第87回『はじめに』

上級講座を書かせていただくことになりました猿川真寿です。
宜しくお願い致します。

私は自分自身で、麻雀の基本技術は並だと思っている。
敢えて名前を挙げるとすれば、勝又健志、滝沢和典はこの部分が私より長けているだろう。
であるなら、自分の長けている部分はどこなのだろうか?
と考えてみると「態勢論」としか思えない。
この理論が合っているかは神のみぞ知るところではあるが、実際それなりの成績が残っているということは、それほど的外れではないと自負している。

私はこの部分の勉強が好きだ。
学生時代は必ず答えのでる数学が好きだったのに・・・
どうしてなのだろうかと不思議になる。

理由として考えるのなら、
麻雀は確率の範囲内で必ず収まるものではない事。
同巡に2者がテンパイしたとする、待ちは山に5枚生きている。一方は1枚しか生きていない。
しかし、山に1枚生きの人の待ちが先にあり、アガれてしまったりする。
ここに確率の範囲外のものがあるのでは?と思う事。
あくまで物理的なものではなく観念的な概念として捉えてである。

2つ目は100%の手牌読みは、他者が完全に手牌効率で尚且つアガリを求めて打った場合でしか出来ないからであるかも知れない。部分部分の手牌は見え隠れして、断片をつなげることである程度は分かるが、やはり闇の中にあると言えるだろう。きっと、そのもっと深い闇を覗いてみたくなったからなのだと思う。

前置きとして、ルールは全て、皆様には馴染みのあまりない、1発・裏ドラのない日本プロ麻雀連盟Aルールの話とさせていただく。

馴染みが浅いといっても、連盟チャンネルでリーグ戦や鳳凰位決定戦など、このルールの対局配信もあるので観たことのある方なら、少しは仕組みが分かってきてくれたと思うのではないでしょうか。

まだ観た事がないという方はニコニコ生放送の日本プロ麻雀連盟チャンネルに加入してください!

月額525円でA1,A2リーグ対局やトークバラエティー、女流リーグまで見放題となっています。

当連盟がこのルールを採用している理由は、オカがなく順位点が小さいので素点勝負になりやすいからである。
例えば、リーグ戦を例にあげると、ここでは昇級を目指して打つことが目標になるだろう。
リーグによって異なるが、5節20回戦で昇級ボーダーが100Pだとする。
周りのポイントによって、ボーダーは多少の変動はするが基本的にはそれほど変わらないものだと私は考えている。

つまり、敵は卓内ではなくボーダーポイントということになる。
小さいトップも大きい2着もポイントは変わらないのである。
いかに大きいトップを取るかが、昇級できるかどうかの大事な部分になる。
次に大事なことは、ラスの時にいかに小さく抑えるかということになる。

この目標を達成するために、私は「態勢論」を採用している。

「態勢論」の考え方をお伝えする前に、説明しなければならないことがある。

私が打牌を決める時の基準がある。
それは、「その日のツキ状態」「エネルギー論」「自然論」である。
この3つと「態勢論」を併用させて打牌の選択を決定する。
個々の考え方は、かみ合う時もあるし、矛盾することもある。
初めに「その日のツキ状態」について説明させていただく。

仮に、4者の能力が同じだとしたら、勝つのはその日1番ツイていた人ということになる。
よって、その日のツキを理解するという事はとても大事である。
初めの半荘は誰でも状態は分からないのが当たり前なのである。
バイオリズムの調子の持続もなくはないが、私は精神状態のほうが強く感じてしまう。
前日、調子が良かったからといって、翌日もその気分で打つのは上手くいけばいいが、
逆に隙を与えるきっかけになることが多いと思う。

私のジンクスの1つに「大勝の次の日は惨敗」というのがある。
こういう作用が働いているからではないかと、解釈している。
大勝の次の日こそ、丁寧に打たなければならない。

その日のツキを探るときのチェックポイントは以下のようにある。

①ツモがきいているかどうか?

配牌は関係なくツモってきた牌で手牌が動くかを見る。

②速度的なトップ走者とどのくらい離れているか?

アガリが発生した時に、自分の手牌のシャンテン数や形によってどれくらい遅れているかを調べる。
余談だが、よく手がぶつからない方がいいと言われるが、私はそうは思わない。
ぶつかるということは1手遅れなだけだからである。
なってはいけない状況は、周り全員に置いていかれることである。
置いていかれた状態が続いた後は、気持ち的に弱くなってしまい、手を歪めてしまうからである。
実際はまっすぐに進まずに、斜めに手を進めていくことが多くなるのだが、
詳しくは次章以降に記することにする。

③あたり牌を持ってくるか?

持ってこないのが、ベストだが余るかどうかも確認しておく。
このことを踏まえた上で打牌を決めていかなくてはならない。

次章では、「エネルギー論」について書きたいと思う。

上級/第87回『はじめに』

上級講座を書かせていただくことになりました猿川真寿です。
宜しくお願い致します。
私は自分自身で、麻雀の基本技術は並だと思っている。
敢えて名前を挙げるとすれば、勝又健志、滝沢和典はこの部分が私より長けているだろう。
であるなら、自分の長けている部分はどこなのだろうか?
と考えてみると「態勢論」としか思えない。
この理論が合っているかは神のみぞ知るところではあるが、実際それなりの成績が残っているということは、それほど的外れではないと自負している。
私はこの部分の勉強が好きだ。
学生時代は必ず答えのでる数学が好きだったのに・・・
どうしてなのだろうかと不思議になる。
理由として考えるのなら、
麻雀は確率の範囲内で必ず収まるものではない事。
同巡に2者がテンパイしたとする、待ちは山に5枚生きている。一方は1枚しか生きていない。
しかし、山に1枚生きの人の待ちが先にあり、アガれてしまったりする。
ここに確率の範囲外のものがあるのでは?と思う事。
あくまで物理的なものではなく観念的な概念として捉えてである。
2つ目は100%の手牌読みは、他者が完全に手牌効率で尚且つアガリを求めて打った場合でしか出来ないからであるかも知れない。部分部分の手牌は見え隠れして、断片をつなげることである程度は分かるが、やはり闇の中にあると言えるだろう。きっと、そのもっと深い闇を覗いてみたくなったからなのだと思う。
前置きとして、ルールは全て、皆様には馴染みのあまりない、1発・裏ドラのない日本プロ麻雀連盟Aルールの話とさせていただく。
馴染みが浅いといっても、連盟チャンネルでリーグ戦や鳳凰位決定戦など、このルールの対局配信もあるので観たことのある方なら、少しは仕組みが分かってきてくれたと思うのではないでしょうか。
まだ観た事がないという方はニコニコ生放送の日本プロ麻雀連盟チャンネルに加入してください!
月額525円でA1,A2リーグ対局やトークバラエティー、女流リーグまで見放題となっています。
当連盟がこのルールを採用している理由は、オカがなく順位点が小さいので素点勝負になりやすいからである。
例えば、リーグ戦を例にあげると、ここでは昇級を目指して打つことが目標になるだろう。
リーグによって異なるが、5節20回戦で昇級ボーダーが100Pだとする。
周りのポイントによって、ボーダーは多少の変動はするが基本的にはそれほど変わらないものだと私は考えている。
つまり、敵は卓内ではなくボーダーポイントということになる。
小さいトップも大きい2着もポイントは変わらないのである。
いかに大きいトップを取るかが、昇級できるかどうかの大事な部分になる。
次に大事なことは、ラスの時にいかに小さく抑えるかということになる。
この目標を達成するために、私は「態勢論」を採用している。
「態勢論」の考え方をお伝えする前に、説明しなければならないことがある。
私が打牌を決める時の基準がある。
それは、「その日のツキ状態」「エネルギー論」「自然論」である。
この3つと「態勢論」を併用させて打牌の選択を決定する。
個々の考え方は、かみ合う時もあるし、矛盾することもある。
初めに「その日のツキ状態」について説明させていただく。
仮に、4者の能力が同じだとしたら、勝つのはその日1番ツイていた人ということになる。
よって、その日のツキを理解するという事はとても大事である。
初めの半荘は誰でも状態は分からないのが当たり前なのである。
バイオリズムの調子の持続もなくはないが、私は精神状態のほうが強く感じてしまう。
前日、調子が良かったからといって、翌日もその気分で打つのは上手くいけばいいが、
逆に隙を与えるきっかけになることが多いと思う。
私のジンクスの1つに「大勝の次の日は惨敗」というのがある。
こういう作用が働いているからではないかと、解釈している。
大勝の次の日こそ、丁寧に打たなければならない。
その日のツキを探るときのチェックポイントは以下のようにある。
①ツモがきいているかどうか?
配牌は関係なくツモってきた牌で手牌が動くかを見る。
②速度的なトップ走者とどのくらい離れているか?
アガリが発生した時に、自分の手牌のシャンテン数や形によってどれくらい遅れているかを調べる。
余談だが、よく手がぶつからない方がいいと言われるが、私はそうは思わない。
ぶつかるということは1手遅れなだけだからである。
なってはいけない状況は、周り全員に置いていかれることである。
置いていかれた状態が続いた後は、気持ち的に弱くなってしまい、手を歪めてしまうからである。
実際はまっすぐに進まずに、斜めに手を進めていくことが多くなるのだが、
詳しくは次章以降に記することにする。
③あたり牌を持ってくるか?
持ってこないのが、ベストだが余るかどうかも確認しておく。
このことを踏まえた上で打牌を決めていかなくてはならない。
次章では、「エネルギー論」について書きたいと思う。

第4期 広島リーグ 最終節成績表

順位 プロ/一般 名前 1節 2節 3節 4節 5節 6節 合計
1 プロ 豊内 雄二 109.3 5.7 ▲ 2.9 ▲ 40.0 83.2 69.7 225.0
2 プロ 井筒 弘至 23.5 4.0 48.4 48.3 2.6 ▲ 1.8 125.0
3 テスト生 石田 智成 54.6 ▲ 28.5 3.4 32.3 77.4 ▲ 48.3 90.9
4 プロ 清水 真志郎 ▲ 41.8 ▲ 20.1 14.4 18.9 21.1 54.1 46.6
5 一般 根木 智子 ▲ 47.5 32.2 ▲ 6.9 37.5 41.9 ▲ 19.6 37.6
6 一般 根石 宣昌 ▲ 40.0 ▲ 26.3 56.1 78.3 ▲ 43.3 ▲ 17.0 7.8
7 プロ 荻巣 健人 ▲ 68.7 10.6 ▲ 40.0 20.2 119.2 ▲ 40.0 1.3
8 プロ 木村 尚二 8.4 ▲ 10.7 13.7 ▲ 43.5 ▲ 2.8 22.1 ▲ 12.8
9 一般 寺澤 晃平 ▲ 5.9 ▲ 14.3 48.0 ▲ 18.9 ▲ 40.0 17.6 ▲ 13.5
10 テスト生 松木 宏之 10.6 58.4 ▲ 14.2 22.7 ▲ 42.5 ▲ 54.7 ▲ 19.7
11 一般 橋本 康孝 45.8 30.5 ▲ 47.9 ▲ 103.0 35.3 ▲ 40.0 ▲ 79.3
12 一般 安田 純 ▲ 1.2 11.3 29.3 ▲ 57.1 ▲ 40.0 ▲ 40.0 ▲ 97.7
13 一般 長島 竜一 ▲ 11.1 9.1 ▲ 40.0 ▲ 40.0 22.5 ▲ 40.0 ▲ 99.5
14 一般 稲田 成貴 ▲ 11.9 14.4 ▲ 40.0 ▲ 40.0 ▲ 54.6 ▲ 25.9 ▲ 158.0
15 プロ 沖田 賢一 ▲ 40.0 ▲ 40.0 ▲ 40.0 ▲ 40.0 39.9 ▲ 40.0 ▲ 160.1
16 一般 金子 繁昌 ▲ 40.0 63.8 ▲ 66.8 ▲ 49.6 ▲ 32.8 ▲ 40.0 ▲ 165.4
17 一般 竹本 真誉 ▲ 40.0 ▲ 40.0 34.3 ▲ 40.0 ▲ 40.0 ▲ 40.0 ▲ 165.7
18 プロ 藤原 海斗 ▲ 48.9 20.2 6.3 6.8 ▲ 115.4 ▲ 40.0 ▲ 171.0
19 一般 永見 岳明 ▲ 40.0 ▲ 40.0 ▲ 24.5 7.6 ▲ 111.9 33.2 ▲ 175.6
20 一般 みか ▲ 40.0 ▲ 40.0 ▲ 40.0 ▲ 40.0 10.7 ▲ 40.0 ▲ 189.3
21 一般 島田 ▲ 40.0 ▲ 40.0 ▲ 40.0 ▲ 40.0 ▲ 3.9 ▲ 40.0 ▲ 203.9
22 テスト生 川崎 麻里 12.4 ▲ 55.7 ▲ 91.7 ▲ 13.9 ▲ 36.1 ▲ 29.4 ▲ 214.4
23 プロ 川崎 純 ▲ 40.0 ▲ 40.0 ▲ 40.0 ▲ 40.0 ▲ 14.5 ▲ 40.0 ▲ 214.5

広島リーグ 成績表/第4期 広島リーグ 最終節成績表

順位 プロ/一般 名前 1節 2節 3節 4節 5節 6節 合計
1 プロ 豊内 雄二 109.3 5.7 ▲ 2.9 ▲ 40.0 83.2 69.7 225.0
2 プロ 井筒 弘至 23.5 4.0 48.4 48.3 2.6 ▲ 1.8 125.0
3 テスト生 石田 智成 54.6 ▲ 28.5 3.4 32.3 77.4 ▲ 48.3 90.9
4 プロ 清水 真志郎 ▲ 41.8 ▲ 20.1 14.4 18.9 21.1 54.1 46.6
5 一般 根木 智子 ▲ 47.5 32.2 ▲ 6.9 37.5 41.9 ▲ 19.6 37.6
6 一般 根石 宣昌 ▲ 40.0 ▲ 26.3 56.1 78.3 ▲ 43.3 ▲ 17.0 7.8
7 プロ 荻巣 健人 ▲ 68.7 10.6 ▲ 40.0 20.2 119.2 ▲ 40.0 1.3
8 プロ 木村 尚二 8.4 ▲ 10.7 13.7 ▲ 43.5 ▲ 2.8 22.1 ▲ 12.8
9 一般 寺澤 晃平 ▲ 5.9 ▲ 14.3 48.0 ▲ 18.9 ▲ 40.0 17.6 ▲ 13.5
10 テスト生 松木 宏之 10.6 58.4 ▲ 14.2 22.7 ▲ 42.5 ▲ 54.7 ▲ 19.7
11 一般 橋本 康孝 45.8 30.5 ▲ 47.9 ▲ 103.0 35.3 ▲ 40.0 ▲ 79.3
12 一般 安田 純 ▲ 1.2 11.3 29.3 ▲ 57.1 ▲ 40.0 ▲ 40.0 ▲ 97.7
13 一般 長島 竜一 ▲ 11.1 9.1 ▲ 40.0 ▲ 40.0 22.5 ▲ 40.0 ▲ 99.5
14 一般 稲田 成貴 ▲ 11.9 14.4 ▲ 40.0 ▲ 40.0 ▲ 54.6 ▲ 25.9 ▲ 158.0
15 プロ 沖田 賢一 ▲ 40.0 ▲ 40.0 ▲ 40.0 ▲ 40.0 39.9 ▲ 40.0 ▲ 160.1
16 一般 金子 繁昌 ▲ 40.0 63.8 ▲ 66.8 ▲ 49.6 ▲ 32.8 ▲ 40.0 ▲ 165.4
17 一般 竹本 真誉 ▲ 40.0 ▲ 40.0 34.3 ▲ 40.0 ▲ 40.0 ▲ 40.0 ▲ 165.7
18 プロ 藤原 海斗 ▲ 48.9 20.2 6.3 6.8 ▲ 115.4 ▲ 40.0 ▲ 171.0
19 一般 永見 岳明 ▲ 40.0 ▲ 40.0 ▲ 24.5 7.6 ▲ 111.9 33.2 ▲ 175.6
20 一般 みか ▲ 40.0 ▲ 40.0 ▲ 40.0 ▲ 40.0 10.7 ▲ 40.0 ▲ 189.3
21 一般 島田 ▲ 40.0 ▲ 40.0 ▲ 40.0 ▲ 40.0 ▲ 3.9 ▲ 40.0 ▲ 203.9
22 テスト生 川崎 麻里 12.4 ▲ 55.7 ▲ 91.7 ▲ 13.9 ▲ 36.1 ▲ 29.4 ▲ 214.4
23 プロ 川崎 純 ▲ 40.0 ▲ 40.0 ▲ 40.0 ▲ 40.0 ▲ 14.5 ▲ 40.0 ▲ 214.5

第21期東北プロリーグ最終節レポート

Aリーグ

ついに最終節。
順位ずつに卓分けされる今節、上位卓には9節終了時点で5位までに入った者たちが顔を合わせる。
ダントツの首位を走るのは、9節中8節をプラス成績を収め抜群の安定感を見せる佐藤で+260.8P。
後に続くのは皆川+124.P2、遠藤+113.1P、少し離れて渡部が+63.5Pに、粕谷が+60.3Pという状況。
また、上位卓入りしていないが6位で青木が+42.7Pで、東北天翔位決定戦への出場枠4つを争うことになった。

上位卓1回戦目、抜け番は粕谷。
東場から佐藤に手が入り、親っパネを遠藤から直撃させる。
ここから遠藤以外の3者のアガリ合いの展開へ。

南場落ち目の遠藤の親リーチに、皆川が生牌のドラ切りでのツモり四暗刻リーチを被せる。
この手は実らなかったものの勢いは衰えず、皆川がこの半荘を制した。
また、遠藤が大きくマイナスしたことで、一時的だが渡部が追い抜き、3、4位の席を渡部、遠藤、粕谷が争う構図になった。

2回戦目は遠藤が抜け番、ここでも皆川の手は落ちずに連続のトップ。
この回佐藤をラスとしており、大差ながら皆川は1位の座を貪欲に追い続ける。

佐藤が抜け番の3回戦目、3位争いの遠藤、渡部、粕谷が直接対決の勝負所となったが、ここは遠藤が1人浮きのトップとし、一つ頭抜け出る形に。

皆川が抜ける4回戦、ここまでの総合成績は佐藤+253.0P、皆川+161.2P、遠藤+97.5P、渡部+60.6P、粕谷+50.6Pの順。決定戦の席は4つ、別卓で戦う青木のことを考えると、確実に駒を進めるには3位以内が条件。
また、渡部は5番抜けのためこの回がラストであり、出来るだけ多く稼ぎたい。
このような状況でしのぎを削りいあう戦いになったが、接戦を制したのは遠藤だった。

遠藤は+109.8Pと、これでほぼ3位を手中に収めた。渡部は浮き3着でわずかなプラスとし+62.7Pで終えた。粕谷は痛恨の1人沈みとなって+30.3P。最終回粕谷は4位になるために大きなトップが必要となったが、ダントツの佐藤と3位の遠藤が流しに回り、逆転の目を諦めていなかった皆川も南場の親が終われば手を終いとなれば、粕谷に付け入る隙はなかった。

暫定4位の渡部は別卓の青木の結果待ちとなったが、青木は点数を稼ぎたい気持ちが先走ったせいか、精彩を欠く結果となりマイナス終了。決定戦最後の席は渡部が守った形となった。

Aリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 6節 7節 8節 9節 10節 合計
1 佐藤大介 ▲ 5.8 17.1 57.6 47.3 14.8 24.5 17.0 35.5 52.8 ▲ 20.2 240.6
2 皆川直毅 42.8 ▲ 34.2 69.4 ▲ 1.2 ▲ 37.3 ▲ 14.8 44.9 11.1 43.5 54.4 178.6
3 遠藤昭太 94.6 73.8 ▲ 24.3 ▲ 23.6 67.6 18.8 ▲ 30.3 ▲ 37.7 ▲ 25.8 1.5 114.6
4 渡部稔 55.1 25.6 ▲ 37.9 ▲ 56.1 ▲ 1.4 ▲ 13.9 34.5 0.0 57.6 ▲ 0.8 62.7
5 粕谷勇吉 ▲ 11.2 18.4 ▲ 27.7 44.5 39.3 ▲ 6.4 ▲ 5.4 40.8 ▲ 32.0 ▲ 34.9 25.4
6 杜麻沙也 ▲ 57.5 ▲ 14.6 1.6 ▲ 13.5 ▲ 2.9 4.5 61.0 15.9 ▲ 10.8 25.4 9.1
7 青木武 ▲ 31.5 ▲ 6.5 ▲ 30.3 ▲ 16.7 63.6 ▲ 7.3 29.5 13.3 28.6 ▲ 42.8 ▲ 0.1
8 工藤宏紀 1.8 1.7 8.4 25.3 ▲ 33.8 7.2 ▲ 66.0 3.4 ▲ 14.0 39.9 ▲ 26.1
9 今貴聡 ▲ 20.4 12.6 ▲ 43.9 34.9 ▲ 29.6 ▲ 24.2 ▲ 20.4 15.3 ▲ 13.6 17.5 ▲ 71.8
10 泉亮多

▲ 4.6

9.9 40.5 4.1 25.4 ▲ 28.6 ▲ 44.8 ▲ 48.1 ▲ 5.5 ▲ 40.0 ▲ 91.7
11 高橋清隆 ▲ 58.6 ▲ 20.9 ▲ 0.4 ▲ 50.8 ▲ 32.6 87.0 29.1 6.3 ▲ 75.4 17.0 ▲ 99.3
12 平田孝章 9.1 ▲ 35.7 21.7 ▲ 23.6 ▲ 50.0 ▲ 3.8 ▲ 41.3 8.2 ▲ 1.7 3.1 ▲ 114.0
13 吉田勝弥 0.6 ▲ 63.7 ▲ 36.7 5.0 ▲ 78.9 ▲ 11.9 ▲ 10.4 ▲ 6.0 ▲ 7.9 ▲ 18.8 ▲ 228.7
14 東幸一郎 12.7 19.6 ▲ 100.0 19.4 5.8 5.0 ▲ 62.2 ▲ 8.4 ▲ 100.0 ▲ 100.0 ▲ 308.1
15 菅原直哉 ▲ 1.9 ▲ 9.1 ▲ 100.0 ▲ 100.0 ▲ 100.0 ▲ 51.1 52.8 ▲ 50.6 4.2 ▲ 9.1 ▲ 364.8
16 藤本修二 ▲ 31.2 ▲ 100.0 ▲ 100.0 ▲ 100.0 ▲ 100.0 ▲ 100.0 ▲ 100.0 ▲ 100.0 ▲ 100.0 6.8 ▲ 824.4

