第9期女流桜花 優勝者予想

正解者の中から抽選で1名の方に、第9期女流桜花獲得後の直筆サインをプレゼント致します。
また、応募された方の中から抽選で2名の方に、女流桜花決勝進出プロ寄せ書きサインをプレゼント致します。

応募方法:優勝すると思われるプロを記載し、こちら からご応募ください。

※1メールアドレスに対し、1応募とさせて頂きます。
※1メールアドレスより複数の応募があった場合、最後に応募されたもののみ受け付けられます。

なお当選者の発表は賞品の発送を以って代えさせて頂きます。

締め切り:2015年1月16日(金)

番号 名前 プロフィール 和泉 仲田 清水 斎藤 室伏 宮内 澤村
1

吾妻さおり
21期生 四段
現女流桜花
 
ロン2プロフィールはこちら

2

魚谷侑未
25期生 四段
第6期 女流桜花
第7期 女流桜花

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3

和久津晶
23期生 四段
第9期プロクイーン
第12期プロクイーン

ロン2プロフィールはこちら
4

安田麻里菜
23期生 三段
第10期プロクイーン

ロン2プロフィールはこちら

決定戦進出者

現女流桜花:吾妻さおり
 1位通過:魚谷侑未
 2位通過:和久津晶
 3位通過:安田麻里菜

予想者コメント

和泉由希子

勝ちに対する執念というか、ハングリーさが違うなと思います。
人ともそうですが、今の時期ノッてそうな和久津に◎で。

 
◎ 和久津晶
〇 魚谷侑未

仲田加南

それぞれ素晴らしい長所を持ち合わせていますが、魚谷のミスの少なさは圧巻。
的確な判断でゲームをスイスイと泳ぎきる姿が浮かびます。
ただ、実際に主導権を握るのは和久津だと思うので、最後まで目が離せない戦いになると思います。

◎ 魚谷侑未
○ 和久津晶

清水香織

波に乗っている4人なので予想は難しいけど、連覇にかける思いの強さから、吾妻が本命。
爆発力に定評のある晶(和久津)が抜け出す展開も。
自在型の魚谷、安田のゲームメイクも楽しみな、みどころ満載の決勝戦になりそう。

◎ 吾妻さおり
○ 和久津晶

斎藤理絵

吾妻プロが優勝すれば女流桜花2連覇。
魚谷プロが優勝すれば3度目の優勝。
和久津プロ、安田プロが優勝すればプロクイーンとの二冠と、誰が勝ってもおかしくない戦いになると思いますが、圧倒的なポイント差で決定戦進出を決めた魚谷プロを本命にさせて頂きます!
魚谷プロとは同期で、女流桜花Aリーグへの昇級も同時だったのですが、最初の頃は賛否両論であった雀風から進化しつづけ、結果を残しまくる彼女には頭が下がる思いです。
今期の女流桜花で久しぶりに対戦しましたが、本当に強かったです!
女流桜花始まって以来の3度目の優勝を期待しています!

更に対抗には悩みましたが、先日のプロクイーンベスト8で惜しくも敗れた現女流桜花の吾妻プロを。
しっかりと今回も研究に研究を重ね、前回とは違った一面を見ることが出来るのではないかと期待しています!

◎ 魚谷侑未
○ 吾妻さおり

と予想してみましたが、
和久津プロも安田プロも、今度の桜花のリーグで戦いたくないので、出来ることならば、全員にディフェンディングで待っていて欲しいくらいの心情です(笑)

室伏理麻

前回と全く同じ面子で行われる女流桜花決定戦。
全員がタイトルホルダーであり、実力者揃い。
麻雀のタイプも違うし、結果の行方は全く読めません。
そこを敢えて予想しなければならず辛いところです。

非常に悩みましたが…

4人の中でも一番手数は少ないけれど、前に出る時はほぼ確実に仕留める印象の安田プロを本命に推します。
現女流桜花の吾妻プロは、押し引きの巧みなクレバーな打ち手ですが、1年女流リーグに出ていない分、僅差で対抗に。
最近の女流のレベルアップは著しく、1年の間に、皆の麻雀もマイナーチェンジを繰り返していると思われるので。
誰もが認める実力者魚谷プロ、そして最強の破壊力を誇る和久津プロ、誰が優勝してもおかしくないです。
皆を本命にしたい位です。

◎ 安田麻里菜
○ 吾妻さおり

宮内こずえ

断トツの首位で決勝に残り、プレーオフまでの成績の安定感から言っても文句なしに魚谷が本命でしょう。
対抗は、プレーオフでの勝ちあがり方には目を見張るものがあり、勝ちへの執念と勝負感が抜群な和久津。

◎ 魚谷侑未
○ 和久津晶

澤村明日華

本命は和久津晶プロ。この人が負けるイメージを持てない。
どれだけマイナスを叩いてしまっても、そこから復活する力を誰よりも持っている。
その代わり点数を吐き出してしまうことも多くはなるが、誰がトップを走ろうが必ず追い詰めてくれる想像ができる。
何よりもその攻撃力、爆発力に期待したい。

対抗には魚谷侑未プロ。
やはりこの2人の構図になってしまい、対抗・本命をどちらにするかでとても悩んだ。
今シーズンの闘いでは、1人トータルポイントで走っている状態からも慎重に打ちまわし放銃を避けるシーンや、さらに点棒を積み重ねる力強い攻めを幾度と見せてくれた。
攻守のバランスはやはり圧倒的。
本命にと推したいところではあるが、女流桜花、プロクイーンと連続で決勝進出を決めたという勢いがある分、女流桜花通算2期覇者の魚谷プロを対抗とする。

◎ 和久津晶
○ 魚谷侑未

女流プロリーグ(女流桜花) 成績表/第9期女流桜花 優勝者予想

正解者の中から抽選で1名の方に、第9期女流桜花獲得後の直筆サインをプレゼント致します。
また、応募された方の中から抽選で2名の方に、女流桜花決勝進出プロ寄せ書きサインをプレゼント致します。
応募方法:優勝すると思われるプロを記載し、こちら からご応募ください。
※1メールアドレスに対し、1応募とさせて頂きます。
※1メールアドレスより複数の応募があった場合、最後に応募されたもののみ受け付けられます。
なお当選者の発表は賞品の発送を以って代えさせて頂きます。
締め切り:2015年1月16日(金)

番号 名前 プロフィール 和泉 仲田 清水 斎藤 室伏 宮内 澤村
1

吾妻さおり
21期生 四段
現女流桜花
 
ロン2プロフィールはこちら
2

魚谷侑未
25期生 四段
第6期 女流桜花
第7期 女流桜花

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3

和久津晶
23期生 四段
第9期プロクイーン
第12期プロクイーン

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4

安田麻里菜
23期生 三段
第10期プロクイーン

ロン2プロフィールはこちら

決定戦進出者
現女流桜花:吾妻さおり
 1位通過:魚谷侑未
 2位通過:和久津晶
 3位通過:安田麻里菜

予想者コメント

和泉由希子

勝ちに対する執念というか、ハングリーさが違うなと思います。
人ともそうですが、今の時期ノッてそうな和久津に◎で。
 
◎ 和久津晶
〇 魚谷侑未

仲田加南

それぞれ素晴らしい長所を持ち合わせていますが、魚谷のミスの少なさは圧巻。
的確な判断でゲームをスイスイと泳ぎきる姿が浮かびます。
ただ、実際に主導権を握るのは和久津だと思うので、最後まで目が離せない戦いになると思います。
◎ 魚谷侑未
○ 和久津晶

清水香織

波に乗っている4人なので予想は難しいけど、連覇にかける思いの強さから、吾妻が本命。
爆発力に定評のある晶(和久津)が抜け出す展開も。
自在型の魚谷、安田のゲームメイクも楽しみな、みどころ満載の決勝戦になりそう。
◎ 吾妻さおり
○ 和久津晶

斎藤理絵

吾妻プロが優勝すれば女流桜花2連覇。
魚谷プロが優勝すれば3度目の優勝。
和久津プロ、安田プロが優勝すればプロクイーンとの二冠と、誰が勝ってもおかしくない戦いになると思いますが、圧倒的なポイント差で決定戦進出を決めた魚谷プロを本命にさせて頂きます!
魚谷プロとは同期で、女流桜花Aリーグへの昇級も同時だったのですが、最初の頃は賛否両論であった雀風から進化しつづけ、結果を残しまくる彼女には頭が下がる思いです。
今期の女流桜花で久しぶりに対戦しましたが、本当に強かったです!
女流桜花始まって以来の3度目の優勝を期待しています!
更に対抗には悩みましたが、先日のプロクイーンベスト8で惜しくも敗れた現女流桜花の吾妻プロを。
しっかりと今回も研究に研究を重ね、前回とは違った一面を見ることが出来るのではないかと期待しています!
◎ 魚谷侑未
○ 吾妻さおり
と予想してみましたが、
和久津プロも安田プロも、今度の桜花のリーグで戦いたくないので、出来ることならば、全員にディフェンディングで待っていて欲しいくらいの心情です(笑)

室伏理麻

前回と全く同じ面子で行われる女流桜花決定戦。
全員がタイトルホルダーであり、実力者揃い。
麻雀のタイプも違うし、結果の行方は全く読めません。
そこを敢えて予想しなければならず辛いところです。
非常に悩みましたが…
4人の中でも一番手数は少ないけれど、前に出る時はほぼ確実に仕留める印象の安田プロを本命に推します。
現女流桜花の吾妻プロは、押し引きの巧みなクレバーな打ち手ですが、1年女流リーグに出ていない分、僅差で対抗に。
最近の女流のレベルアップは著しく、1年の間に、皆の麻雀もマイナーチェンジを繰り返していると思われるので。
誰もが認める実力者魚谷プロ、そして最強の破壊力を誇る和久津プロ、誰が優勝してもおかしくないです。
皆を本命にしたい位です。
◎ 安田麻里菜
○ 吾妻さおり

宮内こずえ

断トツの首位で決勝に残り、プレーオフまでの成績の安定感から言っても文句なしに魚谷が本命でしょう。
対抗は、プレーオフでの勝ちあがり方には目を見張るものがあり、勝ちへの執念と勝負感が抜群な和久津。
◎ 魚谷侑未
○ 和久津晶

澤村明日華

本命は和久津晶プロ。この人が負けるイメージを持てない。
どれだけマイナスを叩いてしまっても、そこから復活する力を誰よりも持っている。
その代わり点数を吐き出してしまうことも多くはなるが、誰がトップを走ろうが必ず追い詰めてくれる想像ができる。
何よりもその攻撃力、爆発力に期待したい。
対抗には魚谷侑未プロ。
やはりこの2人の構図になってしまい、対抗・本命をどちらにするかでとても悩んだ。
今シーズンの闘いでは、1人トータルポイントで走っている状態からも慎重に打ちまわし放銃を避けるシーンや、さらに点棒を積み重ねる力強い攻めを幾度と見せてくれた。
攻守のバランスはやはり圧倒的。
本命にと推したいところではあるが、女流桜花、プロクイーンと連続で決勝進出を決めたという勢いがある分、女流桜花通算2期覇者の魚谷プロを対抗とする。
◎ 和久津晶
○ 魚谷侑未

第12期プロクイーン決定戦 優勝は和久津 晶!

優勝和久津 晶 準優勝:茅森 早香 第3位:宮内こずえ 第4位:優木 美智 第5位:二階堂瑠美

連盟インフォメーション/第12期プロクイーン決定戦 優勝は和久津 晶!

優勝和久津 晶 準優勝:茅森 早香 第3位:宮内こずえ 第4位:優木 美智 第5位:二階堂瑠美

第31期A2リーグ第9節レポート 黒沢 咲

昔、連盟の先輩に『長年麻雀プロをやっていると、常に高いモチベーションを維持し続けるということがとても難しい。』という話をされて、私はその意味が全くわからなかった。

その頃の私は、一言でいうと常にやる気満々だった。
負けず嫌いをむき出しに戦っていたし、仕事終わりや休みの日には、必ずと言っていいほど麻雀を打ちに行っていた。

この情熱が消えることなんてありえない。
勝ちたい意欲が減ることなんて絶対にない。
麻雀を打ちたいという気持ちがなくなることなんて考えられない。

日本プロ麻雀連盟に入って10年、今はその言葉の意味が少しわかるようになった。
やはり調子にもモチベーションにも波がある。
そして、不調の波とモチベーションの波がともに下がったとき、とてもきつい状況に陥る。
今期の私は、まさにその状態だった。

その結果、7節までオールマイナス。今節を迎え、私のマイナスは250を超えていた。
プロ入りして10年、一度もリーグ戦で降級したことはなかったが、今回ばかりは自分の弱さとふがいなさを認めざるをえない。反省点しかない。

そんな中迎えた第9節、私のテーマは・・・プラス150!!と言いつつ、本当は自分らしい麻雀を取り戻すことだった。

対戦相手は石渡、紺野、二階堂の3名。
各々テーマが違い、状況を考えると私が望むような荒れ場になる可能性は低かった。
それでも4連勝目指してやるしかない。

1回戦、終始静かな展開だった。大きな手は入らず、淡白な放銃もあったが、南3局に、1,000・2,
000をツモり、オーラスの点棒状況は以下の通り。

紺野32.100
二階堂30.200
黒沢29.500
石渡28.200

ほぼアガリトップの、平たい状況。
西家の私の配牌は、

五索七索一筒五筒八筒九筒東南西西北北白  ドラ七万

第一ツモがドラの七万
私はいつも、配牌を見てある程度手役を想定するようにしている。
字牌が多く、ホンイツ系が一番に浮かんだが、第一ツモがドラの七万。少し迷いが生じた。

無難に1枚切れの白を打ったが、私にとってはすごく選択の難しい一打だった。
2巡目に六筒、3巡目に七筒を引く。

七万五索七索五筒六筒八筒九筒東南西西北北  ツモ七筒

ピンズが伸びている。1,000点アガれば浮く。しかし状況的には大きな加点をしたい。
何を切ればよかったのだろうか。

私はこの局、手順によっては跳満をツモっていた。
その少し難しい手順を追えた可能性があるか、とても気になりタイムシフトで振り返った。

ここで可能性の薄い小四喜を見切って、打東とする選択もあった。
ただ、東南をかぶった時にものすごく痛い。

私はここからソウズをはずした。
東を切る人もいるだろうし、私と同じ選択の人もいるだろう。
このあと西が暗刻になり、すぐに裏目の六索ツモ。東を切っていると、このテンパイだった。

七万五索六索七索五筒六筒七筒八筒九筒西西西北北

調子のいい時の私なら九筒を切ってテンパイを外す可能性が十分にあった。
すると五索四索とツモる。
それも、断固拒否する強い精神力があれば、そのあと六万五万とツモって跳満だ。

こんな鉄の意志で、手品のように大物手をアガリきれるプロに私はなりたい。
夢を見すぎかもしれないが、ただ目の前のアガリを拾いに行くのは自分の麻雀スタイルではないし、感動はないと思う。

この局は、私が四筒七筒待ちでリーチをかけ、1人テンパイで終了した。

五万六万七万五筒六筒七筒八筒九筒西西西北北

しかしそれより、

六万七万五索六索七索五筒六筒七筒西西西北北

このほうが、私には何十倍も美しく見える。例えアガれなかったとしても。

2回戦も全く爆発する気配がなく、オーラスを迎えて25,000点持ちのラス目。
配牌でドラの三筒がトイツの二階堂が、珍しく焦った仕掛けをする。
第一ツモで絶好のカン三索を引き入れ、この形。

二索三索四索五索六索七索三筒三筒五筒六筒西白発

2巡目に紺野が打った七筒を両面でチーした。
二階堂がこんな仕掛けをするのは見たことがなく、自力でも高い手に持っていけそうな好形。
絶対にアガリがほしい局面でもない。

しかし、こういう鳴きをしてしまう気持ちもよくわかる。
高い手を作りに行く必要はない。早くこの半荘を終わらせたい。七筒に少し反応してしまった。

確かにそうなのだが、不調ではないのだから、無理に鳴いて手牌を少なくするより、どっしり構えて他家の動きに対応していく普段の二階堂らしい麻雀を打つべき場面だった。

この鳴きで、打ち出された西を私がポン。

一索一索三索四索七索八索二筒八筒八筒南西西発

字牌を重ねて、できれば満貫に持っていきたい。
もし、二階堂が動いていなければ、私はこの1枚目の西を鳴かなかった可能性が高い。

その後、九索チー、そこから立て続けに南を引き入れ、6巡目にはこの形に。

一索一索三索四索南南南  チー九索 左向き七索 上向き八索 上向き  ポン西西西

ほどなく、カン六索待ちでテンパイしていた二階堂が二索をつかみ、私が8,000をアガって浮きに回った。たった1つのこの鳴きで、こんな結果になってしまう。麻雀って恐ろしいなと思った。

3回戦は、東2局の親番にチャンス到来。
3巡目にこの形。

六万六万六万七万八万六索七筒七筒九筒九筒九筒白白  ドラ六万

満貫1回アガったあとだったら、1枚目の白はスルーしてもっと高い手に持って行った可能性があった。1枚目は鳴かないほうが私らしいかもしれない。

しかし、今期の私はためらいもなくポン。
すぐに12,000点をアガったのだが・・・どうだったのかなぁ。
100人中95人以上が鳴く白かもしれないが、これを鳴かない打ち手がいても面白いと思う。

結局、この半荘も石渡に逆転されて2着で終わり、4回戦もオーラスのアガリで浮きにまわり、今節はトータル30ちょっとのプラス。

ある程度戦えた感覚はあるが、爆発モードには持っていけなかった。
来節の目標は・・・プラス200くらい?!
・・・( ̄ー ̄;)

それでも、最後まで精いっぱい自分らしさを思い出すために戦い切ろうと思う。

プロリーグ(鳳凰戦)レポート/第31期A2リーグ第9節レポート 黒沢 咲

昔、連盟の先輩に『長年麻雀プロをやっていると、常に高いモチベーションを維持し続けるということがとても難しい。』という話をされて、私はその意味が全くわからなかった。
その頃の私は、一言でいうと常にやる気満々だった。
負けず嫌いをむき出しに戦っていたし、仕事終わりや休みの日には、必ずと言っていいほど麻雀を打ちに行っていた。
この情熱が消えることなんてありえない。
勝ちたい意欲が減ることなんて絶対にない。
麻雀を打ちたいという気持ちがなくなることなんて考えられない。
日本プロ麻雀連盟に入って10年、今はその言葉の意味が少しわかるようになった。
やはり調子にもモチベーションにも波がある。
そして、不調の波とモチベーションの波がともに下がったとき、とてもきつい状況に陥る。
今期の私は、まさにその状態だった。
その結果、7節までオールマイナス。今節を迎え、私のマイナスは250を超えていた。
プロ入りして10年、一度もリーグ戦で降級したことはなかったが、今回ばかりは自分の弱さとふがいなさを認めざるをえない。反省点しかない。
そんな中迎えた第9節、私のテーマは・・・プラス150!!と言いつつ、本当は自分らしい麻雀を取り戻すことだった。
対戦相手は石渡、紺野、二階堂の3名。
各々テーマが違い、状況を考えると私が望むような荒れ場になる可能性は低かった。
それでも4連勝目指してやるしかない。
1回戦、終始静かな展開だった。大きな手は入らず、淡白な放銃もあったが、南3局に、1,000・2,
000をツモり、オーラスの点棒状況は以下の通り。
紺野32.100
二階堂30.200
黒沢29.500
石渡28.200
ほぼアガリトップの、平たい状況。
西家の私の配牌は、
五索七索一筒五筒八筒九筒東南西西北北白  ドラ七万
第一ツモがドラの七万
私はいつも、配牌を見てある程度手役を想定するようにしている。
字牌が多く、ホンイツ系が一番に浮かんだが、第一ツモがドラの七万。少し迷いが生じた。
無難に1枚切れの白を打ったが、私にとってはすごく選択の難しい一打だった。
2巡目に六筒、3巡目に七筒を引く。
七万五索七索五筒六筒八筒九筒東南西西北北  ツモ七筒
ピンズが伸びている。1,000点アガれば浮く。しかし状況的には大きな加点をしたい。
何を切ればよかったのだろうか。
私はこの局、手順によっては跳満をツモっていた。
その少し難しい手順を追えた可能性があるか、とても気になりタイムシフトで振り返った。
ここで可能性の薄い小四喜を見切って、打東とする選択もあった。
ただ、東南をかぶった時にものすごく痛い。
私はここからソウズをはずした。
東を切る人もいるだろうし、私と同じ選択の人もいるだろう。
このあと西が暗刻になり、すぐに裏目の六索ツモ。東を切っていると、このテンパイだった。
七万五索六索七索五筒六筒七筒八筒九筒西西西北北
調子のいい時の私なら九筒を切ってテンパイを外す可能性が十分にあった。
すると五索四索とツモる。
それも、断固拒否する強い精神力があれば、そのあと六万五万とツモって跳満だ。
こんな鉄の意志で、手品のように大物手をアガリきれるプロに私はなりたい。
夢を見すぎかもしれないが、ただ目の前のアガリを拾いに行くのは自分の麻雀スタイルではないし、感動はないと思う。
この局は、私が四筒七筒待ちでリーチをかけ、1人テンパイで終了した。
五万六万七万五筒六筒七筒八筒九筒西西西北北
しかしそれより、
六万七万五索六索七索五筒六筒七筒西西西北北
このほうが、私には何十倍も美しく見える。例えアガれなかったとしても。
2回戦も全く爆発する気配がなく、オーラスを迎えて25,000点持ちのラス目。
配牌でドラの三筒がトイツの二階堂が、珍しく焦った仕掛けをする。
第一ツモで絶好のカン三索を引き入れ、この形。
二索三索四索五索六索七索三筒三筒五筒六筒西白発
2巡目に紺野が打った七筒を両面でチーした。
二階堂がこんな仕掛けをするのは見たことがなく、自力でも高い手に持っていけそうな好形。
絶対にアガリがほしい局面でもない。
しかし、こういう鳴きをしてしまう気持ちもよくわかる。
高い手を作りに行く必要はない。早くこの半荘を終わらせたい。七筒に少し反応してしまった。
確かにそうなのだが、不調ではないのだから、無理に鳴いて手牌を少なくするより、どっしり構えて他家の動きに対応していく普段の二階堂らしい麻雀を打つべき場面だった。
この鳴きで、打ち出された西を私がポン。
一索一索三索四索七索八索二筒八筒八筒南西西発
字牌を重ねて、できれば満貫に持っていきたい。
もし、二階堂が動いていなければ、私はこの1枚目の西を鳴かなかった可能性が高い。
その後、九索チー、そこから立て続けに南を引き入れ、6巡目にはこの形に。
一索一索三索四索南南南  チー九索 左向き七索 上向き八索 上向き  ポン西西西
ほどなく、カン六索待ちでテンパイしていた二階堂が二索をつかみ、私が8,000をアガって浮きに回った。たった1つのこの鳴きで、こんな結果になってしまう。麻雀って恐ろしいなと思った。
3回戦は、東2局の親番にチャンス到来。
3巡目にこの形。
六万六万六万七万八万六索七筒七筒九筒九筒九筒白白  ドラ六万
満貫1回アガったあとだったら、1枚目の白はスルーしてもっと高い手に持って行った可能性があった。1枚目は鳴かないほうが私らしいかもしれない。
しかし、今期の私はためらいもなくポン。
すぐに12,000点をアガったのだが・・・どうだったのかなぁ。
100人中95人以上が鳴く白かもしれないが、これを鳴かない打ち手がいても面白いと思う。
結局、この半荘も石渡に逆転されて2着で終わり、4回戦もオーラスのアガリで浮きにまわり、今節はトータル30ちょっとのプラス。
ある程度戦えた感覚はあるが、爆発モードには持っていけなかった。
来節の目標は・・・プラス200くらい?!
・・・( ̄ー ̄;)
それでも、最後まで精いっぱい自分らしさを思い出すために戦い切ろうと思う。

第40期王位戦準決勝レポート  太田 優介

11月29日、第40期王位戦準決勝が東京、夏目坂スタジオで行われた。
先週までの予選を勝ちあがった15人に、去年王位を戴冠した森下剛任を加え16人で争われる。
まずは簡単にシステムを説明しておこう。

ルールは一発裏ドラなしの日本プロ麻雀連盟Aルール。
今日は半荘6回戦を行い、上位4名が明日の決勝へ駒を進めることになる。
ただし、半荘5回戦を終えた時点で、下位4名は最終戦を打てず敗退となってしまう。
最終6回戦はニコニコ生放送での対局となる。
また、例年決勝戦は5人で行われていたが、今年から4人で決勝戦を行う。

今年の準決勝を戦うのは以下の16名(予選通過順・敬称略)

森下剛任(現王位・連盟)
荒正義(連盟)
灘麻太郎(連盟)
前原雄大(連盟)
安村浩司(連盟)
石井一馬(最高位戦)
五十嵐毅(協会)
矢島亨(協会)
浜上文吾(連盟)
近藤久春(連盟)
東谷達矢(連盟)
手塚紗掬(連盟)
海老沢稔(最高位戦)
古川孝次(連盟)
清原継光(連盟)
福島直次郎(一般)

100

灘麻太郎

100

荒正義

100

古川孝次

100

前原雄大

100

近藤久春

100

浜上文吾

100

森下剛任

100

安村浩司

100

清原継光

100

東谷達矢

100

手塚紗掬

100

五十嵐毅(協会)

100

矢島亨(協会)

100

石井一馬(最高位戦)

100

海老沢稔(最高位戦)

100

福島直次郎さん(一般)

4卓同時に行われるという性質上、どういう風にレポートを書くべきかと考えたが、各回の注目卓にスポットを当て、1卓ずつ紹介していくというやり方に決めた。
選手によっては観戦回数の偏りがあるが、どうかご容赦いただきたい。
また、しがないCリーガーである筆者が、超上から目線で色々書いてるのもホント許してくださいお願いします。

1回戦卓組

1卓 森下・安村・浜上・海老沢

2卓 荒・石井・近藤・古川

3卓 灘・五十嵐・東谷・清原

4卓 前原・矢島・手塚・福島

1回戦は現王位、森下の卓を観戦。

1回戦1卓(起家から、浜上・森下・安村・海老沢)

その森下の開局第一打に注目。

東1局 南家 森下

一万二万四万七万七万二索三筒六筒六筒七筒七筒八筒東  ツモ三万  ドラ白

ここから森下は打東を選択。
東を親の浜上に鳴かれるも、八筒五万と引き入れ、自然な手順でリーチ。
ピンズのホンイツに向かっていた浜上が程なくして三万を掴み、森下の3,900のアガリ。
打点はそれほど高くはないが、幸先の良いスタート。

一万二万三万四万五万七万七万六筒六筒七筒七筒八筒八筒  リーチ  ロン三万  ドラ白

三万は、親・浜上の現物だったが、森下は迷いなくリーチを敢行。
これを見て筆者は「腕が振れているな」、と感じた。
予選を戦い抜いて来たものには勢いがある、とはよく言うが、森下は勢いにも負けず、いいテンションで対局にのぞめている、と思った。

東2局、西家 海老沢が先制リーチ

一万一万一索二索三索五索六索七索四筒五筒六筒東東  リーチ  ドラ三筒

一万は1枚切れ、東は生牌。
そこにまたしても森下が参戦、役牌を2つ仕掛けて追いつく。

東家 森下

六万七万七万八万八万東東  ポン白白白  ポン発発発  ドラ三筒

だが、その争いに待ったをかけたのは南家、安村。

四万四万五万五万六万北北  チー三万 左向き二万 上向き四万 上向き  ポン中中中  ツモ三万  ドラ三筒

他家の2軒テンパイをかいくぐって、値千金の1,000・2,000

東3局は、これまで失点続きだった浜上が積極策に出る。

西家 浜上 8巡目

二万二万二索四索二筒三筒四筒五筒六筒七筒  暗カン牌の背八筒 上向き八筒 上向き牌の背  リーチ  ドラ三万

恐らくは1,300・2,600を引きに行ったリーチとは思うのだが、河状況からソーズは別段良いとは思えず、危ういリーチだなぁ、と筆者は感じた。
焦りから掛けてしまったリーチで無ければ良いのだが・・・。

このリーチを受け、親・安村は勝負手ではあったのだが、テンパイを入れられず撤退。
ひっそりとタンピンのテンパイを入れていた海老沢と浜上の2人テンパイで流局。

東4局は浜上が終盤に捌き手を入れ、海老沢の親をカット。

南家 浜上

六万六万二索三索四索七索七索七索五筒六筒  チー二万 左向き三万 上向き四万 上向き  ロン七筒

森下から2,000は2,300(+供託1,000点)のアガリ。

東場を終えて点数状況は以下のとおり。

浜上 28,900
森下 28,100
安村 33,500
海老沢29,500

現状、小さいリードではあるが、安村の1人浮き。
浜上は開局からの連続失点をほぼ取り戻した。

南1局、北家・海老沢がアグレッシブに仕掛ける。

六万七万九筒九筒  ポン南南南  ポン一索 上向き一索 上向き一索 上向き  ポン九索 上向き九索 上向き九索 上向き  ドラ九筒

ここに親の浜上が八万で飛び込み、海老沢5,200のアガリ。
微差ではあるが、海老沢がトップに躍り出た。

南2局、親・森下の一撃が炸裂。

二索三索四索五索六索七索八索九索六筒七筒八筒南南  リーチ  ロン一索  ドラ四索

ここに一索を放銃してしまったのは、タンピンの1シャンテンだった安村。
4巡目と早いリーチであり、不運だったか。

南2局1本場は、西家・海老沢がピンフのみをしっかりヤミテンにして、森下の親を落とす。

四万五万六万六万七万八万五索六索五筒六筒七筒北北  ツモ四索  ドラ九索

400・700は500・800のアガリ。

南3局も海老沢のかわし手が成就。

三万三万一索一索五索五索三筒三筒西北北白白  ロン西  ドラ中

森下から1,600のアガリ。
海老沢が連続のアガリ、さらに1,600をトップ目の森下から直撃したことで、トップでオーラスを迎える。
だが、この半荘の主役はやはり森下であった。

南4局 森下 5巡目リーチ

一万二万三万六万七万八万八万八万二筒四筒七筒八筒九筒  リーチ  ロン三筒  ドラ八万

リーチドラ3の8,000。浜上から三筒が出て、森下の再逆転で終了。

1回戦成績
1卓 森下+23.7P 海老沢+12.1P 安村▲13.0P 浜上▲22.8P

2卓 近藤+17.4P 荒+6.2P 石井+3.7P 古川▲27.3P

3卓 五十嵐+18.3P 清原+4.5P 東谷▲8.4P 灘▲15.4P

4卓 福島+13.8P 手塚+13.7P 前原▲7.8P 矢島▲24.7P

※福島選手は遅刻ペナルティにより、5P分のマイナスを加算しております。

100

 

2回戦卓組(数字はトータルポイント)

1卓 森下+23.7P・石井+3.7P・東谷▲8.4P・福島+13.8P

2卓 荒+6.2P・安村▲13.0P・清原+4.5P・手塚+13.7P

3卓 灘▲15.4P・古川▲27.3P・矢島▲24.7P・浜上▲22.8P

4卓 前原▲7.8P・海老沢+12.1P五十嵐+18.3P・近藤+17.4P

2回戦は3卓のカミソリ灘VSサーフィン打法・古川VS協会Aリーガー矢島VS十段戦ファイナリスト浜上の対決をチョイス。

後から気が付いたのだが、なんとこの4人、全員1回戦ラスなのである。
卓組みは事前に決まっているので、もちろん、意図してこの4人の対局が組まれたわけではない。
もしも、この卓で大きなラスを引いてしまうと、決勝進出へ早くも黄色信号が点ってしまう。
生き残りをかけて、早くもサバイバルマッチが始まる。

2回戦3卓(起家から、浜上・灘・古川・矢島)

起家の浜上、早々に以下の形でテンパイ。

一索三索六索七索八索五筒五筒五筒六筒六筒七筒八筒九筒  ドラ六索

だが、足止めリーチはせず、ヤミテンを選択、数巡後、四索を引いてリャンメンに変化したところでリーチ。

三索四索六索七索八索五筒五筒五筒六筒六筒七筒八筒九筒  リーチ  ロン二索  ドラ六索

(一発はないが)即、古川から二索が出て3,900のアガリ。
雑な攻めを見せず、1つ1つの親番をしっかり使っていこうという浜上の姿勢が感じ取れた。

東1局1本場は、古川・灘の仕掛け合い、そして矢島のリーチも飛んできたが、ここも浜上が制す。

五万六万七万二索四索六索七索八索八筒八筒  チー二筒 左向き三筒 上向き四筒 上向き  ツモ三索  ドラ東

500は600オールのアガリ。

東1局2本場は、浜上・灘・古川の3人テンパイ。

決定打は出ていないものの、浜上が親権を死守、本人も「さぁ、これから!」と思っていたに違いない。
だが、悲劇は突然やってくる。

東1局3本場 北家 矢島

六万六万六万七万七万一索一索二筒二筒二筒三筒三筒三筒  リーチ  ツモ七万  ドラ八索

矢島がリーチをした時点で、山に生きていたのは七万の1枚のみ。
だが、その1枚を矢島は見事に手繰り寄せた。
矢島の8,000・16,000は8,300・16,300が炸裂!

