第10期女流桜花 Bリーグ 最終節成績表

A C

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 藤井 すみれ(埼玉) 52.1 53.2 56.8 39.8 24.0 225.9
2 松岡 千晶(東京) 0.4 57.0 63.2 20.7 23.7 165.0
3 石田 亜沙己(愛知) 27.7 106.5 42.7 7.4 ▲ 35.4 148.9
4 優木 美智(福岡) 12.4 42.6 47.4 75.3 ▲ 29.3 148.4
5 高宮 まり(茨城) 13.9 16.5 9.0 31.1 40.4 110.9
6 蒼井 ゆりか(静岡) 33.9 4.0 23.8 7.0 31.8 100.5
7 七瀬 真実(大阪) 59.6 15.6 16.3 ▲ 15.8 ▲ 26.5 49.2
8 赤司 美奈子(福岡) ▲ 11.3 31.0 24.7 2.3 ▲ 28.7 18.0
9 川原 舞子(愛知) ▲ 3.4 ▲ 10.2 11.6 13.8 ▲ 18.0 ▲ 6.2
10 井上 美里(宮城) 5.3 ▲ 41.3 19.4 4.9 0.0 ▲ 11.7
11 中山 奈々美(長野) ▲ 89.5 ▲ 3.5 30.5 ▲ 15.6 53.6 ▲ 24.5
12 山脇 千文美(北海道) 11.7 ▲ 32.3 ▲ 54.9 6.3 38.9 ▲ 30.3
13 北條 恵美(アメリカ・ニューヨーク) 18.8 12.9 ▲ 53.5 33.1 ▲ 57.4 ▲ 46.1
14 石川 詩万(神奈川) 4.2 26.2 ▲ 69.1 ▲ 21.4 2.3 ▲ 57.8
15 齋藤 麻衣子(福井) 7.5 ▲ 61.3 ▲ 1.5 ▲ 7.4 2.7 ▲ 60.0
16 童瞳(中国・上海) 2.9 ▲ 61.4 11.2 ▲ 36.7 22.7 ▲ 61.3
17 菅原 千瑛(埼玉) ▲ 50.7 19.1 37.9 ▲ 34.2 ▲ 33.4 ▲ 61.3
18 天音 まこと(三重) ▲ 2.8 ▲ 50.8 ▲ 32.0 ▲ 33.7 45.3 ▲ 74.0
19 池沢 麻奈美(愛知) 11.0 ▲ 80.1 7.4 7.8 ▲ 21.9 ▲ 75.8
20 西山 あみ(神奈川) ▲ 56.8 69.5 ▲ 104.8 1.2 11.1 ▲ 79.8
21 手塚 紗掬(北海道) 25.4 ▲ 3.6 ▲ 61.6 ▲ 8.1 ▲ 46.0 ▲ 93.9
22 長内 真実(北海道) ▲ 37.4 ▲ 23.4 ▲ 34.5 ▲ 37.6 9.3 ▲ 123.6
23 王 政芳(中国・ハルピン) ▲ 28.7 ▲ 60.4 ▲ 26.6 ▲ 19.1 3.1 ▲ 131.7
24 京平 遥(静岡) ▲ 30.2 ▲ 28.8 ▲ 24.4 ▲ 23.1 ▲ 34.3 ▲ 140.8

女流プロリーグ(女流桜花) 成績表/第10期女流桜花 Bリーグ 最終節成績表

A C

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 藤井 すみれ(埼玉) 52.1 53.2 56.8 39.8 24.0 225.9
2 松岡 千晶(東京) 0.4 57.0 63.2 20.7 23.7 165.0
3 石田 亜沙己(愛知) 27.7 106.5 42.7 7.4 ▲ 35.4 148.9
4 優木 美智(福岡) 12.4 42.6 47.4 75.3 ▲ 29.3 148.4
5 高宮 まり(茨城) 13.9 16.5 9.0 31.1 40.4 110.9
6 蒼井 ゆりか(静岡) 33.9 4.0 23.8 7.0 31.8 100.5
7 七瀬 真実(大阪) 59.6 15.6 16.3 ▲ 15.8 ▲ 26.5 49.2
8 赤司 美奈子(福岡) ▲ 11.3 31.0 24.7 2.3 ▲ 28.7 18.0
9 川原 舞子(愛知) ▲ 3.4 ▲ 10.2 11.6 13.8 ▲ 18.0 ▲ 6.2
10 井上 美里(宮城) 5.3 ▲ 41.3 19.4 4.9 0.0 ▲ 11.7
11 中山 奈々美(長野) ▲ 89.5 ▲ 3.5 30.5 ▲ 15.6 53.6 ▲ 24.5
12 山脇 千文美(北海道) 11.7 ▲ 32.3 ▲ 54.9 6.3 38.9 ▲ 30.3
13 北條 恵美(アメリカ・ニューヨーク) 18.8 12.9 ▲ 53.5 33.1 ▲ 57.4 ▲ 46.1
14 石川 詩万(神奈川) 4.2 26.2 ▲ 69.1 ▲ 21.4 2.3 ▲ 57.8
15 齋藤 麻衣子(福井) 7.5 ▲ 61.3 ▲ 1.5 ▲ 7.4 2.7 ▲ 60.0
16 童瞳(中国・上海) 2.9 ▲ 61.4 11.2 ▲ 36.7 22.7 ▲ 61.3
17 菅原 千瑛(埼玉) ▲ 50.7 19.1 37.9 ▲ 34.2 ▲ 33.4 ▲ 61.3
18 天音 まこと(三重) ▲ 2.8 ▲ 50.8 ▲ 32.0 ▲ 33.7 45.3 ▲ 74.0
19 池沢 麻奈美(愛知) 11.0 ▲ 80.1 7.4 7.8 ▲ 21.9 ▲ 75.8
20 西山 あみ(神奈川) ▲ 56.8 69.5 ▲ 104.8 1.2 11.1 ▲ 79.8
21 手塚 紗掬(北海道) 25.4 ▲ 3.6 ▲ 61.6 ▲ 8.1 ▲ 46.0 ▲ 93.9
22 長内 真実(北海道) ▲ 37.4 ▲ 23.4 ▲ 34.5 ▲ 37.6 9.3 ▲ 123.6
23 王 政芳(中国・ハルピン) ▲ 28.7 ▲ 60.4 ▲ 26.6 ▲ 19.1 3.1 ▲ 131.7
24 京平 遥(静岡) ▲ 30.2 ▲ 28.8 ▲ 24.4 ▲ 23.1 ▲ 34.3 ▲ 140.8

第10期女流桜花 Cリーグ 最終節成績表

A B

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 中野 妙子(高知) 34.9 83.4 ▲ 30.9 71.4 40.0 198.8
2 三咲 麻里(埼玉) ▲ 58.0 49.2 54.2 70.3 60.3 176.0
3 白銀 紗希(青森) 78.8 66.5 ▲ 15.3 2.8 40.8 173.6
4 小島 優(愛知) 32.5 6.3 ▲ 44.6 ▲ 38.4 168.3 124.1
5 稲岡 ミカ(大阪) 23.7 50.6 38.9 ▲ 3.5 12.9 122.6
6 北野 由実(東京) 12.2 11.7 106.8 ▲ 34.7 ▲ 13.3 82.7
7 ジェン(アメリカ・シアトル) 147.0 ▲ 32.8 8.3 ▲ 38.0 ▲ 17.2 67.3
8 小笠原 奈央(千葉) 11.9 ▲ 16.0 28.6 10.1 29.5 64.1
9 吉田 彩乃(福岡) ▲ 11.2 ▲ 24.7 31.6 28.9 31.3 55.9
10 山本 美文(静岡) 14.9 60.4 ▲ 50.7 ▲ 15.3 46.0 55.3
11 楠原 遊(東京) 57.2 19.1 ▲ 28.7 ▲ 4.2 11.4 54.8
12 水越 京子(埼玉) ▲ 31.7 24.2 58.3 16.9 ▲ 21.2 46.5
13 西川 舞(長崎) 3.2 7.0 ▲ 17.9 32.1 10.3 34.7
14 高橋 侑希(岐阜) ▲ 3.6 82.3 ▲ 70.9 25.0 ▲ 26.0 6.8
15 山口 やよい(千葉) ▲ 53.0 59.2 ▲ 27.3 40.8 ▲ 16.5 3.2
16 三浦 奈々(神奈川) ▲ 41.5 ▲ 4.8 ▲ 2.1 8.6 40.0 0.2
17 片倉 まち(神奈川) 86.1 ▲ 63.2 52.2 ▲ 84.6 ▲ 2.0 ▲ 11.5
18 内山 えみ(東京) ▲ 40.0 32.6 49.8 ▲ 5.2 ▲ 54.8 ▲ 17.6
19 大久保 朋美(福井) ▲ 46.0 ▲ 32.0 9.6 ▲ 6.8 57.4 ▲ 17.8
20 大里 奈美(宮城) 17.8 17.4 0.4 ▲ 0.9 ▲ 56.3 ▲ 21.6
21 古川 彩乃(東京) ▲ 32.9 ▲ 12.2 14.7 ▲ 27.9 28.4 ▲ 29.9
22 土田 さおり(兵庫) ▲ 34.1 8.9 ▲ 63.8 31.9 22.5 ▲ 34.6
23 大野 彩乃(東京) 39.4 ▲ 74.4 ▲ 49.6 ▲ 8.0 52.2 ▲ 40.4
24 小谷 美和子(埼玉) 26.4 ▲ 64.3 5.5 13.4 ▲ 22.3 ▲ 41.3
25 高田 麻衣子(石川) ▲ 14.2 1.1 ▲ 21.7 ▲ 7.2 ▲ 13.2 ▲ 55.2
26 くさの いおり(茨城) ▲ 37.1 ▲ 25.4 ▲ 10.9 ▲ 3.5 11.4 ▲ 65.5
27 福島 清子(高知) 1.7 ▲ 38.1 31.9 ▲ 15.7 ▲ 50.0 ▲ 70.2
28 渋谷 菜瑠美(栃木) 20.5 6.9 ▲ 27.7 ▲ 100.0 1.8 ▲ 98.5
29 東城 りお(秋田) ▲ 52.2 20.0 ▲ 38.3 12.3 ▲ 63.8 ▲ 122.0
30 早川 林香(宮城) ▲ 29.0 ▲ 63.5 26.2 ▲ 2.7 ▲ 53.5 ▲ 122.5
31 月江 いくこ(東京) ▲ 14.9 ▲ 19.0 ▲ 12.2 25.3 ▲ 103.0 ▲ 123.8
32 青山 めぐみ(千葉) ▲ 35.5 ▲ 26.4 52.8 ▲ 59.8 ▲ 59.5 ▲ 128.4
33 井上 絵美子(東京) ▲ 0.2 ▲ 62.6 6.5 6.7 ▲ 87.6 ▲ 137.2
34 大亀 あすか(広島) 25.4 ▲ 56.5 ▲ 50.0 12.5 ▲ 80.0 ▲ 148.6
35 優月 みか(埼玉) ▲ 78.0 ▲ 9.3 ▲ 6.7 ▲ 48.7 ▲ 55.3 ▲ 198.0
36 西嶋 ゆかり(群馬) ▲ 45.5 ▲ 4.6 ▲ 61.0 ▲ 26.9 ▲ 80.0 ▲ 218.0

女流プロリーグ(女流桜花) 成績表/第10期女流桜花 Cリーグ 最終節成績表

A B

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 中野 妙子(高知) 34.9 83.4 ▲ 30.9 71.4 40.0 198.8
2 三咲 麻里(埼玉) ▲ 58.0 49.2 54.2 70.3 60.3 176.0
3 白銀 紗希(青森) 78.8 66.5 ▲ 15.3 2.8 40.8 173.6
4 小島 優(愛知) 32.5 6.3 ▲ 44.6 ▲ 38.4 168.3 124.1
5 稲岡 ミカ(大阪) 23.7 50.6 38.9 ▲ 3.5 12.9 122.6
6 北野 由実(東京) 12.2 11.7 106.8 ▲ 34.7 ▲ 13.3 82.7
7 ジェン(アメリカ・シアトル) 147.0 ▲ 32.8 8.3 ▲ 38.0 ▲ 17.2 67.3
8 小笠原 奈央(千葉) 11.9 ▲ 16.0 28.6 10.1 29.5 64.1
9 吉田 彩乃(福岡) ▲ 11.2 ▲ 24.7 31.6 28.9 31.3 55.9
10 山本 美文(静岡) 14.9 60.4 ▲ 50.7 ▲ 15.3 46.0 55.3
11 楠原 遊(東京) 57.2 19.1 ▲ 28.7 ▲ 4.2 11.4 54.8
12 水越 京子(埼玉) ▲ 31.7 24.2 58.3 16.9 ▲ 21.2 46.5
13 西川 舞(長崎) 3.2 7.0 ▲ 17.9 32.1 10.3 34.7
14 高橋 侑希(岐阜) ▲ 3.6 82.3 ▲ 70.9 25.0 ▲ 26.0 6.8
15 山口 やよい(千葉) ▲ 53.0 59.2 ▲ 27.3 40.8 ▲ 16.5 3.2
16 三浦 奈々(神奈川) ▲ 41.5 ▲ 4.8 ▲ 2.1 8.6 40.0 0.2
17 片倉 まち(神奈川) 86.1 ▲ 63.2 52.2 ▲ 84.6 ▲ 2.0 ▲ 11.5
18 内山 えみ(東京) ▲ 40.0 32.6 49.8 ▲ 5.2 ▲ 54.8 ▲ 17.6
19 大久保 朋美(福井) ▲ 46.0 ▲ 32.0 9.6 ▲ 6.8 57.4 ▲ 17.8
20 大里 奈美(宮城) 17.8 17.4 0.4 ▲ 0.9 ▲ 56.3 ▲ 21.6
21 古川 彩乃(東京) ▲ 32.9 ▲ 12.2 14.7 ▲ 27.9 28.4 ▲ 29.9
22 土田 さおり(兵庫) ▲ 34.1 8.9 ▲ 63.8 31.9 22.5 ▲ 34.6
23 大野 彩乃(東京) 39.4 ▲ 74.4 ▲ 49.6 ▲ 8.0 52.2 ▲ 40.4
24 小谷 美和子(埼玉) 26.4 ▲ 64.3 5.5 13.4 ▲ 22.3 ▲ 41.3
25 高田 麻衣子(石川) ▲ 14.2 1.1 ▲ 21.7 ▲ 7.2 ▲ 13.2 ▲ 55.2
26 くさの いおり(茨城) ▲ 37.1 ▲ 25.4 ▲ 10.9 ▲ 3.5 11.4 ▲ 65.5
27 福島 清子(高知) 1.7 ▲ 38.1 31.9 ▲ 15.7 ▲ 50.0 ▲ 70.2
28 渋谷 菜瑠美(栃木) 20.5 6.9 ▲ 27.7 ▲ 100.0 1.8 ▲ 98.5
29 東城 りお(秋田) ▲ 52.2 20.0 ▲ 38.3 12.3 ▲ 63.8 ▲ 122.0
30 早川 林香(宮城) ▲ 29.0 ▲ 63.5 26.2 ▲ 2.7 ▲ 53.5 ▲ 122.5
31 月江 いくこ(東京) ▲ 14.9 ▲ 19.0 ▲ 12.2 25.3 ▲ 103.0 ▲ 123.8
32 青山 めぐみ(千葉) ▲ 35.5 ▲ 26.4 52.8 ▲ 59.8 ▲ 59.5 ▲ 128.4
33 井上 絵美子(東京) ▲ 0.2 ▲ 62.6 6.5 6.7 ▲ 87.6 ▲ 137.2
34 大亀 あすか(広島) 25.4 ▲ 56.5 ▲ 50.0 12.5 ▲ 80.0 ▲ 148.6
35 優月 みか(埼玉) ▲ 78.0 ▲ 9.3 ▲ 6.7 ▲ 48.7 ▲ 55.3 ▲ 198.0
36 西嶋 ゆかり(群馬) ▲ 45.5 ▲ 4.6 ▲ 61.0 ▲ 26.9 ▲ 80.0 ▲ 218.0

第32期十段戦決勝 二日目観戦記 滝沢 和典

初日終了時(4回戦までのポイント)
櫻井+28.4P
野方+14.8P
藤崎+13.8P
柴田▲10.1P
ダンプ▲46.9P

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5回戦
起家から(柴田→ダンプ→野方→藤崎) 抜け番 櫻井

東1局 ドラ二索
西家野方が、2巡目の白を仕掛け、6巡目に打たれた四万にもポンの発声。

三万六万八万八万七索八索九索  ポン四万 上向き四万 上向き四万 上向き  ポン白白白

すぐに六万を引き入れ、シャンポンのテンパイが入った。同巡、親の柴田がリーチをかける。

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結果は、野方の仕掛けが決まり、リーチをかけた東家柴田から1,000の出アガリとなった。
四万をポンする前は、テンパイに対する受け入れが二万五万のみで、アガることが最大の防御である以上、必然の仕掛けと言える。
アガリに対して貪欲な、鋭い仕掛けではあるのだが、当然のごとくリスクも伴う。

柴田のリーチは、そんな野方の仕掛けを捕まえようと、初日と同様に、野方の打ち筋を踏まえた選択である。
ドラ暗刻の藤崎が攻めるのは当然のことだが、そこには柴田と同じで野方の仕掛けならさらに攻めやすいといった後押しがあったであろう。
ただ、どんな手牌か確信を持って打っているわけではなく、やはり手探りの状態で互いに打っているところが面白いところだ。

東3局1本場ドラ発

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東家野方の先制リーチに対して、柴田は11巡目に画像の手牌から打六索とした。
七対子の1シャンテンをキープする打白は、野方のリーチ宣言牌がドラの発であるため、打ちやすい牌ではある。また六索が通っているので九索も打ちやすい。
若干消極的にも映る選択だが、この後引いたツモ白では唐突に打一索というアグレッシブな打牌を選択した。

結果三索を引き入れ、白中のシャンポンで追いかけリーチ、見事野方から8,000を打ち取った。

一索二索三索四索五索六索九索九索九索白白中中   リーチ  ロン中

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東4局

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ドラが2枚の手牌を手にした柴田、一気に攻め切りたいところだが、立ちはだかったのは藤崎。
ここまで、何となく野方を意識したような打牌選択が見受けられた藤崎だが、初日の雰囲気とはまた一味違った凄みのようなものが感じられた。
この2,600オールは単なる結果ではあるが、この後本来の藤崎麻雀の安定感を感じる一日となる。

南2局

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1巡目の東から仕掛けたダンプが野方に5,200の放銃。
今回の決定戦で、選択が裏目に出てしまうことが多いダンプ大橋。
結果からたどる意味などないかもしれないが、悪い結果が続いてしまうと、軽い疑心暗鬼に陥ってしまうものだ。
何切る選択で差が出るのは長期戦での考え方で、決して長期とは言えない十段位決定戦では、押し引きが重要となってくる。そこに強く影響するのが、人の心だ。
相手の進行具合、場の状況など曖昧な情報を頼りに決断をしなければならないのが麻雀だが、精神状態が不安定になると、情報の取捨選択の正確さが損なわれてしまう。
それを払拭するのは、やはり日頃の稽古量であり、コンディション作りである。
ダンプはほぼ一人でマイナスを背負っている状況となってしまったが、この後立て直すことができるであろうか?