Bリーグ

Bリーグ第9節終了時点の上位陣の成績は、大里が+139.8Pで首位、2位三井+106.3P、少し離れて早坂+59.2P、安ヶ平+59.0Pという状況。今期の昇格枠は2つ、勝ち取るのは誰になるのか。

1回戦目、大里が早坂に8,000直撃させてリードすると、周りをうまくケアしながら回し打って細かくプラスを上乗せ、守り勝ちのトップとなる。

2回戦目は総合2位の三井が大里に負けじと、東ラスの親で連荘しプラスを重ねていく。
大里も満貫アガリから細かくアガリを重ね三井を追うものの、この半荘は三井に軍配が上がる。

上位2人がプラスを加算させていく展開で迎えた3回戦目。早坂、安ヶ平の両名はここで何とかしないといけない。3,900や5,200のアガリで点棒が行きかう展開となったが、抜け出るものがいない接戦になる。
しかし、ラス前に安ヶ平が早坂から12,000をアガリ一気にトップになった。
このまま1人浮きと行きたい所だったが、オーラスは大里が300・500ツモで浮き2着、1人浮きさせるのを阻止した。

3回戦終了時の総合点数は、大里+174.6P、三井+129.1P、安ヶ平+60.6P、早坂▲1.0P。それぞれのポイント差が約40~70開いており、ほぼ順位は確定かと言う状況で4回戦目が始まる。
序盤三井がプラスを重ね、逆転を狙いに行くものの、早坂の3巡目親リーチ9,600に捕まってしまう。
これ以降は3位の安ヶ平をケアした打ち回しで進め、オーラスもしっかりと自身のアガリで締めて総合2位の座をキープ、Aリーグ昇格を決めた。

これで今期のAリーグ昇格は、プロクイーンベスト8から調子を上げ、後半一気に点数を伸ばした女流大里と、強気な打ち回しで常に上位をキープしてきた青森出身の三井となりました。
2人ともおめでとうございました。

Bリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 6節 7節 8節 9節 10節 合計
1 大里奈美 18.1 ▲ 60.9 61.5 ▲ 51.3 ▲ 3.4 44.2 25.8 27.1 78.7 28.2 168.0
2 三井光一 ▲ 13.8 36.9 ▲ 4.5 89.3 ▲ 21.1 ▲ 3.5 11.2 ▲ 13.9 25.7 39.2 145.5
3 安ヶ平浩希 ▲ 14.5 24.3 10.0 10.6 54.3 17.9 ▲ 43.2 64.5 ▲ 64.9 ▲ 16.0 43.0
4 早坂和人 ▲ 17.6 ▲ 22.7 ▲ 6.2 ▲ 7.0 32.5 ▲ 20.1 ▲ 13.6 94.8 19.1 ▲ 52.4 6.8
5 佐藤晃大 3.3 18.0 2.5 18.9 ▲ 63.7 ▲ 18.0 0.2 27.5 4.0 ▲ 14.0 ▲ 21.3
6 新田大輔 37.2 0.2 65.8 ▲ 19.5 ▲ 39.8 ▲ 12.3 39.6 ▲ 78.1 ▲ 51.9 ▲ 100.0 ▲ 158.8
7 佐々木啓文 ▲ 15.0 ▲ 49.0 ▲ 57.1 ▲ 56.9 45.1 2.6 ▲ 66.6 ▲ 42.0 28.8 17.9 ▲ 192.2
8 斎藤智大 ▲ 7.9 ▲ 1.8 ▲ 74.0 15.9 ▲ 33.9 ▲ 11.8 44.6 ▲ 79.9 ▲ 40.5 ▲ 57.0 ▲ 246.3

東北プロリーグ レポート/第21期東北プロリーグ最終節レポート

Aリーグ
ついに最終節。
順位ずつに卓分けされる今節、上位卓には9節終了時点で5位までに入った者たちが顔を合わせる。
ダントツの首位を走るのは、9節中8節をプラス成績を収め抜群の安定感を見せる佐藤で+260.8P。
後に続くのは皆川+124.P2、遠藤+113.1P、少し離れて渡部が+63.5Pに、粕谷が+60.3Pという状況。
また、上位卓入りしていないが6位で青木が+42.7Pで、東北天翔位決定戦への出場枠4つを争うことになった。
上位卓1回戦目、抜け番は粕谷。
東場から佐藤に手が入り、親っパネを遠藤から直撃させる。
ここから遠藤以外の3者のアガリ合いの展開へ。
南場落ち目の遠藤の親リーチに、皆川が生牌のドラ切りでのツモり四暗刻リーチを被せる。
この手は実らなかったものの勢いは衰えず、皆川がこの半荘を制した。
また、遠藤が大きくマイナスしたことで、一時的だが渡部が追い抜き、3、4位の席を渡部、遠藤、粕谷が争う構図になった。
2回戦目は遠藤が抜け番、ここでも皆川の手は落ちずに連続のトップ。
この回佐藤をラスとしており、大差ながら皆川は1位の座を貪欲に追い続ける。
佐藤が抜け番の3回戦目、3位争いの遠藤、渡部、粕谷が直接対決の勝負所となったが、ここは遠藤が1人浮きのトップとし、一つ頭抜け出る形に。
皆川が抜ける4回戦、ここまでの総合成績は佐藤+253.0P、皆川+161.2P、遠藤+97.5P、渡部+60.6P、粕谷+50.6Pの順。決定戦の席は4つ、別卓で戦う青木のことを考えると、確実に駒を進めるには3位以内が条件。
また、渡部は5番抜けのためこの回がラストであり、出来るだけ多く稼ぎたい。
このような状況でしのぎを削りいあう戦いになったが、接戦を制したのは遠藤だった。
遠藤は+109.8Pと、これでほぼ3位を手中に収めた。渡部は浮き3着でわずかなプラスとし+62.7Pで終えた。粕谷は痛恨の1人沈みとなって+30.3P。最終回粕谷は4位になるために大きなトップが必要となったが、ダントツの佐藤と3位の遠藤が流しに回り、逆転の目を諦めていなかった皆川も南場の親が終われば手を終いとなれば、粕谷に付け入る隙はなかった。
暫定4位の渡部は別卓の青木の結果待ちとなったが、青木は点数を稼ぎたい気持ちが先走ったせいか、精彩を欠く結果となりマイナス終了。決定戦最後の席は渡部が守った形となった。
Aリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 6節 7節 8節 9節 10節 合計
1 佐藤大介 ▲ 5.8 17.1 57.6 47.3 14.8 24.5 17.0 35.5 52.8 ▲ 20.2 240.6
2 皆川直毅 42.8 ▲ 34.2 69.4 ▲ 1.2 ▲ 37.3 ▲ 14.8 44.9 11.1 43.5 54.4 178.6
3 遠藤昭太 94.6 73.8 ▲ 24.3 ▲ 23.6 67.6 18.8 ▲ 30.3 ▲ 37.7 ▲ 25.8 1.5 114.6
4 渡部稔 55.1 25.6 ▲ 37.9 ▲ 56.1 ▲ 1.4 ▲ 13.9 34.5 0.0 57.6 ▲ 0.8 62.7
5 粕谷勇吉 ▲ 11.2 18.4 ▲ 27.7 44.5 39.3 ▲ 6.4 ▲ 5.4 40.8 ▲ 32.0 ▲ 34.9 25.4
6 杜麻沙也 ▲ 57.5 ▲ 14.6 1.6 ▲ 13.5 ▲ 2.9 4.5 61.0 15.9 ▲ 10.8 25.4 9.1
7 青木武 ▲ 31.5 ▲ 6.5 ▲ 30.3 ▲ 16.7 63.6 ▲ 7.3 29.5 13.3 28.6 ▲ 42.8 ▲ 0.1
8 工藤宏紀 1.8 1.7 8.4 25.3 ▲ 33.8 7.2 ▲ 66.0 3.4 ▲ 14.0 39.9 ▲ 26.1
9 今貴聡 ▲ 20.4 12.6 ▲ 43.9 34.9 ▲ 29.6 ▲ 24.2 ▲ 20.4 15.3 ▲ 13.6 17.5 ▲ 71.8
10 泉亮多 ▲ 4.6 9.9 40.5 4.1 25.4 ▲ 28.6 ▲ 44.8 ▲ 48.1 ▲ 5.5 ▲ 40.0 ▲ 91.7
11 高橋清隆 ▲ 58.6 ▲ 20.9 ▲ 0.4 ▲ 50.8 ▲ 32.6 87.0 29.1 6.3 ▲ 75.4 17.0 ▲ 99.3
12 平田孝章 9.1 ▲ 35.7 21.7 ▲ 23.6 ▲ 50.0 ▲ 3.8 ▲ 41.3 8.2 ▲ 1.7 3.1 ▲ 114.0
13 吉田勝弥 0.6 ▲ 63.7 ▲ 36.7 5.0 ▲ 78.9 ▲ 11.9 ▲ 10.4 ▲ 6.0 ▲ 7.9 ▲ 18.8 ▲ 228.7
14 東幸一郎 12.7 19.6 ▲ 100.0 19.4 5.8 5.0 ▲ 62.2 ▲ 8.4 ▲ 100.0 ▲ 100.0 ▲ 308.1
15 菅原直哉 ▲ 1.9 ▲ 9.1 ▲ 100.0 ▲ 100.0 ▲ 100.0 ▲ 51.1 52.8 ▲ 50.6 4.2 ▲ 9.1 ▲ 364.8
16 藤本修二 ▲ 31.2 ▲ 100.0 ▲ 100.0 ▲ 100.0 ▲ 100.0 ▲ 100.0 ▲ 100.0 ▲ 100.0 ▲ 100.0 6.8 ▲ 824.4

Bリーグ
Bリーグ第9節終了時点の上位陣の成績は、大里が+139.8Pで首位、2位三井+106.3P、少し離れて早坂+59.2P、安ヶ平+59.0Pという状況。今期の昇格枠は2つ、勝ち取るのは誰になるのか。
1回戦目、大里が早坂に8,000直撃させてリードすると、周りをうまくケアしながら回し打って細かくプラスを上乗せ、守り勝ちのトップとなる。
2回戦目は総合2位の三井が大里に負けじと、東ラスの親で連荘しプラスを重ねていく。
大里も満貫アガリから細かくアガリを重ね三井を追うものの、この半荘は三井に軍配が上がる。
上位2人がプラスを加算させていく展開で迎えた3回戦目。早坂、安ヶ平の両名はここで何とかしないといけない。3,900や5,200のアガリで点棒が行きかう展開となったが、抜け出るものがいない接戦になる。
しかし、ラス前に安ヶ平が早坂から12,000をアガリ一気にトップになった。
このまま1人浮きと行きたい所だったが、オーラスは大里が300・500ツモで浮き2着、1人浮きさせるのを阻止した。
3回戦終了時の総合点数は、大里+174.6P、三井+129.1P、安ヶ平+60.6P、早坂▲1.0P。それぞれのポイント差が約40~70開いており、ほぼ順位は確定かと言う状況で4回戦目が始まる。
序盤三井がプラスを重ね、逆転を狙いに行くものの、早坂の3巡目親リーチ9,600に捕まってしまう。
これ以降は3位の安ヶ平をケアした打ち回しで進め、オーラスもしっかりと自身のアガリで締めて総合2位の座をキープ、Aリーグ昇格を決めた。
これで今期のAリーグ昇格は、プロクイーンベスト8から調子を上げ、後半一気に点数を伸ばした女流大里と、強気な打ち回しで常に上位をキープしてきた青森出身の三井となりました。
2人ともおめでとうございました。
Bリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 6節 7節 8節 9節 10節 合計
1 大里奈美 18.1 ▲ 60.9 61.5 ▲ 51.3 ▲ 3.4 44.2 25.8 27.1 78.7 28.2 168.0
2 三井光一 ▲ 13.8 36.9 ▲ 4.5 89.3 ▲ 21.1 ▲ 3.5 11.2 ▲ 13.9 25.7 39.2 145.5
3 安ヶ平浩希 ▲ 14.5 24.3 10.0 10.6 54.3 17.9 ▲ 43.2 64.5 ▲ 64.9 ▲ 16.0 43.0
4 早坂和人 ▲ 17.6 ▲ 22.7 ▲ 6.2 ▲ 7.0 32.5 ▲ 20.1 ▲ 13.6 94.8 19.1 ▲ 52.4 6.8
5 佐藤晃大 3.3 18.0 2.5 18.9 ▲ 63.7 ▲ 18.0 0.2 27.5 4.0 ▲ 14.0 ▲ 21.3
6 新田大輔 37.2 0.2 65.8 ▲ 19.5 ▲ 39.8 ▲ 12.3 39.6 ▲ 78.1 ▲ 51.9 ▲ 100.0 ▲ 158.8
7 佐々木啓文 ▲ 15.0 ▲ 49.0 ▲ 57.1 ▲ 56.9 45.1 2.6 ▲ 66.6 ▲ 42.0 28.8 17.9 ▲ 192.2
8 斎藤智大 ▲ 7.9 ▲ 1.8 ▲ 74.0 15.9 ▲ 33.9 ▲ 11.8 44.6 ▲ 79.9 ▲ 40.5 ▲ 57.0 ▲ 246.3

第14期九州皇帝位戦 決勝レポート前編

今回レポートを担当させて頂きます、九州本部28期生西川舞です。よろしくお願いします。
九州リーグの1番上のリーグであるAリーグは1年間かけて全10節をおこない、ポイント上位4名が決勝へと勝ち進む。
決勝戦は2日間にわたり行われ、初日6半荘、2日目6半荘の全12半荘でトータルトップが皇帝位というタイトルを手にすることができる。

選手は毎年春から、毎月自分の麻雀をぶつけコツコツとポイントを重ねこの決勝の舞台を目指すのだ。
今年度1年間を戦い抜き見事決勝進出を決めた選手は、新谷翔平・大和田篤史・小車祥・中尾多門の4名。

1位通過・新谷翔平(24期生)
4人の中で1番入会期が早い新谷は今年で2度目の皇帝位決勝となる。
前回の雪辱を果たすべくまた決勝の舞台に上ってきた。
先輩として、また決勝経験者として絶対に負けるわけにはいけないという気持ちが、いつにも増して勝ちに拘る麻雀を打たせるだろう。

2位通過・大和田篤史(25期生)
今年度一番成績が安定している大和田。今回は初のAリーグ参戦で決勝進出を決める。
九州リーグでは10節のうち2節しかマイナスしておらず、鳳凰戦では3節連続昇級と、その雀力をフルに発揮できている。
その勢いはだれもが認めており、優勝者予想でもマスターズの小車と並び多くの票を集めた。

3位通過・小車祥(25期生)
第22期マスターズ覇者、現マスターズチャンピオンの小車は今期が初の皇帝位決勝となる。
毎年コンスタントに決勝が見える位置にいたが次点で決勝を逃すなどして、今回がやっと掴んだ決勝。
G1タイトルを持つ者として今回は譲れない戦いになるだろう。

4位通過・中尾多門(27期生)
10節目開始時では7位だった中尾。4位とは30ポイント離れた位置だったがしっかりと勝ちきり初の決勝へ駒を進めた。
今回の決勝では人間力のぶつかり合いを見せたいと強く言っていた彼は、爆発力に定評がありこの戦いを必ず面白い展開にしてくれるキーパーソンとなるだろう。

決勝に出ている選手達は普段から皆仲が良く、プライベートでも一緒に遊んだり食事をしたりしているぐらいの関係だ。
私もこの4名の選手には普段から本当にお世話になっていて、誰も負けないでほしいという気持ちもあるが、この中から皇帝位が決まることが嬉しくもあり、決勝を見届ける側としても複雑な気持ちでいっぱいだった。
選手達は皆、口を揃えて「この4人で決勝ができて嬉しい」と言う。
しかし、それぞれが自分自身が勝つために麻雀を打つのだ。
皇帝位には誰か1人しかなれない。
自分の加点する点棒は誰かの持っていた点棒であり、それが麻雀というゲームなのだから。
誰もが様々な思いを胸に抱きながら、決勝1日目が静かにスタートした。

1回戦(起家から、大和田・中尾・新谷・小車)

2日間に及ぶこの長い戦いで、最初は誰がどんな手をアガるのだろう。
どんな配牌をもらうのだろう。選手たちはもちろん、私を含む観戦者もドキドキしていた。

まずは親の大和田の配牌を見てみる。

四万五万六万七万八万一索四索五索七索八索八索一筒五筒北  ドラ東

ピンフ系の速そうな配牌をもらった。大和田は中目の3色を見つつ只々牌効率の通り手を進めていくようだった。
新谷にはドラを含むマンズのホンイツ系の配牌が入り1巡目に中が暗刻になる。

一万一万二万三万三万五万七万四筒五筒東北中中  ツモ中

ここから無駄ヅモ無く九万七万と引きピンズを払ったことで早くも3巡目には手牌がマンズと字牌だけになる。
ドラの重なりを考えるとかなり高打点が見込める勝負手である。

最初に発声をしたのは小車だった。
4巡目からこの形で1シャンテンの小車は6巡目ツモってきた発を暗カン

四万六万二索三索四索二筒四筒六筒六筒七筒  暗カン牌の背発発牌の背

ドラこそないがこの巡目での役牌の暗カンには、まずは自分がイニシアチブを取ろうという気持ちが見えた。
7巡目にドラが重なって手がグッと良くなった中尾は、8巡目に

一万二万四万五万三索五索一筒二筒三筒東東白白  ツモ六万

この形から打二万とする。仕掛けもきく打点も高い手になった。
この時、中尾の下家でマンズのホンイツをしている新谷の手は

一万一万二万三万三万五万七万七万九万東中中中

二万は鳴ける形だがまだスルーしてツモの様子を見るようだ。
まだ序盤~中盤だが、対局者4名の手が皆戦える手であり、形もよい。
配牌とツモにはもちろん意思はないのだが、それぞれの勝ちたいという気持ちを代弁しているかのように思えた。

9巡目に大和田が誰よりも先にピンフのみをテンパイ。

四万四万五万六万七万四索五索六索七索八索九索五筒六筒

三色の見える手変わりもあり、ヤミテンにかまえる。
その巡目に新谷がツモ切った七筒をとらえて1,500のアガリとなる。
大和田本人は他の選手の手牌を知る由もないが、この1,500点は点数以上に大きな意味のあるアガリとなった。

東1局2本場、小車に早くも7巡目からドラトイツの仕掛けのきく形で1シャンテンである。

四万五万五万七万四索五索六索七索二筒三筒四筒七筒七筒

次巡、受けが良形になる仕掛けをするが、そこから不要牌しか引かず終盤に入る。

四万五万五万四索五索二筒三筒四筒七筒七筒  チー五索 左向き六索 上向き七索 上向き

そこに中尾がリーチを打つ。

八万八万二索三索三索四索四索六索七索八索四筒五筒六筒  リーチ

1シャンテンだが一歩も引く気はない小車は、中尾のリーチにまっすぐ向かうが、大和田のバックの仕掛けに発で1,500は1,800を放銃してしまう。
大和田も形が悪くタンヤオに移行する仕掛けをしていたのだが、中尾のリーチ後に運よく手牌に1枚持っていた発が重なりアガリを拾うことができたのだ。

早い巡目でのこの小車の仕掛けは、打ち手によって仕掛ける仕掛けないの意見が分かれるような鳴きだ。
結果だけを見ると、五索をスルーしていたら三万を引き入れ5,200のテンパイになっていたのだ。
他の人間のツモも変わってくるので、小車はもっと大きな手に放銃していたかもしれないし、自分がアガっていたかもしれない。
これが麻雀の面白い所で、同じような局面は必ずやってくるけれどその時その時の正解は1つしかなく、経験則や効率を駆使して戦っても放銃やアガリ逃しはある。
そもそも違う選択をした未来が分からない以上、自分の選択は正解だったかどうかすら分からないのだ。

東1局2本場、全員から少しずつ点棒を集めた大和田が小さくだがリードしている。
この2局、感触こそ良いがアガリに結びつかない中尾にはこのような配牌が入る。

三万四万六万四索六索一筒三筒六筒八筒九筒北発発

ここから特に考える局面も無くほとんど手なりに打って、仕掛けて中段でホンイツが完成する。

一筒一筒二筒三筒四筒九筒九筒  ポン発発発  ポン六筒 上向き六筒 上向き六筒 上向き

先程の局でチャンス手を成就できなかった小車は、中尾のテンパイの直後、五万単騎の役無しから五索を引き、ピンフドラ1のリーチを打つ。

一万二万三万七万八万九万五索五索六索七索二筒三筒四筒  リーチ

もちろん中尾も本手なので一歩も引かず、ツモってきた六筒を加カン。
結果はリーチしている小車が九筒を放銃し、中尾の8,000は8,600のアガリとなる。
このアガリによって中尾がトップ目になり大和田の親が流れた。

東2局、ここまでおとなしくしていた新谷が、2巡目に仕掛けを入れる。

二万二万二万五万六万七万八万四索四索四筒  ポン中中中  ドラ東

すぐにドラを引き、河には二索 上向き六索 上向き二索 上向き四索 上向き四索 上向き四索 上向きと並べホンイツへ向かう。
ドラを持っていない者にとって、この仕掛けと河は本当に怖い。
このルールにおいては特にこのような仕掛けをされると、行きづらくなってしまう。
新谷もそれを見越しての仕掛けだ。

その傍らで大和田はひっそりとピンフをテンパイ。

五万六万七万三筒四筒四筒五筒五筒七筒八筒九筒西西

おそらく、新谷はマンズのホンイツなので、いよいよとなったらオリる事も見越して、早くアガらせてくれよとただただ息を潜めていた。

8巡目、親の中尾がここから打六索でリーチを打つ。

五索五索五索六索六索七索八索二筒三筒四筒六筒八筒発発  

それに対して新谷はこの形でテンパイし、もちろん全く引かない。

二万二万二万四万五万六万六万七万八万東  ポン中中中

この状況、中尾は怖くないのだろうか?
一発も裏ドラもない競技Aルールにおいて、この役もドラもない愚形のリーチを打ち、高そうな新谷に無筋を押される。もちろん中尾はこの決勝に残る程の打ち手なのだからその状況を想定していない訳ではない。想定した上でのリーチだった。

中尾は七筒をアッサリとツモり、1,000オールのアガリになる。
ドラが東であり、新谷の早々の仕掛けと河の様子から言って、これは思い切ったリーチのように思えるが、中尾の力強さを見せつけられた局面だった。

ここから全員が、相手の様子を見ながら上手く本手をかわし局が進んでいった。
本手をかわしたと言うよりも、本手になる前に局を進めたというほうがシックリくる。
東4局、1人沈みの小車の親も新谷にアッサリと流されてしまい、20,700点持ちの1人沈みラスのまま南場へ突入した。