東2局は親の灘が1,300オール。

六万七万一索二索三索四索五索六索一筒二筒三筒北北  リーチ  ツモ五万  ドラ九筒

東2局1本場は、矢島が淀みのない手順でアガリをものにする。

一万二万三万五万六万七万八万九万五索五索四筒五筒六筒  リーチ  ロン七万  ドラ九筒

安目だが、勝負してきた古川から2,000は2,300の出アガリ。

東3局は古川・灘の2人テンパイ。

同1本場は灘が

七万八万九万六索七索八索三筒四筒八筒八筒  暗カン牌の背一万 上向き一万 上向き牌の背  リーチ  ツモ五筒  ドラ白

1,000・2,000は1,100・2,100のアガリで早くも原点復帰。

東4局は見ごたえのあるリーチ合戦。

東家 矢島

一索一索一索三索四索五索一筒一筒二筒三筒四筒中中  リーチ  ドラ三万

これに浜上が真っ向勝負

南家 浜上

一万二万三万三索四索五索五索六索六筒七筒八筒中中  リーチ  ツモ七索  ドラ三万

打点以上の大きなアガリで1,000・2,000。

南1局は古川が4巡目リーチ。

六万七万八万二索三索四索五索六索七索九筒九筒北北  リーチ  ロン北  ドラ九索

中盤に灘から1,300のアガリ。

南1局まで終えて、点数は以下のとおり。

浜上22,500
灘 29,500
古川14,300
矢島53,700

このまま終えれば、矢島は約+35P。1回戦の負債を完済してもお釣りが来る。
逆に古川は、このまま終わってしまうとトータルのマイナスが50を越えてしまい、土俵際に立たされる事になる。

南2局、親の灘が積極的に仕掛ける。

東家 灘

一筒一筒一筒三筒五筒白白  チー三筒 左向き一筒 上向き二筒 上向き  ポン中中中  ドラ七筒

そこに待ったを掛けたのがラス目、古川。

西家 古川

六万七万八万二索二索三索四索四索五索五索六索六筒八筒  リーチ  ツモ七筒  ドラ七筒

終盤に2,000・3,900のツモアガリ。
親・灘が古川の待ちと同色の鳴きをしていたが、ここは古川に軍配が上がる。

南3局、親・古川が

三万三万六万七万五索六索七索七筒八筒九筒  ポン中中中  ロン八万  ドラ西

打点は1,500と安いが、浜上から出アガリ、とりあえずラスからは脱出。

だが、同1本場、またしても古川と浜上の争い。

東家 古川

二索三索四索八索八索三筒四筒五筒八筒八筒  ポン三万 上向き三万 上向き三万 上向き  ドラ七筒

西家 浜上

六万七万一索二索三索七索七索二筒二筒二筒七筒八筒九筒  リーチ  ロン五万  ドラ七筒

浜上が古川から2,600は2,900をアガリ再度ラスを脱出。

オーラスを迎え点数状況は以下のとおり。

浜上21,900
灘 25,600
古川20,800
矢島51,700

矢島はラス親なので、ほぼトップが確定。灘は5,200以上をアガれば原点復帰、浜上・古川は現状、跳満をアガらないと原点復帰できないので、ラス回避を主とした打ち方をしそう。

オーラスもまた古川と浜上の争い。

北家 古川 4巡目リーチ

四万五万六万五索五索九索九索一筒二筒三筒七筒八筒九筒  リーチ  ドラ九万

そこに浜上もリーチで応戦。

南家 浜上 7巡目リーチ

一万二万三万五万六万七万三索四索二筒二筒二筒中中  リーチ  ドラ九万

古川はシャンポン、浜上はリャンメン。見た目は浜上のほうが有利に見えるが、浜上が追いかけた時すでにお互いの待ちは山に2枚ずつ。
矢島、灘は撤退し、もしかしたら流局終了もあるかな、と思いかけてきた14巡目、古川が九索をツモり、決着。

四万五万六万五索五索九索九索一筒二筒三筒七筒八筒九筒  リーチ   ツモ九索  ドラ九万

500・1,000のツモアガリ。

2連続ラスで、浜上は早くも窮地に立たされた。

2回戦成績
1卓 石井+32.6P・森下▲2.0P・福島▲7.6P・東谷▲23.0P

2卓 安村+14.0P・荒+9.5P・手塚▲9.2P・清原▲14.2P

3卓 矢島+32.7P・灘▲5.9P・古川▲9.2P・浜上▲17.6P

4卓 五十嵐+17.8P・近藤+7.1P・前原▲10.1P・海老沢▲14.8P

 

3回戦卓組(数字はトータルポイント)

1卓 森下+21.7P・古川▲36.5P・手塚+4.4P・五十嵐+36.1P

2卓 荒+15.7P・矢島+8.0P・東谷▲31.4P・海老沢▲2.7P

3卓 灘▲21.3P・近藤+24.5P・安村+1.0P・福島+6.2P

4卓 前原▲17.9P・清原▲9.7P・浜上▲40.4P・石井+36.3P

3回戦は、過去に2度の王位を戴冠している荒の卓を観戦。
また、まだ知名度は低いが、今年の十段戦で7回勝ちあがった東谷にも注目。

3回戦2卓(起家から、矢島・東谷・海老沢・荒)

東1局、親の矢島、北家の荒が激しいつばぜり合いを演じる。

先手は荒。

一筒二筒三筒七筒八筒八筒九筒九筒南中  ポン東東東  ドラ五万

矢島、3巡目に七対子ドラ2の1シャンテンだったが、

三万三万四万五万五万六万八万四筒四筒発発中中  ドラ五万

ここから発をポンし、打八万。程なく七万を引き入れ高目11,600のテンパイ。

三万四万五万五万六万七万四筒四筒中中  ポン発発発  ドラ五万

荒も一歩進んで以下の形

一筒二筒三筒六筒七筒八筒八筒九筒九筒中  ポン東東東  ドラ五万

テンパイの仕方では、荒の放銃だなと思って見ていたら、矢島が五筒をツモって三筒六筒待ちのリャンメン待ちへ移行。

2巡後に、東谷が三筒をツモ切り矢島の5,800のアガリ。

三万四万五万五万六万七万四筒五筒中中  ポン発発発  ロン五筒  ドラ五万

東1局1本場、またも矢島が動く。

六万六万六万七万九万九万四索七索九索九索二筒九筒東

ここから九索をポン。
レポートに書ききれていない箇所もあるが、矢島は非常に手数が多い。
今日1日を見ての印象だが、仕上がれば高いが遠い仕掛けを多用するイメージである。
ただし、観戦できなかった初戦は分からないが、それ以外では致命傷になるような放銃は一切していなかった。
仕掛けを多用する戦術は、高い守備力、読み、対局者との間合いを感じる能力が必要なのだと、改めて感じた。

この局、東谷が早々にドラ2のポンテンを取れそうな局面であったのだが、この矢島の動きで字牌が重くなり、なかなかテンパイを入れさせてもらえなくなってしまう。
これも矢島の戦術の内なのだろうか。

南家 東谷

七万八万九万四索四索七索三筒四筒五筒七筒八筒東東  ドラ四索

だが、おかげで自力で九筒を引き入れ、リーチを敢行。
終盤に以下の形でテンパイを入れた海老沢が東で8,000の放銃。

一筒一筒一筒二筒三筒四筒五筒六筒南南南白白  ドラ四索

形だけ見れば致し方ない放銃かもしれないが、自身で四筒を切っているフリテン待ちであり、一筒も枯れている。
東は生牌なだけに、個人的には我慢して欲しかったと思う。

東2局、前局8,000をアガった東谷の親は荒が高速でカット。

東3局、矢島が鳴きで魅せる。

西家 矢島 8巡目

二索三索四筒四筒四筒五筒五筒七筒九筒九筒東東発  ドラ北

ここから東をポン。打発と構えるかと思いきや、打三索でホンイツに向かう。
ポンの後連続で五筒六筒引き、最速テンパイ、そしてテンパイと同時に東谷が九筒を掴み最速のアガリ。

四筒四筒四筒五筒五筒五筒六筒七筒九筒九筒  ポン東東東  ロン九筒  ドラ北

東谷は今日1日を通してツキに恵まれていなかった印象。5,200の放銃。

東4局は西家・東谷が渾身の三色リーチを入れるが、不発。1人テンパイで流局。

一万二万一索二索三索五索六索七索八索八索一筒二筒三筒  リーチ  ドラ南

南入時の点数状況は以下のとおり。

矢島 40,000
東谷 29,300
海老沢19,700
荒  30,000

南1局1本場、矢島の8巡目。

三万三万六万六万八万六索七索三筒四筒五筒五筒六筒七筒  ツモ五索

三色変化も有り、いざとなれば出アガリも利くので、Aルールでは打六万or八万のヤミテンがマジョリティか。
だが、矢島は迷いなく六万切りのリーチを選択。

3巡後に五万を持ってくるものの、変化を待っても結局アガリにはつながらなかった。(ヤミテンにしていたなら他家から出たかもしれないが。)
必死の粘りを見せた海老沢と2人テンパイで流局。

南1局2本場は3者の手がぶつかる。

北家 荒 7巡目

五万五万五万七索八索九索一筒一筒六筒六筒発発発  リーチ  ドラ西

そこに親の矢島がタンヤオで追っかけ。

東家 矢島 9巡目

六万七万八万四索五索三筒三筒三筒五筒六筒七筒八筒八筒  リーチ  ドラ西

さらに同巡、東谷も一索をポンして追いつく。

南家 東谷 9巡目

一万一万四万四万四万七筒七筒西西西  ポン一索 上向き一索 上向き一索 上向き  ドラ西

矢島有利かと思いきや、矢島が一筒を掴み、荒のアガリ。
3,200は3,800。リーチ棒も2本もらえる大きなアガリ。

南2局、4巡目荒の手牌。

西家 荒

四万五万二索三索七索七索八索八索九索四筒四筒白白白  ドラ一索

ターツオーバーの形。九索が1枚切れでさらにドラ表示牌のため、荒のは打七索を選択。
だが、その七索矢島が以下の形からチー。

北家 矢島 4巡目

一万二万二万二万三万四万五索六索六索八索一筒三筒五筒  ドラ一索

この鳴きで荒に入るはずだった四索、ドラの一索、さらにはアガリ牌になったであろう六万も矢島が食い取ってしまう。

皮算用ではあるが、(四索引きの時点ではリーチを打たないので)以下の形での荒のアガリが有った。

四万五万一索二索三索七索八索九索四筒四筒白白白  リーチ  ツモ六万  ドラ一索

四索は矢島の手の内に吸収されたため荒の目からは見えないが、一索六万も矢島にツモ切られているので、鳴きによって自分のアガリを消されたことは荒からも見て取れるはずだ。

結局荒は、10巡目に以下の形でリーチ。

四万五万六万二索三索六索七索八索四筒四筒白白白  リーチ  ドラ一索

だが時既に遅し、以下の形でテンパイを入れていた矢島のアガリが先。

二万二万二万三万四万四索五索六索三筒三筒  チー七索 左向き六索 上向き八索 上向き  ロン三筒  ドラ一索

東谷から1,000のアガリ。素晴らしい発想力で荒の本手を潰してしまった。

南3局は親の海老沢が12巡目にリーチ。

四万五万二索三索四索五索六索六索七索七索八索八索八索  リーチ  ドラ東

同巡、荒も追いつく。

四万四万五万六万六万三筒三筒四筒四筒五筒五筒発発  ドラ東

荒は前巡、1シャンテンから六を処理して放銃を回避。だが、アガリ牌は山には0。
海老沢の待ちも薄かったが、見事に六万を掘り当て2,600オールのアガリ。

南3局1本場は、海老沢・東谷・矢島の3人テンパイで流局。

同2本場、またしても矢島が先手を取る。鳴いた時は2シャンテンだったが、急所を連続で引き、

一万一万一万一索一索一索一筒二筒三筒中  加カン白白白白  ツモ中  ドラ中

厳しい待ちであったが見事に引き当て2,000・4,000のアガリ。
オーラス、親の荒、7巡目にポンテンを取る。

四索五索七索八索九索三筒三筒三筒六筒六筒  ポン白白白  ドラ六索

リーチをしてきた海老沢が六索を掴み、2,900のアガリ。
26,500持ちだった荒はリーチ棒も入り微差で浮きに回る。

南4局1本場、時間打ち切りの最終局、またしても先手を取ったのは矢島。

南家 矢島

四万五万六万二筒四筒七筒七筒  チー三索 左向き四索 上向き五索 上向き  ポン二万 上向き二万 上向き二万 上向き  ドラ四筒

そして海老沢も5巡目に一通の変化待ちの仮テンを入れる。

北家 海老沢

六万七万八万一索二索五索六索七索七索八索九索東東  ドラ四筒

そして、30,400点持ちの荒も、粘りに粘って以下のテンパイを入れる。

東家 荒

四万六万四索五索六索四筒五筒五筒六筒六筒七筒北北

だが、アガリは発生せず、東谷の1人ノーテンで終局。
東谷はノーテン罰符でラス落ちと、苦い形で半荘を終えた。

3回戦成績

1卓 五十嵐+22.0P・手塚+6.7P・古川▲5.3P 森下▲23.4P

2卓 矢島+25.7P・荒+5.4P・海老沢▲12.1P・東谷▲19.0P

3卓 灘+23.9P・近藤+17.9P・福島▲5.5P・安村▲36.3P

4卓 前原+16.2P・清原+11.4P・石井▲5.1P・浜上▲22.5P

 

4回戦卓組(数字はトータルポイント)

1卓 森下▲1.7P・矢島+33.7P・清原+1.7P・近藤+42.4P

2卓 荒+21.1P・浜上▲62.9P・五十嵐+58.1P・福島+0.7P

3卓 灘+2.6P・手塚+11.1P・石井+31.2P・海老沢▲14.8P

4卓 前原▲1.7P・古川▲41.8P・安村▲35.3P・東谷▲50.4P

超獣・前原が不調である。
3回戦こそトップをとれたものの、未だトータルポイントはマイナス。
冒頭でもお伝えしたが、5回戦を終わった時点で下位4名になってしまうと、最終・6半荘目を打つ資格を失ってしまう。
4回戦目は前原をはじめ、ポイント的に正念場を迎えた4名の戦いを観戦することにした。

4回戦4卓(起家から、古川・安村・東谷・前原)

東1局、トータル14位と苦しい位置に居る古川、この局は素直に手が伸び、7巡目テンパイ。

三万四万五万六万六万三索四索五索七索八索八筒八筒八筒  リーチ  ツモ九索  ドラ七索

安目ながらも13巡目にツモアガリ。2,000オール。

東1局1本場、古川が独特の鳴きを見せる。

六万七万二索三索五索六索八筒八筒東発  チー四筒 左向き三筒 上向き五筒 上向き  ドラ発

連盟員のほとんどが同じ鳴きはできないと思う。だが、12巡目までで発は全て山に生きている。
まさか発を集めてアガってしまうんじゃないかと思い始めたが、

西家 東谷

三索四索五索六索八索三筒四筒五筒六筒六筒  ポン東東東  ツモ七索  ドラ発

東のポンテンを取った東谷が300・500は400・600のツモアガリ。

東2局、前原が先制リーチ。

西家 前原 5巡目

一万二万三万五万六万七万二索二索四索四索五筒六筒七筒  リーチ  ドラ七万

Aルールでは珍しい、役無しの中張牌同士のシャンポン待ちリーチ。
しかも驚くことなかれ、リーチ宣言牌は三色やピンフの変化もある、七索である。
これがガラクタリーチなのだろうか。

リーチで攻め込まれた、親・安村。
2枚目の白をポンして応戦。

九万九万九万四索五索八索八索  ポン白白白  ポン六索 上向き六索 上向き六索 上向き  ドラ七万

古川も持ち前の粘り腰でテンパイを取る。

七万五索五索五索六索七索八索六筒七筒八筒  チー四万 左向き三万 上向き五万 上向き  ドラ七万

東谷もひっそりとテンパイ。

五万六万七万八万八万二索三索四索七索八索一筒二筒三筒  ドラ七万

この局は全員テンパイで流局。
生き残りへ、全員1局1局を必死に戦っていく。

同1本場は、またも先手を取った古川が、

六万六万七万七万二索二索三索三索四索四索  ポン東東東  ツモ七万  ドラ六万

1,000・2,000は1,100・2,100のツモアガリ。

東3局、親・東谷が早々にメンホン一通の2シャンテンになっていたが、全く手が伸びず、またしても古川がアガる。

西家 古川 11巡目

一万三万五万六万七万一索一索五索六索七索五筒六筒七筒  ツモ二万  ドラ一万

2,000・3,900のツモアガリ。
東谷は1つ1つの親番を大事に戦っていくしかないのだが、親権を維持するどころか、痛すぎる親かぶり。

東4局、南家古川の手牌。

南家 古川

五万六万四索五索六索六索八索三筒三筒六筒八筒八筒白中  ドラ七万

ここから打中とすると、親・前原が反応。

東家 前原

七万五索六索七索七索二筒二筒二筒白白発中中  ドラ七万

ここから中をポン、打七索
そしてその七索を古川がチーして打白

南家 古川

五万六万四索五索六索三筒三筒六筒八筒八筒  チー七索 左向き六索 上向き八索 上向き  打白  ドラ七万

当然、前原も白をポン、ドラの七万を勝負して発単騎の小三元テンパイ。

東家 前原

五索六索七索二筒二筒二筒発  ポン中中中  ポン白白白  打七万 上向き  ドラ七万

古川も七万に声を掛け、テンパイを入れる。

南家 古川

四索五索六索三筒三筒八筒八筒  チー七万 左向き五万 上向き六万 上向き  チー七索 左向き六索 上向き八索 上向き  打六索 上向き  ドラ七万

文章ではなかなか伝えづらいが、この4つの鳴きは連続して行われたものである。
ものの10秒くらいで同時にテンパイ。
こうなると取り残された安村、東谷は苦しい。

結局、前原が三筒を掴み、2,000の放銃。
古川、今日これまでとは打って変わって、好調である。

東場を終わって点数状況は以下のとおり。

古川50,400
安村23,500
東谷24,400
前原21,500

南1局、ラス目の前原は選択を迫られる。

北家 前原 6巡目

七万七万七万三索四索四索四索四索六筒六筒七筒八筒発発  ドラ北

前原、長考。六筒を切れば二索五索待ちのテンパイ。但しその場合、アガリ点は相当低くなってしまう。(もちろん、ヤミテンに構えてからの三暗刻変化も存在するが。)

ここで前原が選んだのは四索の暗カン。
1回テンパイを崩す形にはなるが、三暗刻やイーペーコー、役牌、最高形で四暗刻まで見える選択だ。筆者もおそらく同じ選択をしたと思う。

11巡目、狙ったように発引きテンパイ。

七万七万七万六筒六筒七筒八筒発発発  暗カン牌の背四索 上向き四索 上向き牌の背  ドラ北

四暗刻変化もある上、出アガリでも7,700(3ハン60符)あるので、当然のヤミテン。
役満はともかく、前原のアガリは堅い、とこの瞬間は思っていた。が、すぐさま対面の安村から「リーチ」の発声が。

南家 安村 16巡目

一万二万三万二索二索二索六索六索九筒九筒九筒北北  リーチ  ツモ北  ドラ北

安村、渾身の3,000・6,000。
前原、黄色信号。

南2局、親の安村、厳しい配牌だったが、役牌の中を鳴くと手がサクサク進み、6巡目には以下のテンパイ。

二万二万九万九万九万六索七索六筒六筒六筒  ポン中中中  ドラ八筒

同巡、前原が「前局のお返しですよ」とばかりに本手リーチ。

七万八万九万三索三索四索五索七索八索九索七筒八筒九筒  リーチ  ドラ八筒

だが、即座に安村が八索をツモり700オール。

同1本場、安村が面白い手順を見せる。

東家 安村 5巡目

四万五万七万八万八万二索三索七索六筒七筒七筒八筒八筒  ツモ六万  ドラ六索

効率上、一番ロスが少ないのは七索切り。
ドラが六索であることを考慮しても七索を切るかなぁと思っていたら、安村の選択はなんと四万切り。
ドラと、567・678を意識した手順である。
次巡九筒をツモってリーチ。一索を引いて1,300は1,400オール。

五万六万七万八万八万二索三索六筒七筒七筒八筒八筒九筒  リーチ  ツモ一索  ドラ六索

七索を切っても、ほぼアガリ形に違いは無いと思う。が、その過程には骨太さを感じた。
このアガリで古川を微差で交わしてトップ。約3万点差をひっくり返した。

南2局2本場は安村以外の3人の攻防。

南家 東谷

六万七万八万二索四索七索七索五筒五筒五筒  ポン五万 上向き五万 上向き五万 上向き  ドラ七索

西家 前原
一索三索四索四索四筒五筒六筒六筒七筒八筒西西西  リーチ  ドラ七索

北家 古川
一筒一筒二筒二筒四筒四筒四筒  ポン発発発  ポン四万 上向き四万 上向き四万 上向き

ここは古川が一筒をツモって1,300・2,600は1,500・2,800のアガリ。古川の再逆転。

南3局、古川があっという間に3フーロテンパイ。

西家 古川

二万二万二筒四筒  ポン七索 上向き七索 上向き七索 上向き  ポン四万 上向き四万 上向き四万 上向き  ポン八万 上向き八万 上向き八万 上向き  ドラ一万

テンパイは早かったものの、終盤までもつれ、前原、東谷が追いつく。
前局と似たような形になった。

南家 前原

一筒二筒三筒七筒八筒九筒南発発発  チー三万 左向き一万 上向き二万 上向き  ドラ一万

東家 東谷
一万二万三万五索五索五索六索六索六索二筒三筒四筒五筒  リーチ  ドラ一万

だが、この局も勝者は古川。前原が三筒を掴み、古川1,000のアガリ。

南4局、親・前原

三万四万五万七万八万三索四索四索五索六索五筒六筒七筒  ツモ九万  ドラ七万

入り目としてはあまりうれしくない九万引きテンパイ。
あまり感触はよくなかったとは思うが、前原は三索切りリーチと出る。

数巡後、安村のリーチ宣言牌の七索を捕らえ、5,800のアガリ。
800点差ではあるが、微差でラス抜け。

東家 前原

三万四万五万七万八万九万四索四索五索六索五筒六筒七筒  リーチ  ロン七索  ドラ七万

同1本場、16,800持ちの北家・東谷が中盤にリーチ。

五万六万七万二索二索三索三索四索四索四筒五筒六筒中  リーチ  ドラ中

現在ラス目ではあるが、1つ上の着順の前原とは800点差、さらに、リーチしてもあまり大きな点数上昇が見込めないため(出アガリが5,200→8,000になるだけで、他はほとんど変わらない。)流石にダマテンを選択がセオリーだと思う。
後が無いため、少しでも素点を稼ぎに行ったことは理解できるが、点数を稼ぐ場所はここではない。
この2,800点の為に隙を作り、親にさらに加点される方が痛手と感じる。

結果は親・前原の手が伸びず、東谷の1人テンパイで流局。
東谷は3着へ復帰、そして、前原は再度ラス落ち。

4回戦成績

1卓 清原+22.4P・矢島+9.3P・近藤▲12.5P・森下▲20.2P

2卓 荒+26.5P・五十嵐▲1.9P 浜上▲8.4P・福島▲16.2P

3卓 海老沢+40.6P・灘▲6.6P・石井▲12.1P・手塚▲21.9P

4卓 古川+28.3P・安村+7.2P・東谷▲15.2P・前原▲21.3P

100

4回を終え、隊列も大分縦に伸びてきた、が、まだまだ決勝進出ラインの4位付近は混戦である。
また、何度も繰り返すが、この回が終わり下位4名に入ってしまうと、途中敗退が決定してしまう。
ギリギリ生き残っても決勝進出は厳しい、と思うかもしれないが、麻雀は何が起こるかわからない。
プロ連盟は今期から純粋な複合形であれば、ダブル役満・トリプル役満有りのルールに変更した。
今、苦境に立たされている選手たちも、諦めず、上を目指していただきたい。

 

5回戦卓組(数字はトータルポイント)

1卓 森下▲21.9P・荒+47.6P・灘▲4.0P・前原▲23.0P

2卓 石井+19.1P・五十嵐+56.2P・矢島+43.0P・安村▲28.1P

3卓 浜上▲71.3P・手塚▲10.8P・近藤+29.9P・東谷▲65.6P

4卓 古川▲13.5P・福島▲15.5P・清原+24.1P・海老沢+25.8P

1卓の連盟レジェンド3名VS森下王位の戦いも気になるが、上位争いをしている五十嵐、矢島、石井と、下位ボーダー付近の安村の卓を観戦。
五十嵐、矢島がここで大きくポイントを伸ばすと決勝進出へ大きく前進することとなる。
また、逆に安村がここで上位組を食うことがあれば、奇跡の大逆転があるかもしれない。

5回戦2卓(起家から、石井・安村・五十嵐・矢島)

東1局、今日何度も見た矢島の先制仕掛け。

北家 矢島

五万六万南北  チー三万 左向き一万 上向き二万 上向き  ポン中中中  チー三万 左向き四万 上向き五万 上向き  ドラ東

そこに安村が四索を暗カンして応戦。

南家 安村

六筒七筒七筒八筒八筒八筒北北白白  暗カン牌の背四索 上向き四索 上向き牌の背  ドラ東

矢島にマンズを勝負している五十嵐も役なしだがテンパイ。

西家 五十嵐

四万四万四万一索二索三索五索六索七索一筒一筒一筒二筒  ドラ東

だが、ここはしっかりとヤミテンを入れていた石井の勝ち。開局を制する。

東家 石井

一万二万三万六万七万四索五索六索二筒二筒五筒六筒七筒  ツモ八万  ドラ東

700オールと打点は低いが、価値の有るアガリ。

同1本場、石井がしっかりと手役を追う手順を見せる。

東家 石井 6巡目

二万三万三万四万四万五万二索三索三索四索一筒一筒二筒五筒  ドラ四筒

一筒が2枚切れであるが、石井は打五筒。234の三色とイーペーコーを狙う手組みだ。
親番なので、手広く五筒を切る人も多いと思う。

次巡、狙い通り三筒をツモってリーチ。
一筒が無いのでドラの四筒のみの待ちだが、ツモれば6,000オールだ。

東家 石井 7巡目

二万三万三万四万四万五万二索三索四索一筒一筒二筒三筒  リーチ  ドラ四筒

決着は終盤。安村が腹を括って追っかけリーチ。

南家 安村

五万六万七万四索四索七索七索四筒五筒六筒六筒七筒八筒  リーチ  ドラ四筒

そこに以下のテンパイを入れていた五十嵐が七索を掴み、放銃。

西家 五十嵐

三筒四筒五筒南南発発  チー二筒 左向き三筒 上向き四筒 上向き  チー六筒 左向き七筒 上向き八筒 上向き  ドラ四筒

安村の5,200は5,500のアガリ。トータルトップ目からの直撃に成功。

東2局、前局放銃の五十嵐がピンフのみを石井からアガリ、安村の親をカット。

東3局、ここでも矢島が先手を取り、1フーロの一通のみで捌く。

東4局、北家・五十嵐が以下のアガリ。

二万三万三万四万四万五万五索六索七索三筒四筒発発  リーチ  ツモ二筒  ドラ三筒

1,000・2,000のアガリ。原点近くまで復帰。

東1局とはうって変わって、淡々と局は進む。

南入した時点で点数は以下のとおり。

石井 28,800
安村 34,500
五十嵐28,300
矢島 28,400

現状、安村の1人浮きではあるが、大きく沈んでいる安村はさらに大きな加点が必要。
石井もこの半荘で、最低+10ポイントほどは上積みしたい。

南1局、北家矢島が先制リーチ。

三万四万五万六万六万七万八万八万五筒六筒七筒七筒八筒九筒  打八万 左向き  ドラ六筒

宣言牌の八万を石井がやや迷いつつもチーテンにとる。

東家 石井

三万四万五万七索八索九索三筒三筒八筒九筒  チー七万 左向き七万 上向き九万 上向き  ドラ六筒

石井が三万を即食い取り、ツモ切りで放銃。
矢島の2,600のアガリ。

南2局、矢島の先制リーチ。

西家 矢島

五万五万五万七万七万七万五索五索二筒三筒四筒四筒五筒  リーチ  ドラ一万

Aルールでは子方のタンヤオのみはかわし手として使われることが多いと思うが、矢島はリーチを選択。積極策だ。
今日は幾度と無く積極策で道を切り開いてきた矢島、しかし、今回はこれが裏目となる。
リーチによって、ヤミテンならすぐに打ち出されそうだった五十嵐の六筒が止まり、局が長引く。
そして、親の安村が終盤に追いついた。

一万一万五索六索六索七索七索一筒二筒三筒  ポン発発発  ドラ一万

結果は安村・矢島の2人テンパイ。
矢島が親落とし優先のヤミテンをしたなら存在しなかった親連荘、果たしてどうなるのか?

