第11期九州グランプリ 成績表

決勝

名前 合計  
山本 江利香 18.5 15.0 33.5
優勝
河野 みのり 0.8 5.0 5.8  
哀河 斗南 ▲ 2.9 ▲ 5.0 ▲ 7.9  
安東 裕允 ▲ 16.4 ▲ 15.0 ▲ 31.4  
供託 0.0  

準決勝

名前 合計
安東 裕允 5.3 5.0 10.3
中島 行泰 ▲ 41.4 ▲ 15.0 ▲ 56.4
氏家 義成 4.5 ▲ 5.0 ▲ 0.5
哀河 斗南 31.6 15.0 46.6
供託 0.0
名前 合計
河野 みのり 22.8 15.0 37.8
山本 江利香 0.5 5.0 5.5
西川 舞 ▲ 21.0 ▲ 15.0 ▲ 36.0
浜上 文吾 ▲ 2.3 ▲ 5.0 ▲ 7.3
供託 0.0

予選

順位 名前 1回戦 2回戦 3回戦 4回戦 5回戦 6回戦 合計
1 浜上 文吾 15.2 41.4 19.4 20.2 準決勝へ勝ち抜け 96.2
2 安東 裕允 31.4 7.4 ▲ 13.6 9.2 66.8 8.2 109.4
3 西川 舞 33.3 ▲ 25.2 33.8 21.1 ▲ 11.7 53.1 104.4
4 中島 行泰 ▲ 12.1 30.6 7.4 10.3 17.4 41.2 94.8
5 山本 江利香 23.2 3.5 27.2 36.3 ▲ 16.9 11.9 85.2
6 哀河 斗南 16.6 35.0 19.5 22.7 31.4 ▲ 50.1 75.1
7 河野 みのり 11.7 24.1 10.3 5.9 ▲ 5.0 23.4 70.4
8 氏家 義成 21.4 19.8 20.7 29.0 ▲ 27.1 1.7 65.5
9 松本 路也 ▲ 2.5 11.5 ▲ 8.7 31.6 8.0 19.6 59.5
10 宮崎 皓之介 ▲ 22.9 19.3 40.6 ▲ 7.8 28.6 ▲ 5.0 52.8
11 菊池 豪 15.0 23.9 ▲ 41.8 24.4 33.5 ▲ 11.7 43.3
12 東谷 達矢 9.4 10.8 33.1 19.6 ▲ 24.9 ▲ 38.0 10.0
13 青木 胤道 ▲ 1.0 ▲ 10.9 31.0 15.7 9.2 ▲ 56.3 ▲ 12.3
14 古本 和宏 28.5 14.7 22.4 ▲ 25.9 ▲ 15.6 24.1
15 小車 祥 ▲ 12.2 21.8 ▲ 24.1 54.2 ▲ 33.5 6.2
16 鶴 浩昭 ▲ 36.7 30.6 ▲ 6.4 31.1 ▲ 16.3 2.3
17 柴田 祐一朗 ▲ 30.7 ▲ 27.7 13.7 71.8 ▲ 44.9 ▲ 17.8
18 石原 忠道 24.5 ▲ 32.1 ▲ 21.8 46.7 17.3
19 進 栄二 12.4 32.2 ▲ 25.1 ▲ 2.9 16.6
20 福田 正道 ▲ 22.8 ▲ 11.9 40.2 10.8 16.3
21 中村 政時 5.8 ▲ 1.6 19.4 ▲ 9.7 13.9
22 矢野 拓郎 32.4 4.6 ▲ 16.2 ▲ 10.7 10.1
23 服部 学 ▲ 29.8 8.3 44.1 ▲ 22.1 0.5
24 塚本 将之 ▲ 10.7 ▲ 4.5 ▲ 8.5 23.9 0.2
25 阿部 紀彦 ▲ 15.2 32.1 10.2 ▲ 45.7 ▲ 18.6
26 名倉 徹 11.5 ▲ 7.7 ▲ 30.2 ▲ 1.2 ▲ 27.6
27 安永 敏郎 26.7 ▲ 27.5 ▲ 1.0 ▲ 28.1 ▲ 29.9
28 伊東 宏倫 ▲ 4.0 ▲ 9.8 1.7 ▲ 20.7 ▲ 32.8
29 大和田 篤史 14.4 ▲ 5.7 ▲ 20.4 ▲ 38.1 ▲ 49.8
30 樋口 徹 ▲ 38.7 ▲ 21.0 ▲ 4.2 6.0 ▲ 57.9
31 中尾 多門 ▲ 8.6 ▲ 18.6 7.6 ▲ 39.2 ▲ 58.8
32 水町 慎一 ▲ 13.3 ▲ 48.8 11.7 ▲ 8.9 ▲ 59.3
33 藤岡 治之 ▲ 28.2 24.5 ▲ 23.4 ▲ 35.5 ▲ 62.6
34 松尾 樹宏 28.4 5.9 ▲ 10.9 ▲ 86.8 ▲ 63.4
35 吉田 彩乃 28.1 ▲ 30.9 ▲ 15.5 ▲ 45.8 ▲ 64.1
36 新谷 翔平 ▲ 39.4 ▲ 24.8 ▲ 34.7 28.5 ▲ 70.4
37 西原 亨 6.2 ▲ 12.9 ▲ 40.1 ▲ 33.3 ▲ 80.1
38 山本 秋桜里 ▲ 26.2 ▲ 31.0 ▲ 33.9 ▲ 6.2 ▲ 97.3
39 ジャガー真鍋 ▲ 28.6 ▲ 42.1 ▲ 10.8 ▲ 20.3 ▲ 101.8
40 北島 勇輝 ▲ 33.5 ▲ 9.3 ▲ 25.7 ▲ 34.1 ▲ 102.6

九州プロリーグ 成績表/第11期九州グランプリ 成績表

決勝

名前 合計  
山本 江利香 18.5 15.0 33.5
優勝
河野 みのり 0.8 5.0 5.8  
哀河 斗南 ▲ 2.9 ▲ 5.0 ▲ 7.9  
安東 裕允 ▲ 16.4 ▲ 15.0 ▲ 31.4  
供託 0.0  

準決勝

名前 合計
安東 裕允 5.3 5.0 10.3
中島 行泰 ▲ 41.4 ▲ 15.0 ▲ 56.4
氏家 義成 4.5 ▲ 5.0 ▲ 0.5
哀河 斗南 31.6 15.0 46.6
供託 0.0
名前 合計
河野 みのり 22.8 15.0 37.8
山本 江利香 0.5 5.0 5.5
西川 舞 ▲ 21.0 ▲ 15.0 ▲ 36.0
浜上 文吾 ▲ 2.3 ▲ 5.0 ▲ 7.3
供託 0.0

予選

順位 名前 1回戦 2回戦 3回戦 4回戦 5回戦 6回戦 合計
1 浜上 文吾 15.2 41.4 19.4 20.2 準決勝へ勝ち抜け 96.2
2 安東 裕允 31.4 7.4 ▲ 13.6 9.2 66.8 8.2 109.4
3 西川 舞 33.3 ▲ 25.2 33.8 21.1 ▲ 11.7 53.1 104.4
4 中島 行泰 ▲ 12.1 30.6 7.4 10.3 17.4 41.2 94.8
5 山本 江利香 23.2 3.5 27.2 36.3 ▲ 16.9 11.9 85.2
6 哀河 斗南 16.6 35.0 19.5 22.7 31.4 ▲ 50.1 75.1
7 河野 みのり 11.7 24.1 10.3 5.9 ▲ 5.0 23.4 70.4
8 氏家 義成 21.4 19.8 20.7 29.0 ▲ 27.1 1.7 65.5
9 松本 路也 ▲ 2.5 11.5 ▲ 8.7 31.6 8.0 19.6 59.5
10 宮崎 皓之介 ▲ 22.9 19.3 40.6 ▲ 7.8 28.6 ▲ 5.0 52.8
11 菊池 豪 15.0 23.9 ▲ 41.8 24.4 33.5 ▲ 11.7 43.3
12 東谷 達矢 9.4 10.8 33.1 19.6 ▲ 24.9 ▲ 38.0 10.0
13 青木 胤道 ▲ 1.0 ▲ 10.9 31.0 15.7 9.2 ▲ 56.3 ▲ 12.3
14 古本 和宏 28.5 14.7 22.4 ▲ 25.9 ▲ 15.6 24.1
15 小車 祥 ▲ 12.2 21.8 ▲ 24.1 54.2 ▲ 33.5 6.2
16 鶴 浩昭 ▲ 36.7 30.6 ▲ 6.4 31.1 ▲ 16.3 2.3
17 柴田 祐一朗 ▲ 30.7 ▲ 27.7 13.7 71.8 ▲ 44.9 ▲ 17.8
18 石原 忠道 24.5 ▲ 32.1 ▲ 21.8 46.7 17.3
19 進 栄二 12.4 32.2 ▲ 25.1 ▲ 2.9 16.6
20 福田 正道 ▲ 22.8 ▲ 11.9 40.2 10.8 16.3
21 中村 政時 5.8 ▲ 1.6 19.4 ▲ 9.7 13.9
22 矢野 拓郎 32.4 4.6 ▲ 16.2 ▲ 10.7 10.1
23 服部 学 ▲ 29.8 8.3 44.1 ▲ 22.1 0.5
24 塚本 将之 ▲ 10.7 ▲ 4.5 ▲ 8.5 23.9 0.2
25 阿部 紀彦 ▲ 15.2 32.1 10.2 ▲ 45.7 ▲ 18.6
26 名倉 徹 11.5 ▲ 7.7 ▲ 30.2 ▲ 1.2 ▲ 27.6
27 安永 敏郎 26.7 ▲ 27.5 ▲ 1.0 ▲ 28.1 ▲ 29.9
28 伊東 宏倫 ▲ 4.0 ▲ 9.8 1.7 ▲ 20.7 ▲ 32.8
29 大和田 篤史 14.4 ▲ 5.7 ▲ 20.4 ▲ 38.1 ▲ 49.8
30 樋口 徹 ▲ 38.7 ▲ 21.0 ▲ 4.2 6.0 ▲ 57.9
31 中尾 多門 ▲ 8.6 ▲ 18.6 7.6 ▲ 39.2 ▲ 58.8
32 水町 慎一 ▲ 13.3 ▲ 48.8 11.7 ▲ 8.9 ▲ 59.3
33 藤岡 治之 ▲ 28.2 24.5 ▲ 23.4 ▲ 35.5 ▲ 62.6
34 松尾 樹宏 28.4 5.9 ▲ 10.9 ▲ 86.8 ▲ 63.4
35 吉田 彩乃 28.1 ▲ 30.9 ▲ 15.5 ▲ 45.8 ▲ 64.1
36 新谷 翔平 ▲ 39.4 ▲ 24.8 ▲ 34.7 28.5 ▲ 70.4
37 西原 亨 6.2 ▲ 12.9 ▲ 40.1 ▲ 33.3 ▲ 80.1
38 山本 秋桜里 ▲ 26.2 ▲ 31.0 ▲ 33.9 ▲ 6.2 ▲ 97.3
39 ジャガー真鍋 ▲ 28.6 ▲ 42.1 ▲ 10.8 ▲ 20.3 ▲ 101.8
40 北島 勇輝 ▲ 33.5 ▲ 9.3 ▲ 25.7 ▲ 34.1 ▲ 102.6

第8期 北陸リーグ 第1節レポート

お初の方は初めまして。ご存知の方はご無沙汰しておりました。
第8期北陸リーグのレポートを担当させて戴きます22期生の荒谷と申します。
拙い文章ですが半年間のお付き合い、どうか宜しくお願い致します。

私事ではありますが、このたび中部本部より北陸支部に移籍して、戦いの場を地元である北陸の地に移させて戴きました。アマチュアの方も入るリーグ戦は初めてという事で、心機一転、新人の気持ちで臨みたいと思いながらも、中部プロリーグで鳳凰位戦のA・Bリーガーやタイトルホルダーと戦い続けてきた自負もあるだけに、中部の名に恥じぬ麻雀を心掛けようという想いを胸に、今期を戦い抜きたいと考えています。

さて、プロアマ総勢21名が集まった第8期の北陸リーグだが、1節目にして早くも縦長の展開となり、今後の各人の戦略が問われる機会が多くなりそうである。

只一人100P越えの森田繁基さんは、2回戦、3回戦と四暗刻を連続でアガる豪腕を発揮し、見事なスタートダッシュに成功。早々に決勝の椅子を予約したかに見える。

オールプラスで2位に着けた小泉さん共々、彼らはアマチュアながら北陸では実力・実績の兼ね備えた打ち手で、その重厚な打ち筋は私も度々セットの場で勉強させて戴いている。

「今節はTV対局モードで行く」と開始前に意気込みを述べていた山井も好位置につけている。
リーグ内でも特に注目を集める立場だけに、今後も他者のマークの中で決勝の椅子を確実に狙ってくるだろう。

逆に、大きく躓いてしまった後藤、松原は、次節以降の巻き返しに期待がかかる。
ただ、目の前の1局のみに全霊を傾けるのではなく、全節を見据えての押し引きができる『大局観』。
長いリーグ戦を戦い抜く上で、この部分の有無に関しては今更語るまでもない両名。
今期終了時には、キッチリとスコアを纏めてくるのではないだろうか。

私自身に関しては、結果的には良い順位に居るが、1回戦で箱をかぶる1人沈みのラスという見事な立ち上がり(?)からの3連勝。粗い麻雀と言われても返す言葉も無い。ただ、これが打撃戦を旨とする私の平常運転。北陸リーグのデビュー戦、その初手で横っ面を豪快に張り倒されたおかげで、かえって己の雀風を見失わずに貫く事が出来た事を、スコア以上の収穫としたい。

北陸リーグには昇級/降級のシステムがなく、アマチュアの方も多い為、次節以降の戦略等勝手の異なる部分も多いが、全5節全てを学びの場とし、プロアマの隔てなくリーグ戦にて勉強させて戴き、その上で尚、己の雀風を貫く気概を忘れずに今期を戦い抜きたいと思う。

順位 名前 プロ/アマ 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 森田繁基 アマ 110.2 110.2
2 小泉陽平 アマ 53.5 53.5
3 荒谷誠 プロ 46.4 46.4
4 飯田輝雄 アマ 42.5 42.5
5 本田朋広 プロ 33.7 33.7
6 山井弘 プロ 30.6 30.6
7 平澤憲一 アマ 26.7 26.7
8 窪田一彦 アマ 22.4 22.4
9 恵比須均 アマ 18.9 18.9
10 濱平光朗 プロ 16.9 16.9
11 谷口真悟 アマ 8.5 8.5
12 押川憲一 アマ ▲ 9.8 ▲ 9.8
13 香林明子 プロ ▲ 12.4 ▲ 12.4
14 光岡大幸 アマ ▲ 24.8 ▲ 24.8
15 谷内口遥 プロ ▲ 30.1 ▲ 30.1
16 高村和人 アマ ▲ 31.3 ▲ 31.3
17 森田有一 アマ ▲ 41.6 ▲ 41.6
18 後藤正博 プロ ▲ 54.4 ▲ 54.4
19 松原健志 プロ ▲ 58.2 ▲ 58.2
20 小坂智徳 アマ ▲ 66.5 ▲ 66.5
21 北川光 アマ ▲ 83.2 ▲ 83.2

決勝進出ライン:順位枠内に表示

北陸リーグ レポート/第8期 北陸リーグ 第1節レポート

お初の方は初めまして。ご存知の方はご無沙汰しておりました。
第8期北陸リーグのレポートを担当させて戴きます22期生の荒谷と申します。
拙い文章ですが半年間のお付き合い、どうか宜しくお願い致します。
私事ではありますが、このたび中部本部より北陸支部に移籍して、戦いの場を地元である北陸の地に移させて戴きました。アマチュアの方も入るリーグ戦は初めてという事で、心機一転、新人の気持ちで臨みたいと思いながらも、中部プロリーグで鳳凰位戦のA・Bリーガーやタイトルホルダーと戦い続けてきた自負もあるだけに、中部の名に恥じぬ麻雀を心掛けようという想いを胸に、今期を戦い抜きたいと考えています。
さて、プロアマ総勢21名が集まった第8期の北陸リーグだが、1節目にして早くも縦長の展開となり、今後の各人の戦略が問われる機会が多くなりそうである。
只一人100P越えの森田繁基さんは、2回戦、3回戦と四暗刻を連続でアガる豪腕を発揮し、見事なスタートダッシュに成功。早々に決勝の椅子を予約したかに見える。
オールプラスで2位に着けた小泉さん共々、彼らはアマチュアながら北陸では実力・実績の兼ね備えた打ち手で、その重厚な打ち筋は私も度々セットの場で勉強させて戴いている。
「今節はTV対局モードで行く」と開始前に意気込みを述べていた山井も好位置につけている。
リーグ内でも特に注目を集める立場だけに、今後も他者のマークの中で決勝の椅子を確実に狙ってくるだろう。
逆に、大きく躓いてしまった後藤、松原は、次節以降の巻き返しに期待がかかる。
ただ、目の前の1局のみに全霊を傾けるのではなく、全節を見据えての押し引きができる『大局観』。
長いリーグ戦を戦い抜く上で、この部分の有無に関しては今更語るまでもない両名。
今期終了時には、キッチリとスコアを纏めてくるのではないだろうか。
私自身に関しては、結果的には良い順位に居るが、1回戦で箱をかぶる1人沈みのラスという見事な立ち上がり(?)からの3連勝。粗い麻雀と言われても返す言葉も無い。ただ、これが打撃戦を旨とする私の平常運転。北陸リーグのデビュー戦、その初手で横っ面を豪快に張り倒されたおかげで、かえって己の雀風を見失わずに貫く事が出来た事を、スコア以上の収穫としたい。
北陸リーグには昇級/降級のシステムがなく、アマチュアの方も多い為、次節以降の戦略等勝手の異なる部分も多いが、全5節全てを学びの場とし、プロアマの隔てなくリーグ戦にて勉強させて戴き、その上で尚、己の雀風を貫く気概を忘れずに今期を戦い抜きたいと思う。

順位 名前 プロ/アマ 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 森田繁基 アマ 110.2 110.2
2 小泉陽平 アマ 53.5 53.5
3 荒谷誠 プロ 46.4 46.4
4 飯田輝雄 アマ 42.5 42.5
5 本田朋広 プロ 33.7 33.7
6 山井弘 プロ 30.6 30.6
7 平澤憲一 アマ 26.7 26.7
8 窪田一彦 アマ 22.4 22.4
9 恵比須均 アマ 18.9 18.9
10 濱平光朗 プロ 16.9 16.9
11 谷口真悟 アマ 8.5 8.5
12 押川憲一 アマ ▲ 9.8 ▲ 9.8
13 香林明子 プロ ▲ 12.4 ▲ 12.4
14 光岡大幸 アマ ▲ 24.8 ▲ 24.8
15 谷内口遥 プロ ▲ 30.1 ▲ 30.1
16 高村和人 アマ ▲ 31.3 ▲ 31.3
17 森田有一 アマ ▲ 41.6 ▲ 41.6
18 後藤正博 プロ ▲ 54.4 ▲ 54.4
19 松原健志 プロ ▲ 58.2 ▲ 58.2
20 小坂智徳 アマ ▲ 66.5 ▲ 66.5
21 北川光 アマ ▲ 83.2 ▲ 83.2