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5回戦成績
藤崎+22.7P 柴田+8.4P ダンプ▲12.5P 野方▲18.6P

5回戦終了時
藤崎+36.5P 櫻井+28.4P 柴田▲1.4P 野方▲3.8P ダンプ▲59.4P

ここで6回戦目以降の抜け番選択が行われた(トータル順位上位者から選択する)。
まず現在1位の藤崎は本日最後の8回戦抜け番を選択。続いて櫻井は9回戦、柴田が6回戦を選択。
残るは7回戦と10回戦だが、ここでなんと野方が「10回戦を抜け番にします」即答すると、ダンプが思わず「え?いいの?」と聞き返す。
(※11回戦、12回戦は上位4名で対局、最下位が敗退となる)
後ほど野方に10回戦を選択した理由を確認すると、敗退ラインで争っているような成績で、自分が十段位を獲得することはないと思う。それより、今日を連続で4回戦打ちたい、とのことだった。

 

6回戦
起家から(櫻井→藤崎→野方→ダンプ)

東1局

一万一万二万三万四万一索二索一筒二筒三筒七筒七筒七筒  リーチ  ツモ三索  ドラ二筒

東1局に、この2,000オールをアガった櫻井は、続く1本場。

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白ポン、四索ポン、アガリ牌の三索とすべてダンプから、5,800は6,100をアガる。
言うまでもなく、ダンプの手牌にはドラが内蔵されたテンパイが入っていた。

二万二万九索九索一筒一筒五筒五筒九筒九筒南中中

この時、三索は山に全て眠っていた。
どうせ櫻井との一騎打ちならば、と三索単騎で勝負をかけていれば…
五索にポンの声がかかっていないこと以外、櫻井の手牌構成はわかりようがないので、南三索の選択で正解を選ぶことは至難の業であるが、挽回するためのポイントだったのかもしれない。

東3局

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8巡目、西家の櫻井のリーチを受けた藤崎は、ドラ五万単騎のテンパイを外し打白とした。
次巡四万を引いて、高目三色のテンパイが入ると一筒勝負でリーチをかけるが、すぐに五筒を掴んで櫻井に5,200放銃となってしまう。
西家櫻井は絶好のドラ五万をツモってのテンパイであった。

五万五万七万八万九万一索二索三索三筒四筒六筒六筒六筒  リーチ  ロン五筒  ドラ五万

この局の押し引きは実に藤崎らしいのだが、時にリーチの一発目に打一筒とする場面も見せる。
ドラの五万単騎のテンパイを崩すことなく、手牌の変化待ちでヤミテン続行。
しかし、この局はそうは打たずに一旦引いた。そしてツモにより前進すると、放銃となった。

非常に勝手な解釈であるが、この局リーチ負けという結果が出たことが、逆に藤崎のピントが合っているということではないだろうかと私は考えた。
何を根拠にこんなことを言っているのか謎ではあるのだが自分なりにはしっくりきている。

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後日藤崎にこの局について聞いてみると、やはり「これまでの展開が…」と始まった。
私自身、局と局の因果関係や、調子の良し悪しによる打牌選択について、上手く説明できるわけではないので、気になる方は牌譜や映像をご覧になっていただきたい。

南3局、親番の野方が3連続アガリを決める。

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五万六万六索六索六索六筒七筒八筒南南  ポン東東東  ロン四万  ドラ二万

ダンプから1,500

南3局1本場

四万四万六万七万二筒三筒四筒六筒七筒八筒九筒九筒九筒  リーチ  ツモ五万  ドラ五筒

1,000は1,100オール

南3局2本場

二万三万四万二索二索三索四索四索五索五索七筒八筒九筒  ロン六索  ドラ九筒

ダンプから2,900は3,500

やはり、野方が重きを置いているのは打点力ではなくアガリ回数である。
仕掛けやヤミテンを駆使して、櫻井をかわしこの半荘のトップに躍り出た。
そして大きな失点ではないが、ダンプの点棒がじわじわと削られていく。

南3局3本場

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続く3本場でも野方がリーチをかけたが、櫻井がしっかり攻め切って重いパンチを決める。

2番手の藤崎とのリードを広げ、櫻井が単独首位となった。

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6回戦成績
櫻井+32.8P 野方+10.1P 藤崎▲17.8P ダンプ▲25.1P

6回戦終了時
櫻井+61.2P 藤崎+18.7P 野方+6.3P 柴田▲1.7P ダンプ▲84.5P

 

7回戦
起家から(藤崎→櫻井→野方→柴田) 抜け番 ダンプ

東1局は東家藤崎がヤミテンでピンフイーペーコーをツモり1,300オール。

四万五万六万三索三索四索四索五索一筒一筒五筒六筒七筒  ツモ五索  ドラ九筒

東1局1本場

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首位を走る櫻井が藤崎のリーチに12,000放銃となった。
南家櫻井はこの配牌から、打四万とリャンメンターツに手をかけ、

四万七万八万一索二索四索五索六索七索八索九索中中  ツモ三万

六索を引いて中を1鳴き。
第1打ということで、場面に情報は出ておらず、現状のトータルポイント、残り局数などを踏まえると非常に難しい選択である。
櫻井のように、フォームが柔軟であるほど、こういった場面での選択肢は増える。選択肢が増えれば、結果に対して心が揺れ動く回数も増える。
自信を持って出した答えだからと、この結果を受け止めたであろうか。それとも12,000の放銃となってしまえば、後悔してしまったであろうか?
櫻井の心中は定かではない。

東4局2本場
東家の柴田は2巡目にタンヤオの1シャンテンという好配牌を手にした。

五索五索六索二筒二筒二筒三筒五筒五筒六筒七筒西中  ツモ五索

その2巡目に打ち出した西を西家の櫻井が1鳴き。
もつれにもつれて、柴田がテンパイを入れたのは15巡目であった。

masters21_01

(13巡目の打八万は当時櫻井の最終手出しが四万であった為、五万と入れ替え)

そして、ハイテイでツモってきたのはドラの東
結果から言えば、柴田はこの東を打ち、櫻井の仕掛けにハネ満の放銃となる。

早い仕掛けで手出し牌が多く、仕掛けた櫻井に消極的な対応をしている他家を見れば、櫻井がドラを持っている可能性が高い。
それでも柴田はドラを打った。この大舞台で、何万人が見るかわからない牌譜や映像が残るかもしれないこの決定戦の舞台でだ。
観戦している視聴者に、対局者に、先輩や後輩に、どれだけ批判されるかなんて、微塵も考えていない。
強い男だ。

そんなもの解釈次第でなんとでもなる。それも仰る通りであるが、私も変なお世辞は言わない方だ。
プロとして覚悟を持った人間が打っている、少しでもそう思ってくださっているならば、彼らの選択に対して安易な罵倒はなるべく控えていただければ幸いだ。
麻雀は一局の損得の繰り返しではあるが、今日、この決定戦に置いて一番になるために、決して軽々しくはない、勝つためにリスクを負った柴田の一打だった。
少なくとも私はそう解釈している。

南4局

masters21_01

15巡目の三万をチーしてドラの白打ち、またしても東家柴田が親をキープするべくタンヤオテンパイを取る。
北家野方が、ペン三筒を仕掛けたのも同巡だ。
ご覧の通り、捨て牌がストレートではないため、野方にドラが2枚あった場合は後重なりの可能性が高いことが予想される。
ただ、この巡目に三筒を打った櫻井にドラがある可能性は十分に考えられる。
ツモる動作や打牌のトーンなど、こればかりは卓上にいないとわからないことだが、白が打ちやすい情報が他にもあったのかもしれない。
また、上手く説明できなくとも、柴田自身が無意識に何らかを感じ取っていたかもしれないし、逆に親をキープする以外に理由なんてなかったのかもしれない。
とにかく、東家親番と同じようドラを打ってテンパイを組んだ柴田。執念が実を結び、500オールのツモアガリとなった。
そして実は、このチーで櫻井の七対子ドラドラのツモアガリを喰い下げるという結果も隠れていた。

南4局1本場

masters21_01

櫻井が藤崎に8,000放銃で7回戦終了。
この決着で、今度は藤崎がトップに躍り出た。

普段顔色が変わらない櫻井、歪んだ表情が印象的であった。

masters21_01

7回戦成績
藤崎+27.8P 野方+10.3P 柴田▲14.8P 櫻井▲23.3P

7回戦終了時
藤崎+46.5P 櫻井37.9P 野方+11.6P 柴田▲16.5P ダンプ▲84.5P

 

8回戦
起家から(柴田→野方→櫻井→ダンプ) 抜け番 藤崎

東1局

masters21_01

2日目の最終戦。トータルトップの藤崎は今回抜け番で卓にはいないが、マイナスしている者にとっては、トップとの点差を強く意識しなければならない時間帯に入ってきた。
その矢先、相手の心をへし折るような櫻井の2,000・4,000ツモでスタート。
7回戦オーラスでラス落ちしてしまった櫻井だが、このアガリで再びトータルトップの藤崎に並ぶ。最終日は藤崎、櫻井2者のデッドヒートとなるであろうと予感させるようなアガリだ。

東4局1本場

masters21_01

※野方の四万チーは4巡目、中ポンは5巡目

一通のテンパイが入った櫻井の選択はドラ東切りのヤミテン。
野方は四万をチーしたときの打牌が1枚目の五万
つまり四万チーと同時にターツオーバーになっていることが読みとれる。
特に場面に高いわけでもない、むしろ山にありそうな四万から仕掛け、一色手でないのであれば、中以外にも役牌があるケースが圧倒的に多い。
いくら仕掛けを多用する野方と言えど、ドラは持っていそうだ。
しかけた瞬間ターツオーバーだったという予測も合わせて考えればテンパイが入っていてもおかしくはない。
仮に私が櫻井の位置にいたら、以上の理由で東切りとすることはなさそうだ。

櫻井の野方に対するピントが合ってきている証拠であろうか。
さらっとドラを打ち、野方から2,600は2,900のアガリとなった。

南1局

masters21_01

10巡目に柴田が7,700の出アガリ。
それにしても北家のダンプは絶不調。打った手牌の形が悪く、まったく追いついていないときが多い。
オーラスで5本場まで連荘を重ねるも、大した得点にならず沈みのまま終了。唯一の救いはこれが本日の最終戦であったことか。
櫻井が東場の得点を守り切り、1人浮きのトップで2日目の最終戦が終了した。

櫻井は2日目終了後のインタビューで、こう語る。
「1着と4着が多いですが、決勝らしい戦い方はできてるかなと思います。藤崎さんはやはり強い、だからこそ面白いんですけどね」
2番手につける藤崎を強く意識している様子であった。

8回戦成績
櫻井+20.2P 柴田▲1.9P ダンプ▲4.3P 野方▲14.0P

8回戦終了時
櫻井+58.1P 藤崎+46.5P 野方+2.6P 柴田▲18.4P ダンプ▲88.8P

十段戦 決勝観戦記/第32期十段戦決勝 二日目観戦記 滝沢 和典

初日終了時(4回戦までのポイント)
櫻井+28.4P
野方+14.8P
藤崎+13.8P
柴田▲10.1P
ダンプ▲46.9P

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5回戦
起家から(柴田→ダンプ→野方→藤崎) 抜け番 櫻井
東1局 ドラ二索
西家野方が、2巡目の白を仕掛け、6巡目に打たれた四万にもポンの発声。
三万六万八万八万七索八索九索  ポン四万 上向き四万 上向き四万 上向き  ポン白白白
すぐに六万を引き入れ、シャンポンのテンパイが入った。同巡、親の柴田がリーチをかける。
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結果は、野方の仕掛けが決まり、リーチをかけた東家柴田から1,000の出アガリとなった。
四万をポンする前は、テンパイに対する受け入れが二万五万のみで、アガることが最大の防御である以上、必然の仕掛けと言える。
アガリに対して貪欲な、鋭い仕掛けではあるのだが、当然のごとくリスクも伴う。
柴田のリーチは、そんな野方の仕掛けを捕まえようと、初日と同様に、野方の打ち筋を踏まえた選択である。
ドラ暗刻の藤崎が攻めるのは当然のことだが、そこには柴田と同じで野方の仕掛けならさらに攻めやすいといった後押しがあったであろう。
ただ、どんな手牌か確信を持って打っているわけではなく、やはり手探りの状態で互いに打っているところが面白いところだ。
東3局1本場ドラ発
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東家野方の先制リーチに対して、柴田は11巡目に画像の手牌から打六索とした。
七対子の1シャンテンをキープする打白は、野方のリーチ宣言牌がドラの発であるため、打ちやすい牌ではある。また六索が通っているので九索も打ちやすい。
若干消極的にも映る選択だが、この後引いたツモ白では唐突に打一索というアグレッシブな打牌を選択した。
結果三索を引き入れ、白中のシャンポンで追いかけリーチ、見事野方から8,000を打ち取った。
一索二索三索四索五索六索九索九索九索白白中中   リーチ  ロン中
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東4局
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ドラが2枚の手牌を手にした柴田、一気に攻め切りたいところだが、立ちはだかったのは藤崎。
ここまで、何となく野方を意識したような打牌選択が見受けられた藤崎だが、初日の雰囲気とはまた一味違った凄みのようなものが感じられた。
この2,600オールは単なる結果ではあるが、この後本来の藤崎麻雀の安定感を感じる一日となる。
南2局
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1巡目の東から仕掛けたダンプが野方に5,200の放銃。
今回の決定戦で、選択が裏目に出てしまうことが多いダンプ大橋。
結果からたどる意味などないかもしれないが、悪い結果が続いてしまうと、軽い疑心暗鬼に陥ってしまうものだ。
何切る選択で差が出るのは長期戦での考え方で、決して長期とは言えない十段位決定戦では、押し引きが重要となってくる。そこに強く影響するのが、人の心だ。
相手の進行具合、場の状況など曖昧な情報を頼りに決断をしなければならないのが麻雀だが、精神状態が不安定になると、情報の取捨選択の正確さが損なわれてしまう。
それを払拭するのは、やはり日頃の稽古量であり、コンディション作りである。
ダンプはほぼ一人でマイナスを背負っている状況となってしまったが、この後立て直すことができるであろうか?
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5回戦成績
藤崎+22.7P 柴田+8.4P ダンプ▲12.5P 野方▲18.6P
5回戦終了時
藤崎+36.5P 櫻井+28.4P 柴田▲1.4P 野方▲3.8P ダンプ▲59.4P
ここで6回戦目以降の抜け番選択が行われた(トータル順位上位者から選択する)。
まず現在1位の藤崎は本日最後の8回戦抜け番を選択。続いて櫻井は9回戦、柴田が6回戦を選択。
残るは7回戦と10回戦だが、ここでなんと野方が「10回戦を抜け番にします」即答すると、ダンプが思わず「え?いいの?」と聞き返す。
(※11回戦、12回戦は上位4名で対局、最下位が敗退となる)
後ほど野方に10回戦を選択した理由を確認すると、敗退ラインで争っているような成績で、自分が十段位を獲得することはないと思う。それより、今日を連続で4回戦打ちたい、とのことだった。
 
6回戦
起家から(櫻井→藤崎→野方→ダンプ)
東1局
一万一万二万三万四万一索二索一筒二筒三筒七筒七筒七筒  リーチ  ツモ三索  ドラ二筒
東1局に、この2,000オールをアガった櫻井は、続く1本場。
masters21_01
白ポン、四索ポン、アガリ牌の三索とすべてダンプから、5,800は6,100をアガる。
言うまでもなく、ダンプの手牌にはドラが内蔵されたテンパイが入っていた。
二万二万九索九索一筒一筒五筒五筒九筒九筒南中中
この時、三索は山に全て眠っていた。
どうせ櫻井との一騎打ちならば、と三索単騎で勝負をかけていれば…
五索にポンの声がかかっていないこと以外、櫻井の手牌構成はわかりようがないので、南三索の選択で正解を選ぶことは至難の業であるが、挽回するためのポイントだったのかもしれない。
東3局
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8巡目、西家の櫻井のリーチを受けた藤崎は、ドラ五万単騎のテンパイを外し打白とした。
次巡四万を引いて、高目三色のテンパイが入ると一筒勝負でリーチをかけるが、すぐに五筒を掴んで櫻井に5,200放銃となってしまう。
西家櫻井は絶好のドラ五万をツモってのテンパイであった。
五万五万七万八万九万一索二索三索三筒四筒六筒六筒六筒  リーチ  ロン五筒  ドラ五万
この局の押し引きは実に藤崎らしいのだが、時にリーチの一発目に打一筒とする場面も見せる。
ドラの五万単騎のテンパイを崩すことなく、手牌の変化待ちでヤミテン続行。
しかし、この局はそうは打たずに一旦引いた。そしてツモにより前進すると、放銃となった。
非常に勝手な解釈であるが、この局リーチ負けという結果が出たことが、逆に藤崎のピントが合っているということではないだろうかと私は考えた。
何を根拠にこんなことを言っているのか謎ではあるのだが自分なりにはしっくりきている。
masters21_01
後日藤崎にこの局について聞いてみると、やはり「これまでの展開が…」と始まった。
私自身、局と局の因果関係や、調子の良し悪しによる打牌選択について、上手く説明できるわけではないので、気になる方は牌譜や映像をご覧になっていただきたい。
南3局、親番の野方が3連続アガリを決める。
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五万六万六索六索六索六筒七筒八筒南南  ポン東東東  ロン四万  ドラ二万
ダンプから1,500
南3局1本場
四万四万六万七万二筒三筒四筒六筒七筒八筒九筒九筒九筒  リーチ  ツモ五万  ドラ五筒
1,000は1,100オール
南3局2本場
二万三万四万二索二索三索四索四索五索五索七筒八筒九筒  ロン六索  ドラ九筒
ダンプから2,900は3,500
やはり、野方が重きを置いているのは打点力ではなくアガリ回数である。
仕掛けやヤミテンを駆使して、櫻井をかわしこの半荘のトップに躍り出た。
そして大きな失点ではないが、ダンプの点棒がじわじわと削られていく。
南3局3本場
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続く3本場でも野方がリーチをかけたが、櫻井がしっかり攻め切って重いパンチを決める。
2番手の藤崎とのリードを広げ、櫻井が単独首位となった。
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6回戦成績
櫻井+32.8P 野方+10.1P 藤崎▲17.8P ダンプ▲25.1P
6回戦終了時
櫻井+61.2P 藤崎+18.7P 野方+6.3P 柴田▲1.7P ダンプ▲84.5P
 
7回戦
起家から(藤崎→櫻井→野方→柴田) 抜け番 ダンプ
東1局は東家藤崎がヤミテンでピンフイーペーコーをツモり1,300オール。
四万五万六万三索三索四索四索五索一筒一筒五筒六筒七筒  ツモ五索  ドラ九筒
東1局1本場
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首位を走る櫻井が藤崎のリーチに12,000放銃となった。
南家櫻井はこの配牌から、打四万とリャンメンターツに手をかけ、
四万七万八万一索二索四索五索六索七索八索九索中中  ツモ三万
六索を引いて中を1鳴き。
第1打ということで、場面に情報は出ておらず、現状のトータルポイント、残り局数などを踏まえると非常に難しい選択である。
櫻井のように、フォームが柔軟であるほど、こういった場面での選択肢は増える。選択肢が増えれば、結果に対して心が揺れ動く回数も増える。
自信を持って出した答えだからと、この結果を受け止めたであろうか。それとも12,000の放銃となってしまえば、後悔してしまったであろうか?
櫻井の心中は定かではない。
東4局2本場
東家の柴田は2巡目にタンヤオの1シャンテンという好配牌を手にした。
五索五索六索二筒二筒二筒三筒五筒五筒六筒七筒西中  ツモ五索
その2巡目に打ち出した西を西家の櫻井が1鳴き。
もつれにもつれて、柴田がテンパイを入れたのは15巡目であった。
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(13巡目の打八万は当時櫻井の最終手出しが四万であった為、五万と入れ替え)
そして、ハイテイでツモってきたのはドラの東
結果から言えば、柴田はこの東を打ち、櫻井の仕掛けにハネ満の放銃となる。
早い仕掛けで手出し牌が多く、仕掛けた櫻井に消極的な対応をしている他家を見れば、櫻井がドラを持っている可能性が高い。
それでも柴田はドラを打った。この大舞台で、何万人が見るかわからない牌譜や映像が残るかもしれないこの決定戦の舞台でだ。
観戦している視聴者に、対局者に、先輩や後輩に、どれだけ批判されるかなんて、微塵も考えていない。
強い男だ。
そんなもの解釈次第でなんとでもなる。それも仰る通りであるが、私も変なお世辞は言わない方だ。
プロとして覚悟を持った人間が打っている、少しでもそう思ってくださっているならば、彼らの選択に対して安易な罵倒はなるべく控えていただければ幸いだ。
麻雀は一局の損得の繰り返しではあるが、今日、この決定戦に置いて一番になるために、決して軽々しくはない、勝つためにリスクを負った柴田の一打だった。
少なくとも私はそう解釈している。
南4局
masters21_01
15巡目の三万をチーしてドラの白打ち、またしても東家柴田が親をキープするべくタンヤオテンパイを取る。
北家野方が、ペン三筒を仕掛けたのも同巡だ。
ご覧の通り、捨て牌がストレートではないため、野方にドラが2枚あった場合は後重なりの可能性が高いことが予想される。
ただ、この巡目に三筒を打った櫻井にドラがある可能性は十分に考えられる。
ツモる動作や打牌のトーンなど、こればかりは卓上にいないとわからないことだが、白が打ちやすい情報が他にもあったのかもしれない。
また、上手く説明できなくとも、柴田自身が無意識に何らかを感じ取っていたかもしれないし、逆に親をキープする以外に理由なんてなかったのかもしれない。
とにかく、東家親番と同じようドラを打ってテンパイを組んだ柴田。執念が実を結び、500オールのツモアガリとなった。
そして実は、このチーで櫻井の七対子ドラドラのツモアガリを喰い下げるという結果も隠れていた。
南4局1本場
masters21_01
櫻井が藤崎に8,000放銃で7回戦終了。
この決着で、今度は藤崎がトップに躍り出た。
普段顔色が変わらない櫻井、歪んだ表情が印象的であった。
masters21_01
7回戦成績
藤崎+27.8P 野方+10.3P 柴田▲14.8P 櫻井▲23.3P
7回戦終了時
藤崎+46.5P 櫻井37.9P 野方+11.6P 柴田▲16.5P ダンプ▲84.5P
 