南2局1本場

東家 安村 10巡目

三万三万三万七万八万九万一索二索五索六索七索  暗カン牌の背一筒 上向き一筒 上向き牌の背  ドラ一索

二索を切って一索のドラ単騎に受けるか、また、三万を切ってペン三索に受けるか。
一索は1枚切れである。安村は一索単騎でリーチ。
ペン三索を選択するかと思って見ていたので、意外な選択であった。

他家の足止めを主として選択したのかもしれないが、この手をただの足止めリーチにするのはもったいなさ過ぎる。見た目の枚数も、一索・2枚、三索・4枚と差があり、どちらを選んでも、ツモったときの点数はほとんど違いが無い。
(一索単騎ツモ=4000オール・ペン三索ツモ=3,900オール)

卓内ラス目のリーチには、上位陣は中々勝負してこないと思うが、出アガリをベースで考えたとしても、2枚切れのドラと、(ドラそばではあるが)三索では、アガリ率も大分変わってくると思う。
出アガリに関しては一索単騎が12,000、ペン三索が6,800と、点数においては差があるが、この状況、アガリ辛い12,000よりも、幾分アガリが期待できる6,800を選択するほうが良いと思う。

結果、一索は引けず、しかもハイテイで三索をツモってしまう、が、これは結果論ではなく、選択できるものであったと思う。

矢島・石井も粘ってテンパイ。3人テンパイで流局。

南2局2本場、石井が高目三色のリーチを打つ。

北家 石井 11巡目

四万五万六万四索五索六索五筒五筒六筒六筒七筒白白  リーチ  ドラ二万

七筒でもイーペーコーにはなるが、ドラが無いので、是が非でも四筒でアガりたいところ。

終盤に安村が仕掛けて以下のテンパイ

東家 安村

二万一索二索三索四索五索六索二筒三筒四筒  ポン中中中  ドラ二万

ドラ単騎テンパイで、良くて流局かな、と思っていたら、石井が即二万を掴み、安村の5,800は6,400のアガリ。これは大きい。

点数状況は以下のように変わっている。
石井 18,300
安村 45,100
五十嵐23,800
矢島 32,500

石井は現状のトータルポイントがマイナスに突入、安村は大きいトップではあるが、まだ5ポイントほどマイナスなので、さらに大きく加点したい。

南2局3本場、安村の親が続く。

北家、石井が先手を取り、以下の手牌になる。

二万三万四万七万八万五索六索七索西白  ポン中中中  ツモ白  ドラ西

石井はここからテンパイとらずの打七万。ドラを使ってのの8,000を目指した選択だ。
点数状況的に致し方ないと思うが、安村の親が長引いているので、打西としてテンパイを取る選択が自然かと思った。
また、テンパイを外すならばソーズの1メンツを落としてアガれば浮きにまわれる12,000を狙うのも面白い。
あくまでも、自分の都合のいいように考えるなら、だが。

結果だけ言えば、次々巡安村に六万を切られ、アガリ逃し(1,000のアガリ逃しなので、痛いと考えるかは打ち手次第だが)
そして、あべこべに安村のロン牌を石井が掴む。

東家 安村

一万一万五万六万三索四索五索七索八索九索五筒六筒七筒  ロン四万  ドラ西

1,500は2,400と打点は安いが、親連荘。

南2局4本場、55分時間打ち切りの規定により、この局が最終局になる。
もっと親を利用して加点したい安村からしてみれば、痛い強制終了だが、ルールなのでこれは致し方ない。

各家、積極的に攻め合ったが、ここ数局我慢をしていた五十嵐が安村から1,300をアガって終了。

六万七万七万八万八万四索五索六索七索八索九索白白  リーチ  ロン九万  ドラ三索

5回成績

1卓 灘+15.7P・荒+4.2P・前原▲6.6P・森下▲13.3P

2卓 安村+24.3P・矢島+5.5P・五十嵐▲7.7P・石井▲22.1P

3卓 手塚+15.0P・浜上+5.6P・東谷▲6.9P・近藤▲13.7P

4卓 清原+17.0P・福島+4.6P・海老沢▲7.2P・古川▲14.4P

100

残念ながら、ここで下位4名は敗退となってしまった。
前原、スタートダッシュを決めたはずの現王位・森下、まさかの即敗退。

13位 前原雄大「負けるべくして負けました。」
14位 森下剛任「1回戦はトップだったんですが、乗り切れなかったです。残念です。」
15位 浜上文吾「スタートから3ラスで、入りが悪かった。2回戦目に連荘して、さあこれからと思ったところで(矢島プロの)役満を親かぶりしてしまった。また来年頑張ります。」
16位 東谷達矢「完敗でした。勉強しなおして、また来年頑張ります。」

そして、残った12人で最終6回戦を行う。
6回戦目は各卓順番にニコ生で配信される。
卓の組み合わせは現在のポイント順により決定される。

A卓 3位×6位×9位×12位
B卓 2位×5位×8位×11位
C卓 1位×4位×7位×10位

この表に当てはめると、各卓の組み合わせは

A卓 矢島×近藤×石井×古川
B卓 五十嵐×海老沢×手塚×福島
C卓 荒×清原×灘×安村

以上のようになる。
先に打つ卓の方が、他の卓に点数状況を知った上で打たれてしまうので、若干不利にはなる。

それでは、最終戦A卓、開始である。

6回戦A卓
3位・矢島+48.5 × 6位・近藤+16.2 × 9位・石井▲3.0 × 12位・古川▲27.9
(起家から古川・石井・近藤・矢島)

現在のボーダーは+40ちょい。だが、50ポイント弱持っている3位の矢島も油断できない。
ここで少しでもマイナスしてしまうと、後発のB卓、C卓の選手にターゲットにされてしまうからだ。

また、6位の近藤もここで大きなトップを取らないと、ほぼ敗退が確定してしまう。
トータルポイントで矢島を交わした上で、最低でも25ポイントくらいは加点したいところ。

東1局、苦しい配牌だった近藤

北家 近藤 配牌

一万二万四万四万一索三索八索二筒二筒七筒七筒西白  ツモ六索  ドラ白

なんと、8巡目にノーミスで七対子をツモアガリ。

二万四万四万三索三索二筒二筒三筒三筒七筒七筒白白  ツモ二万  ドラ白

ドラ2で2,000・4,000。
手順も河も秀逸で、同卓していたとしても七対子とは分からない、素晴らしいアガリだった。
観戦はしていなかったが、近藤はどうやら4回戦、5回戦下り坂でこの6回戦を迎えていたと聞いた。果たしてこの一発で流れを断ち切れるか?

東2局、西家・矢島が放送卓になっても先手を奪う。

東東東発中中中  チー六索 左向き七索 上向き八索 上向き  ポン二索 上向き二索 上向き二索 上向き  ツモ発  ドラ五索

打点も伴い、2,000・4,000。
卓内ポイントリーダーの矢島が点棒を持ってしまい、同卓者はやや厳しくなったか。

東3局は近藤が白のみの500オールをツモ、連荘に成功。

同1本場、東家・近藤が12巡目に先制リーチ。

二万三万四万五索六索七索八索八索八索三筒三筒北北  リーチ  ドラ四筒

ドラ無しでドラ表と1枚切れの北のシャンポン待ち。良くない待ちではあるが、(他家の手牌進行的に)時間的猶予がないと判断したのだろう。
もしかしたら、卓内でしか知り得ない情報もあるのかもしれない。

だが、この局を制したのは矢島。

南家 矢島

一万二万三万四筒四筒七筒八筒中中中  チー八万 左向き六万 上向き七万 上向き  ツモ九筒  ドラ四筒

矢島にしては珍しく、道中で手順ミスがあったが、うまくリカバリーが利いて1,000・2,000。
この卓ではやや抜け出したか。

東4局、近藤がよどみのない手順で先制リーチ。

北家 近藤

一万一万二万三万四万四索五索六索四筒五筒五筒六筒七筒  リーチ  ドラ四万

そこに全員が参戦。勝負してこないと思われた矢島も2人のロン牌を止めてテンパイを組む。

東家 矢島

六万六万六万三索三索五索六索七索三筒三筒  チー六索 左向き七索 上向き八索 上向き  ドラ四万

南家 古川

四万四万三索八索八索三筒四筒五筒六筒七筒  ポン中中中  ドラ四万

西家 石井

一索二索七索八索九索南南西西西  チー四索 左向き五索 上向き六索 上向き  ドラ四万

激しい争いだったが、近藤が三筒をツモって1,300・2,600。

南1局は石井の渾身のフリテンリーチが成就。

一万一万一万二万三万四万五万三索四索五索三筒四筒五筒  ツモ三万  ドラ南

リーチ前にすでに六万を切ってあったが、しっかり高目をツモって2,000・4,000。

現状の点数は以下の通り

石井29,100
近藤37,600
矢島36,200
古川17,100

この点数をトータルポイントに加えると、

石井▲ 7.9P
近藤+31.8P
矢島+58.7P
古川▲48.8P

古川は親がもうないので苦しいか。石井も親にかけるしかない。近藤はおそらく素点であと10,000は加点したいところ。矢島は沈まなければほぼオーケー。

南2局は石井が6巡目にピンフツモ。700オールで連荘。

同1本場、親の石井が9巡目に先制リーチ。

六万七万八万二索三索四索五索六索七索八索八索三筒四筒  リーチ  ドラ五索

次々巡、北家・古川も追っかけリーチ。

一万二万三万六万七万四索五索六索五筒六筒七筒西西  リーチ  ドラ五索

同巡、近藤、メンチンの1シャンテンになり、五万を勝負、古川に捕まる。

五万八索一筒二筒二筒三筒四筒六筒六筒六筒七筒九筒九筒  ツモ三筒  打五万 上向き

古川へ3,900の放銃。石井も親番がなくなり厳しくなった。

南3局、5巡目に矢島が迷いなくリーチ。

八万八万六索七索八索四筒五筒六筒東東西西西  リーチ  ドラ東

これがアガれれば決勝はほぼ確定と見る。
石井・古川はトータルポイント的に向かってこないだろう。
近藤との1対1だ。

決着は14巡目。

東家 近藤

四万五万五万四索四索四索五索五索四筒四筒五筒五筒六筒  ツモ東  ドラ東

近藤の、長い逡巡の後、東が河に置かれ、勝負が付いた。

南4局は、通過へ一縷の望みをかけ、近藤が跳満リーチをかけるも、不発。
矢島のトップで終了。矢島はトータルを+70ポイントとし、ほぼ決勝進出を決めた。

A卓最終結果
※()内はトータルポイント
矢島+21.5P(+70.0P)
古川+7.6P(▲20.3P)
石井+1.2P(▲1.8P)
近藤▲30.3P(▲14.1P)

6回戦B卓
2位・五十嵐+48.5P × 5位・海老沢+18.6P × 8位・手塚+4.2P × 11位・福島▲10.9P
(起家から五十嵐・海老沢・手塚・福島)

A卓が終了したが、矢島がポイントを大きく伸ばしただけで、ボーダーに特に影響はなし。
五十嵐は浮けばほぼオーケー。海老沢は30ポイントは加点したい。
手塚・福島は五十嵐を沈めた上で大きなトップを取るしかない。

東1局1本場、10巡目、前巡に一通のみをテンパイしていた手塚がツモ切りリーチ。

西家 手塚

一万二万三万四万五万六万七万八万九万二索二索六筒八筒  リーチ  ドラ七索

ダブ東を鳴いていた五十嵐、1シャンテンだったが、当たり牌の七筒を即持ってきて小考。

四万六万八万三索四索五索七索九索八筒八筒  ポン東東東  ツモ七筒  ドラ七索

だが、この七筒は止まらず、五十嵐が手塚に5,200は5,500の放銃。

東2局、親番を有効に使いたい海老沢は以下の手でリーチ。

東家 海老沢 9巡目

二万二万二索三索三索八索八索二筒二筒九筒九筒西西  ドラ九万

ドラはないが、ツモれば3,200オールと、満貫に匹敵する破壊力がある。

だが、変化待ちの仮テンを早々に入れていた手塚が高目をツモ。

南家 手塚 10巡目

九万九万六索七索八索三筒三筒四筒五筒六筒六筒七筒八筒  ツモ九万  ドラ九万

2,000・3,900のツモアガリ。
去年、決勝で途中敗退の5位と、非常に悔しい思いをした手塚。
この王位戦にかける気持ちも人一倍であろう。

東3局、親は手塚。西家・五十嵐が奇襲に出る。

五十嵐が以下の手牌でヤミテンしているところから、

四万四万四万七万八万九万四索四索五索六索七索三筒四筒  ドラ八筒

六万をリャンメンチー、そして打九万。タンヤオへ変化させる。
Aルールでは、ダイレクトのスジの食いかえが認められている。
ただし、普段連盟員同士の対局で、食いかえを見る事はあまりない。
使えるものを使うのはもちろん良いことなのだが、連盟員から見てみれば、セオリーとは言いがたい。リーチ棒を出したくなかったか、よっぽど親の手塚を警戒していたということだろうか。
この奇襲が成功、五筒をツモり、300・500。手塚の親を安全に落とす。

東4局、北家・手塚が積極策で北をポン。そして親の福島にテンパイが入る。

四万四万五万六万七万二索四索五索六索七索六筒七筒八筒  ドラ二索

福島はヤミテンを選択。三色変化を待ってのヤミテンだろう。

12巡目、海老沢も追いつく。

西家 海老沢

一万二万三万七万八万九万二索五索六索七索三筒三筒三筒  リーチ  ドラ二索

難しい手牌であったが、選択を失敗せず、ドラ単騎でリーチ。
この巡目でまだ2枚山に残っている。

そして(一発はないが)二索を一発ツモ。2,000・3,900のツモアガリ。
福島がリーチをしていると、もしかしたらこうはならなかったのかもしれない。
福島の懐の深さが裏目に出てしまった。

東場を終わって点数状況は以下のとおり

五十嵐23,100
海老沢33,200
手塚 41,400
福島 22,300

これを今の点数状況に加えると、

五十嵐+37.6P
海老沢+25.8P
手塚 +23.6P
福島 ▲26.6P

大接戦の様相だ。五十嵐はこれ以上失点できない。
逆に、海老沢、手塚は五十嵐を捕らえると決勝進出の目が見えてくる。

南1局は東家・五十嵐、西家・手塚の2人テンパイ。

同1本場は連荘に成功した五十嵐が

三索四索五索三筒四筒五筒東東発発  ポン白白白  ツモ発  ドラ四万

1,300は1,400オールで点棒を回復。

だが、同2本場では手塚の

七万七万一索二索三索六索七索八索一筒三筒七筒八筒九筒  リーチ  ドラ七筒

このリーチに五十嵐が二筒で放銃。2,600は3,200のアガリ。

南2局、親の海老沢が中のみでサクっと連荘。
福島から1,500のアガリ。海老沢は親権を絶対に落としたくない。

同1本場、この卓最初の山場はここ。

北家 五十嵐 6巡目

八万九万四索七索八索九索二筒三筒四筒五筒六筒南南  ツモ七筒  ドラ南

前巡、四万を切ってあり、ペン七万待ちに取ればスジ待ちとなる。
ただし、平常時とは違い親が全部勝負してきそうなので、ドラがトイツとはいい、愚形リーチにはリスクが伴う。
五十嵐の選択は四索切りリーチ。

数巡後、親・海老沢が中のポンテンで反撃。

一万一万七万八万九万一索二索四索五索六索  ポン中中中  ドラ南

打点は安いが、中は2枚目であり、仕方が無いテンパイ取りと思う。
そして海老沢のテンパイ打牌、三万を手塚がチーテン。

一索二索三索四筒五筒南南  チー三万 左向き四万 上向き五万 上向き  暗カン牌の背白白牌の背  ドラ南

白を暗カンしているので打点は7,700。もしこれを五十嵐からアガれば大きく順位変動。
そして五十嵐が即三筒を掴み、手塚が決勝へ大きく前進、五十嵐と入れ替わりの形に。

現状のトータルポイントは以下のとおり

五十嵐+28.1P
海老沢+24.4P
手塚 +34.9P
福島 ▲27.0P

南3局、手塚の親は福島が高目三色をリーチ。

南家 福島 8巡目

四万五万二索三索三索四索四索五索三筒四筒五筒北北  ドラ一筒

五十嵐が安目ながら六万で放銃。2,000のアガリ。

南4局、オーラス。福島最後の親番。
福島は今回ベスト16に残った唯一の一般参加だが、7年前の第33期王位戦の決勝卓に残った経験がある。(結果は4位)
筆者は同期の小川尚哉の応援をしに現場に行っていたが、福島の粘り強く、高い技術の麻雀には驚かされたことを未だに記憶している。
だが、今回の王位戦準決勝では、福島は牌勢に恵まれなかった。
結果は残念だが、また来年以降、きっとこの舞台に戻ってきてくれると思う。

さて、話を麻雀の方に戻そう。最後の山場はここ、オーラスにあった。

北家 手塚 9巡目

四索五索八索八索二筒三筒四筒  ポン南南南  チー七筒 左向き五筒 上向き六筒 上向き  ドラ六索

同巡、五十嵐もラス抜け条件を満たす手を作り、リーチ。

南家 五十嵐 9巡目

一万二万三万一索二索三索五索六索七索一筒三筒中中  リーチ  ドラ六索

五十嵐は海老沢からアガると、手塚が1人浮きにまわるため、トータルで手塚より下が確定してしまい、通過黄色信号になる。
他家からのアガリはもちろんオーケーだ。

だが、決着はあっさりやってきた。
手塚が二筒を掴み、8,000。五十嵐、トータル逆転。
手塚はトータルが暫定5位となり、決勝進出できるかはC卓の結果待ちになった。

B卓最終結果
※()内はトータルポイント
五十嵐▲10.4P(+38.1P)
海老沢+5.8P(+24.4P)
手塚 +22.7P(+26.9P)
福島 ▲18.1P(▲29.0P)

6回戦C卓
1位・荒+51.8P × 4位・清原+41.1P × 7位・灘+11.7P × 10位・安村▲3.8P
(起家から荒・清原・灘・安村)

泣いても笑っても、これが最後の半荘。
暫定5位の手塚を含め、全員の運命が、この半荘で決まる。

過去に王位を4連覇している灘、3度目の優勝を目指す荒、そしてさまざまな対局のベスト16常連となっている安村、プロ6年目ながら大舞台まで後一歩というところまで駒を進めてきた清原の戦い。

東1局、親の荒、タンピンツモの1,300オールのアガリ。

五万六万七万二索二索六索七索八索二筒三筒四筒六筒七筒  ツモ五筒  ドラ発

前巡、三色の消える五万をツモってテンパイ、そのためか荒はヤミテンを選択。
堅実に卓回しすることを考えてのヤミだろうか。

東1局1本場も荒のアガリ

五万六万七万一索二索三索七索八索九索五筒六筒北北  ロン四筒  ドラ西

安村から1,500は1,800。

同2本場、親・荒が以下の手牌で早々にテンパイを入れていたが

六万七万八万二筒三筒四筒八筒八筒発発中中中  ドラ西

ここは灘が安村から1,000は1,600をアガリ、カット。

一万二万二万三万三万四万四索五索六索四筒五筒九筒九筒  ロン六筒  ドラ西

東2局は東家・安村と西家・灘の2人テンパイ。

同1本場、荒がタンヤオのみのアガリ。1,300は1,600。

四索四索六索七索八索二筒二筒二筒五筒五筒五筒六筒七筒  ロン四索  ドラ六万

荒が淡々とゲームを作る。

東3局、親・清原

四万五万三索三索五索六索七索五筒六筒七筒  ポン発発発  ツモ三万  ドラ白

安いがなんとかひとアガリ。500オール。
こういう極限状況では、とりあえず1つアガリが出るとホッとすると思う。
点数的にも少しでも原点に近づくことが出来た。

東3局1本場は鳴き合戦。

清原が先手を取り、早々に1シャンテン。

二万三万四万六万六万三筒三筒四筒六筒七筒  ポン白白白  ドラ五索

それに呼応するように、灘もスピードをあわせてテンパイを入れる。

五索六索六索七索八索九索九索九索東東  チー二索 左向き三索 上向き四索 上向き  ロン四索  ドラ五索

ピンフの1シャンテンだった荒から3,900は4,200のアガリ。
ホンイツテンパイかどうか判断できる河でなかったので、荒、これは不運だったか。
灘が微差でトップ目に立った。

東4局、東家・灘、3巡目

四万五万五万六万二索三索六索七索八索三筒四筒五筒六筒  ツモ七万  ドラ八万

ストレートに受けるなら打三筒、打点を見るなら打二索or三索で2シャンテン戻し。
灘の選択は打三筒
次巡、四万ツモでリーチ、16巡目、一索ツモで1,300オール。

四万四万五万六万七万二索三索六索七索八索四筒五筒六筒  リーチ  ツモ一索  ドラ八万

同1本場は灘・安村・清原の3人テンパイ。荒の点棒がじわりじわりと削られていく。

東4局2本場、灘が急所の七索を引き入れ、一通確定のピンフテンパイ。

一索二索三索四索五索六索七索八索九索一筒一筒六筒七筒  ロン八筒  ドラ北

なんとこれをヤミテン。ピンズの場況は良いので、ほとんどの人間がリーチを打ちそうな手牌である。
荒が次巡八筒を掴み、5,800は6,400のアガリ。

後から確認したところ、どうやら、荒と清原から直撃した場合、直撃した相手をトータルポイントでまくる状態だったようだ。
この状況で冷静にヤミテンに出来る精神力もだが、瞬時に判断できる戦術眼も超一流だ。

東4局3本場
これ以上、灘さんにはやらせませんよ、と、荒がリーチ。

四万四万四万七万八万九万一索二索三索三筒四筒白白  ドラ七万

安村も瞬間テンパイをしていたが、対応してオリ。
荒の1人テンパイで流局。

東場を終わって、点数状況は以下のとおり
荒 23,400
安村24,000
清原27,400
灘 44,200

これを今の点数状況に加えると、

荒 +37.2P
安村▲12.8P
清原+37.5P
灘 +37.9P

A卓トップの矢島は通過確定として、B卓の五十嵐を含めた4人が1ポイント差以内に密集!
これはもうどうなるか予測がつかない・・・。

南1局4本場
西家・安村がポンポンとファン牌を2つポン。

一万二万四万五万六万南南  ポン中中中  ポン白白白  ドラ七筒

トータルポイントの少ない安村が安い鳴きをすることは考え辛く、結局全員に対応され、安村の1人テンパイ。

南2局5本場、荒が7巡目テンパイ。

西家 荒

二万三万三万四万五万七万七万六索六索六索五筒六筒七筒  リーチ  ドラ一万

高目安目無しのリーチ。とりあえずどこから出てもラス抜け確定。

同巡、灘が当たり牌の四万を使い切り、テンパイ。

北家 灘

一万一万四万四万四万七索八索九索二筒三筒四筒北北  リーチ  ドラ一万

この半荘、最初は荒のペースになると思ったのだが、それを崩したのは灘であった。
この局も当然のように四万を吸収し、灘が勝つのかと思ったが・・・。

だが、荒は一発で一万を手繰り寄せた。

値千金の1,000・2,000は1,500・2,500。

南3局、荒は抜け出し、清原と灘の競り合いになった。
何とか連荘したい清原だが、ここは灘が清原の親を流す。
清原は自分の時間を作らせてもらえない。

南家 灘

二万二万二万三万三万六索六索六索五筒六筒  ポン八筒 上向き八筒 上向き八筒 上向き  ロン七筒

荒から1,000のアガリ。

最終局を迎えて、トータルのポイントは以下のとおり

荒 +49.7P
安村▲17.3P
清原+33.0P
灘 +35.4P

清原は灘から1,300、荒からの2,000、安村からの2,600、または、500・1,000のツモアガリが条件となる。
灘は荒に原点復帰されて半荘を終了されると敗退。清原とノーテン罰符で変わってしまうため、次局手を伏せてもいいリードになるアガリ、またはテンパイを組みに行かないといけない状況。

清原が5巡目にドラの七索をポンし、プレッシャーを与える。

北家 清原

七万八万二索五索六索三筒四筒六筒八筒八筒  ポン七索 上向き七索 上向き七索 上向き  ドラ七索

ドラを切ったのは、荒。荒も自分で決めに行く構えだ。

灘も清原の切った二索を泣いて仕掛け返し、1シャンテン。

東家 灘

三万四万五万六万七万九索五筒五筒六筒七筒  ポン二索 上向き二索 上向き二索 上向き  ドラ七索

ただし、この手をアガリ切っても、あと1局か2局は勝負しなければいけないので、これは苦肉の策だろう。
清原のプレッシャー策が功を奏している。

だが、ファーストテンパイは荒。

南家 荒

四万四万四万五万六万七万一筒二筒三筒七筒九筒西西  ドラ七索

役無しだが、清原に打つと敗退なので、さすがにヤミテンを選択。
もし荒がヤミテンで八筒をツモった場合、荒が原点に復帰するため、灘と清原のポイント差が3縮まり、清原の逆転通過となる。

だが、荒が八筒をツモることはなく、

北家 清原

六万七万八万五索六索四筒四筒八筒八筒八筒  ポン八索 上向き八索 上向き八索 上向き  ロン七索  ドラ八索

清原が灘から7,700を自力でアガリ、初決勝を自分の手で決めた。

C卓最終結果
※()内はトータルポイント
荒 ▲ 5.1P(+46.7P)
安村▲13.5P(▲17.3P)
清原+ 6.6P(+47.7P)
灘 +12.0P(+23.7P)

この結果により、第40期王位戦決勝戦は、

矢島亨 (日本プロ麻雀協会)
清原継光(日本プロ麻雀連盟)
荒正義 (日本プロ麻雀連盟)
五十嵐毅(日本プロ麻雀協会)

この4名で行われることとなった。

では、惜しくも敗れた選手からひとことや感想をいただいた。

12位 福島直次郎「皆さん強かったです。楽しませていただきました。」
11位 古川孝次 「もっと踏み込めなかったのが残念。また来年挑戦します。」
10位 安村浩司 「情けないです・・・。」
9位 近藤久春 「出だしは良かったんだけど、4回戦にアガリ逃しをしてしまってから崩れてしまった。5回戦でトップ目からラスまで落ちてしまって、それが痛かった。最終戦も東掴んじゃって終わっちゃったね。今日はミスが多かった。」
8位 石井一馬 「1・2回戦大きいプラスだったけど、3・4回戦目で負けてしまって・・・。経験の少なさが出てしまったのかなぁ、と思います。また勉強しなおします。」
7位 灘麻太郎 「一言?なにもないよ。弱いから負けたんだ。」
6位 海老沢稔 「手は入っていたと思うのですが、肝心なところでアガれなかったり・・・でも、麻雀ってそういうものですよね。悔しい思いをさせていただいたので、来年以降の糧にしたいと思います。ありがとうございました。」
5位 手塚紗掬 「残りたかったです・・・。」

そして、最後に勝ち残った選手たちからの意気込みをお伝えしてお別れしよう。

1位通過 矢島亨「あまり打ちなれていないルールなんですが、今年は(似たルールの)オータムチャレンジカップも決勝に残れました。そっちは負けてしまったので、今回は勝ちたいです。頑張ります。」

2位通過 清原継光「内容は酷かったけど、最後は麻雀の神様が微笑んでくれた。明日はまっすぐ行きます!」

3位通過 荒正義「明日は3回目の優勝を目指します。この王位は僕にとってはツキタイトル。頭勝負でがんばります!」

4位通過 五十嵐毅「最初3連勝したけど、その後はグダグダだった。(最終戦、オーラスの二筒アガれてよかった。生きた心地がしなかったよ・・・。」

決勝は明日、日本プロ麻雀連盟チャンネルにて、終日、放送される。
荒3回目の戴冠なるか?
はたまた五十嵐久しぶりのタイトル奪取か?
それとも、矢島・清原の初タイトルか?
筆者もいち視聴者として非常に楽しみである。

長文失礼致しました。

王位戦 レポート/第40期王位戦準決勝レポート  太田 優介

11月29日、第40期王位戦準決勝が東京、夏目坂スタジオで行われた。
先週までの予選を勝ちあがった15人に、去年王位を戴冠した森下剛任を加え16人で争われる。
まずは簡単にシステムを説明しておこう。
ルールは一発裏ドラなしの日本プロ麻雀連盟Aルール。
今日は半荘6回戦を行い、上位4名が明日の決勝へ駒を進めることになる。
ただし、半荘5回戦を終えた時点で、下位4名は最終戦を打てず敗退となってしまう。
最終6回戦はニコニコ生放送での対局となる。
また、例年決勝戦は5人で行われていたが、今年から4人で決勝戦を行う。
今年の準決勝を戦うのは以下の16名(予選通過順・敬称略)
森下剛任(現王位・連盟)
荒正義(連盟)
灘麻太郎(連盟)
前原雄大(連盟)
安村浩司(連盟)
石井一馬(最高位戦)
五十嵐毅(協会)
矢島亨(協会)
浜上文吾(連盟)
近藤久春(連盟)
東谷達矢(連盟)
手塚紗掬(連盟)
海老沢稔(最高位戦)
古川孝次(連盟)
清原継光(連盟)
福島直次郎(一般)

100

灘麻太郎

100

荒正義

100

古川孝次

100

前原雄大

100

近藤久春

100

浜上文吾

100

森下剛任

100

安村浩司

100

清原継光

100

東谷達矢

100

手塚紗掬

100

五十嵐毅(協会)

100

矢島亨(協会)

100

石井一馬(最高位戦)

100

海老沢稔(最高位戦)

100

福島直次郎さん(一般)

