3 20:00開始~
白鳥翔 vs 勝又健志 vs クラピカ vs 山井弘

1位通過:クラピカさん 2位通過:山井弘

●B卓6/3 20:00開始~
ともたけ雅晴 vs めるくん。 vs 一丈青扈三娘 vs 沢崎誠

1位通過:めるくん。さん 2位通過:ともたけ雅晴

●C卓6/3 20:40開始~
猿川真寿 vs 徳川龍之介 vs 瀬戸熊直樹 vs ワードナ

1位通過:瀬戸熊直樹 2位通過:徳川龍之介さん

●D卓6/3 20:40開始~
ジェン vs 藤崎智 vs 【としぞう】 vs 崔 同伊

1位通過:崔 同伊さん 2位通過:藤崎智

●E卓6/3 21:20開始~
杉浦勘介 vs deadlaw vs 森山茂和 vs 客野直

1位通過:deadlawさん 2位通過:森山茂和

●F卓6/3 21:20開始~
佐々木寿人 vs mj3862 vs dio vs 二階堂亜樹

1位通過:mj3862さん 2位通過:佐々木寿人

●G卓6/3 22:00開始~
ガース vs 荒正義 vs χmerciχ vs royal365

1位通過:荒正義 2位通過:ガース

●H卓6/3 22:00開始~
前原雄大 vs すずきやまと vs 内川幸太郎 vs 加藤博己

1位通過:前原雄大 2位通過:すずきやまとさん

※C卓:伊藤優孝プロが欠場となったため、瀬戸熊直樹プロが繰り上がりとなりました。
準々決勝(ベスト16) 6/16(月)&6/17(火)半荘2回

●A卓6/16 20:00開始~
山井弘 vs 藤崎智 vs ガース vs すずきやまと

1位通過:山井弘 2位通過:ガース

●B卓6/16 21:30開始~
瀬戸熊直樹 vs 前原雄大 vs めるくん。 vs mj3862

1位通過:瀬戸熊直樹 2位通過:前原雄大

●C卓6/17 20:00開始~
荒正義 vs 佐々木寿人 vs クラピカ vs deadlaw

1位通過:荒正義 2位通過:佐々木寿人

●D卓6/17 21:30開始~
森山茂和 vs ともたけ雅晴 vs 徳川龍之介 vs 崔 同伊

1位通過:徳川龍之介さん 2位通過:ともたけ雅晴

 

準決勝(ベスト8)    7/7(月)&7/8(火)半荘3回
●A卓7/7 20:00開始~
山井弘 vs 瀬戸熊直樹 vs 佐々木寿人 vs ガース

勝ち上がり:瀬戸熊直樹  佐々木寿人

●B卓7/8 20:00開始~
徳川龍之介 vs 前原雄大 vs 荒正義 vs ともたけ雅晴

勝ち上がり:ともたけ雅晴  徳川龍之介さん
決勝           8/10(日)

佐々木寿人プロ vs 瀬戸熊直樹プロ vs ともたけ雅晴プロ vs 徳川龍之介さん

優勝:瀬戸熊直樹プロ  準優勝:ともたけ雅晴プロ  第3位:佐々木寿人プロ  第4位:徳川龍之介さん

※スケジュール、特典は都合により変更となる場合があります。

なお、当連盟では今回のインターネット麻雀日本選手権に関わらず、 オンライン麻雀サイト様のオンラインイベント、オフラインイベントへのゲストプロの派遣も賜っております。
ご興味がございましたら、support@archive2020.ma-jan.or.jpまで、お問い合わせくださいますよう、お願い致します。

歴代優勝者

年度 優勝者 2位 3位 4位
第3回 2014 瀬戸熊 直樹 ともたけ 雅晴 佐々木 寿人 徳川 龍之介さん
第2回 2013 クラピカさん 安田 麻里菜 二階堂 亜樹 前原 雄大
第1回 2012 前原 雄大 いちのせ@さん 佐々木 寿人 ダンプ 大橋

プロ雀士コラム/第30期後期プロテスト~その先に希うもの

きっかけはほんの些細なことだったが、タイミングとしては他になかったのかもしれない。
私が日本プロ麻雀連盟のプロテストを受験したのは2003年の9月。
現在の第3次試験にあたる研修期間を経て、連盟員証と初段の免状を受け取ってから10年の月日が流れた。
その間に失ったものは数知れないが、享受したものもまた果てしない。
とても決断などと呼べるものではなかったが、あの機会を逸していたら今の私がいないことだけは確かだ。
振り返ってみると、当時は10年後の麻雀界、そしてそこに関わる自分自身を全く想像できていなかったように思う。プロの世界を目指す立場として、未来をイメージすることはとても大切なことであるはずなのに・・・。
そして、愚かな私は数年間を何の自覚も持たないままに過ごした。
頭髪はだらしなく伸び、寝間着のような格好でも全く気を遣わずに外出することもあった。
こういった意識の低さに加えて、麻雀プロは麻雀好きの集合体というような奇妙な連帯感(これはある意味では間違いではないのだが)を曲解してしまい、時に礼節を欠くこともあった。
あれは5年程前のことだったと思う。
ある対局の後、帰りの列車を待つ駅のホーム上での1コマを忘れることはできない。
「今のままじゃダメだよ。」
声の主はプロテスト講師陣の1人でもある滝沢和典プロである。
その時、私に投げかけられたのは決して麻雀の内容ではなく、姿勢に対する言葉だと直感した。
そう感じたのは、どこかで楽をしていた後ろめたさがあったからなのかもしれない。
麻雀好きの代表選手だと勝手に考えていた滝沢プロの言葉だからこそ、私には痛烈に響いた。
そしてさらに時間が経過し、今こうしてプロテスト実行委員会の一員として受験希望者を迎える立場でコラムを書いている。
「勘介は変わったよ。」
このコラムの依頼を受けた際、私などが担当して良いものかと問うたら、こちらも講師陣の1人、紺野真太郎プロからただ一言返ってきた。
私としては、本質は容易には変わらないと思っているし、気楽に生きたい不精な自分をその場しのぎで取り繕っているような収まりが悪い心持ちもある。
ただ、育成のスペシャリストとして、何百人もの受験者や新人プロを支えてきた紺野プロの見立て、そしておそらく、麻雀の質も込みの言葉だと捉えれば、気付かない間に何かが変わっていたのかもしれない。
確かに、以前はプロテストに関わることを考えたこともなかったし、そんな私に、実行委員会から声がかかることなどなかったとも思う。プロになってからの数年間が、全く無駄だったとは思わないが、もう少し早く何かに気付いていればという反省もある。
だからこそ、私がプロテスト受験を考えている方に一番伝えたいことは、試験を通過することよりも、その後を考えてほしいということだ。第3次試験に入って、厳しい合格基準が示されるようになると、どうしても個々の目的がプロテスト合格にすり替わってしまうことがある。
本人としては、それでも精一杯なのかもしれないが、審査する側に立てばその差は一目瞭然なのである。
プロになった先に目指すものがあるならば、ライセンスの取得はあくまでも通過点と捉え、プロを志望する熱い動機や将来への展望を深く心に刻み込んでおいてほしいと思う。
数年前から、プロテストは年2回に分けて行われるようになった。
これによって受験者はより良いタイミングでのチャレンジが可能となり、講師陣も年間を通してプロテストに携われるため、反省点を活かしすぐに内容に反映させることができる。
こうしてより良い方法を模索しながら改良を繰り返している段階ではあるが、ここで現在のプロテストのシステムを簡単に紹介したい。
【第一次審査】
第一次審査は書類審査となる。
※必要書類については連盟ホームページより新人募集要項を参照のこと
私がそうだったように、履歴書を書いたことがないという方もいるかもしれないが、審査の対象となることを忘れずに丁寧に書いていただきたい。
【第二次試験】
第一次審査通過者を対象に行われる、いわゆるプロテスト本番である。
今回(第30期後期)の試験日は3月8日・9日の2日間となっている。
2日間にわたって、筆記試験、面接、実技試験がそれぞれ行われ、第二次試験の通過者のみが第三次試験に進むことができる。
※筆記具については各自必ず持参すること
※服装についてはスーツ着用など節度あるものにて臨むこと
◎筆記試験
点数計算問題など麻雀における基本的な知識が問われる。
◎面接
5人1組など集団面接の形式で行われる。
麻雀に対する熱い思いを伝える大事な自己アピールの場でもある。
◎実技試験
半荘5回程度の実戦対局を行い、総合順位にて評価する。
ただし、結果だけではなく対局内容や所作動作なども審査の対象となり、これを加味した総合評価がなされる。
【第三次試験】
月に1回程度、計5回にわたって実技指導が行われ、プロとしての適性が見極められる。
多彩な講師陣により、フォームチェックなども含めた所作動作の指導や、練習対局を軸とした技術指導が実施される。
また、毎回決められたテーマで論文課題の提出が義務付けられており、これによって文章力はもちろん、プロとしての心構えも学ぶことができる。
なお、第三次試験の最終日には、再度筆記と実技による最終試験が行われ、プロテスト全体を通しての総合評価によって合否が判定される。
度々、受験者全体の何割が第三次試験に進み、最終的に何名程度合格するのかという質問があるが、毎回算出されるこれらの数字は全く当てにならないと言って良い。
日本プロ麻雀連盟におけるプロテストは、人員の確保ではなく、人材を見出すことを目的としているため、絶対評価を原則としていることがその理由である。
言い換えるならば、極端な例ではあるが、一定の基準に満たなければ全員不合格ということもありうるし、またその逆も然りとなる。
それゆえ受験する立場の心構えとしては、プロテストの場で周りの受験者と競争するのではなく、まずは自分自身と麻雀に真正面から向かい合うという意思を持つべきだろうと思う。
今、麻雀界は明確に映像の時代へと突入している。
日本プロ麻雀連盟においても、新たに日本プロ麻雀連盟チャンネルや夏目坂スタジオが設立され、タイトル戦はもちろん、Aリーグの対局も放送されるようになった。
このコラムが掲載される頃には、鳳凰位決定戦の結果も出ていると思うが、プロを志す方々には、ぜひこの最高峰の闘いを見ていただきたい。
リアルタイムで観戦できなかった方のために、日本プロ麻雀連盟チャンネルロン2ネットTVには動画が残っていると思う。そして、荒正義プロが執筆される観戦記を読んでいただきたい。
そこでは、正真正銘のプロ同士による究極の闘いが繰り広げられているだろうし、またそのドラマが描かれているはずである。
このように、現在の麻雀界は打ち手がクローズアップされる華やかな時代ではあるが、同時にある意味では厳しい勝負の時代であるとも思う。
ここで一般のファンの方にどのような内容を提供するかで、今後の麻雀を取り巻く環境が180度変わってくると考えられるからだ。
また、麻雀を取り扱うメディア媒体の増加に伴い、プロの世界に入って間もない新人選手にも、麻雀格闘倶楽部への出演や生放送の番組への抜擢など多くのチャンスが与えられるようになった。
だが、高度な対局を日常的に堪能することが可能な今、目の肥えた麻雀ファンの方は、新人だからという理由で大目に見てはくれないだろう。
個々にとってもその一瞬が勝負であると同時に、それは麻雀の未来にとっての勝負でもあることを忘れてはならない。
先日行われた第三次試験では、実技指導の内容に入る前にある動画が流された。
この動画は、昨年行われた麻雀最強戦2013にて、決勝に駒を進めた森山茂和日本プロ麻雀連盟会長へのインタビューコーナーからの一場面である。
ここで一般の方の『プロ麻雀界に必要な人材とは?』という質問に対して、森山会長は『能力の高い人』と即答している。さらには『納得できる麻雀をしっかり打てる人は大歓迎だが、中途半端な実力でプロの世界に入ってしまうことは、かえってその人の人生を不幸にしてしまいかねない。』と付け加えている。
幸か不幸かという価値観は人それぞれだろうが、プロテスト受験を考えている方々には、たった1つの選択が、自分のそして麻雀界の行方をも左右する可能性さえ秘めている、ということを銘記して取り組んでいただきたいと思う。
平成26年度 第30期後期プロテスト 新人募集要項はこちら

第30期後期プロテスト~その先に希うもの

きっかけはほんの些細なことだったが、タイミングとしては他になかったのかもしれない。
私が日本プロ麻雀連盟のプロテストを受験したのは2003年の9月。
現在の第3次試験にあたる研修期間を経て、連盟員証と初段の免状を受け取ってから10年の月日が流れた。

その間に失ったものは数知れないが、享受したものもまた果てしない。
とても決断などと呼べるものではなかったが、あの機会を逸していたら今の私がいないことだけは確かだ。

振り返ってみると、当時は10年後の麻雀界、そしてそこに関わる自分自身を全く想像できていなかったように思う。プロの世界を目指す立場として、未来をイメージすることはとても大切なことであるはずなのに・・・。

そして、愚かな私は数年間を何の自覚も持たないままに過ごした。
頭髪はだらしなく伸び、寝間着のような格好でも全く気を遣わずに外出することもあった。
こういった意識の低さに加えて、麻雀プロは麻雀好きの集合体というような奇妙な連帯感(これはある意味では間違いではないのだが)を曲解してしまい、時に礼節を欠くこともあった。

あれは5年程前のことだったと思う。
ある対局の後、帰りの列車を待つ駅のホーム上での1コマを忘れることはできない。
「今のままじゃダメだよ。」
声の主はプロテスト講師陣の1人でもある滝沢和典プロである。
その時、私に投げかけられたのは決して麻雀の内容ではなく、姿勢に対する言葉だと直感した。
そう感じたのは、どこかで楽をしていた後ろめたさがあったからなのかもしれない。
麻雀好きの代表選手だと勝手に考えていた滝沢プロの言葉だからこそ、私には痛烈に響いた。

そしてさらに時間が経過し、今こうしてプロテスト実行委員会の一員として受験希望者を迎える立場でコラムを書いている。
「勘介は変わったよ。」
このコラムの依頼を受けた際、私などが担当して良いものかと問うたら、こちらも講師陣の1人、紺野真太郎プロからただ一言返ってきた。

私としては、本質は容易には変わらないと思っているし、気楽に生きたい不精な自分をその場しのぎで取り繕っているような収まりが悪い心持ちもある。
ただ、育成のスペシャリストとして、何百人もの受験者や新人プロを支えてきた紺野プロの見立て、そしておそらく、麻雀の質も込みの言葉だと捉えれば、気付かない間に何かが変わっていたのかもしれない。

確かに、以前はプロテストに関わることを考えたこともなかったし、そんな私に、実行委員会から声がかかることなどなかったとも思う。プロになってからの数年間が、全く無駄だったとは思わないが、もう少し早く何かに気付いていればという反省もある。

だからこそ、私がプロテスト受験を考えている方に一番伝えたいことは、試験を通過することよりも、その後を考えてほしいということだ。第3次試験に入って、厳しい合格基準が示されるようになると、どうしても個々の目的がプロテスト合格にすり替わってしまうことがある。
本人としては、それでも精一杯なのかもしれないが、審査する側に立てばその差は一目瞭然なのである。

プロになった先に目指すものがあるならば、ライセンスの取得はあくまでも通過点と捉え、プロを志望する熱い動機や将来への展望を深く心に刻み込んでおいてほしいと思う。

数年前から、プロテストは年2回に分けて行われるようになった。
これによって受験者はより良いタイミングでのチャレンジが可能となり、講師陣も年間を通してプロテストに携われるため、反省点を活かしすぐに内容に反映させることができる。
こうしてより良い方法を模索しながら改良を繰り返している段階ではあるが、ここで現在のプロテストのシステムを簡単に紹介したい。

【第一次審査】
第一次審査は書類審査となる。
※必要書類については連盟ホームページより新人募集要項を参照のこと
私がそうだったように、履歴書を書いたことがないという方もいるかもしれないが、審査の対象となることを忘れずに丁寧に書いていただきたい。

【第二次試験】
第一次審査通過者を対象に行われる、いわゆるプロテスト本番である。
今回(第30期後期)の試験日は3月8日・9日の2日間となっている。
2日間にわたって、筆記試験、面接、実技試験がそれぞれ行われ、第二次試験の通過者のみが第三次試験に進むことができる。
※筆記具については各自必ず持参すること
※服装についてはスーツ着用など節度あるものにて臨むこと

◎筆記試験
点数計算問題など麻雀における基本的な知識が問われる。
◎面接
5人1組など集団面接の形式で行われる。
麻雀に対する熱い思いを伝える大事な自己アピールの場でもある。

◎実技試験
半荘5回程度の実戦対局を行い、総合順位にて評価する。
ただし、結果だけではなく対局内容や所作動作なども審査の対象となり、これを加味した総合評価がなされる。

【第三次試験】
月に1回程度、計5回にわたって実技指導が行われ、プロとしての適性が見極められる。
多彩な講師陣により、フォームチェックなども含めた所作動作の指導や、練習対局を軸とした技術指導が実施される。
また、毎回決められたテーマで論文課題の提出が義務付けられており、これによって文章力はもちろん、プロとしての心構えも学ぶことができる。
なお、第三次試験の最終日には、再度筆記と実技による最終試験が行われ、プロテスト全体を通しての総合評価によって合否が判定される。

度々、受験者全体の何割が第三次試験に進み、最終的に何名程度合格するのかという質問があるが、毎回算出されるこれらの数字は全く当てにならないと言って良い。
日本プロ麻雀連盟におけるプロテストは、人員の確保ではなく、人材を見出すことを目的としているため、絶対評価を原則としていることがその理由である。
言い換えるならば、極端な例ではあるが、一定の基準に満たなければ全員不合格ということもありうるし、またその逆も然りとなる。
それゆえ受験する立場の心構えとしては、プロテストの場で周りの受験者と競争するのではなく、まずは自分自身と麻雀に真正面から向かい合うという意思を持つべきだろうと思う。

今、麻雀界は明確に映像の時代へと突入している。
日本プロ麻雀連盟においても、新たに日本プロ麻雀連盟チャンネルや夏目坂スタジオが設立され、タイトル戦はもちろん、Aリーグの対局も放送されるようになった。
このコラムが掲載される頃には、鳳凰位決定戦の結果も出ていると思うが、プロを志す方々には、ぜひこの最高峰の闘いを見ていただきたい。

リアルタイムで観戦できなかった方のために、日本プロ麻雀連盟チャンネルロン2ネットTVには動画が残っていると思う。そして、荒正義プロが執筆される観戦記を読んでいただきたい。
そこでは、正真正銘のプロ同士による究極の闘いが繰り広げられているだろうし、またそのドラマが描かれているはずである。

このように、現在の麻雀界は打ち手がクローズアップされる華やかな時代ではあるが、同時にある意味では厳しい勝負の時代であるとも思う。
ここで一般のファンの方にどのような内容を提供するかで、今後の麻雀を取り巻く環境が180度変わってくると考えられるからだ。

また、麻雀を取り扱うメディア媒体の増加に伴い、プロの世界に入って間もない新人選手にも、麻雀格闘倶楽部への出演や生放送の番組への抜擢など多くのチャンスが与えられるようになった。
だが、高度な対局を日常的に堪能することが可能な今、目の肥えた麻雀ファンの方は、新人だからという理由で大目に見てはくれないだろう。
個々にとってもその一瞬が勝負であると同時に、それは麻雀の未来にとっての勝負でもあることを忘れてはならない。

先日行われた第三次試験では、実技指導の内容に入る前にある動画が流された。
この動画は、昨年行われた麻雀最強戦2013にて、決勝に駒を進めた森山茂和日本プロ麻雀連盟会長へのインタビューコーナーからの一場面である。

ここで一般の方の『プロ麻雀界に必要な人材とは?』という質問に対して、森山会長は『能力の高い人』と即答している。さらには『納得できる麻雀をしっかり打てる人は大歓迎だが、中途半端な実力でプロの世界に入ってしまうことは、かえってその人の人生を不幸にしてしまいかねない。』と付け加えている。

幸か不幸かという価値観は人それぞれだろうが、プロテスト受験を考えている方々には、たった1つの選択が、自分のそして麻雀界の行方をも左右する可能性さえ秘めている、ということを銘記して取り組んでいただきたいと思う。

平成26年度 第30期後期プロテスト 新人募集要項はこちら

何を切る?/何を切る?fromロン2 2014年02月解答

『何を切る?』バレンタイン特別企画、女流プロ何切るマジョリティクイズに多数のご応募ありがとうございます。
今回の問題は、第11期プロクイーン決定戦の実戦譜からの出題でした。
それでは、女流プロの方々に実施いたしました何切るアンケートの結果を発表したいと思います。
なお、対局者の手塚プロ、和久津プロには打牌選択の解説もいただきましたので、終局図と合わせてご参考にしていただければと思います。
【問題1】東1局2本場 南家
gpmax2012
女流プロ解答(50音順)
一筒切り・・・18名
[魚谷侑未 内田美乃里 内山えみ 長内真実 北野由実 京平遥 澤村明日華 ジェン 白河雪菜 高田麻衣子 天音まこと 中山奈々美 西川舞 西嶋ゆかり 平岡理恵 北條恵美 山脇千文美 和久津晶]
二筒切り・・・15名
[石田亜沙己 井上絵美子 和泉由希子 渋谷菜瑠美 白銀紗希 菅原千瑛 立花つくし 富村つぐみ 仲田加南 二階堂亜樹 藤井すみれ 美波智子 宮内こずえ 安田麻里菜 王政芳]
二索切り・・・9名
[蒼井ゆりか 小笠原奈央 黒沢咲 小島優 斉藤理絵 鈴木彩夏 高橋侑希 童瞳 西山あみ]
三索切り・・・2名
[赤司美奈子 手塚紗掬]
七万切り・・・1名
[月江いくこ]
終局図
gpmax2012
手塚紗掬
「場況的にピンズの下目が良く見えるので、ダイレクトの三筒引きを逃がしたくない。三色よりも一通への変化を重視した1シャンテンに受けて、先に五筒八筒を引いた場合は二筒一筒と落とします。」
【問題2】南1局 東家
gpmax2012
女流プロ解答
二万切り・・・23名
[蒼井ゆりか 石田亜沙己 和泉由希子 内田美乃里 小笠原奈央 長内真実 北野由実 黒沢咲 小島優 斉藤理絵 澤村明日華 ジェン 渋谷菜瑠美 菅原千瑛 鈴木彩夏 月江いくこ 手塚紗掬 天音まこと 童瞳 二階堂亜樹 平岡理恵 美波智子 王政芳]
四筒切り・・・9名
[赤司美奈子 魚谷侑未 白銀紗希 高田麻衣子 高橋侑希 仲田加南 西川舞 宮内こずえ 山脇千文美]
八万切り・・・7名
[井上絵美子 白河雪菜 立花つくし 富村つぐみ 中山奈々美 西山あみ 和久津晶]
七万切り・・・2名
[内山えみ 西嶋ゆかり]
四万切り・・・1名
[京平遥]
七筒切り・・・1名
[藤井すみれ]
終局図
gpmax2012
和久津晶
「親番なので七対子にはしたくない。八万はツモ切りで横に広く受けて、ピンズが伸びてターツオーバーの形になれば七万も切っていく構えです。」
以上のアンケート結果より、クイズの正解(マジョリティ解答)は【問題1】が打一筒【問題2】が打二万となりました。
プレゼントに当選された方々には後日事務局よりご連絡いたします。