8回戦
起家から(柴田→野方→櫻井→ダンプ) 抜け番 藤崎
東1局
masters21_01
2日目の最終戦。トータルトップの藤崎は今回抜け番で卓にはいないが、マイナスしている者にとっては、トップとの点差を強く意識しなければならない時間帯に入ってきた。
その矢先、相手の心をへし折るような櫻井の2,000・4,000ツモでスタート。
7回戦オーラスでラス落ちしてしまった櫻井だが、このアガリで再びトータルトップの藤崎に並ぶ。最終日は藤崎、櫻井2者のデッドヒートとなるであろうと予感させるようなアガリだ。
東4局1本場
masters21_01
※野方の四万チーは4巡目、中ポンは5巡目
一通のテンパイが入った櫻井の選択はドラ東切りのヤミテン。
野方は四万をチーしたときの打牌が1枚目の五万
つまり四万チーと同時にターツオーバーになっていることが読みとれる。
特に場面に高いわけでもない、むしろ山にありそうな四万から仕掛け、一色手でないのであれば、中以外にも役牌があるケースが圧倒的に多い。
いくら仕掛けを多用する野方と言えど、ドラは持っていそうだ。
しかけた瞬間ターツオーバーだったという予測も合わせて考えればテンパイが入っていてもおかしくはない。
仮に私が櫻井の位置にいたら、以上の理由で東切りとすることはなさそうだ。
櫻井の野方に対するピントが合ってきている証拠であろうか。
さらっとドラを打ち、野方から2,600は2,900のアガリとなった。
南1局
masters21_01
10巡目に柴田が7,700の出アガリ。
それにしても北家のダンプは絶不調。打った手牌の形が悪く、まったく追いついていないときが多い。
オーラスで5本場まで連荘を重ねるも、大した得点にならず沈みのまま終了。唯一の救いはこれが本日の最終戦であったことか。
櫻井が東場の得点を守り切り、1人浮きのトップで2日目の最終戦が終了した。
櫻井は2日目終了後のインタビューで、こう語る。
「1着と4着が多いですが、決勝らしい戦い方はできてるかなと思います。藤崎さんはやはり強い、だからこそ面白いんですけどね」
2番手につける藤崎を強く意識している様子であった。
8回戦成績
櫻井+20.2P 柴田▲1.9P ダンプ▲4.3P 野方▲14.0P
8回戦終了時
櫻井+58.1P 藤崎+46.5P 野方+2.6P 柴田▲18.4P ダンプ▲88.8P

第1回NYリーチ麻雀選手権レポート『麻雀大会予選編』 山井 弘

9月26日(土)晴れ

大会は今日から2日間かけて行われます。
参加人数は森山会長と私を含め40名。

初日4半荘、2日目4半荘と、合計8半荘の成績で競います。
まずは予選6回戦を行い、総合成績上位8名が準決勝へ進出。
準決勝は、予選のポイントを半分にして1戦行われ、そのトータル上位4名が決勝戦へ進出となります。
決勝はポイントをそのまま持越し、総合ポイント1位が優勝というシステムです。

※ルールは世界大会ルール
喰いタン後付あり、一発裏ドラあり、赤なし、順位点5,000-15,000

開会の挨拶の中で森山会長が、『私か山井が優勝します』と宣言!
ここは意地でも日本のプロの実力を見せねばなりません。

そんな中1回戦がスタートしました。

100
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卓は自動卓が1台あって、あとの9台は手積み卓です。フランス大会を思い出します。
会場は、私たちが宿泊しているホテルのペントハウス。そこから見る摩天楼は素晴らしい!

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優勝カップと準優勝のトロフィー。

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3位以下にもメダルが用意されています。

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1回戦が終わり会長も私もトップ。
そしてジェマもトップで、3人揃って好スタートを切りました。

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休憩中はプレイヤー同士で談笑。

2回戦が終わるとランチタイムとなり、選手や運営スタッフ全員でホテル1階にあるメキシコ料理店へ。
会場を出てみんなでランチに行くという発想にはビックリ!?
アメリカならでは。

ランチ後の3回戦、4回戦も好調で終えた3人は、

100

何と上位3名を独占!!
しかも私は4連勝というおまけつき。明日に期待がかかります。

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大会終了後、会長と私は大会に参加できなかった方々と麻雀を。
その間、Davidさんとジェマは、今後のUSPMLの活動についてみんなと熱心にミーティングをしていました。

100

2年後に、ラスベガスで開催される予定の、第2回リーチ麻雀世界選手権の話もあったのではないでしょうか。

そしてすべてが終わり、親睦会も兼ねて運営スタッフなど皆さんと食事会へ。
アメリカ3日目のディナーはこちら!

100

私の中で、アメリカに来たら食べてみたいランキング3位”ハンバーガー”
ちなみに1位は2日目のステーキ♪
美味しくいただきましたm(__)m
Oh, my!
Very Delicious!!

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食事会はみなさん和気藹藹と、初対面でもフレンドリーに接して下さって楽しい一時となりました。
アメリカの人は気さくで明るい人が多く、些細なことは気にせず、リアクション1つ1つがオーバーというのが印象的でした。
分かり易く説明すると、ガースがいっぱいということです。

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こうして大会初日は終了。
その日の夜は、こうなったらフランス大会に続き、ここニューヨークでも連続優勝を狙おうと夢見て眠りにつきました。

9月27日(日)晴れ

大会2日目の朝。
予選は残り2戦。私は現状119.5Pあるため、ほぼベスト8進出は間違いないところ。
しかしベスト8はポイントを半分にするため、決勝進出そして優勝のためにはさらに加点したいと思っていました。
それに4連勝という記録をどこまで伸ばせるのかも少し意識していました。
さらに、会長とジェマの追い上げも気になります。

そんな中5回戦が開始されました。

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すると突如、静まりかえった会場の中、「国士無双」という叫び声が!

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一瞬、シーンとなった会場でしたが、次の瞬間”ワー”という大歓声と拍手に包まれます。
その後、選手数名が対局中にも関わらず、国士をアガった選手にかけより、声をかけたり写真を撮ったりと、日本ではありえない光景ですが、どこか微笑ましく思えてしまいました。

彼らは自分がアガっても喜び、相手がアガっても素晴らしと称えます。
本当に心から麻雀を楽しんでいるのが伝わってきました。

さあそして予選6回戦がすべて終了し、結果が発表されました。

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※結果を注目する選手たち

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私は運よく6連勝することができ、トータル首位で予選を通過することができました。
2位には会長がつけ、ジェマはちょっと後退して4位で予選通過。
ベスト8に3人とも入ることができ、日本のプロとしての意地を見せることができました。
この結果には、アメリカの選手も日本のプロは一味違うと、一目おいてくれたのではないでしょうか。

さあ、やはりこうなるとこの3人の中から優勝者を出したいと思ったのですが・・・

2回戦が終わり本日も各選手ランチへと。
今日はなんと各自、自由行動で時間まで戻ってくればどこでランチをしてもOK。
さすが自由の国アメリカ。

そこで私たちはニューヨークでも大人気の「Tottoラーメン」へ。
さすが人気店だけあってかなりの行列でしたが何とか中へ。

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私はみそラーメンのポークを頼みました。
あっさりしていて日本で食べるようなラーメンと同じくらい美味しいラーメン。
Oh!!Delicious!!
スープが本当に美味しかった。これならニューヨークでも流行るはずです。
※帰国後テレビでこのお店が紹介されていましたね。

久しぶりに日本食を食べ、満足したところで残り2戦。
遂に大一番を迎えます!

と「麻雀選手権 予選編」はここまで。
次回はいよいよニューヨーク大会レポート最後となる「麻雀選手権 後半戦~帰国編」をお楽しみに♪

プロ雀士コラム/第1回NYリーチ麻雀選手権レポート『麻雀大会予選編』 山井 弘

9月26日(土)晴れ
大会は今日から2日間かけて行われます。
参加人数は森山会長と私を含め40名。
初日4半荘、2日目4半荘と、合計8半荘の成績で競います。
まずは予選6回戦を行い、総合成績上位8名が準決勝へ進出。
準決勝は、予選のポイントを半分にして1戦行われ、そのトータル上位4名が決勝戦へ進出となります。
決勝はポイントをそのまま持越し、総合ポイント1位が優勝というシステムです。
※ルールは世界大会ルール
喰いタン後付あり、一発裏ドラあり、赤なし、順位点5,000-15,000
開会の挨拶の中で森山会長が、『私か山井が優勝します』と宣言!
ここは意地でも日本のプロの実力を見せねばなりません。
そんな中1回戦がスタートしました。

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卓は自動卓が1台あって、あとの9台は手積み卓です。フランス大会を思い出します。
会場は、私たちが宿泊しているホテルのペントハウス。そこから見る摩天楼は素晴らしい!

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優勝カップと準優勝のトロフィー。

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3位以下にもメダルが用意されています。

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1回戦が終わり会長も私もトップ。
そしてジェマもトップで、3人揃って好スタートを切りました。

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休憩中はプレイヤー同士で談笑。
2回戦が終わるとランチタイムとなり、選手や運営スタッフ全員でホテル1階にあるメキシコ料理店へ。
会場を出てみんなでランチに行くという発想にはビックリ!?
アメリカならでは。
ランチ後の3回戦、4回戦も好調で終えた3人は、
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何と上位3名を独占!!
しかも私は4連勝というおまけつき。明日に期待がかかります。

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大会終了後、会長と私は大会に参加できなかった方々と麻雀を。
その間、Davidさんとジェマは、今後のUSPMLの活動についてみんなと熱心にミーティングをしていました。
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2年後に、ラスベガスで開催される予定の、第2回リーチ麻雀世界選手権の話もあったのではないでしょうか。
そしてすべてが終わり、親睦会も兼ねて運営スタッフなど皆さんと食事会へ。
アメリカ3日目のディナーはこちら!

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私の中で、アメリカに来たら食べてみたいランキング3位”ハンバーガー”
ちなみに1位は2日目のステーキ♪
美味しくいただきましたm(__)m
Oh, my!
Very Delicious!!
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食事会はみなさん和気藹藹と、初対面でもフレンドリーに接して下さって楽しい一時となりました。
アメリカの人は気さくで明るい人が多く、些細なことは気にせず、リアクション1つ1つがオーバーというのが印象的でした。
分かり易く説明すると、ガースがいっぱいということです。

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こうして大会初日は終了。
その日の夜は、こうなったらフランス大会に続き、ここニューヨークでも連続優勝を狙おうと夢見て眠りにつきました。
9月27日(日)晴れ
大会2日目の朝。
予選は残り2戦。私は現状119.5Pあるため、ほぼベスト8進出は間違いないところ。
しかしベスト8はポイントを半分にするため、決勝進出そして優勝のためにはさらに加点したいと思っていました。
それに4連勝という記録をどこまで伸ばせるのかも少し意識していました。
さらに、会長とジェマの追い上げも気になります。
そんな中5回戦が開始されました。

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すると突如、静まりかえった会場の中、「国士無双」という叫び声が!

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一瞬、シーンとなった会場でしたが、次の瞬間”ワー”という大歓声と拍手に包まれます。
その後、選手数名が対局中にも関わらず、国士をアガった選手にかけより、声をかけたり写真を撮ったりと、日本ではありえない光景ですが、どこか微笑ましく思えてしまいました。
彼らは自分がアガっても喜び、相手がアガっても素晴らしと称えます。
本当に心から麻雀を楽しんでいるのが伝わってきました。
さあそして予選6回戦がすべて終了し、結果が発表されました。

100

※結果を注目する選手たち

100

100
私は運よく6連勝することができ、トータル首位で予選を通過することができました。
2位には会長がつけ、ジェマはちょっと後退して4位で予選通過。
ベスト8に3人とも入ることができ、日本のプロとしての意地を見せることができました。
この結果には、アメリカの選手も日本のプロは一味違うと、一目おいてくれたのではないでしょうか。
さあ、やはりこうなるとこの3人の中から優勝者を出したいと思ったのですが・・・
2回戦が終わり本日も各選手ランチへと。
今日はなんと各自、自由行動で時間まで戻ってくればどこでランチをしてもOK。
さすが自由の国アメリカ。
そこで私たちはニューヨークでも大人気の「Tottoラーメン」へ。
さすが人気店だけあってかなりの行列でしたが何とか中へ。

100

私はみそラーメンのポークを頼みました。
あっさりしていて日本で食べるようなラーメンと同じくらい美味しいラーメン。
Oh!!Delicious!!
スープが本当に美味しかった。これならニューヨークでも流行るはずです。
※帰国後テレビでこのお店が紹介されていましたね。
久しぶりに日本食を食べ、満足したところで残り2戦。
遂に大一番を迎えます!
と「麻雀選手権 予選編」はここまで。
次回はいよいよニューヨーク大会レポート最後となる「麻雀選手権 後半戦~帰国編」をお楽しみに♪

第13期プロクイーンベスト16レポート 白鳥 翔

2015年9月21日。

第13期プロクイーンのベスト16が行われた。
前日に行われた2次予選を通過した11名に、前年度決勝進出者4名と現女流桜花を加えて(前年度優勝者は決勝シード)行われる。

システムは固定メンツでの半荘5回戦、各卓トータルポイント上位2名がベスト8進出となる。
ルールは一発・裏ドラ有りの連盟Bルール。
順位点はトップから+15,000点、+5,000点、▲5,000点、▲15,000点でオカは無し。
それでは各卓の模様をお届けしていきたいと思う。

 

A卓:茅森早香(最高位戦)、大里奈美、片倉まち、愛内よしえ(協会)

100

経験豊富な茅森、愛内を相手に大里、片倉がどう立ち向かっていくのか。

1回戦、東1局から茅森が1,300・2,600で先制し、次局もリーチといくが先に仕掛けていた片倉が400/700のツモアガリ。
新人の片倉、このアガリで落ち着くことができたか。

100

東4局、大里の先制リーチを受けて、親の茅森、

五万六万七万二索二索四索六索八索二筒三筒三筒四筒四筒五筒

ドラ無しのこの形から打八索としてヤミテンとすると、すぐに大里が五索を掴んで2,000のアガリ。
続く1本場で4,000は4,100オールと繋げてこの半荘トップ。
2着には終始冷静に打ち回していた愛内が、

四万四万五万五万六万六万四筒五筒七筒八筒九筒九索九索  ツモ三筒  ドラ五万

これをツモって2着に浮上した。

2回戦は南4局を迎えて、持ち点が

大里49,500
愛内47,700
片倉23,100
茅森▲400

なんと「天才」茅森が箱下の状態。少しでも失点を取り返そうと茅森が

100
二万三万四万五万六万七万四筒五筒六筒六筒六筒発発  ドラ四筒

これでリーチすると、一発で三筒をツモって裏ドラが発。ラスのままだが12,000点の素点を返してこの半荘を終えた。

3回戦はここまで4着、3着ときていた片倉が意地のトップで望みを繋げ、愛内にラスを押し付けると4回戦は愛内がトップとかなり混戦に。
4回戦終了時のトータルポイントは

大里+20.9P
愛内+16.4P
片倉▲15.0P
茅森▲22.3P

終始淡々と打ち回していた大里がトータルトップ目、4回戦目のラスの分だけ茅森がラス目に。
5回戦、ここまで、終始冷静に見えた愛内が2フーロしている茅森に痛恨の8,000を放銃。
アガった茅森の形も珍しい形でのアガリで致し方ない放銃にも見えるが、点数的にはかなり痛い。
これで、片倉、茅森にもチャンスができた。片倉も踏ん張って1,000・2,000などをアガるも、勝負に行った場面で親の茅森に12,000放銃。

南3局、愛内が子方で
100
三万四万五万七万八万九万七索八索五筒六筒七筒西西  リーチ  ドラ七索

これをリーチし一発で引きアガリ2,000・4,000。
南4局、現状は大里、茅森の勝ち上がり。
オーラスの愛内の親を大里が1,000点で捌き自ら勝ち上がりを決めた。

100

最終成績
大里+28.2P 茅森+3.3P 愛内▲7.7P 片倉▲23.8P

A卓勝ち上がり:大里奈美 茅森早香

 

B卓:優木美智、古川彩乃、優月みか、命(協会)

100

B卓はベテランの優木、命に、古川と優月がどう対抗するかといったところ。
このB卓、場をリードしていったのは新人の古川。東1局からテンパイで親を続けると、同1本場、
100
二筒三筒三筒三筒四筒八筒九筒北北北  ポン発発発

これを優木からアガって7,700は8,000。
2本場タンピンのリーチは空振るも、3本場にこの形になったのが6巡目。

五索六索六索六索七索七索八索六筒七筒西西中中中  ドラ六索

前局の空振りをものともせず堂々とドラ切りリーチといった。この選択が見事成功しすぐさまアガリ牌を引き当て4,300オール。
1回戦は古川がトップ、優木がラス。2着は鳴きを駆使しながらも絶妙なバランスを保っていた命。

2回戦は優木が南4局に、
100
三万三万六万七万八万一筒一筒二筒三筒三筒七筒八筒九筒  ドラ八筒

これを命からヤミテンでアガって意地の逆転トップ。ラスは優月だが丁寧に打っているが終始手が入らず辛い印象。
その丁寧さが実ったのが3回戦の南場の親番。難しい手牌をうまく七対子にまとめてリーチ。

これを優木からアガって4,800は5,100。2本場のリーチは流局するも、3本場に500は800オールと粘っていく。
しかしこの回のトップは古川。押すところでしっかり押してトップをもぎとった。

4回戦も東1局、優月が白待ちの七対子のリーチ。これを受けた親の優木が押し返し、

四万五万六万六万七万八万四筒五筒六筒七筒発発発  ドラ六筒

この3,900を優月からアガると、次局テンパイしていた命からリーチで12,300を捕らえ、2本場では2つ仕掛けて4,200オールと3回戦の鬱憤を晴らすかの様なアガリを連発。
後がない優月もこの後前にでるもそれを、古川、命に捕らえられ実質4回戦で優月は敗退濃厚となってしまった。

100

4回戦終了時のトータルポイントは

古川+48.0P
命+19.4P
優木+11.4P
優月▲78.8P

古川は命、優月、2人にかわされなければOK、実質、命、優木の着順勝負といったところ。
最終戦、東1局から命の親リーチ対優木のリーチ。

ここを優木が制して2,000・4,000をツモるとその後も加点に成功。その後の自身での親番での選択が秀逸だった。
下家の命からドラのポンが入るが、親の優木はタンピンの1シャンテン。しかし次に引いた牌でノータイムで命の現物に合わせた。
まだ命にはテンパイは入っていなそうだったが、現状優木48,700、命21,200、という点差を考えると、自身もチャンス手ではあるが残り局数などを考えると絞った方が得策ということだろう。
命も親番で執念のこの4,000オール。
100
五万六万七万八万九万七索八索九索西西中中中  ツモ四万  ドラ中

