鳳凰の部屋

「~迫りくる足音~」 吉田 直

鳳凰位決定戦2日目が終了し以下のポイント状況。

吉田 +74.9P
前原 +13.8P
勝又 ▲31.5P
柴田 ▲57.2P

初の決定戦にしては、自分からするとここまでは出来過ぎ以上の結果だ。
このポイントなら最終日まで優勝争いは出来そうだが、欲をいえば3日目にもっと引き離し最終日は余裕のあるポイントで迎えられれば鳳凰位が現実的なものになってくる。
ただ、そんな甘い面子じゃないのは百も承知。なので、おそらく今日はこの決定戦で初めてマークされるのではと思っていた。
ここまでは自分以外の3者がマークしあい、1人ほっとかれていた様な気がしたので悠々自適に逃げていたが、流石に今日からはマークされると思っていたので、相手が高そうな手の時の山越しも視野に入れ、自分は現状2番手の前原を徹底マークしようと思い戦いに挑んだ。

東1局親番ドラ八万

六万七万八万四索四索六索七索八索二筒二筒二筒七筒八筒  リーチ

9巡目にテンパイが入り即リーチ。
仕掛けを入れている勝又から、すぐに九筒が打たれ3,900のアガリ。
6,000オールを引きに行ったリーチだったので、安目のアガリは不服だったが、入りとしては自分らしく打てているのと、牌が自分の構想通りに来てくれていることに満足していた。

東3局に1人ノーテンをくらい原点割れしたが、次局7巡目に仮テンの四筒をあっさりツモれて、今日もツキは味方してくれていると思い、このままゴールまで駆け抜けようと思っていた。

二万二万四万四万六万六万七索七索四筒五筒五筒六筒六筒  ツモ四筒

南1局親番ドラ七索

対面の柴田がマンズのチンイツで2フーロしている状況。マンズが1枚余りテンパイ濃厚。他2人はソウズの一色手模様で12巡目に以下の牌姿。

三万四万四万五万五万六万七万七万八万二索二索六索七索  ツモ四万

この形どう切って行くのが良かったのか。九万は自分で第一打に切っていて、場には3枚切れのフリテン。5枚持ちの四万七万が危険なのはわかるが、相手が愚形の可能性もあるのでワンチャンスを頼りに三万八万と切って放銃は最悪。前原も九索が手から余り若干気配が出ていてソウズも切りにくく、前原に放銃だけは絶対駄目だと思った。だったら真っ直ぐに攻めて、この手を本手に仕上げようと思い四万を打ち抜く。しかし当然のように柴田に8,000の放銃。

南家
勝又24,500

一索一索三索三索四索四索五索六索七索七索八索南発

西家
柴田26,700

二万三万三万三万四万五万六万  ポン一万 上向き一万 上向き一万 上向き  チー七万 左向き六万 上向き八万 上向き

北家
前原32,500

四索四索五索五索五索八索八索八索南西西中中

まあ当たってもおかしくない牌での放銃だし、自分の戦う姿勢は崩していないので、こういう放銃は点数的には痛いがメンタルにはこない。またやり直せばいい。

南4局親前原 ドラ一筒

オーラスを迎えた点数状況
東家前原 31,500
南家吉田 29,300
西家勝又 20,600
北家柴田 38,600

ここは最低アガって浮きを確保したいと思っていたが、速度もあり打点が見えそうな配牌だったので、ホンイツやチャンタを見ながら手を進める。
そして4巡目に2枚目の北から仕掛ける。

一万二万三万八万六索一筒白白中中  ポン北北北

手が進み8巡目に白をポンしてテンパイ。

一万二万三万五万六万中中  ポン白白白  ポン北北北

テンパイ一番乗りかと思いきや、この巡目でなんと全員テンパイ!

前原
三万四万五万五万五万三索五索六索七索八索東東東

勝又
七万八万九万七索七索八索八索九索二筒三筒四筒六筒六筒
 
柴田
一万二万三万六万六万一索二索二索三索三索四索五索六索

そして前原がテンパイしている所にツモ四万一万四万も通っていないので三万を切りそうだが、後の変則3面張などを考えてなのか四万をツモ切り。
そして、これが自分にとっては当面のライバルを沈めた浮きに回る大きなアガリとなり9回戦が終了。まずは上々の滑り出しとなった。
しかしA1の猛者達はやはりそんなに甘くはない。

10回戦
東1局親勝又ドラ西

9巡目に柴田からリーチが入る。

六万六万四索五索六索七索八索二筒三筒四筒五筒六筒七筒

その時、自分は好調を意識していたので、手を目一杯に広げていて安全牌がない状況。

六万七万七万二索四索四索六索七索四筒四筒五筒八筒八筒  ツモ一筒

柴田には現物だが、前原からテンパイ気配が出ていた。前原には一筒四筒は結構危ないが、他に切る牌もなく打点もそんなに高くないだろうと思い一筒を打ち出すと、前原からロンの声。

一万二万三万七万八万九万一索二索三索二筒三筒発発  ロン一筒

いきなり超本手の8,000を放銃。久しぶりに頭がクラクラ来た。そしてここから完全に3人に抑え込まれ、この半荘は大きな沈みの3着で終わる。
そしてこの半荘70,000点近いトップを取り2連勝の柴田がトータル2位に浮上。上から下まで一気に差が縮まった。

10回戦終了時
吉田 +54.6P
柴田 +4.5P
前原 ▲28.7P
勝又 ▲30.4P

このぐらいの差になる事など当然覚悟していたが、いざそうなると中々焦ってくる。
そして11回戦目も好配牌をもらうも、思うようにいかず苦しい展開が続いていたが、この1局で精神的に凄く楽になった。

