第15期関西プロリーグ A・B・Cリーグ 第9節レポート

Aリーグ第9節:坂本誠裕

昨年2016年も残りわずかとなり、街も慌ただしくなる中、第9節が行われました。

A1卓(藤川・貫上・辻本・上村)
現在2位の貫上が更に加点するかが見所になるでしょうか。
結果は、貫上が+55.9Pで2位をガッチリキープ、1位も見える位置についた。

A2卓(坂本・佐々木・仁科・西原)
前回の失点により3位から引き離された坂本と、着実にプラスを重ねる仁科がどう立ち回るかが見所。
2回戦オーラス、少し間をおいて、佐々木から第一打目に「リーチ」の声。これに対して親の西原が数巡後にリーチをする。
先行に利ありかしっかり佐々木がツモって「2,000・4,000」の声。
佐々木の七対子の七筒待ちに対して、西原の一筒四筒七筒待ち、佐々木に軍配が上がるのが麻雀の面白いところでしょうか。
結果は坂本+55.9P、仁科 が+28.7Pとして最終節に望みを繋げた。

A3卓(花岡・森下・米川・勝間)
独走首位の花岡がどうたちまわるか?3位の森下がどうなるかが見所。
結果は、花岡、森下共に少し加点となり、大きな変動はありませんでした。
これで残りはあと1節!決勝戦の3席は誰が勝ち取るのか?楽しみな最終節になりました。

 

Bリーグ第9節:吉田圭吾

1卓(原田・上村・中安・城)
2卓(山中・掛樋・吉本・吉田圭)
3卓(宮田・稲岡・筒井・高谷)
4卓(松永・吉田哲・中川・山室)

Bリーグも第9節を入れてのこり2節、大詰めになってきました。第8節までの上位陣の成績は山中194.3P、吉田圭144.3P、宮田114.7P、稲岡105.3P。

2卓は山中と吉田圭の上位争い。1回戦目吉本、山中、吉田圭の3人浮きで半チャン終了しましたが途中山中がまさかの誤ロンをしてしまいました。
2回戦目は吉田圭が20.8Pのトップ、山中が10.7Pの浮きの2着。
追い上げムードになりましたが、3回戦吉田圭が吉本に国士無双を放銃してしまいました。▲45.2Pのマイナス。大きな痛手となる。
山中は▲4.0Pのマイナス。4回戦が終了してこの日トータルは山中が▲13.6P、吉田圭が▲5.7Pと少し差は縮まった。この日好調だった吉本が+85.3Pを叩いた。

3卓は宮田と稲岡の上位対決。宮田が31.8P、稲岡が▲16.2Pで宮田が制した。
これで第9節終了時の上位陣の成績は山中180.7P、宮田146.5P、吉田圭138.6P、稲岡89.1Pとなりました。最終戦はそれぞれが目標に向けた悔いのない麻雀を打ってほしいと思います。

 

Cリーグ第4節:坂上優


今回は『隙』という視点でレポートを作成致します。
対局中は、親やリーチをかけている人に目が行きがちです。
それは当然のことなのですが、そこをケアしつつ全体を見る必要があるのが、麻雀の醍醐味ではないでしょうか。

2回戦 東1局
坂上27,100、獅坂24,300、木下24,300、秋山22,300
7巡目、親坂上の手牌は下記でリーチをかけました。

一万二万三万一索一索三筒四筒六筒七筒八筒中中中  リーチ  ドラ三筒

捨て牌は
北白北九万 上向き五万 上向き発二万 左向き

7,700確定で、元気よく二万切りのリーチです。
全員様子見をしているように感じましたが、3巡後、対面秋山から「ロン」の声がありました。

秋山の手配
一万一万二万二万三万三万六万七万八万八万九万九万九万  ロン八万

よくよく見ると、マンズのホンイツのような捨て牌ではありましたが、親の捨て牌に目がいっている隙を突いた、ヤミテンでのアガリでした。
プロリーグ残りは1月の1回を残すのみとなりましたが、さてさてどの様になるでしょうか。

 

C2リーグ第4節:南田明宏

C2リーグもいよいよ佳境に入りました。最終節に向けて弾みをつけたい大事な闘いになりそうです。

1卓(中島・冨田・福原・伊原・高橋)
4回戦終了時 (中島▲19.5P 福原+33.1P 冨田▲12.1P 伊原▲39.4P 高橋+38.2P)
5回戦 (起家から冨田・伊原・福原・中島)

小場でゲームが進んだ南場3局4本場 12巡目福原の手牌は、

六筒七筒八筒発  ポン五筒 上向き五筒 上向き五筒 上向き  ポン南南南  ポン東東東  ドラ発

このテンパイです。そこに中島が押し返しのリーチが入ります。

中島の手牌
一索一索八索八索一筒一筒二筒三筒三筒発発中中  リーチ

両者とも勝負手となりめくり合いますが、流局となります。
この後も福原が点棒を積み重ねて5回戦を制しました。

2卓(中野・吉田・南田・前川)
今節は一期でC1に返り咲きたい中野と、なんとか昇級圏内に食い込みたい吉田が、終始ゲームを進め中野+27.5P、吉田+88.4Pを叩き出し両者昇級に一歩近づきました。
最終節ではどうなるのでしょうか?

関西プロリーグ レポート/第15期関西プロリーグ A・B・Cリーグ 第9節レポート

Aリーグ第9節:坂本誠裕
昨年2016年も残りわずかとなり、街も慌ただしくなる中、第9節が行われました。
A1卓(藤川・貫上・辻本・上村)
現在2位の貫上が更に加点するかが見所になるでしょうか。
結果は、貫上が+55.9Pで2位をガッチリキープ、1位も見える位置についた。
A2卓(坂本・佐々木・仁科・西原)
前回の失点により3位から引き離された坂本と、着実にプラスを重ねる仁科がどう立ち回るかが見所。
2回戦オーラス、少し間をおいて、佐々木から第一打目に「リーチ」の声。これに対して親の西原が数巡後にリーチをする。
先行に利ありかしっかり佐々木がツモって「2,000・4,000」の声。
佐々木の七対子の七筒待ちに対して、西原の一筒四筒七筒待ち、佐々木に軍配が上がるのが麻雀の面白いところでしょうか。
結果は坂本+55.9P、仁科 が+28.7Pとして最終節に望みを繋げた。
A3卓(花岡・森下・米川・勝間)
独走首位の花岡がどうたちまわるか?3位の森下がどうなるかが見所。
結果は、花岡、森下共に少し加点となり、大きな変動はありませんでした。
これで残りはあと1節!決勝戦の3席は誰が勝ち取るのか?楽しみな最終節になりました。
 
Bリーグ第9節:吉田圭吾
1卓(原田・上村・中安・城)
2卓(山中・掛樋・吉本・吉田圭)
3卓(宮田・稲岡・筒井・高谷)
4卓(松永・吉田哲・中川・山室)
Bリーグも第9節を入れてのこり2節、大詰めになってきました。第8節までの上位陣の成績は山中194.3P、吉田圭144.3P、宮田114.7P、稲岡105.3P。
2卓は山中と吉田圭の上位争い。1回戦目吉本、山中、吉田圭の3人浮きで半チャン終了しましたが途中山中がまさかの誤ロンをしてしまいました。
2回戦目は吉田圭が20.8Pのトップ、山中が10.7Pの浮きの2着。
追い上げムードになりましたが、3回戦吉田圭が吉本に国士無双を放銃してしまいました。▲45.2Pのマイナス。大きな痛手となる。
山中は▲4.0Pのマイナス。4回戦が終了してこの日トータルは山中が▲13.6P、吉田圭が▲5.7Pと少し差は縮まった。この日好調だった吉本が+85.3Pを叩いた。
3卓は宮田と稲岡の上位対決。宮田が31.8P、稲岡が▲16.2Pで宮田が制した。
これで第9節終了時の上位陣の成績は山中180.7P、宮田146.5P、吉田圭138.6P、稲岡89.1Pとなりました。最終戦はそれぞれが目標に向けた悔いのない麻雀を打ってほしいと思います。
 
Cリーグ第4節:坂上優

今回は『隙』という視点でレポートを作成致します。
対局中は、親やリーチをかけている人に目が行きがちです。
それは当然のことなのですが、そこをケアしつつ全体を見る必要があるのが、麻雀の醍醐味ではないでしょうか。
2回戦 東1局
坂上27,100、獅坂24,300、木下24,300、秋山22,300
7巡目、親坂上の手牌は下記でリーチをかけました。
一万二万三万一索一索三筒四筒六筒七筒八筒中中中  リーチ  ドラ三筒
捨て牌は
北白北九万 上向き五万 上向き発二万 左向き
7,700確定で、元気よく二万切りのリーチです。
全員様子見をしているように感じましたが、3巡後、対面秋山から「ロン」の声がありました。
秋山の手配
一万一万二万二万三万三万六万七万八万八万九万九万九万  ロン八万
よくよく見ると、マンズのホンイツのような捨て牌ではありましたが、親の捨て牌に目がいっている隙を突いた、ヤミテンでのアガリでした。
プロリーグ残りは1月の1回を残すのみとなりましたが、さてさてどの様になるでしょうか。
 
C2リーグ第4節:南田明宏
C2リーグもいよいよ佳境に入りました。最終節に向けて弾みをつけたい大事な闘いになりそうです。
1卓(中島・冨田・福原・伊原・高橋)
4回戦終了時 (中島▲19.5P 福原+33.1P 冨田▲12.1P 伊原▲39.4P 高橋+38.2P)
5回戦 (起家から冨田・伊原・福原・中島)
小場でゲームが進んだ南場3局4本場 12巡目福原の手牌は、
六筒七筒八筒発  ポン五筒 上向き五筒 上向き五筒 上向き  ポン南南南  ポン東東東  ドラ発
このテンパイです。そこに中島が押し返しのリーチが入ります。
中島の手牌
一索一索八索八索一筒一筒二筒三筒三筒発発中中  リーチ
両者とも勝負手となりめくり合いますが、流局となります。
この後も福原が点棒を積み重ねて5回戦を制しました。
2卓(中野・吉田・南田・前川)
今節は一期でC1に返り咲きたい中野と、なんとか昇級圏内に食い込みたい吉田が、終始ゲームを進め中野+27.5P、吉田+88.4Pを叩き出し両者昇級に一歩近づきました。
最終節ではどうなるのでしょうか?

第11期女流桜花決定戦 二日目観戦記 藤原 隆弘

2日目の朝も心地よい快晴だった。この1週間で松岡は気持ちを立て直すことができただろうか。
今日はなんとか食らいついて行って欲しいと思いながら私は会場に向かった。

 

100

 

5回戦
(起親から魚谷―松岡―宮内―仲田)
東1局は松岡がタンヤオのポンテンで1人テンパイ。
迎えた親番では発をイチ鳴きして仕掛け倒れにはなったが、相手3人を対応させての全員ノーテンでここまでは良かった。

東3局2本場、親の宮内5巡目に発のポンテン、テンパイ打牌のドラ七索を仲田もポンテン。

宮内捨牌
西東二筒 上向き五筒 上向き七索 上向き

手牌
三万四万五万六万七万二索三索四索中中  ポン発発発  ドラ七索

仲田捨牌
東一筒 上向き四筒 上向き八万 上向き九索 上向き

手牌
二万三万四万六万七万八万八索八索六筒七筒  ポン七索 上向き七索 上向き七索 上向き

宮内有利かと思いきや、北家の松岡が八筒で仲田に放銃。

松岡手牌
五万七万二索三索四索四索五索一筒一筒三筒五筒五筒六筒八筒

ここからの八筒打ちだったが、ここは慎重に一筒切りで受けに回るべきだった。
ドラを切った親の宮内はほぼ間違いなくテンパイだし、仲田はまだテンパイではないかも知れないがアタれば高い。
何より松岡の手はスピードも打点もこの局面で割り込むに値しないから、ここは2人の勝負にさせておく場面でそうすれば必ず次にまたチャンスが来る。
こんな放銃をしていてはまた今日も辛い日になってしまいそうだ。

 

100

 

西家の松岡がテンパイ一番乗りもリーチはかけない。

四索五索六索六索七索八索一筒一筒一筒三筒五筒六筒七筒

仲田から二筒が打たれドラの九筒を引いてドラ単騎にマチ変えしてリーチと行く。
親の仲田にドラが1枚浮いていたがその九筒が重なっての追いかけリーチ。

二万三万四万六万六万六万七索八索四筒五筒六筒九筒九筒  リーチ

もし松岡が二筒三筒待ちで即リーチだったら、1,300だけど仲田は必ず二筒で放銃していた。
前局の悪い放銃が、早いけど安いリーチを打てなくしてしまう悪循環をもたらすのだ。
こうなれば決果は明白で、松岡が九索を掴んでまた仲田に7,700

東4局1本場では、南家・魚谷の手が凄い。八索二索と切り出した2巡目で、

八万八万三筒東南西西発発発中中中  ドラ八万

ドラの八万を2枚落とすことはないだろうが、最高に仕上がれば字一色、大三元、四暗刻までありますよね。4巡目にツモった発は、目立たせないようにカンをしないでツモ切る。
仲田の連荘中なので、あまりのんびりしていられないと、オタ風の西からイチ鳴きしてマンズのホンイツに向かうと8巡目にテンパイ。

五万七万八万八万発発発中中中  ポン西西西

東南を重ねて、三倍満をツモアガリたかっただろうがこれでも跳満ある。
ここに飛び込んだのが松岡。前巡この形から

四万四万六万八万九万九万三索三索四索五索三筒五筒五筒  ツモ中

魚谷の仕掛けに対して生牌の中をツモ切りしたので危ないなと思っていたが、次巡五索をツモると六万に手をかけた。
松岡の手はまだ七対子1シャンテンでドラが1枚しか無い、四索三筒も2枚切れているから、このどちらかを切るべきでありそれでもアガリへの期待は薄いから受けるべき局面だ。
ドラが2枚ある七対子のテンパイをして、六万マチではアガリにくいから出やすい単騎にして、勝負に出た結果の放銃ならば仕方ないのだが、相手の速度も手役も打点も自分の手牌との兼ね合いや状態の悪さも考慮されていない。
またも見合わない放銃で持ち点は3,700に、松岡今日も初戦から大きく置いて行かれた。

南1局は宮内がヤミテンで仲田から5,200で3人浮きに。

四万四万一索二索三索四索五索六索七索八索九索二筒二筒  ドラ八索

南3局は3着目宮内の親。かろうじて30,000点をキープしているが、仲田と魚谷のトップ争いの展開でこれ以上置いて行かれる訳にはいかない。
しかし、松岡が2フーロでマンズホンイツをテンパイ、魚谷も松岡より先の7巡目に三色テンパイ。

松岡
四万四万四万七万八万白白  ポン北北北  チー六万 左向き五万 上向き七万 上向き

魚谷
一万三万一索二索三索七索七索七索一筒二筒三筒発発

この時親の宮内の手は

二万六万一索一索二索三索四索五索六索三筒四筒五筒南

二万六万もアタリで南は生牌、宮内の親は風前の灯だと思われたが、ここからの宮内は慌てず騒がずA1並みの粘りの打ち回し。魚谷がオリて二万が通り、六万を使いきり最後のツモでしぶとくテンパイに漕ぎ着けた。
魚谷がリーチと行かず冷静にヤミテンにしたのも正解で松岡のロン牌六万を引いてピンポイントでヤメたのは流石「カン六万からのチーだからドラマタギの六万九万マチが残っている筈。」と
読みもピッタシビンゴ。宮内と魚谷の好プレーが光った1局だった。

 

100
100

 

1本場、苦心の連荘の甲斐あって宮内先制リーチ。

五万五万二索三索四索六索七索五筒五筒五筒七筒七筒七筒  リーチ  ドラ九万

魚谷追いかけリーチの宣言牌が捕まる。

2本場、またも魚谷のヤミテンと松岡の仕掛け。

魚谷
二万二万五万六万三索三索三索二筒三筒四筒南南南  ドラ一万

松岡
一万一万三万五万六万六万九万九万東東  ポン発発発

マンズの高いこの局、宮内が果敢に割り込み2フーロ

一万三万四万四万五万四筒五筒六筒  チー六索 左向き七索 上向き八索 上向き  ポン中中中

ここから打点の高い四万切りのドラ単騎とせず、五万切りとしてカン二万マチに取り、見事ツモアガる。
細い蜘蛛の糸をたぐり寄せるような連荘で、僅かながらトップ目まで抜けた。

オーラスは、仲田がヤミテンの白単騎で七対子を宮内から直撃するなどでトップ目に、宮内は再び3着目となっていた。

南4局5本場

親の仲田が6巡目から好形1シャンテンで、今にもリーチがかかりそうなのになかなかテンパイしない。

五万五万五万六万七万五索六索六索七筒八筒南南南  ドラ八筒

アガればトップの魚谷も、なかなか手が進まないので11巡目に仕掛けた。

七万八万七索九索九索三筒四筒五筒七筒九筒白白中

ここから仲田の切った八索をチーして1シャンテン。
ノーテン、テンパイでもトップがかわるし、仲田へのプレッシャーをかけることにもなるからだろうが、諦めずに逆転のチャンスを伺っていた宮内がツモ切りリーチだ。
前巡に、ドラ八筒単騎の七対子をテンパイしていた宮内、なぜかヤミテンで1巡回し、魚谷がチーすると決断良くリーチと行き見事一発で八筒を引き当てた3,000・6,000。
2人まとめてひと捲りで逆転トップだ!即リーチなら仕掛けが入らないから、ツモアガリできたかどうかわからない。素晴らしい感性と勝負感だった。

100

 

5回戦成績
宮内+24.2P 魚谷+9.5P 仲田+5.0P 松岡▲38.7P

トータル成績
仲田+56.6P 魚谷+53.4P 宮内+7.9P 松岡▲118.9P

仲田と魚谷のマッチレースの様相にトータルをプラスに持ち込んだ宮内が追いすがる。

 

6回戦
(起親から仲田―松岡―宮内―魚谷)

東1局、親の仲田に疑問手が出る。

100

一万三万四万五万六万八万二索三索三索四索五索六索六索  ドラ四万

ここに五索をツモるが、一索マチがとても良く見えたのか五索をツモ切り、タンヤオ確定形に構えないおかげで魚谷の捨てたカン七万をチーテンに取れず1,000オールのアガリ逃し。
それでも他家の進行が遅く、局面は長引いて全員テンパイ。仲田も四索五万を引いてこうなったがもうアガリまでは望めないはずだった。

三万四万五万五万六万二索三索三索四索四索五索六索六索

松岡が最後のツモでこうなった。

二万四万七万七万七万一筒二筒二筒三筒三筒三筒四筒四筒五筒

二万は宮内と魚谷の2人にアタリで、テンパイを維持すれば必ず放銃。松岡が迷いながら手をかけたのは暗刻の七万で仲田望外の5,800。
負債を抱えすぎてノーテン罰府も払いたくない気持ちはわかるが、悪い状態の時ほど我慢だ。ここは堪えて一筒を抜いてほしかった。

100

1本場では3人の手がぶつかる。
13巡目に仲田が高めツモで6,000オールのリーチ。

三万三万五万六万七万八万九万四索五索六索四筒五筒六筒  リーチ  ドラ六索

続いて宮内がここは闘わなければと勇敢に追いかける。

一万二万三万五万六万七万六索七索七筒八筒九筒北北  リーチ

ならばと魚谷も追いかける。

二万三万七万八万九万一索二索三索七索八索九索西西  リーチ

見ごたえのあるめくり合いは、宮内が仲田から打ち取って3,900。

南場に入って仲田の親番。西家・宮内から6巡目リーチ。

三万四万五万四索四索四索一筒三筒八筒八筒北北北  リーチ  ドラ北

リーチ一発目に五筒ツモ切りで出やすくなった。ベタオリの松岡が手詰まりでデキ面子から二筒を抜いての8,000放銃は痛すぎる。

南3局は、持ち点47,500の1人浮きとした宮内の親番。

勢いに乗じて得点を積み重ねるべく、ソーズホンイツに進み8巡目のポンテンからトイトイに変化。

四索四索九索九索北北北白白白  ポン五索 上向き五索 上向き五索 上向き

ツモれば6,000オールで、トータルトップまで突き抜ける。宮内もツモる指に力が入るが、宮内のソーズ寄せの裏で仲田がピンズに寄せ返し、メンホンテンパイを入れた。

二筒三筒三筒四筒四筒五筒七筒八筒九筒九筒西西西

宮内のマチが山に3枚、仲田のマチが4枚残りの勝負局は、宮内が九筒を掴んで仲田が浮きの2着に。

100

オーラスは魚谷が1回連荘して持ち点を30,500としたが、1本場で仲田との仕掛け合いに敗れ僅かにマイナス。
仲田は宮内のトップを捲るより、自分と競っている魚谷を沈めて終わらせることを優先したようだ。

6回戦成績
宮内+15.5P仲田+10.2P魚谷▲4.8P松岡▲20.9P

トータル成績
仲田+66.8P魚谷+48.6P宮内+23.4P松岡▲139.8P

丁度半分の6回戦が終了。宮内の連勝で三つ巴の状況になってきた。
松岡1人が6戦5ラスと大敗。本人もここまで最悪の結果は想定外だったであろう。

 

7回戦
(起親から 松岡―宮内―魚谷―仲田)

東1局は親の松岡の甘い放銃から始まった。
南家・宮内のソーズホンイツ仕掛けに、七対子のみの1シャンテンで、一度止めた八索を宮内のテンパイまで待ってから3,900放銃。
ところが、次局から松岡に手が入り始めた。

東2局、松岡7巡目にリーチで、2,000・3,900をアガリ宮内が親カブリ。

四万五万六索六索六索三筒四筒五筒五筒六筒七筒発発  リーチ  ドラ発  ツモ三万

東3局は魚谷の親。

魚谷がダブ東ポンテンの5,800。

一万三万四万五万六万七万八万九万四索四索  ポン東東東

この後、松岡の切った四索をスルーしたことを魚谷は後悔していた。
ポンすればアガリ点は半分になるが、三万六万九万の3面張、次に二万五万八万にも変わる。
すると松岡から高目タンピン三色のリーチが来て、高目の七筒を掴み放銃したのだ。

100

ポンしていても松岡に同じテンパイが入り3,000・6,000の親カブリだったようだが、松岡がアガリは3人とも問題なしで、1人で満貫打つよりは親カブリのほうがマシだったのだろう。
私の見解はポンしないのが悪いのでは無く、ポンしなかった結果、リーチが入り危険牌を掴んだのなら、現物の雀頭を落として回る選択があったのでは?と思うのだがどうだろう。

南1局は松岡1人浮きの親番でリーチ。

四万五万六万六索七索八索五筒六筒七筒七筒北北北  リーチ  ドラ北

さらに親の満貫の上乗せかと思われたが、魚谷が白ポンで仕掛け同テンをツモ300・500と松岡の親をける。

トータルの状況から、他の3人は松岡がトップならそれで良し、無理に捲る必要無しで、他の2人を沈めて2着を取ればOKとなる。
南2局の親で連荘し、僅かに浮いた宮内。その1本場で仲田6巡目のリーチ。

三万三万三万五万六万七万八万九万五索五索五筒六筒七筒  リーチ  ドラ三万

早いドラ暗刻リーチで山に6枚残り。これを当たり前のようにツモアガリまたもプラスの2着に。

南3局ラス目魚谷の親。松岡への満貫放銃の後、ここまで我慢の魚谷にようやく先制リーチ。

二万二万二万三万三万四万四万四万三筒三筒四筒五筒六筒  リーチ  ドラ七索

ツモれば三暗刻で満貫、三万が出ても7,700だ。
このリーチに仲田が三索チーテンで無スジの四索を勝負。

六万七万七索七索八索八索八索五筒六筒七筒  チー三索 左向き二索 上向き四索 上向き

直ぐに八万をツモ1,000・2,000で浮きの2着を決定づけた。
初日から仲田は魚谷を一番マークしているようで、魚谷の親番には特に辛く厳しく打っているようだ。

7回戦成績
松岡+18.3P仲田+9.0P宮内▲9.0P魚谷▲18.3P

トータル成績
仲田+75.8P魚谷+30.3P宮内+14.4P松岡▲121.5P

松岡がようやく初トップを取れたが、ここまでほぼ仲田の戦略通りに展開している感がある。
魚谷と宮内は追いすがることができるだろうか?