これで優木に近づいた命だったが、次局優木が終盤にリーチ、命から捕らえて2,600は2,900のアガリ。
これでほぼ優木、古川の勝ち上がりかと思われたが。。。
南4局をむかえて

優木47,100
命 32,300
優月20,800
古川19,800

この点数状況。これは古川にとって最悪の並びで、自身がラス目にいるため命にもかわされてしまっているのだ。
古川の条件はどこからでも1,000点をアガれば通過。ラス親がトータルトップの優木なので実質1局勝負。
優月は条件がほぼ無いに等しい為、流局した場合はノーテンで終わることが予測できる。
そうなるとテンパイ料で古川が3着に浮上して逆転されてしまう可能性がある為、ここは命もアガリに向かわなければならないところだ。
命、古川、両者タンヤオで仕掛けていくが、古川が、

六万七万二索三索四索三筒三筒  チー五万 左向き六万 上向き七万 上向き  チー五索 左向き六索 上向き七索 上向き  ツモ五万

このアガリで勝ち上がりを決めた。
古川はここまで淡々と感情が出ない様に打っている様に見えたが、この最終局だけは顔も紅潮し打牌もこれまでより力が入っていてそれがとても印象的だった。
命は着順が2着4回と3着1回で敗退と悔しい結果に終わってしまった。

最終成績
優木+43.0P古川+33.9P命+26.4P優月▲103.3P

B卓勝ち上がり:優木美智 古川彩乃

 

C卓:宮内こずえ、高田麻衣子、和泉由希子、鳥越智恵子(最高位戦)

100

連盟を代表する女流の宮内、和泉がいるC卓。場数では圧倒的にこの2人が有利なので、高田、鳥越はいかに自分の麻雀が打てるかが勝負の分かれ目。
1回戦、東3局で高田がピンフドラ1をリーチして一発ツモで2,000・4,000。
続く東4局、自身の親番で和泉から先制リーチが入るも、怯まずドラ切りリーチ。
100
一万二万三万七万八万九万五索五索七索八索九索六筒七筒

これは実らなかったものの、ベスト16という舞台にも動じずしっかりと入り込めているなと感じる1局だった。

南3局、和泉が好判断。
100
二万三万三万四万八万八万五索五索五索六索八索七筒八筒  ツモ一万

ドラなしのこの形から、場に高いマンズを見切り仕掛けも見越してツモ切り。すぐさま六筒を仕掛けることができ高田から1,000点のアガリ、これでトップ目に立つと、次局も自らアガリきって、1回戦は和泉のトップ。
2回戦は宮内が大物手連発で60,000点オーバーのトップを取ると、3回戦は和泉が南4局の親で連荘してトップ。
その間、高田、鳥越の両者が共にラスを引いてしまい、2人にとってはかなり厳しい展開に。

3回戦終了時
和泉+47.5P
宮内+34.2P
高田▲38.8P
鳥越▲42.9P

4回戦は高田が和泉から点数を奪うことに成功し、なんとか和泉にラスを落ち着けることに成功するが、和泉は24,500点のラスとかなり小さめのラス。
しかもトップは宮内で、宮内は通過がほぼ確定のポジションに。
100

4回戦終了時の成績
宮内+57.3P
和泉+27.0P
鳥越▲38.1P
高田▲46.2P

3着目4着目の鳥越、高田は約65P、75P差なのでトップラスで35,000点以上の差をつけなければならない。トップ3着なら45,000点差だ。
これはかなり厳しいが、諦めずに目標に向かってやるしかない。

東2局、終盤に高田がリーチ。これを仕掛けていた和泉、オリる牌、通りそうな牌はかなりありそうに見えたが、無筋を打って高田に放銃。
これが高めでメンタンピン三色ドラ1の12,000。これで並びができてしまった。

続く東3局も高田がリーチ。これには中抜いてオリる和泉だったが、高田のリーチの現物で待っていたのが親の鳥越。
メンホン白の12,000を和泉からアガると、続く1本場でミスなく4,100オールのアガリ。相手の隙は見逃さない。

100

鳥越はこれまで持ち味の面前高打点が決まらず苦しい闘いを強いられていたがここでようやく実った。
展開や相手のミスも味方したのは事実だが、持ち前の打点力で宮内と共に通過を決めた。

そして、高田。直後少し話す機会があって、2回戦に最終手番で仕掛けている親の鳥越に12,000を打ってしまった局があったのでその局について尋ねてみた。

「鳥越さんの現物はありましたが宮内さんからも気配が出ていてその牌が打てませんでした。でも、他の人が打っていたらもっとしっかりした読みで別の牌を切ることができたと思います」

こう返答をくれた高田は、更に強くなってまたこの舞台に戻ってくるだろうなと感じた。

最終成績
宮内+59.2P 鳥越+2.2P 和泉▲29.0P 高田▲32.4P

C卓勝ち上がり:宮内こずえ 鳥越智恵子

 

D卓:二階堂瑠美、吾妻さおり、童瞳、池田幸枝(最高位戦)

100

一昨年のプロクイーン覇者二階堂に、現女流桜花の吾妻がいるD卓。童瞳は新人王決勝などの場慣れもある分、最高位戦の新人池田が不利か。
1回戦、東1局から吾妻が安手ながらも500・1000、2,000と連続でアガる。

点数が大きく動いたのは東4局、池田と童瞳が共にリーチも池田に軍配があがり、
100
三万四万五万六万七万八万五索六索七索二筒二筒四筒五筒  ロン三筒

裏1で大きな8,000のアガリ。
続く南1局も童瞳テンパイするも二階堂に捕まり3,900の放銃。
南4局を迎えて持ち点は

池田38,500
吾妻32,200
二階堂29,800
童瞳19,500

吾妻がトップ狙いでタンピンでリーチにいくも、童瞳が追いつき力強く一発ツモで4,000オール。
100
七万八万九万六索六索九索九索九索三筒四筒七筒八筒九筒  一発ツモ二筒  ドラ九万

続く1本場は二階堂が先制リーチ。ここに追いついた吾妻、ドラの八索を先に切って安全そうな八万を残していて、八万切りリーチ。
この八万を二階堂が鮮やかに七対子で捕らえて6,400は6,700のアガリ。

これで童瞳と同点の2着目となった。トップは東4局のリードを守りきった池田。
2回戦は吾妻が渾身のトップも、池田が落ち着いた打ちまわしで2着に。
しかしここから池田が失速、3回戦、4回戦と4着、3着と引いてしまう。
吾妻も童瞳とぶつかり競り負け3着、4着と引かされ苦しい展開に。

4回戦終了時
二階堂+31.5P
童瞳+20.6P
池田▲15.6P
吾妻▲37.5P

二階堂はとにかくラスを引かない。トーナメントはこう打つんだという様な打ち回しでやはり安定感抜群だ。

100

最終5回戦、東1局吾妻の親番、吾妻が仕掛けて、二階堂も仕掛け返すが冷静に対処して終盤にオリ。吾妻の1人テンパイで流局すると、1本場、吾妻の大物手が炸裂する。
100
一索一索二索三索四索六索六索七索七索八索  ポン八索 上向き八索 上向き八索 上向き  ツモ五索  ドラ五索

これで6,000は6,100オール。これで全く分からなくなった。
2本場は池田もリーチとでるが流局。
東2局3本場では童瞳が700は1,000オールをアガると4本場は二階堂はここが勝負とリーチ。

四索四索四索八索九索一筒二筒二筒三筒三筒四筒八筒八筒  リーチ  ドラ七索

これを力強くツモって裏1で2,000・4000のアガリ。これで勝ち上がりに向けてかなり有利になった。

南4局、持ち点は

吾妻54,500
二階堂28,200
池田19,800
童瞳17,500

ラス親の池田は4,000オールでとりあえず捲くりだがまだ局が続く。
童瞳は3着になればOKで、現状は二階堂、吾妻の勝ち上がり。
吾妻、白ポン、七万ポンでこの形。

七索九索二筒三筒四筒五筒七筒  ポン七万 上向き七万 上向き七万 上向き  ポン白白白

雀頭の七万もポンして1シャンテンからイ1シャンテン、テンパイチャンスを広くした。
この状況なら当たり前といえば当たり前だが完全に卓に入り込んでいる。
童瞳も南北とポン(童瞳は西家)。そしてこのテンパイ。

七索七索六筒六筒六筒東東  ポン北北北  ポン南南南

吾妻がテンパイし、そのテンパイ打牌が七索。これで童瞳が二階堂と共に勝ち上がりを決めた。

最終成績
二階堂+34.7P童瞳+8.6P吾妻▲3.5P池田▲40.8P

D卓勝ち上がり:二階堂瑠美 童瞳

このレポートが連盟ホームページにアップされる頃には既に決勝進出者も決まっているだろう。
ディフェンディング和久津晶に挑戦する4名は誰なのか!
連盟チャンネルで、目の離せない戦いが続きます!

~編集部~
決定戦メンバー決まりました!

100

和久津晶vs二階堂瑠美vs童瞳vs大里奈美vs茅森早香(最高位戦)

初日2015/10/31(土) 12:00

最終日2015/11/1(土) 12:00

日本プロ麻雀連盟チャンネルにて放送!
お見逃しなく!

プロクイーン決定戦 レポート/第13期プロクイーンベスト16レポート 白鳥 翔

2015年9月21日。
第13期プロクイーンのベスト16が行われた。
前日に行われた2次予選を通過した11名に、前年度決勝進出者4名と現女流桜花を加えて(前年度優勝者は決勝シード)行われる。
システムは固定メンツでの半荘5回戦、各卓トータルポイント上位2名がベスト8進出となる。
ルールは一発・裏ドラ有りの連盟Bルール。
順位点はトップから+15,000点、+5,000点、▲5,000点、▲15,000点でオカは無し。
それでは各卓の模様をお届けしていきたいと思う。
 
A卓:茅森早香(最高位戦)、大里奈美、片倉まち、愛内よしえ(協会)
100
経験豊富な茅森、愛内を相手に大里、片倉がどう立ち向かっていくのか。
1回戦、東1局から茅森が1,300・2,600で先制し、次局もリーチといくが先に仕掛けていた片倉が400/700のツモアガリ。
新人の片倉、このアガリで落ち着くことができたか。
100
東4局、大里の先制リーチを受けて、親の茅森、
五万六万七万二索二索四索六索八索二筒三筒三筒四筒四筒五筒
ドラ無しのこの形から打八索としてヤミテンとすると、すぐに大里が五索を掴んで2,000のアガリ。
続く1本場で4,000は4,100オールと繋げてこの半荘トップ。
2着には終始冷静に打ち回していた愛内が、
四万四万五万五万六万六万四筒五筒七筒八筒九筒九索九索  ツモ三筒  ドラ五万
これをツモって2着に浮上した。
2回戦は南4局を迎えて、持ち点が
大里49,500
愛内47,700
片倉23,100
茅森▲400
なんと「天才」茅森が箱下の状態。少しでも失点を取り返そうと茅森が
100
二万三万四万五万六万七万四筒五筒六筒六筒六筒発発  ドラ四筒
これでリーチすると、一発で三筒をツモって裏ドラが発。ラスのままだが12,000点の素点を返してこの半荘を終えた。
3回戦はここまで4着、3着ときていた片倉が意地のトップで望みを繋げ、愛内にラスを押し付けると4回戦は愛内がトップとかなり混戦に。
4回戦終了時のトータルポイントは
大里+20.9P
愛内+16.4P
片倉▲15.0P
茅森▲22.3P
終始淡々と打ち回していた大里がトータルトップ目、4回戦目のラスの分だけ茅森がラス目に。
5回戦、ここまで、終始冷静に見えた愛内が2フーロしている茅森に痛恨の8,000を放銃。
アガった茅森の形も珍しい形でのアガリで致し方ない放銃にも見えるが、点数的にはかなり痛い。
これで、片倉、茅森にもチャンスができた。片倉も踏ん張って1,000・2,000などをアガるも、勝負に行った場面で親の茅森に12,000放銃。
南3局、愛内が子方で
100
三万四万五万七万八万九万七索八索五筒六筒七筒西西  リーチ  ドラ七索
これをリーチし一発で引きアガリ2,000・4,000。
南4局、現状は大里、茅森の勝ち上がり。
オーラスの愛内の親を大里が1,000点で捌き自ら勝ち上がりを決めた。
100
最終成績
大里+28.2P 茅森+3.3P 愛内▲7.7P 片倉▲23.8P
A卓勝ち上がり:大里奈美 茅森早香
 
B卓:優木美智、古川彩乃、優月みか、命(協会)
100
B卓はベテランの優木、命に、古川と優月がどう対抗するかといったところ。
このB卓、場をリードしていったのは新人の古川。東1局からテンパイで親を続けると、同1本場、
100
二筒三筒三筒三筒四筒八筒九筒北北北  ポン発発発
これを優木からアガって7,700は8,000。
2本場タンピンのリーチは空振るも、3本場にこの形になったのが6巡目。
五索六索六索六索七索七索八索六筒七筒西西中中中  ドラ六索
前局の空振りをものともせず堂々とドラ切りリーチといった。この選択が見事成功しすぐさまアガリ牌を引き当て4,300オール。
1回戦は古川がトップ、優木がラス。2着は鳴きを駆使しながらも絶妙なバランスを保っていた命。
2回戦は優木が南4局に、
100
三万三万六万七万八万一筒一筒二筒三筒三筒七筒八筒九筒  ドラ八筒
これを命からヤミテンでアガって意地の逆転トップ。ラスは優月だが丁寧に打っているが終始手が入らず辛い印象。
その丁寧さが実ったのが3回戦の南場の親番。難しい手牌をうまく七対子にまとめてリーチ。
これを優木からアガって4,800は5,100。2本場のリーチは流局するも、3本場に500は800オールと粘っていく。
しかしこの回のトップは古川。押すところでしっかり押してトップをもぎとった。
4回戦も東1局、優月が白待ちの七対子のリーチ。これを受けた親の優木が押し返し、
四万五万六万六万七万八万四筒五筒六筒七筒発発発  ドラ六筒
この3,900を優月からアガると、次局テンパイしていた命からリーチで12,300を捕らえ、2本場では2つ仕掛けて4,200オールと3回戦の鬱憤を晴らすかの様なアガリを連発。
後がない優月もこの後前にでるもそれを、古川、命に捕らえられ実質4回戦で優月は敗退濃厚となってしまった。
100
4回戦終了時のトータルポイントは
古川+48.0P
命+19.4P
優木+11.4P
優月▲78.8P
古川は命、優月、2人にかわされなければOK、実質、命、優木の着順勝負といったところ。
最終戦、東1局から命の親リーチ対優木のリーチ。
ここを優木が制して2,000・4,000をツモるとその後も加点に成功。その後の自身での親番での選択が秀逸だった。
下家の命からドラのポンが入るが、親の優木はタンピンの1シャンテン。しかし次に引いた牌でノータイムで命の現物に合わせた。
まだ命にはテンパイは入っていなそうだったが、現状優木48,700、命21,200、という点差を考えると、自身もチャンス手ではあるが残り局数などを考えると絞った方が得策ということだろう。
命も親番で執念のこの4,000オール。
100
五万六万七万八万九万七索八索九索西西中中中  ツモ四万  ドラ中
これで優木に近づいた命だったが、次局優木が終盤にリーチ、命から捕らえて2,600は2,900のアガリ。
これでほぼ優木、古川の勝ち上がりかと思われたが。。。
南4局をむかえて
優木47,100
命 32,300
優月20,800
古川19,800
この点数状況。これは古川にとって最悪の並びで、自身がラス目にいるため命にもかわされてしまっているのだ。
古川の条件はどこからでも1,000点をアガれば通過。ラス親がトータルトップの優木なので実質1局勝負。
優月は条件がほぼ無いに等しい為、流局した場合はノーテンで終わることが予測できる。
そうなるとテンパイ料で古川が3着に浮上して逆転されてしまう可能性がある為、ここは命もアガリに向かわなければならないところだ。
命、古川、両者タンヤオで仕掛けていくが、古川が、
六万七万二索三索四索三筒三筒  チー五万 左向き六万 上向き七万 上向き  チー五索 左向き六索 上向き七索 上向き  ツモ五万
このアガリで勝ち上がりを決めた。
古川はここまで淡々と感情が出ない様に打っている様に見えたが、この最終局だけは顔も紅潮し打牌もこれまでより力が入っていてそれがとても印象的だった。
命は着順が2着4回と3着1回で敗退と悔しい結果に終わってしまった。
最終成績
優木+43.0P古川+33.9P命+26.4P優月▲103.3P
B卓勝ち上がり:優木美智 古川彩乃
 
C卓:宮内こずえ、高田麻衣子、和泉由希子、鳥越智恵子(最高位戦)
100
連盟を代表する女流の宮内、和泉がいるC卓。場数では圧倒的にこの2人が有利なので、高田、鳥越はいかに自分の麻雀が打てるかが勝負の分かれ目。
1回戦、東3局で高田がピンフドラ1をリーチして一発ツモで2,000・4,000。
続く東4局、自身の親番で和泉から先制リーチが入るも、怯まずドラ切りリーチ。
100
一万二万三万七万八万九万五索五索七索八索九索六筒七筒
これは実らなかったものの、ベスト16という舞台にも動じずしっかりと入り込めているなと感じる1局だった。
南3局、和泉が好判断。
100
二万三万三万四万八万八万五索五索五索六索八索七筒八筒  ツモ一万
ドラなしのこの形から、場に高いマンズを見切り仕掛けも見越してツモ切り。すぐさま六筒を仕掛けることができ高田から1,000点のアガリ、これでトップ目に立つと、次局も自らアガリきって、1回戦は和泉のトップ。
2回戦は宮内が大物手連発で60,000点オーバーのトップを取ると、3回戦は和泉が南4局の親で連荘してトップ。
その間、高田、鳥越の両者が共にラスを引いてしまい、2人にとってはかなり厳しい展開に。
3回戦終了時
和泉+47.5P
宮内+34.2P
高田▲38.8P
鳥越▲42.9P
4回戦は高田が和泉から点数を奪うことに成功し、なんとか和泉にラスを落ち着けることに成功するが、和泉は24,500点のラスとかなり小さめのラス。
しかもトップは宮内で、宮内は通過がほぼ確定のポジションに。
100
4回戦終了時の成績
宮内+57.3P
和泉+27.0P
鳥越▲38.1P
高田▲46.2P
3着目4着目の鳥越、高田は約65P、75P差なのでトップラスで35,000点以上の差をつけなければならない。トップ3着なら45,000点差だ。
これはかなり厳しいが、諦めずに目標に向かってやるしかない。
東2局、終盤に高田がリーチ。これを仕掛けていた和泉、オリる牌、通りそうな牌はかなりありそうに見えたが、無筋を打って高田に放銃。
これが高めでメンタンピン三色ドラ1の12,000。これで並びができてしまった。
続く東3局も高田がリーチ。これには中抜いてオリる和泉だったが、高田のリーチの現物で待っていたのが親の鳥越。
メンホン白の12,000を和泉からアガると、続く1本場でミスなく4,100オールのアガリ。相手の隙は見逃さない。
100
鳥越はこれまで持ち味の面前高打点が決まらず苦しい闘いを強いられていたがここでようやく実った。
展開や相手のミスも味方したのは事実だが、持ち前の打点力で宮内と共に通過を決めた。
そして、高田。直後少し話す機会があって、2回戦に最終手番で仕掛けている親の鳥越に12,000を打ってしまった局があったのでその局について尋ねてみた。
「鳥越さんの現物はありましたが宮内さんからも気配が出ていてその牌が打てませんでした。でも、他の人が打っていたらもっとしっかりした読みで別の牌を切ることができたと思います」
こう返答をくれた高田は、更に強くなってまたこの舞台に戻ってくるだろうなと感じた。
最終成績
宮内+59.2P 鳥越+2.2P 和泉▲29.0P 高田▲32.4P
C卓勝ち上がり:宮内こずえ 鳥越智恵子
 
