鳳凰の部屋

「我慢の時」 前田 直哉

初日の半分が終わった。ここまでの出来は申し分ない!
ただ私としては1人で抜けるのは好ましい状況ではないと思っていた。
誰か+30Pくらいまで来ないかなあ…と。

2回戦終了時
前田直哉+74.0P 藤崎智▲7.0P 瀬戸熊直樹▲32.8P 勝又健志▲34.2P

3回戦(起家から、藤崎・瀬戸熊・前田・勝又)

東1局、私の配牌がこうだった。

一万六万八万九万七索八索一筒六筒九筒九筒東西白  ドラ一索

配牌こそあまり良くなかったが11巡目にはこうなる。

一万二万三万八万九万七索八索九索七筒八筒九筒西西  ドラ一索

場に七万は2枚切れ。普段ならヤミテンを選択するだろうが、リーチをしたほうが良い結果になりそうな感じがしてリーチを選択した。
たぶんアガレないだろうが、ここは流局でもいいと思っていた。結果、流局しての1人テンパイ。よしよし!

そして次局の東2局では2,000・4,000をツモリ、次局の親では2,900をアガって、持ち点も44,200まで伸ばしまたもや好発進となった。
超ご機嫌モードである♪

しかしここからが我慢の始まりだった…。

東4局1本場、私は6巡目に2枚目の発を鳴いてこの形となる。

三万四万五万五万六万二筒三筒七筒八筒九筒  ポン発発発  ドラ七筒

面前で進める手もあるが、ここは鳴いて局を進めに行った。
すぐに上家から一筒が出るが、これをあえてスルーする。

鳴いて三万六万テンパイにするか二万五万テンパイにするかの選択になるのを避けたこともあるが、鳴かないほうが良い結果が生まれる感じがしていた。
そして、次巡に出た五万をチーして一筒四筒テンパイとする。
前巡の一筒を鳴いていないことで他家からはマークされにくいこともあり、アガる感触もあった…はずであった(笑)

しかし、その後瀬戸熊プロからリーチが入り、すぐに六索を掴まされる。
アガる感触がある以上、オリの選択は無かった。
結果…7,700は8,000の放銃であった。

最悪の結果にはなったが、正直言ってこの放銃は全く後悔していなかった。
まあこういうこともあるだろう!といった感じで気持ちを切り替えた。

南3局1本場、なんとか我慢して持ち点も33,900とプラスで持ちこたえて親番を迎えられた。
そして5巡目にはこの形となった。

五万五万六万六万七万五索六索一筒四筒五筒六筒北北  ドラ一万

十分な形となり、打点も見込める好形である!しかしここからなかなかテンパイが入らない…。
9巡目、七万が3枚切れのこともありマンズで2メンツは厳しいと感じ、三筒を引いたところで北を切ってタンヤオへ向かい2シャンテン戻しとする。
鳴いてのアガリは簡単そうに思っていたが、結果が悪く出そうな気がしていたのでここは我慢して面前でいこうと思っていた…はずであった(笑)
親番の維持が脳裏によぎり12巡目に出た六万についポンと反応していた。
鳴いた瞬間「しまった!」と思ったことを今でも鮮明に記憶している。

鳴いた後の手恰好は悪くは無いが、悪い予感しかしなかった。
そして、その予想通り次巡、持ってきた三万で手が止まる…。
危険としか感じなかったが止められなかった。勝又プロに6,400は6,700を放銃となった。

一万二万三万四万五万五索五索発発発中中中  ロン三万  ドラ一万

放銃した瞬間頭に血が上り、感じていることと真逆なことをしている自分に何をやっているのだ!と責めた。
そして、それはオーラスでも引きずっていた。

6巡目にラス目の藤崎プロからリーチが入る。自分の手は向かえそうもないのでオリを選択し、8巡目に西の暗刻落としをするがそれに「ロン」の声!
リーチ七対子3,200点…点数こそ高くはないが、きっちりと捲られて自分がラスを引かされることとなった。