 

8回戦
(宮内―松岡―仲田―魚谷)

東1局は北家・魚谷が先制リーチ。

三万四万三索四索五索三筒四筒五筒七筒七筒白白白  リーチ  ドラ八筒

最後の半荘は私が獲るという気迫も、仲田が1枚切れの西でホンイツ仕掛けの松岡に3.900放銃。
魚谷は是非アガリたかったろうが、仲田がラス目になるならばまだ良しか。

東3局と進み、仲田の親、松岡が36,100点持ちの1人浮きで仲田ラス目だが、5巡目に七対子ドラ単騎リーチ。
この決定戦では仲田の沈んでいる状態からの一発復活を何度見たか。

二万二万三万三万四万四万七万九万九万四索四索九筒九筒  リーチ  ドラ七万

いとも簡単に七万を引き寄せて、ラス抜けどころか一気にトップに立ち、宮内、魚谷を大きく大きく引き離す6,000オールだ。

 

100

 

続く1本場でも、

四索五索六索八索八索八索五筒五筒五筒七筒八筒西西  リーチ  ドラ七筒

8巡目リーチで即ツモでダメ押し。
さらに2本場でも足止め気味のリーチ

七万八万九万五索六索七索一筒一筒四筒五筒六筒南南  リーチ  ドラ四万

ここはドラ暗刻の宮内が追いかける。

四万四万四万五万六万二索三索四索一筒二筒三筒五筒七筒  リーチ

ベタオリの松岡が手詰まりで両者の後スジになった六筒をオリ打ちしてまたも沈没。

南1局、親の宮内が2フーロでトイトイテンパイ。

四万四万三筒三筒三筒八筒八筒  ポン二万 上向き二万 上向き二万 上向き  ポン東東東  ドラ五索

魚谷にもテンパイが入る。

四万五万六万六万七万八万三索四索五索六索六索七筒八筒

六筒が2枚九筒が3枚出ていて、宮内の現物なだけにヤミテン。仲田から高目六筒がこぼれた。
仲田から打ち取れたことは一筋の光明。

続く南2局、魚谷は二万をポンしてマンズチンイツのテンパイに持ち込む。

一万一万一万四万四万四万五万七万八万九万  ポン二万 上向き二万 上向き二万 上向き  ドラ六索

まだ1枚も余らないのが良かった、ドラの六索発の後付けで、チーテンを入れた仲田から直撃できて浮きに回った。

南3局は、宮内が2フーロのホンイツを松岡から3,900出アガリし宮内も浮いた。
2人共まだまだ追撃を諦めない。

オーラスの親は魚谷。

3者の持ち点は、仲田40,000、魚谷33,600、宮内31,900

ラス目の松岡に早いピンフテンパイが入るが、これでアガるわけにはいかないので何とか高目三色に作り直してリーチ。
宣言牌の五筒を仲田がチーして形式テンパイを入れる。宮内に言わせると、これが「殺人チー」だった。
先にテンパイを入れていた宮内。

二筒三筒三筒四筒四筒五筒七筒八筒九筒南北北北  ドラ四筒

魚谷が1枚切っている南単騎でヤミテンしていた。ツモか仲田直撃でトップだが、仲田のチーで余計な七筒がきた。宮内はここで松岡への放銃を嫌い南切りとしたが七筒単騎ではアガリが難しい。
松岡のリーチは立場上安いわけがないので、放銃すればダメージが大きいが、宮内ならここは思い切りよく闘うと思った。
ラス親の魚谷は、テンパイには遠過ぎたので、浮き守りを重視してオリたがこれは仕方ないと思う。

100

しかし、宮内は逆転手をテンパイしていたのだから、ここは危険を犯しても勝負に出て欲しかった。
もし仲田のチーがなかったら、宮内のツモは七筒ではなくて六筒三筒六筒九筒のマチは見えているだけで残り2枚しか無いから、マチ変えせずに現物の九筒を切るだろう、すると次に南をツモって逆転トップだった。
七筒を引いたこの場面でも最強手は南単騎のまま追いかけリーチ、松岡からの跳満で逆転トップとなっていた。

8回戦成績
仲田+19.0P宮内+5.9P魚谷+1.6P松岡▲27.5P

トータル成績
仲田+94.8魚谷+31.9P宮内+20.3P松岡▲149.0P

仲田がリードを広げ2日目が終了した。ラス無しで連帯を外した3着が1回だけという安定感は崩れそうに無い。このまま逃げ切ってしまうのだろうか?
宮内「70Pの差はあって無いようなもの。」
魚谷「最後は60Pの差を受け入れてオリました。最終日宮内さんと一諸に必ず追いかけます。」

私なんかから見ればかなりの大差に思えるけど、この2人が言うと決して強がりに聞こえないのだ。
このままでは終わらない、きっと何かが起こりそうな最終日に期待したい。

女流プロリーグ(女流桜花) 決勝観戦記/第11期女流桜花決定戦 二日目観戦記 藤原 隆弘

2日目の朝も心地よい快晴だった。この1週間で松岡は気持ちを立て直すことができただろうか。
今日はなんとか食らいついて行って欲しいと思いながら私は会場に向かった。
 
100
 
5回戦
(起親から魚谷―松岡―宮内―仲田)
東1局は松岡がタンヤオのポンテンで1人テンパイ。
迎えた親番では発をイチ鳴きして仕掛け倒れにはなったが、相手3人を対応させての全員ノーテンでここまでは良かった。
東3局2本場、親の宮内5巡目に発のポンテン、テンパイ打牌のドラ七索を仲田もポンテン。
宮内捨牌
西東二筒 上向き五筒 上向き七索 上向き
手牌
三万四万五万六万七万二索三索四索中中  ポン発発発  ドラ七索
仲田捨牌
東一筒 上向き四筒 上向き八万 上向き九索 上向き
手牌
二万三万四万六万七万八万八索八索六筒七筒  ポン七索 上向き七索 上向き七索 上向き
宮内有利かと思いきや、北家の松岡が八筒で仲田に放銃。
松岡手牌
五万七万二索三索四索四索五索一筒一筒三筒五筒五筒六筒八筒
ここからの八筒打ちだったが、ここは慎重に一筒切りで受けに回るべきだった。
ドラを切った親の宮内はほぼ間違いなくテンパイだし、仲田はまだテンパイではないかも知れないがアタれば高い。
何より松岡の手はスピードも打点もこの局面で割り込むに値しないから、ここは2人の勝負にさせておく場面でそうすれば必ず次にまたチャンスが来る。
こんな放銃をしていてはまた今日も辛い日になってしまいそうだ。
 
100
 
西家の松岡がテンパイ一番乗りもリーチはかけない。
四索五索六索六索七索八索一筒一筒一筒三筒五筒六筒七筒
仲田から二筒が打たれドラの九筒を引いてドラ単騎にマチ変えしてリーチと行く。
親の仲田にドラが1枚浮いていたがその九筒が重なっての追いかけリーチ。
二万三万四万六万六万六万七索八索四筒五筒六筒九筒九筒  リーチ
もし松岡が二筒三筒待ちで即リーチだったら、1,300だけど仲田は必ず二筒で放銃していた。
前局の悪い放銃が、早いけど安いリーチを打てなくしてしまう悪循環をもたらすのだ。
こうなれば決果は明白で、松岡が九索を掴んでまた仲田に7,700
東4局1本場では、南家・魚谷の手が凄い。八索二索と切り出した2巡目で、
八万八万三筒東南西西発発発中中中  ドラ八万
ドラの八万を2枚落とすことはないだろうが、最高に仕上がれば字一色、大三元、四暗刻までありますよね。4巡目にツモった発は、目立たせないようにカンをしないでツモ切る。
仲田の連荘中なので、あまりのんびりしていられないと、オタ風の西からイチ鳴きしてマンズのホンイツに向かうと8巡目にテンパイ。
五万七万八万八万発発発中中中  ポン西西西
東南を重ねて、三倍満をツモアガリたかっただろうがこれでも跳満ある。
ここに飛び込んだのが松岡。前巡この形から
四万四万六万八万九万九万三索三索四索五索三筒五筒五筒  ツモ中
魚谷の仕掛けに対して生牌の中をツモ切りしたので危ないなと思っていたが、次巡五索をツモると六万に手をかけた。
松岡の手はまだ七対子1シャンテンでドラが1枚しか無い、四索三筒も2枚切れているから、このどちらかを切るべきでありそれでもアガリへの期待は薄いから受けるべき局面だ。
ドラが2枚ある七対子のテンパイをして、六万マチではアガリにくいから出やすい単騎にして、勝負に出た結果の放銃ならば仕方ないのだが、相手の速度も手役も打点も自分の手牌との兼ね合いや状態の悪さも考慮されていない。
またも見合わない放銃で持ち点は3,700に、松岡今日も初戦から大きく置いて行かれた。
南1局は宮内がヤミテンで仲田から5,200で3人浮きに。
四万四万一索二索三索四索五索六索七索八索九索二筒二筒  ドラ八索
南3局は3着目宮内の親。かろうじて30,000点をキープしているが、仲田と魚谷のトップ争いの展開でこれ以上置いて行かれる訳にはいかない。
しかし、松岡が2フーロでマンズホンイツをテンパイ、魚谷も松岡より先の7巡目に三色テンパイ。
松岡
四万四万四万七万八万白白  ポン北北北  チー六万 左向き五万 上向き七万 上向き
魚谷
一万三万一索二索三索七索七索七索一筒二筒三筒発発
この時親の宮内の手は
二万六万一索一索二索三索四索五索六索三筒四筒五筒南
二万六万もアタリで南は生牌、宮内の親は風前の灯だと思われたが、ここからの宮内は慌てず騒がずA1並みの粘りの打ち回し。魚谷がオリて二万が通り、六万を使いきり最後のツモでしぶとくテンパイに漕ぎ着けた。
魚谷がリーチと行かず冷静にヤミテンにしたのも正解で松岡のロン牌六万を引いてピンポイントでヤメたのは流石「カン六万からのチーだからドラマタギの六万九万マチが残っている筈。」と
読みもピッタシビンゴ。宮内と魚谷の好プレーが光った1局だった。
 

100
100

 
1本場、苦心の連荘の甲斐あって宮内先制リーチ。
五万五万二索三索四索六索七索五筒五筒五筒七筒七筒七筒  リーチ  ドラ九万
魚谷追いかけリーチの宣言牌が捕まる。
2本場、またも魚谷のヤミテンと松岡の仕掛け。
魚谷
二万二万五万六万三索三索三索二筒三筒四筒南南南  ドラ一万
松岡
一万一万三万五万六万六万九万九万東東  ポン発発発
マンズの高いこの局、宮内が果敢に割り込み2フーロ
一万三万四万四万五万四筒五筒六筒  チー六索 左向き七索 上向き八索 上向き  ポン中中中
ここから打点の高い四万切りのドラ単騎とせず、五万切りとしてカン二万マチに取り、見事ツモアガる。
細い蜘蛛の糸をたぐり寄せるような連荘で、僅かながらトップ目まで抜けた。
オーラスは、仲田がヤミテンの白単騎で七対子を宮内から直撃するなどでトップ目に、宮内は再び3着目となっていた。
南4局5本場
親の仲田が6巡目から好形1シャンテンで、今にもリーチがかかりそうなのになかなかテンパイしない。
五万五万五万六万七万五索六索六索七筒八筒南南南  ドラ八筒
アガればトップの魚谷も、なかなか手が進まないので11巡目に仕掛けた。
七万八万七索九索九索三筒四筒五筒七筒九筒白白中
ここから仲田の切った八索をチーして1シャンテン。
ノーテン、テンパイでもトップがかわるし、仲田へのプレッシャーをかけることにもなるからだろうが、諦めずに逆転のチャンスを伺っていた宮内がツモ切りリーチだ。
前巡に、ドラ八筒単騎の七対子をテンパイしていた宮内、なぜかヤミテンで1巡回し、魚谷がチーすると決断良くリーチと行き見事一発で八筒を引き当てた3,000・6,000。
2人まとめてひと捲りで逆転トップだ!即リーチなら仕掛けが入らないから、ツモアガリできたかどうかわからない。素晴らしい感性と勝負感だった。
100
 
5回戦成績
宮内+24.2P 魚谷+9.5P 仲田+5.0P 松岡▲38.7P
トータル成績
仲田+56.6P 魚谷+53.4P 宮内+7.9P 松岡▲118.9P
仲田と魚谷のマッチレースの様相にトータルをプラスに持ち込んだ宮内が追いすがる。
 
6回戦
(起親から仲田―松岡―宮内―魚谷)
東1局、親の仲田に疑問手が出る。
100
一万三万四万五万六万八万二索三索三索四索五索六索六索  ドラ四万
ここに五索をツモるが、一索マチがとても良く見えたのか五索をツモ切り、タンヤオ確定形に構えないおかげで魚谷の捨てたカン七万をチーテンに取れず1,000オールのアガリ逃し。
それでも他家の進行が遅く、局面は長引いて全員テンパイ。仲田も四索五万を引いてこうなったがもうアガリまでは望めないはずだった。
三万四万五万五万六万二索三索三索四索四索五索六索六索
松岡が最後のツモでこうなった。
二万四万七万七万七万一筒二筒二筒三筒三筒三筒四筒四筒五筒
二万は宮内と魚谷の2人にアタリで、テンパイを維持すれば必ず放銃。松岡が迷いながら手をかけたのは暗刻の七万で仲田望外の5,800。
負債を抱えすぎてノーテン罰府も払いたくない気持ちはわかるが、悪い状態の時ほど我慢だ。ここは堪えて一筒を抜いてほしかった。
100
1本場では3人の手がぶつかる。
13巡目に仲田が高めツモで6,000オールのリーチ。
三万三万五万六万七万八万九万四索五索六索四筒五筒六筒  リーチ  ドラ六索
続いて宮内がここは闘わなければと勇敢に追いかける。
一万二万三万五万六万七万六索七索七筒八筒九筒北北  リーチ
ならばと魚谷も追いかける。
二万三万七万八万九万一索二索三索七索八索九索西西  リーチ
見ごたえのあるめくり合いは、宮内が仲田から打ち取って3,900。
南場に入って仲田の親番。西家・宮内から6巡目リーチ。
三万四万五万四索四索四索一筒三筒八筒八筒北北北  リーチ  ドラ北
リーチ一発目に五筒ツモ切りで出やすくなった。ベタオリの松岡が手詰まりでデキ面子から二筒を抜いての8,000放銃は痛すぎる。
南3局は、持ち点47,500の1人浮きとした宮内の親番。
勢いに乗じて得点を積み重ねるべく、ソーズホンイツに進み8巡目のポンテンからトイトイに変化。
四索四索九索九索北北北白白白  ポン五索 上向き五索 上向き五索 上向き
ツモれば6,000オールで、トータルトップまで突き抜ける。宮内もツモる指に力が入るが、宮内のソーズ寄せの裏で仲田がピンズに寄せ返し、メンホンテンパイを入れた。
二筒三筒三筒四筒四筒五筒七筒八筒九筒九筒西西西
宮内のマチが山に3枚、仲田のマチが4枚残りの勝負局は、宮内が九筒を掴んで仲田が浮きの2着に。
100
オーラスは魚谷が1回連荘して持ち点を30,500としたが、1本場で仲田との仕掛け合いに敗れ僅かにマイナス。
仲田は宮内のトップを捲るより、自分と競っている魚谷を沈めて終わらせることを優先したようだ。
6回戦成績
宮内+15.5P仲田+10.2P魚谷▲4.8P松岡▲20.9P
トータル成績
仲田+66.8P魚谷+48.6P宮内+23.4P松岡▲139.8P
丁度半分の6回戦が終了。宮内の連勝で三つ巴の状況になってきた。
松岡1人が6戦5ラスと大敗。本人もここまで最悪の結果は想定外だったであろう。
 
7回戦
(起親から 松岡―宮内―魚谷―仲田)
東1局は親の松岡の甘い放銃から始まった。
南家・宮内のソーズホンイツ仕掛けに、七対子のみの1シャンテンで、一度止めた八索を宮内のテンパイまで待ってから3,900放銃。
ところが、次局から松岡に手が入り始めた。
東2局、松岡7巡目にリーチで、2,000・3,900をアガリ宮内が親カブリ。
四万五万六索六索六索三筒四筒五筒五筒六筒七筒発発  リーチ  ドラ発  ツモ三万
東3局は魚谷の親。
魚谷がダブ東ポンテンの5,800。
一万三万四万五万六万七万八万九万四索四索  ポン東東東
この後、松岡の切った四索をスルーしたことを魚谷は後悔していた。
ポンすればアガリ点は半分になるが、三万六万九万の3面張、次に二万五万八万にも変わる。
すると松岡から高目タンピン三色のリーチが来て、高目の七筒を掴み放銃したのだ。
100
ポンしていても松岡に同じテンパイが入り3,000・6,000の親カブリだったようだが、松岡がアガリは3人とも問題なしで、1人で満貫打つよりは親カブリのほうがマシだったのだろう。
私の見解はポンしないのが悪いのでは無く、ポンしなかった結果、リーチが入り危険牌を掴んだのなら、現物の雀頭を落として回る選択があったのでは?と思うのだがどうだろう。
南1局は松岡1人浮きの親番でリーチ。
四万五万六万六索七索八索五筒六筒七筒七筒北北北  リーチ  ドラ北
さらに親の満貫の上乗せかと思われたが、魚谷が白ポンで仕掛け同テンをツモ300・500と松岡の親をける。
トータルの状況から、他の3人は松岡がトップならそれで良し、無理に捲る必要無しで、他の2人を沈めて2着を取ればOKとなる。
南2局の親で連荘し、僅かに浮いた宮内。その1本場で仲田6巡目のリーチ。
三万三万三万五万六万七万八万九万五索五索五筒六筒七筒  リーチ  ドラ三万
早いドラ暗刻リーチで山に6枚残り。これを当たり前のようにツモアガリまたもプラスの2着に。
南3局ラス目魚谷の親。松岡への満貫放銃の後、ここまで我慢の魚谷にようやく先制リーチ。
二万二万二万三万三万四万四万四万三筒三筒四筒五筒六筒  リーチ  ドラ七索
ツモれば三暗刻で満貫、三万が出ても7,700だ。
このリーチに仲田が三索チーテンで無スジの四索を勝負。
六万七万七索七索八索八索八索五筒六筒七筒  チー三索 左向き二索 上向き四索 上向き
直ぐに八万をツモ1,000・2,000で浮きの2着を決定づけた。
初日から仲田は魚谷を一番マークしているようで、魚谷の親番には特に辛く厳しく打っているようだ。
7回戦成績
松岡+18.3P仲田+9.0P宮内▲9.0P魚谷▲18.3P
トータル成績
仲田+75.8P魚谷+30.3P宮内+14.4P松岡▲121.5P
松岡がようやく初トップを取れたが、ここまでほぼ仲田の戦略通りに展開している感がある。
魚谷と宮内は追いすがることができるだろうか?
 
