第20回静岡リーグ 決勝戦観戦記

決勝進出率8割。
50名程度で行うリーグ戦において、8割の決勝進出率は尋常ではない。
静岡支部設立直後には、望月支部長が4回連続、日吉プロが3回連続決勝進出の記録があるが、当時は今と比べれば参加人数は遥に少なかった。

静岡リーグも20回目の開催を迎えることとなり、改めて一般参加の方々の支えあってのものだと身が引き締まる。そんな記念すべき20回目の静岡リーグ決勝進出者は以下の通り。

予選第1位
竹内仁さん 全5回出場 4回目の決勝進出 最高成績:3位
サンプル数は少ないものの8割の決勝進出率。
繊細な手組からの高打点を生み出すパワーは観る者も引きつける。
一般参加でありながら経験も豊富。今回の優勝候補であろう。

予選第2位
関根秀介さん 初出場 初の決勝進出
初出場にしていきなりの決勝進出はお見事。
我慢が効き、点数を持ったら崩すのは難しい。
打点力は劣るが、丁寧な手組から最速のアガリも目指す。

予選第3位
鮎川卓プロ 全7回出場 初の決勝進出
実績では断然格上。静岡プロリーグでは堂々の連覇を果たした。
メンタルは非常に強く、誤解を恐れずに記せば≪図太い≫麻雀である。
放銃を重ねても、いつのまにか戦線に復帰する。
もちろん理にかなった打牌からの攻撃力は学ぶべきところが多い。

予選第4位
鷲見隼人プロ 全10回出場 3回目の決勝進出 最高成績:優勝
鳳凰位戦では連続昇級、静岡プロリーグは第2位。今年度、結果を残した1人ではなかろうか。
他家の打牌に敏感に反応できる受け重視の麻雀。非常に繊細な麻雀を打つ。

予選第5位
京平遥プロ 全10回出場 初の決勝進出
リーグ最終節では古橋プロとの直接対決を制し初の決勝進出。
支部長が【跳満の申し子】なら彼女は【倍満プリンセス】か。
先行した時の彼女の攻撃麻雀は見事である。その反面、受けに回った時に課題が残る。
いずれにしろ今回の決勝のキーパーソンになるであろう。

静岡リーグ決勝戦は予選通過順に、
1位通過+40.0P 2位通過+30.0P 3位通過+20.0P 4位通過+10.0P 5位通過+0.0P
この通過ポイントが加算される。このポイント差こそが、静岡リーグ決勝戦の特徴である。

(以下敬称略)

 

1回戦(起家から 鮎川・京平・鷲見・関根)抜け番:竹内

誰がスタートダッシュを決めるのか。
東1局

六万七万五筒五筒六筒七筒八筒二索三索四索六索七索八索  リーチ  ドラ東

南家・京平は得意の三色リーチ。
これを高目で引きアガれば、点数的にはもちろん気分的にも大きなアドバンテージになる。結果は流局。

東2局1本場、

一万一万二万二万五万五万九万九万四索四索八索中中  ロン八索  ドラ九万

初アガリは鷲見。関根から打ち取り6,400は6,700。
次局、鮎川が500・1,000のツモアガリ。

開局から点棒を出し続けている関根の親番。
東4局

配牌
五万八万九万一筒五筒七筒九筒一索三索四索四索五索九索北  ドラ七筒

この苦しい手牌を七対子に仕上げ4,000オール。

八万八万九万九万七筒七筒九筒九筒三索四索四索五索五索  ツモ三索

このアガリでトップ目に立った関根は、南場に入り5,200、2,000、5,800と加点し終わってみれば、45,600のトップ。
予選1位の竹内が抜け番の今回、予選2位の関根がトップ。追う立場の3人には苦しいスタートとなった。

1回戦成績
関根+23.6P  鷲見+6.8P  鮎川▲11.4P  京平▲20.0P

1回戦終了時
関根+53.6P  竹内+40.0P  鷲見+16.8P  鮎川+8.6P  京平▲20.0P

 

2回戦(起家から 竹内・関根・京平・鮎川)抜け番:鷲見

8割男、竹内の登場。私も竹内の背後に位置取りメモを走らせる。
東3局2本場、

五万六万七万一筒二筒二筒三筒三筒七筒八筒九筒東東  リーチ  ドラ東

鮎川がドラを重ね10巡目リーチ。4巡後に2,000・3,900。
ここまで目立った動きのなかった鮎川。
私は【このアガリの次局が鮎川にとって分岐になる】とメモに記した。

良い状態の時は誰でもアガれる。その状態を如何に作るか。鮎川はこの時の、二の矢、三の矢が非常に優れている。決して派手な形ではない。それでもアガリに結び付けてくる。これが鮎川の≪図太さ≫。

東4局、親番を迎えた鮎川が、5巡目にツモ二万で以下のテンパイ。

二万二万三万三万四万四万六万二筒三筒四筒一索二索六索六索  ドラ四索

ここからテンパイ取らずの打一索
鮎川はこのテンパイ取らずをしないタイプだと認識していただけに、私は少々驚いた。

9巡目、鮎川のツモは四万。ここで鮎川の判断はリーチ。

二万二万三万三万四万四万四万六万二筒三筒四筒六索六索  リーチ

確かに巡目、打点とも申し分ない。しかし気になるのは残されたカンチャン待ちと、直前に処理された竹内の五万。私はメモに【微妙・・・】と記す。この鮎川にぶつけたのが京平。同巡に四筒を引き入れて、

六万六万七万八万九万四筒五筒五筒六筒六筒四索四索四索  リーチ

結果は、鮎川が16巡目に七筒を掴み8,000の放銃となった。
鮎川も対局後、この局について悔いていた。
この後、全体を通して丁寧に戦うも、態勢が上がってくることはなかった。
鮎川にとって分岐となった1局。河の14巡目には三索が置かれていた。

南4局1本場、

二万三万四万六万七万八万六筒七筒六索七索八索八索八索  ロン八筒  ドラ六索

ここまでまったく参加出来なかった竹内の一撃。
鮎川のツモ切りの八筒を捕まえ8,000。鮎川は序盤から以下の手牌。

一万二万三万二筒三筒七筒七筒二索三索三索四索五索六索

6,000オールまである1シャンテンから9巡ツモ切りでの放銃。
鮎川にしては淡泊に映る放銃だった。

2回戦成績
京平+13.5P  竹内+6.4P  鮎川▲5.5P  関根▲14.4P

2回戦終了時
竹内+46.4P  関根+39.2P  鷲見+16.8P  鮎川+3.1P  京平▲6.5P

 

3回戦(起家から 京平・鮎川・竹内・鷲見)抜け番:関根

重い場が続く。7局目にあたる東3局。ここからいきなりの乱打戦となる。
鷲見は5巡目にテンパイ。一手替わりチャンタ、イーペーコーもありここはヤミテン。
東3局

六万七万七万八万八万九万一筒一筒一筒二索三索白白  ドラ南

8巡目、京平がツモ三筒四筒のリーチ。

二万二万三万三万四万六万六万六万三筒三筒五索六索七索  リーチ

このリーチに一発で鷲見が四万を放銃。このような放銃はあまり記憶にない。
【らしくない放銃、鷲見危うし】とメモ。

この後、京平は実に5回ものアガリを積み重ねる。
完全に京平の半荘かと思いきや、竹内が2回の満貫ツモアガリ、鮎川も2度の1人テンパイで粘り、鷲見の1人沈みとなる。

3回戦成績
京平+19.2P  竹内+5.6P  鮎川+1.1P  鷲見▲26.9P

3回戦終了時
竹内+52.0P  関根+39.2P  京平12.7P  鮎川+4.2P  鷲見▲10.1P

 

4回戦(起家から 鷲見・京平・関根・竹内)抜け番:鮎川

現在トータルポイント最下位の鷲見はトップが欲しい半荘。
東場を小さいアガリながら着実に加点し、43,700点まで持ち点を伸ばす。
南場の親は流れるも次局には以下の好配牌。
南2局

配牌
一万二万三万五万六万七万九万一筒西北北発発  ドラ北

3巡目、発をポン、4巡目に八万を引き高目12,000のテンパイ。

一万二万三万五万六万七万八万九万北北  ポン発発発

6巡目、関根の七万を捕え8,000。持ち点を50,000点オーバーとし望みをつなぐ。
このまま鷲見の独走で終わるかと思われたこの半荘。京平が粘る。
南3局1本場

配牌
四万五万六万六万七万七万六索西白発発中中  ドラ六万

8巡目にテンパイ。

一万一万四万四万五万六万六万七万七万発発中中

待ち牌の五万はドラ表示牌と河に1枚。9巡目一筒をツモリ待ち変え。
序盤に二筒が3枚3者から切られている。13巡目に2,000・4,000。大きな原点回帰。
これにより5回戦終了後の敗退は関根・鮎川・鷲見の3人のいずれかという混戦へ。

4回戦成績
鷲見+25.1P  京平+10.3P  竹内▲12.4P  関根▲24.0P

4回戦終了時
竹内+39.6P  京平+23.0P  関根+15.2P  鷲見+15.0P  鮎川+4.2P

 

5回戦(起家から 関根・竹内・鮎川・鷲見)抜け番:京平

小場の展開で迎えた南1局。鮎川5巡目に、仮テンのタンヤオテンパイ。10巡目に六筒を引きリーチ。
南1局

四万五万六万六万七万八万二筒三筒四筒六筒八筒八筒八筒  リーチ  ドラ八万

その折、鷲見は8巡目に1シャンテン。

二万三万四万四万四筒五筒六筒三索三索五索五索六索七索

11巡目七筒を引かされ打五索と勝負。12巡目ツモ三万、打七筒とし5,200放銃となった。
開かれた牌姿を見つめる鷲見の表情は(やっちまった・・)。対局後鷲見は、

「直前まで四筒を切ろうと思っていたんですが、三万ツモった瞬間七筒つまんでいました・・」

残りは最終6回戦。鷲見は規定により敗退となった。

この半荘トップは関根。苦しい展開ながら後手を踏んだ時にはしっかりと対応。
竹内へ挑戦状を叩きつける。

5回戦成績
関根+17.6P  鮎川+11.6P  竹内+7.3P  鷲見▲36.5P

5回戦終了時
竹内+46.9P  関根+32.8P  京平+23.0P  鮎川+15.8P  鷲見▲21.5P

 

6回戦(起家から 関根・京平・鮎川・竹内)

東2局2本場

七万八万九万八筒九筒二索三索四索七索八索九索発発  ドラ七筒

親番の京平は10巡目にテンパイ。これを引きアガることができれば、初優勝が見えてくる。
しかし、鮎川が京平を捕え5,200。

三索四索八索八索八索東東東中中  チー六索五索七索  ロン二索

親番を迎えた鮎川。5巡目1シャンテンもこの日はここからが長い。見ているこちらが辛くなる。
やはり14巡目までツモ切りが続き河に放った五索に【ロン!】の声。
南家・竹内が開いた手牌はツモリ四暗刻。
東3局1本場

四万四万四万五万五万五万八万八万八万四筒四筒五索五索  ドラ一索

まだ東場ではあるが、同卓者には強烈なインパクトを与える。
このまま竹内優勝の空気が漂い始めるも、最後の波乱・・・・
やはりこの日のキーパーソンは京平だった。

南3局を迎え、親番の落ちた京平、関根はかなり苦しい条件となった。
親番の鮎川が10巡目リーチ。竹内はリーチの瞬間に現物を抜いた。隙がない。
1度のツモアガリは仕方なしの構えか。そして、このリーチに対し一発目から無筋を放つ京平。
私は即座に得点が記されている掲示板に目をむけた。

【役満しかないだろう・・・】
ツモアガリなら一撃で逆転・・・

14巡目、安牌に詰まった関根が手にかけたのはそれだった。
南3局

一万九万一筒九筒一索一索九索東南西白発中  ロン北  ドラ五筒

このアガリにより、一転して緊迫のオーラスを迎えることとなる。
京平の条件は、5200出アガリ、1000・2000ツモアガリ、2600直撃。
南4局

一万三万七筒九筒九筒三索三索六索七索九索東白発  ドラ一万

京平はこの配牌をどのように仕上げるのか。直撃、出アガリの期待は出来ない以上、ツモアガリが現実的である。考えられるのは、リーチツモドラ一索、またはリーチツモ役牌あたりか。
2巡目、京平が選んだ白が無情にも3連続で河に並んだ・・・・

最後に気まぐれな麻雀の女神は、最強のアマチュアを選んだ。

6回戦成績
京平+30.7P  竹内+11.5P  鮎川+3.8P  関根▲46.0P

6回戦終了時
竹内+58.4P  京平+53.7P  鮎川+19.6P  関根▲13.2P  鷲見▲21.5P

 

アマチュアでありながら、下馬評で断然の支持受けた竹内さんが初優勝。
竹内さんおめでとうございます。

対局者の皆様今回も素晴らしい対局ありがとうございました。

静岡プロリーグ レポート/第20回静岡リーグ 決勝戦観戦記

決勝進出率8割。
50名程度で行うリーグ戦において、8割の決勝進出率は尋常ではない。
静岡支部設立直後には、望月支部長が4回連続、日吉プロが3回連続決勝進出の記録があるが、当時は今と比べれば参加人数は遥に少なかった。
静岡リーグも20回目の開催を迎えることとなり、改めて一般参加の方々の支えあってのものだと身が引き締まる。そんな記念すべき20回目の静岡リーグ決勝進出者は以下の通り。
予選第1位
竹内仁さん 全5回出場 4回目の決勝進出 最高成績:3位
サンプル数は少ないものの8割の決勝進出率。
繊細な手組からの高打点を生み出すパワーは観る者も引きつける。
一般参加でありながら経験も豊富。今回の優勝候補であろう。
予選第2位
関根秀介さん 初出場 初の決勝進出
初出場にしていきなりの決勝進出はお見事。
我慢が効き、点数を持ったら崩すのは難しい。
打点力は劣るが、丁寧な手組から最速のアガリも目指す。
予選第3位
鮎川卓プロ 全7回出場 初の決勝進出
実績では断然格上。静岡プロリーグでは堂々の連覇を果たした。
メンタルは非常に強く、誤解を恐れずに記せば≪図太い≫麻雀である。
放銃を重ねても、いつのまにか戦線に復帰する。
もちろん理にかなった打牌からの攻撃力は学ぶべきところが多い。
予選第4位
鷲見隼人プロ 全10回出場 3回目の決勝進出 最高成績:優勝
鳳凰位戦では連続昇級、静岡プロリーグは第2位。今年度、結果を残した1人ではなかろうか。
他家の打牌に敏感に反応できる受け重視の麻雀。非常に繊細な麻雀を打つ。
予選第5位
京平遥プロ 全10回出場 初の決勝進出
リーグ最終節では古橋プロとの直接対決を制し初の決勝進出。
支部長が【跳満の申し子】なら彼女は【倍満プリンセス】か。
先行した時の彼女の攻撃麻雀は見事である。その反面、受けに回った時に課題が残る。
いずれにしろ今回の決勝のキーパーソンになるであろう。
静岡リーグ決勝戦は予選通過順に、
1位通過+40.0P 2位通過+30.0P 3位通過+20.0P 4位通過+10.0P 5位通過+0.0P
この通過ポイントが加算される。このポイント差こそが、静岡リーグ決勝戦の特徴である。
(以下敬称略)
 
1回戦(起家から 鮎川・京平・鷲見・関根)抜け番:竹内
誰がスタートダッシュを決めるのか。
東1局
六万七万五筒五筒六筒七筒八筒二索三索四索六索七索八索  リーチ  ドラ東
南家・京平は得意の三色リーチ。
これを高目で引きアガれば、点数的にはもちろん気分的にも大きなアドバンテージになる。結果は流局。
東2局1本場、
一万一万二万二万五万五万九万九万四索四索八索中中  ロン八索  ドラ九万
初アガリは鷲見。関根から打ち取り6,400は6,700。
次局、鮎川が500・1,000のツモアガリ。
開局から点棒を出し続けている関根の親番。
東4局
配牌
五万八万九万一筒五筒七筒九筒一索三索四索四索五索九索北  ドラ七筒
この苦しい手牌を七対子に仕上げ4,000オール。
八万八万九万九万七筒七筒九筒九筒三索四索四索五索五索  ツモ三索
このアガリでトップ目に立った関根は、南場に入り5,200、2,000、5,800と加点し終わってみれば、45,600のトップ。
予選1位の竹内が抜け番の今回、予選2位の関根がトップ。追う立場の3人には苦しいスタートとなった。
1回戦成績
関根+23.6P  鷲見+6.8P  鮎川▲11.4P  京平▲20.0P
1回戦終了時
関根+53.6P  竹内+40.0P  鷲見+16.8P  鮎川+8.6P  京平▲20.0P
 
2回戦(起家から 竹内・関根・京平・鮎川)抜け番:鷲見
8割男、竹内の登場。私も竹内の背後に位置取りメモを走らせる。
東3局2本場、
五万六万七万一筒二筒二筒三筒三筒七筒八筒九筒東東  リーチ  ドラ東
鮎川がドラを重ね10巡目リーチ。4巡後に2,000・3,900。
ここまで目立った動きのなかった鮎川。
私は【このアガリの次局が鮎川にとって分岐になる】とメモに記した。
良い状態の時は誰でもアガれる。その状態を如何に作るか。鮎川はこの時の、二の矢、三の矢が非常に優れている。決して派手な形ではない。それでもアガリに結び付けてくる。これが鮎川の≪図太さ≫。
東4局、親番を迎えた鮎川が、5巡目にツモ二万で以下のテンパイ。
二万二万三万三万四万四万六万二筒三筒四筒一索二索六索六索  ドラ四索
ここからテンパイ取らずの打一索
鮎川はこのテンパイ取らずをしないタイプだと認識していただけに、私は少々驚いた。
9巡目、鮎川のツモは四万。ここで鮎川の判断はリーチ。
二万二万三万三万四万四万四万六万二筒三筒四筒六索六索  リーチ
確かに巡目、打点とも申し分ない。しかし気になるのは残されたカンチャン待ちと、直前に処理された竹内の五万。私はメモに【微妙・・・】と記す。この鮎川にぶつけたのが京平。同巡に四筒を引き入れて、
六万六万七万八万九万四筒五筒五筒六筒六筒四索四索四索  リーチ
結果は、鮎川が16巡目に七筒を掴み8,000の放銃となった。
鮎川も対局後、この局について悔いていた。
この後、全体を通して丁寧に戦うも、態勢が上がってくることはなかった。
鮎川にとって分岐となった1局。河の14巡目には三索が置かれていた。
南4局1本場、
二万三万四万六万七万八万六筒七筒六索七索八索八索八索  ロン八筒  ドラ六索
ここまでまったく参加出来なかった竹内の一撃。
鮎川のツモ切りの八筒を捕まえ8,000。鮎川は序盤から以下の手牌。
一万二万三万二筒三筒七筒七筒二索三索三索四索五索六索
6,000オールまである1シャンテンから9巡ツモ切りでの放銃。
鮎川にしては淡泊に映る放銃だった。
2回戦成績
京平+13.5P  竹内+6.4P  鮎川▲5.5P  関根▲14.4P
2回戦終了時
竹内+46.4P  関根+39.2P  鷲見+16.8P  鮎川+3.1P  京平▲6.5P
 
3回戦(起家から 京平・鮎川・竹内・鷲見)抜け番:関根
重い場が続く。7局目にあたる東3局。ここからいきなりの乱打戦となる。
鷲見は5巡目にテンパイ。一手替わりチャンタ、イーペーコーもありここはヤミテン。
東3局
六万七万七万八万八万九万一筒一筒一筒二索三索白白  ドラ南
8巡目、京平がツモ三筒四筒のリーチ。
二万二万三万三万四万六万六万六万三筒三筒五索六索七索  リーチ
このリーチに一発で鷲見が四万を放銃。このような放銃はあまり記憶にない。
【らしくない放銃、鷲見危うし】とメモ。
この後、京平は実に5回ものアガリを積み重ねる。
完全に京平の半荘かと思いきや、竹内が2回の満貫ツモアガリ、鮎川も2度の1人テンパイで粘り、鷲見の1人沈みとなる。
3回戦成績
京平+19.2P  竹内+5.6P  鮎川+1.1P  鷲見▲26.9P
3回戦終了時
竹内+52.0P  関根+39.2P  京平12.7P  鮎川+4.2P  鷲見▲10.1P
 
4回戦(起家から 鷲見・京平・関根・竹内)抜け番:鮎川
現在トータルポイント最下位の鷲見はトップが欲しい半荘。
東場を小さいアガリながら着実に加点し、43,700点まで持ち点を伸ばす。
南場の親は流れるも次局には以下の好配牌。
南2局
配牌
一万二万三万五万六万七万九万一筒西北北発発  ドラ北
3巡目、発をポン、4巡目に八万を引き高目12,000のテンパイ。
一万二万三万五万六万七万八万九万北北  ポン発発発
6巡目、関根の七万を捕え8,000。持ち点を50,000点オーバーとし望みをつなぐ。
このまま鷲見の独走で終わるかと思われたこの半荘。京平が粘る。
南3局1本場
配牌
四万五万六万六万七万七万六索西白発発中中  ドラ六万
8巡目にテンパイ。
一万一万四万四万五万六万六万七万七万発発中中
待ち牌の五万はドラ表示牌と河に1枚。9巡目一筒をツモリ待ち変え。
序盤に二筒が3枚3者から切られている。13巡目に2,000・4,000。大きな原点回帰。
これにより5回戦終了後の敗退は関根・鮎川・鷲見の3人のいずれかという混戦へ。
4回戦成績
鷲見+25.1P  京平+10.3P  竹内▲12.4P  関根▲24.0P
4回戦終了時
竹内+39.6P  京平+23.0P  関根+15.2P  鷲見+15.0P  鮎川+4.2P
 
5回戦(起家から 関根・竹内・鮎川・鷲見)抜け番:京平
小場の展開で迎えた南1局。鮎川5巡目に、仮テンのタンヤオテンパイ。10巡目に六筒を引きリーチ。
南1局
四万五万六万六万七万八万二筒三筒四筒六筒八筒八筒八筒  リーチ  ドラ八万
その折、鷲見は8巡目に1シャンテン。
二万三万四万四万四筒五筒六筒三索三索五索五索六索七索
11巡目七筒を引かされ打五索と勝負。12巡目ツモ三万、打七筒とし5,200放銃となった。
開かれた牌姿を見つめる鷲見の表情は(やっちまった・・)。対局後鷲見は、
「直前まで四筒を切ろうと思っていたんですが、三万ツモった瞬間七筒つまんでいました・・」
残りは最終6回戦。鷲見は規定により敗退となった。
この半荘トップは関根。苦しい展開ながら後手を踏んだ時にはしっかりと対応。
竹内へ挑戦状を叩きつける。
5回戦成績
関根+17.6P  鮎川+11.6P  竹内+7.3P  鷲見▲36.5P
5回戦終了時
竹内+46.9P  関根+32.8P  京平+23.0P  鮎川+15.8P  鷲見▲21.5P
 
6回戦(起家から 関根・京平・鮎川・竹内)
東2局2本場
七万八万九万八筒九筒二索三索四索七索八索九索発発  ドラ七筒
親番の京平は10巡目にテンパイ。これを引きアガることができれば、初優勝が見えてくる。
しかし、鮎川が京平を捕え5,200。
三索四索八索八索八索東東東中中  チー六索五索七索  ロン二索
親番を迎えた鮎川。5巡目1シャンテンもこの日はここからが長い。見ているこちらが辛くなる。
やはり14巡目までツモ切りが続き河に放った五索に【ロン!】の声。
南家・竹内が開いた手牌はツモリ四暗刻。
東3局1本場
四万四万四万五万五万五万八万八万八万四筒四筒五索五索  ドラ一索
まだ東場ではあるが、同卓者には強烈なインパクトを与える。
このまま竹内優勝の空気が漂い始めるも、最後の波乱・・・・
やはりこの日のキーパーソンは京平だった。
南3局を迎え、親番の落ちた京平、関根はかなり苦しい条件となった。
親番の鮎川が10巡目リーチ。竹内はリーチの瞬間に現物を抜いた。隙がない。
1度のツモアガリは仕方なしの構えか。そして、このリーチに対し一発目から無筋を放つ京平。
私は即座に得点が記されている掲示板に目をむけた。
【役満しかないだろう・・・】
ツモアガリなら一撃で逆転・・・
14巡目、安牌に詰まった関根が手にかけたのはそれだった。
南3局
一万九万一筒九筒一索一索九索東南西白発中  ロン北  ドラ五筒
このアガリにより、一転して緊迫のオーラスを迎えることとなる。
京平の条件は、5200出アガリ、1000・2000ツモアガリ、2600直撃。
南4局
一万三万七筒九筒九筒三索三索六索七索九索東白発  ドラ一万
京平はこの配牌をどのように仕上げるのか。直撃、出アガリの期待は出来ない以上、ツモアガリが現実的である。考えられるのは、リーチツモドラ一索、またはリーチツモ役牌あたりか。
2巡目、京平が選んだ白が無情にも3連続で河に並んだ・・・・
最後に気まぐれな麻雀の女神は、最強のアマチュアを選んだ。
6回戦成績
京平+30.7P  竹内+11.5P  鮎川+3.8P  関根▲46.0P
6回戦終了時
竹内+58.4P  京平+53.7P  鮎川+19.6P  関根▲13.2P  鷲見▲21.5P
 
アマチュアでありながら、下馬評で断然の支持受けた竹内さんが初優勝。
竹内さんおめでとうございます。
対局者の皆様今回も素晴らしい対局ありがとうございました。

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ロン2ブログ紹介:佐々木寿人

2013年01月01日  ツイートから振り返る2012、くっだらねーランキングベスト5
※このブログは2010年10月にロン2ブログで掲載されたものです。

ron2_blog

新年明けましておめでとうございます!
わたくし、2013年は年男になります。
そして、その日が昇級を賭けたプロリーグ最終節とかぶっています。

歳を重ねることにはもう大した感慨もないので、どうにか最高の結果を出してその日を終えられることを願うばかりであります。

※見事昇級されました。

さて、新年一発目のブログは、昨年始めたツイッターを題材にしようと思います。
麻雀プロの中にも、荒さんをはじめ瀬戸熊さんやサルなどブログをやっている人たちが多数います。
私も誘いを受けたことはありますが、天性のズボラさから続かないことは目に見えているので、頑なに拒んでまいりました。

ツイッターもそうです。
私の生活は同じことの繰り返しで、劇的なものなどひとつもありゃしないのです。
だからどうせネタにつまって放置することになる。
だったらハナからやらない方がいい。
これが持論だったのです。

しかし、いざ決意して始めてみると、これが意外に役立つことに気付きます。
別につぶやくだけがツイートではなく、例えば本を出す、麻雀格闘倶楽部やロン2に参戦する、
テレビ対局に出演する、地方にゲストに行く、など優れた宣伝媒体の意味合いも持ち合わせていたのです。

ブログをやっていなければ全国の皆さんに色々な情報を発信することもできませんが、ツイッターはその役割も担ってくれます。
しかも楽チン。

振り返ると自分が思っていたよりは活用したような気がします。
ただまぁ中身のないものも多かった。

今回はその中でも特にくだらないと思われるトップ5を解説付きでご紹介したいと思います。
ではどうかお気楽にご覧下さい。

 

●第5位:11月28日のツイート

「ママチャリに乗ってファイトクラブやりに行きます。
中、高生のときは恥ずかしくて絶対乗れなかっただろうな。
なんてったってチャイルドシートつきだもん。この間職質かけられたわ…そんだけ怪しいってことか。」

この歳にもなると羞恥心みたいなものが減退してきます。
若い頃ならどこか突っ張ったところがあって、変な拘りなんかもあったのですが、段々細かいことは気にしない性格になってきました。
このママチャリに平気で乗れる行為なんかがその最たるものかもしれません。

ある日の昼下がり、ママチャリ号で近場のゲームセンターへ。
競技ルールを四回ほどやって入口を出たところ、背後からバタバタと走ってくる音が。

「すいません、ヒサトプロですよね?一緒に写真撮ってもらえませんか?」

急いでいるところをみるとプレー中だったのでしょう。
私は快諾して写真を撮り、ママチャリ号に乗り込みます。

いつものようにチンタラ走っていると、あることに気付きました。
そういえばもうすぐ体力系の収録(そのうち放映されます)があったな。少しは鍛えておくか。

私は完全な思いつきでペダルを速く漕ぎ始めました。
昔に比べれば衰えは顕著で、すぐに息が上がり始めました。
しかしここで諦めては男が廃るので、私はさらに速度を上げようとしました。

と、そのときです。

後ろから「すいません!」の声。

今日は随分(たったの2人目)とファンの人がいるな、と後ろを振り向くとそこには制服を着たお巡りさんが!

「防犯登録の番号を見せていただけますか?」

ママチャリとは言え、全速力で漕いでいるおっさんがいれば怪しいということなんでしょうな。
皆さんもお気をつけ下さい。

 

●第4位:12月20日のツイート

「昨日の朝、天気がいいなぁと布団を干しました。
忘年会から帰ってきてさぁ寝るかと思ったら、まだ干してました…外はすっかり星が輝いていました。
アンガー!!冷たくってとっても眠れません。」

出かける前の2時間だけでも干しておくかと思ったのが大間違い。
玄関を出るときにはすっかりそんな記憶は飛んでいます。

ただ…

私には家族がいたような…

何で取り入れてもらえなかったんだろうか…

皆さんもお気をつけ下さい。

 

●第3位:9月30日のツイート

「誰も気にしてないだろうけど、メーター中継もこれで終了です。155,500円!トリビアもんだな。
10時前に新宿に着きました。富山のAさんはじめ、色々な方に感謝しています。」

富山の麻雀店で2日間のゲスト。
ところが2日目、非常に大きな台風が列島を直撃します。
20時に富山空港を発つはずが、早い時間に欠航が決まってしまいました。

電車もそうです。
どうやらこの日に東京に戻るのは無理な模様です。

しかし、私はこの日中にどうしても戻らなくてはならない理由があったのです。
それはこの次の日に、第13回モンド杯の初回撮影があったからです。

入り時間も早いので、朝イチの飛行機でも間に合いません。
ということで昔お世話になったAさんが奥の手を用意して下さいました。

それが、富山‐東京間タクシーの旅であります。
食事はコンビニで買ったおにぎり2個、途中休憩2回で到着まで5時間半。
そしてメーターが155,500円!