決勝進出ライン:順位枠内に表示

第14期九州リーグ(プロアマ混合) 成績表

松尾 樹宏 服部 学 福田 正道 浜上 文吾
9節まで合計 214.2 201.1 197.6 170.8
1回戦 得失点 2.2 ▲ 8.0 7.5 ▲ 1.7
順位点 4.0 ▲ 8.0 8.0 ▲ 4.0
6.2 ▲ 16.0 15.5 ▲ 5.7
2回戦 得失点 13.2 ▲ 1.3 1.9 ▲ 13.8
順位点 8.0 ▲ 4.0 4.0 ▲ 8.0
21.2 ▲ 5.3 5.9 ▲ 21.8
3回戦 得失点 ▲ 5.4 ▲ 29.2 35.3 ▲ 0.7
順位点 ▲ 3.0 ▲ 8.0 12.0 ▲ 1.0
▲ 8.4 ▲ 37.2 47.3 ▲ 1.7
4回戦 得失点 24.1 ▲ 12.5 4.8 ▲ 16.4
順位点 8.0 ▲ 4.0 4.0 ▲ 8.0
32.1 ▲ 16.5 8.8 ▲ 24.4
合計 265.3 126.1 275.1 117.2
2位 3位 優勝 4位
順位 名前 プロ/アマ 1節 2節 3節 4節 5節 6節 7節 8節 9節 合計
1 松尾 樹宏 プロ 54.9 138.4 ▲ 37.5 102.5 ▲ 1.5 38.4 0.5 ▲ 76.5 ▲ 5.0 214.2
2 服部 学 プロ ▲ 12.7 2.0 97.5 30.3 ▲ 23.8 89.7 14.3 16.1 ▲ 12.3 201.1
3 福田 正道 プロ 5.9 64.4 49.6 60.7 35.6 ▲ 15.8 ▲ 3.6 26.1 ▲ 25.3 197.6
4 浜上 文吾 プロ 17.8 35.2 0.9 7.3 52.3 22.9 16.5 15.3 2.6 170.8
5 樋口 徹 プロ ▲ 54.3 ▲ 37.5 27.3 39.7 ▲ 7.5 20.7 78.6 45.8 47.6 敗退
6 大和田 篤史 プロ 5.4 67.1 24.5 ▲ 11.1 11.6 45.3 19.1 ▲ 15.3 ▲ 10.0 敗退
7 鶴 浩昭 プロ 2.5 73.6 61.2 11.8 55.0 54.5 ▲ 43.4 ▲ 85.3 ▲ 14.8 敗退
8 藤岡 治之 プロ ▲ 47.6 ▲ 1.2 1.8 54.2 21.6 25.1 ▲ 36.0 64.7 17.2 敗退
9 ジャガー真鍋 プロ ▲ 15.9 31.5 26.6 13.8 ▲ 13.3 ▲ 55.5 25.5 62.9 敗退
10 河野 みのり プロ ▲ 1.4 61.4 ▲ 13.1 15.0 ▲ 2.3 ▲ 6.8 ▲ 45.9 36.2 敗退
11 矢野 拓郎 プロ 57.0 ▲ 36.8 16.2 ▲ 21.4 ▲ 38.4 ▲ 26.6 35.1 55.4 敗退
12 小車 祥 プロ 14.8 24.0 ▲ 8.1 32.8 ▲ 49.2 ▲ 46.3 ▲ 14.2 47.8 敗退
13 安永 敏郎 アマ 45.6 109.7 33.8 ▲ 87.9 ▲ 18.3 ▲ 112.2 44.2 ▲ 38.0 敗退
14 新谷 翔平 プロ 52.0 6.3 ▲ 62.7 ▲ 3.4 56.8 ▲ 25.1 ▲ 17.2 ▲ 47.0 敗退
15 石原 忠道 アマ 61.2 ▲ 65.5 ▲ 15.4 ▲ 11.4 ▲ 1.2 ▲ 15.7 21.0 ▲ 23.4 敗退
16 青木 胤道 プロ ▲ 53.7 ▲ 9.3 ▲ 21.3 15.4 21.5 27.8 28.5 ▲ 86.8 敗退
17 水町 慎一 プロ 5.9 62.7 ▲ 25.6 ▲ 50.8 ▲ 29.2 ▲ 18.2 0.4 敗退
18 田原 ひとみ アマ 31.1 ▲ 44.4 ▲ 50.3 71.8 ▲ 7.5 ▲ 40.6 ▲ 21.4 敗退
19 吉田 彩乃 アマ ▲ 30.4 ▲ 33.0 38.4 24.5 ▲ 13.3 ▲ 28.2 ▲ 23.5 敗退
20 西川 舞 プロ 56.2 32.6 ▲ 11.2 ▲ 16.6 ▲ 68.1 ▲ 0.2 ▲ 79.5 敗退
21 阿部 紀彦 アマ ▲ 58.9 ▲ 41.8 ▲ 6.4 ▲ 1.1 16.7 29.2 敗退
22 東谷 達矢 プロ 53.2 59.3 ▲ 31.2 ▲ 1.7 ▲ 123.9 ▲ 22.8 敗退
23 新原 なおみ アマ ▲ 26.5 ▲ 22.7 ▲ 24.1 ▲ 28.2 ▲ 34.7 48.5 敗退
24 一本 達郎 アマ 10.6 ▲ 16.0 ▲ 60.3 ▲ 5.4 ▲ 28.3 ▲ 9.1 敗退
25 貴田 純一 アマ ▲ 15.6 24.7 ▲ 0.8 ▲ 4.6 35.8 敗退
26 西原 亨 プロ 2.8 ▲ 54.6 ▲ 13.1 45.4 39.1 敗退
27 中島 行泰 アマ ▲ 21.9 ▲ 41.4 0.8 ▲ 11.6 ▲ 18.8 敗退
28 塚本 将之 プロ ▲ 29.1 ▲ 21.6 ▲ 22.9 ▲ 68.8 38.0 敗退
29 藤井 崇勝 アマ 58.0 ▲ 51.6 ▲ 49.3 54.6 ▲ 150.0 敗退
30 公文 寛明 アマ ▲ 58.9 ▲ 57.1 ▲ 71.2 10.1 35.9 敗退
31 哀河 斗南 プロ ▲ 62.4 ▲ 5.6 ▲ 1.3 34.3 ▲ 150.0 敗退
32 田中 哲也 アマ ▲ 30.8 ▲ 46.5 ▲ 18.6 ▲ 4.2 ▲ 150.0 敗退
33 安東 裕允 プロ ▲ 29.7 ▲ 96.5 17.9 ▲ 12.8 ▲ 150.0 敗退

九州プロリーグ 成績表/第14期九州リーグ(プロアマ混合) 成績表

松尾 樹宏 服部 学 福田 正道 浜上 文吾
9節まで合計 214.2 201.1 197.6 170.8
1回戦 得失点 2.2 ▲ 8.0 7.5 ▲ 1.7
順位点 4.0 ▲ 8.0 8.0 ▲ 4.0
6.2 ▲ 16.0 15.5 ▲ 5.7
2回戦 得失点 13.2 ▲ 1.3 1.9 ▲ 13.8
順位点 8.0 ▲ 4.0 4.0 ▲ 8.0
21.2 ▲ 5.3 5.9 ▲ 21.8
3回戦 得失点 ▲ 5.4 ▲ 29.2 35.3 ▲ 0.7
順位点 ▲ 3.0 ▲ 8.0 12.0 ▲ 1.0
▲ 8.4 ▲ 37.2 47.3 ▲ 1.7
4回戦 得失点 24.1 ▲ 12.5 4.8 ▲ 16.4
順位点 8.0 ▲ 4.0 4.0 ▲ 8.0
32.1 ▲ 16.5 8.8 ▲ 24.4
合計 265.3 126.1 275.1 117.2
2位 3位 優勝 4位
順位 名前 プロ/アマ 1節 2節 3節 4節 5節 6節 7節 8節 9節 合計
1 松尾 樹宏 プロ 54.9 138.4 ▲ 37.5 102.5 ▲ 1.5 38.4 0.5 ▲ 76.5 ▲ 5.0 214.2
2 服部 学 プロ ▲ 12.7 2.0 97.5 30.3 ▲ 23.8 89.7 14.3 16.1 ▲ 12.3 201.1
3 福田 正道 プロ 5.9 64.4 49.6 60.7 35.6 ▲ 15.8 ▲ 3.6 26.1 ▲ 25.3 197.6
4 浜上 文吾 プロ 17.8 35.2 0.9 7.3 52.3 22.9 16.5 15.3 2.6 170.8
5 樋口 徹 プロ ▲ 54.3 ▲ 37.5 27.3 39.7 ▲ 7.5 20.7 78.6 45.8 47.6 敗退
6 大和田 篤史 プロ 5.4 67.1 24.5 ▲ 11.1 11.6 45.3 19.1 ▲ 15.3 ▲ 10.0 敗退
7 鶴 浩昭 プロ 2.5 73.6 61.2 11.8 55.0 54.5 ▲ 43.4 ▲ 85.3 ▲ 14.8 敗退
8 藤岡 治之 プロ ▲ 47.6 ▲ 1.2 1.8 54.2 21.6 25.1 ▲ 36.0 64.7 17.2 敗退
9 ジャガー真鍋 プロ ▲ 15.9 31.5 26.6 13.8 ▲ 13.3 ▲ 55.5 25.5 62.9 敗退
10 河野 みのり プロ ▲ 1.4 61.4 ▲ 13.1 15.0 ▲ 2.3 ▲ 6.8 ▲ 45.9 36.2 敗退
11 矢野 拓郎 プロ 57.0 ▲ 36.8 16.2 ▲ 21.4 ▲ 38.4 ▲ 26.6 35.1 55.4 敗退
12 小車 祥 プロ 14.8 24.0 ▲ 8.1 32.8 ▲ 49.2 ▲ 46.3 ▲ 14.2 47.8 敗退
13 安永 敏郎 アマ 45.6 109.7 33.8 ▲ 87.9 ▲ 18.3 ▲ 112.2 44.2 ▲ 38.0 敗退
14 新谷 翔平 プロ 52.0 6.3 ▲ 62.7 ▲ 3.4 56.8 ▲ 25.1 ▲ 17.2 ▲ 47.0 敗退
15 石原 忠道 アマ 61.2 ▲ 65.5 ▲ 15.4 ▲ 11.4 ▲ 1.2 ▲ 15.7 21.0 ▲ 23.4 敗退
16 青木 胤道 プロ ▲ 53.7 ▲ 9.3 ▲ 21.3 15.4 21.5 27.8 28.5 ▲ 86.8 敗退
17 水町 慎一 プロ 5.9 62.7 ▲ 25.6 ▲ 50.8 ▲ 29.2 ▲ 18.2 0.4 敗退
18 田原 ひとみ アマ 31.1 ▲ 44.4 ▲ 50.3 71.8 ▲ 7.5 ▲ 40.6 ▲ 21.4 敗退
19 吉田 彩乃 アマ ▲ 30.4 ▲ 33.0 38.4 24.5 ▲ 13.3 ▲ 28.2 ▲ 23.5 敗退
20 西川 舞 プロ 56.2 32.6 ▲ 11.2 ▲ 16.6 ▲ 68.1 ▲ 0.2 ▲ 79.5 敗退
21 阿部 紀彦 アマ ▲ 58.9 ▲ 41.8 ▲ 6.4 ▲ 1.1 16.7 29.2 敗退
22 東谷 達矢 プロ 53.2 59.3 ▲ 31.2 ▲ 1.7 ▲ 123.9 ▲ 22.8 敗退
23 新原 なおみ アマ ▲ 26.5 ▲ 22.7 ▲ 24.1 ▲ 28.2 ▲ 34.7 48.5 敗退
24 一本 達郎 アマ 10.6 ▲ 16.0 ▲ 60.3 ▲ 5.4 ▲ 28.3 ▲ 9.1 敗退
25 貴田 純一 アマ ▲ 15.6 24.7 ▲ 0.8 ▲ 4.6 35.8 敗退
26 西原 亨 プロ 2.8 ▲ 54.6 ▲ 13.1 45.4 39.1 敗退
27 中島 行泰 アマ ▲ 21.9 ▲ 41.4 0.8 ▲ 11.6 ▲ 18.8 敗退
28 塚本 将之 プロ ▲ 29.1 ▲ 21.6 ▲ 22.9 ▲ 68.8 38.0 敗退
29 藤井 崇勝 アマ 58.0 ▲ 51.6 ▲ 49.3 54.6 ▲ 150.0 敗退
30 公文 寛明 アマ ▲ 58.9 ▲ 57.1 ▲ 71.2 10.1 35.9 敗退
31 哀河 斗南 プロ ▲ 62.4 ▲ 5.6 ▲ 1.3 34.3 ▲ 150.0 敗退
32 田中 哲也 アマ ▲ 30.8 ▲ 46.5 ▲ 18.6 ▲ 4.2 ▲ 150.0 敗退
33 安東 裕允 プロ ▲ 29.7 ▲ 96.5 17.9 ▲ 12.8 ▲ 150.0 敗退

第74回:中村慎吾

201303リレーエッセィ:中村慎吾

3年前の冬、私は某大手探偵事務所で働いていた。
探偵と聞くと、ピンと来ない方もいると思うが、仕事内容の9割以上が浮気調査や人捜しである。
同じ場所に1日中張り込む事なんて当たり前で、不審がられて警察を呼ばれたこともあった(笑)。

南は九州の宮崎までドライブしたこともあったなぁ。
途中、降雪により高速道路が通行止めになり、下道を長時間掛けて走ったのは、今ではいい思い出である。
そんなハードな生活を続けていたのだが、久しぶりの休日に出会った麻雀格闘倶楽部の出現により、私の人生は大きな転機を迎える事となる。

探偵事務所に勤務する前は、暇さえあればフリー雀荘に通うほど麻雀が好きだった。しかし、中々休みが貰えず、麻雀から掛け離れた生活がずっと続いていた。そんな中、プレイした麻雀格闘倶楽部は私に衝撃を与えた。気が付くと1日中虜になって遊んでいた。
その日を境に、暇さえあれば頭に過るのは麻雀の事ばかり。調査中に、危うく対象者(追っている人)を見失いそうになり、このままではまずいと思い、今後の人生について真剣に考えた。そして熟考の末、麻雀店のメンバーとして第二の人生を歩んで行くことを決意したのである。

メンバーになった当初、当たり前ではあるが、右も左も分からない状態だった。しかし、自分にはフリー雀荘で培ってきた経験があると意気揚々に卓に入ったのだが、結果は見るも無残な惨敗。このままではいかんと思い、戦術書を読み漁り、上手い人の後ろで、打ち筋や押し引き等を見させて貰い必死に勉強した。勉強の甲斐あって、成績は徐々に向上されていった。

そんな中、麻雀プロの存在に出会ったのである。
プロの世界で自分の実力を試してみたいと思った私は、麻雀プロや麻雀団体の事を事細かに調べた。
そして、一発裏ドラのないルールでタイトル戦の多い、日本プロ麻雀連盟を受験することを決意した。

晴れてプロになった私は、最初のリーグ戦を2位通過。特別昇級リーグの権利を得たが、そこでは無念の4回戦敗退。正直、その当時の私は、Aルールというものを全然理解していなかった。巷の一発裏ドラ赤ありルールとほとんど打ち方を変えていなかったのだ。よくそんな打ち方で昇級できたなという突っ込みは置いといて、とにかくAルール麻雀を徹底的に勉強し直す必要があると考えた私は、翌年のリーグ戦から毎月A1リーグの観戦に行くことを誓った。

特に観戦したのが瀬戸熊プロ。読みが鋭く、攻撃的な麻雀は思わず見惚れてしまう程だ。観戦だけでは上手くならないと思い、暇を見つけては先輩方とAルールセットを組んだ。分からない局面があったら積極的に質問し、自分の中で納得させてから岐路に着く。そんな日々を過ごしていた私にチャンスが訪れる。

第23期チャンピオンズリーグの決勝に駒を進めたのだ。
過去2回チャンピオンズリーグに出場したのだが、ベスト16とベスト28で敗退と言う結果に終わっていた。決勝に残ったからには、目指すは優勝しかないと精神統一してから会場に向かった。

会場に着いて刻々と迫る開始時間。周りから見た私の表情は硬いように映ったかもしれないが、当の本人は全く緊張していなかった。日頃から打ち慣れているせいか、卓に着いてもその緊張が来ることもなく、立会人の合図により対局が開始された。

詳しい内容は、観戦記やインタビュー記事を見て貰う事にして、個人的に気になった局面を1つ紹介したい。

4回戦(起家から、吉田(直)・吉田(幸)・中村・高沢)
3回戦までのトータルポイントは以下。
吉田(直)+3.3P 吉田(幸)+44.3P 中村+27.2P 高沢▲74.8P

南3局2本場、西家の吉田(直)から以下の捨牌でリーチが入る。

発一万 上向き九筒 上向き三万 上向き七索 左向き西三筒 上向き白

ここまでの点数状況は、吉田(直)23100 吉田(幸)19000 中村36400 高沢41500
9巡目、親の私は以下の手牌になった。

二万二万七万八万一索二索四索六索八索九索七筒七筒八筒  ツモ二万  ドラ五索

essay_67_02

簡単に記すと、愚形2シャンテンで、親番とはいえ勝負に行くのは厳しい形。
トータルポイント的にも、完全にオリたいのだが、筋もワンチャンスも何もない。さてどうする?

