天空麻雀10男性大会優勝特別インタビュー:佐々木 寿人

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天空麻雀10を優勝したした佐々木寿人プロ

滝沢「ヒサちゃん天空麻雀優勝おめでとう!」
佐々木「ヒサちゃんじゃねーだろ、寿人さんだろう?最近色んなヤツに呼び捨てにされるけどお前のせいじゃねえのか!?」
滝沢「“ヒサト”っていうのは呼び捨てじゃなくて、ニックネームみたいなもんでしょ。ほら、“イチロー”みたいな感じで…」
佐々木「あーなるほど…」(嬉しそうな表情)
滝沢「インタビューしなくても原稿書けそうだけど本日は一応会いにきました」
佐々木「インタビューしなくても!?俺のファンか?」
滝沢「はいはい…ちゃっちゃと終わらせましょう」
佐々木「カッコ良く書けよな」
滝沢「ファンのみなさんから募集した、お決まりみたいな質問が用意してあるんだけど、先にまとめていきたいと思います」
佐々木「うむ」

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競輪界のスター伏見俊明選手と
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知恵の輪が楽しく、この笑顔!
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一日二杯の酒を飲む

滝沢「好きな食べ物は?」
佐々木「トンカツ」
滝沢「カラオケの十八番は何ですか?」
佐々木「時代遅れ(河島英五)だな」
滝沢「お酒は強いですか?」
佐々木「はい」
滝沢「嘘はやめましょう」
佐々木「飲む量が少ないのは確かだ。しかし酒に負けたことはない。お前と違って」
滝沢「まあ良いです。次、趣味はありますか?」
佐々木「フットサル、ずっとゴール前にいる」
滝沢「はいわかりました」
佐々木「あ、あと自分の麻雀の動画を鑑賞すること。自分の。」
滝沢「(全部自分が中心…)次の質問いきます。将来の目標は?」
佐々木「タイトル総なめ!」
滝沢「はい、頑張ってください。次の質問、何でいつもそんなに偉そうなんですか?」
佐々木「何だその質問?ほんとに募集したのか?」
滝沢「はい。一般公募です」
佐々木「自分の意見がしっかりとしているからかな?そんなに偉そうに感じるかな?」
滝沢「改善すべき点ではあるでしょうね」
佐々木「そうか…」
滝沢「次の質問いきます。あれほど拒否していたツイッターですが、楽しんでいるようにしか見えません」
佐々木「それ質問じゃないよね?てかお前の意見じゃない!?」
滝沢「いえ、一般公募です。最後、何でそんなに品性や知性があふれ出ているんですか?」
佐々木「もしかしてバカにしてる!?(怒)」
滝沢「質問は以上です。それでは本題の天空麻雀10決勝(全2回戦)の牌譜について話していきましょう」

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牌譜検証をしていると、ダンプ大橋、古橋崇志(あだな・子供店長)が…

一発裏ドラあり、赤3枚
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滝沢「これは1回戦の東3局なんだけど、」
佐々木「うむ。赤2枚あるが少々重い」

滝沢 「いや聞きたいのは荒さんの東について。藤崎さんから出た東を1鳴きせず、同巡打たれた東をポンするんだけど、「ヒサト」にはそういった発想はあるの?」
佐々木「だから寿人さんだろ?実家の親父にも滝沢っていう失礼なやつを注意しとくように言われたわ。ダブ東は基本的に鳴く。相手にプレッシャーを与えることにもなるし」
滝沢「“基本的”っていうことは仕掛けないこともあると」
佐々木「昔だったら100パーセント仕掛けていたけど…」
滝沢「最近雀風が変わったと思うんだけど気のせいでしょうか?」
佐々木「リーグ戦のBリーグ停滞が理由だと思う。よく先輩方に言われるし、少しは耳を傾けようと」
滝沢「“少しは”とか、なんだかいちいち偉そうな感じが素敵ですね。そういえばこないだ空切りしていたけど、あれは約束と違うのでは?」
佐々木「絶対にやらないとは言っとらん」
滝沢「東4局の親番です」

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佐々木「前局、2,000・4,000をツモって親番、そしてこの手牌。とにかくアガリに向かってストレートに打つのみ」
滝沢「前局アガったからっていうのは?」
佐々木「この手牌をもらったらどんな場面でも真っ直ぐに打つんだけど、先輩方に言われていることで、攻撃する理由がさらに後押しされているね」
滝沢「そしてこの手牌が3巡目にこうなります」

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滝沢「ぱっと見ツモ切りそうなんだけど、ヒサトの選択は打七索。」
佐々木「手牌からソーズの345メンツを1つ抜くと3445、強い最終形を目指すっていうのが俺の概念のひとつだから七索を打った。」
滝沢「なるほど、真っ直ぐのとらえ方も人それぞれですね。再び選択が訪れます」