長距離割引って欄があったから、実際はもうちょっと安かったかもしれません。
ただいずれにしてもとんでもない金額であることには違いありません。
Aさん、ありがとうございました!

 

●第2位:12月16日のツイート

「この間の勉強会、麻雀を打っていると何やら山井さんが近づいてきます。
どうせ私の麻雀に惚れ込んだのだろうと思いきや、おもむろにメジャーを取り出してひとの座高を測り出すってんだから驚きです。
「高いっすね!」とか言いながら公表しおって。恥ずかしいじゃあねぇか。」

山井さんは“オフェンスマスター”と呼ばれていますが、そもそもは守備的な麻雀を打っていました。
ところがあるときを境に打法を180度転換して、超がつくほどの攻撃型に変身してしまったのです。
前に出るときは何にも考えていないかのように(実際考えていないと思いますが)
いらないものをすっ飛ばし、当たるなら当たれの構えで攻め抜いてきます。

後で聞いたところによると、攻撃型に転換する際、参考にしたのが私の麻雀だったとか。
山井さんは先見の明があるなぁと、私は感心しました。
この日も後ろから近づいてくるので、「仕方ない、盗みなさい。」と口には出さないものの、
椅子を数センチだけ後ろに引いてあげるという優しさを見せてしまいました。

するとそのときです。

「ちょっと失礼します。」

「え?」

山井さんが取り出したのはメジャーでした。
そして何の説明もなく私の座高を測り出しました。
「〇〇センチっと。結構高いっすね!」

うぜー!

「ちなみにガースにも勝ってますよ(笑)!」

余計なお世話じゃ!
そういえばあのおっさん(失礼!)女性のも測ってたな。
何の仕事やってる人なんだろう。
いや、驚いたわ…

 

●第1位:12月13日のツイート

「今週放送中のモンド杯、開局私は北家。西家の山井さんが1回もツモることなく3フーロ。
手の内はこう。(1)3北白。鳴いているもんはそこそこの牌なんだけど、
現場でこの4枚だけを撮って荒さんに送ったタコスケがいたそうです。
ゲタゲタ笑いながら…どうしようもねぇ野郎だ。」

それが冒頭の写真であります。

今回のためにタコスケにメールで送ってもらいました。
こっちは必死でやってんのに、控え室ではそんなことが行われていたんです。

その映像がくっきりと頭に浮かびます。
アホ面ぶら下げて、画面に近づいて、ブレないように…
ほんっとにくだらねぇ!

お付き合いありがとうございました。
くだらなかったでしょ?

じゃあ最後は宣伝!
1月17日にマイナビから新著が発売されます。
タイトルは、「ヒサトvs滝沢麻雀戦術30番勝負」です。

これは面白いです!
2人の戦術の違いあり、対談ありでかなりの仕上がりになっていると思いますので是非ご覧下さい。

お求めはこちら 書籍・出版物ご紹介はこちら

ほんじゃあまた!

近日開催予定のロン2イベント紹介

2012christmas
◆モンド麻雀バトルGPロン2予選
MONDOTVとロン2のコラボイベント!人気プロ雀士とリアル対決出来る!!

 

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インターネット麻雀日本選手権2013 予選開催中!
インターネット麻雀の強者が一堂に集結!
日本プロ麻雀連盟のプロも参戦し、日本一の称号をかけた闘いが今、始まります!
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第16回リアル麻雀大会 5/19開催!
3/23には招待権利争奪ワンデー大会も開催!

 

 

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大人気!プロ雀士グッズを貰えるのはロン2だけ!
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2013年01月01日  ツイートから振り返る2012、くっだらねーランキングベスト5
※このブログは2010年10月にロン2ブログで掲載されたものです。
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わたくし、2013年は年男になります。
そして、その日が昇級を賭けたプロリーグ最終節とかぶっています。
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麻雀プロの中にも、荒さんをはじめ瀬戸熊さんやサルなどブログをやっている人たちが多数います。
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若い頃ならどこか突っ張ったところがあって、変な拘りなんかもあったのですが、段々細かいことは気にしない性格になってきました。
このママチャリに平気で乗れる行為なんかがその最たるものかもしれません。
ある日の昼下がり、ママチャリ号で近場のゲームセンターへ。
競技ルールを四回ほどやって入口を出たところ、背後からバタバタと走ってくる音が。
「すいません、ヒサトプロですよね?一緒に写真撮ってもらえませんか?」
急いでいるところをみるとプレー中だったのでしょう。
私は快諾して写真を撮り、ママチャリ号に乗り込みます。
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私は完全な思いつきでペダルを速く漕ぎ始めました。
昔に比べれば衰えは顕著で、すぐに息が上がり始めました。
しかしここで諦めては男が廃るので、私はさらに速度を上げようとしました。
と、そのときです。
後ろから「すいません!」の声。
今日は随分(たったの2人目)とファンの人がいるな、と後ろを振り向くとそこには制服を着たお巡りさんが!
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皆さんもお気をつけ下さい。
 
●第4位:12月20日のツイート
「昨日の朝、天気がいいなぁと布団を干しました。
忘年会から帰ってきてさぁ寝るかと思ったら、まだ干してました…外はすっかり星が輝いていました。
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出かける前の2時間だけでも干しておくかと思ったのが大間違い。
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ただ…
私には家族がいたような…
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「誰も気にしてないだろうけど、メーター中継もこれで終了です。155,500円!トリビアもんだな。
10時前に新宿に着きました。富山のAさんはじめ、色々な方に感謝しています。」
富山の麻雀店で2日間のゲスト。
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食事はコンビニで買ったおにぎり2個、途中休憩2回で到着まで5時間半。
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長距離割引って欄があったから、実際はもうちょっと安かったかもしれません。
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Aさん、ありがとうございました!
 
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どうせ私の麻雀に惚れ込んだのだろうと思いきや、おもむろにメジャーを取り出してひとの座高を測り出すってんだから驚きです。
「高いっすね!」とか言いながら公表しおって。恥ずかしいじゃあねぇか。」
山井さんは“オフェンスマスター”と呼ばれていますが、そもそもは守備的な麻雀を打っていました。
ところがあるときを境に打法を180度転換して、超がつくほどの攻撃型に変身してしまったのです。
前に出るときは何にも考えていないかのように(実際考えていないと思いますが)
いらないものをすっ飛ばし、当たるなら当たれの構えで攻め抜いてきます。
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山井さんは先見の明があるなぁと、私は感心しました。
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近日開催予定のロン2イベント紹介

2012christmas
◆モンド麻雀バトルGPロン2予選
MONDOTVとロン2のコラボイベント!人気プロ雀士とリアル対決出来る!!

 

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インターネット麻雀日本選手権2013 予選開催中!
インターネット麻雀の強者が一堂に集結!
日本プロ麻雀連盟のプロも参戦し、日本一の称号をかけた闘いが今、始まります!
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第16回リアル麻雀大会 5/19開催!
3/23には招待権利争奪ワンデー大会も開催!

 
 

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第3期グランプリMAX 二次予選レポート

2次予選からは灘、小島を筆頭に今年度活躍したプロ達がシードとして登場する。
1次予選を勝ち上がった勢いのあるプロとそれを待ち構えるシード選手。
ベスト16を懸けて戦いの火蓋が切って落とされる。

 

1卓:小島武夫 鮎川卓 内川幸太郎 古川孝次

gpmax小島武夫
gpmax鮎川卓
gpmax内川幸太郎
gpmax古川孝次

ご存知「ミスター麻雀」小島武夫。喜寿を迎えた今になってもその麻雀は衰えを知らない。
魅せる麻雀で2度目のグランプリ獲得を狙う。

鮎川卓。
プロリーグでは惜しくもBリーグ昇級を逃すものの、静岡プロリーグを制し2次予選シードに。

1回戦東1局から鮎川に大物手が入る。

二万二万白白発発発  ポン南南南  ポン中中中

安目でも倍満、高目で大三元である。
残念ながら流局となったが、鮎川の今年度の勢いを感じさせられた。

1回戦はこの勢いから鮎川がトップを取るが、易々と逃げさせてもらえる面子ではない。
2回戦以降は古川、小島のベテランの味が光り4回戦を終え以下の成績に。

4回戦終了時成績
古川+41.2P  鮎川+3.5P  小島+0.8P  内川▲46.5P

小島と鮎川の着順勝負となったのだが、東2局、親・小島、

七万八万一索二索三索七索八索九索七筒八筒九筒東東  ツモ九万  ドラ七索

十八番の三色をリーチしてツモアガリ6,000オール。
一撃で勝負を決めた。

勝ち上がり:古川孝次 小島武夫

 

2卓:灘麻太郎 西川淳 奈良圭純 森山茂和

gpmax灘麻太郎
gpmax西川淳
gpmax奈良圭純
gpmax森山茂和

「カミソリ灘」こと灘麻太郎。その読みの精度は言わずもがな超一流である。

そして第22期チャンピオンズリーグを制しシードを手にした西川。
奈良と共にベテラン2人に挑む。

1・2回戦は灘の独壇場。煽りを受けた奈良が、連続ラスと崖っぷちに立たされる。
後が無い3回戦、小さいながらも1人浮きのトップを取ると4回戦もトップを取り最終戦に望みを繋いだ。

4回戦終了時成績
灘+13.9P  西川+6.4P  奈良▲10.1P  森山▲11.2P

4者に十分な可能性があり、1つのミスも許されない最終戦となった。
東3局、親・西川、ここで西川がギャラリーを釘づけにする。

三万三万三万二索二索三索四索二筒二筒三筒四筒四筒四筒五筒

ここからテンパイ取らずの打三筒、ツモ三索で打五筒、ツモ二索で打四索
三万三万三万二索二索二索三索三索二筒二筒四筒四筒四筒

ツモり四暗刻に仕上げると、難無く三索をツモり上げ16,000オール。

これで3者の争いとなったのだが、ここは百戦錬磨のカミソリ灘。
この様な展開も幾度となく打破してきたのだろう。
抜群の局回しで浮きを確保し2位通過となった。

勝ち上がり:西川淳 灘麻太郎

 

3卓:魚谷侑未 山井弘 黒沢咲 滝沢和典

gpmax魚谷侑未
gpmax山井弘
gpmax黒沢咲
gpmax滝沢和典

マスターズベスト16、十段戦ベスト8とあと一歩で決勝の椅子を逃した山井。
今年度最後のタイトル戦に懸ける思いは人一倍であろう。

女流桜花連覇を果たした魚谷。グランプリでも嬉し涙を流すことができるか。

序盤戦、黒沢が1次予選の勢いそのままに突き進む。
滝沢は苦しい展開が続くが、何とか持ち堪えマイナスを最小限に抑える。

4回戦終了時成績
黒沢+48.4P  山井+6.8P  滝沢▲27.0P  魚谷▲28.2P

黒沢は当確。滝沢と魚谷は山井を沈めての大きなトップが必要となる。

ターゲットにされた山井であったが、今年度の鬱憤を晴らすかのようなアガリを見せる。
まずは南3局、親・山井。

一索二索三索五索五索五索七索八索白白  ポン南南南  ツモ九索  ドラ七索

この4,000オール。そして1本場では、

二筒三筒四筒六筒六筒七筒七筒八筒八筒東東東白  ツモ白

この6,100オール!
終わってみれば、黒沢を捲って堂々の首位通過。
さすがオフェンスマスターである。

勝ち上がり:山井弘 黒沢咲

 

4卓:安田麻里菜 浜上文吾 望月雅継 ダンプ大橋

gpmax安田麻里菜
gpmax浜上文吾
gpmax望月雅継
gpmaxダンプ大橋

4卓では、第10期プロクイーンの安田。十段戦ファイナリストの浜上が登場。
AⅠリーガーの望月、ダンプに挑む。
地方を背負って立つ望月と浜上は、負けられない戦いである。

1回戦、1次予選で絶不調であったのが嘘かの様にダンプが軽快に走る。
また安田も倍満をツモり上げるなど、その持ち味を存分に発揮した。

1回戦終了時成績
ダンプ+26.3P  安田+18.4P  望月▲6.5P  浜上▲38.2P

この流れは最後まで変わらず、ダンプ・安田の勝ち上がりとなった。
特にダンプは相手を寄せ付けない圧倒的勝利。まさに横綱相撲である。

勝ち上がり:ダンプ大橋 安田麻里菜

 

5卓:仁平宣明 荒正義 嶋村泰之 近藤久春

gpmax仁平宣明
gpmax荒正義
gpmax嶋村泰之
gpmax近藤久春

現役最強との呼び声高い荒正義。鳳凰位決定戦での激闘も記憶に新しい。
浜上と同じく十段戦ファイナリストの仁平。決勝の舞台には幾度となく上っているが今回はどうであろうか。
Aリーガー3人に囲まれた嶋村が、どういった戦いを見せるのかにも注目したい。

序盤戦、調子の良い近藤に逆らわず身を伏せる荒。
トーナメントを知り尽くしている荒らしい戦い方だ。
嶋村は要所要所で本手をアガリAリーガーに堂々と渡り合っている。

4回戦終了時成績
近藤+36.5P  嶋村▲0.4P  荒▲12.0P  仁平▲24.1P

近藤は大きく沈まなければ勝ち上がり。他の3者の2位争いであろう。

小場で局が進み、トータル着順の変わらないままオーラスを迎える。
荒の条件は跳満ツモ。そして10巡目以下の手牌に。

二万三万四万四万五万六万七万八万九万四索四索六索七索八索  ドラ三万

親は嶋村。場に一万は3枚切れ、三万は顔を見せていない。荒の選択は九万切りリーチ!
ギャラリーが固唾を飲んで見守る中、荒のツモにも自然と力が入る。
しかし結果は無情にも流局。荒がまさかの2次予選敗退となった。

勝ち上がり:近藤久春 嶋村泰之

 

6卓:堀内正人 柴田弘幸 平田孝章 高沢智

gpmax堀内正人
gpmax柴田弘幸
gpmax平田孝章
gpmax高沢智

第29期十段戦で、瀬戸熊との激闘を演じた堀内。その雪辱を誓う為、ここで負ける訳にはいかない。
AⅠリーグでは惜しくも決定戦進出を逃した柴田。その悔しさをグランプリにぶつける。
初戦から柴田が走りAⅠリーガーとの格の違いを3者に見せつける。

3回戦終了時成績
柴田+71.8P  堀内▲7.8P  平田▲19.1P  高沢▲45.9P

柴田の状態の良さを見たら、他の3者はこの時点で2位に照準を合わせるのが当然である。
その意思を最も感じたのがトーナメント巧者の堀内。
柴田には逆らわず、着実に局を進め瀬戸熊の待つベスト16に駒を進めた。

勝ち上がり:柴田弘幸 堀内正人

 

以上の勝ち上がり者12名に、前年度グランプリ王者・勝又健志、現鳳凰位、十段位・瀬戸熊直樹、前原雄大、藤崎智の4名を加えベスト16の戦いが行われる。
負けられない戦いはまだまだ続く。

グランプリ レポート/第3期グランプリMAX 二次予選レポート

2次予選からは灘、小島を筆頭に今年度活躍したプロ達がシードとして登場する。
1次予選を勝ち上がった勢いのあるプロとそれを待ち構えるシード選手。
ベスト16を懸けて戦いの火蓋が切って落とされる。
 
1卓:小島武夫 鮎川卓 内川幸太郎 古川孝次

gpmax小島武夫
gpmax鮎川卓
gpmax内川幸太郎
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ご存知「ミスター麻雀」小島武夫。喜寿を迎えた今になってもその麻雀は衰えを知らない。
魅せる麻雀で2度目のグランプリ獲得を狙う。
鮎川卓。
プロリーグでは惜しくもBリーグ昇級を逃すものの、静岡プロリーグを制し2次予選シードに。
1回戦東1局から鮎川に大物手が入る。
二万二万白白発発発  ポン南南南  ポン中中中
安目でも倍満、高目で大三元である。
残念ながら流局となったが、鮎川の今年度の勢いを感じさせられた。
1回戦はこの勢いから鮎川がトップを取るが、易々と逃げさせてもらえる面子ではない。
2回戦以降は古川、小島のベテランの味が光り4回戦を終え以下の成績に。
4回戦終了時成績
古川+41.2P  鮎川+3.5P  小島+0.8P  内川▲46.5P
小島と鮎川の着順勝負となったのだが、東2局、親・小島、
七万八万一索二索三索七索八索九索七筒八筒九筒東東  ツモ九万  ドラ七索
十八番の三色をリーチしてツモアガリ6,000オール。
一撃で勝負を決めた。
勝ち上がり:古川孝次 小島武夫
 
2卓:灘麻太郎 西川淳 奈良圭純 森山茂和

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「カミソリ灘」こと灘麻太郎。その読みの精度は言わずもがな超一流である。
そして第22期チャンピオンズリーグを制しシードを手にした西川。
奈良と共にベテラン2人に挑む。
1・2回戦は灘の独壇場。煽りを受けた奈良が、連続ラスと崖っぷちに立たされる。
後が無い3回戦、小さいながらも1人浮きのトップを取ると4回戦もトップを取り最終戦に望みを繋いだ。
4回戦終了時成績
灘+13.9P  西川+6.4P  奈良▲10.1P  森山▲11.2P
4者に十分な可能性があり、1つのミスも許されない最終戦となった。
東3局、親・西川、ここで西川がギャラリーを釘づけにする。
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ここからテンパイ取らずの打三筒、ツモ三索で打五筒、ツモ二索で打四索
三万三万三万二索二索二索三索三索二筒二筒四筒四筒四筒
ツモり四暗刻に仕上げると、難無く三索をツモり上げ16,000オール。
これで3者の争いとなったのだが、ここは百戦錬磨のカミソリ灘。
この様な展開も幾度となく打破してきたのだろう。
抜群の局回しで浮きを確保し2位通過となった。
勝ち上がり:西川淳 灘麻太郎
 
3卓:魚谷侑未 山井弘 黒沢咲 滝沢和典

gpmax魚谷侑未
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マスターズベスト16、十段戦ベスト8とあと一歩で決勝の椅子を逃した山井。
今年度最後のタイトル戦に懸ける思いは人一倍であろう。
女流桜花連覇を果たした魚谷。グランプリでも嬉し涙を流すことができるか。
序盤戦、黒沢が1次予選の勢いそのままに突き進む。
滝沢は苦しい展開が続くが、何とか持ち堪えマイナスを最小限に抑える。
4回戦終了時成績
黒沢+48.4P  山井+6.8P  滝沢▲27.0P  魚谷▲28.2P
黒沢は当確。滝沢と魚谷は山井を沈めての大きなトップが必要となる。
ターゲットにされた山井であったが、今年度の鬱憤を晴らすかのようなアガリを見せる。
まずは南3局、親・山井。
一索二索三索五索五索五索七索八索白白  ポン南南南  ツモ九索  ドラ七索
この4,000オール。そして1本場では、
二筒三筒四筒六筒六筒七筒七筒八筒八筒東東東白  ツモ白
この6,100オール!
終わってみれば、黒沢を捲って堂々の首位通過。
さすがオフェンスマスターである。
勝ち上がり:山井弘 黒沢咲
 
4卓:安田麻里菜 浜上文吾 望月雅継 ダンプ大橋

gpmax安田麻里菜
gpmax浜上文吾
gpmax望月雅継
gpmaxダンプ大橋

4卓では、第10期プロクイーンの安田。十段戦ファイナリストの浜上が登場。
AⅠリーガーの望月、ダンプに挑む。
地方を背負って立つ望月と浜上は、負けられない戦いである。
1回戦、1次予選で絶不調であったのが嘘かの様にダンプが軽快に走る。
また安田も倍満をツモり上げるなど、その持ち味を存分に発揮した。
1回戦終了時成績
ダンプ+26.3P  安田+18.4P  望月▲6.5P  浜上▲38.2P
この流れは最後まで変わらず、ダンプ・安田の勝ち上がりとなった。
特にダンプは相手を寄せ付けない圧倒的勝利。まさに横綱相撲である。
勝ち上がり:ダンプ大橋 安田麻里菜
 
5卓:仁平宣明 荒正義 嶋村泰之 近藤久春

gpmax仁平宣明
gpmax荒正義
gpmax嶋村泰之
gpmax近藤久春

現役最強との呼び声高い荒正義。鳳凰位決定戦での激闘も記憶に新しい。
浜上と同じく十段戦ファイナリストの仁平。決勝の舞台には幾度となく上っているが今回はどうであろうか。
Aリーガー3人に囲まれた嶋村が、どういった戦いを見せるのかにも注目したい。
序盤戦、調子の良い近藤に逆らわず身を伏せる荒。
トーナメントを知り尽くしている荒らしい戦い方だ。
嶋村は要所要所で本手をアガリAリーガーに堂々と渡り合っている。
4回戦終了時成績
近藤+36.5P  嶋村▲0.4P  荒▲12.0P  仁平▲24.1P
近藤は大きく沈まなければ勝ち上がり。他の3者の2位争いであろう。
小場で局が進み、トータル着順の変わらないままオーラスを迎える。
荒の条件は跳満ツモ。そして10巡目以下の手牌に。
二万三万四万四万五万六万七万八万九万四索四索六索七索八索  ドラ三万
親は嶋村。場に一万は3枚切れ、三万は顔を見せていない。荒の選択は九万切りリーチ!
ギャラリーが固唾を飲んで見守る中、荒のツモにも自然と力が入る。
しかし結果は無情にも流局。荒がまさかの2次予選敗退となった。
勝ち上がり:近藤久春 嶋村泰之
 
6卓:堀内正人 柴田弘幸 平田孝章 高沢智

gpmax堀内正人
gpmax柴田弘幸
gpmax平田孝章
gpmax高沢智

第29期十段戦で、瀬戸熊との激闘を演じた堀内。その雪辱を誓う為、ここで負ける訳にはいかない。
AⅠリーグでは惜しくも決定戦進出を逃した柴田。その悔しさをグランプリにぶつける。
初戦から柴田が走りAⅠリーガーとの格の違いを3者に見せつける。
3回戦終了時成績
柴田+71.8P  堀内▲7.8P  平田▲19.1P  高沢▲45.9P
柴田の状態の良さを見たら、他の3者はこの時点で2位に照準を合わせるのが当然である。
その意思を最も感じたのがトーナメント巧者の堀内。
柴田には逆らわず、着実に局を進め瀬戸熊の待つベスト16に駒を進めた。
勝ち上がり:柴田弘幸 堀内正人
 
以上の勝ち上がり者12名に、前年度グランプリ王者・勝又健志、現鳳凰位、十段位・瀬戸熊直樹、前原雄大、藤崎智の4名を加えベスト16の戦いが行われる。
負けられない戦いはまだまだ続く。

第30期関西プロアマリーグ冬の陣最終節レポート

 

第30期関西プロアマリーグも最終節を迎えて、梅田の会場には70名近い選手が一同に集まりました。
とりわけ、関西の一般参加者の熱意は高く、全国でも活躍の機会は多い。
この意識の灯を大切にしていかなくてはいけないと感じます。

第4節まではその意識の灯が煌々と燃え上がったのか、一般参加者が上位を占めました。
それでは、今期も上位のラインナップを紹介していきたいと思います。

暫定1位、花岡章生プロ 265.1P

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花岡章生プロ

現在の花岡は関西で1、2を争う安定感のあるプロ。前期のプロアマリーグでは総合2位、今年のゴールデンカップも2位入賞。関西プロリーグ「太閤位戦」は、4期連続決定戦出場と、あらゆる試合で入賞圏内に確実に足を進めている実力者でもあります。今回はその彼が首位を走る中、誰がその鉄壁の牙城を打ち崩せるかに注目が集まります。

暫定2位、米津紘平さん 222.9P

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米津紘平さん

関西プロアマリーグではすでに常連選手であり、面前主体の粘り強い打風で前半戦の首位を牽引してきました。最終節を迎えていよいよ直接対決となっても、プロである花岡に負けない気概を見せてもらえることでしょう。

暫定3位、中山千鶴プロ 203.3P

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中山千鶴プロ

関西ではまだ若手の存在ながら、麻雀に対する情熱では誰にも負けない気持ちを持っている女性選手。最近の彼女には、努力の中での成長が見られます。首位とのポイントは離れていますが、花岡プロに食らいつくガッツでトライしてくれそうです。

暫定4位、藤井一弘さん 194.0P

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藤井一弘さん

藤井さんはオンライン麻雀で鍛えた実力を存分に発揮して、今期を安定した成績を叩き出してきました。戦いは常に平常心を心がける姿勢を目指し、一歩一歩、確実に登りつめることでしょう。

暫定5位、奥田丞志さん 190.8P

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奥田丞志さん

関西プロアマリーグ初参戦という慣れない中での堂々たる成績。先日行われたゴールデンカップでも、優勝に迫るところまでの勢いを見せ、その悔しさを気炎に変えておりました。5位という位置からの立ち上がりで、相手がプロ3名と苦しいところでありますが、逆境を乗り越えて頂きたいところです。

ここから首位卓を中心に、運営リーダーこと私、近野理智男と、運営担当の坂本誠裕が実況を行っていきたいと思います。

 

1回戦(起家から)花岡、中山、藤井、米津(以下、敬称略)

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どんな試合でも、スタートがその展開を象徴することが多い。
開幕の中山からは、優勝を目指してひたすら得点を叩きに行こうという意思が感じられた。
開幕は筆者が振り向く間もなくリーチを決めて1,300・2,600のツモ。今回は成績が順位点に大きく左右されるため、順位によってはポイント差をひっくり返すことも可能だ。

東2局は親を飛ばされた花岡が、北のみのアガリで軽く場を流す。その花岡の次局の捨て牌、

花岡
五筒四筒四万六万八索九万一索七索九筒  ドラ六筒

こう並ぶと場に緊張が走るが、ただ黙っては終わらない3者。
米津が12巡目にピンフドラ1の五筒八筒ピン待ちでリーチ。流局すれば花岡以外の3人がテンパイだったが、実は最初にテンパイしていたのは花岡。六筒ピン単騎の七対子であったが、米津の手をドラ使いの好形と読み切って、自身の待ちは薄いと無筋を一発で切り飛ばさなかった。結果的には、その為にアガリ逃しをしてしまう訳だが、これがその後の展開にどう影響するか注目していきたい。

次局も、1人テンパイを決めた米津が、気運を高めて迎えた親番の7巡目、トイツ気配が漂う中で以下の牌姿を迎える。

米津
二万三万三万五万五万九万九万一筒一筒五索五索発中  ツモ三索  ドラ発

二万中も打ち取りやすい牌だが、場に3枚切れの六索を見て、ここの選択は打二万。これは鋭い選択ではないかと場を見守る中、読みが当たれば嵐が吹き荒れるかもと感じた瞬間、吸い込まれるようにすぐの三索引き。これで意を決した米津が高らかにリーチを宣言し、ドラをツモりあげた。

米津
三万三万五万五万九万九万一筒一筒三索三索五索五索発  リーチ  ツモ発  ドラ発

米津の僥倖に対して普通ならば動揺する場面でも、相手にどんなアガリを見せつけられても動じないのが花岡の強みである。米津には連荘でさらに好手が入っていたが、花岡は何かを感じとったかのように真っすぐ牌を切り出していく。そして、ここでリーチを決めてアガったまさかの牌姿が、

花岡
四筒四筒七筒七筒六索六索八索八索南南北
ツモ北  ドラ北

先ほどの、米津のアガリの相似形であった。やられた事はやり返せばいい。そんなセリフが聞こえてきそうな展開に、まるで格闘漫画を思わせるような最終節らしい熱い攻防となってきた。

南場に入っては、2人の跳満に追いつかれた形となった中山が気合いの攻めを見せた。5巡目に八万をポンした親の花岡は、いかにもドラがありそうな仕掛けに見える。これに対して、中山がドラ切りリーチで果敢に挑むと、これも吸い込まれるようにポン。

中山
五万五万六万六万二索三索四索八索八索八索東東東  ツモ五万 ドラ二万

しかし、ここは中山の気合が勝って、望外のツモを得た。ここまでツモによる失点だけでもお互いを疲弊する乱打戦。ここでさらに中山が米津から5,800を打ち取りトップ目に立った。

最後の親番で少しでも苦境を覆したいのが藤井だったが、親満のホンイツテンパイもむなしく、花岡のリーチに突き刺ささってしまう。
次局で、1回戦は50分の時間切れを迎えた。今まで展開に恵まれなかった藤井が最後に迎えたチャンス手、しかしテンパイが遅かった。

藤井
一索一索三索四索四索七索七索八索八索南南白白  ドラ一筒

藤井はここであえてリーチを選択した。その理由として、ダンラスである以上、どこから出ても順位は変わらないからである。あくまで最後は最高形を目指したという意思表示の為に牌を横にしてリーチとした。普段から折り目正しい藤井らしい、美しい姿勢だと感じた。

1回戦から波乱を含んだ戦いはまず、中山と米津が首位の花岡に条件を押しつけた形となった。しかし、花岡にはまだ大きな失策は見受けられない。この壁をうち崩すまでにはまだ時間がかかりそうだ。

坂本:2番卓は関西Aリーガーの貫録を見せつけた貫上が場を圧倒させるトップを取り、総合4位に浮上した模様です。これで首位卓はプロの濃度がますます高くなりましたね。

1回戦終了時、
1位:花岡章生262.0P 2位:米津紘平235.6P 3位:中山千鶴228.3P 4位:貫上洋志202.3P

 

2回戦(起家から)、中山、貫上、米津、花岡 

houou

競技の鉄則として、負けた者と勝った者が入れ代わる。2番卓を制したのは貫上洋志、これで1番卓のプロは3名となった。花岡と貫上は共に関西のAリーガーであり、互いに同じ意識を持ってプロアマリーグに参加してくれている。一般選手に対して、技術やマナーでプロ選手としての責任を果たすこと。2人ともそれができるレベルであることは間違いない。