D卓:二階堂瑠美、吾妻さおり、童瞳、池田幸枝(最高位戦)
100
一昨年のプロクイーン覇者二階堂に、現女流桜花の吾妻がいるD卓。童瞳は新人王決勝などの場慣れもある分、最高位戦の新人池田が不利か。
1回戦、東1局から吾妻が安手ながらも500・1000、2,000と連続でアガる。
点数が大きく動いたのは東4局、池田と童瞳が共にリーチも池田に軍配があがり、
100
三万四万五万六万七万八万五索六索七索二筒二筒四筒五筒  ロン三筒
裏1で大きな8,000のアガリ。
続く南1局も童瞳テンパイするも二階堂に捕まり3,900の放銃。
南4局を迎えて持ち点は
池田38,500
吾妻32,200
二階堂29,800
童瞳19,500
吾妻がトップ狙いでタンピンでリーチにいくも、童瞳が追いつき力強く一発ツモで4,000オール。
100
七万八万九万六索六索九索九索九索三筒四筒七筒八筒九筒  一発ツモ二筒  ドラ九万
続く1本場は二階堂が先制リーチ。ここに追いついた吾妻、ドラの八索を先に切って安全そうな八万を残していて、八万切りリーチ。
この八万を二階堂が鮮やかに七対子で捕らえて6,400は6,700のアガリ。
これで童瞳と同点の2着目となった。トップは東4局のリードを守りきった池田。
2回戦は吾妻が渾身のトップも、池田が落ち着いた打ちまわしで2着に。
しかしここから池田が失速、3回戦、4回戦と4着、3着と引いてしまう。
吾妻も童瞳とぶつかり競り負け3着、4着と引かされ苦しい展開に。
4回戦終了時
二階堂+31.5P
童瞳+20.6P
池田▲15.6P
吾妻▲37.5P
二階堂はとにかくラスを引かない。トーナメントはこう打つんだという様な打ち回しでやはり安定感抜群だ。
100
最終5回戦、東1局吾妻の親番、吾妻が仕掛けて、二階堂も仕掛け返すが冷静に対処して終盤にオリ。吾妻の1人テンパイで流局すると、1本場、吾妻の大物手が炸裂する。
100
一索一索二索三索四索六索六索七索七索八索  ポン八索 上向き八索 上向き八索 上向き  ツモ五索  ドラ五索
これで6,000は6,100オール。これで全く分からなくなった。
2本場は池田もリーチとでるが流局。
東2局3本場では童瞳が700は1,000オールをアガると4本場は二階堂はここが勝負とリーチ。
四索四索四索八索九索一筒二筒二筒三筒三筒四筒八筒八筒  リーチ  ドラ七索
これを力強くツモって裏1で2,000・4000のアガリ。これで勝ち上がりに向けてかなり有利になった。
南4局、持ち点は
吾妻54,500
二階堂28,200
池田19,800
童瞳17,500
ラス親の池田は4,000オールでとりあえず捲くりだがまだ局が続く。
童瞳は3着になればOKで、現状は二階堂、吾妻の勝ち上がり。
吾妻、白ポン、七万ポンでこの形。
七索九索二筒三筒四筒五筒七筒  ポン七万 上向き七万 上向き七万 上向き  ポン白白白
雀頭の七万もポンして1シャンテンからイ1シャンテン、テンパイチャンスを広くした。
この状況なら当たり前といえば当たり前だが完全に卓に入り込んでいる。
童瞳も南北とポン(童瞳は西家)。そしてこのテンパイ。
七索七索六筒六筒六筒東東  ポン北北北  ポン南南南
吾妻がテンパイし、そのテンパイ打牌が七索。これで童瞳が二階堂と共に勝ち上がりを決めた。
最終成績
二階堂+34.7P童瞳+8.6P吾妻▲3.5P池田▲40.8P
D卓勝ち上がり:二階堂瑠美 童瞳
このレポートが連盟ホームページにアップされる頃には既に決勝進出者も決まっているだろう。
ディフェンディング和久津晶に挑戦する4名は誰なのか!
連盟チャンネルで、目の離せない戦いが続きます!
~編集部~
決定戦メンバー決まりました!

100

和久津晶vs二階堂瑠美vs童瞳vs大里奈美vs茅森早香(最高位戦)
初日2015/10/31(土) 12:00
最終日2015/11/1(土) 12:00
日本プロ麻雀連盟チャンネルにて放送!
お見逃しなく!

第32期A2リーグ第6節レポート 柴田 弘幸

開局の入りは良かったと自分で思ってたんです。

親の石渡の手牌

四万五万一索三索五筒五筒東東東北  ポン三筒 上向き三筒 上向き三筒 上向き  ドラ北

柴田
二万三万四万一索二索三索五索六索八索八索二筒三筒四筒  ロン七索

ドラが北なので親の仕掛けは脅威だったが、中盤にでた2枚目の八索を見送り一索を引き入れ1,000をアガる。

東2局
白鳥の3巡目リーチに対して

100

七筒五筒六万二索と勝負して当たりである八索を打たずのテンパイで流局へ

柴田
八万八万一索二索三索三索五索六索七索八索三筒三筒三筒

粘れた親なので次局はもっと攻めるぞ!と思ったが、あっさり白鳥にサバかれる。

東2局1本場

白鳥
六万六万七万八万四筒五筒六筒  ポン一筒 上向き一筒 上向き一筒 上向き  ポン中中中  ロン六万  ドラ三索

東3局

柴田
五万六万三索三索三索六索七索八索三筒四筒五筒五筒五筒  リーチ  ロン七万  ドラ九筒

1,000・2,000が良いとかは思ってなく、これまでの局過程を見てヤミ1,300は悪くなると判断してリーチといった。
結果は2,600のアガリ。この半荘は小場で放銃が許されなくなるなと感じた。

東4局
東が鳴けた櫻井と私がぶつかるが、アガリは櫻井。

柴田
三万四万三索四索五索五索六索七索三筒四筒五筒五筒五筒  ドラ二万

櫻井
六万七万八万八万八万六筒七筒  ポン一万 上向き一万 上向き一万 上向き  ポン東東東  ツモ八筒 

南2局
ここで自分の麻雀の過程の是非を問う為に強行策にでる。

100

親とはいえわがままな麻雀だと今は思っている。
東3局に感じた小場のイメージなら1,500でも仕掛けは引き付けて守備的に打てば良かった。

結果は石渡の2,000・3,900のツモアガリ。

五万六万七万二索三索四索七索八索七筒八筒九筒白白  ツモ九索  ドラ白

そして南4局

白鳥
四索四索六索七索東東東  チー二索 左向き一索 上向き三索 上向き  ポン北北北  ツモ八索  ドラ八万

柴田
二万三万四万五万五万六万六万七万九万九万九万白白  ドラ八万

白鳥に1.300・2,600をツモられラスへ。

麻雀は内容と結果が結びつくと信じている。
内容を部分でなく全体でよくするのが今後の目標とし敗戦を糧にし前へ進もう。

プロリーグ(鳳凰戦)レポート/第32期A2リーグ第6節レポート 柴田 弘幸

開局の入りは良かったと自分で思ってたんです。
親の石渡の手牌
四万五万一索三索五筒五筒東東東北  ポン三筒 上向き三筒 上向き三筒 上向き  ドラ北
柴田
二万三万四万一索二索三索五索六索八索八索二筒三筒四筒  ロン七索
ドラが北なので親の仕掛けは脅威だったが、中盤にでた2枚目の八索を見送り一索を引き入れ1,000をアガる。
東2局
白鳥の3巡目リーチに対して
100
七筒五筒六万二索と勝負して当たりである八索を打たずのテンパイで流局へ
柴田
八万八万一索二索三索三索五索六索七索八索三筒三筒三筒
粘れた親なので次局はもっと攻めるぞ!と思ったが、あっさり白鳥にサバかれる。
東2局1本場
白鳥
六万六万七万八万四筒五筒六筒  ポン一筒 上向き一筒 上向き一筒 上向き  ポン中中中  ロン六万  ドラ三索
東3局
柴田
五万六万三索三索三索六索七索八索三筒四筒五筒五筒五筒  リーチ  ロン七万  ドラ九筒
1,000・2,000が良いとかは思ってなく、これまでの局過程を見てヤミ1,300は悪くなると判断してリーチといった。
結果は2,600のアガリ。この半荘は小場で放銃が許されなくなるなと感じた。
東4局
東が鳴けた櫻井と私がぶつかるが、アガリは櫻井。
柴田
三万四万三索四索五索五索六索七索三筒四筒五筒五筒五筒  ドラ二万
櫻井
六万七万八万八万八万六筒七筒  ポン一万 上向き一万 上向き一万 上向き  ポン東東東  ツモ八筒 
南2局
ここで自分の麻雀の過程の是非を問う為に強行策にでる。
100
親とはいえわがままな麻雀だと今は思っている。
東3局に感じた小場のイメージなら1,500でも仕掛けは引き付けて守備的に打てば良かった。
結果は石渡の2,000・3,900のツモアガリ。
五万六万七万二索三索四索七索八索七筒八筒九筒白白  ツモ九索  ドラ白
そして南4局
白鳥
四索四索六索七索東東東  チー二索 左向き一索 上向き三索 上向き  ポン北北北  ツモ八索  ドラ八万
柴田
二万三万四万五万五万六万六万七万九万九万九万白白  ドラ八万
白鳥に1.300・2,600をツモられラスへ。
麻雀は内容と結果が結びつくと信じている。
内容を部分でなく全体でよくするのが今後の目標とし敗戦を糧にし前へ進もう。

第32期A1リーグ第7節レポート 古川 孝次

鳳凰戦、A1リーグも第6節が終わって、折り返し地点を過ぎた。
最終節を見据えて選手全員の思惑は人それぞれであろう。
上を目指すか、まあまあで終わるか、降級はしたくないなど…。

私はというと、6節を終わって暫定2位の+131.5P。
5節で1位を瀬戸熊に明け渡した。これらを踏まえて、今節をどう戦っていくかと思いをはせる。

まず、リーグ上位の藤崎はこのまま決定戦に目を向けずにリーグ戦を終えると思えなかったのだが、今節が勝負所ではないだろうと判断。
また、荒さんは今節はがむしゃらに前に出て来る所ではないだろうと読んだ。

そうすると、今回のキーパーソンとなるのは今節まで▲20.5Pの近藤となるだろう。
今回は彼を徹底マークをするつもりで対局に臨んだ。

しかし、そんな思惑はよそに、いざ麻雀を始めてみると自分の調子がしっくり来ない。
1、2回戦はまったく手が動かないまま3回戦に入った。やはりだめかと思ったオーラス。

一索二索三索一筒二筒三筒四筒五筒七筒九筒南南南  ドラ白

ここから、ツモ三筒七筒を切って九筒の単騎待ち。河に1枚あったが、ドラの白を待つことなく一か八かのリーチ。
七筒切りのリーチに九筒の出アガリは見込めない。山に九筒があることを頼りにリーチに踏み切った。
最後は九筒のツモアガリで1,300・2,600。

終わってみれば、トップで3回戦を終わらせることができた。
3回戦目のトップがなければ、今節は▲50Pという結果が予想できただけに、私はほっとしたものである。

4回戦目、私のマークしていた近藤が執拗に得点を稼ぎに来た。
誰も近藤との勝負には向かいたくない。

一方、近藤は流局覚悟のつもりで、親でのリーチを何度もかけ、私たちにプレッシャーを与えてくる。
近藤が作り出す流れに巻き込まれてはいけないと、3者は慎重に打牌を選ぶ。

第7節の3~8位までは、得点を大きく稼ぎに来るのは目に見えている。
今節、大物手を私を含めた全員が入れていた展開であったのだが、アガリに結びついたのはプレッシャーのない近藤だけであったという結論である。

近藤以外に不調を感じでいたであろう藤崎が、今節を▲4.0Pとどめておいたのはさすがである。
藤崎はどこまでも辛抱できる打ち手である。

一方の私は不調(手が進まない)時などは、試しに真っ先にドラの発を切ったりする。
結局、河に3枚ドラを並べることとなったのだが、それは結果論である。
私は荒療治みたく場をかき乱すことを考える。他者にとってはやりづらい相手だと思う。

私の麻雀は場を支配する麻雀。(対極の相手は藤崎がいるな…)と思うがゆえに、先に他者の仕掛けに対してこちらが仕掛けられないときもままある。
先に仕掛けた相手にかぶせていくのはできないもので、先に仕掛けてこそのサーフィン打法なのだ。

最後に、今節が終わってのインタビューを思い出した。

「これからどう戦っていきますか?」という問いに私は、

「鳳凰戦の決勝戦に残るべく全力で戦います…」と答えた。

プロリーグ(鳳凰戦)レポート/第32期A1リーグ第7節レポート 古川 孝次

鳳凰戦、A1リーグも第6節が終わって、折り返し地点を過ぎた。
最終節を見据えて選手全員の思惑は人それぞれであろう。
上を目指すか、まあまあで終わるか、降級はしたくないなど…。
私はというと、6節を終わって暫定2位の+131.5P。
5節で1位を瀬戸熊に明け渡した。これらを踏まえて、今節をどう戦っていくかと思いをはせる。
まず、リーグ上位の藤崎はこのまま決定戦に目を向けずにリーグ戦を終えると思えなかったのだが、今節が勝負所ではないだろうと判断。
また、荒さんは今節はがむしゃらに前に出て来る所ではないだろうと読んだ。
そうすると、今回のキーパーソンとなるのは今節まで▲20.5Pの近藤となるだろう。
今回は彼を徹底マークをするつもりで対局に臨んだ。
しかし、そんな思惑はよそに、いざ麻雀を始めてみると自分の調子がしっくり来ない。
1、2回戦はまったく手が動かないまま3回戦に入った。やはりだめかと思ったオーラス。
一索二索三索一筒二筒三筒四筒五筒七筒九筒南南南  ドラ白
ここから、ツモ三筒七筒を切って九筒の単騎待ち。河に1枚あったが、ドラの白を待つことなく一か八かのリーチ。
七筒切りのリーチに九筒の出アガリは見込めない。山に九筒があることを頼りにリーチに踏み切った。
最後は九筒のツモアガリで1,300・2,600。
終わってみれば、トップで3回戦を終わらせることができた。
3回戦目のトップがなければ、今節は▲50Pという結果が予想できただけに、私はほっとしたものである。
4回戦目、私のマークしていた近藤が執拗に得点を稼ぎに来た。
誰も近藤との勝負には向かいたくない。
一方、近藤は流局覚悟のつもりで、親でのリーチを何度もかけ、私たちにプレッシャーを与えてくる。
近藤が作り出す流れに巻き込まれてはいけないと、3者は慎重に打牌を選ぶ。
第7節の3~8位までは、得点を大きく稼ぎに来るのは目に見えている。
今節、大物手を私を含めた全員が入れていた展開であったのだが、アガリに結びついたのはプレッシャーのない近藤だけであったという結論である。
近藤以外に不調を感じでいたであろう藤崎が、今節を▲4.0Pとどめておいたのはさすがである。
藤崎はどこまでも辛抱できる打ち手である。
一方の私は不調(手が進まない)時などは、試しに真っ先にドラの発を切ったりする。
結局、河に3枚ドラを並べることとなったのだが、それは結果論である。
私は荒療治みたく場をかき乱すことを考える。他者にとってはやりづらい相手だと思う。
私の麻雀は場を支配する麻雀。(対極の相手は藤崎がいるな…)と思うがゆえに、先に他者の仕掛けに対してこちらが仕掛けられないときもままある。
先に仕掛けた相手にかぶせていくのはできないもので、先に仕掛けてこそのサーフィン打法なのだ。
最後に、今節が終わってのインタビューを思い出した。
「これからどう戦っていきますか?」という問いに私は、
「鳳凰戦の決勝戦に残るべく全力で戦います…」と答えた。

第13期北陸リーグ 第1節レポート

第13期北陸リーグのレポートを担当させて頂きます、23期生の木戸僚之です。

今期は久しぶりの富山開催で、数年ぶりにレポートを担当させていただきました。
拙い文章ですが半年間のお付き合い、どうぞ宜しくお願いいたします。
夏が終わり、早くも秋の訪れを感じさせる中、9月13日、新たに5名の方が参戦し、プロアマ総勢24名で第13期北陸リーグは幕を開けた。
今期は、前期採用していた上位8名が準決勝に進出し、準決勝~決勝と戦うシステムではなく、全5節制で決勝4名進出(各順位決勝ポイントアリ)というシステムを採用しての戦いとなる。
そして今回、第1節からダンプ
大橋プロをゲストに迎え、総当たり戦で対局が開始された。
ダンプ大橋プロは、第18期生の6段。現役AⅡリーガーであり、第18期新人王・第34期王位と輝かしい実績を持ち、今年の第32期十段位決定戦での活躍も記憶に新しい、今一番注目されているプロの一人である。
今節は従来のリーグ戦と異なり、少しでも多くの方がゲストプロと対局できるよう、半荘ごとに対局を入れ替える形式にて4回戦を実施することとなった。
ダンプ大橋プロ
1回戦
東場から小場の展開の中
南三局北家ドラ四万

一筒二筒三筒四筒白白白  チー四筒 左向き五筒 上向き六筒 上向き  チー七筒 左向き八筒 上向き九筒 上向き  ロン四筒

この7700を決め初戦から+22・7のトップを飾る。
続く2回戦
東一局から、2000・3900をツモるも、その後他家と勝負手がぶつかり原点割れでの南入。
南一局西家

九万九万九万一筒一筒一筒南南白白  ポン発発発  ツモ白

この4000・8000をツモり+13・5の二連勝と好調な様子。
3回戦も+19.9のトップを取り、続く4回戦。
東一局西家ドラ九筒
親が一万をポンして萬子も染め手模様。
終盤に

二万三万四万六万六万七万二索三索四索二筒四筒七筒七筒

から七筒をポンし、打七万の勝負に出る。

山川さんが対子落とししている最中での三筒を捕え、見事2000を和了。
卓上を把握する能力は流石の一言である。
もしも三筒が埋まり、五万八万ならリーチ。
カン三筒ならダマテンと対局後に享受して頂いた。
私ならピンズの三筒でも自分の河で二筒四筒六筒と切っていることもあり、どちらでもリーチしていたのかもしれない。
今回は仕掛けでの和了であるが、リーチとなれば現物連打で凌がれる可能性も高く、ダマテンでは三筒警戒も薄いという局面でもあり、考えさせられる一局であった。
南四局北家
33700持ち・トップが36500と僅差でのオーラス。
二枚目の白が出ても目も向けず、最短で2000・3900を和了する。

一万二万三万四万五万六万一索二索三索一筒三筒白白  リーチ  ツモ二筒

三色が見えるとはいえ、途中の形もペン三万とカン二索も残っており、3900放銃で原点割れをする中、白を仕掛ける打ち手も多いのではないか。
三色を見つつ、安全牌として確保し、普段のリーグ戦ではダマテンの選択もあるとするも、4連勝の意識とツモの流れ、今節の自分の調子を見て最高手に育て上げた。
4連勝+75.7というこの上ない成績で1位となり、北陸のプロアマ問わず、皆にとっていい経験・刺激になったのではないだろうか。
全体のポイントを見てみると、久保さん・宮内さん・高出さん・栗野さん・中野さんは全連帯で、第1節からこの上ないスタートを切れ。
今回のシステムは、第5節で上位4名が決勝進出となるため、この4名は間違いなく更なるポイント上乗せを狙うだろう。
次節はマークされての対局となる為試合巧者が多い中、どのような戦いを見せてくれるか注目である。