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佐々木「これは少し考えて八筒を打ったんだけど、打八万もあるかなと。ただツモ九筒も面白くないし、決め手になる手はきっちり仕上げないといけないと思う」
滝沢「結果、三索をポンして藤崎さんから八万で12,000の出アガリ。藤崎さんにしては淡泊な放銃に見えました」
佐々木「おっさん(藤崎智プロ)筋を追いやがったな」
滝沢「八筒七筒のリャンメン落としが見えているし。トイトイに筋は無え」
佐々木「なるほど!」
滝沢「そして次局、東4局1本場に進みます」

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佐々木「あー思い出した。これ勉強会で検証したときに、全員に手あげさせたやつだ。七筒八筒打ちってやつが多かったけどみんな本当かね?」
滝沢「ちなみに私はヒサトさんと同じ六万八万打ちに手を挙げました」
佐々木「勝又(健志)なんかもそうだったかな。これも前局の打七索の説明とつながるんだけど、強い形を目指しているわけだから、やっぱりカンチャンターツを外す。ドラに振り回されてアガリを逃すほうが罪って考え」

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佐々木「結果、裏目の七万がきて、荒さんのリーチ後に仕掛けて8,000放銃」
滝沢「どうせオリないんだもんね」
佐々木「そう、1シャンテンで放銃してるんだけど、こういった放銃は後悔しない。後悔するような打牌をしないようにトレーニングしてんだ。気持ちが弱い人が多いからさ、これは是非書いといてほしいな」

南1局2本場
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滝沢「3巡目にあっさりツモアガリとなりましたが。なんでもないような局に見えるけど佐々木寿人だったらリーチだろ!っていう人も多いはず」
佐々木「うわーと思ったよ」
滝沢「さっそく後悔してるじゃない!」
佐々木「いやいや、解説とかでなんか言われてるんだろーなと思ってさ。自分の中では処理されてるんだけど、そもそもおっさん(藤崎智プロ)の親を確実に流すのがテーマだから。発もポンするつもり」
滝沢「1回戦は見事トップとなったわけですが、最終戦のハイライトはどこでしょう?」
佐々木「東1局に決まり手が出た」

七万七万八万八万一索一索四索四索六索六索四筒四筒南 ロン南 ドラ四筒 カンドラ七万

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佐々木「森山さんには、この一索を早く処理できないかなって言われたんだけど・・」
滝沢「けど?」

佐々木「いかに恐怖感を持たないように、気持ちを強く持つのが自分流だから、やっぱり一索は残っちゃう」
滝沢「暗カンの親が早いのはわかっているけど、攻撃にリスクはつきもの、と」
佐々木「そういうこと。あと朝武さんの親メンチン三暗刻には驚いた」

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滝沢「配牌がこれだからね」

一万三万三万三万六万六万九万三索四索八索三筒四筒九筒北

滝沢「そしてここからリャンメンターツを2つ外していきます」

一万三万三万三万四万四万六万六万九万三索四索三筒四筒 ツモ八万

佐々木「これはさすがにマンズに手をかけそう…親番だし」
滝沢「リャンメンターツ2つ落としたのはわかるけど、テンパイかどうかは判別つかないですね」
佐々木「だから、下手に読むなら読むなってことだよ」
滝沢「それじゃあ上達する部分は手順と押し引きだけになっちゃうじゃないすか」
佐々木「ああ、確かに。言い方間違えた。読まない場面も必要だってこと」
滝沢「そうだよね。答えが用意されていない部分も多いから、考えたことがマイナスに作用することも多々あります」
佐々木「うむ」
滝沢「それらを踏まえて、ファンの皆様にありがたいお言葉を頂戴できますでしょうか」
佐々木「様々な場面で麻雀の戦術が紹介されているけど、雑誌を読んだり見たりするだけじゃゼッタイにものにならない。
知識を実践することがもっとも大事なんじゃないかな。競技麻雀やるようになって、俺の麻雀も少し変化してきたけど、ベースを作るには時間がかかると思う。
麻雀は攻めなきゃ勝てないってことを忘れずに、攻撃の精度を高めつつ、守備力も高まるのが理想的なわけだから。とにかく真剣な場面で打ちまくること!」

「ヒサト?強いとは思うけど、競技麻雀はどうだろう?」

佐々木寿人は、従来の競技麻雀の常識を覆すような打牌や押し引きを選択することが多い。
以前から雑誌などで取り上げられることが多く、鳴り物入りで日本プロ麻雀連盟に入会したため、様々なアンチ的発言も耳にする。

もちろん、批判は人気の裏返しでもあるのだが、人気に応じるためにはとにかく勝たなければならない。
彼がもっとも大変になったのはプロ入りしてからで、自身も語るように競技麻雀に対応できるよう、現在もスタイルを修正している状況だ。