しかし、米津の背中からは熱い闘志が消えることはなかった。普段から決して無茶をする打ち手ではないだけに、静かに牌に向き合う姿に迫力が感じられた。

軽く場が流れて迎えた東3局2本場、親の米津に対して西家・中山、4巡目の手牌。

中山
一万二万三万七万八万九万二筒四筒七筒九筒六索七索八索東  ドラ六筒

ここから安易に東を切らないのがプロの手筋。打九筒ピンとすると、米津の6巡目テンパイは以下の形だった。

米津リーチ
三万四万五万一筒二筒三筒四索四索六索七索八索東東  リーチ  ドラ六筒

きっちりとした抑えを見せた東3局3本場、ご褒美とばかりに中山にチャンス手が入る。以下のテンパイを果たしてからすぐの12巡目、

中山
一筒二筒三筒四筒六筒六筒七筒八筒九筒九筒九筒南南  ツモ九筒

まだ他家にわかりやすい動きが無い中、ここはリスクを冒してでも六筒切りの一手だと筆者は思ったのだが、ここで中山が選んだのは九筒のカンであった。
リーチでアガリやすい形ならまだいいが、ここでは南を3枚にした時に有効枚数を損なうのと、カンドラが他家のリーチを誘発しないかという不安が浮上する。もちろん、リンシャンでツモれば、これはこれでドラマチックだが、やはり親の米津からリーチがかけられた。

米津リーチ
一万二万五万六万七万二筒三筒四筒五筒五筒四索五索六索  リーチ  ツモ三万  ドラ二万一万  ウラ六万三索

カンが入らなくても米津がリーチしたら、結果的には同じだったかもしれないが、気持ちの上では中山が失敗した感覚になるのが麻雀の難しいところだ。それにしても米津が強い。

米津がトップの状態で、南2局1本場。再びカウンターを決めたい花岡に面白い手が来た。

花岡
二万三万三万四万三筒四筒五筒二索三索三索四索四索四索  ツモ四筒  ドラ四万

ドラが四万だけに悩ましいところだが、一引きが残念な形である。確定タンヤオとすぐの三色を見て三万切りが妙味かなと筆者は感じたが、ここでの花岡の選択はノータイムで打四筒。結果、すぐの二筒引きで裏目かと思いきや、最終形が懐の深く、花岡の強さを垣間見た。

花岡
二万二万三万四万五万三筒四筒五筒二索三索三索四索四索  ロン五索  ドラ四万

全てをテンビンにかけていた花岡に、元よりリーチの選択などなかったわけである。どちらに掴まっても沈黙の満貫。ここでは貫上が蜘蛛の糸にからめ捕られた。

ポイントはまだまだ首位に届かない中、ここはひたすら攻めたい中山がひたむきに前に出る。しかし、守備の固い選手が3人揃うと、前に出る者が不利になるのは多数決の原理か。再び親の米津を前にして、

米津リーチ
一万二万三万六万八万三索四索五索西西北北北  ロン七万  ドラ三万  ウラ三索

東場のアヤだろうか、手痛い打ち込みでここは惜しくも中山が大きく後退してしまった。
米津がトップのまま迎えたオーラス、我慢してきた花岡のテンパイが早い。6巡目のリーチ、

花岡
四万四万九万六筒六筒七筒七筒八筒八筒九索九索北北  リーチ  ドラ九万

ここにきて流れが掴めていない貫上が、花岡と同時にピンフのみのテンパイを入れた。花岡とは5,600点開いた3着目という悩ましい状況で、普段ならヤミに構えたいところだ。しかし花岡の気合のこもり方で打点の高いリーチであることを理解していた貫上は、条件を満たさないリーチで果敢に戦いを挑んだ。こういう場面で逆が打てるのが貫上の強さである。

貫上
五万六万七万二筒三筒四筒九筒九筒二索三索四索七索八索  リーチ  ツモ六索  ドラ九万  ウラ三索

貫上にとって、プレイヤーとして意識すべきは首位の花岡の存在である。この手を花岡より先にツモりあげた瞬間、裏ドラの存在も必然だったように思えた。タイミングを心得たアガリは、その意識の現れだと思ってもいいのだろうか。

ここでラスに落ちてしまった中山は首位卓から脱落。厳しいながら、彼女は本当によく頑張った。この経験は、必ずこれからの活躍の機会に活きてくることだろう。そして、この戦いで2回連続、花岡に3着を押し付けた米津が、ついに花岡の得点を抜き去り首位に立った。

これが最終戦であれば嬉しいところだろうが、まだ戦いが続く限り米津も簡単には表情を崩さない。そして、花岡もこのまま沈黙で終わらないはずだ。
今期のプロアマリーグはプロvsアマチュアの対決の様相を呈してきた。

坂本:2番卓では下位から上がってきた宮田プロがさらなるリードを伸ばし、総合3位へ。若い選手だけに先輩プロたちを相手に下剋上を果たしてやろうという気合がみなぎっています。

2回戦終了時、1位:米津紘平268.3 2位:花岡章生 254.3 3位:宮田豊夢:238.0 4位:貫上洋志210.5

 

3回戦(起家から)、花岡、宮田、米津、貫上

houou

2回戦で敗れた者に代わり上がってきたのが、関西の若手プロの宮田。今期関西プロリーグもBリーグへ昇格を決めて勢いがある。

麻雀に流れはあるか、そんなテーマは昔からされてきた。しかし、間違いなく言えることは勝負事の基本はミスの少ない者に有利に働くということだ。ここまで花岡に大きなミスはない。米津のファインプレーが花岡を苦しめてきたものの、どれだけ押し切られても横綱のように簡単に土俵を割らない粘りを見せつけていた。

麻雀はこれまでの積み重ねが必ず結果に繋がる競技だと言った者がいた。いよいよ折り返し地点となる3回戦。あえて、その言葉を借りるとすれば、ここで誰がその結果に繋げていくのだろうか。

3回戦、東1局から事件は起きた。何の前触れもなかったところに、突如吹き荒れた一陣の強風。何事もなかったかのような表情で一発でツモった、花岡の6,000オールだった。

花岡
三万三万六万七万八万一筒二筒三筒三筒四筒五筒七索八索  リーチ  一発ツモ六索  ドラ三万  ウラ中

そして、このアガリを皮切りに嵐は訪れる。東1局1本場、早く親を流したい宮田が仕掛けるも、再び親の花岡がリーチを入れた。危機を感じた貫上も、ストップをかける為に追いかけるのだが、

花岡
三万四万五万六万七万八万四筒四筒六筒八筒二索三索四索  リーチ  ツモ七筒  ドラ八万  ウラ六万

しかし、軍配はまたも花岡。これもまた地面を割るような大きいアガリだった。まだ、3回戦が始まって、たった2局のことである。その後も花岡の勢いは止まらず、2本場もテンパイしている宮田から花岡が打ち取り3,900は4,500。怒涛の3連荘を決めた。

3本場、花岡の手にはドラの七筒が2枚あり、また形がよかった。突然訪れた花岡の好調は、ライバルである米津にとって悪夢でしかない。これが決まれば完全に形勢が逆転するといった良手だが、もはやこれ以上の連荘は許さないと、普段は仕掛けない米津が翻牌の西と東を叩いた。これに煽られた宮田が10巡目にリーチをかけると、その時の花岡が以下の手牌。

花岡10巡目
一万二万三万二筒二筒六筒六筒七筒七筒四索四索五索六索  ツモ北  ドラ七筒

さあここでどう打つのだろうか。まずは米津の鳴きが本手かどうか見極めたいところだが、北1枚を勝負してもいいと思わせる好手でもある。

ここで花岡は少考することなく、先程までの猛攻から一転、あっさりと安全なマンズ面子を崩した。そして次巡、すぐに宮田のロン牌の九筒を掴む。

宮田テンパイ
三万四万五万三筒三筒三筒四筒五筒七筒八筒五索六索七索

あの手牌で、これが止まるのだから凄い。1回戦のレポートを振り返ってもらうとわかるのだが、一番最初に七対子ドラ2のテンパイを果たしながら、米津のリーチに無筋の四索を打たなかった場面がある。1回戦で止めた四索は当たりではなかったが、ドラ含みのピンフ形の牌姿はずばり読みの範疇だった。この局も米津がソーズの本手である危険性を考慮し、かつ宮田がアガリやすい形の待ちであれば、花岡にとってはドラ2の1シャンテンも止まるべき赤信号だったのだ。これが積み重ねというのであれば、これからの花岡にさらなる加速の予感を感じ、恐ろしく思えてきた。
結果は、米津が2,600で宮田からロンアガリをするも、花岡が宮田に打ちこんでくれた方が展開的にはありがたかったに違いない。

宮田は若い選手で麻雀はまだ荒いが、攻撃的で手数を繰り出すタイプの打ち手である。ましてや一発裏ドラありのBルール、局の半分近くもリーチをかけられると、前に出なければならない立場の米津は辛かった。本来ならば、少しでも花岡の得点に追いつきたいところ。しかし、宮田の動きに合わせてしまうと、米津自身の仕掛けもリーチも早くて安くなるジレンマが発生する。常に卓上には敵が4人いる。相手3人と、そして何より自分自身だ。これが麻雀の真に難しいところだろう。

そして展開は最後まで花岡に有利になった。激しく攻める2人から一歩距離を置いたところに身を置くと、南1局1本場で花岡は親の宮田から七対子ツドラ2を射抜いた。オーラス、ドラ2枚を抱えてなんとかものにしたい米津が果敢に仕掛けるも、

米津、
六万六万四筒四筒五筒八索八索八索中中  ポン七索七索七索  ドラ六万

しかし、ここは仕掛けのタイミングが上回り、花岡に軍配が上がる。

花岡
一万一万五索六索七索南南南発発  チー九万七万八万  ロン一万  ドラ六万

土壇場を迎えて、花岡の麻雀が場を震撼させた3回戦だった。麻雀はたった1回の半荘の出来事でも、それまでの軌跡を塗り替えることができる。これで暫定首位が再び花岡に戻ってきたが、これで諦める米津ではない。

そしてついに、長かったリーグ戦も佳境を迎え、参加する全ての選手にとって残すところあと1回戦となった。

坂本:3回戦は先ほど脱落したばかりの中山プロが、もう一度息を吹き返して決勝卓にリベンジを挑みます。アマチュア2位も接戦となり、奥田さん、藤井さん、佐藤さんがその座を争う模様となりました。みなさん真剣な表情で戦いに臨まれていますね。

3回戦終了時、1位:花岡章生314.6 2位:米津紘平263.7 3位:中山千鶴 203.9 4位:宮田豊夢:201.8

 

最終戦(起家から)宮田、花岡、中山、米津

houou

プロアマリーグは大会の順位以外にも、プロアマの上位2名ずつにマスターズ本戦シードの権利がかかっている。そのため、注目される対決は首位卓のみではない。優勝争いは花岡、米津の直接対決に絞られたが、アマチュアの2位枠は藤井、奥田、佐藤の順番で争われた。

決勝卓は首位の花岡がポイント差を大きく開けたものの、順位点があるため着順によってはまだひっくり返せる可能性がある。米津にとっても優勝のかかったラストチャンス。ここまで懸命に活躍を見せただけに、できる限り踏ん張ってもらいたい。

2回戦で脱落した中山が再び決勝卓へ戻ってきた。これができるのは地力がある証拠である。優勝までのポイントは果てしなく遠いが、それでも最後まで挑み続けるのがプロの麻雀だろう。

この局は宮田の自己主張から始まった。総合優勝の他に本戦シードがかかっているだけに、どの選手も可能性がある限り諦めないのがリーグ戦の醍醐味である。ポイント差は大きく開けど、がんがんと攻める宮田を咎められない。

東3局、仕掛けの早い宮田の親番に対してアガリを決めたい米津であったが、

宮田
五筒六筒四索四索  ポン八万八万八万  ポン五索五索五索  ポン発発発  ドラ四索

米津
四万五万七万八万九万七筒八筒六索七索八索九索北北  ツモ七筒

ここは宮田の仕掛けに七筒が打てず、打八筒とする。さすがと言いたいところだが、ここでロン牌を掴むあたり波に乗れていない。

東3局1本場、花岡の第一打のドラ二筒に宮田が飛びついた。花岡にとっては、意識しなくてはならないのは米津の動向。例え誰かにドラを叩かれたとしても、それが米津に対する押さえつけになれば、自身に有利に働くことを知っている。結果、アガリには結びつかなかったが、2度の1人テンパイで宮田が3本場を迎える。

そして、その3本場で波乱が巻き起こった。面前指向で大きく叩きたい中山は、以下の手牌から、セオリーとばかりにテンパイと同時にカンをしてリーチをかけた。これだけで裏ドラが乗れば満貫。手順を考えれば仕方がない、と言いたいところだが、流れを掴めていない状態のカンは、これまでも自分の首を絞めてきた。そして、ここでツモったのは花岡。見事なまでの漁夫の利という他ならない。

中山
二万二万三筒四筒六筒六筒七筒八筒四索五索  暗カン牌の背九索九索牌の背  ドラ白六索

花岡
三万四万五万一筒二筒三筒六索六索白白  ポン東東東  ツモ六索

東4局、大きすぎる点差に対しても米津はまだ諦めない。花岡の親を押さえつけようと激しく仕掛ける。しかし、波に乗った花岡の手牌はすでに6巡目でテンパイ。さらに、これをリーチすることなくツモ。

花岡
二万三万四万五万一索二索三索四索五索六索七索八索九索  ツモ五万  ドラ八万

1本場、上げ潮とはまさにこのことを言う。この配牌も最速の手順で決めた。

花岡配牌
七筒四索四索五索六索七索八索北北白白白発中  ドラ四万

花岡8巡目
四索四索五索六索七索七索八索  暗カン牌の背白白牌の背  ポン北北北  ツモ六索

いよいよ時間切れを迎えたオーラスは米津が親だったが、配牌を見ればため息が出そうだ。

米津配牌
二万六万八万六筒六筒七筒四索六索南西北北発発中  ドラ九万

しかし、米津は最後までしっかりと手役を見据えて打った。一打、一打、これまで培ってきた姿勢を崩さず、大事にツモに力を込める。これまでの積み重ねが、自分をこの場に立たせてくれている。花岡という厚い壁さえなければ、優勝してもおかしくないポイントを叩き出してきた。

米津17巡目
一筒一筒九筒南西西北北白発発中中  ツモ九筒

最後のツモでホンロー七対子のテンパイが取ることもできた。しかし、米津は安全牌を2枚重ねて落とし、綺麗に幕を降ろすことを選んだ。本当にこの半年間、その丁寧な姿勢を崩さず戦ってきたことを心より評価したい。

こうして、第30期関西プロアマリーグの優勝が決定した。300P超えという圧巻の実力を見せた花岡章生プロに、共に戦ってきた参加選手たちから惜しみない拍手が送られたのだった。

坂本:花岡プロの優勝の舞台裏では、アマチュアシードをめぐって熱い戦いが行われました。そちらでは奥田さん、佐藤さん、藤井さんという3つ巴の中、冷静な打ちまわしでリードを保ち、ポイントを守りきった藤井さんがアマチュア2位の座を獲得されました。

最終節終了時、優勝:花岡章生プロ358.1P 2位入賞:米津紘平さん243.9P 3位入賞宮田豊夢プロ209.7P 4位入賞、藤井一弘さん203.5P

gpmax優勝、花岡章生プロ
gpmax2位入賞、米津紘平さん
gpmax3位入賞、宮田豊夢プロ
gpmax4位入賞、藤井一弘さん

全ての試合が終わった後は、会場はいつものような和やかな雰囲気に戻っていた。戦いは悲喜こもごもだが、そこにはやりきった清々しさが残る。これは、リーグ戦という長い道のりを乗り越えた者だけにしかわからない達成感である。機会があれば、一度は味わって頂きたい感覚である。

優勝した花岡章生プロにコメントを頂いた。

houou

花岡「開幕は選手を意識するより、まずはミスをしないことを重視して考えていました。けれど、1回戦、東3局で6巡目に七対子のドラ単騎をテンパイしていたのだけど、米津さんのリーチにドラのピンフ気配があったから、待ちが弱いために無筋が打ち切れず、オリてしまったんですよね。その結果、自分にアガリ逃しが生まれたので、その後の米津さんの6,000オールを受けても、これは自分にとってのミスだと感じました。

それからの試合に対しても、極力ミスをなくして相手の動向に惑わされることなく、自身の麻雀の内容を重視して戦ってきた結果、3回戦からは自分に運が向いてきたのだと感じています。最後は米津さんとの一騎打ちになったので意識をしましたが、最後までいい波に乗れましたね。これからもミスをなくして、いい麻雀を積み重ねることで色々な大会で優勝を狙っていきたいと思います。これからも宜しくお願いします。」

余談にはなるが、16期生の私と、17期生の花岡との付き合いは長い。学生時代の彼を知っているのは関西でも貴重な存在だ。その時から自分というものを曲げずに対局に取り組んできたのが彼である。そんな彼だからこそ、これからももっと色々な舞台で飛躍して欲しいと思う。意識を持って、結果を生み出すことのできる実力のあるプロだからこそ。

花岡プロは近く、関西プロリーグの頂点を決める太閤位決定戦を控えている。こちらの試合もぜひ楽しみにして頂きたい。

最後になりましたが、今年もたくさんの方に関西プロアマリーグにご参加頂き、本当にありがとうございました。これからも関西本部一同、麻雀を心の底から楽しんで貰えるような競技リーグを目指して頑張っていきたいと思います。どうぞ、どなた様もお気軽に会場にお越し頂き、競技麻雀の熱意に触れて下さい。
拙いレポートになりましたが、ご精読ありがとうございました。

関西プロリーグ レポート/第30期関西プロアマリーグ冬の陣最終節レポート

 
第30期関西プロアマリーグも最終節を迎えて、梅田の会場には70名近い選手が一同に集まりました。
とりわけ、関西の一般参加者の熱意は高く、全国でも活躍の機会は多い。
この意識の灯を大切にしていかなくてはいけないと感じます。
第4節まではその意識の灯が煌々と燃え上がったのか、一般参加者が上位を占めました。
それでは、今期も上位のラインナップを紹介していきたいと思います。
暫定1位、花岡章生プロ 265.1P

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花岡章生プロ

現在の花岡は関西で1、2を争う安定感のあるプロ。前期のプロアマリーグでは総合2位、今年のゴールデンカップも2位入賞。関西プロリーグ「太閤位戦」は、4期連続決定戦出場と、あらゆる試合で入賞圏内に確実に足を進めている実力者でもあります。今回はその彼が首位を走る中、誰がその鉄壁の牙城を打ち崩せるかに注目が集まります。
暫定2位、米津紘平さん 222.9P

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米津紘平さん

関西プロアマリーグではすでに常連選手であり、面前主体の粘り強い打風で前半戦の首位を牽引してきました。最終節を迎えていよいよ直接対決となっても、プロである花岡に負けない気概を見せてもらえることでしょう。
暫定3位、中山千鶴プロ 203.3P

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中山千鶴プロ

関西ではまだ若手の存在ながら、麻雀に対する情熱では誰にも負けない気持ちを持っている女性選手。最近の彼女には、努力の中での成長が見られます。首位とのポイントは離れていますが、花岡プロに食らいつくガッツでトライしてくれそうです。
暫定4位、藤井一弘さん 194.0P

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藤井一弘さん

藤井さんはオンライン麻雀で鍛えた実力を存分に発揮して、今期を安定した成績を叩き出してきました。戦いは常に平常心を心がける姿勢を目指し、一歩一歩、確実に登りつめることでしょう。
暫定5位、奥田丞志さん 190.8P

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奥田丞志さん

関西プロアマリーグ初参戦という慣れない中での堂々たる成績。先日行われたゴールデンカップでも、優勝に迫るところまでの勢いを見せ、その悔しさを気炎に変えておりました。5位という位置からの立ち上がりで、相手がプロ3名と苦しいところでありますが、逆境を乗り越えて頂きたいところです。
ここから首位卓を中心に、運営リーダーこと私、近野理智男と、運営担当の坂本誠裕が実況を行っていきたいと思います。
 
1回戦(起家から)花岡、中山、藤井、米津(以下、敬称略)

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どんな試合でも、スタートがその展開を象徴することが多い。
開幕の中山からは、優勝を目指してひたすら得点を叩きに行こうという意思が感じられた。
開幕は筆者が振り向く間もなくリーチを決めて1,300・2,600のツモ。今回は成績が順位点に大きく左右されるため、順位によってはポイント差をひっくり返すことも可能だ。
東2局は親を飛ばされた花岡が、北のみのアガリで軽く場を流す。その花岡の次局の捨て牌、
花岡
五筒四筒四万六万八索九万一索七索九筒  ドラ六筒
こう並ぶと場に緊張が走るが、ただ黙っては終わらない3者。
米津が12巡目にピンフドラ1の五筒八筒ピン待ちでリーチ。流局すれば花岡以外の3人がテンパイだったが、実は最初にテンパイしていたのは花岡。六筒ピン単騎の七対子であったが、米津の手をドラ使いの好形と読み切って、自身の待ちは薄いと無筋を一発で切り飛ばさなかった。結果的には、その為にアガリ逃しをしてしまう訳だが、これがその後の展開にどう影響するか注目していきたい。
次局も、1人テンパイを決めた米津が、気運を高めて迎えた親番の7巡目、トイツ気配が漂う中で以下の牌姿を迎える。
米津
二万三万三万五万五万九万九万一筒一筒五索五索発中  ツモ三索  ドラ発
二万中も打ち取りやすい牌だが、場に3枚切れの六索を見て、ここの選択は打二万。これは鋭い選択ではないかと場を見守る中、読みが当たれば嵐が吹き荒れるかもと感じた瞬間、吸い込まれるようにすぐの三索引き。これで意を決した米津が高らかにリーチを宣言し、ドラをツモりあげた。
米津
三万三万五万五万九万九万一筒一筒三索三索五索五索発  リーチ  ツモ発  ドラ発
米津の僥倖に対して普通ならば動揺する場面でも、相手にどんなアガリを見せつけられても動じないのが花岡の強みである。米津には連荘でさらに好手が入っていたが、花岡は何かを感じとったかのように真っすぐ牌を切り出していく。そして、ここでリーチを決めてアガったまさかの牌姿が、
花岡
四筒四筒七筒七筒六索六索八索八索南南北
ツモ北  ドラ北
先ほどの、米津のアガリの相似形であった。やられた事はやり返せばいい。そんなセリフが聞こえてきそうな展開に、まるで格闘漫画を思わせるような最終節らしい熱い攻防となってきた。
南場に入っては、2人の跳満に追いつかれた形となった中山が気合いの攻めを見せた。5巡目に八万をポンした親の花岡は、いかにもドラがありそうな仕掛けに見える。これに対して、中山がドラ切りリーチで果敢に挑むと、これも吸い込まれるようにポン。
中山
五万五万六万六万二索三索四索八索八索八索東東東  ツモ五万 ドラ二万
しかし、ここは中山の気合が勝って、望外のツモを得た。ここまでツモによる失点だけでもお互いを疲弊する乱打戦。ここでさらに中山が米津から5,800を打ち取りトップ目に立った。
最後の親番で少しでも苦境を覆したいのが藤井だったが、親満のホンイツテンパイもむなしく、花岡のリーチに突き刺ささってしまう。
次局で、1回戦は50分の時間切れを迎えた。今まで展開に恵まれなかった藤井が最後に迎えたチャンス手、しかしテンパイが遅かった。
藤井
一索一索三索四索四索七索七索八索八索南南白白  ドラ一筒
藤井はここであえてリーチを選択した。その理由として、ダンラスである以上、どこから出ても順位は変わらないからである。あくまで最後は最高形を目指したという意思表示の為に牌を横にしてリーチとした。普段から折り目正しい藤井らしい、美しい姿勢だと感じた。
1回戦から波乱を含んだ戦いはまず、中山と米津が首位の花岡に条件を押しつけた形となった。しかし、花岡にはまだ大きな失策は見受けられない。この壁をうち崩すまでにはまだ時間がかかりそうだ。
坂本:2番卓は関西Aリーガーの貫録を見せつけた貫上が場を圧倒させるトップを取り、総合4位に浮上した模様です。これで首位卓はプロの濃度がますます高くなりましたね。
1回戦終了時、
1位:花岡章生262.0P 2位:米津紘平235.6P 3位:中山千鶴228.3P 4位:貫上洋志202.3P
 
2回戦(起家から)、中山、貫上、米津、花岡 

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競技の鉄則として、負けた者と勝った者が入れ代わる。2番卓を制したのは貫上洋志、これで1番卓のプロは3名となった。花岡と貫上は共に関西のAリーガーであり、互いに同じ意識を持ってプロアマリーグに参加してくれている。一般選手に対して、技術やマナーでプロ選手としての責任を果たすこと。2人ともそれができるレベルであることは間違いない。
しかし、米津の背中からは熱い闘志が消えることはなかった。普段から決して無茶をする打ち手ではないだけに、静かに牌に向き合う姿に迫力が感じられた。
軽く場が流れて迎えた東3局2本場、親の米津に対して西家・中山、4巡目の手牌。
中山
一万二万三万七万八万九万二筒四筒七筒九筒六索七索八索東  ドラ六筒
ここから安易に東を切らないのがプロの手筋。打九筒ピンとすると、米津の6巡目テンパイは以下の形だった。
米津リーチ
三万四万五万一筒二筒三筒四索四索六索七索八索東東  リーチ  ドラ六筒
きっちりとした抑えを見せた東3局3本場、ご褒美とばかりに中山にチャンス手が入る。以下のテンパイを果たしてからすぐの12巡目、
中山
一筒二筒三筒四筒六筒六筒七筒八筒九筒九筒九筒南南  ツモ九筒
まだ他家にわかりやすい動きが無い中、ここはリスクを冒してでも六筒切りの一手だと筆者は思ったのだが、ここで中山が選んだのは九筒のカンであった。
リーチでアガリやすい形ならまだいいが、ここでは南を3枚にした時に有効枚数を損なうのと、カンドラが他家のリーチを誘発しないかという不安が浮上する。もちろん、リンシャンでツモれば、これはこれでドラマチックだが、やはり親の米津からリーチがかけられた。
米津リーチ
一万二万五万六万七万二筒三筒四筒五筒五筒四索五索六索  リーチ  ツモ三万  ドラ二万一万  ウラ六万三索
カンが入らなくても米津がリーチしたら、結果的には同じだったかもしれないが、気持ちの上では中山が失敗した感覚になるのが麻雀の難しいところだ。それにしても米津が強い。
米津がトップの状態で、南2局1本場。再びカウンターを決めたい花岡に面白い手が来た。
花岡
二万三万三万四万三筒四筒五筒二索三索三索四索四索四索  ツモ四筒  ドラ四万
ドラが四万だけに悩ましいところだが、一引きが残念な形である。確定タンヤオとすぐの三色を見て三万切りが妙味かなと筆者は感じたが、ここでの花岡の選択はノータイムで打四筒。結果、すぐの二筒引きで裏目かと思いきや、最終形が懐の深く、花岡の強さを垣間見た。
花岡
二万二万三万四万五万三筒四筒五筒二索三索三索四索四索  ロン五索  ドラ四万
全てをテンビンにかけていた花岡に、元よりリーチの選択などなかったわけである。どちらに掴まっても沈黙の満貫。ここでは貫上が蜘蛛の糸にからめ捕られた。
ポイントはまだまだ首位に届かない中、ここはひたすら攻めたい中山がひたむきに前に出る。しかし、守備の固い選手が3人揃うと、前に出る者が不利になるのは多数決の原理か。再び親の米津を前にして、
米津リーチ
一万二万三万六万八万三索四索五索西西北北北  ロン七万  ドラ三万  ウラ三索
東場のアヤだろうか、手痛い打ち込みでここは惜しくも中山が大きく後退してしまった。
米津がトップのまま迎えたオーラス、我慢してきた花岡のテンパイが早い。6巡目のリーチ、
花岡
四万四万九万六筒六筒七筒七筒八筒八筒九索九索北北  リーチ  ドラ九万
ここにきて流れが掴めていない貫上が、花岡と同時にピンフのみのテンパイを入れた。花岡とは5,600点開いた3着目という悩ましい状況で、普段ならヤミに構えたいところだ。しかし花岡の気合のこもり方で打点の高いリーチであることを理解していた貫上は、条件を満たさないリーチで果敢に戦いを挑んだ。こういう場面で逆が打てるのが貫上の強さである。
貫上
五万六万七万二筒三筒四筒九筒九筒二索三索四索七索八索  リーチ  ツモ六索  ドラ九万  ウラ三索
貫上にとって、プレイヤーとして意識すべきは首位の花岡の存在である。この手を花岡より先にツモりあげた瞬間、裏ドラの存在も必然だったように思えた。タイミングを心得たアガリは、その意識の現れだと思ってもいいのだろうか。
ここでラスに落ちてしまった中山は首位卓から脱落。厳しいながら、彼女は本当によく頑張った。この経験は、必ずこれからの活躍の機会に活きてくることだろう。そして、この戦いで2回連続、花岡に3着を押し付けた米津が、ついに花岡の得点を抜き去り首位に立った。
これが最終戦であれば嬉しいところだろうが、まだ戦いが続く限り米津も簡単には表情を崩さない。そして、花岡もこのまま沈黙で終わらないはずだ。
今期のプロアマリーグはプロvsアマチュアの対決の様相を呈してきた。
坂本:2番卓では下位から上がってきた宮田プロがさらなるリードを伸ばし、総合3位へ。若い選手だけに先輩プロたちを相手に下剋上を果たしてやろうという気合がみなぎっています。
2回戦終了時、1位:米津紘平268.3 2位:花岡章生 254.3 3位:宮田豊夢:238.0 4位:貫上洋志210.5
 
