第212回:プロ雀士インタビュー 柴田吉和 インタビュアー:福光聖雄
2021年01月27日
柴田「“振り切ったな”と思っても、内川さんが強くて、全然引き離せなくて、“やっぱ強いな”って思ってずっとやってましたね。」
柴田「残り2、3戦になって、内川さんとほぼ1対1の競りで卓内のプレッシャーもあったんですが、押せるところは押せたので、その部分でちょっとは前回(5年前)よりは成長できたのかなあと。」
これは優勝直後のインタビュー。プレッシャーから解放された安堵の表情が見える。
本インタビューは、柴田くんの一番の練習相手の私、福光が担当する。
福光「ん?僕の一番の相手が柴田くんであって、逆はそうとは限らないのか?(笑)」
柴田「いや、一番かな。あなた暇だからよく捕まる。あと刀川さん。」
このインタビューも練習を終えてからの開催だ。
福光「早速、決定戦の話に。ずっと気になってたことがあって…」
福光「内川さんが(伊藤)優孝さんに5,800点を放銃して、かなり優勝が見えてきたところ、『まだまだ気を抜くな』のようなこと呟いてそうなんだけど覚えてる?」
(6:15:15付近。放銃でスコアが以下の状況になったところ)
福光「大舞台慣れしている柴田くんでも、そういう緊迫した状態になるのね。」
柴田「え?そんなことしないでしょ。次局終わったらトイレ行かせてください、って言ったんじゃない?」
福光「なんだー。気になってたのに。そんなオチか。(笑)」
福光「では改めて…決定戦を振り返ってどうですか?」
柴田「1回戦から優孝さんの止めを見せられて、“ホント凄いな”って楽しくなっちゃった。」
(決定戦初日観戦記の真ん中付近を参照)
柴田「最初の十段戦は、これを獲ったら麻雀プロ人生が変わると結構気負っちゃったけど、今回は獲ってもそんなに変わらないからね。決勝戦を楽しむことができたよ。」
ただただ羨ましい。
我々麻雀プロは、“タイトルを獲って有名になりたい”もあるが、“強い相手と大舞台で痺れる麻雀をしたい”という欲求も強い。
聞いてはいないが、彼もそのタイプの打ち手と確信している。
福光「勝ったと思ったときはあった?」
柴田「無いよ。(笑)」
福光「そうだよね。」
11回戦南4局、このまま終われば50ポイント近いリードで最終戦を迎えられたところ、内川のこのアガリを含む連荘で一時は逆転される。最終戦は、ほぼ着順勝負に。
(伊藤のリャンメン待ちより多く残っている単騎待ち。このアガリも凄い。)
閑話休題。柴田くんと僕の関係について触れよう。
柴田くんとは、それこそ毎週のように練習しているのだが、私生活の会話はほとんどしたことがない。
LINEもスケジュール調整しかやり取りがない。こんな感じだ。
飲みに行ったり、ご飯を食べに行くのも、実は初めて。
今日は、会話が盛り上がるか不安で、彼と同期の菅原(千瑛)さんにも参加してもらっている。
柴田「お酒飲めないし、飲み会はあまり好きじゃないからね。」
だからといって、無口であったり、話しづらかったりするわけではない。麻雀に対する熱い想いがあるし、気は利くし、常識もある。
ややマイペースな気質はあるか。(よりマイペースの僕が言えたものではない…)
LINEを振り返って思うが、彼は本当によく練習している。
福光「放送対局もよく見てるよね。先に着いて待っているときはだいたい見てる。熱心だわ。」
柴田「いやいや。趣味がないだけだから。」
福光「どういう点に着目して観戦してるの?」
柴田「うーん。解説聞いて取り入れることが多いかな。勝又さんの解説大好き。」
ここで過去のインタビューを紹介しよう。
初々しい。(笑)
希望の星。
負けた時の印象が薄い。(笑)
最後の熱い20行。
さて、意を決して踏み込む時間帯だ。
福光「彼女はいるの?」
柴田「いないよー。」
菅原「長く付き合ってた人は?」
柴田「だいぶ前に別れちゃった。」
柴田「30代は結婚とか興味なかったんだけど、独り身が寂しくなってきたので…結婚したい。」
福光・菅原「へー、意外。」
福光「どんな相手がいいの?」
柴田「麻雀を知らない人!」
柴田「家では麻雀の話をしたくないんだよね。何切るの話になったら部屋に籠もりたい。」
福光「なるほど。」
柴田「でも、出会いがないんですよ。」
菅原「ですよ。」
福光「それ、みんな言ってるね。(笑)」
柴田「募集中です。よろしくお願いします。」
“いい人いたら紹介してください”と書いておいてって…
ここまで彼の魅力が伝わるよう頑張ってはみたが、いかがだろうか?
書く方も麻雀の話ばかりになるし、読む人も麻雀が好きな人だぞ。無理な話だ。(苦笑)
1回目の十段位が、最終局に国士無双での大逆転だったこともあり、柴田くんの戦前の評価は低かった。
他に目立った実績もないし当然じゃない?と本人は意に介していなかったが、僕は自分事のように悔しかった。
僕の期待通り、覆してくれてありがとう&戴冠おめでとう!
そうだ、冒頭の優勝直後のインタビュー。彼らしい一言を書き忘れたので追記しておく。
柴田「明日からまた稽古して、しっかり(リーグ戦で)昇級できるように頑張ります。」
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