何を切る?fromロン2 2014年02月解答

『何を切る?』バレンタイン特別企画、女流プロ何切るマジョリティクイズに多数のご応募ありがとうございます。

今回の問題は、第11期プロクイーン決定戦の実戦譜からの出題でした。
それでは、女流プロの方々に実施いたしました何切るアンケートの結果を発表したいと思います。
なお、対局者の手塚プロ、和久津プロには打牌選択の解説もいただきましたので、終局図と合わせてご参考にしていただければと思います。

【問題1】東1局2本場 南家
gpmax2012

女流プロ解答(50音順)
一筒切り・・・18名
[魚谷侑未 内田美乃里 内山えみ 長内真実 北野由実 京平遥 澤村明日華 ジェン 白河雪菜 高田麻衣子 天音まこと 中山奈々美 西川舞 西嶋ゆかり 平岡理恵 北條恵美 山脇千文美 和久津晶]

二筒切り・・・15名
[石田亜沙己 井上絵美子 和泉由希子 渋谷菜瑠美 白銀紗希 菅原千瑛 立花つくし 富村つぐみ 仲田加南 二階堂亜樹 藤井すみれ 美波智子 宮内こずえ 安田麻里菜 王政芳]

二索切り・・・9名
[蒼井ゆりか 小笠原奈央 黒沢咲 小島優 斉藤理絵 鈴木彩夏 高橋侑希 童瞳 西山あみ]

三索切り・・・2名
[赤司美奈子 手塚紗掬]

七万切り・・・1名
[月江いくこ]

終局図
gpmax2012

手塚紗掬
「場況的にピンズの下目が良く見えるので、ダイレクトの三筒引きを逃がしたくない。三色よりも一通への変化を重視した1シャンテンに受けて、先に五筒八筒を引いた場合は二筒一筒と落とします。」

【問題2】南1局 東家
gpmax2012

女流プロ解答
二万切り・・・23名
[蒼井ゆりか 石田亜沙己 和泉由希子 内田美乃里 小笠原奈央 長内真実 北野由実 黒沢咲 小島優 斉藤理絵 澤村明日華 ジェン 渋谷菜瑠美 菅原千瑛 鈴木彩夏 月江いくこ 手塚紗掬 天音まこと 童瞳 二階堂亜樹 平岡理恵 美波智子 王政芳]

四筒切り・・・9名
[赤司美奈子 魚谷侑未 白銀紗希 高田麻衣子 高橋侑希 仲田加南 西川舞 宮内こずえ 山脇千文美]

八万切り・・・7名
[井上絵美子 白河雪菜 立花つくし 富村つぐみ 中山奈々美 西山あみ 和久津晶]

七万切り・・・2名
[内山えみ 西嶋ゆかり]

四万切り・・・1名
[京平遥]

七筒切り・・・1名
[藤井すみれ]

終局図
gpmax2012

和久津晶
「親番なので七対子にはしたくない。八万はツモ切りで横に広く受けて、ピンズが伸びてターツオーバーの形になれば七万も切っていく構えです。」

以上のアンケート結果より、クイズの正解(マジョリティ解答)は【問題1】が打一筒【問題2】が打二万となりました。
プレゼントに当選された方々には後日事務局よりご連絡いたします。

特集企画/天空麻雀14女性大会決勝レポート

「エンタメーテレ」と「日本プロ麻雀連盟」でおくる『天空麻雀』も、今回で14回目となりました!
歴史ある「天空麻雀」の今回のレポートは、初出場で奇跡的に決勝進出を果たした東城りおが勤めさせていただきます。新人で未熟ですが精一杯書きたいと思います。よろしくお願いします!
まずは、予選A卓のメンバーのご紹介から入りたいと思います。
gpmax2012
東家:セメントクイーン!清水香織プロ!
南家:アイスドールこと和泉由希子プロ!
西家:卓上の舞姫☆二階堂亜樹プロ!
北家:ホワイトデビル!白河雪菜プロ!
予選A卓からすでに強豪プロが勢ぞろい(>_<)
誰が決勝に行ってもおかしくないといったメンバーです!
最も勝つ為に妥協しない打ち手セメントクイーン、清水プロと、あんなに可愛いのになぜデビル??ホワイトデビル、白河プロの対局を生で見るのは初めてだったので、一視聴者として楽しんでしまいました( ´艸`)
東1局、清水プロの手。
四万四万六万六万七万八万八万三索四索五索七筒七筒七筒  ツモ七万
2,000オールと好調な出だし♪ですが東2局、和泉プロがヤミ跳満をツモ!
序盤から波乱の予感がします\(^o^)/♪
そして予選B卓
gpmax2012
東家:猛撃プリンセス!高宮まりプロ☆
南家:天衣無縫こと二階堂瑠美プロ!
西家:和製ジュリエット(?)東城りお!
北家:純白の牌奏者♪宮内こずえプロ!
とても有名な先輩方のただならぬオーラと、初出演ということもあって、めちゃめちゃ緊張しました(´・ω・`;)
東1局は、我らがプリンセス高宮プロの親番です。
見た目からは想像もできないくらいの猛撃は、かなりのギャップ萌えです(///∇//)
やはり高宮プロの猛撃は東1局から始まりました!
宮内プロのリーチ!それに対して、高宮プロも追っかけリーチ!
ですが流局(´・ω・`)
そして東1局1本場もリーチ!と2連続でリーチ!
ですが、2回目も流局(´・ω・`)
東場は半分くらい流局していた気がします。
でも、後半の南場はツモり合いで1回も流局していません。
みなさんフルパワーでアガリに行きますO(≧∇≦)O
そして最後に、女性決勝卓のメンバーのご紹介!
gpmax2012
東家:卓上の舞姫こと二階堂亜樹プロ!
南家:和製ジュリエット(??)東城りおプロ!
西家:アイスドールこと和泉由希子プロ!
北家:純白の牌奏者こと宮内こずえプロです!
予選を勝ち抜いてきた強豪達!ここからは、2位以下はみんな一緒!
1位にならなければ意味がありません(゚ーÅ)
どうしても優勝したい!と言った願いが通じたのか、東1局の私の配牌はというと、
五万七万八万八万赤五索一筒三筒五筒赤五筒六筒七筒八筒北  ドラ発
初っ端から赤が2枚も…(´;∀;`)
そしてその後、
七万八万九万三索五索一筒二筒三筒五筒赤五筒六筒七筒八筒
二索を入れて9巡目にリーチ!
東1局は快調のスタート!かと思いきや、宮内プロが11巡目に追っかけリーチ!
その牌姿がコチラ。
一万二万三万一索二索三索七索八索九索一筒三筒発発
その後、まもなくツモの発声が…
東1局から倍満…先輩…さすがです…
いや、まだ東1局!次は私の親番だ!気をひきしめていこう!
そして来たのがこの牌姿。
二万三万四万赤五万八万八索八索三筒四筒四筒九筒南西発  ドラ八索
早くも逆転の大チャンス!これはものにしなければ。
そして6巡目にリーチ。
二万三万四万四万赤五万八万八万八索八索八索二筒三筒四筒  リーチ  ツモ六万
6,000オールの大きいアガリ
まだ東2局だけど優勝へ1歩近づいた気がしました
ですが…
やはりここからが先輩プロの腕の見せ所といった感じで、この後二階堂プロの猛反撃が…!?
和泉プロが…!?
宮内プロが…!!
あれ…東城!?
一体誰が優勝するのでしょうか(ノ≧∇≦)ノ
第14回「天空麻雀」ぜひ最後まで見届けてくださいね(-^□^-)☆
エンタメーテレ
放送スケジュールはこちら

天空麻雀14女性大会決勝レポート

「エンタメーテレ」と「日本プロ麻雀連盟」でおくる『天空麻雀』も、今回で14回目となりました!
歴史ある「天空麻雀」の今回のレポートは、初出場で奇跡的に決勝進出を果たした東城りおが勤めさせていただきます。新人で未熟ですが精一杯書きたいと思います。よろしくお願いします!

まずは、予選A卓のメンバーのご紹介から入りたいと思います。
gpmax2012

東家:セメントクイーン!清水香織プロ!
南家:アイスドールこと和泉由希子プロ!
西家:卓上の舞姫☆二階堂亜樹プロ!
北家:ホワイトデビル!白河雪菜プロ!

予選A卓からすでに強豪プロが勢ぞろい(>_<)
誰が決勝に行ってもおかしくないといったメンバーです!

最も勝つ為に妥協しない打ち手セメントクイーン、清水プロと、あんなに可愛いのになぜデビル??ホワイトデビル、白河プロの対局を生で見るのは初めてだったので、一視聴者として楽しんでしまいました( ´艸`)

東1局、清水プロの手。

四万四万六万六万七万八万八万三索四索五索七筒七筒七筒  ツモ七万

2,000オールと好調な出だし♪ですが東2局、和泉プロがヤミ跳満をツモ!
序盤から波乱の予感がします\(^o^)/♪

そして予選B卓
gpmax2012

東家:猛撃プリンセス!高宮まりプロ☆
南家:天衣無縫こと二階堂瑠美プロ!
西家:和製ジュリエット(?)東城りお!
北家:純白の牌奏者♪宮内こずえプロ!

とても有名な先輩方のただならぬオーラと、初出演ということもあって、めちゃめちゃ緊張しました(´・ω・`;)

東1局は、我らがプリンセス高宮プロの親番です。
見た目からは想像もできないくらいの猛撃は、かなりのギャップ萌えです(///∇//)
やはり高宮プロの猛撃は東1局から始まりました!

宮内プロのリーチ!それに対して、高宮プロも追っかけリーチ!
ですが流局(´・ω・`)
そして東1局1本場もリーチ!と2連続でリーチ!
ですが、2回目も流局(´・ω・`)

東場は半分くらい流局していた気がします。
でも、後半の南場はツモり合いで1回も流局していません。
みなさんフルパワーでアガリに行きますO(≧∇≦)O

そして最後に、女性決勝卓のメンバーのご紹介!
gpmax2012

東家:卓上の舞姫こと二階堂亜樹プロ!
南家:和製ジュリエット(??)東城りおプロ!
西家:アイスドールこと和泉由希子プロ!
北家:純白の牌奏者こと宮内こずえプロです!

予選を勝ち抜いてきた強豪達!ここからは、2位以下はみんな一緒!
1位にならなければ意味がありません(゚ーÅ)

どうしても優勝したい!と言った願いが通じたのか、東1局の私の配牌はというと、

五万七万八万八万赤五索一筒三筒五筒赤五筒六筒七筒八筒北  ドラ発

初っ端から赤が2枚も…(´;∀;`)
そしてその後、

七万八万九万三索五索一筒二筒三筒五筒赤五筒六筒七筒八筒

二索を入れて9巡目にリーチ!
東1局は快調のスタート!かと思いきや、宮内プロが11巡目に追っかけリーチ!
その牌姿がコチラ。

一万二万三万一索二索三索七索八索九索一筒三筒発発

その後、まもなくツモの発声が…
東1局から倍満…先輩…さすがです…

いや、まだ東1局!次は私の親番だ!気をひきしめていこう!
そして来たのがこの牌姿。

二万三万四万赤五万八万八索八索三筒四筒四筒九筒南西発  ドラ八索

早くも逆転の大チャンス!これはものにしなければ。
そして6巡目にリーチ。

二万三万四万四万赤五万八万八万八索八索八索二筒三筒四筒  リーチ  ツモ六万

6,000オールの大きいアガリ
まだ東2局だけど優勝へ1歩近づいた気がしました
ですが…
やはりここからが先輩プロの腕の見せ所といった感じで、この後二階堂プロの猛反撃が…!?
和泉プロが…!?
宮内プロが…!!
あれ…東城!?
一体誰が優勝するのでしょうか(ノ≧∇≦)ノ

第14回「天空麻雀」ぜひ最後まで見届けてくださいね(-^□^-)☆

エンタメーテレ
放送スケジュールはこちら

中級/第86回『終盤の組み立て方』

2014年が始まりはや1ヶ月。
歳を取るたびに一日一日が早く過ぎていってしまうように感じる現象はなんなんでしょうね。
子供の頃は学校の授業の1時間1時間が非常に長く感じたのに、
30を超えた今は仕事をしているとあっという間に数時間が過ぎてしまいます。
時間を無駄にしない様な生活を心がけていきたいものです。
さて、私ダンプ大橋がどんな事を考えながら麻雀を打っているかを書いてきましたが、
今回はいよいよ終盤の組み立てかたについて話していきます。
とはいっても、終盤は序盤中盤に比べて選択肢が少ないので、
考える事は多くても、実際のアクションは結構限られるかと思います。
2段目後半で、オリを選択した人は放銃しない様に、鳴かせない様に努めるわけですし、
リーチをかけた人は、ロン牌が出る、自分でツモるよう祈るだけです。
それ以外の状態の場合を、パターン毎に説明していきましょう。
まずはヤミでテンパイが入っている、仕掛けを入れてテンパイが入っている場合。
オリる気が無ければ、心の中でリーチをかけて全ツッパですよね。
ただ、最後のツモに限っては、オリの選択肢を忘れてはいけません。
もちろんテンパイして流局すればテンパイ料が入るので、わざわざオリる必要はないでしょう。
しかし、自分のツモアガリが無い状況となれば、もらえるテンパイ料は0~3,000点。
その為に放銃のリスクをどこまで負っていいかは非常に難しいところ。
特に、自分以外が全員テンパイしていると思われる様な状況で、自分がテンパイだからという理由で、数人に通っていない牌を切るのはあまりお勧めできません。
他の理由(例えば自分にドラが固まっていて相手が安そう、順位的な理由、相手の手牌読みetc…)があり、
考えた結果、テンパイを取りにいくことのメリットが大きいというのなら結果放銃してしまっても、それは考えた結果であるので、その考えが合っている、間違っているは別として問題ないと思います。
結果、間違っていたのなら、反省して次回に生かせばいいだけです。
しかし、何も考えず、反省もせず同じ事を延々と行ってしまっては成長しません。
考えすぎるのも、時には毒となるかもしれませんが、今回のケースに限らず、今まで自分が行ってきた一辺倒なアクションがあれば、他に選択肢が無いのか立ち止まって考える事も、雀力アップの為に必要かと思います。
さて、少しオリについて書いていきましょう。
基本、攻める場合は自分の手牌と河をにらめっこしながら手牌を組み立てるのですが、オリはどうしても他3人の事を考えなければいけません。まぁ当然ですけど。
となると、オリにおいて何が大事かという話なんですが、相手の手出しツモ切りを把握する事が非常に重要となっていきます。
なぜ手出しツモ切りが大事なのかといいますと、まずはこれを見て下さい。
八索 上向き二万 上向き四筒 上向き五筒 上向き三索 上向き九筒 上向き東西
こんな河でリーチが入りました。変則的なリーチに見えますね。
しかし、このリーチの手出しが八索西だけでリーチが入った場合と、全て手出しでリーチが入った場合は、相手の手牌が全く違います。
八索西だけが手出しでリーチが入った場合は、好配牌であった事と、西を最後まで残していたので第一打の時点で1シャンテン。
何かをツモって西切りリーチという事になりますので、いわゆるシュンツ系のテンパイが入っている可能性も考えられます。
さらに、東をツモ切りしているので、字牌を絞る必要がない→そこそこの打点があるといった推測もできます。
一方、全て手出しだった場合は、まず七対子を疑います。
というか、チャンタのように端に寄った手牌なら四筒五筒の手出しが先に来るので、ますます七対子が濃くなります。
西切りリーチなので、南北辺りが非常に危ないのではないかと考えられますね。
七対子でなくても、暗刻が多い縦のテンパイが入っていそうな感じです。
こんな感じで、手出しとツモ切りがわかると、同じ捨て牌でも全く印象が違ってくる場合があります。
しかし、手出しツモ切りをよくみていないと、どちらも七対子みたいだと考えてしまい、不用意な放銃をしてしまうかもしれません。
変則的な捨て牌だけど、蓋を開けてみればタンピン三色だったなんて事もよくありますよね。
そういった見かけの捨て牌に騙されない様、手出しツモ切りを把握する事が、初心者を脱出する鍵となります。
ベストは3人の手出しツモ切りを、第一打から最後まで覚える事ですが、こればっかりは向き不向きがあるものです。というか、完璧に手出しツモ切りを覚えてられる人なんてそうはいません。
最近のネット麻雀は手出しツモ切りが、河を見ればわかるので便利なんですが、実際に麻雀牌を使って麻雀を打つとなるとそんな便利機能があるわけもなく。がむしゃらに覚えていようとしても、簡単にはいかないので、自分がお勧めする方法はというと、まずは手出しツモ切りの回数を覚えてみるという事です。
何が手出し、何がツモ切りというの一々覚えなければいけないのではなく、
この人は何回、この人は何回といった様に回数だけ数えてみれば意外に覚えられます。
それも難しいなら点棒を使って、上家が手出しをする度にこのスペースに一本置く、
下家ならここみたいな感じで点棒を置いていけば覚えやすいです。
回数を覚えるだけでも、序盤の変則な捨て牌でのリーチに対してはある程度対応できるので、
方法はともかくやる価値はあると思います。
結構、自分の手番以外はボーっとしちゃったりする人もいるかも知れませんが、相手の手番こそ情報がぎっしりと詰まっているので、常に集中を切らさない様、自分のアンテナを伸ばしておきましょう。
手出しツモ切りを把握する事によって、守備力が飛躍的に上昇します。
守備力が上がればオリの精度が増し、オリの精度が増せば、それだけギリギリまで攻める事ができます。
といった感じで、そこそこ駆け足になってしまいましたが、どんな事を考えながら自分が麻雀を打っているか
この3ヶ月でお分かりいただけましたでしょうか。
実際は、これに感覚的なものであったり、その日の気分や状態といった目に見えないものも加味されるので
毎回この通りに打っているわけではありませんが、自分の基本的な部分は話せたかと思います。
降級はしてしまいましたが、A1リーグに一度は身をおかせていただいたわけですし、
日本プロ麻雀連盟に在籍して12年、そりゃ麻雀の事ばかり考えていた人間の文章なので、
参考になる部分は少なからずあるのではないかと思います。
こんな自分の書き物まで読みに来ていただいている読者の皆様のことですから、
麻雀が好きで好きでたまらなく、麻雀に対して向上心をお持ちな方がほとんどでしょう。
だからこそ、覚えておいていただきたい事があります。
麻雀はどんな上級者であっても負けるからこそ奥が深いものです。
『勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし』
とある江戸時代の大名の言葉ですが、麻雀に限らず全ての勝負事はこれに尽きるかと思います。
負けて感情的になり、誰かのせいにすれば心は晴れますが、自分自身の成長には繋がりません。
その前に、自分に何か原因がなかったのかを考えると、大体は何か見つかるものです。
自分自身もどちらかといえば気の短い方なので、感情的にもなってしまいやすいのですが、
連盟に入りたての頃は、その感情のままに無駄な数年を過ごしていたとなと。
人対人の戦いですから、技術が伴ってもメンタルが弱ければ強い人にはなれませんよね。
次回は、そんな精神的な部分が書けたらいいなと思います。
人対人の戦いですから、技術が伴ってもメンタルが弱ければ強い人にはなれませんよね。

第86回『終盤の組み立て方』

2014年が始まりはや1ヶ月。
歳を取るたびに一日一日が早く過ぎていってしまうように感じる現象はなんなんでしょうね。
子供の頃は学校の授業の1時間1時間が非常に長く感じたのに、
30を超えた今は仕事をしているとあっという間に数時間が過ぎてしまいます。
時間を無駄にしない様な生活を心がけていきたいものです。

さて、私ダンプ大橋がどんな事を考えながら麻雀を打っているかを書いてきましたが、
今回はいよいよ終盤の組み立てかたについて話していきます。

とはいっても、終盤は序盤中盤に比べて選択肢が少ないので、
考える事は多くても、実際のアクションは結構限られるかと思います。

2段目後半で、オリを選択した人は放銃しない様に、鳴かせない様に努めるわけですし、
リーチをかけた人は、ロン牌が出る、自分でツモるよう祈るだけです。
それ以外の状態の場合を、パターン毎に説明していきましょう。

まずはヤミでテンパイが入っている、仕掛けを入れてテンパイが入っている場合。
オリる気が無ければ、心の中でリーチをかけて全ツッパですよね。
ただ、最後のツモに限っては、オリの選択肢を忘れてはいけません。

もちろんテンパイして流局すればテンパイ料が入るので、わざわざオリる必要はないでしょう。
しかし、自分のツモアガリが無い状況となれば、もらえるテンパイ料は0~3,000点。
その為に放銃のリスクをどこまで負っていいかは非常に難しいところ。
特に、自分以外が全員テンパイしていると思われる様な状況で、自分がテンパイだからという理由で、数人に通っていない牌を切るのはあまりお勧めできません。

他の理由(例えば自分にドラが固まっていて相手が安そう、順位的な理由、相手の手牌読みetc…)があり、
考えた結果、テンパイを取りにいくことのメリットが大きいというのなら結果放銃してしまっても、それは考えた結果であるので、その考えが合っている、間違っているは別として問題ないと思います。
結果、間違っていたのなら、反省して次回に生かせばいいだけです。