こういった状況でよく聞くのが、どうせ安牌が1枚もないのだからリーチを無視して自分の都合に合わせて手を進めるという意見と、捨牌と切られている牌から手役を消していき、放銃しても安そうな牌から切っていくという意見。

前者は、この状況ではリスクが高すぎるように思う。もう少し好形ならば勝負に行く選択肢もあると思うが・・・。勿論この親番を落とすともう後がないというのなら話は別だが、今は満貫以上を打つと沈みの3着まで落ちてしまうという状況。この局面には見合ってない戦法だと思う。後者はヒントが少なすぎて、三色から一通まですべて見える。唯一、切り順からタンピン系と読めるのが精一杯だろう。

私の選択は打二万。暗刻の牌を打って、振り込んだら最悪だろうという声も聞こえてきそうだが、これこそ最善の一打だと私は思う。まず、シャンポン待ちには絶対当たらない。次に吉田(直)プロが、2巡目に一万を切っており、場に一万が3枚枯れ、カン二万待ちの可能性は低い。当たるとしたら、ほぼ二万五万待ちのケースだろう。

そして、最大の理由が3巡凌げるという事。もう一度手牌を見て貰いたい。七筒切り以外は、次にもう一度無筋を持ってきたらまた新たに開拓しなければならない。3巡凌げれば、よっぽどの事がない限り安牌に窮することはないだろう。そして可能性は低いが、二万を切って行くうちにツモが効いて、闘える形に復活する場合もある。

正直、これは敗因になる事はあっても勝因になることは決してない。しかし、この細かい事の積み重ねが大切だと私は思う。この二万をノータイムで切れたのは、日頃の訓練の賜物だろう(それが正解かどうかは別として)。この半荘は浮きの2着を取り、最終5回戦はトップで締めくくり第23期チャンピオンズリーグは優勝という最高の形で幕を閉じた。

後日、牌譜データサービスを使って、改めて自分の打牌を検証したが、細かいミスが多かった。
結果的に致命傷に繋がってはいないが、こんな麻雀を打っていたのでは、A1リーグなんて夢のまた夢である。夢ではなく現実にする為に、私は来期のA1リーグも観戦に行くだろう。そして、その努力が実り、いつの日か鳳凰位に就けると信じている。

長々と私の拙い文章にお付き合い頂きありがとうございました。
今月で28歳の誕生日を迎える、2年目の27期生中村慎吾がお届け致しました。

最後に、元探偵という異色の経歴ということで、浮気で困っている方がいましたら、無料で相談に乗りますよ~(笑)。

それでは次回は、麻雀格闘倶楽部や2013年日本プロ麻雀連盟カレンダー等で大活躍中の小笠原奈央プロにバトンを渡したいと思います。1年目からこんなにメディアに露出できて正直羨ましいぞ(笑)。
今後もブレイク間違いなしの彼女に要注目!!小笠原プロ宜しくお願いします。

リレーエッセィ/第74回:中村慎吾

201303リレーエッセィ:中村慎吾
3年前の冬、私は某大手探偵事務所で働いていた。
探偵と聞くと、ピンと来ない方もいると思うが、仕事内容の9割以上が浮気調査や人捜しである。
同じ場所に1日中張り込む事なんて当たり前で、不審がられて警察を呼ばれたこともあった(笑)。
南は九州の宮崎までドライブしたこともあったなぁ。
途中、降雪により高速道路が通行止めになり、下道を長時間掛けて走ったのは、今ではいい思い出である。
そんなハードな生活を続けていたのだが、久しぶりの休日に出会った麻雀格闘倶楽部の出現により、私の人生は大きな転機を迎える事となる。
探偵事務所に勤務する前は、暇さえあればフリー雀荘に通うほど麻雀が好きだった。しかし、中々休みが貰えず、麻雀から掛け離れた生活がずっと続いていた。そんな中、プレイした麻雀格闘倶楽部は私に衝撃を与えた。気が付くと1日中虜になって遊んでいた。
その日を境に、暇さえあれば頭に過るのは麻雀の事ばかり。調査中に、危うく対象者(追っている人)を見失いそうになり、このままではまずいと思い、今後の人生について真剣に考えた。そして熟考の末、麻雀店のメンバーとして第二の人生を歩んで行くことを決意したのである。
メンバーになった当初、当たり前ではあるが、右も左も分からない状態だった。しかし、自分にはフリー雀荘で培ってきた経験があると意気揚々に卓に入ったのだが、結果は見るも無残な惨敗。このままではいかんと思い、戦術書を読み漁り、上手い人の後ろで、打ち筋や押し引き等を見させて貰い必死に勉強した。勉強の甲斐あって、成績は徐々に向上されていった。
そんな中、麻雀プロの存在に出会ったのである。
プロの世界で自分の実力を試してみたいと思った私は、麻雀プロや麻雀団体の事を事細かに調べた。
そして、一発裏ドラのないルールでタイトル戦の多い、日本プロ麻雀連盟を受験することを決意した。
晴れてプロになった私は、最初のリーグ戦を2位通過。特別昇級リーグの権利を得たが、そこでは無念の4回戦敗退。正直、その当時の私は、Aルールというものを全然理解していなかった。巷の一発裏ドラ赤ありルールとほとんど打ち方を変えていなかったのだ。よくそんな打ち方で昇級できたなという突っ込みは置いといて、とにかくAルール麻雀を徹底的に勉強し直す必要があると考えた私は、翌年のリーグ戦から毎月A1リーグの観戦に行くことを誓った。
特に観戦したのが瀬戸熊プロ。読みが鋭く、攻撃的な麻雀は思わず見惚れてしまう程だ。観戦だけでは上手くならないと思い、暇を見つけては先輩方とAルールセットを組んだ。分からない局面があったら積極的に質問し、自分の中で納得させてから岐路に着く。そんな日々を過ごしていた私にチャンスが訪れる。
第23期チャンピオンズリーグの決勝に駒を進めたのだ。
過去2回チャンピオンズリーグに出場したのだが、ベスト16とベスト28で敗退と言う結果に終わっていた。決勝に残ったからには、目指すは優勝しかないと精神統一してから会場に向かった。
会場に着いて刻々と迫る開始時間。周りから見た私の表情は硬いように映ったかもしれないが、当の本人は全く緊張していなかった。日頃から打ち慣れているせいか、卓に着いてもその緊張が来ることもなく、立会人の合図により対局が開始された。
詳しい内容は、観戦記やインタビュー記事を見て貰う事にして、個人的に気になった局面を1つ紹介したい。
4回戦(起家から、吉田(直)・吉田(幸)・中村・高沢)
3回戦までのトータルポイントは以下。
吉田(直)+3.3P 吉田(幸)+44.3P 中村+27.2P 高沢▲74.8P
南3局2本場、西家の吉田(直)から以下の捨牌でリーチが入る。
発一万 上向き九筒 上向き三万 上向き七索 左向き西三筒 上向き白
ここまでの点数状況は、吉田(直)23100 吉田(幸)19000 中村36400 高沢41500
9巡目、親の私は以下の手牌になった。
二万二万七万八万一索二索四索六索八索九索七筒七筒八筒  ツモ二万  ドラ五索
essay_67_02
簡単に記すと、愚形2シャンテンで、親番とはいえ勝負に行くのは厳しい形。
トータルポイント的にも、完全にオリたいのだが、筋もワンチャンスも何もない。さてどうする?
こういった状況でよく聞くのが、どうせ安牌が1枚もないのだからリーチを無視して自分の都合に合わせて手を進めるという意見と、捨牌と切られている牌から手役を消していき、放銃しても安そうな牌から切っていくという意見。
前者は、この状況ではリスクが高すぎるように思う。もう少し好形ならば勝負に行く選択肢もあると思うが・・・。勿論この親番を落とすともう後がないというのなら話は別だが、今は満貫以上を打つと沈みの3着まで落ちてしまうという状況。この局面には見合ってない戦法だと思う。後者はヒントが少なすぎて、三色から一通まですべて見える。唯一、切り順からタンピン系と読めるのが精一杯だろう。
私の選択は打二万。暗刻の牌を打って、振り込んだら最悪だろうという声も聞こえてきそうだが、これこそ最善の一打だと私は思う。まず、シャンポン待ちには絶対当たらない。次に吉田(直)プロが、2巡目に一万を切っており、場に一万が3枚枯れ、カン二万待ちの可能性は低い。当たるとしたら、ほぼ二万五万待ちのケースだろう。
そして、最大の理由が3巡凌げるという事。もう一度手牌を見て貰いたい。七筒切り以外は、次にもう一度無筋を持ってきたらまた新たに開拓しなければならない。3巡凌げれば、よっぽどの事がない限り安牌に窮することはないだろう。そして可能性は低いが、二万を切って行くうちにツモが効いて、闘える形に復活する場合もある。
正直、これは敗因になる事はあっても勝因になることは決してない。しかし、この細かい事の積み重ねが大切だと私は思う。この二万をノータイムで切れたのは、日頃の訓練の賜物だろう(それが正解かどうかは別として)。この半荘は浮きの2着を取り、最終5回戦はトップで締めくくり第23期チャンピオンズリーグは優勝という最高の形で幕を閉じた。
後日、牌譜データサービスを使って、改めて自分の打牌を検証したが、細かいミスが多かった。
結果的に致命傷に繋がってはいないが、こんな麻雀を打っていたのでは、A1リーグなんて夢のまた夢である。夢ではなく現実にする為に、私は来期のA1リーグも観戦に行くだろう。そして、その努力が実り、いつの日か鳳凰位に就けると信じている。
長々と私の拙い文章にお付き合い頂きありがとうございました。
今月で28歳の誕生日を迎える、2年目の27期生中村慎吾がお届け致しました。
最後に、元探偵という異色の経歴ということで、浮気で困っている方がいましたら、無料で相談に乗りますよ~(笑)。
それでは次回は、麻雀格闘倶楽部や2013年日本プロ麻雀連盟カレンダー等で大活躍中の小笠原奈央プロにバトンを渡したいと思います。1年目からこんなにメディアに露出できて正直羨ましいぞ(笑)。
今後もブレイク間違いなしの彼女に要注目!!小笠原プロ宜しくお願いします。

第3期グランプリMAX ベスト8レポート

第3期グランプリMAXもいよいよ佳境に入る。
灘・小島を筆頭とする歴戦の猛者を相手に、若手の(この中では)西川・勝又がどう立ち向かうのか。
決勝の椅子を賭けた闘いが今始まる。

1卓:古川孝次 西川淳 灘麻太郎 藤崎智

gpmax
左から藤崎智、灘麻太郎、古川孝次、西川淳

2回戦、静かな立ち上がりであったが、迎えた東3局、局面が一気に動き出す。
灘の8巡目、

三万三万六万七万五索六索二筒三筒四筒五筒六筒七筒中  ドラ七索

跳満まで見える1シャンテンになったかと思えば、西川が同巡にリーチ!

四万五万六万七万七万三索四索五索六索七索六筒七筒八筒  リーチ

7,700確定の3面張である。この2人の戦いかと思ったのも束の間「ツモ」の声。
手を開いたのは息を潜めていた藤崎であった。

二万三万七万八万九万一索一索七索八索九索一筒二筒三筒  ツモ一万

この3,000・6,000でトップ目に立つと、東4局、

二万三万四万二索三索四索二筒三筒四筒五筒七筒八筒九筒  ロン五筒  ドラ七筒

またしてもヤミテンで、灘から五筒を討ち取り点棒を5万点近くまで伸ばす。

南1局、藤崎に待ったをかけたい親番の西川。
3巡目に、2つ仕掛けて以下の形。

四万四万三筒東南中中  ポン五万五万五万  ポン一索一索一索  ドラ三索

この仕掛けを見てか、南家の古川も動き出す。

四索五索六索七索七索九索九索発発発  チー一索二索三索

さすがに仕掛けに関しては古川が1枚上手か。程なくして九索をツモリ2,000・4,000。
南2局、波に乗ってきた古川が、

二万三万四万六万七万八万八万八万四索五索六索五筒六筒  ロン七筒  ドラ四索

藤崎のお株を奪うヤミテンで、その藤崎から直撃する。
このアガリで、古川と藤崎の2人浮きと思われたが、そう簡単に終わらせないのが百戦錬磨のカミソリ灘。
オーラス。

九万九万二索二索三索九索九索四筒四筒九筒九筒南南  ドラ二索

わずか4巡でこのテンパイをすると何と即リーチ!終盤に、力強く三索を引き寄せ6,000オール。
古川を捲り藤崎に肉薄する。
1本場で1,500は1,800、2本場で1,500は2,100と小刻みにアガリ迎えた3本場。

二万二万五万六万四索五索六索五筒七筒八筒南南南中  ドラ四索

なんと配牌1シャンテン。2巡目に九筒を引き入れリーチ!
3巡目に南を暗カンして5巡目にツモ!

二万二万五万六万四索五索六索七筒八筒九筒  暗カン牌の背南南牌の背  リーチ  ツモ七万  ドラ四索

4,000は4,300オールで6万点を超えるトップ。
藤崎・古川共に随所に持ち味を発揮したが、終わってみれば灘圧巻の半荘であった。

2回戦成績
灘+41.6P  藤崎+14.1P  古川▲13.1P  西川▲42.6P

3回戦も灘が止まらない。
2回戦の勢いそのままに連続トップを取り以下の成績。

3回戦終了時成績
灘+65.5P  藤崎+24.4P  古川+13.4P  西川▲103.3P

残り2回戦となったが、実質、藤崎・古川の2着争いであろう。
古川の起家で始まった4回戦、東1局1,600オール、1本場に1,300は1,400オールをアガると、
2本場、

二万三万四万六万七万東東  加カン中中中中  加カン発発発発  ツモ五万  ドラ六筒

4,000は4,200オールをツモりアガリ早くも5万点を超える。
東4局2本場には、10巡目に高目三色のリーチを西川から討ち取る。

二万三万四万三索四索二筒三筒四筒六筒七筒八筒南南  リーチ  ロン二索  ドラ二万

南1局にも2,600オールをツモると、南1局1本場8巡目にこのリーチ!

一万二万三万六万七万八万七索八索五筒五筒六筒七筒八筒  ドラ一万  リーチ

安目ながら九索をツモり2,600は2,700オールで6万点を超え、1人浮きの大トップをものにした。

4回戦成績
古川+47.8P  灘▲10.3P  藤崎▲14.5P  西川▲24.0P

4回戦終了時成績
古川+61.2P  灘+55.2P  藤崎+9.9P  西川▲127.3P

古川・灘が絶対有利の最終戦、藤崎が最後の最後まで粘り、オーラス1,300・2,600ツモ条件まで迫ったものの、
流局しここで涙を飲んだ。灘・古川に共通するのが鳴きで、流れを持ってきて最後は門前で決めるところだ。
自分の勝ちパターンで完勝した両名にトッププロの真髄を見た。

勝ち上がり:灘麻太郎 古川孝次

 

2卓:勝又健志 瀬戸熊直樹 前原雄大 小島武夫

gpmax
左から瀬戸熊直樹、前原雄大、勝又健志、小島武夫

1回戦、親番の前原が早速「らしさ」を見せる。
東1局2本場8巡目、

六万七万三索四索四索六索六索六索七索八索八索四筒五筒  ドラ五筒

三筒チー打七索、次巡、ツモ二索四索

六万七万二索三索四索六索六索六索八索八索  チー三筒四筒五筒  ロン八万  ドラ五筒

8巡目で両面チーをする打ち手は少ないと思う。
しかし、前原の中では点数ではなく状態・流れを意識した仕掛けなのだろう。

南1局、ここまでノーホーラの勝又だったが、わずか3巡目でこのリーチ。

五万一索一索四索四索六索六索五筒五筒八筒八筒中中  ドラ五万  リーチ

これを一発でツモり上げ、3,000・6,000と大きな初アガリとなった。
南2局、勝又に触発されたのか、小島も8巡目リーチを一発ツモ!

七万七万八万八万九万九万五索五索三筒四筒六筒七筒八筒  リーチ  ツモ五筒  ドラ五筒

しかし、最後はやはり前原が締めた。オーラス5巡目、

五万六万七万九万九万三索四索四索五索五索六索二筒四筒  ドラ六万

この手を当然の様にリーチと行き、当然の様にツモる。
前原が自らの勝ちパターンで幸先の良いスタートを切った。

1回戦成績
前原+15.2P  勝又+9.1P  瀬戸熊▲6.3P  小島▲18.0P

3回戦、東場は小場で進み迎えた南2局、小島が5巡目にリーチ。

六万六万七万七万二索二索五索五索六筒六筒七筒七筒南  ドラ七筒

リーチを受けた親番の前原が動き出す。あっという間の3フーロで以下の形。

八万七索八索九索  チー二索三索四索  チー一索二索三索  ポン白白白  ドラ七筒

この仮テンをあっさりとツモり500オール。
1本場で2,600は2,700オールをツモると、2本場6巡目で手変わり待たずの押さえ込みリーチ。

一万二万三万七万八万九万四索四索四索五筒五筒六筒六筒  リーチ  ドラ南

前原と幾度となく激闘を繰り広げてきた瀬戸熊。10巡目に以下の手牌。

一筒二筒三筒四筒四筒六筒六筒七筒八筒九筒南南白  ドラ南

親リーチで先制されるが、ここが勝負所と踏んだか無筋を連打。
しかし、流局濃厚な15巡目、ラス牌の五筒を前原が力強く叩きつけ1,000は1,200オール。
点数以上に、流れを引き寄せる価値のあるアガリである。これが前原の勝ちパターンであろう。

オーラスを迎え、トータルラス目の親番・瀬戸熊。絶対に落とせない親番で何とダブリーの手が入る。

四万五万五索六索七索一筒一筒四筒五筒六筒七筒八筒九筒  ダブルリーチ  ドラ五筒

しかし、小島も2巡目に追っかけリーチ。

七万八万九万一索三索五索六索七索九索九索発発発  リーチ  ドラ五筒

アガれば30,000点を越えるだけに、ツモにも力が入るが、無情にも三万を掴み11,600の放銃となってしまった。
瀬戸熊は1本場に2,000は2,300をアガリトップ目となるが、立ちはだかったのはやはり前原。
オーラス2本場、

二索三索四索六索七索八索二筒三筒四筒五筒六筒七筒八筒  ドラ北

これを瀬戸熊から直撃し、この半荘をトップで終える。

3回戦成績
前原+17.5P  瀬戸熊+6.7P  勝又+2.8P  小島▲27.0P

3回戦終了時成績
前原+23.3P  勝又+21.2P  瀬戸熊▲18.9P  小島▲25.6P

4回戦、瀬戸熊・小島は最終戦に望みを繋ぐ為にも、絶対にラスは引けない半荘となるが、結果は小島のトップ。
瀬戸熊は1人沈みのラスを引いてしまい三冠の夢はここで潰えた。

4回戦終了時成績
勝又+25.9P  前原+25.0P  小島+7.0P  瀬戸熊▲57.9P

5回戦、やはり場をリードするのは前原と勝又。東1局、前原が3巡目リーチ。

二万三万四万五万五万七万九万七索八索九索南南南  リーチ  ドラ白

そして勝又が5巡目に追っかけリーチ。

二索三索四索六索七索八索三筒三筒三筒五筒五筒六筒七筒  リーチ

勝又が圧倒的有利かと思われたが、7巡目に八万を掴みここは前原に軍配が上がる。
東2局、今度は勝又が魅せる。6巡目に以下の形。

一万二万三万三万四万五万五万七万七万七万九万白白  ツモ七万  ドラ東

場には八万が1枚切れ、九万が1枚切れ、六万は生牌。ここで勝又は、打五万としカン八万のテンパイを取る。
8巡目、瀬戸熊の切った白をポンし打七万

一万二万三万三万四万五万七万七万七万九万  ポン白白白

しかし同巡、瀬戸熊から親リーチが入ってしまう。そしてツモ六万三万が現物だけに、打三万の高目一通のテンパイに取るのだろうと思ったのも束の間、勝又はノータイムで打九万とし、フリテンの5面張に受ける。
対局後勝又は語る。

「あの場面で、6巡目に前原さんが打九万とした時に、八万はトイツ以上だと読めた。
どうせ瀬戸熊さん以外からは出ないのだから、ツモり易い待ちに受けるのは当然でしょ?」

次巡、読み通り二万を手元に引き寄せる勝又。
ここへ来て、その読みの精度は更に冴え渡っている。

そして最後に小島が魅せてくれた。オーラスを迎え、トップ目は勝又、2着目に前原。
3着目の小島の条件は、前原からの満貫直撃か跳満ツモ。絶対に放銃できない前原は、配牌オリを選択。
14巡目、小島から力強いリーチの声。

三万四万四万五万六万三索四索五索五索六索七索八索八索  リーチ  ドラ五万

リーチが入った瞬間、観戦記者としての仕事を忘れ、純粋に1人の麻雀ファンとして魅入ってしまった。
小島なら五万をツモってしまうのではないか。ギャラリーもそう思ったであろう。
もしかしたら、前原でさえそう思ったかも知れない。

結果は流局であったが、小島武夫の圧倒的存在感を見せ付けた1局であった。

5回戦成績
勝又+14.5P  前原+4.6P  小島▲5.5P  瀬戸熊▲14.6P

勝ち上がり:勝又健志 前原雄大

 