4卓同時に行われるという性質上、どういう風にレポートを書くべきかと考えたが、各回の注目卓にスポットを当て、1卓ずつ紹介していくというやり方に決めた。
選手によっては観戦回数の偏りがあるが、どうかご容赦いただきたい。
また、しがないCリーガーである筆者が、超上から目線で色々書いてるのもホント許してくださいお願いします。
1回戦卓組
1卓 森下・安村・浜上・海老沢
2卓 荒・石井・近藤・古川
3卓 灘・五十嵐・東谷・清原
4卓 前原・矢島・手塚・福島
1回戦は現王位、森下の卓を観戦。
1回戦1卓(起家から、浜上・森下・安村・海老沢)
その森下の開局第一打に注目。
東1局 南家 森下
一万二万四万七万七万二索三筒六筒六筒七筒七筒八筒東  ツモ三万  ドラ白
ここから森下は打東を選択。
東を親の浜上に鳴かれるも、八筒五万と引き入れ、自然な手順でリーチ。
ピンズのホンイツに向かっていた浜上が程なくして三万を掴み、森下の3,900のアガリ。
打点はそれほど高くはないが、幸先の良いスタート。
一万二万三万四万五万七万七万六筒六筒七筒七筒八筒八筒  リーチ  ロン三万  ドラ白
三万は、親・浜上の現物だったが、森下は迷いなくリーチを敢行。
これを見て筆者は「腕が振れているな」、と感じた。
予選を戦い抜いて来たものには勢いがある、とはよく言うが、森下は勢いにも負けず、いいテンションで対局にのぞめている、と思った。
東2局、西家 海老沢が先制リーチ
一万一万一索二索三索五索六索七索四筒五筒六筒東東  リーチ  ドラ三筒
一万は1枚切れ、東は生牌。
そこにまたしても森下が参戦、役牌を2つ仕掛けて追いつく。
東家 森下
六万七万七万八万八万東東  ポン白白白  ポン発発発  ドラ三筒
だが、その争いに待ったをかけたのは南家、安村。
四万四万五万五万六万北北  チー三万 左向き二万 上向き四万 上向き  ポン中中中  ツモ三万  ドラ三筒
他家の2軒テンパイをかいくぐって、値千金の1,000・2,000
東3局は、これまで失点続きだった浜上が積極策に出る。
西家 浜上 8巡目
二万二万二索四索二筒三筒四筒五筒六筒七筒  暗カン牌の背八筒 上向き八筒 上向き牌の背  リーチ  ドラ三万
恐らくは1,300・2,600を引きに行ったリーチとは思うのだが、河状況からソーズは別段良いとは思えず、危ういリーチだなぁ、と筆者は感じた。
焦りから掛けてしまったリーチで無ければ良いのだが・・・。
このリーチを受け、親・安村は勝負手ではあったのだが、テンパイを入れられず撤退。
ひっそりとタンピンのテンパイを入れていた海老沢と浜上の2人テンパイで流局。
東4局は浜上が終盤に捌き手を入れ、海老沢の親をカット。
南家 浜上
六万六万二索三索四索七索七索七索五筒六筒  チー二万 左向き三万 上向き四万 上向き  ロン七筒
森下から2,000は2,300(+供託1,000点)のアガリ。
東場を終えて点数状況は以下のとおり。
浜上 28,900
森下 28,100
安村 33,500
海老沢29,500
現状、小さいリードではあるが、安村の1人浮き。
浜上は開局からの連続失点をほぼ取り戻した。
南1局、北家・海老沢がアグレッシブに仕掛ける。
六万七万九筒九筒  ポン南南南  ポン一索 上向き一索 上向き一索 上向き  ポン九索 上向き九索 上向き九索 上向き  ドラ九筒
ここに親の浜上が八万で飛び込み、海老沢5,200のアガリ。
微差ではあるが、海老沢がトップに躍り出た。
南2局、親・森下の一撃が炸裂。
二索三索四索五索六索七索八索九索六筒七筒八筒南南  リーチ  ロン一索  ドラ四索
ここに一索を放銃してしまったのは、タンピンの1シャンテンだった安村。
4巡目と早いリーチであり、不運だったか。
南2局1本場は、西家・海老沢がピンフのみをしっかりヤミテンにして、森下の親を落とす。
四万五万六万六万七万八万五索六索五筒六筒七筒北北  ツモ四索  ドラ九索
400・700は500・800のアガリ。
南3局も海老沢のかわし手が成就。
三万三万一索一索五索五索三筒三筒西北北白白  ロン西  ドラ中
森下から1,600のアガリ。
海老沢が連続のアガリ、さらに1,600をトップ目の森下から直撃したことで、トップでオーラスを迎える。
だが、この半荘の主役はやはり森下であった。
南4局 森下 5巡目リーチ
一万二万三万六万七万八万八万八万二筒四筒七筒八筒九筒  リーチ  ロン三筒  ドラ八万
リーチドラ3の8,000。浜上から三筒が出て、森下の再逆転で終了。
1回戦成績
1卓 森下+23.7P 海老沢+12.1P 安村▲13.0P 浜上▲22.8P
2卓 近藤+17.4P 荒+6.2P 石井+3.7P 古川▲27.3P
3卓 五十嵐+18.3P 清原+4.5P 東谷▲8.4P 灘▲15.4P
4卓 福島+13.8P 手塚+13.7P 前原▲7.8P 矢島▲24.7P
※福島選手は遅刻ペナルティにより、5P分のマイナスを加算しております。

100

 
2回戦卓組(数字はトータルポイント)
1卓 森下+23.7P・石井+3.7P・東谷▲8.4P・福島+13.8P
2卓 荒+6.2P・安村▲13.0P・清原+4.5P・手塚+13.7P
3卓 灘▲15.4P・古川▲27.3P・矢島▲24.7P・浜上▲22.8P
4卓 前原▲7.8P・海老沢+12.1P五十嵐+18.3P・近藤+17.4P
2回戦は3卓のカミソリ灘VSサーフィン打法・古川VS協会Aリーガー矢島VS十段戦ファイナリスト浜上の対決をチョイス。
後から気が付いたのだが、なんとこの4人、全員1回戦ラスなのである。
卓組みは事前に決まっているので、もちろん、意図してこの4人の対局が組まれたわけではない。
もしも、この卓で大きなラスを引いてしまうと、決勝進出へ早くも黄色信号が点ってしまう。
生き残りをかけて、早くもサバイバルマッチが始まる。
2回戦3卓(起家から、浜上・灘・古川・矢島)
起家の浜上、早々に以下の形でテンパイ。
一索三索六索七索八索五筒五筒五筒六筒六筒七筒八筒九筒  ドラ六索
だが、足止めリーチはせず、ヤミテンを選択、数巡後、四索を引いてリャンメンに変化したところでリーチ。
三索四索六索七索八索五筒五筒五筒六筒六筒七筒八筒九筒  リーチ  ロン二索  ドラ六索
(一発はないが)即、古川から二索が出て3,900のアガリ。
雑な攻めを見せず、1つ1つの親番をしっかり使っていこうという浜上の姿勢が感じ取れた。
東1局1本場は、古川・灘の仕掛け合い、そして矢島のリーチも飛んできたが、ここも浜上が制す。
五万六万七万二索四索六索七索八索八筒八筒  チー二筒 左向き三筒 上向き四筒 上向き  ツモ三索  ドラ東
500は600オールのアガリ。
東1局2本場は、浜上・灘・古川の3人テンパイ。
決定打は出ていないものの、浜上が親権を死守、本人も「さぁ、これから!」と思っていたに違いない。
だが、悲劇は突然やってくる。
東1局3本場 北家 矢島
六万六万六万七万七万一索一索二筒二筒二筒三筒三筒三筒  リーチ  ツモ七万  ドラ八索
矢島がリーチをした時点で、山に生きていたのは七万の1枚のみ。
だが、その1枚を矢島は見事に手繰り寄せた。
矢島の8,000・16,000は8,300・16,300が炸裂!
東2局は親の灘が1,300オール。
六万七万一索二索三索四索五索六索一筒二筒三筒北北  リーチ  ツモ五万  ドラ九筒
東2局1本場は、矢島が淀みのない手順でアガリをものにする。
一万二万三万五万六万七万八万九万五索五索四筒五筒六筒  リーチ  ロン七万  ドラ九筒
安目だが、勝負してきた古川から2,000は2,300の出アガリ。
東3局は古川・灘の2人テンパイ。
同1本場は灘が
七万八万九万六索七索八索三筒四筒八筒八筒  暗カン牌の背一万 上向き一万 上向き牌の背  リーチ  ツモ五筒  ドラ白
1,000・2,000は1,100・2,100のアガリで早くも原点復帰。
東4局は見ごたえのあるリーチ合戦。
東家 矢島
一索一索一索三索四索五索一筒一筒二筒三筒四筒中中  リーチ  ドラ三万
これに浜上が真っ向勝負
南家 浜上
一万二万三万三索四索五索五索六索六筒七筒八筒中中  リーチ  ツモ七索  ドラ三万
打点以上の大きなアガリで1,000・2,000。
南1局は古川が4巡目リーチ。
六万七万八万二索三索四索五索六索七索九筒九筒北北  リーチ  ロン北  ドラ九索
中盤に灘から1,300のアガリ。
南1局まで終えて、点数は以下のとおり。
浜上22,500
灘 29,500
古川14,300
矢島53,700
このまま終えれば、矢島は約+35P。1回戦の負債を完済してもお釣りが来る。
逆に古川は、このまま終わってしまうとトータルのマイナスが50を越えてしまい、土俵際に立たされる事になる。
南2局、親の灘が積極的に仕掛ける。
東家 灘
一筒一筒一筒三筒五筒白白  チー三筒 左向き一筒 上向き二筒 上向き  ポン中中中  ドラ七筒
そこに待ったを掛けたのがラス目、古川。
西家 古川
六万七万八万二索二索三索四索四索五索五索六索六筒八筒  リーチ  ツモ七筒  ドラ七筒
終盤に2,000・3,900のツモアガリ。
親・灘が古川の待ちと同色の鳴きをしていたが、ここは古川に軍配が上がる。
南3局、親・古川が
三万三万六万七万五索六索七索七筒八筒九筒  ポン中中中  ロン八万  ドラ西
打点は1,500と安いが、浜上から出アガリ、とりあえずラスからは脱出。
だが、同1本場、またしても古川と浜上の争い。
東家 古川
二索三索四索八索八索三筒四筒五筒八筒八筒  ポン三万 上向き三万 上向き三万 上向き  ドラ七筒
西家 浜上
六万七万一索二索三索七索七索二筒二筒二筒七筒八筒九筒  リーチ  ロン五万  ドラ七筒
浜上が古川から2,600は2,900をアガリ再度ラスを脱出。
オーラスを迎え点数状況は以下のとおり。
浜上21,900
灘 25,600
古川20,800
矢島51,700
矢島はラス親なので、ほぼトップが確定。灘は5,200以上をアガれば原点復帰、浜上・古川は現状、跳満をアガらないと原点復帰できないので、ラス回避を主とした打ち方をしそう。
オーラスもまた古川と浜上の争い。
北家 古川 4巡目リーチ
四万五万六万五索五索九索九索一筒二筒三筒七筒八筒九筒  リーチ  ドラ九万
そこに浜上もリーチで応戦。
南家 浜上 7巡目リーチ
一万二万三万五万六万七万三索四索二筒二筒二筒中中  リーチ  ドラ九万
古川はシャンポン、浜上はリャンメン。見た目は浜上のほうが有利に見えるが、浜上が追いかけた時すでにお互いの待ちは山に2枚ずつ。
矢島、灘は撤退し、もしかしたら流局終了もあるかな、と思いかけてきた14巡目、古川が九索をツモり、決着。
四万五万六万五索五索九索九索一筒二筒三筒七筒八筒九筒  リーチ   ツモ九索  ドラ九万
500・1,000のツモアガリ。
2連続ラスで、浜上は早くも窮地に立たされた。
2回戦成績
1卓 石井+32.6P・森下▲2.0P・福島▲7.6P・東谷▲23.0P
2卓 安村+14.0P・荒+9.5P・手塚▲9.2P・清原▲14.2P
3卓 矢島+32.7P・灘▲5.9P・古川▲9.2P・浜上▲17.6P
4卓 五十嵐+17.8P・近藤+7.1P・前原▲10.1P・海老沢▲14.8P
 
3回戦卓組(数字はトータルポイント)
1卓 森下+21.7P・古川▲36.5P・手塚+4.4P・五十嵐+36.1P
2卓 荒+15.7P・矢島+8.0P・東谷▲31.4P・海老沢▲2.7P
3卓 灘▲21.3P・近藤+24.5P・安村+1.0P・福島+6.2P
4卓 前原▲17.9P・清原▲9.7P・浜上▲40.4P・石井+36.3P
3回戦は、過去に2度の王位を戴冠している荒の卓を観戦。
また、まだ知名度は低いが、今年の十段戦で7回勝ちあがった東谷にも注目。
3回戦2卓(起家から、矢島・東谷・海老沢・荒)
東1局、親の矢島、北家の荒が激しいつばぜり合いを演じる。
先手は荒。
一筒二筒三筒七筒八筒八筒九筒九筒南中  ポン東東東  ドラ五万
矢島、3巡目に七対子ドラ2の1シャンテンだったが、
三万三万四万五万五万六万八万四筒四筒発発中中  ドラ五万
ここから発をポンし、打八万。程なく七万を引き入れ高目11,600のテンパイ。
三万四万五万五万六万七万四筒四筒中中  ポン発発発  ドラ五万
荒も一歩進んで以下の形
一筒二筒三筒六筒七筒八筒八筒九筒九筒中  ポン東東東  ドラ五万
テンパイの仕方では、荒の放銃だなと思って見ていたら、矢島が五筒をツモって三筒六筒待ちのリャンメン待ちへ移行。
2巡後に、東谷が三筒をツモ切り矢島の5,800のアガリ。
三万四万五万五万六万七万四筒五筒中中  ポン発発発  ロン五筒  ドラ五万
東1局1本場、またも矢島が動く。
六万六万六万七万九万九万四索七索九索九索二筒九筒東
ここから九索をポン。
レポートに書ききれていない箇所もあるが、矢島は非常に手数が多い。
今日1日を見ての印象だが、仕上がれば高いが遠い仕掛けを多用するイメージである。
ただし、観戦できなかった初戦は分からないが、それ以外では致命傷になるような放銃は一切していなかった。
仕掛けを多用する戦術は、高い守備力、読み、対局者との間合いを感じる能力が必要なのだと、改めて感じた。
この局、東谷が早々にドラ2のポンテンを取れそうな局面であったのだが、この矢島の動きで字牌が重くなり、なかなかテンパイを入れさせてもらえなくなってしまう。
これも矢島の戦術の内なのだろうか。
南家 東谷
七万八万九万四索四索七索三筒四筒五筒七筒八筒東東  ドラ四索
だが、おかげで自力で九筒を引き入れ、リーチを敢行。
終盤に以下の形でテンパイを入れた海老沢が東で8,000の放銃。
一筒一筒一筒二筒三筒四筒五筒六筒南南南白白  ドラ四索
形だけ見れば致し方ない放銃かもしれないが、自身で四筒を切っているフリテン待ちであり、一筒も枯れている。
東は生牌なだけに、個人的には我慢して欲しかったと思う。
東2局、前局8,000をアガった東谷の親は荒が高速でカット。
東3局、矢島が鳴きで魅せる。
西家 矢島 8巡目
二索三索四筒四筒四筒五筒五筒七筒九筒九筒東東発  ドラ北
ここから東をポン。打発と構えるかと思いきや、打三索でホンイツに向かう。
ポンの後連続で五筒六筒引き、最速テンパイ、そしてテンパイと同時に東谷が九筒を掴み最速のアガリ。
四筒四筒四筒五筒五筒五筒六筒七筒九筒九筒  ポン東東東  ロン九筒  ドラ北
東谷は今日1日を通してツキに恵まれていなかった印象。5,200の放銃。
東4局は西家・東谷が渾身の三色リーチを入れるが、不発。1人テンパイで流局。
一万二万一索二索三索五索六索七索八索八索一筒二筒三筒  リーチ  ドラ南
南入時の点数状況は以下のとおり。
矢島 40,000
東谷 29,300
海老沢19,700
荒  30,000
南1局1本場、矢島の8巡目。
三万三万六万六万八万六索七索三筒四筒五筒五筒六筒七筒  ツモ五索
三色変化も有り、いざとなれば出アガリも利くので、Aルールでは打六万or八万のヤミテンがマジョリティか。
だが、矢島は迷いなく六万切りのリーチを選択。
3巡後に五万を持ってくるものの、変化を待っても結局アガリにはつながらなかった。(ヤミテンにしていたなら他家から出たかもしれないが。)
必死の粘りを見せた海老沢と2人テンパイで流局。
南1局2本場は3者の手がぶつかる。
北家 荒 7巡目
五万五万五万七索八索九索一筒一筒六筒六筒発発発  リーチ  ドラ西
そこに親の矢島がタンヤオで追っかけ。
東家 矢島 9巡目
六万七万八万四索五索三筒三筒三筒五筒六筒七筒八筒八筒  リーチ  ドラ西
さらに同巡、東谷も一索をポンして追いつく。
南家 東谷 9巡目
一万一万四万四万四万七筒七筒西西西  ポン一索 上向き一索 上向き一索 上向き  ドラ西
矢島有利かと思いきや、矢島が一筒を掴み、荒のアガリ。
3,200は3,800。リーチ棒も2本もらえる大きなアガリ。
南2局、4巡目荒の手牌。
西家 荒
四万五万二索三索七索七索八索八索九索四筒四筒白白白  ドラ一索
ターツオーバーの形。九索が1枚切れでさらにドラ表示牌のため、荒のは打七索を選択。
だが、その七索矢島が以下の形からチー。
北家 矢島 4巡目
一万二万二万二万三万四万五索六索六索八索一筒三筒五筒  ドラ一索
この鳴きで荒に入るはずだった四索、ドラの一索、さらにはアガリ牌になったであろう六万も矢島が食い取ってしまう。
皮算用ではあるが、(四索引きの時点ではリーチを打たないので)以下の形での荒のアガリが有った。
四万五万一索二索三索七索八索九索四筒四筒白白白  リーチ  ツモ六万  ドラ一索
四索は矢島の手の内に吸収されたため荒の目からは見えないが、一索六万も矢島にツモ切られているので、鳴きによって自分のアガリを消されたことは荒からも見て取れるはずだ。
結局荒は、10巡目に以下の形でリーチ。
四万五万六万二索三索六索七索八索四筒四筒白白白  リーチ  ドラ一索
だが時既に遅し、以下の形でテンパイを入れていた矢島のアガリが先。
二万二万二万三万四万四索五索六索三筒三筒  チー七索 左向き六索 上向き八索 上向き  ロン三筒  ドラ一索
東谷から1,000のアガリ。素晴らしい発想力で荒の本手を潰してしまった。
南3局は親の海老沢が12巡目にリーチ。
四万五万二索三索四索五索六索六索七索七索八索八索八索  リーチ  ドラ東
同巡、荒も追いつく。
四万四万五万六万六万三筒三筒四筒四筒五筒五筒発発  ドラ東
荒は前巡、1シャンテンから六を処理して放銃を回避。だが、アガリ牌は山には0。
海老沢の待ちも薄かったが、見事に六万を掘り当て2,600オールのアガリ。
南3局1本場は、海老沢・東谷・矢島の3人テンパイで流局。
同2本場、またしても矢島が先手を取る。鳴いた時は2シャンテンだったが、急所を連続で引き、
一万一万一万一索一索一索一筒二筒三筒中  加カン白白白白  ツモ中  ドラ中
厳しい待ちであったが見事に引き当て2,000・4,000のアガリ。
オーラス、親の荒、7巡目にポンテンを取る。
四索五索七索八索九索三筒三筒三筒六筒六筒  ポン白白白  ドラ六索
リーチをしてきた海老沢が六索を掴み、2,900のアガリ。
26,500持ちだった荒はリーチ棒も入り微差で浮きに回る。
南4局1本場、時間打ち切りの最終局、またしても先手を取ったのは矢島。
南家 矢島
四万五万六万二筒四筒七筒七筒  チー三索 左向き四索 上向き五索 上向き  ポン二万 上向き二万 上向き二万 上向き  ドラ四筒
そして海老沢も5巡目に一通の変化待ちの仮テンを入れる。
北家 海老沢
六万七万八万一索二索五索六索七索七索八索九索東東  ドラ四筒
そして、30,400点持ちの荒も、粘りに粘って以下のテンパイを入れる。
東家 荒
四万六万四索五索六索四筒五筒五筒六筒六筒七筒北北
だが、アガリは発生せず、東谷の1人ノーテンで終局。
東谷はノーテン罰符でラス落ちと、苦い形で半荘を終えた。
3回戦成績
1卓 五十嵐+22.0P・手塚+6.7P・古川▲5.3P 森下▲23.4P
2卓 矢島+25.7P・荒+5.4P・海老沢▲12.1P・東谷▲19.0P
3卓 灘+23.9P・近藤+17.9P・福島▲5.5P・安村▲36.3P
4卓 前原+16.2P・清原+11.4P・石井▲5.1P・浜上▲22.5P
 
4回戦卓組(数字はトータルポイント)
1卓 森下▲1.7P・矢島+33.7P・清原+1.7P・近藤+42.4P
2卓 荒+21.1P・浜上▲62.9P・五十嵐+58.1P・福島+0.7P
3卓 灘+2.6P・手塚+11.1P・石井+31.2P・海老沢▲14.8P
4卓 前原▲1.7P・古川▲41.8P・安村▲35.3P・東谷▲50.4P
超獣・前原が不調である。
3回戦こそトップをとれたものの、未だトータルポイントはマイナス。
冒頭でもお伝えしたが、5回戦を終わった時点で下位4名になってしまうと、最終・6半荘目を打つ資格を失ってしまう。
4回戦目は前原をはじめ、ポイント的に正念場を迎えた4名の戦いを観戦することにした。
4回戦4卓(起家から、古川・安村・東谷・前原)
東1局、トータル14位と苦しい位置に居る古川、この局は素直に手が伸び、7巡目テンパイ。
三万四万五万六万六万三索四索五索七索八索八筒八筒八筒  リーチ  ツモ九索  ドラ七索
安目ながらも13巡目にツモアガリ。2,000オール。
東1局1本場、古川が独特の鳴きを見せる。
六万七万二索三索五索六索八筒八筒東発  チー四筒 左向き三筒 上向き五筒 上向き  ドラ発
連盟員のほとんどが同じ鳴きはできないと思う。だが、12巡目までで発は全て山に生きている。
まさか発を集めてアガってしまうんじゃないかと思い始めたが、
西家 東谷
三索四索五索六索八索三筒四筒五筒六筒六筒  ポン東東東  ツモ七索  ドラ発
東のポンテンを取った東谷が300・500は400・600のツモアガリ。
東2局、前原が先制リーチ。
西家 前原 5巡目
一万二万三万五万六万七万二索二索四索四索五筒六筒七筒  リーチ  ドラ七万
Aルールでは珍しい、役無しの中張牌同士のシャンポン待ちリーチ。
しかも驚くことなかれ、リーチ宣言牌は三色やピンフの変化もある、七索である。
これがガラクタリーチなのだろうか。
リーチで攻め込まれた、親・安村。
2枚目の白をポンして応戦。
九万九万九万四索五索八索八索  ポン白白白  ポン六索 上向き六索 上向き六索 上向き  ドラ七万
古川も持ち前の粘り腰でテンパイを取る。
七万五索五索五索六索七索八索六筒七筒八筒  チー四万 左向き三万 上向き五万 上向き  ドラ七万
東谷もひっそりとテンパイ。
五万六万七万八万八万二索三索四索七索八索一筒二筒三筒  ドラ七万
この局は全員テンパイで流局。
生き残りへ、全員1局1局を必死に戦っていく。
同1本場は、またも先手を取った古川が、
六万六万七万七万二索二索三索三索四索四索  ポン東東東  ツモ七万  ドラ六万
1,000・2,000は1,100・2,100のツモアガリ。
東3局、親・東谷が早々にメンホン一通の2シャンテンになっていたが、全く手が伸びず、またしても古川がアガる。
西家 古川 11巡目
一万三万五万六万七万一索一索五索六索七索五筒六筒七筒  ツモ二万  ドラ一万
2,000・3,900のツモアガリ。
東谷は1つ1つの親番を大事に戦っていくしかないのだが、親権を維持するどころか、痛すぎる親かぶり。
東4局、南家古川の手牌。
南家 古川
五万六万四索五索六索六索八索三筒三筒六筒八筒八筒白中  ドラ七万
ここから打中とすると、親・前原が反応。
東家 前原
七万五索六索七索七索二筒二筒二筒白白発中中  ドラ七万
ここから中をポン、打七索
そしてその七索を古川がチーして打白
南家 古川
五万六万四索五索六索三筒三筒六筒八筒八筒  チー七索 左向き六索 上向き八索 上向き  打白  ドラ七万
当然、前原も白をポン、ドラの七万を勝負して発単騎の小三元テンパイ。
東家 前原
五索六索七索二筒二筒二筒発  ポン中中中  ポン白白白  打七万 上向き  ドラ七万
古川も七万に声を掛け、テンパイを入れる。
南家 古川
四索五索六索三筒三筒八筒八筒  チー七万 左向き五万 上向き六万 上向き  チー七索 左向き六索 上向き八索 上向き  打六索 上向き  ドラ七万
文章ではなかなか伝えづらいが、この4つの鳴きは連続して行われたものである。
ものの10秒くらいで同時にテンパイ。
こうなると取り残された安村、東谷は苦しい。
結局、前原が三筒を掴み、2,000の放銃。
古川、今日これまでとは打って変わって、好調である。
東場を終わって点数状況は以下のとおり。
古川50,400
安村23,500
東谷24,400
前原21,500
南1局、ラス目の前原は選択を迫られる。
北家 前原 6巡目
七万七万七万三索四索四索四索四索六筒六筒七筒八筒発発  ドラ北
前原、長考。六筒を切れば二索五索待ちのテンパイ。但しその場合、アガリ点は相当低くなってしまう。(もちろん、ヤミテンに構えてからの三暗刻変化も存在するが。)
ここで前原が選んだのは四索の暗カン。
1回テンパイを崩す形にはなるが、三暗刻やイーペーコー、役牌、最高形で四暗刻まで見える選択だ。筆者もおそらく同じ選択をしたと思う。
11巡目、狙ったように発引きテンパイ。
七万七万七万六筒六筒七筒八筒発発発  暗カン牌の背四索 上向き四索 上向き牌の背  ドラ北
四暗刻変化もある上、出アガリでも7,700(3ハン60符)あるので、当然のヤミテン。
役満はともかく、前原のアガリは堅い、とこの瞬間は思っていた。が、すぐさま対面の安村から「リーチ」の発声が。
南家 安村 16巡目
一万二万三万二索二索二索六索六索九筒九筒九筒北北  リーチ  ツモ北  ドラ北
安村、渾身の3,000・6,000。
前原、黄色信号。
南2局、親の安村、厳しい配牌だったが、役牌の中を鳴くと手がサクサク進み、6巡目には以下のテンパイ。
二万二万九万九万九万六索七索六筒六筒六筒  ポン中中中  ドラ八筒
同巡、前原が「前局のお返しですよ」とばかりに本手リーチ。
七万八万九万三索三索四索五索七索八索九索七筒八筒九筒  リーチ  ドラ八筒
だが、即座に安村が八索をツモり700オール。
同1本場、安村が面白い手順を見せる。
東家 安村 5巡目
四万五万七万八万八万二索三索七索六筒七筒七筒八筒八筒  ツモ六万  ドラ六索
効率上、一番ロスが少ないのは七索切り。
ドラが六索であることを考慮しても七索を切るかなぁと思っていたら、安村の選択はなんと四万切り。
ドラと、567・678を意識した手順である。
次巡九筒をツモってリーチ。一索を引いて1,300は1,400オール。
五万六万七万八万八万二索三索六筒七筒七筒八筒八筒九筒  リーチ  ツモ一索  ドラ六索
七索を切っても、ほぼアガリ形に違いは無いと思う。が、その過程には骨太さを感じた。
このアガリで古川を微差で交わしてトップ。約3万点差をひっくり返した。
南2局2本場は安村以外の3人の攻防。
南家 東谷
六万七万八万二索四索七索七索五筒五筒五筒  ポン五万 上向き五万 上向き五万 上向き  ドラ七索
西家 前原
一索三索四索四索四筒五筒六筒六筒七筒八筒西西西  リーチ  ドラ七索
北家 古川
一筒一筒二筒二筒四筒四筒四筒  ポン発発発  ポン四万 上向き四万 上向き四万 上向き
ここは古川が一筒をツモって1,300・2,600は1,500・2,800のアガリ。古川の再逆転。
南3局、古川があっという間に3フーロテンパイ。
西家 古川
二万二万二筒四筒  ポン七索 上向き七索 上向き七索 上向き  ポン四万 上向き四万 上向き四万 上向き  ポン八万 上向き八万 上向き八万 上向き  ドラ一万
テンパイは早かったものの、終盤までもつれ、前原、東谷が追いつく。
前局と似たような形になった。
南家 前原
一筒二筒三筒七筒八筒九筒南発発発  チー三万 左向き一万 上向き二万 上向き  ドラ一万
東家 東谷
一万二万三万五索五索五索六索六索六索二筒三筒四筒五筒  リーチ  ドラ一万
だが、この局も勝者は古川。前原が三筒を掴み、古川1,000のアガリ。
南4局、親・前原
三万四万五万七万八万三索四索四索五索六索五筒六筒七筒  ツモ九万  ドラ七万
入り目としてはあまりうれしくない九万引きテンパイ。
あまり感触はよくなかったとは思うが、前原は三索切りリーチと出る。
数巡後、安村のリーチ宣言牌の七索を捕らえ、5,800のアガリ。
800点差ではあるが、微差でラス抜け。
東家 前原
三万四万五万七万八万九万四索四索五索六索五筒六筒七筒  リーチ  ロン七索  ドラ七万
同1本場、16,800持ちの北家・東谷が中盤にリーチ。
五万六万七万二索二索三索三索四索四索四筒五筒六筒中  リーチ  ドラ中
現在ラス目ではあるが、1つ上の着順の前原とは800点差、さらに、リーチしてもあまり大きな点数上昇が見込めないため(出アガリが5,200→8,000になるだけで、他はほとんど変わらない。)流石にダマテンを選択がセオリーだと思う。
後が無いため、少しでも素点を稼ぎに行ったことは理解できるが、点数を稼ぐ場所はここではない。
この2,800点の為に隙を作り、親にさらに加点される方が痛手と感じる。
結果は親・前原の手が伸びず、東谷の1人テンパイで流局。
東谷は3着へ復帰、そして、前原は再度ラス落ち。
4回戦成績
1卓 清原+22.4P・矢島+9.3P・近藤▲12.5P・森下▲20.2P
2卓 荒+26.5P・五十嵐▲1.9P 浜上▲8.4P・福島▲16.2P
3卓 海老沢+40.6P・灘▲6.6P・石井▲12.1P・手塚▲21.9P
4卓 古川+28.3P・安村+7.2P・東谷▲15.2P・前原▲21.3P

100

4回を終え、隊列も大分縦に伸びてきた、が、まだまだ決勝進出ラインの4位付近は混戦である。
また、何度も繰り返すが、この回が終わり下位4名に入ってしまうと、途中敗退が決定してしまう。
ギリギリ生き残っても決勝進出は厳しい、と思うかもしれないが、麻雀は何が起こるかわからない。
プロ連盟は今期から純粋な複合形であれば、ダブル役満・トリプル役満有りのルールに変更した。
今、苦境に立たされている選手たちも、諦めず、上を目指していただきたい。
 