しかし、何も考えず、反省もせず同じ事を延々と行ってしまっては成長しません。
考えすぎるのも、時には毒となるかもしれませんが、今回のケースに限らず、今まで自分が行ってきた一辺倒なアクションがあれば、他に選択肢が無いのか立ち止まって考える事も、雀力アップの為に必要かと思います。

さて、少しオリについて書いていきましょう。
基本、攻める場合は自分の手牌と河をにらめっこしながら手牌を組み立てるのですが、オリはどうしても他3人の事を考えなければいけません。まぁ当然ですけど。

となると、オリにおいて何が大事かという話なんですが、相手の手出しツモ切りを把握する事が非常に重要となっていきます。
なぜ手出しツモ切りが大事なのかといいますと、まずはこれを見て下さい。

八索 上向き二万 上向き四筒 上向き五筒 上向き三索 上向き九筒 上向き東西

こんな河でリーチが入りました。変則的なリーチに見えますね。
しかし、このリーチの手出しが八索西だけでリーチが入った場合と、全て手出しでリーチが入った場合は、相手の手牌が全く違います。

八索西だけが手出しでリーチが入った場合は、好配牌であった事と、西を最後まで残していたので第一打の時点で1シャンテン。
何かをツモって西切りリーチという事になりますので、いわゆるシュンツ系のテンパイが入っている可能性も考えられます。
さらに、東をツモ切りしているので、字牌を絞る必要がない→そこそこの打点があるといった推測もできます。

一方、全て手出しだった場合は、まず七対子を疑います。
というか、チャンタのように端に寄った手牌なら四筒五筒の手出しが先に来るので、ますます七対子が濃くなります。
西切りリーチなので、南北辺りが非常に危ないのではないかと考えられますね。
七対子でなくても、暗刻が多い縦のテンパイが入っていそうな感じです。

こんな感じで、手出しとツモ切りがわかると、同じ捨て牌でも全く印象が違ってくる場合があります。
しかし、手出しツモ切りをよくみていないと、どちらも七対子みたいだと考えてしまい、不用意な放銃をしてしまうかもしれません。
変則的な捨て牌だけど、蓋を開けてみればタンピン三色だったなんて事もよくありますよね。

そういった見かけの捨て牌に騙されない様、手出しツモ切りを把握する事が、初心者を脱出する鍵となります。
ベストは3人の手出しツモ切りを、第一打から最後まで覚える事ですが、こればっかりは向き不向きがあるものです。というか、完璧に手出しツモ切りを覚えてられる人なんてそうはいません。

最近のネット麻雀は手出しツモ切りが、河を見ればわかるので便利なんですが、実際に麻雀牌を使って麻雀を打つとなるとそんな便利機能があるわけもなく。がむしゃらに覚えていようとしても、簡単にはいかないので、自分がお勧めする方法はというと、まずは手出しツモ切りの回数を覚えてみるという事です。

何が手出し、何がツモ切りというの一々覚えなければいけないのではなく、
この人は何回、この人は何回といった様に回数だけ数えてみれば意外に覚えられます。

それも難しいなら点棒を使って、上家が手出しをする度にこのスペースに一本置く、
下家ならここみたいな感じで点棒を置いていけば覚えやすいです。
回数を覚えるだけでも、序盤の変則な捨て牌でのリーチに対してはある程度対応できるので、
方法はともかくやる価値はあると思います。

結構、自分の手番以外はボーっとしちゃったりする人もいるかも知れませんが、相手の手番こそ情報がぎっしりと詰まっているので、常に集中を切らさない様、自分のアンテナを伸ばしておきましょう。
手出しツモ切りを把握する事によって、守備力が飛躍的に上昇します。
守備力が上がればオリの精度が増し、オリの精度が増せば、それだけギリギリまで攻める事ができます。

といった感じで、そこそこ駆け足になってしまいましたが、どんな事を考えながら自分が麻雀を打っているか
この3ヶ月でお分かりいただけましたでしょうか。
実際は、これに感覚的なものであったり、その日の気分や状態といった目に見えないものも加味されるので
毎回この通りに打っているわけではありませんが、自分の基本的な部分は話せたかと思います。

降級はしてしまいましたが、A1リーグに一度は身をおかせていただいたわけですし、
日本プロ麻雀連盟に在籍して12年、そりゃ麻雀の事ばかり考えていた人間の文章なので、
参考になる部分は少なからずあるのではないかと思います。

こんな自分の書き物まで読みに来ていただいている読者の皆様のことですから、
麻雀が好きで好きでたまらなく、麻雀に対して向上心をお持ちな方がほとんどでしょう。

だからこそ、覚えておいていただきたい事があります。
麻雀はどんな上級者であっても負けるからこそ奥が深いものです。

『勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし』

とある江戸時代の大名の言葉ですが、麻雀に限らず全ての勝負事はこれに尽きるかと思います。
負けて感情的になり、誰かのせいにすれば心は晴れますが、自分自身の成長には繋がりません。
その前に、自分に何か原因がなかったのかを考えると、大体は何か見つかるものです。

自分自身もどちらかといえば気の短い方なので、感情的にもなってしまいやすいのですが、
連盟に入りたての頃は、その感情のままに無駄な数年を過ごしていたとなと。
人対人の戦いですから、技術が伴ってもメンタルが弱ければ強い人にはなれませんよね。

次回は、そんな精神的な部分が書けたらいいなと思います。
人対人の戦いですから、技術が伴ってもメンタルが弱ければ強い人にはなれませんよね。

JPML WRCリーグ レポート/第25期チャンピオンズリーグ トーナメントレポート

25期を数えたチャンピオンズリーグ。
日本プロ麻雀連盟員が参加でき、リーグの垣根を越えて半年に及ぶ予選を戦う。
その予選を勝ち上がった29名が、今回お伝えするトーナメントに進んだ。
今年からプロ連盟では専用のスタジオを設置し、多くの対局が生放送されるようになった。
その関係で公式戦の日程が大幅に変更となり、このタイトル戦も今期から日程変更となった。
前期までは、このトーナメント戦の翌日に決勝が組まれており、知力だけでなく体力も必要とする色が濃かった。
今期からは決勝が1週間後となり幾分余裕ができたとはいえ、このトーナメントを勝ち上がるには1日で半荘9回戦の長期戦を戦い抜かなければならない。
この激闘の様子をお伝えしていきます。
 
【ベスト28】
2014年2月2日。
まずは1位通過者を除く予選通過者28名によって半荘3回戦のトーナメント戦が行われる。
全7卓、上位2名、計14名が次のベスト16に進出できる。
定刻通り12:00スタート。
1卓:安達紘文 vs 石川正明 vs 岡田茂 vs 冨田久志
卓組の関係で、この1卓は予選最上位者である2位通過者(1位はベスト16にシード)とボーダー上の29位通過者が対戦する。
予選の上位者はこのトーナメントでも好成績の傾向が強いが、今回はどうか。
東1局は29位通過の冨田がドラ2枚を活かし5,200点をアガリ、そのままリードを広げていく。
オーラス、1,300オールをツモった1本場のトップ目の親、冨田の持ち点は43,800点。
この状態で予選2位通過でこの半荘3着目、持ち点34,300点の安達がダブルリーチ!
この緊迫した場面で冨田が以下の牌姿になる。
七万八万九万七索八索三筒四筒四筒四筒五筒六筒七筒中  ツモ八筒  ドラ中
この牌姿、ドラの中でロンと言われた場合は少なくとも3着以下に落ちる局面。
ひと呼吸おいて冨田、打、中。その後六万を引き入れリーチに打って出た。
結果は、安達の脇からの出アガリで決着を見たが、冨田のこの日にかける相当の覚悟が垣間見える一打だった。
冨田に限らず、この日は各所で選手の気迫のこもった闘牌をみることができた。
2回戦は、1回戦に全く牌に恵まれず1人沈みだった岡田が地力を見せ大きくプラス。
珍しいことに、オーラス2戦連続となるダブルリーチを石川が放ったが不発で岡田の1人浮き。
順位がひっくり返り、全員横一線で最終3回戦へ。
2回戦終了時
岡田+7.3P 安達+1.4P 冨田+0.2P 石川▲9.9P
最終戦、岡田と石川が華麗な手順で手を入れるも、あと一歩が届かない中、安達が親で連荘。
次いで冨田が滑り込み通過となった。
1位通過:安達紘文 2位通過:冨田久志
 
2卓:福光聖雄 vs 増田隆一 vs 山中翼 vs 西島一彦
1回戦、福光と増田が交互にアガリ続ける展開。
序盤で決着がついてばかりでは、西島も山中も防戦一方でラスを分け合う。
初戦で上位2名と下位2名の差が60P以上離れてこのままか?と見えた。
だが、2回戦東3局、親の増田が
三筒三筒三筒四筒四筒四筒五筒  ポン八筒 上向き八筒 上向き八筒 上向き  ポン中中中
このチャンス手をずっとアガれず、逆に山中が満貫のツモアガリしたあたりから雲行きが変わる。
2回戦は山中がトップ。
2回戦終了時
福光+44.8P 増田+6.5P 山中▲12.8P 西島▲38.5P
最終戦オーラス
ラス親の山中が渾身の力で連荘し、とうとう増田を逆転。
しかし、その4本場、増田がアガれば再逆転勝ち上がりの一万四万七万待ちリーチを打つ。
ノーテンで終わっても山中は敗退。そのとき、絶体絶命の山中の手牌は愚形だらけのリャンシャンテン。
しかし、ここから粘りを見せ、チーをして手を進めた残り2巡。
四万六万八万四索五索六索七索七索二筒二筒  ツモ四万  チー七筒 左向き六筒 上向き八筒 上向き
四万がダメだという確信があった」とあとで振り返る通り、受け入れを狭くしてまで四万を止めて打七索
最後のツモで七万を引き入れ、増田のアガリ牌を2牌食いとっての奇跡的なテンパイを果たした。
増田も更に食い下がったが、最後は福光のツモアガリで終了。
山中にとっては劇的な勝ち上がりとなった。
1位通過:福光聖雄 2位通過:山中翼
 
3卓:鮎川卓 vs 山口大和 vs 小松武蔵 vs 内山えみ
開始から、鮎川が効果的なヤミテンのロンアガリを内山から続けてとり、優位にゲームを進めていたが、後半戦から山口が突き抜け大きなトップ。
2回戦は転じて小松が親番で6本場まで大連荘。6万点超えのトップを獲得する。山口もプラスをキープ。
2回戦終了時
山口+33.8P 小松+32.2P 鮎川▲19.6P 内山▲46.4P
2者が突き抜けたので、最終戦はスムーズに終わるかと予想していたら、鮎川が見事な巻き返しを見せ、オーラスには勝ち上がり条件があるところまでに至る。
そのオーラスの親、内山が意地をみせ、6本場を積む間、めまぐるしく勝ち上がり条件が各者で変動する。
何度もそれに挑戦する鮎川、一度逆転条件を満たすリーチもかけたが、そこまで。
最後は小松がツモアガリでベスト28戦で一番時間がかかった勝負を終わらせた。
戦艦大和と武蔵を彷彿させる力強い勝ち上がり方だった。
1位通過:小松武蔵 2位通過:山口大和
 
4卓:桶本篤史 vs 松崎良文 vs 松岡昭彦 vs 三田晋也
格上の松崎が隙の無い軽快で危なげない麻雀でトップをとる。
2回戦は大接戦の中、オーラス桶本と三田の2軒リーチ。
これに松崎と松岡が丁寧に対応して松岡が逃げ切りトップ。
2回戦終了時
松崎+24.1P 松岡▲2.6P 桶本▲10.9P 三田▲12.6P
最終戦は、それまで逆風の中でも最小の失点で耐えていた三田が東場でブレイク。
そうなると、松崎がそつなく回す図式となりそのまま終了。
1位通過:松崎良文 2位通過:三田晋也
 
5卓:太田優介 vs 藤島健二郎 vs 久保公男 vs 相沢かおる
実績上位の藤島と相沢に、太田と久保がどう立ち向かうか。
1回戦から相沢が絶好調
一索二索三索四索四索七索七索七索西西西北北  ツモ北
この6,000は6,100オールを軽々とツモり、圧倒的なパワーでアガリ続ける。
久保もメンゼン小三元をツモるなど対抗するが、何しろ相沢の出来が良すぎる。
多少の失点は倍にして取り返す勢いでそのままトップ。
2回戦は、1回戦相沢の勢いに逆らわずにまとめた藤島のターン。
今度は藤島が1人浮きのトップをとる。
2回戦終了時
相沢+34.0P 藤島+22.8P 久保▲28.1P 太田▲28.7P
こうなるともう、相沢と藤島の2人は波に乗ったままの感。
最終戦もプラスで押しきり圧倒する形で勝ち上がりを決めた。
1位通過:相沢かおる 2位通過:藤島健二郎
 
6卓:藤本哲也 vs 古橋崇志 vs 土井悟 vs 一井慎也
チャンピオンズリーグトーナメントの経験豊富なメンバーが揃った感。
一井が持ち味を出して着実に加点していく中、オーラス藤本が28,500点持ちの状態から2フーロして3万点に届かないが2着を確保。辛いせめぎ合いが続く。
2回戦も一井が一人旅をして大トップ。藤本は2戦連続となる沈みの2着となった。
2回戦終了時
一井+57.9P 藤本▲4.1P 古橋▲26.7P 土井▲27.1P
最終戦、一井は当確。
古橋のエンジンがやっとかかり、藤本をあと一歩のところまで追い詰めるが、最後に藤本が1,300点をアガリ逃げ切る。結果的にはオール2着で、1回戦2回戦と苦しいながらも2着を死守した分の勝ち上がりとなった。
1位通過:一井慎也 2位通過:藤本哲也
 
7卓:森岡貞臣 vs 小町拓也 vs 福島佑一 vs ケネス徳田
このトーナメントに初進出のメンバーが揃った。
今期から連盟入りしたケネス徳田、東3局、迷いのないリズムで即リーチ。
二万二万二万四万四万七万八万九万五筒五筒東東東
これに福島も追っかけリーチで対抗。
初出場の雰囲気に萎縮しない力の戦いが展開された。
この回は、ケネスが一発でツモアガリをして2,000・4,000。
ただ、この後、森岡が吹き上がる。すでに5万点持っている状態から、
六万六万七万八万九万三筒三筒三筒南南南白白  ツモ白
このアガリで6,000オール。
なぜかこの卓は、シャンポンでのテンパイやアガリが異常に多かった。
森岡は終わってみるとなんと8万点を超える特大トップ。
小町は厳しい箱下ラスからのスタートとなった。
2回戦、またもや優位に進める森岡。
しかし、ここで親の小町が値千金のホンイツトイトイを森岡から直取りしてトップをとり、望みをつなぐ。
2回戦終了時
森岡+57.3P ケネス▲3.3P 小町▲17.9P 福島▲36.1P
最終戦は森岡がまたもやアガリを重ね危なげなく77.7Pで断然の1位通過。
最後に追い上げた小町がケネスと競り合い、見事に勝ち上がりを決めた。
1位通過:森岡貞臣 2位通過:小町拓也
 
【ベスト16】
ベスト28を勝ち上がった14名に、ここから前期優勝者の藤原隆弘と予選1位の山田学武が加わる。
同じく3回戦の上位2名が勝ち上がるシステム。
休む暇もなく15:30スタート。
1卓:藤原隆弘 vs 一井慎也 vs 森岡貞臣 vs 冨田久志
ここからスタートの前チャンピオンの藤原。
すでに肩が温まっている相手にやりにくくないかと様子を見ると、すこぶるリラックスした様子。
開始から4局連続先行リーチを受けるも全く動ぜず静観。
それに対して冨田の調子が良さそうだ。
ドラを重ねてのリーチをアガったあとの東3局1本場東家。
三万三万七万八万九万四索五索六索七索九索八筒九筒発
終盤に差し掛かっていたが、上家が切った2枚目の七筒を一瞥もせずにスルーして八索を引きリーチ。
他に安全牌があるにもかかわらず、テンパイしていない一井から七筒を出アガる。
是非はともかく、自分の型を打ち切っている充実を感じる。
南1局、親の藤原が超大物手を早々にテンパイ。
一万一万東東南南南発発発  ポン九万 上向き九万 上向き九万 上向き
ツモれば12,000もある爆弾。
ところがこの後、森岡からリーチが入り、次巡、藤原がツモ切った四索に対面の冨田からロンの声がかかる。
開かれた手はドラ暗刻の8,000点。
これを見たところ、藤原にとって厳しい戦いになるかな、と予想せざるを得なかった。
2回戦も藤原の劣勢は続く。
オーラスを迎え、1人沈みのラスの藤原。
しかし、ここで絵に描いたような手をつくりあげ1,300・2,600をツモってなんとわずかに1,100浮きの1人浮きトップ。マジックのようにひっくり返した。
厳しいのは親の冨田。親の払いの大きさの分だけ、微差で逆にトップからラスになってしまった。
この結果、ほとんど着順勝負の最終戦へ。
2回戦終了時
藤原+7.1P 冨田+5.7P 森岡+4.4P 一井▲17.2P
東3局、冨田がまたもやドラ3の満貫を藤原からアガる。
しかし、このまま行くかと思われた東4局、森岡が冨田から七対子で9,600は10,500。危険は感じ取っていただけに、本人の弁でもこれが後悔の一局となったようだ。
そのわずかな差を藤原が守り通して、状態が悪い中での貫録の勝ち上がりを決めた。
森岡は2連続の1位通過。冨田も一井も丁寧に最後まで戦ったが無念の敗退。
1位通過:森岡貞臣 2位通過:藤原隆弘
 
2卓:山田学武 vs 相沢かおる vs 小町拓也 vs 山中翼
ここから参戦の予選1位通過山田。
東2局、先行リーチに追いつき、リーチ。
すぐにツモって2,000・3,900と良いイメージをもって臨んでいることが窺える。
しかし、この半荘を制したのは小町。
東4局、メンホン七対子をツモった後、次局も先行リーチを交わして2,000は2,100オールと一気に突き抜けた。
2回戦は山中が力強いアガリを繰り返し東4局で4本場まで積み持ち点も6万点に。
なにしろこのメンバー、ツモアガリ限定なのか?と感じてしまうほど、「ツモ」の決着ばかり。
しかも高い手である。
山田と相沢も良いアガリをしているはずなのに、点棒がどんどん削られていくような状態。
特に相沢にしては、珍しく残り1回戦あるとはいえ、土俵際へと追いやられてしまった。
2回戦終了時
小町+25.1P 山中+14.2P 山田+7.0P 相沢▲46.3P
最終戦は、山中が抜け出し、小町がベスト28戦に引き続き、競り勝っての2位をもぎとる形となった。
1位通過:山中翼 2位通過:小町拓也
 
3卓:安達紘文 vs 松崎良文 vs 藤本哲也 vs 山口大和
大振りをせず、コンパクトにまとめるタイプのメンバーが揃った感。
アガリが早く、相手に決定打を許さずつばぜり合いが続く。
1回戦、2回戦ともに誰も1万点以上得点することができず、大接戦のまま最終戦へ突入。
2回戦終了時
藤本+12.5P 安達▲1.7P 山口▲5.3P 松崎▲5.5P
進行が早いため、他の卓と1回戦分の周回差をつけてはじまった最終戦。
安達のリズムが良い。毎巡ノータイムで小気味よく牌を切り飛ばしていく。
東1局1,300・2,600をツモり、続く東2局親で4,000オール。
続く1本場、安達に早々に高め三色同順のタンピンテンパイが入る。
このまま突っ走るかと見えたところ、松崎がトイツとシュンツ混合の難しい手をクイタンに仕上げて交わし、待ったをかける。
その後、さらに満貫をツモられ、藤本と山口は苦しいことに。
南1局、大きく沈んだ最後の親番の山口。
役無しのカン八で足止めの意味も含めたリーチ。
これを受けた暫定トップの安達。
二万三万四万六万六万七万三索三索四筒四筒五筒五筒五筒六筒
少考して、リーチの親に決意の無筋の暗刻五筒を切り飛ばし。
その後、五万を入れ追っかけリーチと場は沸騰しそうに。
しかし、顔を紅潮させながら力強くツモったのは山口。
これで息を吹き返し、その後も2,600オールをツモってトップを決めた。
その後も激戦だったが、松崎は緩急自在の押し引きで2着をキープ
見事な戦いぶりで最後まで粘り抜いたが安達と藤本はここで敗退。
1位通過:山口大和 2位通過:松崎良文
 
4卓:福光聖雄 vs 小松武蔵 vs 藤島健二郎 vs 三田晋也
1回戦、接戦のオーラス、2軒リーチがはいる局を制した福光がトップ。
2回戦
東2局 北家 藤島
二万三万四万五索五索一筒二筒三筒四筒四筒五筒七筒八筒九筒  ドラ六筒
ここで、親の三田にテンパイ気配を察しており、危ないと感じていたが型を追って打四筒
これが5,800点の放銃となり、そこから三田が猛連荘で6万点超え。
福光を抜き、トータルトップにたつ。
2回戦終了時
三田+34.4P 福光+12.3P 小松▲22.6P 藤島▲24.1P
最終戦、非常に珍しい事件が。
この時点で4者の持ち点は親の福光から以下の通り。
福光▲0.5P 藤島+3.9P 三田▲13.8P 小松+10.4P
ここで小松が満貫をツモった場合、福光と小松が同ポイントで2位になるのだ。
念のため、通過条件を確認してスタート。
(連盟規定ではトップ数が多い>ラス数が少ない>最大トップポイントの順で決める)
ここで、小松が以下の手でテンパイ。
一万二万三万一索三索一筒二筒三筒六筒七筒八筒北北
ドラが1枚あるので、リーチしてツモれば満貫になるのだが、その場合は上記の通り同点になり福光に及ばなくなってしまう。
リーチ棒が1本出るか、チャンタがつく九筒引きを待っているという、なんとももどかしい状態になってしまった。
そんな中、南家の藤島がひっそりと逆転手をテンパイ。
一万九万九索一筒一筒九筒東南西北白発中
アガれば文句なしの勝ち上がりの国士無双!
しかも、場況的に一索はいかにもありそうな待ち。
ドラマのような展開のなか結果は意外なことに。
中盤を過ぎて三田が切った八万に親の福光が「ロン」。
三色のみの3,900点。
ただ、アガリ止めはないので親を続行することになる。
ノーテンで伏せれば終了で、アガっても小松の通過条件は変わらないため、非常に微妙な判断となったが、結果的には小松と藤島のアガリを的確に阻止したこととなり、そのまま福光と三田の勝ち上がりとなった。
1位通過:福光聖雄 2位通過:三田晋也
 
