第1期雪華王戦 決勝観戦記 楠原 遊
2019年03月04日
[プロローグ]
去る12月16日、北海道札幌市。
その日、日本プロ麻雀連盟北海道本部のリーグ戦である雪華王戦の最終節が行われていた。
今期からA・B・Cの3リーグに分かれたプロリーグ。
どのリーグでも昇降級を懸けた熱い戦いが繰り広げられていたが、注目はやはりAリーグ。
すでに1位で勝ち上がりを決めた加藤晋平を除く、8名のAリーガーのうち上位の選手のポイントは以下の通り。
2位 浦山祐輔 164.4P
3位 喜多清貴 36.5P
4位 山屋洋平 34.8P
5位 西野拓也 ▲19.4P
6位 石田雅人 ▲28.3P
ここから決定戦に進出できるのは3名。
大きくプラスをしている浦山を除いた喜多から石田までのポイント争いとなる。
はじめは現在上位4人の直接対決、次の1試合ごとにはトータルポイント順で3・4回戦は同じメンバーでの対局となる。
1回戦、逃げる立場の喜多が1着1着、山屋が2着2着を取ると、追う立場の西野は別卓の石田と交代。
昨年度決定戦進出であった石田は3回戦、自身がトップを取り喜多を4着に沈めるも、4回戦はポイントが足らず上位には食い込めなかった。
結果、スタート時のポイントどおり、浦山・山屋・喜多そして1位通過の加藤の4名の決定戦進出が確定した。
おのおのポイントに応じた戦い方をしていた最終節だが、どの選手も決定戦への強い思いを持って試合に臨んでいることがよくわかる対局であった。
そして年が明けた1月30日、いよいよ訪れた決戦の日。選手4名が日本プロ麻雀連盟・夏目坂スタジオに集まった。
第一期雪華王決定戦は22時からの全編無料生放送。
チャンネル初、いや麻雀の生放送番組初かもしれない時間帯からの新しい試みである。
北海道はもちろん、全国の視聴者が見守る中、第一期雪華王を決める戦いの火蓋は切って落とされた。
1回戦(起家から加藤晋平→喜多清貴→山屋洋平→浦山祐輔)※文中全て敬称略
東1局1本場
開局は、親の加藤のリーチに、仕掛けを入れていた浦山が5,800の放銃でのスタート。むかえた1本場
山屋洋平 33期生 AB型 前回である第52期北海道プロリーグ優勝
3位通過で決定戦進出。プロ歴はもっとも浅いものの、雀暦35年と経験値は豊富。
駆け引きを使い、臨機応変に戦う彼の麻雀は「サイコロジー」麻雀と呼ばれる。
対戦相手のみならず、見るものまで翻弄する彼の麻雀は、今回の戦いでも台風の目になるだろう。
注目は4巡目、西家・山屋の手牌。
ツモ
ドラ
ここから山屋の選択は。ここは手役を見て6ブロックに構える。
そして次巡放たれたをスルー。昨年度、そして最終節で見た山屋であったらまず仕掛けていたのではないかという牌である。
そこに9巡目、テンパイを入れたのは南家・喜多。
ツモ
この雪華王決定戦は、全ての地方プロリーグと同じ、一発裏ドラなしの連盟公式ルールで行われている。
を切ればピンフドラ1、リーチもあるか。
を切ればタンヤオ三色ドラの満貫手、こちらはヤミテンとなりそう。
場にはが1枚切れのみ、ここで喜多の選択は
切りヤミテン。じっと
を待つ。
10巡目、追いついたのは山屋。
ツモ
トイツのも落とし、高め三色のタンピンをこちらはリーチ。奇しくも三色対決となったが、ここで場を制したのは山屋。
しっかりとをツモアガり、3,000・6,000は3,100・6,100。
ここはメンゼンでしっかりと手を作り大きなアガリとする。
東2局1本場
6巡目、北家・加藤がをポンしてこの形。
ポン
ツモ
ドラ
ここからや
のトイツ落としではなく打
。この選択がうまくいきすぐに
もポン。
対照的なのは南家の山屋。
5巡目、1枚目のはスルー。やはり戦い方が変化しているか。そこにテンパイを入れたのは親の喜多。
高めがドラの手。ヤミ・リーチどちらの選択もあるが、が2つ仕掛けている加藤の現物であることもありここもヤミテン。
すぐにを浦山からアガリ2,000点。冷静に場を見た上での選択、連荘に成功。