8回戦
(宮内―松岡―仲田―魚谷)
東1局は北家・魚谷が先制リーチ。
三万四万三索四索五索三筒四筒五筒七筒七筒白白白  リーチ  ドラ八筒
最後の半荘は私が獲るという気迫も、仲田が1枚切れの西でホンイツ仕掛けの松岡に3.900放銃。
魚谷は是非アガリたかったろうが、仲田がラス目になるならばまだ良しか。
東3局と進み、仲田の親、松岡が36,100点持ちの1人浮きで仲田ラス目だが、5巡目に七対子ドラ単騎リーチ。
この決定戦では仲田の沈んでいる状態からの一発復活を何度見たか。
二万二万三万三万四万四万七万九万九万四索四索九筒九筒  リーチ  ドラ七万
いとも簡単に七万を引き寄せて、ラス抜けどころか一気にトップに立ち、宮内、魚谷を大きく大きく引き離す6,000オールだ。
 
100
 
続く1本場でも、
四索五索六索八索八索八索五筒五筒五筒七筒八筒西西  リーチ  ドラ七筒
8巡目リーチで即ツモでダメ押し。
さらに2本場でも足止め気味のリーチ
七万八万九万五索六索七索一筒一筒四筒五筒六筒南南  リーチ  ドラ四万
ここはドラ暗刻の宮内が追いかける。
四万四万四万五万六万二索三索四索一筒二筒三筒五筒七筒  リーチ
ベタオリの松岡が手詰まりで両者の後スジになった六筒をオリ打ちしてまたも沈没。
南1局、親の宮内が2フーロでトイトイテンパイ。
四万四万三筒三筒三筒八筒八筒  ポン二万 上向き二万 上向き二万 上向き  ポン東東東  ドラ五索
魚谷にもテンパイが入る。
四万五万六万六万七万八万三索四索五索六索六索七筒八筒
六筒が2枚九筒が3枚出ていて、宮内の現物なだけにヤミテン。仲田から高目六筒がこぼれた。
仲田から打ち取れたことは一筋の光明。
続く南2局、魚谷は二万をポンしてマンズチンイツのテンパイに持ち込む。
一万一万一万四万四万四万五万七万八万九万  ポン二万 上向き二万 上向き二万 上向き  ドラ六索
まだ1枚も余らないのが良かった、ドラの六索発の後付けで、チーテンを入れた仲田から直撃できて浮きに回った。
南3局は、宮内が2フーロのホンイツを松岡から3,900出アガリし宮内も浮いた。
2人共まだまだ追撃を諦めない。
オーラスの親は魚谷。
3者の持ち点は、仲田40,000、魚谷33,600、宮内31,900
ラス目の松岡に早いピンフテンパイが入るが、これでアガるわけにはいかないので何とか高目三色に作り直してリーチ。
宣言牌の五筒を仲田がチーして形式テンパイを入れる。宮内に言わせると、これが「殺人チー」だった。
先にテンパイを入れていた宮内。
二筒三筒三筒四筒四筒五筒七筒八筒九筒南北北北  ドラ四筒
魚谷が1枚切っている南単騎でヤミテンしていた。ツモか仲田直撃でトップだが、仲田のチーで余計な七筒がきた。宮内はここで松岡への放銃を嫌い南切りとしたが七筒単騎ではアガリが難しい。
松岡のリーチは立場上安いわけがないので、放銃すればダメージが大きいが、宮内ならここは思い切りよく闘うと思った。
ラス親の魚谷は、テンパイには遠過ぎたので、浮き守りを重視してオリたがこれは仕方ないと思う。
100
しかし、宮内は逆転手をテンパイしていたのだから、ここは危険を犯しても勝負に出て欲しかった。
もし仲田のチーがなかったら、宮内のツモは七筒ではなくて六筒三筒六筒九筒のマチは見えているだけで残り2枚しか無いから、マチ変えせずに現物の九筒を切るだろう、すると次に南をツモって逆転トップだった。
七筒を引いたこの場面でも最強手は南単騎のまま追いかけリーチ、松岡からの跳満で逆転トップとなっていた。
8回戦成績
仲田+19.0P宮内+5.9P魚谷+1.6P松岡▲27.5P
トータル成績
仲田+94.8魚谷+31.9P宮内+20.3P松岡▲149.0P
仲田がリードを広げ2日目が終了した。ラス無しで連帯を外した3着が1回だけという安定感は崩れそうに無い。このまま逃げ切ってしまうのだろうか?
宮内「70Pの差はあって無いようなもの。」
魚谷「最後は60Pの差を受け入れてオリました。最終日宮内さんと一諸に必ず追いかけます。」
私なんかから見ればかなりの大差に思えるけど、この2人が言うと決して強がりに聞こえないのだ。
このままでは終わらない、きっと何かが起こりそうな最終日に期待したい。

第33期鳳凰位決定戦 優勝者予想

第33期鳳凰位決定戦優勝者予想
正解者の中から抽選で1名の方に、第33期鳳凰位獲得後の直筆サインをプレゼント致します。
また、応募された方の中から抽選で2名の方に、鳳凰位決定戦進出プロ寄せ書きサインをプレゼント致します。

応募方法:優勝すると思われるプロを記載し、こちら からご応募ください。

※1メールアドレスに対し、1応募とさせて頂きます。
※1メールアドレスより複数の応募があった場合、最後に応募されたもののみ受け付けられます。

なお当選者の発表は賞品の発送を以って代えさせて頂きます。

締め切り:2017年1月20日(金)

番号 名前 プロフィール 沢崎 HIRO 藤崎 前田 石渡 伊藤 編集部
1

勝又健志

17期生

第32期 鳳凰位
第2期 グランプリMAX

ロン2プロフィールこちら

2

前原雄大

1期生

第12・25期 鳳凰位
第14・15・24・25・26期 十段位
グランプリ2008 優勝

他多数

ロン2プロフィール

2

近藤久春

17期生

4

古川孝次

1期生

第16、17、18期 鳳凰位

ロン2プロフィールこちら


 

予想者コメント

沢崎誠
少し分けて頂きたいくらいの素晴らしい麻雀頭脳、現鳳凰位・勝又健志。A1レベルの対局を1年間お休みというハンデが少し気になります。
歴代鳳凰位・前原雄大、鳳凰位3連覇の古川孝次ですが、最後の一枠をゲットした運気の持ち主・古川さんがいつも以上に暴れるのでしょう。
A1在籍5年目、初の決勝戦進出!対戦者が歴代鳳凰位!と、厳しい条件の近藤久春ですが、この5年間で攻防のバランスレベルを上げ、手役作りもしっかりと破壊力も魅力です。
互角以上の勝負も出来るかと思います。
この組合せとなって運気が上がったように思う近藤さんを本命に、もう1人上昇運気の古川さんを対抗に予想しました。

◎ 近藤久春
○ 古川孝次

 

HIRO柴田
今回のメンバーは各々が麻雀へのアプローチ方が特徴的なのが魅力。
その中でも、今年様々な対局で活躍した鳳凰位勝又は死角なしとみている為、本命とさせてもらう。
対抗はリーグ戦での前原、近藤両者の安定感と比べて、古川はプラスとマイナスを大きく上下させて、最終節で見事に決定戦の切符を手に入れたのでここは古川に上昇運があるとみて対抗に。

◎ 勝又健志
○ 古川孝次

 

藤崎智
実力、実績共に文句なしの3人に初タイトルがかかる近藤の一戦。正直リーグ戦を勝ち上がった3人は強かった。3人共に完膚無きまでにやられたイメージしかない。従って、全く予想出来ないので応援を意味で印を付けた。
団体対抗戦でチームを優勝に導いてくれた勝又が本命。腰の重い近藤は今回のメンバー構成での展開的にも経験的にも有利な材料は見当たらないような気もするのだが、それでも今期の近藤なら何とかしてくれそうな気がする。
どちらにしても17期時代継続の予感。

◎ 勝又健志
○ 近藤久春

 

前田直哉
近年の近藤さんとは違いを見せる今年の麻雀を、この舞台でも出してくれれば十分にあると思う。
決定戦の経験の無いのか心配ではあるが、同期として期待したい。
安定感があり十分連覇もある。勝又君も同期なので17期の頑張りに期待したい。

◎ 近藤久春
○ 勝又健志

 

石渡正志
今回の4人はメンゼン良し、仕掛け良しであるが、終始安定していた前原か近藤を推したい。
勝又は実践感覚が、古川は体力的にどうかが鍵かと思う。

◎ 前原雄大
○ 近藤久春

 

伊藤優孝
気持としては同年代の古川、同郷秋田出身の近藤の頑張りに期待したいが…
今現在の勢いと麻雀力で前原と勝又が甲乙つけがたいと思う。
若さの利で本命は勝又。対抗に前原とします。

◎ 勝又健志
○ 前原雄大

 

編集部
最終節に滑り込んだ古川孝次。昨年は7年振りの決定戦ということで、三連覇した当時とは対戦数や日程(対戦間隔)の違いもあり、思うように戦えなかったのではないだろうか。
しかし今回は昨年をふまえて戦うため、思う存分暴れると予想する。
それに臨機応変に対応する前原が対抗とみる。
近藤は初の大舞台、勝又はリーグ戦を戦っていないというところが不安材料といったところか。

◎ 古川孝次
○ 前原雄大

プロリーグ(鳳凰戦)成績表/第33期鳳凰位決定戦 優勝者予想

第33期鳳凰位決定戦優勝者予想
正解者の中から抽選で1名の方に、第33期鳳凰位獲得後の直筆サインをプレゼント致します。
また、応募された方の中から抽選で2名の方に、鳳凰位決定戦進出プロ寄せ書きサインをプレゼント致します。
応募方法:優勝すると思われるプロを記載し、こちら からご応募ください。
※1メールアドレスに対し、1応募とさせて頂きます。
※1メールアドレスより複数の応募があった場合、最後に応募されたもののみ受け付けられます。
なお当選者の発表は賞品の発送を以って代えさせて頂きます。
締め切り:2017年1月20日(金)

番号 名前 プロフィール 沢崎 HIRO 藤崎 前田 石渡 伊藤 編集部
1

勝又健志
17期生
第32期 鳳凰位
第2期 グランプリMAX
ロン2プロフィールこちら
2

前原雄大
1期生
第12・25期 鳳凰位
第14・15・24・25・26期 十段位
グランプリ2008 優勝
他多数
ロン2プロフィール
2

近藤久春
17期生
4

古川孝次
1期生
第16、17、18期 鳳凰位
ロン2プロフィールこちら


 
予想者コメント
沢崎誠
少し分けて頂きたいくらいの素晴らしい麻雀頭脳、現鳳凰位・勝又健志。A1レベルの対局を1年間お休みというハンデが少し気になります。
歴代鳳凰位・前原雄大、鳳凰位3連覇の古川孝次ですが、最後の一枠をゲットした運気の持ち主・古川さんがいつも以上に暴れるのでしょう。
A1在籍5年目、初の決勝戦進出!対戦者が歴代鳳凰位!と、厳しい条件の近藤久春ですが、この5年間で攻防のバランスレベルを上げ、手役作りもしっかりと破壊力も魅力です。
互角以上の勝負も出来るかと思います。
この組合せとなって運気が上がったように思う近藤さんを本命に、もう1人上昇運気の古川さんを対抗に予想しました。
◎ 近藤久春
○ 古川孝次
 
HIRO柴田
今回のメンバーは各々が麻雀へのアプローチ方が特徴的なのが魅力。
その中でも、今年様々な対局で活躍した鳳凰位勝又は死角なしとみている為、本命とさせてもらう。
対抗はリーグ戦での前原、近藤両者の安定感と比べて、古川はプラスとマイナスを大きく上下させて、最終節で見事に決定戦の切符を手に入れたのでここは古川に上昇運があるとみて対抗に。
◎ 勝又健志
○ 古川孝次
 
藤崎智
実力、実績共に文句なしの3人に初タイトルがかかる近藤の一戦。正直リーグ戦を勝ち上がった3人は強かった。3人共に完膚無きまでにやられたイメージしかない。従って、全く予想出来ないので応援を意味で印を付けた。
団体対抗戦でチームを優勝に導いてくれた勝又が本命。腰の重い近藤は今回のメンバー構成での展開的にも経験的にも有利な材料は見当たらないような気もするのだが、それでも今期の近藤なら何とかしてくれそうな気がする。
どちらにしても17期時代継続の予感。
◎ 勝又健志
○ 近藤久春
 
前田直哉
近年の近藤さんとは違いを見せる今年の麻雀を、この舞台でも出してくれれば十分にあると思う。
決定戦の経験の無いのか心配ではあるが、同期として期待したい。
安定感があり十分連覇もある。勝又君も同期なので17期の頑張りに期待したい。
◎ 近藤久春
○ 勝又健志
 
石渡正志
今回の4人はメンゼン良し、仕掛け良しであるが、終始安定していた前原か近藤を推したい。
勝又は実践感覚が、古川は体力的にどうかが鍵かと思う。
◎ 前原雄大
○ 近藤久春
 
伊藤優孝
気持としては同年代の古川、同郷秋田出身の近藤の頑張りに期待したいが…
今現在の勢いと麻雀力で前原と勝又が甲乙つけがたいと思う。
若さの利で本命は勝又。対抗に前原とします。
◎ 勝又健志
○ 前原雄大
 
編集部
最終節に滑り込んだ古川孝次。昨年は7年振りの決定戦ということで、三連覇した当時とは対戦数や日程(対戦間隔)の違いもあり、思うように戦えなかったのではないだろうか。
しかし今回は昨年をふまえて戦うため、思う存分暴れると予想する。
それに臨機応変に対応する前原が対抗とみる。
近藤は初の大舞台、勝又はリーグ戦を戦っていないというところが不安材料といったところか。
◎ 古川孝次
○ 前原雄大

第5期東北王座リーグ 最終節成績

順位 名前 プロ/一般 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 石森 隆雄 プロ 51.8 38.6 99.2 136.8 28.3 354.7
2 新田 大輔 プロ   64.3 60.6 69.1 50.8 244.8
3 井上 美里 プロ 42.7 15.7 57.5 48.1 28.1 192.1
4 松平 幸司 一般 38.9 ▲ 2.4 7.8 69.5   113.8
5 菰原 明如 一般 71.1 42.2 ▲ 4.7   ▲ 34.6 74.0
6 藤本 修二 プロ         69.1 69.1
7 江川 明芳 一般   119.1 16.3 ▲ 69.3 ▲ 2.3 63.8
8 瀧田 亮 プロ 15.8 4.4 ▲ 45.5   83.5 58.2
9 佐藤 晃大 プロ 39.4 ▲ 38.5 24.3 ▲ 2.0 33.5 56.7
10 大類 大地 一般       31.0 1.7 32.7
11 大里 奈美 プロ ▲ 23.1   52.2     29.1
12 中井 章博 一般 ▲ 3.3   ▲ 16.7   44.2 24.2
13 鈴木 浩人 一般 ▲ 59.8 51.6 ▲ 10.9 41.1   22.0
14 及川 慶次 プロ ▲ 22.7 53.8 32.3   ▲ 50.6 12.8
15 岡本 卓也 プロ 23.5 ▲ 0.4 ▲ 10.8     12.3
16 皿山 正昴 一般 0.2 17.7   ▲ 43.0 29.1 4.0
17 遠藤 昭太 プロ 15.3 32.5 ▲ 20.9 6.4 ▲ 35.9 ▲ 2.6
18 伊藤 旭洋 一般 ▲ 5.3         ▲ 5.3
19 小野寺 豊 一般 27.3 4.6 6.7 ▲ 34.9 ▲ 9.3 ▲ 5.6
20 野家 龍治 プロ 26.6 ▲ 2.3   33.6 ▲ 66.3 ▲ 8.4
21 菊田 政俊 プロ   ▲ 21.2       ▲ 21.2
22 戸澤 桐子 一般 ▲ 31.8   ▲ 20.2 41.2 ▲ 12.1 ▲ 22.9
23 真木 杏奈 一般         ▲ 23.5 ▲ 23.5
24 安ケ平 浩希 プロ 46.0 ▲ 20.0 14.9 ▲ 48.9 ▲ 18.9 ▲ 26.9
25 高橋 大樹 一般 ▲ 57.5 54.5   ▲ 33.3 3.2 ▲ 33.1
26 杜 麻沙也 プロ 5.2 ▲ 30.3 ▲ 33.3 47.1 ▲ 23.5 ▲ 34.8
27 平元 久松 一般 ▲ 21.0 ▲ 23.3       ▲ 44.3
28 中村 和也 一般 18.9 ▲ 57.6 ▲ 6.9     ▲ 45.6
29 斉藤 一史 一般 ▲ 5.5 ▲ 38.1 ▲ 64.1   61.8 ▲ 45.9
30 粕谷 勇吉 プロ ▲ 29.8 53.7 ▲ 29.8 ▲ 2.4 ▲ 45.0 ▲ 53.3
31 葛岡 憂輔 一般 ▲ 7.4   ▲ 38.8 ▲ 53.6 38.0 ▲ 61.8
32 蓬田 一貴 一般       ▲ 47.9 ▲ 15.1 ▲ 63.0
33 早川 林香 プロ   ▲ 71.4 42.6   ▲ 36.5 ▲ 65.3
34 千田 諒 プロ ▲ 3.3 ▲ 4.4 ▲ 54.8   ▲ 10.6 ▲ 73.1
35 椎名 斗南 プロ 15.6 ▲ 66.2   ▲ 40.7   ▲ 91.3
36 佐々木 敏昭 一般 ▲ 89.1 12.3   ▲ 16.5   ▲ 93.3
37 高橋 裕幸 一般   ▲ 88.3   6.7 ▲ 37.3 ▲ 118.9
38 山口 康次 一般 ▲ 20.3   ▲ 86.6 ▲ 21.5   ▲ 128.4
39 佐々木 啓文 プロ ▲ 1.6 ▲ 57.0 ▲ 13.7 ▲ 100.0 15.1 ▲ 157.2
40 村上 正勝 一般 ▲ 34.1 ▲ 26.2 ▲ 65.6 ▲ 36.9   ▲ 162.8
41 今野 政弘 一般 ▲ 71.7 ▲ 61.1   ▲ 12.9 ▲ 45.6 ▲ 191.3

東北プロリーグ 成績表/第5期東北王座リーグ 最終節成績

順位 名前 プロ/一般 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 石森 隆雄 プロ 51.8 38.6 99.2 136.8 28.3 354.7
2 新田 大輔 プロ   64.3 60.6 69.1 50.8 244.8
3 井上 美里 プロ 42.7 15.7 57.5 48.1 28.1 192.1
4 松平 幸司 一般 38.9 ▲ 2.4 7.8 69.5   113.8
5 菰原 明如 一般 71.1 42.2 ▲ 4.7   ▲ 34.6 74.0
6 藤本 修二 プロ         69.1 69.1
7 江川 明芳 一般   119.1 16.3 ▲ 69.3 ▲ 2.3 63.8
8 瀧田 亮 プロ 15.8 4.4 ▲ 45.5   83.5 58.2
9 佐藤 晃大 プロ 39.4 ▲ 38.5 24.3 ▲ 2.0 33.5 56.7
10 大類 大地 一般       31.0 1.7 32.7
11 大里 奈美 プロ ▲ 23.1   52.2     29.1
12 中井 章博 一般 ▲ 3.3   ▲ 16.7   44.2 24.2
13 鈴木 浩人 一般 ▲ 59.8 51.6 ▲ 10.9 41.1   22.0
14 及川 慶次 プロ ▲ 22.7 53.8 32.3   ▲ 50.6 12.8
15 岡本 卓也 プロ 23.5 ▲ 0.4 ▲ 10.8     12.3
16 皿山 正昴 一般 0.2 17.7   ▲ 43.0 29.1 4.0
17 遠藤 昭太 プロ 15.3 32.5 ▲ 20.9 6.4 ▲ 35.9 ▲ 2.6
18 伊藤 旭洋 一般 ▲ 5.3         ▲ 5.3
19 小野寺 豊 一般 27.3 4.6 6.7 ▲ 34.9 ▲ 9.3 ▲ 5.6
20 野家 龍治 プロ 26.6 ▲ 2.3   33.6 ▲ 66.3 ▲ 8.4
21 菊田 政俊 プロ   ▲ 21.2       ▲ 21.2
22 戸澤 桐子 一般 ▲ 31.8   ▲ 20.2 41.2 ▲ 12.1 ▲ 22.9
23 真木 杏奈 一般         ▲ 23.5 ▲ 23.5
24 安ケ平 浩希 プロ 46.0 ▲ 20.0 14.9 ▲ 48.9 ▲ 18.9 ▲ 26.9
25 高橋 大樹 一般 ▲ 57.5 54.5   ▲ 33.3 3.2 ▲ 33.1
26 杜 麻沙也 プロ 5.2 ▲ 30.3 ▲ 33.3 47.1 ▲ 23.5 ▲ 34.8
27 平元 久松 一般 ▲ 21.0 ▲ 23.3       ▲ 44.3
28 中村 和也 一般 18.9 ▲ 57.6 ▲ 6.9     ▲ 45.6
29 斉藤 一史 一般 ▲ 5.5 ▲ 38.1 ▲ 64.1   61.8 ▲ 45.9
30 粕谷 勇吉 プロ ▲ 29.8 53.7 ▲ 29.8 ▲ 2.4 ▲ 45.0 ▲ 53.3
31 葛岡 憂輔 一般 ▲ 7.4   ▲ 38.8 ▲ 53.6 38.0 ▲ 61.8
32 蓬田 一貴 一般       ▲ 47.9 ▲ 15.1 ▲ 63.0
33 早川 林香 プロ   ▲ 71.4 42.6   ▲ 36.5 ▲ 65.3
34 千田 諒 プロ ▲ 3.3 ▲ 4.4 ▲ 54.8   ▲ 10.6 ▲ 73.1
35 椎名 斗南 プロ 15.6 ▲ 66.2   ▲ 40.7   ▲ 91.3
36 佐々木 敏昭 一般 ▲ 89.1 12.3   ▲ 16.5   ▲ 93.3
37 高橋 裕幸 一般   ▲ 88.3   6.7 ▲ 37.3 ▲ 118.9
38 山口 康次 一般 ▲ 20.3   ▲ 86.6 ▲ 21.5   ▲ 128.4
39 佐々木 啓文 プロ ▲ 1.6 ▲ 57.0 ▲ 13.7 ▲ 100.0 15.1 ▲ 157.2
40 村上 正勝 一般 ▲ 34.1 ▲ 26.2 ▲ 65.6 ▲ 36.9   ▲ 162.8
41 今野 政弘 一般 ▲ 71.7 ▲ 61.1   ▲ 12.9 ▲ 45.6 ▲ 191.3

第11期女流桜花決定戦 初日観戦記 藤原 隆弘

女流プロだけの権威あるタイトル戦を創ろうと2003年に創設されたのがBルール(一発裏アリ)で他団体の女流プロも参加できる「プロクイーン」。
その3年後の2006年に連盟女流だけのリーグ戦として創設されたのがAルールで行われる「女流桜花」だ。

女子だけの鳳凰位戦とも言える連盟女流ナンバーワンを決めるタイトル戦である。
昨年末、第1期から参加している宮内こずえが10期目にして涙の初載冠を果たした感動的フィナーレから1年。
ひと月半前にプロクイーンでも初優勝してダブルクラウンとなったばかりの宮内が早くも最初の防衛戦を迎えた。
初防衛に成功するようなら、桜花&QUEEN[宮内時代]の到来と言っても過言ではないだろう。
この女流桜花は宮内の前の9期までに6人のチャンピォンがいるが、二階堂亜樹、魚谷侑未、吾妻さおりの3人が連覇していて連覇率五割。
さて11期目の今回はどんな結末が待つのであろうか?

 

100
宮内こずえ
18期生 五段 愛媛県出身 O型
新人時代から人気女流として活躍、テレビマッチなどでは数回優勝していたが公式戦の優勝は昨年の女流桜花が初。
それだけに人一倍強い思い入れがあったのだろう、表彰式での涙には私も思わずもらい泣きをしてしまいそうだった。
元々攻撃力は強力なものを持っていたが、欠点だった攻守のバランスが良くなり、大きなタイトルを獲った自信と余裕も加わったようだ。
プロクイーンで見せた流れを掴んだ親番での怒涛の高打点連荘は驚異の一撃必殺。新KKT(クマクマタイムならぬコズコズタイム)か!