【ベスト8】
ここまでですでに6戦を消化し、疲労困憊のはずの各選手。
しかし、決勝に進むためには後1つ勝ち上がらないといけない。
18:40スタート
1卓:森岡貞臣 vs 山口大和 vs 小町拓也 vs 三田晋也
1回戦、東2局に3人同時七対子テンパイの流局があった直後の東3局。
小町が絞り出すような声でツモと牌をたぐり寄せる。
一万一万二万二万九万九万九万一筒一筒一筒四筒四筒四筒  ツモ二万
大きなアガリとなる四暗刻で8,000・16,000。
しかしここで立派だったのは森岡。
役満親かぶりにも関わらず、落胆した様子は全く見せず、次の局で満貫をツモアガリ、一旦は浮くところまで点数を回復させた。
後で聞いてみると、「(役満が)1回戦でよかった。残り3人の中の1人になればいい」と考えたそうだ。
そうすると続く2回戦。
小町がこの日何度もアガった七対子を連発して局をすすめるが、森岡に風が吹きはじめ1人浮きのトップ。
なんと、総合で小町を逆転してしまう。
2回戦終了時
森岡+34.9P 小町+29.0P 三田▲12.3P 山口▲51.6P
最終の3回戦が始まったのは実に21:00。ラス親の三田が必死に食い下がり連荘。
さすがに皆の姿勢が崩れだしていたが、森岡だけは、疲労を顔に出しながらも最後までブレずに丁寧に打ち続け、最後にアガリきって念願の決勝行きを決めた。
この日のトーナメント全て1位通過は見事の一言。
1位通過:森岡貞臣 2位通過:小町拓也
 
2卓:山中翼 vs 福光聖雄 vs 藤原隆弘 vs 松崎良文
山中が東1局から大爆発。
6本場まで積み、4,000は4,600オールと7万点近く持ち点を増やし大きなアドバンテージを得る。
そうなるとあとの3人の我慢比べに。
2回戦、松崎が他家の先行リーチを受け、アガリ牌を使い切ってアガるというファインプレーを2回成功させ、トップをとる。
2回戦終了時
山中+33.0P 松崎+9.4P 福光▲12.6P 藤原▲29.8P
松崎の出来の良さが目立ち、有利かとみえた東4局、親の松崎のリーチに対して福光が力の入ったツモ。
一万一万一万二万二万四万五万六万一筒二筒三筒白白  ツモ白
点数にすればわずかに700・1,300だが、福光も松崎も後で口を揃えて語ったように、これが大きなアガリとなり、福光がトップをとって、山中と共に勝ち上がりを決めた。
素晴らしい内容の松崎だったが、3戦とも絞りの厳しい藤原の下家だったのも不運だったかもしれない。
また、その藤原も最後は全く牌が寄ってこない感じだったが、随所に見せ場を作った。
1位通過:山中翼 2位通過:福光聖雄
 
これで翌週2月9日(日)に行われる決勝メンバーが揃った。
福光以外は初の決勝進出となりフレッシュな印象だ。
しかし、どの選手もキレのある自分の麻雀を持っておりチャンスは十分。
どのような決勝戦になるのか楽しみでならない注目の一戦と見る。
最後に決勝進出者のコメントで終わりにしたい。
森岡貞臣
「うれしいです!精一杯戦い抜きたい」
山中翼
「(同じ関西所属の)三好(直幸プロ)さんがやり残した優勝を果たしたい」
小町拓也
「初めての決勝なので見られて恥ずかしくない麻雀をしたい」
福光聖雄
「2年前の決勝で不甲斐ない内容だったので借りを返して今度こそ優勝したい」

第25期チャンピオンズリーグ トーナメントレポート

25期を数えたチャンピオンズリーグ。
日本プロ麻雀連盟員が参加でき、リーグの垣根を越えて半年に及ぶ予選を戦う。
その予選を勝ち上がった29名が、今回お伝えするトーナメントに進んだ。

今年からプロ連盟では専用のスタジオを設置し、多くの対局が生放送されるようになった。
その関係で公式戦の日程が大幅に変更となり、このタイトル戦も今期から日程変更となった。
前期までは、このトーナメント戦の翌日に決勝が組まれており、知力だけでなく体力も必要とする色が濃かった。
今期からは決勝が1週間後となり幾分余裕ができたとはいえ、このトーナメントを勝ち上がるには1日で半荘9回戦の長期戦を戦い抜かなければならない。
この激闘の様子をお伝えしていきます。

 

【ベスト28】

2014年2月2日。
まずは1位通過者を除く予選通過者28名によって半荘3回戦のトーナメント戦が行われる。
全7卓、上位2名、計14名が次のベスト16に進出できる。
定刻通り12:00スタート。

1卓:安達紘文 vs 石川正明 vs 岡田茂 vs 冨田久志

卓組の関係で、この1卓は予選最上位者である2位通過者(1位はベスト16にシード)とボーダー上の29位通過者が対戦する。
予選の上位者はこのトーナメントでも好成績の傾向が強いが、今回はどうか。

東1局は29位通過の冨田がドラ2枚を活かし5,200点をアガリ、そのままリードを広げていく。
オーラス、1,300オールをツモった1本場のトップ目の親、冨田の持ち点は43,800点。
この状態で予選2位通過でこの半荘3着目、持ち点34,300点の安達がダブルリーチ!
この緊迫した場面で冨田が以下の牌姿になる。

七万八万九万七索八索三筒四筒四筒四筒五筒六筒七筒中  ツモ八筒  ドラ中

この牌姿、ドラの中でロンと言われた場合は少なくとも3着以下に落ちる局面。
ひと呼吸おいて冨田、打、中。その後六万を引き入れリーチに打って出た。

結果は、安達の脇からの出アガリで決着を見たが、冨田のこの日にかける相当の覚悟が垣間見える一打だった。
冨田に限らず、この日は各所で選手の気迫のこもった闘牌をみることができた。

2回戦は、1回戦に全く牌に恵まれず1人沈みだった岡田が地力を見せ大きくプラス。
珍しいことに、オーラス2戦連続となるダブルリーチを石川が放ったが不発で岡田の1人浮き。
順位がひっくり返り、全員横一線で最終3回戦へ。

2回戦終了時
岡田+7.3P 安達+1.4P 冨田+0.2P 石川▲9.9P

最終戦、岡田と石川が華麗な手順で手を入れるも、あと一歩が届かない中、安達が親で連荘。
次いで冨田が滑り込み通過となった。

1位通過:安達紘文 2位通過:冨田久志

 

2卓:福光聖雄 vs 増田隆一 vs 山中翼 vs 西島一彦

1回戦、福光と増田が交互にアガリ続ける展開。
序盤で決着がついてばかりでは、西島も山中も防戦一方でラスを分け合う。
初戦で上位2名と下位2名の差が60P以上離れてこのままか?と見えた。
だが、2回戦東3局、親の増田が

三筒三筒三筒四筒四筒四筒五筒  ポン八筒 上向き八筒 上向き八筒 上向き  ポン中中中

このチャンス手をずっとアガれず、逆に山中が満貫のツモアガリしたあたりから雲行きが変わる。
2回戦は山中がトップ。

2回戦終了時
福光+44.8P 増田+6.5P 山中▲12.8P 西島▲38.5P

最終戦オーラス
ラス親の山中が渾身の力で連荘し、とうとう増田を逆転。
しかし、その4本場、増田がアガれば再逆転勝ち上がりの一万四万七万待ちリーチを打つ。
ノーテンで終わっても山中は敗退。そのとき、絶体絶命の山中の手牌は愚形だらけのリャンシャンテン。
しかし、ここから粘りを見せ、チーをして手を進めた残り2巡。

四万六万八万四索五索六索七索七索二筒二筒  ツモ四万  チー七筒 左向き六筒 上向き八筒 上向き

四万がダメだという確信があった」とあとで振り返る通り、受け入れを狭くしてまで四万を止めて打七索
最後のツモで七万を引き入れ、増田のアガリ牌を2牌食いとっての奇跡的なテンパイを果たした。
増田も更に食い下がったが、最後は福光のツモアガリで終了。
山中にとっては劇的な勝ち上がりとなった。

1位通過:福光聖雄 2位通過:山中翼

 

3卓:鮎川卓 vs 山口大和 vs 小松武蔵 vs 内山えみ

開始から、鮎川が効果的なヤミテンのロンアガリを内山から続けてとり、優位にゲームを進めていたが、後半戦から山口が突き抜け大きなトップ。
2回戦は転じて小松が親番で6本場まで大連荘。6万点超えのトップを獲得する。山口もプラスをキープ。

2回戦終了時
山口+33.8P 小松+32.2P 鮎川▲19.6P 内山▲46.4P

2者が突き抜けたので、最終戦はスムーズに終わるかと予想していたら、鮎川が見事な巻き返しを見せ、オーラスには勝ち上がり条件があるところまでに至る。

そのオーラスの親、内山が意地をみせ、6本場を積む間、めまぐるしく勝ち上がり条件が各者で変動する。
何度もそれに挑戦する鮎川、一度逆転条件を満たすリーチもかけたが、そこまで。
最後は小松がツモアガリでベスト28戦で一番時間がかかった勝負を終わらせた。
戦艦大和と武蔵を彷彿させる力強い勝ち上がり方だった。

1位通過:小松武蔵 2位通過:山口大和

 

4卓:桶本篤史 vs 松崎良文 vs 松岡昭彦 vs 三田晋也

格上の松崎が隙の無い軽快で危なげない麻雀でトップをとる。
2回戦は大接戦の中、オーラス桶本と三田の2軒リーチ。
これに松崎と松岡が丁寧に対応して松岡が逃げ切りトップ。

2回戦終了時
松崎+24.1P 松岡▲2.6P 桶本▲10.9P 三田▲12.6P

最終戦は、それまで逆風の中でも最小の失点で耐えていた三田が東場でブレイク。
そうなると、松崎がそつなく回す図式となりそのまま終了。

1位通過:松崎良文 2位通過:三田晋也

 

5卓:太田優介 vs 藤島健二郎 vs 久保公男 vs 相沢かおる

実績上位の藤島と相沢に、太田と久保がどう立ち向かうか。

1回戦から相沢が絶好調

一索二索三索四索四索七索七索七索西西西北北  ツモ北

この6,000は6,100オールを軽々とツモり、圧倒的なパワーでアガリ続ける。
久保もメンゼン小三元をツモるなど対抗するが、何しろ相沢の出来が良すぎる。
多少の失点は倍にして取り返す勢いでそのままトップ。

2回戦は、1回戦相沢の勢いに逆らわずにまとめた藤島のターン。
今度は藤島が1人浮きのトップをとる。

2回戦終了時
相沢+34.0P 藤島+22.8P 久保▲28.1P 太田▲28.7P

こうなるともう、相沢と藤島の2人は波に乗ったままの感。
最終戦もプラスで押しきり圧倒する形で勝ち上がりを決めた。

1位通過:相沢かおる 2位通過:藤島健二郎

 

6卓:藤本哲也 vs 古橋崇志 vs 土井悟 vs 一井慎也

チャンピオンズリーグトーナメントの経験豊富なメンバーが揃った感。

一井が持ち味を出して着実に加点していく中、オーラス藤本が28,500点持ちの状態から2フーロして3万点に届かないが2着を確保。辛いせめぎ合いが続く。
2回戦も一井が一人旅をして大トップ。藤本は2戦連続となる沈みの2着となった。

2回戦終了時
一井+57.9P 藤本▲4.1P 古橋▲26.7P 土井▲27.1P

最終戦、一井は当確。
古橋のエンジンがやっとかかり、藤本をあと一歩のところまで追い詰めるが、最後に藤本が1,300点をアガリ逃げ切る。結果的にはオール2着で、1回戦2回戦と苦しいながらも2着を死守した分の勝ち上がりとなった。

1位通過:一井慎也 2位通過:藤本哲也

 

7卓:森岡貞臣 vs 小町拓也 vs 福島佑一 vs ケネス徳田

このトーナメントに初進出のメンバーが揃った。
今期から連盟入りしたケネス徳田、東3局、迷いのないリズムで即リーチ。

二万二万二万四万四万七万八万九万五筒五筒東東東

これに福島も追っかけリーチで対抗。
初出場の雰囲気に萎縮しない力の戦いが展開された。
この回は、ケネスが一発でツモアガリをして2,000・4,000。

ただ、この後、森岡が吹き上がる。すでに5万点持っている状態から、

六万六万七万八万九万三筒三筒三筒南南南白白  ツモ白

このアガリで6,000オール。
なぜかこの卓は、シャンポンでのテンパイやアガリが異常に多かった。
森岡は終わってみるとなんと8万点を超える特大トップ。
小町は厳しい箱下ラスからのスタートとなった。

2回戦、またもや優位に進める森岡。
しかし、ここで親の小町が値千金のホンイツトイトイを森岡から直取りしてトップをとり、望みをつなぐ。

2回戦終了時
森岡+57.3P ケネス▲3.3P 小町▲17.9P 福島▲36.1P

最終戦は森岡がまたもやアガリを重ね危なげなく77.7Pで断然の1位通過。
最後に追い上げた小町がケネスと競り合い、見事に勝ち上がりを決めた。

1位通過:森岡貞臣 2位通過:小町拓也

 

【ベスト16】

ベスト28を勝ち上がった14名に、ここから前期優勝者の藤原隆弘と予選1位の山田学武が加わる。
同じく3回戦の上位2名が勝ち上がるシステム。
休む暇もなく15:30スタート。

1卓:藤原隆弘 vs 一井慎也 vs 森岡貞臣 vs 冨田久志

ここからスタートの前チャンピオンの藤原。
すでに肩が温まっている相手にやりにくくないかと様子を見ると、すこぶるリラックスした様子。
開始から4局連続先行リーチを受けるも全く動ぜず静観。

それに対して冨田の調子が良さそうだ。
ドラを重ねてのリーチをアガったあとの東3局1本場東家。

三万三万七万八万九万四索五索六索七索九索八筒九筒発

終盤に差し掛かっていたが、上家が切った2枚目の七筒を一瞥もせずにスルーして八索を引きリーチ。
他に安全牌があるにもかかわらず、テンパイしていない一井から七筒を出アガる。
是非はともかく、自分の型を打ち切っている充実を感じる。

南1局、親の藤原が超大物手を早々にテンパイ。

一万一万東東南南南発発発  ポン九万 上向き九万 上向き九万 上向き

ツモれば12,000もある爆弾。
ところがこの後、森岡からリーチが入り、次巡、藤原がツモ切った四索に対面の冨田からロンの声がかかる。
開かれた手はドラ暗刻の8,000点。
これを見たところ、藤原にとって厳しい戦いになるかな、と予想せざるを得なかった。

2回戦も藤原の劣勢は続く。
オーラスを迎え、1人沈みのラスの藤原。
しかし、ここで絵に描いたような手をつくりあげ1,300・2,600をツモってなんとわずかに1,100浮きの1人浮きトップ。マジックのようにひっくり返した。

厳しいのは親の冨田。親の払いの大きさの分だけ、微差で逆にトップからラスになってしまった。
この結果、ほとんど着順勝負の最終戦へ。

2回戦終了時
藤原+7.1P 冨田+5.7P 森岡+4.4P 一井▲17.2P

東3局、冨田がまたもやドラ3の満貫を藤原からアガる。
しかし、このまま行くかと思われた東4局、森岡が冨田から七対子で9,600は10,500。危険は感じ取っていただけに、本人の弁でもこれが後悔の一局となったようだ。

そのわずかな差を藤原が守り通して、状態が悪い中での貫録の勝ち上がりを決めた。
森岡は2連続の1位通過。冨田も一井も丁寧に最後まで戦ったが無念の敗退。

1位通過:森岡貞臣 2位通過:藤原隆弘

 

2卓:山田学武 vs 相沢かおる vs 小町拓也 vs 山中翼

ここから参戦の予選1位通過山田。
東2局、先行リーチに追いつき、リーチ。
すぐにツモって2,000・3,900と良いイメージをもって臨んでいることが窺える。
しかし、この半荘を制したのは小町。
東4局、メンホン七対子をツモった後、次局も先行リーチを交わして2,000は2,100オールと一気に突き抜けた。

2回戦は山中が力強いアガリを繰り返し東4局で4本場まで積み持ち点も6万点に。
なにしろこのメンバー、ツモアガリ限定なのか?と感じてしまうほど、「ツモ」の決着ばかり。
しかも高い手である。

山田と相沢も良いアガリをしているはずなのに、点棒がどんどん削られていくような状態。
特に相沢にしては、珍しく残り1回戦あるとはいえ、土俵際へと追いやられてしまった。

2回戦終了時
小町+25.1P 山中+14.2P 山田+7.0P 相沢▲46.3P

最終戦は、山中が抜け出し、小町がベスト28戦に引き続き、競り勝っての2位をもぎとる形となった。

1位通過:山中翼 2位通過:小町拓也

 

3卓:安達紘文 vs 松崎良文 vs 藤本哲也 vs 山口大和

大振りをせず、コンパクトにまとめるタイプのメンバーが揃った感。
アガリが早く、相手に決定打を許さずつばぜり合いが続く。
1回戦、2回戦ともに誰も1万点以上得点することができず、大接戦のまま最終戦へ突入。

2回戦終了時
藤本+12.5P 安達▲1.7P 山口▲5.3P 松崎▲5.5P

進行が早いため、他の卓と1回戦分の周回差をつけてはじまった最終戦。
安達のリズムが良い。毎巡ノータイムで小気味よく牌を切り飛ばしていく。
東1局1,300・2,600をツモり、続く東2局親で4,000オール。
続く1本場、安達に早々に高め三色同順のタンピンテンパイが入る。
このまま突っ走るかと見えたところ、松崎がトイツとシュンツ混合の難しい手をクイタンに仕上げて交わし、待ったをかける。
その後、さらに満貫をツモられ、藤本と山口は苦しいことに。

南1局、大きく沈んだ最後の親番の山口。
役無しのカン八で足止めの意味も含めたリーチ。
これを受けた暫定トップの安達。

二万三万四万六万六万七万三索三索四筒四筒五筒五筒五筒六筒

少考して、リーチの親に決意の無筋の暗刻五筒を切り飛ばし。
その後、五万を入れ追っかけリーチと場は沸騰しそうに。

しかし、顔を紅潮させながら力強くツモったのは山口。
これで息を吹き返し、その後も2,600オールをツモってトップを決めた。
その後も激戦だったが、松崎は緩急自在の押し引きで2着をキープ
見事な戦いぶりで最後まで粘り抜いたが安達と藤本はここで敗退。

1位通過:山口大和 2位通過:松崎良文

 

4卓:福光聖雄 vs 小松武蔵 vs 藤島健二郎 vs 三田晋也

1回戦、接戦のオーラス、2軒リーチがはいる局を制した福光がトップ。

2回戦
東2局 北家 藤島
二万三万四万五索五索一筒二筒三筒四筒四筒五筒七筒八筒九筒  ドラ六筒

ここで、親の三田にテンパイ気配を察しており、危ないと感じていたが型を追って打四筒
これが5,800点の放銃となり、そこから三田が猛連荘で6万点超え。
福光を抜き、トータルトップにたつ。

2回戦終了時
三田+34.4P 福光+12.3P 小松▲22.6P 藤島▲24.1P

最終戦、非常に珍しい事件が。

この時点で4者の持ち点は親の福光から以下の通り。
福光▲0.5P 藤島+3.9P 三田▲13.8P 小松+10.4P

ここで小松が満貫をツモった場合、福光と小松が同ポイントで2位になるのだ。
念のため、通過条件を確認してスタート。
(連盟規定ではトップ数が多い>ラス数が少ない>最大トップポイントの順で決める)

ここで、小松が以下の手でテンパイ。

一万二万三万一索三索一筒二筒三筒六筒七筒八筒北北

ドラが1枚あるので、リーチしてツモれば満貫になるのだが、その場合は上記の通り同点になり福光に及ばなくなってしまう。
リーチ棒が1本出るか、チャンタがつく九筒引きを待っているという、なんとももどかしい状態になってしまった。

そんな中、南家の藤島がひっそりと逆転手をテンパイ。

一万九万九索一筒一筒九筒東南西北白発中

アガれば文句なしの勝ち上がりの国士無双!
しかも、場況的に一索はいかにもありそうな待ち。

ドラマのような展開のなか結果は意外なことに。
中盤を過ぎて三田が切った八万に親の福光が「ロン」。
三色のみの3,900点。
ただ、アガリ止めはないので親を続行することになる。
ノーテンで伏せれば終了で、アガっても小松の通過条件は変わらないため、非常に微妙な判断となったが、結果的には小松と藤島のアガリを的確に阻止したこととなり、そのまま福光と三田の勝ち上がりとなった。

1位通過:福光聖雄 2位通過:三田晋也

 

【ベスト8】

ここまでですでに6戦を消化し、疲労困憊のはずの各選手。
しかし、決勝に進むためには後1つ勝ち上がらないといけない。
18:40スタート

1卓:森岡貞臣 vs 山口大和 vs 小町拓也 vs 三田晋也

1回戦、東2局に3人同時七対子テンパイの流局があった直後の東3局。
小町が絞り出すような声でツモと牌をたぐり寄せる。

一万一万二万二万九万九万九万一筒一筒一筒四筒四筒四筒  ツモ二万

大きなアガリとなる四暗刻で8,000・16,000。

しかしここで立派だったのは森岡。
役満親かぶりにも関わらず、落胆した様子は全く見せず、次の局で満貫をツモアガリ、一旦は浮くところまで点数を回復させた。
後で聞いてみると、「(役満が)1回戦でよかった。残り3人の中の1人になればいい」と考えたそうだ。