東2局3本場
続く親の喜多がをポンして手を進める。
しかし真っ先にテンパイを入れたのは西家・浦山。
チー
ドラ
悪い形をさばいてここは親をかわしてゆきたいか。
しかし北家・加藤にもアガリたい手が入っている。
6巡目、ターツの選択となった。
が自身から4枚見えているゆえに
の景色も良さそうではあるが、ここで加藤が選んだのは
。
の二度受けを残したのはこの手の最高打点を見てであろう。
そしてすぐにを引き入れリーチ。テンパイを入れた喜多から
を討ち取り8,000は8,900のアガリ。
しっかりと打点を見た選択が型にはまった加藤らしい1局となった。
南1局
2巡目、西家・山屋が仕掛けを入れる。
ポン
ドラ
この日はじめての1鳴き、4万点持ちの加藤の親番であり、メンゼンでの打点向上もあまり無い手であることも大きいか。
そして北家・浦山も2巡目、のポンテン。
ポン
ここからすぐにもポン、
を暗カン。トイトイ・
の理想的な変化。
その2人の仕掛けを受け親の加藤は一旦迂回。
その間にテンパイを入れていた山屋がツモ400・700。加藤の親番と浦山の勝負手、ともに流した値千金のアガリ。
南4局2本場
各者の持ち点は
加藤39,200 喜多23,600 山屋44,500 浦山11,800
ここまで苦しい展開が続いた親の浦山、ここで復活なるか。
しかし5巡目、山屋が仕掛けを入れる。
チー
ドラ
昨年度の戦いではもうずいぶんと視聴者を沸かせた山屋らしい仕掛け。ここからの展開に注目が集まる。
そこに12巡目、親の浦山、
この手をここまでミスなく育てリーチ。ツモで4,000オール。大きく点数を回復した。
しかしその連荘も、3本場、山屋がアガって1回戦を終わらせる。
1回戦結果 山屋+26.9P 加藤+8.9P 浦山▲8.6P 喜多▲27.2P
2回戦(喜多→浦山→山屋→加藤)
前年度覇者・山屋が1回戦トップを取った。
ゲーム進行が巧みな打ち手であるだけに、追う3者からするとこれ以上のアドバンテージを持たせるわけにはいかない。
各者どのように打ちまわしてゆくのか、注目してゆきたい。
東3局
その山屋の親番、加藤が場風のから仕掛けてゆく。
そして西家・喜多にはドラ3の手が入る。
7巡目のテンパイ。役なしの、場には切られていない待ち。
この手を一旦ヤミテンとする。ドラ3のアガリたい手だからこそのさらなる変化を見たか。
そして次巡、2枚目のが見えたことを機にリーチに踏み込む。
その宣言牌のをポンしたのは北家・浦山。
チー
ポン
ドラ
1巡後さらにをチーしてホンイツのテンパイ。3人がかりで山屋の親に向かってゆく。
このめくりあいを制したのは喜多。ツモって2,000・4,000のアガリ。
1回戦4着スタートであった喜多、ここで反撃の狼煙となるか。
東4局
喜多清貴 28期生 B型 4年連続、5回目の決定戦進出
いわずと知れた北海道本部長。
今期北海道プロリーグでは、決定戦進出が危うくなった8節に4連勝、4位通過を決める。
アンケートの好きな麻雀プロの欄には「セレブ打法MAXの強気のヴィーナス(黒沢咲プロ)」とあるように、公式ルールならではの高打点ベースの手作りと、合間に入れるかわし手のバランスが非常に巧妙な選手。
意外にも北海道プロリーグ優勝経験はなし。悲願の初優勝なるか。
4巡目、喜多の手。
4巡目、ターツはあるもののまだまとまっていない手。
手材料はあるため、ツモが大きく伸びれば純チャンや三色、ドラを使った手も見える。
いったんを1枚外して、手牌の成長を見る。
そして前局おとなしかった北家・山屋が5巡目にリャンメンチー。
チー
ドラ
現状まだメンツの無い手だが、ここも躊躇なく仕掛けてゆく。
山屋の鳴きは、時にアガリではなく他家へのプレッシャーや、自身の手のカモフラージュなど様々な目的がある。
対戦相手はそれは理解しつつも、そのときの仕掛けがどの目的によるものか、対応するものなのか無視するものか、常に選択を迫られる。
7巡目、一番にテンパイを入れたのは西家・浦山。