順位 名前 プロ/一般 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 ダンプ 大橋 プロ 75.7         75.7
2 久保 智央 一般 73.0         73.0
3 宮内 俊貴 一般 69.6         69.6
4 高出 智宏 一般 65.2         65.2
5 栗野 健翔 一般 57.1         57.1
6 中野 空青 一般 52.4         52.4
7 濱平 光朗 プロ 37.3         37.3
8 押川 憲一 一般 9.0         9.0
9 本田 朋広 プロ 4.0         4.0
10 窪田 一彦 一般 0.7         0.7
11 土田 江一郎 一般 ▲ 1.4         ▲ 1.4
12 木下 玄基 一般 ▲ 4.4         ▲ 4.4
13 平澤 憲一 一般 ▲ 6.4         ▲ 6.4
14 久々湊 康雄 一般 ▲ 10.5         ▲ 10.5
15 北川 光 一般 ▲ 14.5         ▲ 14.5
16 山川 眞一郎 一般 ▲ 19.0         ▲ 19.0
17 西田 有佑 一般 ▲ 23.6         ▲ 23.6
18 小泉 陽平 一般 ▲ 26.1         ▲ 26.1
19 森田 有一 一般 ▲ 33.3         ▲ 33.3
20 大門 久輝 一般 ▲ 46.4         ▲ 46.4
21 志多木 健 一般 ▲ 53.4         ▲ 53.4
22 後藤 正博 プロ ▲ 57.6         ▲ 57.6
23 吉田 健彦 一般 ▲ 69.7         ▲ 69.7
24 安城 るい プロ ▲ 78.7         ▲ 78.7

北陸リーグ レポート/第13期北陸リーグ 第1節レポート

第13期北陸リーグのレポートを担当させて頂きます、23期生の木戸僚之です。
今期は久しぶりの富山開催で、数年ぶりにレポートを担当させていただきました。
拙い文章ですが半年間のお付き合い、どうぞ宜しくお願いいたします。
夏が終わり、早くも秋の訪れを感じさせる中、9月13日、新たに5名の方が参戦し、プロアマ総勢24名で第13期北陸リーグは幕を開けた。
今期は、前期採用していた上位8名が準決勝に進出し、準決勝~決勝と戦うシステムではなく、全5節制で決勝4名進出(各順位決勝ポイントアリ)というシステムを採用しての戦いとなる。
そして今回、第1節からダンプ
大橋プロをゲストに迎え、総当たり戦で対局が開始された。
ダンプ大橋プロは、第18期生の6段。現役AⅡリーガーであり、第18期新人王・第34期王位と輝かしい実績を持ち、今年の第32期十段位決定戦での活躍も記憶に新しい、今一番注目されているプロの一人である。
今節は従来のリーグ戦と異なり、少しでも多くの方がゲストプロと対局できるよう、半荘ごとに対局を入れ替える形式にて4回戦を実施することとなった。
ダンプ大橋プロ
1回戦
東場から小場の展開の中
南三局北家ドラ四万
一筒二筒三筒四筒白白白  チー四筒 左向き五筒 上向き六筒 上向き  チー七筒 左向き八筒 上向き九筒 上向き  ロン四筒
この7700を決め初戦から+22・7のトップを飾る。
続く2回戦
東一局から、2000・3900をツモるも、その後他家と勝負手がぶつかり原点割れでの南入。
南一局西家
九万九万九万一筒一筒一筒南南白白  ポン発発発  ツモ白
この4000・8000をツモり+13・5の二連勝と好調な様子。
3回戦も+19.9のトップを取り、続く4回戦。
東一局西家ドラ九筒
親が一万をポンして萬子も染め手模様。
終盤に
二万三万四万六万六万七万二索三索四索二筒四筒七筒七筒
から七筒をポンし、打七万の勝負に出る。
山川さんが対子落とししている最中での三筒を捕え、見事2000を和了。
卓上を把握する能力は流石の一言である。
もしも三筒が埋まり、五万八万ならリーチ。
カン三筒ならダマテンと対局後に享受して頂いた。
私ならピンズの三筒でも自分の河で二筒四筒六筒と切っていることもあり、どちらでもリーチしていたのかもしれない。
今回は仕掛けでの和了であるが、リーチとなれば現物連打で凌がれる可能性も高く、ダマテンでは三筒警戒も薄いという局面でもあり、考えさせられる一局であった。
南四局北家
33700持ち・トップが36500と僅差でのオーラス。
二枚目の白が出ても目も向けず、最短で2000・3900を和了する。
一万二万三万四万五万六万一索二索三索一筒三筒白白  リーチ  ツモ二筒
三色が見えるとはいえ、途中の形もペン三万とカン二索も残っており、3900放銃で原点割れをする中、白を仕掛ける打ち手も多いのではないか。
三色を見つつ、安全牌として確保し、普段のリーグ戦ではダマテンの選択もあるとするも、4連勝の意識とツモの流れ、今節の自分の調子を見て最高手に育て上げた。
4連勝+75.7というこの上ない成績で1位となり、北陸のプロアマ問わず、皆にとっていい経験・刺激になったのではないだろうか。
全体のポイントを見てみると、久保さん・宮内さん・高出さん・栗野さん・中野さんは全連帯で、第1節からこの上ないスタートを切れ。
今回のシステムは、第5節で上位4名が決勝進出となるため、この4名は間違いなく更なるポイント上乗せを狙うだろう。
次節はマークされての対局となる為試合巧者が多い中、どのような戦いを見せてくれるか注目である。

順位 名前 プロ/一般 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 ダンプ 大橋 プロ 75.7         75.7
2 久保 智央 一般 73.0         73.0
3 宮内 俊貴 一般 69.6         69.6
4 高出 智宏 一般 65.2         65.2
5 栗野 健翔 一般 57.1         57.1
6 中野 空青 一般 52.4         52.4
7 濱平 光朗 プロ 37.3         37.3
8 押川 憲一 一般 9.0         9.0
9 本田 朋広 プロ 4.0         4.0
10 窪田 一彦 一般 0.7         0.7
11 土田 江一郎 一般 ▲ 1.4         ▲ 1.4
12 木下 玄基 一般 ▲ 4.4         ▲ 4.4
13 平澤 憲一 一般 ▲ 6.4         ▲ 6.4
14 久々湊 康雄 一般 ▲ 10.5         ▲ 10.5
15 北川 光 一般 ▲ 14.5         ▲ 14.5
16 山川 眞一郎 一般 ▲ 19.0         ▲ 19.0
17 西田 有佑 一般 ▲ 23.6         ▲ 23.6
18 小泉 陽平 一般 ▲ 26.1         ▲ 26.1
19 森田 有一 一般 ▲ 33.3         ▲ 33.3
20 大門 久輝 一般 ▲ 46.4         ▲ 46.4
21 志多木 健 一般 ▲ 53.4         ▲ 53.4
22 後藤 正博 プロ ▲ 57.6         ▲ 57.6
23 吉田 健彦 一般 ▲ 69.7         ▲ 69.7
24 安城 るい プロ ▲ 78.7         ▲ 78.7

第5回北海道プロトーナメント成績

<三四五段戦>
1卓

順位 名前 段位 1回戦 2回戦 3回戦 4回戦 合計
三盃 志 五段 19期 5.1 ▲ 17.1 ▲ 7.4 24.2 4.8
市川 敦士 参段 26期 12.5 ▲ 8.9 ▲ 17.9 16.9 2.6
石田 雅人 参段 26期 1.3 27.1 7.8 ▲ 35.2 1.0
加藤 晋平 参段 27期 ▲ 18.9 ▲ 1.1 17.5 ▲ 5.9 ▲ 8.4

2卓

順位 名前 段位 1回戦 2回戦 3回戦 4回戦 合計
西野 拓也 五段 11期 ▲ 1.6 27.3 ▲ 8.6 1.5 18.6
平島 誉久 参段 25期 ▲ 6.4 9.9 ▲ 5.8 13.3 11.0
砂原 裕美子 参段 21期 ▲ 22.2 ▲ 26.6 32.0 3.6 ▲ 13.2
浦山 祐輔 四段 21期 30.2 ▲ 10.6 ▲ 18.6 ▲ 18.4 ▲ 17.4

<六段戦>
1卓

順位 名前 段位 1回戦 2回戦 3回戦 4回戦 合計
続木 舜英 六段 6期 ▲ 6.8 29.4 38.2 20.6 81.4
三盃 志 五段 19期 15.2 7.8 ▲ 3.7 ▲ 20.3 ▲ 1.0
石田 雅人 参段 26期 6.5 ▲ 14.5 ▲ 9.6 ▲ 28.8 ▲ 46.4
砂原 裕美子 参段 21期 ▲ 14.9 ▲ 22.7 ▲ 24.9 8.5 ▲ 54.0

2卓

順位 名前 段位 1回戦 2回戦 3回戦 4回戦 合計
西野 拓也 五段 11期 ▲ 16.9 8.9 24.7 7.7 24.4
野々川 博之 六段 6期 3.9 22.8 ▲ 10.2 ▲ 7.6 8.9
村上 良 五段 6期 1.6 ▲ 6.0 ▲ 10.2 ▲ 34.8 ▲ 49.4
市川 敦士 参段 26期 11.4 ▲ 25.7 ▲ 4.3 34.7 16.1

<決勝戦>

順位 名前 段位 1回戦 2回戦 3回戦 4回戦 合計
優 勝 西野 拓也 五段 11期 19.6 ▲ 7.1 21.8 1.0 35.3
準優勝 続木 舜英 六段 6期 ▲ 10.7 22.2 10.3 10.3 32.1
市川 敦士 参段 26期 ▲ 15.1 9.6 ▲ 11.6 3.6 ▲ 13.5
三盃 志 五段 19期 5.2 ▲ 24.7 ▲ 20.5 ▲ 16.9 ▲ 56.9

北海道プロリーグ 成績表/第5回北海道プロトーナメント成績

<三四五段戦>
1卓

順位 名前 段位 1回戦 2回戦 3回戦 4回戦 合計
三盃 志 五段 19期 5.1 ▲ 17.1 ▲ 7.4 24.2 4.8
市川 敦士 参段 26期 12.5 ▲ 8.9 ▲ 17.9 16.9 2.6
石田 雅人 参段 26期 1.3 27.1 7.8 ▲ 35.2 1.0
加藤 晋平 参段 27期 ▲ 18.9 ▲ 1.1 17.5 ▲ 5.9 ▲ 8.4

2卓

順位 名前 段位 1回戦 2回戦 3回戦 4回戦 合計
西野 拓也 五段 11期 ▲ 1.6 27.3 ▲ 8.6 1.5 18.6
平島 誉久 参段 25期 ▲ 6.4 9.9 ▲ 5.8 13.3 11.0
砂原 裕美子 参段 21期 ▲ 22.2 ▲ 26.6 32.0 3.6 ▲ 13.2
浦山 祐輔 四段 21期 30.2 ▲ 10.6 ▲ 18.6 ▲ 18.4 ▲ 17.4

<六段戦>
1卓

順位 名前 段位 1回戦 2回戦 3回戦 4回戦 合計
続木 舜英 六段 6期 ▲ 6.8 29.4 38.2 20.6 81.4
三盃 志 五段 19期 15.2 7.8 ▲ 3.7 ▲ 20.3 ▲ 1.0
石田 雅人 参段 26期 6.5 ▲ 14.5 ▲ 9.6 ▲ 28.8 ▲ 46.4
砂原 裕美子 参段 21期 ▲ 14.9 ▲ 22.7 ▲ 24.9 8.5 ▲ 54.0

2卓

順位 名前 段位 1回戦 2回戦 3回戦 4回戦 合計
西野 拓也 五段 11期 ▲ 16.9 8.9 24.7 7.7 24.4
野々川 博之 六段 6期 3.9 22.8 ▲ 10.2 ▲ 7.6 8.9
村上 良 五段 6期 1.6 ▲ 6.0 ▲ 10.2 ▲ 34.8 ▲ 49.4
市川 敦士 参段 26期 11.4 ▲ 25.7 ▲ 4.3 34.7 16.1

<決勝戦>

順位 名前 段位 1回戦 2回戦 3回戦 4回戦 合計
優 勝 西野 拓也 五段 11期 19.6 ▲ 7.1 21.8 1.0 35.3
準優勝 続木 舜英 六段 6期 ▲ 10.7 22.2 10.3 10.3 32.1
市川 敦士 参段 26期 ▲ 15.1 9.6 ▲ 11.6 3.6 ▲ 13.5
三盃 志 五段 19期 5.2 ▲ 24.7 ▲ 20.5 ▲ 16.9 ▲ 56.9

第28期チャンピオンズリーグ 決勝観戦記 紺野 真太郎

今年の夏も暑かったが、期間は短め。9月初旬にはもう秋の気配が感じられた。
毎年前期のチャンピオンリーグ決勝は真夏の決戦となることがほとんどだが、スタジオでの生配信対局となり、番組編成や対局者のスケジュールの都合で9月19日に行われることとなった。
季節はすっかり秋でも真夏の太陽のような熱い戦いが期待された。

予選、トーナメントを勝ち抜き、決勝に進出してきたのは以下の4名。

柴田弘幸
17期生 39歳 A2リーグ所属
多数のAリーガー、タイトルホルダーを輩出している17期生の柴田。決勝進出歴は6度目。2度の鳳凰戦決勝進出が光るが、タイトル獲得には至っていない。実力は折り紙つきで、未だ無冠であるのが不思議なところ。今回も大本命を背負っての戦いとなる。

西島一彦
19期生 69歳 C1リーグ所属
私の目の前でマスターズを勝ち切った西島。同年行われた世界選手権でも準優勝と当時68歳にしてブレイク。第2の人生として麻雀プロを選び、それが実を結んだ。現在のプロテスト規定では受験に年齢制限が設けられているが、西島の受験時にはそれが無く、運命に導かれたかのようでもある。勝負強さには定評があり、今回柴田の調子が上がらないようだと西島が浮上するか。

石立岳大
23期生 35歳 D1リーグ所属
石立に関して私はほとんどデータが無い。話をしたことも皆無であり、対戦も数えるほどしかない。ただ、その時の印象ではよく動く打ち手だなと感じられた。今回のメンバーは積極的に動くというよりはじっくり構えるタイプが多いと思えるので、台風の目になりえる存在であろう。

平野良栄
30期生 38歳 D3リーグ所属
先日行われた新人王戦にも決勝進出していた平野。新人ながらに立て続けの決勝進出は立派である。爆発力を持ち、リーグ戦では1節で140ポイント以上叩いたことも。だが、反面後手に回らされる局面では、大きく沈むことも。バランスをどうとっていくかが今後の課題であろう。今回は爆発力を発揮し、局面をリード出来れば面白い。

 

1回戦(西島、平野、柴田、石立)

東1局3巡目平野にいきなり大物手の予感。

四万六万四索八索八索三筒六筒七筒白白発中中  ツモ発  ドラ中

三元牌が全てトイツとなり大三元までという手牌。これをものにし、局面をリードすることが出来れば、優勝へ大きく近づく。そんな事は平野も十分承知であろうが、この手牌はここからが難しい。平野は打三筒とし、色々な可能性を残した。

分岐は直後の4巡目にやってきた。親の西島が打白とした。平野はこれを仕掛けた。この場面、白を一鳴きするかどうかは意見が分かれるところであろう。中がドラであり跳満を狙いつつ、うまく行けば大三元までと考えれば仕掛ける手もあろうし、表示牌の発とドラの中をなんとかしたい、大三元に拘りたいならばスルーもあろう。平野の考えは前者に近いものであろう。これがまた1回戦東1局でなければまた違ううのかもしれない。

12巡目平野は中を引き当てる。大三元テンパイ。発はまだ山にある・・

八索八索五筒六筒七筒発発中中中  ポン白白白

直後の柴田、やってきたのはその発。柴田の手牌

二万二万六万七万七万五索六索七索九索九索九索六筒七筒  ツモ発

独特の緊張感が対局室を支配する。柴田が切るとすればこの一瞬だけであろう。ほんの一瞬の間の後、打七万。567の三色となった場合どうかだが、巡目を考えると出ることはないであろう。

15巡目、平野ドラの中を引き暗カン。脇は強い牌を切っておらず(実際は西島、石立がテンパイ)発はもう山にはないと読み、安目でも倍満を確定しにいったか。それとも敢えての暗カンで、大三元ではないと装ったか。解説の瀬戸熊は中を1枚切っておくと面白いと指摘。私ならば、もう少し巡目が浅ければツモ切るであろうし、この巡目ならば暗カンしたようにも思える。大事なのはどういう結果を導きたいか、その為にどういう思考で選択したのかであろう。

結果は3人テンパイ。私は一瞬だけ平野にはノーテン宣言の選択もあったかなと思うが、さすがに考えすぎか・・ただ柴田は発を掴んでいたこと、真っ直ぐテンパイを組みリーチを打っていたら大三元放銃の可能性があったことを理解できた分、3,000点払う価値があったと思う。

東1局1本場、今度は親の西島にチャンスが訪れる。

一万二万五万四索五索六索九索一筒三筒六筒西発発  ツモ発  ドラ発  打西

ドラの発が暗刻に。これが2巡目。それが次巡には槓子になる。

5巡目西島

一万二万五万四索五索六索一筒三筒六筒発発発発  ツモ三筒

ここから打発としてしまう。親であり、心情は十分すぎる程理解できるが、ここでの打発は早かったかなと思う。
この後テンパイまでは最低でも2枚手出ししなければならなく、その場合ドラの発がなぜこのタイミングで切られたのだろうと相手に情報を与えてしまうからである。
仕掛けを考えていたのであれば尚更で、どうせ情報を与えるのであれば暗槓をし、プレッシャーも与えてしまったほうが良い気がする。

この局は柴田が丁寧に打ち回しピンフをアガリ局を進めた。東1局に現れた大物手2連発はどちらも未遂に終わった。

東4局、開局早々の大物手の気配とは裏腹に、ここまでの点数移動はおとなしく移行していたが、ここで動いた。
西島1巡目

二万三万四万三索四索八索六筒八筒東東白発発  ドラ四筒  ポン東  打八索

比較的好形とはいえドラも無く、普段の西島ならばスルーかなと思える手牌。この時は「珍しいな。少し焦ってるかな」とも思えたが、この後もこの様な先手に拘る仕掛けを多用してきた。西島なりの決勝戦用の戦略か。

この仕掛けが6巡目テンパイ

二万三万四万三索三索六筒八筒発発発  ポン東東東  ドラ四筒

対するは平野、9巡目にこの形

五万七万八万八万四索五索二筒三筒四筒四筒五筒南南  ツモ発  ドラ四筒

発をツモ切る。ここで西島が「カン」と力強く発声。「まさかな・・」そのまさかが普通に起こるのもまた麻雀。リンシャン牌に眠っていたのは七筒

二万三万四万三索三索六筒八筒  明カン発発発発  ポン東東東  リンシャンツモ七筒

これは責任払いありなので平野の6,400放銃となってしまう。西島の積極策がハマった格好で、平野は何を思っただろうか・・

これが決め手となり1回戦は西島トップ、平野ラスの形となった。とはいえ、素点自体は小さく、この先どうとでも転がるであろう。

1回戦終了
西島+14.2P 柴田+5.0P 石立▲6.7P 平野▲12.5P

 

2回戦(平野、石立、西島、柴田)

東1局柴田4巡でこの形

一万二万四万五万五万六万六万八万九万白発中中  ツモ発  ドラ東

ここから打八万。直ぐに発を仕掛け、ペン三万も鳴けテンパイ

四万五万五万六万六万中中  チー三万 左向き一万 上向き二万 上向き  ポン発発発

捨て牌は

一索 上向き三筒 上向き七索 上向き八万 上向き九万 上向き白

西島が4巡目に切ったドラの東には反応せず最終手出しが白中に目が行くのは当然で、平野が四万で放銃となった。しかも3,900。このルールにおける3,900は意外と大きい。簡単なようでなかなか取り返せない打点だ。

東2局、親の石立、7巡目にリーチと出る。

四万五万三索四索五索六索七索八索二筒三筒四筒南南  ドラ北

1回戦、自らが動き先手を取る展開が作れなかった石立、動けそうな手もあまりなかったが、安全牌を確保することに比重を置き、手をあまり広げなかったようにも見えた。ここは親であること、先手であること、それよりも自らを奮い立たせる為のリーチに思えた。

9巡目、これに追いついたのは平野。

二万二万四万五万五万六万六万七万七万八万三索四索五筒  ツモ三万

既に石立のリーチに対して一筒九筒と押している。そしてこの五筒も押した。しかしリーチは打たず。石立の捨て牌に二索五索は無くリーチの選択もあろうが、もう一役欲しいのか。はたまた一気に清一色までか・・