そうすると続く2回戦。
小町がこの日何度もアガった七対子を連発して局をすすめるが、森岡に風が吹きはじめ1人浮きのトップ。
なんと、総合で小町を逆転してしまう。

2回戦終了時
森岡+34.9P 小町+29.0P 三田▲12.3P 山口▲51.6P

最終の3回戦が始まったのは実に21:00。ラス親の三田が必死に食い下がり連荘。
さすがに皆の姿勢が崩れだしていたが、森岡だけは、疲労を顔に出しながらも最後までブレずに丁寧に打ち続け、最後にアガリきって念願の決勝行きを決めた。
この日のトーナメント全て1位通過は見事の一言。

1位通過:森岡貞臣 2位通過:小町拓也

 

2卓:山中翼 vs 福光聖雄 vs 藤原隆弘 vs 松崎良文

山中が東1局から大爆発。
6本場まで積み、4,000は4,600オールと7万点近く持ち点を増やし大きなアドバンテージを得る。
そうなるとあとの3人の我慢比べに。

2回戦、松崎が他家の先行リーチを受け、アガリ牌を使い切ってアガるというファインプレーを2回成功させ、トップをとる。

2回戦終了時
山中+33.0P 松崎+9.4P 福光▲12.6P 藤原▲29.8P

松崎の出来の良さが目立ち、有利かとみえた東4局、親の松崎のリーチに対して福光が力の入ったツモ。

一万一万一万二万二万四万五万六万一筒二筒三筒白白  ツモ白

点数にすればわずかに700・1,300だが、福光も松崎も後で口を揃えて語ったように、これが大きなアガリとなり、福光がトップをとって、山中と共に勝ち上がりを決めた。

素晴らしい内容の松崎だったが、3戦とも絞りの厳しい藤原の下家だったのも不運だったかもしれない。
また、その藤原も最後は全く牌が寄ってこない感じだったが、随所に見せ場を作った。

1位通過:山中翼 2位通過:福光聖雄

 

これで翌週2月9日(日)に行われる決勝メンバーが揃った。
福光以外は初の決勝進出となりフレッシュな印象だ。
しかし、どの選手もキレのある自分の麻雀を持っておりチャンスは十分。
どのような決勝戦になるのか楽しみでならない注目の一戦と見る。

最後に決勝進出者のコメントで終わりにしたい。

森岡貞臣
「うれしいです!精一杯戦い抜きたい」
山中翼
「(同じ関西所属の)三好(直幸プロ)さんがやり残した優勝を果たしたい」
小町拓也
「初めての決勝なので見られて恥ずかしくない麻雀をしたい」
福光聖雄
「2年前の決勝で不甲斐ない内容だったので借りを返して今度こそ優勝したい」

女流プロリーグ(女流桜花) 決勝観戦記/第8期女流桜花決定戦 最終日観戦記

【震え】
恐怖の始まりは認識から…人は認識したのちに震える…!
これは有名な麻雀漫画「アカギ」に登場する日本の裏のドン・鷲巣巌の名セリフだ。
どんなに恐ろしいものが近くにあっても、それが認識できなければ人はまったく怖いと思わない。
逆に、かなり距離があっても「認識」してしまった瞬間、人は恐怖心を抱く。
当然のことなのだが、それを改めて気づかせられる。「認識」こそが震えの始まりなのである。
吾妻さおりも「認識」することで追い詰められていたはずだ。
2日目が終わって翌日曜日はただ疲れていただけで、放心状態だったかもしれない。
だが、月曜日、火曜日と、刻一刻とその時が近づいてくると、否が応にも「認識」させられてしまう。
次の土曜日には天国と地獄のいずれかが待っていることへの「認識」だ。
地獄に落ちるのは絶対にイヤだ。天国行きがほぼ確約されているのに、ちょっとミスっただけで地獄に落ちる。そんなのまっぴらゴメンだ。
しかし、天国行きの切符を手に入れるのは容易ではない。ほぼ手中に入れてはいるが、確実に手の中に入ったわけではない。「ほぼ」を「確実」にするために、絶対に苦しい思いをすると分かっている。
いずれにせよ、とてつもなくしんどい麻雀を打たされるのだ。
そんなことを考えていたら気がおかしくなる。
胃がキリキリと痛くなって、生きた心地がしない。
別に優勝が手に届きそうでもない選手でさえ「大変な思いをした」と言っていた。
吾妻と優勝争いをした和久津晶は、この戦いの後、体調を壊してしまった。
私は知らずに取材をしようとして電話をかけてしまったのだが、本当に和久津か? というようなか細い声で驚いた。
プロ同士が本気でやり合うのだから当然といえば当然だが、この人たちの麻雀は、世間の「女性の麻雀」のイメージからはかけ離れていると思う。
大げさかもしれないが、お互いの精神を破壊し合っているようなものだ。「精神の格闘技」のようなことをやっているわけだから、試合後は心がボロボロになってしまう。
吾妻は、こういった戦いを初めて体験するわけだが、元教師だけあって予習は怠らなかった。
いつか自分がその舞台に立つために、他の選手たちの戦いを、牌譜やニコ生で研究し続けてきたから、何となくは分かる。
平常心を保たなければならないが闘志は燃やしていなければならない。焦ってはいけないが敵に後れをとってはならない。勝ちを意識し過ぎてはならないが絶対に勝たねばならない。必要以上に怯えてもならないし、かかり過ぎて前のめりになってしまっても良くない。
つまり相反し矛盾することを両方ともこなさねば麻雀の決勝では勝てない。ただ中間地点でバランスを取れば良いというものでもない。
こんな難しいこと、普通の人間にはできるわけがないのである。
たとえ乗馬のビデオを百万回繰り返して観たとしても、いきなり暴れ馬に乗ることはできない。それと同じことである。
mas22
 
最終日の1戦目、第9回戦の吾妻の東1局は、震えていたと思う。
映像を見る限り、指先や身体が震えていたわけではない。だが、心は多少なりとも揺らいでいたはずだ。

 
二索三索四索五索七索八索九索二筒四筒六筒七筒東発  ツモ八索  ドラ五筒
5巡目。東発は生牌で、吾妻は八索をツモ切った。
決しておかしな一打ではないが、伸び伸び打っているとは言えない。
ここまで攻撃を武器にし、周囲を振り回してきた吾妻なら、打発という手もあっただろう。
カン六索、カン三筒と引ければ五筒八筒待ちのメンタンピン。
そんなにうまくいくとは限らないが、いかないとも限らない。
そして次巡、2枚切れの北をツモ切り。
打ち手の意志は完全には分からないが、東發を打たないのはただ字牌を残したいのではなく、鳴かれるのが嫌だったということだろう。もし受けに回った時の安全を意識するなら北は温存して打発とするはずだ。
そして次巡、七索をツモったら打東。これは下家が東をツモ切ったからである。
さらに次巡、七索をツモって以下の形から打発
二索三索四索五索七索七索八索九索二筒四筒六筒七筒発  ツモ七索  ドラ五筒
この時点でまだ發は生牌だったが、1シャンテンになったから切ったのだろう。
それと七索が3枚になって、上家の安田麻理菜と下家の魚谷侑未が9を切っているから、安全牌が確保できたというのも理由のひとつだと思われる。
対面で当面のライバル、トータル2位の和久津晶の現物も二索がある。
吾妻にしてみれば、こうやってちゃんと考えていて、探り探りいっていて実際は予定通りで、私などからとやかく言われる筋合いはないのかもしれない。だが、私には少しだけ引っかかったのだ。
初日の、元気だった吾妻なら、さっさと発東も切って、以下のような目一杯の手になっていたのではないかと思ったのだ。
二索三索四索五索七索七索七索八索八索九索二筒四筒六筒七筒  ドラ五筒
ここから二索を切るか九索を切るかは分からない。もしかしたら一気通貫を見て二筒というのも絶対ないとは言えない。
しかしまぁ、役牌を大事に扱い、様子を見たいという気持ちも分かる。
だが、次局を見て、やはり「あれ?」と思ったのである。

 
2巡目、
二万二万三万三索五索二筒三筒五筒六筒八筒九筒東中  ツモ中  ドラ六索
吾妻はここでいきなり生牌の東を打ったのだ。
東1局とえらい違いである。
mas22
 
メンツ候補はオーバーしていて、この手こそ役牌を止めながら進めやすい手だと私は思う。
二万を打っても良いし、八筒九筒に手をかけても良い。
もちろん東を打つ手も全然ありなのだが、もし、東1局の親番の打ち方が気に入らなくて、自分の気持ちを慌てて修正しようとしているのなら危険だと思った。
次巡、カン四索をツモると打九筒としたが、これも私は八筒が先だと思う。
マークすべきは前局、安田のリーチをかいくぐってアガった親の魚谷で、リーチ棒つきで放銃した安田の方ではないだろう。
mas22
 
だから先に安田の現物を打つべきで、魚谷の現物の九筒は後回しだと思う。
あまりネチネチ言うと吾妻のことを批判しているように思われるのでこの辺でやめておく。
私はただ、タイトル戦の決勝のプレッシャーによって、人がどうなるかを伝えたかった。
「アカギ」の作者・福本伸行先生なら、名セリフでビシっと登場人物の心境を伝えられるのだが、私にはそんな筆力がないのでご容赦願いたい。
私自身もプレッシャーがかかった局面で同じようになった経験が何回もある。
特に序盤の打牌がおかしくなり、序盤がおかしくなると、中盤はもっとおかしくなる。
そして思考までもおかしくなってきて、末期症状になると、相手からリーチが入ったところでホっとする。
「この局はオリてしまえばいい」と妙な安堵すらしてしまうのである。
吾妻が同じというのは失礼だからそこまでは言わない。
実際にインタビューしてみたら「全然違う!」と叱られるかもしれない。
だが、彼女の心の中はともかく、事実として、この半荘で吾妻は1人沈みのラスとなってしまった。
しかも1回もアガれずの、いわゆる焼き鳥状態。
そして、和久津との点差は10,000点弱。この回トップの魚谷との点差も約60ポイントと射程圏内に入った。
この後、誰かが吾妻に優勝者インタビューをするだろうから、私はあえて取材的なことをするのをやめた。
だから想像でしかないのだが、やはりこの回の吾妻の麻雀は、本人が納得いくような内容ではなかったと思うのだ。
【9回戦終了時成績】
吾妻さおり +36.1P
和久津晶  +26.9P
魚谷侑未  ▲25.6P
安田麻里菜 ▲37.4P
 
一万のアヤ】
点差が縮まり、吾妻はズルズルとマイナスの方向へ引きずり込まれるかと思っていたが、ここで吾妻は踏み止まった。
試合後に吾妻はこう語った。
「自分が苦しいのは当然でしたが、対局相手の表情を見ると、みんな苦しそうだなと思って。みんな今まで、そうやって苦しい思いをしながら頑張って勝って、タイトルを獲ってきたんだと思いました。そうしたら、こうやって苦しい戦いができていること自体が幸せなんだと思うことができて。苦しいのは当たり前で、その苦しさから逃げてちゃ相手にも麻雀にも失礼だと思って、頑張ることができました」
吾妻は戦いながら、こんなことを思ったという。
普通は自分の「利」を失うことを「認識」し、震え、どんどんワガママになって自滅するのであるが、吾妻は謙虚になることで震えを止めることができた。
勝ちたいという「欲」よりも、相手や視聴者、そして麻雀に失礼のないように、自分だけ苦しさから逃げてはいけないと奮起して、心の震えを封じ込めたのである。
mas22
 
10回戦の吾妻の戦い方は堂々たるものであった。
本当に同じ人が打っているのか? というぐらい、180度違う戦い方を見せた。

 
10回戦、東1局の6巡目。
二万三万四万七万二索三索四索六索五筒六筒九筒九筒白  ツモ八万  ドラ六筒
3フーロしている親の安田に対し、生牌の白をぶつけたのである。
確かに、冷静に考えれば通りそうな牌である。
安田は字牌を2つポンしてソーズをチー。もしこれで白がアタリならホンイツになっているか、ホンイツを狙った形跡があるのが普通だ。
mas22
 
だが、安田の捨て牌は八索四筒の順番で、ホンイツなら逆である。しかも中は同巡2鳴きしている。
もちろん、迷彩のためにあえて1枚目の役牌をスルーしたり、切り順を逆にすることはあり得るが、それにしてもできすぎだ。
吾妻は手なりの仕掛けだと読み切って白を打ったのか。それとも「退かない」という決意だけで開き直ったのか分からないが、もし読みがあったとしても白は簡単に切れる牌ではない。
これがもし、勝ったらみかんがもらえる家族麻雀なら「余裕の白」なのだが、吾妻にとっては一世一代の大勝負である。
本当によく打てたよなぁ、と感心する。
吾妻は白を切る時、激しくシビれたに違いない。少なくとも、見ていたこっちはシビれさせられた。
もし、この白打ちが酷い結果になっていたら、またここで吾妻は悪夢にうなされていたかもしれない。
白は上家にポンされたが、最悪の結果にはならなかった。
自分がアガったわけではないが、吾妻にとっては大きな「白の無事通過」だった。
結果は千点の横移動だが、この局の持つ意味は非常に大きかったと思う。
そして次局。私はこの局こそが吾妻を優勝に導いたと思っている。
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安田の11巡目。メンツ手でも七対子でも1シャンテンになる手牌でドラが2枚だが、対面の吾妻が東をポンしてマンズのホンイツ気配である。
二筒が2枚切られているので、一索二筒を切る手もあるが、そうすると七対子が2シャンテンになり、ペンカン三万がネックになる。これはあまり良い手ではなさそうだ。
したがって、七対子の1シャンテンはキープしたいところだが、問題は何を切るかである。
一万三万四万六索のどれを切っても七対子は1シャンテンだが、三万六索はメンツ手の可能性がなくなり七対子1本になる。
だから安田は一万を打ったのだが、これが吾妻にとって超ラッキー牌となった。
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実は吾妻の手はこうなっていて、安田の一万をポンして打白。これでテンパイし、次巡、ラス牌の一万をツモって1,300・2,600点のアガリとなったのである。
実は生放送をマシンルームで見守っていた時、私は「一万からじゃないだろう」と思っていた。
メンツ手を意識するなら二万からだし、七対子に重きをおくなら六索だって良い。両方を追いたいなら四万だってある。
そう思ったのだが、牌譜を検証すると、二筒が枯れていた。
これならメンツ手はほぼ捨てなければならず、二万切りというのはありえない。
もし安田が四万から切っていても吾妻はおそらくポンして一万ツモアガリになるので、助かる道は六索切りか三万切りしかなかった。
この六索打ちや三万打ちを安田に要求するのは酷だと思う。
安田さん、マシンルームで文句を言って悪かった。
だが、安田が守備型の麻雀で女流プロの頂点を極めようとするなら、いつかは六索が切れる打ち手になって欲しい。
あまり無責任なことは言えないが、現在、鳳凰戦を戦っている麻雀忍者こと藤崎智なら、この一万は打たず六索を打ったかもしれない。
これは超能力みたいな忍法みたいな奇妙な力をつけろと言っているのではなく、一万を打たないのは守備の基本でもあるからだ。色々な局面や都合はあるが、一色手志向の者がいる時のセオリーだからである。
たとえばマンズの一色手を狙っている人がいて、一万九万が生牌ならば警戒しなければならない。
もし一万四万と持っていて両方を切る可能性があるなら、先に四万を切るのが定石だ。
理由は単純で、四万をポンされて一万がロンになるケースよりも、一万がポンされて四万がロンになるパターンの方が圧倒的に多いからである。
それに、四万をポンした手牌と一万をポンした手牌では、その後の伸びが違う。
真ん中の牌をポンすれば手牌は分断され、変化を失う。
だが、端の牌をポンしてもあまり不自由にならず、手牌の柔軟さはなくならない。
もちろん、安田はそんなこと百も承知。今の理論は初心者に教えるべきことだからだ。
安田はすべて分かった上で判断して一万を切ったのだが、結果的には最悪だったと言える。
緒戦で1人沈みを食らい、精神的動揺を見せた吾妻が開き直って攻めてきた。
ここでガツンと頭を叩ければ、他の3者にも大チャンスが生まれるところだったが、このアガリで吾妻は自分を取り戻した。
安田が悪いと言っているわけではない。
ただ、事実として、このアガリが吾妻優勝の可能性を一気に高めたと私は思った。
次局、親番を迎えた吾妻はダブ東を暗刻にしてリーチ。魚谷から9,600点をアガる。
吾妻はたった1戦で悪夢を振り払い、再び優勝へ向け走り出した。
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【10回戦終了時成績】
吾妻さおり +55.2P
和久津晶  +21.8P
安田麻里菜 ▲28.4P
魚谷侑未  ▲48.6P
 
【本命の浮上】
吾妻には失礼な話だが、最終日が始まる前、否、始まってからもずっと「和久津が優勝するだろう」という雰囲気がアリアリだった。
誰が勝つと思う? とスタッフに聞いてみると、ほぼ全員が「和久津が逆転するでしょう」という答えだった。
それは吾妻が劣るとかいうことではなく、経験と実績と、そして和久津の恐ろしいまでの攻撃力を知っているからである。
それと、この程度の点差はプレッシャーになり、吾妻の枷というか重石のようになってしまうから、という見方であった。
和久津がリードしていて吾妻が追いかけるならともかく、あの超攻撃型麻雀アマゾネスから逃げるのは容易ではない。
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そのアマゾネスが激しい攻めを見せた。
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11回戦の東1局3本場。
場に出ている4本のリーチ棒と3本場。これを狙って五万をポンした和久津に、親の安田がリーチで対抗する。
リーチ後、安田がツモ切った三万をポンして打二万三筒六筒待ちのテンパイとなったところでつかんだのが生牌でドラの中である。
相手は連荘中の親である。この中がアタったら親満はほぼ確定。下手をすると親の跳満で18,000点の失点となるかもしれない。
いくら場に合計5,900点が転がっているとはいえ、この中を打つのには勇気がいる。否、勇気とかいう生やさしいもんじゃなく、無謀とか捨て身に近い気持ちが必要だろう。
せっかく吾妻に肉薄したというのに、これがアタっただけで戦線離脱となるのである。
だが和久津はほぼノータイムでツモ切った。
ガツン! と卓に叩きつけ、気合を入れて勝負した。
そしてこれが通り、すぐに六筒をツモ。
大きな大きな1ハン手をアガリ、これで勢いをつけると、一気に5万点超えの大トップ。
最終戦の直前で初めて吾妻から首位の座を奪ったのであった。
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【11回戦終了時成績】
和久津晶  +55.2P
吾妻さおり +33.8P
安田麻里菜 ▲ 3.1P
魚谷侑未  ▲85.9P
 