 

100
魚谷侑未
25期生 四段 新潟県出身 B型
プロ入り3年目の第6期で初優勝し7期も連覇、トップ女流の1人として第一線で活躍中、2年ぶり5回目の決勝。
今期は開幕戦で▲56.8Pと大きく躓いたが後半戦から怒涛の追い込みで堂々の1位通過。
「去年も開幕▲60Pスタートで追い上げ届かずでしたから今年もまたこの位置からかと全く気にしませんでした。」
「昨年後半から今のままだと勝ちきれないと思い、それまではほぼ毎局イニシアチブを取ってアガリに向かっていたのを、相手に対応して受けるスタイルに変えて、バランスが良くなってきたようです。」と自信をのぞかせる。

 

100
仲田加南
21期生 五段 神奈川県出身 B型
第4期優勝、7年ぶり3回目の決勝。第21期の新人王を獲り、その2年後に女流桜花載冠、同年の王位戦決勝にも残りプロリーグもB1まで昇るなど勢いに乗っていたが、この5~6年は低迷していた。
「6年前までは一人麻雀をやっていて感性だけで打ち、要らないものを切っていただけ、勢いがあって相手のアタリ牌を掴まないだけの麻雀でしたね。」
「理を重んじて受けや押し引きを考えて打つようになってから、大負けしないけど大勝ちもできなくなってきました。」
ほぼ真逆にモデルチェンジを試みた成果がようやく出てきたのか。本来持っていた攻撃力と新たに取り入れた守備力の調和がとれてきたようで、今期の女流リーグでは終始安定した内容で開幕から決勝圏内をキープしたまま余裕の勝ち残りだった。

 

100
松岡千晶
28期生 三段 東京都出身 A型
今期初めてAリーグに昇級。1~2節とマイナスし、やはりAリーグは敷居が高いかと思われたが中盤から好調の波にのり強気の攻めでプラスポイントを積み重ねる、プレーオフでは気持ちが守りに入り少し危うかったが、貯金を活かして辛くも逃げ切り初の大舞台の椅子を掴んだ。
「相手は3人共強いので勝てなくて当たり前だから、自分なりの麻雀で当たって砕けろの気持ちで頑張りたいです。」
今の力がどこまで通用するか健闘を期待したい。

 

初日は穏やかな冬晴れの12月10日、松岡だけが緊張からかやや表情が硬いように思われたが定刻通り第1回戦開局の賽子が回された。

 

100

 

1回戦 (起家から、仲田―松岡―魚谷―宮内)(ドラ西)、
最初のリーチは西家魚谷8巡目。

四万四万四万五索五索六索六索七索七索四筒四筒六筒七筒  リーチ

いきなり2,000、3.900を引きに行くリーチはかねてからの作戦なのか迷いが無い。
親の仲田もドラ2のチャンス手だったが愚形テンパイで追いかけることはせず、粘りのテンパイ連荘。
同1本場は松岡が先制

七万八万九万六索七索八索五筒六筒六筒七筒八筒北北  ドラ七万

入り目がドラのペン七万で好感触だったから三色を待たず即リーチと出た。
ここで最初にアガリを決められていれば、初日の闘いがまた違ったものになっていたかもしれないが親の仲田が今度は即追いかけリーチ。

六万二索三索四索一筒二筒三筒四筒六筒七筒八筒西西

ここにドラ表示牌の六万ツモで不本意なテンパイになったが、あっさり西ツモ。
2本場、最初のアガリを決めた仲田が今度はダブ東暗刻の隠れ親満貫。

一万一万一索二索三索八索八索東東東  チー六万 左向き七万 上向き八万 上向き  ドラ八索

しかし北家の宮内がタンピンツモでかわす。・宮内なら当然メンタンピン即リーチかと思ったが、仲田の本手を察知したのか慎重な入りだ。
次局も宮内がタンピンドラ1の1シャンテンから両面チーして2,000点で捌く。
東3局(ドラ七万)は親の魚谷が即リーチ。

七万八万九万五索五索六索七索四筒五筒五筒六筒六筒七筒  リーチ

3人を受けさせて終盤八索ツモの2,600オール。
魚谷連荘の1本場はまたも宮内が1,000点で捌く。
北家スタートの宮内、親番を引くまでは徹底して慎重に捌く作戦だったのか、親番を迎えた途端豹変する。

東4局宮内の親番
100
西家の松岡が西をイチ鳴きすると、仲田に絶好のカン七万が埋まり6巡目リーチ。

三万四万五万六万七万八万二索二索六索七索八索六筒七筒  リーチ  ドラ三筒

仲田もこれは手応えを感じた勝負手だった筈だが、なかなか引けずに長引いた。
宮内13巡目にテンパイ。

五万六万七万八万九万九万一索一索一索八索二筒三筒四筒  ツモ八万  ドラ三筒

八索を切って追いかけるかと思いきや「八索はかなり危ないと思った」そうで八万切りで回り八索単騎で復活。
16巡目に七万をツモリこの時は五索が通ったので、八索切りとしてフリテンにマチ変え、それは普通だがナント宮内残り2巡で追っかけた。

五万六万七万七万九万九万九万一索一索一索二筒三筒四筒  リーチ

八万をトイツで落としてしているから2枚フリテンだし、八索が通るなら既に2,600オールをアガリ損ねているし、あと2巡で流局だから追いかけリーチする人は世の中になかなか居ないと思う。
ここはどうしても本人に聞かなければなるまい。

100

八索が通りそうになったしフリテンは承知していましたが、もう四万七万のオナテンしか無いでしょう、だったらツモったときに高くなるようにと思いリーチしました。」

とのご回答。流石は勢いに乗っている現女流二冠。読みは当たっていなくとも勝負感と思い切りの良さが凄い!
一発で四万をツモって(一発役は無いが)2,600オール。このアガリを見せつけられたら相手は平常心を保てるだろうか?
特に勝負手をこんなふうに潰された仲田はどう感じたのだろうか?

100

次局も松岡が仕掛けを入れたが、宮内は早くからヤミテンで回していた。

二万二万四万四万六万六万六万二索三索四索四筒五筒六筒  ドラ二筒

松岡が動いても足止めリーチも打たずヤミテンで回す。終盤三万を引くと、暗刻の六万を切ってリーチと出る。

二万二万三万四万四万六万六万二索三索四索四筒五筒六筒

ここは流局でテンパイ連荘となったが、宮内流高打点連荘打法を垣間見た。おそらく五万引きならカン五万マチリーチとするつもりだったのだろう、太い!

東4局2本場
100

宮内に小四喜狙いの配牌、字牌を出やすくするため白から切り運良ダブ東から鳴けて風牌はほぼ山残り、更に字牌を安くするべく中から切った為に対面の松岡にポンされことごとく風牌を食い取られた。松岡も中さえポンできればのチャンス手でようやく初アガリの満貫ツモ。これで少し落ち着いた気持ちになれただろうか?
タラレバではあるが、もし宮内がギリギリまで中を絞って他に動きが無ければ小四喜のテンパイが入り、宮内のブッチギリがあったかも知れない。
この局のアガリは松岡だったが、松岡にマンズホンイツテンパイ気配があるのに、ダブ東ホンイツのテンパイを崩し、無スジのマンズを切りだして小四喜を狙った宮内はやはり太い!

100

南1局の仲田の親は北家の宮内がドラの六索を暗刻にしてリーチ(六万九万マチ)
ここに四暗刻の1シャンテンに持ち込んでいた魚谷が放銃したが、巡目が深い事、ドラが1枚も見えてない事、まだテンパイしてなくて危険牌が2枚ある事などを考えると魚谷にしては行き過ぎた感があった。
宮内初戦から1人浮きトップかと思いきや、ラス前の親で魚谷が3,900オール、次局は仲田が2,000、4,000と負けじと浮きで終わらせたのは2人共しぶとい。

1回戦成績
宮内+15.5P 仲田+5.4P 魚谷+3.2P 松岡▲24.1P

現女流二冠の宮内が貫禄のトップスタートを決めたが気になるのは初陣松岡。
1回満貫をアガれたけれど1人沈みのラススタート。まだ始まったばかりなので結果に焦ることなく落ち着いて次戦に臨んで欲しい。

 

2回戦(起親から、仲田―魚谷?松岡―宮内)
東発、西家の松岡5巡目に中暗刻の一筒四筒マチノベタンをリーチ即ツモで1,300、2,600と幸先良いスタートを切る。休憩中に少し落ち着きを取り戻したか、この半荘トップかせめてプラスで終われたら以降の善戦が期待できるかと思ったのだが、東4局に大きな落とし穴が待っていた。

東4局
100
北家の松岡配牌でドラの七筒暗刻のチャンス手、しかし南家の仲田が無駄ツモ無しの4巡目メンホン七対子、北単騎リーチ。
仲田の2巡目、

五万二筒二筒四筒四筒八筒九筒東東北白白中中

ここから九筒単騎になったときの迷彩のつもりか八筒切りとしているが、さすがに八筒がカブってのテンパイ逃しは痛すぎるので素直に五万切りとするべきだろう。
結果は同じだったが、あえて注文をつけたい。

さて、親の宮内が3巡目に北を切り単騎待ちの絶好の狙い目となった。同じ巡、西家の魚谷が以下の手牌から発を切ったのが松岡の不幸への誘い。

三万三万五万六万六万一索一索三索四索五筒六筒白発中

全て生牌で条件は同じだったが、魚谷の発切りで松岡が手牌にある北発の字牌のうち発を合わせ北が残った。もし魚谷が白中を切っていれば(仲田はポンしない)
松岡もまだ面子不十分だから、生牌の発を残して1枚切れの北から切っただろう。仲田は「直前に北が2枚切られていたら地獄待ちリーチはしませんでした。」
と言う。それでもこの局は仲田のアガリ濃厚だろうが、放銃者が違ったかも知れない。

1つダメ出しを言わせてもらえば、松岡の第一打は一筒で無く九万であるべき。結果は同じだったかもしれないが基本は基本である。
この不幸とも言える跳満放銃は、立ち直りかけた松岡のメンタルにかなりのダメージを与えたことだろう。

100

仲田アガリ親で迎えた南1局でも、仕掛けて2,000オールをツモりリードを広げるが、次局、宮内も負けじとドラ暗刻の喰いタンをツモアガる。強い!

南2局では松岡に手が入り勝負のリーチ。

六万七万四索四索五索六索七索四筒四筒五筒五筒六筒六筒  ドラ北

しかし同巡、仲田が789の喰い三色でペン七万待ちのチーテンを入れると、なんと松岡が即七万を掴まされ勝負リーチをあっさり潰される。
このような最悪の状態になったときは、細心の注意を払い二次災害、三次災害にあわないように気をつけなければならない。

南3局、親の松岡8巡目

一万二万三万四万六万八万九万九万三索四索五筒七筒九筒  ツモ五筒  ドラ四索

手なりで手を進めこの五筒をツモ切ると魚谷からロンの声

一筒二筒三筒四筒四筒五筒六筒六筒七筒八筒九筒西西

可哀想なくらいにツカンポだが、この放銃は危険意識を強めていれば防げた筈。ピンズメンホン気配の魚谷が自風の北、次に発と連続手出しで生牌を切り出してきたことや、自分の状態の悪さ、手牌の形の悪さなどを考えると、仕方ないでは無く見合わない放銃だった。
これで魚谷も浮きになり松岡は1回戦よりも大きな1人沈みの連続ラス。早くも唯一人窮地に立たされた。

2回戦成績
仲田+26.7P 魚谷+10.6P 宮内+1.6P 松岡▲39.9P

トータル成績
仲田+32.1P 宮内+17.1P 魚谷+13.8P 松岡▲64.0P

 

3回戦(起親から宮内―魚谷―松岡―仲田)
仲田がトータル首位に立ったが、まだまだ先が長くこれからの勝負。松岡は焦らずメゲず、まずはプラスの半荘を作り立ち直りのきっかけとしたい。
起親の宮内が魚谷から2,900をアガって1本場。(ドラ九筒

連荘の宮内が配牌ドラ2の2シャンテンだったがなかなか手が進まず、悪い配牌から露骨に七対子一本狙いの仲田が終盤にラス牌のドラを重ね、魚谷の現物の発単騎。
これに間に合わせるように、発を抱えていた宮内が6,400プラス1本場の放銃、安全牌を抱えての切り遅れ放銃は痛かった。
魚谷のソーズ仕掛けを警戒しすぎたか?気配を殺して魚谷の現物待ちヤミに持ち込んだ仲田の注文にハマる形となった。

東2局、魚谷の親は仲田が8巡目にピンフツモ

二索三索四索四索五索六索六索七索八索九索九索三筒四筒北  ドラ北

仲田はこの手で生牌のドラを切りテンパイとしたが、テンパイ取らずでソーズに寄せる手も勿論ありだろう。魚谷の親番は辛く打つ作戦なのか、直ぐに五筒をツモって即攻の親落とし。

東3局は親の松岡がメンタンピンツモで2,600オールのツモアガリ。
トップ目に立った次局。

五万五万六万六索二筒六筒六筒九筒九筒東白白中  ドラ中

この手から2巡目に出た1枚目の白をポン。松岡にはこういう仕掛けが多く見られるのだが、ドラが浮いているし形も悪いしせっかく調子が良くなってきたのに、七対子を見るとかドラやダブ東が重なってから仕掛けるとかのタメが欲しいと感じた。東中も切り出して1.500のテンパイには漕ぎ着けたが仲田に捌かれて親落ち。仲田が僅かにトップ目になった。

東4局、仲田の親では松岡がピンフドラ1をリーチして1,300・2,600のツモアガリ、再びトップ目に立つ。
松岡がアガれるようになってきた。この回は是非ともトップで終わりたいところだ。

南1局、では南家の魚谷絶好のリーチ。

一万二万三万四索五索六索七索七索七索八索一筒二筒三筒  ドラ一筒  リーチ

これは鉄板のアガリだろうと思ったが、仲田がタンヤオツモで魚谷ガックリ。

南2局はリーチのみで何とか連荘を果たした魚谷。1本場で勝負手が入る。
まず南家の松岡が6巡目に先制リーチ

四万五万六万五索六索七索九索九索三筒四筒六筒七筒八筒  リーチ  ドラ五筒

ここは松岡ヤミテンで良いかとも思うが8巡目に魚谷が追いかける。

一万一万二万二万四万四万六万六万二索二索五筒五筒北  リーチ

北は生牌だが宮内の手中に1枚あるだけで山2枚。出て親マン、ツモれば6,000オールのリーチ。
西家の仲田も松岡の切った七筒をチーしてテンパイ

七万八万九万六索六索七索八索九索四筒五筒  チー七筒 左向き八筒 上向き九筒 上向き

直ぐに魚谷が六筒を掴む、魚谷無念。
仲田はここも2件リーチを捌いて大きな有効ポイントを決めた。捌きたいときにすんなりと捌けるのは好調の証だ。

南3局は親の松岡が2本積み仲田を逆転。
3本場は仲田がリーチして流局、1人テンパイでオーラスに。

オーラスは仲田の親。南家の宮内が仲田をトップにせず、尚且つ自分が3着で終わらせるために、仲田の切った白をイチ鳴きで仕掛け一筒もチー。

六万六万一索一索八索九索七筒八筒  チー一筒 左向き二筒 上向き三筒 上向き  ポン白白白  ドラ四索

ここから六万切りとしたが、チャンタを付ける必要は無いので、ペンチャンを嫌うほうが良いだろう。
しかし、この仕掛けで親の仲田が5巡目にテンパイ

七万七万五索六索七索三筒四筒五筒五筒六筒六筒七筒七筒

当然リーチかと思いきやヤミテンのまま2,900の出アガリ、連盟で一番リーチが少ないと自負する私でさえリーチするし、何かもったいないような気もする。
ここは本人に聞いてみなければならない。
「前局のリーチが空振りしたのでヤミにしました。今日はリーチが空振りした後は全部ヤミテンと決めていたからです。」
そういえば1回戦でもタンピン三色のリーチが成就しなかったから、その次のピンフ高め一通のテンパイをヤミにしていた局がありましたね。

アガリ連荘の次局、トップ狙いの松岡が白をイチ鳴きして二万五万待ちテンパイ。切り出したドラの南を魚谷がポンという煮詰まった局面で今度は即リーチ

六万七万八万三筒四筒五筒五筒六筒七筒東東西西  リーチ  ドラ南

松岡から西を直撃して2連勝を決定づけた。

3回戦成績
仲田+25.8P 松岡+18.2P 宮内▲17.7P 魚谷▲26.3P

トータル成績
仲田+57.9P 宮内▲0.6P 魚谷▲12.5 松岡▲45.8P

狙い通りに宮内と魚谷を押さえ込んで連勝した仲田が、トータルで1人浮きとなり大きく抜け出した。
トップこそ逃したが、プラスの2着が取れた松岡は少し落ち着けただろう。初日最終戦となる第4回戦は是非トップを取り2日目からの反撃のきっかけとしたい。
宮内と魚谷は、仲田にこれ以上ポイントを伸ばされないよう、少しでも差を縮めて初日を終わりたいところだ。

 

4回戦(起親から 仲田―魚谷―松岡―宮内)
東1局、南家の魚谷が喰い一通ドラ1を松岡からアガって捌いたが、親の仲田と北家・宮内に大物手が入り早くも一蝕即発の気配だった。

仲田
二万三万四万六万八万七索七索二筒二筒三筒三筒四筒四筒  ドラ七索

宮内
一万一万二万三万三万七万八万九万九索九索七筒八筒九筒

魚谷のカン五索チーで、仲田から七索七万を喰い取った事がこの局の勝因となったようだ。

東2局は、仲田が松岡に中ポンドラ2の3,900を打ちラス目になる。3人共このまま仲田をラスにしておきたいのは共通意識だろう。

東3局は松岡の親番。アガリ親の勢いで連荘したいところだが西家・仲田が早くも5巡目テンパイ。

一万一万七万八万三索四索五索七索八索九索六筒七筒八筒  ドラ一万

六万が1枚切れ九万が3枚切れていて、ヤミテンなら3人とも九万を切りそうな状況だし、唯一人プラスポイントの余裕がある仲田は落ち着いてヤミテンを選択。
ソーズホンイツに向かった宮内が、4枚目の九万を掴み仲田ラス抜け。
失点を直ぐに挽回できるのも好調な証拠だ

放銃した宮内も次局の親でダブ東ポンテンの1,000オールと4人とも譲らない。

宮内連荘の1本場。宮内がカン八索を鳴いて三色完成のチーテンを入れると、西家・魚谷がリーチ。

七万八万九万五索六索一筒一筒三筒四筒五筒五筒六筒七筒  リーチ  ドラ八万

魚谷はヤミテンで捌くつもりなど無く、仲田とのポイントを詰めに向かう。
しかしここも11巡目からヤミテンしていた仲田がピンフツモ。
今日の仲田は要所での捌きがよく決まる。

南1局となり仲田の親番。
北家の宮内が切った第一打の一万を南家・魚谷がポン。

一万一万四万五万八万八万九万六索七索七索南白中  ドラ三万

ここから仕掛けて強引にマンズに寄せに行く。チャンス手をことごとく仲田に潰されてきたが何とか流れを変えよう、仲田の親にもプレッシャーをかけようという非常手段に出たようだ。
この動きで絶好のペン七筒が入った宮内が4巡目リーチ。

三万四万五万八索八索二筒三筒四筒五筒六筒七筒八筒九筒  リーチ

是非とも一筒をツモって仲田に跳満の親カブリをさせたい。
しかし、魚谷もあの仕掛けから高目満貫のテンパイに漕ぎ着けた。

四万五万六万八万八万南南  ポン白白白  ポン一万 上向き一万 上向き一万 上向き

こうなると魚谷もオリられない。一筒が2枚、南が1枚山にいたのだが、魚谷が安目四筒を掴んで3,900放銃、
追いかける2人の狙いとは裏腹に仲田無傷の親落ち、展開にも恵まれて今日は仲田の理想通りに初日が終わるんだなと思われた。
ところがどっこい、このあと初日最後の親番を迎えた魚谷が根性の大爆発を魅せるのだ。

南2局

1人沈みのラス目で迎えた親番で何とかドラの白を重ねた魚谷だったが、南家の松岡がオタ風の北をイチ鳴き、

一索一索三索四索五索八索八索東南南北北発  ドラ白

この形からのイチ鳴き、確かに面子は足りているかもしれないが、本気でアガリたいのだったら1枚はスルーしてダブ南から鳴くとか、七対子に行くとかもっと努力と工夫が欲しい。
配牌からドラ対子の仲田が、松岡の仕掛けに対して普通ならギリギリまで絞るはずの南をこの形から切り出した。

三万五万六万七万八万五索五索六索七索八索五筒南白白

後で仲田に聞いてみた。
「私にドラの白がトイツなのでわりと切りやすかったし、松岡さんにポンされても振り込まなければツモられてもいいし、鳴かれて困るのは魚谷さんの方、親が落ちてくれれば良いと思い先に切りました。」
やはり私も感じた通り戦略での鳴かせだった。これだけリードしていても仲田は魚谷の親を最も警戒しているようだ。
勿論松岡満貫テンパイ(ただ両方ともモチモチで純カラ)

一索一索三索四索五索八索八索  ポン南南南  ポン北北北

しかし強者魚谷は仲田の思惑に嵌らなかった。むしろハートに火が付いたか、仲田の狙い通りにはさせないとスピードを合わせに無理を承知でドラの白の後ズケで仕掛ける。

一索一索六索七索八索白白  ポン三筒 上向き三筒 上向き三筒 上向き  ポン九万 上向き九万 上向き九万 上向き

この親は簡単には落とさないぞと言う気迫が伝ってくる。
終盤には松岡に超危険な三索も通して、テンパイ連荘を果たした魚谷の強い思いが遂に確変を引き当てた。

1本場では5巡目にピンフ3面張リーチ。

五万六万七万七索八索九索三筒三筒四筒五筒六筒七筒八筒  リーチ

全員オリてアタリ牌は全て他3人の手の中に、1人テンパイの連荘でも良しだが、手詰まりの松岡がワンチャンスでの三筒トイツに手をかけて放銃。
このオリ打ちで立ち直りかけた気持ちが揺れ態勢が壊れたか?