南1局、トップ目の中尾は終始早く局を進めようとして仕掛けてきた。
1巡目の南をポンして3巡目にリャンメンをチーするも1シャンテンである。

一万二万四万五万六万五筒七筒  チー六索 左向き七索 上向き八索 上向き  ポン南南南

何が何でもトップをとりアドバンテージが欲しいのだろう。
親の大和田も仕掛けて8巡目にはドラ雀頭の5,800をテンパイ。

四万六万八万八万三索四索五索  ポン二万 上向き二万 上向き二万 上向き  チー五筒 左向き六筒 上向き七筒 上向き

巡目が進むも中尾もなかなか手が進まず、すごく場にマンズが高くなってしまったので流局も濃厚になってきた。
しかしこの局を制したのは新谷だった。

三万三万四万六万七万四索五索六索一筒二筒三筒四筒五筒六筒

ここから打七万とし、次巡、中尾から切られた五万を大和田とのダブロン。
このルールはダブロンが無いので、頭ハネで新谷の2,600のアガリとなった。
この五万は中尾のテンパイ打牌なのだが、中尾本人が1日目の対局終了後この放銃だけはダメだったと言っていた。
この一押しは、下手したら大怪我をする打牌であり、その大怪我をするラインのギリギリまで攻め切ると決めた中尾が唯一ラインを超えたと思う放銃だったのだ。

しかし、結果だけ見るなら、もう1巡でも早く中尾がテンパイし五万を切れば大和田に5,800の放銃になったのだから、中尾はツイていると言わざるを得ない。

ここから3局は、とにかく加点したい小車と、局を流しながらトップ目に立ちたいが放銃はしたくない3人との攻防のすえ連続で流局した。
小車の1人テンパイ・1人ノーテン・1人テンパイと続き、3本場と供託を1本引継ぎオーラスを迎える。

オーラスの点棒状況は
東:小車  22,700
南:大和田 31,500
西:中尾  32,600
北:新谷  32,200

こうなっており、皆にトップのチャンスがありながら皆にラスの可能性がある状況となった。
小車は配牌がいつも悪いようで1局はなんとか流局に持ち込んだが、次局、中尾に1,300を放銃し1人沈みで1回戦が終了した。

1回戦終了時
中尾+16.6P 新谷+3.7P 大和田+1.0P 小車▲21.3P

2回戦(起家から中尾・大和田・新谷・小車)

東1局、1回戦1人沈みラスを引いてしまった小車は、ここで少しでも加点して追いつきたいところだ。
小車はTを仕掛けてホンイツへ向かうのだが、新谷がドラを重ねドラ雀頭のリーチを打ってくる。
小車はその巡目で当たり牌の三索を掴み、テンパイして新谷の下記の牌姿の6,400放銃になる。

七万七万七万二索四索八索八索九索九索九索一筒二筒三筒  ロン三索

東2局、この局も小車の配牌はピンズ寄りでドラの発がトイツ。
しかし、不幸にも鳴いた後の形があまり良くなく3フーロする事になる。

四筒六筒発発  チー一筒 左向き二筒 上向き三筒 上向き  ポン南南南  チー四筒 左向き五筒 上向き六筒 上向き

1回戦、ずっと配牌が悪かった小車が、ようやくもらった打点のある手。
どうしてもこの手をアガリたい。という小車の声が聞こえてくるようだった。
しかし、この手も新谷の役牌のみの仕掛けで簡単にかわされてしまうのだった。

南1局1本場、親の中尾がこのような配牌をもらう。

七万九万一索一索三索四索四索二筒二筒六筒七筒八筒北北

中尾はここから打一索としトイツをほぐしメンツ手に向かう。
道中、さらにトイツの四索も1枚切り両門固定をするのだが、ピンズがイーペーコーの形で伸びてしまいもう1枚の四索もはずし七対子とイーぺーコーの1シャンテンにかまえる。

七万七万三索二筒二筒四筒六筒七筒七筒八筒八筒北北

ここにすぐに四筒を引き入れ打六筒でリーチを打つ。
中尾の河には一索が3枚切れていて六索も切れている。四索が手の内から2回出てきた事も考えると、手出しツモ切りを見ている方からすると三索は通るように見える。
ほどなくして新谷が中尾に4,800は5,100放銃する。

七万七万三索二筒二筒四筒四筒七筒七筒八筒八筒北北  ロン三索

南4局、南3局で少しだけ加点した小車が若干点棒を持っているが、またしても点差の少ないオーラスとなった。
東:小車  37,300
南:中尾  27,100
西:大和田 25,600
北:新谷  30,000

親の小車は1回戦の1人沈みラスがあるので1人浮きトップをとりたいところだ。
しかし

四索五索五索六索七索三筒四筒五筒九筒九筒九筒東東東

これでリーチを打つも流局してしまい、次局ノーテン罰付で原点を割った新谷が、原点を目指し300・500をアガリ小車の2人浮きトップで2回戦が終わった。

2回戦成績
小車+16.7P 新谷+5.4P 中尾▲8.3P 大和田▲13.8P

2回戦終了時トータル
新谷+9.1P 中尾+8.3P 小車▲4.6P 大和田▲12.8P

3回戦(起家から小車・中尾・大和田・新谷)

東2局、小車が3フーロしてドラが雀頭のこの形になる。

三万四万九万九万  ポン白白白  ポン一筒 上向き一筒 上向き一筒 上向き  ポン中中中

この時発は大和田に1枚新谷に2枚なのだが、1枚も持っていない中尾がリーチを打つ。

五万五万六万六万九万九万七索七索八索八索三筒三筒西  リーチ

西は場に1枚も切れておらず小車にも危ない。
実際は、西発も新谷にトイツなのだが、中尾は発の所在が分からないまま役有りの手をリーチしてきたのだ。
本人に聞いてみた所、推測で大和田が発を掴んで回っている雰囲気が出ていたし、新谷の所にも発があると思ったそうだ。
ドラがトイツの勝負手だから、ツモって3,000・6,000を引きに行こうと。本当に力強い人だ。

結果は、小車が2,000・4,000をツモアガるのだが、明らかにイニシアチブを取っていた小車の仕掛けにリーチをかぶせた、中尾の恐ろしさを再認識させられた局になった。

東4局、大和田が仕掛けて1シャンテンなのだが

二万四万六万七万八万八万三筒四筒五筒五筒七筒  チー四索 左向き五索 上向き六索 上向き

ここから打二万とする。ドラの八万を2枚使い切る確率が最も高い打牌である。
さらに、最高のツモであるドラを引き、ほどなくして2,000・3,900をツモアガる。
現状トータルラスの大和田にとって久しぶりの嬉しいアガリだった。

南2局、親の中尾はピンズのチンイツの仕掛けをする。

二筒六筒七筒八筒  ポン九筒 上向き九筒 上向き九筒 上向き  ポン五筒 上向き五筒 上向き五筒 上向き  ポン四筒 上向き四筒 上向き四筒 上向き

もちろん誰も向かっては来ないのだが、待ちがあまり良くない。
実は大和田は中尾よりも先にテンパイしていた。

三万三万五万六万七万六索七索八索五筒六筒六筒七筒七筒

こんな状況でなければ本手なのに、五筒はもう無い事もあり、三色に手変わりしたとしてもアガリ牌以外のピンズを引いた瞬間終わるような手となった。

その後、中尾は三筒を引くもツモ切り。そして八筒を引くのだが、自分で4枚使っていて場に1枚の五筒八筒二筒単騎は枚数が同じなので八筒をツモ切ったところ、大和田に2,000放銃となった。
大和田にとって半ば諦めていただけに、このアガリは本当に嬉しいアガリとなった。

オーラス
東:新谷  26,600
南:小車  35,800
西:中尾  15,500
北:大和田 42,100 

ラス目の中尾だが、仕掛けて早い巡目にドラの九筒雀頭の跳満のテンパイが入る。

二筒三筒三筒四筒四筒九筒九筒  チー一筒 左向き二筒 上向き三筒 上向き  チー四筒 左向き五筒 上向き六筒 上向き

大和田はアガリトップなのだが、絶対にこの半荘はトップが欲しい。
実は中尾は、一筒二筒三筒をチーしてテンパイなのだが、その時の大和田の手牌は

二万三万四万二索二索四索六索三筒四筒八筒九筒  ポン北北北

ここから八筒九筒と落としテンパイする。
その九筒を中尾が更にポンして、打三筒とし跳満から倍満へと変化させる。

二筒三筒四筒四筒  ポン九筒 上向き九筒 上向き九筒 上向き  チー一筒 左向き二筒 上向き三筒 上向き  チー四筒 左向き五筒 上向き六筒 上向き

2巡後、中尾は大和田のアガリ牌である二筒を持ってくるのだが、自身も一筒四筒二筒五筒に待ちの選択ができる。
見えている枚数は同じで、二筒を切り大和田に放銃となり3回戦が終了した。

二万三万四万二索二索四索五索六索三筒四筒  ポン北北北  ロン二筒

中尾はこの半荘に2回も、自らのチンイツテンパイから待ちの選択で大和田に放銃となる牌を打牌してしまった。
自分の打点が高いだけに、これはかなりメンタルをやられるだろう。
逆に大和田は、これまで本手でない時は踏み込まずひっそりとしていたが、このオーラスは歯を食いしばってトップをもぎ取ったように見えた。

3回戦成績
大和田+22.0P 小車+9.8P 新谷▲7.4P 中尾▲24.4P

3回戦終了時トータル
大和田+9.2+P 小車+5.2P 新谷+1.7P 中尾▲16.1P

4回戦(起家から小車・中尾・新谷・大和田)

東1局、トータルトップになった大和田にドラの三筒を使った大きな手が入る。

二万三万四万二索三索三索四索四索六索六索二筒三筒四筒

テンパイこそ遅かったが打点は十分でソーズが安いためヤミを選択。すぐにアガれそうだ。
がしかし、テンパイして1度もツモ番が来ることはなく、中尾に800・1,600をツモられてしまう。

二万二万一索一索七索七索六筒六筒八筒八筒西西中  ツモ中

先程から、中尾と大和田の本手の潰し合いがよく見られるなという印象だった。

東4局、現状トータルラスで1人沈みの中尾にここで今日一番の勝負手が入る。

五万五万五万九索九索一筒一筒一筒三筒三筒六筒六筒六筒

11巡目にこのテンパイだ。
役満をツモると、容易にトータルトップになるのでツモりたい所だがヤミテンを選択。
すると親の新谷からリーチが入る。この手を成就させたい中尾だが、新谷に2,900の放銃となる。

一索二索三索四索五索六索七索八索四筒五筒六筒七筒七筒  リーチ  ロン三索

3回戦からなかなか本手をアガらせてもらえない中尾にとっては、またしてもメンタルを攻撃される放銃となった。

オーラス
東:大和田 28,300
南:小車  28,400
西:中尾  35,800
北:新谷  27,500

さて、さっきから現マスターズの小車の名前がなかなか出て来ないなと思っている方も多いだろう。なんと言っても小車は先程から確実に他3人より手が悪く、後手で愚形で打点も見込めないと3拍子揃っていた。
そんな小車にオーラス1巡目1シャンテンの手が入る。

六万二索三索三筒三筒三筒四筒五筒五筒六筒七筒南北北

2,000で原点を超える小車は、早くテンパイしてリーチをかけたいところだが、自分が南家という事も有り、第一打は六万を切る。次巡、五万を持ってきて裏目ってしまうのだが、すぐに四索をツモり早いリーチをかける。

三筒三筒三筒四筒五筒五筒六筒七筒二索三索四索北北  リーチ

誰から出アガリしても2着にはなるしツモると原点超えする。
しかし、2,000点で出アガリの条件を満たすだけに、五万六万と河の最初に並んでいるのが悔やまれる。

巡目は深まり、下段でもう流局かと思っていた所、トップ目の中尾が動いた。

三万四万三索四索五索二筒二筒四筒五筒六筒  ポン四万 上向き四万 上向き四万 上向き

そして次巡、二筒を持ってくる。五筒は通っているのだが、結構な種類の牌が通ってしまいツモ切りという訳にはいかなくなった。
これが中尾の言うところの、ギリギリまで攻めるギリギリのラインなのだろう。先程ポンした四万を切り三万単騎に受け変える。
小車はハイテイで三万を掴んでしまい2,000は2,300を放銃しラスまで転落してしまう。
トータルラスである中尾の会心の1人浮きトップだ。

4回戦成績
中尾+21.1P 大和田▲2.8P 新谷▲5.4P 小車▲12.9P

4回戦終了時トータル
大和田+6.4P 中尾+5.0P 新谷▲3.7P 小車▲7.7P

4半荘戦ってトータルポイントがこんなに近いと、ここからの戦い方の重要度が増していく。
今日は残り2回。早く他を突き放したい。もちろんその思いは皆同じだ。
なかなかラクな展開にはならず、せめぎ合いは続いていく。

5回戦(起家から新谷・中尾・小車・大和田)

5回戦は大きく点棒が動くことなく、皆で局を進めているように思えた。
もちろんチャンスがあれば出し抜いてやろうと思っているのだろうが、トータルポイントがそうさせているのか、各々が様子見といった雰囲気でオーラスまで進む。
中尾と大和田に終始早い手が入っていたように見えたが、1,000・2,000と2,000オールをアガった大和田がトップ目で、オーラスを迎える。

東:大和田 40,300
南:新谷  23,700
西:中尾  35,100
北:小車  20,900

3着目の新谷が10巡目にドラの四筒を使いリーチを打つ。

二万二万二万五万五万五万七索八索九索二筒二筒四筒五筒  リーチ

そのリーチに対して下家の中尾は無スジかつ、河とリーチ宣言牌から推測すると結構危険な二万を押す。
ラス目の小車の手牌はこうだ。

三万四万二索二索五索七索二筒三筒五筒六筒六筒七筒七筒

本当ならラス回避のために真っ直ぐ行きたい所だが、あまりにも後手すぎる。
また、中尾が真っ直ぐいった事から中尾が新谷からアガるというものすごく薄い希望も見えない事も無い。
少し考えて、小車は三万を抜いてオリる事にした。

さて中尾はどんな手牌だったのかというと

一万一万一万五万六万七万五索六索五筒六筒九筒九筒九筒

この1シャンテンだったのだ。
中尾の麻雀はこうだ。頂点を目指すのだから、大事なのは2着維持でも原点でもなくトップに拘る麻雀。
次巡四筒をツモり、ツモアガればトップのリーチを打つ。
そして、残念ながら新谷は最後のツモで中尾に2,600放銃してラスまで落ちてしまう。
アガリを確認した新谷の「はい」の返事が聞いていてすごく痛々しかった。
あと1枚で流局だったこともあり、小車からしたらおこぼれ3着なので、新谷の精神的ダメージが大きい半荘となった。

5回戦成績
大和田+18.3P 中尾+12.7P 小車▲13.1P 新谷▲17.9P

5回戦終了時トータル
大和田+24.7P 中尾+17.7P 小車▲20.8P 新谷▲21.6P

6回戦(起家から小車・新谷・大和田・中尾)

長い戦いもようやくこの半荘で折り返し地点となる。
トータルプラスの者は更に突き放したいし、マイナスの者は逆転したいところだ。
6回戦で1日目は終わりということも有り、見所が沢山ある半荘となった。

大きく点棒は動かずに南場を迎えるのだが、南1局
親の小車は南がトイツで5巡目から1シャンテン。そこに9巡目役有りの1シャンテンに変わるポンをする。

一万二万三万四万五万二索三索七索八索九索  ポン南南南

その時、新谷は中を暗カンしていて、ドラの北を1枚もっているので打点も見込める1シャンテンだった。

五万四索五索六索八索九索五筒六筒七筒北  暗カン牌の背中中牌の背

小車はそこからすぐに2フーロ目をして打一万とし、二万五万のテンパイをとるが、次巡裏目の四万をツモる。
ドラの北が重なったり、七索を引き入れたりすると放銃に回りそうな新谷だったが、四筒をスライドし、六万を引きペンチャンターツを落としたので三色のおまけがついた本手のテンパイとなる。

四万五万六万四索五索六索四筒五筒六筒北  暗カン牌の背中中牌の背

小車は終盤ドラの北を持ってきて、北単騎に受け変えて2人テンパイで流局する。
流局で恩の字の局だが、この北を新谷がツモっていたら、小車は跳満を親被りしていたと思うとゾッとする。
もしそうなっていたら、小車はあの打一万を悔やんでも悔やみきれなかっただろう。

大和田がコツコツと点棒を奪われて迎えたオーラス。
東:中尾  36,500
南:小車  28,300

西:新谷  33,600
北:大和田 21,600

親の中尾は2,000点、1,500は1,800と加点していく。
オーラス2本場、ラス目の大和田は、これ以上失点は避けたいので、6巡目

二万三万四万六万七万六索七索八索四筒五筒六筒中中  リーチ

このリーチを打ち、ほどなくして中尾から1,300は1,900をアガる。
大和田はアガって4着、中尾は打ちトップとなり1日目が終了した。

6回戦成績
中尾+17.4P 新谷+7.6P 小車▲7.7P 大和田▲17.3P

6回戦終了時トータル
中尾+35.1P 大和田+7.4P 新谷▲14.0P 小車▲28.5P

1日目の終わりに選手にインタビューと称し反省点や抱負などを聞いてみた。
それぞれに反省点もあるようだが、それよりも明日に向けて力強い勝利宣言が沢山聞けた。

中尾:「スピードと力を見せきれたと思います。ポイントを持っているからと言って戦い方は変えるつもりはありません。明日も自分の麻雀を打ちきって頂点を目指そうと思います。」

大和田:「疲れました。多門さん(中尾)に着いて行くのに必死で、最後の半荘はめちゃくちゃ厳しかった。今日は自分の持ち味の仕掛けが少なかった気がするので明日はたぶんもっとチーしますよ。(笑)」

新谷:「周りのスピードに合わせて積極的に仕掛けた気がします。皆強かったし現状3着ですけど正直自分の力が他の選手に負けているとは全く思わないので明日は全力で勝ちに行きます。」

小車:「60P弱の差は、すぐどうにかなると思っています。今日はそんなに大きくポイントが動くことも無く、終始結構ツイてなかったけど、そのわりには負けを抑えれられたと思っているので、明日ツイてるといいなと願うばかりです。」