何年も繰り返してきたルーチンを壊していくのには覚悟も勇気も必要。
せっかく研ぎ上げてきた自分の刀がなまくら刀になってしまう恐れもある。
少し古風な気質で、あまり人には見せないが、実際は人一倍鳴り物に応じるための努力をしているのが実際の彼なのである。

(このインタビューは2012年9月時のものです)

プロ雀士インタビュー/天空麻雀10男性大会優勝特別インタビュー:佐々木 寿人

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天空麻雀10を優勝したした佐々木寿人プロ

滝沢「ヒサちゃん天空麻雀優勝おめでとう!」
佐々木「ヒサちゃんじゃねーだろ、寿人さんだろう?最近色んなヤツに呼び捨てにされるけどお前のせいじゃねえのか!?」
滝沢「“ヒサト”っていうのは呼び捨てじゃなくて、ニックネームみたいなもんでしょ。ほら、“イチロー”みたいな感じで…」
佐々木「あーなるほど…」(嬉しそうな表情)
滝沢「インタビューしなくても原稿書けそうだけど本日は一応会いにきました」
佐々木「インタビューしなくても!?俺のファンか?」
滝沢「はいはい…ちゃっちゃと終わらせましょう」
佐々木「カッコ良く書けよな」
滝沢「ファンのみなさんから募集した、お決まりみたいな質問が用意してあるんだけど、先にまとめていきたいと思います」
佐々木「うむ」

special_22
競輪界のスター伏見俊明選手と
special_22
知恵の輪が楽しく、この笑顔!
special_22
一日二杯の酒を飲む

滝沢「好きな食べ物は?」
佐々木「トンカツ」
滝沢「カラオケの十八番は何ですか?」
佐々木「時代遅れ(河島英五)だな」
滝沢「お酒は強いですか?」
佐々木「はい」
滝沢「嘘はやめましょう」
佐々木「飲む量が少ないのは確かだ。しかし酒に負けたことはない。お前と違って」
滝沢「まあ良いです。次、趣味はありますか?」
佐々木「フットサル、ずっとゴール前にいる」
滝沢「はいわかりました」
佐々木「あ、あと自分の麻雀の動画を鑑賞すること。自分の。」
滝沢「(全部自分が中心…)次の質問いきます。将来の目標は?」
佐々木「タイトル総なめ!」
滝沢「はい、頑張ってください。次の質問、何でいつもそんなに偉そうなんですか?」
佐々木「何だその質問?ほんとに募集したのか?」
滝沢「はい。一般公募です」
佐々木「自分の意見がしっかりとしているからかな?そんなに偉そうに感じるかな?」
滝沢「改善すべき点ではあるでしょうね」
佐々木「そうか…」
滝沢「次の質問いきます。あれほど拒否していたツイッターですが、楽しんでいるようにしか見えません」
佐々木「それ質問じゃないよね?てかお前の意見じゃない!?」
滝沢「いえ、一般公募です。最後、何でそんなに品性や知性があふれ出ているんですか?」
佐々木「もしかしてバカにしてる!?(怒)」
滝沢「質問は以上です。それでは本題の天空麻雀10決勝(全2回戦)の牌譜について話していきましょう」

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牌譜検証をしていると、ダンプ大橋、古橋崇志(あだな・子供店長)が…

一発裏ドラあり、赤3枚
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滝沢「これは1回戦の東3局なんだけど、」
佐々木「うむ。赤2枚あるが少々重い」
滝沢 「いや聞きたいのは荒さんの東について。藤崎さんから出た東を1鳴きせず、同巡打たれた東をポンするんだけど、「ヒサト」にはそういった発想はあるの?」
佐々木「だから寿人さんだろ?実家の親父にも滝沢っていう失礼なやつを注意しとくように言われたわ。ダブ東は基本的に鳴く。相手にプレッシャーを与えることにもなるし」
滝沢「“基本的”っていうことは仕掛けないこともあると」
佐々木「昔だったら100パーセント仕掛けていたけど…」
滝沢「最近雀風が変わったと思うんだけど気のせいでしょうか?」
佐々木「リーグ戦のBリーグ停滞が理由だと思う。よく先輩方に言われるし、少しは耳を傾けようと」
滝沢「“少しは”とか、なんだかいちいち偉そうな感じが素敵ですね。そういえばこないだ空切りしていたけど、あれは約束と違うのでは?」
佐々木「絶対にやらないとは言っとらん」
滝沢「東4局の親番です」
special_22
佐々木「前局、2,000・4,000をツモって親番、そしてこの手牌。とにかくアガリに向かってストレートに打つのみ」
滝沢「前局アガったからっていうのは?」
佐々木「この手牌をもらったらどんな場面でも真っ直ぐに打つんだけど、先輩方に言われていることで、攻撃する理由がさらに後押しされているね」
滝沢「そしてこの手牌が3巡目にこうなります」