次巡、平野が引き入れたのは八万。ここで五万切りのリーチとした。

二万二万三万四万五万五万六万六万七万七万八万三索四索  ツモ八万  打五万 左向き

確かにソーズが高く親に三索四索が通る保障は無い。しかもイーペーコーが付き打点も7,700以上と申し分ない。間違った選択ではないと思う。

平野のその後のツモに四万三万が眠っていた。清一色に向かった場合、リーチ者石立の八万をポンする可能性もあるのでどうなっていたかは解らない。ただ、三倍満のアガリ形もあったのは事実である。

麻雀は選択の積み重ねのゲームだと思うが、アベレージだけを追うものではないとも思う。どこを勝負処と見極め踏み込むか、結局はバランスなのであろう。

東2局1本場、2巡目早くも西島が動く。

一万二万八万六索七索一筒二筒三筒六筒西中  ポン白白白  打八万  ドラ西

これも少し遠い仕掛け。ドラを引っ張り相手のスピードを殺す狙いか。この後ツモが効き9巡目テンパイ

六索七索一筒二筒三筒四筒五筒六筒西西  ポン白白白  ドラ西

対する平野。こちらは西島より一歩早く6巡目にテンパイ

三万五万六万七万八万三索三索四索四索五索五索北北  ドラ西

13巡目に北を暗刻にして五万八万待ち変えリーチにいった。

この宣言牌を仕掛けたのが親の石立。

三万四万四万五万六万七万七万九万九万九万  チー三万 左向き一万 上向き二万 上向き

こちらは二万五万

3者に挟まれた柴田。苦しい・・

五万五万六万八万八万六索七索八索西白  チー六筒 左向き七筒 上向き八筒 上向き  ツモ四索

リーチ者の平野は宣言牌の三万以外マンズを切っていない。その三万を仕掛けた石立も1枚も切っていない。特に石立の6巡目から9巡目の七筒 上向き七筒 上向き二索 上向き三索 上向きは全て手出しで、ドラが重なり、ホンイツへ移行したように見える。更にその親に上家でリーチを打っていった平野もそれなりの手であろう。この場面柴田はもちろん放銃はしたくないが、放銃をしたくない相手を順位つけると、石立、平野、西島となり、石立、平野の現物の打八索としたのだろう。これが西島の3,900に捕まるのだが、柴田は放銃した自分の不調さよりも西島の好調さを感じずにはいられなかったのではないだろうか。

後日この場面を柴田に聞いた。「西島さんドラ単騎かなって思ったんですよ。雰囲気がドラ1枚持っての仕掛けっぽかったんで。もちろんドラが重なってのテンパイもあるので放銃は微妙でしたね・・」

柴田の読みはその通りでやはり場を読む能力は高い。柴田は雰囲気が・・とか感じが・・という言葉をよく使う。その感覚はそれぞれのものであり、解るようでもあり、解らないようでもある。ただそういう部分で戦っているし、生命線でもある。

東3局、ここまで噛み合わなかった平野にタンピン三色の勝負手が入る。しっかりとリーチを打ち、高目をツモり3,000・6,000。反撃態勢となる。

東4局、3巡目石立が仕掛ける。

六万八万八万八万三索四索四索七索七筒七筒西白白  ドラ発  ポン七筒  打七索

今決勝初めての先手取りの仕掛け。ここまで無難にきたが、ここからは戦いの舞台に乗っていくという意思表示か。

だが、石立の手は思うように進まず、反対に親の柴田にテンパイが入る。

三万三万三万五万四筒五筒七筒八筒九筒東東発発  ツモ三筒  ドラ発

「1回ヤミテンか・・」

「リーチ」

柴田はリーチを打った。12,000を拾うのではなく6,000オールを引きにいった。この場面、石立の仕掛けがある以上、東発もこぼれ難くなっているのでこの判断もわかる。問題は引けるかどうかだが、結果は流局。リーチを打たなければこぼれた可能性もあっただけにどうだったろうか。

東4局1本場、石立の先制リーチ。

一万三万五万六万七万八万一索一索六索七索八索六筒八筒  ツモ七筒  打五万 左向き  ドラ五筒

石立に初めて手役らしい手役が入った。これに柴田が放銃。石立がトップ目に浮上し、柴田はラスに転落する。前局ヤミテンにしていればこの局の展開も変わっていただろうと思わずにはいられない1局であった。

ただこのまま落ちていく柴田ではなかった。南4局親番7巡目リーチ。

二万三万二索三索四索三筒三筒四筒五筒六筒六筒七筒八筒  ドラ南

これは2,600オールを引きにいくというよりも相手を止める為のリーチか。平野42,400西島31,700石立30,000柴田15,900の並び。誰も放銃したくない場面で、先に仕掛けていた西島、ドラトイツだった石立を降ろし1人テンパイ。これは目論見通りか。続く1本場。

柴田配牌

三万三万四万七万三索四索五索九索一筒二筒五筒五筒西中  ドラ五筒

生き返った。勝負手だ。7巡目

二万三万三万四万三索三索四索五索一筒二筒三筒五筒五筒  ツモ四万  打三索 左向き  ドラ五筒

ここは前局とは意味合いが全く違う。6,000オールを引きに行くリーチだ。そして即五万ツモ。安目ながら4,000オールで浮きに回った。調子、展開に恵まれなくともゲームをまとめる能力の高さを見せた半荘であった。

2回戦終了
平野+14.3P 柴田+4.2P 西島▲4.4P 石立▲14.1P

トータル
西島+9.8P 柴田+9.2P 平野+1.8P 石立▲20.8P

 

3回戦(石立、柴田、平野、西島)

親の石立9巡目に仕掛ける

四万五万七万七万二索四索二筒四筒六筒八筒九筒東東  ドラ四万  チー三筒  打九筒

上家の西島が八万 上向き九万 上向き四索 上向き三筒 上向きと手出ししてきての三筒チーなので微妙か。受ける牌が無い中スピードも劣っている。

西島がテンパイ即リーチ

二万三万四万五万六万一筒一筒三筒四筒五筒六筒七筒西  ツモ二筒  ドラ四万  打西

石立も東を落としタンヤオで応戦もやはり追いつかず。西島一万をツモり1,300・2,600

九種九牌を挟み、東2局1本場、西島5巡目リーチ。

一万二万三万三万四万五万三索四索一筒二筒三筒六筒六筒  ドラ一万

先制リーチかと言えばそうではない。親の柴田が切り出したドラを平野がポンしている場面だ。だが西島は臆することなくぶつけにいった。1,300・2,600力強く引き勝つ。この勝負強さこそ西島最大の武器だ。

そんな西島を親番で平野が捕える。

七万七万七万二索二索四索四索六索七索八索  チー四筒 左向き五筒 上向き六筒 上向き  ドラ四索  ロン二索

5,800。この3回戦はこの2人がリードしオーラスを迎える。

西島39,500、平野32,500、5巡目親の西島に選択が訪れる。

五万八万九万一索二索四索四索六索七筒八筒中中中  ツモ三索  ドラ八筒

五万六索かチーテンを取れるだけにペンチャンには手を掛けないだろう・・場はソーズが高い。打五万五索を引いた時の強さを重視。打六索五万にくっついた時の強さ重視。西島は打五万とした。

同巡平野がリーチ。

三万四万五万一索二索四索五索六索七索八索九索白白  ドラ八筒

浮いて終わらせることより、優勝する為、トップを獲りにいくリーチ。

対する西島、リーチを受け七索を引き現物の打九万。1シャンテンは変わらないがリャンメン2つに。次巡のツモは七万。手順通りに進めていたが裏目を引いた。これは四万が現物なのでスジでツモ切り。次はドラの八筒八万を勝負。2巡後九筒ツモでテンパイ。ドラを切り追いかけリーチ。ただひとつ気がかりはこの九筒で追うのは難しいながらもアガリがあったということ。私なら打八万のところで打たずに、点差を考えオリていたかもしれない。

西島がリーチを打った段階では山に2枚対1枚で西島有利であったが、西島の五索八索は脇に流れた。そして西島のツモ筋には三索が眠っていた・・

平野が連勝でトータルトップに立った。新人王戦の雪辱を果たすことができるのか・・

3回戦終了
平野+16.7P 西島+7.3P 石立▲9.0P 柴田▲15.0P

トータル
平野+18.5P 西島+17.1P 柴田▲5.8P 石立▲29.8P

 

4回戦(柴田、西島、平野、石立)

東3局ここまでは点棒の移動はわずか。11巡目西島。絶好の三万を引き入れリーチ。

二万三万四万二索三索四索五索六索七索二筒三筒八筒八筒  ドラ九索

一筒が2枚切れだけに四筒を拾う選択も勿論あるが、ここまでの西島の戦い方を考えればリーチが妥当であろう。ここまで好位置の西島を走らせるわけにもいかぬ三者は降りずに懸命に粘るが、その3者にとっては無情の西島四筒ツモ。3,000・6,000。特に平野は痛恨の親かぶりである。

勢いにのる西島次局わずか5巡でこのテンパイ

五万五万五万二索四索一筒二筒三筒西西  ポン中中中  ドラ西

8巡目に二索をツモりシャンポンに受け変え。親の石立も粘る。13巡目、二万 左向き三万 上向き四万 上向きでチーして追いつく。

二索二索三索四索二筒三筒四筒六筒七筒八筒  チー二万 左向き三万 上向き四万 上向き

ギリギリのテンパイ。西島は受け変えた後なので二索は出ない。せめて五索・・いや、西だけは引くな・・

残りツモ2回、石立のツモは西・・打牌が早い石立にしては珍しい小考・・ポイント差を考えたらもう1回の親も無駄には出来ない。絞り出すように二索を打ち出した。5,200・・ワイプに映る石立はある種、納得したかの表情であった。

西島の勢いを止められないまでも、じりじり追い上げる者がいた。柴田だ。南3局持ち点29,200。ここで浮けないようだと西島が楽になる。

西島、柴田の第1打、自風の北をポン。遠い仕掛けではあるがプレッシャーを与えるには十分か。上家の柴田、慎重に鳴かせないよう手を進め、10巡目にリーチを打った。

二万二万四万五万六万六万七万八万二索三索三筒四筒五筒  ドラ三筒

こうなると西島のほうが受けに回らされる。柴田は程なく一索を引き1,300・2,600。原点を超え浮きに。オーラスも満貫をアガリ、最終戦は西島VS柴田の様相を呈していくこととなった。

4回戦終了
西島+24.2P 柴田+16.4P 石立▲13.4P 平野▲27.2P

トータル
西島+41.3P 柴田+10.6P 平野▲8.7P 石立▲43.2P

西島と柴田の差は30.7ポイント。西島は浮いてさえいればほぼ安全圏。しかし、原点を割った瞬間にわからなくなる。果たしてどのような結末が待っているのだろうか・・

 

最終戦(柴田、平野、石立、西島)

最終戦はそれまでのトータルポイントで、座順が決まる。トータル2位の柴田が起家となるので、いきなり山場がやってくることとなる。

柴田配牌

二万三万五万六万六万七万八万九万九万一筒東西発発  ドラ中

「なんだこれ・・」

これだけで、この最終戦西島にとって簡単でないものになるであろうと予測できる。30.7ポイント差といっても4,000オールで逆転される点差なのだ。

柴田、2巡目に発をポン。表示牌であるから目立たない。1シャンテン。5、6巡目に東四万を引き入れテンパイ。

二万三万四万五万六万七万八万九万東東  ポン発発発  ドラ中

この時西島もこの1シャンテン

四万五万六万六索七索八索二筒二筒四筒南南中中  ドラ中

数巡の間であれば西島を捉えることは十分可能なテンパイである。が、しかし・・

直後の平野

六万二索三索四索四索五索六索三筒三筒三筒六筒七筒北  ツモ一万  ドラ中

平野は前巡打北としテンパイを取らなかった。それはいいと思う。ならばここは北を打って欲しかった。表示牌の発から動き、その後手出し2回。テンパイしていないことの方が多いかもしれない。でも鳳凰位や十段位の決定戦ではこの一万を打つ者はいないと思う。平野には酷な言い方かもしれないが、そういうものがタイトル戦決勝の価値だと思う。

1本場は西島が必死に柴田の親を蹴り原点確保。東2局はノーテンも1本場を平野、石立のテンパイを躱し400・700。32,200まで持ち点を伸ばす。

東3局西島は五万をポンしこの1シャンテン

一万二万二万四万五万七万八万九万九万九万  ポン五万 上向き五万 上向き五万 上向き  ドラ九索

上家の親石立、マンズを切らずに粘りこの形

三万三万六万三索三索四索四索五索九索九索三筒四筒五筒  ツモ七万  ドラ九索

既に13巡目アガリを見るにはソーズを残したい。それでも石立は四索を掴んだ。切ろうかという瞬間、思い直したかのように三万を切った。親番であること、西島の仕掛け、ドラや打点、トータルポイント、全てを受け止めそれでも三万を切った。西島はチーして三万六万待ち。次巡石立が掴んだのは九万。さすがに落胆の表情。今決勝1番の長考。考え抜いた末、手牌から四索を抜いた。ギリギリの選択。

この局はまだ終わらない。柴田は次に石立の切った三索をポンした。

六万六万七万八万七筒七筒八筒北北北  ポン三索 上向き三索 上向き三索 上向き

親がオリたのを感じ、すかさず形式テンパイを取りに来た。そして七筒を引き入れテンパイ。西島の1人テンパイを阻止した。

東4局1本場、西島に親をやらせるわけにはいかない柴田がわずか5巡で蹴る。残すは南場のみ。

柴田最後の親番は九種九牌のあとの1本場、まだあきらめていない石立が3,900をアガリ親が流れる。

南2局、8巡目に石立リーチ。

二万四万六万七万八万二索三索四索六索七索八索六筒六筒  ドラ七索

西島は仕掛けを入れていたが撤退。柴田はドラを打てばテンパイだったが、自分がアガるよりも西島の素点を削りたい場面なので引いた。石立のアガり牌は山に残っておらず、最後の親番の平野も粘り2人テンパイ。3人掛かりで西島に楽をさせない。

南2局1本場、7巡目柴田仕掛けチーテン

一万二万三万八万九万七索八索九索白白  チー四万 左向き五万 上向き六万 上向き  ドラ白

親番平野がリーチ。三索を引いての二索五索待ち。西島の素点を削ることを考えればここも引く手もあったが、柴田は三索を押した。直後の平野、七万を掴み3,900。もうこうなると理屈ではないだろう。柴田の勝負感覚で三索を通しアガり切った。

3人テンパイの後の南3局1本場、親の石立4巡目リーチ。

三万四万六索六索六索七索八索九索白白中中中  ドラ五万

高目4,000オールで西島は沈む。石立が引いたのはドラの五万であった。4,000オール。遂に西島が原点を割った。

この時点で西島と柴田の差は3.7ポイント。まだ西島が上であるが、もうどう転ぶかわからない。

南3局2本場、柴田6巡目1シャンテン

一万二万九万九万一索三索七索七索七索二筒三筒四筒発  ドラ九万

打点的には条件を満たしているが形は厳しい。西島12巡目テンパイ。

三万四万五万七万八万四索五索六索二筒三筒四筒六筒六筒  ドラ九万

柴田もここまで育っていた。

一万二万九万九万九万一索三索七索七索七索一筒二筒三筒  ドラ九万

西島の六万九万は山に六万が2枚残り。柴田必死のツモもテンパイが入らない。親の石立は形式テンパイを入れる。こちらも必死だ。西島、柴田ともツモは後1回・・

西島の手元には六万が引き寄せられていた。事実上の決着の瞬間であった。

南4局、柴田の条件は1,600・3,200か5,200直撃であったが、もうそんな手を入れる力は残っていなかった。

優勝 西島一彦

後日、私は柴田の出勤日に道場へ行きこの決勝の話をした。柴田なりの見方や意見が聞け有意義であったと思う。私と柴田が卓に入っている時に平野が来た。最近はかなりの頻度で足を運んでいるようだ。平野は別卓に入り淡々と打牌を繰り返していた。私は特に声を掛けなかったが、その姿勢が実を結ぶこともあるであろう・・

100

JPML WRCリーグ 決勝観戦記/第28期チャンピオンズリーグ 決勝観戦記 紺野 真太郎

今年の夏も暑かったが、期間は短め。9月初旬にはもう秋の気配が感じられた。
毎年前期のチャンピオンリーグ決勝は真夏の決戦となることがほとんどだが、スタジオでの生配信対局となり、番組編成や対局者のスケジュールの都合で9月19日に行われることとなった。
季節はすっかり秋でも真夏の太陽のような熱い戦いが期待された。
予選、トーナメントを勝ち抜き、決勝に進出してきたのは以下の4名。
柴田弘幸
17期生 39歳 A2リーグ所属
多数のAリーガー、タイトルホルダーを輩出している17期生の柴田。決勝進出歴は6度目。2度の鳳凰戦決勝進出が光るが、タイトル獲得には至っていない。実力は折り紙つきで、未だ無冠であるのが不思議なところ。今回も大本命を背負っての戦いとなる。
西島一彦
19期生 69歳 C1リーグ所属
私の目の前でマスターズを勝ち切った西島。同年行われた世界選手権でも準優勝と当時68歳にしてブレイク。第2の人生として麻雀プロを選び、それが実を結んだ。現在のプロテスト規定では受験に年齢制限が設けられているが、西島の受験時にはそれが無く、運命に導かれたかのようでもある。勝負強さには定評があり、今回柴田の調子が上がらないようだと西島が浮上するか。
石立岳大
23期生 35歳 D1リーグ所属
石立に関して私はほとんどデータが無い。話をしたことも皆無であり、対戦も数えるほどしかない。ただ、その時の印象ではよく動く打ち手だなと感じられた。今回のメンバーは積極的に動くというよりはじっくり構えるタイプが多いと思えるので、台風の目になりえる存在であろう。
平野良栄
30期生 38歳 D3リーグ所属
先日行われた新人王戦にも決勝進出していた平野。新人ながらに立て続けの決勝進出は立派である。爆発力を持ち、リーグ戦では1節で140ポイント以上叩いたことも。だが、反面後手に回らされる局面では、大きく沈むことも。バランスをどうとっていくかが今後の課題であろう。今回は爆発力を発揮し、局面をリード出来れば面白い。
 