王位戦4連覇の灘。
鳳凰戦3連覇の古川。
十段戦3連覇の前原。
歴史に名を刻んできたトッププロ3名に、連覇を賭け勝又が挑む。

gpmax 灘麻太郎
gpmax 古川孝次
gpmax 前原雄大
gpmax 勝又健志

新たな時代の幕開けとなるのか。王者を決める物語はいよいよ最終章を迎える。

グランプリ レポート/第3期グランプリMAX ベスト8レポート

第3期グランプリMAXもいよいよ佳境に入る。
灘・小島を筆頭とする歴戦の猛者を相手に、若手の(この中では)西川・勝又がどう立ち向かうのか。
決勝の椅子を賭けた闘いが今始まる。
1卓:古川孝次 西川淳 灘麻太郎 藤崎智

gpmax
左から藤崎智、灘麻太郎、古川孝次、西川淳

2回戦、静かな立ち上がりであったが、迎えた東3局、局面が一気に動き出す。
灘の8巡目、
三万三万六万七万五索六索二筒三筒四筒五筒六筒七筒中  ドラ七索
跳満まで見える1シャンテンになったかと思えば、西川が同巡にリーチ!
四万五万六万七万七万三索四索五索六索七索六筒七筒八筒  リーチ
7,700確定の3面張である。この2人の戦いかと思ったのも束の間「ツモ」の声。
手を開いたのは息を潜めていた藤崎であった。
二万三万七万八万九万一索一索七索八索九索一筒二筒三筒  ツモ一万
この3,000・6,000でトップ目に立つと、東4局、
二万三万四万二索三索四索二筒三筒四筒五筒七筒八筒九筒  ロン五筒  ドラ七筒
またしてもヤミテンで、灘から五筒を討ち取り点棒を5万点近くまで伸ばす。
南1局、藤崎に待ったをかけたい親番の西川。
3巡目に、2つ仕掛けて以下の形。
四万四万三筒東南中中  ポン五万五万五万  ポン一索一索一索  ドラ三索
この仕掛けを見てか、南家の古川も動き出す。
四索五索六索七索七索九索九索発発発  チー一索二索三索
さすがに仕掛けに関しては古川が1枚上手か。程なくして九索をツモリ2,000・4,000。
南2局、波に乗ってきた古川が、
二万三万四万六万七万八万八万八万四索五索六索五筒六筒  ロン七筒  ドラ四索
藤崎のお株を奪うヤミテンで、その藤崎から直撃する。
このアガリで、古川と藤崎の2人浮きと思われたが、そう簡単に終わらせないのが百戦錬磨のカミソリ灘。
オーラス。
九万九万二索二索三索九索九索四筒四筒九筒九筒南南  ドラ二索
わずか4巡でこのテンパイをすると何と即リーチ!終盤に、力強く三索を引き寄せ6,000オール。
古川を捲り藤崎に肉薄する。
1本場で1,500は1,800、2本場で1,500は2,100と小刻みにアガリ迎えた3本場。
二万二万五万六万四索五索六索五筒七筒八筒南南南中  ドラ四索
なんと配牌1シャンテン。2巡目に九筒を引き入れリーチ!
3巡目に南を暗カンして5巡目にツモ!
二万二万五万六万四索五索六索七筒八筒九筒  暗カン牌の背南南牌の背  リーチ  ツモ七万  ドラ四索
4,000は4,300オールで6万点を超えるトップ。
藤崎・古川共に随所に持ち味を発揮したが、終わってみれば灘圧巻の半荘であった。
2回戦成績
灘+41.6P  藤崎+14.1P  古川▲13.1P  西川▲42.6P
3回戦も灘が止まらない。
2回戦の勢いそのままに連続トップを取り以下の成績。
3回戦終了時成績
灘+65.5P  藤崎+24.4P  古川+13.4P  西川▲103.3P
残り2回戦となったが、実質、藤崎・古川の2着争いであろう。
古川の起家で始まった4回戦、東1局1,600オール、1本場に1,300は1,400オールをアガると、
2本場、
二万三万四万六万七万東東  加カン中中中中  加カン発発発発  ツモ五万  ドラ六筒
4,000は4,200オールをツモりアガリ早くも5万点を超える。
東4局2本場には、10巡目に高目三色のリーチを西川から討ち取る。
二万三万四万三索四索二筒三筒四筒六筒七筒八筒南南  リーチ  ロン二索  ドラ二万
南1局にも2,600オールをツモると、南1局1本場8巡目にこのリーチ!
一万二万三万六万七万八万七索八索五筒五筒六筒七筒八筒  ドラ一万  リーチ
安目ながら九索をツモり2,600は2,700オールで6万点を超え、1人浮きの大トップをものにした。
4回戦成績
古川+47.8P  灘▲10.3P  藤崎▲14.5P  西川▲24.0P
4回戦終了時成績
古川+61.2P  灘+55.2P  藤崎+9.9P  西川▲127.3P
古川・灘が絶対有利の最終戦、藤崎が最後の最後まで粘り、オーラス1,300・2,600ツモ条件まで迫ったものの、
流局しここで涙を飲んだ。灘・古川に共通するのが鳴きで、流れを持ってきて最後は門前で決めるところだ。
自分の勝ちパターンで完勝した両名にトッププロの真髄を見た。
勝ち上がり:灘麻太郎 古川孝次
 
2卓:勝又健志 瀬戸熊直樹 前原雄大 小島武夫

gpmax
左から瀬戸熊直樹、前原雄大、勝又健志、小島武夫

1回戦、親番の前原が早速「らしさ」を見せる。
東1局2本場8巡目、
六万七万三索四索四索六索六索六索七索八索八索四筒五筒  ドラ五筒
三筒チー打七索、次巡、ツモ二索四索
六万七万二索三索四索六索六索六索八索八索  チー三筒四筒五筒  ロン八万  ドラ五筒
8巡目で両面チーをする打ち手は少ないと思う。
しかし、前原の中では点数ではなく状態・流れを意識した仕掛けなのだろう。
南1局、ここまでノーホーラの勝又だったが、わずか3巡目でこのリーチ。
五万一索一索四索四索六索六索五筒五筒八筒八筒中中  ドラ五万  リーチ
これを一発でツモり上げ、3,000・6,000と大きな初アガリとなった。
南2局、勝又に触発されたのか、小島も8巡目リーチを一発ツモ!
七万七万八万八万九万九万五索五索三筒四筒六筒七筒八筒  リーチ  ツモ五筒  ドラ五筒
しかし、最後はやはり前原が締めた。オーラス5巡目、
五万六万七万九万九万三索四索四索五索五索六索二筒四筒  ドラ六万
この手を当然の様にリーチと行き、当然の様にツモる。
前原が自らの勝ちパターンで幸先の良いスタートを切った。
1回戦成績
前原+15.2P  勝又+9.1P  瀬戸熊▲6.3P  小島▲18.0P
3回戦、東場は小場で進み迎えた南2局、小島が5巡目にリーチ。
六万六万七万七万二索二索五索五索六筒六筒七筒七筒南  ドラ七筒
リーチを受けた親番の前原が動き出す。あっという間の3フーロで以下の形。
八万七索八索九索  チー二索三索四索  チー一索二索三索  ポン白白白  ドラ七筒
この仮テンをあっさりとツモり500オール。
1本場で2,600は2,700オールをツモると、2本場6巡目で手変わり待たずの押さえ込みリーチ。
一万二万三万七万八万九万四索四索四索五筒五筒六筒六筒  リーチ  ドラ南
前原と幾度となく激闘を繰り広げてきた瀬戸熊。10巡目に以下の手牌。
一筒二筒三筒四筒四筒六筒六筒七筒八筒九筒南南白  ドラ南
親リーチで先制されるが、ここが勝負所と踏んだか無筋を連打。
しかし、流局濃厚な15巡目、ラス牌の五筒を前原が力強く叩きつけ1,000は1,200オール。
点数以上に、流れを引き寄せる価値のあるアガリである。これが前原の勝ちパターンであろう。
オーラスを迎え、トータルラス目の親番・瀬戸熊。絶対に落とせない親番で何とダブリーの手が入る。
四万五万五索六索七索一筒一筒四筒五筒六筒七筒八筒九筒  ダブルリーチ  ドラ五筒
しかし、小島も2巡目に追っかけリーチ。
七万八万九万一索三索五索六索七索九索九索発発発  リーチ  ドラ五筒
アガれば30,000点を越えるだけに、ツモにも力が入るが、無情にも三万を掴み11,600の放銃となってしまった。
瀬戸熊は1本場に2,000は2,300をアガリトップ目となるが、立ちはだかったのはやはり前原。
オーラス2本場、
二索三索四索六索七索八索二筒三筒四筒五筒六筒七筒八筒  ドラ北
これを瀬戸熊から直撃し、この半荘をトップで終える。
3回戦成績
前原+17.5P  瀬戸熊+6.7P  勝又+2.8P  小島▲27.0P
3回戦終了時成績
前原+23.3P  勝又+21.2P  瀬戸熊▲18.9P  小島▲25.6P
4回戦、瀬戸熊・小島は最終戦に望みを繋ぐ為にも、絶対にラスは引けない半荘となるが、結果は小島のトップ。
瀬戸熊は1人沈みのラスを引いてしまい三冠の夢はここで潰えた。
4回戦終了時成績
勝又+25.9P  前原+25.0P  小島+7.0P  瀬戸熊▲57.9P
5回戦、やはり場をリードするのは前原と勝又。東1局、前原が3巡目リーチ。
二万三万四万五万五万七万九万七索八索九索南南南  リーチ  ドラ白
そして勝又が5巡目に追っかけリーチ。
二索三索四索六索七索八索三筒三筒三筒五筒五筒六筒七筒  リーチ
勝又が圧倒的有利かと思われたが、7巡目に八万を掴みここは前原に軍配が上がる。
東2局、今度は勝又が魅せる。6巡目に以下の形。
一万二万三万三万四万五万五万七万七万七万九万白白  ツモ七万  ドラ東
場には八万が1枚切れ、九万が1枚切れ、六万は生牌。ここで勝又は、打五万としカン八万のテンパイを取る。
8巡目、瀬戸熊の切った白をポンし打七万
一万二万三万三万四万五万七万七万七万九万  ポン白白白
しかし同巡、瀬戸熊から親リーチが入ってしまう。そしてツモ六万三万が現物だけに、打三万の高目一通のテンパイに取るのだろうと思ったのも束の間、勝又はノータイムで打九万とし、フリテンの5面張に受ける。
対局後勝又は語る。
「あの場面で、6巡目に前原さんが打九万とした時に、八万はトイツ以上だと読めた。
どうせ瀬戸熊さん以外からは出ないのだから、ツモり易い待ちに受けるのは当然でしょ?」
次巡、読み通り二万を手元に引き寄せる勝又。
ここへ来て、その読みの精度は更に冴え渡っている。
そして最後に小島が魅せてくれた。オーラスを迎え、トップ目は勝又、2着目に前原。
3着目の小島の条件は、前原からの満貫直撃か跳満ツモ。絶対に放銃できない前原は、配牌オリを選択。
14巡目、小島から力強いリーチの声。
三万四万四万五万六万三索四索五索五索六索七索八索八索  リーチ  ドラ五万
リーチが入った瞬間、観戦記者としての仕事を忘れ、純粋に1人の麻雀ファンとして魅入ってしまった。
小島なら五万をツモってしまうのではないか。ギャラリーもそう思ったであろう。
もしかしたら、前原でさえそう思ったかも知れない。
結果は流局であったが、小島武夫の圧倒的存在感を見せ付けた1局であった。
5回戦成績
勝又+14.5P  前原+4.6P  小島▲5.5P  瀬戸熊▲14.6P
勝ち上がり:勝又健志 前原雄大
 
王位戦4連覇の灘。
鳳凰戦3連覇の古川。
十段戦3連覇の前原。
歴史に名を刻んできたトッププロ3名に、連覇を賭け勝又が挑む。

gpmax 灘麻太郎
gpmax 古川孝次
gpmax 前原雄大
gpmax 勝又健志

新たな時代の幕開けとなるのか。王者を決める物語はいよいよ最終章を迎える。

第75回『稽古』

__どうしたら麻雀が強くなるのでしょうか?
もう20年以上も前の、冬の夜中のことである。
かなりの時間、麻雀を打ち終えた後、少しだけ呑もうとIさんの言葉に従い、当時、下戸に近い私と2人、新宿の酒場に立ち寄り、しばらく飲んだ頃、私はほぼ酩酊状態になってこう尋ねた。

「それを考え続けて行くことが、お前たちの仕事だろう」

しばらくの沈黙の時が流れた。私は自分の言った言葉に後悔していた。
私の後悔の思いが表情に出ていたのかもしれない。
「今、何時ごろだ?」
「もうすぐ4時です」
「少し、私に付き合ってくれないか」
「はい」

新宿駅に向かい、Iさんは2人分の切符を買い、1枚を渡してくれた。
そして、茨木か群馬のとある駅でおり、しばらくの間歩き続け、ある陸橋の上で2人立っていた。

まだ、太陽が昇ったかどうかの頃合いで、酔いも醒め、寒かった記憶があるから冬だったのだろう。
道の向こう側から1台の自転車が、私には信じられないようなスピードで、私達の立っている陸橋を通り過ぎ彼方へ飛んで行った。

「じゃあ、帰ろう」
そう言うと、Iさんは来た道をまた戻り始めた。

Iさんが何を見せたかったのか、何を教えたかったのか私には良く解らなかった。
帰りすがら私は尋ねた。
「知り合いの方ですか?」
「贔屓にしている競輪の選手だ」
「毎日、皆、選手は走る練習をするのですか?」
「それは人それぞれだろう、走る距離も、1日100キロ以上走る選手もいれば、走らない選手もいる。練習のメニューも選手それぞれ違うだろう。」

私は競輪という競技を全く知らなかったし、今も知らない。

「怠けようと思えばいくらでもできる。全ては己次第だ」
「どの世界も同じことだろう。資質には差があれど、強い選手、強い人間など存在しないように思う。強くあろうとする人間と、たいしたこともせずに、強くなりたがる人間の2種類しかいないように思う。」

遠い昔のことだから、正確な言葉ではないが、Iさんの言葉に、私は自分自身の問うた言葉、自分の在り方を恥じた。そして、私の問いに言葉だけではなく、何時間もかけ、この陸橋まで連れて来てくださったことに感謝したが、返す言葉が見つからなかった。私は結局、一言もお礼の言葉を返すことが出来なかった。

【稽古】

いつの頃か定かではないが、私は稽古という言葉を好んで使うようになった。それは多分、私の血筋の影響が大きいと考える。母親の系統に、囲碁、百人一首、将棋に関わる血が流れていることもあり、稽古という言葉に違和感がなかったのかもしれない。大雑把に記せば、過去を考え、今の正しさを知るという言葉の意味合いである。

「稽古」の「古」は、「古い、いにしえ」という意味であり、「口」は大切なものを収める箱、「十」は「干」で、その箱を護る「盾(たて)」。厳重に保管されている「何か」ということであり、そして、「稽」は「考える」という意味である。つまり「稽古」とはいにしえを考える、ただのプラクティスやレッスンやトレーニングとは違うということである。

麻雀というゲームは奥が深く面白い。一般の方々はその面白さを楽しめば良いと思う。
稽古などと考える必要もないように思える。

数年前、麻雀トライアスロンで、競輪界の伏見俊昭さんにお会いした時、
「練習は辛くないですか?」
この私の馬鹿げた問いに、
「我々にとっては練習が仕事ですから」
さり気無く答えてくれた言葉は重かった。

 

第27期鳳凰位決定戦 二日目観戦記より
http://archive.archive2020.ma-jan.or.jp/title_fight/houousen_27_2.php

class_3_75_01

『1日目終了後の深夜、宿泊先のホテルに戻り取材ノートをまとめながら原稿の準備をしていると、突然携帯が鳴った。着信を見ると前原からの電話。急いで電話に出ると開口一番、
「瀬戸クンの一筒はすごいよ!」
「あの一筒を見ると、やっぱり稽古を積んでいるんだなぁって感じるよね。」
誤解の無いように記しておくと、対局者には1日の対局の終了後、観戦記用にコメントをもらう段取りとなっていた。
しかし前原からはコメントをもらえず、「後程連絡をする。」との事。それが冒頭の言葉である。
鳳凰位決定戦を終えた打ち上げの席での一コマ。
「あの一筒で山井さんを超えたよね。(笑)」とは、瀬戸熊談。
攻撃力が強く、勝負となれば何でも切っていく山井の攻撃力を越えたという意味のコメントである。
冒頭の前原の言葉は、もちろん瀬戸熊の牌姿を確認することなく発したものである。
前原にはどのような牌姿から放たれた一筒なのかはわからないが、瀬戸熊が間違いなく放銃を覚悟してのモノだったに違いない。
放銃を恐れない瀬戸熊のその姿勢に、前原は賛辞を送ったのである。

鳳凰位決定戦開始前のコメントで、前原は私にこう語っている。
「麻雀の本質とはぶつかり合うこと。」そして、
「放銃すべき手はきちんと放銃しようと、心に決めている。」
それは、前原自身がやらねばならないことを瀬戸熊が実践したのだということ。

前原から瀬戸熊が学んだことを、実際の対局で、それも鳳凰位決定戦というプロ連盟最高峰の戦いの場で、
しかも前原相手に打ち切ってくれたことが、前原にとっては嬉しかったのだろう。
牌姿を目にしたら、どう感じるかはわからない。結果だけで言えば、放銃をしていい局面など限られている。
それでも前原が、この放銃に賛辞を贈るのは、前原自身の言葉を借りれば、
「リーグ戦でもタイトル戦でも、ゴールに向けての最善手を打っている。一局単位の最善手をもとめないんだ
ということなんだろう。』

と、望月は記している。

この打一筒の局面に関しては、何度か書こうと考えていたが、こちらがわの筆力の問題で、上手く読んだ方々に伝わるか不安もあり、しばらくの間、冷静に観られるまで記すのは辞めていた。

瀬戸熊直樹はタイトル戦に向けて、走り込みをし、食事制限もし、あらゆる場面をシミュレートする。
これが稽古の本質だと私は捉えている。そのシミュレートの中に、こういう場面も想定の中に入っていたのだろう。この一筒は、確かに誰も打たない、もしくは打てない牌ではある。9割方放銃を避けられない場面である。

それでも瀬戸熊が、打一筒としたのは、僅かに残された可能性に掛ける気持ちよりも、ここで放銃しても悪い結果にはならないだろうとの確信があったものだろう。実際、瀬戸熊はこの半荘もトップを取り切っている。
私はこの点棒の横移動でショックを受け平常心を失われていく。
心技体という言葉があるが、心が乱されてしまったら、そう勝てるものではない。

この打一筒が、正しい一打かと問われれば疑問だが、間違いなく素晴らしい一打であることは間違いないと私は思う。磨くべきは、技術や肉体はもちろんのことだが、稽古の在り方を磨くべきではないだろうか。

上級/第75回『稽古』

__どうしたら麻雀が強くなるのでしょうか?
もう20年以上も前の、冬の夜中のことである。
かなりの時間、麻雀を打ち終えた後、少しだけ呑もうとIさんの言葉に従い、当時、下戸に近い私と2人、新宿の酒場に立ち寄り、しばらく飲んだ頃、私はほぼ酩酊状態になってこう尋ねた。
「それを考え続けて行くことが、お前たちの仕事だろう」
しばらくの沈黙の時が流れた。私は自分の言った言葉に後悔していた。
私の後悔の思いが表情に出ていたのかもしれない。
「今、何時ごろだ?」
「もうすぐ4時です」
「少し、私に付き合ってくれないか」
「はい」
新宿駅に向かい、Iさんは2人分の切符を買い、1枚を渡してくれた。
そして、茨木か群馬のとある駅でおり、しばらくの間歩き続け、ある陸橋の上で2人立っていた。
まだ、太陽が昇ったかどうかの頃合いで、酔いも醒め、寒かった記憶があるから冬だったのだろう。
道の向こう側から1台の自転車が、私には信じられないようなスピードで、私達の立っている陸橋を通り過ぎ彼方へ飛んで行った。
「じゃあ、帰ろう」
そう言うと、Iさんは来た道をまた戻り始めた。
Iさんが何を見せたかったのか、何を教えたかったのか私には良く解らなかった。
帰りすがら私は尋ねた。
「知り合いの方ですか?」
「贔屓にしている競輪の選手だ」
「毎日、皆、選手は走る練習をするのですか?」
「それは人それぞれだろう、走る距離も、1日100キロ以上走る選手もいれば、走らない選手もいる。練習のメニューも選手それぞれ違うだろう。」
私は競輪という競技を全く知らなかったし、今も知らない。
「怠けようと思えばいくらでもできる。全ては己次第だ」
「どの世界も同じことだろう。資質には差があれど、強い選手、強い人間など存在しないように思う。強くあろうとする人間と、たいしたこともせずに、強くなりたがる人間の2種類しかいないように思う。」
遠い昔のことだから、正確な言葉ではないが、Iさんの言葉に、私は自分自身の問うた言葉、自分の在り方を恥じた。そして、私の問いに言葉だけではなく、何時間もかけ、この陸橋まで連れて来てくださったことに感謝したが、返す言葉が見つからなかった。私は結局、一言もお礼の言葉を返すことが出来なかった。
【稽古】
いつの頃か定かではないが、私は稽古という言葉を好んで使うようになった。それは多分、私の血筋の影響が大きいと考える。母親の系統に、囲碁、百人一首、将棋に関わる血が流れていることもあり、稽古という言葉に違和感がなかったのかもしれない。大雑把に記せば、過去を考え、今の正しさを知るという言葉の意味合いである。
「稽古」の「古」は、「古い、いにしえ」という意味であり、「口」は大切なものを収める箱、「十」は「干」で、その箱を護る「盾(たて)」。厳重に保管されている「何か」ということであり、そして、「稽」は「考える」という意味である。つまり「稽古」とはいにしえを考える、ただのプラクティスやレッスンやトレーニングとは違うということである。
麻雀というゲームは奥が深く面白い。一般の方々はその面白さを楽しめば良いと思う。
稽古などと考える必要もないように思える。
数年前、麻雀トライアスロンで、競輪界の伏見俊昭さんにお会いした時、
「練習は辛くないですか?」
この私の馬鹿げた問いに、
「我々にとっては練習が仕事ですから」
さり気無く答えてくれた言葉は重かった。
 