special_22
滝沢「ぱっと見ツモ切りそうなんだけど、ヒサトの選択は打七索。」
佐々木「手牌からソーズの345メンツを1つ抜くと3445、強い最終形を目指すっていうのが俺の概念のひとつだから七索を打った。」
滝沢「なるほど、真っ直ぐのとらえ方も人それぞれですね。再び選択が訪れます」
special_22
佐々木「これは少し考えて八筒を打ったんだけど、打八万もあるかなと。ただツモ九筒も面白くないし、決め手になる手はきっちり仕上げないといけないと思う」
滝沢「結果、三索をポンして藤崎さんから八万で12,000の出アガリ。藤崎さんにしては淡泊な放銃に見えました」
佐々木「おっさん(藤崎智プロ)筋を追いやがったな」
滝沢「八筒七筒のリャンメン落としが見えているし。トイトイに筋は無え」
佐々木「なるほど!」
滝沢「そして次局、東4局1本場に進みます」
special_22
佐々木「あー思い出した。これ勉強会で検証したときに、全員に手あげさせたやつだ。七筒八筒打ちってやつが多かったけどみんな本当かね?」
滝沢「ちなみに私はヒサトさんと同じ六万八万打ちに手を挙げました」
佐々木「勝又(健志)なんかもそうだったかな。これも前局の打七索の説明とつながるんだけど、強い形を目指しているわけだから、やっぱりカンチャンターツを外す。ドラに振り回されてアガリを逃すほうが罪って考え」
special_22
佐々木「結果、裏目の七万がきて、荒さんのリーチ後に仕掛けて8,000放銃」
滝沢「どうせオリないんだもんね」
佐々木「そう、1シャンテンで放銃してるんだけど、こういった放銃は後悔しない。後悔するような打牌をしないようにトレーニングしてんだ。気持ちが弱い人が多いからさ、これは是非書いといてほしいな」
南1局2本場
special_22
滝沢「3巡目にあっさりツモアガリとなりましたが。なんでもないような局に見えるけど佐々木寿人だったらリーチだろ!っていう人も多いはず」
佐々木「うわーと思ったよ」
滝沢「さっそく後悔してるじゃない!」
佐々木「いやいや、解説とかでなんか言われてるんだろーなと思ってさ。自分の中では処理されてるんだけど、そもそもおっさん(藤崎智プロ)の親を確実に流すのがテーマだから。発もポンするつもり」
滝沢「1回戦は見事トップとなったわけですが、最終戦のハイライトはどこでしょう?」
佐々木「東1局に決まり手が出た」

七万七万八万八万一索一索四索四索六索六索四筒四筒南 ロン南 ドラ四筒 カンドラ七万
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佐々木「森山さんには、この一索を早く処理できないかなって言われたんだけど・・」
滝沢「けど?」
佐々木「いかに恐怖感を持たないように、気持ちを強く持つのが自分流だから、やっぱり一索は残っちゃう」
滝沢「暗カンの親が早いのはわかっているけど、攻撃にリスクはつきもの、と」
佐々木「そういうこと。あと朝武さんの親メンチン三暗刻には驚いた」
special_22
滝沢「配牌がこれだからね」
一万三万三万三万六万六万九万三索四索八索三筒四筒九筒北
滝沢「そしてここからリャンメンターツを2つ外していきます」
一万三万三万三万四万四万六万六万九万三索四索三筒四筒 ツモ八万
佐々木「これはさすがにマンズに手をかけそう…親番だし」
滝沢「リャンメンターツ2つ落としたのはわかるけど、テンパイかどうかは判別つかないですね」
佐々木「だから、下手に読むなら読むなってことだよ」
滝沢「それじゃあ上達する部分は手順と押し引きだけになっちゃうじゃないすか」
佐々木「ああ、確かに。言い方間違えた。読まない場面も必要だってこと」
滝沢「そうだよね。答えが用意されていない部分も多いから、考えたことがマイナスに作用することも多々あります」
佐々木「うむ」
滝沢「それらを踏まえて、ファンの皆様にありがたいお言葉を頂戴できますでしょうか」
佐々木「様々な場面で麻雀の戦術が紹介されているけど、雑誌を読んだり見たりするだけじゃゼッタイにものにならない。
知識を実践することがもっとも大事なんじゃないかな。競技麻雀やるようになって、俺の麻雀も少し変化してきたけど、ベースを作るには時間がかかると思う。
麻雀は攻めなきゃ勝てないってことを忘れずに、攻撃の精度を高めつつ、守備力も高まるのが理想的なわけだから。とにかく真剣な場面で打ちまくること!」