3回戦(起家から)、花岡、宮田、米津、貫上

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2回戦で敗れた者に代わり上がってきたのが、関西の若手プロの宮田。今期関西プロリーグもBリーグへ昇格を決めて勢いがある。
麻雀に流れはあるか、そんなテーマは昔からされてきた。しかし、間違いなく言えることは勝負事の基本はミスの少ない者に有利に働くということだ。ここまで花岡に大きなミスはない。米津のファインプレーが花岡を苦しめてきたものの、どれだけ押し切られても横綱のように簡単に土俵を割らない粘りを見せつけていた。
麻雀はこれまでの積み重ねが必ず結果に繋がる競技だと言った者がいた。いよいよ折り返し地点となる3回戦。あえて、その言葉を借りるとすれば、ここで誰がその結果に繋げていくのだろうか。
3回戦、東1局から事件は起きた。何の前触れもなかったところに、突如吹き荒れた一陣の強風。何事もなかったかのような表情で一発でツモった、花岡の6,000オールだった。
花岡
三万三万六万七万八万一筒二筒三筒三筒四筒五筒七索八索  リーチ  一発ツモ六索  ドラ三万  ウラ中
そして、このアガリを皮切りに嵐は訪れる。東1局1本場、早く親を流したい宮田が仕掛けるも、再び親の花岡がリーチを入れた。危機を感じた貫上も、ストップをかける為に追いかけるのだが、
花岡
三万四万五万六万七万八万四筒四筒六筒八筒二索三索四索  リーチ  ツモ七筒  ドラ八万  ウラ六万
しかし、軍配はまたも花岡。これもまた地面を割るような大きいアガリだった。まだ、3回戦が始まって、たった2局のことである。その後も花岡の勢いは止まらず、2本場もテンパイしている宮田から花岡が打ち取り3,900は4,500。怒涛の3連荘を決めた。
3本場、花岡の手にはドラの七筒が2枚あり、また形がよかった。突然訪れた花岡の好調は、ライバルである米津にとって悪夢でしかない。これが決まれば完全に形勢が逆転するといった良手だが、もはやこれ以上の連荘は許さないと、普段は仕掛けない米津が翻牌の西と東を叩いた。これに煽られた宮田が10巡目にリーチをかけると、その時の花岡が以下の手牌。
花岡10巡目
一万二万三万二筒二筒六筒六筒七筒七筒四索四索五索六索  ツモ北  ドラ七筒
さあここでどう打つのだろうか。まずは米津の鳴きが本手かどうか見極めたいところだが、北1枚を勝負してもいいと思わせる好手でもある。
ここで花岡は少考することなく、先程までの猛攻から一転、あっさりと安全なマンズ面子を崩した。そして次巡、すぐに宮田のロン牌の九筒を掴む。
宮田テンパイ
三万四万五万三筒三筒三筒四筒五筒七筒八筒五索六索七索
あの手牌で、これが止まるのだから凄い。1回戦のレポートを振り返ってもらうとわかるのだが、一番最初に七対子ドラ2のテンパイを果たしながら、米津のリーチに無筋の四索を打たなかった場面がある。1回戦で止めた四索は当たりではなかったが、ドラ含みのピンフ形の牌姿はずばり読みの範疇だった。この局も米津がソーズの本手である危険性を考慮し、かつ宮田がアガリやすい形の待ちであれば、花岡にとってはドラ2の1シャンテンも止まるべき赤信号だったのだ。これが積み重ねというのであれば、これからの花岡にさらなる加速の予感を感じ、恐ろしく思えてきた。
結果は、米津が2,600で宮田からロンアガリをするも、花岡が宮田に打ちこんでくれた方が展開的にはありがたかったに違いない。
宮田は若い選手で麻雀はまだ荒いが、攻撃的で手数を繰り出すタイプの打ち手である。ましてや一発裏ドラありのBルール、局の半分近くもリーチをかけられると、前に出なければならない立場の米津は辛かった。本来ならば、少しでも花岡の得点に追いつきたいところ。しかし、宮田の動きに合わせてしまうと、米津自身の仕掛けもリーチも早くて安くなるジレンマが発生する。常に卓上には敵が4人いる。相手3人と、そして何より自分自身だ。これが麻雀の真に難しいところだろう。
そして展開は最後まで花岡に有利になった。激しく攻める2人から一歩距離を置いたところに身を置くと、南1局1本場で花岡は親の宮田から七対子ツドラ2を射抜いた。オーラス、ドラ2枚を抱えてなんとかものにしたい米津が果敢に仕掛けるも、
米津、
六万六万四筒四筒五筒八索八索八索中中  ポン七索七索七索  ドラ六万
しかし、ここは仕掛けのタイミングが上回り、花岡に軍配が上がる。
花岡
一万一万五索六索七索南南南発発  チー九万七万八万  ロン一万  ドラ六万
土壇場を迎えて、花岡の麻雀が場を震撼させた3回戦だった。麻雀はたった1回の半荘の出来事でも、それまでの軌跡を塗り替えることができる。これで暫定首位が再び花岡に戻ってきたが、これで諦める米津ではない。
そしてついに、長かったリーグ戦も佳境を迎え、参加する全ての選手にとって残すところあと1回戦となった。
坂本:3回戦は先ほど脱落したばかりの中山プロが、もう一度息を吹き返して決勝卓にリベンジを挑みます。アマチュア2位も接戦となり、奥田さん、藤井さん、佐藤さんがその座を争う模様となりました。みなさん真剣な表情で戦いに臨まれていますね。
3回戦終了時、1位:花岡章生314.6 2位:米津紘平263.7 3位:中山千鶴 203.9 4位:宮田豊夢:201.8
 
最終戦(起家から)宮田、花岡、中山、米津

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プロアマリーグは大会の順位以外にも、プロアマの上位2名ずつにマスターズ本戦シードの権利がかかっている。そのため、注目される対決は首位卓のみではない。優勝争いは花岡、米津の直接対決に絞られたが、アマチュアの2位枠は藤井、奥田、佐藤の順番で争われた。
決勝卓は首位の花岡がポイント差を大きく開けたものの、順位点があるため着順によってはまだひっくり返せる可能性がある。米津にとっても優勝のかかったラストチャンス。ここまで懸命に活躍を見せただけに、できる限り踏ん張ってもらいたい。
2回戦で脱落した中山が再び決勝卓へ戻ってきた。これができるのは地力がある証拠である。優勝までのポイントは果てしなく遠いが、それでも最後まで挑み続けるのがプロの麻雀だろう。
この局は宮田の自己主張から始まった。総合優勝の他に本戦シードがかかっているだけに、どの選手も可能性がある限り諦めないのがリーグ戦の醍醐味である。ポイント差は大きく開けど、がんがんと攻める宮田を咎められない。
東3局、仕掛けの早い宮田の親番に対してアガリを決めたい米津であったが、
宮田
五筒六筒四索四索  ポン八万八万八万  ポン五索五索五索  ポン発発発  ドラ四索
米津
四万五万七万八万九万七筒八筒六索七索八索九索北北  ツモ七筒
ここは宮田の仕掛けに七筒が打てず、打八筒とする。さすがと言いたいところだが、ここでロン牌を掴むあたり波に乗れていない。
東3局1本場、花岡の第一打のドラ二筒に宮田が飛びついた。花岡にとっては、意識しなくてはならないのは米津の動向。例え誰かにドラを叩かれたとしても、それが米津に対する押さえつけになれば、自身に有利に働くことを知っている。結果、アガリには結びつかなかったが、2度の1人テンパイで宮田が3本場を迎える。
そして、その3本場で波乱が巻き起こった。面前指向で大きく叩きたい中山は、以下の手牌から、セオリーとばかりにテンパイと同時にカンをしてリーチをかけた。これだけで裏ドラが乗れば満貫。手順を考えれば仕方がない、と言いたいところだが、流れを掴めていない状態のカンは、これまでも自分の首を絞めてきた。そして、ここでツモったのは花岡。見事なまでの漁夫の利という他ならない。
中山
二万二万三筒四筒六筒六筒七筒八筒四索五索  暗カン牌の背九索九索牌の背  ドラ白六索
花岡
三万四万五万一筒二筒三筒六索六索白白  ポン東東東  ツモ六索
東4局、大きすぎる点差に対しても米津はまだ諦めない。花岡の親を押さえつけようと激しく仕掛ける。しかし、波に乗った花岡の手牌はすでに6巡目でテンパイ。さらに、これをリーチすることなくツモ。
花岡
二万三万四万五万一索二索三索四索五索六索七索八索九索  ツモ五万  ドラ八万
1本場、上げ潮とはまさにこのことを言う。この配牌も最速の手順で決めた。
花岡配牌
七筒四索四索五索六索七索八索北北白白白発中  ドラ四万
花岡8巡目
四索四索五索六索七索七索八索  暗カン牌の背白白牌の背  ポン北北北  ツモ六索
いよいよ時間切れを迎えたオーラスは米津が親だったが、配牌を見ればため息が出そうだ。
米津配牌
二万六万八万六筒六筒七筒四索六索南西北北発発中  ドラ九万
しかし、米津は最後までしっかりと手役を見据えて打った。一打、一打、これまで培ってきた姿勢を崩さず、大事にツモに力を込める。これまでの積み重ねが、自分をこの場に立たせてくれている。花岡という厚い壁さえなければ、優勝してもおかしくないポイントを叩き出してきた。
米津17巡目
一筒一筒九筒南西西北北白発発中中  ツモ九筒
最後のツモでホンロー七対子のテンパイが取ることもできた。しかし、米津は安全牌を2枚重ねて落とし、綺麗に幕を降ろすことを選んだ。本当にこの半年間、その丁寧な姿勢を崩さず戦ってきたことを心より評価したい。
こうして、第30期関西プロアマリーグの優勝が決定した。300P超えという圧巻の実力を見せた花岡章生プロに、共に戦ってきた参加選手たちから惜しみない拍手が送られたのだった。
坂本:花岡プロの優勝の舞台裏では、アマチュアシードをめぐって熱い戦いが行われました。そちらでは奥田さん、佐藤さん、藤井さんという3つ巴の中、冷静な打ちまわしでリードを保ち、ポイントを守りきった藤井さんがアマチュア2位の座を獲得されました。
最終節終了時、優勝:花岡章生プロ358.1P 2位入賞:米津紘平さん243.9P 3位入賞宮田豊夢プロ209.7P 4位入賞、藤井一弘さん203.5P

gpmax優勝、花岡章生プロ
gpmax2位入賞、米津紘平さん
gpmax3位入賞、宮田豊夢プロ
gpmax4位入賞、藤井一弘さん

全ての試合が終わった後は、会場はいつものような和やかな雰囲気に戻っていた。戦いは悲喜こもごもだが、そこにはやりきった清々しさが残る。これは、リーグ戦という長い道のりを乗り越えた者だけにしかわからない達成感である。機会があれば、一度は味わって頂きたい感覚である。
優勝した花岡章生プロにコメントを頂いた。

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花岡「開幕は選手を意識するより、まずはミスをしないことを重視して考えていました。けれど、1回戦、東3局で6巡目に七対子のドラ単騎をテンパイしていたのだけど、米津さんのリーチにドラのピンフ気配があったから、待ちが弱いために無筋が打ち切れず、オリてしまったんですよね。その結果、自分にアガリ逃しが生まれたので、その後の米津さんの6,000オールを受けても、これは自分にとってのミスだと感じました。
それからの試合に対しても、極力ミスをなくして相手の動向に惑わされることなく、自身の麻雀の内容を重視して戦ってきた結果、3回戦からは自分に運が向いてきたのだと感じています。最後は米津さんとの一騎打ちになったので意識をしましたが、最後までいい波に乗れましたね。これからもミスをなくして、いい麻雀を積み重ねることで色々な大会で優勝を狙っていきたいと思います。これからも宜しくお願いします。」
余談にはなるが、16期生の私と、17期生の花岡との付き合いは長い。学生時代の彼を知っているのは関西でも貴重な存在だ。その時から自分というものを曲げずに対局に取り組んできたのが彼である。そんな彼だからこそ、これからももっと色々な舞台で飛躍して欲しいと思う。意識を持って、結果を生み出すことのできる実力のあるプロだからこそ。
花岡プロは近く、関西プロリーグの頂点を決める太閤位決定戦を控えている。こちらの試合もぜひ楽しみにして頂きたい。
最後になりましたが、今年もたくさんの方に関西プロアマリーグにご参加頂き、本当にありがとうございました。これからも関西本部一同、麻雀を心の底から楽しんで貰えるような競技リーグを目指して頑張っていきたいと思います。どうぞ、どなた様もお気軽に会場にお越し頂き、競技麻雀の熱意に触れて下さい。
拙いレポートになりましたが、ご精読ありがとうございました。

第43期 北海道プロリーグ 第5節成績表

順位 名前 第1節 第2節 第3節 第4節 第5節 最終節 合計 順位
1 市川 敦士 5.4 ▲ 2.2 ▲ 11.8 131.7 53.9 25.7 202.7
1
2 真光 祐尚 72.0 55.3 17.8 ▲ 26.3 32.2 24.3 175.3
2
3 藤原 洋一 77.8 2.6 ▲ 17.4 41.2 10.7 27.8 142.7
3
4 小川 和香奈 50.5 1.1 90.0 ▲ 3.3 ▲ 16.2 1.7 113.8
4
5 野々川 博之 ▲ 6.3 ▲ 10.5 25.9 24.3 26.8 67.7 127.9
5
6 西野 拓也 ▲ 24.4 70.3 31.8 41.8 ▲ 48.8 ▲ 5.8 64.9
6
7 喜多 清貴 ▲ 31.5 48.8 ▲ 22.4 16.4 50.7 ▲ 10.0 52.0
7
8 加藤 晋平 ▲ 6.5 1.6 ▲ 10.0 9.2 81.2 ▲ 30.8 44.7
8
9 浦山 祐輔 ▲ 7.1 ▲ 33.4 ▲ 1.6 22.2 6.3 31.5 17.9
9
10 中村 瞬 47.6 39.1 5.8 ▲ 15.8 3.2 ▲ 66.6 13.3
10
11 坂木 祐介 10.4 10.7 ▲ 6.9 ▲ 54.2 ▲ 28.6 61.1 ▲ 7.5
11
12 村上 良 ▲ 35.8 21.6 ▲ 2.9 ▲ 10.8 2.7 23.3 ▲ 11.9
12
13 須賀 智博 40.0 5.2 ▲ 52.1 ▲ 0.4 5.5 ▲ 36.2 ▲ 38.0
13
14 石田 雅人 15.0 ▲ 47.9 41.8 ▲ 47.9 14.7 ▲ 15.6 ▲ 39.9
14
15 三盃 貴之 ▲ 27.9 ▲ 3.3 ▲ 45.4 10.3 34.5 ▲ 41.8
15
16 中村 龍太 ▲ 67.6 ▲ 16.7 62.2 22.0 ▲ 12.5 ▲ 39.8 ▲ 52.4
16
17 吉木 輝 8.6 16.2 25.1 ▲ 40.1 ▲ 33.0 ▲ 41.6 ▲ 64.8
17
18 砂原 裕美子 46.7 ▲ 75.2 19.5 ▲ 24.1 ▲ 63.7 17.9 ▲ 98.9
18
19 三盃 志 ▲ 40.0 4.0 ▲ 17.7 ▲ 8.2 ▲ 16.8 ▲ 108.7
19
20 柳田 圭介 ▲ 75.8 38.1 ▲ 22.5 ▲ 100.5 49.6 ▲ 54.3 ▲ 165.4
20
21 田中 利加子 ▲ 48.7 10.1 ▲ 69.7 ▲ 0.9 ▲ 27.4 ▲ 136.6
21
22 土橋 篤 ▲ 45.4 ▲ 73.1 ▲ 19.1 18.8 ▲ 53.5 ▲ 172.3
22

最終節は第5節終了時上位より卓組みをし、順位を決するものとする。

北海道プロリーグ 成績表/第43期 北海道プロリーグ 第5節成績表

順位 名前 第1節 第2節 第3節 第4節 第5節 最終節 合計 順位
1 市川 敦士 5.4 ▲ 2.2 ▲ 11.8 131.7 53.9 25.7 202.7
1
2 真光 祐尚 72.0 55.3 17.8 ▲ 26.3 32.2 24.3 175.3
2
3 藤原 洋一 77.8 2.6 ▲ 17.4 41.2 10.7 27.8 142.7
3
4 小川 和香奈 50.5 1.1 90.0 ▲ 3.3 ▲ 16.2 1.7 113.8
4
5 野々川 博之 ▲ 6.3 ▲ 10.5 25.9 24.3 26.8 67.7 127.9
5
6 西野 拓也 ▲ 24.4 70.3 31.8 41.8 ▲ 48.8 ▲ 5.8 64.9
6
7 喜多 清貴 ▲ 31.5 48.8 ▲ 22.4 16.4 50.7 ▲ 10.0 52.0
7
8 加藤 晋平 ▲ 6.5 1.6 ▲ 10.0 9.2 81.2 ▲ 30.8 44.7
8
9 浦山 祐輔 ▲ 7.1 ▲ 33.4 ▲ 1.6 22.2 6.3 31.5 17.9
9
10 中村 瞬 47.6 39.1 5.8 ▲ 15.8 3.2 ▲ 66.6 13.3
10
11 坂木 祐介 10.4 10.7 ▲ 6.9 ▲ 54.2 ▲ 28.6 61.1 ▲ 7.5
11
12 村上 良 ▲ 35.8 21.6 ▲ 2.9 ▲ 10.8 2.7 23.3 ▲ 11.9
12
13 須賀 智博 40.0 5.2 ▲ 52.1 ▲ 0.4 5.5 ▲ 36.2 ▲ 38.0
13
14 石田 雅人 15.0 ▲ 47.9 41.8 ▲ 47.9 14.7 ▲ 15.6 ▲ 39.9
14
15 三盃 貴之 ▲ 27.9 ▲ 3.3 ▲ 45.4 10.3 34.5 ▲ 41.8
15
16 中村 龍太 ▲ 67.6 ▲ 16.7 62.2 22.0 ▲ 12.5 ▲ 39.8 ▲ 52.4
16
17 吉木 輝 8.6 16.2 25.1 ▲ 40.1 ▲ 33.0 ▲ 41.6 ▲ 64.8
17
18 砂原 裕美子 46.7 ▲ 75.2 19.5 ▲ 24.1 ▲ 63.7 17.9 ▲ 98.9
18
19 三盃 志 ▲ 40.0 4.0 ▲ 17.7 ▲ 8.2 ▲ 16.8 ▲ 108.7
19
20 柳田 圭介 ▲ 75.8 38.1 ▲ 22.5 ▲ 100.5 49.6 ▲ 54.3 ▲ 165.4
20
21 田中 利加子 ▲ 48.7 10.1 ▲ 69.7 ▲ 0.9 ▲ 27.4 ▲ 136.6
21
22 土橋 篤 ▲ 45.4 ▲ 73.1 ▲ 19.1 18.8 ▲ 53.5 ▲ 172.3
22

最終節は第5節終了時上位より卓組みをし、順位を決するものとする。

第2期宇都宮リーグ(プロアマ混合) 最終節成績表

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 合計 順位
1 庄子 峻太 アマ 74.0 ▲ 11.9 14.2 93.1 0.0 169.4
1
2 清水 香織 プロ ▲ 12.8 81.5 60.3 0.0 24.5 153.5
2
3 弓削 雅人 プロ 91.1 89.9 ▲ 23.9 0.0 ▲ 7.1 150.0
3
4 西尾 猛 アマ 3.6 33.5 27.5 45.6 0.0 110.2
4
5 桧山 拓 アマ 19.2 33.2 ▲ 8.1 0.0 54.9 99.2
5
6 吉田 幸雄 プロ 61.6 10.3 ▲ 4.2 15.2 12.2 95.1
6
7 須長 正和 プロ 38.4 ▲ 4.5 ▲ 24.8 65.6 0.0 74.7
7
8 菅原 直哉 プロ 4.1 19.2 0.0 0.0 17.7 23.3
8
9 桝井 律男 アマ ▲ 23.3 37.5 10.8 ▲ 1.1 ▲ 7.2 16.7
9
10 常呂 隆 アマ 68.7 11.5 16.8 0.0 ▲ 81.1 15.9
10
11 塚越 祐次郎 プロ ▲ 5.7 ▲ 0.2 ▲ 24.9 13.8 4.1 ▲ 12.9
11
12 町野 高司 アマ ▲ 42.4 ▲ 17.8 42.9 0.0 0.0 ▲ 17.3
12
13 見目 輝子 アマ ▲ 15.4 ▲ 10.4 0.0 0.0 0.0 ▲ 25.8
13
14 関根 直也 アマ ▲ 36.8 67.4 ▲ 14.5 ▲ 7.3 ▲ 46.0 ▲ 37.2
14
15 鈴木 翔悟 プロ ▲ 35.0 ▲ 42.3 ▲ 44.6 7.4 69.6 ▲ 44.9
15
16 桑原 俊之 アマ ▲ 25.2 12.7 7.9 ▲ 43.3 0.0 ▲ 47.9
16
17 中津 真吾 アマ 8.6 ▲ 31.2 20.4 ▲ 37.9 ▲ 21.6 ▲ 61.7
17
18 粕谷 勇吉 プロ ▲ 40.2 ▲ 25.9 0.0 0.0 15.7 ▲ 66.1
18
19 高橋 信夫 プロ 10.2 ▲ 102.6 22.2 4.2 ▲ 32.0 ▲ 98.0
19
20 谷口 佳之 アマ ▲ 30.5 ▲ 13.6 ▲ 56.7 0.0 0.0 ▲ 100.8
20
21 町野 高司 アマ ▲ 40.9 ▲ 65.6 0.0 0.0 0.0 ▲ 106.5
21
22 黒木 恥太 アマ ▲ 45.2 ▲ 46.8 ▲ 21.3 4.6 0.0 ▲ 108.7
22
23 沢崎 誠 プロ ▲ 68.8 ▲ 26.8 ▲ 14.0 0.0 ▲ 68.0 ▲ 177.6
23
24 久保 公男 プロ ▲ 43.8 ▲ 28.7 ▲ 35.2 ▲ 70.6 ▲ 43.0 ▲ 221.3
24

北関東プロリーグ 成績表/第2期宇都宮リーグ(プロアマ混合) 最終節成績表

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 合計 順位
1 庄子 峻太 アマ 74.0 ▲ 11.9 14.2 93.1 0.0 169.4
1
2 清水 香織 プロ ▲ 12.8 81.5 60.3 0.0 24.5 153.5
2
3 弓削 雅人 プロ 91.1 89.9 ▲ 23.9 0.0 ▲ 7.1 150.0
3
4 西尾 猛 アマ 3.6 33.5 27.5 45.6 0.0 110.2
4
5 桧山 拓 アマ 19.2 33.2 ▲ 8.1 0.0 54.9 99.2
5
6 吉田 幸雄 プロ 61.6 10.3 ▲ 4.2 15.2 12.2 95.1
6
7 須長 正和 プロ 38.4 ▲ 4.5 ▲ 24.8 65.6 0.0 74.7
7
8 菅原 直哉 プロ 4.1 19.2 0.0 0.0 17.7 23.3
8
9 桝井 律男 アマ ▲ 23.3 37.5 10.8 ▲ 1.1 ▲ 7.2 16.7
9
10 常呂 隆 アマ 68.7 11.5 16.8 0.0 ▲ 81.1 15.9
10
11 塚越 祐次郎 プロ ▲ 5.7 ▲ 0.2 ▲ 24.9 13.8 4.1 ▲ 12.9
11
12 町野 高司 アマ ▲ 42.4 ▲ 17.8 42.9 0.0 0.0 ▲ 17.3
12
13 見目 輝子 アマ ▲ 15.4 ▲ 10.4 0.0 0.0 0.0 ▲ 25.8
13
14 関根 直也 アマ ▲ 36.8 67.4 ▲ 14.5 ▲ 7.3 ▲ 46.0 ▲ 37.2
14
15 鈴木 翔悟 プロ ▲ 35.0 ▲ 42.3 ▲ 44.6 7.4 69.6 ▲ 44.9
15
16 桑原 俊之 アマ ▲ 25.2 12.7 7.9 ▲ 43.3 0.0 ▲ 47.9
16
17 中津 真吾 アマ 8.6 ▲ 31.2 20.4 ▲ 37.9 ▲ 21.6 ▲ 61.7
17
18 粕谷 勇吉 プロ ▲ 40.2 ▲ 25.9 0.0 0.0 15.7 ▲ 66.1
18
19 高橋 信夫 プロ 10.2 ▲ 102.6 22.2 4.2 ▲ 32.0 ▲ 98.0
19
20 谷口 佳之 アマ ▲ 30.5 ▲ 13.6 ▲ 56.7 0.0 0.0 ▲ 100.8
20
21 町野 高司 アマ ▲ 40.9 ▲ 65.6 0.0 0.0 0.0 ▲ 106.5
21
22 黒木 恥太 アマ ▲ 45.2 ▲ 46.8 ▲ 21.3 4.6 0.0 ▲ 108.7
22
23 沢崎 誠 プロ ▲ 68.8 ▲ 26.8 ▲ 14.0 0.0 ▲ 68.0 ▲ 177.6
23
24 久保 公男 プロ ▲ 43.8 ▲ 28.7 ▲ 35.2 ▲ 70.6 ▲ 43.0 ▲ 221.3
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第29期鳳凰位決定戦 二日目観戦記

「寝ることも戦いである。」
決定戦直前、瀬戸熊直樹はそう語った。
2005年、瀬戸熊は自身初の鳳凰位決定戦に臨み、最終戦まで優勝争いに絡みながら、最後は3着に散った経験を持つ。その最終日、道中で意識朦朧とした瞬間があって、それがどうしても許せなかったのだそうだ。

当時の決定戦は18回戦で、連続する3日間で6回ずつ戦う方式が取られていた。
実際戦ったことのある者にしかわからないが、その期間の体調、意識を含めた自己管理たるや、かなりシビアなものとなるのだろう。

もちろんその中には睡眠も含まれる。神経が昂ぶった状態では、当然眠りにつくまでの時間も掛かるし、眠りにつけたとしても、それはほとんどの場合浅いものでしかない。
これに関しては荒も同じようなことを言っているし、前原も「良い睡眠」という言葉をよく口にする。

瀬戸熊が、どれほどの苦しみを背負ってそのときの鳳凰位決定戦を戦っていたのか、それは本人にしか知る余地がない。ただ、冒頭の言葉は、そのときの経験が教訓になってのものであるということは間違いないだろう。

鳳凰位決定戦は、昨年からニコ生放送との兼ね合いもあって、全20回戦、4日制となった。
しかも初日、2日目を連続して戦った後、3日目まではほぼ1週間の時間的猶予を与えられる。
これは選手にとって、体調を管理する上でも非常に大きな休養期間と言ってもいい。
個々の持っているパフォーマンスを十分に発揮するためには、やはり心身の疲労がネックになってくる。
これくらいの期間があれば、そういった不安は拭い去れるだろうし、細かいゲームプランの立て直しだって図れる。

まずはこの2日目、各者がどのポジションで折り返せるか、荒の起家で6回戦がスタートした。

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6回戦(起家から、荒・前原・藤崎・瀬戸熊)

この日の開局を制したのは、初日トップの瀬戸熊。

二万三万四万九万九万一索二索一筒二筒三筒発発発  ツモ三索  ドラ三筒

わずか6巡での仕上がりである。
一手変わればヤミテンでも跳満の手だったが、リードする瀬戸熊にとっては何ら不満のないアガリだ。
ここからいかに得点を積み上げていくか、それが肝心なのである。

続く東2局は、親の前原が2局続けての1人テンパイで、本場を積む。
そして2本場で瀬戸熊をかわす。

一索一索一索七索八索九索二筒三筒四筒七筒八筒西西  リーチ  ツモ六筒  ドラ九万

この後は流局が続き、5本場となったところで瀬戸熊が親を迎える。
そして6巡目でのリーチ。

一万二万三万四索五索六索三筒四筒五筒六筒七筒九筒九筒  リーチ  ドラ三筒

終局間際、これを引きアガって2,600は3,100オール。
この東場を見ただけでも、初日調子の良かった瀬戸熊、前原がレース展開を引っ張って行くであろうことが予測できる。一方の荒、藤崎としては、これ以上2人に好き勝手させたくないところだ。

続く東4局6本場、まずは藤崎の配牌をご覧いただこう。

二万二万二万三万六万七万八万四索六索四筒六筒七筒白  ドラ四索

ここまでの点棒が21,400であるから、この手はどうにか高く仕上げたい。
そして24,100持ちである荒の5巡目の手牌が以下。

一万二万三万六万七万八万九万五索五索七索五筒六筒七筒

こちらも、一通や678の三色など、高打点の可能性を多分に秘めた手牌である。
瀬戸熊の手牌の進行具合からいっても、この局はどちらかのアガリが濃厚だなと思って見ていると、そこに立ちはだかったのが西家の前原。

六索六索三筒四筒五筒五筒八筒八筒九筒九筒南西西

6巡目、七対子の1シャンテンから荒の切った西に動き、ピンズのホンイツへ向かう。
前原の仕掛けで、ドラの指示牌が埋まった瀬戸熊の手牌は以下。

五万五万七万九万二索四索六索七索八索八筒九筒中中  ツモ三索

瀬戸熊の選択は、ピンズのペンター払いだ。前原は当然これを仕掛ける。
八筒九筒と両方鳴けて、あっという間のテンパイ一番乗りである。

三筒四筒五筒五筒  ポン九筒 上向き九筒 左向き九筒 上向き  ポン八筒 上向き八筒 左向き八筒 上向き  ポン西西西

これに即捕まったのが南家の荒。
前原が3フーロしているとは言え、ここからベタオリを決め込むわけにもいかず、二筒で3,900は5,700の手痛い放銃となってしまった。

南場に入っても、荒、藤崎には辛い展開が続き、各々の親は上積みなく流されてしまう。
その後、荒はどうにか2度のアガリを取るが、いずれも安手。
藤崎に至っては、結局この半荘ノー和了で終わってしまう。