5回戦卓組(数字はトータルポイント)
1卓 森下▲21.9P・荒+47.6P・灘▲4.0P・前原▲23.0P
2卓 石井+19.1P・五十嵐+56.2P・矢島+43.0P・安村▲28.1P
3卓 浜上▲71.3P・手塚▲10.8P・近藤+29.9P・東谷▲65.6P
4卓 古川▲13.5P・福島▲15.5P・清原+24.1P・海老沢+25.8P
1卓の連盟レジェンド3名VS森下王位の戦いも気になるが、上位争いをしている五十嵐、矢島、石井と、下位ボーダー付近の安村の卓を観戦。
五十嵐、矢島がここで大きくポイントを伸ばすと決勝進出へ大きく前進することとなる。
また、逆に安村がここで上位組を食うことがあれば、奇跡の大逆転があるかもしれない。
5回戦2卓(起家から、石井・安村・五十嵐・矢島)
東1局、今日何度も見た矢島の先制仕掛け。
北家 矢島
五万六万南北  チー三万 左向き一万 上向き二万 上向き  ポン中中中  チー三万 左向き四万 上向き五万 上向き  ドラ東
そこに安村が四索を暗カンして応戦。
南家 安村
六筒七筒七筒八筒八筒八筒北北白白  暗カン牌の背四索 上向き四索 上向き牌の背  ドラ東
矢島にマンズを勝負している五十嵐も役なしだがテンパイ。
西家 五十嵐
四万四万四万一索二索三索五索六索七索一筒一筒一筒二筒  ドラ東
だが、ここはしっかりとヤミテンを入れていた石井の勝ち。開局を制する。
東家 石井
一万二万三万六万七万四索五索六索二筒二筒五筒六筒七筒  ツモ八万  ドラ東
700オールと打点は低いが、価値の有るアガリ。
同1本場、石井がしっかりと手役を追う手順を見せる。
東家 石井 6巡目
二万三万三万四万四万五万二索三索三索四索一筒一筒二筒五筒  ドラ四筒
一筒が2枚切れであるが、石井は打五筒。234の三色とイーペーコーを狙う手組みだ。
親番なので、手広く五筒を切る人も多いと思う。
次巡、狙い通り三筒をツモってリーチ。
一筒が無いのでドラの四筒のみの待ちだが、ツモれば6,000オールだ。
東家 石井 7巡目
二万三万三万四万四万五万二索三索四索一筒一筒二筒三筒  リーチ  ドラ四筒
決着は終盤。安村が腹を括って追っかけリーチ。
南家 安村
五万六万七万四索四索七索七索四筒五筒六筒六筒七筒八筒  リーチ  ドラ四筒
そこに以下のテンパイを入れていた五十嵐が七索を掴み、放銃。
西家 五十嵐
三筒四筒五筒南南発発  チー二筒 左向き三筒 上向き四筒 上向き  チー六筒 左向き七筒 上向き八筒 上向き  ドラ四筒
安村の5,200は5,500のアガリ。トータルトップ目からの直撃に成功。
東2局、前局放銃の五十嵐がピンフのみを石井からアガリ、安村の親をカット。
東3局、ここでも矢島が先手を取り、1フーロの一通のみで捌く。
東4局、北家・五十嵐が以下のアガリ。
二万三万三万四万四万五万五索六索七索三筒四筒発発  リーチ  ツモ二筒  ドラ三筒
1,000・2,000のアガリ。原点近くまで復帰。
東1局とはうって変わって、淡々と局は進む。
南入した時点で点数は以下のとおり。
石井 28,800
安村 34,500
五十嵐28,300
矢島 28,400
現状、安村の1人浮きではあるが、大きく沈んでいる安村はさらに大きな加点が必要。
石井もこの半荘で、最低+10ポイントほどは上積みしたい。
南1局、北家矢島が先制リーチ。
三万四万五万六万六万七万八万八万五筒六筒七筒七筒八筒九筒  打八万 左向き  ドラ六筒
宣言牌の八万を石井がやや迷いつつもチーテンにとる。
東家 石井
三万四万五万七索八索九索三筒三筒八筒九筒  チー七万 左向き七万 上向き九万 上向き  ドラ六筒
石井が三万を即食い取り、ツモ切りで放銃。
矢島の2,600のアガリ。
南2局、矢島の先制リーチ。
西家 矢島
五万五万五万七万七万七万五索五索二筒三筒四筒四筒五筒  リーチ  ドラ一万
Aルールでは子方のタンヤオのみはかわし手として使われることが多いと思うが、矢島はリーチを選択。積極策だ。
今日は幾度と無く積極策で道を切り開いてきた矢島、しかし、今回はこれが裏目となる。
リーチによって、ヤミテンならすぐに打ち出されそうだった五十嵐の六筒が止まり、局が長引く。
そして、親の安村が終盤に追いついた。
一万一万五索六索六索七索七索一筒二筒三筒  ポン発発発  ドラ一万
結果は安村・矢島の2人テンパイ。
矢島が親落とし優先のヤミテンをしたなら存在しなかった親連荘、果たしてどうなるのか?
南2局1本場
東家 安村 10巡目
三万三万三万七万八万九万一索二索五索六索七索  暗カン牌の背一筒 上向き一筒 上向き牌の背  ドラ一索
二索を切って一索のドラ単騎に受けるか、また、三万を切ってペン三索に受けるか。
一索は1枚切れである。安村は一索単騎でリーチ。
ペン三索を選択するかと思って見ていたので、意外な選択であった。
他家の足止めを主として選択したのかもしれないが、この手をただの足止めリーチにするのはもったいなさ過ぎる。見た目の枚数も、一索・2枚、三索・4枚と差があり、どちらを選んでも、ツモったときの点数はほとんど違いが無い。
(一索単騎ツモ=4000オール・ペン三索ツモ=3,900オール)
卓内ラス目のリーチには、上位陣は中々勝負してこないと思うが、出アガリをベースで考えたとしても、2枚切れのドラと、(ドラそばではあるが)三索では、アガリ率も大分変わってくると思う。
出アガリに関しては一索単騎が12,000、ペン三索が6,800と、点数においては差があるが、この状況、アガリ辛い12,000よりも、幾分アガリが期待できる6,800を選択するほうが良いと思う。
結果、一索は引けず、しかもハイテイで三索をツモってしまう、が、これは結果論ではなく、選択できるものであったと思う。
矢島・石井も粘ってテンパイ。3人テンパイで流局。
南2局2本場、石井が高目三色のリーチを打つ。
北家 石井 11巡目
四万五万六万四索五索六索五筒五筒六筒六筒七筒白白  リーチ  ドラ二万
七筒でもイーペーコーにはなるが、ドラが無いので、是が非でも四筒でアガりたいところ。
終盤に安村が仕掛けて以下のテンパイ
東家 安村
二万一索二索三索四索五索六索二筒三筒四筒  ポン中中中  ドラ二万
ドラ単騎テンパイで、良くて流局かな、と思っていたら、石井が即二万を掴み、安村の5,800は6,400のアガリ。これは大きい。
点数状況は以下のように変わっている。
石井 18,300
安村 45,100
五十嵐23,800
矢島 32,500
石井は現状のトータルポイントがマイナスに突入、安村は大きいトップではあるが、まだ5ポイントほどマイナスなので、さらに大きく加点したい。
南2局3本場、安村の親が続く。
北家、石井が先手を取り、以下の手牌になる。
二万三万四万七万八万五索六索七索西白  ポン中中中  ツモ白  ドラ西
石井はここからテンパイとらずの打七万。ドラを使ってのの8,000を目指した選択だ。
点数状況的に致し方ないと思うが、安村の親が長引いているので、打西としてテンパイを取る選択が自然かと思った。
また、テンパイを外すならばソーズの1メンツを落としてアガれば浮きにまわれる12,000を狙うのも面白い。
あくまでも、自分の都合のいいように考えるなら、だが。
結果だけ言えば、次々巡安村に六万を切られ、アガリ逃し(1,000のアガリ逃しなので、痛いと考えるかは打ち手次第だが)
そして、あべこべに安村のロン牌を石井が掴む。
東家 安村
一万一万五万六万三索四索五索七索八索九索五筒六筒七筒  ロン四万  ドラ西
1,500は2,400と打点は安いが、親連荘。
南2局4本場、55分時間打ち切りの規定により、この局が最終局になる。
もっと親を利用して加点したい安村からしてみれば、痛い強制終了だが、ルールなのでこれは致し方ない。
各家、積極的に攻め合ったが、ここ数局我慢をしていた五十嵐が安村から1,300をアガって終了。
六万七万七万八万八万四索五索六索七索八索九索白白  リーチ  ロン九万  ドラ三索
5回成績
1卓 灘+15.7P・荒+4.2P・前原▲6.6P・森下▲13.3P
2卓 安村+24.3P・矢島+5.5P・五十嵐▲7.7P・石井▲22.1P
3卓 手塚+15.0P・浜上+5.6P・東谷▲6.9P・近藤▲13.7P
4卓 清原+17.0P・福島+4.6P・海老沢▲7.2P・古川▲14.4P

100

残念ながら、ここで下位4名は敗退となってしまった。
前原、スタートダッシュを決めたはずの現王位・森下、まさかの即敗退。
13位 前原雄大「負けるべくして負けました。」
14位 森下剛任「1回戦はトップだったんですが、乗り切れなかったです。残念です。」
15位 浜上文吾「スタートから3ラスで、入りが悪かった。2回戦目に連荘して、さあこれからと思ったところで(矢島プロの)役満を親かぶりしてしまった。また来年頑張ります。」
16位 東谷達矢「完敗でした。勉強しなおして、また来年頑張ります。」
そして、残った12人で最終6回戦を行う。
6回戦目は各卓順番にニコ生で配信される。
卓の組み合わせは現在のポイント順により決定される。
A卓 3位×6位×9位×12位
B卓 2位×5位×8位×11位
C卓 1位×4位×7位×10位
この表に当てはめると、各卓の組み合わせは
A卓 矢島×近藤×石井×古川
B卓 五十嵐×海老沢×手塚×福島
C卓 荒×清原×灘×安村
以上のようになる。
先に打つ卓の方が、他の卓に点数状況を知った上で打たれてしまうので、若干不利にはなる。
それでは、最終戦A卓、開始である。
6回戦A卓
3位・矢島+48.5 × 6位・近藤+16.2 × 9位・石井▲3.0 × 12位・古川▲27.9
(起家から古川・石井・近藤・矢島)
現在のボーダーは+40ちょい。だが、50ポイント弱持っている3位の矢島も油断できない。
ここで少しでもマイナスしてしまうと、後発のB卓、C卓の選手にターゲットにされてしまうからだ。
また、6位の近藤もここで大きなトップを取らないと、ほぼ敗退が確定してしまう。
トータルポイントで矢島を交わした上で、最低でも25ポイントくらいは加点したいところ。
東1局、苦しい配牌だった近藤
北家 近藤 配牌
一万二万四万四万一索三索八索二筒二筒七筒七筒西白  ツモ六索  ドラ白
なんと、8巡目にノーミスで七対子をツモアガリ。
二万四万四万三索三索二筒二筒三筒三筒七筒七筒白白  ツモ二万  ドラ白
ドラ2で2,000・4,000。
手順も河も秀逸で、同卓していたとしても七対子とは分からない、素晴らしいアガリだった。
観戦はしていなかったが、近藤はどうやら4回戦、5回戦下り坂でこの6回戦を迎えていたと聞いた。果たしてこの一発で流れを断ち切れるか?
東2局、西家・矢島が放送卓になっても先手を奪う。
東東東発中中中  チー六索 左向き七索 上向き八索 上向き  ポン二索 上向き二索 上向き二索 上向き  ツモ発  ドラ五索
打点も伴い、2,000・4,000。
卓内ポイントリーダーの矢島が点棒を持ってしまい、同卓者はやや厳しくなったか。
東3局は近藤が白のみの500オールをツモ、連荘に成功。
同1本場、東家・近藤が12巡目に先制リーチ。
二万三万四万五索六索七索八索八索八索三筒三筒北北  リーチ  ドラ四筒
ドラ無しでドラ表と1枚切れの北のシャンポン待ち。良くない待ちではあるが、(他家の手牌進行的に)時間的猶予がないと判断したのだろう。
もしかしたら、卓内でしか知り得ない情報もあるのかもしれない。
だが、この局を制したのは矢島。
南家 矢島
一万二万三万四筒四筒七筒八筒中中中  チー八万 左向き六万 上向き七万 上向き  ツモ九筒  ドラ四筒
矢島にしては珍しく、道中で手順ミスがあったが、うまくリカバリーが利いて1,000・2,000。
この卓ではやや抜け出したか。
東4局、近藤がよどみのない手順で先制リーチ。
北家 近藤
一万一万二万三万四万四索五索六索四筒五筒五筒六筒七筒  リーチ  ドラ四万
そこに全員が参戦。勝負してこないと思われた矢島も2人のロン牌を止めてテンパイを組む。
東家 矢島
六万六万六万三索三索五索六索七索三筒三筒  チー六索 左向き七索 上向き八索 上向き  ドラ四万
南家 古川
四万四万三索八索八索三筒四筒五筒六筒七筒  ポン中中中  ドラ四万
西家 石井
一索二索七索八索九索南南西西西  チー四索 左向き五索 上向き六索 上向き  ドラ四万
激しい争いだったが、近藤が三筒をツモって1,300・2,600。
南1局は石井の渾身のフリテンリーチが成就。
一万一万一万二万三万四万五万三索四索五索三筒四筒五筒  ツモ三万  ドラ南
リーチ前にすでに六万を切ってあったが、しっかり高目をツモって2,000・4,000。
現状の点数は以下の通り
石井29,100
近藤37,600
矢島36,200
古川17,100
この点数をトータルポイントに加えると、
石井▲ 7.9P
近藤+31.8P
矢島+58.7P
古川▲48.8P
古川は親がもうないので苦しいか。石井も親にかけるしかない。近藤はおそらく素点であと10,000は加点したいところ。矢島は沈まなければほぼオーケー。
南2局は石井が6巡目にピンフツモ。700オールで連荘。
同1本場、親の石井が9巡目に先制リーチ。
六万七万八万二索三索四索五索六索七索八索八索三筒四筒  リーチ  ドラ五索
次々巡、北家・古川も追っかけリーチ。
一万二万三万六万七万四索五索六索五筒六筒七筒西西  リーチ  ドラ五索
同巡、近藤、メンチンの1シャンテンになり、五万を勝負、古川に捕まる。
五万八索一筒二筒二筒三筒四筒六筒六筒六筒七筒九筒九筒  ツモ三筒  打五万 上向き
古川へ3,900の放銃。石井も親番がなくなり厳しくなった。
南3局、5巡目に矢島が迷いなくリーチ。
八万八万六索七索八索四筒五筒六筒東東西西西  リーチ  ドラ東
これがアガれれば決勝はほぼ確定と見る。
石井・古川はトータルポイント的に向かってこないだろう。
近藤との1対1だ。
決着は14巡目。
東家 近藤
四万五万五万四索四索四索五索五索四筒四筒五筒五筒六筒  ツモ東  ドラ東
近藤の、長い逡巡の後、東が河に置かれ、勝負が付いた。
南4局は、通過へ一縷の望みをかけ、近藤が跳満リーチをかけるも、不発。
矢島のトップで終了。矢島はトータルを+70ポイントとし、ほぼ決勝進出を決めた。
A卓最終結果
※()内はトータルポイント
矢島+21.5P(+70.0P)
古川+7.6P(▲20.3P)
石井+1.2P(▲1.8P)
近藤▲30.3P(▲14.1P)
6回戦B卓
2位・五十嵐+48.5P × 5位・海老沢+18.6P × 8位・手塚+4.2P × 11位・福島▲10.9P
(起家から五十嵐・海老沢・手塚・福島)
A卓が終了したが、矢島がポイントを大きく伸ばしただけで、ボーダーに特に影響はなし。
五十嵐は浮けばほぼオーケー。海老沢は30ポイントは加点したい。
手塚・福島は五十嵐を沈めた上で大きなトップを取るしかない。
東1局1本場、10巡目、前巡に一通のみをテンパイしていた手塚がツモ切りリーチ。
西家 手塚
一万二万三万四万五万六万七万八万九万二索二索六筒八筒  リーチ  ドラ七索
ダブ東を鳴いていた五十嵐、1シャンテンだったが、当たり牌の七筒を即持ってきて小考。
四万六万八万三索四索五索七索九索八筒八筒  ポン東東東  ツモ七筒  ドラ七索
だが、この七筒は止まらず、五十嵐が手塚に5,200は5,500の放銃。
東2局、親番を有効に使いたい海老沢は以下の手でリーチ。
東家 海老沢 9巡目
二万二万二索三索三索八索八索二筒二筒九筒九筒西西  ドラ九万
ドラはないが、ツモれば3,200オールと、満貫に匹敵する破壊力がある。
だが、変化待ちの仮テンを早々に入れていた手塚が高目をツモ。
南家 手塚 10巡目
九万九万六索七索八索三筒三筒四筒五筒六筒六筒七筒八筒  ツモ九万  ドラ九万
2,000・3,900のツモアガリ。
去年、決勝で途中敗退の5位と、非常に悔しい思いをした手塚。
この王位戦にかける気持ちも人一倍であろう。
東3局、親は手塚。西家・五十嵐が奇襲に出る。
五十嵐が以下の手牌でヤミテンしているところから、
四万四万四万七万八万九万四索四索五索六索七索三筒四筒  ドラ八筒
六万をリャンメンチー、そして打九万。タンヤオへ変化させる。
Aルールでは、ダイレクトのスジの食いかえが認められている。
ただし、普段連盟員同士の対局で、食いかえを見る事はあまりない。
使えるものを使うのはもちろん良いことなのだが、連盟員から見てみれば、セオリーとは言いがたい。リーチ棒を出したくなかったか、よっぽど親の手塚を警戒していたということだろうか。
この奇襲が成功、五筒をツモり、300・500。手塚の親を安全に落とす。
東4局、北家・手塚が積極策で北をポン。そして親の福島にテンパイが入る。
四万四万五万六万七万二索四索五索六索七索六筒七筒八筒  ドラ二索
福島はヤミテンを選択。三色変化を待ってのヤミテンだろう。
12巡目、海老沢も追いつく。
西家 海老沢
一万二万三万七万八万九万二索五索六索七索三筒三筒三筒  リーチ  ドラ二索
難しい手牌であったが、選択を失敗せず、ドラ単騎でリーチ。
この巡目でまだ2枚山に残っている。
そして(一発はないが)二索を一発ツモ。2,000・3,900のツモアガリ。
福島がリーチをしていると、もしかしたらこうはならなかったのかもしれない。
福島の懐の深さが裏目に出てしまった。
東場を終わって点数状況は以下のとおり
五十嵐23,100
海老沢33,200
手塚 41,400
福島 22,300
これを今の点数状況に加えると、
五十嵐+37.6P
海老沢+25.8P
手塚 +23.6P
福島 ▲26.6P
大接戦の様相だ。五十嵐はこれ以上失点できない。
逆に、海老沢、手塚は五十嵐を捕らえると決勝進出の目が見えてくる。
南1局は東家・五十嵐、西家・手塚の2人テンパイ。
同1本場は連荘に成功した五十嵐が
三索四索五索三筒四筒五筒東東発発  ポン白白白  ツモ発  ドラ四万
1,300は1,400オールで点棒を回復。
だが、同2本場では手塚の
七万七万一索二索三索六索七索八索一筒三筒七筒八筒九筒  リーチ  ドラ七筒
このリーチに五十嵐が二筒で放銃。2,600は3,200のアガリ。
南2局、親の海老沢が中のみでサクっと連荘。
福島から1,500のアガリ。海老沢は親権を絶対に落としたくない。
同1本場、この卓最初の山場はここ。
北家 五十嵐 6巡目
八万九万四索七索八索九索二筒三筒四筒五筒六筒南南  ツモ七筒  ドラ南
前巡、四万を切ってあり、ペン七万待ちに取ればスジ待ちとなる。
ただし、平常時とは違い親が全部勝負してきそうなので、ドラがトイツとはいい、愚形リーチにはリスクが伴う。
五十嵐の選択は四索切りリーチ。
数巡後、親・海老沢が中のポンテンで反撃。
一万一万七万八万九万一索二索四索五索六索  ポン中中中  ドラ南
打点は安いが、中は2枚目であり、仕方が無いテンパイ取りと思う。
そして海老沢のテンパイ打牌、三万を手塚がチーテン。
一索二索三索四筒五筒南南  チー三万 左向き四万 上向き五万 上向き  暗カン牌の背白白牌の背  ドラ南
白を暗カンしているので打点は7,700。もしこれを五十嵐からアガれば大きく順位変動。
そして五十嵐が即三筒を掴み、手塚が決勝へ大きく前進、五十嵐と入れ替わりの形に。
現状のトータルポイントは以下のとおり
五十嵐+28.1P
海老沢+24.4P
手塚 +34.9P
福島 ▲27.0P
南3局、手塚の親は福島が高目三色をリーチ。
南家 福島 8巡目
四万五万二索三索三索四索四索五索三筒四筒五筒北北  ドラ一筒
五十嵐が安目ながら六万で放銃。2,000のアガリ。
南4局、オーラス。福島最後の親番。
福島は今回ベスト16に残った唯一の一般参加だが、7年前の第33期王位戦の決勝卓に残った経験がある。(結果は4位)
筆者は同期の小川尚哉の応援をしに現場に行っていたが、福島の粘り強く、高い技術の麻雀には驚かされたことを未だに記憶している。
だが、今回の王位戦準決勝では、福島は牌勢に恵まれなかった。
結果は残念だが、また来年以降、きっとこの舞台に戻ってきてくれると思う。
さて、話を麻雀の方に戻そう。最後の山場はここ、オーラスにあった。
北家 手塚 9巡目
四索五索八索八索二筒三筒四筒  ポン南南南  チー七筒 左向き五筒 上向き六筒 上向き  ドラ六索
同巡、五十嵐もラス抜け条件を満たす手を作り、リーチ。
南家 五十嵐 9巡目
一万二万三万一索二索三索五索六索七索一筒三筒中中  リーチ  ドラ六索
五十嵐は海老沢からアガると、手塚が1人浮きにまわるため、トータルで手塚より下が確定してしまい、通過黄色信号になる。
他家からのアガリはもちろんオーケーだ。
だが、決着はあっさりやってきた。
手塚が二筒を掴み、8,000。五十嵐、トータル逆転。
手塚はトータルが暫定5位となり、決勝進出できるかはC卓の結果待ちになった。
B卓最終結果
※()内はトータルポイント
五十嵐▲10.4P(+38.1P)
海老沢+5.8P(+24.4P)
手塚 +22.7P(+26.9P)
福島 ▲18.1P(▲29.0P)
6回戦C卓
1位・荒+51.8P × 4位・清原+41.1P × 7位・灘+11.7P × 10位・安村▲3.8P
(起家から荒・清原・灘・安村)
泣いても笑っても、これが最後の半荘。
暫定5位の手塚を含め、全員の運命が、この半荘で決まる。
過去に王位を4連覇している灘、3度目の優勝を目指す荒、そしてさまざまな対局のベスト16常連となっている安村、プロ6年目ながら大舞台まで後一歩というところまで駒を進めてきた清原の戦い。
東1局、親の荒、タンピンツモの1,300オールのアガリ。
五万六万七万二索二索六索七索八索二筒三筒四筒六筒七筒  ツモ五筒  ドラ発
前巡、三色の消える五万をツモってテンパイ、そのためか荒はヤミテンを選択。
堅実に卓回しすることを考えてのヤミだろうか。
東1局1本場も荒のアガリ
五万六万七万一索二索三索七索八索九索五筒六筒北北  ロン四筒  ドラ西
安村から1,500は1,800。
同2本場、親・荒が以下の手牌で早々にテンパイを入れていたが
六万七万八万二筒三筒四筒八筒八筒発発中中中  ドラ西
ここは灘が安村から1,000は1,600をアガリ、カット。
一万二万二万三万三万四万四索五索六索四筒五筒九筒九筒  ロン六筒  ドラ西
東2局は東家・安村と西家・灘の2人テンパイ。
同1本場、荒がタンヤオのみのアガリ。1,300は1,600。
四索四索六索七索八索二筒二筒二筒五筒五筒五筒六筒七筒  ロン四索  ドラ六万
荒が淡々とゲームを作る。
東3局、親・清原
四万五万三索三索五索六索七索五筒六筒七筒  ポン発発発  ツモ三万  ドラ白
安いがなんとかひとアガリ。500オール。
こういう極限状況では、とりあえず1つアガリが出るとホッとすると思う。
点数的にも少しでも原点に近づくことが出来た。
東3局1本場は鳴き合戦。
清原が先手を取り、早々に1シャンテン。
二万三万四万六万六万三筒三筒四筒六筒七筒  ポン白白白  ドラ五索
それに呼応するように、灘もスピードをあわせてテンパイを入れる。
五索六索六索七索八索九索九索九索東東  チー二索 左向き三索 上向き四索 上向き  ロン四索  ドラ五索
ピンフの1シャンテンだった荒から3,900は4,200のアガリ。
ホンイツテンパイかどうか判断できる河でなかったので、荒、これは不運だったか。
灘が微差でトップ目に立った。
東4局、東家・灘、3巡目
四万五万五万六万二索三索六索七索八索三筒四筒五筒六筒  ツモ七万  ドラ八万
ストレートに受けるなら打三筒、打点を見るなら打二索or三索で2シャンテン戻し。
灘の選択は打三筒
次巡、四万ツモでリーチ、16巡目、一索ツモで1,300オール。
四万四万五万六万七万二索三索六索七索八索四筒五筒六筒  リーチ  ツモ一索  ドラ八万
同1本場は灘・安村・清原の3人テンパイ。荒の点棒がじわりじわりと削られていく。
東4局2本場、灘が急所の七索を引き入れ、一通確定のピンフテンパイ。
一索二索三索四索五索六索七索八索九索一筒一筒六筒七筒  ロン八筒  ドラ北
なんとこれをヤミテン。ピンズの場況は良いので、ほとんどの人間がリーチを打ちそうな手牌である。
荒が次巡八筒を掴み、5,800は6,400のアガリ。
後から確認したところ、どうやら、荒と清原から直撃した場合、直撃した相手をトータルポイントでまくる状態だったようだ。
この状況で冷静にヤミテンに出来る精神力もだが、瞬時に判断できる戦術眼も超一流だ。
東4局3本場
これ以上、灘さんにはやらせませんよ、と、荒がリーチ。
四万四万四万七万八万九万一索二索三索三筒四筒白白  ドラ七万
安村も瞬間テンパイをしていたが、対応してオリ。
荒の1人テンパイで流局。
東場を終わって、点数状況は以下のとおり
荒 23,400
安村24,000
清原27,400
灘 44,200
これを今の点数状況に加えると、
荒 +37.2P
安村▲12.8P
清原+37.5P
灘 +37.9P
A卓トップの矢島は通過確定として、B卓の五十嵐を含めた4人が1ポイント差以内に密集!
これはもうどうなるか予測がつかない・・・。
南1局4本場
西家・安村がポンポンとファン牌を2つポン。
一万二万四万五万六万南南  ポン中中中  ポン白白白  ドラ七筒
トータルポイントの少ない安村が安い鳴きをすることは考え辛く、結局全員に対応され、安村の1人テンパイ。
南2局5本場、荒が7巡目テンパイ。
西家 荒
二万三万三万四万五万七万七万六索六索六索五筒六筒七筒  リーチ  ドラ一万
高目安目無しのリーチ。とりあえずどこから出てもラス抜け確定。
同巡、灘が当たり牌の四万を使い切り、テンパイ。
北家 灘
一万一万四万四万四万七索八索九索二筒三筒四筒北北  リーチ  ドラ一万
この半荘、最初は荒のペースになると思ったのだが、それを崩したのは灘であった。
この局も当然のように四万を吸収し、灘が勝つのかと思ったが・・・。
だが、荒は一発で一万を手繰り寄せた。
値千金の1,000・2,000は1,500・2,500。
南3局、荒は抜け出し、清原と灘の競り合いになった。
何とか連荘したい清原だが、ここは灘が清原の親を流す。
清原は自分の時間を作らせてもらえない。
南家 灘
二万二万二万三万三万六索六索六索五筒六筒  ポン八筒 上向き八筒 上向き八筒 上向き  ロン七筒
荒から1,000のアガリ。
最終局を迎えて、トータルのポイントは以下のとおり
荒 +49.7P
安村▲17.3P
清原+33.0P
灘 +35.4P
清原は灘から1,300、荒からの2,000、安村からの2,600、または、500・1,000のツモアガリが条件となる。
灘は荒に原点復帰されて半荘を終了されると敗退。清原とノーテン罰符で変わってしまうため、次局手を伏せてもいいリードになるアガリ、またはテンパイを組みに行かないといけない状況。
清原が5巡目にドラの七索をポンし、プレッシャーを与える。
北家 清原
七万八万二索五索六索三筒四筒六筒八筒八筒  ポン七索 上向き七索 上向き七索 上向き  ドラ七索
ドラを切ったのは、荒。荒も自分で決めに行く構えだ。
灘も清原の切った二索を泣いて仕掛け返し、1シャンテン。
東家 灘
三万四万五万六万七万九索五筒五筒六筒七筒  ポン二索 上向き二索 上向き二索 上向き  ドラ七索
ただし、この手をアガリ切っても、あと1局か2局は勝負しなければいけないので、これは苦肉の策だろう。
清原のプレッシャー策が功を奏している。
だが、ファーストテンパイは荒。
南家 荒
四万四万四万五万六万七万一筒二筒三筒七筒九筒西西  ドラ七索
役無しだが、清原に打つと敗退なので、さすがにヤミテンを選択。
もし荒がヤミテンで八筒をツモった場合、荒が原点に復帰するため、灘と清原のポイント差が3縮まり、清原の逆転通過となる。
だが、荒が八筒をツモることはなく、
北家 清原
六万七万八万五索六索四筒四筒八筒八筒八筒  ポン八索 上向き八索 上向き八索 上向き  ロン七索  ドラ八索
清原が灘から7,700を自力でアガリ、初決勝を自分の手で決めた。
C卓最終結果
※()内はトータルポイント
荒 ▲ 5.1P(+46.7P)
安村▲13.5P(▲17.3P)
清原+ 6.6P(+47.7P)
灘 +12.0P(+23.7P)
この結果により、第40期王位戦決勝戦は、
矢島亨 (日本プロ麻雀協会)
清原継光(日本プロ麻雀連盟)
荒正義 (日本プロ麻雀連盟)
五十嵐毅(日本プロ麻雀協会)
この4名で行われることとなった。
では、惜しくも敗れた選手からひとことや感想をいただいた。
12位 福島直次郎「皆さん強かったです。楽しませていただきました。」
11位 古川孝次 「もっと踏み込めなかったのが残念。また来年挑戦します。」
10位 安村浩司 「情けないです・・・。」
9位 近藤久春 「出だしは良かったんだけど、4回戦にアガリ逃しをしてしまってから崩れてしまった。5回戦でトップ目からラスまで落ちてしまって、それが痛かった。最終戦も東掴んじゃって終わっちゃったね。今日はミスが多かった。」
8位 石井一馬 「1・2回戦大きいプラスだったけど、3・4回戦目で負けてしまって・・・。経験の少なさが出てしまったのかなぁ、と思います。また勉強しなおします。」
7位 灘麻太郎 「一言?なにもないよ。弱いから負けたんだ。」
6位 海老沢稔 「手は入っていたと思うのですが、肝心なところでアガれなかったり・・・でも、麻雀ってそういうものですよね。悔しい思いをさせていただいたので、来年以降の糧にしたいと思います。ありがとうございました。」
5位 手塚紗掬 「残りたかったです・・・。」
そして、最後に勝ち残った選手たちからの意気込みをお伝えしてお別れしよう。
1位通過 矢島亨「あまり打ちなれていないルールなんですが、今年は(似たルールの)オータムチャレンジカップも決勝に残れました。そっちは負けてしまったので、今回は勝ちたいです。頑張ります。」
2位通過 清原継光「内容は酷かったけど、最後は麻雀の神様が微笑んでくれた。明日はまっすぐ行きます!」
3位通過 荒正義「明日は3回目の優勝を目指します。この王位は僕にとってはツキタイトル。頭勝負でがんばります!」
4位通過 五十嵐毅「最初3連勝したけど、その後はグダグダだった。(最終戦、オーラスの二筒アガれてよかった。生きた心地がしなかったよ・・・。」
決勝は明日、日本プロ麻雀連盟チャンネルにて、終日、放送される。
荒3回目の戴冠なるか?
はたまた五十嵐久しぶりのタイトル奪取か?
それとも、矢島・清原の初タイトルか?
筆者もいち視聴者として非常に楽しみである。
長文失礼致しました。

第95回:東城 りお

はじめまして。
この度、十段位の櫻井秀樹プロよりバトンを受け取りました29期後期生の東城りおです。

リレーエッセイは初めてなのでなにを書いていいのか…
まず、自己紹介からしてみようと思います!