ツモ
一通やタンヤオ、ピンフなど様々な変化がある手はセオリーどおりの役なしヤミテン。
10巡目、追いついたのは喜多。
高め純チャン3色のピンフドラ1をしっかりとヤミテン。
山屋にもほどなくしてテンパイが入る。
チー
チー
そして14巡目、最後にテンパイを入れたのは親の加藤。
ツモ
待望のドラツモであるが、余り牌のは仕掛けている山屋のアタリ牌。
喜多の大物手も万事休すと思われたが、ここは取らずの切り。
事前のアンケートでもこの決定戦を「絶対に負けられない戦い」と語っていた加藤。
親番のテンパイではあるが、他家からのテンパイ気配も濃厚、ここはまだまだ勝負どころではないと踏んだか。
そして局が続いたことにより、アガったのは喜多。
ロン
12,000に振り込んだのは役ありテンパイに変化していた浦山。1回戦に引き続き苦しい展開が続く。
浦山祐輔 21期生 A型
2位通過で決定戦進出。第44期北海道プロリーグ優勝、第42期王位戦第3位・第43期王位戦第5位。
3年ぶりの決勝進出を決めた浦山。近年は王位戦での活躍もめざましく、北海道本部を代表する打ち手といえる。
21期入会とプロ歴も長く、公式ルールのお手本ともいえる打点をつけた中終盤でのアガリは同卓者にとって大きな脅威となりうるだろう。
南2局
6巡目、こんどは親の浦山にチャンス手。
ドラ
現在14,000点持ちのラス目。この手をアガればまだまだこの半荘分からない。
しかしここは他家にも動きが入る。
南家・山屋
チー
チー
このテンパイからさらにをポンして
単騎。
北家・喜多
チー
ポン
10巡目、手を開けたのは喜多。山屋からの1,000点のアガリで、浦山の親と大物手は流されてゆく。
南3局1本場
親の山屋が連荘し、原点復帰した1本場。
北家・浦山の手。
(3巡目、南家加藤がをリャンメンチー、6巡目にドラも切っている)
加藤の仕掛けには気になる牌であるが、ここは自身の手の成長を見てトイツのに手をかける。
そして11巡目に待望のテンパイ。
ツモ
ドラ
は場に2枚見えだがここはドラ切りリーチ。
ここまでも苦しい展開の中、常に打点を意識し、自身の納得できる形で攻撃を繰り出す浦山らしい勝負がたちとなった。
このカンチャン待ちをツモって嬉しい2,000・3,900は2,100・4,000。
南4局
喜多の1人浮きで迎えたオーラス、
10巡目、北家・山屋にテンパイ。
ドラ
持ち点26,000点、アガれば原点復帰のリーチをかける。
一方、西家・浦山は前巡からテンパイが入っている。
自身は21,200点持ち。手変わりも多い形だけにヤミテンに構えていた。
そこに引いてきたのはドラの。山屋のリーチ棒が出ていること、そしてこの牌を押すならと追いかけリーチとゆく。
前半戦の最終局となりうる局だけに、両者の指先にも力がこもる。しかし結果は流局。
2回戦は大きな手をアガった喜多の大トップ。
2回戦結果
喜多+28.4P 山屋▲4.5P 加藤▲9.6P 浦山▲16.3P (供託2.0P)
トータル
山屋+22.4P 喜多+1.2P 加藤▲0.7P 浦山▲24.9P (供託2.0P)
3回戦(加藤→山屋→喜多→浦山)
いよいよ折り返し、トップ→2着の山屋がトータル首位をキープ。
このアドバンテージ、自身が得意とする勝ちパターンにいかに当てはめてゆけるか。
東2局
親の山屋の配牌はかかなりバラバラ。
ドラ
この手をから切り出しゆったり構える。
そして8巡目、ドラを重ねてすぐにをポン、その次巡にはこの形。
そこにテンパイを入れた北家・加藤からが打たれる。
ツモ
打
ただただ鳴くばかりの打ち手ならここはポンの一手だが、山屋は鳴かず。
自身の手の内にあるターツ、カンと
待ちに自信があったことが大きな理由(逆に言えば
をポンしてからの待ち選択はかなり難しい)であろうか。
ドラが重なったことにより、この手は山屋にとって「(テンパイではなく)アガリに向かって作り上げる」価値のある手に育ったことは間違いない。