いや、藤崎にもチャンスはあった。

二索三索四索六索七索八索西中中中  ポン東東東  ドラ二索

南1局1本場、荒の親で13巡目にこのテンパイ。
16巡目には五索を引いて、ノベタンの三メンチャンへと変化を遂げる。
巡目も深く、残りツモは2回であったが、この時点で二索五索八索は山に5枚も生きていた。
しかし、これを阻止したのが南家の前原。

五万六万七万二筒二筒五筒六筒 ポン四筒 左向き四筒 上向き四筒 上向き ポン八万 上向き八万 上向き八万 左向き ツモ七筒

こちらは実に8枚目の四筒七筒である。
残り枚数で勝負は決まらないとは言え、この局の結末にはさすがに藤崎もガックリ肩を落としたことだろう。

終わってみれば、前原が前日の4回戦から数えて3連勝。いや、それだけではない。
この3回の並びが全て同じなのである。つまりは、藤崎が3ラスを喰ったということである。

過去の鳳凰位決定戦において、このポイントから優勝を勝ち取った人間を私は知らない。
だが、今期のプロリーグで一度も首位の座を明け渡さなかった男が、このままズルズルマイナスを重ねていくのは、本人も、そしてファンも納得しないはず。

「負けている人間を応援したくなるのが日本人の気質」と藤崎は話していたが、
それでも状況はかなり逼迫していると言っていい。

6回戦成績
前原+19.5P  瀬戸熊+10.2P  荒▲9.9P  藤崎▲19.8P

6回戦終了時
瀬戸熊+49.8P  前原+33.1P  荒▲6.1P  藤崎▲76.8P

 

7回戦(起家から、前原・荒・瀬戸熊・藤崎)

今回のメンバーが決まったとき、「やってみなければ、どうなるかわからない。」と前置きした上で、荒はこうも付け加えた。
「恐らくは前原、瀬戸熊の叩き合いになるだろうから、そこで弱った方を潰しに掛かる手は当然考えている。」
ここまでは荒にとって、ある種読み通りの展開と言えるのだろうが、問題はその両者がポイントを伸ばしていることである。
いずれ、その大勢は崩れてくるとしても、早く手を打たなければ、手遅れになるケースも十分に考えられる。

藤崎にしてもそうだ。
仮にマイナスが100を超えるようなことになれば、その時点で優勝はなくなったと見ていいだろう。
マイナスの小さな荒はともかく、藤崎にとってはここからが正念場なのである。

東1局、まずは親の前原が4巡目にテンパイ。
次巡、八索を引いたところでリーチと打って出る。

一万二万三万四索五索六索六索七索八索八索六筒七筒八筒  リーチ  ドラ七筒

7巡目、瀬戸熊も追いついてこちらもリーチ。

一索二索三索三索三索五索六索七索四筒五筒八筒八筒八筒  リーチ

初日からとにかくこの構図が続く。
荒にしてみれば、打ち合いを望むところなのだろうが、なかなかそういう展開になってくれない。
麻雀は自分1人の力ではどうにもし難い部分がたくさんある。
上位2人のポイントを削るために、その2人の力を上手く利用する。
確かにこれも合理的な戦術である。

この局の結末は11巡目、瀬戸熊が五索を掴んで、前原に5,800の放銃となった。
これで荒、藤崎にとっては、上位とのポイントを大きく詰めうるお膳立てが出来た。
トータルトップの瀬戸熊を沈めた状態で、いかに自らが得点を伸ばせるか。
優勝以外に意味のない条件戦では、ここが鍵になってくるのだ。

東1局1本場、まずは2巡目に親の前原が中を仕掛ける。

五万六万六万二索六索三筒五筒七筒七筒白発中中  ドラ三筒  中打たれる

前原にしてはやや遠い仕掛けであるが、ここは他家への牽制の意味もあったか。
この仕掛けによって好牌を引き入れたのが、南家の荒。

七万七万三索四索五索七索七索七索二筒三筒四筒六筒六筒

6巡目にタンヤオ、ドラ1のテンパイ。
前原の仕掛けによって入ったテンパイということで、即リーチの手もあるところだが、荒は変化を待ってヤミテンに構える。すると前原が瞬く間に3フーロで追いつく。

三筒五筒七筒七筒  ポン六万 上向き六万 左向き六万 上向き ポン発発発 ポン中中中

荒にとっては肝を冷やす展開となったが、結果はこのまま押し切った荒の粘り勝ち。
七万を引いて、1,000・2,000は1,100・2,100のアガリとなった。

荒は続く東2局、親で先制リーチを打つ。
アガリこそ奪えなかったが、1人テンパイで持ち点を36,300に伸ばす。
この親番が勝負と見たか、荒はその1本場で果敢に仕掛ける。

一万一万二万二万六万九万九万五索二筒六筒南北中  ドラ中この手牌から、西家の藤崎が一打目に切った一万をポンである。およそ荒の麻雀からは想像し難い仕掛けだ。
ただ、間違いなく圧力にはなる。ドラが中であることも大きい。
アガリに結びつかなくても、数ある字牌が打ち切れず、相手が手を曲げてくれるケースも十分に考えられるからだ。それで流局連荘となっても御の字の構えである。

8巡目、まずテンパイを果たしたのが南家・瀬戸熊。

三万四万六万八万三索三索三筒四筒五筒六筒七筒八筒中  ツモ七万

仮にここで場に生牌の東なり、白なりを持ってきていたなら、いかな瀬戸熊でもブレーキを踏んだことだろう。それこそが荒の目論む展開だったはずだが、この七万引きはゴーサイン。
瀬戸熊はドラを叩き切ってテンパイを組む。そして次巡、荒も追いつく。

二万二万六万六万南南中  ポン九万 上向き九万 上向き九万 左向き  ポン一万 上向き一万 左向き一万 上向き  ツモ南ホンイツ、トイトイで親満のテンパイだ。
瀬戸熊は、前原、荒が中を合わせてきたことを見てツモ切りリーチに出る。
荒は瀬戸熊から直撃を取れれば、この半荘一気に突き抜ける。
さぁ、大事な勝負所である。

同巡、西家・藤崎にもテンパイが入る。

四万五万八万八万八万四索四索六筒七筒八筒西西西

点数こそ安いものの、藤崎にとってもここでアガれれば、浮上のきっかけを掴めるかもしれない。
誰がアガリを奪うのか、非常に見応えのある一局となったが、ここを制したのは瀬戸熊。
荒から五万で、価値ある3,900(1本場で4,200)をものにした。

このアガリを見た限り、今回も瀬戸熊がポイントを伸ばしそうな予感もあったが、東4局1本場、ここまで息を潜めていた親の藤崎が値千金のアガリをものにする。

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ドラ3の勝負手だった瀬戸熊から、7,700は8,000の直撃である。
藤崎は流局を挟んだ東4局3本場でも、これぞ藤崎という打ち回しを見せる。

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荒のリーチ、そしてやや気配は読み辛いが、瀬戸熊の満貫テンパイを掻い潜っての価値あるアガリである。
11巡目、瀬戸熊の二索に微動だにせず六筒を引き入れたことも大きかった。
藤崎はこの半荘、7回戦目にして待望のトップを手にした。

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藤崎智プロ

願わくば1人浮きのトップを取りたいところであったが、オーラスの攻防がまた面白かった。

動画再生

※第29期鳳凰位決定戦全20回戦は、こちらの動画サイトから視聴することが出来ます。
(一部有料)

荒と前原は1,000点のアガリで浮きに回るという非常に大切な局面。
というのももちろん、瀬戸熊が大きく沈んだラス目だからである。
藤崎にとっても、大きく得点を稼げるチャンスだけに、このラス親は簡単には終わらせたくないところだ。
反対に瀬戸熊にとっては、自らがアガってトータルラス目の藤崎に、1人浮きのトップを取ってもらった方が有難い場面。

4者がそれぞれの思惑を抱えて打ち合ったこのオーラス。制したのは南家の前原だった。
親の藤崎がピンズのホンイツ模様のところに、二筒四筒と被せ、裏目の三筒を持ってきたところで、ソーズのリャンメンターツを払って行く。
後に、「山に濃いのがピンズと思った。」と語った通り、四筒二筒と引き返してのテンパイ、そしてアガリはさすがの一言である。

この7回戦、遂に瀬戸熊が沈んだ。そして、トータルでも前原が上に立った。
藤崎がトップを取ったこともあり、戦いはまだまだ予想の付かないものになって行く。

7回戦成績
藤崎+23.2P  前原+6.3P  荒▲4.4P  瀬戸熊▲25.1P

7回戦終了時
前原+39.4P  瀬戸熊+24.7P  荒▲10.5P  藤崎▲53.6P

 

8回戦(起家から、藤崎・瀬戸熊・前原・荒)

東1局、まずは荒が軽快にアガリを取る。

五万五万五万五索六索七索八索五筒六筒七筒七筒八筒九筒  リーチ  ロン八索  ドラ五索

ドラがトイツの勝負手だった瀬戸熊から、2,600の出アガリである。
続く東2局は、前回のトップで勢いに乗りたい藤崎が、気配のない七対子をビシッと仕留める。

一万一万八万八万五索五索三筒四筒四筒五筒五筒六筒六筒  ロン三筒  ドラ三筒

これに刺さったのは、またも瀬戸熊。

二万二万四万四万九万九万二索二索四索四索四索三筒四筒  ツモ二索

ツモり四暗刻の1シャンテンとなったところでの放銃だけに、いたしかたないところだが、連続放銃はどうも具合が悪い。

これを見て3者は、間違いなく瀬戸熊の喉元を喰らいにくるはずだ。
瀬戸熊からすれば、7回戦から続く悪い流れを早く断ち切りたいところである。

東3局、その瀬戸熊が5巡目に絶好のカン三万を引き入れてリーチ。

二万三万四万五索六索七索五筒五筒南南北北北  ドラ二万

南は1枚切れているが、山に3枚残りなら十分の受けだろう。
その3枚が誰の手にも吸収されぬまま12巡目、藤崎が追いつく。

五万一索三索三索四索四索五索五索六索六索七索八索九索  ツモ六万

不満を言えばキリのないテンパイではあるが、ここは瀬戸熊を叩くチャンスである。
藤崎は少考の後、打一索でリーチの決断を下す。
親の前原にもピンフのテンパイが入っており、今後の趨勢を占う大切な一局だったが、ここは瀬戸熊が意地を見せて、藤崎から五筒で5,200を討ち取る。

そしてこの8回戦、最も盛り上がりを見せたのが東4局1本場である。

動画再生

※第29期鳳凰位決定戦全20回戦は、こちらの動画サイトから視聴することが出来ます。
(一部有料)

前原のテンパイ、

二筒二筒七筒八筒  ポン発発発 チー六万 左向き四万 上向き五万 上向き ポン白白白

藤崎のテンパイ、

四筒四筒九筒九筒九筒北北  ポン南南南  ポン中中中

そして荒の親リーチ。

二万三万四万七万八万九万三索五索五索五索五筒六筒七筒  リーチ

これらを受けた瀬戸熊の手が以下である。

二万三万四万三索三索六索七索八索九索一筒二筒三筒八筒  ツモ四索

私なら間違いなく三筒を抜く。決して割って入ることなくベタオリを選択する。
だが、この男の下した決断は違う。
一歩間違えば、とんでもない大怪我をするような場面でも、頭から突っ込んで行く。
出アガリも効かず、分が悪い勝負であっても果敢に戦いを挑んで行くのだ。

「ここをもしアガリ切ることが出来たら、自分の流れになると思った。」

瀬戸熊はそう述懐した。
確かに瀬戸熊が、こういうギリギリの局面で役なしのヤミテンを貫き通し、アガリを奪ってブレークする場面は、私も何度となく目にしてきた。
瀬戸熊の言うところの「しっかり戦う」とは、全20回戦を見据えた上で、自分から背中を見せるようなことはしないということの表れなのかもしれない。
結果こそ、前原の2,000・3,900のツモアガリとなったが、瀬戸熊の鳳凰に対する強い意志を感じさせるには、十分過ぎる一局だった。

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瀬戸熊直樹プロ

南場に入ると、まずは親の藤崎が1,300オールのツモアガリ。

四筒五筒六筒六筒七筒八筒九筒九筒白白  チー二筒一筒三筒  ツモ九筒

供託も含めてわずかながら前原をかわす。
藤崎連荘となった南1局2本場、西家の前原が8巡目のリーチ。

二万三万四万二索三索二筒三筒四筒東東東西西  リーチ  ドラ九索

11巡目、連続でのラスは避けたい瀬戸熊も追いつく。

五万六万七万七索八索八索九索九索一筒一筒五筒六筒七筒

こちらは直前、前原に七索を打たれたこともあり、当然のヤミテンとする。
しかし、決着は早かった。
12巡目、瀬戸熊が前原にとっての高目を掴んで、5,200は5,800の打ち込み。
この放銃で瀬戸熊の持ち点は16,400。ヘタをすれば、6回戦まで積み上げたポイントがたった2回で帳消しとなってしまう可能性も出てきてしまった。瀬戸熊にとってはここが踏ん張りどころである。

迎えた親番、かなりの好配牌をもらうも、他家の九種九牌で流局。
続く1本場は、丁寧に手牌をまとめて、終盤藤崎からピンフの出アガリ。
そして2本場、今度は8巡目のリーチだ。

一万二万三万五索六索七索二筒三筒四筒五筒五筒六筒七筒  リーチ  ドラ八筒

瀬戸熊の長所は、とにかく徹底した攻めの姿勢にある。
ここからは私の主観で、合っているかはわからない。
ただ、恐らく瀬戸熊は、攻め続けることで、微妙に揺れ動く精神のバランスを保とうとしているのではないだろうか。
そして、その方法論を取り始めてから、タイトル戦の勝率をグンと上げたような気がする。

「攻撃は最大の防御なり」

私が好きな言葉である。そしてまた、瀬戸熊の麻雀にもぴったりな言葉である。
今局、瀬戸熊はラス牌の八筒を引きアガった。
3本場で親は落とされたが、続く南3局では、前原から非常に価値ある直撃を取る。

houou

後に前原はこの放銃を猛省していた。
「あそこはしっかり瀬戸熊を沈めておかなければならない半荘だった。仕掛けが早過ぎたんだろう。」
オーラスこそ前原は、荒から1,000点をアガって浮きをキープするが、瀬戸熊を浮きに回らせてしまった現実は、今後の展開を大きく左右させるものとなったのだった。

8回戦成績
藤崎+10.1P  瀬戸熊+4.8P  前原+2.3P  荒▲17.2P

8回戦終了時
前原+41.7P  瀬戸熊+29.5P  荒▲27.7P  藤崎▲43.5P

 

9回戦(起家から、藤崎・前原・瀬戸熊・荒)

7、8回戦と藤崎が連勝を飾り、ようやくその実力の片鱗を見せ始めた。
藤崎としては、できればこの2日目で負債を帳消しにしたいところだ。

逆に、悪い展開が続くのが、4回戦以降全てマイナスの荒である。
荒にとっても、どこかで歯止めを利かせなければ、優勝争いから取り残されてしまう。
数字自体は大きな凹みではないものの、それ以上に雰囲気の悪さを感じてしまうのは私だけだろうか。

東2局、まず幸先のいいスタートを切ったのが瀬戸熊。

一万二万三万六索七索八索四筒四筒九筒九筒  ポン中中中  ツモ四筒  ドラ四筒

荒のリーチも勝負手だっただけに、このアガリの持つ意味は点棒以上に大きい。

四万五万六万五筒六筒東東東南南白白白

これで気を良くしたか、瀬戸熊は続く親でも隙なく一色手を仕上げる。

三万三万三万五万六万七万七万七万八万九万  加カン東東東東  ツモ四万  ドラ中この4,000オールで持ち点は50,000点を越えた。
こうなれば瀬戸熊の更なる目標は、自身の加点と共に、8回戦までトータルトップの前原をいかに沈めるかである。

こういった長い戦いでは、誰しも好不調の波はある。
好調時にライバルとの差をいかに詰め、いかに広げるか。
最終日を見据えれば、これは必ず大きなプラスとなって返ってくるのである。

東3局1本場は瀬戸熊の1人テンパイ。
そして続く東3局2本場、瀬戸熊にとっては願ったり叶ったりのアガリが飛び出す。

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自らの加点ではないものの、放銃したのが前原となれば、これは次善手ということが言える。

東4局1本場には、荒が久々のアガリで浮上のきっかけを掴む。

三索四索五索六索七索八索一筒一筒一筒東東白白  リーチ  ツモ白  ドラ中続く東4局2本場は、瀬戸熊が1,000・2,000のアガリ。

三万四万五万九万九万五索五索五索一筒二筒三筒六筒七筒  リーチ  ツモ五筒  ドラ三筒

なんとなく、なんとなく、前原包囲網の構図が出来上がりつつある。
そして南1局、藤崎が得意のヤミテンで前原を仕留める。

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10巡目、藤崎がテンパイを果たすと同時に、荒がそのTを掴む。
場面の不穏な空気を既に察知している荒は、その手前で受けに入っているからこれが止まる。
一方で、なんとか挽回を図りたい前原は、追い込まれている分だけギリギリまで攻め込んでしまう。
藤崎の捨て牌がわかりづらいこともあったが、前原にとっては痛恨の放銃となってしまった。
これによって前原は、遂に箱を割る。
この時点で3者が浮いているため、焦点はここから誰が飛躍を遂げるかということに移されるはずだった。

ところが、である。やはり前原はただでは死なない男だった。

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前原雄大プロ

この9,600放銃の後、1本場で500・1,000をツモアガると、次局の親では7巡目にこのリーチ。

八万八万八万一索二索三索三筒三筒三筒六筒六筒南南  リーチ  ドラ二万

藤崎が果敢に被せてピンフ、ドラ2の追いかけリーチを放つも、山に4枚残りのこの受けが勝り、しっかりと南を手繰り寄せた。

するとその1本場では、これぞ前原と言わんばかりのリーチ。

六万七万八万一索二索三索四索五索七索八索九索北北  リーチ  ドラ北

高目でアガれば一気にプラスの世界へ転じることもあり、前原にとっては非常に大事な一局だったが、ここは藤崎が丁寧に捌く。

三万三万四万四万六万六万五索七索七索八索八索中中  ツモ五索

藤崎は、瀬戸熊の親でもしっかりピンフをツモってこの半荘の2着をキープ。
前日とは打って変わり、ヤミテン主体の藤崎らしいアガリが随所で見られるようになってきた。

そして9回戦オーラス、結果は瀬戸熊が前原に満貫を打ち上げるのだが、ここも賛否両論分かれるところではないだろうか。

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ポイント状況からすれば、このドラは打たないことの方が得策のように思える。
ただ瀬戸熊にしてみれば、前原を叩けるチャンスでもあるし、ここでオリを選んでことで、自分の型が崩れる方を嫌ったのかもしれない。
ひとつ言えるとすれば、瀬戸熊がこの一局面を見ているのではなく、もっと先を睨んでの打牌であるということは間違いない。

9回戦成績
瀬戸熊+18.8P  藤崎+10.3P  荒▲9.1P  前原▲20.0P

9回戦終了時
瀬戸熊+48.3P  前原+21.7P  藤崎▲33.2P  荒▲36.8P

 

10回戦(起家から、前原・荒・藤崎・瀬戸熊)

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どうも荒の調子が上がってこない。いや、見ている者を魅了する場面は数多くある。
この東1局もそうだ。11巡目、荒は以下の形でテンパイ。

三万五万七万七万四索五索二筒三筒四筒四筒五筒六筒南  ツモ三索  ドラ三万

三筒引きや五筒引き、或いはドラの三万引きなど、優秀な変化形があるため、ここはヤミテンを選択。
この時点で親の前原の手牌は以下。

三万四万五索六索七索七索九索六筒六筒八筒八筒北北

ここに七筒五索六索と連続して引き入れ、14巡目にはテンパイ。

三万四万五索五索六索六索七索七索六筒七筒八筒北北

これを一度はヤミテンに構えるが、次巡、前原はツモ切りリーチに打って出る。
それを受けた南家・荒のツモが二万

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もしこれが瀬戸熊や前原だったら、どんな選択をしたのだろう。
荒が少考に入った瞬間、そんなことが頭をよぎる。

この手だったら…
そう思いながら目を落とした瞬間、荒はスッと現物の三索を抜いた。

「やっぱ、この人はすげーわ。」この胆力は一体どこからくるのだろう。
これだけマイナス街道が続いても、ひたすら我慢し続けられるその精神力に、私は感動すら覚えた。

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荒正義プロ

「勝負はまだ長いということなんだな。」
でも、だからこそ、受けの場面でなく、今度は攻めに転じる荒の姿を見たくなるのは私だけではないはずだ。昨年の勝ち方が強く印象に残っているだけに、ここからの巻き返しを期待したいところだ。

東2局1本場、珍しい場面に遭遇する。

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前原が2フーロしているところから、上家瀬戸熊の白に大明カンを入れたのである。
これも普段のプロリーグならまず見られない光景だが、頭獲りならではの戦術ということが言えるかもしれない。
前原がこれをリンシャンから引きアガれば、瀬戸熊の責任払いとなり、5,200か6,400の直取りを果たせるチャンスだからである。

結果は、荒が前原に放銃となるのだが、これが後に新たな火種を生むきっかけになるとは誰も知る由がなかった。

まずは東4局1本場、終局間際の牌譜をご覧いただこう。

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この三索に前原がチーを入れ、ドラの四筒を切る。
いつもの前原なら考えられないような仕掛けと言ってもいい。
先に挙げた大明カンもそうだし、どことなく勝負を急いでいる感が否めないのだ。

このチーで、親の瀬戸熊にハイテイが流れ、テンパイを入れさせてしまう。
私だったら、これだけで次局が不気味でしかない。
やはり本来ないはずの1局というのは、もう何が起こっても不思議ではないからである。

二万三万四万三索四索六索七索八索一筒二筒三筒五筒五筒  ロン二索  ドラ北

瀬戸熊のこのアガリだって当然なかったし、3本場でのこの配牌だってあるはずがないのだ。

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4巡目、瀬戸熊は白のポンテン。

四索五索三筒三筒四筒四筒四筒六筒六筒六筒  ポン白白白  ドラ六筒

一方、南家の前原は以下の形から八索をチー。

二索三索七索八索八索九索六筒東東発  ポン南南南

そして打六筒。これに瀬戸熊が、先ほどのお返しとばかりに大明カンを入れる。
瀬戸熊と前原にとっては、既に2人の戦いに入っているのだろう。
ここまで激しく互いが互いを意識し合った戦いを、私は見た記憶がない。
まさにノーガードの殴り合いである。

四索五索三筒三筒四筒四筒四筒  大明カン六筒 上向き六筒 上向き六筒 上向き六筒 左向き  ポン白白白  ツモ三索

「瀬戸熊が突き抜けるんだろうな」
このアガリが出た瞬間、誰もがそう思ったに違いない。
ところがそれをさせなかったのが、目下のライバル前原である。
正直、この展開なら連続ラスもあるな、と私は見ていた。
そして前原にもその覚悟は出来ていたように思う。

しかし南2局、突然のようにこんな配牌がやってきて、

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あっという間にアガリをさらってしまうのだから、麻雀とはわからないものである。

三索四索五索一筒一筒一筒二筒三筒三筒四筒  ポン中中中  ツモ五筒  ドラ一筒

藤崎の親番でもそうだ。

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満貫というものは、こんなにあっさり決まるものなのだろうか。
いい表現が見つからないが、とにかく前原の生命力には感心させられるばかりである。

10回戦成績
瀬戸熊+24.2P  前原+8.9P  藤崎▲13.8P  荒▲19.3P

10回戦終了時
瀬戸熊+72.5P  前原+30.6P  藤崎▲47.0P  荒▲56.1P

 

これで全日程の半分を消化したことになる。依然トップを快走するのは瀬戸熊直樹。
「昨日はよく眠れた。」と試合前に語っていた通り、懸念材料もなく、初日同様満足のいく内容だったように感じた。

一方、トータルラスに落ちたのが前年度王者の荒正義。
これだけのポイント差を捲るとなれば、3日目からはかなり前掛かりとなって攻め込まねばならない。

トータル2着は前原雄大。
初日からの上積みはわずか2.0Pで、後半はやや危なっかしさも見受けられた。
しかし、瀬戸熊を叩かないことには逆転もない。3日目もこの戦い方を貫いてくることが予測される。

そしてトータル3着が藤崎智。
マイナスを10.0P減らしたものの、やはり優勝を狙うには3日目の成績が大きく物を言う。
もし3日目も瀬戸熊が数字を伸ばすようなことがあれば、3者共に優勝の可能性はかなり厳しくなると言っていい。

勝負は6日後。各人がどんな戦略を練ってくるのか。
非常に楽しみである。

プロリーグ(鳳凰戦)決勝観戦記/第29期鳳凰位決定戦 二日目観戦記

「寝ることも戦いである。」
決定戦直前、瀬戸熊直樹はそう語った。
2005年、瀬戸熊は自身初の鳳凰位決定戦に臨み、最終戦まで優勝争いに絡みながら、最後は3着に散った経験を持つ。その最終日、道中で意識朦朧とした瞬間があって、それがどうしても許せなかったのだそうだ。
当時の決定戦は18回戦で、連続する3日間で6回ずつ戦う方式が取られていた。
実際戦ったことのある者にしかわからないが、その期間の体調、意識を含めた自己管理たるや、かなりシビアなものとなるのだろう。
もちろんその中には睡眠も含まれる。神経が昂ぶった状態では、当然眠りにつくまでの時間も掛かるし、眠りにつけたとしても、それはほとんどの場合浅いものでしかない。
これに関しては荒も同じようなことを言っているし、前原も「良い睡眠」という言葉をよく口にする。
瀬戸熊が、どれほどの苦しみを背負ってそのときの鳳凰位決定戦を戦っていたのか、それは本人にしか知る余地がない。ただ、冒頭の言葉は、そのときの経験が教訓になってのものであるということは間違いないだろう。
鳳凰位決定戦は、昨年からニコ生放送との兼ね合いもあって、全20回戦、4日制となった。
しかも初日、2日目を連続して戦った後、3日目まではほぼ1週間の時間的猶予を与えられる。
これは選手にとって、体調を管理する上でも非常に大きな休養期間と言ってもいい。
個々の持っているパフォーマンスを十分に発揮するためには、やはり心身の疲労がネックになってくる。
これくらいの期間があれば、そういった不安は拭い去れるだろうし、細かいゲームプランの立て直しだって図れる。
まずはこの2日目、各者がどのポジションで折り返せるか、荒の起家で6回戦がスタートした。

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6回戦(起家から、荒・前原・藤崎・瀬戸熊)
この日の開局を制したのは、初日トップの瀬戸熊。
二万三万四万九万九万一索二索一筒二筒三筒発発発  ツモ三索  ドラ三筒
わずか6巡での仕上がりである。
一手変わればヤミテンでも跳満の手だったが、リードする瀬戸熊にとっては何ら不満のないアガリだ。
ここからいかに得点を積み上げていくか、それが肝心なのである。
続く東2局は、親の前原が2局続けての1人テンパイで、本場を積む。
そして2本場で瀬戸熊をかわす。
一索一索一索七索八索九索二筒三筒四筒七筒八筒西西  リーチ  ツモ六筒  ドラ九万
この後は流局が続き、5本場となったところで瀬戸熊が親を迎える。
そして6巡目でのリーチ。
一万二万三万四索五索六索三筒四筒五筒六筒七筒九筒九筒  リーチ  ドラ三筒
終局間際、これを引きアガって2,600は3,100オール。
この東場を見ただけでも、初日調子の良かった瀬戸熊、前原がレース展開を引っ張って行くであろうことが予測できる。一方の荒、藤崎としては、これ以上2人に好き勝手させたくないところだ。
続く東4局6本場、まずは藤崎の配牌をご覧いただこう。
二万二万二万三万六万七万八万四索六索四筒六筒七筒白  ドラ四索
ここまでの点棒が21,400であるから、この手はどうにか高く仕上げたい。
そして24,100持ちである荒の5巡目の手牌が以下。
一万二万三万六万七万八万九万五索五索七索五筒六筒七筒
こちらも、一通や678の三色など、高打点の可能性を多分に秘めた手牌である。
瀬戸熊の手牌の進行具合からいっても、この局はどちらかのアガリが濃厚だなと思って見ていると、そこに立ちはだかったのが西家の前原。
六索六索三筒四筒五筒五筒八筒八筒九筒九筒南西西
6巡目、七対子の1シャンテンから荒の切った西に動き、ピンズのホンイツへ向かう。
前原の仕掛けで、ドラの指示牌が埋まった瀬戸熊の手牌は以下。
五万五万七万九万二索四索六索七索八索八筒九筒中中  ツモ三索
瀬戸熊の選択は、ピンズのペンター払いだ。前原は当然これを仕掛ける。
八筒九筒と両方鳴けて、あっという間のテンパイ一番乗りである。
三筒四筒五筒五筒  ポン九筒 上向き九筒 左向き九筒 上向き  ポン八筒 上向き八筒 左向き八筒 上向き  ポン西西西
これに即捕まったのが南家の荒。
前原が3フーロしているとは言え、ここからベタオリを決め込むわけにもいかず、二筒で3,900は5,700の手痛い放銃となってしまった。
南場に入っても、荒、藤崎には辛い展開が続き、各々の親は上積みなく流されてしまう。
その後、荒はどうにか2度のアガリを取るが、いずれも安手。
藤崎に至っては、結局この半荘ノー和了で終わってしまう。
いや、藤崎にもチャンスはあった。
二索三索四索六索七索八索西中中中  ポン東東東  ドラ二索
南1局1本場、荒の親で13巡目にこのテンパイ。
16巡目には五索を引いて、ノベタンの三メンチャンへと変化を遂げる。
巡目も深く、残りツモは2回であったが、この時点で二索五索八索は山に5枚も生きていた。
しかし、これを阻止したのが南家の前原。
五万六万七万二筒二筒五筒六筒 ポン四筒 左向き四筒 上向き四筒 上向き ポン八万 上向き八万 上向き八万 左向き ツモ七筒
こちらは実に8枚目の四筒七筒である。
残り枚数で勝負は決まらないとは言え、この局の結末にはさすがに藤崎もガックリ肩を落としたことだろう。
終わってみれば、前原が前日の4回戦から数えて3連勝。いや、それだけではない。
この3回の並びが全て同じなのである。つまりは、藤崎が3ラスを喰ったということである。
過去の鳳凰位決定戦において、このポイントから優勝を勝ち取った人間を私は知らない。
だが、今期のプロリーグで一度も首位の座を明け渡さなかった男が、このままズルズルマイナスを重ねていくのは、本人も、そしてファンも納得しないはず。
「負けている人間を応援したくなるのが日本人の気質」と藤崎は話していたが、
それでも状況はかなり逼迫していると言っていい。
6回戦成績
前原+19.5P  瀬戸熊+10.2P  荒▲9.9P  藤崎▲19.8P
6回戦終了時
瀬戸熊+49.8P  前原+33.1P  荒▲6.1P  藤崎▲76.8P
 