第27期鳳凰位決定戦 二日目観戦記より
http://archive.ma-jan.or.jp/title_fight/houousen_27_2.php

class_3_75_01

『1日目終了後の深夜、宿泊先のホテルに戻り取材ノートをまとめながら原稿の準備をしていると、突然携帯が鳴った。着信を見ると前原からの電話。急いで電話に出ると開口一番、
「瀬戸クンの一筒はすごいよ!」
「あの一筒を見ると、やっぱり稽古を積んでいるんだなぁって感じるよね。」
誤解の無いように記しておくと、対局者には1日の対局の終了後、観戦記用にコメントをもらう段取りとなっていた。
しかし前原からはコメントをもらえず、「後程連絡をする。」との事。それが冒頭の言葉である。
鳳凰位決定戦を終えた打ち上げの席での一コマ。
「あの一筒で山井さんを超えたよね。(笑)」とは、瀬戸熊談。
攻撃力が強く、勝負となれば何でも切っていく山井の攻撃力を越えたという意味のコメントである。
冒頭の前原の言葉は、もちろん瀬戸熊の牌姿を確認することなく発したものである。
前原にはどのような牌姿から放たれた一筒なのかはわからないが、瀬戸熊が間違いなく放銃を覚悟してのモノだったに違いない。
放銃を恐れない瀬戸熊のその姿勢に、前原は賛辞を送ったのである。
鳳凰位決定戦開始前のコメントで、前原は私にこう語っている。
「麻雀の本質とはぶつかり合うこと。」そして、
「放銃すべき手はきちんと放銃しようと、心に決めている。」
それは、前原自身がやらねばならないことを瀬戸熊が実践したのだということ。
前原から瀬戸熊が学んだことを、実際の対局で、それも鳳凰位決定戦というプロ連盟最高峰の戦いの場で、
しかも前原相手に打ち切ってくれたことが、前原にとっては嬉しかったのだろう。
牌姿を目にしたら、どう感じるかはわからない。結果だけで言えば、放銃をしていい局面など限られている。
それでも前原が、この放銃に賛辞を贈るのは、前原自身の言葉を借りれば、
「リーグ戦でもタイトル戦でも、ゴールに向けての最善手を打っている。一局単位の最善手をもとめないんだ
ということなんだろう。』
と、望月は記している。
この打一筒の局面に関しては、何度か書こうと考えていたが、こちらがわの筆力の問題で、上手く読んだ方々に伝わるか不安もあり、しばらくの間、冷静に観られるまで記すのは辞めていた。
瀬戸熊直樹はタイトル戦に向けて、走り込みをし、食事制限もし、あらゆる場面をシミュレートする。
これが稽古の本質だと私は捉えている。そのシミュレートの中に、こういう場面も想定の中に入っていたのだろう。この一筒は、確かに誰も打たない、もしくは打てない牌ではある。9割方放銃を避けられない場面である。
それでも瀬戸熊が、打一筒としたのは、僅かに残された可能性に掛ける気持ちよりも、ここで放銃しても悪い結果にはならないだろうとの確信があったものだろう。実際、瀬戸熊はこの半荘もトップを取り切っている。
私はこの点棒の横移動でショックを受け平常心を失われていく。
心技体という言葉があるが、心が乱されてしまったら、そう勝てるものではない。
この打一筒が、正しい一打かと問われれば疑問だが、間違いなく素晴らしい一打であることは間違いないと私は思う。磨くべきは、技術や肉体はもちろんのことだが、稽古の在り方を磨くべきではないだろうか。

第29期鳳凰位決定戦

フォトギャラリー/第29期鳳凰位決定戦

第29期鳳凰位決定戦 三日目観戦記

「瀬戸熊のポイントが100を越えると、追う者にとってはかなり厳しい数字になる。」

この日ニコ生放送の冒頭で、私はそう答えた。

初日、2日目を全て見たうえでの素直な気持ちだった。
瀬戸熊の10回戦までの全着順をご覧いただきたい。
「2、1、3、2、2、2、4、2、1、1」連帯率は実に8割である。
これをふまえて、ここまでのトータルポイントをおさらいしてみよう。

瀬戸熊+72.5P 前原+30.6P 藤崎▲47.0P 荒▲56.1P

堅実に積み重ねていった結果が、この得点差である。
前原にはまだ望みがあるが、藤崎で約120P差。
そして、荒に至っては、およそ130Pの差が開いてしまった。

今日、瀬戸熊が数字を伸ばすということは、追いかける3者でポイントを削り合うということに繋がる。
ひいては、優勝争いから脱落する人間も出てくるということである。それでも前に出なくてはならない。

瀬戸熊を追撃するために、協同戦線が敷かれる局面もあるだろう。もう相手の出方を伺っている段階ではない。ここからは、初日、2日目とは全く別の戦いが始まるのである。

houou

 

11回戦(起家から、瀬戸熊・荒・前原・藤崎)

東1局、真っ先にテンパイを入れたのは西家の前原。

一索二索三索六索七索八索九索九索六筒八筒八筒北北  ツモ九索  ドラ一筒

これがわずか2巡目である。
瀬戸熊の親ということもあり、ソーズのホンイツに向かって大きく狙うかと思っていると、前原の選択は打六筒での即リーチ。結果、瀬戸熊から八筒で1,300を出アガるのだが、どうも納得感には欠けるものがある。

houou

反対に瀬戸熊は、放銃したものの、前原の四万八万にポンテンを掛けず、この局を勝負局にしてやるとの強い思いがあったに違いない。
もし、前原が一度ヤミテンに構えていた場合、上手くホンイツに移行できて、瀬戸熊の7巡目の六索を捕まえていた可能性が高かっただけに、悔やまれるところだ。
前原にすれば、この親だから隙を与えずに攻めるという意味合いのリーチなのだろうが、やや焦りすぎと感じたのは私だけだろうか。

東2局、こちらは手材料を十分生かし切って、藤崎が2,000・4,000のツモアガリ。

七万七万七万六索七索七索八索九索中中   暗カン牌の背白白牌の背   リーチ  ツモ八索  ドラ西

ここからは簡単に経緯を記すと、
東3局、瀬戸熊→前原1,500。
東3局1本場、荒400・700は500・800。
東4局、藤崎1人テンパイ。
東4局1本場、藤崎、前原2人テンパイ。
東4局2本場、瀬戸熊1人ノーテン。

そしてここまでの得点が、
藤崎42,000、前原31,500、荒26,300、瀬戸熊19,200となっていた。

これこそが、瀬戸熊を追いかける者にとって理想の展開で、後は瀬戸熊にラスを押し付けたままどうやって得点を稼ぐかが重要になってくるわけである。

東4局3本場、藤崎の9巡目の手牌に注目していただきたい。

houou

ツモ四索ならばタンヤオでヤミテンが効くため、打中となるのが自然だが、現状役なしのテンパイ。
だとしても、その後の変化形やダイレクトの四万ツモがあるので、私ならここがドラの放し所と見るが、藤崎は打二万を選択する。

もちろん全体の捨て牌相もあっただろう。
一色系の荒から一索が余ったように見えなくもない。それでも、である。

巡目が深くなればなるだけ、このドラは切りづらくなるのが明白なのだ。
更に、ここでもし中が鳴かれたとしても、変化が効く分、藤崎の手牌だって十分戦えると私は考える。
ヤミテンが効かない形からドラを外すのは、藤崎のプレースタイルではなかったとしても、ここはもう少しギアチェンジを図ってもいい局面だったのではないだろうか。

houou

ここまで瀬戸熊を苦しめる展開を作り上げていただけに、この親落ちは非常に悔やまれるものとなってしまった。

 

houou
藤崎智プロ

そして迎えた南1局4本場、この1局が本日のクライマックスと言ってもいいほど、大きな大きな1局となる。
まずテンパイを入れたのは、8巡目の瀬戸熊。

六万六万七万七万八万四索五索六索七索七索三筒四筒五筒  ドラ三筒

親ということもあるが、白をトイツ落としでのリーチが手牌の高さを物語っている。
同巡、西家・前原も七索を引いて1シャンテン。

二万三万三万五索六索六索七索七索八索五筒六筒七筒七筒

そして南家・荒も前に出る。
瀬戸熊の現物である四万を藤崎が切り出すと、これをポン。

五万五万三索三索五索九筒九筒九筒南南  ポン四万四万四万

まだ1シャンテンではあるが、リーチを打っているのがトータルトップの瀬戸熊ということもあり、ここは敢然と勝負に向かう。その後三索も鳴け、荒は高目ダブ南トイトイのテンパイ。

五万五万九筒九筒九筒南南  ポン三索三索三索  ポン四万四万四万

この時点で瀬戸熊の五万八万は山に3枚。そして、荒の五万南も同じく山に3枚残っている。
前原は荒の仕掛けを見て受けに回ったため、勝負は瀬戸熊と荒の2人に絞られたかと思われた。
ところが、ここから前原のツモが突然伸び始め、実に8枚目の四万七万が入ってテンパイを果たしてしまう。

houou

頭を抱えて長考に入る前原。確かに難しい局面だ。
瀬戸熊のリーチだけならまだしも、荒の手をどう読むかである。
もしこれが1,000点や2,000点の手なら、荒が2フーロしてまで突っ込んでくるとは考えにくい。
荒が瀬戸熊を潰しに掛かっているなら、ここにドラの塊があると読むのが自然である。

だが、それだと引っ掛かるのは荒の四筒二筒の嫌い方だ。ここで三筒を2枚に固定してまで、四筒二筒を払うだろうか。あるとすれば、それは三筒が暗刻のケースである。或いはクイタンのポンテンから、トイトイに移行したケース。例えば以下の形である。

五万五万五万三索三索五索六索六索七索七索  ポン四万四万四万

荒の最終打牌が五索であるから、これも一応考えられるか。いずれにせよ、荒の2フーロには必ず意味がある。
それをふまえて前原がどのような選択をするのか。この手になれば恐らくオリはないだろう。
誰もが前原の選び出す一打に視線を傾けた。
前原が打ち出したのは七筒。このときの心境を前原はこう語る。

「瀬戸熊とのポイント差を考えて、純粋に打点の高いほうを選んだ。瀬戸熊からの出アガリならリーチ棒込みで18P。ツモアガリなら20P。これだけ縮まるということ。」

実際は、積み場や供託があるのでそれ以上ということにはなるが、いずれの現象が起こったとしても、その時点で前原がトータルポイントで瀬戸熊をかわす。本日の初戦にして、いきなりの山場。
瀬戸熊、荒、前原、3者の待ちが山に残っているだけに、解説席に座る我々も固唾を飲む。

五万八万三筒南

頭の中で繰り返し、瀬戸熊のツモ牌に注目する。七筒

三筒切りなら…」

五万六万七万五索六索六索七索七索八索五筒六筒七筒七筒

そう、前原がもしドラに手を掛けていたら、瀬戸熊からこの直撃を取ることに成功していたのである。
とはいえ、この三筒がそう簡単に打てる代物ではないことは誰の目から見ても明らかである。
瀬戸熊、荒に通る保障もなければ、七筒でアガれる保障だってどこにもないのだ。
ただ、ひとつ言えることがあるとすれば、前原がアガリを逃した事実だけは残ったということである。
そして、勝負はまだ終わっていないということである。

前原は自身の最後のツモで五万を引いた。私は正直、ここで前原はオリるだろうと思っていた。
三筒が通ったかどうかはわからないにしろ、とにかく七筒でのアガリ逃しだけは目に見えているからだ。
だが、それでも前原は五万をツモ切った。そこに一切の逡巡はなかった。
自分にツモ番はなくても、瀬戸熊のハイテイに賭けたのである。

六万六万七万七万八万四索五索六索七索七索三筒四筒五筒  リーチ  ロン五万  ドラ三筒

「あの11,600で勝負あったと思った。それほど大きなアガリだった。」
後に荒はそう語った。

たらればをいくら言ったところで仕方がない。
だが、前原があの七筒をもし捕らえていたら、前原があの五万で、もしブレーキを踏んでいたら、この後一体どんな結果が待ち受けていたのだろう。
少なくとも、瀬戸熊の独走を許す展開にはならなかったように思う。

「あのアガリ逃しで完全に軸がブレた。」

前原がこう語った通り、瀬戸熊のこのアガリは、追いかける者にとって、想像以上のダメージとなったことは間違いない。

11回戦成績
藤崎+28.0P  瀬戸熊+7.4P  前原▲15.3P  荒▲20.1P

11回戦終了時
瀬戸熊+79.9P  前原+15.3P  藤崎▲19.0P  荒▲76.2P

 

12回戦(起家から、前原・藤崎・荒・瀬戸熊)

藤崎に復調の兆しが見えてきた。もうすぐ、前原の背中も捉えようかという勢いである。
反対に、箍(たが)が外れたように放銃マシーンとなってしまったのが前原だ。

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前原雄大プロ

東3局、まずは荒に2,900の打ち込み。

二万三万四万七万七万二索四索六索六索六索  チー三筒二筒四筒  ロン三索  ドラ五筒

続く東3局1本場がこちら。

houou

荒にすれば、瀬戸熊からの直撃か、ツモアガリのチャンスだっただけに、喜びも半減といったところか。
東3局2本場もそうである。

houou

確かにテンパイはしているのである。
しかし、道中で受けに入った以上、攻め手が2人のところに向かってこの白を打ち出すのは、とても間尺に合わない。やはり、瀬戸熊に打ち上げたあの11,600がよほど尾を引いているのだろう。

前原は続く東3局3本場でも荒のリーチに放銃。

houou

歯止めが利かず、どこまでも転がり落ちていく。
こうなってくると、注目すべきはトータル2位の座である。

この時点で、荒と前原との差が20Pまで縮まってきたのである。
荒は前原をかわせば、いよいよ瀬戸熊とサシの勝負に持ち込めるチャンスを掴む。
この親は正に叩き時なのである。

三万四万二索三索四索三筒四筒五筒六筒六筒七筒八筒九筒  リーチ  ロン五万  ドラ七筒

東3局4本場は藤崎から5,800の出アガリ。
そして続く5本場では、この半荘実に5度目となる前原からの出アガリを果たす。

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前原はこれで箱を割り、トータルでもこの瞬間荒が前原を上回った。
こうなれば焦点は、荒がどれだけ瀬戸熊に詰め寄ることができるかだったが、前原が大きく沈んだことで余裕が生まれたか、逆に瀬戸熊は得点を伸ばして行く。
まずは南1局。

四万五万六万七万八万五索六索七索三筒三筒五筒五筒五筒  リーチ  ツモ六万  ドラ三万

そして南2局。

一万二万三万六筒六筒六筒西西白白白発発  リーチ  ツモ発  ドラ八索

出アガリで点棒を膨らませた荒とは対照的に、要所できっちりツモアガリを重ねてくる。
そして南4局2本場、親番でのリーチ。

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これを荒からアガって、遂にはトップを捲ろうかというところまで辿り着いてしまった。
強い。全く隙がない。そして気が付けば、瀬戸熊のポイントが100を越えていた。

 

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瀬戸熊直樹プロ

 

12回戦成績
荒+39.8P  瀬戸熊+23.9P  前原▲29.5P  藤崎▲34.2P

12回戦終了時
瀬戸熊+103.8P  前原▲14.2P  荒▲36.4P  藤崎▲53.2P

 

13回戦(起家から、前原・瀬戸熊・荒・藤崎)

恐れていた得点状況になってしまった。
全員で瀬戸熊を追い詰めようとする意識は、痛いほど伝わってくる。
しかし、肝心要の瀬戸熊のポイントを削ることは叶わず、下3人で点棒を奪い合う展開が続いてしまうのだ。
この13回戦でも、悪循環は続く。まずは東2局の荒。

三万五万三索四索五索六索六索七索八索九索五筒六筒七筒  ドラ四万

親ということもあり、せめて流局連荘には持ち込みたいリーチだったが、瀬戸熊がリャンカン選択を間違うことなく、荒を捕らえる。

二万三万四万五万五万四索六索三筒三筒四筒四筒五筒五筒  ロン五索

東3局、藤崎の親もそう。

三万四万五万五万五索五索六索六索七索七索二筒三筒四筒  リーチ  ドラ二筒

ここぞという場面ではしっかりアガリを決めてくる瀬戸熊とは対照的に、ツモアガリをさせてもらえる展開にならないのだ。ツモれば6,000オールというこのリーチも流局。
その1本場は、先にタンヤオのテンパイを入れていた藤崎が前原に5,200の放銃。

六索七索七索八索九索五筒六筒七筒西西西中中  ドラ中そういった意味では、東4局1本場も実に象徴的な1局だった。
8巡目、北家の藤崎が二筒を引いて8,000のテンパイ。

三筒四筒四筒六筒七筒八筒八筒北北北  ポン東東東  ドラ九筒  ツモ二筒

八筒がドラの指示牌ということもあるが、瀬戸熊が2巡目に四筒を切っていることから、藤崎は打八筒として一筒四筒の待ちに受ける。瀬戸熊が掴めば切るだろうとの算段があってのものだ。
ところが、狙い目でもあるその一筒は瀬戸熊に暗刻。そして直後、瀬戸熊に打たれたのはアガリ逃しともなる五筒
更に追い討ちをかけたのが、この局の結末である。

houou

五筒を引いて3メンチャンに受け変えたところで、前原への放銃。
藤崎にすれば、正に踏んだり蹴ったりの幕切れである。
藤崎は以降、一度もアガリに絡むことなく、4着に沈んだ。

だが、特筆すべきはやはり瀬戸熊の安定感である。
ここまでの悪い流れを振り払うかのように前原がトップを奪うも、自身はしっかり浮きの2着をキープ。
ゴールに向かって着々と歩を進めるその足取りには、微塵の不安も感じさせない力強さがある。
追いかける3者にとって、瀬戸熊の牙城を揺るがすのは、既に儚い夢となってしまったのだろうか。

13回戦成績
前原+23.3P  瀬戸熊+5.3P  荒▲11.3P  藤崎▲19.3P  供託2.0P

13回戦終了時
瀬戸熊+109.1  前原+9.1P  荒▲47.7P  藤崎▲72.5P  供託2.0P

 

14回戦(起家から、前原・瀬戸熊・藤崎・荒)

東1局、まずは荒が軽快に1,000・2,000をアガってリード。

二筒三筒五筒六筒七筒北北  ポン八筒八筒八筒  ポン東東東  ツモ一筒  ドラ六万

注目していただきたいのは東2局である。
9巡目(暗カンが入っているため)、北家の前原が先制リーチ。

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2巡目の六万切り、荒の五万暗カンから、七万は良い受けに映る。
それを受けた親、瀬戸熊の手牌が以下。

