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プロ雀士インタビュー

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第154回:プロ雀士インタビュー 藤崎 智  インタビュアー:内川 幸太郎

2016/12/07
インタビュアー:内川 幸太郎


いつもきさくに冗談をとばし、一緒の空間にいると安心感を生みだしてくれる先輩。
その姿は仮の姿で、ひとたび卓に付けば全く隙のない忍者となる。
完璧な大局感と華麗な打ちまわしでの完全勝利。
今回は、我らのキャプテン、藤崎智の十段戦優勝インタビューをお送りします。

内川「キャプテンお疲れさまです。今日は、今回優勝された十段戦のインビューさせてもらいます、よろしくお願いします。」

藤崎「内川がインタビュアーに選ばれたって事は、あれでしょ?対抗戦の話も入れるんでしょ?」

内川「えっと多分それも良いと思うのですけど。日吉さんの書いたインタビューあるので、まあ一応その話も面白いのあれば書きますよ。」

第1回麻雀プロ団体日本一決定戦優勝記念インタビュー

~前編~
~後編~

藤崎「白鳥の涙の真相とか?」

内川「(笑)それも聴きたいですが、とりあえず今回の十段戦のことで。早速ですが印象に残った局ってあります?」

 

 

☆藤崎流ヤミテンの極意

 

藤崎「あんまりないんだけど、やっぱりあれかなぁ、58ヤミテンにしたやつかなぁ。」

内川「2日目の最初の親番のやつですね。あれはリーチ行く人が9割くらいいるんじゃないですか?通常Aルールでのあの形はリーチ行きやすいですよね、特に親番ですし、高めツモで3,900オールですし。荒さんも書かれていましたけど、詳しく教えてくれますか?」

第33期十段戦決勝 二日目観戦記 荒 正義

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藤崎「2日目の朝一(初戦)ってのもあったし、場況の悪いソウズ待ちが残っちゃったのもあって迷ったからヤミテンにしたんだよね。やってる最中は、リーチ行かずに8ツモったら酷い事になるなと思ったけど、すぐに3,900の出アガリになったんだよね。あとでタイムシフト見て、リーチしていたらほぼ58が無かったから、誰かの反撃があって連荘が無かったかも知れない。その後のブレークがあった事を考えると、あの選択が今回の優勝の勝因かなと思うよ。」

内川「迷ったら基本ヤミテンですか。僕は迷ったらアグレッシブな方を選ぶのでリーチしちゃいますね。親リーチの効果も含めて。迷ったらヤミテンの理由って教えてもらえますか?」

藤崎「もちろん親でリーチを打つほうが他家の反撃が少なくなるのも十分わかっているのだけど、リーチ打って空ぶった時に次のチャンスがいつ来るかはわからない訳じゃない。そのチャンスが来た時には、局が進んでいて点数も減ってる方が多い訳だから、今度は状況的にリーチせざるをえないってなっているのが嫌なんだよね。だから俺は序盤に迷ったらヤミテンを選択して有利な点数状況を作るようにしている訳。選択肢を増やすためにヤミテンを使うのね。」

内川「なるほど。けど、ヤミテンにより他家の反撃は増えるというか。その辺はどうやって、、、あ!藤崎さんならその反撃に対応できるのか。つまり、ヤミテンにして、その後の状況変化に対応できる力があるからこその戦法ですね。後手になってもぎりぎりまで押したり回ったりできる人じゃないと、なかなか難しいスタイルですな。」

藤崎「リーチしてオリてくれる人ばかりじゃないし、Aルールって何が何でもトップを目指すって麻雀じゃなくてどこかの半荘で爆発的に素点を稼がなきゃ勝てないじゃない。その方法は人それぞれだけど、一発長打を狙うにしてもまずは有利な状況を作ってからってのが自分のスタイルなのね。まずは30,000点。オーラスの親番なら39,000点あるのが理想だね。」

内川「39,000?38,000じゃなくてですか?」

藤崎「ほら、リーチ棒出してかつ満貫振り込んでも沈まないのが39,000点だから(笑)伊達に「チームちっちゃい」やってないからね。」

内川「なるほどwさすが隙が無いですw藤崎さんの麻雀っていつ頃から今みたいなスタイルだったんっですか?」

 

 

☆藤崎麻雀のルーツ

 