「ヒサト?強いとは思うけど、競技麻雀はどうだろう?」

佐々木寿人は、従来の競技麻雀の常識を覆すような打牌や押し引きを選択することが多い。
以前から雑誌などで取り上げられることが多く、鳴り物入りで日本プロ麻雀連盟に入会したため、様々なアンチ的発言も耳にする。
もちろん、批判は人気の裏返しでもあるのだが、人気に応じるためにはとにかく勝たなければならない。
彼がもっとも大変になったのはプロ入りしてからで、自身も語るように競技麻雀に対応できるよう、現在もスタイルを修正している状況だ。
何年も繰り返してきたルーチンを壊していくのには覚悟も勇気も必要。
せっかく研ぎ上げてきた自分の刀がなまくら刀になってしまう恐れもある。
少し古風な気質で、あまり人には見せないが、実際は人一倍鳴り物に応じるための努力をしているのが実際の彼なのである。

(このインタビューは2012年9月時のものです)

第10期 ベスト8レポート

プロクイーンベスト8A卓の組合せは、清水香織、内田美乃里、筒井久美子、豊後葵(協会)。
ベスト8もベスト16と同じく半荘5回戦。

ベスト8 A卓(清水香織、内田美乃里、筒井久美子、豊後葵(協会))

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左から 内田 美乃里、筒井 久美子、清水 香織、豊後 葵(協会)

ベスト16では、清水も内田も別卓ではあったが、共に他を圧倒する強さを見せ、
3回戦終了時で早々と勝ち上がりを決めたのだが、今日は大きく明暗が分かれてしまった。

清水はベスト16と同様に、初戦から2着、トップと順調にポイントを増やすが、
内田は3着、ラスと、清水とは対照的に苦しい立ち上がり。

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3回戦目に試合は更に大きく動いた。
東2局、親の清水が仕掛ける。

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清水 香織

五筒五筒六筒六筒七筒東東西西西 ポン南南南 ドラ一万

この後五筒をポンして、ホンイツトイトイに変わったところで、西家の内田がリーチ。

三索四索五索七索七索七索八索八索北北中中中 リーチ

現在トータル4位の内田は、ここが勝負所と見て危険を承知でツモリ倍満のリーチを打ったのだが、
東を掴んで清水への18,000放銃となり、3度目の決勝進出の夢はここで絶望的となった。

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内田 美乃里

南1局の親では、筒井が押し寄せる好ツモで6,000オール。

二筒三筒四筒四筒五筒五筒六筒六筒八筒八筒中中中 ツモ七筒 ドラ五筒

まだ半荘2回を残して、清水、筒井で勝負あったかのように思われた。

3回戦終了時成績
清水+90.9P  筒井+27.3P  豊後▲33.2P  内田▲85.0P

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次の4回戦で、筒井が豊後より上なら5回戦を待たずに事実上の終戦である。
しかし、筒井が4回戦でラスを喰ったため、3着の豊後にまだ条件が残った。

筒井と豊後の差は41.7P。普通のトップラスで逆転可能なのである。
ベスト16では、筒井がこれと全く同じような点差を逆転して勝ち上がったのだが、そのときは筒井が追いかける側で、今度は逃げ切る側である。
大差を追うのは開き直って攻めれば良いが、そこそこのリードを守る方は難しいものだ。

東場はあまり動きが無く、回った南1局、北家・豊後が仕掛けた。

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豊後 葵(協会)

三索四索四索七索七索東東南南西北北発 ドラ七索

7巡目にこのメンホン七対子ドラ2の1シャンテンから南をイチ鳴きし、小四喜の渡りも見て打発、直ぐに北が暗刻になり打西で1シャンテン。

三索四索四索七索七索東東北北北 ポン南南南

ここで、親の内田がリーチ。
内田も親番があるうちはまだ諦めない。

一万二万三万四万五万六万七万八万二筒二筒七筒八筒九筒 リーチ

豊後もここは勝負所で全部行く。

西家の筒井はオリに回るのだが、内田が切った五索を合わせて切り、豊後にチーされ、次巡、七索で跳満をツモられてしまった。

筒井の当面の敵は豊後であり、筒井はソーズに染めている豊後の上家だ。
親リーチの現物に窮したとは言え、豊後にアシストする牌だけはおろすべきではなかった。

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筒井 久美子

この跳満ツモで、豊後のトップはほぼ確定したが、2着目が筒井では3万点以上、差をつけなければならない。
親が落ちて可能性が無くなった内田と、もう点棒を増やす必要の無い清水は何もしてこないだろうから、
豊後はあと2万点近く筒井との点差を広げる必要がある。