199X年9月18日生まれ。
ロマンを追い求め続けるが実は現実派のおとめ座。
ものすごくおおざっぱだけど、変な所だけ神経質なО型。
寒さが苦手な秋田県出身、身長ばかりに栄養がいってしまった168cm。
好きな食べ物は豚さんと牛さんと生タコ。
嫌いな食べ物は、セロリとコーヒー。
好きな事は寝る事で、趣味はゲームとアニメとマンガ。

これだけ見るとひきこもりっぽいですが、意外と泳いだり走ったりするのも好きだったりします。
主に、麻雀店の専属として働いています。

最近はありがたいことに、色々なお店にゲストに呼んでいただいたり、麻雀格闘倶楽部や、日本プロ麻雀連盟カレンダーや写真集「国士無双」、そして天空麻雀などにも出演させてもらったり、
連盟チャンネルではMCの仕事なんかもさせていただけるようになりました。

初MCは、インターネット麻雀日本選手権という、ネット麻雀では唯一のタイトル戦で、緊張でガチガチのカミカミでした笑
その時をきっかけに、解説や実況のお仕事をもっとしてみたいと思い積極的に取り組むようになりました。と、ものすごくお仕事は順調に進んでいるのですが、1つ大きな悩みがあります。
それは、タイトルが1つもないという事。それと、女流桜花ではCリーグ、リーグ戦ではD3リーグで、まだ連盟に入会してから1年、麻雀でなにも活躍できていないという事です。

周りには、女流桜花を連覇した事のある魚谷侑未プロや、女流モンド、夕刊フジで優勝やメディアで大活躍する高宮まりプロがいたり、仲のいい子たちはみんなどんどん上のリーグにいってしまい
焦ってしまったり、落ち込んだり・・・
時には、自分には麻雀は向いていないんじゃないかって思ってしまう時も・・・

このまま何も結果を残せずに、プロとしてやっていけるのか!?
日々悩みに悩んでいるところです。

なんか文章が暗いですね(´・ω・`)笑
応援してくれているファンの方たちのためにも、来年こそは昇級!タイトル獲得目指してがんばりたいと思います。

と悩みに悩んでいるところに、私と同じお店で働いている、同じリーグの清原継光プロが、なんと王位戦で優勝しました!!

また周りがどんどん離れていく…シクシク。と悲しむのは後にして、まずはおめでとう!!
彼はすごく真面目で、何事にも一生懸命で、でもたまに天然で面白くて、お客さんやメンバーから
とても慕われていて、
「きよちゃん王位なっちゃうかもねー」
「王位になったら清原王位って呼ぶよー」
なんて、みんなと話をしていたら、本当に王位になるなんて…

いつも麻雀に対して真面目で努力家で、きっとその努力が報われたんだなと思います。
きよちゃんおめでとう!
そして、そんな清原継光プロにバトンを受け渡したいと思います。

清原王位よろしくお願いします!

リレーエッセィ/第95回:東城 りお

はじめまして。
この度、十段位の櫻井秀樹プロよりバトンを受け取りました29期後期生の東城りおです。
リレーエッセイは初めてなのでなにを書いていいのか…
まず、自己紹介からしてみようと思います!
199X年9月18日生まれ。
ロマンを追い求め続けるが実は現実派のおとめ座。
ものすごくおおざっぱだけど、変な所だけ神経質なО型。
寒さが苦手な秋田県出身、身長ばかりに栄養がいってしまった168cm。
好きな食べ物は豚さんと牛さんと生タコ。
嫌いな食べ物は、セロリとコーヒー。
好きな事は寝る事で、趣味はゲームとアニメとマンガ。
これだけ見るとひきこもりっぽいですが、意外と泳いだり走ったりするのも好きだったりします。
主に、麻雀店の専属として働いています。
最近はありがたいことに、色々なお店にゲストに呼んでいただいたり、麻雀格闘倶楽部や、日本プロ麻雀連盟カレンダーや写真集「国士無双」、そして天空麻雀などにも出演させてもらったり、
連盟チャンネルではMCの仕事なんかもさせていただけるようになりました。
初MCは、インターネット麻雀日本選手権という、ネット麻雀では唯一のタイトル戦で、緊張でガチガチのカミカミでした笑
その時をきっかけに、解説や実況のお仕事をもっとしてみたいと思い積極的に取り組むようになりました。と、ものすごくお仕事は順調に進んでいるのですが、1つ大きな悩みがあります。
それは、タイトルが1つもないという事。それと、女流桜花ではCリーグ、リーグ戦ではD3リーグで、まだ連盟に入会してから1年、麻雀でなにも活躍できていないという事です。
周りには、女流桜花を連覇した事のある魚谷侑未プロや、女流モンド、夕刊フジで優勝やメディアで大活躍する高宮まりプロがいたり、仲のいい子たちはみんなどんどん上のリーグにいってしまい
焦ってしまったり、落ち込んだり・・・
時には、自分には麻雀は向いていないんじゃないかって思ってしまう時も・・・
このまま何も結果を残せずに、プロとしてやっていけるのか!?
日々悩みに悩んでいるところです。
なんか文章が暗いですね(´・ω・`)笑
応援してくれているファンの方たちのためにも、来年こそは昇級!タイトル獲得目指してがんばりたいと思います。
と悩みに悩んでいるところに、私と同じお店で働いている、同じリーグの清原継光プロが、なんと王位戦で優勝しました!!
また周りがどんどん離れていく…シクシク。と悲しむのは後にして、まずはおめでとう!!
彼はすごく真面目で、何事にも一生懸命で、でもたまに天然で面白くて、お客さんやメンバーから
とても慕われていて、
「きよちゃん王位なっちゃうかもねー」
「王位になったら清原王位って呼ぶよー」
なんて、みんなと話をしていたら、本当に王位になるなんて…
いつも麻雀に対して真面目で努力家で、きっとその努力が報われたんだなと思います。
きよちゃんおめでとう!
そして、そんな清原継光プロにバトンを受け渡したいと思います。
清原王位よろしくお願いします!

第96回『サバキの神髄②』 荒 正義

②人のサバキ

「点」と「点」をつないで「線」のサバキができたら、次の課題は「人」である。
「人」とは相手であり対戦者だ。人をサバクには相手の打ち筋を見極め、色分けしておくことが肝心である。
麻雀の打ち筋は大きく分けると程度の差こそあれ、次の3種類。

1・攻撃型
2・バランス型
3・守備型

攻め麻雀の典型プロは、山井弘と1年前までの佐々木寿人である。
2人の攻めは強烈である。攻めで相手の手を曲げ(潰し)させ、アガリを拾いツキを奪って一気に主導権を握るのだ。

守備型の代表格にはA2に復帰を果たした藤原隆弘と現・鳳凰の藤崎智がいる。
藤崎本人は「違う」というが、こちらが受ける印象は「攻め」よりやはり「受け」である。
ただ彼の場合、受けから攻めの切り返しが速い。そして読みの精度が高くアガリの打点が高い。だから手強いのだ。

攻撃と守備その中道を行くのが対応のバランス型である。いわば攻めと守りの好いところ取りである。
滝沢和典がそうだし、多彩な「技」で相手をほんろうする沢崎誠もそうだ。
タイトルコレクターの瀬戸熊直樹前原雄大も攻撃型に近いバランス型である。私もそうだ。
打ち手の7割はこのバランス型に属する。これが色分けである。

*ヒサトに1年前と注釈をつけたのは、今は「守り」を取り入れてバランス型にシフトチェンジしているからである。

言葉の説明では分りづらいため、牌姿で示そう。
開局早々の東1局に親からリーチが入る。

西九筒 上向き九万 上向き二筒 上向き八万 上向き発五索 左向き??ドラ一索

この時、西家の手がこうだ。

一索一索三索四索五索六索七索八索九索二筒二筒四筒五筒??ツモ六筒

このときドラであろうが一索を叩き切る。危険度は一索三索九索も大差がない。競技ルールならヤミテンで、一発・裏有りのルールなら即リーチだ。
ツモって裏一なら跳満になる、と考える。もちろん、ドラの一索を取りに行くときは三索九索切りの追いかけリーチだ。即断即決、すぐに勝負と前に出る。これが攻撃型である。

守備型は二筒を切っての様子見である。開局なら運も勢いも手探りだから、ここで勝負の判断は急がない。
ここで親満を打てばこの半荘はもとより、今日1日の戦いが苦しくなる。これが守備型の考えだ。
さらに、この手にはまだ変化の余地があるのだ。例えばこうだ。

一索一索一索三索四索五索六索七索八索九索四筒五筒六筒

一索一索三索四索五索六索七索七索八索九索四筒五筒六筒

一索一索三索四索五索六索七索八索二筒三筒四筒五筒六筒

この手ならマチと打点は十分だし、反撃はそれからでも遅くはない。これが守備型の考えである。

では、バランス型の場合はどうだろう。
押し引きの判断は、相手と自分の勢いで決める。勢いとはツキ状態であり運量である。
しかしこの場合、開局したばかりで判断基準がない。だからそのときの直感と気分で決める。

一索を切ることもあれば二筒切りもある。
今日は固くいこうと決めたなら二筒で、勝ちに行くと思ったならば一索切りである。
もちろん三索九索切りのリーチもある。勝ちに行こうとすれば危険度が高くなり、固く打てば勝率が下がるのは百も承知である。
バランス型は態勢が決まるまで流動的で、他の型より打牌の選択肢が多くなるのだ。

しかし、どの型であろうと応手が変わらぬときがある。
西家の手がこの手の場合だ。

一索一索三索四索五索六索七索八索九索二筒二筒四筒五筒??ツモ三筒

ピンズが一路左によれば受けが広がる複合メンツだ。これなら打牌は安全で柔らかい二筒で、1シャンテン戻しとなる。攻撃型も恐らくそうだ。
ここまでが、型の分類と打ち方の違いである。これができたら「サバキ」は次の段階に進むことが可能だ。

同じく開局したばかりの東1局。攻撃型の親(山井かヒサト)から7巡目にリーチが入る。

西一筒 上向き中五筒 上向き一索 上向き八索 上向き七万 左向き??ドラ五万

この時、西家の自分の手がこうである。

三万四万六万六万七万二索三索六索七索二筒二筒七筒八筒

手牌はメンタンピン形でドラにも対応できる手だ。うまく決まれば678の三色がある。
当然、闘志満々である。満貫の1シャンテンになったら無筋でも1牌は勝負だ。

なぜなら親が攻撃型の場合、マチと打点が不十分でもリーチをかけてくるケースが多いからだ。
不十分でも攻めで相手を降ろし、流局でも親権確保でOKが攻撃型の考えだ。
そしてツモったら望外の利と、笑うことだろう。

そう易々と思惑通りには打たせるわけにはいかない。だから前に出る。もちろん、親が本手のときも稀にある。
「どっちなのか、見ようじゃないか!」の気分だ。
これが戦いであり勝負なのだ。

しかしこの時、南家の藤崎か滝沢からスッと三万が切られた場合は話が別である。
受けのしっかりした者が、親のリーチに一発で無筋を通すからにはそれなりの理由があるのだ。
打点も十分だしマチもいい。ヤミテンなら親の現物も危ない。
怖いのは親よりむしろ南家の方である。私ならそう考える。

したがって、次のツモがドラの五万でない限り、撤退して2人の勝負の行く末を見守る。
そして問題は、結果が出たこの後の構えである。
打ち合えば、アガった方をマークする。戦うなら負けた方とやるのが賢明である。

相手は傷を負っている分、態勢はこちらが有利だ。
相手の型を見、流れを見て戦う相手を決める。これが「人」のサバキである。

点と線。そして人と流れを見る。これでようやくサバキにふくらみが出て、立体形となるのだ。
しかし、まだ二合目の途中経過に過ぎない。

文中敬称略、以下次号。

上級/第96回『サバキの神髄②』 荒 正義

②人のサバキ
「点」と「点」をつないで「線」のサバキができたら、次の課題は「人」である。
「人」とは相手であり対戦者だ。人をサバクには相手の打ち筋を見極め、色分けしておくことが肝心である。
麻雀の打ち筋は大きく分けると程度の差こそあれ、次の3種類。
1・攻撃型
2・バランス型
3・守備型
攻め麻雀の典型プロは、山井弘と1年前までの佐々木寿人である。
2人の攻めは強烈である。攻めで相手の手を曲げ(潰し)させ、アガリを拾いツキを奪って一気に主導権を握るのだ。
守備型の代表格にはA2に復帰を果たした藤原隆弘と現・鳳凰の藤崎智がいる。
藤崎本人は「違う」というが、こちらが受ける印象は「攻め」よりやはり「受け」である。
ただ彼の場合、受けから攻めの切り返しが速い。そして読みの精度が高くアガリの打点が高い。だから手強いのだ。
攻撃と守備その中道を行くのが対応のバランス型である。いわば攻めと守りの好いところ取りである。
滝沢和典がそうだし、多彩な「技」で相手をほんろうする沢崎誠もそうだ。
タイトルコレクターの瀬戸熊直樹前原雄大も攻撃型に近いバランス型である。私もそうだ。
打ち手の7割はこのバランス型に属する。これが色分けである。
*ヒサトに1年前と注釈をつけたのは、今は「守り」を取り入れてバランス型にシフトチェンジしているからである。
言葉の説明では分りづらいため、牌姿で示そう。
開局早々の東1局に親からリーチが入る。
西九筒 上向き九万 上向き二筒 上向き八万 上向き発五索 左向き??ドラ一索
この時、西家の手がこうだ。
一索一索三索四索五索六索七索八索九索二筒二筒四筒五筒??ツモ六筒
このときドラであろうが一索を叩き切る。危険度は一索三索九索も大差がない。競技ルールならヤミテンで、一発・裏有りのルールなら即リーチだ。
ツモって裏一なら跳満になる、と考える。もちろん、ドラの一索を取りに行くときは三索九索切りの追いかけリーチだ。即断即決、すぐに勝負と前に出る。これが攻撃型である。
守備型は二筒を切っての様子見である。開局なら運も勢いも手探りだから、ここで勝負の判断は急がない。
ここで親満を打てばこの半荘はもとより、今日1日の戦いが苦しくなる。これが守備型の考えだ。
さらに、この手にはまだ変化の余地があるのだ。例えばこうだ。
一索一索一索三索四索五索六索七索八索九索四筒五筒六筒
一索一索三索四索五索六索七索七索八索九索四筒五筒六筒
一索一索三索四索五索六索七索八索二筒三筒四筒五筒六筒
この手ならマチと打点は十分だし、反撃はそれからでも遅くはない。これが守備型の考えである。
では、バランス型の場合はどうだろう。
押し引きの判断は、相手と自分の勢いで決める。勢いとはツキ状態であり運量である。
しかしこの場合、開局したばかりで判断基準がない。だからそのときの直感と気分で決める。
一索を切ることもあれば二筒切りもある。
今日は固くいこうと決めたなら二筒で、勝ちに行くと思ったならば一索切りである。
もちろん三索九索切りのリーチもある。勝ちに行こうとすれば危険度が高くなり、固く打てば勝率が下がるのは百も承知である。
バランス型は態勢が決まるまで流動的で、他の型より打牌の選択肢が多くなるのだ。
しかし、どの型であろうと応手が変わらぬときがある。
西家の手がこの手の場合だ。
一索一索三索四索五索六索七索八索九索二筒二筒四筒五筒??ツモ三筒
ピンズが一路左によれば受けが広がる複合メンツだ。これなら打牌は安全で柔らかい二筒で、1シャンテン戻しとなる。攻撃型も恐らくそうだ。
ここまでが、型の分類と打ち方の違いである。これができたら「サバキ」は次の段階に進むことが可能だ。
同じく開局したばかりの東1局。攻撃型の親(山井かヒサト)から7巡目にリーチが入る。
西一筒 上向き中五筒 上向き一索 上向き八索 上向き七万 左向き??ドラ五万
この時、西家の自分の手がこうである。
三万四万六万六万七万二索三索六索七索二筒二筒七筒八筒
手牌はメンタンピン形でドラにも対応できる手だ。うまく決まれば678の三色がある。
当然、闘志満々である。満貫の1シャンテンになったら無筋でも1牌は勝負だ。
なぜなら親が攻撃型の場合、マチと打点が不十分でもリーチをかけてくるケースが多いからだ。
不十分でも攻めで相手を降ろし、流局でも親権確保でOKが攻撃型の考えだ。
そしてツモったら望外の利と、笑うことだろう。
そう易々と思惑通りには打たせるわけにはいかない。だから前に出る。もちろん、親が本手のときも稀にある。
「どっちなのか、見ようじゃないか!」の気分だ。
これが戦いであり勝負なのだ。
しかしこの時、南家の藤崎か滝沢からスッと三万が切られた場合は話が別である。
受けのしっかりした者が、親のリーチに一発で無筋を通すからにはそれなりの理由があるのだ。
打点も十分だしマチもいい。ヤミテンなら親の現物も危ない。
怖いのは親よりむしろ南家の方である。私ならそう考える。
したがって、次のツモがドラの五万でない限り、撤退して2人の勝負の行く末を見守る。
そして問題は、結果が出たこの後の構えである。
打ち合えば、アガった方をマークする。戦うなら負けた方とやるのが賢明である。
相手は傷を負っている分、態勢はこちらが有利だ。
相手の型を見、流れを見て戦う相手を決める。これが「人」のサバキである。
点と線。そして人と流れを見る。これでようやくサバキにふくらみが出て、立体形となるのだ。
しかし、まだ二合目の途中経過に過ぎない。
文中敬称略、以下次号。

第31期A1リーグ第8節レポート ともたけ 雅晴

12月…早いもので2014年も残りわずか。
リーグ戦のほうも決定戦進出に向けていよいよ佳境の第9節を迎えた。

今節の結果で最終節の卓組みが決まるので、少しでもプラスして最終節を有利な立場で迎えたい!
そして今節最初の卓なので、後から戦う人達にプレッシャーを与えたい!
という思いの中で始まった1回戦、メンバーは起家から望月、ともたけ、瀬戸熊、沢崎。

東1局 、配牌からドラが2枚入っているチャンス手が来る。
9巡目

四万四万四万五万六万六万三索四索五索三筒五筒六筒七筒  ツモ三万  ドラ四万

三筒を切ればテンパイだが、形が悪すぎるのでテンパイ取らずの打六万
理想は皆さんおわかりですよね!
四筒をツモってきての345の三色。五筒八筒で倍満、二筒で跳満(四筒が入ったら当然リーチ)。
と、絵に書いた餅みたいな事を思っていたら、11巡目にツモってきたのは八万
「巡目も巡目だし万が一アガれたら満貫だよ」という悪魔の囁きに負けてカン七万のテンパイを取ってしまう。

そして13巡目に、親の望月からリーチが掛かり、ツモってきた九筒をツモ切りすると「ロン」の声。
値段は3,900で済んだが、自分の思っていた形とは程遠いリーチも掛けられない、「満貫をテンパイしている」という理由だけでの放銃は、この先も暗雲が立ち込めている事を暗示するような1局となった。

しかし、対局中は終わって時間が経ってからの冷静さはないので、「何か変だな?」とは思っても「まだ始まったばかり」という思いのほうが強く、次の失敗を冒すのである。

東3局、10巡目

三万四万五万六万七万二索四索六索六索七索二筒三筒四筒  ドラ五筒

ツモ三索七索 でリーチ。
普通なら絶好のカン三索が埋まって3メンチャン。しかも高目三色!何が悪いの?と思うでしょう。
放送を見た方はわかると思いますが、実は配牌からマンズは変化していない、俗に言う「死にメンツ」というやつです。

実際、対局時も「誰かに追い付かれたら負ける」と思ってましたが、「二万をツモって跳満」という思いの方が強くて打たせたリーチです。
それと他の対局者に「なんだ、今日のともたけは恐くない」と思われたくないという事もあります。
結果は「やっぱりね」という悪い予感が的中して、親の瀬戸熊に追いかけリーチを掛けられ7,700の放銃です。

続く東3局1本場、

一万二万三万四万五万六万七万八万九万六索六索三筒四筒  ドラ六万

先制リーチが沢崎から入っていたのですが、追い付き今度はヤミテンで沢崎から五筒でロンアガリができて、前局の失点を取り返せたので「ほっと一息」。
1回戦は少し沈みはしましたが大怪我せず3着で終え、「よし!ここからエンジン全開!」と迎えた2回戦は、逆噴射して近年リーグ戦では記憶にない、まさかの箱割れ4着。

3回戦も望月に見事な清老頭をツモられ沈みの2着。
4回戦をやっと少し浮きの2着で終えて、貯金を使い果たさずに済み、何とか特俵で堪えて望みが繋がったという結果で終わりました。

開始前のプレッシャーを与えるという思いは、逆に皆にやる気を出させる事になりましたが、最終節は「今期一番の出来」と言えるような麻雀を打ちたいと思いますので、楽しみにしていて下さい。

プロリーグ(鳳凰戦)レポート/第31期A1リーグ第8節レポート ともたけ 雅晴

12月…早いもので2014年も残りわずか。
リーグ戦のほうも決定戦進出に向けていよいよ佳境の第9節を迎えた。
今節の結果で最終節の卓組みが決まるので、少しでもプラスして最終節を有利な立場で迎えたい!
そして今節最初の卓なので、後から戦う人達にプレッシャーを与えたい!
という思いの中で始まった1回戦、メンバーは起家から望月、ともたけ、瀬戸熊、沢崎。
東1局 、配牌からドラが2枚入っているチャンス手が来る。
9巡目
四万四万四万五万六万六万三索四索五索三筒五筒六筒七筒  ツモ三万  ドラ四万
三筒を切ればテンパイだが、形が悪すぎるのでテンパイ取らずの打六万
理想は皆さんおわかりですよね!
四筒をツモってきての345の三色。五筒八筒で倍満、二筒で跳満(四筒が入ったら当然リーチ)。
と、絵に書いた餅みたいな事を思っていたら、11巡目にツモってきたのは八万
「巡目も巡目だし万が一アガれたら満貫だよ」という悪魔の囁きに負けてカン七万のテンパイを取ってしまう。
そして13巡目に、親の望月からリーチが掛かり、ツモってきた九筒をツモ切りすると「ロン」の声。
値段は3,900で済んだが、自分の思っていた形とは程遠いリーチも掛けられない、「満貫をテンパイしている」という理由だけでの放銃は、この先も暗雲が立ち込めている事を暗示するような1局となった。
しかし、対局中は終わって時間が経ってからの冷静さはないので、「何か変だな?」とは思っても「まだ始まったばかり」という思いのほうが強く、次の失敗を冒すのである。
東3局、10巡目
三万四万五万六万七万二索四索六索六索七索二筒三筒四筒  ドラ五筒
ツモ三索七索 でリーチ。
普通なら絶好のカン三索が埋まって3メンチャン。しかも高目三色!何が悪いの?と思うでしょう。
放送を見た方はわかると思いますが、実は配牌からマンズは変化していない、俗に言う「死にメンツ」というやつです。
実際、対局時も「誰かに追い付かれたら負ける」と思ってましたが、「二万をツモって跳満」という思いの方が強くて打たせたリーチです。
それと他の対局者に「なんだ、今日のともたけは恐くない」と思われたくないという事もあります。
結果は「やっぱりね」という悪い予感が的中して、親の瀬戸熊に追いかけリーチを掛けられ7,700の放銃です。
続く東3局1本場、
一万二万三万四万五万六万七万八万九万六索六索三筒四筒  ドラ六万
先制リーチが沢崎から入っていたのですが、追い付き今度はヤミテンで沢崎から五筒でロンアガリができて、前局の失点を取り返せたので「ほっと一息」。
1回戦は少し沈みはしましたが大怪我せず3着で終え、「よし!ここからエンジン全開!」と迎えた2回戦は、逆噴射して近年リーグ戦では記憶にない、まさかの箱割れ4着。
3回戦も望月に見事な清老頭をツモられ沈みの2着。
4回戦をやっと少し浮きの2着で終えて、貯金を使い果たさずに済み、何とか特俵で堪えて望みが繋がったという結果で終わりました。
開始前のプレッシャーを与えるという思いは、逆に皆にやる気を出させる事になりましたが、最終節は「今期一番の出来」と言えるような麻雀を打ちたいと思いますので、楽しみにしていて下さい。

第12期プロクイーン決定戦 ベスト8B卓レポート 編集部

二階堂瑠美(現・プロクイーン)、優木美智、宮内こずえ(A卓勝ち上がり)の3名。
残りの2名は御存知の通り、和久津晶、茅森早香(B卓勝ち上がり)に決まりました。
すでにプロクイーンのCMも連盟チャンネルにて流れていますね。

第12期プロクイーン決定戦を楽しむ材料の1つとして、改めてベスト8での彼女たちの戦いぶりをレポート致します。
併せてA卓のレポートもご覧ください。

ベスト8B卓

和久津晶(日本プロ麻雀連盟23期)
第9期プロクイーン。今期、マスターズ準優勝。決勝経験は数知れず。
近年はシルバーコレクター等と言われ始めてしまったが、実績だけを見ても女流トップクラス。
プロクイーンベスト8の1週前には女流桜花決定戦への進出を決め、その圧巻の内容からは今週も死角なしか。

吾妻さおり(日本プロ麻雀連盟21期)
第8期女流桜花にして、現・女流桜花。
彼女の持ち味も攻撃力。
女流桜花決定戦より一足早く和久津とここで対戦することに。
一発裏ドラルールも制して2冠を狙う。

茅森早香(最高位戦日本プロ麻雀協会26期後期)
第11期女流最高位。
天才がついにプロクイーンベスト8に登場。
プロクイーン出場は意外と2回目。
自団体のルールと酷似しているためか、戦前の予想は茅森優勢の声がやはり多かった。

内山えみ(日本プロ麻雀連盟27期)
ベスト8の中で唯一勝ち残った若手。
昨年もベスト16まで残っており、今年はベスト8。
タイトルホルダー3名相手に、どこまで通用するか。
後1つ、勝って初決勝を目指す。

100

 

1回戦
起家から(和久津・内山・茅森・吾妻)

東1局、内山が先手

三万四万五万六万六万二索四索八索八索八索二筒二筒二筒  リーチ  ドラ七索

このリーチを打てた事は、内山が普段どおり緊張せずに打てている証拠かもしれない。
ただし、結果はハイテイで8,000の放銃。

茅森
五万五万五索六索七索五筒五筒六筒六筒七筒八筒八筒八筒  ロン七筒

内山は頭が真っ白になったに違いない。
彼女にとって初めてのテレビ対局のオープニングなのだ。

東2局、和久津

四索四索四索五索六索八索八索八索四筒四筒  ポン八筒 上向き八筒 上向き八筒 上向き  ドラ八索

空振り。

前週のA卓を観るようにこの後、流局が続く。
アガリが出たのは東4局3本場、親の吾妻が内山から七対子の2,400は3,300。
しかし二の矢は打てず本場を連れたまま南入。

6本場、和久津、内山のリーチを吾妻が交わす。
吾妻の出来が良い。和久津は手が入るもののここまで実らない。
茅森は最初の満貫以降、加点出来ずにじりじり持ち点が減っていく。

そして南3局、吾妻が勝負手をリーチ。

六万七万八万四索五索六索八索八索四筒五筒五筒六筒六筒  リーチ  ドラ六万

しかし勝ったのは仕掛けを入れた和久津。

三万三万三万六万六万三索四索五索六筒七筒  チー四万 左向き三万 上向き五万 上向き  ロン八筒

3,900をトップの吾妻から直撃で和久津がトップに立つ。

南4局
和久津42,700 内山12,200 茅森27,900 吾妻37,200

茅森にドラ暗刻のチャンス手。テンパイ後、即リーチ。

三万四万五万一索二索三索一筒三筒七筒七筒東東東  リーチ  ドラ東

跳満ツモでトップになれるが結末は、なんとトップの和久津が仕掛けを入れているところから一発で放銃。
裏が乗れば吾妻を捲くれたが裏ドラはなし。吾妻はやはり展開がいい。
打った和久津も苦笑い。その表情からはまだ余裕が窺える。

1回戦成績
吾妻+22.2P  茅森+10.9P  和久津▲0.3P  内山▲32.8P

 

2回戦
起家から(和久津・内山・茅森・吾妻)

起家、和久津、わずか5巡で5,800を吾妻からアガった次局。
8巡目に内山がポンテンを入れると、次巡、七万を引き入れてリーチ。

五万六万七万一索一索三索四索五索七筒八筒九筒中中  リーチ  ドラ一索

なんと9巡目にして待ちは4枚とも山に。
そして難なく一発ツモ。6,100オールのアガリ。

100

1回戦目のオーラスのあの不敵な笑いは、このアガリを知っていたかのよう。

東1局でこの半荘の勝負を決めてしまった感がある。

東場は小場で局が進む。
東4局、和久津攻撃の手を緩めない4巡目リーチ。
そこに追いついた茅森もリーチ。
安全牌に詰まった内山は、和久津の現物をツモ切りしてこれが一発ロン。
内山苦しい。

南3局、内山今シリーズ初アガリがようやく出る。

一万二万三万二索三索四索七索七索八索八索九索九筒九筒  リーチ  ツモ九索  ドラ南  裏三筒

そしてオーラスの得点状況は以下のように熾烈な2着争い。

和久津54,900 内山20,200 茅森20,800 吾妻24,100

茅森は2着を狙いリーチ。瞬間4着目に。

四万五万六万三索三索七索七索七索五筒六筒六筒七筒八筒  リーチ  ドラ南

ツモれば文句なしの2着。吾妻から直撃でもよし。他家からだと裏ドラが必要。
このとき吾妻はテンパイまでは程遠い。
3着致し方なしで、直撃だけは避ける打牌を選ぶだろう。

しかしこのとき、倍満を放銃してもトップの和久津がドラドラ1シャンテンで真っ向勝負。
その和久津が切った牌を内山はチー。

二万二万四万五万六万二索二索二索三筒四筒  チー五万 左向き四万 上向き六万 上向き

「1,000点の仕掛けだがリーチが入った以上、3着キープは致し方なし。」と解説の勝又。
吾妻は内山、和久津が戦ってくれれば2人テンパイ以上は確実なのでオリを選択。
内山も無筋を切り飛ばしていく。そしてついにドラの南を掴む。

一度テンパイを外しハイテイでまた選択。
ドラを切ればテンパイで3着キープ。もし仮に和久津もテンパイしていれば、吾妻と2,900点差の為、2着になれる。
しかし内山の選択は4着を引き受けた。