九州プロリーグ レポート/第14期九州皇帝位戦 決勝レポート前編

今回レポートを担当させて頂きます、九州本部28期生西川舞です。よろしくお願いします。
九州リーグの1番上のリーグであるAリーグは1年間かけて全10節をおこない、ポイント上位4名が決勝へと勝ち進む。
決勝戦は2日間にわたり行われ、初日6半荘、2日目6半荘の全12半荘でトータルトップが皇帝位というタイトルを手にすることができる。
選手は毎年春から、毎月自分の麻雀をぶつけコツコツとポイントを重ねこの決勝の舞台を目指すのだ。
今年度1年間を戦い抜き見事決勝進出を決めた選手は、新谷翔平・大和田篤史・小車祥・中尾多門の4名。
1位通過・新谷翔平(24期生)
4人の中で1番入会期が早い新谷は今年で2度目の皇帝位決勝となる。
前回の雪辱を果たすべくまた決勝の舞台に上ってきた。
先輩として、また決勝経験者として絶対に負けるわけにはいけないという気持ちが、いつにも増して勝ちに拘る麻雀を打たせるだろう。
2位通過・大和田篤史(25期生)
今年度一番成績が安定している大和田。今回は初のAリーグ参戦で決勝進出を決める。
九州リーグでは10節のうち2節しかマイナスしておらず、鳳凰戦では3節連続昇級と、その雀力をフルに発揮できている。
その勢いはだれもが認めており、優勝者予想でもマスターズの小車と並び多くの票を集めた。
3位通過・小車祥(25期生)
第22期マスターズ覇者、現マスターズチャンピオンの小車は今期が初の皇帝位決勝となる。
毎年コンスタントに決勝が見える位置にいたが次点で決勝を逃すなどして、今回がやっと掴んだ決勝。
G1タイトルを持つ者として今回は譲れない戦いになるだろう。
4位通過・中尾多門(27期生)
10節目開始時では7位だった中尾。4位とは30ポイント離れた位置だったがしっかりと勝ちきり初の決勝へ駒を進めた。
今回の決勝では人間力のぶつかり合いを見せたいと強く言っていた彼は、爆発力に定評がありこの戦いを必ず面白い展開にしてくれるキーパーソンとなるだろう。
決勝に出ている選手達は普段から皆仲が良く、プライベートでも一緒に遊んだり食事をしたりしているぐらいの関係だ。
私もこの4名の選手には普段から本当にお世話になっていて、誰も負けないでほしいという気持ちもあるが、この中から皇帝位が決まることが嬉しくもあり、決勝を見届ける側としても複雑な気持ちでいっぱいだった。
選手達は皆、口を揃えて「この4人で決勝ができて嬉しい」と言う。
しかし、それぞれが自分自身が勝つために麻雀を打つのだ。
皇帝位には誰か1人しかなれない。
自分の加点する点棒は誰かの持っていた点棒であり、それが麻雀というゲームなのだから。
誰もが様々な思いを胸に抱きながら、決勝1日目が静かにスタートした。
1回戦(起家から、大和田・中尾・新谷・小車)
2日間に及ぶこの長い戦いで、最初は誰がどんな手をアガるのだろう。
どんな配牌をもらうのだろう。選手たちはもちろん、私を含む観戦者もドキドキしていた。
まずは親の大和田の配牌を見てみる。
四万五万六万七万八万一索四索五索七索八索八索一筒五筒北  ドラ東
ピンフ系の速そうな配牌をもらった。大和田は中目の3色を見つつ只々牌効率の通り手を進めていくようだった。
新谷にはドラを含むマンズのホンイツ系の配牌が入り1巡目に中が暗刻になる。
一万一万二万三万三万五万七万四筒五筒東北中中  ツモ中
ここから無駄ヅモ無く九万七万と引きピンズを払ったことで早くも3巡目には手牌がマンズと字牌だけになる。
ドラの重なりを考えるとかなり高打点が見込める勝負手である。
最初に発声をしたのは小車だった。
4巡目からこの形で1シャンテンの小車は6巡目ツモってきた発を暗カン
四万六万二索三索四索二筒四筒六筒六筒七筒  暗カン牌の背発発牌の背
ドラこそないがこの巡目での役牌の暗カンには、まずは自分がイニシアチブを取ろうという気持ちが見えた。
7巡目にドラが重なって手がグッと良くなった中尾は、8巡目に
一万二万四万五万三索五索一筒二筒三筒東東白白  ツモ六万
この形から打二万とする。仕掛けもきく打点も高い手になった。
この時、中尾の下家でマンズのホンイツをしている新谷の手は
一万一万二万三万三万五万七万七万九万東中中中
二万は鳴ける形だがまだスルーしてツモの様子を見るようだ。
まだ序盤~中盤だが、対局者4名の手が皆戦える手であり、形もよい。
配牌とツモにはもちろん意思はないのだが、それぞれの勝ちたいという気持ちを代弁しているかのように思えた。
9巡目に大和田が誰よりも先にピンフのみをテンパイ。
四万四万五万六万七万四索五索六索七索八索九索五筒六筒
三色の見える手変わりもあり、ヤミテンにかまえる。
その巡目に新谷がツモ切った七筒をとらえて1,500のアガリとなる。
大和田本人は他の選手の手牌を知る由もないが、この1,500点は点数以上に大きな意味のあるアガリとなった。
東1局2本場、小車に早くも7巡目からドラトイツの仕掛けのきく形で1シャンテンである。
四万五万五万七万四索五索六索七索二筒三筒四筒七筒七筒
次巡、受けが良形になる仕掛けをするが、そこから不要牌しか引かず終盤に入る。
四万五万五万四索五索二筒三筒四筒七筒七筒  チー五索 左向き六索 上向き七索 上向き
そこに中尾がリーチを打つ。
八万八万二索三索三索四索四索六索七索八索四筒五筒六筒  リーチ
1シャンテンだが一歩も引く気はない小車は、中尾のリーチにまっすぐ向かうが、大和田のバックの仕掛けに発で1,500は1,800を放銃してしまう。
大和田も形が悪くタンヤオに移行する仕掛けをしていたのだが、中尾のリーチ後に運よく手牌に1枚持っていた発が重なりアガリを拾うことができたのだ。
早い巡目でのこの小車の仕掛けは、打ち手によって仕掛ける仕掛けないの意見が分かれるような鳴きだ。
結果だけを見ると、五索をスルーしていたら三万を引き入れ5,200のテンパイになっていたのだ。
他の人間のツモも変わってくるので、小車はもっと大きな手に放銃していたかもしれないし、自分がアガっていたかもしれない。
これが麻雀の面白い所で、同じような局面は必ずやってくるけれどその時その時の正解は1つしかなく、経験則や効率を駆使して戦っても放銃やアガリ逃しはある。
そもそも違う選択をした未来が分からない以上、自分の選択は正解だったかどうかすら分からないのだ。
東1局2本場、全員から少しずつ点棒を集めた大和田が小さくだがリードしている。
この2局、感触こそ良いがアガリに結びつかない中尾にはこのような配牌が入る。
三万四万六万四索六索一筒三筒六筒八筒九筒北発発
ここから特に考える局面も無くほとんど手なりに打って、仕掛けて中段でホンイツが完成する。
一筒一筒二筒三筒四筒九筒九筒  ポン発発発  ポン六筒 上向き六筒 上向き六筒 上向き
先程の局でチャンス手を成就できなかった小車は、中尾のテンパイの直後、五万単騎の役無しから五索を引き、ピンフドラ1のリーチを打つ。
一万二万三万七万八万九万五索五索六索七索二筒三筒四筒  リーチ
もちろん中尾も本手なので一歩も引かず、ツモってきた六筒を加カン。
結果はリーチしている小車が九筒を放銃し、中尾の8,000は8,600のアガリとなる。
このアガリによって中尾がトップ目になり大和田の親が流れた。
東2局、ここまでおとなしくしていた新谷が、2巡目に仕掛けを入れる。
二万二万二万五万六万七万八万四索四索四筒  ポン中中中  ドラ東
すぐにドラを引き、河には二索 上向き六索 上向き二索 上向き四索 上向き四索 上向き四索 上向きと並べホンイツへ向かう。
ドラを持っていない者にとって、この仕掛けと河は本当に怖い。
このルールにおいては特にこのような仕掛けをされると、行きづらくなってしまう。
新谷もそれを見越しての仕掛けだ。
その傍らで大和田はひっそりとピンフをテンパイ。
五万六万七万三筒四筒四筒五筒五筒七筒八筒九筒西西
おそらく、新谷はマンズのホンイツなので、いよいよとなったらオリる事も見越して、早くアガらせてくれよとただただ息を潜めていた。
8巡目、親の中尾がここから打六索でリーチを打つ。
五索五索五索六索六索七索八索二筒三筒四筒六筒八筒発発  
それに対して新谷はこの形でテンパイし、もちろん全く引かない。
二万二万二万四万五万六万六万七万八万東  ポン中中中
この状況、中尾は怖くないのだろうか?
一発も裏ドラもない競技Aルールにおいて、この役もドラもない愚形のリーチを打ち、高そうな新谷に無筋を押される。もちろん中尾はこの決勝に残る程の打ち手なのだからその状況を想定していない訳ではない。想定した上でのリーチだった。
中尾は七筒をアッサリとツモり、1,000オールのアガリになる。
ドラが東であり、新谷の早々の仕掛けと河の様子から言って、これは思い切ったリーチのように思えるが、中尾の力強さを見せつけられた局面だった。
ここから全員が、相手の様子を見ながら上手く本手をかわし局が進んでいった。
本手をかわしたと言うよりも、本手になる前に局を進めたというほうがシックリくる。
東4局、1人沈みの小車の親も新谷にアッサリと流されてしまい、20,700点持ちの1人沈みラスのまま南場へ突入した。
南1局、トップ目の中尾は終始早く局を進めようとして仕掛けてきた。
1巡目の南をポンして3巡目にリャンメンをチーするも1シャンテンである。
一万二万四万五万六万五筒七筒  チー六索 左向き七索 上向き八索 上向き  ポン南南南
何が何でもトップをとりアドバンテージが欲しいのだろう。
親の大和田も仕掛けて8巡目にはドラ雀頭の5,800をテンパイ。
四万六万八万八万三索四索五索  ポン二万 上向き二万 上向き二万 上向き  チー五筒 左向き六筒 上向き七筒 上向き
巡目が進むも中尾もなかなか手が進まず、すごく場にマンズが高くなってしまったので流局も濃厚になってきた。
しかしこの局を制したのは新谷だった。
三万三万四万六万七万四索五索六索一筒二筒三筒四筒五筒六筒
ここから打七万とし、次巡、中尾から切られた五万を大和田とのダブロン。
このルールはダブロンが無いので、頭ハネで新谷の2,600のアガリとなった。
この五万は中尾のテンパイ打牌なのだが、中尾本人が1日目の対局終了後この放銃だけはダメだったと言っていた。
この一押しは、下手したら大怪我をする打牌であり、その大怪我をするラインのギリギリまで攻め切ると決めた中尾が唯一ラインを超えたと思う放銃だったのだ。
しかし、結果だけ見るなら、もう1巡でも早く中尾がテンパイし五万を切れば大和田に5,800の放銃になったのだから、中尾はツイていると言わざるを得ない。
ここから3局は、とにかく加点したい小車と、局を流しながらトップ目に立ちたいが放銃はしたくない3人との攻防のすえ連続で流局した。
小車の1人テンパイ・1人ノーテン・1人テンパイと続き、3本場と供託を1本引継ぎオーラスを迎える。
オーラスの点棒状況は
東:小車  22,700
南:大和田 31,500
西:中尾  32,600
北:新谷  32,200
こうなっており、皆にトップのチャンスがありながら皆にラスの可能性がある状況となった。
小車は配牌がいつも悪いようで1局はなんとか流局に持ち込んだが、次局、中尾に1,300を放銃し1人沈みで1回戦が終了した。
1回戦終了時
中尾+16.6P 新谷+3.7P 大和田+1.0P 小車▲21.3P
2回戦(起家から中尾・大和田・新谷・小車)
東1局、1回戦1人沈みラスを引いてしまった小車は、ここで少しでも加点して追いつきたいところだ。
小車はTを仕掛けてホンイツへ向かうのだが、新谷がドラを重ねドラ雀頭のリーチを打ってくる。
小車はその巡目で当たり牌の三索を掴み、テンパイして新谷の下記の牌姿の6,400放銃になる。
七万七万七万二索四索八索八索九索九索九索一筒二筒三筒  ロン三索
東2局、この局も小車の配牌はピンズ寄りでドラの発がトイツ。
しかし、不幸にも鳴いた後の形があまり良くなく3フーロする事になる。
四筒六筒発発  チー一筒 左向き二筒 上向き三筒 上向き  ポン南南南  チー四筒 左向き五筒 上向き六筒 上向き
1回戦、ずっと配牌が悪かった小車が、ようやくもらった打点のある手。
どうしてもこの手をアガリたい。という小車の声が聞こえてくるようだった。
しかし、この手も新谷の役牌のみの仕掛けで簡単にかわされてしまうのだった。
南1局1本場、親の中尾がこのような配牌をもらう。
七万九万一索一索三索四索四索二筒二筒六筒七筒八筒北北
中尾はここから打一索としトイツをほぐしメンツ手に向かう。
道中、さらにトイツの四索も1枚切り両門固定をするのだが、ピンズがイーペーコーの形で伸びてしまいもう1枚の四索もはずし七対子とイーぺーコーの1シャンテンにかまえる。
七万七万三索二筒二筒四筒六筒七筒七筒八筒八筒北北
ここにすぐに四筒を引き入れ打六筒でリーチを打つ。
中尾の河には一索が3枚切れていて六索も切れている。四索が手の内から2回出てきた事も考えると、手出しツモ切りを見ている方からすると三索は通るように見える。
ほどなくして新谷が中尾に4,800は5,100放銃する。
七万七万三索二筒二筒四筒四筒七筒七筒八筒八筒北北  ロン三索
南4局、南3局で少しだけ加点した小車が若干点棒を持っているが、またしても点差の少ないオーラスとなった。
東:小車  37,300
南:中尾  27,100
西:大和田 25,600
北:新谷  30,000
親の小車は1回戦の1人沈みラスがあるので1人浮きトップをとりたいところだ。
しかし
四索五索五索六索七索三筒四筒五筒九筒九筒九筒東東東
これでリーチを打つも流局してしまい、次局ノーテン罰付で原点を割った新谷が、原点を目指し300・500をアガリ小車の2人浮きトップで2回戦が終わった。
2回戦成績
小車+16.7P 新谷+5.4P 中尾▲8.3P 大和田▲13.8P
2回戦終了時トータル
新谷+9.1P 中尾+8.3P 小車▲4.6P 大和田▲12.8P
3回戦(起家から小車・中尾・大和田・新谷)
東2局、小車が3フーロしてドラが雀頭のこの形になる。
三万四万九万九万  ポン白白白  ポン一筒 上向き一筒 上向き一筒 上向き  ポン中中中
この時発は大和田に1枚新谷に2枚なのだが、1枚も持っていない中尾がリーチを打つ。
五万五万六万六万九万九万七索七索八索八索三筒三筒西  リーチ
西は場に1枚も切れておらず小車にも危ない。
実際は、西発も新谷にトイツなのだが、中尾は発の所在が分からないまま役有りの手をリーチしてきたのだ。
本人に聞いてみた所、推測で大和田が発を掴んで回っている雰囲気が出ていたし、新谷の所にも発があると思ったそうだ。
ドラがトイツの勝負手だから、ツモって3,000・6,000を引きに行こうと。本当に力強い人だ。
結果は、小車が2,000・4,000をツモアガるのだが、明らかにイニシアチブを取っていた小車の仕掛けにリーチをかぶせた、中尾の恐ろしさを再認識させられた局になった。
東4局、大和田が仕掛けて1シャンテンなのだが
二万四万六万七万八万八万三筒四筒五筒五筒七筒  チー四索 左向き五索 上向き六索 上向き
ここから打二万とする。ドラの八万を2枚使い切る確率が最も高い打牌である。
さらに、最高のツモであるドラを引き、ほどなくして2,000・3,900をツモアガる。
現状トータルラスの大和田にとって久しぶりの嬉しいアガリだった。
南2局、親の中尾はピンズのチンイツの仕掛けをする。
二筒六筒七筒八筒  ポン九筒 上向き九筒 上向き九筒 上向き  ポン五筒 上向き五筒 上向き五筒 上向き  ポン四筒 上向き四筒 上向き四筒 上向き
もちろん誰も向かっては来ないのだが、待ちがあまり良くない。
実は大和田は中尾よりも先にテンパイしていた。
三万三万五万六万七万六索七索八索五筒六筒六筒七筒七筒
こんな状況でなければ本手なのに、五筒はもう無い事もあり、三色に手変わりしたとしてもアガリ牌以外のピンズを引いた瞬間終わるような手となった。
その後、中尾は三筒を引くもツモ切り。そして八筒を引くのだが、自分で4枚使っていて場に1枚の五筒八筒二筒単騎は枚数が同じなので八筒をツモ切ったところ、大和田に2,000放銃となった。
大和田にとって半ば諦めていただけに、このアガリは本当に嬉しいアガリとなった。
オーラス
東:新谷  26,600
南:小車  35,800
西:中尾  15,500
北:大和田 42,100 
ラス目の中尾だが、仕掛けて早い巡目にドラの九筒雀頭の跳満のテンパイが入る。
二筒三筒三筒四筒四筒九筒九筒  チー一筒 左向き二筒 上向き三筒 上向き  チー四筒 左向き五筒 上向き六筒 上向き
大和田はアガリトップなのだが、絶対にこの半荘はトップが欲しい。
実は中尾は、一筒二筒三筒をチーしてテンパイなのだが、その時の大和田の手牌は
二万三万四万二索二索四索六索三筒四筒八筒九筒  ポン北北北
ここから八筒九筒と落としテンパイする。
その九筒を中尾が更にポンして、打三筒とし跳満から倍満へと変化させる。
二筒三筒四筒四筒  ポン九筒 上向き九筒 上向き九筒 上向き  チー一筒 左向き二筒 上向き三筒 上向き  チー四筒 左向き五筒 上向き六筒 上向き
2巡後、中尾は大和田のアガリ牌である二筒を持ってくるのだが、自身も一筒四筒二筒五筒に待ちの選択ができる。
見えている枚数は同じで、二筒を切り大和田に放銃となり3回戦が終了した。
二万三万四万二索二索四索五索六索三筒四筒  ポン北北北  ロン二筒
中尾はこの半荘に2回も、自らのチンイツテンパイから待ちの選択で大和田に放銃となる牌を打牌してしまった。
自分の打点が高いだけに、これはかなりメンタルをやられるだろう。
逆に大和田は、これまで本手でない時は踏み込まずひっそりとしていたが、このオーラスは歯を食いしばってトップをもぎ取ったように見えた。
3回戦成績
大和田+22.0P 小車+9.8P 新谷▲7.4P 中尾▲24.4P
3回戦終了時トータル
大和田+9.2+P 小車+5.2P 新谷+1.7P 中尾▲16.1P
4回戦(起家から小車・中尾・新谷・大和田)
東1局、トータルトップになった大和田にドラの三筒を使った大きな手が入る。
二万三万四万二索三索三索四索四索六索六索二筒三筒四筒
テンパイこそ遅かったが打点は十分でソーズが安いためヤミを選択。すぐにアガれそうだ。
がしかし、テンパイして1度もツモ番が来ることはなく、中尾に800・1,600をツモられてしまう。
二万二万一索一索七索七索六筒六筒八筒八筒西西中  ツモ中
先程から、中尾と大和田の本手の潰し合いがよく見られるなという印象だった。
東4局、現状トータルラスで1人沈みの中尾にここで今日一番の勝負手が入る。
五万五万五万九索九索一筒一筒一筒三筒三筒六筒六筒六筒
11巡目にこのテンパイだ。
役満をツモると、容易にトータルトップになるのでツモりたい所だがヤミテンを選択。
すると親の新谷からリーチが入る。この手を成就させたい中尾だが、新谷に2,900の放銃となる。
一索二索三索四索五索六索七索八索四筒五筒六筒七筒七筒  リーチ  ロン三索
3回戦からなかなか本手をアガらせてもらえない中尾にとっては、またしてもメンタルを攻撃される放銃となった。
オーラス
東:大和田 28,300
南:小車  28,400
西:中尾  35,800
北:新谷  27,500
さて、さっきから現マスターズの小車の名前がなかなか出て来ないなと思っている方も多いだろう。なんと言っても小車は先程から確実に他3人より手が悪く、後手で愚形で打点も見込めないと3拍子揃っていた。
そんな小車にオーラス1巡目1シャンテンの手が入る。
六万二索三索三筒三筒三筒四筒五筒五筒六筒七筒南北北
2,000で原点を超える小車は、早くテンパイしてリーチをかけたいところだが、自分が南家という事も有り、第一打は六万を切る。次巡、五万を持ってきて裏目ってしまうのだが、すぐに四索をツモり早いリーチをかける。
三筒三筒三筒四筒五筒五筒六筒七筒二索三索四索北北  リーチ
誰から出アガリしても2着にはなるしツモると原点超えする。
しかし、2,000点で出アガリの条件を満たすだけに、五万六万と河の最初に並んでいるのが悔やまれる。
巡目は深まり、下段でもう流局かと思っていた所、トップ目の中尾が動いた。
三万四万三索四索五索二筒二筒四筒五筒六筒  ポン四万 上向き四万 上向き四万 上向き
そして次巡、二筒を持ってくる。五筒は通っているのだが、結構な種類の牌が通ってしまいツモ切りという訳にはいかなくなった。
これが中尾の言うところの、ギリギリまで攻めるギリギリのラインなのだろう。先程ポンした四万を切り三万単騎に受け変える。
小車はハイテイで三万を掴んでしまい2,000は2,300を放銃しラスまで転落してしまう。
トータルラスである中尾の会心の1人浮きトップだ。
4回戦成績
中尾+21.1P 大和田▲2.8P 新谷▲5.4P 小車▲12.9P
4回戦終了時トータル
大和田+6.4P 中尾+5.0P 新谷▲3.7P 小車▲7.7P
4半荘戦ってトータルポイントがこんなに近いと、ここからの戦い方の重要度が増していく。
今日は残り2回。早く他を突き放したい。もちろんその思いは皆同じだ。
なかなかラクな展開にはならず、せめぎ合いは続いていく。
5回戦(起家から新谷・中尾・小車・大和田)
5回戦は大きく点棒が動くことなく、皆で局を進めているように思えた。
もちろんチャンスがあれば出し抜いてやろうと思っているのだろうが、トータルポイントがそうさせているのか、各々が様子見といった雰囲気でオーラスまで進む。
中尾と大和田に終始早い手が入っていたように見えたが、1,000・2,000と2,000オールをアガった大和田がトップ目で、オーラスを迎える。
東:大和田 40,300
南:新谷  23,700
西:中尾  35,100
北:小車  20,900
3着目の新谷が10巡目にドラの四筒を使いリーチを打つ。
二万二万二万五万五万五万七索八索九索二筒二筒四筒五筒  リーチ
そのリーチに対して下家の中尾は無スジかつ、河とリーチ宣言牌から推測すると結構危険な二万を押す。
ラス目の小車の手牌はこうだ。
三万四万二索二索五索七索二筒三筒五筒六筒六筒七筒七筒
本当ならラス回避のために真っ直ぐ行きたい所だが、あまりにも後手すぎる。
また、中尾が真っ直ぐいった事から中尾が新谷からアガるというものすごく薄い希望も見えない事も無い。
少し考えて、小車は三万を抜いてオリる事にした。
さて中尾はどんな手牌だったのかというと
一万一万一万五万六万七万五索六索五筒六筒九筒九筒九筒
この1シャンテンだったのだ。
中尾の麻雀はこうだ。頂点を目指すのだから、大事なのは2着維持でも原点でもなくトップに拘る麻雀。
次巡四筒をツモり、ツモアガればトップのリーチを打つ。
そして、残念ながら新谷は最後のツモで中尾に2,600放銃してラスまで落ちてしまう。
アガリを確認した新谷の「はい」の返事が聞いていてすごく痛々しかった。
あと1枚で流局だったこともあり、小車からしたらおこぼれ3着なので、新谷の精神的ダメージが大きい半荘となった。
5回戦成績
大和田+18.3P 中尾+12.7P 小車▲13.1P 新谷▲17.9P
5回戦終了時トータル
大和田+24.7P 中尾+17.7P 小車▲20.8P 新谷▲21.6P
6回戦(起家から小車・新谷・大和田・中尾)
長い戦いもようやくこの半荘で折り返し地点となる。
トータルプラスの者は更に突き放したいし、マイナスの者は逆転したいところだ。
6回戦で1日目は終わりということも有り、見所が沢山ある半荘となった。
大きく点棒は動かずに南場を迎えるのだが、南1局
親の小車は南がトイツで5巡目から1シャンテン。そこに9巡目役有りの1シャンテンに変わるポンをする。
一万二万三万四万五万二索三索七索八索九索  ポン南南南
その時、新谷は中を暗カンしていて、ドラの北を1枚もっているので打点も見込める1シャンテンだった。
五万四索五索六索八索九索五筒六筒七筒北  暗カン牌の背中中牌の背
小車はそこからすぐに2フーロ目をして打一万とし、二万五万のテンパイをとるが、次巡裏目の四万をツモる。
ドラの北が重なったり、七索を引き入れたりすると放銃に回りそうな新谷だったが、四筒をスライドし、六万を引きペンチャンターツを落としたので三色のおまけがついた本手のテンパイとなる。
四万五万六万四索五索六索四筒五筒六筒北  暗カン牌の背中中牌の背
小車は終盤ドラの北を持ってきて、北単騎に受け変えて2人テンパイで流局する。
流局で恩の字の局だが、この北を新谷がツモっていたら、小車は跳満を親被りしていたと思うとゾッとする。
もしそうなっていたら、小車はあの打一万を悔やんでも悔やみきれなかっただろう。
大和田がコツコツと点棒を奪われて迎えたオーラス。
東:中尾  36,500
南:小車  28,300
西:新谷  33,600
北:大和田 21,600
親の中尾は2,000点、1,500は1,800と加点していく。
オーラス2本場、ラス目の大和田は、これ以上失点は避けたいので、6巡目
二万三万四万六万七万六索七索八索四筒五筒六筒中中  リーチ
このリーチを打ち、ほどなくして中尾から1,300は1,900をアガる。
大和田はアガって4着、中尾は打ちトップとなり1日目が終了した。
6回戦成績
中尾+17.4P 新谷+7.6P 小車▲7.7P 大和田▲17.3P
6回戦終了時トータル
中尾+35.1P 大和田+7.4P 新谷▲14.0P 小車▲28.5P
1日目の終わりに選手にインタビューと称し反省点や抱負などを聞いてみた。
それぞれに反省点もあるようだが、それよりも明日に向けて力強い勝利宣言が沢山聞けた。
中尾:「スピードと力を見せきれたと思います。ポイントを持っているからと言って戦い方は変えるつもりはありません。明日も自分の麻雀を打ちきって頂点を目指そうと思います。」
大和田:「疲れました。多門さん(中尾)に着いて行くのに必死で、最後の半荘はめちゃくちゃ厳しかった。今日は自分の持ち味の仕掛けが少なかった気がするので明日はたぶんもっとチーしますよ。(笑)」
新谷:「周りのスピードに合わせて積極的に仕掛けた気がします。皆強かったし現状3着ですけど正直自分の力が他の選手に負けているとは全く思わないので明日は全力で勝ちに行きます。」
小車:「60P弱の差は、すぐどうにかなると思っています。今日はそんなに大きくポイントが動くことも無く、終始結構ツイてなかったけど、そのわりには負けを抑えれられたと思っているので、明日ツイてるといいなと願うばかりです。」