しかしテンパイ打牌のドラに声がかからなかったことにより加藤から次巡、ツモ切りリーチが入る。
手変わりを待つ余裕のない局面と見たか。
そして西家・浦山もテンパイ。
こちらはヤミテン。加藤のリーチに2者が無筋を押している。
そしてついに山屋にテンパイが入る。
チー
ポン
14巡目と時間はかかったが、山にはが2枚。加藤と浦山の残り枚数は1枚。
見ているこちらからするといつ山屋がアガってもおかしくないように思えたが、ここは3人テンパイで流局となった。
加藤はリーチをかけてすぐツモのリャンメン変化のツモがあり、これをとらえているとアガリもあった局面。
開かれた手を見て何を思ったか。
加藤晋平 27期生 B型 第45期北海道プロリーグ優勝
プロリーグ1位でジャンプアップによる決定戦に進出。昨年度準優勝。
30歳と4名の中では最年少の選手であるが、優勝1回、準優勝2回と実績は確か。
はじめての放送対局となる前年度では全力を出しきれなかった後悔もあるだろう。
自身が標榜する「気持ちの良い攻め」をいかに実践できるかが優勝争いの鍵となる。
東4局1本場
ここまで誰の大きなアガリもなく迎えた浦山の親番。
浦山にはドラドラの手からのポンが入っている。それを受け6巡目の南家・加藤。
ツモ
ここから1枚切れのを残し
をツモ切り。
場に安いマンズにターツを絞り、攻守兼用の残し。それを次巡重ね、リーチとゆく。
この重ねは加藤の優れたバランスによる結果だろう。これをツモって2,000・3,900の1本場。
ここでようやくらしいアガリがでたといえるか。まだまだ勝負は分からない。
南1局
トータル首位、山屋の親番。をツモってこちらの手牌。
ドラのはオタ風。ホンイツへの変化を見てカン
のターツ外しの選択をする打ち手も多いだろう。
ここで山屋が選んだのは。加藤の河に並ぶ3枚の
を見た選択。
そして3巡後、
ツモ
ドラ
ここでもトイツのを外して
は温存。すぐに
を引きより広い形になりツモ
。
自身の構想どおりのカン待ちでリーチ。山に2枚残っていた
をツモ、3,900オールのアガリ。
山読みと、その自身の読みをしっかりと反映した打牌選択で、他家を引き離す。
南2局1本場
西家・浦山に3巡目テンパイ。
ドラ
山屋の親番を流すヤミテンに構えるもはどんどん山屋の手に吸収されていく。
この手でアガられるも、より高い手への変化も、追う3者には苦しい展開。
しかしここで手を開いたのは喜多。
ロン
こちらも連荘を阻止したい加藤からの2,000は2,300で山屋の親番を終わらせる。
しかしアドバンテージを持った山屋はなおさら身軽だ。ここは自身のアガリでトップのまま3回戦を終わらせる。
3回戦結果
山屋+26.7P 浦山▲2.4P 加藤▲9.2P 喜多▲15.1P
トータル
山屋+49.1P 加藤▲9.9P 喜多▲13.9P 浦山▲27.3P(供託2.0P)
最終戦(加藤→喜多→浦山→山屋)
ついに始まった4回戦。時間は夜中2時半過ぎ。しかしそんな時間でも、生放送の視聴者は少なくない。
山屋が積み上げたポイントはプラス50近く。一体誰が、その牙城に迫るのか。
東1局
雪華王決定戦もまた、プロ連盟のレギュレーションに従い最終戦の座順が決まっている。
起家から、トータル2位→3位→4位→1位。
親の加藤は5巡目以下の手。
ここからのシャンテン数を下げない切りを選択。このままテンパイの場合はドラ切りも辞さない構えか。
そしてその3巡後この形。
ツモ
ドラ
を切ってヤミテンとする。そして次巡ツモ
。しかし2巡前に
をツモ切ってる加藤、少考してツモ切り。
さらに追いうちをかけるようにツモ。ペン
を外さない選択をしたからこそのこのルートであるが、
ツモ
5巡目での選択次第では、こんな未来もあったかかもしれない。
実際にはツモで
単騎→
単騎のイーぺーコードラ3のテンパイをヤミテンに構え、その後
を引きリーチ。
リーチ
そのリーチを受け、場に2枚切れとなったは、山屋と浦山の手に1枚づつ。