これはどうだっただろうか?
オリれば4着は確定。どうせ4着なら跳満を打ってでも3着以上を狙ったほうがいいのではないか?
賛否両論だとは思うが、単純に2連続4着はほぼ敗退を意味する。
そして吾妻、2着と展開がいい。

2回戦成績
和久津+38.9P  吾妻▲1.9P  茅森▲12.2P  内山▲25.8P (供託1.0P)

2回戦終了時
和久津+38.6P  吾妻+20.3P  茅森▲1.3P  内山▲58.6P (供託1.0P)

100

 

3回戦
起家から(内山・和久津・吾妻・茅森)

少し元気のない茅森。
攻守のバランスもよくトーナメントの戦い方も熟知している。
唯一展開だけが向かない。

東場大きな動きがないまま南場へ。
親番の内山、七対子テンパイもここは高打点を狙ってか見逃し。
するとあっさり吾妻が400・700ツモアガリ。
そして因果関係か、次局、吾妻に七対子ドラドラの6,400を放銃。
3連続4着で実質この3回戦で敗退が決まってしまった。

南4局、後がない茅森の親番。
しかし3回戦の主人公は女流桜花。

三万四万五万二索三索一筒一筒一筒三筒三筒三筒中中  リーチ  一発ツモ四索  ドラ二万  裏一筒

3,000・6,000。

100

3回戦成績
吾妻+36.8P  和久津+6.1P  茅森▲10.7P  内山▲32.2P

3回戦終了時
吾妻+57.1P  和久津+44.7P  茅森▲12.0P  内山▲90.8P (供託1.0P)

 

4回戦
起家から(茅森・和久津・吾妻・内山)

さてここからがトーナメントの面白いところ。
現状、茅森は和久津との差は56.7P。
3着順差(トップラス)で26,700点差。
2着順差(1・3・2・4)で36,700点差。

トップを一度取ることが出来れば和久津か、吾妻は3着以下になるので、この3回戦目は茅森にとって正念場。
攻め主体になるか。和久津と、吾妻はどう考えるか。
2回のうち1回でも茅森より上の順位ならば通過はほぼ固いであろう。
守りすぎないことと、ターゲットにならないことが重要。

東1局、和久津が茅森の親を1,300で落とす。
東2局、6万点以上の2連勝が最低条件の西家・内山にドラ暗刻のチャンス。

100

配牌
一万二万六万八万二索四索五索三筒七筒東西西西  ドラ西

跳満以上を狙いたいが、まずは満貫でもいいのでリードしたい。
2巡目

一万二万六万八万二索三索四索五索三筒七筒西西西  ツモ八万

ツモが良く雀頭が出来たところ。ここで内山は打5としてしまう。
三色を狙うのであれば打七筒。打六万。横に広げたければ、ペンチャンターツ外しも柔軟。
そして、親・和久津のリーチが入り3,900放銃。
そのときの形が

八万八万八万二索三索四索五筒西西西  チー二筒 左向き一筒 上向き三筒 上向き

少し勿体ない。

東2局1本場、和久津2,000オールは2,100オール。
2本場、怖い和久津の親をここは吾妻が400・700で交わす。
東3局の吾妻の親、ここも和久津が鳴いて捌きあっという間に落とす。

東4局、親の内山がまず先制リーチ。

一索二索三索四索七索八索九索二筒三筒四筒四筒五筒六筒  リーチ  ドラ四索

そして茅森がついに追いつく。

八万八万九万九万四索四索六索六筒六筒東東南白白  打六索  リーチ

無筋の六索か親の現物の南か。ただし茅森の河は明らかな変則手。
茅森は六索を勝負し、内山との真っ向勝負に出た。
そして内山が南を掴む。裏ドラが南で12,000の大きなアガリ。
これで和久津に迫る。

しかし茅森は親番に繋がらない。親が流れ和久津の親番、南2局2本場。
大きすぎる2,600は2,800オール。これで和久津50,000オーバー。

南2局3本場、ほぼ通過確定に近い和久津はさらに加点をしにいく。
ここで茅森がリーチ。

一万二万三万一索三索一筒二筒三筒五筒五筒五筒七筒七筒  リーチ  ドラ四索

そして吾妻も応戦。

五万六万七万四索四索五索五索六索三筒三筒  ポン四筒 上向き四筒 上向き四筒 上向き

和久津にもタンヤオテンパイが入っていたが二索を掴みオリ。
この局を制すれば、茅森は最終戦に勝負を持ち越せる。
吾妻に放銃するようだと敗退濃厚の場面。

ここは茅森に軍配。

一万二万三万一索三索一筒二筒三筒五筒五筒五筒七筒七筒  リーチ  ツモ二索  ドラ四索  裏四万

2,000・4,000これで和久津まで1,900点差。

南3局、西家・茅森が役ありリーチ。

一万三万二索二索七索八索九索七筒八筒九筒西西西  リーチ  ドラ四万

ヤミテンがセオリーの場面だが打点が欲しいところ。
これで親の吾妻の頭には否が応でも浮かぶ。
「満貫放銃すれば最終戦、着順勝負までなってしまうなあ。」
しかしそんな言葉を払いのけ真っ向勝負。
先に追いついたのはなんと内山。

四索五索五索五索六索六索七索八索三筒四筒五筒六筒七筒  リーチ

これに茅森が放銃してしまうと危なかったが、内山のハイテイ牌はなんと二万
天才がついにトップを奪取。

100

4回戦成績
茅森+35.8P   和久津+19.5P   吾妻▲8.6P  内山▲49.7P

4回戦終了時
和久津+64.2P  吾妻+48.5P  茅森+23.8P  内山▲140.5P(供託1.0P)

こうなってしまえば最終戦、差は歴然。
吾妻は大量リードを守ることが出来なかった。

最終戦成績
和久津+30.2P  茅森+9.3P  内山▲3.2P  吾妻▲36.3P

最終結果
和久津+94.4P  茅森+33.1P  吾妻+12.2P  内山▲143.7P

B卓勝ち上がり
1位通過 和久津晶  2位通過 茅森早香

プロクイーン決定戦 レポート/第12期プロクイーン決定戦 ベスト8B卓レポート 編集部

二階堂瑠美(現・プロクイーン)、優木美智、宮内こずえ(A卓勝ち上がり)の3名。
残りの2名は御存知の通り、和久津晶、茅森早香(B卓勝ち上がり)に決まりました。
すでにプロクイーンのCMも連盟チャンネルにて流れていますね。
第12期プロクイーン決定戦を楽しむ材料の1つとして、改めてベスト8での彼女たちの戦いぶりをレポート致します。
併せてA卓のレポートもご覧ください。
ベスト8B卓
和久津晶(日本プロ麻雀連盟23期)
第9期プロクイーン。今期、マスターズ準優勝。決勝経験は数知れず。
近年はシルバーコレクター等と言われ始めてしまったが、実績だけを見ても女流トップクラス。
プロクイーンベスト8の1週前には女流桜花決定戦への進出を決め、その圧巻の内容からは今週も死角なしか。
吾妻さおり(日本プロ麻雀連盟21期)
第8期女流桜花にして、現・女流桜花。
彼女の持ち味も攻撃力。
女流桜花決定戦より一足早く和久津とここで対戦することに。
一発裏ドラルールも制して2冠を狙う。
茅森早香(最高位戦日本プロ麻雀協会26期後期)
第11期女流最高位。
天才がついにプロクイーンベスト8に登場。
プロクイーン出場は意外と2回目。
自団体のルールと酷似しているためか、戦前の予想は茅森優勢の声がやはり多かった。
内山えみ(日本プロ麻雀連盟27期)
ベスト8の中で唯一勝ち残った若手。
昨年もベスト16まで残っており、今年はベスト8。
タイトルホルダー3名相手に、どこまで通用するか。
後1つ、勝って初決勝を目指す。
100
 
1回戦
起家から(和久津・内山・茅森・吾妻)
東1局、内山が先手
三万四万五万六万六万二索四索八索八索八索二筒二筒二筒  リーチ  ドラ七索
このリーチを打てた事は、内山が普段どおり緊張せずに打てている証拠かもしれない。
ただし、結果はハイテイで8,000の放銃。
茅森
五万五万五索六索七索五筒五筒六筒六筒七筒八筒八筒八筒  ロン七筒
内山は頭が真っ白になったに違いない。
彼女にとって初めてのテレビ対局のオープニングなのだ。
東2局、和久津
四索四索四索五索六索八索八索八索四筒四筒  ポン八筒 上向き八筒 上向き八筒 上向き  ドラ八索
空振り。
前週のA卓を観るようにこの後、流局が続く。
アガリが出たのは東4局3本場、親の吾妻が内山から七対子の2,400は3,300。
しかし二の矢は打てず本場を連れたまま南入。
6本場、和久津、内山のリーチを吾妻が交わす。
吾妻の出来が良い。和久津は手が入るもののここまで実らない。
茅森は最初の満貫以降、加点出来ずにじりじり持ち点が減っていく。
そして南3局、吾妻が勝負手をリーチ。
六万七万八万四索五索六索八索八索四筒五筒五筒六筒六筒  リーチ  ドラ六万
しかし勝ったのは仕掛けを入れた和久津。
三万三万三万六万六万三索四索五索六筒七筒  チー四万 左向き三万 上向き五万 上向き  ロン八筒
3,900をトップの吾妻から直撃で和久津がトップに立つ。
南4局
和久津42,700 内山12,200 茅森27,900 吾妻37,200
茅森にドラ暗刻のチャンス手。テンパイ後、即リーチ。
三万四万五万一索二索三索一筒三筒七筒七筒東東東  リーチ  ドラ東
跳満ツモでトップになれるが結末は、なんとトップの和久津が仕掛けを入れているところから一発で放銃。
裏が乗れば吾妻を捲くれたが裏ドラはなし。吾妻はやはり展開がいい。
打った和久津も苦笑い。その表情からはまだ余裕が窺える。
1回戦成績
吾妻+22.2P  茅森+10.9P  和久津▲0.3P  内山▲32.8P
 
2回戦
起家から(和久津・内山・茅森・吾妻)
起家、和久津、わずか5巡で5,800を吾妻からアガった次局。
8巡目に内山がポンテンを入れると、次巡、七万を引き入れてリーチ。
五万六万七万一索一索三索四索五索七筒八筒九筒中中  リーチ  ドラ一索
なんと9巡目にして待ちは4枚とも山に。
そして難なく一発ツモ。6,100オールのアガリ。
100
1回戦目のオーラスのあの不敵な笑いは、このアガリを知っていたかのよう。
東1局でこの半荘の勝負を決めてしまった感がある。
東場は小場で局が進む。
東4局、和久津攻撃の手を緩めない4巡目リーチ。
そこに追いついた茅森もリーチ。
安全牌に詰まった内山は、和久津の現物をツモ切りしてこれが一発ロン。
内山苦しい。
南3局、内山今シリーズ初アガリがようやく出る。
一万二万三万二索三索四索七索七索八索八索九索九筒九筒  リーチ  ツモ九索  ドラ南  裏三筒
そしてオーラスの得点状況は以下のように熾烈な2着争い。
和久津54,900 内山20,200 茅森20,800 吾妻24,100
茅森は2着を狙いリーチ。瞬間4着目に。
四万五万六万三索三索七索七索七索五筒六筒六筒七筒八筒  リーチ  ドラ南
ツモれば文句なしの2着。吾妻から直撃でもよし。他家からだと裏ドラが必要。
このとき吾妻はテンパイまでは程遠い。
3着致し方なしで、直撃だけは避ける打牌を選ぶだろう。
しかしこのとき、倍満を放銃してもトップの和久津がドラドラ1シャンテンで真っ向勝負。
その和久津が切った牌を内山はチー。
二万二万四万五万六万二索二索二索三筒四筒  チー五万 左向き四万 上向き六万 上向き
「1,000点の仕掛けだがリーチが入った以上、3着キープは致し方なし。」と解説の勝又。
吾妻は内山、和久津が戦ってくれれば2人テンパイ以上は確実なのでオリを選択。
内山も無筋を切り飛ばしていく。そしてついにドラの南を掴む。
一度テンパイを外しハイテイでまた選択。
ドラを切ればテンパイで3着キープ。もし仮に和久津もテンパイしていれば、吾妻と2,900点差の為、2着になれる。
しかし内山の選択は4着を引き受けた。
これはどうだっただろうか?
オリれば4着は確定。どうせ4着なら跳満を打ってでも3着以上を狙ったほうがいいのではないか?
賛否両論だとは思うが、単純に2連続4着はほぼ敗退を意味する。
そして吾妻、2着と展開がいい。
2回戦成績
和久津+38.9P  吾妻▲1.9P  茅森▲12.2P  内山▲25.8P (供託1.0P)
2回戦終了時
和久津+38.6P  吾妻+20.3P  茅森▲1.3P  内山▲58.6P (供託1.0P)
100
 
3回戦
起家から(内山・和久津・吾妻・茅森)
少し元気のない茅森。
攻守のバランスもよくトーナメントの戦い方も熟知している。
唯一展開だけが向かない。
東場大きな動きがないまま南場へ。
親番の内山、七対子テンパイもここは高打点を狙ってか見逃し。
するとあっさり吾妻が400・700ツモアガリ。
そして因果関係か、次局、吾妻に七対子ドラドラの6,400を放銃。
3連続4着で実質この3回戦で敗退が決まってしまった。
南4局、後がない茅森の親番。
しかし3回戦の主人公は女流桜花。
三万四万五万二索三索一筒一筒一筒三筒三筒三筒中中  リーチ  一発ツモ四索  ドラ二万  裏一筒
3,000・6,000。
100
3回戦成績
吾妻+36.8P  和久津+6.1P  茅森▲10.7P  内山▲32.2P
3回戦終了時
吾妻+57.1P  和久津+44.7P  茅森▲12.0P  内山▲90.8P (供託1.0P)
 
4回戦
起家から(茅森・和久津・吾妻・内山)
さてここからがトーナメントの面白いところ。
現状、茅森は和久津との差は56.7P。
3着順差(トップラス)で26,700点差。
2着順差(1・3・2・4)で36,700点差。
トップを一度取ることが出来れば和久津か、吾妻は3着以下になるので、この3回戦目は茅森にとって正念場。
攻め主体になるか。和久津と、吾妻はどう考えるか。
2回のうち1回でも茅森より上の順位ならば通過はほぼ固いであろう。
守りすぎないことと、ターゲットにならないことが重要。
東1局、和久津が茅森の親を1,300で落とす。
東2局、6万点以上の2連勝が最低条件の西家・内山にドラ暗刻のチャンス。
100
配牌
一万二万六万八万二索四索五索三筒七筒東西西西  ドラ西
跳満以上を狙いたいが、まずは満貫でもいいのでリードしたい。
2巡目
一万二万六万八万二索三索四索五索三筒七筒西西西  ツモ八万
ツモが良く雀頭が出来たところ。ここで内山は打5としてしまう。
三色を狙うのであれば打七筒。打六万。横に広げたければ、ペンチャンターツ外しも柔軟。
そして、親・和久津のリーチが入り3,900放銃。
そのときの形が
八万八万八万二索三索四索五筒西西西  チー二筒 左向き一筒 上向き三筒 上向き
少し勿体ない。
東2局1本場、和久津2,000オールは2,100オール。
2本場、怖い和久津の親をここは吾妻が400・700で交わす。
東3局の吾妻の親、ここも和久津が鳴いて捌きあっという間に落とす。
東4局、親の内山がまず先制リーチ。
一索二索三索四索七索八索九索二筒三筒四筒四筒五筒六筒  リーチ  ドラ四索
そして茅森がついに追いつく。
八万八万九万九万四索四索六索六筒六筒東東南白白  打六索  リーチ
無筋の六索か親の現物の南か。ただし茅森の河は明らかな変則手。
茅森は六索を勝負し、内山との真っ向勝負に出た。
そして内山が南を掴む。裏ドラが南で12,000の大きなアガリ。
これで和久津に迫る。
しかし茅森は親番に繋がらない。親が流れ和久津の親番、南2局2本場。
大きすぎる2,600は2,800オール。これで和久津50,000オーバー。
南2局3本場、ほぼ通過確定に近い和久津はさらに加点をしにいく。
ここで茅森がリーチ。
一万二万三万一索三索一筒二筒三筒五筒五筒五筒七筒七筒  リーチ  ドラ四索
そして吾妻も応戦。
五万六万七万四索四索五索五索六索三筒三筒  ポン四筒 上向き四筒 上向き四筒 上向き
和久津にもタンヤオテンパイが入っていたが二索を掴みオリ。
この局を制すれば、茅森は最終戦に勝負を持ち越せる。
吾妻に放銃するようだと敗退濃厚の場面。
ここは茅森に軍配。
一万二万三万一索三索一筒二筒三筒五筒五筒五筒七筒七筒  リーチ  ツモ二索  ドラ四索  裏四万
2,000・4,000これで和久津まで1,900点差。
南3局、西家・茅森が役ありリーチ。
一万三万二索二索七索八索九索七筒八筒九筒西西西  リーチ  ドラ四万
ヤミテンがセオリーの場面だが打点が欲しいところ。
これで親の吾妻の頭には否が応でも浮かぶ。
「満貫放銃すれば最終戦、着順勝負までなってしまうなあ。」
しかしそんな言葉を払いのけ真っ向勝負。
先に追いついたのはなんと内山。
四索五索五索五索六索六索七索八索三筒四筒五筒六筒七筒  リーチ
これに茅森が放銃してしまうと危なかったが、内山のハイテイ牌はなんと二万
天才がついにトップを奪取。
100
4回戦成績
茅森+35.8P   和久津+19.5P   吾妻▲8.6P  内山▲49.7P
4回戦終了時
和久津+64.2P  吾妻+48.5P  茅森+23.8P  内山▲140.5P(供託1.0P)
こうなってしまえば最終戦、差は歴然。
吾妻は大量リードを守ることが出来なかった。
最終戦成績
和久津+30.2P  茅森+9.3P  内山▲3.2P  吾妻▲36.3P
最終結果
和久津+94.4P  茅森+33.1P  吾妻+12.2P  内山▲143.7P
B卓勝ち上がり
1位通過 和久津晶  2位通過 茅森早香

第40期王位戦A級決勝レポート  本田 朋広

100

・システム

ベスト72からはじまるこのA級決勝。4回戦終了後に下位24名が敗退しベスト48、5回戦終了後に下位12名が敗退しベスト36、6回戦終了後に下位8名が敗退しベスト28、最終7回戦に下位13名が敗退し15名が準決勝へと駒を進める。

現王位の森下を加えた16名での戦いになり、ここまでは去年までと変わらない。
最初の4回戦は、18卓にシード選手16名が入る。
この18名は5回戦まで直接対決はない。

5回戦からは順位ごとの卓組となり、順位ごとの卓組とはその時点での
(1位、24位、25位、48位)
(2位、23位、26位、47位)
といったように、順位合計を同じに、たすきがけのように組む。

昨日のA級本戦も同様であるが、現在のポイントの開示が対戦前に義務づけられた。
今回のレポートを担当させていただいて感じたことは、ベテランの選手は勿論、歴代の王位達は1、2回戦の着順に影響されることなく4回戦を消化している印象だった。

逆に、若手やアマチュアの選手は、1、2回戦にマイナスしてしまうと3、4回戦には本来の実力を出し切れず終了してしまう事もあり、伝統ある王位戦の難しさを選手ではなく観戦記者をやってみて肌で感じた。

・シード選手

歴代王位から荒・森山・灘・羽山・清水・宮崎(協)・滝沢・ダンプ・井出・二見(協)
前回決勝卓の杉浦・伊藤(一般)・穴澤(一般)・手塚・現鳳凰位・藤崎・世界チャンピオン山井、歴代王位順から順番に1卓からシード順に卓が組まれる。
そこに、他団体、アマチュア順位順に卓組され残りを連盟の順位順で行う為、他団体は同じ団体とはあたりづらく、アマチュアは逆に、歴代王位、シード選手と運がよければ3回くらい対戦するチャンスがある。

会場の雰囲気から。好調なスタートをきっているのは、灘、森山、荒、前原らシード選手。

100

灘 麻太郎

100

森山 茂和

100

荒 正義

100

前原 雄大

東場から4万点、5万点持っている状況。
(今日1日、私が強く感じたのはベテランの勢い。この一言に尽きるだろう。)

2回戦に入ってもベテラン勢の勢いは止まらず、古川、近藤もどんどん上位にくいこんできた。

100

古川 孝次

100

近藤 久春

2回戦終了時、A級決勝はベテラン勢が試合を引っ張り、今大会はベテラン選手が活躍する兆候が見られはじめていた。

3回戦以降は、徐々に滝沢、ダンプなど若手歴代王位達も実力を発揮し始めた。

100

滝沢 和典

100

ダンプ 大橋

若手選手の手塚、斉藤(豪)安村、大野も食らいついていった。

しかし、今日のベテラン選手達は、序盤のプラスを守ろうとはせず、どんどんとプラスを重ねていた。
なかでも荒は、東場では苦しい展開となり、7,700、8,000の放銃などもあったが、持ち前の見切りのよさを生かし、捌きなど落ち着いて局をこなし、親番では怒涛の連荘をみせ、トップまであがる。

結果だけを先に言ってしまえば、7回戦を戦いぬき、5回のトップと2回の2着。うち2回は1人浮き、本日は荒の試合巧者ぶりの目立つ1日だった。

4回戦終了。ボーダーは▲20Pこの時点で▲20P以上は敗退。

現鳳凰位藤崎、世界チャンピオン山井、歴代王位清水は敗退となった。

100

藤崎 智

100

山井 弘

100

清水 香織

座る場所などで確認していたが、マイナスこそ▲20Pほどではあったが平均素点などは3~4ほどのマイナスが続いていた。最後まで手が入らず苦しい展開のまま敗退。

藤崎「連盟スタジオだったらなぁー。1年ぶりの錦江荘だったからだめでした。」
山井「世界チャンピオンで運を使いすぎました…。」
清水「来年は頑張ります。」

5回戦終了 敗退ボーダー+1.2P

ベテラン勢も若干の疲れが出たのか、成績も荒れはじめ、東谷、浜上、大野、杉浦、は敗退しまいと元気が見え始めていた。

しかし、ここでもベテラン勢の勢いを感じさせるのは灘、終始疲れを感じさせず通路を歩く際もニコニコと表情が変わらない。

4、5、6回戦と連続で5万点を超えるトップを取り会場一番の元気さえ感じた。
衰えを知らない灘の体力は、準決勝でも必見であろう。

100

5回戦敗退

AⅠリーガー猿川 歴代王位の羽山

100

猿川 真寿

100

羽山 真生

6回戦終了時の敗退ボーダ+15.3P

歴代王位の滝沢 AⅠリーガー前田、敗退

100

滝沢 和典

100

前田 直哉

滝沢「チャンスがあったのになー。悔しいです。」
前田「勝ちにいったけどだめでした。」

7回戦

準決勝進出までのボーダーは、現在15位の有田で44.7Pである。これは、去年の準決勝ボーダーが約45Pであり、当日はそれを目指している声も多く聞こえていたため、選手達には予定通りの状況だったと思われる。

1卓(1位 荒+127.1P 14位 谷岡+45.6P  15位 有田+44.7P  28位 斎藤+17.9P)

ほぼ確定で間違いない荒、開局時で親番の荒にかけよると4,000オールツモアガリ。
最後まで手を緩めることなく7回戦を終える。

マイナスながらもなんとか2着に着けたが、残念ながら谷岡は16位となった。
15位の福島とは0.1P差の42.1Pであり、とても悔しい結果となった。

1位通過 荒

2卓(2位 灘+118P 13位 五十嵐+47.1P 16位 竹内+43P 27位ダンプ+20.4P)

ほぼトップ条件のダンプ。好調の灘から5,200出アガリも、五十嵐が1人浮きまで浮上で万事休す。
結局、ここでも灘が粘りを見せ▲1.7Pながらも2着まで浮上。

2位通過 灘 6位通過 五十嵐

3卓(3位 安村+115.4P 12位 福島+47.9P 17位 石井+39.8P 26位 杉浦+21.4P)

3位安村、ここまでが最終戦ラスを引いてもなんとかなる順位、他3名は必ず2着以上が条件で石井が8,000をアガリ迎えた親番。

東3局 東家 石井

二索二索二索二筒二筒六筒六筒七筒七筒八筒南南南  ドラ六筒

10巡目にこの手牌でテンパイしているも、八筒が場に2枚見えの状態からドラの六筒が出ると、ポンして待ち変えをし、12,000のアガリ。このアガリで勝負あり、1人浮きの5万点越えトップ。

石井は他団体であり、年齢的にも若い選手ではあるが、経験も実績もあり、1回戦から7回戦までを冷静な表情でこなし、最高位戦の代表として相応しくあり、準決勝でも彼の力がどこまで通用するか楽しみである。

一般の選手の福島は、▲5.7Pながらも最終ポイントを42.2Pとし、最後の1人(15位)となる。
一般の選手の中ではただ1人の準決勝進出者となった。

安村は最終戦こそマイナスではあったが、残りはすべてプラスで終え、最終ポイント107.6Pとし、安定感抜群の内容だったといえる。

4位通過 安村 5位通過 石井 15位通過 福島

4卓(4位 近藤+79.6P 11位 手塚+50.6P 18位 清原+39.2P 25位 田中史+26.2P)

オーラス4万点台のトップがほしい田中は、32,600点持ちで6巡目テンパイからリーチ。

一万一万六万六万七万七万八万八万二筒二筒二筒四筒五筒  リーチ  ドラ九筒

29,700点持ちの手塚が、同巡に同じ待ちで追っかけリーチ。
軍配は手塚のツモアガリ。このアガリで+2.6Pながらも卓内トップを取った。

なんとかプラスで終えた清原は、トータルポイントで14位で通過。

近藤は1人沈みのラスを引くも、前半の貯金があり9位通過。

9位通過 近藤 11位通過 手塚 14位通過 清原

5卓(5位 東谷+69.1P 10位 大野51.6P 19位 浜上37.5P 24位 金子27.3P)

1回戦、2回戦とマイナススタートの東谷は、3回戦から4連勝で5位につけるものすごい勢い。
大野も最近の活躍ぶりは、どこでも耳にするくらい結果がでている。

この若手がぶつかりあう最終戦。ラスだけは引きたくない東谷は、南2局でラス目ながらも、ここから気持ちが伝わる連続のアガリでラスを抜ける。

オーラスは3,000、6,000を引いた浜上以外は、東谷27,600、大野23,500、親の金子23,200この状況で大野の手牌2巡目、北家

二万三万四万一索二索三索五索六索七索四筒六筒中中  ドラ二筒

これをヤミテンとし、14巡目に七筒を持ってくる。ここで待ちを変えると四筒が、浜上の高目ピンフ一通に放銃となるが、中を落としてまわる、次巡に四筒を引いて五筒八筒ピンフテンパイ。これもヤミテンで続行。
すると親からリーチの発声とともに打ち切り終了の合図。

大野は、リーチ棒で2着にアガる条件は出来たがヤミテンを続行。
しかし17巡目にドラの二筒が親に放銃、これで終了。

最終ボーダーが42.2Pだったため、大野は最終戦24,600点以上の3着であれば、通過を決めていたが、最終戦が始まった時はほぼ2着以上が条件だったため、他の卓の状況が分からない大会の難しさがここに出た。

本人も結果を聞いてとても悔しい思いをしたと思うが、これをいかし、彼女の今後の活躍に期待したいと思う。

8位通過 浜上 10位通過 東谷

6卓(6位 前原+60.9P 9位 海老沢+53.1P 20位 森山+34.7P 23位 二見 +27.6P)

トップがほしい森山、二見。しかし好調の前原は、南場で39,400点のトップ目、ほかの3人はもうあとがない状況。二見の親がなくなり、南3局、森山も最後の親。南場に入った時点では17,600のラス目1人沈みの状況から、リーチのみながらも最速のアガリで2度アガリきり25,000点の粘りを見せる。
4本場には、またまたリーチ。
ベテランの技、勢いも感じられ、もうプラスが目前にまできているように見えた。
しかし、そこに立ちはだかったのはやはり前原だった。

会場中から、規格外な攻撃力と言われる前原の手は、なんと四暗刻単騎。
これを親の森山から打ち取り、これで森山は親を落とす。
最後はオーラス親の海老沢がノーテンを選んで2着で終了。

3位通過 前原 12位通過 海老沢

7卓(7位 矢島+55.3P 8位 古川 +53.3P 21位 小原 +28.2P 22位 藍島+16.7P)

好調が続くベテラン勢の一角古川。

東3局北家、古川

一万二万三万九万九万九万五索六索三筒四筒五筒東東  ドラ九万

この手牌で10巡目にリーチ。
今日の展開的に、簡単にツモアガリ出来るかと思いきや流局。
古川も黄信号かと思いきやオーラス。

南4局 西家 古川

五索六索七索三筒五筒六筒六筒  ポン四万 上向き四万 上向き四万 上向き  ポン西西西

「ロン1,000点」とし、3万点ちょうどの3着、これで通過。

7位通過 矢島 13位通過 古川

これで本日、全卓終了。

7回戦の長い対局にも関わらず、ベテランの落ち着いたゲーム運びには本当に驚かされる1日だった。
この度は、初めて観戦レポートをすることになったが、来年こそは選手としてこの場に立ちたい。

11月29日 夏目坂スタジオで行われる準決勝出場者は以下の通り。
1位 荒 正義
2位 灘 麻太郎
3位 前原 雄大
4位 安村 浩司
5位 石井 一馬(最高位戦)
6位 五十嵐 殻(協会)
7位 矢島 享(協会)
8位 浜上 文吾
9位 近藤 久春
10位 東谷 達矢
11位 手塚 紗掬
12位 海老沢 稔(最高位戦)
13位 古川 孝次
14位 清原 純光
15位 福原 直次郎(一般)

王位戦 レポート/第40期王位戦A級決勝レポート  本田 朋広

100

・システム
ベスト72からはじまるこのA級決勝。4回戦終了後に下位24名が敗退しベスト48、5回戦終了後に下位12名が敗退しベスト36、6回戦終了後に下位8名が敗退しベスト28、最終7回戦に下位13名が敗退し15名が準決勝へと駒を進める。
現王位の森下を加えた16名での戦いになり、ここまでは去年までと変わらない。
最初の4回戦は、18卓にシード選手16名が入る。
この18名は5回戦まで直接対決はない。
5回戦からは順位ごとの卓組となり、順位ごとの卓組とはその時点での
(1位、24位、25位、48位)
(2位、23位、26位、47位)
といったように、順位合計を同じに、たすきがけのように組む。
昨日のA級本戦も同様であるが、現在のポイントの開示が対戦前に義務づけられた。
今回のレポートを担当させていただいて感じたことは、ベテランの選手は勿論、歴代の王位達は1、2回戦の着順に影響されることなく4回戦を消化している印象だった。
逆に、若手やアマチュアの選手は、1、2回戦にマイナスしてしまうと3、4回戦には本来の実力を出し切れず終了してしまう事もあり、伝統ある王位戦の難しさを選手ではなく観戦記者をやってみて肌で感じた。
・シード選手
歴代王位から荒・森山・灘・羽山・清水・宮崎(協)・滝沢・ダンプ・井出・二見(協)
前回決勝卓の杉浦・伊藤(一般)・穴澤(一般)・手塚・現鳳凰位・藤崎・世界チャンピオン山井、歴代王位順から順番に1卓からシード順に卓が組まれる。
そこに、他団体、アマチュア順位順に卓組され残りを連盟の順位順で行う為、他団体は同じ団体とはあたりづらく、アマチュアは逆に、歴代王位、シード選手と運がよければ3回くらい対戦するチャンスがある。
会場の雰囲気から。好調なスタートをきっているのは、灘、森山、荒、前原らシード選手。