第14期九州プロリーグ (皇帝位戦決勝成績表)

順位 新谷 翔平 大和田 篤史 小車 祥 中尾 多門
1回戦 得失点 0.7 0.0 ▲ 9.3 8.6
順位点 3.0 1.0 ▲ 12.0 8.0
3.7 1.0 ▲ 21.3 16.6
2回戦 得失点 1.4 ▲ 5.8 8.7 ▲ 4.3
順位点 4.0 ▲ 8.0 8.0 ▲ 4.0
5.4 ▲ 13.8 16.7 ▲ 8.3
3回戦 得失点 ▲ 3.4 14.0 5.8 ▲ 16.4
順位点 ▲ 4.0 8.0 4.0 ▲ 8.0
▲ 7.4 22.0 9.8 ▲ 24.4
4回戦 得失点 ▲ 2.4 ▲ 1.8 ▲ 4.9 9.1
順位点 ▲ 3.0 ▲ 1.0 ▲ 8.0 12.0
▲ 5.4 ▲ 2.8 ▲ 12.9 21.1
5回戦 得失点 ▲ 9.9 10.3 ▲ 9.1 8.7
順位点 ▲ 8.0 8.0 ▲ 4.0 4.0
▲ 17.9 18.3 ▲ 13.1 12.7
6回戦 得失点 3.6 ▲ 9.3 ▲ 3.7 9.4
順位点 4.0 ▲ 8.0 ▲ 4.0 8.0
7.6 ▲ 17.3 ▲ 7.7 17.4
6回戦計 ▲ 14.0 7.4 ▲ 28.5 35.1
順位 新谷 翔平 大和田 篤史 小車 祥 中尾 多門
7回戦 得失点 0.3 ▲ 4.6 0.2 3.1
順位点 3.0 ▲ 12.0 1.0 8.0
3.3 ▲ 16.6 1.2 11.1
8回戦 得失点 24.2 ▲ 30.1 6.9 ▲ 1.0
順位点 8.0 ▲ 8.0 4.0 ▲ 4.0
32.2 ▲ 38.1 10.9 ▲ 5.0
9回戦 得失点 3.9 ▲ 1.7 ▲ 2.5 0.3
順位点 8.0 ▲ 4.0 ▲ 8.0 4.0
11.9 ▲ 5.7 ▲ 10.5 4.3
10回戦 得失点 ▲ 5.4 ▲ 10.8 ▲ 3.6 19.8
順位点 ▲ 3.0 ▲ 8.0 ▲ 1.0 12.0
▲ 8.4 ▲ 18.8 ▲ 4.6 31.8
11回戦 得失点 ▲ 8.8 ▲ 12.7 43.4 ▲ 21.9
順位点 ▲ 1.0 ▲ 3.0 12.0 ▲ 8.0
▲ 9.8 ▲ 15.7 55.4 ▲ 29.9
12回戦 得失点 ▲ 4.7 ▲ 18.6 18.0 5.3
順位点 ▲ 4.0 ▲ 8.0 8.0 4.0
▲ 8.7 ▲ 26.6 26.0 9.3
12回戦計 6.5 ▲ 114.1 49.9 56.7

九州プロリーグ 成績表/第14期九州プロリーグ (皇帝位戦決勝成績表)

順位 新谷 翔平 大和田 篤史 小車 祥 中尾 多門
1回戦 得失点 0.7 0.0 ▲ 9.3 8.6
順位点 3.0 1.0 ▲ 12.0 8.0
3.7 1.0 ▲ 21.3 16.6
2回戦 得失点 1.4 ▲ 5.8 8.7 ▲ 4.3
順位点 4.0 ▲ 8.0 8.0 ▲ 4.0
5.4 ▲ 13.8 16.7 ▲ 8.3
3回戦 得失点 ▲ 3.4 14.0 5.8 ▲ 16.4
順位点 ▲ 4.0 8.0 4.0 ▲ 8.0
▲ 7.4 22.0 9.8 ▲ 24.4
4回戦 得失点 ▲ 2.4 ▲ 1.8 ▲ 4.9 9.1
順位点 ▲ 3.0 ▲ 1.0 ▲ 8.0 12.0
▲ 5.4 ▲ 2.8 ▲ 12.9 21.1
5回戦 得失点 ▲ 9.9 10.3 ▲ 9.1 8.7
順位点 ▲ 8.0 8.0 ▲ 4.0 4.0
▲ 17.9 18.3 ▲ 13.1 12.7
6回戦 得失点 3.6 ▲ 9.3 ▲ 3.7 9.4
順位点 4.0 ▲ 8.0 ▲ 4.0 8.0
7.6 ▲ 17.3 ▲ 7.7 17.4
6回戦計 ▲ 14.0 7.4 ▲ 28.5 35.1
順位 新谷 翔平 大和田 篤史 小車 祥 中尾 多門
7回戦 得失点 0.3 ▲ 4.6 0.2 3.1
順位点 3.0 ▲ 12.0 1.0 8.0
3.3 ▲ 16.6 1.2 11.1
8回戦 得失点 24.2 ▲ 30.1 6.9 ▲ 1.0
順位点 8.0 ▲ 8.0 4.0 ▲ 4.0
32.2 ▲ 38.1 10.9 ▲ 5.0
9回戦 得失点 3.9 ▲ 1.7 ▲ 2.5 0.3
順位点 8.0 ▲ 4.0 ▲ 8.0 4.0
11.9 ▲ 5.7 ▲ 10.5 4.3
10回戦 得失点 ▲ 5.4 ▲ 10.8 ▲ 3.6 19.8
順位点 ▲ 3.0 ▲ 8.0 ▲ 1.0 12.0
▲ 8.4 ▲ 18.8 ▲ 4.6 31.8
11回戦 得失点 ▲ 8.8 ▲ 12.7 43.4 ▲ 21.9
順位点 ▲ 1.0 ▲ 3.0 12.0 ▲ 8.0
▲ 9.8 ▲ 15.7 55.4 ▲ 29.9
12回戦 得失点 ▲ 4.7 ▲ 18.6 18.0 5.3
順位点 ▲ 4.0 ▲ 8.0 8.0 4.0
▲ 8.7 ▲ 26.6 26.0 9.3
12回戦計 6.5 ▲ 114.1 49.9 56.7

第21期東北プロリーグ 最終節成績表

Aリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 6節 7節 8節 9節 10節 合計
1 佐藤大介 ▲ 5.8 17.1 57.6 47.3 14.8 24.5 17.0 35.5 52.8 ▲ 20.2 240.6
2 皆川直毅 42.8 ▲ 34.2 69.4 ▲ 1.2 ▲ 37.3 ▲ 14.8 44.9 11.1 43.5 54.4 178.6
3 遠藤昭太 94.6 73.8 ▲ 24.3 ▲ 23.6 67.6 18.8 ▲ 30.3 ▲ 37.7 ▲ 25.8 1.5 114.6
4 渡部稔 55.1 25.6 ▲ 37.9 ▲ 56.1 ▲ 1.4 ▲ 13.9 34.5 0.0 57.6 ▲ 0.8 62.7
5 粕谷勇吉 ▲ 11.2 18.4 ▲ 27.7 44.5 39.3 ▲ 6.4 ▲ 5.4 40.8 ▲ 32.0 ▲ 34.9 25.4
6 杜麻沙也 ▲ 57.5 ▲ 14.6 1.6 ▲ 13.5 ▲ 2.9 4.5 61.0 15.9 ▲ 10.8 25.4 9.1
7 青木武 ▲ 31.5 ▲ 6.5 ▲ 30.3 ▲ 16.7 63.6 ▲ 7.3 29.5 13.3 28.6 ▲ 42.8 ▲ 0.1
8 工藤宏紀 1.8 1.7 8.4 25.3 ▲ 33.8 7.2 ▲ 66.0 3.4 ▲ 14.0 39.9 ▲ 26.1
9 今貴聡 ▲ 20.4 12.6 ▲ 43.9 34.9 ▲ 29.6 ▲ 24.2 ▲ 20.4 15.3 ▲ 13.6 17.5 ▲ 71.8
10 泉亮多 ▲ 4.6 9.9 40.5 4.1 25.4 ▲ 28.6 ▲ 44.8 ▲ 48.1 ▲ 5.5 ▲ 40.0 ▲ 91.7
11 高橋清隆 ▲ 58.6 ▲ 20.9 ▲ 0.4 ▲ 50.8 ▲ 32.6 87.0 29.1 6.3 ▲ 75.4 17.0 ▲ 99.3
12 平田孝章 9.1 ▲ 35.7 21.7 ▲ 23.6 ▲ 50.0 ▲ 3.8 ▲ 41.3 8.2 ▲ 1.7 3.1 ▲ 114.0
13 吉田勝弥 0.6 ▲ 63.7 ▲ 36.7 5.0 ▲ 78.9 ▲ 11.9 ▲ 10.4 ▲ 6.0 ▲ 7.9 ▲ 18.8 ▲ 228.7
14 東幸一郎 12.7 19.6 ▲ 100.0 19.4 5.8 5.0 ▲ 62.2 ▲ 8.4 ▲ 100.0 ▲ 100.0 ▲ 308.1
15 菅原直哉 ▲ 1.9 ▲ 9.1 ▲ 100.0 ▲ 100.0 ▲ 100.0 ▲ 51.1 52.8 ▲ 50.6 4.2 ▲ 9.1 ▲ 364.8
16 藤本修二 ▲ 31.2 ▲ 100.0 ▲ 100.0 ▲ 100.0 ▲ 100.0 ▲ 100.0 ▲ 100.0 ▲ 100.0 ▲ 100.0 6.8 ▲ 824.4

Bリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 6節 7節 8節 9節 10節 合計
1 大里奈美 18.1 ▲ 60.9 61.5 ▲ 51.3 ▲ 3.4 44.2 25.8 27.1 78.7 28.2 168.0
2 三井光一 ▲ 13.8 36.9 ▲ 4.5 89.3 ▲ 21.1 ▲ 3.5 11.2 ▲ 13.9 25.7 39.2 145.5
3 安ヶ平浩希 ▲ 14.5 24.3 10.0 10.6 54.3 17.9 ▲ 43.2 64.5 ▲ 64.9 ▲ 16.0 43.0
4 早坂和人 ▲ 17.6 ▲ 22.7 ▲ 6.2 ▲ 7.0 32.5 ▲ 20.1 ▲ 13.6 94.8 19.1 ▲ 52.4 6.8
5 佐藤晃大 3.3 18.0 2.5 18.9 ▲ 63.7 ▲ 18.0 0.2 27.5 4.0 ▲ 14.0 ▲ 21.3
6 新田大輔 37.2 0.2 65.8 ▲ 19.5 ▲ 39.8 ▲ 12.3 39.6 ▲ 78.1 ▲ 51.9 ▲ 100.0 ▲ 158.8
7 佐々木啓文 ▲ 15.0 ▲ 49.0 ▲ 57.1 ▲ 56.9 45.1 2.6 ▲ 66.6 ▲ 42.0 28.8 17.9 ▲ 192.2
8 斎藤智大 ▲ 7.9 ▲ 1.8 ▲ 74.0 15.9 ▲ 33.9 ▲ 11.8 44.6 ▲ 79.9 ▲ 40.5 ▲ 57.0 ▲ 246.3

東北プロリーグ 成績表/第21期東北プロリーグ 最終節成績表

Aリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 6節 7節 8節 9節 10節 合計
1 佐藤大介 ▲ 5.8 17.1 57.6 47.3 14.8 24.5 17.0 35.5 52.8 ▲ 20.2 240.6
2 皆川直毅 42.8 ▲ 34.2 69.4 ▲ 1.2 ▲ 37.3 ▲ 14.8 44.9 11.1 43.5 54.4 178.6
3 遠藤昭太 94.6 73.8 ▲ 24.3 ▲ 23.6 67.6 18.8 ▲ 30.3 ▲ 37.7 ▲ 25.8 1.5 114.6
4 渡部稔 55.1 25.6 ▲ 37.9 ▲ 56.1 ▲ 1.4 ▲ 13.9 34.5 0.0 57.6 ▲ 0.8 62.7
5 粕谷勇吉 ▲ 11.2 18.4 ▲ 27.7 44.5 39.3 ▲ 6.4 ▲ 5.4 40.8 ▲ 32.0 ▲ 34.9 25.4
6 杜麻沙也 ▲ 57.5 ▲ 14.6 1.6 ▲ 13.5 ▲ 2.9 4.5 61.0 15.9 ▲ 10.8 25.4 9.1
7 青木武 ▲ 31.5 ▲ 6.5 ▲ 30.3 ▲ 16.7 63.6 ▲ 7.3 29.5 13.3 28.6 ▲ 42.8 ▲ 0.1
8 工藤宏紀 1.8 1.7 8.4 25.3 ▲ 33.8 7.2 ▲ 66.0 3.4 ▲ 14.0 39.9 ▲ 26.1
9 今貴聡 ▲ 20.4 12.6 ▲ 43.9 34.9 ▲ 29.6 ▲ 24.2 ▲ 20.4 15.3 ▲ 13.6 17.5 ▲ 71.8
10 泉亮多 ▲ 4.6 9.9 40.5 4.1 25.4 ▲ 28.6 ▲ 44.8 ▲ 48.1 ▲ 5.5 ▲ 40.0 ▲ 91.7
11 高橋清隆 ▲ 58.6 ▲ 20.9 ▲ 0.4 ▲ 50.8 ▲ 32.6 87.0 29.1 6.3 ▲ 75.4 17.0 ▲ 99.3
12 平田孝章 9.1 ▲ 35.7 21.7 ▲ 23.6 ▲ 50.0 ▲ 3.8 ▲ 41.3 8.2 ▲ 1.7 3.1 ▲ 114.0
13 吉田勝弥 0.6 ▲ 63.7 ▲ 36.7 5.0 ▲ 78.9 ▲ 11.9 ▲ 10.4 ▲ 6.0 ▲ 7.9 ▲ 18.8 ▲ 228.7
14 東幸一郎 12.7 19.6 ▲ 100.0 19.4 5.8 5.0 ▲ 62.2 ▲ 8.4 ▲ 100.0 ▲ 100.0 ▲ 308.1
15 菅原直哉 ▲ 1.9 ▲ 9.1 ▲ 100.0 ▲ 100.0 ▲ 100.0 ▲ 51.1 52.8 ▲ 50.6 4.2 ▲ 9.1 ▲ 364.8
16 藤本修二 ▲ 31.2 ▲ 100.0 ▲ 100.0 ▲ 100.0 ▲ 100.0 ▲ 100.0 ▲ 100.0 ▲ 100.0 ▲ 100.0 6.8 ▲ 824.4

Bリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 6節 7節 8節 9節 10節 合計
1 大里奈美 18.1 ▲ 60.9 61.5 ▲ 51.3 ▲ 3.4 44.2 25.8 27.1 78.7 28.2 168.0
2 三井光一 ▲ 13.8 36.9 ▲ 4.5 89.3 ▲ 21.1 ▲ 3.5 11.2 ▲ 13.9 25.7 39.2 145.5
3 安ヶ平浩希 ▲ 14.5 24.3 10.0 10.6 54.3 17.9 ▲ 43.2 64.5 ▲ 64.9 ▲ 16.0 43.0
4 早坂和人 ▲ 17.6 ▲ 22.7 ▲ 6.2 ▲ 7.0 32.5 ▲ 20.1 ▲ 13.6 94.8 19.1 ▲ 52.4 6.8
5 佐藤晃大 3.3 18.0 2.5 18.9 ▲ 63.7 ▲ 18.0 0.2 27.5 4.0 ▲ 14.0 ▲ 21.3
6 新田大輔 37.2 0.2 65.8 ▲ 19.5 ▲ 39.8 ▲ 12.3 39.6 ▲ 78.1 ▲ 51.9 ▲ 100.0 ▲ 158.8
7 佐々木啓文 ▲ 15.0 ▲ 49.0 ▲ 57.1 ▲ 56.9 45.1 2.6 ▲ 66.6 ▲ 42.0 28.8 17.9 ▲ 192.2
8 斎藤智大 ▲ 7.9 ▲ 1.8 ▲ 74.0 15.9 ▲ 33.9 ▲ 11.8 44.6 ▲ 79.9 ▲ 40.5 ▲ 57.0 ▲ 246.3

第45期 北海道プロリーグ 最終節成績表

順位 名前 第1節 第2節 第3節 第4節 第5節 最終節 合計
1 加藤 晋平 ▲ 17.0 53.2 128.1 26.3 43.3 ▲ 8.7 225.2
2 野々川 博之 7.1 32.8 29.4 16.8 13.0 80.1 179.2
3 須賀 智博 17.4 20.5 58.8 57.2 ▲ 3.2 ▲ 20.8 129.9
4 村上 良 7.1 ▲ 23.8 47.1 33.6 33.6 30.4 128.0
5 三盃 貴之 20.7 ▲ 23.3 24.0 16.8 ▲ 34.9 103.5 106.8
6 三盃 志 11.1 12.2 48.8 ▲ 4.1 73.6 ▲ 36.4 105.2
7 中村 瞬 ▲ 31.2 2.5 28.0 16.1 44.5 24.2 84.1
8 石田 雅人 33.3 15.9 7.5 1.4 23.5 ▲ 38.7 42.9
9 浦山 祐輔 41.0 35.7 ▲ 36.2 ▲ 38.0 76.4 ▲ 36.8 42.1
10 喜多 清貴 18.9 22.8 ▲ 10.2 ▲ 22.4 29.3 28.4
11 平島 誉久 ▲ 19.5 22.7 5.2 16.1 ▲ 10.9 3.6
12 土橋 篤 2.1 93.0 ▲ 43.7 32.0 ▲ 75.8 ▲ 2.4
13 市川 敦士 33.7 6.4 19.4 ▲ 30.6 ▲ 33.8 ▲ 16.9 ▲ 21.8
14 藤原 洋一 35.8 ▲ 16.0 ▲ 90.4 10.4 4.3 29.6 ▲ 26.3
15 小川 和香奈 7.0 6.2 ▲ 42.9 7.8 ▲ 20.3 9.6 ▲ 32.6
16 真光 祐尚 ▲ 36.2 ▲ 46.2 70.7 ▲ 41.7
17 厚谷 昇汰 ▲ 15.8 ▲ 25.9 39.6 ▲ 32.3 24.8 ▲ 68.3 ▲ 77.9
18 中村 龍太 ▲ 18.4 26.7 ▲ 34.5 ▲ 7.7 23.3 ▲ 85.3 ▲ 95.9
19 柳田 圭介 ▲ 42.7 ▲ 29.5 ▲ 10.8 4.5 ▲ 8.9 ▲ 97.4
20 佐藤 賢忠 ▲ 0.6 ▲ 59.4 ▲ 41.6 6.0 ▲ 30.4 ▲ 11.0 ▲ 137.0
21 砂原 裕美子 ▲ 38.9 ▲ 54.2 1.6 ▲ 22.0 ▲ 31.3 ▲ 154.8
22 西野 拓也 19.9 ▲ 20.1 ▲ 89.9 3.8 ▲ 66.0 ▲ 12.0 ▲ 164.3
23 吉木 輝 ▲ 56.3 ▲ 14.9 ▲ 61.7 ▲ 43.3 ▲ 15.8 21.0 ▲ 171.0
24 瀬口 隆弘 ▲ 36.2 ▲ 6.1 2.2 ▲ 36.0 ▲ 47.5 ▲ 90.5 ▲ 234.1

プロリーグ
最終節は第5節終了時上位より卓組みをし、順位を決するものとする。

第1期スキルアップリーグ

順位 名前 第1節 第2節 第3節 第4節 第5節 第6節 第7節 第8節 第9節 第10節 最終節 合計
1 加藤 晋平 22.6 46.7 ▲ 3.2 48.9 56.9 6.9 ▲ 2.5 12.2 13.2 21.7 223.4
2 中村 瞬 53.7 15.9 ▲ 4.8 59.5 28.2 50.9 ▲ 52.2 36.9 ▲ 1.7 22.6 2.0 211.0
3 西野 拓也 4.1 ▲ 9.0 19.7 ▲ 27.4 29.9 121.8 7.4 17.9 20.1 ▲ 50.3 134.2
4 吉木 輝 13.4 18.2 38.7 23.8 ▲ 10.1 ▲ 15.9 24.7 ▲ 15.3 ▲ 9.9 26.7 94.3
5 浦山 祐輔 18.5 ▲ 8.9 28.1 ▲ 27.9 ▲ 2.4 4.3 22.8 ▲ 27.7 24.0 30.8
6 石田 雅人 ▲ 16.9 3.4 ▲ 23.5 5.1 ▲ 19.1 10.9 ▲ 3.6 ▲ 14.0 59.6 1.9
7 厚谷 昇汰 ▲ 7.7 28.2 ▲ 52.4 22.9 ▲ 14.4 ▲ 41.6 12.4 11.8 75.0 ▲ 76.9 ▲ 42.7
8 市川 敦士 3.3 29.3 ▲ 5.2 28.2 ▲ 86.7 18.9 ▲ 30.1 ▲ 2.4 ▲ 30.7 11.6 ▲ 63.8
9 瀬口 隆弘 ▲ 12.2 ▲ 42.6 28.4 ▲ 15.6 39.3 ▲ 0.3 ▲ 6.7 ▲ 23.0 4.8 ▲ 36.1 ▲ 64.0
10 柳田 圭介 ▲ 19.8 ▲ 13.3 1.9 ▲ 56.3 ▲ 10.2 ▲ 5.1 7.6 ▲ 12.3 39.5 ▲ 68.0