次局2本場、失点を取り返したい松岡の手牌が目一杯の1シャンテンになった。

三万五万五万六万六万七万七万八万五索六索四筒五筒六筒  ドラ二筒

ここで魚谷の親リーチ。
捨牌が
発九索 上向き北九万 上向き一索 上向き六索 上向き
一筒 上向き八筒 上向き中七筒 左向き

手牌が
三万四万五万六万七万八万一索二索三索二筒二筒七筒八筒  リーチ

一発で九筒を掴んだ松岡にはこれを止めようが無かった。

トップまで抜けた魚谷続く3本場でも9巡目リーチ。

六万七万八万一索二索三索六索七索八索二筒三筒六筒六筒  ドラ六筒

一筒ツモで4.000オールの3本場

4本場では仲田が先制リーチ。

三万三万六万七万四索四索五索五索六索六索五筒六筒七筒  リーチ  ドラ二万

しかし魚谷も直前にドラ2の七対子をテンパイしていた。

二万二万五万五万六万六万七万五索五索南南白白

七万単騎に好感触があったのか、八索八筒と平然と押して見事七万ツモ4,000オールの4本場、強い!
魚谷驚異の猛ラッシュで親満級の3連発。初日最後の親番1回で、3回戦までに仲田につけられていた70ポイント以上の差をあと数ポイント差まで縮めた。

5本場は、仲田が2フーロの喰いタンでようやく魚谷の親を落とし、松岡の親はあっさり流れてオーラスは宮内の親。
宮内も連荘し初日をトータルをプラスにして帰りたいがテンパイしないうちに魚谷から12巡目リーチ。

五万五万五万九万九万一筒二筒二筒三筒三筒四筒五筒五筒  ドラ三筒

捨牌に六万が有り、スジの九万が狙いのリーチ。
宮内にようやくテンパイが入る。

六万六万七万九万六索七索八索四筒六筒七筒七筒八筒八筒九筒

宮内の目からは六万が4枚見えていて八万九万は場に出て無い。強気に四筒切りの追いかけリーチをしていれば残り山には魚谷の待ち五筒が1枚残るだけだったから、もしかしたらテンパイ連荘ができたかも知れない。
しかし、ここで宮内は少考の後、三筒五筒引きのリーチか四筒を重ねての678メンピン三色の好形高打点を狙ってテンパイ取らずの九万切りを選択し、魚谷への5,200放銃で初日が終了した。
難しい選択であり、結果は裏目と出たが仕方ないと気持ちを切り替えるしかないだろう。

4回戦成績
魚谷+56.4P 仲田▲6.3P 宮内▲15.7P 松岡▲34.4P

初日トータル成績
仲田+51.6P 魚谷+43.9P 宮内▲15.7P 松岡▲80,2P

初日は仲田が独走する気配だったが、魚谷が最後に強烈な追い上げを見せてくれた。初戦トップスタートの女流二冠宮内としては、トータルマイナスは不本意だろうが、今日魚谷が見せたような高打点連荘は宮内の十八番、3番手でも余裕を見せる宮内にはまだまだ後半の逆転に期待が持てる。

心配なのは松岡だ。元々他3人にくらべて実績も経験も足りず、若さと勢いと強い気持ちでぶつからねば好戦が難しいところに、初日から3ラスと打たれ過ぎた。
今日の結果を気にしないで、欲を出さず怖がらず挑戦者として勉強させてもらう気持ちで2日目からまた元気に闘って欲しい。
そうすることが、決定戦全体を素晴らしい闘いにすることになると思うから。

女流プロリーグ(女流桜花) 決勝観戦記/第11期女流桜花決定戦 初日観戦記 藤原 隆弘

女流プロだけの権威あるタイトル戦を創ろうと2003年に創設されたのがBルール(一発裏アリ)で他団体の女流プロも参加できる「プロクイーン」。
その3年後の2006年に連盟女流だけのリーグ戦として創設されたのがAルールで行われる「女流桜花」だ。
女子だけの鳳凰位戦とも言える連盟女流ナンバーワンを決めるタイトル戦である。
昨年末、第1期から参加している宮内こずえが10期目にして涙の初載冠を果たした感動的フィナーレから1年。
ひと月半前にプロクイーンでも初優勝してダブルクラウンとなったばかりの宮内が早くも最初の防衛戦を迎えた。
初防衛に成功するようなら、桜花&QUEEN[宮内時代]の到来と言っても過言ではないだろう。
この女流桜花は宮内の前の9期までに6人のチャンピォンがいるが、二階堂亜樹、魚谷侑未、吾妻さおりの3人が連覇していて連覇率五割。
さて11期目の今回はどんな結末が待つのであろうか?
 
100
宮内こずえ
18期生 五段 愛媛県出身 O型
新人時代から人気女流として活躍、テレビマッチなどでは数回優勝していたが公式戦の優勝は昨年の女流桜花が初。
それだけに人一倍強い思い入れがあったのだろう、表彰式での涙には私も思わずもらい泣きをしてしまいそうだった。
元々攻撃力は強力なものを持っていたが、欠点だった攻守のバランスが良くなり、大きなタイトルを獲った自信と余裕も加わったようだ。
プロクイーンで見せた流れを掴んだ親番での怒涛の高打点連荘は驚異の一撃必殺。新KKT(クマクマタイムならぬコズコズタイム)か!
 
100
魚谷侑未
25期生 四段 新潟県出身 B型
プロ入り3年目の第6期で初優勝し7期も連覇、トップ女流の1人として第一線で活躍中、2年ぶり5回目の決勝。
今期は開幕戦で▲56.8Pと大きく躓いたが後半戦から怒涛の追い込みで堂々の1位通過。
「去年も開幕▲60Pスタートで追い上げ届かずでしたから今年もまたこの位置からかと全く気にしませんでした。」
「昨年後半から今のままだと勝ちきれないと思い、それまではほぼ毎局イニシアチブを取ってアガリに向かっていたのを、相手に対応して受けるスタイルに変えて、バランスが良くなってきたようです。」と自信をのぞかせる。
 
100
仲田加南
21期生 五段 神奈川県出身 B型
第4期優勝、7年ぶり3回目の決勝。第21期の新人王を獲り、その2年後に女流桜花載冠、同年の王位戦決勝にも残りプロリーグもB1まで昇るなど勢いに乗っていたが、この5~6年は低迷していた。
「6年前までは一人麻雀をやっていて感性だけで打ち、要らないものを切っていただけ、勢いがあって相手のアタリ牌を掴まないだけの麻雀でしたね。」
「理を重んじて受けや押し引きを考えて打つようになってから、大負けしないけど大勝ちもできなくなってきました。」
ほぼ真逆にモデルチェンジを試みた成果がようやく出てきたのか。本来持っていた攻撃力と新たに取り入れた守備力の調和がとれてきたようで、今期の女流リーグでは終始安定した内容で開幕から決勝圏内をキープしたまま余裕の勝ち残りだった。
 
100
松岡千晶
28期生 三段 東京都出身 A型
今期初めてAリーグに昇級。1~2節とマイナスし、やはりAリーグは敷居が高いかと思われたが中盤から好調の波にのり強気の攻めでプラスポイントを積み重ねる、プレーオフでは気持ちが守りに入り少し危うかったが、貯金を活かして辛くも逃げ切り初の大舞台の椅子を掴んだ。
「相手は3人共強いので勝てなくて当たり前だから、自分なりの麻雀で当たって砕けろの気持ちで頑張りたいです。」
今の力がどこまで通用するか健闘を期待したい。
 
初日は穏やかな冬晴れの12月10日、松岡だけが緊張からかやや表情が硬いように思われたが定刻通り第1回戦開局の賽子が回された。
 
100
 
1回戦 (起家から、仲田―松岡―魚谷―宮内)(ドラ西)、
最初のリーチは西家魚谷8巡目。
四万四万四万五索五索六索六索七索七索四筒四筒六筒七筒  リーチ
いきなり2,000、3.900を引きに行くリーチはかねてからの作戦なのか迷いが無い。
親の仲田もドラ2のチャンス手だったが愚形テンパイで追いかけることはせず、粘りのテンパイ連荘。
同1本場は松岡が先制
七万八万九万六索七索八索五筒六筒六筒七筒八筒北北  ドラ七万
入り目がドラのペン七万で好感触だったから三色を待たず即リーチと出た。
ここで最初にアガリを決められていれば、初日の闘いがまた違ったものになっていたかもしれないが親の仲田が今度は即追いかけリーチ。
六万二索三索四索一筒二筒三筒四筒六筒七筒八筒西西
ここにドラ表示牌の六万ツモで不本意なテンパイになったが、あっさり西ツモ。
2本場、最初のアガリを決めた仲田が今度はダブ東暗刻の隠れ親満貫。
一万一万一索二索三索八索八索東東東  チー六万 左向き七万 上向き八万 上向き  ドラ八索
しかし北家の宮内がタンピンツモでかわす。・宮内なら当然メンタンピン即リーチかと思ったが、仲田の本手を察知したのか慎重な入りだ。
次局も宮内がタンピンドラ1の1シャンテンから両面チーして2,000点で捌く。
東3局(ドラ七万)は親の魚谷が即リーチ。
七万八万九万五索五索六索七索四筒五筒五筒六筒六筒七筒  リーチ
3人を受けさせて終盤八索ツモの2,600オール。
魚谷連荘の1本場はまたも宮内が1,000点で捌く。
北家スタートの宮内、親番を引くまでは徹底して慎重に捌く作戦だったのか、親番を迎えた途端豹変する。
東4局宮内の親番
100
西家の松岡が西をイチ鳴きすると、仲田に絶好のカン七万が埋まり6巡目リーチ。
三万四万五万六万七万八万二索二索六索七索八索六筒七筒  リーチ  ドラ三筒
仲田もこれは手応えを感じた勝負手だった筈だが、なかなか引けずに長引いた。
宮内13巡目にテンパイ。
五万六万七万八万九万九万一索一索一索八索二筒三筒四筒  ツモ八万  ドラ三筒
八索を切って追いかけるかと思いきや「八索はかなり危ないと思った」そうで八万切りで回り八索単騎で復活。
16巡目に七万をツモリこの時は五索が通ったので、八索切りとしてフリテンにマチ変え、それは普通だがナント宮内残り2巡で追っかけた。
五万六万七万七万九万九万九万一索一索一索二筒三筒四筒  リーチ
八万をトイツで落としてしているから2枚フリテンだし、八索が通るなら既に2,600オールをアガリ損ねているし、あと2巡で流局だから追いかけリーチする人は世の中になかなか居ないと思う。
ここはどうしても本人に聞かなければなるまい。
100
八索が通りそうになったしフリテンは承知していましたが、もう四万七万のオナテンしか無いでしょう、だったらツモったときに高くなるようにと思いリーチしました。」
とのご回答。流石は勢いに乗っている現女流二冠。読みは当たっていなくとも勝負感と思い切りの良さが凄い!
一発で四万をツモって(一発役は無いが)2,600オール。このアガリを見せつけられたら相手は平常心を保てるだろうか?
特に勝負手をこんなふうに潰された仲田はどう感じたのだろうか?
100
次局も松岡が仕掛けを入れたが、宮内は早くからヤミテンで回していた。
二万二万四万四万六万六万六万二索三索四索四筒五筒六筒  ドラ二筒
松岡が動いても足止めリーチも打たずヤミテンで回す。終盤三万を引くと、暗刻の六万を切ってリーチと出る。
二万二万三万四万四万六万六万二索三索四索四筒五筒六筒
ここは流局でテンパイ連荘となったが、宮内流高打点連荘打法を垣間見た。おそらく五万引きならカン五万マチリーチとするつもりだったのだろう、太い!
東4局2本場
100
宮内に小四喜狙いの配牌、字牌を出やすくするため白から切り運良ダブ東から鳴けて風牌はほぼ山残り、更に字牌を安くするべく中から切った為に対面の松岡にポンされことごとく風牌を食い取られた。松岡も中さえポンできればのチャンス手でようやく初アガリの満貫ツモ。これで少し落ち着いた気持ちになれただろうか?
タラレバではあるが、もし宮内がギリギリまで中を絞って他に動きが無ければ小四喜のテンパイが入り、宮内のブッチギリがあったかも知れない。
この局のアガリは松岡だったが、松岡にマンズホンイツテンパイ気配があるのに、ダブ東ホンイツのテンパイを崩し、無スジのマンズを切りだして小四喜を狙った宮内はやはり太い!
100
南1局の仲田の親は北家の宮内がドラの六索を暗刻にしてリーチ(六万九万マチ)
ここに四暗刻の1シャンテンに持ち込んでいた魚谷が放銃したが、巡目が深い事、ドラが1枚も見えてない事、まだテンパイしてなくて危険牌が2枚ある事などを考えると魚谷にしては行き過ぎた感があった。
宮内初戦から1人浮きトップかと思いきや、ラス前の親で魚谷が3,900オール、次局は仲田が2,000、4,000と負けじと浮きで終わらせたのは2人共しぶとい。
1回戦成績
宮内+15.5P 仲田+5.4P 魚谷+3.2P 松岡▲24.1P
現女流二冠の宮内が貫禄のトップスタートを決めたが気になるのは初陣松岡。
1回満貫をアガれたけれど1人沈みのラススタート。まだ始まったばかりなので結果に焦ることなく落ち着いて次戦に臨んで欲しい。
 
2回戦(起親から、仲田―魚谷?松岡―宮内)
東発、西家の松岡5巡目に中暗刻の一筒四筒マチノベタンをリーチ即ツモで1,300、2,600と幸先良いスタートを切る。休憩中に少し落ち着きを取り戻したか、この半荘トップかせめてプラスで終われたら以降の善戦が期待できるかと思ったのだが、東4局に大きな落とし穴が待っていた。
東4局
100
北家の松岡配牌でドラの七筒暗刻のチャンス手、しかし南家の仲田が無駄ツモ無しの4巡目メンホン七対子、北単騎リーチ。
仲田の2巡目、
五万二筒二筒四筒四筒八筒九筒東東北白白中中
ここから九筒単騎になったときの迷彩のつもりか八筒切りとしているが、さすがに八筒がカブってのテンパイ逃しは痛すぎるので素直に五万切りとするべきだろう。
結果は同じだったが、あえて注文をつけたい。
さて、親の宮内が3巡目に北を切り単騎待ちの絶好の狙い目となった。同じ巡、西家の魚谷が以下の手牌から発を切ったのが松岡の不幸への誘い。
三万三万五万六万六万一索一索三索四索五筒六筒白発中
全て生牌で条件は同じだったが、魚谷の発切りで松岡が手牌にある北発の字牌のうち発を合わせ北が残った。もし魚谷が白中を切っていれば(仲田はポンしない)
松岡もまだ面子不十分だから、生牌の発を残して1枚切れの北から切っただろう。仲田は「直前に北が2枚切られていたら地獄待ちリーチはしませんでした。」
と言う。それでもこの局は仲田のアガリ濃厚だろうが、放銃者が違ったかも知れない。
1つダメ出しを言わせてもらえば、松岡の第一打は一筒で無く九万であるべき。結果は同じだったかもしれないが基本は基本である。
この不幸とも言える跳満放銃は、立ち直りかけた松岡のメンタルにかなりのダメージを与えたことだろう。
100
仲田アガリ親で迎えた南1局でも、仕掛けて2,000オールをツモりリードを広げるが、次局、宮内も負けじとドラ暗刻の喰いタンをツモアガる。強い!
南2局では松岡に手が入り勝負のリーチ。
六万七万四索四索五索六索七索四筒四筒五筒五筒六筒六筒  ドラ北
しかし同巡、仲田が789の喰い三色でペン七万待ちのチーテンを入れると、なんと松岡が即七万を掴まされ勝負リーチをあっさり潰される。
このような最悪の状態になったときは、細心の注意を払い二次災害、三次災害にあわないように気をつけなければならない。
南3局、親の松岡8巡目
一万二万三万四万六万八万九万九万三索四索五筒七筒九筒  ツモ五筒  ドラ四索
手なりで手を進めこの五筒をツモ切ると魚谷からロンの声
一筒二筒三筒四筒四筒五筒六筒六筒七筒八筒九筒西西
可哀想なくらいにツカンポだが、この放銃は危険意識を強めていれば防げた筈。ピンズメンホン気配の魚谷が自風の北、次に発と連続手出しで生牌を切り出してきたことや、自分の状態の悪さ、手牌の形の悪さなどを考えると、仕方ないでは無く見合わない放銃だった。
これで魚谷も浮きになり松岡は1回戦よりも大きな1人沈みの連続ラス。早くも唯一人窮地に立たされた。
2回戦成績
仲田+26.7P 魚谷+10.6P 宮内+1.6P 松岡▲39.9P
トータル成績
仲田+32.1P 宮内+17.1P 魚谷+13.8P 松岡▲64.0P
 
3回戦(起親から宮内―魚谷―松岡―仲田)
仲田がトータル首位に立ったが、まだまだ先が長くこれからの勝負。松岡は焦らずメゲず、まずはプラスの半荘を作り立ち直りのきっかけとしたい。
起親の宮内が魚谷から2,900をアガって1本場。(ドラ九筒
連荘の宮内が配牌ドラ2の2シャンテンだったがなかなか手が進まず、悪い配牌から露骨に七対子一本狙いの仲田が終盤にラス牌のドラを重ね、魚谷の現物の発単騎。
これに間に合わせるように、発を抱えていた宮内が6,400プラス1本場の放銃、安全牌を抱えての切り遅れ放銃は痛かった。
魚谷のソーズ仕掛けを警戒しすぎたか?気配を殺して魚谷の現物待ちヤミに持ち込んだ仲田の注文にハマる形となった。
東2局、魚谷の親は仲田が8巡目にピンフツモ
二索三索四索四索五索六索六索七索八索九索九索三筒四筒北  ドラ北
仲田はこの手で生牌のドラを切りテンパイとしたが、テンパイ取らずでソーズに寄せる手も勿論ありだろう。魚谷の親番は辛く打つ作戦なのか、直ぐに五筒をツモって即攻の親落とし。
東3局は親の松岡がメンタンピンツモで2,600オールのツモアガリ。
トップ目に立った次局。
五万五万六万六索二筒六筒六筒九筒九筒東白白中  ドラ中
この手から2巡目に出た1枚目の白をポン。松岡にはこういう仕掛けが多く見られるのだが、ドラが浮いているし形も悪いしせっかく調子が良くなってきたのに、七対子を見るとかドラやダブ東が重なってから仕掛けるとかのタメが欲しいと感じた。東中も切り出して1.500のテンパイには漕ぎ着けたが仲田に捌かれて親落ち。仲田が僅かにトップ目になった。
東4局、仲田の親では松岡がピンフドラ1をリーチして1,300・2,600のツモアガリ、再びトップ目に立つ。
松岡がアガれるようになってきた。この回は是非ともトップで終わりたいところだ。
南1局、では南家の魚谷絶好のリーチ。
一万二万三万四索五索六索七索七索七索八索一筒二筒三筒  ドラ一筒  リーチ
これは鉄板のアガリだろうと思ったが、仲田がタンヤオツモで魚谷ガックリ。
南2局はリーチのみで何とか連荘を果たした魚谷。1本場で勝負手が入る。
まず南家の松岡が6巡目に先制リーチ
四万五万六万五索六索七索九索九索三筒四筒六筒七筒八筒  リーチ  ドラ五筒
ここは松岡ヤミテンで良いかとも思うが8巡目に魚谷が追いかける。
一万一万二万二万四万四万六万六万二索二索五筒五筒北  リーチ
北は生牌だが宮内の手中に1枚あるだけで山2枚。出て親マン、ツモれば6,000オールのリーチ。
西家の仲田も松岡の切った七筒をチーしてテンパイ
七万八万九万六索六索七索八索九索四筒五筒  チー七筒 左向き八筒 上向き九筒 上向き
直ぐに魚谷が六筒を掴む、魚谷無念。
仲田はここも2件リーチを捌いて大きな有効ポイントを決めた。捌きたいときにすんなりと捌けるのは好調の証だ。
南3局は親の松岡が2本積み仲田を逆転。
3本場は仲田がリーチして流局、1人テンパイでオーラスに。
オーラスは仲田の親。南家の宮内が仲田をトップにせず、尚且つ自分が3着で終わらせるために、仲田の切った白をイチ鳴きで仕掛け一筒もチー。
六万六万一索一索八索九索七筒八筒  チー一筒 左向き二筒 上向き三筒 上向き  ポン白白白  ドラ四索
ここから六万切りとしたが、チャンタを付ける必要は無いので、ペンチャンを嫌うほうが良いだろう。
しかし、この仕掛けで親の仲田が5巡目にテンパイ
七万七万五索六索七索三筒四筒五筒五筒六筒六筒七筒七筒
当然リーチかと思いきやヤミテンのまま2,900の出アガリ、連盟で一番リーチが少ないと自負する私でさえリーチするし、何かもったいないような気もする。
ここは本人に聞いてみなければならない。
「前局のリーチが空振りしたのでヤミにしました。今日はリーチが空振りした後は全部ヤミテンと決めていたからです。」
そういえば1回戦でもタンピン三色のリーチが成就しなかったから、その次のピンフ高め一通のテンパイをヤミにしていた局がありましたね。
アガリ連荘の次局、トップ狙いの松岡が白をイチ鳴きして二万五万待ちテンパイ。切り出したドラの南を魚谷がポンという煮詰まった局面で今度は即リーチ
六万七万八万三筒四筒五筒五筒六筒七筒東東西西  リーチ  ドラ南
松岡から西を直撃して2連勝を決定づけた。
3回戦成績
仲田+25.8P 松岡+18.2P 宮内▲17.7P 魚谷▲26.3P
トータル成績
仲田+57.9P 宮内▲0.6P 魚谷▲12.5 松岡▲45.8P
狙い通りに宮内と魚谷を押さえ込んで連勝した仲田が、トータルで1人浮きとなり大きく抜け出した。
トップこそ逃したが、プラスの2着が取れた松岡は少し落ち着けただろう。初日最終戦となる第4回戦は是非トップを取り2日目からの反撃のきっかけとしたい。
宮内と魚谷は、仲田にこれ以上ポイントを伸ばされないよう、少しでも差を縮めて初日を終わりたいところだ。
 
4回戦(起親から 仲田―魚谷―松岡―宮内)
東1局、南家の魚谷が喰い一通ドラ1を松岡からアガって捌いたが、親の仲田と北家・宮内に大物手が入り早くも一蝕即発の気配だった。
仲田
二万三万四万六万八万七索七索二筒二筒三筒三筒四筒四筒  ドラ七索
宮内
一万一万二万三万三万七万八万九万九索九索七筒八筒九筒
魚谷のカン五索チーで、仲田から七索七万を喰い取った事がこの局の勝因となったようだ。
東2局は、仲田が松岡に中ポンドラ2の3,900を打ちラス目になる。3人共このまま仲田をラスにしておきたいのは共通意識だろう。
東3局は松岡の親番。アガリ親の勢いで連荘したいところだが西家・仲田が早くも5巡目テンパイ。
一万一万七万八万三索四索五索七索八索九索六筒七筒八筒  ドラ一万
六万が1枚切れ九万が3枚切れていて、ヤミテンなら3人とも九万を切りそうな状況だし、唯一人プラスポイントの余裕がある仲田は落ち着いてヤミテンを選択。
ソーズホンイツに向かった宮内が、4枚目の九万を掴み仲田ラス抜け。
失点を直ぐに挽回できるのも好調な証拠だ