7回戦(起家から、前原・荒・瀬戸熊・藤崎)
今回のメンバーが決まったとき、「やってみなければ、どうなるかわからない。」と前置きした上で、荒はこうも付け加えた。
「恐らくは前原、瀬戸熊の叩き合いになるだろうから、そこで弱った方を潰しに掛かる手は当然考えている。」
ここまでは荒にとって、ある種読み通りの展開と言えるのだろうが、問題はその両者がポイントを伸ばしていることである。
いずれ、その大勢は崩れてくるとしても、早く手を打たなければ、手遅れになるケースも十分に考えられる。
藤崎にしてもそうだ。
仮にマイナスが100を超えるようなことになれば、その時点で優勝はなくなったと見ていいだろう。
マイナスの小さな荒はともかく、藤崎にとってはここからが正念場なのである。
東1局、まずは親の前原が4巡目にテンパイ。
次巡、八索を引いたところでリーチと打って出る。
一万二万三万四索五索六索六索七索八索八索六筒七筒八筒  リーチ  ドラ七筒
7巡目、瀬戸熊も追いついてこちらもリーチ。
一索二索三索三索三索五索六索七索四筒五筒八筒八筒八筒  リーチ
初日からとにかくこの構図が続く。
荒にしてみれば、打ち合いを望むところなのだろうが、なかなかそういう展開になってくれない。
麻雀は自分1人の力ではどうにもし難い部分がたくさんある。
上位2人のポイントを削るために、その2人の力を上手く利用する。
確かにこれも合理的な戦術である。
この局の結末は11巡目、瀬戸熊が五索を掴んで、前原に5,800の放銃となった。
これで荒、藤崎にとっては、上位とのポイントを大きく詰めうるお膳立てが出来た。
トータルトップの瀬戸熊を沈めた状態で、いかに自らが得点を伸ばせるか。
優勝以外に意味のない条件戦では、ここが鍵になってくるのだ。
東1局1本場、まずは2巡目に親の前原が中を仕掛ける。
五万六万六万二索六索三筒五筒七筒七筒白発中中  ドラ三筒  中打たれる
前原にしてはやや遠い仕掛けであるが、ここは他家への牽制の意味もあったか。
この仕掛けによって好牌を引き入れたのが、南家の荒。
七万七万三索四索五索七索七索七索二筒三筒四筒六筒六筒
6巡目にタンヤオ、ドラ1のテンパイ。
前原の仕掛けによって入ったテンパイということで、即リーチの手もあるところだが、荒は変化を待ってヤミテンに構える。すると前原が瞬く間に3フーロで追いつく。
三筒五筒七筒七筒  ポン六万 上向き六万 左向き六万 上向き ポン発発発 ポン中中中
荒にとっては肝を冷やす展開となったが、結果はこのまま押し切った荒の粘り勝ち。
七万を引いて、1,000・2,000は1,100・2,100のアガリとなった。
荒は続く東2局、親で先制リーチを打つ。
アガリこそ奪えなかったが、1人テンパイで持ち点を36,300に伸ばす。
この親番が勝負と見たか、荒はその1本場で果敢に仕掛ける。
一万一万二万二万六万九万九万五索二筒六筒南北中  ドラ中この手牌から、西家の藤崎が一打目に切った一万をポンである。およそ荒の麻雀からは想像し難い仕掛けだ。
ただ、間違いなく圧力にはなる。ドラが中であることも大きい。
アガリに結びつかなくても、数ある字牌が打ち切れず、相手が手を曲げてくれるケースも十分に考えられるからだ。それで流局連荘となっても御の字の構えである。
8巡目、まずテンパイを果たしたのが南家・瀬戸熊。
三万四万六万八万三索三索三筒四筒五筒六筒七筒八筒中  ツモ七万
仮にここで場に生牌の東なり、白なりを持ってきていたなら、いかな瀬戸熊でもブレーキを踏んだことだろう。それこそが荒の目論む展開だったはずだが、この七万引きはゴーサイン。
瀬戸熊はドラを叩き切ってテンパイを組む。そして次巡、荒も追いつく。
二万二万六万六万南南中  ポン九万 上向き九万 上向き九万 左向き  ポン一万 上向き一万 左向き一万 上向き  ツモ南ホンイツ、トイトイで親満のテンパイだ。
瀬戸熊は、前原、荒が中を合わせてきたことを見てツモ切りリーチに出る。
荒は瀬戸熊から直撃を取れれば、この半荘一気に突き抜ける。
さぁ、大事な勝負所である。
同巡、西家・藤崎にもテンパイが入る。
四万五万八万八万八万四索四索六筒七筒八筒西西西
点数こそ安いものの、藤崎にとってもここでアガれれば、浮上のきっかけを掴めるかもしれない。
誰がアガリを奪うのか、非常に見応えのある一局となったが、ここを制したのは瀬戸熊。
荒から五万で、価値ある3,900(1本場で4,200)をものにした。
このアガリを見た限り、今回も瀬戸熊がポイントを伸ばしそうな予感もあったが、東4局1本場、ここまで息を潜めていた親の藤崎が値千金のアガリをものにする。

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ドラ3の勝負手だった瀬戸熊から、7,700は8,000の直撃である。
藤崎は流局を挟んだ東4局3本場でも、これぞ藤崎という打ち回しを見せる。

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荒のリーチ、そしてやや気配は読み辛いが、瀬戸熊の満貫テンパイを掻い潜っての価値あるアガリである。
11巡目、瀬戸熊の二索に微動だにせず六筒を引き入れたことも大きかった。
藤崎はこの半荘、7回戦目にして待望のトップを手にした。

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藤崎智プロ

願わくば1人浮きのトップを取りたいところであったが、オーラスの攻防がまた面白かった。
動画再生

※第29期鳳凰位決定戦全20回戦は、こちらの動画サイトから視聴することが出来ます。
(一部有料)
荒と前原は1,000点のアガリで浮きに回るという非常に大切な局面。
というのももちろん、瀬戸熊が大きく沈んだラス目だからである。
藤崎にとっても、大きく得点を稼げるチャンスだけに、このラス親は簡単には終わらせたくないところだ。
反対に瀬戸熊にとっては、自らがアガってトータルラス目の藤崎に、1人浮きのトップを取ってもらった方が有難い場面。
4者がそれぞれの思惑を抱えて打ち合ったこのオーラス。制したのは南家の前原だった。
親の藤崎がピンズのホンイツ模様のところに、二筒四筒と被せ、裏目の三筒を持ってきたところで、ソーズのリャンメンターツを払って行く。
後に、「山に濃いのがピンズと思った。」と語った通り、四筒二筒と引き返してのテンパイ、そしてアガリはさすがの一言である。
この7回戦、遂に瀬戸熊が沈んだ。そして、トータルでも前原が上に立った。
藤崎がトップを取ったこともあり、戦いはまだまだ予想の付かないものになって行く。
7回戦成績
藤崎+23.2P  前原+6.3P  荒▲4.4P  瀬戸熊▲25.1P
7回戦終了時
前原+39.4P  瀬戸熊+24.7P  荒▲10.5P  藤崎▲53.6P
 
8回戦(起家から、藤崎・瀬戸熊・前原・荒)
東1局、まずは荒が軽快にアガリを取る。
五万五万五万五索六索七索八索五筒六筒七筒七筒八筒九筒  リーチ  ロン八索  ドラ五索
ドラがトイツの勝負手だった瀬戸熊から、2,600の出アガリである。
続く東2局は、前回のトップで勢いに乗りたい藤崎が、気配のない七対子をビシッと仕留める。
一万一万八万八万五索五索三筒四筒四筒五筒五筒六筒六筒  ロン三筒  ドラ三筒
これに刺さったのは、またも瀬戸熊。
二万二万四万四万九万九万二索二索四索四索四索三筒四筒  ツモ二索
ツモり四暗刻の1シャンテンとなったところでの放銃だけに、いたしかたないところだが、連続放銃はどうも具合が悪い。
これを見て3者は、間違いなく瀬戸熊の喉元を喰らいにくるはずだ。
瀬戸熊からすれば、7回戦から続く悪い流れを早く断ち切りたいところである。
東3局、その瀬戸熊が5巡目に絶好のカン三万を引き入れてリーチ。
二万三万四万五索六索七索五筒五筒南南北北北  ドラ二万
南は1枚切れているが、山に3枚残りなら十分の受けだろう。
その3枚が誰の手にも吸収されぬまま12巡目、藤崎が追いつく。
五万一索三索三索四索四索五索五索六索六索七索八索九索  ツモ六万
不満を言えばキリのないテンパイではあるが、ここは瀬戸熊を叩くチャンスである。
藤崎は少考の後、打一索でリーチの決断を下す。
親の前原にもピンフのテンパイが入っており、今後の趨勢を占う大切な一局だったが、ここは瀬戸熊が意地を見せて、藤崎から五筒で5,200を討ち取る。
そしてこの8回戦、最も盛り上がりを見せたのが東4局1本場である。
動画再生
※第29期鳳凰位決定戦全20回戦は、こちらの動画サイトから視聴することが出来ます。
(一部有料)
前原のテンパイ、
二筒二筒七筒八筒  ポン発発発 チー六万 左向き四万 上向き五万 上向き ポン白白白
藤崎のテンパイ、
四筒四筒九筒九筒九筒北北  ポン南南南  ポン中中中
そして荒の親リーチ。
二万三万四万七万八万九万三索五索五索五索五筒六筒七筒  リーチ
これらを受けた瀬戸熊の手が以下である。
二万三万四万三索三索六索七索八索九索一筒二筒三筒八筒  ツモ四索
私なら間違いなく三筒を抜く。決して割って入ることなくベタオリを選択する。
だが、この男の下した決断は違う。
一歩間違えば、とんでもない大怪我をするような場面でも、頭から突っ込んで行く。
出アガリも効かず、分が悪い勝負であっても果敢に戦いを挑んで行くのだ。
「ここをもしアガリ切ることが出来たら、自分の流れになると思った。」
瀬戸熊はそう述懐した。
確かに瀬戸熊が、こういうギリギリの局面で役なしのヤミテンを貫き通し、アガリを奪ってブレークする場面は、私も何度となく目にしてきた。
瀬戸熊の言うところの「しっかり戦う」とは、全20回戦を見据えた上で、自分から背中を見せるようなことはしないということの表れなのかもしれない。
結果こそ、前原の2,000・3,900のツモアガリとなったが、瀬戸熊の鳳凰に対する強い意志を感じさせるには、十分過ぎる一局だった。

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瀬戸熊直樹プロ

南場に入ると、まずは親の藤崎が1,300オールのツモアガリ。
四筒五筒六筒六筒七筒八筒九筒九筒白白  チー二筒一筒三筒  ツモ九筒
供託も含めてわずかながら前原をかわす。
藤崎連荘となった南1局2本場、西家の前原が8巡目のリーチ。
二万三万四万二索三索二筒三筒四筒東東東西西  リーチ  ドラ九索
11巡目、連続でのラスは避けたい瀬戸熊も追いつく。
五万六万七万七索八索八索九索九索一筒一筒五筒六筒七筒
こちらは直前、前原に七索を打たれたこともあり、当然のヤミテンとする。
しかし、決着は早かった。
12巡目、瀬戸熊が前原にとっての高目を掴んで、5,200は5,800の打ち込み。
この放銃で瀬戸熊の持ち点は16,400。ヘタをすれば、6回戦まで積み上げたポイントがたった2回で帳消しとなってしまう可能性も出てきてしまった。瀬戸熊にとってはここが踏ん張りどころである。
迎えた親番、かなりの好配牌をもらうも、他家の九種九牌で流局。
続く1本場は、丁寧に手牌をまとめて、終盤藤崎からピンフの出アガリ。
そして2本場、今度は8巡目のリーチだ。
一万二万三万五索六索七索二筒三筒四筒五筒五筒六筒七筒  リーチ  ドラ八筒
瀬戸熊の長所は、とにかく徹底した攻めの姿勢にある。
ここからは私の主観で、合っているかはわからない。
ただ、恐らく瀬戸熊は、攻め続けることで、微妙に揺れ動く精神のバランスを保とうとしているのではないだろうか。
そして、その方法論を取り始めてから、タイトル戦の勝率をグンと上げたような気がする。
「攻撃は最大の防御なり」
私が好きな言葉である。そしてまた、瀬戸熊の麻雀にもぴったりな言葉である。
今局、瀬戸熊はラス牌の八筒を引きアガった。
3本場で親は落とされたが、続く南3局では、前原から非常に価値ある直撃を取る。

houou

後に前原はこの放銃を猛省していた。
「あそこはしっかり瀬戸熊を沈めておかなければならない半荘だった。仕掛けが早過ぎたんだろう。」
オーラスこそ前原は、荒から1,000点をアガって浮きをキープするが、瀬戸熊を浮きに回らせてしまった現実は、今後の展開を大きく左右させるものとなったのだった。
8回戦成績
藤崎+10.1P  瀬戸熊+4.8P  前原+2.3P  荒▲17.2P
8回戦終了時
前原+41.7P  瀬戸熊+29.5P  荒▲27.7P  藤崎▲43.5P
 
9回戦(起家から、藤崎・前原・瀬戸熊・荒)
7、8回戦と藤崎が連勝を飾り、ようやくその実力の片鱗を見せ始めた。
藤崎としては、できればこの2日目で負債を帳消しにしたいところだ。
逆に、悪い展開が続くのが、4回戦以降全てマイナスの荒である。
荒にとっても、どこかで歯止めを利かせなければ、優勝争いから取り残されてしまう。
数字自体は大きな凹みではないものの、それ以上に雰囲気の悪さを感じてしまうのは私だけだろうか。
東2局、まず幸先のいいスタートを切ったのが瀬戸熊。
一万二万三万六索七索八索四筒四筒九筒九筒  ポン中中中  ツモ四筒  ドラ四筒
荒のリーチも勝負手だっただけに、このアガリの持つ意味は点棒以上に大きい。
四万五万六万五筒六筒東東東南南白白白
これで気を良くしたか、瀬戸熊は続く親でも隙なく一色手を仕上げる。
三万三万三万五万六万七万七万七万八万九万  加カン東東東東  ツモ四万  ドラ中この4,000オールで持ち点は50,000点を越えた。
こうなれば瀬戸熊の更なる目標は、自身の加点と共に、8回戦までトータルトップの前原をいかに沈めるかである。
こういった長い戦いでは、誰しも好不調の波はある。
好調時にライバルとの差をいかに詰め、いかに広げるか。
最終日を見据えれば、これは必ず大きなプラスとなって返ってくるのである。
東3局1本場は瀬戸熊の1人テンパイ。
そして続く東3局2本場、瀬戸熊にとっては願ったり叶ったりのアガリが飛び出す。

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自らの加点ではないものの、放銃したのが前原となれば、これは次善手ということが言える。
東4局1本場には、荒が久々のアガリで浮上のきっかけを掴む。
三索四索五索六索七索八索一筒一筒一筒東東白白  リーチ  ツモ白  ドラ中続く東4局2本場は、瀬戸熊が1,000・2,000のアガリ。
三万四万五万九万九万五索五索五索一筒二筒三筒六筒七筒  リーチ  ツモ五筒  ドラ三筒
なんとなく、なんとなく、前原包囲網の構図が出来上がりつつある。
そして南1局、藤崎が得意のヤミテンで前原を仕留める。

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10巡目、藤崎がテンパイを果たすと同時に、荒がそのTを掴む。
場面の不穏な空気を既に察知している荒は、その手前で受けに入っているからこれが止まる。
一方で、なんとか挽回を図りたい前原は、追い込まれている分だけギリギリまで攻め込んでしまう。
藤崎の捨て牌がわかりづらいこともあったが、前原にとっては痛恨の放銃となってしまった。
これによって前原は、遂に箱を割る。
この時点で3者が浮いているため、焦点はここから誰が飛躍を遂げるかということに移されるはずだった。
ところが、である。やはり前原はただでは死なない男だった。

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前原雄大プロ

この9,600放銃の後、1本場で500・1,000をツモアガると、次局の親では7巡目にこのリーチ。
八万八万八万一索二索三索三筒三筒三筒六筒六筒南南  リーチ  ドラ二万
藤崎が果敢に被せてピンフ、ドラ2の追いかけリーチを放つも、山に4枚残りのこの受けが勝り、しっかりと南を手繰り寄せた。
するとその1本場では、これぞ前原と言わんばかりのリーチ。
六万七万八万一索二索三索四索五索七索八索九索北北  リーチ  ドラ北
高目でアガれば一気にプラスの世界へ転じることもあり、前原にとっては非常に大事な一局だったが、ここは藤崎が丁寧に捌く。
三万三万四万四万六万六万五索七索七索八索八索中中  ツモ五索
藤崎は、瀬戸熊の親でもしっかりピンフをツモってこの半荘の2着をキープ。
前日とは打って変わり、ヤミテン主体の藤崎らしいアガリが随所で見られるようになってきた。
そして9回戦オーラス、結果は瀬戸熊が前原に満貫を打ち上げるのだが、ここも賛否両論分かれるところではないだろうか。

houou

ポイント状況からすれば、このドラは打たないことの方が得策のように思える。
ただ瀬戸熊にしてみれば、前原を叩けるチャンスでもあるし、ここでオリを選んでことで、自分の型が崩れる方を嫌ったのかもしれない。
ひとつ言えるとすれば、瀬戸熊がこの一局面を見ているのではなく、もっと先を睨んでの打牌であるということは間違いない。
9回戦成績
瀬戸熊+18.8P  藤崎+10.3P  荒▲9.1P  前原▲20.0P
9回戦終了時
瀬戸熊+48.3P  前原+21.7P  藤崎▲33.2P  荒▲36.8P
 
10回戦(起家から、前原・荒・藤崎・瀬戸熊)

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どうも荒の調子が上がってこない。いや、見ている者を魅了する場面は数多くある。
この東1局もそうだ。11巡目、荒は以下の形でテンパイ。
三万五万七万七万四索五索二筒三筒四筒四筒五筒六筒南  ツモ三索  ドラ三万
三筒引きや五筒引き、或いはドラの三万引きなど、優秀な変化形があるため、ここはヤミテンを選択。
この時点で親の前原の手牌は以下。
三万四万五索六索七索七索九索六筒六筒八筒八筒北北
ここに七筒五索六索と連続して引き入れ、14巡目にはテンパイ。
三万四万五索五索六索六索七索七索六筒七筒八筒北北
これを一度はヤミテンに構えるが、次巡、前原はツモ切りリーチに打って出る。
それを受けた南家・荒のツモが二万

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もしこれが瀬戸熊や前原だったら、どんな選択をしたのだろう。
荒が少考に入った瞬間、そんなことが頭をよぎる。
この手だったら…
そう思いながら目を落とした瞬間、荒はスッと現物の三索を抜いた。
「やっぱ、この人はすげーわ。」この胆力は一体どこからくるのだろう。
これだけマイナス街道が続いても、ひたすら我慢し続けられるその精神力に、私は感動すら覚えた。

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荒正義プロ

「勝負はまだ長いということなんだな。」
でも、だからこそ、受けの場面でなく、今度は攻めに転じる荒の姿を見たくなるのは私だけではないはずだ。昨年の勝ち方が強く印象に残っているだけに、ここからの巻き返しを期待したいところだ。
東2局1本場、珍しい場面に遭遇する。

houou

前原が2フーロしているところから、上家瀬戸熊の白に大明カンを入れたのである。
これも普段のプロリーグならまず見られない光景だが、頭獲りならではの戦術ということが言えるかもしれない。
前原がこれをリンシャンから引きアガれば、瀬戸熊の責任払いとなり、5,200か6,400の直取りを果たせるチャンスだからである。
結果は、荒が前原に放銃となるのだが、これが後に新たな火種を生むきっかけになるとは誰も知る由がなかった。
まずは東4局1本場、終局間際の牌譜をご覧いただこう。

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この三索に前原がチーを入れ、ドラの四筒を切る。
いつもの前原なら考えられないような仕掛けと言ってもいい。
先に挙げた大明カンもそうだし、どことなく勝負を急いでいる感が否めないのだ。
このチーで、親の瀬戸熊にハイテイが流れ、テンパイを入れさせてしまう。
私だったら、これだけで次局が不気味でしかない。
やはり本来ないはずの1局というのは、もう何が起こっても不思議ではないからである。
二万三万四万三索四索六索七索八索一筒二筒三筒五筒五筒  ロン二索  ドラ北
瀬戸熊のこのアガリだって当然なかったし、3本場でのこの配牌だってあるはずがないのだ。

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4巡目、瀬戸熊は白のポンテン。
四索五索三筒三筒四筒四筒四筒六筒六筒六筒  ポン白白白  ドラ六筒
一方、南家の前原は以下の形から八索をチー。
二索三索七索八索八索九索六筒東東発  ポン南南南
そして打六筒。これに瀬戸熊が、先ほどのお返しとばかりに大明カンを入れる。
瀬戸熊と前原にとっては、既に2人の戦いに入っているのだろう。
ここまで激しく互いが互いを意識し合った戦いを、私は見た記憶がない。
まさにノーガードの殴り合いである。
四索五索三筒三筒四筒四筒四筒  大明カン六筒 上向き六筒 上向き六筒 上向き六筒 左向き  ポン白白白  ツモ三索
「瀬戸熊が突き抜けるんだろうな」
このアガリが出た瞬間、誰もがそう思ったに違いない。
ところがそれをさせなかったのが、目下のライバル前原である。
正直、この展開なら連続ラスもあるな、と私は見ていた。
そして前原にもその覚悟は出来ていたように思う。
しかし南2局、突然のようにこんな配牌がやってきて、

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あっという間にアガリをさらってしまうのだから、麻雀とはわからないものである。
三索四索五索一筒一筒一筒二筒三筒三筒四筒  ポン中中中  ツモ五筒  ドラ一筒
藤崎の親番でもそうだ。

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満貫というものは、こんなにあっさり決まるものなのだろうか。
いい表現が見つからないが、とにかく前原の生命力には感心させられるばかりである。
10回戦成績
瀬戸熊+24.2P  前原+8.9P  藤崎▲13.8P  荒▲19.3P
10回戦終了時
瀬戸熊+72.5P  前原+30.6P  藤崎▲47.0P  荒▲56.1P
 
これで全日程の半分を消化したことになる。依然トップを快走するのは瀬戸熊直樹。
「昨日はよく眠れた。」と試合前に語っていた通り、懸念材料もなく、初日同様満足のいく内容だったように感じた。
一方、トータルラスに落ちたのが前年度王者の荒正義。
これだけのポイント差を捲るとなれば、3日目からはかなり前掛かりとなって攻め込まねばならない。
トータル2着は前原雄大。
初日からの上積みはわずか2.0Pで、後半はやや危なっかしさも見受けられた。
しかし、瀬戸熊を叩かないことには逆転もない。3日目もこの戦い方を貫いてくることが予測される。
そしてトータル3着が藤崎智。
マイナスを10.0P減らしたものの、やはり優勝を狙うには3日目の成績が大きく物を言う。
もし3日目も瀬戸熊が数字を伸ばすようなことがあれば、3者共に優勝の可能性はかなり厳しくなると言っていい。
勝負は6日後。各人がどんな戦略を練ってくるのか。
非常に楽しみである。

第7期女流桜花優勝特別インタビュー:魚谷侑未

 

『ああいう子は強くなるよ。』

約3年前、会場で同卓者に牌のさらし方の間違いを指摘している女の子がいた。
その姿を見て、隣で観戦していた人がこうつぶやいた。

芯の強そうな子だなぁ・・その時はそう感じただけだったが、今思えばこの未来を予知していたのかもしれない。

第7期女流桜花決勝、そこには1年前と同じく勝利して涙を流す魚谷プロの姿があった。

1年前よりも一段と強くなって帰ってきた彼女は、まさに“ディフェンディングチャンピオン”の名にふさわしい堂々とした戦いぶりだった。

努力して努力して、我慢を重ねて勝利を勝ち取った彼女が流すまっすぐな涙だからこそ、観る人を感動させるのだろう。

そんな風に思った。

第6期・7期女流桜花&女流モンド杯優勝と今ではすっかり遠い存在になってしまいましたが、そんな女流桜花様と実は同期のわたし、古谷知美が今回インタビュアーを務めさせて頂きます☆

2月某日、居酒屋にて仕事終わりのゆーみん(魚谷プロ)と待ち合わせた。

魚谷『ともちん(わたし)お疲れー!』
古谷『ゆーみんー(^^)』
魚谷『はいこれ(インタビューで使う)ボイスレコーダー借りてきたよ!あとなに飲む?いつも通り梅酒ソーダでいい?あ、すみませーん!(店員さんに向かって)』

・・インタビューされる側なのにこの手際の良さ・・(・。・;
ゆーみんはとってもしっかり者なのです☆

こうして仲良く梅酒のソーダ割りを飲みながらインタビューが始まりました。

spe25
撮影される時も手際がいいです
魚谷侑未プロ
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女流桜花連覇記念
魚谷侑未プロと古谷知美プロ
spe25
魚谷侑未プロと古谷知美プロ
spe25
左から魚谷侑未プロ、齋藤麻衣子プロ、高宮まりプロ

≪女流桜花決勝≫

古谷『ゆーみん、桜花連覇本当におめでとう!!』
魚谷『ありがとうー!!』
古谷『決勝前の優勝者予想では、連覇も期待してゆーみんを本命にしてたんだけど、本当に連覇しちゃうなんて!タイトルとるだけでもすごい事だけど、連覇っていうと本当に実力者って感じだね!』
魚谷『いやいやそんな事ないよ。本当にツイてたなって思う。』
古谷『実は女流桜花のプレーオフを記者として観戦した時に、みんな上手くて強くて、レベルの高さにびっくりしたんだ。でもゆーみんが、今その頂点なんだもんね!』
魚谷『ありがとうございます(照)。』

謙虚な姿勢は女流桜花になる前も、後も、連覇した後もずっと変わらない。

古谷『去年は挑戦者として、今年は現女流桜花として戦ったわけだけど、やっぱり気持ちの面では違った?』
魚谷『実は、決勝の2週間くらい前から、めちゃくちゃ不安になったの。この1年間あった【現女流桜花】の肩書が無くなるかもしれない、無くなる可能性の方が高いって思って。』
古谷『確かに確率でいえば4分の1だもんね。』
魚谷『なんかもう不安でグチャグチャになっちゃってひどかった。だけど3日くらい前に去年の女流桜花のプレーオフ前の気持ちを思い返して、吹っ切れて挑戦者の気持ちで戦おう!って気持ちを立て直せたの。』

タイトルホルダーならではの気持ちなのでしょう。
自分の気持ちの立て直し方までわかっている人は、そういないのではないでしょうか。

魚谷『でも終わった後は本当にツイてたなーって思ったよ。』
古谷『ツイてた・・かな?確かに牌が寄ってきていた局面はあったけど、それはゆーみんがきちんといつも通りの麻雀を打った結果、手繰り寄せたって感じがしたよ。2回戦のスッタンツモとか!』
魚谷『あれね、わたし高い手アガった後に手震えちゃう事がよくあるんだけど、あの時は震えなかったの。スッタンツモっても嬉しくなかった・・いや嬉しかったんだけど、これで優勝できなきゃ意味ないって思っていた。1回戦は1人沈みだったし。』

女流桜花決勝の舞台で四暗刻をアガったら、少しは舞い上がってもいいのに・・どこまで冷静なのだろうか?彼女の強さはこの冷静さにも起因している。

魚谷『でも、最後はあんなに苦しくなるとは思わなかったなぁ・・最終戦が始まる時は、よっぽどの事がない限り、自分が前に出なきゃいけなくなる事はないだろうって思ってたら・・』
古谷『すぐによっぽどの事が起きちゃったわけですね。』
魚谷『そう(苦笑)』

(10回戦開始時に56.8Pあった和久津プロとの点差が、和久津プロの猛烈な追い上げによって一時は捲られ、そこからまたゆーみんが追い抜かし、オーラスは、和久津プロの1,600・3,200ツモ条件という、とても白熱した展開になったのです!)