【牌に申し訳ないという気持ち】
最終戦を迎え、2位・吾妻と首位・和久津との差は21,400点。
日本プロ麻雀連盟のAルールではトップの順位点が8,000点しかないので、たとえば吾妻がトップ、和久津が3着でも12,000点しか縮まらない。
つまりその場合、素点でさらに1万点近く離さなければならないのだが、そんなに都合良くいくわけがない。
タイトル未勝利の吾妻にとって、リードは「震え」の要因ともなるが、何度も決勝を戦い、優勝も経験している和久津にとっては、リードはそのまま「利」以外の何物でもないからだ。
見ていたスタッフたちも「だいたい予想通りの展開になった」という空気が流れていた。
消化試合とまでは言わないが、よほど吾妻が頑張らなければ、再度の逆転は難しいだろうと思われていた。
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南1局1本場、吾妻から親リーチがかかる。
上家から三万が出たところだが、北家の和久津はこの三万をポンして三索を勝負した。
この時点で吾妻との差はほとんど変わっておらず、無理をする必要はないが、これが和久津の基本姿勢。
親の吾妻に4,000オールと言われて逆転されてから頑張るのではなく、今、こちらが戦える状態にある内に戦うのである。
しかし、これが裏目に出る。
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和久津はつかんだ四索を真っ直ぐ勝負し、吾妻に5,800は6,100点の放銃。
この一撃で吾妻が首位に返り咲いた。
だが、ここからが和久津の強いところである。
何と続く南1局2本場、
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その次、南2局、
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さらに続くラス前、南3局、
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と、3連続でアガリをものにする。しかもその内2回は吾妻からの直撃だ。
安いとはいえ、これでオーラスを迎えた時点で、再度和久津が上になる。
オーラスの親は和久津だったが、吾妻が1人テンパイだと逆転されてしまうので、1局で終了させることはできないだろう。まずは1回アガって、1本場で逃げ切れば優勝である。
吾妻の優勝条件は、4,500点の出アガリか、700・1,300点のツモアガリ。あるいは和久津もしくは魚谷から3,200点以上の直撃。安田からなら4,500点以上の出アガリというものだった。
そして3巡目、吾妻の手がこうなった。
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ピンフイーペーコーの1シャンテン。ペン三索を引けばリーチツモで安目でもOKなので、とりあえず七万を切る人もいるだろう。
ドラが五筒なので残すのは三筒の方だ。
だが、吾妻はここで一索を切った。
2シャンテンに戻したのである。
この一打、普段なら何てことはない、普通の手である。
しかし、この場面で、この手が打てる人が何人いるだろうか。
少なくとも、プレッシャーで震えてバランスを崩していた9回戦の吾妻なら打てなかったと思う。
だが、吾妻はそのプレッシャーに打ち克ち、見事に自分を取り戻すことができた。
否、プレッシャーと勝負したのではなく、ただ謙虚に目の前の手牌に向き合っただけなのかもしれない。
そしてその謙虚さに応えてくれるかのように、手牌が伸びた。
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高目タンピンリャンペーコーのテンパイ。
ヤミテンに構え、何をツモってもOK。四万なら誰から出てもOKである。
吾妻は冷静にヤミテンに構えた。
そして奇跡の四暗刻で大逆転を狙う安田から四万がツモ切られた。
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吾妻の戦いぶりは、終始、決してスマートな打ちまわしばかりではなかったと思う。
彼女も表彰式でのインタビューで言っていた。
「牌に対して申し訳ないような一打もありました」
自分で、何が何やらワケ分からなくなっているような時間もあったと思う。
しかし、最後の最後に、キレイな手がきてくれた。
否、本当は彼女が一索二索と払ってキレイな手を作ったのであるが、彼女は「最後にキレイな手ができてくれて、もっと麻雀が好きになりました」と言った。
彼女の麻雀と同じで、素直で素朴で謙虚な良い言葉だったと思う。
初のタイトル戦に挑戦するにあたって、吾妻が掲げたキーワードは「簡単には退かない」というものだった。
それを実践して見事に優勝したのであるが、その戦略よりももっと大きな勝因は彼女の謙虚さだったと思う。
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【蛇に足】
最後に蛇足かもしれないが、最下位に沈んだ魚谷の最終戦の麻雀について書いておきたいことがある。
最終戦、誰がどう見ても魚谷に優勝の可能性はなかった。
もちろん、可能性は無限大にあるわけで、絶対ということはないのだが、普通に考えたら無理である。
だから彼女は、最終戦を前にして、審判長の藤原隆弘に相談をした。
私はどう打ったら良いのでしょうか?
この答えは日本プロ麻雀連盟のタイトル戦においては、はっきり決まっている。
普通に麻雀を打つしかないのである。
テレビ対局など、優勝以外の2位~4位はすべて同じ価値で、かつ短期戦であれば、優勝の可能性がほとんどなくなった時点で邪魔をしないという打ち方もあるだろう。
最近はCSなどのそういった対局が増えたため、プロ麻雀界にも「可能性のない打ち手はおとなしくしていろ」的な風潮があるようだ。だが、それでは最後の最後だけ麻雀がひん曲がったものになってしまうというのが日本プロ麻雀連盟の考え方である。
優勝以外、ほとんど意味がないというのは前提としてあるにしても、程度の問題ということもある。
たとえば、1人だけが突っ走っていて後はダンゴ。最後が消化試合であったとしても、全員で何もしないというのはどうだろうか。
視聴者がいるとかいないとかにかかわらず、一生懸命、ベストの麻雀を打つべきではなかろうか。
だから極力、普通に近い麻雀をやるのがベターなのである。
もちろん、人間がやることであるし、実際には多少大物狙いになったりはする。
今回の魚谷でいえば、子でメンタンピンが見えている手を鳴いて1,000点というアガリはしないだろう。
いくら普段はやっているとはいえ、そこまで意味のないことはしない。
しかし、早い手が入ってメンゼンでテンパイしたらリーチをかけて、出たらアガらなければ不自然になる。
良くないのは中途半端だ。
対戦相手にしてみれば、優勝の可能性がほとんどない人が、どんな麻雀を打つにしても、一貫性を持ってやってくれればそれで良い。
見逃したりアガったりされたら堪らないが、「お前はアガらず放銃もせず誰にも鳴かせるな」ということはないのである。
日本プロ麻雀連盟では以前からそのような考え方でタイトル戦運営を行ってきたが、最近はニコ生などで対局が観られる機会が増えた。
プロの試合は戦いであると同時に商品である。
プロはファンの皆さんに支えられてナンボであり、やはり視聴者目線に立てば、戦いの終盤には「納得感」が求められるであろう。
そういう意味では、CSのテレビ対局のような、オールオアナッシング的なシステムを採用することも考えられたが、やはりタイトル戦の長丁場は事情が違う。
私たちがお見せしたいのは、プロ同士の緊迫感のある戦いだ。
終盤になるにつれ、4者のうち2者が「黒子」になり切って戦い、最終戦オーラスの親番だけが異常に有利で大逆転が当たり前というのはおかしい。
公平感や納得感のために「麻雀じゃない何か」で最後を飾りたくはないのである。
こういった悩みは長く麻雀界にあったのだが、滝沢和典が考案したシステムによって、現在その悩みはかなり解消されてきた。
日本プロ麻雀連盟では、数年前から最終戦の場所決めと親決めを成績で決定することにしている。
最終戦スタートの時点で1位の者が北家スタート。2位が起家、3位が南家で4位が西家スタートなのである。
これによって、各自の南場の親番がなくなるまで「普通に近い」麻雀が打てるようになる。
今回の魚谷でいえば、3位になることすら難しい状況だったが、南場の親番が落ちるまでは普通にアガリにいって良いという理屈が通る。
そして最も大きいのはオーラスの親だ。
この1局だけは、さすがに優勝の可能性がない者が手を出すわけにいかない。
自分が優勝するわけでもないのにアガってしまうわけにはいかないだろう。
だが、もし3位の者がオーラスの親で、2位も優勝するには役満条件となったら、3位の者が無駄に連荘し、終わらない試合が始まってしまう。
もちろん、首位の者がアガれば良いのだが、そうそう簡単にアガれるものではない。
逆に、親番の者には他家がアシストして鳴かせてくれたりもするので、首位の者にとって不利な戦いになるのが一般的だ。
そして長い連荘を行い、結局、逆転劇は生まれず終了する。
これって、視聴者にとっても選手にとっても、ただしんどいだけである。
また、たとえ逆転したとしても、これって本当にその人が強かったから逆転したと言えるだろうか?
甚だ疑問である。
だからオーラスの親にはトータル首位が座るのだ。
今回の女流桜花では、和久津がその位置に着いた。
展開次第ではあるが、ほとんどのケースにおいて、オーラス1局で勝負が決まる。
今回のように和久津を追い詰めれば、2局、3局と必要になることはあるだろうが、ただ形を作りに行くだけの無駄な連荘は行われない。
もちろん、これが完璧なシステムだとは言わないが、今のところはこれがベターだと考え、実施している。
今後議論を重ね、もっと良い方法論があれば取り入れられることもあるだろう。
前置きが超、長くなったが、こういった前提があって、その意味では魚谷は立派に最終戦を戦った。
ところが、こちらの説明不足があったからか、一部のファンの方から「邪魔をするな」という意味のコメントがあったようなので、クドクドと書かせていただいた。
別に魚谷が可哀相とかいうのではなく、ファンの皆さんには分かりやすくご説明しておく必要があると思い、観戦記とはあまり関係のないことを説明させていただいた。
今後、鳳凰戦などをお楽しみいただく上で、私たちの考えをご承知いただければ幸いである。

第8期女流桜花決定戦 最終日観戦記

【震え】

恐怖の始まりは認識から…人は認識したのちに震える…!

これは有名な麻雀漫画「アカギ」に登場する日本の裏のドン・鷲巣巌の名セリフだ。
どんなに恐ろしいものが近くにあっても、それが認識できなければ人はまったく怖いと思わない。
逆に、かなり距離があっても「認識」してしまった瞬間、人は恐怖心を抱く。

当然のことなのだが、それを改めて気づかせられる。「認識」こそが震えの始まりなのである。

吾妻さおりも「認識」することで追い詰められていたはずだ。
2日目が終わって翌日曜日はただ疲れていただけで、放心状態だったかもしれない。
だが、月曜日、火曜日と、刻一刻とその時が近づいてくると、否が応にも「認識」させられてしまう。

次の土曜日には天国と地獄のいずれかが待っていることへの「認識」だ。
地獄に落ちるのは絶対にイヤだ。天国行きがほぼ確約されているのに、ちょっとミスっただけで地獄に落ちる。そんなのまっぴらゴメンだ。

しかし、天国行きの切符を手に入れるのは容易ではない。ほぼ手中に入れてはいるが、確実に手の中に入ったわけではない。「ほぼ」を「確実」にするために、絶対に苦しい思いをすると分かっている。
いずれにせよ、とてつもなくしんどい麻雀を打たされるのだ。

そんなことを考えていたら気がおかしくなる。
胃がキリキリと痛くなって、生きた心地がしない。

別に優勝が手に届きそうでもない選手でさえ「大変な思いをした」と言っていた。

吾妻と優勝争いをした和久津晶は、この戦いの後、体調を壊してしまった。
私は知らずに取材をしようとして電話をかけてしまったのだが、本当に和久津か? というようなか細い声で驚いた。

プロ同士が本気でやり合うのだから当然といえば当然だが、この人たちの麻雀は、世間の「女性の麻雀」のイメージからはかけ離れていると思う。

大げさかもしれないが、お互いの精神を破壊し合っているようなものだ。「精神の格闘技」のようなことをやっているわけだから、試合後は心がボロボロになってしまう。

吾妻は、こういった戦いを初めて体験するわけだが、元教師だけあって予習は怠らなかった。
いつか自分がその舞台に立つために、他の選手たちの戦いを、牌譜やニコ生で研究し続けてきたから、何となくは分かる。

平常心を保たなければならないが闘志は燃やしていなければならない。焦ってはいけないが敵に後れをとってはならない。勝ちを意識し過ぎてはならないが絶対に勝たねばならない。必要以上に怯えてもならないし、かかり過ぎて前のめりになってしまっても良くない。

つまり相反し矛盾することを両方ともこなさねば麻雀の決勝では勝てない。ただ中間地点でバランスを取れば良いというものでもない。

こんな難しいこと、普通の人間にはできるわけがないのである。

たとえ乗馬のビデオを百万回繰り返して観たとしても、いきなり暴れ馬に乗ることはできない。それと同じことである。

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最終日の1戦目、第9回戦の吾妻の東1局は、震えていたと思う。
映像を見る限り、指先や身体が震えていたわけではない。だが、心は多少なりとも揺らいでいたはずだ。

 

二索三索四索五索七索八索九索二筒四筒六筒七筒東発  ツモ八索  ドラ五筒

5巡目。東発は生牌で、吾妻は八索をツモ切った。
決しておかしな一打ではないが、伸び伸び打っているとは言えない。

ここまで攻撃を武器にし、周囲を振り回してきた吾妻なら、打発という手もあっただろう。
カン六索、カン三筒と引ければ五筒八筒待ちのメンタンピン。
そんなにうまくいくとは限らないが、いかないとも限らない。

そして次巡、2枚切れの北をツモ切り。
打ち手の意志は完全には分からないが、東發を打たないのはただ字牌を残したいのではなく、鳴かれるのが嫌だったということだろう。もし受けに回った時の安全を意識するなら北は温存して打発とするはずだ。

そして次巡、七索をツモったら打東。これは下家が東をツモ切ったからである。
さらに次巡、七索をツモって以下の形から打発

二索三索四索五索七索七索八索九索二筒四筒六筒七筒発  ツモ七索  ドラ五筒

この時点でまだ發は生牌だったが、1シャンテンになったから切ったのだろう。
それと七索が3枚になって、上家の安田麻理菜と下家の魚谷侑未が9を切っているから、安全牌が確保できたというのも理由のひとつだと思われる。

対面で当面のライバル、トータル2位の和久津晶の現物も二索がある。

吾妻にしてみれば、こうやってちゃんと考えていて、探り探りいっていて実際は予定通りで、私などからとやかく言われる筋合いはないのかもしれない。だが、私には少しだけ引っかかったのだ。

初日の、元気だった吾妻なら、さっさと発東も切って、以下のような目一杯の手になっていたのではないかと思ったのだ。

二索三索四索五索七索七索七索八索八索九索二筒四筒六筒七筒  ドラ五筒

ここから二索を切るか九索を切るかは分からない。もしかしたら一気通貫を見て二筒というのも絶対ないとは言えない。
しかしまぁ、役牌を大事に扱い、様子を見たいという気持ちも分かる。
だが、次局を見て、やはり「あれ?」と思ったのである。

 

2巡目、

二万二万三万三索五索二筒三筒五筒六筒八筒九筒東中  ツモ中  ドラ六索

吾妻はここでいきなり生牌の東を打ったのだ。
東1局とえらい違いである。

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メンツ候補はオーバーしていて、この手こそ役牌を止めながら進めやすい手だと私は思う。

二万を打っても良いし、八筒九筒に手をかけても良い。
もちろん東を打つ手も全然ありなのだが、もし、東1局の親番の打ち方が気に入らなくて、自分の気持ちを慌てて修正しようとしているのなら危険だと思った。

次巡、カン四索をツモると打九筒としたが、これも私は八筒が先だと思う。
マークすべきは前局、安田のリーチをかいくぐってアガった親の魚谷で、リーチ棒つきで放銃した安田の方ではないだろう。

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だから先に安田の現物を打つべきで、魚谷の現物の九筒は後回しだと思う。

あまりネチネチ言うと吾妻のことを批判しているように思われるのでこの辺でやめておく。
私はただ、タイトル戦の決勝のプレッシャーによって、人がどうなるかを伝えたかった。
「アカギ」の作者・福本伸行先生なら、名セリフでビシっと登場人物の心境を伝えられるのだが、私にはそんな筆力がないのでご容赦願いたい。

私自身もプレッシャーがかかった局面で同じようになった経験が何回もある。
特に序盤の打牌がおかしくなり、序盤がおかしくなると、中盤はもっとおかしくなる。

そして思考までもおかしくなってきて、末期症状になると、相手からリーチが入ったところでホっとする。
「この局はオリてしまえばいい」と妙な安堵すらしてしまうのである。

吾妻が同じというのは失礼だからそこまでは言わない。
実際にインタビューしてみたら「全然違う!」と叱られるかもしれない。
だが、彼女の心の中はともかく、事実として、この半荘で吾妻は1人沈みのラスとなってしまった。
しかも1回もアガれずの、いわゆる焼き鳥状態。

そして、和久津との点差は10,000点弱。この回トップの魚谷との点差も約60ポイントと射程圏内に入った。

この後、誰かが吾妻に優勝者インタビューをするだろうから、私はあえて取材的なことをするのをやめた。
だから想像でしかないのだが、やはりこの回の吾妻の麻雀は、本人が納得いくような内容ではなかったと思うのだ。

【9回戦終了時成績】
吾妻さおり +36.1P
和久津晶  +26.9P
魚谷侑未  ▲25.6P
安田麻里菜 ▲37.4P

 

一万のアヤ】

点差が縮まり、吾妻はズルズルとマイナスの方向へ引きずり込まれるかと思っていたが、ここで吾妻は踏み止まった。

試合後に吾妻はこう語った。
「自分が苦しいのは当然でしたが、対局相手の表情を見ると、みんな苦しそうだなと思って。みんな今まで、そうやって苦しい思いをしながら頑張って勝って、タイトルを獲ってきたんだと思いました。そうしたら、こうやって苦しい戦いができていること自体が幸せなんだと思うことができて。苦しいのは当たり前で、その苦しさから逃げてちゃ相手にも麻雀にも失礼だと思って、頑張ることができました」

吾妻は戦いながら、こんなことを思ったという。

普通は自分の「利」を失うことを「認識」し、震え、どんどんワガママになって自滅するのであるが、吾妻は謙虚になることで震えを止めることができた。

勝ちたいという「欲」よりも、相手や視聴者、そして麻雀に失礼のないように、自分だけ苦しさから逃げてはいけないと奮起して、心の震えを封じ込めたのである。

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10回戦の吾妻の戦い方は堂々たるものであった。
本当に同じ人が打っているのか? というぐらい、180度違う戦い方を見せた。

 

10回戦、東1局の6巡目。

二万三万四万七万二索三索四索六索五筒六筒九筒九筒白  ツモ八万  ドラ六筒

3フーロしている親の安田に対し、生牌の白をぶつけたのである。
確かに、冷静に考えれば通りそうな牌である。
安田は字牌を2つポンしてソーズをチー。もしこれで白がアタリならホンイツになっているか、ホンイツを狙った形跡があるのが普通だ。

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だが、安田の捨て牌は八索四筒の順番で、ホンイツなら逆である。しかも中は同巡2鳴きしている。
もちろん、迷彩のためにあえて1枚目の役牌をスルーしたり、切り順を逆にすることはあり得るが、それにしてもできすぎだ。

吾妻は手なりの仕掛けだと読み切って白を打ったのか。それとも「退かない」という決意だけで開き直ったのか分からないが、もし読みがあったとしても白は簡単に切れる牌ではない。

これがもし、勝ったらみかんがもらえる家族麻雀なら「余裕の白」なのだが、吾妻にとっては一世一代の大勝負である。

本当によく打てたよなぁ、と感心する。

吾妻は白を切る時、激しくシビれたに違いない。少なくとも、見ていたこっちはシビれさせられた。
もし、この白打ちが酷い結果になっていたら、またここで吾妻は悪夢にうなされていたかもしれない。

白は上家にポンされたが、最悪の結果にはならなかった。
自分がアガったわけではないが、吾妻にとっては大きな「白の無事通過」だった。
結果は千点の横移動だが、この局の持つ意味は非常に大きかったと思う。

そして次局。私はこの局こそが吾妻を優勝に導いたと思っている。

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安田の11巡目。メンツ手でも七対子でも1シャンテンになる手牌でドラが2枚だが、対面の吾妻が東をポンしてマンズのホンイツ気配である。

二筒が2枚切られているので、一索二筒を切る手もあるが、そうすると七対子が2シャンテンになり、ペンカン三万がネックになる。これはあまり良い手ではなさそうだ。

したがって、七対子の1シャンテンはキープしたいところだが、問題は何を切るかである。
一万三万四万六索のどれを切っても七対子は1シャンテンだが、三万六索はメンツ手の可能性がなくなり七対子1本になる。
だから安田は一万を打ったのだが、これが吾妻にとって超ラッキー牌となった。

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実は吾妻の手はこうなっていて、安田の一万をポンして打白。これでテンパイし、次巡、ラス牌の一万をツモって1,300・2,600点のアガリとなったのである。

実は生放送をマシンルームで見守っていた時、私は「一万からじゃないだろう」と思っていた。
メンツ手を意識するなら二万からだし、七対子に重きをおくなら六索だって良い。両方を追いたいなら四万だってある。
そう思ったのだが、牌譜を検証すると、二筒が枯れていた。
これならメンツ手はほぼ捨てなければならず、二万切りというのはありえない。

もし安田が四万から切っていても吾妻はおそらくポンして一万ツモアガリになるので、助かる道は六索切りか三万切りしかなかった。
この六索打ちや三万打ちを安田に要求するのは酷だと思う。
安田さん、マシンルームで文句を言って悪かった。

だが、安田が守備型の麻雀で女流プロの頂点を極めようとするなら、いつかは六索が切れる打ち手になって欲しい。
あまり無責任なことは言えないが、現在、鳳凰戦を戦っている麻雀忍者こと藤崎智なら、この一万は打たず六索を打ったかもしれない。

これは超能力みたいな忍法みたいな奇妙な力をつけろと言っているのではなく、一万を打たないのは守備の基本でもあるからだ。色々な局面や都合はあるが、一色手志向の者がいる時のセオリーだからである。

たとえばマンズの一色手を狙っている人がいて、一万九万が生牌ならば警戒しなければならない。
もし一万四万と持っていて両方を切る可能性があるなら、先に四万を切るのが定石だ。
理由は単純で、四万をポンされて一万がロンになるケースよりも、一万がポンされて四万がロンになるパターンの方が圧倒的に多いからである。

それに、四万をポンした手牌と一万をポンした手牌では、その後の伸びが違う。
真ん中の牌をポンすれば手牌は分断され、変化を失う。
だが、端の牌をポンしてもあまり不自由にならず、手牌の柔軟さはなくならない。

もちろん、安田はそんなこと百も承知。今の理論は初心者に教えるべきことだからだ。
安田はすべて分かった上で判断して一万を切ったのだが、結果的には最悪だったと言える。

緒戦で1人沈みを食らい、精神的動揺を見せた吾妻が開き直って攻めてきた。
ここでガツンと頭を叩ければ、他の3者にも大チャンスが生まれるところだったが、このアガリで吾妻は自分を取り戻した。

安田が悪いと言っているわけではない。
ただ、事実として、このアガリが吾妻優勝の可能性を一気に高めたと私は思った。

次局、親番を迎えた吾妻はダブ東を暗刻にしてリーチ。魚谷から9,600点をアガる。
吾妻はたった1戦で悪夢を振り払い、再び優勝へ向け走り出した。

mas22

【10回戦終了時成績】
吾妻さおり +55.2P
和久津晶  +21.8P
安田麻里菜 ▲28.4P
魚谷侑未  ▲48.6P

 

【本命の浮上】

吾妻には失礼な話だが、最終日が始まる前、否、始まってからもずっと「和久津が優勝するだろう」という雰囲気がアリアリだった。

誰が勝つと思う? とスタッフに聞いてみると、ほぼ全員が「和久津が逆転するでしょう」という答えだった。
それは吾妻が劣るとかいうことではなく、経験と実績と、そして和久津の恐ろしいまでの攻撃力を知っているからである。

それと、この程度の点差はプレッシャーになり、吾妻の枷というか重石のようになってしまうから、という見方であった。

和久津がリードしていて吾妻が追いかけるならともかく、あの超攻撃型麻雀アマゾネスから逃げるのは容易ではない。

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そのアマゾネスが激しい攻めを見せた。

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11回戦の東1局3本場。
場に出ている4本のリーチ棒と3本場。これを狙って五万をポンした和久津に、親の安田がリーチで対抗する。
リーチ後、安田がツモ切った三万をポンして打二万三筒六筒待ちのテンパイとなったところでつかんだのが生牌でドラの中である。

相手は連荘中の親である。この中がアタったら親満はほぼ確定。下手をすると親の跳満で18,000点の失点となるかもしれない。

いくら場に合計5,900点が転がっているとはいえ、この中を打つのには勇気がいる。否、勇気とかいう生やさしいもんじゃなく、無謀とか捨て身に近い気持ちが必要だろう。
せっかく吾妻に肉薄したというのに、これがアタっただけで戦線離脱となるのである。

だが和久津はほぼノータイムでツモ切った。
ガツン! と卓に叩きつけ、気合を入れて勝負した。
そしてこれが通り、すぐに六筒をツモ。
大きな大きな1ハン手をアガリ、これで勢いをつけると、一気に5万点超えの大トップ。
最終戦の直前で初めて吾妻から首位の座を奪ったのであった。

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【11回戦終了時成績】
和久津晶  +55.2P
吾妻さおり +33.8P
安田麻里菜 ▲ 3.1P
魚谷侑未  ▲85.9P

 

【牌に申し訳ないという気持ち】

最終戦を迎え、2位・吾妻と首位・和久津との差は21,400点。
日本プロ麻雀連盟のAルールではトップの順位点が8,000点しかないので、たとえば吾妻がトップ、和久津が3着でも12,000点しか縮まらない。

つまりその場合、素点でさらに1万点近く離さなければならないのだが、そんなに都合良くいくわけがない。
タイトル未勝利の吾妻にとって、リードは「震え」の要因ともなるが、何度も決勝を戦い、優勝も経験している和久津にとっては、リードはそのまま「利」以外の何物でもないからだ。