ラス前の筒井の親で、南家・豊後がツモれば逆転のリーチ。

六万七万八万四索四索六索七索八索二筒三筒四筒六筒八筒 リーチ ドラ六筒

だが流局。オーラスは豊後の親リーチ。

二万三万四万六万六万一索二索三索六索七索八索南南 リーチ ドラ南

しかし流局。次局も高目なら逆転のリーチ。

六万六万六万四索四索五索五索六索七筒七筒七筒八筒八筒 リーチ ドラ一万

3連続の逆転リーチがついに実るが、ツモッたのは安目の三索で裏ドラ乗らず。
現時点で、筒井と豊後のトータルはまだ筒井が400点上だ。

続く3本場でついに決着がつく。
豊後がチーテンを入れ、

三万四万五万六万七万八万南南中中 チー一筒二筒三筒 ドラ八万

筒井もメンゼンテンパイ。

四万五万二索三索四索七索七索三筒四筒五筒六筒七筒八筒

逃げる筒井と追う豊後。
どちらがアガるのだろうかと見ていたら、西家の清水もテンパイ。

一万一万七万八万九万一索二索三索八索九索一筒二筒三筒

ここまでは静観していた清水に、門前の満貫手が入った。
そしてリーチを打つ。

清水の捨て牌にソーズは1枚も無いが、オリたら負けと思う豊後が、2巡後に七索を掴んで放銃。
誰もが清水と筒井の勝ちで終わったと思ったが、何と集計してみると豊後が筒井より上になっていた。

0.4P下だった豊後が、3本場で満貫を打ち▲8.9Pなのだが、清水が筒井を抜いて2着になったため、筒井の順位点が10P減る。
つまり、豊後は満貫を放銃して1.1P得をし、筒井よりトータルで0.7P上になったのだ。

私もこのケースは瞬間見落としていたくらいの、レアな逆転決着。
裏が1枚でも乗って跳満なら筒井の勝ち。6.400点以下でも、筒井が2着のままなので筒井の勝ち。
筒井にしたらやり切れない、悔やんでも悔やみきれないような敗戦となった。

最終成績
清水+98.7P  豊後▲7.4P  筒井▲8.1P  内田▲83.2P

決勝進出者:清水香織・豊後葵

ベスト8 B卓(安田麻里菜、室伏理麻、魚谷侑未、白河雪菜)

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左から 白河 雪菜、安田 真里菜、魚谷 侑未、室伏 理麻

1回戦は、南3局に大きく動いた。
それまで36.000点持ちのトップ目北家・魚谷がリーチ。

三索四索五索八索八索八索三筒四筒五筒七筒八筒東東 リーチ ドラ八筒

親の安田が即追いかける。

四索五索九索九索一筒二筒三筒四筒五筒六筒七筒八筒九筒 リーチ

魚谷が一発で六索を掴んで18.000点!
この後、安田が4本積み1人浮きのデカトップスタート。

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安田 真里菜

2回戦は小場ながら初戦ラスの白河がトップでスコアを戻す。
3回戦は東4局、トップ目の親の室伏に、6巡目に早くて高いリーチが入る。

六万七万二索二索六索七索八索二筒三筒四筒六筒七筒八筒 リーチ ドラ三筒

安目の五万をツモったが、裏ドラも乗って6.000オール。
2回戦終わって、4番手にいたのだがこの大トップで一気にトータル2番手に浮上した。

3回戦終了時成績
安田+39.0P  室伏+14.7P  白河▲16.6P  魚谷▲37.1P

白河と魚谷は、次の4回戦で室伏より下の順位を取ると非常に苦しくなる。

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4回戦、魚谷の起家で室伏がメンピンツモドラ1の1.300、2.600を軽くツモアガる。
追う立場の、魚谷と白河には辛いスタートだが、続く東2局、親の安田が6巡目に五筒切りで二筒発のシャンポン待ちリーチ。(ただしドラが発である)

ここに、北家の魚谷が追いつく。

三万四万五万六万七万八万三索四索四索四索一筒二筒三筒発

發単騎で堪えて欲しかったが、魚谷は勝負を焦ったのか発を切ってリーチと行き親満の放銃。
「ここで魚谷ジ・エンド」と私はメモに書いた。

同1本場、またも安田が6巡目に親満リーチ。

三万三万三万一索二索三索四索五索六索九索九索九筒九筒 リーチ ドラ三万

今度は、皆懸命にオリるが、終盤手詰まった白河が、リーチの後スジを頼り九索をオリ打ち、「白河もジ・エンド」と私はメモに書いた。
安田は遥か彼方に、2位の室伏とも25.000点以上離れた魚谷と白河は、このままこの半荘が終われば最終5回戦を待たずに終戦である。

魚谷と白河が諦めずに必死で追いかけても、安田と室伏が手堅く場を回せば、勝負の流れが大きく傾いた今の状態から、勝敗が覆ることは無かろう。
そう思い私は観戦ノートを閉じた。