藤崎「いつ頃って言われても分からないけど、そもそもは20歳そこそこで麻雀荘のメンバーやっていた時に麻雀覚えたんだけど、当時は今のメンバーと違って凄く打ち方に制約のあるのが普通だったのね。ガツガツ勝ちに行くんじゃなくて、お客さんに気に入られるような麻雀打って、そのお客さんの中で商売やっている人とかいるでしょ、その人達にお店出してみないか?みたいな風になるのが夢であり目標としてやっていた時代だったのね。だから当時は手役がらみ以外の愚形リーチはした事なかったし、ソバテンはしないし、ひっかけはしないし、見たいな麻雀だったね。それが美しいとされていた時代だったから。」

内川「(同じ仙台出身の寿人さんとは真逆だなぁ。愚形上等だもんなぁ)たしかに綺麗な麻雀で魅力もあると思いますけど、めっちゃ負けそうですね。ソバテン無しとかきついっす。」

藤崎「そこは完先が主流だったし、今と違って赤が沢山あったりして、それをやっても負けるようなことはなかったよ。完先から入ってるので当然デジタルチックな麻雀のスタイルにはならないよね。あと、当時の店長さんが凄い優しい人で、麻雀と言うよりも色々人との接し方などで影響を受けたんだけど、よく言われたのが『本物のメンバーは下手なフリができるのがメンバーだ』ていう教えだったのね。だから基本的に目立たずにっていうスタイルはそこで身に着いたのかもしれないね。」

内川「上手さをアピールするのは誰でもできるけど、下手なフリが出来るようになって本物って。カッコイイですね。」

藤崎「要は勝つのが目的じゃないよと。目先の勝ちじゃなくて、将来気に入られて声を掛けられるように 麻雀やりなさいよっていう教えだったね。だから、今でも結果うんぬんよりもファンの人に喜んでもらえるような麻雀を打ちたいなってのは、やっぱりそこから来ているのかもしれないね。」

内川「麻雀おぼえてすぐから、そういう意識で麻雀やってきたとは。努力というかなんというか厚みを感じます。」

藤崎「自分としては、それがごく普通の環境だったから特別何かをしてきたとか、感じた事はなかったけどね。」

内川「藤崎さんて常にファンの方を意識してプロ活動してますよね。サービス精神旺盛だし。」

 

 

☆プロとしての在り方

 

藤崎「俺とか瀬戸ちゃんの世代っていうのはさ、小島、灘のレジェンド世代がいて荒、前原、沢崎の怪物世代の下で滝沢、寿人らの上の世代の中間なわけだよ。タイトルなどの実績では下の世代に差があるにしても、人気やファンの数では滝沢達に敵いっこ無いのね。今回十段とったけどさ、いくらタイトルが増えてもファンの方が増えなければ意味がないのね。まぁ意味がないは、言い過ぎかもしれないけど、結局そういうことなんじゃないかな。」

内川「プロの価値はファンの数って感じですか。」

藤崎「見てくれている人がどういう所が好きかは、タイプがあると思うけど、少なくとも僕のファンの人は勝たなくても、見ていて面白ければいいって思ってくれている人が多いんじゃないかな。」

内川「今の時代はメディア媒体が整ってきてますから、特に結果より内容が問われていますものね。」

藤崎「今後は内川や白鳥みたいなのが上にあがって来た時に、乗り越えていってくれるような壁役というか敵役をやっていくことになるんだろうね。とはいえ内川はまず勝たなきゃね。その上で立ち振る舞いや人柄なんかも確立していけると良いね。」

内川「はい。まずは戦える権利が取れるように頑張ります。最後にファンの方へのメッセージもらえますか。」

藤崎「十段戦と対抗戦たくさんの応援ありがとうございました。おかげさまで良い結果を出すことが出来ました。麻雀プロはファンの方に支えられて成り立つ職業です。ファンの方の応援が力になります。これからも応援してもらえるような選手であり続けられるよう頑張りますのでよろしくお願いします。」

インタビューを終えての帰路、頭の中でぐるぐると自問していた。
自分は何のために、誰の為に麻雀をしているのだろう。
もちろん自身の満足、探究心、生活など理由は沢山持ち合わせてはいる。
藤崎さんは、そんなものは超越して僕とは全く違う所で勝負している。
憧れであり目標であるその背中に一歩でも近づきたい。

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