六万六万七万八万八万八万二索三索四索六索七索八索四筒  ツモ七筒  ドラ四筒

六万、おそらくほとんどの打ち手がそう構えるだろう。だが、瀬戸熊の選択には私も目を見張った。
七筒なのである。初日から通して、とにかくこの姿勢が徹底している。追う側が苦戦を強いられてきたのは、ここに理由がある。弱気によって引き起こされるミスが、瀬戸熊にはほぼ皆無なのだ。

自分が九筒を切っていること、八筒が既に2枚飛んでいること、ドラは打ち出さないこと、そして何より、真っ直ぐ攻め抜くこと、七筒を打ち出すには十分過ぎる理由があるというわけである。
五万のカンも大きい。七万が良く見えているのは、前原だけではない。ドラの四筒を重ねれば、カン七万の12,000。
いや、場合によってはリーチもあるかもしれない。
3者に浮上のきっかけを与えることのないよう、瀬戸熊は決してその手綱を緩めない。

六万七万八万八万八万二索三索四索六索七索八索三筒四筒  ロン二筒

今決定戦、何度こういうシーンを見てきただろう。
正に横綱相撲という表現がぴったりの打ち回しである。

東4局、荒の親番。

三万四万五万五万六万三索三索四索五索六索四筒五筒六筒  ドラ南

そして東4局1本場。

二万三万四万六万六万二索三索四索三筒四筒五筒六筒七筒  ドラ七万

いずれも高目タンピン三色という勝負手である。荒はそのいずれも、リーチでのアガリを物にする。
するのだが、そのいずれもが安目でのアガリ。そして出所も、前者が藤崎から、後者が前原からと、全く瀬戸熊の点棒を削ることができない。一度作られた4者の絡みは、なかなか崩れないということなのか。

 

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荒正義プロ

オーラス、前原が1,300・2,600をツモアガって、ようやく瀬戸熊の原点を割ることに成功するが、それでも瀬戸熊は2着を死守。この3日目、残すは後1戦。
明日に望みを繋げる者は現れるのだろうか。

14回戦成績
荒+17.0P  瀬戸熊▲1.8P  前原▲4.1P  藤崎▲11.1P

14回戦終了時
瀬戸熊+107.3P  前原+5.0P  荒▲30.7P  藤崎▲83.6P  供託2.0P

 

15回戦(起家から、前原・荒・藤崎・瀬戸熊)

この半荘、追いかける側の気持ちがようやく牌に伝わったのか、南1局まで瀬戸熊以外の3者がツモアガリを重ねる展開となった。
まずは東1局、荒が1,600・3,200。

六万七万八万九万九万一索二索三索白白   暗カン牌の背八筒八筒牌の背  リーチ  ツモ九万  ドラ六万

東2局は藤崎。

一万一万一万四万四万四万五万五索六索七索五筒六筒七筒  リーチ  ツモ六万  ドラ四筒

東3局は前原。

四万五万六万二索三索四索七索八索九索三筒四筒北北  リーチ  ツモ二筒

そして東4局も前原。

二万二万四万五万四索五索六索四筒五筒六筒  ポン三筒三筒三筒  ツモ三万  ドラ東

こちらは瀬戸熊の親リーチを潰しての価値あるアガリ。
そして南1局、こちらはまず全体牌譜をご覧いただこう。

houou

荒のリーチを受けた藤崎の、11巡目の手牌である。
全体の捨て牌からも、ベストはドラの八筒を重ねてのテンパイ。
五万八万の待ちが残れば、打点もあるし、勝ち目も十分といったところである。
そこに引いたのが4枚目の七万である。六万を打てばピンフ、ドラ1のテンパイ。
そして一手変われば、確定のタンピン三色である。
荒のリーチはあっても、藤崎はそう構えるものと思っていたが、安全度を追ったか、ノーチャンスの打八万を選択する。

六万六万七万七万七万七索八索九索五筒六筒六筒七筒八筒

すると次巡のツモが六索。藤崎はここで九索切りのリーチに出る。
そして2巡後、四筒をツモって2,000・3,900。アガるにはアガったが、やはり藤崎らしくはない。
ここまでの得点状況がそうさせるのか、精神の疲弊も相当なものがあったのだろう。

「攻撃力のない人間は初日に沈むときつい。やはり20戦を通しての戦術だから。」

この日の終わり、藤崎がそう話していたのが、ひどく胸に響いた。
南2局は前原が荒から3,900の出アガリ。

四万四万七万八万九万五索六索七索八索九索  ポン南南南  ロン四索  ドラ四万

荒はこの後も1人ノーテン、そして藤崎へ1,500放銃と、点棒を20,100にまで減らしてしまう。
前回1着を取った人間が、どうも勢いに乗り切れない流れが続いている。
それもまた、トータルトップを走る瀬戸熊の力ということが言えるのかもしれない。

南3局2本場、このアガリを見せ付けられれば、瀬戸熊がいかに緻密なゲームメイクをしているのかがお分かりいただけるのではないだろうか。

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ここまで攻撃面ばかりが光っているように見えて、やはり我慢すべきところはしっかり我慢しているのである。
失点は最小限に抑え、ここ一番でのアガリで相手を蹴落とす。そして、着実にトータルポイントを積み重ねる。

冒頭、瀬戸熊の10回戦目までの着順を振り返った。そして本日、ここまでが2、2、2、2である。
全員が前に出てくる状況下でのこの成績は、さすがの一言である。
局面、局面での押し引きの見極めが、それだけ正確であるということだ。

オーラス、瀬戸熊は荒に満貫を放銃する。

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こちらも攻めた上での放銃で、枚数こそ少ないもののアガリ目も十分という感触があったのだろう。
ラスには落ちたが、とにかく最終日に向けて一切の不安を残さないように、という瀬戸熊の気持ちが伝わってくるかのような放銃だった。
その前巡、打七万と、今日1日の収束に向かった前原とのコントラストが、凄く印象的だった。

15回戦成績
藤崎+23.2P 荒▲2.9P 前原▲5.4P 瀬戸熊▲14.9P

15回戦終了時
瀬戸熊+92.4P 前原▲0.4P 荒▲33.6P 藤崎▲60.4P 供託2.0P

 

これで残すは、最終日の5戦のみ。正直なところ、私はここまでの大差は予想できなかった。
もちろん、麻雀には何が起こるかわからない。
わからないが、この差をひっくり返すのは並大抵のことではない。

「大勢は決した」

私はノートにそう書き記し、会場を後にした。
その翌日、壮絶なドラマが待ち受けていることなど知ることもなく…

プロリーグ(鳳凰戦)決勝観戦記/第29期鳳凰位決定戦 三日目観戦記

「瀬戸熊のポイントが100を越えると、追う者にとってはかなり厳しい数字になる。」
この日ニコ生放送の冒頭で、私はそう答えた。
初日、2日目を全て見たうえでの素直な気持ちだった。
瀬戸熊の10回戦までの全着順をご覧いただきたい。
「2、1、3、2、2、2、4、2、1、1」連帯率は実に8割である。
これをふまえて、ここまでのトータルポイントをおさらいしてみよう。
瀬戸熊+72.5P 前原+30.6P 藤崎▲47.0P 荒▲56.1P
堅実に積み重ねていった結果が、この得点差である。
前原にはまだ望みがあるが、藤崎で約120P差。
そして、荒に至っては、およそ130Pの差が開いてしまった。
今日、瀬戸熊が数字を伸ばすということは、追いかける3者でポイントを削り合うということに繋がる。
ひいては、優勝争いから脱落する人間も出てくるということである。それでも前に出なくてはならない。
瀬戸熊を追撃するために、協同戦線が敷かれる局面もあるだろう。もう相手の出方を伺っている段階ではない。ここからは、初日、2日目とは全く別の戦いが始まるのである。

houou

 
11回戦(起家から、瀬戸熊・荒・前原・藤崎)
東1局、真っ先にテンパイを入れたのは西家の前原。
一索二索三索六索七索八索九索九索六筒八筒八筒北北  ツモ九索  ドラ一筒
これがわずか2巡目である。
瀬戸熊の親ということもあり、ソーズのホンイツに向かって大きく狙うかと思っていると、前原の選択は打六筒での即リーチ。結果、瀬戸熊から八筒で1,300を出アガるのだが、どうも納得感には欠けるものがある。

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反対に瀬戸熊は、放銃したものの、前原の四万八万にポンテンを掛けず、この局を勝負局にしてやるとの強い思いがあったに違いない。
もし、前原が一度ヤミテンに構えていた場合、上手くホンイツに移行できて、瀬戸熊の7巡目の六索を捕まえていた可能性が高かっただけに、悔やまれるところだ。
前原にすれば、この親だから隙を与えずに攻めるという意味合いのリーチなのだろうが、やや焦りすぎと感じたのは私だけだろうか。
東2局、こちらは手材料を十分生かし切って、藤崎が2,000・4,000のツモアガリ。
七万七万七万六索七索七索八索九索中中   暗カン牌の背白白牌の背   リーチ  ツモ八索  ドラ西
ここからは簡単に経緯を記すと、
東3局、瀬戸熊→前原1,500。
東3局1本場、荒400・700は500・800。
東4局、藤崎1人テンパイ。
東4局1本場、藤崎、前原2人テンパイ。
東4局2本場、瀬戸熊1人ノーテン。
そしてここまでの得点が、
藤崎42,000、前原31,500、荒26,300、瀬戸熊19,200となっていた。
これこそが、瀬戸熊を追いかける者にとって理想の展開で、後は瀬戸熊にラスを押し付けたままどうやって得点を稼ぐかが重要になってくるわけである。
東4局3本場、藤崎の9巡目の手牌に注目していただきたい。

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ツモ四索ならばタンヤオでヤミテンが効くため、打中となるのが自然だが、現状役なしのテンパイ。
だとしても、その後の変化形やダイレクトの四万ツモがあるので、私ならここがドラの放し所と見るが、藤崎は打二万を選択する。
もちろん全体の捨て牌相もあっただろう。
一色系の荒から一索が余ったように見えなくもない。それでも、である。
巡目が深くなればなるだけ、このドラは切りづらくなるのが明白なのだ。
更に、ここでもし中が鳴かれたとしても、変化が効く分、藤崎の手牌だって十分戦えると私は考える。
ヤミテンが効かない形からドラを外すのは、藤崎のプレースタイルではなかったとしても、ここはもう少しギアチェンジを図ってもいい局面だったのではないだろうか。

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ここまで瀬戸熊を苦しめる展開を作り上げていただけに、この親落ちは非常に悔やまれるものとなってしまった。
 

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藤崎智プロ

そして迎えた南1局4本場、この1局が本日のクライマックスと言ってもいいほど、大きな大きな1局となる。
まずテンパイを入れたのは、8巡目の瀬戸熊。
六万六万七万七万八万四索五索六索七索七索三筒四筒五筒  ドラ三筒
親ということもあるが、白をトイツ落としでのリーチが手牌の高さを物語っている。
同巡、西家・前原も七索を引いて1シャンテン。
二万三万三万五索六索六索七索七索八索五筒六筒七筒七筒
そして南家・荒も前に出る。
瀬戸熊の現物である四万を藤崎が切り出すと、これをポン。
五万五万三索三索五索九筒九筒九筒南南  ポン四万四万四万
まだ1シャンテンではあるが、リーチを打っているのがトータルトップの瀬戸熊ということもあり、ここは敢然と勝負に向かう。その後三索も鳴け、荒は高目ダブ南トイトイのテンパイ。
五万五万九筒九筒九筒南南  ポン三索三索三索  ポン四万四万四万
この時点で瀬戸熊の五万八万は山に3枚。そして、荒の五万南も同じく山に3枚残っている。
前原は荒の仕掛けを見て受けに回ったため、勝負は瀬戸熊と荒の2人に絞られたかと思われた。
ところが、ここから前原のツモが突然伸び始め、実に8枚目の四万七万が入ってテンパイを果たしてしまう。

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頭を抱えて長考に入る前原。確かに難しい局面だ。
瀬戸熊のリーチだけならまだしも、荒の手をどう読むかである。
もしこれが1,000点や2,000点の手なら、荒が2フーロしてまで突っ込んでくるとは考えにくい。
荒が瀬戸熊を潰しに掛かっているなら、ここにドラの塊があると読むのが自然である。
だが、それだと引っ掛かるのは荒の四筒二筒の嫌い方だ。ここで三筒を2枚に固定してまで、四筒二筒を払うだろうか。あるとすれば、それは三筒が暗刻のケースである。或いはクイタンのポンテンから、トイトイに移行したケース。例えば以下の形である。
五万五万五万三索三索五索六索六索七索七索  ポン四万四万四万
荒の最終打牌が五索であるから、これも一応考えられるか。いずれにせよ、荒の2フーロには必ず意味がある。
それをふまえて前原がどのような選択をするのか。この手になれば恐らくオリはないだろう。
誰もが前原の選び出す一打に視線を傾けた。
前原が打ち出したのは七筒。このときの心境を前原はこう語る。
「瀬戸熊とのポイント差を考えて、純粋に打点の高いほうを選んだ。瀬戸熊からの出アガリならリーチ棒込みで18P。ツモアガリなら20P。これだけ縮まるということ。」
実際は、積み場や供託があるのでそれ以上ということにはなるが、いずれの現象が起こったとしても、その時点で前原がトータルポイントで瀬戸熊をかわす。本日の初戦にして、いきなりの山場。
瀬戸熊、荒、前原、3者の待ちが山に残っているだけに、解説席に座る我々も固唾を飲む。
五万八万三筒南
頭の中で繰り返し、瀬戸熊のツモ牌に注目する。七筒
三筒切りなら…」
五万六万七万五索六索六索七索七索八索五筒六筒七筒七筒
そう、前原がもしドラに手を掛けていたら、瀬戸熊からこの直撃を取ることに成功していたのである。
とはいえ、この三筒がそう簡単に打てる代物ではないことは誰の目から見ても明らかである。
瀬戸熊、荒に通る保障もなければ、七筒でアガれる保障だってどこにもないのだ。
ただ、ひとつ言えることがあるとすれば、前原がアガリを逃した事実だけは残ったということである。
そして、勝負はまだ終わっていないということである。
前原は自身の最後のツモで五万を引いた。私は正直、ここで前原はオリるだろうと思っていた。
三筒が通ったかどうかはわからないにしろ、とにかく七筒でのアガリ逃しだけは目に見えているからだ。
だが、それでも前原は五万をツモ切った。そこに一切の逡巡はなかった。
自分にツモ番はなくても、瀬戸熊のハイテイに賭けたのである。
六万六万七万七万八万四索五索六索七索七索三筒四筒五筒  リーチ  ロン五万  ドラ三筒
「あの11,600で勝負あったと思った。それほど大きなアガリだった。」
後に荒はそう語った。
たらればをいくら言ったところで仕方がない。
だが、前原があの七筒をもし捕らえていたら、前原があの五万で、もしブレーキを踏んでいたら、この後一体どんな結果が待ち受けていたのだろう。
少なくとも、瀬戸熊の独走を許す展開にはならなかったように思う。
「あのアガリ逃しで完全に軸がブレた。」
前原がこう語った通り、瀬戸熊のこのアガリは、追いかける者にとって、想像以上のダメージとなったことは間違いない。
11回戦成績
藤崎+28.0P  瀬戸熊+7.4P  前原▲15.3P  荒▲20.1P
11回戦終了時
瀬戸熊+79.9P  前原+15.3P  藤崎▲19.0P  荒▲76.2P
 
12回戦(起家から、前原・藤崎・荒・瀬戸熊)
藤崎に復調の兆しが見えてきた。もうすぐ、前原の背中も捉えようかという勢いである。
反対に、箍(たが)が外れたように放銃マシーンとなってしまったのが前原だ。

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前原雄大プロ

東3局、まずは荒に2,900の打ち込み。
二万三万四万七万七万二索四索六索六索六索  チー三筒二筒四筒  ロン三索  ドラ五筒
続く東3局1本場がこちら。

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荒にすれば、瀬戸熊からの直撃か、ツモアガリのチャンスだっただけに、喜びも半減といったところか。
東3局2本場もそうである。

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確かにテンパイはしているのである。
しかし、道中で受けに入った以上、攻め手が2人のところに向かってこの白を打ち出すのは、とても間尺に合わない。やはり、瀬戸熊に打ち上げたあの11,600がよほど尾を引いているのだろう。
前原は続く東3局3本場でも荒のリーチに放銃。

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歯止めが利かず、どこまでも転がり落ちていく。
こうなってくると、注目すべきはトータル2位の座である。
この時点で、荒と前原との差が20Pまで縮まってきたのである。
荒は前原をかわせば、いよいよ瀬戸熊とサシの勝負に持ち込めるチャンスを掴む。
この親は正に叩き時なのである。
三万四万二索三索四索三筒四筒五筒六筒六筒七筒八筒九筒  リーチ  ロン五万  ドラ七筒
東3局4本場は藤崎から5,800の出アガリ。
そして続く5本場では、この半荘実に5度目となる前原からの出アガリを果たす。

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前原はこれで箱を割り、トータルでもこの瞬間荒が前原を上回った。
こうなれば焦点は、荒がどれだけ瀬戸熊に詰め寄ることができるかだったが、前原が大きく沈んだことで余裕が生まれたか、逆に瀬戸熊は得点を伸ばして行く。
まずは南1局。
四万五万六万七万八万五索六索七索三筒三筒五筒五筒五筒  リーチ  ツモ六万  ドラ三万
そして南2局。
一万二万三万六筒六筒六筒西西白白白発発  リーチ  ツモ発  ドラ八索
出アガリで点棒を膨らませた荒とは対照的に、要所できっちりツモアガリを重ねてくる。
そして南4局2本場、親番でのリーチ。

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これを荒からアガって、遂にはトップを捲ろうかというところまで辿り着いてしまった。
強い。全く隙がない。そして気が付けば、瀬戸熊のポイントが100を越えていた。
 

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瀬戸熊直樹プロ

 
12回戦成績
荒+39.8P  瀬戸熊+23.9P  前原▲29.5P  藤崎▲34.2P
12回戦終了時
瀬戸熊+103.8P  前原▲14.2P  荒▲36.4P  藤崎▲53.2P
 
13回戦(起家から、前原・瀬戸熊・荒・藤崎)
恐れていた得点状況になってしまった。
全員で瀬戸熊を追い詰めようとする意識は、痛いほど伝わってくる。
しかし、肝心要の瀬戸熊のポイントを削ることは叶わず、下3人で点棒を奪い合う展開が続いてしまうのだ。
この13回戦でも、悪循環は続く。まずは東2局の荒。
三万五万三索四索五索六索六索七索八索九索五筒六筒七筒  ドラ四万
親ということもあり、せめて流局連荘には持ち込みたいリーチだったが、瀬戸熊がリャンカン選択を間違うことなく、荒を捕らえる。
二万三万四万五万五万四索六索三筒三筒四筒四筒五筒五筒  ロン五索
東3局、藤崎の親もそう。
三万四万五万五万五索五索六索六索七索七索二筒三筒四筒  リーチ  ドラ二筒
ここぞという場面ではしっかりアガリを決めてくる瀬戸熊とは対照的に、ツモアガリをさせてもらえる展開にならないのだ。ツモれば6,000オールというこのリーチも流局。
その1本場は、先にタンヤオのテンパイを入れていた藤崎が前原に5,200の放銃。
六索七索七索八索九索五筒六筒七筒西西西中中  ドラ中そういった意味では、東4局1本場も実に象徴的な1局だった。
8巡目、北家の藤崎が二筒を引いて8,000のテンパイ。
三筒四筒四筒六筒七筒八筒八筒北北北  ポン東東東  ドラ九筒  ツモ二筒
八筒がドラの指示牌ということもあるが、瀬戸熊が2巡目に四筒を切っていることから、藤崎は打八筒として一筒四筒の待ちに受ける。瀬戸熊が掴めば切るだろうとの算段があってのものだ。
ところが、狙い目でもあるその一筒は瀬戸熊に暗刻。そして直後、瀬戸熊に打たれたのはアガリ逃しともなる五筒
更に追い討ちをかけたのが、この局の結末である。