ところが南2局、安田の親で室伏がリーチ。
二索白のシャンポン待ちで二索ならリーチのみ、もう試合は詰めの段階に入り、勝っている者は安全に局を潰して行くのがトーナメントの闘い方ではなかろうか?
白で出アガリが利くならヤミテンで充分と思う。

願ってもない直撃チャンスに、魚谷が果敢に攻め返してまず満貫を直取り。だがまだ大差。
次局、室伏の親では少しだけ勢い付いた魚谷が先制リーチ。

三万四万五万七万九万三索四索五索三筒四筒五筒中中 リーチ

室伏は、一度は手を崩して受けに回ったようだったが、終盤1シャンテンになると、無筋の八万を打ち出して5.200点の放銃。
魚谷が2着になり、室伏が3着に落ちた。
「オリていれば良いのに….」と思うのは余計なお世話か?

これで消化試合になりそうだった最終戦に、難しいけど現実的な逆転条件が残った。

4回戦終了時成績
安田+72.8P  室伏+2.5P  魚谷▲32.8P  白河▲43.5P

トップとラスで30P変わるから、魚谷は普通のトップラス条件。
白河は、16.000点差のトップラス条件だ。

魚谷も白河も、まずトップが必要最低条件だから最初から攻める。
まず魚谷がリーチの白河から満貫。

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魚谷 侑未

五万六万三筒三筒六筒六筒六筒東東東 チー一万二万三万 ドラ六筒 ロン四万

ラス前は白河の親で、ラス親は室伏。
ここまで魚谷がトップ目で回ってきたが、室伏が2着目なのでまだまだ差がある。
この状況で、まず室伏がピンフ手で先制リーチ。

一索一索七索八索九索三筒四筒五筒六筒七筒七筒八筒八筒 リーチ ドラ一万

このままオーラスになれば、かなり安全だからリーチしなくても・・・・
行くしかない親の白河が追いかける。

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白河 雪菜

一万三万七万八万九万二索二索二索一筒二筒三筒西西 リーチ

ここは白河がツモッて、裏が乗り4.000点オール。
室伏が3着に落ちたので、状況が緊迫してきた。同1本場は白河がリーチ。

五万六万七万七万八万九万二索三索四索五筒六筒南南 リーチ ドラ六索

魚谷もリーチ。

五索六索九索九索三筒四筒五筒五筒六筒六筒七筒七筒八筒 リーチ

魚谷がこれをツモれば、室伏を逆転する勝負リーチだったが白河に放銃。
裏1枚の3.900点で、白河がトップ目になった。このため、室伏には順位1つ分の余裕が出来た。
2本場は、3人がアガリに向かったが、ドラドラ七対子をテンパイした魚谷の余り牌で、室伏が1.000点をアガって勝負有り!

オーラスは、白河が6.400直撃か跳満ツモ。
魚谷が、跳満直撃か跳満ツモ条件だったが、ここまで静観していた安田があっさりと満貫をツモって終了。
室伏がラスになり、白河との着順条件はクリアされたが、点差で届かず。室伏が逃げ切った。

queen_10_61
室伏 理麻

最終成績
安田+78.6P  室伏▲17.6P  白河▲21.3P  魚谷▲40.7P

決勝進出者:安田麻里菜・室伏理麻

決勝戦は、昨年、初戦から最後まで圧勝で初タイトルを奪取した、和久津晶を交えての2日制5人打ちとなる。
本命は、7年ぶり3度目の決勝で2度目の載冠を狙う清水だろうが、混戦で荒れる予感がする。
はたして第10期のクイーンとなるのは誰なのだろうか?

決勝進出者

和久津 晶(現タイトルホルダー) vs 清水香織 vs 安田麻里菜 vs 室伏理麻 vs 豊後葵(協会)

決勝:10月20、21日 12:00対局開始 会場:じゃん亭Nobu

(文中敬称略)

プロクイーン決定戦 レポート/第10期 ベスト8レポート

プロクイーンベスト8A卓の組合せは、清水香織、内田美乃里、筒井久美子、豊後葵(協会)。
ベスト8もベスト16と同じく半荘5回戦。
ベスト8 A卓(清水香織、内田美乃里、筒井久美子、豊後葵(協会))

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左から 内田 美乃里、筒井 久美子、清水 香織、豊後 葵(協会)

ベスト16では、清水も内田も別卓ではあったが、共に他を圧倒する強さを見せ、
3回戦終了時で早々と勝ち上がりを決めたのだが、今日は大きく明暗が分かれてしまった。
清水はベスト16と同様に、初戦から2着、トップと順調にポイントを増やすが、
内田は3着、ラスと、清水とは対照的に苦しい立ち上がり。