見ていたスタッフたちも「だいたい予想通りの展開になった」という空気が流れていた。
消化試合とまでは言わないが、よほど吾妻が頑張らなければ、再度の逆転は難しいだろうと思われていた。

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南1局1本場、吾妻から親リーチがかかる。
上家から三万が出たところだが、北家の和久津はこの三万をポンして三索を勝負した。
この時点で吾妻との差はほとんど変わっておらず、無理をする必要はないが、これが和久津の基本姿勢。

親の吾妻に4,000オールと言われて逆転されてから頑張るのではなく、今、こちらが戦える状態にある内に戦うのである。

しかし、これが裏目に出る。

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和久津はつかんだ四索を真っ直ぐ勝負し、吾妻に5,800は6,100点の放銃。
この一撃で吾妻が首位に返り咲いた。

だが、ここからが和久津の強いところである。
何と続く南1局2本場、

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その次、南2局、

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さらに続くラス前、南3局、

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と、3連続でアガリをものにする。しかもその内2回は吾妻からの直撃だ。
安いとはいえ、これでオーラスを迎えた時点で、再度和久津が上になる。

オーラスの親は和久津だったが、吾妻が1人テンパイだと逆転されてしまうので、1局で終了させることはできないだろう。まずは1回アガって、1本場で逃げ切れば優勝である。

吾妻の優勝条件は、4,500点の出アガリか、700・1,300点のツモアガリ。あるいは和久津もしくは魚谷から3,200点以上の直撃。安田からなら4,500点以上の出アガリというものだった。

そして3巡目、吾妻の手がこうなった。

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ピンフイーペーコーの1シャンテン。ペン三索を引けばリーチツモで安目でもOKなので、とりあえず七万を切る人もいるだろう。

ドラが五筒なので残すのは三筒の方だ。

だが、吾妻はここで一索を切った。
2シャンテンに戻したのである。

この一打、普段なら何てことはない、普通の手である。
しかし、この場面で、この手が打てる人が何人いるだろうか。
少なくとも、プレッシャーで震えてバランスを崩していた9回戦の吾妻なら打てなかったと思う。

だが、吾妻はそのプレッシャーに打ち克ち、見事に自分を取り戻すことができた。
否、プレッシャーと勝負したのではなく、ただ謙虚に目の前の手牌に向き合っただけなのかもしれない。

そしてその謙虚さに応えてくれるかのように、手牌が伸びた。

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高目タンピンリャンペーコーのテンパイ。
ヤミテンに構え、何をツモってもOK。四万なら誰から出てもOKである。
吾妻は冷静にヤミテンに構えた。

そして奇跡の四暗刻で大逆転を狙う安田から四万がツモ切られた。

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吾妻の戦いぶりは、終始、決してスマートな打ちまわしばかりではなかったと思う。
彼女も表彰式でのインタビューで言っていた。
「牌に対して申し訳ないような一打もありました」

自分で、何が何やらワケ分からなくなっているような時間もあったと思う。

しかし、最後の最後に、キレイな手がきてくれた。
否、本当は彼女が一索二索と払ってキレイな手を作ったのであるが、彼女は「最後にキレイな手ができてくれて、もっと麻雀が好きになりました」と言った。
彼女の麻雀と同じで、素直で素朴で謙虚な良い言葉だったと思う。

初のタイトル戦に挑戦するにあたって、吾妻が掲げたキーワードは「簡単には退かない」というものだった。
それを実践して見事に優勝したのであるが、その戦略よりももっと大きな勝因は彼女の謙虚さだったと思う。

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【蛇に足】

最後に蛇足かもしれないが、最下位に沈んだ魚谷の最終戦の麻雀について書いておきたいことがある。
最終戦、誰がどう見ても魚谷に優勝の可能性はなかった。

もちろん、可能性は無限大にあるわけで、絶対ということはないのだが、普通に考えたら無理である。
だから彼女は、最終戦を前にして、審判長の藤原隆弘に相談をした。
私はどう打ったら良いのでしょうか?

この答えは日本プロ麻雀連盟のタイトル戦においては、はっきり決まっている。
普通に麻雀を打つしかないのである。

テレビ対局など、優勝以外の2位~4位はすべて同じ価値で、かつ短期戦であれば、優勝の可能性がほとんどなくなった時点で邪魔をしないという打ち方もあるだろう。

最近はCSなどのそういった対局が増えたため、プロ麻雀界にも「可能性のない打ち手はおとなしくしていろ」的な風潮があるようだ。だが、それでは最後の最後だけ麻雀がひん曲がったものになってしまうというのが日本プロ麻雀連盟の考え方である。

優勝以外、ほとんど意味がないというのは前提としてあるにしても、程度の問題ということもある。
たとえば、1人だけが突っ走っていて後はダンゴ。最後が消化試合であったとしても、全員で何もしないというのはどうだろうか。

視聴者がいるとかいないとかにかかわらず、一生懸命、ベストの麻雀を打つべきではなかろうか。
だから極力、普通に近い麻雀をやるのがベターなのである。

もちろん、人間がやることであるし、実際には多少大物狙いになったりはする。
今回の魚谷でいえば、子でメンタンピンが見えている手を鳴いて1,000点というアガリはしないだろう。
いくら普段はやっているとはいえ、そこまで意味のないことはしない。

しかし、早い手が入ってメンゼンでテンパイしたらリーチをかけて、出たらアガらなければ不自然になる。
良くないのは中途半端だ。

対戦相手にしてみれば、優勝の可能性がほとんどない人が、どんな麻雀を打つにしても、一貫性を持ってやってくれればそれで良い。

見逃したりアガったりされたら堪らないが、「お前はアガらず放銃もせず誰にも鳴かせるな」ということはないのである。

日本プロ麻雀連盟では以前からそのような考え方でタイトル戦運営を行ってきたが、最近はニコ生などで対局が観られる機会が増えた。

プロの試合は戦いであると同時に商品である。
プロはファンの皆さんに支えられてナンボであり、やはり視聴者目線に立てば、戦いの終盤には「納得感」が求められるであろう。

そういう意味では、CSのテレビ対局のような、オールオアナッシング的なシステムを採用することも考えられたが、やはりタイトル戦の長丁場は事情が違う。

私たちがお見せしたいのは、プロ同士の緊迫感のある戦いだ。
終盤になるにつれ、4者のうち2者が「黒子」になり切って戦い、最終戦オーラスの親番だけが異常に有利で大逆転が当たり前というのはおかしい。

公平感や納得感のために「麻雀じゃない何か」で最後を飾りたくはないのである。

こういった悩みは長く麻雀界にあったのだが、滝沢和典が考案したシステムによって、現在その悩みはかなり解消されてきた。

日本プロ麻雀連盟では、数年前から最終戦の場所決めと親決めを成績で決定することにしている。
最終戦スタートの時点で1位の者が北家スタート。2位が起家、3位が南家で4位が西家スタートなのである。

これによって、各自の南場の親番がなくなるまで「普通に近い」麻雀が打てるようになる。

今回の魚谷でいえば、3位になることすら難しい状況だったが、南場の親番が落ちるまでは普通にアガリにいって良いという理屈が通る。

そして最も大きいのはオーラスの親だ。
この1局だけは、さすがに優勝の可能性がない者が手を出すわけにいかない。
自分が優勝するわけでもないのにアガってしまうわけにはいかないだろう。

だが、もし3位の者がオーラスの親で、2位も優勝するには役満条件となったら、3位の者が無駄に連荘し、終わらない試合が始まってしまう。
もちろん、首位の者がアガれば良いのだが、そうそう簡単にアガれるものではない。

逆に、親番の者には他家がアシストして鳴かせてくれたりもするので、首位の者にとって不利な戦いになるのが一般的だ。

そして長い連荘を行い、結局、逆転劇は生まれず終了する。
これって、視聴者にとっても選手にとっても、ただしんどいだけである。
また、たとえ逆転したとしても、これって本当にその人が強かったから逆転したと言えるだろうか?
甚だ疑問である。

だからオーラスの親にはトータル首位が座るのだ。
今回の女流桜花では、和久津がその位置に着いた。
展開次第ではあるが、ほとんどのケースにおいて、オーラス1局で勝負が決まる。

今回のように和久津を追い詰めれば、2局、3局と必要になることはあるだろうが、ただ形を作りに行くだけの無駄な連荘は行われない。

もちろん、これが完璧なシステムだとは言わないが、今のところはこれがベターだと考え、実施している。
今後議論を重ね、もっと良い方法論があれば取り入れられることもあるだろう。

前置きが超、長くなったが、こういった前提があって、その意味では魚谷は立派に最終戦を戦った。
ところが、こちらの説明不足があったからか、一部のファンの方から「邪魔をするな」という意味のコメントがあったようなので、クドクドと書かせていただいた。

別に魚谷が可哀相とかいうのではなく、ファンの皆さんには分かりやすくご説明しておく必要があると思い、観戦記とはあまり関係のないことを説明させていただいた。

今後、鳳凰戦などをお楽しみいただく上で、私たちの考えをご承知いただければ幸いである。

関西プロリーグ 成績表/第12期関西太閤位決定戦

第12期 太閤位 最終戦成績表 1日目

名前 花岡 章生 中田 一幸 米川 基紀 藤川 議次
1回戦 持ち点 1.0 5.6 △ 9.0 2.4
順位点 1.0 8.0 △ 12.0 3.0
1回戦計 2.0 13.6 △ 21.0 5.4
2回戦 持ち点 14.9 2.5 △ 14.3 △ 3.1
順位点 8.0 4.0 △ 8.0 △ 4.0
2回戦計 22.9 6.5 △ 22.3 △ 7.1
小計 24.9 20.1 △ 43.3 △ 1.7
3回戦 持ち点 16.3 △ 9.5 1.1 △ 7.9
順位点 8.0 △ 8.0 4.0 △ 4.0
3回戦計 24.3 △ 17.5 5.1 △ 11.9
小計 49.2 2.6 △ 38.2 △ 13.6
4回戦 持ち点 11.6 △ 2.2 △ 13.6 3.2
順位点 8.0 △ 4.0 △ 8.0 4.0
4回戦計 19.6 △ 6.2 △ 21.6 7.2
小計 68.8 △ 3.6 △ 59.8 △ 6.4
5回戦 持ち点 △ 9.5 △ 2.1 9.6 2.0
順位点 △ 8.0 △ 4.0 8.0 4.0
5回戦計 △ 17.5 △ 6.1 17.6 6.0
小計 51.3 △ 9.7 △ 42.2 △ 0.4
6回戦 持ち点 5.3 △ 6.6 1.3 0.0
順位点 8.0 △ 12.0 3.0 1.0
6回戦計 13.3 △ 18.6 4.3 1.0
合計 64.6 △ 28.3 △ 37.9 0.6

第12期 太閤位 最終戦成績表 2日目

名前 花岡 章生 中田 一幸 米川 基紀 藤川 議次
1日目 合計 64.6 △ 28.3 △ 37.9 0.6
7回戦 持ち点 △ 8.6 4.5 △ 18.9 23.0
順位点 △ 4.0 4.0 △ 8.0 8.0
7回戦計 △ 12.6 8.5 △ 26.9 31.0
小計 52.0 △ 19.8 △ 64.8 31.6
8回戦 持ち点 4.1 0.2 0.4 △ 4.7
順位点 8.0 1.0 3.0 △ 12.0
2回戦計 12.1 1.2 3.4 △ 16.7
小計 64.1 △ 18.6 △ 61.4 14.9
9回戦 持ち点 △ 6.9 0.7 6.8 △ 0.6
順位点 △ 8.0 4.0 8.0 △ 4.0
3回戦計 △ 14.9 4.7 14.8 △ 4.6
小計 49.2 △ 13.9 △ 46.6 10.3
10回戦 持ち点 △ 15.3 14.2 △ 0.2 1.3
順位点 △ 8.0 8.0 △ 4.0 4.0
4回戦計 △ 23.3 22.2 △ 4.2 5.3
小計 25.9 8.3 △ 50.8 15.6
11回戦 持ち点 △ 1.2 △ 1.7 12.4 △ 9.5
順位点 △ 1.0 △ 3.0 12.0 △ 8.0
5回戦計 △ 2.2 △ 4.7 24.4 △ 17.5
小計 23.7 3.6 △ 26.4 △ 1.9
12回戦 持ち点 0.0 23.3 △ 22.7 △ 0.6
順位点 4.0 8.0 △ 8.0 △ 4.0
6回戦計 4.0 31.3 △ 30.7 △ 4.6
合計 27.7 34.9 △ 57.1 △ 6.5
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第12期関西太閤位決定戦

第12期 太閤位 最終戦成績表 1日目

名前 花岡 章生 中田 一幸 米川 基紀 藤川 議次
1回戦 持ち点 1.0 5.6 △ 9.0 2.4
順位点 1.0 8.0 △ 12.0 3.0
1回戦計 2.0 13.6 △ 21.0 5.4
2回戦 持ち点 14.9 2.5 △ 14.3 △ 3.1
順位点 8.0 4.0 △ 8.0 △ 4.0
2回戦計 22.9 6.5 △ 22.3 △ 7.1
小計 24.9 20.1 △ 43.3 △ 1.7
3回戦 持ち点 16.3 △ 9.5 1.1 △ 7.9
順位点 8.0 △ 8.0 4.0 △ 4.0
3回戦計 24.3 △ 17.5 5.1 △ 11.9
小計 49.2 2.6 △ 38.2 △ 13.6
4回戦 持ち点 11.6 △ 2.2 △ 13.6 3.2
順位点 8.0 △ 4.0 △ 8.0 4.0
4回戦計 19.6 △ 6.2 △ 21.6 7.2
小計 68.8 △ 3.6 △ 59.8 △ 6.4
5回戦 持ち点 △ 9.5 △ 2.1 9.6 2.0
順位点 △ 8.0 △ 4.0 8.0 4.0
5回戦計 △ 17.5 △ 6.1 17.6 6.0
小計 51.3 △ 9.7 △ 42.2 △ 0.4
6回戦 持ち点 5.3 △ 6.6 1.3 0.0
順位点 8.0 △ 12.0 3.0 1.0
6回戦計 13.3 △ 18.6 4.3 1.0
合計 64.6 △ 28.3 △ 37.9 0.6

第12期 太閤位 最終戦成績表 2日目

名前 花岡 章生 中田 一幸 米川 基紀 藤川 議次
1日目 合計 64.6 △ 28.3 △ 37.9 0.6
7回戦 持ち点 △ 8.6 4.5 △ 18.9 23.0
順位点 △ 4.0 4.0 △ 8.0 8.0
7回戦計 △ 12.6 8.5 △ 26.9 31.0
小計 52.0 △ 19.8 △ 64.8 31.6
8回戦 持ち点 4.1 0.2 0.4 △ 4.7
順位点 8.0 1.0 3.0 △ 12.0
2回戦計 12.1 1.2 3.4 △ 16.7
小計 64.1 △ 18.6 △ 61.4 14.9
9回戦 持ち点 △ 6.9 0.7 6.8 △ 0.6
順位点 △ 8.0 4.0 8.0 △ 4.0
3回戦計 △ 14.9 4.7 14.8 △ 4.6
小計 49.2 △ 13.9 △ 46.6 10.3
10回戦 持ち点 △ 15.3 14.2 △ 0.2 1.3
順位点 △ 8.0 8.0 △ 4.0 4.0
4回戦計 △ 23.3 22.2 △ 4.2 5.3
小計 25.9 8.3 △ 50.8 15.6
11回戦 持ち点 △ 1.2 △ 1.7 12.4 △ 9.5
順位点 △ 1.0 △ 3.0 12.0 △ 8.0
5回戦計 △ 2.2 △ 4.7 24.4 △ 17.5
小計 23.7 3.6 △ 26.4 △ 1.9
12回戦 持ち点 0.0 23.3 △ 22.7 △ 0.6
順位点 4.0 8.0 △ 8.0 △ 4.0
6回戦計 4.0 31.3 △ 30.7 △ 4.6
合計 27.7 34.9 △ 57.1 △ 6.5
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女流プロリーグ(女流桜花) 決勝観戦記/第8期女流桜花決定戦 二日目観戦記

【翻弄】
初日の試合終了後のインタビューで、和久津晶は正直に「頭の中がグチャグチャになってます」と言った。
そして控え室では「魚谷さんも頭の中がグチャグチャと言ってました」と発言。
これはどういう意味かと言うと、相手と自分とが麻雀になっていなかったということである。
そしてそれはおそらく、吾妻さおりのこの日の麻雀が理解しがたいものだったのだと思う。
「ここでこの人がアガるの? とか、ここでこの人がこんな牌を打ってくるの?」と思ったと和久津は言った。
その「この人」はおそらく吾妻のことではなかっただろうか。
あるいは、吾妻の動向によって意外な人がアガったという意味だったと思われる。
麻雀はお互いの麻雀観がある程度一致するか、麻雀観に相違があっても、お互いの手の内を知り尽くした者同士で打てば調和のようなものが生まれる。
卓上で牌で会話しているかのようになり、戦いの流れがよどみなくなるのである。
もちろん、時には敵の思惑を超えた仕掛けや攻撃はあるが、軸がしっかりしたものになるため、調和は大きく損なわれない。
たとえば、荒正義、小島武夫、藤崎智、森山茂和といったメンバーで打てば「これぞ達人の麻雀」とも言うべき、美しく調和のとれた作品のような戦いになると思う。
だが、価値観が違う者同士が同卓したり、敵の思考が一切わからないとなると、麻雀がギクシャクする。
ギクシャクしてくると、読みが働かなくなってきて、和久津が言うように「あれ?」「あれ?」となってしまい、ついには頭の中がグチャグチャになってくるのだ。
私はこの原因を勝手に吾妻の麻雀だと決め付けたが、文脈上そうとしか思えないし、初日の戦いは、吾妻がみんなを振り回しているように見えたからである。
初日の原稿にも記した通り、吾妻は「簡単には退かない」と決意し、普通ならやめるべき局面でもあえて頭から突っ込んでいった。その結果、手痛い放銃もあれば、強引にもぎとったようなアガリも出た。
正直、観ていて吾妻の初日の麻雀に美しさは感じられなかった。同じ度の過ぎた攻撃にしても、瀬戸熊直樹や前原雄大、女性なら清水香織や和久津晶のそれとは違っていた。こう言っては悪いが、まだその攻撃が板についていないような感じだった。
それもそのはずで、吾妻は普段からそのようなゴリ押し麻雀をやっているわけではない。年中危険牌を打っているわけではないので、ややギクシャクしているように見えたのである。
だが、だからこそ吾妻の戦略は功を奏したのかもしれない。
キャラがハッキリしている選手が、ガンガン攻めてくるのは当然で心構えもできる。
だが、タイトル初挑戦の吾妻が、元教師らしくない暴牌じみた攻撃を仕掛けてきたからこそ、和久津や魚谷の頭がグチャグチャになったのである。
インテリの吾妻としては、本当はもっとスマートに勝ちたかったと思う。
だが、それでは勝てないということを予習してきたのだろう。
彼女は過去のタイトル戦の牌譜や生放送をできる限り見てきたと言っていた。
クレバーな彼女なら、教科書通りにおとなしく賢く打った人が勝ったためしはないという事実にすぐに気づいたはずだ。
だったらどうすれば良いのか?
自分がこのメンバー相手に優勝するためにはどうするべきか?
その結論が「簡単には退かない」という戦略だったのだと思う。
もっと分かりやすく言えば「格好悪くても何でも良いからとにかく勝ちたい。賢く打とうと思って気取ったら負け!」と開き直り、自意識過剰にならないよう自分に言い聞かせて戦ったのだ。
そしてプラス90ポイントを叩き出し、1人浮きで初日を終えたのだから大成功である。
 
【悪夢】
しかし、その「翻弄」が通用するのは初日だけである。
敵も初日の放送をニコ生のタイムシフトで研究し、吾妻の意図を見抜き、対処法を考えてくるはずだ。
また、魚谷侑未、安田麻里菜、和久津晶はみな吾妻の後輩だが、タイトル歴があり、決勝進出の回数も多い。
今回が初めての決勝戦で、初日に首位独走態勢に入った吾妻の心境は手に取るように分かるだろう。
最初は一心不乱に全力で走っていても、ゴールが近づくにつれ、思うように足が動かなくなってくる。真っ直ぐ走っているつもりが蛇行してしまう。遠くにいるはずの敵がやけに近く感じられ、積み上げてきたプラスの資産が重くのしかかり、まるで負債のように思えてくる。
そんな悪夢のような経験をさせられ、それに打ち克ってタイトルを獲ってきた彼女たちが、今度は吾妻に非情な仕打ちをする番だ。
吾妻が気の毒なような気もするが、このまま独走で「ハイ終了」ではつまらない。視聴者たちが最後までドキドキを楽しめるようにするためにも、ここは吾妻以外の3者に頑張ってもらわねばなるまい。
私は、3者がどのような手を使って吾妻包囲網を敷くのか興味を持って観ていたが、彼女たちが意図してそれを行う前に、偶然(?)によって悪夢への入り口が開いた。
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2日目の緒戦、第5回戦の東2局。
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カン四索を引けば高目三色のテンパイだったが、これでもピンフドラ1でリーチツモなら5,200点になる。
吾妻はリーチをかけたがこれが普通だろう。
このリーチを受けた同巡、魚谷の手牌がこちら。
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打牌候補は七万三筒だろう。どちらもいわゆるワンチャンスであるが、三筒六筒は5枚見えで四万七万は3枚見え。
ドラまたぎでもあるので、三筒の方がやや危険度が高いと言える。
私は七万を打つと思った。だが、魚谷は少考して打三筒を選んだ。
こちらの方がピンフになる可能性が高い分、攻撃力がある。
 
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実際は打六万だと吾妻に放銃なのであるが、初日を最下位で終えた魚谷は、まず攻撃力を重視したのだろう。
2日目の緒戦、東場の親でもあり、五万八万を引けば六万を打つ覚悟だったはずだ。
ところが、これが裏目に出る。次のツモが何と三筒だったのだ。
もし七万切りを選択していれば三筒が暗刻になり、打四筒三万六万四索の変則3メン待ち。
吾妻に放銃しない磐石のテンパイ形であった。
私は、このテンパイ逃しがアガリ逃しとなり、吾妻にアガリが出ることを危惧した。
そうなったら、2日目で勝負が決まってしまうのではないかと思ったのだ。
 