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五筒を引いて3メンチャンに受け変えたところで、前原への放銃。
藤崎にすれば、正に踏んだり蹴ったりの幕切れである。
藤崎は以降、一度もアガリに絡むことなく、4着に沈んだ。
だが、特筆すべきはやはり瀬戸熊の安定感である。
ここまでの悪い流れを振り払うかのように前原がトップを奪うも、自身はしっかり浮きの2着をキープ。
ゴールに向かって着々と歩を進めるその足取りには、微塵の不安も感じさせない力強さがある。
追いかける3者にとって、瀬戸熊の牙城を揺るがすのは、既に儚い夢となってしまったのだろうか。
13回戦成績
前原+23.3P  瀬戸熊+5.3P  荒▲11.3P  藤崎▲19.3P  供託2.0P
13回戦終了時
瀬戸熊+109.1  前原+9.1P  荒▲47.7P  藤崎▲72.5P  供託2.0P
 
14回戦(起家から、前原・瀬戸熊・藤崎・荒)
東1局、まずは荒が軽快に1,000・2,000をアガってリード。
二筒三筒五筒六筒七筒北北  ポン八筒八筒八筒  ポン東東東  ツモ一筒  ドラ六万
注目していただきたいのは東2局である。
9巡目(暗カンが入っているため)、北家の前原が先制リーチ。

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2巡目の六万切り、荒の五万暗カンから、七万は良い受けに映る。
それを受けた親、瀬戸熊の手牌が以下。
六万六万七万八万八万八万二索三索四索六索七索八索四筒  ツモ七筒  ドラ四筒
六万、おそらくほとんどの打ち手がそう構えるだろう。だが、瀬戸熊の選択には私も目を見張った。
七筒なのである。初日から通して、とにかくこの姿勢が徹底している。追う側が苦戦を強いられてきたのは、ここに理由がある。弱気によって引き起こされるミスが、瀬戸熊にはほぼ皆無なのだ。
自分が九筒を切っていること、八筒が既に2枚飛んでいること、ドラは打ち出さないこと、そして何より、真っ直ぐ攻め抜くこと、七筒を打ち出すには十分過ぎる理由があるというわけである。
五万のカンも大きい。七万が良く見えているのは、前原だけではない。ドラの四筒を重ねれば、カン七万の12,000。
いや、場合によってはリーチもあるかもしれない。
3者に浮上のきっかけを与えることのないよう、瀬戸熊は決してその手綱を緩めない。
六万七万八万八万八万二索三索四索六索七索八索三筒四筒  ロン二筒
今決定戦、何度こういうシーンを見てきただろう。
正に横綱相撲という表現がぴったりの打ち回しである。
東4局、荒の親番。
三万四万五万五万六万三索三索四索五索六索四筒五筒六筒  ドラ南
そして東4局1本場。
二万三万四万六万六万二索三索四索三筒四筒五筒六筒七筒  ドラ七万
いずれも高目タンピン三色という勝負手である。荒はそのいずれも、リーチでのアガリを物にする。
するのだが、そのいずれもが安目でのアガリ。そして出所も、前者が藤崎から、後者が前原からと、全く瀬戸熊の点棒を削ることができない。一度作られた4者の絡みは、なかなか崩れないということなのか。
 

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荒正義プロ

オーラス、前原が1,300・2,600をツモアガって、ようやく瀬戸熊の原点を割ることに成功するが、それでも瀬戸熊は2着を死守。この3日目、残すは後1戦。
明日に望みを繋げる者は現れるのだろうか。
14回戦成績
荒+17.0P  瀬戸熊▲1.8P  前原▲4.1P  藤崎▲11.1P
14回戦終了時
瀬戸熊+107.3P  前原+5.0P  荒▲30.7P  藤崎▲83.6P  供託2.0P
 
15回戦(起家から、前原・荒・藤崎・瀬戸熊)
この半荘、追いかける側の気持ちがようやく牌に伝わったのか、南1局まで瀬戸熊以外の3者がツモアガリを重ねる展開となった。
まずは東1局、荒が1,600・3,200。
六万七万八万九万九万一索二索三索白白   暗カン牌の背八筒八筒牌の背  リーチ  ツモ九万  ドラ六万
東2局は藤崎。
一万一万一万四万四万四万五万五索六索七索五筒六筒七筒  リーチ  ツモ六万  ドラ四筒
東3局は前原。
四万五万六万二索三索四索七索八索九索三筒四筒北北  リーチ  ツモ二筒
そして東4局も前原。
二万二万四万五万四索五索六索四筒五筒六筒  ポン三筒三筒三筒  ツモ三万  ドラ東
こちらは瀬戸熊の親リーチを潰しての価値あるアガリ。
そして南1局、こちらはまず全体牌譜をご覧いただこう。

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荒のリーチを受けた藤崎の、11巡目の手牌である。
全体の捨て牌からも、ベストはドラの八筒を重ねてのテンパイ。
五万八万の待ちが残れば、打点もあるし、勝ち目も十分といったところである。
そこに引いたのが4枚目の七万である。六万を打てばピンフ、ドラ1のテンパイ。
そして一手変われば、確定のタンピン三色である。
荒のリーチはあっても、藤崎はそう構えるものと思っていたが、安全度を追ったか、ノーチャンスの打八万を選択する。
六万六万七万七万七万七索八索九索五筒六筒六筒七筒八筒
すると次巡のツモが六索。藤崎はここで九索切りのリーチに出る。
そして2巡後、四筒をツモって2,000・3,900。アガるにはアガったが、やはり藤崎らしくはない。
ここまでの得点状況がそうさせるのか、精神の疲弊も相当なものがあったのだろう。
「攻撃力のない人間は初日に沈むときつい。やはり20戦を通しての戦術だから。」
この日の終わり、藤崎がそう話していたのが、ひどく胸に響いた。
南2局は前原が荒から3,900の出アガリ。
四万四万七万八万九万五索六索七索八索九索  ポン南南南  ロン四索  ドラ四万
荒はこの後も1人ノーテン、そして藤崎へ1,500放銃と、点棒を20,100にまで減らしてしまう。
前回1着を取った人間が、どうも勢いに乗り切れない流れが続いている。
それもまた、トータルトップを走る瀬戸熊の力ということが言えるのかもしれない。
南3局2本場、このアガリを見せ付けられれば、瀬戸熊がいかに緻密なゲームメイクをしているのかがお分かりいただけるのではないだろうか。

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ここまで攻撃面ばかりが光っているように見えて、やはり我慢すべきところはしっかり我慢しているのである。
失点は最小限に抑え、ここ一番でのアガリで相手を蹴落とす。そして、着実にトータルポイントを積み重ねる。
冒頭、瀬戸熊の10回戦目までの着順を振り返った。そして本日、ここまでが2、2、2、2である。
全員が前に出てくる状況下でのこの成績は、さすがの一言である。
局面、局面での押し引きの見極めが、それだけ正確であるということだ。
オーラス、瀬戸熊は荒に満貫を放銃する。

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こちらも攻めた上での放銃で、枚数こそ少ないもののアガリ目も十分という感触があったのだろう。
ラスには落ちたが、とにかく最終日に向けて一切の不安を残さないように、という瀬戸熊の気持ちが伝わってくるかのような放銃だった。
その前巡、打七万と、今日1日の収束に向かった前原とのコントラストが、凄く印象的だった。
15回戦成績
藤崎+23.2P 荒▲2.9P 前原▲5.4P 瀬戸熊▲14.9P
15回戦終了時
瀬戸熊+92.4P 前原▲0.4P 荒▲33.6P 藤崎▲60.4P 供託2.0P
 
これで残すは、最終日の5戦のみ。正直なところ、私はここまでの大差は予想できなかった。
もちろん、麻雀には何が起こるかわからない。
わからないが、この差をひっくり返すのは並大抵のことではない。
「大勢は決した」
私はノートにそう書き記し、会場を後にした。
その翌日、壮絶なドラマが待ち受けていることなど知ることもなく…

第3期グランプリMAX ベスト16レポート

 

2次予選を勝ち上がった12名に、
前回王者の勝又健志、鳳凰位・十段位と現在2冠の瀬戸熊直樹、ポイント上位の前原雄大、藤崎智の4名を加えた16名で行われる第3期グランプリMAXベスト16。
ここではシード選手を中心に激闘の模様をお伝えしたい。

 

1卓:勝又健志 古川孝次 嶋村泰之 安田麻里菜

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左から勝又健志、嶋村泰之、古川孝次、安田麻里菜

第2期グランプリMAXで念願の初のタイトルを獲得した勝又健志。
牌理の強さ、生放送などでの的確な解説から一部では「麻雀IQ220」と呼ばれている。
また、トーナメントの強さにも定評があり、どの様な戦い方を見せてくれるのか非常に楽しみだ。

2回戦東2局、南家の勝又が5巡目に以下の手牌。

三万四万一索二索三索一筒二筒二筒三筒四筒五筒六筒七筒  ツモ八筒  ドラ四万

即リーチしてもおかしくない手格好であるが勝又はヤミテンを選択。
次巡、ドラの四万をツモるとノータイムで三万切りリーチ!
対局後、ピンズの下が良かったので二筒をツモりにいったと語る勝又。
一発目のツモは…何とドラの四万!狙いとは違ったが2,000・4,000の大きなアガリをモノにした。

そして南2局、8巡目に発をポンして以下の形。

三万四万五万二索三索三索三筒三筒四筒四筒  ポン発発発  ドラ四筒

ここにツモ四索で打三索

三万四万五万二索三索四索三筒三筒四筒四筒  ポン発発発

ドラとドラ表示牌のシャンポン待ちだけに苦しいなと思ったところにツモ五筒
ここで勝又は打三筒。そしてツモ五索でドラの四筒切り。
程なくして古川から二索がこぼれ3,900のアガリとなった。

三万四万五万二索三索四索五索三筒四筒五筒  ポン発発発  ロン二索

苦しい形で押すよりも、場に安いソーズで待ちたかったとの事。
牌理だけでなく手牌、山読みの技術は連盟トップクラスであろう。
この2局を見ただけで分かる様に、勝又らしさが凝縮された半荘であった。

2回戦成績
勝又+31.0P  安田▲3.1P  嶋村▲11.3P  古川▲16.6P

3回戦以降は、古川のビッグウエーブが到来し怒涛の3連勝。
古川の勢いを止められないと見るや否や、2着通過に照準を絞る勝又。
嵐の中しっかりと身を伏せ、止んだ隙を見て顔を出す。
古川のサーフボードを盾に、ベスト8への切符を手に入れた。

勝ち上がり:古川孝次 勝又健志

 

2卓:瀬戸熊直樹 西川淳 堀内正人 黒沢咲

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左から堀内正人、西川淳、瀬戸熊直樹、黒沢咲

今期鳳凰位・十段位2冠の「卓上の暴君」瀬戸熊直樹。
優勝者予想でも8人中6人が本命に挙げる。
瀬戸熊時代到来を予感させる中、前人未到の3冠なるか?

3回戦を終了して以下の成績。
瀬戸熊+27.3P 黒沢+3.3P 堀内▲7.4P 西川▲23.2P

瀬戸熊はトータルトップであるが、油断できないポイント差である。
最終戦を有利に迎える為にも、浮きだけは確保したいところか。

4回戦東1局、北家・瀬戸熊の配牌。

一万二万三万三索五索七索七索八索九索一筒二筒三筒白  ドラ三筒

ドラ面子が完成しており123の三色も見える好配牌だ。しかしここからツモが利かない。
あっという間に黒沢が2フーロでテンパイ気配、そして親の堀内からリーチが入る。

親・堀内
一万二万五万五万六万七万八万三筒四筒五筒北北北  リーチ

南家・黒沢
六索七索西西発発発  チー三索四索五索  加カン中中中中

さすがの暴君も、2シャンテンから向かっていく事は無く流局。
しかし、あの配牌からベタオリになるとは思いもよらなかったろう。
そして、堀内の連荘が始まるのだが、状態が悪いと思ったのか徹底して受けに回る瀬戸熊。
虎視眈々とチャンスが来るのを待つ。

東2局、堀内の連荘が終わり、西家・瀬戸熊8巡目にチャンス手が入る。

一万一万七万八万九万一索二索二索三索三索七索八索九索  ドラ西

これをヤミテンに構え、10巡目に黒沢から打たれた四索を見逃し。
次巡、黒沢が一索をツモ切ると瀬戸熊からロンの声。
しかし黒沢も黙ってはいない。東4局、西家・黒沢10巡目にリーチ。

二索三索三索四索四索五索五索六索七索七索八索白白  リーチ  ドラ五万

今までに、何度見たであろうか黒沢得意のメンホンリーチである。
これに追っかけリーチで飛び込んだのが親番の瀬戸熊。
結局、この放銃が響き3着となり、最終戦に不安を残す結果となった。

4回戦成績
西川+17.4P  堀内+10.9P  瀬戸熊▲6.5P  黒沢▲21.8P

4回戦終了時成績
瀬戸熊+20.8P  堀内+3.5P  西川▲5.8P  黒沢▲18.5P

最終5回戦は、全員に可能性がある半荘となった。
オーラスを迎え、瀬戸熊・西川はアガれば勝ち上がり。
黒沢は親番なので、連チャンが必要だが2,000オールでトップ目に立つ。
そして、堀内の条件は跳満ツモ。10巡目、堀内が条件を満たしたリーチを放つ。
引けない黒沢も無筋を連打し13巡目にテンパイ。
しかし、そのテンパイ打牌は無常にも西川への当たり牌であった。

十段戦で瀬戸熊をあと一歩のところまで追い詰めた堀内。
今度こそは、の気持ちは非常に強かったが、またしても瀬戸熊という大きな壁を乗り越えることはできなかった。

勝ち上がり:瀬戸熊直樹 西川淳

 

3卓:前原雄大 山井弘 柴田弘幸 灘麻太郎

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左から灘麻太郎、前原雄大、山井弘、柴田弘幸

鳳凰位戦で瀬戸熊との激闘を演じた前原雄大。
卓上を制圧するその姿はまさに「閻魔大王」の名が相応しい。

1、2回戦、灘・前原に圧倒され連続ラスの山井であったが
3、4回戦持ち前の攻撃力で巻き返し、何とか最終戦に望みを繋いだ。

4回戦終了時成績
灘+45.3P  前原+23.7P  山井▲8.0P  柴田▲61.0P

灘が抜けており、柴田にとっては厳しい状況。実質、前原と山井の争いだろう。
東4局、2巡目にテンパイを入れていた前原。

二万三万四万六万七万八万一索五索六索七索一筒二筒三筒  ドラ五索

4巡目に二万をツモり、待ち替えか?と思ったのも束の間、二万を空切りしてリーチ!

捨て牌
南二索二索二万リーチ

これが巷で噂のガラクタリーチか?放銃者の精神まで崩壊させてしまいそうなリーチである。
これを灘から討ち取り、山井を一歩リードする。

そして迎えた南3局。山井最後の親番である。

配牌が
三万一索三索五索五索六索七索二筒二筒三筒五筒七筒南西  ドラ西

これを8巡目に、

三万五万三索四索五索五索六索七索二筒二筒三筒五筒七筒

ここまで仕上げるが、ツモ四万で打七筒とすると灘からロンの声。
山井の戦いはここで終焉を迎えた。

勝ち上がり:灘麻太郎 前原雄大

 

4卓:藤崎智 ダンプ大橋 近藤久春 小島武夫

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左からダンプ大橋、小島武夫、近藤久晴、藤崎智

前原と同じく、鳳凰位戦で瀬戸熊を苦しめた男、藤崎智。
気配を殺し、ヤミテンで相手を仕留める姿から「麻雀忍者」の異名を取る。

1回戦南1局3本場、南家のダンプが3巡目に、

三万七万一索二索二筒二筒四筒九筒九筒南南北中  ドラ六筒

ここからダブ南をポン!牽制の意味が大きい仕掛けではあるが、ダブ南を打ち出したのは藤崎。
9巡目、やはりテンパイを入れていた藤崎が、小島の切った一筒に静かに手を倒す。

一万一万二万二万三万三万六万六万一筒六筒六筒七筒七筒  ロン一筒

鳴いたダンプより、鳴かせた藤崎をマークしなければいけないのは小島、近藤も分かっているはずだが、これはさすがに止められないか。

このアガリをものにした藤崎だが決して油断はしない。
南2局1本場、南家・藤崎の12巡目。

四万四万四万一索一索四筒四筒五筒東東中中中  ドラ東

この1シャンテンから1をポン。ドラの東をツモれば倍満だけに、五筒切りとする打ち手もいると思うのだが、藤崎は冷静に打四筒。しっかりと六筒をツモり1,300・2,600。

オーラスにも
四万四万七万七万六筒七筒八筒六索七索七索七索七索八索 ツモ四万
ドラ七万 この手をあっさりと引きアガり5万点オーバーのトップ。
随所に持ち味を発揮した藤崎圧巻の半荘となった。

1回戦成績
藤崎+28.6P  小島+10.2P  近藤▲5.9P  ダンプ▲32.9P

藤崎は、初戦の勢いそのままに着実にポイントを積み重ねていく。
何と4回戦までオールプラス。素晴らしい安定感だ。

4回戦終了時成績
藤崎+62.5P  小島+19.4P  近藤▲13.6P  ダンプ▲68.3P

最終戦、小島と近藤の争いとなったが、東4局5本場、親番の小島がわずか4巡目でこのリーチ。

六万七万六索七索八索三筒四筒五筒六筒七筒八筒白白  リーチ  ドラ西
8巡目で、高めの八万を引き寄せ3,900は4,400オール。

そして東4局6本場、

一索一索一索四索五索五索五索六索七索七索八索八索九索

近藤の3巡目リーチを受けるものの、メンチンの4メンチャンテンパイ。
近藤が3を掴み18,000は19,600。これで勝負あり。
さすがミスター麻雀、圧倒的破壊力で7万点オーバーのトップで藤崎をも捲くり、
1位通過で勝ち上がりを決めた。

勝ち上がり:小島武夫 藤崎智

 

ベスト8組み合わせ

1卓:古川孝次 西川淳 灘麻太郎 藤崎智

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古川孝次
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西川淳
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灘麻太郎
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藤崎智

2卓:勝又健志 瀬戸熊直樹 前原雄大 小島武夫

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勝又健志
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瀬戸熊直樹
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前原雄大
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小島武夫

ここまで来たら楽な戦いなどあるはずもない。決勝の椅子を手にするのは誰であろうか。
1局たりとも目が離せない戦いになるのは間違いないだろう。

グランプリ レポート/第3期グランプリMAX ベスト16レポート

 
2次予選を勝ち上がった12名に、
前回王者の勝又健志、鳳凰位・十段位と現在2冠の瀬戸熊直樹、ポイント上位の前原雄大、藤崎智の4名を加えた16名で行われる第3期グランプリMAXベスト16。
ここではシード選手を中心に激闘の模様をお伝えしたい。
 