100

灘 麻太郎

100

森山 茂和

100

荒 正義

100

前原 雄大

東場から4万点、5万点持っている状況。
(今日1日、私が強く感じたのはベテランの勢い。この一言に尽きるだろう。)
2回戦に入ってもベテラン勢の勢いは止まらず、古川、近藤もどんどん上位にくいこんできた。

100

古川 孝次

100

近藤 久春

2回戦終了時、A級決勝はベテラン勢が試合を引っ張り、今大会はベテラン選手が活躍する兆候が見られはじめていた。
3回戦以降は、徐々に滝沢、ダンプなど若手歴代王位達も実力を発揮し始めた。

100

滝沢 和典

100

ダンプ 大橋

若手選手の手塚、斉藤(豪)安村、大野も食らいついていった。
しかし、今日のベテラン選手達は、序盤のプラスを守ろうとはせず、どんどんとプラスを重ねていた。
なかでも荒は、東場では苦しい展開となり、7,700、8,000の放銃などもあったが、持ち前の見切りのよさを生かし、捌きなど落ち着いて局をこなし、親番では怒涛の連荘をみせ、トップまであがる。
結果だけを先に言ってしまえば、7回戦を戦いぬき、5回のトップと2回の2着。うち2回は1人浮き、本日は荒の試合巧者ぶりの目立つ1日だった。
4回戦終了。ボーダーは▲20Pこの時点で▲20P以上は敗退。
現鳳凰位藤崎、世界チャンピオン山井、歴代王位清水は敗退となった。

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藤崎 智

100

山井 弘

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清水 香織

座る場所などで確認していたが、マイナスこそ▲20Pほどではあったが平均素点などは3~4ほどのマイナスが続いていた。最後まで手が入らず苦しい展開のまま敗退。
藤崎「連盟スタジオだったらなぁー。1年ぶりの錦江荘だったからだめでした。」
山井「世界チャンピオンで運を使いすぎました…。」
清水「来年は頑張ります。」
5回戦終了 敗退ボーダー+1.2P
ベテラン勢も若干の疲れが出たのか、成績も荒れはじめ、東谷、浜上、大野、杉浦、は敗退しまいと元気が見え始めていた。
しかし、ここでもベテラン勢の勢いを感じさせるのは灘、終始疲れを感じさせず通路を歩く際もニコニコと表情が変わらない。
4、5、6回戦と連続で5万点を超えるトップを取り会場一番の元気さえ感じた。
衰えを知らない灘の体力は、準決勝でも必見であろう。

100

5回戦敗退
AⅠリーガー猿川 歴代王位の羽山

100

猿川 真寿

100

羽山 真生

6回戦終了時の敗退ボーダ+15.3P
歴代王位の滝沢 AⅠリーガー前田、敗退

100

滝沢 和典

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前田 直哉

滝沢「チャンスがあったのになー。悔しいです。」
前田「勝ちにいったけどだめでした。」
7回戦
準決勝進出までのボーダーは、現在15位の有田で44.7Pである。これは、去年の準決勝ボーダーが約45Pであり、当日はそれを目指している声も多く聞こえていたため、選手達には予定通りの状況だったと思われる。
1卓(1位 荒+127.1P 14位 谷岡+45.6P  15位 有田+44.7P  28位 斎藤+17.9P)
ほぼ確定で間違いない荒、開局時で親番の荒にかけよると4,000オールツモアガリ。
最後まで手を緩めることなく7回戦を終える。
マイナスながらもなんとか2着に着けたが、残念ながら谷岡は16位となった。
15位の福島とは0.1P差の42.1Pであり、とても悔しい結果となった。
1位通過 荒
2卓(2位 灘+118P 13位 五十嵐+47.1P 16位 竹内+43P 27位ダンプ+20.4P)
ほぼトップ条件のダンプ。好調の灘から5,200出アガリも、五十嵐が1人浮きまで浮上で万事休す。
結局、ここでも灘が粘りを見せ▲1.7Pながらも2着まで浮上。
2位通過 灘 6位通過 五十嵐
3卓(3位 安村+115.4P 12位 福島+47.9P 17位 石井+39.8P 26位 杉浦+21.4P)
3位安村、ここまでが最終戦ラスを引いてもなんとかなる順位、他3名は必ず2着以上が条件で石井が8,000をアガリ迎えた親番。
東3局 東家 石井
二索二索二索二筒二筒六筒六筒七筒七筒八筒南南南  ドラ六筒
10巡目にこの手牌でテンパイしているも、八筒が場に2枚見えの状態からドラの六筒が出ると、ポンして待ち変えをし、12,000のアガリ。このアガリで勝負あり、1人浮きの5万点越えトップ。
石井は他団体であり、年齢的にも若い選手ではあるが、経験も実績もあり、1回戦から7回戦までを冷静な表情でこなし、最高位戦の代表として相応しくあり、準決勝でも彼の力がどこまで通用するか楽しみである。
一般の選手の福島は、▲5.7Pながらも最終ポイントを42.2Pとし、最後の1人(15位)となる。
一般の選手の中ではただ1人の準決勝進出者となった。
安村は最終戦こそマイナスではあったが、残りはすべてプラスで終え、最終ポイント107.6Pとし、安定感抜群の内容だったといえる。
4位通過 安村 5位通過 石井 15位通過 福島
4卓(4位 近藤+79.6P 11位 手塚+50.6P 18位 清原+39.2P 25位 田中史+26.2P)
オーラス4万点台のトップがほしい田中は、32,600点持ちで6巡目テンパイからリーチ。
一万一万六万六万七万七万八万八万二筒二筒二筒四筒五筒  リーチ  ドラ九筒
29,700点持ちの手塚が、同巡に同じ待ちで追っかけリーチ。
軍配は手塚のツモアガリ。このアガリで+2.6Pながらも卓内トップを取った。
なんとかプラスで終えた清原は、トータルポイントで14位で通過。
近藤は1人沈みのラスを引くも、前半の貯金があり9位通過。
9位通過 近藤 11位通過 手塚 14位通過 清原
5卓(5位 東谷+69.1P 10位 大野51.6P 19位 浜上37.5P 24位 金子27.3P)
1回戦、2回戦とマイナススタートの東谷は、3回戦から4連勝で5位につけるものすごい勢い。
大野も最近の活躍ぶりは、どこでも耳にするくらい結果がでている。
この若手がぶつかりあう最終戦。ラスだけは引きたくない東谷は、南2局でラス目ながらも、ここから気持ちが伝わる連続のアガリでラスを抜ける。
オーラスは3,000、6,000を引いた浜上以外は、東谷27,600、大野23,500、親の金子23,200この状況で大野の手牌2巡目、北家
二万三万四万一索二索三索五索六索七索四筒六筒中中  ドラ二筒
これをヤミテンとし、14巡目に七筒を持ってくる。ここで待ちを変えると四筒が、浜上の高目ピンフ一通に放銃となるが、中を落としてまわる、次巡に四筒を引いて五筒八筒ピンフテンパイ。これもヤミテンで続行。
すると親からリーチの発声とともに打ち切り終了の合図。
大野は、リーチ棒で2着にアガる条件は出来たがヤミテンを続行。
しかし17巡目にドラの二筒が親に放銃、これで終了。
最終ボーダーが42.2Pだったため、大野は最終戦24,600点以上の3着であれば、通過を決めていたが、最終戦が始まった時はほぼ2着以上が条件だったため、他の卓の状況が分からない大会の難しさがここに出た。
本人も結果を聞いてとても悔しい思いをしたと思うが、これをいかし、彼女の今後の活躍に期待したいと思う。
8位通過 浜上 10位通過 東谷
6卓(6位 前原+60.9P 9位 海老沢+53.1P 20位 森山+34.7P 23位 二見 +27.6P)
トップがほしい森山、二見。しかし好調の前原は、南場で39,400点のトップ目、ほかの3人はもうあとがない状況。二見の親がなくなり、南3局、森山も最後の親。南場に入った時点では17,600のラス目1人沈みの状況から、リーチのみながらも最速のアガリで2度アガリきり25,000点の粘りを見せる。
4本場には、またまたリーチ。
ベテランの技、勢いも感じられ、もうプラスが目前にまできているように見えた。
しかし、そこに立ちはだかったのはやはり前原だった。
会場中から、規格外な攻撃力と言われる前原の手は、なんと四暗刻単騎。
これを親の森山から打ち取り、これで森山は親を落とす。
最後はオーラス親の海老沢がノーテンを選んで2着で終了。
3位通過 前原 12位通過 海老沢
7卓(7位 矢島+55.3P 8位 古川 +53.3P 21位 小原 +28.2P 22位 藍島+16.7P)
好調が続くベテラン勢の一角古川。
東3局北家、古川
一万二万三万九万九万九万五索六索三筒四筒五筒東東  ドラ九万
この手牌で10巡目にリーチ。
今日の展開的に、簡単にツモアガリ出来るかと思いきや流局。
古川も黄信号かと思いきやオーラス。
南4局 西家 古川
五索六索七索三筒五筒六筒六筒  ポン四万 上向き四万 上向き四万 上向き  ポン西西西
「ロン1,000点」とし、3万点ちょうどの3着、これで通過。
7位通過 矢島 13位通過 古川
これで本日、全卓終了。
7回戦の長い対局にも関わらず、ベテランの落ち着いたゲーム運びには本当に驚かされる1日だった。
この度は、初めて観戦レポートをすることになったが、来年こそは選手としてこの場に立ちたい。
11月29日 夏目坂スタジオで行われる準決勝出場者は以下の通り。
1位 荒 正義
2位 灘 麻太郎
3位 前原 雄大
4位 安村 浩司
5位 石井 一馬(最高位戦)
6位 五十嵐 殻(協会)
7位 矢島 享(協会)
8位 浜上 文吾
9位 近藤 久春
10位 東谷 達矢
11位 手塚 紗掬
12位 海老沢 稔(最高位戦)
13位 古川 孝次
14位 清原 純光
15位 福原 直次郎(一般)

第9期女流桜花プレーオフB卓レポート 紺野 真太郎

1位 魚谷  191.3P
2位 和久津 141.9P
3位 安田  99.7P
4位 和泉  96.2P
5位 仲田  62.3P
6位 斉藤  46.2P

前週のプレーオフ2.4.6.8位卓が終了しての順位がこうなった。
和久津と和泉の対局は終了しており、3位までが決定戦進出となるので、魚谷はほぼ当確、安田は仲田、斎藤を抑えつつ和泉より下にならないこと。
仲田、斎藤は和泉を超えつつ安田を捉えることと、各自条件を持っての戦いとなる。

通常のリーグ戦と違い、降級というものが無い上に、別卓のポイントも確定している為、追う者にとっては比較的戦いやすい。

1回戦
東1局、親の安田が魚谷から4,800で先制するが、魚谷も東3局の親番で2,600オールを決め逆転。
仲田も南1局、斉藤とのリーチ合戦を制し5,200。浮きに回る。

南2局、5巡目、北家・安田がここから動く。

一万一万二万二万二万三万六万七万二索南北発中  ドラ五万

斉藤から打ち出された二万をポン。ホンイツは見えるが、ドラもファン牌トイツも無い仕掛け。
安田にしてみれば牽制の意味合いが強かっただろう。
9巡目に上家・仲田から切られた4枚目の一万もチーではなくポンとした。

二万三万六万七万北発中  ポン一万 上向き一万 上向き一万 上向き  ポン二万 上向き二万 上向き二万 上向き

チーをした方が相手から押し返されても安全牌として一万を使えるので良い気もするが、相手から見た場合、迫力はポンのほうが大きい。とはいえ、1メンツも無い3シャンテン。安田も仕掛けてきた親・斎藤の足止めになればくらいのつもりだったろうが、この手が劇的な変化を見せる。

六万北六万とツモリテンパイ。
これは空テンだが、三万を引き二万を加カン。そして終局間際にアガリに結びつけた。

三万三万六万六万六万北北  ポン一万 上向き一万 上向き一万 上向き  暗カン牌の背二万 上向き二万 上向き牌の背  ツモ三万

原点を割りそうなとこらからの復活。次局の魚谷の親っかぶりでトップに立つ。
しかし、ここで沈むと苦しくなる仲田が、オーラス5,800のアガリで浮きに、魚谷も1本場500・1,000でトップを再逆転し1回戦を終了した。

 

2回戦
安田が仲田から8,000を直撃し先制するも、東4局の親番で、仲田の反撃が開始される。
斉藤リーチ。

100

それを受けた12巡目仲田の手牌

五万六万一索二索二索三索三索四索五索六索六索七筒七筒  ツモ七万  ドラ五万

一索は2枚切れだが、この3面張を斉藤の河がソーズが安く一索四索が捨てられているとはいえ、ヤミテンに受けるイメージが仲田にはなかったが、ここはヤミテンを選択。六索は無筋であったが為、かわしに出た安田が注文にはまった。2,900。点数以上に大きなアガリである。

このアガリがきっかけとなり仲田の猛攻が始まる。
5,800、4,000オールとアガリ、あっという間に40,000点を超える。
黙って見ているわけにはいかない安田、続く3本場、安田と仲田の全面戦争が勃発する。

まずは安田が九万をポン。すると負けじと仲田も発をポンする。
マンズ対マンズの染め手対決。先にテンパイを入れたのは仲田。

二万三万四万四万五万七万九万東東東  ポン発発発  ツモ一万  ドラ八索

五万としカン八万。安田はこの五万五万 左向き六万 上向き七万 上向きでチーして1シャンテン。

二万三万三万四万五万六万東北  チー五万 左向き六万 上向き七万 上向き  ポン九万 上向き九万 上向き九万 上向き  打北

2巡後に安田は一万をツモリ手が止まる。
テンパイだが、東は生牌、三万六万が通る保証など勿論ない。

意を決した安田の打牌は東、そこにすかさず仲田の「カン」の声。
当面の相手からの直撃を狙った大明カン。責任払いありなのでリンシャンに八万が寝ていれば安田にとって痛恨の12,000放銃となるが、そこに八万は存在しなかった・・・

この局のクライマックスを過ぎ、迎えたのは流局。
決定戦3つ目の椅子はまだ決まらない。

安田、仲田の叩き合う半荘であったが、決着をつけたのは魚谷だった。

100

南3局の親番

一万一万四万六万六万八万八万九万九万北北発発  ツモ四万  ドラ四万

強烈すぎる8,000オール。

終わってみれば魚谷2連勝。安田、仲田も浮きは確保し、決定戦進出の行方はまだわからない。

 

100

 

3回戦
終始魚谷がリードする展開。南3局を迎え、安田27,900、仲田25,500このまま終われば勝負は最終戦にもつれ込む。そんな中、親の魚谷がリーチ。安田、仲田共に立ち向かいづらいが、安田の手は

二万三万四万四万四万三索四索六索七索八索二筒四筒中  ドラ四万

この超勝負手。
14巡目に絶好のカン三筒を引き入れテンパイ。魚谷の捨て牌には五索がある。
次巡、五万を引き二万と入れ替え。この二万は魚谷に通っていない。斉藤の手に2人の共通安全牌は中が2枚あったが、流局まではあと3巡。この1枚だけと放たれたのは五索。安田にとっても仲田にとっても大きすぎる8,000。オーラスも安田が1,000・2,000をアガリ待望のトップ。
仲田は沈みの3着となり、両者の差は74ポイントと大きく開いた。

「決まったかな・・」「そうですね・・」

放送ブースで交わされた短い会話。プレーオフを含め、ここまで全27戦を終えた段階での絶望とも思える差・・仲田は何を思い最終戦の卓につくのだろうか・・

「朝まで連チャンしてもいいですか?」

1回戦開始前、仲田はこんなことを尋ねていた。
顔は笑っているが、目は笑ってない。仲田にとってこのくらいの差は諦めるに値しないのだろう。

 

4回戦
東3局2本場、ここまでは魚谷の1人浮きで、安田、仲田共に少しの沈み。
嵐の前の静けさか・・

12巡目、安田四索をチー。残った形が

二万二万五索六索七索八索一筒三筒五筒六筒  チー四索 左向き三索 上向き五索 上向き  ドラ二万

実質2シャンテン。少しの違和感。焦りか・・

仲田はこの時すでにテンパイしていた。

一万二万三万四万五万六万二索三索四索六索八索四筒四筒

点差を考えれば、最低でも満貫級が欲しいとこなので、当然のヤミテンであろう。
もし七索をツモれば一万切りフリテンリーチもやむなしである。

安田の鳴きで、仲田が引き入れたのは四万
条件を満たした。リーチに踏み切る。2巡後、安田テンパイ。

二万二万五索六索七索八索三筒五筒六筒八筒  チー四索 左向き三索 上向き五索 上向き  ツモ七筒

仲田のリーチは子方のもので、ツモられても、放銃しても点差はほぼ同じならば八索勝負の選択もあるか・・だが、安田は現物の三筒を選択。次巡、五索を引くと五筒は勝負し、二万五索のシャンポンテンパイ。
仲田の待ちをソーズと感じ、ピンズは勝負する辺りの感覚は良いが、ここは単純に勝負を選択した方がよかったように思える。

この後はどこかで見たような光景が繰り広げられた。
安田ツモ四筒、仲田ツモ七索・・仲田のターン開始だ・・

100

「6,000は6,200オール」

四万五万六万六万七万三索三索四索五索六索二筒三筒四筒  リーチ  ツモ八万  ドラ三索

2局連続の1人テンパイの後の2本場、ついに安田の背中を捉える位置まできた。

続く3本場、勢いは止まらない。点差は既に9.8Pまで縮まっている。
10巡目、仲田またもやリーチ。これで5局連続リーチだ。

三万四万五万六万七万二筒三筒四筒四筒五筒六筒八筒八筒  リーチ  ドラ七索

ドラこそ無いが、絶好のメンタンピン3面張。
ツモるか直撃で74P差の逆転が現実となる。

その時安田の手牌は

二万二万三万五万六万七万七索七索六筒七筒七筒中中  ツモ五万  ドラ七索

相手の当たり牌を掴んだのはもう数えきれない。それでも我慢してきたから、この位置で戦うことができていた。だがもう我慢も逃げも許されない。安全牌は1枚もない。

中、次巡ツモ七索、打中、1シャンテン。
さらに次巡、ツモ八筒テンパイ。ここはノータイムで打七筒の勝負。もう迷いはない。

こうなればもう待ちの強さなど関係ない。五分の勝負・・。
安田、ドラ七索をツモ。暗カン。リンシャンは九筒。勝負はまだつかない。

次の仲田のツモ・・マンズだ・・手元に引き寄せるか・・それとも・・

「ロン」

100

開かれる安田の手牌。ギリギリでの競り勝ち。決定戦へ大きな前進。これがドラマかマンガならばここでラストシーンでもおかしくない・・が、これはリアル。幕はまだ下りてはいない。

南3局、あと2局で決勝。安田にしては配牌がいい。3巡目でこの形。

一万一万二万六万七万八万四索五索六索九筒九筒西西  ツモ五索  ドラ七万

ここから打二万・・?・・安田は北家だ。五索を残しソーズ2メンツを見るのはいいが、それなら打一万とし、平たくした方がよいのでは・・4トイツだけに七対子の目を残したいのか・・

七筒ツモで打五索。完全に形を固めた。リーチなのか?魚谷の捨て牌は

一筒 上向き南北二筒 上向き二索 上向き八万 上向き一索 上向き

こうで、手組を放棄しているようには見えない。
8巡目、八筒を引きリーチ。一万西のシャンポン。
10巡目、魚谷から発せられたのは「リーチ」安田の構想は崩壊した。

あっさり引かされる五筒・・そこに「ロン」の声・・

五万六万七万四索五索五索六索六索七索六筒七筒八筒八筒  リーチ  ロン五筒

見事すぎるタンピン三色。絶望的に大きい18,000・・

次局、魚谷2,600オール。安田も追いかけリーチを打つが届かない。
3本場は安田が1人テンパイ。そしてオーラスへ・・

結末は意外なほどあっさりついた。安田が選択を間違えずに6巡でツモあがった。

長かった戦いが終わった。結果的には、前年度の決定戦と同一メンツとなった。
去年は劇的な吾妻の初戴冠で幕を閉じた。今年は全員がタイトルホルダーである。
更なる素晴らしい戦いを魅せてくれることに期待してレポートを終えたいと思う。

女流プロリーグ(女流桜花) レポート/第9期女流桜花プレーオフB卓レポート 紺野 真太郎

1位 魚谷  191.3P
2位 和久津 141.9P
3位 安田  99.7P
4位 和泉  96.2P
5位 仲田  62.3P
6位 斉藤  46.2P
前週のプレーオフ2.4.6.8位卓が終了しての順位がこうなった。
和久津と和泉の対局は終了しており、3位までが決定戦進出となるので、魚谷はほぼ当確、安田は仲田、斎藤を抑えつつ和泉より下にならないこと。
仲田、斎藤は和泉を超えつつ安田を捉えることと、各自条件を持っての戦いとなる。
通常のリーグ戦と違い、降級というものが無い上に、別卓のポイントも確定している為、追う者にとっては比較的戦いやすい。
1回戦
東1局、親の安田が魚谷から4,800で先制するが、魚谷も東3局の親番で2,600オールを決め逆転。
仲田も南1局、斉藤とのリーチ合戦を制し5,200。浮きに回る。
南2局、5巡目、北家・安田がここから動く。
一万一万二万二万二万三万六万七万二索南北発中  ドラ五万
斉藤から打ち出された二万をポン。ホンイツは見えるが、ドラもファン牌トイツも無い仕掛け。
安田にしてみれば牽制の意味合いが強かっただろう。
9巡目に上家・仲田から切られた4枚目の一万もチーではなくポンとした。
二万三万六万七万北発中  ポン一万 上向き一万 上向き一万 上向き  ポン二万 上向き二万 上向き二万 上向き
チーをした方が相手から押し返されても安全牌として一万を使えるので良い気もするが、相手から見た場合、迫力はポンのほうが大きい。とはいえ、1メンツも無い3シャンテン。安田も仕掛けてきた親・斎藤の足止めになればくらいのつもりだったろうが、この手が劇的な変化を見せる。
六万北六万とツモリテンパイ。
これは空テンだが、三万を引き二万を加カン。そして終局間際にアガリに結びつけた。
三万三万六万六万六万北北  ポン一万 上向き一万 上向き一万 上向き  暗カン牌の背二万 上向き二万 上向き牌の背  ツモ三万
原点を割りそうなとこらからの復活。次局の魚谷の親っかぶりでトップに立つ。
しかし、ここで沈むと苦しくなる仲田が、オーラス5,800のアガリで浮きに、魚谷も1本場500・1,000でトップを再逆転し1回戦を終了した。
 
2回戦
安田が仲田から8,000を直撃し先制するも、東4局の親番で、仲田の反撃が開始される。
斉藤リーチ。
100
それを受けた12巡目仲田の手牌
五万六万一索二索二索三索三索四索五索六索六索七筒七筒  ツモ七万  ドラ五万
一索は2枚切れだが、この3面張を斉藤の河がソーズが安く一索四索が捨てられているとはいえ、ヤミテンに受けるイメージが仲田にはなかったが、ここはヤミテンを選択。六索は無筋であったが為、かわしに出た安田が注文にはまった。2,900。点数以上に大きなアガリである。
このアガリがきっかけとなり仲田の猛攻が始まる。
5,800、4,000オールとアガリ、あっという間に40,000点を超える。
黙って見ているわけにはいかない安田、続く3本場、安田と仲田の全面戦争が勃発する。
まずは安田が九万をポン。すると負けじと仲田も発をポンする。
マンズ対マンズの染め手対決。先にテンパイを入れたのは仲田。
二万三万四万四万五万七万九万東東東  ポン発発発  ツモ一万  ドラ八索
五万としカン八万。安田はこの五万五万 左向き六万 上向き七万 上向きでチーして1シャンテン。
二万三万三万四万五万六万東北  チー五万 左向き六万 上向き七万 上向き  ポン九万 上向き九万 上向き九万 上向き  打北
2巡後に安田は一万をツモリ手が止まる。
テンパイだが、東は生牌、三万六万が通る保証など勿論ない。
意を決した安田の打牌は東、そこにすかさず仲田の「カン」の声。
当面の相手からの直撃を狙った大明カン。責任払いありなのでリンシャンに八万が寝ていれば安田にとって痛恨の12,000放銃となるが、そこに八万は存在しなかった・・・
この局のクライマックスを過ぎ、迎えたのは流局。
決定戦3つ目の椅子はまだ決まらない。
安田、仲田の叩き合う半荘であったが、決着をつけたのは魚谷だった。
100
南3局の親番
一万一万四万六万六万八万八万九万九万北北発発  ツモ四万  ドラ四万
強烈すぎる8,000オール。
終わってみれば魚谷2連勝。安田、仲田も浮きは確保し、決定戦進出の行方はまだわからない。
 
100
 
3回戦
終始魚谷がリードする展開。南3局を迎え、安田27,900、仲田25,500このまま終われば勝負は最終戦にもつれ込む。そんな中、親の魚谷がリーチ。安田、仲田共に立ち向かいづらいが、安田の手は
二万三万四万四万四万三索四索六索七索八索二筒四筒中  ドラ四万
この超勝負手。
14巡目に絶好のカン三筒を引き入れテンパイ。魚谷の捨て牌には五索がある。
次巡、五万を引き二万と入れ替え。この二万は魚谷に通っていない。斉藤の手に2人の共通安全牌は中が2枚あったが、流局まではあと3巡。この1枚だけと放たれたのは五索。安田にとっても仲田にとっても大きすぎる8,000。オーラスも安田が1,000・2,000をアガリ待望のトップ。
仲田は沈みの3着となり、両者の差は74ポイントと大きく開いた。
「決まったかな・・」「そうですね・・」
放送ブースで交わされた短い会話。プレーオフを含め、ここまで全27戦を終えた段階での絶望とも思える差・・仲田は何を思い最終戦の卓につくのだろうか・・
「朝まで連チャンしてもいいですか?」
1回戦開始前、仲田はこんなことを尋ねていた。
顔は笑っているが、目は笑ってない。仲田にとってこのくらいの差は諦めるに値しないのだろう。
 
4回戦
東3局2本場、ここまでは魚谷の1人浮きで、安田、仲田共に少しの沈み。
嵐の前の静けさか・・
12巡目、安田四索をチー。残った形が
二万二万五索六索七索八索一筒三筒五筒六筒  チー四索 左向き三索 上向き五索 上向き  ドラ二万
実質2シャンテン。少しの違和感。焦りか・・
仲田はこの時すでにテンパイしていた。
一万二万三万四万五万六万二索三索四索六索八索四筒四筒
点差を考えれば、最低でも満貫級が欲しいとこなので、当然のヤミテンであろう。
もし七索をツモれば一万切りフリテンリーチもやむなしである。
安田の鳴きで、仲田が引き入れたのは四万
条件を満たした。リーチに踏み切る。2巡後、安田テンパイ。
二万二万五索六索七索八索三筒五筒六筒八筒  チー四索 左向き三索 上向き五索 上向き  ツモ七筒
仲田のリーチは子方のもので、ツモられても、放銃しても点差はほぼ同じならば八索勝負の選択もあるか・・だが、安田は現物の三筒を選択。次巡、五索を引くと五筒は勝負し、二万五索のシャンポンテンパイ。
仲田の待ちをソーズと感じ、ピンズは勝負する辺りの感覚は良いが、ここは単純に勝負を選択した方がよかったように思える。
この後はどこかで見たような光景が繰り広げられた。
安田ツモ四筒、仲田ツモ七索・・仲田のターン開始だ・・
100
「6,000は6,200オール」
四万五万六万六万七万三索三索四索五索六索二筒三筒四筒  リーチ  ツモ八万  ドラ三索
2局連続の1人テンパイの後の2本場、ついに安田の背中を捉える位置まできた。
続く3本場、勢いは止まらない。点差は既に9.8Pまで縮まっている。
10巡目、仲田またもやリーチ。これで5局連続リーチだ。
三万四万五万六万七万二筒三筒四筒四筒五筒六筒八筒八筒  リーチ  ドラ七索
ドラこそ無いが、絶好のメンタンピン3面張。
ツモるか直撃で74P差の逆転が現実となる。
その時安田の手牌は
二万二万三万五万六万七万七索七索六筒七筒七筒中中  ツモ五万  ドラ七索
相手の当たり牌を掴んだのはもう数えきれない。それでも我慢してきたから、この位置で戦うことができていた。だがもう我慢も逃げも許されない。安全牌は1枚もない。
中、次巡ツモ七索、打中、1シャンテン。
さらに次巡、ツモ八筒テンパイ。ここはノータイムで打七筒の勝負。もう迷いはない。
こうなればもう待ちの強さなど関係ない。五分の勝負・・。
安田、ドラ七索をツモ。暗カン。リンシャンは九筒。勝負はまだつかない。
次の仲田のツモ・・マンズだ・・手元に引き寄せるか・・それとも・・
「ロン」
100
開かれる安田の手牌。ギリギリでの競り勝ち。決定戦へ大きな前進。これがドラマかマンガならばここでラストシーンでもおかしくない・・が、これはリアル。幕はまだ下りてはいない。
南3局、あと2局で決勝。安田にしては配牌がいい。3巡目でこの形。
一万一万二万六万七万八万四索五索六索九筒九筒西西  ツモ五索  ドラ七万
ここから打二万・・?・・安田は北家だ。五索を残しソーズ2メンツを見るのはいいが、それなら打一万とし、平たくした方がよいのでは・・4トイツだけに七対子の目を残したいのか・・
七筒ツモで打五索。完全に形を固めた。リーチなのか?魚谷の捨て牌は
一筒 上向き南北二筒 上向き二索 上向き八万 上向き一索 上向き
こうで、手組を放棄しているようには見えない。
8巡目、八筒を引きリーチ。一万西のシャンポン。
10巡目、魚谷から発せられたのは「リーチ」安田の構想は崩壊した。
あっさり引かされる五筒・・そこに「ロン」の声・・
五万六万七万四索五索五索六索六索七索六筒七筒八筒八筒  リーチ  ロン五筒
見事すぎるタンピン三色。絶望的に大きい18,000・・
次局、魚谷2,600オール。安田も追いかけリーチを打つが届かない。
3本場は安田が1人テンパイ。そしてオーラスへ・・
結末は意外なほどあっさりついた。安田が選択を間違えずに6巡でツモあがった。
長かった戦いが終わった。結果的には、前年度の決定戦と同一メンツとなった。
去年は劇的な吾妻の初戴冠で幕を閉じた。今年は全員がタイトルホルダーである。
更なる素晴らしい戦いを魅せてくれることに期待してレポートを終えたいと思う。