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鳳凰の部屋

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「~A1リーグまでの道程~」 吉田 直

2019/04/23
執筆:吉田 直


夢にまで見た鳳凰の部屋に遂に入る事が出来た。オートロックを解除し入ってみると、自分には全く相応しくないほどの景色と爽快感。旅行に来て高級ホテルに泊まった気分だ。
しかし数時間経つと、なんでこの部屋の鍵を持っているのだろう?本当にここに居ていいのかと疑問だらけになって来る。これが鳳凰位を獲った後の重圧なのだろうか?
ただ、この部屋にはまだまだ鍵がかかった部屋があり、今はまだその部屋からの景色は見られないみたいだ。
是非他の部屋も見たいものだ。

未だに自分でも信じられないA1昇級1年目での鳳凰位という快挙。しかし、ここに来るまでにはいくつもの壮絶な戦いがあった。

A1に上がる為には、当然A2リーグ(16人中2名昇級)を勝ち上がらなければならないのだが、連盟チャンネルをご覧の皆さんだったらわかるだろう。いかにA2リーグのレベルが高いか。
よくA1リーグだけは別格、レベルが違うなど耳にする。

確かにA1は独特の空気感や圧力があり、ビタ止めからのアガリや視聴者の方々を魅了するようなスーパープレーが数多くある。
しかし、近年A2も実力者が多数増え、このリーグを突破するのが相当困難。

B1から2年でA2に戻ったが、嬉しい反面厳しい戦いが続くことは安易に予想出来た。

1年目は最終節、上から2番目(5位〜8位)の卓で、最終戦までにポイントを伸ばし次もトップを取れば最終卓(1位〜4位)の上位陣にプレッシャーをかけられる所まで行くが、結果浮く事も出来ず4位。
2年目は、最終卓での直接対決で4位スタートだが、2位の和久津まで55Pなので現実的な差である。 しかしこの年は内川、和久津の上位2人に全く隙がなく完敗。結果5位。
それでもA2に戻って来て、自分が想像していたよりもこのリーグで戦っていけるという自信になった2年だった。

ところが3年目は最高峰のA1リーグに手が届きそうで届かなかった焦りからなのかわからないが、4節が終わった時点で▲100Pで最下位。
普通は焦るのだろうが、麻雀に関してはポジティブなのでこの数字でもまだまだ昇級目指しますと強がっていた。笑

そのどこから来てるかわからない自信が、5節目の親の四暗刻単騎をアガってからいい方向に進み始め、最終節を迎えた時には3位まで浮上した。
これには流石の自分もビックリしたが、またこの最終卓で戦える喜びと試練を胸に噛み締めた。

そして一昨年の12月29日A2リーグ最終節を迎える。

1位紺野 +192.0P
2位荒 +151.1P
3位吉田 +147.6P
4位黒沢 +116.0P

2年連続最終卓での戦いとなったが、前年と違いこの年は1位紺野が若干抜け出していたものの、2位の荒との差は僅か3.5P、4位黒沢との差も30Pぐらいとほとんど差がなく、紺野が沈んでくれば混戦になりそうで、そうでなければ1/3の戦いとなり、前年よりは可能性があると思っていた。

2回戦終了時
1位紺野+ 215.9P
2位吉田+ 173.3P
3位荒+111.7P
4位黒沢+ 105.8P

2回戦終了時には2位になり1位の紺野には40Pほど差をつけられたが3位荒、4位黒沢に60P以上差をつけた。
連盟の公式ルールでこの差はとても大きく、1位の紺野が自然な手組みはしても無理はしてこない事を考えると、後は焦らず局を消化していけばA1という夢のステージに行けると思っていた。
しかし麻雀の神様というのはいい所で出て来ては人に試練を与えて行く。こちらが求めてない時にも出てくるのはどうかと思うのだが•••

3回戦東3局

親黒沢 ドラ五筒

黒沢
一索二索三索三索四索四索五索五索東東北北中  ツモ二索

11巡目に一索を切って1枚切れの中単騎でリーチに来る。それを受けて南家の自分は

五万五万五万二索四索六筒六筒七筒八筒八筒東西西  ツモ三索

東を切ればイーペーコーのテンパイだが、黒沢の捨て牌に字牌が1枚も切られていなくて、七対子もホンイツもある捨て牌。
普通の人なら東待ちならヤミテンを選択して来るのではないか(このポイントの状況下においては普通の人でもリーチの選択はあるかも)と思うが、黒沢なら平気でリーチを打ってくるという脅威が脳裏をよぎる。
そしてベタオリを余儀なくされ、終盤黒沢は当然のように中をツモり上げ6,000オール。次局は早々に4,100オールと2局であっという間に差が縮まった。この半荘ラスを引き、最終戦を迎えて以下のポイント状況。

1位紺野+ 204.7P
2位吉田+ 152.5P
3位黒沢+129.1P
4位荒+ 120.4P

23.4P差は自分が浮いてれば大体大丈夫なので、最終戦は是が非でも浮きをキープしなければならない。
ところが東1局の3巡目に北を切ると紺野から「ロン」の声!

役牌、ホンイツの北単騎8,000に放銃。
何もこんな大事な所で交通事故にあわなくてもいいじゃん、と心の中で思ったのだが、この2ヶ月後に、もっと大変な本当の事故(右足を脱臼骨折)にあうとは知る由もなかった(汗)

この放銃でほぼ並びになったが、これまで色々な場面を経験したおかげか焦りはなく、どこか吹っ切れとにかく少しずつ返して30,000点を目指そうと思っていた。
そして30,700点で迎えたオーラス。親黒沢5本場 持ち点は34,700点。 2,000オールでも瞬間捲られる点差だ。

自分はアガればいいので、北家だが1枚目から積極的に役牌を仕掛けてアガリを目指しに行くも、先に面前でテンパイを入れていた紺野に3,900は5,400を放銃。
終わって見れば6.0P差という接戦で辛くも昇級を決めた。
終わった瞬間は、なんか紺野さんに助けられたなぁと思っていて昇級の実感は無かったのだが、紺野さんと握手をした瞬間、グッと握られたその手は普段よりも暖かく「俺たちはやったんだよ」っと言われてる気がしていつものように泣いてしまった。(笑)

どうやら誰かに「良くやったな」とか「おめでとう」など言われたり、今までの苦しい戦いの事などを思い返したりすると涙腺が崩壊するみたいです。
もちろんみんなが泣くような映画は当然泣きますが「えっこれで」というような映画でも色々な心情を考えたりすると泣いたりします。(汗)

内緒ですが紺野さんは自分が泣くと必ず貰い泣きしてくれる心優しい人です。(嬉)
A2ではこんな熱い戦いを経て念願のA1の扉を開けました。

今回の鳳凰の部屋はこの辺りでお別れです。
最後に拙い文章ですが1年間お付き合い下さい。