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しかし、私などに見透かされるほど麻雀は浅くない。
牌譜をご覧いただければお分かりのように、この後魚谷が二筒をチーして打七万。そして直後に三万をツモっている。
 

そう、最初に打七万としてメンゼンのテンパイを入れていればこの二筒チーはなく、吾妻が三万をツモアガっていたのである。魚谷にとって打三筒は結果的に失敗かと思いきや、結局は大正解だったのだ。
そして、これが単なるひとつのアガリではなく、吾妻にとっては大きな意味を持つことになる。
東3局、ドラトイツの2シャンテンで、上家から自風の西が出てポン。
当然のポンなのだが、これによって親の和久津にキー牌のカン四筒が入り、リーチツモ。
 
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たったの1,000点オールのアガリであるが、吾妻にはボディーブローのように効いていただろう。
この後も、手は入るものの相手にツモアガリされてばかりでツモられ貧乏。
そして1人沈みのラス目で迎えた東4局。
 
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下家がドラをポンしている状況で、吾妻は五索を合わせ打ちした。
八索を切る手もあったが、上家が五索を通したばかりだ。
五索なら確実にロンされないが、八索はシャンポンなどの可能性がある。確率は低くとも、なくはないのだ。
そう考えて五索を切ると、これを魚谷がチー。
すぐにカン二筒をツモって2,000・3,900のアガリとなった。
 
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これを失敗と見ることもできるし、そうでもないと考える人もいるだろう。
トータルで見れば魚谷は最下位で、吾妻から最も遠いところに位置している。
このアガリでトータル2位の安田と和久津が沈んだのだから、逆に良いという見方もできるのだ。
 
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この良し悪しを決めるのは難しいのだが、間違いないのは魚谷にとっては超ラッキーだったということである。
魚谷は次局も、ほぼ手なりでテンパイを入れ、一発で(Aルールなので一発の1ハンはつかないが)高目をツモった。
 
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4人全員の手牌をずっと見ている裏方スタッフたちは、吾妻がズブズブと沈んでいく展開を予想した。
私も「これは1人沈みあるで!」と期待(当然ながら他意はない。最後までもつれてほしいからそう思っただけである)したのだが、そうはいかなかった。
 
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続く南2局、魚谷の親番。
 
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対面から出た白を、魚谷はここからポンしたのである。
食い仕掛けが得意で、最速マーメイドと呼ばれる魚谷だが、それでも鳴かないのが普通ではないだろうか。
おそらくだが、上家の吾妻の捨て牌を見て、早い手が入っていると読んだのであろう。
ここで白をポンすればけん制になるし、単純にツモを1回減らすことができる。
そして実際、本当に吾妻には凄い手が入っていた。
 
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さらに言うと、魚谷が鳴かなければ吾妻に六万が入り、三万六万九万の3メンチャンでテンパイ。
三万六万ならタンヤオもつくタンピンで、おそらくリーチだった。
じゃあ良いじゃねーか! と思われるかもしれないが、私たちは先輩プロから、こういう時に絶対鳴くなと教わっている。ドラポンとはいえ苦しい形の時に、上家が甘い牌を食わせてくれてテンパイし、ツモアガリをした。
その次局、スムーズにテンパイしてリーチをかけたら一発で高目をツモった。そして迎えた親番である。
自分からバラバラの手で動いたら、ピシャっと頭を叩かれるのである。
たとえ局面が読めていて、マークした敵のツモが減らせるとしても、この流れで鳴くのは勢いの放棄となり、逆に相手にチャンスを与える行為だというのが常識なのだ。
 

 
牌譜を見ても途中で終わっているので、魚谷が鳴かなかった場合の結末を知ることはできない。
だから、結果論ですら語れないのであるが、私はこの局を見て「ウーン」と唸った。
先輩方から習ったことが本当であれば、ここから吾妻は復活してしまうのである。
もちろん、魚谷が間違っているとかミスをしたと言いたいわけではない。
私は先輩プロの教えを信じて修行している身であり、魚谷もまた、自分の信じる麻雀を磨き上げているところなのである。
自分の考えを押し付ける気はないし、批判したいわけでもない。
むしろ、たった3枚の捨て牌から吾妻の手の内を読み取り、対応しようとしたのはさすが魚谷だと思う。
そして実際、吾妻の手を1,000点にまで落とさせたのだから、数字の上では大成功なのである。
しかし、続く南3局。
 
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吾妻は4巡目にしてテンパイし、ドラのカン四索待ちでリーチをかけて一発ツモ。
満貫のアガリとなり、結局吾妻はこの半荘も浮きで終了。
悪夢は途中で醒めたのであった。
 
【覚悟】
この日の緒戦(第5回戦)を浮きで終えた吾妻だったが、2戦目(第6回戦)でこのシリーズ初のラスを引く。
さらに7回戦で3着となり、徐々にプラスが目減りしていく。
普通ならあたふたしてしまいそうなところだが、吾妻はあまりジタバタしなかった。
初日の試合後のインタビューで「必ず悪夢のような時間があると思う」と言っていたように、心の準備はできていたのだろう。
もしかしたら、自分が何をやっているのか分からないような状態に陥った時があったのかもしれない。
だが、所詮、麻雀は目隠ししながら刀で斬り合うようなもの。すべてを読み切って格好良く勝ち切るといった美しい戦い方もあるが、実際には難しい。
プロなら一度は夢見る「完全勝利」を無理に得ようとせず、等身大の自分をそのままぶつけるような戦いを心がけたからこそ、2日目も何とか無事に完走できたのではないだろうか。
ポイントは少し減らしたものの、想定の範囲内だったと思う。
【2日目終了時成績】
吾妻さおり +58.8P
和久津晶  +12.0P
魚谷侑未  ▲31.8P
安田麻里菜 ▲39.0P
和久津はプラスに転じ、吾妻を射程圏内に入れた。
魚谷もマイナスを少し減らし3位に浮上。
安田はほぼ同じポイントのまま2日目を終えた。
初日、2日目と生放送を担当して思い知らされたのは、意外にも、選手全員が同じように人気があったということだ。アンケート等をとったわけではないので、全員均等というのは言いすぎかもしれないが、コメントを見る限りでは、皆が同じように応援されていたという印象である。
魚谷と和久津は、他のメディアやタイトル戦でもお馴染みなので、他の選手よりも知名度が高いのは事実だろう。
だが、実際の戦いを見てもらうことで、他の選手の魅力もファンの皆さんに伝わったのだ。関係者として嬉しい限りだし、もっとたくさんの麻雀ファンの方に、彼女たちの頑張りをご覧いただきたいと思う。
結果はすでに出ているが、しばらくは動画が日本プロ麻雀連盟チャンネルに残っているので、是非、ご視聴いただきたい。拙い観戦記ではお伝えし切れなかった、色々なものがご覧いただけるはずである。

第8期女流桜花決定戦 二日目観戦記

【翻弄】

初日の試合終了後のインタビューで、和久津晶は正直に「頭の中がグチャグチャになってます」と言った。
そして控え室では「魚谷さんも頭の中がグチャグチャと言ってました」と発言。

これはどういう意味かと言うと、相手と自分とが麻雀になっていなかったということである。
そしてそれはおそらく、吾妻さおりのこの日の麻雀が理解しがたいものだったのだと思う。
「ここでこの人がアガるの? とか、ここでこの人がこんな牌を打ってくるの?」と思ったと和久津は言った。

その「この人」はおそらく吾妻のことではなかっただろうか。
あるいは、吾妻の動向によって意外な人がアガったという意味だったと思われる。

麻雀はお互いの麻雀観がある程度一致するか、麻雀観に相違があっても、お互いの手の内を知り尽くした者同士で打てば調和のようなものが生まれる。
卓上で牌で会話しているかのようになり、戦いの流れがよどみなくなるのである。

もちろん、時には敵の思惑を超えた仕掛けや攻撃はあるが、軸がしっかりしたものになるため、調和は大きく損なわれない。

たとえば、荒正義、小島武夫、藤崎智、森山茂和といったメンバーで打てば「これぞ達人の麻雀」とも言うべき、美しく調和のとれた作品のような戦いになると思う。

だが、価値観が違う者同士が同卓したり、敵の思考が一切わからないとなると、麻雀がギクシャクする。
ギクシャクしてくると、読みが働かなくなってきて、和久津が言うように「あれ?」「あれ?」となってしまい、ついには頭の中がグチャグチャになってくるのだ。

私はこの原因を勝手に吾妻の麻雀だと決め付けたが、文脈上そうとしか思えないし、初日の戦いは、吾妻がみんなを振り回しているように見えたからである。

初日の原稿にも記した通り、吾妻は「簡単には退かない」と決意し、普通ならやめるべき局面でもあえて頭から突っ込んでいった。その結果、手痛い放銃もあれば、強引にもぎとったようなアガリも出た。

正直、観ていて吾妻の初日の麻雀に美しさは感じられなかった。同じ度の過ぎた攻撃にしても、瀬戸熊直樹や前原雄大、女性なら清水香織や和久津晶のそれとは違っていた。こう言っては悪いが、まだその攻撃が板についていないような感じだった。

それもそのはずで、吾妻は普段からそのようなゴリ押し麻雀をやっているわけではない。年中危険牌を打っているわけではないので、ややギクシャクしているように見えたのである。

だが、だからこそ吾妻の戦略は功を奏したのかもしれない。
キャラがハッキリしている選手が、ガンガン攻めてくるのは当然で心構えもできる。
だが、タイトル初挑戦の吾妻が、元教師らしくない暴牌じみた攻撃を仕掛けてきたからこそ、和久津や魚谷の頭がグチャグチャになったのである。

インテリの吾妻としては、本当はもっとスマートに勝ちたかったと思う。
だが、それでは勝てないということを予習してきたのだろう。

彼女は過去のタイトル戦の牌譜や生放送をできる限り見てきたと言っていた。
クレバーな彼女なら、教科書通りにおとなしく賢く打った人が勝ったためしはないという事実にすぐに気づいたはずだ。

だったらどうすれば良いのか?
自分がこのメンバー相手に優勝するためにはどうするべきか?
その結論が「簡単には退かない」という戦略だったのだと思う。

もっと分かりやすく言えば「格好悪くても何でも良いからとにかく勝ちたい。賢く打とうと思って気取ったら負け!」と開き直り、自意識過剰にならないよう自分に言い聞かせて戦ったのだ。

そしてプラス90ポイントを叩き出し、1人浮きで初日を終えたのだから大成功である。

 

【悪夢】

しかし、その「翻弄」が通用するのは初日だけである。
敵も初日の放送をニコ生のタイムシフトで研究し、吾妻の意図を見抜き、対処法を考えてくるはずだ。
また、魚谷侑未、安田麻里菜、和久津晶はみな吾妻の後輩だが、タイトル歴があり、決勝進出の回数も多い。
今回が初めての決勝戦で、初日に首位独走態勢に入った吾妻の心境は手に取るように分かるだろう。

最初は一心不乱に全力で走っていても、ゴールが近づくにつれ、思うように足が動かなくなってくる。真っ直ぐ走っているつもりが蛇行してしまう。遠くにいるはずの敵がやけに近く感じられ、積み上げてきたプラスの資産が重くのしかかり、まるで負債のように思えてくる。

そんな悪夢のような経験をさせられ、それに打ち克ってタイトルを獲ってきた彼女たちが、今度は吾妻に非情な仕打ちをする番だ。

吾妻が気の毒なような気もするが、このまま独走で「ハイ終了」ではつまらない。視聴者たちが最後までドキドキを楽しめるようにするためにも、ここは吾妻以外の3者に頑張ってもらわねばなるまい。

私は、3者がどのような手を使って吾妻包囲網を敷くのか興味を持って観ていたが、彼女たちが意図してそれを行う前に、偶然(?)によって悪夢への入り口が開いた。
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2日目の緒戦、第5回戦の東2局。

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カン四索を引けば高目三色のテンパイだったが、これでもピンフドラ1でリーチツモなら5,200点になる。
吾妻はリーチをかけたがこれが普通だろう。
このリーチを受けた同巡、魚谷の手牌がこちら。

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打牌候補は七万三筒だろう。どちらもいわゆるワンチャンスであるが、三筒六筒は5枚見えで四万七万は3枚見え。
ドラまたぎでもあるので、三筒の方がやや危険度が高いと言える。

私は七万を打つと思った。だが、魚谷は少考して打三筒を選んだ。
こちらの方がピンフになる可能性が高い分、攻撃力がある。

 

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実際は打六万だと吾妻に放銃なのであるが、初日を最下位で終えた魚谷は、まず攻撃力を重視したのだろう。
2日目の緒戦、東場の親でもあり、五万八万を引けば六万を打つ覚悟だったはずだ。

ところが、これが裏目に出る。次のツモが何と三筒だったのだ。
もし七万切りを選択していれば三筒が暗刻になり、打四筒三万六万四索の変則3メン待ち。
吾妻に放銃しない磐石のテンパイ形であった。

私は、このテンパイ逃しがアガリ逃しとなり、吾妻にアガリが出ることを危惧した。
そうなったら、2日目で勝負が決まってしまうのではないかと思ったのだ。

 

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しかし、私などに見透かされるほど麻雀は浅くない。
牌譜をご覧いただければお分かりのように、この後魚谷が二筒をチーして打七万。そして直後に三万をツモっている。

 

そう、最初に打七万としてメンゼンのテンパイを入れていればこの二筒チーはなく、吾妻が三万をツモアガっていたのである。魚谷にとって打三筒は結果的に失敗かと思いきや、結局は大正解だったのだ。

そして、これが単なるひとつのアガリではなく、吾妻にとっては大きな意味を持つことになる。

東3局、ドラトイツの2シャンテンで、上家から自風の西が出てポン。
当然のポンなのだが、これによって親の和久津にキー牌のカン四筒が入り、リーチツモ。

 

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たったの1,000点オールのアガリであるが、吾妻にはボディーブローのように効いていただろう。
この後も、手は入るものの相手にツモアガリされてばかりでツモられ貧乏。
そして1人沈みのラス目で迎えた東4局。

 

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下家がドラをポンしている状況で、吾妻は五索を合わせ打ちした。
八索を切る手もあったが、上家が五索を通したばかりだ。
五索なら確実にロンされないが、八索はシャンポンなどの可能性がある。確率は低くとも、なくはないのだ。

そう考えて五索を切ると、これを魚谷がチー。
すぐにカン二筒をツモって2,000・3,900のアガリとなった。

 

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これを失敗と見ることもできるし、そうでもないと考える人もいるだろう。
トータルで見れば魚谷は最下位で、吾妻から最も遠いところに位置している。
このアガリでトータル2位の安田と和久津が沈んだのだから、逆に良いという見方もできるのだ。

 

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この良し悪しを決めるのは難しいのだが、間違いないのは魚谷にとっては超ラッキーだったということである。

魚谷は次局も、ほぼ手なりでテンパイを入れ、一発で(Aルールなので一発の1ハンはつかないが)高目をツモった。

 

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4人全員の手牌をずっと見ている裏方スタッフたちは、吾妻がズブズブと沈んでいく展開を予想した。
私も「これは1人沈みあるで!」と期待(当然ながら他意はない。最後までもつれてほしいからそう思っただけである)したのだが、そうはいかなかった。

 

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続く南2局、魚谷の親番。

 

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対面から出た白を、魚谷はここからポンしたのである。
食い仕掛けが得意で、最速マーメイドと呼ばれる魚谷だが、それでも鳴かないのが普通ではないだろうか。

おそらくだが、上家の吾妻の捨て牌を見て、早い手が入っていると読んだのであろう。
ここで白をポンすればけん制になるし、単純にツモを1回減らすことができる。
そして実際、本当に吾妻には凄い手が入っていた。

 

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さらに言うと、魚谷が鳴かなければ吾妻に六万が入り、三万六万九万の3メンチャンでテンパイ。
三万六万ならタンヤオもつくタンピンで、おそらくリーチだった。

じゃあ良いじゃねーか! と思われるかもしれないが、私たちは先輩プロから、こういう時に絶対鳴くなと教わっている。ドラポンとはいえ苦しい形の時に、上家が甘い牌を食わせてくれてテンパイし、ツモアガリをした。
その次局、スムーズにテンパイしてリーチをかけたら一発で高目をツモった。そして迎えた親番である。

自分からバラバラの手で動いたら、ピシャっと頭を叩かれるのである。
たとえ局面が読めていて、マークした敵のツモが減らせるとしても、この流れで鳴くのは勢いの放棄となり、逆に相手にチャンスを与える行為だというのが常識なのだ。

 

 

牌譜を見ても途中で終わっているので、魚谷が鳴かなかった場合の結末を知ることはできない。
だから、結果論ですら語れないのであるが、私はこの局を見て「ウーン」と唸った。
先輩方から習ったことが本当であれば、ここから吾妻は復活してしまうのである。

もちろん、魚谷が間違っているとかミスをしたと言いたいわけではない。
私は先輩プロの教えを信じて修行している身であり、魚谷もまた、自分の信じる麻雀を磨き上げているところなのである。

自分の考えを押し付ける気はないし、批判したいわけでもない。
むしろ、たった3枚の捨て牌から吾妻の手の内を読み取り、対応しようとしたのはさすが魚谷だと思う。
そして実際、吾妻の手を1,000点にまで落とさせたのだから、数字の上では大成功なのである。

しかし、続く南3局。

 

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吾妻は4巡目にしてテンパイし、ドラのカン四索待ちでリーチをかけて一発ツモ。
満貫のアガリとなり、結局吾妻はこの半荘も浮きで終了。
悪夢は途中で醒めたのであった。

 

【覚悟】

この日の緒戦(第5回戦)を浮きで終えた吾妻だったが、2戦目(第6回戦)でこのシリーズ初のラスを引く。
さらに7回戦で3着となり、徐々にプラスが目減りしていく。

普通ならあたふたしてしまいそうなところだが、吾妻はあまりジタバタしなかった。
初日の試合後のインタビューで「必ず悪夢のような時間があると思う」と言っていたように、心の準備はできていたのだろう。

もしかしたら、自分が何をやっているのか分からないような状態に陥った時があったのかもしれない。
だが、所詮、麻雀は目隠ししながら刀で斬り合うようなもの。すべてを読み切って格好良く勝ち切るといった美しい戦い方もあるが、実際には難しい。

プロなら一度は夢見る「完全勝利」を無理に得ようとせず、等身大の自分をそのままぶつけるような戦いを心がけたからこそ、2日目も何とか無事に完走できたのではないだろうか。

ポイントは少し減らしたものの、想定の範囲内だったと思う。

【2日目終了時成績】
吾妻さおり +58.8P
和久津晶  +12.0P
魚谷侑未  ▲31.8P
安田麻里菜 ▲39.0P

和久津はプラスに転じ、吾妻を射程圏内に入れた。
魚谷もマイナスを少し減らし3位に浮上。
安田はほぼ同じポイントのまま2日目を終えた。

初日、2日目と生放送を担当して思い知らされたのは、意外にも、選手全員が同じように人気があったということだ。アンケート等をとったわけではないので、全員均等というのは言いすぎかもしれないが、コメントを見る限りでは、皆が同じように応援されていたという印象である。

魚谷と和久津は、他のメディアやタイトル戦でもお馴染みなので、他の選手よりも知名度が高いのは事実だろう。
だが、実際の戦いを見てもらうことで、他の選手の魅力もファンの皆さんに伝わったのだ。関係者として嬉しい限りだし、もっとたくさんの麻雀ファンの方に、彼女たちの頑張りをご覧いただきたいと思う。

結果はすでに出ているが、しばらくは動画が日本プロ麻雀連盟チャンネルに残っているので、是非、ご視聴いただきたい。拙い観戦記ではお伝えし切れなかった、色々なものがご覧いただけるはずである。

何を切る?/何を切る?fromロン2 2014年02月問題

今月の『何を切る?』コーナーでは、バレンタイン特別企画といたしまして、女流プロ何切るマジョリティクイズを実施させていただきます。
事前に女流プロの方々に何切るアンケートをお願いいたしました。
全2問、それぞれのマジョリティ解答をお考えください。
2問とも正解された方の中から抽選で3名の方に、ご希望のプロのサイン色紙をプレゼントいたします。
また、応募された方の中から抽選で5名の方に、「日本プロ麻雀連盟2014カレンダー」をプレゼントいたします。
応募方法:各問題のマジョリティ(最も解答が多い)と思われる打牌とサインをご希望のプロ(1名)を記載の上、こちらからご応募ください。
※1メールアドレスに対し、1応募とさせていただきます。
※当選された方には【解答編】掲載の後、事務局よりご連絡いたします。
締め切り:2月12日(水)到着分
【解答編】掲載:2月14日(金)
 
【問題1】東1局2本場 南家
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【問題2】南1局 東家
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※各問、ルールは連盟Bルール(一発・裏ドラ・カンドラ有り 赤牌無し)です。
※色の濃くなっている捨牌はツモ切りです。

何を切る?fromロン2 2014年02月問題

今月の『何を切る?』コーナーでは、バレンタイン特別企画といたしまして、女流プロ何切るマジョリティクイズを実施させていただきます。

事前に女流プロの方々に何切るアンケートをお願いいたしました。
全2問、それぞれのマジョリティ解答をお考えください。

2問とも正解された方の中から抽選で3名の方に、ご希望のプロのサイン色紙をプレゼントいたします。
また、応募された方の中から抽選で5名の方に、「日本プロ麻雀連盟2014カレンダー」をプレゼントいたします。

応募方法:各問題のマジョリティ(最も解答が多い)と思われる打牌とサインをご希望のプロ(1名)を記載の上、こちらからご応募ください。

※1メールアドレスに対し、1応募とさせていただきます。
※当選された方には【解答編】掲載の後、事務局よりご連絡いたします。

締め切り:2月12日(水)到着分
【解答編】掲載:2月14日(金)

 

【問題1】東1局2本場 南家

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【問題2】南1局 東家

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※各問、ルールは連盟Bルール(一発・裏ドラ・カンドラ有り 赤牌無し)です。
※色の濃くなっている捨牌はツモ切りです。