東2局親番2本場ドラ六筒

前原から11巡目にリーチが入る

二万四万八索八索八索一筒一筒三筒四筒五筒九筒九筒九筒

それを受け以下の形

七万八万九万一索二索二索五索五索六索六筒六筒東東  ツモ三索

前原の捨て牌的に二索五索は相当切りづらいが、これは勝負手だと思い歯を食いしばって二索を勝負。直後、前原からドラの六筒が打たれ、それをポンしてダブ東の後づけでテンパイ。
すぐに勝又も東を重ね役なしテンパイ

四万五万六万二索三索三索四索四索五索七筒八筒東東

前原のリーチ前からテンパイしていた柴田は、残りツモ2回で無筋の八筒を掴み考える。

一万一万一万三万三万七索七索七筒八筒九筒南南南  ツモ八筒

柴田は南家なので、役ありのツモり三暗刻。八筒は親には通りそうだが、リーチの前原にはドラ跨ぎで危険牌。少考の末、選択は打南。七対子などの復活も見た一打か。しかし無情にも次巡三万の引きアガリを逃す。
そして全員テンパイ濃厚ということもあってか、上家の自分から出た八筒をチーして形式テンパイを取り、親の自分にハイテイを回した。
八筒を勝負していれば三万で2,000・4,000のツモアガリ。前原の現物の七筒を切り、生牌だが筋の九筒を切る手順だと三万を引きツモり四暗刻のテンパイで、自分が打った八筒で8,000のアガリ。それも踏まえると、柴田なら仕掛けなさそうだが•••。
これが麻雀なのか、本来ならアガれないはずのハイテイ牌五索で4,000オール。

この局は、柴田もインタビューで凄く後悔の残る1局と言っていたが、珍しくらしくない様に見えた。
自分が連盟で強い人を挙げろと言われれば、間違いなく5本の指に入る打ち手で、読みの精度が高くオリジナルなアガリを幾度となく見せてくる名手だ。だからアガリ逃しから親にハイテイを回すなど、普段なら絶対やらないと思う。
ただ、これが鳳凰位決定戦の重圧なのかとも思った。

そして、ここからはまた牌が応えてくれ、点数を加点していきトップを取りトータルで3者を大きく引き離した。

11回戦終了時
吉田 +79.5P
勝又 ▲12.7P
柴田 ▲19.9P
前原 ▲46.9P

本日の最終戦でトップを取ることが出来れば、いよいよ連盟最高峰が見えてくるが、ここまで全く展開に恵まれないにもかかわらず、2番手につけている勝又が遂にやってきた。

南2局親勝又ドラ八万

7巡目に勝又先制リーチ

四万五万六万八万八万一索二索三索四索五索六索五筒六筒  リーチ

自分は手が悪いのでオリを選択。そこへ前原が仕掛けて応戦。さらに柴田が追いかけリーチ。

前原
二万三万八万九万九万九万六索南南白  ポン発発発

柴田
四万五万六万二索三索四索五索五索五筒五筒六筒六筒七筒  リーチ

すぐに勝又が四筒を引き6,000オール。
このアガリを見て、前局の勝又のアガリが凄かったので、当然だなと思っていた記憶がある。

南1局親前原ドラ中

親の前原が6巡目に先制リーチ。

二万二万二万四万四万四万五万六万七万二索二索五筒五筒  リーチ

勝又が同巡に追いつき、無筋の八索を切りヤミテン。そして次巡、ツモ切りリーチを掛けて来た。

一万一万七万八万九万一索一索一索三索三索一筒二筒三筒  リーチ

二索を引ければジュンチャンイーペーコーの手変わりもあるが現状役なし。そしてドラが見えていない状況。

捨て牌は

 

100

 

山に二索は無く、一万が2枚三索が1枚山に残っている。そこへドラの中を重ねた柴田が、前原から出た中をポンしてテンパイ。

柴田 
二索二索三筒四筒五筒五筒六筒七筒七筒九筒  ポン中中中

しかし、勝又が前原から一万で1,600をアガる。打点こそ安いが、開かれた手を見て勝又の山読みもさることながら、勝負感も凄くそれをリーチ出来るのかと驚いた1局だった。

南3局親番ドラ発

配牌
一万一万三万三万八万九万一索四索二筒七筒九筒東北発

2番手の勝又が45,600点の1人浮きで、自分は26,600点の3着目。最低でも浮いて終わりたい状況。
ジュンチャン、チャンタ、ホンイツ、七対子、国士などが考えられるが、お世辞にもいいとは言えない配牌だ。
そして柴田が4巡目に南家で1枚目の中を仕掛ける。

柴田
五万七索九索三筒四筒五筒七筒九筒南発  ポン中中中

ピンズのホンイツやドラやダブ南の重なり、ドラ単騎などを見た仕掛けか。
しかし、その仕掛けで親の自分は予想以上の伸びを見せ、11巡目にテンパイ。
 
一万一万二万三万三万七万八万九万一索二索三索九筒九筒

2枚切れだが親満のテンパイを果たす。しかし柴田、勝又もテンパイを入れている。

勝又
四万五万六万一索二索三索五索六索七索五筒六筒東東

柴田
七索八索九索三筒四筒五筒七筒七筒南南  ポン中中中

枚数的には勝又、柴田が2枚、自分は1枚だったが、二万を手元に手繰り寄せ4,000オールのアガリを決めこの半荘浮きで終わる事が出来た。
本当にこの3日目は厳しい半荘の連続だったが、気持ちを途切れさせずによく戦い抜いたと思う。

いよいよキツく楽しい戦いも最終日を残すのみ。後は悔いの残らぬよう全力で腕を振り抜くだけだ。

3日目終了時

吉田 +87.3P
勝又 +8.7P
柴田 ▲44.7P
前原 ▲53.3P