北海道プロリーグ 成績表/第45期 北海道プロリーグ 最終節成績表

順位 名前 第1節 第2節 第3節 第4節 第5節 最終節 合計
1 加藤 晋平 ▲ 17.0 53.2 128.1 26.3 43.3 ▲ 8.7 225.2
2 野々川 博之 7.1 32.8 29.4 16.8 13.0 80.1 179.2
3 須賀 智博 17.4 20.5 58.8 57.2 ▲ 3.2 ▲ 20.8 129.9
4 村上 良 7.1 ▲ 23.8 47.1 33.6 33.6 30.4 128.0
5 三盃 貴之 20.7 ▲ 23.3 24.0 16.8 ▲ 34.9 103.5 106.8
6 三盃 志 11.1 12.2 48.8 ▲ 4.1 73.6 ▲ 36.4 105.2
7 中村 瞬 ▲ 31.2 2.5 28.0 16.1 44.5 24.2 84.1
8 石田 雅人 33.3 15.9 7.5 1.4 23.5 ▲ 38.7 42.9
9 浦山 祐輔 41.0 35.7 ▲ 36.2 ▲ 38.0 76.4 ▲ 36.8 42.1
10 喜多 清貴 18.9 22.8 ▲ 10.2 ▲ 22.4 29.3 28.4
11 平島 誉久 ▲ 19.5 22.7 5.2 16.1 ▲ 10.9 3.6
12 土橋 篤 2.1 93.0 ▲ 43.7 32.0 ▲ 75.8 ▲ 2.4
13 市川 敦士 33.7 6.4 19.4 ▲ 30.6 ▲ 33.8 ▲ 16.9 ▲ 21.8
14 藤原 洋一 35.8 ▲ 16.0 ▲ 90.4 10.4 4.3 29.6 ▲ 26.3
15 小川 和香奈 7.0 6.2 ▲ 42.9 7.8 ▲ 20.3 9.6 ▲ 32.6
16 真光 祐尚 ▲ 36.2 ▲ 46.2 70.7 ▲ 41.7
17 厚谷 昇汰 ▲ 15.8 ▲ 25.9 39.6 ▲ 32.3 24.8 ▲ 68.3 ▲ 77.9
18 中村 龍太 ▲ 18.4 26.7 ▲ 34.5 ▲ 7.7 23.3 ▲ 85.3 ▲ 95.9
19 柳田 圭介 ▲ 42.7 ▲ 29.5 ▲ 10.8 4.5 ▲ 8.9 ▲ 97.4
20 佐藤 賢忠 ▲ 0.6 ▲ 59.4 ▲ 41.6 6.0 ▲ 30.4 ▲ 11.0 ▲ 137.0
21 砂原 裕美子 ▲ 38.9 ▲ 54.2 1.6 ▲ 22.0 ▲ 31.3 ▲ 154.8
22 西野 拓也 19.9 ▲ 20.1 ▲ 89.9 3.8 ▲ 66.0 ▲ 12.0 ▲ 164.3
23 吉木 輝 ▲ 56.3 ▲ 14.9 ▲ 61.7 ▲ 43.3 ▲ 15.8 21.0 ▲ 171.0
24 瀬口 隆弘 ▲ 36.2 ▲ 6.1 2.2 ▲ 36.0 ▲ 47.5 ▲ 90.5 ▲ 234.1

プロリーグ
最終節は第5節終了時上位より卓組みをし、順位を決するものとする。
第1期スキルアップリーグ

順位 名前 第1節 第2節 第3節 第4節 第5節 第6節 第7節 第8節 第9節 第10節 最終節 合計
1 加藤 晋平 22.6 46.7 ▲ 3.2 48.9 56.9 6.9 ▲ 2.5 12.2 13.2 21.7 223.4
2 中村 瞬 53.7 15.9 ▲ 4.8 59.5 28.2 50.9 ▲ 52.2 36.9 ▲ 1.7 22.6 2.0 211.0
3 西野 拓也 4.1 ▲ 9.0 19.7 ▲ 27.4 29.9 121.8 7.4 17.9 20.1 ▲ 50.3 134.2
4 吉木 輝 13.4 18.2 38.7 23.8 ▲ 10.1 ▲ 15.9 24.7 ▲ 15.3 ▲ 9.9 26.7 94.3
5 浦山 祐輔 18.5 ▲ 8.9 28.1 ▲ 27.9 ▲ 2.4 4.3 22.8 ▲ 27.7 24.0 30.8
6 石田 雅人 ▲ 16.9 3.4 ▲ 23.5 5.1 ▲ 19.1 10.9 ▲ 3.6 ▲ 14.0 59.6 1.9
7 厚谷 昇汰 ▲ 7.7 28.2 ▲ 52.4 22.9 ▲ 14.4 ▲ 41.6 12.4 11.8 75.0 ▲ 76.9 ▲ 42.7
8 市川 敦士 3.3 29.3 ▲ 5.2 28.2 ▲ 86.7 18.9 ▲ 30.1 ▲ 2.4 ▲ 30.7 11.6 ▲ 63.8
9 瀬口 隆弘 ▲ 12.2 ▲ 42.6 28.4 ▲ 15.6 39.3 ▲ 0.3 ▲ 6.7 ▲ 23.0 4.8 ▲ 36.1 ▲ 64.0
10 柳田 圭介 ▲ 19.8 ▲ 13.3 1.9 ▲ 56.3 ▲ 10.2 ▲ 5.1 7.6 ▲ 12.3 39.5 ▲ 68.0

第3回ニューイヤー北海道プロ選手権 成績表

順位 段位 名前 1回戦 2回戦 3回戦 4回戦 合計
優  勝 24期 三段 真光 祐尚 16.2 49.0 65.2 7.7 72.9 4.5 77.4
準優勝 21期 三段 中村 瞬 5.5 7.2 12.7 17.6 30.3 24.1 54.4
3 23期 三段 須賀 智博 21.3 1.4 22.7 ▲ 2.3 20.4 18.6 39.0
4 6期 五段 村上 良 28.4 18.6 47.0 5.4 52.4 ▲ 18.0 34.4
5 11期 五段 西野 拓也 ▲ 16.4 14.4 ▲ 2.0 8.6 6.6 13.9 20.5
6 19期 五段 三盃 志 11.9 30.8 42.7 ▲ 20.0 22.7 ▲ 11.6 11.1
7 29期 初段 瀨口 隆弘 ▲ 10.1 ▲ 4.2 ▲ 14.3 ▲ 5.3 ▲ 19.6 30.5 10.9
8 30期 テスト生 小堀 智祐 6.8 7.0 13.8 ▲ 16.4 ▲ 2.6 12.5 9.9
9 27期 二段 加藤 晋平 5.2 ▲ 3.5 1.7 17.8 19.5 ▲ 14.1 5.4
10 26期 二段 石田 雅人 1.3 4.6 5.9 11.5 17.4 ▲ 18.4 ▲ 1.0
11 29期 初段 厚谷 昇汰 11.7 ▲ 12.6 ▲ 0.9 ▲ 28.5 ▲ 29.4 20.5 ▲ 8.9
12 27期 二段 吉木 輝 ▲ 13.1 ▲ 22.5 ▲ 35.6 31.6 ▲ 4.0 ▲ 16.3 ▲ 20.3
13 19期 四段 三盃 貴之 7.1 8.1 15.2 ▲ 19.3 ▲ 4.1 ▲ 26.7 ▲ 30.8
14 27期 二段 柳田 圭介 ▲ 30.1 ▲ 7.2 ▲ 37.3 ▲ 5.3 ▲ 42.6 7.8 ▲ 34.8
15 23期 三段 中村 龍太 ▲ 6.6 ▲ 6.9 ▲ 13.5 ▲ 12.6 ▲ 26.1 ▲ 18.4 ▲ 44.5
16 25期 二段 平島 誉久 ▲ 15.0 ▲ 16.4 ▲ 31.4 ▲ 8.7 ▲ 40.1 ▲ 10.9 ▲ 51.0
17 28期 二段 小川 和香奈 ▲ 5.2 ▲ 36.8 ▲ 42.0 ▲ 6.0 ▲ 48.0  

▲ 48.0
18 21期 三段 砂原 裕美子 ▲ 8.2 ▲ 31.8 ▲ 40.0 ▲ 15.7 ▲ 55.7  

▲ 55.7

 

北海道プロリーグ 成績表/第3回ニューイヤー北海道プロ選手権 成績表

順位 段位 名前 1回戦 2回戦 3回戦 4回戦 合計
優  勝 24期 三段 真光 祐尚 16.2 49.0 65.2 7.7 72.9 4.5 77.4
準優勝 21期 三段 中村 瞬 5.5 7.2 12.7 17.6 30.3 24.1 54.4
3 23期 三段 須賀 智博 21.3 1.4 22.7 ▲ 2.3 20.4 18.6 39.0
4 6期 五段 村上 良 28.4 18.6 47.0 5.4 52.4 ▲ 18.0 34.4
5 11期 五段 西野 拓也 ▲ 16.4 14.4 ▲ 2.0 8.6 6.6 13.9 20.5
6 19期 五段 三盃 志 11.9 30.8 42.7 ▲ 20.0 22.7 ▲ 11.6 11.1
7 29期 初段 瀨口 隆弘 ▲ 10.1 ▲ 4.2 ▲ 14.3 ▲ 5.3 ▲ 19.6 30.5 10.9
8 30期 テスト生 小堀 智祐 6.8 7.0 13.8 ▲ 16.4 ▲ 2.6 12.5 9.9
9 27期 二段 加藤 晋平 5.2 ▲ 3.5 1.7 17.8 19.5 ▲ 14.1 5.4
10 26期 二段 石田 雅人 1.3 4.6 5.9 11.5 17.4 ▲ 18.4 ▲ 1.0
11 29期 初段 厚谷 昇汰 11.7 ▲ 12.6 ▲ 0.9 ▲ 28.5 ▲ 29.4 20.5 ▲ 8.9
12 27期 二段 吉木 輝 ▲ 13.1 ▲ 22.5 ▲ 35.6 31.6 ▲ 4.0 ▲ 16.3 ▲ 20.3
13 19期 四段 三盃 貴之 7.1 8.1 15.2 ▲ 19.3 ▲ 4.1 ▲ 26.7 ▲ 30.8
14 27期 二段 柳田 圭介 ▲ 30.1 ▲ 7.2 ▲ 37.3 ▲ 5.3 ▲ 42.6 7.8 ▲ 34.8
15 23期 三段 中村 龍太 ▲ 6.6 ▲ 6.9 ▲ 13.5 ▲ 12.6 ▲ 26.1 ▲ 18.4 ▲ 44.5
16 25期 二段 平島 誉久 ▲ 15.0 ▲ 16.4 ▲ 31.4 ▲ 8.7 ▲ 40.1 ▲ 10.9 ▲ 51.0
17 28期 二段 小川 和香奈 ▲ 5.2 ▲ 36.8 ▲ 42.0 ▲ 6.0 ▲ 48.0   ▲ 48.0
18 21期 三段 砂原 裕美子 ▲ 8.2 ▲ 31.8 ▲ 40.0 ▲ 15.7 ▲ 55.7   ▲ 55.7

 

第30期鳳凰位決定戦 二日目観戦記

第5戦から2日目に入る。対局は一週間後だからその間の空白は6日間である。
初日は藤崎の独走態勢となった。

初日終了時
藤崎+76.3P  瀬戸熊+0.2P  沢崎▲28.8P  伊藤▲47.7P

この結果、間の6日間は追うものは調整に励み、追われるものは現状維持に努めたはずである。
独走とはいっても76・3ポイントの浮きである。2番手の瀬戸熊からすれば半荘2回で届く位置にあるのだ。
追う3人はこう思ったはずだ。
(まだ4分の1を消化したに過ぎない。焦らず自分の麻雀をしっかり打ち抜こう…)

1日目は藤崎が出来すぎの感、無きにしもあらずだ。だからこう思うのは当然である。
日が変われば風が変わり、藤崎が自ら転ぶ場合もあり得るだろう。
ここで焦って自分のフオームを崩すより、正攻法に構える。
藤崎の包囲網は、今日の結果を見てからでも十分だ。…この考え方が普通である。

しかし、私の見解はこうだ。
これは先行された相手が悪い。なぜなら、藤崎は受けの名手でその守りは岩より堅いからである。
普通の考えは通用せず緊急事態と想定する。
彼に入った点棒は貸金庫に仕舞われ、出るときはツモのみと見るのが妥当である。

私はこの時点で藤崎優勝の可能性は70%と予測した。しかし、前原雄大は85%の判断を下した。
私の藤崎評は高いが、前原はもっと高かったのである。

優勝決定戦は先行有利だ。それは過去の戦いを見てもデーターがそれを示している。
しかし2番手は今、波に乗っている瀬戸熊がマークしているのだ。
その後ろには、自在の型の技と芸を持つ沢崎が控えている。藤崎とてこのまますんなり逃げ切れるとは考えてはいまい。今期、出だし不調だが伊藤の瞬発力だって侮れないはずである。藤崎が油断すればここに飛び込む可能性もあるのだ。それでも前原は85%と断じた。

(そんなに藤崎の評価が高かったのか―)
これが前原と会話したときの、正直な私の感想である。

第5戦は瀬戸熊の反撃から戦いが始まった。
100

瀬戸熊はドラ2の勝負手。河の捨て牌からもカンチャン受けながら七万の出は大いに期待が持てる。
だがこの時、先にテンパイしていたのは伊藤である。伊藤は親でダブル風の東が暗刻で出ても7,700、ツモって3,900オールの高打点。自分の河に六万 上向き五万 上向きと切ってあるが、これが迷彩とはならず、逆にダブルメンツ切りと読まれるのを嫌ってのヤミテンだった。

 

100

読みは相手のレベルに合わせ対応することが大事なのである。打点は十分だし、これは好判断である。
そこに瀬戸熊のリーチだ。その河には四万 上向き五万 上向きが並んでいるから、これならなおさらヤミテンである。
しかし瀬戸熊のマチは七万
七万は出たら頭ハネだが四万ならリーチの現物で打ち取ることができる。勝負は互角と見たが、七万をあっさりツモって軍配は瀬戸熊に上がる。同じマチとは意外で、しかもツモとなれば伊藤は無念だったろう。

瀬戸熊の理想は藤崎を沈めてトップを取ることだ。出だしは好調である。瀬戸熊はこの日のために、明けの6日間は、50荘は打ち込みに精を出し、体作りに毎日走り込んだに違いない。その麻雀と真摯に向き合う姿勢は敬服に値する。
(*瀬戸熊の略歴は28期鳳凰戦の自戦記で私が述べているので、ここでは割愛させていただく。)

しかし、その瀬戸熊の理想を木っ端みじん砕いたのが藤崎のアガリだった。

東3局の親番で藤崎がまずこの手をアガる。

六万六万四索六索六索七索八索五筒六筒七筒  ポン二索 上向き二索 上向き二索 上向き  ドラ七索

打ったのは沢崎。2,900のアガリだが、これで藤崎は900点の浮きに回る。
そして続く1本場がこれである。

100

藤崎のテンパイは13巡目の暗刻の西切りである。
100

三索は河に1枚と沢崎の手の内に2丁だ。
沢崎から出る気配はないから苦しいマチかと思ったら、そのラス牌を軽々とツモって6,000と100オールだ。
これで藤崎は持ち点を49,200とする。

ここで決められたら万事休すだ。3者とも呆気にとられたはずである。
しかし、ここから瀬戸熊が踏ん張る。

三万四万五万四索四索五索六索二筒三筒四筒六筒七筒八筒  ドラ中

この手をヤミテンで藤崎からめしとる。2,000は2,600点。
当の藤崎には痛くもかゆくもないが、高い山を削ったことだけは確かだ。
リーチをかけたいのは山々だが、打点より今は親落としがテーマだ。その判断に間違いはない。

次の東4局も瀬戸熊のアガリ。

四万五万六万六索六索六索二筒三筒五筒五筒五筒六筒七筒  リーチ  ツモ四筒  ドラ三万

この手をリーチで引いて1,000・2,000。持ち点を37,400と押し上げる。
さっきはヤミテンの親落とし、今度はリーチだ。瀬戸熊の構えと状況判断は的確である。
この流れなら藤崎と瀬戸熊の一騎打ち、と思われたがそうではなかった。

ここから沢崎が踏ん張るのだ。まず、瀬戸熊の親でこのアガリ。

四万五万六万一索一索三索四索五索七筒七筒  ポン中中中  ツモ一索  ドラ一索

ドラの高めを引いて2,000・4,000で沢崎は持ち点を26,000点とする。

南2局1本場は、瀬戸熊が藤崎から5,200は5,500を打ち取る。

四索五索六索七索八索九索南南南中  チー七索 左向き八索 上向き九索 上向き  ロン中  ドラ一万

中は2枚出た地獄マチだから、流石に受けの達人も止められなかったのだ。
これで藤崎の持ち点は36,100。瀬戸熊は38,900で並んで抜いた。

藤崎の親は伊藤が落とし、さてオーラスの沢崎の親番である。

この時点で4人の持ち点はこうだ。

沢崎24,000  瀬戸熊37,900  伊藤24,000  藤崎34,100

ここから沢崎が粘った。
南4局は待望の2,600オールだ。
100
100

 

このあと沢崎は、小さくアガって4本積んで、1人浮き態勢にしてしまったから驚きだ。
しかし、その4本場を制したのはやはり好調の藤崎だった。

 

100

 

結果は浮きの2着で、藤崎の独走は微動だにしなかった。

 

100

藤崎智は秋田県生まれの仙台育ちの46歳。13期生で1年間東北本部に在籍したが、すぐに上京して雀荘に勤めながらトッププロの道を目指す。清水香織と黒木真生は同期生だ。

佐々木寿人とは同じ高校で10年先輩にあたる。その高校は進学率90%だが、藤崎はその残りの方だという。
酒は寿人と同じく下戸である。その雀風は守備型と称されているが、本人はその意識が無いという。

 

では、この後の藤崎の足跡をたどろう。
6回戦も藤崎が浮きの2着だ。

 

100

 

だが、7回戦は小さなラスを引いた。

 

100

 

しかし、8回戦は見事トップを取り、7回戦の失点を埋めたのだ。

 

100

 

そして結果はこうだ。

8回戦までのトータルポイント
藤崎+98.4P  沢崎▲12.6P  瀬戸熊▲20.6P  伊藤▲65.2P

 

藤崎智がA1昇級のインタビューで、こう答えた。
「3年は残留を目指し、それから鳳凰を狙います…」

「鳳凰」を狙うのは当然ではあるが、はなから「残留」狙いとは珍しい。
私はその控えめな言葉が妙に気になった。そして勝手に私はずっとこう思っていた。
(A1は手練れがいる場だからみんなの打ち筋を見極め、それから鳳凰を狙うとは流石だ―)

しかし、A1の2年目は私と同じく降級候補である。私は奇跡的な4連勝が出来て難を逃れたが、彼は的確な位置取りで隙を作らず残留を決めたのだった。そして3年目の昨年はA1リーグをトップで通過し、挑戦権を手にした。だが、残念ながらこの年は瀬戸熊の猛攻を受け、私と同じくなすすべなく敗退する。

そして4年目が今年だ。
彼が人生を賭けた麻雀―その設計図が完成寸前である。あと2日、2本の線を引けば出来上がりである。

そして今日、初めて藤崎にあの「3年の残留」の意味を聞いた。
「昇級してすぐ落ちると、恰好が悪いから…」
と、普通の答えが返ってきた。私の深読みだったのである。
それを云うと、彼は電話の向こうで、ケラケラと笑った―。

(2014年3月14日・記)
以下次号。

プロリーグ(鳳凰戦)決勝観戦記/第30期鳳凰位決定戦 二日目観戦記

第5戦から2日目に入る。対局は一週間後だからその間の空白は6日間である。
初日は藤崎の独走態勢となった。
初日終了時
藤崎+76.3P  瀬戸熊+0.2P  沢崎▲28.8P  伊藤▲47.7P
この結果、間の6日間は追うものは調整に励み、追われるものは現状維持に努めたはずである。
独走とはいっても76・3ポイントの浮きである。2番手の瀬戸熊からすれば半荘2回で届く位置にあるのだ。
追う3人はこう思ったはずだ。
(まだ4分の1を消化したに過ぎない。焦らず自分の麻雀をしっかり打ち抜こう…)
1日目は藤崎が出来すぎの感、無きにしもあらずだ。だからこう思うのは当然である。
日が変われば風が変わり、藤崎が自ら転ぶ場合もあり得るだろう。
ここで焦って自分のフオームを崩すより、正攻法に構える。
藤崎の包囲網は、今日の結果を見てからでも十分だ。…この考え方が普通である。
しかし、私の見解はこうだ。
これは先行された相手が悪い。なぜなら、藤崎は受けの名手でその守りは岩より堅いからである。
普通の考えは通用せず緊急事態と想定する。
彼に入った点棒は貸金庫に仕舞われ、出るときはツモのみと見るのが妥当である。
私はこの時点で藤崎優勝の可能性は70%と予測した。しかし、前原雄大は85%の判断を下した。
私の藤崎評は高いが、前原はもっと高かったのである。
優勝決定戦は先行有利だ。それは過去の戦いを見てもデーターがそれを示している。
しかし2番手は今、波に乗っている瀬戸熊がマークしているのだ。
その後ろには、自在の型の技と芸を持つ沢崎が控えている。藤崎とてこのまますんなり逃げ切れるとは考えてはいまい。今期、出だし不調だが伊藤の瞬発力だって侮れないはずである。藤崎が油断すればここに飛び込む可能性もあるのだ。それでも前原は85%と断じた。
(そんなに藤崎の評価が高かったのか―)
これが前原と会話したときの、正直な私の感想である。
第5戦は瀬戸熊の反撃から戦いが始まった。
100
瀬戸熊はドラ2の勝負手。河の捨て牌からもカンチャン受けながら七万の出は大いに期待が持てる。
だがこの時、先にテンパイしていたのは伊藤である。伊藤は親でダブル風の東が暗刻で出ても7,700、ツモって3,900オールの高打点。自分の河に六万 上向き五万 上向きと切ってあるが、これが迷彩とはならず、逆にダブルメンツ切りと読まれるのを嫌ってのヤミテンだった。
 