1度逃したアガリの糸口を再びつかむのはこんなにも難しいことであるのか。
そして15巡目、西家浦山もテンパイ。
ツモ
対面の加藤が切ったばかりの待ち、この
は山屋と喜多の手にある。
浦山のテンパイ打牌のはリーチの現物でもあり、河は目立っていない。
ここは浦山の出アガリもあるかと思われたが、2人はしっかりとオリに周り、このが場に放たれることは無く2人テンパイで流局。
加藤にとっては選んだ道ゆえ後悔は無いとしても、たらればの先があまりにも大きな結果となってしまう局となった。
南3局
ここまで6,400、7,700と連続してアガリを決めトップ目で迎えた浦山の親番。
加藤と喜多の親は流れた。それにより2人が優勝を目指すにはある程度打点のあるアガリが求められることとなった。
親の浦山にとっては比較的連荘しやすい状況となる。
逆に、ポイントで大きくリードしている山屋にとってはこの親を流してしまえば、優勝がほぼ自身の掌中となる大事な1局。
11巡目、浦山のリーチ。
ドラ
これをツモって3,900オール。山屋とのポイント差はあと27.4ポイント。
南3局2本場さらに浦山が1,300オールをツモってつないだ親番、南家・山屋が2フーロ。
しかしここに12巡目、浦山のリーチ。
ドラ
すぐに山屋がツモってきたのはアタリ牌の。
チー
チー
ツモ
ここは冷静にオリ。浦山の親を流せるのはほぼ自身しかいないとは思いつつ、ここはまだ勝負どころではないとの判断か。
事前のアンケートでも山屋は、浦山にペースを奪われないように打ちたいと述べていた。
麻雀とは他者との戦いであると同時に、自身の内面での戦いでもある。
焦る気持ちは一切出さず打つ山屋は、しっかりと勝負に向き合っているように見えた。ここは浦山の1人テンパイで流局。
南3局3本場
6巡目、浦山にテンパイ。
ツモ
ドラ
ここまでの親番、ずっとリーチをかけてきた浦山であったがここはヤミテン。
役満への手変わりはもちろん、山屋からの直撃もある巡目と待ちであることも大きい。
そして目論見どおり
この手からをポンした山屋から9,600は10,500の大きな大きな直撃。
ここまで一切隙を見せて来なかった山屋の、よりによって一番痛い局面での大きな失点となった。
ここでトータルポイント逆転、浦山が山屋の3.2ポイント上に立つ。
今度はその差がわずかながら、山屋が追う立場に。
南3局5本場
前局は浦山のリーチに山屋が粘りこみ2人テンパイで流局。両者のじりじりとした戦いが続く。
5巡目、山屋のリャンメンチー。
チー
ドラ
そして7巡目、再び浦山のリーチ。
この局何度も行われたリーチ対仕掛けの対決。しかし立場が逆転した以上、山屋もある程度勝負をかけるか。
そんなことを考える間もなく、山屋の手は開かれる。
でまわりこんだ上で手にした殊勲の300・500は800・1,000。供託は2,000点。山屋の再逆転の瞬間である。
南4局、4,400点差をまくる条件を作る浦山に逆転のテンパイははいらず流局。
長かった4回戦が終わった。記念すべき第一期雪華王に輝いたのは山屋洋平。
最終戦結果
浦山+50.1P 加藤+8.0P 山屋▲21.9P 喜多▲36.2P
最終結果 優勝 山屋洋平
2位浦山祐輔 3位加藤晋平 4位喜多清貴
[エピローグ]
山屋の優勝が決まった瞬間のこと、彼を囲む3人の選手がいっせいに握手を求め優勝を祝福。
決勝戦での対戦相手が、北海道本部で日ごろ研鑽を積み重ねている仲間に戻った瞬間である。
1年間戦ってきたリーグ戦の集大成、各選手が全身全霊で戦ったからこその非常に美しいフィナーレとなった。
記念すべき第一期雪華王となった山屋には、地方リーグチャンピオンシップへの挑戦権も与えられた。
そこを勝ち抜けばグランプリMAXへの出場も待っている。
ぜひみなさんも、これからの彼の活躍を、楽しみに待っていてほしい。
そして来期の雪華王戦もまもなく開幕となる。
そちらについての最新情報は、こちらをご確認いただけたらと思う。
カテゴリ:北海道プロリーグ 成績表