放銃した宮内も次局の親でダブ東ポンテンの1,000オールと4人とも譲らない。
宮内連荘の1本場。宮内がカン八索を鳴いて三色完成のチーテンを入れると、西家・魚谷がリーチ。
七万八万九万五索六索一筒一筒三筒四筒五筒五筒六筒七筒  リーチ  ドラ八万
魚谷はヤミテンで捌くつもりなど無く、仲田とのポイントを詰めに向かう。
しかしここも11巡目からヤミテンしていた仲田がピンフツモ。
今日の仲田は要所での捌きがよく決まる。
南1局となり仲田の親番。
北家の宮内が切った第一打の一万を南家・魚谷がポン。
一万一万四万五万八万八万九万六索七索七索南白中  ドラ三万
ここから仕掛けて強引にマンズに寄せに行く。チャンス手をことごとく仲田に潰されてきたが何とか流れを変えよう、仲田の親にもプレッシャーをかけようという非常手段に出たようだ。
この動きで絶好のペン七筒が入った宮内が4巡目リーチ。
三万四万五万八索八索二筒三筒四筒五筒六筒七筒八筒九筒  リーチ
是非とも一筒をツモって仲田に跳満の親カブリをさせたい。
しかし、魚谷もあの仕掛けから高目満貫のテンパイに漕ぎ着けた。
四万五万六万八万八万南南  ポン白白白  ポン一万 上向き一万 上向き一万 上向き
こうなると魚谷もオリられない。一筒が2枚、南が1枚山にいたのだが、魚谷が安目四筒を掴んで3,900放銃、
追いかける2人の狙いとは裏腹に仲田無傷の親落ち、展開にも恵まれて今日は仲田の理想通りに初日が終わるんだなと思われた。
ところがどっこい、このあと初日最後の親番を迎えた魚谷が根性の大爆発を魅せるのだ。
南2局
1人沈みのラス目で迎えた親番で何とかドラの白を重ねた魚谷だったが、南家の松岡がオタ風の北をイチ鳴き、
一索一索三索四索五索八索八索東南南北北発  ドラ白
この形からのイチ鳴き、確かに面子は足りているかもしれないが、本気でアガリたいのだったら1枚はスルーしてダブ南から鳴くとか、七対子に行くとかもっと努力と工夫が欲しい。
配牌からドラ対子の仲田が、松岡の仕掛けに対して普通ならギリギリまで絞るはずの南をこの形から切り出した。
三万五万六万七万八万五索五索六索七索八索五筒南白白
後で仲田に聞いてみた。
「私にドラの白がトイツなのでわりと切りやすかったし、松岡さんにポンされても振り込まなければツモられてもいいし、鳴かれて困るのは魚谷さんの方、親が落ちてくれれば良いと思い先に切りました。」
やはり私も感じた通り戦略での鳴かせだった。これだけリードしていても仲田は魚谷の親を最も警戒しているようだ。
勿論松岡満貫テンパイ(ただ両方ともモチモチで純カラ)
一索一索三索四索五索八索八索  ポン南南南  ポン北北北
しかし強者魚谷は仲田の思惑に嵌らなかった。むしろハートに火が付いたか、仲田の狙い通りにはさせないとスピードを合わせに無理を承知でドラの白の後ズケで仕掛ける。
一索一索六索七索八索白白  ポン三筒 上向き三筒 上向き三筒 上向き  ポン九万 上向き九万 上向き九万 上向き
この親は簡単には落とさないぞと言う気迫が伝ってくる。
終盤には松岡に超危険な三索も通して、テンパイ連荘を果たした魚谷の強い思いが遂に確変を引き当てた。
1本場では5巡目にピンフ3面張リーチ。
五万六万七万七索八索九索三筒三筒四筒五筒六筒七筒八筒  リーチ
全員オリてアタリ牌は全て他3人の手の中に、1人テンパイの連荘でも良しだが、手詰まりの松岡がワンチャンスでの三筒トイツに手をかけて放銃。
このオリ打ちで立ち直りかけた気持ちが揺れ態勢が壊れたか?
次局2本場、失点を取り返したい松岡の手牌が目一杯の1シャンテンになった。
三万五万五万六万六万七万七万八万五索六索四筒五筒六筒  ドラ二筒
ここで魚谷の親リーチ。
捨牌が
発九索 上向き北九万 上向き一索 上向き六索 上向き
一筒 上向き八筒 上向き中七筒 左向き
手牌が
三万四万五万六万七万八万一索二索三索二筒二筒七筒八筒  リーチ
一発で九筒を掴んだ松岡にはこれを止めようが無かった。
トップまで抜けた魚谷続く3本場でも9巡目リーチ。
六万七万八万一索二索三索六索七索八索二筒三筒六筒六筒  ドラ六筒
一筒ツモで4.000オールの3本場
4本場では仲田が先制リーチ。
三万三万六万七万四索四索五索五索六索六索五筒六筒七筒  リーチ  ドラ二万
しかし魚谷も直前にドラ2の七対子をテンパイしていた。
二万二万五万五万六万六万七万五索五索南南白白
七万単騎に好感触があったのか、八索八筒と平然と押して見事七万ツモ4,000オールの4本場、強い!
魚谷驚異の猛ラッシュで親満級の3連発。初日最後の親番1回で、3回戦までに仲田につけられていた70ポイント以上の差をあと数ポイント差まで縮めた。
5本場は、仲田が2フーロの喰いタンでようやく魚谷の親を落とし、松岡の親はあっさり流れてオーラスは宮内の親。
宮内も連荘し初日をトータルをプラスにして帰りたいがテンパイしないうちに魚谷から12巡目リーチ。
五万五万五万九万九万一筒二筒二筒三筒三筒四筒五筒五筒  ドラ三筒
捨牌に六万が有り、スジの九万が狙いのリーチ。
宮内にようやくテンパイが入る。
六万六万七万九万六索七索八索四筒六筒七筒七筒八筒八筒九筒
宮内の目からは六万が4枚見えていて八万九万は場に出て無い。強気に四筒切りの追いかけリーチをしていれば残り山には魚谷の待ち五筒が1枚残るだけだったから、もしかしたらテンパイ連荘ができたかも知れない。
しかし、ここで宮内は少考の後、三筒五筒引きのリーチか四筒を重ねての678メンピン三色の好形高打点を狙ってテンパイ取らずの九万切りを選択し、魚谷への5,200放銃で初日が終了した。
難しい選択であり、結果は裏目と出たが仕方ないと気持ちを切り替えるしかないだろう。
4回戦成績
魚谷+56.4P 仲田▲6.3P 宮内▲15.7P 松岡▲34.4P
初日トータル成績
仲田+51.6P 魚谷+43.9P 宮内▲15.7P 松岡▲80,2P
初日は仲田が独走する気配だったが、魚谷が最後に強烈な追い上げを見せてくれた。初戦トップスタートの女流二冠宮内としては、トータルマイナスは不本意だろうが、今日魚谷が見せたような高打点連荘は宮内の十八番、3番手でも余裕を見せる宮内にはまだまだ後半の逆転に期待が持てる。
心配なのは松岡だ。元々他3人にくらべて実績も経験も足りず、若さと勢いと強い気持ちでぶつからねば好戦が難しいところに、初日から3ラスと打たれ過ぎた。
今日の結果を気にしないで、欲を出さず怖がらず挑戦者として勉強させてもらう気持ちで2日目からまた元気に闘って欲しい。
そうすることが、決定戦全体を素晴らしい闘いにすることになると思うから。

第28回静岡リーグ(プロアマ混合)第4節レポート

2017年を迎えた。
毎年感じることではあるが、本当に1年が過ぎるのはあっという間である。
昨年はどのような1年だったのか、今年はどのような1年にしたいのかをじっくりと考えたいと思う。

私の2016年最後の公式戦は、数字で見ると良い結果とは言えないが、内容的には満足のいくものとなった。

1回戦は親番で2度跳満をツモられて点数を減らし、自分が勝負手の時も相手の躱わし手に放銃が続くなど厳しい展開だった。しかし南3局の跳満をツモり、なんとか小さな4着で抑えることができた。

2回戦はリーチ判断が上手くいって浮きの2着、3回戦で大きく失点をして4着を取るが、4回戦は南場で手がよく入り、気持ちよく迎えたオーラスの親番で細かくアガリを重ね、6万点を超えるトップを取ることができた。

数字で見れば▲17.6P。たくさん大物手をツモられてたくさん放銃もした。しかし、自分の中では納得のいく手組みでの放銃がほとんどであり、メンタル的にも慌てることなくいつも通り戦うことができた。2017年に繋がる対局となったことは間違いないだろう。

静岡支部に移籍してきて半年以上が経った。ようやくではあるが、プロアマ問わず多くの方々とお話しすることができるようになった。この日も麻雀の話や世間話など他愛もない話を対局の合間にしていた。

すると、午前に行われているプロリーグを観戦していた方から、
「あの場面はどうしてあの牌を切らなかったの?」
「この時って何を考えていたの?」
など、まだまだ未熟である私に質問を投げかけてくれたり、アドバイスをしてくれたりする方々がいた。

それでも、麻雀の質問をしてもらえることは麻雀プロにとって最大の喜びといっても過言ではないように思える。
もっともっと多くの方から質問してもらえるように自身のスキルアップに努めていきたいと思う。

全体を見ると、前節首位に躍り出た足立プロが今節も順調にスコアを伸ばし、首位の座を守った。
その後には悲願の決勝進出を狙う鈴木(雅)プロや山本プロが確実に加点し続く。

また、平野プロは今節+78.4Pの大きな加点で4位まで上がってきた。
120Pを超える者が6名と混戦模様の今回の静岡リーグ。決勝進出の5つの枠を勝ち取るのは誰になるのか、私も最後までその枠を争うことができるように戦っていきたい。

順位 名前 プロ/一般 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 足立 純哉 プロ 40.7 25.5 102.3 35.9   204.4
2 鈴木 雅人 プロ 14.9 66.2 65.4 10.4   156.9
3 山本 拓哉 プロ 52.6 ▲ 12.6 91.8 10.6   142.4
4 平野 敬悟 プロ ▲ 13.1 0.0 74.7 78.4   140.0
5 堀 孔明 一般 39.4 53.0 29.0 8.6   130.0
6 松井 和志 一般 105.9 ▲ 5.8 ▲ 7.9 32.1   124.3
7 青嶋 宏樹 一般 31.0 29.6 76.9 ▲ 56.4   81.1
8 春田 篤志 一般 27.0 ▲ 10.5 29.8 32.4   78.7
9 舟橋 晃 一般 4.3 ▲ 18.2 49.9 39.5   75.5
10 村瀬 光佳 一般 ▲ 36.9 69.5 ▲ 8.3 46.2   70.5
11 土屋 幸弘 プロ 38.6 ▲ 18.1 ▲ 4.2 49.6   65.9
12 中 寿文 プロ 35.7 ▲ 29.0 0.0 56.3   63.0
13 島﨑 涼 プロ 20.5 32.2 24.7 ▲ 17.6   59.8
14 杉村 泰治 プロ 12.7 15.7 ▲ 6.5 25.0   46.9
15 竹内 仁 一般 36.0 2.8 ▲ 8.6 0.0   30.2
16 都築 友和 プロ 45.2 15.7 ▲ 0.2 ▲ 32.2   28.5
17 鈴木 郁孝 プロ 38.2 3.5 ▲ 13.3 0.0   28.4
18 蓮池 浩太 一般 ▲ 20.8 32.3 ▲ 18.8 23.2   15.9
19 渡辺 洋巳 プロ 40.0 0.0 ▲ 1.1 ▲ 24.0   14.9
20 岡本 和也 プロ ▲ 3.6 ▲ 14.1 ▲ 20.7 51.1   12.7
21 太田 昌樹 プロ 23.2 ▲ 19.4 18.6 ▲ 10.4   12.0
22 本田 真之 一般 ▲ 5.3 ▲ 13.8 ▲ 12.8 32.7   0.8
23 京平 遥 プロ 36.8 0.0 ▲ 51.7 13.3   ▲ 1.6
24 中野 一男 一般 55.8 ▲ 45.8 ▲ 52.2 32.4   ▲ 9.8
25 松永 誠 一般 6.6 ▲ 75.7 ▲ 1.3 37.4   ▲ 33.0
26 鷲見 隼人 プロ ▲ 47.6 ▲ 40.5 106.6 ▲ 62.2   ▲ 43.7
27 望月 雅継 プロ ▲ 1.0 ▲ 34.0 1.6 ▲ 11.6   ▲ 45.0
28 坂本 彰光 一般 ▲ 31.4 26.9 ▲ 66.3 23.0   ▲ 47.8
29 越川 清一 プロ 2.2 ▲ 25.1 ▲ 44.7 18.9   ▲ 48.7
30 源馬 健太 一般 ▲ 0.7 16.8 ▲ 23.0 ▲ 46.3   ▲ 53.2
31 田中 良典 一般 ▲ 29.1 11.8 ▲ 24.2 ▲ 18.4   ▲ 59.9
32 大口 伸也 一般 ▲ 61.5 19.0 ▲ 45.2 25.8   ▲ 61.9
33 大石 康平 一般 ▲ 60.3 19.0 8.4 ▲ 29.2   ▲ 62.1
34 鈴木 秀幸 プロ ▲ 7.1 ▲ 20.8 0.0 ▲ 41.9   ▲ 69.8
35 山内 紀博 一般 ▲ 74.9 21.5 ▲ 13.7 ▲ 4.5   ▲ 71.6
36 白井 健夫 一般 4.8 ▲ 3.3 ▲ 51.2 ▲ 28.2   ▲ 77.9
37

伊藤 真 一般 ▲ 38.6 8.6 ▲ 39.5 ▲ 17.2   ▲ 86.7
38 川崎 義之 プロ 25.0 ▲ 29.1 ▲ 46.3 ▲ 37.7   ▲ 88.1
39 平田 拓也 一般 ▲ 30.4 ▲ 42.8 ▲ 15.3 ▲ 7.0   ▲ 95.5
40 鈴木 博直 一般 0.0 ▲ 45.2 ▲ 17.8 ▲ 38.6   ▲ 101.6
41 徳永 翔 プロ ▲ 47.9 ▲ 32.4 ▲ 17.7 ▲ 5.1   ▲ 103.1
42 伊藤裕美子 一般 ▲ 44.9 ▲ 29.7 ▲ 15.1 ▲ 33.3   ▲ 123.0
43 大橋 義一 一般 ▲ 80.8 15.0 ▲ 25.3 ▲ 75.0   ▲ 166.1
44 福井 弘人 一般 ▲ 60.3 ▲ 52.2 ▲ 57.3 ▲ 50.0   ▲ 219.8

静岡プロリーグ レポート/第28回静岡リーグ(プロアマ混合)第4節レポート

2017年を迎えた。
毎年感じることではあるが、本当に1年が過ぎるのはあっという間である。
昨年はどのような1年だったのか、今年はどのような1年にしたいのかをじっくりと考えたいと思う。
私の2016年最後の公式戦は、数字で見ると良い結果とは言えないが、内容的には満足のいくものとなった。
1回戦は親番で2度跳満をツモられて点数を減らし、自分が勝負手の時も相手の躱わし手に放銃が続くなど厳しい展開だった。しかし南3局の跳満をツモり、なんとか小さな4着で抑えることができた。
2回戦はリーチ判断が上手くいって浮きの2着、3回戦で大きく失点をして4着を取るが、4回戦は南場で手がよく入り、気持ちよく迎えたオーラスの親番で細かくアガリを重ね、6万点を超えるトップを取ることができた。
数字で見れば▲17.6P。たくさん大物手をツモられてたくさん放銃もした。しかし、自分の中では納得のいく手組みでの放銃がほとんどであり、メンタル的にも慌てることなくいつも通り戦うことができた。2017年に繋がる対局となったことは間違いないだろう。
静岡支部に移籍してきて半年以上が経った。ようやくではあるが、プロアマ問わず多くの方々とお話しすることができるようになった。この日も麻雀の話や世間話など他愛もない話を対局の合間にしていた。
すると、午前に行われているプロリーグを観戦していた方から、
「あの場面はどうしてあの牌を切らなかったの?」
「この時って何を考えていたの?」
など、まだまだ未熟である私に質問を投げかけてくれたり、アドバイスをしてくれたりする方々がいた。
それでも、麻雀の質問をしてもらえることは麻雀プロにとって最大の喜びといっても過言ではないように思える。
もっともっと多くの方から質問してもらえるように自身のスキルアップに努めていきたいと思う。
全体を見ると、前節首位に躍り出た足立プロが今節も順調にスコアを伸ばし、首位の座を守った。
その後には悲願の決勝進出を狙う鈴木(雅)プロや山本プロが確実に加点し続く。
また、平野プロは今節+78.4Pの大きな加点で4位まで上がってきた。
120Pを超える者が6名と混戦模様の今回の静岡リーグ。決勝進出の5つの枠を勝ち取るのは誰になるのか、私も最後までその枠を争うことができるように戦っていきたい。

順位 名前 プロ/一般 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 足立 純哉 プロ 40.7 25.5 102.3 35.9   204.4
2 鈴木 雅人 プロ 14.9 66.2 65.4 10.4   156.9
3 山本 拓哉 プロ 52.6 ▲ 12.6 91.8 10.6   142.4
4 平野 敬悟 プロ ▲ 13.1 0.0 74.7 78.4   140.0
5 堀 孔明 一般 39.4 53.0 29.0 8.6   130.0
6 松井 和志 一般 105.9 ▲ 5.8 ▲ 7.9 32.1   124.3
7 青嶋 宏樹 一般 31.0 29.6 76.9 ▲ 56.4   81.1
8 春田 篤志 一般 27.0 ▲ 10.5 29.8 32.4   78.7
9 舟橋 晃 一般 4.3 ▲ 18.2 49.9 39.5   75.5
10 村瀬 光佳 一般 ▲ 36.9 69.5 ▲ 8.3 46.2   70.5
11 土屋 幸弘 プロ 38.6 ▲ 18.1 ▲ 4.2 49.6   65.9
12 中 寿文 プロ 35.7 ▲ 29.0 0.0 56.3   63.0
13 島﨑 涼 プロ 20.5 32.2 24.7 ▲ 17.6   59.8
14 杉村 泰治 プロ 12.7 15.7 ▲ 6.5 25.0   46.9
15 竹内 仁 一般 36.0 2.8 ▲ 8.6 0.0   30.2
16 都築 友和 プロ 45.2 15.7 ▲ 0.2 ▲ 32.2   28.5
17 鈴木 郁孝 プロ 38.2 3.5 ▲ 13.3 0.0   28.4
18 蓮池 浩太 一般 ▲ 20.8 32.3 ▲ 18.8 23.2   15.9
19 渡辺 洋巳 プロ 40.0 0.0 ▲ 1.1 ▲ 24.0   14.9
20 岡本 和也 プロ ▲ 3.6 ▲ 14.1 ▲ 20.7 51.1   12.7
21 太田 昌樹 プロ 23.2 ▲ 19.4 18.6 ▲ 10.4   12.0
22 本田 真之 一般 ▲ 5.3 ▲ 13.8 ▲ 12.8 32.7   0.8
23 京平 遥 プロ 36.8 0.0 ▲ 51.7 13.3   ▲ 1.6
24 中野 一男 一般 55.8 ▲ 45.8 ▲ 52.2 32.4   ▲ 9.8
25 松永 誠 一般 6.6 ▲ 75.7 ▲ 1.3 37.4   ▲ 33.0
26 鷲見 隼人 プロ ▲ 47.6 ▲ 40.5 106.6 ▲ 62.2   ▲ 43.7
27 望月 雅継 プロ ▲ 1.0 ▲ 34.0 1.6 ▲ 11.6   ▲ 45.0
28 坂本 彰光 一般 ▲ 31.4 26.9 ▲ 66.3 23.0   ▲ 47.8
29 越川 清一 プロ 2.2 ▲ 25.1 ▲ 44.7 18.9   ▲ 48.7
30 源馬 健太 一般 ▲ 0.7 16.8 ▲ 23.0 ▲ 46.3   ▲ 53.2
31 田中 良典 一般 ▲ 29.1 11.8 ▲ 24.2 ▲ 18.4   ▲ 59.9
32 大口 伸也 一般 ▲ 61.5 19.0 ▲ 45.2 25.8   ▲ 61.9
33 大石 康平 一般 ▲ 60.3 19.0 8.4 ▲ 29.2   ▲ 62.1
34 鈴木 秀幸 プロ ▲ 7.1 ▲ 20.8 0.0 ▲ 41.9   ▲ 69.8
35 山内 紀博 一般 ▲ 74.9 21.5 ▲ 13.7 ▲ 4.5   ▲ 71.6
36 白井 健夫 一般 4.8 ▲ 3.3 ▲ 51.2 ▲ 28.2   ▲ 77.9
37 伊藤 真 一般 ▲ 38.6 8.6 ▲ 39.5 ▲ 17.2   ▲ 86.7
38 川崎 義之 プロ 25.0 ▲ 29.1 ▲ 46.3 ▲ 37.7   ▲ 88.1
39 平田 拓也 一般 ▲ 30.4 ▲ 42.8 ▲ 15.3 ▲ 7.0   ▲ 95.5
40 鈴木 博直 一般 0.0 ▲ 45.2 ▲ 17.8 ▲ 38.6   ▲ 101.6
41 徳永 翔 プロ ▲ 47.9 ▲ 32.4 ▲ 17.7 ▲ 5.1   ▲ 103.1
42 伊藤裕美子 一般 ▲ 44.9 ▲ 29.7 ▲ 15.1 ▲ 33.3   ▲ 123.0
43 大橋 義一 一般 ▲ 80.8 15.0 ▲ 25.3 ▲ 75.0   ▲ 166.1
44 福井 弘人 一般 ▲ 60.3 ▲ 52.2 ▲ 57.3 ▲ 50.0   ▲ 219.8

第12期静岡プロリーグ 第9節レポート

12月
冬の夜は空気が澄み、星が煌めく。
凍てつく風にさらされて、創傷が疼いた。
まだ終わらない。心の平穏が遠ざかっていく。

最終節は第8節終了時、上位2卓は回り順対戦、以下順位対戦となる。

1卓

山本拓哉(1位 +200.5P)×平岡理恵(4位 +83.1P)×鈴木秀幸(5位 +66.8P)×徳永翔(8位 +41.5P)

鈴木秀、徳永のターゲットは、平岡。
ボーダーラインの平岡にポイントの余裕はない。
しかし、好調そのままに更なる加点に成功し、決勝への切符を掴んだ。
最近の平岡の活躍には目を見張るものがある。

きっと決勝でも、魅せてくれるだろう。

山本+18.0P 平岡+51.8P 徳永▲51.4P 鈴木秀▲18.4P

2卓

京平遥(2位 +146.8P)×土屋幸弘(3位 +114.5P)×太田昌樹(6位 +53.7P)×鈴木雅人(7位 +44.4P)

太田、鈴木雅のターゲットは土屋。
土屋は京平を捲り、安全圏を目指す。
序盤は太田優勢だったが、土屋がきっちりとどめを刺した。

静岡プロリーグ連覇を狙う土屋。
試合中、手の震えが度々見られた。

かなりのプレッシャーが伝わってきた。

京平▲3.3P 土屋+25.4P 太田▲25.0P 鈴木雅+2.9P

3卓

島崎涼×越川清一×鈴木郁孝×長内真実

初参戦の島崎、プロリーグは5位で終了した。
前節の別日対局で大きく崩れてしまった事が悔やまれる。
来期こそ、決勝に残って欲しいと切に思う。

島崎+47.6P 越川+0.8P 鈴木郁▲20.6P 長内▲39.8P

4卓

望月雅継×平野敬悟×足立純哉×杉村泰治

平野は、通常時なら決勝候補なのだが
今期は大きくマイナスすることが多く、ポイントを伸ばすことが出来なかった。
来期の活躍を期待している選手の1人である。

杉村は、常に上位に付けているイメージを持つが、今期はコンスタントにマイナスを積み重ねてしまった。
こんな杉村を見るのは初めてかもしれない。

望月+16.3P 平野+32.3P 足立▲42.3P 杉村▲6.3P

5卓

鷲見隼人×岡本和也×都築友和×渡辺洋巳×中寿文

午後のプロアマリーグでは好調だった都築。
プロリーグでは力を発揮できなかったか?