1回戦(西島、平野、柴田、石立)
東1局3巡目平野にいきなり大物手の予感。
四万六万四索八索八索三筒六筒七筒白白発中中  ツモ発  ドラ中
三元牌が全てトイツとなり大三元までという手牌。これをものにし、局面をリードすることが出来れば、優勝へ大きく近づく。そんな事は平野も十分承知であろうが、この手牌はここからが難しい。平野は打三筒とし、色々な可能性を残した。
分岐は直後の4巡目にやってきた。親の西島が打白とした。平野はこれを仕掛けた。この場面、白を一鳴きするかどうかは意見が分かれるところであろう。中がドラであり跳満を狙いつつ、うまく行けば大三元までと考えれば仕掛ける手もあろうし、表示牌の発とドラの中をなんとかしたい、大三元に拘りたいならばスルーもあろう。平野の考えは前者に近いものであろう。これがまた1回戦東1局でなければまた違ううのかもしれない。
12巡目平野は中を引き当てる。大三元テンパイ。発はまだ山にある・・
八索八索五筒六筒七筒発発中中中  ポン白白白
直後の柴田、やってきたのはその発。柴田の手牌
二万二万六万七万七万五索六索七索九索九索九索六筒七筒  ツモ発
独特の緊張感が対局室を支配する。柴田が切るとすればこの一瞬だけであろう。ほんの一瞬の間の後、打七万。567の三色となった場合どうかだが、巡目を考えると出ることはないであろう。
15巡目、平野ドラの中を引き暗カン。脇は強い牌を切っておらず(実際は西島、石立がテンパイ)発はもう山にはないと読み、安目でも倍満を確定しにいったか。それとも敢えての暗カンで、大三元ではないと装ったか。解説の瀬戸熊は中を1枚切っておくと面白いと指摘。私ならば、もう少し巡目が浅ければツモ切るであろうし、この巡目ならば暗カンしたようにも思える。大事なのはどういう結果を導きたいか、その為にどういう思考で選択したのかであろう。
結果は3人テンパイ。私は一瞬だけ平野にはノーテン宣言の選択もあったかなと思うが、さすがに考えすぎか・・ただ柴田は発を掴んでいたこと、真っ直ぐテンパイを組みリーチを打っていたら大三元放銃の可能性があったことを理解できた分、3,000点払う価値があったと思う。
東1局1本場、今度は親の西島にチャンスが訪れる。
一万二万五万四索五索六索九索一筒三筒六筒西発発  ツモ発  ドラ発  打西
ドラの発が暗刻に。これが2巡目。それが次巡には槓子になる。
5巡目西島
一万二万五万四索五索六索一筒三筒六筒発発発発  ツモ三筒
ここから打発としてしまう。親であり、心情は十分すぎる程理解できるが、ここでの打発は早かったかなと思う。
この後テンパイまでは最低でも2枚手出ししなければならなく、その場合ドラの発がなぜこのタイミングで切られたのだろうと相手に情報を与えてしまうからである。
仕掛けを考えていたのであれば尚更で、どうせ情報を与えるのであれば暗槓をし、プレッシャーも与えてしまったほうが良い気がする。
この局は柴田が丁寧に打ち回しピンフをアガリ局を進めた。東1局に現れた大物手2連発はどちらも未遂に終わった。
東4局、開局早々の大物手の気配とは裏腹に、ここまでの点数移動はおとなしく移行していたが、ここで動いた。
西島1巡目
二万三万四万三索四索八索六筒八筒東東白発発  ドラ四筒  ポン東  打八索
比較的好形とはいえドラも無く、普段の西島ならばスルーかなと思える手牌。この時は「珍しいな。少し焦ってるかな」とも思えたが、この後もこの様な先手に拘る仕掛けを多用してきた。西島なりの決勝戦用の戦略か。
この仕掛けが6巡目テンパイ
二万三万四万三索三索六筒八筒発発発  ポン東東東  ドラ四筒
対するは平野、9巡目にこの形
五万七万八万八万四索五索二筒三筒四筒四筒五筒南南  ツモ発  ドラ四筒
発をツモ切る。ここで西島が「カン」と力強く発声。「まさかな・・」そのまさかが普通に起こるのもまた麻雀。リンシャン牌に眠っていたのは七筒
二万三万四万三索三索六筒八筒  明カン発発発発  ポン東東東  リンシャンツモ七筒
これは責任払いありなので平野の6,400放銃となってしまう。西島の積極策がハマった格好で、平野は何を思っただろうか・・
これが決め手となり1回戦は西島トップ、平野ラスの形となった。とはいえ、素点自体は小さく、この先どうとでも転がるであろう。
1回戦終了
西島+14.2P 柴田+5.0P 石立▲6.7P 平野▲12.5P
 
2回戦(平野、石立、西島、柴田)
東1局柴田4巡でこの形
一万二万四万五万五万六万六万八万九万白発中中  ツモ発  ドラ東
ここから打八万。直ぐに発を仕掛け、ペン三万も鳴けテンパイ
四万五万五万六万六万中中  チー三万 左向き一万 上向き二万 上向き  ポン発発発
捨て牌は
一索 上向き三筒 上向き七索 上向き八万 上向き九万 上向き白
西島が4巡目に切ったドラの東には反応せず最終手出しが白中に目が行くのは当然で、平野が四万で放銃となった。しかも3,900。このルールにおける3,900は意外と大きい。簡単なようでなかなか取り返せない打点だ。
東2局、親の石立、7巡目にリーチと出る。
四万五万三索四索五索六索七索八索二筒三筒四筒南南  ドラ北
1回戦、自らが動き先手を取る展開が作れなかった石立、動けそうな手もあまりなかったが、安全牌を確保することに比重を置き、手をあまり広げなかったようにも見えた。ここは親であること、先手であること、それよりも自らを奮い立たせる為のリーチに思えた。
9巡目、これに追いついたのは平野。
二万二万四万五万五万六万六万七万七万八万三索四索五筒  ツモ三万
既に石立のリーチに対して一筒九筒と押している。そしてこの五筒も押した。しかしリーチは打たず。石立の捨て牌に二索五索は無くリーチの選択もあろうが、もう一役欲しいのか。はたまた一気に清一色までか・・
次巡、平野が引き入れたのは八万。ここで五万切りのリーチとした。
二万二万三万四万五万五万六万六万七万七万八万三索四索  ツモ八万  打五万 左向き
確かにソーズが高く親に三索四索が通る保障は無い。しかもイーペーコーが付き打点も7,700以上と申し分ない。間違った選択ではないと思う。
平野のその後のツモに四万三万が眠っていた。清一色に向かった場合、リーチ者石立の八万をポンする可能性もあるのでどうなっていたかは解らない。ただ、三倍満のアガリ形もあったのは事実である。
麻雀は選択の積み重ねのゲームだと思うが、アベレージだけを追うものではないとも思う。どこを勝負処と見極め踏み込むか、結局はバランスなのであろう。
東2局1本場、2巡目早くも西島が動く。
一万二万八万六索七索一筒二筒三筒六筒西中  ポン白白白  打八万  ドラ西
これも少し遠い仕掛け。ドラを引っ張り相手のスピードを殺す狙いか。この後ツモが効き9巡目テンパイ
六索七索一筒二筒三筒四筒五筒六筒西西  ポン白白白  ドラ西
対する平野。こちらは西島より一歩早く6巡目にテンパイ
三万五万六万七万八万三索三索四索四索五索五索北北  ドラ西
13巡目に北を暗刻にして五万八万待ち変えリーチにいった。
この宣言牌を仕掛けたのが親の石立。
三万四万四万五万六万七万七万九万九万九万  チー三万 左向き一万 上向き二万 上向き
こちらは二万五万
3者に挟まれた柴田。苦しい・・
五万五万六万八万八万六索七索八索西白  チー六筒 左向き七筒 上向き八筒 上向き  ツモ四索
リーチ者の平野は宣言牌の三万以外マンズを切っていない。その三万を仕掛けた石立も1枚も切っていない。特に石立の6巡目から9巡目の七筒 上向き七筒 上向き二索 上向き三索 上向きは全て手出しで、ドラが重なり、ホンイツへ移行したように見える。更にその親に上家でリーチを打っていった平野もそれなりの手であろう。この場面柴田はもちろん放銃はしたくないが、放銃をしたくない相手を順位つけると、石立、平野、西島となり、石立、平野の現物の打八索としたのだろう。これが西島の3,900に捕まるのだが、柴田は放銃した自分の不調さよりも西島の好調さを感じずにはいられなかったのではないだろうか。
後日この場面を柴田に聞いた。「西島さんドラ単騎かなって思ったんですよ。雰囲気がドラ1枚持っての仕掛けっぽかったんで。もちろんドラが重なってのテンパイもあるので放銃は微妙でしたね・・」
柴田の読みはその通りでやはり場を読む能力は高い。柴田は雰囲気が・・とか感じが・・という言葉をよく使う。その感覚はそれぞれのものであり、解るようでもあり、解らないようでもある。ただそういう部分で戦っているし、生命線でもある。
東3局、ここまで噛み合わなかった平野にタンピン三色の勝負手が入る。しっかりとリーチを打ち、高目をツモり3,000・6,000。反撃態勢となる。
東4局、3巡目石立が仕掛ける。
六万八万八万八万三索四索四索七索七筒七筒西白白  ドラ発  ポン七筒  打七索
今決勝初めての先手取りの仕掛け。ここまで無難にきたが、ここからは戦いの舞台に乗っていくという意思表示か。
だが、石立の手は思うように進まず、反対に親の柴田にテンパイが入る。
三万三万三万五万四筒五筒七筒八筒九筒東東発発  ツモ三筒  ドラ発
「1回ヤミテンか・・」
「リーチ」
柴田はリーチを打った。12,000を拾うのではなく6,000オールを引きにいった。この場面、石立の仕掛けがある以上、東発もこぼれ難くなっているのでこの判断もわかる。問題は引けるかどうかだが、結果は流局。リーチを打たなければこぼれた可能性もあっただけにどうだったろうか。
東4局1本場、石立の先制リーチ。
一万三万五万六万七万八万一索一索六索七索八索六筒八筒  ツモ七筒  打五万 左向き  ドラ五筒
石立に初めて手役らしい手役が入った。これに柴田が放銃。石立がトップ目に浮上し、柴田はラスに転落する。前局ヤミテンにしていればこの局の展開も変わっていただろうと思わずにはいられない1局であった。
ただこのまま落ちていく柴田ではなかった。南4局親番7巡目リーチ。
二万三万二索三索四索三筒三筒四筒五筒六筒六筒七筒八筒  ドラ南
これは2,600オールを引きにいくというよりも相手を止める為のリーチか。平野42,400西島31,700石立30,000柴田15,900の並び。誰も放銃したくない場面で、先に仕掛けていた西島、ドラトイツだった石立を降ろし1人テンパイ。これは目論見通りか。続く1本場。
柴田配牌
三万三万四万七万三索四索五索九索一筒二筒五筒五筒西中  ドラ五筒
生き返った。勝負手だ。7巡目
二万三万三万四万三索三索四索五索一筒二筒三筒五筒五筒  ツモ四万  打三索 左向き  ドラ五筒
ここは前局とは意味合いが全く違う。6,000オールを引きに行くリーチだ。そして即五万ツモ。安目ながら4,000オールで浮きに回った。調子、展開に恵まれなくともゲームをまとめる能力の高さを見せた半荘であった。
2回戦終了
平野+14.3P 柴田+4.2P 西島▲4.4P 石立▲14.1P
トータル
西島+9.8P 柴田+9.2P 平野+1.8P 石立▲20.8P
 
3回戦(石立、柴田、平野、西島)
親の石立9巡目に仕掛ける
四万五万七万七万二索四索二筒四筒六筒八筒九筒東東  ドラ四万  チー三筒  打九筒
上家の西島が八万 上向き九万 上向き四索 上向き三筒 上向きと手出ししてきての三筒チーなので微妙か。受ける牌が無い中スピードも劣っている。
西島がテンパイ即リーチ
二万三万四万五万六万一筒一筒三筒四筒五筒六筒七筒西  ツモ二筒  ドラ四万  打西
石立も東を落としタンヤオで応戦もやはり追いつかず。西島一万をツモり1,300・2,600
九種九牌を挟み、東2局1本場、西島5巡目リーチ。
一万二万三万三万四万五万三索四索一筒二筒三筒六筒六筒  ドラ一万
先制リーチかと言えばそうではない。親の柴田が切り出したドラを平野がポンしている場面だ。だが西島は臆することなくぶつけにいった。1,300・2,600力強く引き勝つ。この勝負強さこそ西島最大の武器だ。
そんな西島を親番で平野が捕える。
七万七万七万二索二索四索四索六索七索八索  チー四筒 左向き五筒 上向き六筒 上向き  ドラ四索  ロン二索
5,800。この3回戦はこの2人がリードしオーラスを迎える。
西島39,500、平野32,500、5巡目親の西島に選択が訪れる。
五万八万九万一索二索四索四索六索七筒八筒中中中  ツモ三索  ドラ八筒
五万六索かチーテンを取れるだけにペンチャンには手を掛けないだろう・・場はソーズが高い。打五万五索を引いた時の強さを重視。打六索五万にくっついた時の強さ重視。西島は打五万とした。
同巡平野がリーチ。
三万四万五万一索二索四索五索六索七索八索九索白白  ドラ八筒
浮いて終わらせることより、優勝する為、トップを獲りにいくリーチ。
対する西島、リーチを受け七索を引き現物の打九万。1シャンテンは変わらないがリャンメン2つに。次巡のツモは七万。手順通りに進めていたが裏目を引いた。これは四万が現物なのでスジでツモ切り。次はドラの八筒八万を勝負。2巡後九筒ツモでテンパイ。ドラを切り追いかけリーチ。ただひとつ気がかりはこの九筒で追うのは難しいながらもアガリがあったということ。私なら打八万のところで打たずに、点差を考えオリていたかもしれない。
西島がリーチを打った段階では山に2枚対1枚で西島有利であったが、西島の五索八索は脇に流れた。そして西島のツモ筋には三索が眠っていた・・
平野が連勝でトータルトップに立った。新人王戦の雪辱を果たすことができるのか・・
3回戦終了
平野+16.7P 西島+7.3P 石立▲9.0P 柴田▲15.0P
トータル
平野+18.5P 西島+17.1P 柴田▲5.8P 石立▲29.8P
 
4回戦(柴田、西島、平野、石立)
東3局ここまでは点棒の移動はわずか。11巡目西島。絶好の三万を引き入れリーチ。
二万三万四万二索三索四索五索六索七索二筒三筒八筒八筒  ドラ九索
一筒が2枚切れだけに四筒を拾う選択も勿論あるが、ここまでの西島の戦い方を考えればリーチが妥当であろう。ここまで好位置の西島を走らせるわけにもいかぬ三者は降りずに懸命に粘るが、その3者にとっては無情の西島四筒ツモ。3,000・6,000。特に平野は痛恨の親かぶりである。
勢いにのる西島次局わずか5巡でこのテンパイ
五万五万五万二索四索一筒二筒三筒西西  ポン中中中  ドラ西
8巡目に二索をツモりシャンポンに受け変え。親の石立も粘る。13巡目、二万 左向き三万 上向き四万 上向きでチーして追いつく。
二索二索三索四索二筒三筒四筒六筒七筒八筒  チー二万 左向き三万 上向き四万 上向き
ギリギリのテンパイ。西島は受け変えた後なので二索は出ない。せめて五索・・いや、西だけは引くな・・
残りツモ2回、石立のツモは西・・打牌が早い石立にしては珍しい小考・・ポイント差を考えたらもう1回の親も無駄には出来ない。絞り出すように二索を打ち出した。5,200・・ワイプに映る石立はある種、納得したかの表情であった。
西島の勢いを止められないまでも、じりじり追い上げる者がいた。柴田だ。南3局持ち点29,200。ここで浮けないようだと西島が楽になる。
西島、柴田の第1打、自風の北をポン。遠い仕掛けではあるがプレッシャーを与えるには十分か。上家の柴田、慎重に鳴かせないよう手を進め、10巡目にリーチを打った。
二万二万四万五万六万六万七万八万二索三索三筒四筒五筒  ドラ三筒
こうなると西島のほうが受けに回らされる。柴田は程なく一索を引き1,300・2,600。原点を超え浮きに。オーラスも満貫をアガリ、最終戦は西島VS柴田の様相を呈していくこととなった。
4回戦終了
西島+24.2P 柴田+16.4P 石立▲13.4P 平野▲27.2P
トータル
西島+41.3P 柴田+10.6P 平野▲8.7P 石立▲43.2P
西島と柴田の差は30.7ポイント。西島は浮いてさえいればほぼ安全圏。しかし、原点を割った瞬間にわからなくなる。果たしてどのような結末が待っているのだろうか・・
 
最終戦(柴田、平野、石立、西島)
最終戦はそれまでのトータルポイントで、座順が決まる。トータル2位の柴田が起家となるので、いきなり山場がやってくることとなる。
柴田配牌
二万三万五万六万六万七万八万九万九万一筒東西発発  ドラ中
「なんだこれ・・」
これだけで、この最終戦西島にとって簡単でないものになるであろうと予測できる。30.7ポイント差といっても4,000オールで逆転される点差なのだ。
柴田、2巡目に発をポン。表示牌であるから目立たない。1シャンテン。5、6巡目に東四万を引き入れテンパイ。
二万三万四万五万六万七万八万九万東東  ポン発発発  ドラ中
この時西島もこの1シャンテン
四万五万六万六索七索八索二筒二筒四筒南南中中  ドラ中
数巡の間であれば西島を捉えることは十分可能なテンパイである。が、しかし・・
直後の平野
六万二索三索四索四索五索六索三筒三筒三筒六筒七筒北  ツモ一万  ドラ中
平野は前巡打北としテンパイを取らなかった。それはいいと思う。ならばここは北を打って欲しかった。表示牌の発から動き、その後手出し2回。テンパイしていないことの方が多いかもしれない。でも鳳凰位や十段位の決定戦ではこの一万を打つ者はいないと思う。平野には酷な言い方かもしれないが、そういうものがタイトル戦決勝の価値だと思う。
1本場は西島が必死に柴田の親を蹴り原点確保。東2局はノーテンも1本場を平野、石立のテンパイを躱し400・700。32,200まで持ち点を伸ばす。
東3局西島は五万をポンしこの1シャンテン
一万二万二万四万五万七万八万九万九万九万  ポン五万 上向き五万 上向き五万 上向き  ドラ九索
上家の親石立、マンズを切らずに粘りこの形
三万三万六万三索三索四索四索五索九索九索三筒四筒五筒  ツモ七万  ドラ九索
既に13巡目アガリを見るにはソーズを残したい。それでも石立は四索を掴んだ。切ろうかという瞬間、思い直したかのように三万を切った。親番であること、西島の仕掛け、ドラや打点、トータルポイント、全てを受け止めそれでも三万を切った。西島はチーして三万六万待ち。次巡石立が掴んだのは九万。さすがに落胆の表情。今決勝1番の長考。考え抜いた末、手牌から四索を抜いた。ギリギリの選択。
この局はまだ終わらない。柴田は次に石立の切った三索をポンした。
六万六万七万八万七筒七筒八筒北北北  ポン三索 上向き三索 上向き三索 上向き
親がオリたのを感じ、すかさず形式テンパイを取りに来た。そして七筒を引き入れテンパイ。西島の1人テンパイを阻止した。
東4局1本場、西島に親をやらせるわけにはいかない柴田がわずか5巡で蹴る。残すは南場のみ。
柴田最後の親番は九種九牌のあとの1本場、まだあきらめていない石立が3,900をアガリ親が流れる。
南2局、8巡目に石立リーチ。
二万四万六万七万八万二索三索四索六索七索八索六筒六筒  ドラ七索
西島は仕掛けを入れていたが撤退。柴田はドラを打てばテンパイだったが、自分がアガるよりも西島の素点を削りたい場面なので引いた。石立のアガり牌は山に残っておらず、最後の親番の平野も粘り2人テンパイ。3人掛かりで西島に楽をさせない。
南2局1本場、7巡目柴田仕掛けチーテン
一万二万三万八万九万七索八索九索白白  チー四万 左向き五万 上向き六万 上向き  ドラ白
親番平野がリーチ。三索を引いての二索五索待ち。西島の素点を削ることを考えればここも引く手もあったが、柴田は三索を押した。直後の平野、七万を掴み3,900。もうこうなると理屈ではないだろう。柴田の勝負感覚で三索を通しアガり切った。
3人テンパイの後の南3局1本場、親の石立4巡目リーチ。
三万四万六索六索六索七索八索九索白白中中中  ドラ五万
高目4,000オールで西島は沈む。石立が引いたのはドラの五万であった。4,000オール。遂に西島が原点を割った。
この時点で西島と柴田の差は3.7ポイント。まだ西島が上であるが、もうどう転ぶかわからない。
南3局2本場、柴田6巡目1シャンテン
一万二万九万九万一索三索七索七索七索二筒三筒四筒発  ドラ九万
打点的には条件を満たしているが形は厳しい。西島12巡目テンパイ。
三万四万五万七万八万四索五索六索二筒三筒四筒六筒六筒  ドラ九万
柴田もここまで育っていた。
一万二万九万九万九万一索三索七索七索七索一筒二筒三筒  ドラ九万
西島の六万九万は山に六万が2枚残り。柴田必死のツモもテンパイが入らない。親の石立は形式テンパイを入れる。こちらも必死だ。西島、柴田ともツモは後1回・・
西島の手元には六万が引き寄せられていた。事実上の決着の瞬間であった。
南4局、柴田の条件は1,600・3,200か5,200直撃であったが、もうそんな手を入れる力は残っていなかった。
優勝 西島一彦
後日、私は柴田の出勤日に道場へ行きこの決勝の話をした。柴田なりの見方や意見が聞け有意義であったと思う。私と柴田が卓に入っている時に平野が来た。最近はかなりの頻度で足を運んでいるようだ。平野は別卓に入り淡々と打牌を繰り返していた。私は特に声を掛けなかったが、その姿勢が実を結ぶこともあるであろう・・

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