100
読みは相手のレベルに合わせ対応することが大事なのである。打点は十分だし、これは好判断である。
そこに瀬戸熊のリーチだ。その河には四万 上向き五万 上向きが並んでいるから、これならなおさらヤミテンである。
しかし瀬戸熊のマチは七万
七万は出たら頭ハネだが四万ならリーチの現物で打ち取ることができる。勝負は互角と見たが、七万をあっさりツモって軍配は瀬戸熊に上がる。同じマチとは意外で、しかもツモとなれば伊藤は無念だったろう。
瀬戸熊の理想は藤崎を沈めてトップを取ることだ。出だしは好調である。瀬戸熊はこの日のために、明けの6日間は、50荘は打ち込みに精を出し、体作りに毎日走り込んだに違いない。その麻雀と真摯に向き合う姿勢は敬服に値する。
(*瀬戸熊の略歴は28期鳳凰戦の自戦記で私が述べているので、ここでは割愛させていただく。)
しかし、その瀬戸熊の理想を木っ端みじん砕いたのが藤崎のアガリだった。
東3局の親番で藤崎がまずこの手をアガる。
六万六万四索六索六索七索八索五筒六筒七筒  ポン二索 上向き二索 上向き二索 上向き  ドラ七索
打ったのは沢崎。2,900のアガリだが、これで藤崎は900点の浮きに回る。
そして続く1本場がこれである。
100
藤崎のテンパイは13巡目の暗刻の西切りである。
100
三索は河に1枚と沢崎の手の内に2丁だ。
沢崎から出る気配はないから苦しいマチかと思ったら、そのラス牌を軽々とツモって6,000と100オールだ。
これで藤崎は持ち点を49,200とする。
ここで決められたら万事休すだ。3者とも呆気にとられたはずである。
しかし、ここから瀬戸熊が踏ん張る。
三万四万五万四索四索五索六索二筒三筒四筒六筒七筒八筒  ドラ中
この手をヤミテンで藤崎からめしとる。2,000は2,600点。
当の藤崎には痛くもかゆくもないが、高い山を削ったことだけは確かだ。
リーチをかけたいのは山々だが、打点より今は親落としがテーマだ。その判断に間違いはない。
次の東4局も瀬戸熊のアガリ。
四万五万六万六索六索六索二筒三筒五筒五筒五筒六筒七筒  リーチ  ツモ四筒  ドラ三万
この手をリーチで引いて1,000・2,000。持ち点を37,400と押し上げる。
さっきはヤミテンの親落とし、今度はリーチだ。瀬戸熊の構えと状況判断は的確である。
この流れなら藤崎と瀬戸熊の一騎打ち、と思われたがそうではなかった。
ここから沢崎が踏ん張るのだ。まず、瀬戸熊の親でこのアガリ。
四万五万六万一索一索三索四索五索七筒七筒  ポン中中中  ツモ一索  ドラ一索
ドラの高めを引いて2,000・4,000で沢崎は持ち点を26,000点とする。
南2局1本場は、瀬戸熊が藤崎から5,200は5,500を打ち取る。
四索五索六索七索八索九索南南南中  チー七索 左向き八索 上向き九索 上向き  ロン中  ドラ一万
中は2枚出た地獄マチだから、流石に受けの達人も止められなかったのだ。
これで藤崎の持ち点は36,100。瀬戸熊は38,900で並んで抜いた。
藤崎の親は伊藤が落とし、さてオーラスの沢崎の親番である。
この時点で4人の持ち点はこうだ。
沢崎24,000  瀬戸熊37,900  伊藤24,000  藤崎34,100
ここから沢崎が粘った。
南4局は待望の2,600オールだ。
100
100
 
このあと沢崎は、小さくアガって4本積んで、1人浮き態勢にしてしまったから驚きだ。
しかし、その4本場を制したのはやはり好調の藤崎だった。
 
100
 
結果は浮きの2着で、藤崎の独走は微動だにしなかった。
 
100
藤崎智は秋田県生まれの仙台育ちの46歳。13期生で1年間東北本部に在籍したが、すぐに上京して雀荘に勤めながらトッププロの道を目指す。清水香織と黒木真生は同期生だ。
佐々木寿人とは同じ高校で10年先輩にあたる。その高校は進学率90%だが、藤崎はその残りの方だという。
酒は寿人と同じく下戸である。その雀風は守備型と称されているが、本人はその意識が無いという。
 
では、この後の藤崎の足跡をたどろう。
6回戦も藤崎が浮きの2着だ。
 
100
 
だが、7回戦は小さなラスを引いた。
 
100
 
しかし、8回戦は見事トップを取り、7回戦の失点を埋めたのだ。
 
100
 
そして結果はこうだ。
8回戦までのトータルポイント
藤崎+98.4P  沢崎▲12.6P  瀬戸熊▲20.6P  伊藤▲65.2P
 
藤崎智がA1昇級のインタビューで、こう答えた。
「3年は残留を目指し、それから鳳凰を狙います…」
「鳳凰」を狙うのは当然ではあるが、はなから「残留」狙いとは珍しい。
私はその控えめな言葉が妙に気になった。そして勝手に私はずっとこう思っていた。
(A1は手練れがいる場だからみんなの打ち筋を見極め、それから鳳凰を狙うとは流石だ―)
しかし、A1の2年目は私と同じく降級候補である。私は奇跡的な4連勝が出来て難を逃れたが、彼は的確な位置取りで隙を作らず残留を決めたのだった。そして3年目の昨年はA1リーグをトップで通過し、挑戦権を手にした。だが、残念ながらこの年は瀬戸熊の猛攻を受け、私と同じくなすすべなく敗退する。
そして4年目が今年だ。
彼が人生を賭けた麻雀―その設計図が完成寸前である。あと2日、2本の線を引けば出来上がりである。
そして今日、初めて藤崎にあの「3年の残留」の意味を聞いた。
「昇級してすぐ落ちると、恰好が悪いから…」
と、普通の答えが返ってきた。私の深読みだったのである。
それを云うと、彼は電話の向こうで、ケラケラと笑った―。
(2014年3月14日・記)
以下次号。

第86回:吾妻さおり

【ご挨拶】

日本プロ麻雀連盟HPをご覧の皆さん。
いつもありがとうございます。
吾妻さおりです。

私はこれまで、麻雀の内容に対する発言は公共の場でもプロ同士でも殆どして来ませんでした。
一番の理由は人の意見を聞きたいからです。
麻雀を勉強出来る環境に身を置きながら、固定観念にとらわれて自分の考えを披露し、「価値観が違うから話しても意味がない」と思われてしまうのは勿体ない事です。

特に私の指針の1つに「状態論」がありますが、これは目に見えずデータ理論を提示出来ない話です。
私などが中途半端に口を開く事により聞き手の方が不愉快になることをおそれたのもあります。
加えて、常に信念を持っているとはいえ、私の持論などまだまだ途中経過であり、公表するのは烏滸がましいと思っていました。

今も勿論完成などしておりませんが、途中経過を公開することも皆であれこれ麻雀を考えるきっかけになっていいのかも知れないと最近思うようになりました。

今日は第8期女流桜花決定戦を巡る、私の思考の一部を皆さんと共有したいです。
色んな価値観があるかと思いますが吾妻はこんな事考えてたんだ、と楽しんでいただけたら幸いです。
よろしくお願いします。

下記をまだご覧になってない方はこちらもご一読くだされば幸いです。

ロン2ブログ3/5
初めて吾妻を知ってくださった方向けに自己紹介をしております。
第8期女流桜花決定戦初日観戦記
執筆:黒木真生プロ
第8期女流桜花決定戦二日目観戦記
執筆:黒木真生プロ
第8期女流桜花決定戦最終日観戦記
執筆:黒木真生プロ
プロ雀士インタビュー第103回吾妻さおり
執筆:美波智子プロ
吾妻さおりの麻雀清一色生活
写真満載の個人ブログ
決勝期間にも更新しておりました。

 

リレーエッセィへの想い】

リレーエッセィの連載が始まったのは2007年2月。
麻雀普及活動に微力ながも携わりたいと思い、当時唯一連盟の情報発信源だった「編集会議」に毎回私は参加していた。

優れた物書きでもなければ、編集も未経験の私をこの場に導いてくれたのは前原雄大プロ。
麻雀プロとしての心構えについても幾度も話をしてくださり、拙い私の頭では当時理解しきれなかったお話もあった。今でも頻繁にあの頃のお言葉が脳裏をよぎる。
伝えたい意味はこうではないか。今すべき事は何か。自分なりに解釈しながら過ごしている。

編集会議もその一つ。
「麻雀が大好きでもっと多くの方に楽しさを伝えたい」
多くのプロはこの想いを胸に秘めている。だが、思うだけでは何も始まらない。形にするには誰よりも早く行動しなさいというメッセージを込めてここに連れて来られたのだと思った。

意を決してタイトル戦観戦記者に立候補。
その後、連盟HPで麻雀用語辞典の作成と30回に及ぶ初級講座初級講座の連載を担当。
「吾妻プロの初級講座で勉強しました。」
このようなコメントを頂いた時は一つ成し遂げた気持ちになり、嬉し涙が出そうになった。

リレーエッセィの企画が通った時も会議に参加していた。
タイトル戦出場者や今活躍している旬な人物にバトンが渡る。個性溢れるプロ達の随筆が次々に紡がれていく。毎回違う趣の作品なので飽きることなく面白いので、私も更新を楽しみにしている。
麻雀好きにはたまらない魅力的な企画だ。

いつかはエッセィを書きたいと思っていたのに何年経っても読者側。私は何も残せていない。
いくら努力しても実績がなければ世間は認めてくれない。
プロになって得たものは、自分の思い出となって鍵のかかった宝箱行き。
目標と現実のギャップに、はがゆい気持ちが確かにあった。

長い時を経てこの依頼を頂けた事は、企画が生まれる瞬間に立ち会った私にとって、とりわけ感慨深い喜びなのだ。同期で研修時代からの仲間である井出康平プロからバトンが託された事も本当に嬉しく思う。

 

【第8期女流桜花決定戦進出】

バトンが届いた理由は、今年1月の第8期女流桜花決定戦。
11月末にプレイオフが終了。決勝進出者が決まってから初日までが約1月半。
期間が長かったので否応なしにイメージが膨らみ続ける。
食事中も、寝る為に目を閉じても頭に浮かぶのは麻雀の事ばかり。
早く対局したい気持ちが爆発しそうだった。

 

【対局者の考察】

ディフェンディングは魚谷侑未プロ。6期、7期の女流桜花であり、今期3連覇がかかっていた。
最速マーメイドの名に相応しく、積極的に鳴いて局面をリードする。
鳴いた後でも手牌に見合わない無謀な勝負はしないクレバーな打ち筋。
本手の鳴き、本手になりえる鳴き、かわし手の鳴きなどのメリハリもしっかりしていて、守備力を保ちつつも勝負と思えばしっかり前に出て戦う。信念の通った仕掛けを打って来る。

2冠達成の7期では打点力もアップし、競技ルールで比重の大きいホンイツとタンヤオを軸に逆境にも挫けずに頂点に向かって泳ぐ姿には私も魅せられた。
淡々と無表情で打ち続けるその佇まいには、寧ろ内に秘めた熱い想いが溢れているように見えた。最終半荘で猛追に遭い、オーラスまで勝負の行方がわからない。手に汗握る戦いの末、見事連覇を成し遂げた。
動画を観た後、残ったのは感動だった。
彼女の強さを尊敬し、あの素晴らしい舞台で麻雀を打ちたいと思った。
「来年は決勝に進出して彼女と戦うんだ」と心に誓ったのだ。

マラソンで言えば魚谷は先頭集団にピタリと張り付くタイプ、対する和久津晶プロはスタートから先頭を狙ってくると予想した。特に今期から3日間になり、もし初日に沈んでも8半荘あるので、システム的にも前に出やすくなった。超攻撃アマゾネスが様子見から入るとは思えない。

彼女の麻雀はプロ入り前の守備型の頃から評判が良く、その噂は私の耳にも届いていた。
現在はリーチと鳴きを多用しイニシアチブを取るスタイルに転身し、第9期プロクイーンを獲得。
今回も全局アガる位の気迫を持って前に進むに違いない。

実際これは効果的で、決勝の麻雀で常に後手に回らされるのは辛い。
自分のペースを掴もうと手牌に集中しても、よほど勝負手でない限り「リーチ」と言われた瞬間「どこまで押そうか」に切り替わってしまう。
先に述べた昨年の魚谷との最終半荘で50ポイント差を詰めた名勝負も記憶に新しい。
誰もが爆発力に一目置いている。
彼女のハートの強さとマッチして、超攻撃がもたらす効果は計り知れないだろう。

となると守備を重視しても良さそうだが、そうしなかった理由は安田麻里菜プロにある。
麻雀くのいちという異名は守備型代表として第30期鳳凰位決定戦を見事に勝ち抜いた藤崎智プロの麻雀忍者と対になっているらしい。彼女のディフェンス力の高さが評価されている証だ。

守備型の自意識はないという本人の発言も見受けられるが、それでも基本スタンスに丁寧な打ち回しがあり、ここぞという時だけエンジンをかける印象がある。初決勝進出時は会場で観戦したし、最近の公開対局も観ている。
同卓だった11月のプレイオフでは序盤にきっちりリードを奪い、ポイントを叩く麻雀も打てる所を見せつけられた。とはいえ、後半安全圏に身を置いてからの徹底した守備麻雀が本来の姿だと思う。

常に好成績を残して第10期プロクイーンで最後の半荘勝負を制して優勝。今回急にスタンスを変えることはないと思った。いや、本音を言えば変えて来てくれたほうが嬉しかった。
何故なら、初日に安田が守備に徹し、魚谷が様子見から入った場合、和久津の独壇場になるのは想像に難くないからだ。

 

【戦いの方針】

この図式を考えると私の方針は自ずと「超攻撃を超える攻撃」となる。誰よりも先にギリギリの勝負して、点棒を叩く。嵐が来たら身を潜めてやり過ごし、チャンスが転がってくれば攻めるなんて呑気な心構えでは「吾妻の時間帯」なんて来ない気がした。ならば本来のスタンス。いや、いつもよりさらに押し切る気合で挑む。

相手の打点も予測した上での放銃覚悟のノータイム無筋切りは元々得意分野。
危険牌を涼しい顔で切るキャリアは私の方がずっと先輩だ。
そう思ったら初決勝への漠然とした不安はなくなっていた。

 

【4つのテーマ】

今までの観戦やイメージトレーニングなどにより方針が決まった。
頭の中のイメージをより的確なものにするべく、早速重要なテーマを4つにまとめた。

 

【テーマ1 スピード】

ここでのスピードとは、テンパイ速度ではなく打牌速度のことである。
壮行会に駆けつけてくれた同期の西岡慎泰プロは「決勝だから、公開対局だから早く切らなきゃと焦らずにゆっくり納得いくまで考えて」とアドバイスをくれた。

なんて思いやりのある暖かい言葉だろう。
初決勝でガチガチに緊張しているであろう私の背中を優しく支えてくれようとする彼の人柄が良く表れた言葉だ。なのに私は「ありがとう。本当に迷った時はそうする。でも今回の決勝、自分の長所であるスピード感も大切にしたい。」と答えた。
テンポよく打てるかどうかは自分の状態を知るバロメーターだと思っているからだ。
実際、映像の自分を観ていると常に同じテンポを心がけているにもかかわらず、かなりスピードにムラがあることがわかる。

好調時は打牌スピードは早くなる。選択に迷いも少なく、指が正解を選ぶ。
打ちながら考えている事と場況がピタりとハマる状態である。
例えばこの局。

3回戦 東3局 ドラ3

100

明らかに国士無双狙いの安田が、5巡目に切ったドラを再び手出し。空気はピンと張り詰めていた。
頭で考えてしまえばリャンメンが残る二筒三筒を払いたくなる牌姿だが、私はノータイムで七筒
後に単騎になる可能性もある不安定な受けだが、それなら戦える待ちを選べばいいと思い、ピンズで2メンツ出来た事を素直に喜び受け入れた。

その後、安田が比較的安全度の高い二索を打つ。テンパイ打牌か?さらに緊迫する。
1つ前の手順も全てノータイムでお気に入りの局。

このような「指が正解を選ぶ」状態に持っていく為には一定のテンポを保って打牌する集中力が必要不可欠というのが私の持論なのだ。

一方不調時は打牌が遅くなる。難しい選択を迫られ、考えがまとまる前に一番迷う牌を引く。
手が止まったからには時間をかけてでも正解を選ばなければならないのは、先に西岡が言った通りである。
しかし、不調時に長考してより良い答えを導き出すことは困難を極める。
もし間違った思考ならみるみる正解から離れ、最初のインスピレーションに逆らい消極的な理由に支配されたりして、中途半端な一打をしてしまう事がある。

2回戦 南1局 ドラ5

100

これは是非ともジュンチャンを決めたいが、リードがあるので無理する必要はない状況。
考え過ぎた結果、どっちつかずの牌を切ってしまった悪い例である。

牌理的には七索九索九索八筒九筒九筒のどちらかの9が正着であろう。
しかし、どちらがいいか決め切れない内に選択を迫られた。
捨て牌を見た私は、トータル2位につけている和久津への将来の危険度を考慮し打七索

ピンズとソウズが選べないという最初の感性にも、まっすぐ戦うという自分のテーマにも反する打牌であり、すぐに悔いた。

結果はペン七筒を引いてテンパイ、四万が嬉しくない一万四万九索のリーチを打つ。
すぐ八索をツモる。このアガリ逃しは酷い。この時点で放銃よりも罪が重い。
挙句、追っかけリーチの和久津にカン六索の2,600放銃。

この後訪れるであろう地獄を覚悟したが、幸い大怪我をせずに初日が終了した。
後の2日間はこの罪を受け入れ、禊になる位の良い打牌をしなければ優勝出来ないと猛反省をした。

 

【テーマ2 納得行く手作り】

最高打点を目指し、妥協しない。安くなるテンパイやシャンテンは取らない。
もし確率に抗う場合は明確な理由を持つ事。

先ほどの局の大失敗を自分なりに考えた結果、自分が本当に打ちたかったのは一万だったのかなと思う。
たった1枚のロスだが9と9の暗刻を逃さない一打はないかな?と思うとメールが次々に届く。
文面には牌姿と場況がズラリ。ダメ出しもかなり多い。
数少ない私の麻雀観を熟知する仲間からのオリジナル観戦記だ。

一万切りはどう?」
「さすがに2シャンテン戻しの一万は良くないと思う。何故ダメなのか納得いくまで考えてください。」

知り合った頃はお世辞にも上手いとは言えなかったが、地味な努力と牌譜検証を繰り返し、瞬く間に牌効率に強くなった。話をすれば意見が対立し険悪になる事もあった。今ではお互いの雀風を理解し尊重出来る。
その貴重な意見を踏まえてもう一晩考えた。

槓刻になる事のない一を1枚外すのは安い四受けを嫌いマンズのイーペーコーを見据える手順。
いや、出来なければただの失敗。
二万三万の残り枚数が少なすぎてマンズで2メンツは厳しいので、ここは素直にアドバイスを受け入れることにした。

だが、もし同じ牌姿で二万三万がもっと残っていたらやはり私は一万を選びたい。
面前で高打点を決めるには、時にはシャンテン数を落としてでも最後まで押し切れる納得行くテンパイを組む必要がある。

何より大切なのは助言を聞いた上で考えて納得し、なおかつ一万という選択も残った事。
固執して批判に耳を傾けないのとは全く違う。全ての意見を財産にしてひたすら考え、自分の麻雀を確立して行く。ツモ番がくる前にあらゆる選択に考えを及ばせ、正解を手が選ぶよう精進する事。

いつしかあの時私には見えなかった理由でピンズかソウズを選べる打ち手になり、一万を切ると言った事を謝る日が来るかも知れない。でもそれは成長であるからいいとも思う。自分が後悔しない打牌を選び続け、今日正解だと思った選択が永遠の正解などと結論付けず、考え続けることが大切なのだ。

各々が違う主義と歴史と感性とを携え、公平なルールのもとで戦う。
目指す理想像によって打牌に個性が生まれるのが麻雀の醍醐味だと思う。

 

【テーマ3 オリない】

まっすぐ戦えないような安い手作りをしない事。
2つ目と関係があるが、これは他家の動向に惑わされず最善手を貫き通すという決意だ。

3回戦 東1局1本場 ドラ2
和久津のソウズの鳴きに対し、ドラが出て行く安手のシャンテンを取らずにやっとこの形。

二万三万四万二索二索五索七索三筒四筒五筒六筒七筒八筒  ツモ九索

タンヤオが崩れるから引っ掛けリーチ?いや、スジだからと安牌で八索が出てくる場況ではない上、八索六索より良い根拠もない。九索ツモ切り。次巡、裏目の八索引き。これも勝負。

和久津はおそらく少し遠い鳴きだったがツモが効いたのか西をトイツ落とし。
東をポンした時に微妙な間があり、字牌待ちはなさそう、単騎も可能性が低い。
まだ1シャンテンかもと思った。次に手出し一索。これでテンパイは確実。

私の読みではカン二索とペン七索が大本命。先ほどの西トイツ落としは東西と愚形ターツの選択か。
なら残した愚形はドラ受けの可能性が高い。そして八索九索にポンがかからなかったことにより八索九索は持っていても1枚。もちろんリャンメン残りの四索七索もあり得るが、七索は倍の危険牌。

打点は7,700か、二索を1枚引き入れた8,000か。一通ドラ1とドラ2の時は12,000。ならほぼ互角の勝負だ。
次に三索ならまた選択だからさすがにやめようかな。四索を持って来たら形は最高だけど…。
七索が大本命とはいえ、この手から四索ツモ切りは中途半端。手牌読みに酔っているだけだ。
今日のテーマは読みではない。読みに頼りはじめたら今後打牌が捻くれる。
なら最高形で押し切るか。と考えていた時にツモ四索
ここまで手が仕上がってくれた事に感謝し、意を決して七索を放つ。

「ロン。7,700。」「はい。」

視聴された方はさすがに行き過ぎだと思ったはずだ。何も7,700とわかって打つ事はない。
放銃を避けて別の局で勝負すればいい。かくいう私も普段なら好調時でも七索で、不調時ならその前の九索または八索でストップだ。

私の中では1回戦の安田へ345の放銃の時と同じ。前に出る代償は承知の上で、戦う気持ちだ。
早いリーチにまっすぐと分かり切ったソウズのホンイツへの放銃は、全く別物だがテーマを尊重した。
この局は加点こそ出来なかったが、常に戦える状態を作るために必要な放銃もあるだろうと覚悟していたし、想定で最安の7,700で済んだ。不思議と心は揺れなかった。

 

【テーマ4 安い鳴きをしない】

元々面前主体の麻雀を好み、手役を大事にしながらツモれる待ちを作るよう心がけるのを理想としている。
メンゼンツモが最も好きな役であり、そこを大切にしようと思った。
かわし手というのは高度な読みを必要とする高度技術であり、武器の1つとして身に付けたいと日頃から勉強しているが、今回のテーマと反するので極力封印した。

 

