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鳳凰の部屋

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「麻雀プロ団体日本一決定戦」 勝又 健志

2016/10/28
執筆:勝又 健志


鳳凰の部屋

9月25日。 麻雀プロ団体日本一決定戦の最終節。まさに「日本一のプロ団体」が決まる日である。
連盟は、第2節までは首位を走っていたものの、第3節に最高位戦・協会に逆転され、3番手からの戦いとなる。
ただ、ポイントは1卓のトップラスで逆転できるほどの僅差であった。それだけに、ポイントが2倍となる大将戦は、絶対に負けられない。
午後16時、これまでの麻雀人生で最大の緊張感に包まれた対局が開始された。

東1局。配牌は苦しかったが、ツモに恵まれドラ2七対子をテンパイする。RMUの阿部さんよりリーチが入るも「ここは絶対に引かない!」とツモ切り追いかけリーチに踏み切った。

実は対局前に最も悩み、心を決めるまでに時間をかけたのが、このようなリーチを打つかどうか、である。
加点は信頼できる仲間に任せ、自分はポイントをまとめにいくべきではないか?そのためには無理な勝負はせずに、有利な局面だけ戦うべきではないか?と。
細かい技術面での優劣はすぐに答えが出たのだが、この大きな方向性は決め切れずに時間ばかりが過ぎてゆく。
するとある日、私が何の相談をしたわけでもないのに、瀬戸熊が声を掛けてくれる。
「勝又は色んなことを気にせずに思いきりやればいいよ。」と。
でも、私は内心「気にしないとか、無理ですよ…。」と思っていた。
するとその心を見透かしたかのように「じゃあ、みんなで300ポイントのアドバンテージをとって最終戦につなぐから。それなら大丈夫でしょ。」と。
その時ふと「本当に300ポイント差で最終戦になりそうだな。」という予感がし、気持ちが楽になったことを覚えている。

そして、対局当日の昼。集合場所に行くと森山会長が1人1人選手にお守りを渡してくれる。
私には、「いつも通りでいいんだぞ。任せた。」と一言。
この激励で私の心に覚悟ができた。

自分が今期鳳凰位を獲得できた理由は、攻める時にしっかりと攻め切れたこと。そして、その攻めが空振りに終わったとしても、その後しっかりとチャンスまで我慢できたことにあると思う。だからこそ今日もその戦い方を貫くべきだ、と。

自らが選んだ、そして仲間が後押ししてくれた道をまっすぐに進むための、ツモ切り追いかけリーチである。
結局は、さらに追いかけリーチを放ってきた協会の木原さんの跳満ツモアガリとなるのだが、この時の私には焦りは全くなく、むしろ、並びができたことで戦いやすくなるなと冷静に考えていた。
そして、運命の東2局。かなり苦しい配牌。アガリは絶望的と考え、いかに相手にプレッシャーをかけ連荘を掴み取るかということに思考を巡らせる。
しかし状況が一変する。すっと東が打ち出されたのであった。自身の牌姿を考えると仕掛けないのが普段のバランスであるが、ここはポンを選択した。この東が勝負形になって打ち出されたものであれば、仕掛けは裏目にでる可能性が高いであろう。しかし、私はこの東は戦略的に打ち出されたものであり、仕掛けることでチャンスが生まれるのではないかと考えた。
そして、すぐに北も打ち出された。いよいよ決断の時である。これを仕掛けたら後には引けない。この親番で大きな失点をするようだと、この半荘が3、4着で終わってしまう公算が高い。
この時、ほんの一瞬の事であるが、「この局を失敗したら、この後は守りに徹しよう。もう一局、勝負に出てみよう。」と思った。
この北をポンした後

三万五万五万六索七索一筒二筒  ポン北北北  ポン東東東  ドラ二筒

この形になると阿部さんよりリーチが入る。そして、私のツモは四万。ここで考える。
形に拘らず、真っ直ぐに突き進むなら五万切り。最終形を強くしにいくのならリスクは高いが一筒切り。ひとまず様子見をするなら現物の六索切り。
ここでの選択は五万切り。正直怖さもあった。だが、勝負の1局と決めた以上まっすぐに突き進もうと。
この後は、本当に幸運に恵まれツモ二筒八索ときて4,000オールのアガリとなった。

今でも昨日のことのように覚えている。この時の私の頭の中は、いたって冷静ですぐに次局に何をすべきかに集中できていた。
しかし、体は手が震えてきていた。これがプロ団体の日本一を決める戦いの重みなのだなと。その戦いに出場できていることに、プレッシャーと同じくらいの喜びを感じていた。

そして、この後は今の勢いを失わないようにシンプルに攻め続けていった。後半はアガリを逃した場面もあり課題は残したが、9万点近い、ポイント以上に精神的にも有利になれるトップを取ることができた。

1回戦が終了し、仲間たちのところに戻った時、寿人さんの俺もやってやるという気迫。
白鳥の残り2回任せてくださいという自信に満ち溢れた表情。
前田さんの...あれ前田さんはいつもと変わらなかったかも笑
そして、森山会長にかけてもらった「いい麻雀だった。」という言葉。
どれもが、次の半荘へ向かう気持ちを奮い立たせてくれた。

2回戦目はトップ。3回戦目はラスでいよいよ最終戦を迎える。この時のポイント差は367ポイント。
瀬戸熊が言葉にし、仲間たちが必死に作ってくれたアドバンテージ。絶対に負けるわけにいかない最終戦が始まる。
東1局。近藤さんの仕掛けにより、よもやの大三元を警戒したため手組がブレる。そこに阿部さんからリーチがかかり吸い込まれるように18,000の放銃。
この放銃は心のどこかに逃げの気持ちがあった自分に喝が入った。

連盟チャンネルができた当初から、多くのタイトル戦で実況に指名していただき、何度も見てきた決勝の最終戦。逃げ腰の麻雀ではどんなリードも捕まる可能性がある。
「しっかりと戦って1度アガリをもぎ取ろう。そうすれば優勝だ。」
そう思い次局以降に臨んだ。

自ら苦しくしてしまった東場を耐え、南場に入るとスッと手が入る。

三索三索三索四筒五筒六筒七筒八筒九筒北北発発  ツモ発

このアガリで優勝を確信した。

そして、23時過ぎ。プロ連盟が日本一へと輝いた。
1人がみんなのために。みんなが1人のために。最高のチームワークで、全員で掴み取った日本一。これまでの麻雀人生で一番の喜びであった。この舞台に選手の1人として立てたことを誇りに思う。
明日からはこの仲間たちがまたライバルとなるかと思うと、いつまでも喜びに浸ってはいられないのだが。

本来ならば鳳凰の部屋では、第32期鳳凰戦についてお話させていただこうと考えていましたが、私にとってとても大きな大会であり、読んでくださる皆様に私たちがどんな想いで戦っていたのかをお伝えしたく麻雀プロ団体日本一決定戦について書かせていただきました。私たちのインタビューもホームページにありますのでそちらも是非読んでみてください!
次回こそは鳳凰戦を振り返っていきたいと思います。

第1回麻雀プロ団体日本一決定戦優勝記念インタビュー 前編