魚谷『和久津さん本当に強かった・・解説では“捲れらても魚谷プロは全然平気そうですね”なんて言われていたけど、内心はすごい焦ってたよ!でも逆に、もう1回捲られちゃったんだから、自分が前にいくしかないって腹を括れたかな。安牌を持たないで前に出ていくのって、やっぱりすごく怖いんだけど、自分がいかなきゃダメだって。だから腹を括って、南3局では役牌バックで押したの。オーラスでノーテンで伏せられるようにしたかったから。』
古谷『あのアガリはゆーみんらしかったね!オーラスで聞きたかったんだけど、ゆーみんの手牌がドラと役牌がトイツで・・そこから迷わずオリたよね?あの和久津さんの勢いだったら、条件満たしてツモられちゃいそうだから、多少はアガリにむかうのかなー?と思ったんだよね。』
魚谷『んー・・あれはどうだったんだろう?1,600・3,200ツモって、ほとんど満貫条件じゃん?わたし満貫ツモって中々満たせない条件だと思っていて。ああいう状況じゃ、役牌が鳴ける事も期待できないしと思ってそうしたんだけど、でもどうだったのかな?今でもよくわからないかも。』
古谷『(ゆーみんが後でこんなに悩むなんて珍しいかも・・)和久津さんが条件満たしてリーチかけた時はどうだったの?やっぱりドキドキだよね?』
魚谷『もうお祈りだよ!神様っっって!!』
古谷『なんかゆーみんが神様にお祈りって意外かも(^_^.)いつも現実的だから(笑)』

≪女流研修≫

古谷『そういえば、ゆーみんとよく話すようになったのって、女流研修がきっかけだよね。それまではあんまり深く話した事無かったよね・・わたしが人見知りすぎるのがいけないんだけど((笑))』
魚谷『あはは(笑)』
古谷『女流研修は、基礎的な部分を学ぶ事が多いから、わたしはすごく勉強になるんだけど、ゆーみんはもう滝沢さんと山井さんと同じ講師って感じかも。』
魚谷『そんな事ないよ。わたし基本に忠実に麻雀を打とうって心がけてるんだけど、それって実はすごく難しいの。自分でも気づかない内に基本から反れちゃっている部分が研修によって正されるし、他の子に指摘する事で、自分でも再認識する事もできるから、わたしにとっても勉強の場だよ。』
古谷『ふむふむなるほど。』
魚谷『基本に忠実に打って、もっと進化したらそこから自分の個性をつけられると思うの。だから個性がつくのはこれからかな。』
古谷『最速マーメイドって呼び名がつく位だし、もう十分個性的に打てていると思うけどね!』
魚谷『ありがとうございます(照)。』

照れると、ひたすらありがとうございますと連呼する桜花様は、なんだかとっても可愛らしい。

≪これから≫

古谷『女流桜花連覇して女流モンド杯も優勝して・・もうそれだけで素晴らしい経歴だけど、ゆーみんにとってこれからの目標ってある?』
魚谷『うーん目標というか、これからもっと自分がしっかりしなきゃいけないと思う。現状に甘えて満足していたら、後は堕ちるだけだから。努力し続けて、麻雀だけじゃなくて、普段の自分の立ち振る舞いとか行いとかでも、人間的に尊敬してもらえるような人になりたいな。そう思えるのは周りの先輩達のおかげかな。』
古谷『さすが意識が高いね!』
魚谷『あと、タイトルでいうならプロクイーンとりたい!女流桜花と女流モンド杯とプロクイーンとったら三冠にできるからね!』

三冠・・絵空事のような話だけど、ゆーみんが言うとなんだか実現してしまうような気がしてしまう。

【私、よく色んな人に(メンタルが強い)って言われるけど、そんな事全然ないんだよ。本当はちょー弱いし、緊張しいだし、ブレそうになる】

女流桜花決勝の4日前、彼女は自身のブログにこう記している。
それでもわたしは、ゆーみんはやっぱり強い精神力を持っている、強い人だと思う。
そうでなければ、周りからの期待やプレッシャーで押しつぶされそうになった時、50ポイント以上あった点差を和久津プロの凄まじい追い上げで、一時は捲られてしまった時、表情一つ変えずに自分のいつも通りの麻雀を貫く事なんてできない。

真面目で努力家で、とっても謙虚、そして常に上を目指し続けているゆーみん。
こんなプロに、自分もなりたいと思う。

ゆーみん、連覇本当におめでとう!
これからも強くて冷静でカッコいいゆーみんでいつづけてね☆

プロ雀士インタビュー/第7期女流桜花優勝特別インタビュー:魚谷侑未

 
『ああいう子は強くなるよ。』
約3年前、会場で同卓者に牌のさらし方の間違いを指摘している女の子がいた。
その姿を見て、隣で観戦していた人がこうつぶやいた。
芯の強そうな子だなぁ・・その時はそう感じただけだったが、今思えばこの未来を予知していたのかもしれない。
第7期女流桜花決勝、そこには1年前と同じく勝利して涙を流す魚谷プロの姿があった。
1年前よりも一段と強くなって帰ってきた彼女は、まさに“ディフェンディングチャンピオン”の名にふさわしい堂々とした戦いぶりだった。
努力して努力して、我慢を重ねて勝利を勝ち取った彼女が流すまっすぐな涙だからこそ、観る人を感動させるのだろう。
そんな風に思った。
第6期・7期女流桜花&女流モンド杯優勝と今ではすっかり遠い存在になってしまいましたが、そんな女流桜花様と実は同期のわたし、古谷知美が今回インタビュアーを務めさせて頂きます☆
2月某日、居酒屋にて仕事終わりのゆーみん(魚谷プロ)と待ち合わせた。
魚谷『ともちん(わたし)お疲れー!』
古谷『ゆーみんー(^^)』
魚谷『はいこれ(インタビューで使う)ボイスレコーダー借りてきたよ!あとなに飲む?いつも通り梅酒ソーダでいい?あ、すみませーん!(店員さんに向かって)』
・・インタビューされる側なのにこの手際の良さ・・(・。・;
ゆーみんはとってもしっかり者なのです☆
こうして仲良く梅酒のソーダ割りを飲みながらインタビューが始まりました。

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撮影される時も手際がいいです
魚谷侑未プロ
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女流桜花連覇記念
魚谷侑未プロと古谷知美プロ
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魚谷侑未プロと古谷知美プロ
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左から魚谷侑未プロ、齋藤麻衣子プロ、高宮まりプロ

≪女流桜花決勝≫
古谷『ゆーみん、桜花連覇本当におめでとう!!』
魚谷『ありがとうー!!』
古谷『決勝前の優勝者予想では、連覇も期待してゆーみんを本命にしてたんだけど、本当に連覇しちゃうなんて!タイトルとるだけでもすごい事だけど、連覇っていうと本当に実力者って感じだね!』
魚谷『いやいやそんな事ないよ。本当にツイてたなって思う。』
古谷『実は女流桜花のプレーオフを記者として観戦した時に、みんな上手くて強くて、レベルの高さにびっくりしたんだ。でもゆーみんが、今その頂点なんだもんね!』
魚谷『ありがとうございます(照)。』
謙虚な姿勢は女流桜花になる前も、後も、連覇した後もずっと変わらない。
古谷『去年は挑戦者として、今年は現女流桜花として戦ったわけだけど、やっぱり気持ちの面では違った?』
魚谷『実は、決勝の2週間くらい前から、めちゃくちゃ不安になったの。この1年間あった【現女流桜花】の肩書が無くなるかもしれない、無くなる可能性の方が高いって思って。』
古谷『確かに確率でいえば4分の1だもんね。』
魚谷『なんかもう不安でグチャグチャになっちゃってひどかった。だけど3日くらい前に去年の女流桜花のプレーオフ前の気持ちを思い返して、吹っ切れて挑戦者の気持ちで戦おう!って気持ちを立て直せたの。』
タイトルホルダーならではの気持ちなのでしょう。
自分の気持ちの立て直し方までわかっている人は、そういないのではないでしょうか。
魚谷『でも終わった後は本当にツイてたなーって思ったよ。』
古谷『ツイてた・・かな?確かに牌が寄ってきていた局面はあったけど、それはゆーみんがきちんといつも通りの麻雀を打った結果、手繰り寄せたって感じがしたよ。2回戦のスッタンツモとか!』
魚谷『あれね、わたし高い手アガった後に手震えちゃう事がよくあるんだけど、あの時は震えなかったの。スッタンツモっても嬉しくなかった・・いや嬉しかったんだけど、これで優勝できなきゃ意味ないって思っていた。1回戦は1人沈みだったし。』
女流桜花決勝の舞台で四暗刻をアガったら、少しは舞い上がってもいいのに・・どこまで冷静なのだろうか?彼女の強さはこの冷静さにも起因している。
魚谷『でも、最後はあんなに苦しくなるとは思わなかったなぁ・・最終戦が始まる時は、よっぽどの事がない限り、自分が前に出なきゃいけなくなる事はないだろうって思ってたら・・』
古谷『すぐによっぽどの事が起きちゃったわけですね。』
魚谷『そう(苦笑)』
(10回戦開始時に56.8Pあった和久津プロとの点差が、和久津プロの猛烈な追い上げによって一時は捲られ、そこからまたゆーみんが追い抜かし、オーラスは、和久津プロの1,600・3,200ツモ条件という、とても白熱した展開になったのです!)
魚谷『和久津さん本当に強かった・・解説では“捲れらても魚谷プロは全然平気そうですね”なんて言われていたけど、内心はすごい焦ってたよ!でも逆に、もう1回捲られちゃったんだから、自分が前にいくしかないって腹を括れたかな。安牌を持たないで前に出ていくのって、やっぱりすごく怖いんだけど、自分がいかなきゃダメだって。だから腹を括って、南3局では役牌バックで押したの。オーラスでノーテンで伏せられるようにしたかったから。』
古谷『あのアガリはゆーみんらしかったね!オーラスで聞きたかったんだけど、ゆーみんの手牌がドラと役牌がトイツで・・そこから迷わずオリたよね?あの和久津さんの勢いだったら、条件満たしてツモられちゃいそうだから、多少はアガリにむかうのかなー?と思ったんだよね。』
魚谷『んー・・あれはどうだったんだろう?1,600・3,200ツモって、ほとんど満貫条件じゃん?わたし満貫ツモって中々満たせない条件だと思っていて。ああいう状況じゃ、役牌が鳴ける事も期待できないしと思ってそうしたんだけど、でもどうだったのかな?今でもよくわからないかも。』
古谷『(ゆーみんが後でこんなに悩むなんて珍しいかも・・)和久津さんが条件満たしてリーチかけた時はどうだったの?やっぱりドキドキだよね?』
魚谷『もうお祈りだよ!神様っっって!!』
古谷『なんかゆーみんが神様にお祈りって意外かも(^_^.)いつも現実的だから(笑)』
≪女流研修≫
古谷『そういえば、ゆーみんとよく話すようになったのって、女流研修がきっかけだよね。それまではあんまり深く話した事無かったよね・・わたしが人見知りすぎるのがいけないんだけど((笑))』
魚谷『あはは(笑)』
古谷『女流研修は、基礎的な部分を学ぶ事が多いから、わたしはすごく勉強になるんだけど、ゆーみんはもう滝沢さんと山井さんと同じ講師って感じかも。』
魚谷『そんな事ないよ。わたし基本に忠実に麻雀を打とうって心がけてるんだけど、それって実はすごく難しいの。自分でも気づかない内に基本から反れちゃっている部分が研修によって正されるし、他の子に指摘する事で、自分でも再認識する事もできるから、わたしにとっても勉強の場だよ。』
古谷『ふむふむなるほど。』
魚谷『基本に忠実に打って、もっと進化したらそこから自分の個性をつけられると思うの。だから個性がつくのはこれからかな。』
古谷『最速マーメイドって呼び名がつく位だし、もう十分個性的に打てていると思うけどね!』
魚谷『ありがとうございます(照)。』
照れると、ひたすらありがとうございますと連呼する桜花様は、なんだかとっても可愛らしい。
≪これから≫
古谷『女流桜花連覇して女流モンド杯も優勝して・・もうそれだけで素晴らしい経歴だけど、ゆーみんにとってこれからの目標ってある?』
魚谷『うーん目標というか、これからもっと自分がしっかりしなきゃいけないと思う。現状に甘えて満足していたら、後は堕ちるだけだから。努力し続けて、麻雀だけじゃなくて、普段の自分の立ち振る舞いとか行いとかでも、人間的に尊敬してもらえるような人になりたいな。そう思えるのは周りの先輩達のおかげかな。』
古谷『さすが意識が高いね!』
魚谷『あと、タイトルでいうならプロクイーンとりたい!女流桜花と女流モンド杯とプロクイーンとったら三冠にできるからね!』
三冠・・絵空事のような話だけど、ゆーみんが言うとなんだか実現してしまうような気がしてしまう。
【私、よく色んな人に(メンタルが強い)って言われるけど、そんな事全然ないんだよ。本当はちょー弱いし、緊張しいだし、ブレそうになる】
女流桜花決勝の4日前、彼女は自身のブログにこう記している。
それでもわたしは、ゆーみんはやっぱり強い精神力を持っている、強い人だと思う。
そうでなければ、周りからの期待やプレッシャーで押しつぶされそうになった時、50ポイント以上あった点差を和久津プロの凄まじい追い上げで、一時は捲られてしまった時、表情一つ変えずに自分のいつも通りの麻雀を貫く事なんてできない。
真面目で努力家で、とっても謙虚、そして常に上を目指し続けているゆーみん。
こんなプロに、自分もなりたいと思う。
ゆーみん、連覇本当におめでとう!
これからも強くて冷静でカッコいいゆーみんでいつづけてね☆

第21期中部プロリーグ A・B・Cリーグ 第1節レポート

中部リーグレポート

Aリーグレポート:掛水洋徳

21期生の掛水です。
初めてのレポートで拙い文章ですが、半年間のお付き合いよろしくお願いします。
第21期中部プロリーグ第1節、まずは連盟員全員の挨拶も終わり、一斉に対局がスタート。
全節そうだがプラスのスコアを維持し、次節以降を自分のスタイルで戦いたい。
トータルでマイナスでは次第に戦術や戦略面で制限が出てしまうからだ。
そのためか1節目の1回戦は同卓者からいつもより集中力、緊張感が伝わってくる。

1卓は古川・森下・渡辺・鈴木
注目は20期で久しぶりの優勝、鳳凰戦もA1復帰と絶好調の古川。
しかし好発進したのは鈴木、森下であった。
両者がプラスで終わり、古川、渡辺がマイナスとなった。
渡辺は3回戦まで厳しい流れも4回戦で意地のトップで終了。
古川、渡辺とも優勝経験者なので2節以降の挽回に期待したい。

2卓は、村瀬・毛受・寺戸・佐藤
3期連続決勝を狙う村瀬がマイナスとなったが、2、3、4回戦は軽微のマイナスで負けた気がしないだろう。
卓内トップは寺戸で3、1、2、1の+38.1P。
2度目の昇級の佐藤もプラスでまとめ、中部プロリーグ初の女流プロ決勝へ一歩前進、ぜひ頑張って貰いたい。

3卓は伊藤・杉浦・掛水・太田
初のAリーグの太田、1回戦東1局東家スタート。
かなり緊張していたと思うが5本場まで積み、いきなり5万点オーバー、そのまま1回戦トップを取る。
1節を通してもプラスで終わり、まずはノルマをクリアか。
伊藤は終始苦しい展開だったが4回戦のオーラスで一矢報いる。
2,000・3,900をツモり4回戦をプラスで終え、次節に繋がるアガりをした。
昇級組が揃って好スタートを切り、前回決勝組が苦戦をする結果となった。
私は1、2回戦は浮きで、3回戦は大トップ。
しかし4回戦では自分の判断ミスで高打点に放銃、その後も自分の状態を過信し失点を回復しようと前に出ると、3人から集中砲火の箱ラス、無念。

Aリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 日下 健司 71.3 71.3
2 鈴木 基芳 43.2 43.2
3 寺戸 孝志 38.1 38.1
4 森下 剛任 36.3 36.3
5 掛水 洋徳 28.4 28.4
6 山田 優駿 21.6 21.6
7 佐藤 あいり 17.0 17.0
8 太田 充 14.5 14.5
9 杉浦 貴紀 11.6 11.6
10 三戸 亮祐 ▲ 9.9 ▲ 9.9
11 毛受 俊 ▲ 20.3 ▲ 20.3
12 古川 孝次 ▲ 22.6 ▲ 22.6
13 村瀬 寛光 ▲ 34.8 ▲ 34.8
14 伊藤 鉄也 ▲ 54.5 ▲ 54.5
15 渡辺 典夫 ▲ 56.9 ▲ 56.9
16 浅野 文雅 ▲ 83.0 ▲ 83.0

Bリーグレポート:大滝聡

今回、中部プロリーグBリーグのレポート担当を致します24期生の大滝です。
物事を客観的に見る器用さに欠ける為、主観的な内容になってしまうかもしれませんが、
半年間お付き合いの程よろしくお願い致します。

東京では鳳凰位決定戦が行われている中、第21期中部プロリーグが開幕しました。
毎回、開幕戦では恒例である新人プロ5人を含む自己紹介および各選手の挨拶の後対局がスタートした。

その中で、やはり多く耳にしたのは「昇級を目指す。」Aリーグにおいては「決勝選手を目指す。」というものでした。
各自おもうところは、第1節はプラスで終えていいスタートを切りたいということでしょう。今回、私がリーグ戦を迎えるにあたって意識する点としては2点あります。

1つ目は各節、目的をもって取組むという点
2つ目は素点にこだわった打ち方をしようという点です。

当たり前のことではありますが、過去そのような点に欠けていた為に昇級を逃したり、降級をしてしまいました。
Aルールにおいて、素点の重要性を軽視していた事も反省点の1つに挙げられます。
やはり昇級を狙う際、トータルでスコアを残す為には、1半荘で大きなプラスを作ることが大切で、野球で言えばビッグイニングが必要だと思います。
つまり、序盤に持点が増える展開になっても、安易に局をまわしたりするような楽をしてはいけない。あくまでも行けると判断した時は、貪欲に加点する(攻撃する姿勢)が素点を叩くということにつながると思います。
さて、私事の前置きはこの辺にして結果の方に目を移してみると
樋口+45.4P(第19期マスターズ優勝)
朝岡+42.7P(弟15期中部プロリーグ2位)
菅野+26.6P(弟4・6期静岡プロリーグ優勝)
といった実力者が上位を占めていました。
私はというと4、3、4、1の▲18.8P・・・でした。

3回線終了時では、ほぼ空気のような存在でいたが、4半荘のトップで大きなマイナスにならずにすみました。
まだ戦いは始まったばかり、こうした舞台で好きな麻雀が打てる事に感謝しつつ、次節以降の戦いが楽しみです。

Bリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 樋口 新 45.4 45.4
2 朝岡 祐 42.7 42.7
3 菅野 直 26.6 26.6
4 木村 東平 20.8 20.8
5 櫛田 利太 16.3 16.3
6 牛尾 信之 15.7 15.7
7 小坂 美樹 9.9 9.9
8 葛山 英樹 7.0 7.0
9 中西 栄二 ▲ 3.4 ▲ 3.4
10 土岐 雄太 ▲ 8.0 ▲ 8.0
11 鈴木 雄介 ▲ 9.2 ▲ 9.2
12 原田 知彦 ▲ 17.7 ▲ 17.7
13 大滝 聡 ▲ 18.8 ▲ 18.8
14 長谷川 弘 ▲ 19.8 ▲ 19.8
15 吉井 友直 ▲ 52.5 ▲ 52.5
16 若松 正和 ▲ 55.0 ▲ 55.0

Cリーグレポート:小野雅峻

今期、中部プロCリーグのレポートを書かせていただく29期生の小野雅峻です。
拙い文章ではありますが、半年間お付き合いいただければ幸いです。

先月のAリーグ決勝も記憶に新しい中、第21期中部プロリーグが開催された。
決勝では、古川プロがまさに王者の麻雀を見せつけ、堂々の3回目の優勝となった。いい刺激をもらった若手も少なくないのではと思う。ぜひ私も見ている人を引きつけるような闘牌をしたいものである。

さて、今期Cリーグで注目していきたいのは、やはり杉村プロではないだろうか。
前期降級組の中でも、Aリーグで優勝経験もあり、静岡プロリーグでも素晴らしい結果を残している杉村プロ、なんと2期連続の降級となってしまった。このままではいけないと思っているのか、最初の挨拶でもどこかいつも以上の気迫が感じられた。

初戦の私の同卓者は角谷、安藤、三谷であった。出足よく得点を集めることができ、好調を感じていた3回戦目のオーラスのことである。私の持ち点は38,300点のトップ目で、2着目が35,800点でラス親の角谷。7巡目に角谷からリーチが入った。この時の手牌が、
 三万四万五万六万八万九万二筒五筒五筒六筒七筒白白  ツモ六索  ドラ一筒

ドラも1枚も見えていないためオリるべきなのだが、手牌には安牌がメンツを崩していく六筒しかなく、オリきれないと感じた私は、形が悪いながらも2シャンテンだったこともあり素直に手牌を進めた。
ペンチャンの九万、八と切ったところ、八万で7,700は8,000の放銃となった。
仕方ないかと思っていた私だったが、観戦していた先輩プロに、あれはメンツを崩してでも六筒でオリるべきだとアドバイスをもらった。

麻雀、特に競技麻雀において「押し引き」というのは勝つためにとても重要な要素ではないかと思う。
明確な答えがあるわけでもないが、押し引きがうまい人は、やはり勝てる人なのだろう。
私ももっと経験を積み、押し引きの技術を身につけたい。

1節目の結果だが、トップは+61.4Pで大町となった。その他にも+50P前後が3人も出ている。
また、今期から出場の新人プロ達がそろってプラスで終えるという結果になった。
緊張はあったと思うが、その中で結果を出すというのは素晴らしいと感じた。
次節以降も期待したいと思う。

Cリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 大町 篤志 61.4 61.4
2 河合 慎悟 51.4 51.4
3 太田 峻也 50.1 50.1
4 原 尚吾 48.3 48.3
5 斎藤 寛生 29.9 29.9
6 加藤 泰史 28.8 28.8
7 小野 雅峻 25.0 25.0
8 杉村 泰治 21.6 21.6
9 八木 悠 15.4 15.4
10 山本 拓哉 14.9 14.9
11 安藤 大貴 10.9 10.9
12 大高坂 松城 9.7 9.7
13 中谷 彰吾 5.7 5.7
14 角谷 和幸 ▲ 2.9 ▲ 2.9
15 大西 義則 ▲ 4.6 ▲ 4.6
16 加賀美 幸孝 ▲ 22.9 ▲ 22.9
17 山神 達也 ▲ 32.0 ▲ 32.0
18 三谷 卓也 ▲ 33.0 ▲ 33.0
19 家田 みゆき ▲ 36.7 ▲ 36.7
20 岩井 健太 ▲ 41.6 ▲ 41.6
21 越川 清一 ▲ 53.9 ▲ 53.9
22 岡本 丈司 ▲ 61.2 ▲ 61.2
23 鈴木 淳 ▲ 85.3 ▲ 85.3
24 今枝 美月 ▲ 100.0 ▲ 100.0

中部プロリーグ レポート/第21期中部プロリーグ A・B・Cリーグ 第1節レポート

中部リーグレポート
Aリーグレポート:掛水洋徳
21期生の掛水です。
初めてのレポートで拙い文章ですが、半年間のお付き合いよろしくお願いします。
第21期中部プロリーグ第1節、まずは連盟員全員の挨拶も終わり、一斉に対局がスタート。
全節そうだがプラスのスコアを維持し、次節以降を自分のスタイルで戦いたい。
トータルでマイナスでは次第に戦術や戦略面で制限が出てしまうからだ。
そのためか1節目の1回戦は同卓者からいつもより集中力、緊張感が伝わってくる。
1卓は古川・森下・渡辺・鈴木
注目は20期で久しぶりの優勝、鳳凰戦もA1復帰と絶好調の古川。
しかし好発進したのは鈴木、森下であった。
両者がプラスで終わり、古川、渡辺がマイナスとなった。
渡辺は3回戦まで厳しい流れも4回戦で意地のトップで終了。
古川、渡辺とも優勝経験者なので2節以降の挽回に期待したい。
2卓は、村瀬・毛受・寺戸・佐藤
3期連続決勝を狙う村瀬がマイナスとなったが、2、3、4回戦は軽微のマイナスで負けた気がしないだろう。
卓内トップは寺戸で3、1、2、1の+38.1P。
2度目の昇級の佐藤もプラスでまとめ、中部プロリーグ初の女流プロ決勝へ一歩前進、ぜひ頑張って貰いたい。
3卓は伊藤・杉浦・掛水・太田
初のAリーグの太田、1回戦東1局東家スタート。
かなり緊張していたと思うが5本場まで積み、いきなり5万点オーバー、そのまま1回戦トップを取る。
1節を通してもプラスで終わり、まずはノルマをクリアか。
伊藤は終始苦しい展開だったが4回戦のオーラスで一矢報いる。
2,000・3,900をツモり4回戦をプラスで終え、次節に繋がるアガりをした。
昇級組が揃って好スタートを切り、前回決勝組が苦戦をする結果となった。
私は1、2回戦は浮きで、3回戦は大トップ。
しかし4回戦では自分の判断ミスで高打点に放銃、その後も自分の状態を過信し失点を回復しようと前に出ると、3人から集中砲火の箱ラス、無念。
Aリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 日下 健司 71.3 71.3
2 鈴木 基芳 43.2 43.2
3 寺戸 孝志 38.1 38.1
4 森下 剛任 36.3 36.3
5 掛水 洋徳 28.4 28.4
6 山田 優駿 21.6 21.6
7 佐藤 あいり 17.0 17.0
8 太田 充 14.5 14.5
9 杉浦 貴紀 11.6 11.6
10 三戸 亮祐 ▲ 9.9 ▲ 9.9
11 毛受 俊 ▲ 20.3 ▲ 20.3
12 古川 孝次 ▲ 22.6 ▲ 22.6
13 村瀬 寛光 ▲ 34.8 ▲ 34.8
14 伊藤 鉄也 ▲ 54.5 ▲ 54.5
15 渡辺 典夫 ▲ 56.9 ▲ 56.9
16 浅野 文雅 ▲ 83.0 ▲ 83.0

Bリーグレポート:大滝聡
今回、中部プロリーグBリーグのレポート担当を致します24期生の大滝です。
物事を客観的に見る器用さに欠ける為、主観的な内容になってしまうかもしれませんが、
半年間お付き合いの程よろしくお願い致します。
東京では鳳凰位決定戦が行われている中、第21期中部プロリーグが開幕しました。
毎回、開幕戦では恒例である新人プロ5人を含む自己紹介および各選手の挨拶の後対局がスタートした。
その中で、やはり多く耳にしたのは「昇級を目指す。」Aリーグにおいては「決勝選手を目指す。」というものでした。
各自おもうところは、第1節はプラスで終えていいスタートを切りたいということでしょう。今回、私がリーグ戦を迎えるにあたって意識する点としては2点あります。
1つ目は各節、目的をもって取組むという点
2つ目は素点にこだわった打ち方をしようという点です。
当たり前のことではありますが、過去そのような点に欠けていた為に昇級を逃したり、降級をしてしまいました。
Aルールにおいて、素点の重要性を軽視していた事も反省点の1つに挙げられます。
やはり昇級を狙う際、トータルでスコアを残す為には、1半荘で大きなプラスを作ることが大切で、野球で言えばビッグイニングが必要だと思います。
つまり、序盤に持点が増える展開になっても、安易に局をまわしたりするような楽をしてはいけない。あくまでも行けると判断した時は、貪欲に加点する(攻撃する姿勢)が素点を叩くということにつながると思います。
さて、私事の前置きはこの辺にして結果の方に目を移してみると
樋口+45.4P(第19期マスターズ優勝)
朝岡+42.7P(弟15期中部プロリーグ2位)
菅野+26.6P(弟4・6期静岡プロリーグ優勝)
といった実力者が上位を占めていました。
私はというと4、3、4、1の▲18.8P・・・でした。
3回線終了時では、ほぼ空気のような存在でいたが、4半荘のトップで大きなマイナスにならずにすみました。
まだ戦いは始まったばかり、こうした舞台で好きな麻雀が打てる事に感謝しつつ、次節以降の戦いが楽しみです。
Bリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 樋口 新 45.4 45.4
2 朝岡 祐 42.7 42.7
3 菅野 直 26.6 26.6
4 木村 東平 20.8 20.8
5 櫛田 利太 16.3 16.3
6 牛尾 信之 15.7 15.7
7 小坂 美樹 9.9 9.9
8 葛山 英樹 7.0 7.0
9 中西 栄二 ▲ 3.4 ▲ 3.4
10 土岐 雄太 ▲ 8.0 ▲ 8.0
11 鈴木 雄介 ▲ 9.2 ▲ 9.2
12 原田 知彦 ▲ 17.7 ▲ 17.7
13 大滝 聡 ▲ 18.8 ▲ 18.8
14 長谷川 弘 ▲ 19.8 ▲ 19.8
15 吉井 友直 ▲ 52.5 ▲ 52.5
16 若松 正和 ▲ 55.0 ▲ 55.0