中は、私が思うに今現在静岡支部内で一番モチベーションが高いのだが、結果がついてこなかった。
来期は頑張ってほしい。

鷲見▲32.1P 中+10.2P 渡辺+20.8P 都築+22.4P 岡本+22.5P

トータル上位4名が決勝の切符を掴んだ。
決勝進出者は以下の通り。

1位通過
中部本部 山本拓哉 +218.5P

2位通過
静岡支部 京平遥 +143.5P

3位通過
静岡支部 土屋幸弘 +139.9P

4位通過
静岡支部 平岡理恵 +134.9P

静岡プロリーグ決勝は1/18(水)。

今年も夏目坂スタジオにて、連盟チャンネル放送対局になります。
是非みなさまご視聴ください。

静岡プロリーグ レポート/第12期静岡プロリーグ 第9節レポート

12月
冬の夜は空気が澄み、星が煌めく。
凍てつく風にさらされて、創傷が疼いた。
まだ終わらない。心の平穏が遠ざかっていく。
最終節は第8節終了時、上位2卓は回り順対戦、以下順位対戦となる。
1卓
山本拓哉(1位 +200.5P)×平岡理恵(4位 +83.1P)×鈴木秀幸(5位 +66.8P)×徳永翔(8位 +41.5P)
鈴木秀、徳永のターゲットは、平岡。
ボーダーラインの平岡にポイントの余裕はない。
しかし、好調そのままに更なる加点に成功し、決勝への切符を掴んだ。
最近の平岡の活躍には目を見張るものがある。
きっと決勝でも、魅せてくれるだろう。
山本+18.0P 平岡+51.8P 徳永▲51.4P 鈴木秀▲18.4P
2卓
京平遥(2位 +146.8P)×土屋幸弘(3位 +114.5P)×太田昌樹(6位 +53.7P)×鈴木雅人(7位 +44.4P)
太田、鈴木雅のターゲットは土屋。
土屋は京平を捲り、安全圏を目指す。
序盤は太田優勢だったが、土屋がきっちりとどめを刺した。
静岡プロリーグ連覇を狙う土屋。
試合中、手の震えが度々見られた。
かなりのプレッシャーが伝わってきた。
京平▲3.3P 土屋+25.4P 太田▲25.0P 鈴木雅+2.9P
3卓
島崎涼×越川清一×鈴木郁孝×長内真実
初参戦の島崎、プロリーグは5位で終了した。
前節の別日対局で大きく崩れてしまった事が悔やまれる。
来期こそ、決勝に残って欲しいと切に思う。
島崎+47.6P 越川+0.8P 鈴木郁▲20.6P 長内▲39.8P
4卓
望月雅継×平野敬悟×足立純哉×杉村泰治
平野は、通常時なら決勝候補なのだが
今期は大きくマイナスすることが多く、ポイントを伸ばすことが出来なかった。
来期の活躍を期待している選手の1人である。
杉村は、常に上位に付けているイメージを持つが、今期はコンスタントにマイナスを積み重ねてしまった。
こんな杉村を見るのは初めてかもしれない。
望月+16.3P 平野+32.3P 足立▲42.3P 杉村▲6.3P
5卓
鷲見隼人×岡本和也×都築友和×渡辺洋巳×中寿文
午後のプロアマリーグでは好調だった都築。
プロリーグでは力を発揮できなかったか?
中は、私が思うに今現在静岡支部内で一番モチベーションが高いのだが、結果がついてこなかった。
来期は頑張ってほしい。
鷲見▲32.1P 中+10.2P 渡辺+20.8P 都築+22.4P 岡本+22.5P
トータル上位4名が決勝の切符を掴んだ。
決勝進出者は以下の通り。
1位通過
中部本部 山本拓哉 +218.5P
2位通過
静岡支部 京平遥 +143.5P
3位通過
静岡支部 土屋幸弘 +139.9P
4位通過
静岡支部 平岡理恵 +134.9P
静岡プロリーグ決勝は1/18(水)。
今年も夏目坂スタジオにて、連盟チャンネル放送対局になります。
是非みなさまご視聴ください。

麻将連合 BIG1カップ優勝は連盟22期生 奈良圭純!

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連盟インフォメーション/麻将連合 BIG1カップ優勝は連盟22期生 奈良圭純!

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第157回:第42期王位戦優勝特別インタビュー 樋口 徹  インタビュアー:小車 祥

第42期王位戦優勝特別インタビュー:樋口徹 インタビュアー:小車祥

第42期王位戦、樋口徹が優勝した。
優勝インタビューというのはその優勝者に近しい人間が担当することが多いが、私と樋口の場合は親友のようであり家族のようでもある近すぎる関係だ。

インタビューに入る前に、私と樋口の関係について簡単に書かせて頂きたい。
それによって樋口徹がどういう人間なのか、紹介代わりになるかもしれない。

私と樋口が出会ったのは約10年前。
私がアルバイトしていた麻雀店に、数ヶ月違いで入ってきたのが彼。
当時は2人とも麻雀プロでもなんでもなく、まさかここまで長い付き合いになるとは思っていなかった。

私の1つ年下で、明るくて気さくでお調子者で小生意気な好青年という第一印象。
その第一印象をこの約10年間おおよそ裏切ることはなく、そのまま歳を重ねた樋口と私。
私が麻雀プロになった3年後に彼も麻雀プロになり、同じ業界にいることでその付き合いは途絶えることなく続いてきた。
話し合ったわけでもなく偶然にも同じタイミングで福岡から東京へ出てきた私と樋口は、お互いに助け合う意味で1年ほどルームシェアしたりもした。

私たちは同世代で、麻雀という競技とのこれまでの関わり方や、これからの人生の方向性、周囲や自分のことを様々な角度で考え決めるという作業など、色々と共感したり考えをぶつけあったりすることも多かったように思う。

ある日、彼が言った。

「僕はもう決めました。とことん麻雀と付き合っていくことにします」

彼が麻雀プロになって3年目くらいの頃だったろうか。
樋口にも私にも、元々なりたいものがあった。
思い描いていた未来像から日に日に離れていく現実。
麻雀プロとして生きていく自分に情熱の全てを捧げることに、少し抵抗があったのかもしれない。
そんな葛藤に終止符を打ち、自分の人生の方向性を明確に示した一言なのだと理解した。

私はプロ5年目に麻雀マスターズを優勝した。
樋口もまた、プロ5年目に王位を獲得。
その優勝インタビューをするのは私しかいない。
樋口が私を指名したわけでも、私が名乗り出たわけでもないのだが、そんな気持ちでこのインタビューに取り組んだ。

 

100

 

都内某喫茶店にて待ち合わせ。
席に着くなり早速インタビューを始める。

小車「まずは王位おめでとう」

樋口「ありがとうございます」

小車「A級予選からの出場だよね?」

樋口「そうですそうです」

小車「すご」

なんだかぎこちない。
関係の距離が近すぎて、改めて向き合うと接し方がよくわからない。

小車「王位戦見ていて思ったんだけど、雀風変わった?」

樋口「うーん、どうだろう。元々僕に対してどういうイメージ持ってます?」

小車「麻雀店のスタッフの時は、自分の勝ちよりも打ってる人達を楽しませることを優先して麻雀しているイメージ。選手の時は当然自分のためだけに麻雀するわけだからそうじゃないんだけど、それでも一選手としてプロとしてどうあるべきかっていうことを考えながら麻雀を打つってイメージかな。ってこれ雀風ではないか」

樋口「確かに雀風とは違うかもですね(笑)準決勝の時に初めての映像対局だったんですよ。その時に、麻雀の内容よりも所作とか牌の扱いにばかり気がいっちゃって。粗相しないようにしなきゃって」

小車「それも別の意味でプロとして大事な部分だよね」

樋口「そう。その日に決勝進出を決めて、家に帰って自分が打ってる映像を見たんですよ。そしたら所作とか案外イケてて(笑)そのまま決勝に臨めたのはよかった」

小車「そうなんだ」

樋口「準決勝の最終戦、点棒にかなり余裕があったんですよ。映像対局の都合で他の卓の結果も全てわかっている状況で、自分は11,000点未満のラスにさえならなければよかったんです。この最終戦で点差を意識するあまり縮こまってしまって。なんとか決勝進出したものの、何もできずに終わったこの最終戦のことをすごく落ち込んで帰ったんですよね」

小車「あ、確かに決勝進出しましたってツイート見たけど、あんまり喜んでない雰囲気の文面だった」

樋口「そう、素直に喜べない精神状態だったんです。そしてその日に自分の対局を見て、一晩考えて寝て起きたらなんか吹っ切れてて。だから逆にいい精神状態で決勝には臨めたかなって思ってますね」

小車「あー、悪いところを出してデトックスできたみたいな」

樋口「日程であったり展開であったり、いろんなことが味方してくれてたと思います」

自分の力で勝ち取ったというよりも、勝たせてもらったのだと樋口は言う。
いちいち私に謙遜などしないだろうから、本心なのだろう。

小車「そろそろ決勝の話に入ろうか。ずっと伊藤優孝プロを追いかける展開だったね」

樋口「いや、ほんとに強かったっす。最終戦まで一度も上に立てなくて。全5回戦の4回戦のオーラスに2,600点放銃して原点持てず終わった時にかなり苦しくなったなぁと」

小車「そうだね。最終戦29.8P差って一発裏ドラなしのAルールでは結構厳しいポイント差だよね」

樋口「最終戦は浦山さんがリードする展開で、南1局の自分の親番を迎えた時には浦山さんが1人浮きでした」

最終戦南1局の点数状況は以下の通り。
樋口24,700(+37.7P)
宮内26,300(▲24.4P)
浦山54,700(▲80.8P)
伊藤14,300(+67.5P)※()内はトータルポイント。

樋口「最後のツモ番でノーテンから伊藤さんに放銃するんですよね」

以下、樋口の手牌。

三索四索六索七索七索八索九索六筒南南南北北  ツモ東  ドラ九万

樋口はここから打六筒とし、伊藤への放銃となる。

三万四万五万二索二索三索四索五索三筒四筒四筒五筒五筒  ロン六筒

7,700のアガリ。

小車「あー、あの局ね。一瞬何が起こったのかわからなかった(笑)」

樋口「あの時の自分は、親番がなくなったらもうほぼ負けだと思ってて。六筒を切ってロンと言われる可能性は高いけど、仕掛けが入る可能性もあるなと思ったんです。仕掛けが入ればツモが増えてテンパイできる可能性があると」

小車「実際ツモってきた東は2枚切れでほぼ安全牌だった。そういう意図がないと切らない牌だよね」

樋口「結果は伊藤さんに7,700放銃っていう最悪のものでした」

小車「後になって考えてみてどう?あの⑥切りはやりすぎだったと思う?」

樋口「やりすぎたとは思ってないけど、やめといた方がよかっただろうなとは思ってる」

小車「つまり後悔してると」

樋口「いや、後悔はしてないです。反省はしてるけど後悔はしてないってよく聞くけど、これのことかと感じてます(笑)」

小車「応援してる方としては、もうほぼ伊藤さんで決まりかなって思わざるを得ない瞬間になってしまったよ。ただ親が終わるだけなら十分可能性はある点差だったけど、あの点差ではもう奇跡が起こらないと無理だよなって」

樋口「そうですよね」

小車「しかし起こすかね、奇跡」

樋口「そうですよね」

小車「緑一色は出来過ぎだわ」

樋口「そうですよね」

ほとんどの人がご存知のことと思うので細かい部分は省くが、樋口は南3局1本場で緑一色をツモアガる。

二索二索六索六索八索八索八索発発発  ポン四索 上向き四索 上向き四索 上向き  ツモ六索  ドラ二筒

8,000・16,000は8,100・16,100

小車「ドキドキした?」

樋口「ドキドキしたっす」

小車「ちくしょう!」

樋口「テンパってからさらにドキドキしたっす」

小車「もういいよ!」

樋口「あの6ツモの感触は忘れられないっす」

小車「聞いてないのにめっちゃ喋るじゃねーか!」

元々流暢に話すタイプの樋口だが、緑一色の話になるといつにもなく饒舌になる。
王位決定戦が終わってからこのインタビューの日まで2週間程度。その間にいろんな人に散々聞かれて答えてきたのだろう。
気持ちよさそうに話す樋口に悔しさを覚えた私は、次の局の話に移行した。

最終戦南4局。
樋口は伊藤とのトータルポイントの差が8.8Pで上回っていた。
最後の伊藤の親番が終われば勝ちという状況。10巡目に樋口は以下の手牌。

一万二万三万三万五万六万七万二索二索二索七索八索九索  ツモ四索

ここで三万を切ってヤミテンとする。

小車「オーラス、三索四索待ちでリーチしなかった理由は?」

樋口「ドラの南が見えてなかったからですね。役ありテンパイが理想で、役なしでリーチを打つならドラが見えてからにしたかった」

小車「その直後、連荘しなきゃならない伊藤さんからドラの南が切られた」

樋口「そう。三索四索待ちでツモ切りリーチするつもりだったんですけど、四万ツモったことで待ちの選択肢ができてしまって」

小車「それで一万四万七万待ちにしてリーチ。七万を一発ツモと。Aルールだから一発はないけど」

樋口「やっぱりあの緑一色アガって負けるわけにはいかないってのはありましたね。だから最後まで大事にいった感じです」

小車「あんまり褒めたくないけど、緑一色の六索と最後の七万のツモり方がすげーかっこよかったよ」

樋口「そうですか」

小車「うん、俺がいつかやりたいと思ってた。優勝決まる瞬間のツモをいつも通り優しくツモるやつ」

私からすると、それを樋口がやったというのがすごいことだった。
一緒に麻雀店のスタッフをやっていた時代には、樋口はよく楽しくなったり熱くなったりして打牌が強くなることもあった。
競技麻雀の決勝の舞台というのは魂を削って勝負をしていると言っても過言ではない場所。
熱くなって打牌やツモに力が入ることもまた、麻雀プロとしての情熱を感じられる部分でもある。
実際にそういうタイプの選手も少なくないし、そういうシーンを見ると胸が熱くなる。
樋口はどちらかというと感情を表に出すタイプの人間だと思っていたし、クールという言葉とは程遠いように思う。そんな樋口がやったのだ。

小車「月並みだけど、今後の目標は?」

樋口「与えられたチャンスを一つ一つ頑張って結果に繋げていきたいですね」

小車「そうだね。G1タイトル獲って与えられたチャンスをほとんど活かせなかった人もいるらしいからね」

樋口「そんな奴おらんやろ」

小車「おい」

そんな冗談を言いながらインタビューも終わろうとしていた頃、樋口が言った。

樋口「やっと追いつきました」

小車「何が?」

樋口「ずっと小車さんに追いつかなきゃって気持ちがあったから」

小車「てつ……」

樋口「あとキヨちゃん(清原プロ)とかゴーニン(森下プロ)も」

小車「俺だけじゃないんかい!」

樋口「すいません(笑)でも仲がいい人がタイトルを獲っていく中で、自分が取り残されていくのは嫌だった。これでようやく肩を並べられたと思ってます。今までそんなこと口にしたことはなかったけど」

 

100

 

タイトルを獲るということがどういうことなのか、私は未だにわからずにいる。
ロマンチックに言えば『牌に選ばれた』とか『努力が報われた』とか。
味気なく言えば『ただ勝っただけ』とかになるのだろうか。

タイトルを獲れば自分の歩いてきた道は間違っていなかったと証明できると思っていた。
私の場合はそんなことは全くなく、今も様々なことに迷ってばかりだ。
タイトルを獲ってもプロ人生は続いていく。小説や映画のようにエンドロールが流れるわけではない。
タイトルホルダーとして見られ、考え、迷い、決断を突き付けられる。

私なりに歩んできた人生で、今の樋口に何か伝えられることはないかと探してみた。
しかしそんなアドバイスは何の意味もないとすぐに気が付いた。
彼自身が見られ、考え、迷い、決断を突き付けられなければ感じられないものなのだから。

緑一色という派手な看板を携え、また1人タイトルホルダーが誕生した。
とことん麻雀と付き合っていくと言った男が一つ結果を出した。
これからの樋口徹に期待しつつ、自分もしっかりしないとなと自分に言い聞かせる。

第42期王位樋口徹の新たな麻雀人生に注目したい。

 

100

プロ雀士インタビュー/第157回:第42期王位戦優勝特別インタビュー 樋口 徹  インタビュアー:小車 祥

第42期王位戦優勝特別インタビュー:樋口徹 インタビュアー:小車祥
第42期王位戦、樋口徹が優勝した。
優勝インタビューというのはその優勝者に近しい人間が担当することが多いが、私と樋口の場合は親友のようであり家族のようでもある近すぎる関係だ。
インタビューに入る前に、私と樋口の関係について簡単に書かせて頂きたい。
それによって樋口徹がどういう人間なのか、紹介代わりになるかもしれない。
私と樋口が出会ったのは約10年前。
私がアルバイトしていた麻雀店に、数ヶ月違いで入ってきたのが彼。
当時は2人とも麻雀プロでもなんでもなく、まさかここまで長い付き合いになるとは思っていなかった。
私の1つ年下で、明るくて気さくでお調子者で小生意気な好青年という第一印象。
その第一印象をこの約10年間おおよそ裏切ることはなく、そのまま歳を重ねた樋口と私。
私が麻雀プロになった3年後に彼も麻雀プロになり、同じ業界にいることでその付き合いは途絶えることなく続いてきた。
話し合ったわけでもなく偶然にも同じタイミングで福岡から東京へ出てきた私と樋口は、お互いに助け合う意味で1年ほどルームシェアしたりもした。
私たちは同世代で、麻雀という競技とのこれまでの関わり方や、これからの人生の方向性、周囲や自分のことを様々な角度で考え決めるという作業など、色々と共感したり考えをぶつけあったりすることも多かったように思う。
ある日、彼が言った。
「僕はもう決めました。とことん麻雀と付き合っていくことにします」
彼が麻雀プロになって3年目くらいの頃だったろうか。
樋口にも私にも、元々なりたいものがあった。
思い描いていた未来像から日に日に離れていく現実。
麻雀プロとして生きていく自分に情熱の全てを捧げることに、少し抵抗があったのかもしれない。
そんな葛藤に終止符を打ち、自分の人生の方向性を明確に示した一言なのだと理解した。
私はプロ5年目に麻雀マスターズを優勝した。
樋口もまた、プロ5年目に王位を獲得。
その優勝インタビューをするのは私しかいない。
樋口が私を指名したわけでも、私が名乗り出たわけでもないのだが、そんな気持ちでこのインタビューに取り組んだ。
 