序盤からは想像すら出来なかった展開であるとともに、やってしまった感満載だった。

3回戦成績
勝又健志+25.4P 瀬戸熊直樹▲2.7P 藤崎智▲8.7P 前田直哉▲14.0P

3回戦終了時
前田直哉+60.0P 勝又健志▲8.8P 藤崎智▲15.7P 瀬戸熊直樹▲35.5P

休憩中、まあ今日はプラスで終わればそれでいいや!と気持ちを切り替える。
最近思うのだが、どうやら気持ちを切り替えることに関しては得意なほうなのかもしれないと気付いた。
そして3回戦のミスは、逆に良かったのかもしれないとでさえ思っていた。
ただ…もう同じミスはしない!そう誓って4回戦目に向かった

4回戦(起家から勝又、前田、瀬戸熊、藤崎)

東場は小場で進み、突如南場で場が動いた!
南1局、勝又プロの親番で11巡目にその親からのリーチ。
皆オリ気味に手を進める中、最後のツモで勝又プロの6,000オール!

三万三万七万八万四索五索六索六索七索八索六筒七筒八筒  ツモ六万  ドラ東

高いだろうという感覚はあったが予想より高かった。
私としてはまあ無理せずこの半荘は無難にまとめられたらいいやくらいに思っていた。

次局の1本場親の勝又プロからのリーチ。そしてすぐにツモ。

二万三万四万六万七万八万七索七索六筒六筒六筒六筒七筒  ツモ八筒  ドラ五筒

まだ五筒じゃなくて良かった…これが正直な気持ちだった。
流れからいって、このテンパイなら五筒をツモりそうな勢いだったからだ。

次局はやっと勝又プロの親が流れ、自分の親になり2,900、1本場で2,400は2,700をアガリ持ち点も原点まで戻すことに成功した。
たぶん次のアガリは無いだろうな…そんな感覚で迎えた2本場10巡目に勝又プロがヤミテンのツモ。
まあそうだよね!と思いながら見ると…3,000・6,000!「おい!予定より高いよ!」顔色にも態度にも見せないが、これが正直な心の声である(笑)

その後、勝又プロの勢いは止まらず、南3局では2,000・4,000、オーラスでは3,200をアガリ、持ち点を72,900まで伸ばして初日の最終戦は終了した。

私としてはこの4回戦はまずまずの出来だったと思っている。
失点を最小に抑えるという3回戦終了時のテーマはクリア出来たであろう。

4回戦成績
勝又健志+42.9P 前田直哉▲7.9P 瀬戸熊直樹▲12.3P 藤崎智▲22.7P

4回戦終了時
前田直哉+52.1P 勝又健志+34.1P 藤崎智▲38.4P 瀬戸熊直樹▲47.8P

こうして初日の対局は終わった…結果だけ見ると上出来であったが、自分のミスもあった。
しかし、ポイントよりもこの晴れの舞台でしっかり戦えているという感触が自分の中で自信に繋がり、これで翌日も戦えると思えた。
まだ4分の1が終わっただけである。この先何があるかはわからないが、この場で戦える喜びを感じながら明日も牌に触れられる喜びを噛みしめながら恥ずかしくない麻雀を打ち抜こう!こう思いながらスタジオを後にした。

さすがに体は疲れている。しかし明日も対局があるので、今日は気持ちを落とさずにいこう。
そしていつも通り家路につくと、いつも通りに料理をして明日に備えたのであった…

つづく!

次回予告(激熱)
「2日目突入だよ!ついにあの人がやってくる!!…にんにん」

追伸
こうして原稿を書くとなると否が応でも決定戦の牌譜を見ることになる。
自分の勝った試合だからさぞかし何度も見ているのでは?と思う人もいるだろうが…
実際はほとんど見てはいない。見るとあの時の苦しさやいろいろな思いが蘇ってくるからだ。

負けていたら尚更見ないけどね!(笑)