Cリーグレポート:小野雅峻
今期、中部プロCリーグのレポートを書かせていただく29期生の小野雅峻です。
拙い文章ではありますが、半年間お付き合いいただければ幸いです。
先月のAリーグ決勝も記憶に新しい中、第21期中部プロリーグが開催された。
決勝では、古川プロがまさに王者の麻雀を見せつけ、堂々の3回目の優勝となった。いい刺激をもらった若手も少なくないのではと思う。ぜひ私も見ている人を引きつけるような闘牌をしたいものである。
さて、今期Cリーグで注目していきたいのは、やはり杉村プロではないだろうか。
前期降級組の中でも、Aリーグで優勝経験もあり、静岡プロリーグでも素晴らしい結果を残している杉村プロ、なんと2期連続の降級となってしまった。このままではいけないと思っているのか、最初の挨拶でもどこかいつも以上の気迫が感じられた。
初戦の私の同卓者は角谷、安藤、三谷であった。出足よく得点を集めることができ、好調を感じていた3回戦目のオーラスのことである。私の持ち点は38,300点のトップ目で、2着目が35,800点でラス親の角谷。7巡目に角谷からリーチが入った。この時の手牌が、
 三万四万五万六万八万九万二筒五筒五筒六筒七筒白白  ツモ六索  ドラ一筒
ドラも1枚も見えていないためオリるべきなのだが、手牌には安牌がメンツを崩していく六筒しかなく、オリきれないと感じた私は、形が悪いながらも2シャンテンだったこともあり素直に手牌を進めた。
ペンチャンの九万、八と切ったところ、八万で7,700は8,000の放銃となった。
仕方ないかと思っていた私だったが、観戦していた先輩プロに、あれはメンツを崩してでも六筒でオリるべきだとアドバイスをもらった。
麻雀、特に競技麻雀において「押し引き」というのは勝つためにとても重要な要素ではないかと思う。
明確な答えがあるわけでもないが、押し引きがうまい人は、やはり勝てる人なのだろう。
私ももっと経験を積み、押し引きの技術を身につけたい。
1節目の結果だが、トップは+61.4Pで大町となった。その他にも+50P前後が3人も出ている。
また、今期から出場の新人プロ達がそろってプラスで終えるという結果になった。
緊張はあったと思うが、その中で結果を出すというのは素晴らしいと感じた。
次節以降も期待したいと思う。
Cリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 大町 篤志 61.4 61.4
2 河合 慎悟 51.4 51.4
3 太田 峻也 50.1 50.1
4 原 尚吾 48.3 48.3
5 斎藤 寛生 29.9 29.9
6 加藤 泰史 28.8 28.8
7 小野 雅峻 25.0 25.0
8 杉村 泰治 21.6 21.6
9 八木 悠 15.4 15.4
10 山本 拓哉 14.9 14.9
11 安藤 大貴 10.9 10.9
12 大高坂 松城 9.7 9.7
13 中谷 彰吾 5.7 5.7
14 角谷 和幸 ▲ 2.9 ▲ 2.9
15 大西 義則 ▲ 4.6 ▲ 4.6
16 加賀美 幸孝 ▲ 22.9 ▲ 22.9
17 山神 達也 ▲ 32.0 ▲ 32.0
18 三谷 卓也 ▲ 33.0 ▲ 33.0
19 家田 みゆき ▲ 36.7 ▲ 36.7
20 岩井 健太 ▲ 41.6 ▲ 41.6
21 越川 清一 ▲ 53.9 ▲ 53.9
22 岡本 丈司 ▲ 61.2 ▲ 61.2
23 鈴木 淳 ▲ 85.3 ▲ 85.3
24 今枝 美月 ▲ 100.0 ▲ 100.0

第8期北関東プロリーグ 決勝観戦記

予選を勝ち抜いたのは小川尚哉、沢崎誠、元木伸明、井出一寛。

 

1回戦 起家から(元木・小川・沢崎・井出)

東1局、先手を取ったのは元木だった。
颯爽とダブ東を鳴き、ホンイツを見切ったファーストテンパイで沢崎を捕らえた。

『格下の感が強かったから、自分に勝機があるなら1回戦次第だろう』と、意識して臨んだ開局を3,900のアガリで元木はスタートを切った。

直後の1本場、井出が沢崎より5,200は5,500。
この北関東プロリーグで、5期連続決勝戦に進出している沢崎だが優勝は未だにない。
今回も苦戦を予感させる出だしとなった。

南1局、ドラを雀頭にした3面待ちでリーチを打った小川。
抜群の手応えでテンパイし、これはほぼ間違いなくツモるだろうという小川の感覚を奪う元木の仕掛け。
テンパイを維持し親を継続させるため、ハイテイで元木が放ったのは、奇しくも小川がツモるはずの牌であった。意識していたことが裏目に出てしまったように思えた。
普段の元木であればこの牌は間違いなく打たない。

続く南2局、小川が仕掛ける。

三万五万四索五索六索七索八索九索北北  チー二索一索三索  ドラ北しかし、ツモ切った三万が元木に捕らえられる。
この時、小川の河、手順には他者はソーズと字牌を安易に打ち出すことのできないものだった。
打点だけで考えて、ドラを待ちにするシャンポンに取れば、この放銃にはならなかっただろう。
だが、あえてこの手順を踏み相手に待ちを想定させないように造り上げた手牌だから、手出しの五万は意志に反する。元木もソーズで回りきって、ギリギリのアガリをものにしたわけだ。
あと1枚でもソーズか字牌を手にしたら、オリることを選択することは理解していたから。

オーラスで井出は、タンヤオイーペーコードラを沢崎からアガる。
この時点での各自の持ち点は、
元木23,300点 小川42,300点 沢崎9,900点 井出44,500点

オーラス1本場。ここで元木に、千載一遇のチャンスが訪れた。

一万二万三万四万五万六万七万八万九万東東中中  ドラ三索

これをヤミで沢崎から中で出アガリ1人沈みを押し付けたわけだが、この結果は少しだけ腑に落ちない。
…勝機があるなら1回戦次第、そう意識していたはずの元木だったのだから、ここはリーチをして欲しかった。
たらればなんて言い出したらキリがないが、中をツモれば倍満で首位。
格上相手だと認識していたのなら駄目で元々、アタマを取りに行くことに価値が付く。
その上に、南1局の放銃も善し悪しは別としても意志としての辻褄が合う。
振り返って思った。ブレていたのかな、と。

1回戦成績
井出+22.5P  小川+15.3P  元木+6.9P  沢崎▲44.7P

 

2回戦 起家から(井出・小川・元木・沢崎)

東1局、1回戦でトップを取った起家の井出のリーチ。
これに飛び込むのは、ラスを取った沢崎だった。リーチ三色の7,700。
井出が絶好のスタートを切ると続く1本場で6巡目にリーチ。

四万五万六万二筒三筒三筒四筒五筒六筒七筒八筒八筒八筒  ドラ八万

すると小川も、

八万八万一索一索二索二索三索三索九索九索一筒白中

この手牌に井出の当たりの一筒を重ね白待ちに取ると、小川の手元に待望の白が。
大きな大きな2,000・4,000だった。

東2局、ここも井出と小川がぶつかった。
井出が北発とポンしテンパイ打牌でドラの四万を切れば、すかさず小川も四万をチー。すぐに井出に追い付く。
しかも手には四万がまだ2枚。11,600をテンパイしていた。

そこに、井出の当たり牌である三索を掴むやいなや、四万を落として回ってテンパイ。
ここはお互いにアガリがなく流局したが、小川の打ちまわしにひどく感心した。
放銃をすることもなく、最後の最後までリーチに屈することなく、流局時にはテンパイを取った。

普段卓から離れれば、ふにゃふにゃしている印象の小川だが、眉をシャキーンと吊り上げ鋭い眼光で牌の行方を追い続けている。集中力が冴え渡っている。

1本場では、下家元木の仕掛けが入り、ここまで進めるも、

五万六万七万八万九万九万六索七索八索五筒六筒中中  ツモ三万  ドラ六索

ピンズを払って、

三万四万五万六万七万八万九万九万六索七索八索中中  リーチ

これは1人テンパイに終わったが、見応えのある粘り強い麻雀だった。
東3局4本場、ここで元木のリーチにひっそり沢崎がピンフ一通ドラをリーチの現物で張っていた。
小川も元木の現物を含む4面待ちで張っていたが、沢崎に放銃となった。

東4局、親の沢崎が仕掛けると、小川は七対子ドラドラをテンパイ。
五索西待ちなのだが、井出が国士気配からオリていて1枚切れ、どちらも沢崎に通るのであればとアガリに賭けた五索待ちだったが、読みが外れ西をツモ切る小川の背中に落胆を見た。

しかし次局、牌が小川を救う。メンタンピンのドラをツモ。再びトップに立った。
このままリードを保ち2回戦は終了した。

2回戦成績
小川+15.7P  井出+4.3P  元木▲7.3P  沢崎▲16.7P

2回戦終了時
小川+31.0P  井出+30.8P  元木▲0.4P  沢崎▲61.4P

 

3回戦 起家から(小川・井出・沢崎・元木)

東1局に、井出が元木より2,600をアガリ、続く東2局に元木が跳満をツモ。
東3局は井出が沢崎から2,000をアガる。
勝負の分かれ目に成り得ると感じたのが東4局と南1局。

東4局は手なりにリーチした小川がツモって1,300・2,600。
続く南4局、小川が親の局面で沢崎よりリーチを受ける。”ツモ切りリーチ”だった。
しかし、小川もホンイツドラをテンパイ。待ちはドラ表示牌に1枚と1枚切れのペンチャンの七索
私は小川と同じ選択をしていただろう。結果は沢崎に3,900の放銃。
ツモ切りの意図は、三色への手変わり待ちだった。

実に難しく、答えなど見つかる由もないのだが妙に心に引っ掛かった。
このペンチャンにドラの八索を引いてリーチをしツモって8,000オール、そんなこともあるのが麻雀で、私はその可能性や意志を大事に今まではやってきた。

しかしその可能性や意志に隠れたリスクの大きさを見誤っていた気がしてならない。
『ツモ切りリーチだったからさ、何か訳ありだと思ったんだよね。』と小川は後に語った。

小川も沢崎のことはよく知っている。沢崎の打牌に信頼もしている。だからこその”読み”だった。
私と小川は同じ選択をしたが、感じ方と受け取り方は違う。
まして、私にとってはまだまだ上の存在の小川が、今後どう戦ってゆくのか、他人事には思えなかった。
前局のアガリから一変、ラス目の沢崎への放銃で苦しい立場となった。

南2局7巡目、
井出
六万八万一筒一筒二筒二筒二筒四筒四筒七筒九筒南南  ドラ九筒

ここから一筒をポン。2巡後には八筒を引きテンパイ。
沢崎が、

六索七索八索四筒五筒五筒五筒六筒七筒八筒南中中中この形で打南リーチ。井出がこの南を捕らえることとなった。
1本場、沢崎が2,000・4,000。南3局は元木が沢崎より3,900。
オーラスは、井出が元木から1,000点をアガリ3回戦の終了。

結局、南1局以降、小川はアガリはおろかテンパイすることもできぬままに3回戦を終えた。
競っていた井出はといえば、更に加点しリードを許すこととなった。
南1局が原因かどうかすらわからないが、過ぎてみればあの放銃の他は咎めようもなかった。
たった1つの、ミスとは言えないような、小さな失敗で態勢を崩すこともある。
立て直すのには、更に力と時間、根気を要する場合の方が多いように思う。
結果的に、今後の展開が苦しくなったことには違いない。

3回戦成績
元木+15.6P  井出+10.2P  小川▲7.8P  沢崎▲18.0P

3回戦終了時
井出+41.0P  小川+23.2P  元木+15.2P  沢崎▲79.4P

 

4回戦 起家から(井出・小川・沢崎・元木)

東4局1本場元木の親番。

二万三万四万七万八万九万一索二索九索九索九索南南  ドラ四索

10巡目にこのテンパイで即リーチ。3巡後にツモり1,300は1,400オール。
2本場、元木の7巡目のリーチ。

一万二万三万六万七万八万五索六索二筒三筒四筒五筒五筒  リーチ  ドラ二万

小川が放銃。数字の上か、気持ちの上か、どちらにしても引きずっている気がした。
小川のこの放銃は、今までの戦いぶりから考えると、何か説明のしようがないものだった。
ふと表情を見たら、そこに座っていたのは、いつものふにゃっとした小川だった。

3本場、元木はこの勢いで突き抜けたいところ。
北を1枚目から仕掛ける元木。元木は時に大胆に仕掛けを入れる。
ほぼバラバラだった牌姿が、

五万六万六万七万七万八万東東西西  加カン北北北北  ドラ九索

こうなるが、河には北以外の風牌が1枚も切れていない。

その間に井出が牌を倒す。

三万三万一索一索三索三索六索六索九索四筒四筒南南  ツモ九索

井出は、仮にこの手に他の危険牌を掴んだとしても、絶対に下ろすことはないだろう。
井出には隙がない。これが井出の強さなんだと感じた。

南1局、井出が沢崎から2,000点をアガる。
1本場は井出、小川、沢崎のテンパイ流局。
2本場、井出が元木より7,700は8,300。
3本場に小川が仕掛けて1,000は1,900を元木から。

南2局、小川の親番にチャンス手が入る。

二万三万六索六索七索八索九索六筒六筒七筒七筒八筒八筒 ドラ六筒

これをヤミに取る。このときは再びシャキっとした表情に。
しかし元木がピンフをツモ。

南3局、沢崎の親番。
沢崎
二索三索三索三索四索四索四索五索六索七索七索八索九索  リーチ  ドラ三索

しかし流局。沢崎の1人テンパイ。

1本場、沢崎のリーチに井出が放銃。3,900は4,200。
これが4回戦目にして井出の初めての放銃だった。

2本場、小川より2,900は3,500。
3本場、

一筒二筒二筒三筒三筒四筒五筒五筒六筒六筒七筒八筒九筒  ツモ五筒  ドラ八筒

8,000は8,300オール。

4本場、小川がリーチツモドラ、1,000・2,000で沢崎の親を止める。

オーラス、元木が小川より2,000。
2本場、3本場と元木は攻め続けるが決め手ななかった。
そして3本場、元木のリーチに沢崎が飛び込み9,600は10,500。
4本場を井出がピンフでアガる。

4回戦成績
沢崎+23.5P  井出+10.5P  元木▲8.0P  小川▲26.0P

4回戦終了時
井出+51.5P  元木+7.2P  小川▲2.8P  沢崎▲55.9P

 

5回戦 起家から(元木・小川・元木・井出)

井出が大きくリードを広げ迎えた最終戦。
東1局は小川の1人テンパイ。
東2局1本場、

三万四万六万七万八万一筒一筒二筒三筒四筒四筒五筒六筒  ツモ二万  ドラ四筒

この手を開いたのは親の小川。

4,000は4,100オールで井出との差を一気に30ポイント以上を縮める。

2本場、

三万三万六万六万五索五索六索七筒七筒八筒八筒九筒中  ツモ中  ドラ六索

当然のようにドラ待ちに取ると、テンパイ打牌にロンの声。
それは井出だった。これまでも、ここぞというときには井出がキッチリと流れを断ち切っている。

東3局、沢崎、

二万三万二索三索四索六索七索七索七索八索二筒三筒四筒  リーチ  ドラ五筒

これに対して元木が追い掛ける。

二万三万四万四索五索四筒五筒六筒七筒八筒九筒北北  リーチ

この勝負は元木が四万を掴み12,000の放銃。
1本場、小川が沢崎の親を落とす。

東4局、元木。

四万四万六万六万二索二索六索七索七索五筒五筒東東  リーチ  ドラ東これに小川が放銃してしまう。東場が終わったところでの持ち点は、
元木19,900点 小川31,400点 沢崎37,900点 井出30,800点
井出以外の3人誰しもが諦めていないからこそ、前に出ようとする者のぶつかり合いになっているように思った。結果的に、井出を助けているようにも感じた。

南1局で井出が1,300・2,600。
南2局2本場で、小川が2,600は2,700オールをツモり再びトップに。
しかし、井出が小川に止めを刺すかのように1,000は1,600。

そしてオーラスでは、小川が役満ツモ条件であったが、実ることなく勝敗は決した。

5回戦成績
井出+21.8P  沢崎+6.3P  小川▲4.1P  元木▲24.0P

5回戦終了時
井出+73.3P  小川▲6.9P  元木▲16.9P  沢崎▲49.6P

終了後のコメント

第4位:沢崎誠
『2回戦の東1局できょうはだめかもなって思った。
気を取り直して明日(北関東プロアマリーグ)頑張ります。』

第3位:元木伸明
『井出さんが強かった。気持ちを切り替えてプロアマ頑張ります。』

第2位:小川尚哉
『井出さんが強かった!元木さんの(4回戦南2局の)400・700に心がポッキリ折れました(笑)
来期こそは獲りにいきます!!』

優勝:井出一寛
『北関東リーグは初めての参加でした。参加目的は、悪い意味で慣れてしまった対局に緊張感を戻すためと、新しい環境で何かを見つけ出すことにありました。実際、緊張感を持ち対局に望むことができました。その上、優勝という結果まで残すことができてとても嬉しいです。
北関東リーグには、沢崎誠プロと吉田幸雄プロ、朝武雅晴プロなどを始めとした、現役Aリーガー及び経験者の方々がおり技術的な鍛錬にもなりました。
リーグ戦では相手を必要以上に気にせず、自分が何をできるか、何をしなければいけないかと原点に戻り、一打一局を大事に打てたと思います。
決勝戦では途中2回ほど優勝を意識し、その度に打牌と判断が甘くなったが、展開にも助けられ平常心を保ったまま最終局までたどり着けました。』

北関東プロリーグ レポート/第8期北関東プロリーグ 決勝観戦記

予選を勝ち抜いたのは小川尚哉、沢崎誠、元木伸明、井出一寛。
 
1回戦 起家から(元木・小川・沢崎・井出)
東1局、先手を取ったのは元木だった。
颯爽とダブ東を鳴き、ホンイツを見切ったファーストテンパイで沢崎を捕らえた。
『格下の感が強かったから、自分に勝機があるなら1回戦次第だろう』と、意識して臨んだ開局を3,900のアガリで元木はスタートを切った。
直後の1本場、井出が沢崎より5,200は5,500。
この北関東プロリーグで、5期連続決勝戦に進出している沢崎だが優勝は未だにない。
今回も苦戦を予感させる出だしとなった。
南1局、ドラを雀頭にした3面待ちでリーチを打った小川。
抜群の手応えでテンパイし、これはほぼ間違いなくツモるだろうという小川の感覚を奪う元木の仕掛け。
テンパイを維持し親を継続させるため、ハイテイで元木が放ったのは、奇しくも小川がツモるはずの牌であった。意識していたことが裏目に出てしまったように思えた。
普段の元木であればこの牌は間違いなく打たない。
続く南2局、小川が仕掛ける。
三万五万四索五索六索七索八索九索北北  チー二索一索三索  ドラ北しかし、ツモ切った三万が元木に捕らえられる。
この時、小川の河、手順には他者はソーズと字牌を安易に打ち出すことのできないものだった。
打点だけで考えて、ドラを待ちにするシャンポンに取れば、この放銃にはならなかっただろう。
だが、あえてこの手順を踏み相手に待ちを想定させないように造り上げた手牌だから、手出しの五万は意志に反する。元木もソーズで回りきって、ギリギリのアガリをものにしたわけだ。
あと1枚でもソーズか字牌を手にしたら、オリることを選択することは理解していたから。
オーラスで井出は、タンヤオイーペーコードラを沢崎からアガる。
この時点での各自の持ち点は、
元木23,300点 小川42,300点 沢崎9,900点 井出44,500点
オーラス1本場。ここで元木に、千載一遇のチャンスが訪れた。
一万二万三万四万五万六万七万八万九万東東中中  ドラ三索
これをヤミで沢崎から中で出アガリ1人沈みを押し付けたわけだが、この結果は少しだけ腑に落ちない。
…勝機があるなら1回戦次第、そう意識していたはずの元木だったのだから、ここはリーチをして欲しかった。
たらればなんて言い出したらキリがないが、中をツモれば倍満で首位。
格上相手だと認識していたのなら駄目で元々、アタマを取りに行くことに価値が付く。
その上に、南1局の放銃も善し悪しは別としても意志としての辻褄が合う。
振り返って思った。ブレていたのかな、と。
1回戦成績
井出+22.5P  小川+15.3P  元木+6.9P  沢崎▲44.7P
 
2回戦 起家から(井出・小川・元木・沢崎)
東1局、1回戦でトップを取った起家の井出のリーチ。
これに飛び込むのは、ラスを取った沢崎だった。リーチ三色の7,700。
井出が絶好のスタートを切ると続く1本場で6巡目にリーチ。
四万五万六万二筒三筒三筒四筒五筒六筒七筒八筒八筒八筒  ドラ八万
すると小川も、
八万八万一索一索二索二索三索三索九索九索一筒白中
この手牌に井出の当たりの一筒を重ね白待ちに取ると、小川の手元に待望の白が。
大きな大きな2,000・4,000だった。
東2局、ここも井出と小川がぶつかった。
井出が北発とポンしテンパイ打牌でドラの四万を切れば、すかさず小川も四万をチー。すぐに井出に追い付く。
しかも手には四万がまだ2枚。11,600をテンパイしていた。
そこに、井出の当たり牌である三索を掴むやいなや、四万を落として回ってテンパイ。
ここはお互いにアガリがなく流局したが、小川の打ちまわしにひどく感心した。
放銃をすることもなく、最後の最後までリーチに屈することなく、流局時にはテンパイを取った。
普段卓から離れれば、ふにゃふにゃしている印象の小川だが、眉をシャキーンと吊り上げ鋭い眼光で牌の行方を追い続けている。集中力が冴え渡っている。
1本場では、下家元木の仕掛けが入り、ここまで進めるも、
五万六万七万八万九万九万六索七索八索五筒六筒中中  ツモ三万  ドラ六索
ピンズを払って、
三万四万五万六万七万八万九万九万六索七索八索中中  リーチ
これは1人テンパイに終わったが、見応えのある粘り強い麻雀だった。
東3局4本場、ここで元木のリーチにひっそり沢崎がピンフ一通ドラをリーチの現物で張っていた。
小川も元木の現物を含む4面待ちで張っていたが、沢崎に放銃となった。
東4局、親の沢崎が仕掛けると、小川は七対子ドラドラをテンパイ。
五索西待ちなのだが、井出が国士気配からオリていて1枚切れ、どちらも沢崎に通るのであればとアガリに賭けた五索待ちだったが、読みが外れ西をツモ切る小川の背中に落胆を見た。
しかし次局、牌が小川を救う。メンタンピンのドラをツモ。再びトップに立った。
このままリードを保ち2回戦は終了した。
2回戦成績
小川+15.7P  井出+4.3P  元木▲7.3P  沢崎▲16.7P
2回戦終了時
小川+31.0P  井出+30.8P  元木▲0.4P  沢崎▲61.4P
 
3回戦 起家から(小川・井出・沢崎・元木)
東1局に、井出が元木より2,600をアガリ、続く東2局に元木が跳満をツモ。
東3局は井出が沢崎から2,000をアガる。
勝負の分かれ目に成り得ると感じたのが東4局と南1局。
東4局は手なりにリーチした小川がツモって1,300・2,600。
続く南4局、小川が親の局面で沢崎よりリーチを受ける。”ツモ切りリーチ”だった。
しかし、小川もホンイツドラをテンパイ。待ちはドラ表示牌に1枚と1枚切れのペンチャンの七索
私は小川と同じ選択をしていただろう。結果は沢崎に3,900の放銃。
ツモ切りの意図は、三色への手変わり待ちだった。
実に難しく、答えなど見つかる由もないのだが妙に心に引っ掛かった。
このペンチャンにドラの八索を引いてリーチをしツモって8,000オール、そんなこともあるのが麻雀で、私はその可能性や意志を大事に今まではやってきた。
しかしその可能性や意志に隠れたリスクの大きさを見誤っていた気がしてならない。
『ツモ切りリーチだったからさ、何か訳ありだと思ったんだよね。』と小川は後に語った。
小川も沢崎のことはよく知っている。沢崎の打牌に信頼もしている。だからこその”読み”だった。
私と小川は同じ選択をしたが、感じ方と受け取り方は違う。
まして、私にとってはまだまだ上の存在の小川が、今後どう戦ってゆくのか、他人事には思えなかった。
前局のアガリから一変、ラス目の沢崎への放銃で苦しい立場となった。
南2局7巡目、
井出
六万八万一筒一筒二筒二筒二筒四筒四筒七筒九筒南南  ドラ九筒
ここから一筒をポン。2巡後には八筒を引きテンパイ。
沢崎が、
六索七索八索四筒五筒五筒五筒六筒七筒八筒南中中中この形で打南リーチ。井出がこの南を捕らえることとなった。
1本場、沢崎が2,000・4,000。南3局は元木が沢崎より3,900。
オーラスは、井出が元木から1,000点をアガリ3回戦の終了。
結局、南1局以降、小川はアガリはおろかテンパイすることもできぬままに3回戦を終えた。
競っていた井出はといえば、更に加点しリードを許すこととなった。
南1局が原因かどうかすらわからないが、過ぎてみればあの放銃の他は咎めようもなかった。
たった1つの、ミスとは言えないような、小さな失敗で態勢を崩すこともある。
立て直すのには、更に力と時間、根気を要する場合の方が多いように思う。
結果的に、今後の展開が苦しくなったことには違いない。
3回戦成績
元木+15.6P  井出+10.2P  小川▲7.8P  沢崎▲18.0P
3回戦終了時
井出+41.0P  小川+23.2P  元木+15.2P  沢崎▲79.4P
 
4回戦 起家から(井出・小川・沢崎・元木)
東4局1本場元木の親番。
二万三万四万七万八万九万一索二索九索九索九索南南  ドラ四索
10巡目にこのテンパイで即リーチ。3巡後にツモり1,300は1,400オール。
2本場、元木の7巡目のリーチ。
一万二万三万六万七万八万五索六索二筒三筒四筒五筒五筒  リーチ  ドラ二万
小川が放銃。数字の上か、気持ちの上か、どちらにしても引きずっている気がした。
小川のこの放銃は、今までの戦いぶりから考えると、何か説明のしようがないものだった。
ふと表情を見たら、そこに座っていたのは、いつものふにゃっとした小川だった。
3本場、元木はこの勢いで突き抜けたいところ。
北を1枚目から仕掛ける元木。元木は時に大胆に仕掛けを入れる。
ほぼバラバラだった牌姿が、
五万六万六万七万七万八万東東西西  加カン北北北北  ドラ九索
こうなるが、河には北以外の風牌が1枚も切れていない。
その間に井出が牌を倒す。
三万三万一索一索三索三索六索六索九索四筒四筒南南  ツモ九索
井出は、仮にこの手に他の危険牌を掴んだとしても、絶対に下ろすことはないだろう。
井出には隙がない。これが井出の強さなんだと感じた。
南1局、井出が沢崎から2,000点をアガる。
1本場は井出、小川、沢崎のテンパイ流局。
2本場、井出が元木より7,700は8,300。
3本場に小川が仕掛けて1,000は1,900を元木から。
南2局、小川の親番にチャンス手が入る。
二万三万六索六索七索八索九索六筒六筒七筒七筒八筒八筒 ドラ六筒
これをヤミに取る。このときは再びシャキっとした表情に。
しかし元木がピンフをツモ。
南3局、沢崎の親番。
沢崎
二索三索三索三索四索四索四索五索六索七索七索八索九索  リーチ  ドラ三索
しかし流局。沢崎の1人テンパイ。
1本場、沢崎のリーチに井出が放銃。3,900は4,200。
これが4回戦目にして井出の初めての放銃だった。
2本場、小川より2,900は3,500。
3本場、
一筒二筒二筒三筒三筒四筒五筒五筒六筒六筒七筒八筒九筒  ツモ五筒  ドラ八筒
8,000は8,300オール。
4本場、小川がリーチツモドラ、1,000・2,000で沢崎の親を止める。
オーラス、元木が小川より2,000。
2本場、3本場と元木は攻め続けるが決め手ななかった。
そして3本場、元木のリーチに沢崎が飛び込み9,600は10,500。
4本場を井出がピンフでアガる。
4回戦成績
沢崎+23.5P  井出+10.5P  元木▲8.0P  小川▲26.0P
4回戦終了時
井出+51.5P  元木+7.2P  小川▲2.8P  沢崎▲55.9P
 
5回戦 起家から(元木・小川・元木・井出)
井出が大きくリードを広げ迎えた最終戦。
東1局は小川の1人テンパイ。
東2局1本場、
三万四万六万七万八万一筒一筒二筒三筒四筒四筒五筒六筒  ツモ二万  ドラ四筒
この手を開いたのは親の小川。
4,000は4,100オールで井出との差を一気に30ポイント以上を縮める。
2本場、
三万三万六万六万五索五索六索七筒七筒八筒八筒九筒中  ツモ中  ドラ六索
当然のようにドラ待ちに取ると、テンパイ打牌にロンの声。
それは井出だった。これまでも、ここぞというときには井出がキッチリと流れを断ち切っている。
東3局、沢崎、
二万三万二索三索四索六索七索七索七索八索二筒三筒四筒  リーチ  ドラ五筒
これに対して元木が追い掛ける。
二万三万四万四索五索四筒五筒六筒七筒八筒九筒北北  リーチ
この勝負は元木が四万を掴み12,000の放銃。
1本場、小川が沢崎の親を落とす。
東4局、元木。
四万四万六万六万二索二索六索七索七索五筒五筒東東  リーチ  ドラ東これに小川が放銃してしまう。東場が終わったところでの持ち点は、
元木19,900点 小川31,400点 沢崎37,900点 井出30,800点
井出以外の3人誰しもが諦めていないからこそ、前に出ようとする者のぶつかり合いになっているように思った。結果的に、井出を助けているようにも感じた。
南1局で井出が1,300・2,600。
南2局2本場で、小川が2,600は2,700オールをツモり再びトップに。
しかし、井出が小川に止めを刺すかのように1,000は1,600。
そしてオーラスでは、小川が役満ツモ条件であったが、実ることなく勝敗は決した。
5回戦成績
井出+21.8P  沢崎+6.3P  小川▲4.1P  元木▲24.0P
5回戦終了時
井出+73.3P  小川▲6.9P  元木▲16.9P  沢崎▲49.6P
終了後のコメント
第4位:沢崎誠
『2回戦の東1局できょうはだめかもなって思った。
気を取り直して明日(北関東プロアマリーグ)頑張ります。』
第3位:元木伸明
『井出さんが強かった。気持ちを切り替えてプロアマ頑張ります。』
第2位:小川尚哉
『井出さんが強かった!元木さんの(4回戦南2局の)400・700に心がポッキリ折れました(笑)
来期こそは獲りにいきます!!』
優勝:井出一寛
『北関東リーグは初めての参加でした。参加目的は、悪い意味で慣れてしまった対局に緊張感を戻すためと、新しい環境で何かを見つけ出すことにありました。実際、緊張感を持ち対局に望むことができました。その上、優勝という結果まで残すことができてとても嬉しいです。
北関東リーグには、沢崎誠プロと吉田幸雄プロ、朝武雅晴プロなどを始めとした、現役Aリーガー及び経験者の方々がおり技術的な鍛錬にもなりました。
リーグ戦では相手を必要以上に気にせず、自分が何をできるか、何をしなければいけないかと原点に戻り、一打一局を大事に打てたと思います。
決勝戦では途中2回ほど優勝を意識し、その度に打牌と判断が甘くなったが、展開にも助けられ平常心を保ったまま最終局までたどり着けました。』