100

 
都内某喫茶店にて待ち合わせ。
席に着くなり早速インタビューを始める。
小車「まずは王位おめでとう」
樋口「ありがとうございます」
小車「A級予選からの出場だよね?」
樋口「そうですそうです」
小車「すご」
なんだかぎこちない。
関係の距離が近すぎて、改めて向き合うと接し方がよくわからない。
小車「王位戦見ていて思ったんだけど、雀風変わった?」
樋口「うーん、どうだろう。元々僕に対してどういうイメージ持ってます?」
小車「麻雀店のスタッフの時は、自分の勝ちよりも打ってる人達を楽しませることを優先して麻雀しているイメージ。選手の時は当然自分のためだけに麻雀するわけだからそうじゃないんだけど、それでも一選手としてプロとしてどうあるべきかっていうことを考えながら麻雀を打つってイメージかな。ってこれ雀風ではないか」
樋口「確かに雀風とは違うかもですね(笑)準決勝の時に初めての映像対局だったんですよ。その時に、麻雀の内容よりも所作とか牌の扱いにばかり気がいっちゃって。粗相しないようにしなきゃって」
小車「それも別の意味でプロとして大事な部分だよね」
樋口「そう。その日に決勝進出を決めて、家に帰って自分が打ってる映像を見たんですよ。そしたら所作とか案外イケてて(笑)そのまま決勝に臨めたのはよかった」
小車「そうなんだ」
樋口「準決勝の最終戦、点棒にかなり余裕があったんですよ。映像対局の都合で他の卓の結果も全てわかっている状況で、自分は11,000点未満のラスにさえならなければよかったんです。この最終戦で点差を意識するあまり縮こまってしまって。なんとか決勝進出したものの、何もできずに終わったこの最終戦のことをすごく落ち込んで帰ったんですよね」
小車「あ、確かに決勝進出しましたってツイート見たけど、あんまり喜んでない雰囲気の文面だった」
樋口「そう、素直に喜べない精神状態だったんです。そしてその日に自分の対局を見て、一晩考えて寝て起きたらなんか吹っ切れてて。だから逆にいい精神状態で決勝には臨めたかなって思ってますね」
小車「あー、悪いところを出してデトックスできたみたいな」
樋口「日程であったり展開であったり、いろんなことが味方してくれてたと思います」
自分の力で勝ち取ったというよりも、勝たせてもらったのだと樋口は言う。
いちいち私に謙遜などしないだろうから、本心なのだろう。
小車「そろそろ決勝の話に入ろうか。ずっと伊藤優孝プロを追いかける展開だったね」
樋口「いや、ほんとに強かったっす。最終戦まで一度も上に立てなくて。全5回戦の4回戦のオーラスに2,600点放銃して原点持てず終わった時にかなり苦しくなったなぁと」
小車「そうだね。最終戦29.8P差って一発裏ドラなしのAルールでは結構厳しいポイント差だよね」
樋口「最終戦は浦山さんがリードする展開で、南1局の自分の親番を迎えた時には浦山さんが1人浮きでした」
最終戦南1局の点数状況は以下の通り。
樋口24,700(+37.7P)
宮内26,300(▲24.4P)
浦山54,700(▲80.8P)
伊藤14,300(+67.5P)※()内はトータルポイント。
樋口「最後のツモ番でノーテンから伊藤さんに放銃するんですよね」
以下、樋口の手牌。
三索四索六索七索七索八索九索六筒南南南北北  ツモ東  ドラ九万
樋口はここから打六筒とし、伊藤への放銃となる。
三万四万五万二索二索三索四索五索三筒四筒四筒五筒五筒  ロン六筒
7,700のアガリ。
小車「あー、あの局ね。一瞬何が起こったのかわからなかった(笑)」
樋口「あの時の自分は、親番がなくなったらもうほぼ負けだと思ってて。六筒を切ってロンと言われる可能性は高いけど、仕掛けが入る可能性もあるなと思ったんです。仕掛けが入ればツモが増えてテンパイできる可能性があると」
小車「実際ツモってきた東は2枚切れでほぼ安全牌だった。そういう意図がないと切らない牌だよね」
樋口「結果は伊藤さんに7,700放銃っていう最悪のものでした」
小車「後になって考えてみてどう?あの⑥切りはやりすぎだったと思う?」
樋口「やりすぎたとは思ってないけど、やめといた方がよかっただろうなとは思ってる」
小車「つまり後悔してると」
樋口「いや、後悔はしてないです。反省はしてるけど後悔はしてないってよく聞くけど、これのことかと感じてます(笑)」
小車「応援してる方としては、もうほぼ伊藤さんで決まりかなって思わざるを得ない瞬間になってしまったよ。ただ親が終わるだけなら十分可能性はある点差だったけど、あの点差ではもう奇跡が起こらないと無理だよなって」
樋口「そうですよね」
小車「しかし起こすかね、奇跡」
樋口「そうですよね」
小車「緑一色は出来過ぎだわ」
樋口「そうですよね」
ほとんどの人がご存知のことと思うので細かい部分は省くが、樋口は南3局1本場で緑一色をツモアガる。
二索二索六索六索八索八索八索発発発  ポン四索 上向き四索 上向き四索 上向き  ツモ六索  ドラ二筒
8,000・16,000は8,100・16,100
小車「ドキドキした?」
樋口「ドキドキしたっす」
小車「ちくしょう!」
樋口「テンパってからさらにドキドキしたっす」
小車「もういいよ!」
樋口「あの6ツモの感触は忘れられないっす」
小車「聞いてないのにめっちゃ喋るじゃねーか!」
元々流暢に話すタイプの樋口だが、緑一色の話になるといつにもなく饒舌になる。
王位決定戦が終わってからこのインタビューの日まで2週間程度。その間にいろんな人に散々聞かれて答えてきたのだろう。
気持ちよさそうに話す樋口に悔しさを覚えた私は、次の局の話に移行した。
最終戦南4局。
樋口は伊藤とのトータルポイントの差が8.8Pで上回っていた。
最後の伊藤の親番が終われば勝ちという状況。10巡目に樋口は以下の手牌。
一万二万三万三万五万六万七万二索二索二索七索八索九索  ツモ四索
ここで三万を切ってヤミテンとする。
小車「オーラス、三索四索待ちでリーチしなかった理由は?」
樋口「ドラの南が見えてなかったからですね。役ありテンパイが理想で、役なしでリーチを打つならドラが見えてからにしたかった」
小車「その直後、連荘しなきゃならない伊藤さんからドラの南が切られた」
樋口「そう。三索四索待ちでツモ切りリーチするつもりだったんですけど、四万ツモったことで待ちの選択肢ができてしまって」
小車「それで一万四万七万待ちにしてリーチ。七万を一発ツモと。Aルールだから一発はないけど」
樋口「やっぱりあの緑一色アガって負けるわけにはいかないってのはありましたね。だから最後まで大事にいった感じです」
小車「あんまり褒めたくないけど、緑一色の六索と最後の七万のツモり方がすげーかっこよかったよ」
樋口「そうですか」
小車「うん、俺がいつかやりたいと思ってた。優勝決まる瞬間のツモをいつも通り優しくツモるやつ」
私からすると、それを樋口がやったというのがすごいことだった。
一緒に麻雀店のスタッフをやっていた時代には、樋口はよく楽しくなったり熱くなったりして打牌が強くなることもあった。
競技麻雀の決勝の舞台というのは魂を削って勝負をしていると言っても過言ではない場所。
熱くなって打牌やツモに力が入ることもまた、麻雀プロとしての情熱を感じられる部分でもある。
実際にそういうタイプの選手も少なくないし、そういうシーンを見ると胸が熱くなる。
樋口はどちらかというと感情を表に出すタイプの人間だと思っていたし、クールという言葉とは程遠いように思う。そんな樋口がやったのだ。
小車「月並みだけど、今後の目標は?」
樋口「与えられたチャンスを一つ一つ頑張って結果に繋げていきたいですね」
小車「そうだね。G1タイトル獲って与えられたチャンスをほとんど活かせなかった人もいるらしいからね」
樋口「そんな奴おらんやろ」
小車「おい」
そんな冗談を言いながらインタビューも終わろうとしていた頃、樋口が言った。
樋口「やっと追いつきました」
小車「何が?」
樋口「ずっと小車さんに追いつかなきゃって気持ちがあったから」
小車「てつ……」
樋口「あとキヨちゃん(清原プロ)とかゴーニン(森下プロ)も」
小車「俺だけじゃないんかい!」
樋口「すいません(笑)でも仲がいい人がタイトルを獲っていく中で、自分が取り残されていくのは嫌だった。これでようやく肩を並べられたと思ってます。今までそんなこと口にしたことはなかったけど」
 

100

 
タイトルを獲るということがどういうことなのか、私は未だにわからずにいる。
ロマンチックに言えば『牌に選ばれた』とか『努力が報われた』とか。
味気なく言えば『ただ勝っただけ』とかになるのだろうか。
タイトルを獲れば自分の歩いてきた道は間違っていなかったと証明できると思っていた。
私の場合はそんなことは全くなく、今も様々なことに迷ってばかりだ。
タイトルを獲ってもプロ人生は続いていく。小説や映画のようにエンドロールが流れるわけではない。
タイトルホルダーとして見られ、考え、迷い、決断を突き付けられる。
私なりに歩んできた人生で、今の樋口に何か伝えられることはないかと探してみた。
しかしそんなアドバイスは何の意味もないとすぐに気が付いた。
彼自身が見られ、考え、迷い、決断を突き付けられなければ感じられないものなのだから。
緑一色という派手な看板を携え、また1人タイトルホルダーが誕生した。
とことん麻雀と付き合っていくと言った男が一つ結果を出した。
これからの樋口徹に期待しつつ、自分もしっかりしないとなと自分に言い聞かせる。
第42期王位樋口徹の新たな麻雀人生に注目したい。
 

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プロリーグ(鳳凰戦)成績表/第33期 A1リーグ 第12節成績表

A2 B1・B2 C1・C2・C3 D1・D2・D3 E

第32期鳳凰位
勝又 健志
出身地(東京)

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 6節 7節 8節 9節 10節 11節 12節 対局消化数 合計
1 前原 雄大(東京) 12.6 0.9 ▲ 6.7 24.8 11.1 39.5 40.1 39.6 10.9 ▲ 25.0 ▲ 1.1 14.8 48/48 161.5
2 近藤 久春(秋田) 49.4 68.7 0.7 ▲ 22.2 24.3 ▲ 30.2 15.4 14.5 46.0 ▲ 39.6 8.9 ▲ 3.3 48/48 132.6
3 古川 孝次(愛知) 21.8 ▲ 35.0 24.3 67.1 ▲ 31.3 24.7 2.9 40.7 ▲ 12.9 ▲ 52.5 0.4 49.0 48/48 99.2
4 沢崎 誠(群馬) 32.4 17.5 ▲ 35.6 2.2 35.7 ▲ 7.5 21.8 ▲ 37.5 ▲ 7.9 81.4 32.5 ▲ 60.5 48/48 74.5
5 HIRO柴田(神奈川) ▲ 29.7 ▲ 69.1 16.8 44.1 ▲ 11.5 ▲ 28.3 ▲ 40.1 111.1 14.7 9.7 15.0 2.2 48/48 34.9
6 藤崎 智(秋田) ▲ 33.9 28.5 ▲ 21.5 ▲ 24.3 6.8 36.6 ▲ 80.4 20.4 31.0 36.8 5.7 24.0 48/48 29.7
7 前田 直哉(静岡) 32.5 ▲ 26.9 40.0 51.0 7.1 32.7 37.8 ▲ 55.9 ▲ 29.0 ▲ 33.5 ▲ 94.1 8.6 48/48 ▲ 29.7
8 石渡 正志(神奈川) ▲ 34.5 49.1 9.0 ▲ 67.6 ▲ 56.4 ▲ 2.8 ▲ 5.5 ▲ 8.0 32.6 2.6 ▲ 46.8 83.0 48/48 ▲ 45.3
9 伊藤 優孝(秋田) 10.0 ▲ 19.7 2.3 ▲ 13.9 8.1 1.6 19.8 ▲ 47.2 ▲ 55.1 50.5 32.9 ▲ 34.8 48/48 ▲ 45.5
10 瀬戸熊 直樹(東京) ▲ 8.5 ▲ 8.5 ▲ 34.0 ▲ 31.8 79.7 ▲ 31.0 ▲ 16.4 ▲ 76.6 ▲ 30.0 45.7 27.5 ▲ 28.4 48/48 ▲ 112.3
11 仁平 宣明(福岡) ▲ 47.4 8.5 ▲ 29.3 ▲ 15.5 25.3 4.7 ▲ 11.1 ▲ 3.1 ▲ 5.6 ▲ 62.3 66.2 ▲ 43.4 48/48 ▲ 113.0
12 望月 雅継(静岡) ▲ 4.7 ▲ 14.0 34.0 ▲ 14.9 ▲ 98.9 ▲ 42.0 ▲ 6.3 1.0 5.3 ▲ 14.8 ▲ 47.1 ▲ 11.2 48/48 ▲ 213.6

第15期北陸リーグ 第4節レポート

2016年12月
北陸リーグも第4節となり、各自いよいよ決勝進出に向けて佳境に入って来た。
上位陣は更に磐石な位置に着け、最終節を前にあわよくば当確ランプを灯したいし、中位に位置する者はこの節で何とか上位に食い込み最終節に繋げていきたい。そして下位の者はとにかくポイントをひたすら叩いてきたい。
そんな選手それぞれの思惑の中、闘いが繰り広げられた。

 

【A卓】
押川さん、藤本、濱平、平澤さん(順位順)
注目は毎節プラスで現在トータル3位に付けている押川さんに、5位まで浮上した藤本がどう迫っていくか?

2回戦、南2局、藤本の親番。
(座順:親から藤本→濱平→平澤さん→押川さん)
この半荘押川さんが爆発し、この時点で6万点近く稼いでトップ街道を走っていた。藤本としては、この親で何とか喰らいついていきたいところ。
その藤本の配牌はバラバラ、10種10牌…。流すかな?と思った瞬間、藤本の選択は第一打ドラの六索切り!他3人に一気に緊張が走る。
親で国士を狙うのはなかなか勇気がいるもので、私なんかは狙ったとしても第一打からはドラは切り出せない。しかしながら藤本のこの思い切りの良さが、この局じわじわと他3人に執拗にマークを強いらせるカタチとなる。
果たせるか、9巡目にテンパイが入る。

九万一索九索一筒九筒東南西北白発発中  ドラ六索

待ちは一万で場に既に3枚切れであるが、残り1枚は山に生きている。
しかし藤本がテンパイを入れる前に濱平が二索五索待ちで既にテンパイしていた。ただ役が無く、親の国士を警戒し、当然のヤミ。アタマが南なので、出たら鳴いていく構え。
平澤さんも字牌が余ってきた親を見てタンヤオの仕掛けを入れて、打六万で1シャンテンに取る。これも国士を阻止するため、間に合わせるための当然の仕掛け。
しかし、この無きで濱平のツモ牌の五索が流れてしまう。
押川さんも悩ましい。

二万三万四万四万五万五索六索七索八索八索六筒七筒九筒

上家の平澤さんの打六万でチーテンも取れるが、国士の気配が出ていたので、九筒が打ち切れずと判断。ツモ山に手を伸ばすと八筒
もしチーテンを取って九筒を勝負していれば、藤本から直ぐにこの八筒で2,000点のアガリだったが、これはやはりリスクが大きすぎる。これも当然の構えである。
3人の当然な対応、しかしながら結果論として、この当然な対応が藤本のアガリを潰せなかったのも事実…。
「4分の1」の一万は藤本の手に手繰り寄せられた!
親の国士無双が成就される。

藤本の親が続く南2局2本場、押川さんも反撃。

一万二万三万一索一索二索三索三索四筒四筒四筒九筒九筒  ドラ三索

イーペーコードラ2でヤミテンだったが、ツモ四索と来たので、打一索二索五索待ちのリーチと出る。
藤本もここぞとばかり追っかけリーチと行く。

四万五万五万六万七万三索三索四索五索六索三筒四筒五筒

両者共にドラ2の両面待ちで、完全に2人のノーガードの打ち合い。
ここは押川さんが五索をツモアガリ、藤本の独走を阻む。

藤本はトータル2位まで浮上。首位との差も3.5ポイントまで肉薄し、最終節は予選トップ通過も視野に入って来た。
押川さんも今節もプラスを積み上げ、3位をキープ。こちらも首位まで15.5ポイント差なので、十分にトップを狙える位置である。

 

【B卓】
小泉さん、荒谷、安城、久保さん(順位順)
予選ボーダーでもある現状トータル4位の小泉さんに、中位にいる他3人がどこまで迫れるか?ここでポイントを伸ばせなかった者は、最終節を待たずして終戦の可能性もある。
ここでは荒谷に注目。

◯荒谷誠(第22期生、血液型→A型、好きな手役→一色系)
好きな手役を一色系に挙げる通り、荒谷は高打点打法を自分のスタイルとして目指している。
探求心も強く、私なんかの辛口の助言にも素直に耳を傾けてくれている。
そして、彼は支部の運営面でも日々活躍しており、未来の北陸支部を担ってくれる有望な一人である。
現在三段だが、高打点打法を完成して、更なる高みを目指して頂きたい。

1回戦、その荒谷に大物手が炸裂する。
南1局、南家
四索四索四筒四筒四筒七筒八筒  暗カン牌の背中中牌の背  暗カン牌の背二万 上向き二万 上向き牌の背  ロン六筒  ドラ二万

一手変わりの四暗刻で、ドラ二万中も隠す事なく、カンツにして積極的に攻めての跳満。しかも当面ターゲットである小泉さんからの出アガリで、荒谷にとっては嬉しいアガリとなった。

南2局、荒谷の親番、前局のアガリから自分の時間を確立させたいところ。
その荒谷、6巡目にテンパイ。

七万七万七万八万七索八索九索九索二筒三筒四筒五筒六筒  ツモ七筒  ドラ六索

九索、そしてリーチと行く。これはいただけない。
前局のアガリ、順調に伸びてくるツモ、ドラとの振り替えの可能性、そして何と言ってもAルールでは得策とされない「ピンフのみリーチ」…。どれをとってもここは一旦ヤミテンに構えるべきだった。
そして次巡のツモは懺悔を言い渡すかのようなドラ六索
結果六万をツモってアガるわけだが、ここから荒谷の手がピタッと止まってしまった。
流れ論者としては、この局のせいで流れを塞き止めたのではないか、と思われる。
本人も対局後この局を非常に悔やんでおり、彼が飛躍する為には、こういうところが課題と言えよう。
トータルは小泉さんが5位に後退、荒谷は7位まで浮上し、9位の久保さんと共に辛うじて最終節に望みを繋げた。

 

【C卓】
山元さん、窪田さん、飯田さん、後藤(順位順)
後藤以外の三人は中位の為、今節で大きくポイントを叩き上位進出を狙いたいところ。

卓内トップは「侍・山元」で、30ポイント弱稼ぎ、トータル8位で最終節に勝負を賭ける。
同じく中位の窪田さんはポイントを伸ばせず、飯田さんはマイナスとなった。

 

【D卓】
宮川さん、吉田さん、森田さん、恵比須さん(順位順)
トータルポイントがほぼフラットな宮川さんと吉田さん。宮川さんはポイントを伸ばせず中位のまま。吉田さんは大きく沈んでしまい、決勝進出はかなり厳しくなってきた。

 

【E卓】
光岡さん、浦田、北川さん、高出さん(順位順)
さて私の卓だが、前節同様現在首位を走る光岡さんとの直接対決。前節は光岡さんに後塵を拝するカタチとなり、私は1ヶ月天下で終わる首位陥落。プロとして同じ轍を踏むわけにはいかない。当然ながら光岡さんも私を返り討ちにするつもりだと思うので、この2人を中心に回っていくと予測されたが…。

1回戦、起家・北川さんのメンピンツモドラ1(2,600オール)でスタートする。
前節、小四喜をアガった北川さんが今節も絶好調模様で、フリテンリーチを敢行するなど、グイグイ攻め込んでくる。トータル1位2位との直接対決は願ってもないチャンスであり、やはり勝負賭けの日なのである。
結局1回戦は北川さん1着で2着・高出さん。首位争いと言いながら浦田3着、光岡さん4着と波乱含みのスタートとなった。

2回戦、東2局、東家・浦田
7巡目に下記の手牌でリーチ。

二万三万六万七万八万二索三索四索二筒三筒四筒八筒八筒  ドラ四万

これを高目四万をツモり、6,000オール。
「さぁ、ここからが自分の時間だ!」
気合いを入れての1本場、10巡目にテンパイ。

三万四万八万八万四索四索四索五索六索七索二筒二筒四筒  ツモ五万  ドラ八万

待ち牌はいずれも場に1枚も出ていない。私は四筒を切り、シャンポン待ちを選択。
すると対面の高出さんより手出しの三筒…。
「しまった。カンチャンだったか!?」
と思ったのも束の間、下家の北川さんよりドラの八万が出て来る。
「ロン!(なんだ、やっぱりこっちで良かったんだ。)」
「ロン!」
ん!?対面の高出さんがアタマハネで手を開く。

三万四万五万七万九万一筒一筒七筒八筒九筒  チー八索 左向き七索 上向き九索 上向き

親満のアタマハネも痛いが、乗ってきた親が落ちた事が何より痛い。

次の局の東3局。
ホンイツに向かった私は、終盤テンパイする。

三索四索六索七索七索南南南西西発発発  ツモ五索  ドラ八索

あとツモはハイテイの1回だけだったが、ここでこの五索をツモってテンパイするという事は、アガれと言う事なのではないか!?とかなり危険なドラ表示牌七索を勝負する。
無事通過し、ハイテイツモに手を伸ばした瞬間、直前の上家・光岡さんの切った一万に高出さんから2,000点のロンの声。
牌山が崩れ、卓内に吸い込まれていく私のハイテイツモだった八索…。
一度ならず二度までの高出さんに阻止される私の本手。

親の跳満以降、一度もアガれずながら何とかトップ目をキープしてきたオーラス。突然激しく仕掛ける。
南4局、南家

西西北北  チー二筒 左向き三筒 上向き四筒 上向き  チー八筒 左向き七筒 上向き九筒 上向き  ポン南南南

この3フーロ、48,000点持ちのトップ目のオーラスの仕掛けとして積極的と見るべきか?なかなか二の矢を決め切れない焦りからだと見るべきか?。西北も序盤に1枚ずつ切れていて、いざとなればオリ切れる自信があったのかもしれないが、結果高出さんのリーチを誘発し、満貫をツモられ、キッチリとトップを捲られてしまう。
私にとってダメージの残る半荘となる。

3回戦、これまで43と良いところが全然なかった光岡さんがアガリを重ねる。
南1局の親でも連荘を重ね、2本場で持ち点は46,600点。
この局もタンヤオ仕掛けでテンパイ気配、またしても連荘と思われたが、ドラの白を切ると、北川さんが手牌を倒す。

五筒五筒五筒九筒九筒九筒一索一索一索六索六索白白  ロン白  ドラ白

光岡さんのこの半荘のプラス分を全て奪う、倍満のアガリ。
この局でも分かる通り、今日の光岡さんは本当に苦しい。いつもなら、この半荘は光岡さんの半荘になる筈なのに…。それほど今日の北川さんの出来が素晴らしいという事であろう。
南2局、そんな光岡さんに私が7,700点を振り込んでしまう。
私も相当ヤバい状態と言える。
結局この半荘、私は痛恨のラスで終える。

4回戦、東1局、西家の北川さんが積極的に仕掛けて来る。
ここに、七対子をテンパイした私が簡単に刺さってしまう。

四索四索二筒四筒東東東  チー七索 左向き八索 上向き九索 上向き  明カン八万 上向き八万 上向き八万 上向き八万 上向き  ロン三筒  ドラ東

8,000点の放銃…。

私の待ち牌選択は三筒八筒だったわけだが、北川さんの捨て牌に八筒は現物であった事、最終手出しが六筒であった事、そして北川さんの仕掛けが異常で、明らかに手にはドラが固まっているのが分かる事からも、ここは大人しく八筒を切って三筒単騎に受けるべきだった。
前半荘からの流れの悪さからも、しっかりと受けるべきであった。

いよいよ追い詰められた東2局、親番を迎える。

二万三万四索七索八索一筒一筒七筒八筒南北北発中

北家・高出さんの第一打一万に思わず反応する。残ったカタチは両面ばかりで、普通は仕掛けないだろう。この鳴きは焦りの鳴きか?それとも決断の鳴きとなるか?
結果は吉と出て、直ぐに九索一筒を引き込み、更に片アガリながら九筒をツモって、僥倖の3,900オール。

七索八索九索一筒一筒一筒七筒八筒北北  チー一万 左向き二万 上向き三万 上向き  ツモ九筒  ドラ一筒

このアガリで何とか息を吹き返し、この半荘二着とし、今節苦しみながらも僅かにプラスで終えた。
そして、トータルでは宣言通り何とか首位に返り咲く事が出来た。しかしながら奪回したというよりも、たまたまちょっとだけ皆の一番上だっただけ、というのが正しい見解であろう。
とにもかくにもこの位置を渡す事なく、予選一位通過での決勝進出、そして「優勝」の二文字を実現させて行きたい。

来月はいよいよ予選最終節、出場選手にとって勝負を賭ける、更なる熱い闘いとなるのは必至。
果たして決勝進出に進むのは誰になるのであろうか?
乞う御期待下さい。