1卓:勝又健志 古川孝次 嶋村泰之 安田麻里菜

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左から勝又健志、嶋村泰之、古川孝次、安田麻里菜

第2期グランプリMAXで念願の初のタイトルを獲得した勝又健志。
牌理の強さ、生放送などでの的確な解説から一部では「麻雀IQ220」と呼ばれている。
また、トーナメントの強さにも定評があり、どの様な戦い方を見せてくれるのか非常に楽しみだ。
2回戦東2局、南家の勝又が5巡目に以下の手牌。
三万四万一索二索三索一筒二筒二筒三筒四筒五筒六筒七筒  ツモ八筒  ドラ四万
即リーチしてもおかしくない手格好であるが勝又はヤミテンを選択。
次巡、ドラの四万をツモるとノータイムで三万切りリーチ!
対局後、ピンズの下が良かったので二筒をツモりにいったと語る勝又。
一発目のツモは…何とドラの四万!狙いとは違ったが2,000・4,000の大きなアガリをモノにした。
そして南2局、8巡目に発をポンして以下の形。
三万四万五万二索三索三索三筒三筒四筒四筒  ポン発発発  ドラ四筒
ここにツモ四索で打三索
三万四万五万二索三索四索三筒三筒四筒四筒  ポン発発発
ドラとドラ表示牌のシャンポン待ちだけに苦しいなと思ったところにツモ五筒
ここで勝又は打三筒。そしてツモ五索でドラの四筒切り。
程なくして古川から二索がこぼれ3,900のアガリとなった。
三万四万五万二索三索四索五索三筒四筒五筒  ポン発発発  ロン二索
苦しい形で押すよりも、場に安いソーズで待ちたかったとの事。
牌理だけでなく手牌、山読みの技術は連盟トップクラスであろう。
この2局を見ただけで分かる様に、勝又らしさが凝縮された半荘であった。
2回戦成績
勝又+31.0P  安田▲3.1P  嶋村▲11.3P  古川▲16.6P
3回戦以降は、古川のビッグウエーブが到来し怒涛の3連勝。
古川の勢いを止められないと見るや否や、2着通過に照準を絞る勝又。
嵐の中しっかりと身を伏せ、止んだ隙を見て顔を出す。
古川のサーフボードを盾に、ベスト8への切符を手に入れた。
勝ち上がり:古川孝次 勝又健志
 
2卓:瀬戸熊直樹 西川淳 堀内正人 黒沢咲

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左から堀内正人、西川淳、瀬戸熊直樹、黒沢咲

今期鳳凰位・十段位2冠の「卓上の暴君」瀬戸熊直樹。
優勝者予想でも8人中6人が本命に挙げる。
瀬戸熊時代到来を予感させる中、前人未到の3冠なるか?
3回戦を終了して以下の成績。
瀬戸熊+27.3P 黒沢+3.3P 堀内▲7.4P 西川▲23.2P
瀬戸熊はトータルトップであるが、油断できないポイント差である。
最終戦を有利に迎える為にも、浮きだけは確保したいところか。
4回戦東1局、北家・瀬戸熊の配牌。
一万二万三万三索五索七索七索八索九索一筒二筒三筒白  ドラ三筒
ドラ面子が完成しており123の三色も見える好配牌だ。しかしここからツモが利かない。
あっという間に黒沢が2フーロでテンパイ気配、そして親の堀内からリーチが入る。
親・堀内
一万二万五万五万六万七万八万三筒四筒五筒北北北  リーチ
南家・黒沢
六索七索西西発発発  チー三索四索五索  加カン中中中中
さすがの暴君も、2シャンテンから向かっていく事は無く流局。
しかし、あの配牌からベタオリになるとは思いもよらなかったろう。
そして、堀内の連荘が始まるのだが、状態が悪いと思ったのか徹底して受けに回る瀬戸熊。
虎視眈々とチャンスが来るのを待つ。
東2局、堀内の連荘が終わり、西家・瀬戸熊8巡目にチャンス手が入る。
一万一万七万八万九万一索二索二索三索三索七索八索九索  ドラ西
これをヤミテンに構え、10巡目に黒沢から打たれた四索を見逃し。
次巡、黒沢が一索をツモ切ると瀬戸熊からロンの声。
しかし黒沢も黙ってはいない。東4局、西家・黒沢10巡目にリーチ。
二索三索三索四索四索五索五索六索七索七索八索白白  リーチ  ドラ五万
今までに、何度見たであろうか黒沢得意のメンホンリーチである。
これに追っかけリーチで飛び込んだのが親番の瀬戸熊。
結局、この放銃が響き3着となり、最終戦に不安を残す結果となった。
4回戦成績
西川+17.4P  堀内+10.9P  瀬戸熊▲6.5P  黒沢▲21.8P
4回戦終了時成績
瀬戸熊+20.8P  堀内+3.5P  西川▲5.8P  黒沢▲18.5P
最終5回戦は、全員に可能性がある半荘となった。
オーラスを迎え、瀬戸熊・西川はアガれば勝ち上がり。
黒沢は親番なので、連チャンが必要だが2,000オールでトップ目に立つ。
そして、堀内の条件は跳満ツモ。10巡目、堀内が条件を満たしたリーチを放つ。
引けない黒沢も無筋を連打し13巡目にテンパイ。
しかし、そのテンパイ打牌は無常にも西川への当たり牌であった。
十段戦で瀬戸熊をあと一歩のところまで追い詰めた堀内。
今度こそは、の気持ちは非常に強かったが、またしても瀬戸熊という大きな壁を乗り越えることはできなかった。
勝ち上がり:瀬戸熊直樹 西川淳
 
3卓:前原雄大 山井弘 柴田弘幸 灘麻太郎

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左から灘麻太郎、前原雄大、山井弘、柴田弘幸

鳳凰位戦で瀬戸熊との激闘を演じた前原雄大。
卓上を制圧するその姿はまさに「閻魔大王」の名が相応しい。
1、2回戦、灘・前原に圧倒され連続ラスの山井であったが
3、4回戦持ち前の攻撃力で巻き返し、何とか最終戦に望みを繋いだ。
4回戦終了時成績
灘+45.3P  前原+23.7P  山井▲8.0P  柴田▲61.0P
灘が抜けており、柴田にとっては厳しい状況。実質、前原と山井の争いだろう。
東4局、2巡目にテンパイを入れていた前原。
二万三万四万六万七万八万一索五索六索七索一筒二筒三筒  ドラ五索
4巡目に二万をツモり、待ち替えか?と思ったのも束の間、二万を空切りしてリーチ!
捨て牌
南二索二索二万リーチ
これが巷で噂のガラクタリーチか?放銃者の精神まで崩壊させてしまいそうなリーチである。
これを灘から討ち取り、山井を一歩リードする。
そして迎えた南3局。山井最後の親番である。
配牌が
三万一索三索五索五索六索七索二筒二筒三筒五筒七筒南西  ドラ西
これを8巡目に、
三万五万三索四索五索五索六索七索二筒二筒三筒五筒七筒
ここまで仕上げるが、ツモ四万で打七筒とすると灘からロンの声。
山井の戦いはここで終焉を迎えた。
勝ち上がり:灘麻太郎 前原雄大
 
4卓:藤崎智 ダンプ大橋 近藤久春 小島武夫

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左からダンプ大橋、小島武夫、近藤久晴、藤崎智

前原と同じく、鳳凰位戦で瀬戸熊を苦しめた男、藤崎智。
気配を殺し、ヤミテンで相手を仕留める姿から「麻雀忍者」の異名を取る。
1回戦南1局3本場、南家のダンプが3巡目に、
三万七万一索二索二筒二筒四筒九筒九筒南南北中  ドラ六筒
ここからダブ南をポン!牽制の意味が大きい仕掛けではあるが、ダブ南を打ち出したのは藤崎。
9巡目、やはりテンパイを入れていた藤崎が、小島の切った一筒に静かに手を倒す。
一万一万二万二万三万三万六万六万一筒六筒六筒七筒七筒  ロン一筒
鳴いたダンプより、鳴かせた藤崎をマークしなければいけないのは小島、近藤も分かっているはずだが、これはさすがに止められないか。
このアガリをものにした藤崎だが決して油断はしない。
南2局1本場、南家・藤崎の12巡目。
四万四万四万一索一索四筒四筒五筒東東中中中  ドラ東
この1シャンテンから1をポン。ドラの東をツモれば倍満だけに、五筒切りとする打ち手もいると思うのだが、藤崎は冷静に打四筒。しっかりと六筒をツモり1,300・2,600。
オーラスにも
四万四万七万七万六筒七筒八筒六索七索七索七索七索八索 ツモ四万
ドラ七万 この手をあっさりと引きアガり5万点オーバーのトップ。
随所に持ち味を発揮した藤崎圧巻の半荘となった。
1回戦成績
藤崎+28.6P  小島+10.2P  近藤▲5.9P  ダンプ▲32.9P
藤崎は、初戦の勢いそのままに着実にポイントを積み重ねていく。
何と4回戦までオールプラス。素晴らしい安定感だ。
4回戦終了時成績
藤崎+62.5P  小島+19.4P  近藤▲13.6P  ダンプ▲68.3P
最終戦、小島と近藤の争いとなったが、東4局5本場、親番の小島がわずか4巡目でこのリーチ。
六万七万六索七索八索三筒四筒五筒六筒七筒八筒白白  リーチ  ドラ西
8巡目で、高めの八万を引き寄せ3,900は4,400オール。
そして東4局6本場、
一索一索一索四索五索五索五索六索七索七索八索八索九索
近藤の3巡目リーチを受けるものの、メンチンの4メンチャンテンパイ。
近藤が3を掴み18,000は19,600。これで勝負あり。
さすがミスター麻雀、圧倒的破壊力で7万点オーバーのトップで藤崎をも捲くり、
1位通過で勝ち上がりを決めた。
勝ち上がり:小島武夫 藤崎智
 
ベスト8組み合わせ
1卓:古川孝次 西川淳 灘麻太郎 藤崎智

gpmax
古川孝次
gpmax
西川淳
gpmax
灘麻太郎
gpmax
藤崎智

2卓:勝又健志 瀬戸熊直樹 前原雄大 小島武夫

gpmax
勝又健志
gpmax
瀬戸熊直樹
gpmax
前原雄大
gpmax
小島武夫

ここまで来たら楽な戦いなどあるはずもない。決勝の椅子を手にするのは誰であろうか。
1局たりとも目が離せない戦いになるのは間違いないだろう。

第75回『確率と経験則』

これまで5回に渡ってこの中級講座を担当させて頂いたが、今回が最終回となる。
講座というよりは、ただ自分が思うことをありのままに書いてきた。読者の皆様に、少しでも自分の考え方が分かって頂けたなら幸いである。この最終回も、自分の考えを伝えて締めたいと思う。

さて、いきなりだが次の問題に直感で答えてほしい。
「今ランダムに30人が集められたとして、少なくともその中の2人の誕生日が同じである確率は何%でしょう?」

これはインターネットで見つけた問題なのだが、答えから書いてしまうと、きちんと計算すると70%を超えるらしい。直感的に、これよりかなり低く見積もっていた人がほとんどなのではないか、と思う。
この問題を、「確率」を重視して麻雀を打っている打ち手に聞いてみても、直感で、と言われたら大幅に誤差がでるのではないか?

「確率」というものを重視している打ち手であっても、麻雀と比べたらよほど簡単と思われる確率計算も瞬時に判断することはなかなか難しい。つまり麻雀という、より複雑で難解なものに対して、その場その場で様々な確率を正確に計算することはできないのだ。

様々な確率とは、例えばある牌を切った時の鳴かれる確率だったり、鳴かれた場合の失点率、鳴かれなかった場合は・・・などだ。

「確率」を追い求めている上級者のプレイヤーでも、局面毎に正確な計算をして打牌しているわけではない。
では、全てのプレイヤーが何を根拠に打牌しているかといえば「経験則」というものも少なからずあると思う。全く同じ局面など来ないが、似たような局面、手牌は多々存在していて、それまでの経験からどれを切るかを瞬時に体感で判断している。

上に記した、直感で答えてほしいといった確率の問題に答えてもらった時、なぜ大幅に誤差がでるのかといえば、同じ様な問題を解いたことがないからだ。

例えば、終盤に危険牌を持ってきた時に、そろそろオリた方がいいのか・・・と自分自身は瞬間的に感じることがある。理屈で言えば、安手の1シャンテンで、カンチャンも残っているし・・・など、様々な理由付けはできるが、これまでの経験や結果から体感で感じているのだと思う。

ある人から見れば、選択A、選択B、選択C、と3つの選択肢が経験則から浮かび、その中から1つを思考して選択するが、それより雀力が上の人からは選択A、選択Bの2つの中からの選択になったり、または選択A、選択Dの2択になったりする。

この体感を養うには、とにかくひたすら打つことで、これを養うのも雀力向上の為に必要だと考えている。
「第一感」とよく言うが、私はこれを経験則に基づいたものから瞬時に判断しているものだと思っている為、決してオカルトだとは思っていない。修練の積み重ねこそが、その様な瞬時の判断力を生む。

ただ、その自らの経験則を養う訓練自体が間違っているものだとしたらどうだろうか。
インターネットの記事から、「他家のテンパイが入っている時、大抵の1シャンテンから攻めるより、安手でもテンパイから攻めた方が有利」という文章を見つけたことがある。

以前にも似たような状況を記したが、東1局、南家からリーチが入っている6巡目、自分は西家で、

三万四万五万四索四索五索五索六索三筒四筒六筒六筒北  ドラ三万

この様な牌姿で、南家から二筒が打たれたとする。
この記事の内容だけで考えれば、チーテンをとることが得策なようだが、果たしてあっているのか、更にあっていたとして、全ての状況で適用されるものなのか、自分自身で考える必要がある。

チーした場合の失点率や和了率、または最終的な順位にどの程度影響するか、順位点はどうなるか・・・。
他家の捨て牌や動きによっても、それら全ては変わってくるだろう。
重要なのは、これは局単位で考えた収支データであるので、自身の置かれた点数状況からの順位点の相関などは全く考慮されていないということだ。

例えばこれが、南2局の北家、7,000点持ち、他の3人が31,000点持ち位で競っているとしたら、絶対にチーすべきではないだろう。自分はもう親もない北家で、このチャンス手を2,000点で終わらせてしまえば、残り2局、3人が僅差で競り合うという、その後の展開を考えてみてもかなり不利なものになるのは間違いない。

しかし、門前でリーチをかけてアガることができれば、一気にトップ争いに食い込むことができ、順位点の大幅な上昇も十分見込むことができる。
この記事を否定する気はもちろんないのだが、要は使い方次第ということだ。

最近は、インターネットなどから、データやそれに伴った知識を得やすくなったのは間違いないが、その知識をそのまま当て嵌めて使っているだけ、という場合が多い。知識が増えるのはもちろんいいが、自らでそのデータの検証をしているのか?まだまだ未開拓で歴史が浅い為、間違ったデータが世に広まっていったとしても不思議ではないだろう。

本当は「ミス」なのに、それに気付かずデータを鵜呑みにしたり、間違ったデータの使い方でずっとその手法を取り続けてしまう、というのが最も恐れなくてはならないと思う。

毎回似た局面や手牌で、損な選択をしてしまうだけでなく、それを積み重ねてしまうことによって、自らの経験則として蓄積されてしまいかねない。常に疑問を持ち続けながら訓練し、自らの経験則や体感の精度を上げていくことも、雀力アップに必要ではないだろうか。

中級/第75回『確率と経験則』

これまで5回に渡ってこの中級講座を担当させて頂いたが、今回が最終回となる。
講座というよりは、ただ自分が思うことをありのままに書いてきた。読者の皆様に、少しでも自分の考え方が分かって頂けたなら幸いである。この最終回も、自分の考えを伝えて締めたいと思う。
さて、いきなりだが次の問題に直感で答えてほしい。
「今ランダムに30人が集められたとして、少なくともその中の2人の誕生日が同じである確率は何%でしょう?」
これはインターネットで見つけた問題なのだが、答えから書いてしまうと、きちんと計算すると70%を超えるらしい。直感的に、これよりかなり低く見積もっていた人がほとんどなのではないか、と思う。
この問題を、「確率」を重視して麻雀を打っている打ち手に聞いてみても、直感で、と言われたら大幅に誤差がでるのではないか?
「確率」というものを重視している打ち手であっても、麻雀と比べたらよほど簡単と思われる確率計算も瞬時に判断することはなかなか難しい。つまり麻雀という、より複雑で難解なものに対して、その場その場で様々な確率を正確に計算することはできないのだ。
様々な確率とは、例えばある牌を切った時の鳴かれる確率だったり、鳴かれた場合の失点率、鳴かれなかった場合は・・・などだ。
「確率」を追い求めている上級者のプレイヤーでも、局面毎に正確な計算をして打牌しているわけではない。
では、全てのプレイヤーが何を根拠に打牌しているかといえば「経験則」というものも少なからずあると思う。全く同じ局面など来ないが、似たような局面、手牌は多々存在していて、それまでの経験からどれを切るかを瞬時に体感で判断している。
上に記した、直感で答えてほしいといった確率の問題に答えてもらった時、なぜ大幅に誤差がでるのかといえば、同じ様な問題を解いたことがないからだ。
例えば、終盤に危険牌を持ってきた時に、そろそろオリた方がいいのか・・・と自分自身は瞬間的に感じることがある。理屈で言えば、安手の1シャンテンで、カンチャンも残っているし・・・など、様々な理由付けはできるが、これまでの経験や結果から体感で感じているのだと思う。
ある人から見れば、選択A、選択B、選択C、と3つの選択肢が経験則から浮かび、その中から1つを思考して選択するが、それより雀力が上の人からは選択A、選択Bの2つの中からの選択になったり、または選択A、選択Dの2択になったりする。
この体感を養うには、とにかくひたすら打つことで、これを養うのも雀力向上の為に必要だと考えている。
「第一感」とよく言うが、私はこれを経験則に基づいたものから瞬時に判断しているものだと思っている為、決してオカルトだとは思っていない。修練の積み重ねこそが、その様な瞬時の判断力を生む。
ただ、その自らの経験則を養う訓練自体が間違っているものだとしたらどうだろうか。
インターネットの記事から、「他家のテンパイが入っている時、大抵の1シャンテンから攻めるより、安手でもテンパイから攻めた方が有利」という文章を見つけたことがある。
以前にも似たような状況を記したが、東1局、南家からリーチが入っている6巡目、自分は西家で、
三万四万五万四索四索五索五索六索三筒四筒六筒六筒北  ドラ三万
この様な牌姿で、南家から二筒が打たれたとする。
この記事の内容だけで考えれば、チーテンをとることが得策なようだが、果たしてあっているのか、更にあっていたとして、全ての状況で適用されるものなのか、自分自身で考える必要がある。
チーした場合の失点率や和了率、または最終的な順位にどの程度影響するか、順位点はどうなるか・・・。
他家の捨て牌や動きによっても、それら全ては変わってくるだろう。
重要なのは、これは局単位で考えた収支データであるので、自身の置かれた点数状況からの順位点の相関などは全く考慮されていないということだ。
例えばこれが、南2局の北家、7,000点持ち、他の3人が31,000点持ち位で競っているとしたら、絶対にチーすべきではないだろう。自分はもう親もない北家で、このチャンス手を2,000点で終わらせてしまえば、残り2局、3人が僅差で競り合うという、その後の展開を考えてみてもかなり不利なものになるのは間違いない。
しかし、門前でリーチをかけてアガることができれば、一気にトップ争いに食い込むことができ、順位点の大幅な上昇も十分見込むことができる。
この記事を否定する気はもちろんないのだが、要は使い方次第ということだ。
最近は、インターネットなどから、データやそれに伴った知識を得やすくなったのは間違いないが、その知識をそのまま当て嵌めて使っているだけ、という場合が多い。知識が増えるのはもちろんいいが、自らでそのデータの検証をしているのか?まだまだ未開拓で歴史が浅い為、間違ったデータが世に広まっていったとしても不思議ではないだろう。
本当は「ミス」なのに、それに気付かずデータを鵜呑みにしたり、間違ったデータの使い方でずっとその手法を取り続けてしまう、というのが最も恐れなくてはならないと思う。
毎回似た局面や手牌で、損な選択をしてしまうだけでなく、それを積み重ねてしまうことによって、自らの経験則として蓄積されてしまいかねない。常に疑問を持ち続けながら訓練し、自らの経験則や体感の精度を上げていくことも、雀力アップに必要ではないだろうか。