【ゲームメイクの練習不足】

以上の4つに加え、点棒と総合ポイントを踏まえた場況判断。
この部分はいくら想定してトレーニングしてもやはり決勝の舞台。全く思い描いたものと逆の事ばかりしてしまった。日頃から一生懸命打っているつもりではあったが、この一局は何をすべきかを考える意識がまだ甘かった事を痛感した。今後はどんな局も明確な目標を持ち、より緊張感を持って打たなければならないと思う。

 

【初心と可能性】

理想とする麻雀をいくら思い描いても、実現に向けて努力しても、大事な局面で最高のパフォーマンスをするのは本当に難しい。未熟さや心の弱さに直面した場面もあり、反省点は挙げたらキリがない。

決勝を終えた今、少しでも成長するために、牌効率や字牌の切り順から勉強し直している。
第8期女流桜花を優勝出来た事は、応援してくれた人達の喜ぶ顔が見られて最高に嬉しいが、自分は強いから優勝したなどと自惚れる気持ちは微塵も持てなかった。

ただ、今回晒してしまったみっともない姿も、あの日持てる全てを込めて精一杯戦う吾妻さおりだった。
タイムシフトを見て、自分らしさが存分に発揮された場面も、別人のようにもがいている格好悪い自分も引っくるめてほんの少しだけ誇りに思い、麻雀をまた一つ好きになる。

もっとああすれば、こうすればと課題は山積みになっているが、そこを1つずつ改善したらもっと強くなれる。次はもっといい麻雀が打てるはず。今回の経験で理想像はより明確になった。その為に何をすべきか考え、今までの何倍も努力すれば、自分の思い描く麻雀を貫いて優勝出来る日が来るかも知れない。
以前より微かに可能性の光が大きく見えた。

 

【白い線】

最初は打ち手というより、麻雀を広めたい一心でプロになった。
研修を終え晴れてプロを名乗り、一斉にスタートラインから走り出した。
まだこの道に何があるのか見えないままがむしゃらに進んだ、プレイヤーとしての険しい道。

前は沢山の先人が止まらずに走り続けている。
後ろからは力をつけた若者達が虎視眈々と私を追い抜こうとしている。

ふと前を見ると道の横いっぱいに描かれた白い線が見えて来た。
その手前まで行き立ち止まって鮮やかな白に視線を落とす。
これが私の第2のスタートライン。

ここまで出逢った人達に感謝したくなり「ありがとうございます」とつぶやいた。
頭に浮かぶのはどれも笑顔で「これからも頑張れ!」と励ましてくれる。
また走る力をもらった。

果てしなく続くこの道は麻雀プロだけのものだと思うと急に愛おしくなり、
両の足でしっかり踏みしめてから、全力疾走でスタートを切る。
長い道のその遥か向こうには眩い光が溢れている。

 

【バトンの行方】

次のバトンは第25期チャンピオンズリーグ優勝の森岡貞臣プロにお願いしたいと思います。
よろしくお願いします。

リレーエッセィ/第86回:吾妻さおり

【ご挨拶】
日本プロ麻雀連盟HPをご覧の皆さん。
いつもありがとうございます。
吾妻さおりです。
私はこれまで、麻雀の内容に対する発言は公共の場でもプロ同士でも殆どして来ませんでした。
一番の理由は人の意見を聞きたいからです。
麻雀を勉強出来る環境に身を置きながら、固定観念にとらわれて自分の考えを披露し、「価値観が違うから話しても意味がない」と思われてしまうのは勿体ない事です。
特に私の指針の1つに「状態論」がありますが、これは目に見えずデータ理論を提示出来ない話です。
私などが中途半端に口を開く事により聞き手の方が不愉快になることをおそれたのもあります。
加えて、常に信念を持っているとはいえ、私の持論などまだまだ途中経過であり、公表するのは烏滸がましいと思っていました。
今も勿論完成などしておりませんが、途中経過を公開することも皆であれこれ麻雀を考えるきっかけになっていいのかも知れないと最近思うようになりました。
今日は第8期女流桜花決定戦を巡る、私の思考の一部を皆さんと共有したいです。
色んな価値観があるかと思いますが吾妻はこんな事考えてたんだ、と楽しんでいただけたら幸いです。
よろしくお願いします。
下記をまだご覧になってない方はこちらもご一読くだされば幸いです。
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初めて吾妻を知ってくださった方向けに自己紹介をしております。
第8期女流桜花決定戦初日観戦記
執筆:黒木真生プロ
第8期女流桜花決定戦二日目観戦記
執筆:黒木真生プロ
第8期女流桜花決定戦最終日観戦記
執筆:黒木真生プロ
プロ雀士インタビュー第103回吾妻さおり
執筆:美波智子プロ
吾妻さおりの麻雀清一色生活
写真満載の個人ブログ
決勝期間にも更新しておりました。
 
リレーエッセィへの想い】
リレーエッセィの連載が始まったのは2007年2月。
麻雀普及活動に微力ながも携わりたいと思い、当時唯一連盟の情報発信源だった「編集会議」に毎回私は参加していた。
優れた物書きでもなければ、編集も未経験の私をこの場に導いてくれたのは前原雄大プロ。
麻雀プロとしての心構えについても幾度も話をしてくださり、拙い私の頭では当時理解しきれなかったお話もあった。今でも頻繁にあの頃のお言葉が脳裏をよぎる。
伝えたい意味はこうではないか。今すべき事は何か。自分なりに解釈しながら過ごしている。
編集会議もその一つ。
「麻雀が大好きでもっと多くの方に楽しさを伝えたい」
多くのプロはこの想いを胸に秘めている。だが、思うだけでは何も始まらない。形にするには誰よりも早く行動しなさいというメッセージを込めてここに連れて来られたのだと思った。
意を決してタイトル戦観戦記者に立候補。
その後、連盟HPで麻雀用語辞典の作成と30回に及ぶ初級講座初級講座の連載を担当。
「吾妻プロの初級講座で勉強しました。」
このようなコメントを頂いた時は一つ成し遂げた気持ちになり、嬉し涙が出そうになった。
リレーエッセィの企画が通った時も会議に参加していた。
タイトル戦出場者や今活躍している旬な人物にバトンが渡る。個性溢れるプロ達の随筆が次々に紡がれていく。毎回違う趣の作品なので飽きることなく面白いので、私も更新を楽しみにしている。
麻雀好きにはたまらない魅力的な企画だ。
いつかはエッセィを書きたいと思っていたのに何年経っても読者側。私は何も残せていない。
いくら努力しても実績がなければ世間は認めてくれない。
プロになって得たものは、自分の思い出となって鍵のかかった宝箱行き。
目標と現実のギャップに、はがゆい気持ちが確かにあった。
長い時を経てこの依頼を頂けた事は、企画が生まれる瞬間に立ち会った私にとって、とりわけ感慨深い喜びなのだ。同期で研修時代からの仲間である井出康平プロからバトンが託された事も本当に嬉しく思う。
 
【第8期女流桜花決定戦進出】
バトンが届いた理由は、今年1月の第8期女流桜花決定戦。
11月末にプレイオフが終了。決勝進出者が決まってから初日までが約1月半。
期間が長かったので否応なしにイメージが膨らみ続ける。
食事中も、寝る為に目を閉じても頭に浮かぶのは麻雀の事ばかり。
早く対局したい気持ちが爆発しそうだった。
 
【対局者の考察】
ディフェンディングは魚谷侑未プロ。6期、7期の女流桜花であり、今期3連覇がかかっていた。
最速マーメイドの名に相応しく、積極的に鳴いて局面をリードする。
鳴いた後でも手牌に見合わない無謀な勝負はしないクレバーな打ち筋。
本手の鳴き、本手になりえる鳴き、かわし手の鳴きなどのメリハリもしっかりしていて、守備力を保ちつつも勝負と思えばしっかり前に出て戦う。信念の通った仕掛けを打って来る。
2冠達成の7期では打点力もアップし、競技ルールで比重の大きいホンイツとタンヤオを軸に逆境にも挫けずに頂点に向かって泳ぐ姿には私も魅せられた。
淡々と無表情で打ち続けるその佇まいには、寧ろ内に秘めた熱い想いが溢れているように見えた。最終半荘で猛追に遭い、オーラスまで勝負の行方がわからない。手に汗握る戦いの末、見事連覇を成し遂げた。
動画を観た後、残ったのは感動だった。
彼女の強さを尊敬し、あの素晴らしい舞台で麻雀を打ちたいと思った。
「来年は決勝に進出して彼女と戦うんだ」と心に誓ったのだ。
マラソンで言えば魚谷は先頭集団にピタリと張り付くタイプ、対する和久津晶プロはスタートから先頭を狙ってくると予想した。特に今期から3日間になり、もし初日に沈んでも8半荘あるので、システム的にも前に出やすくなった。超攻撃アマゾネスが様子見から入るとは思えない。
彼女の麻雀はプロ入り前の守備型の頃から評判が良く、その噂は私の耳にも届いていた。
現在はリーチと鳴きを多用しイニシアチブを取るスタイルに転身し、第9期プロクイーンを獲得。
今回も全局アガる位の気迫を持って前に進むに違いない。
実際これは効果的で、決勝の麻雀で常に後手に回らされるのは辛い。
自分のペースを掴もうと手牌に集中しても、よほど勝負手でない限り「リーチ」と言われた瞬間「どこまで押そうか」に切り替わってしまう。
先に述べた昨年の魚谷との最終半荘で50ポイント差を詰めた名勝負も記憶に新しい。
誰もが爆発力に一目置いている。
彼女のハートの強さとマッチして、超攻撃がもたらす効果は計り知れないだろう。
となると守備を重視しても良さそうだが、そうしなかった理由は安田麻里菜プロにある。
麻雀くのいちという異名は守備型代表として第30期鳳凰位決定戦を見事に勝ち抜いた藤崎智プロの麻雀忍者と対になっているらしい。彼女のディフェンス力の高さが評価されている証だ。
守備型の自意識はないという本人の発言も見受けられるが、それでも基本スタンスに丁寧な打ち回しがあり、ここぞという時だけエンジンをかける印象がある。初決勝進出時は会場で観戦したし、最近の公開対局も観ている。
同卓だった11月のプレイオフでは序盤にきっちりリードを奪い、ポイントを叩く麻雀も打てる所を見せつけられた。とはいえ、後半安全圏に身を置いてからの徹底した守備麻雀が本来の姿だと思う。
常に好成績を残して第10期プロクイーンで最後の半荘勝負を制して優勝。今回急にスタンスを変えることはないと思った。いや、本音を言えば変えて来てくれたほうが嬉しかった。
何故なら、初日に安田が守備に徹し、魚谷が様子見から入った場合、和久津の独壇場になるのは想像に難くないからだ。
 
【戦いの方針】
この図式を考えると私の方針は自ずと「超攻撃を超える攻撃」となる。誰よりも先にギリギリの勝負して、点棒を叩く。嵐が来たら身を潜めてやり過ごし、チャンスが転がってくれば攻めるなんて呑気な心構えでは「吾妻の時間帯」なんて来ない気がした。ならば本来のスタンス。いや、いつもよりさらに押し切る気合で挑む。
相手の打点も予測した上での放銃覚悟のノータイム無筋切りは元々得意分野。
危険牌を涼しい顔で切るキャリアは私の方がずっと先輩だ。
そう思ったら初決勝への漠然とした不安はなくなっていた。
 
【4つのテーマ】
今までの観戦やイメージトレーニングなどにより方針が決まった。
頭の中のイメージをより的確なものにするべく、早速重要なテーマを4つにまとめた。
 
【テーマ1 スピード】
ここでのスピードとは、テンパイ速度ではなく打牌速度のことである。
壮行会に駆けつけてくれた同期の西岡慎泰プロは「決勝だから、公開対局だから早く切らなきゃと焦らずにゆっくり納得いくまで考えて」とアドバイスをくれた。
なんて思いやりのある暖かい言葉だろう。
初決勝でガチガチに緊張しているであろう私の背中を優しく支えてくれようとする彼の人柄が良く表れた言葉だ。なのに私は「ありがとう。本当に迷った時はそうする。でも今回の決勝、自分の長所であるスピード感も大切にしたい。」と答えた。
テンポよく打てるかどうかは自分の状態を知るバロメーターだと思っているからだ。
実際、映像の自分を観ていると常に同じテンポを心がけているにもかかわらず、かなりスピードにムラがあることがわかる。
好調時は打牌スピードは早くなる。選択に迷いも少なく、指が正解を選ぶ。
打ちながら考えている事と場況がピタりとハマる状態である。
例えばこの局。
3回戦 東3局 ドラ3
100
明らかに国士無双狙いの安田が、5巡目に切ったドラを再び手出し。空気はピンと張り詰めていた。
頭で考えてしまえばリャンメンが残る二筒三筒を払いたくなる牌姿だが、私はノータイムで七筒
後に単騎になる可能性もある不安定な受けだが、それなら戦える待ちを選べばいいと思い、ピンズで2メンツ出来た事を素直に喜び受け入れた。
その後、安田が比較的安全度の高い二索を打つ。テンパイ打牌か?さらに緊迫する。
1つ前の手順も全てノータイムでお気に入りの局。
このような「指が正解を選ぶ」状態に持っていく為には一定のテンポを保って打牌する集中力が必要不可欠というのが私の持論なのだ。
一方不調時は打牌が遅くなる。難しい選択を迫られ、考えがまとまる前に一番迷う牌を引く。
手が止まったからには時間をかけてでも正解を選ばなければならないのは、先に西岡が言った通りである。
しかし、不調時に長考してより良い答えを導き出すことは困難を極める。
もし間違った思考ならみるみる正解から離れ、最初のインスピレーションに逆らい消極的な理由に支配されたりして、中途半端な一打をしてしまう事がある。
2回戦 南1局 ドラ5
100
これは是非ともジュンチャンを決めたいが、リードがあるので無理する必要はない状況。
考え過ぎた結果、どっちつかずの牌を切ってしまった悪い例である。
牌理的には七索九索九索八筒九筒九筒のどちらかの9が正着であろう。
しかし、どちらがいいか決め切れない内に選択を迫られた。
捨て牌を見た私は、トータル2位につけている和久津への将来の危険度を考慮し打七索
ピンズとソウズが選べないという最初の感性にも、まっすぐ戦うという自分のテーマにも反する打牌であり、すぐに悔いた。
結果はペン七筒を引いてテンパイ、四万が嬉しくない一万四万九索のリーチを打つ。
すぐ八索をツモる。このアガリ逃しは酷い。この時点で放銃よりも罪が重い。
挙句、追っかけリーチの和久津にカン六索の2,600放銃。
この後訪れるであろう地獄を覚悟したが、幸い大怪我をせずに初日が終了した。
後の2日間はこの罪を受け入れ、禊になる位の良い打牌をしなければ優勝出来ないと猛反省をした。
 
【テーマ2 納得行く手作り】
最高打点を目指し、妥協しない。安くなるテンパイやシャンテンは取らない。
もし確率に抗う場合は明確な理由を持つ事。
先ほどの局の大失敗を自分なりに考えた結果、自分が本当に打ちたかったのは一万だったのかなと思う。
たった1枚のロスだが9と9の暗刻を逃さない一打はないかな?と思うとメールが次々に届く。
文面には牌姿と場況がズラリ。ダメ出しもかなり多い。
数少ない私の麻雀観を熟知する仲間からのオリジナル観戦記だ。
一万切りはどう?」
「さすがに2シャンテン戻しの一万は良くないと思う。何故ダメなのか納得いくまで考えてください。」
知り合った頃はお世辞にも上手いとは言えなかったが、地味な努力と牌譜検証を繰り返し、瞬く間に牌効率に強くなった。話をすれば意見が対立し険悪になる事もあった。今ではお互いの雀風を理解し尊重出来る。
その貴重な意見を踏まえてもう一晩考えた。
槓刻になる事のない一を1枚外すのは安い四受けを嫌いマンズのイーペーコーを見据える手順。
いや、出来なければただの失敗。
二万三万の残り枚数が少なすぎてマンズで2メンツは厳しいので、ここは素直にアドバイスを受け入れることにした。
だが、もし同じ牌姿で二万三万がもっと残っていたらやはり私は一万を選びたい。
面前で高打点を決めるには、時にはシャンテン数を落としてでも最後まで押し切れる納得行くテンパイを組む必要がある。
何より大切なのは助言を聞いた上で考えて納得し、なおかつ一万という選択も残った事。
固執して批判に耳を傾けないのとは全く違う。全ての意見を財産にしてひたすら考え、自分の麻雀を確立して行く。ツモ番がくる前にあらゆる選択に考えを及ばせ、正解を手が選ぶよう精進する事。
いつしかあの時私には見えなかった理由でピンズかソウズを選べる打ち手になり、一万を切ると言った事を謝る日が来るかも知れない。でもそれは成長であるからいいとも思う。自分が後悔しない打牌を選び続け、今日正解だと思った選択が永遠の正解などと結論付けず、考え続けることが大切なのだ。
各々が違う主義と歴史と感性とを携え、公平なルールのもとで戦う。
目指す理想像によって打牌に個性が生まれるのが麻雀の醍醐味だと思う。
 
【テーマ3 オリない】
まっすぐ戦えないような安い手作りをしない事。
2つ目と関係があるが、これは他家の動向に惑わされず最善手を貫き通すという決意だ。
3回戦 東1局1本場 ドラ2
和久津のソウズの鳴きに対し、ドラが出て行く安手のシャンテンを取らずにやっとこの形。
二万三万四万二索二索五索七索三筒四筒五筒六筒七筒八筒  ツモ九索
タンヤオが崩れるから引っ掛けリーチ?いや、スジだからと安牌で八索が出てくる場況ではない上、八索六索より良い根拠もない。九索ツモ切り。次巡、裏目の八索引き。これも勝負。
和久津はおそらく少し遠い鳴きだったがツモが効いたのか西をトイツ落とし。
東をポンした時に微妙な間があり、字牌待ちはなさそう、単騎も可能性が低い。
まだ1シャンテンかもと思った。次に手出し一索。これでテンパイは確実。
私の読みではカン二索とペン七索が大本命。先ほどの西トイツ落としは東西と愚形ターツの選択か。
なら残した愚形はドラ受けの可能性が高い。そして八索九索にポンがかからなかったことにより八索九索は持っていても1枚。もちろんリャンメン残りの四索七索もあり得るが、七索は倍の危険牌。
打点は7,700か、二索を1枚引き入れた8,000か。一通ドラ1とドラ2の時は12,000。ならほぼ互角の勝負だ。
次に三索ならまた選択だからさすがにやめようかな。四索を持って来たら形は最高だけど…。
七索が大本命とはいえ、この手から四索ツモ切りは中途半端。手牌読みに酔っているだけだ。
今日のテーマは読みではない。読みに頼りはじめたら今後打牌が捻くれる。
なら最高形で押し切るか。と考えていた時にツモ四索
ここまで手が仕上がってくれた事に感謝し、意を決して七索を放つ。
「ロン。7,700。」「はい。」
視聴された方はさすがに行き過ぎだと思ったはずだ。何も7,700とわかって打つ事はない。
放銃を避けて別の局で勝負すればいい。かくいう私も普段なら好調時でも七索で、不調時ならその前の九索または八索でストップだ。
私の中では1回戦の安田へ345の放銃の時と同じ。前に出る代償は承知の上で、戦う気持ちだ。
早いリーチにまっすぐと分かり切ったソウズのホンイツへの放銃は、全く別物だがテーマを尊重した。
この局は加点こそ出来なかったが、常に戦える状態を作るために必要な放銃もあるだろうと覚悟していたし、想定で最安の7,700で済んだ。不思議と心は揺れなかった。
 
【テーマ4 安い鳴きをしない】
元々面前主体の麻雀を好み、手役を大事にしながらツモれる待ちを作るよう心がけるのを理想としている。
メンゼンツモが最も好きな役であり、そこを大切にしようと思った。
かわし手というのは高度な読みを必要とする高度技術であり、武器の1つとして身に付けたいと日頃から勉強しているが、今回のテーマと反するので極力封印した。
 
【ゲームメイクの練習不足】
以上の4つに加え、点棒と総合ポイントを踏まえた場況判断。
この部分はいくら想定してトレーニングしてもやはり決勝の舞台。全く思い描いたものと逆の事ばかりしてしまった。日頃から一生懸命打っているつもりではあったが、この一局は何をすべきかを考える意識がまだ甘かった事を痛感した。今後はどんな局も明確な目標を持ち、より緊張感を持って打たなければならないと思う。
 
【初心と可能性】
理想とする麻雀をいくら思い描いても、実現に向けて努力しても、大事な局面で最高のパフォーマンスをするのは本当に難しい。未熟さや心の弱さに直面した場面もあり、反省点は挙げたらキリがない。
決勝を終えた今、少しでも成長するために、牌効率や字牌の切り順から勉強し直している。
第8期女流桜花を優勝出来た事は、応援してくれた人達の喜ぶ顔が見られて最高に嬉しいが、自分は強いから優勝したなどと自惚れる気持ちは微塵も持てなかった。
ただ、今回晒してしまったみっともない姿も、あの日持てる全てを込めて精一杯戦う吾妻さおりだった。
タイムシフトを見て、自分らしさが存分に発揮された場面も、別人のようにもがいている格好悪い自分も引っくるめてほんの少しだけ誇りに思い、麻雀をまた一つ好きになる。
もっとああすれば、こうすればと課題は山積みになっているが、そこを1つずつ改善したらもっと強くなれる。次はもっといい麻雀が打てるはず。今回の経験で理想像はより明確になった。その為に何をすべきか考え、今までの何倍も努力すれば、自分の思い描く麻雀を貫いて優勝出来る日が来るかも知れない。
以前より微かに可能性の光が大きく見えた。
 
【白い線】
最初は打ち手というより、麻雀を広めたい一心でプロになった。
研修を終え晴れてプロを名乗り、一斉にスタートラインから走り出した。
まだこの道に何があるのか見えないままがむしゃらに進んだ、プレイヤーとしての険しい道。
前は沢山の先人が止まらずに走り続けている。
後ろからは力をつけた若者達が虎視眈々と私を追い抜こうとしている。
ふと前を見ると道の横いっぱいに描かれた白い線が見えて来た。
その手前まで行き立ち止まって鮮やかな白に視線を落とす。
これが私の第2のスタートライン。
ここまで出逢った人達に感謝したくなり「ありがとうございます」とつぶやいた。
頭に浮かぶのはどれも笑顔で「これからも頑張れ!」と励ましてくれる。
また走る力をもらった。
果てしなく続くこの道は麻雀プロだけのものだと思うと急に愛おしくなり、
両の足でしっかり踏みしめてから、全力疾走でスタートを切る。
長い道のその遥か向こうには眩い光が溢れている。
 
【バトンの行方】
次のバトンは第25期チャンピオンズリーグ優勝の森岡貞臣プロにお願いしたいと思います。
よろしくお願いします。