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3回戦目に試合は更に大きく動いた。
東2局、親の清水が仕掛ける。

queen_10_66
清水 香織

五筒五筒六筒六筒七筒東東西西西 ポン南南南 ドラ一万
この後五筒をポンして、ホンイツトイトイに変わったところで、西家の内田がリーチ。
三索四索五索七索七索七索八索八索北北中中中 リーチ
現在トータル4位の内田は、ここが勝負所と見て危険を承知でツモリ倍満のリーチを打ったのだが、
東を掴んで清水への18,000放銃となり、3度目の決勝進出の夢はここで絶望的となった。

queen_10_72
内田 美乃里

南1局の親では、筒井が押し寄せる好ツモで6,000オール。
二筒三筒四筒四筒五筒五筒六筒六筒八筒八筒中中中 ツモ七筒 ドラ五筒
まだ半荘2回を残して、清水、筒井で勝負あったかのように思われた。
3回戦終了時成績
清水+90.9P  筒井+27.3P  豊後▲33.2P  内田▲85.0P

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次の4回戦で、筒井が豊後より上なら5回戦を待たずに事実上の終戦である。
しかし、筒井が4回戦でラスを喰ったため、3着の豊後にまだ条件が残った。
筒井と豊後の差は41.7P。普通のトップラスで逆転可能なのである。
ベスト16では、筒井がこれと全く同じような点差を逆転して勝ち上がったのだが、そのときは筒井が追いかける側で、今度は逃げ切る側である。
大差を追うのは開き直って攻めれば良いが、そこそこのリードを守る方は難しいものだ。
東場はあまり動きが無く、回った南1局、北家・豊後が仕掛けた。

queen_10_62
豊後 葵(協会)

三索四索四索七索七索東東南南西北北発 ドラ七索
7巡目にこのメンホン七対子ドラ2の1シャンテンから南をイチ鳴きし、小四喜の渡りも見て打発、直ぐに北が暗刻になり打西で1シャンテン。
三索四索四索七索七索東東北北北 ポン南南南
ここで、親の内田がリーチ。
内田も親番があるうちはまだ諦めない。
一万二万三万四万五万六万七万八万二筒二筒七筒八筒九筒 リーチ
豊後もここは勝負所で全部行く。
西家の筒井はオリに回るのだが、内田が切った五索を合わせて切り、豊後にチーされ、次巡、七索で跳満をツモられてしまった。
筒井の当面の敵は豊後であり、筒井はソーズに染めている豊後の上家だ。
親リーチの現物に窮したとは言え、豊後にアシストする牌だけはおろすべきではなかった。

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筒井 久美子

この跳満ツモで、豊後のトップはほぼ確定したが、2着目が筒井では3万点以上、差をつけなければならない。
親が落ちて可能性が無くなった内田と、もう点棒を増やす必要の無い清水は何もしてこないだろうから、
豊後はあと2万点近く筒井との点差を広げる必要がある。
ラス前の筒井の親で、南家・豊後がツモれば逆転のリーチ。
六万七万八万四索四索六索七索八索二筒三筒四筒六筒八筒 リーチ ドラ六筒
だが流局。オーラスは豊後の親リーチ。
二万三万四万六万六万一索二索三索六索七索八索南南 リーチ ドラ南
しかし流局。次局も高目なら逆転のリーチ。
六万六万六万四索四索五索五索六索七筒七筒七筒八筒八筒 リーチ ドラ一万
3連続の逆転リーチがついに実るが、ツモッたのは安目の三索で裏ドラ乗らず。
現時点で、筒井と豊後のトータルはまだ筒井が400点上だ。
続く3本場でついに決着がつく。
豊後がチーテンを入れ、
三万四万五万六万七万八万南南中中 チー一筒二筒三筒 ドラ八万
筒井もメンゼンテンパイ。
四万五万二索三索四索七索七索三筒四筒五筒六筒七筒八筒
逃げる筒井と追う豊後。
どちらがアガるのだろうかと見ていたら、西家の清水もテンパイ。
一万一万七万八万九万一索二索三索八索九索一筒二筒三筒
ここまでは静観していた清水に、門前の満貫手が入った。
そしてリーチを打つ。
清水の捨て牌にソーズは1枚も無いが、オリたら負けと思う豊後が、2巡後に七索を掴んで放銃。
誰もが清水と筒井の勝ちで終わったと思ったが、何と集計してみると豊後が筒井より上になっていた。
0.4P下だった豊後が、3本場で満貫を打ち▲8.9Pなのだが、清水が筒井を抜いて2着になったため、筒井の順位点が10P減る。
つまり、豊後は満貫を放銃して1.1P得をし、筒井よりトータルで0.7P上になったのだ。
私もこのケースは瞬間見落としていたくらいの、レアな逆転決着。
裏が1枚でも乗って跳満なら筒井の勝ち。6.400点以下でも、筒井が2着のままなので筒井の勝ち。
筒井にしたらやり切れない、悔やんでも悔やみきれないような敗戦となった。
最終成績
清水+98.7P  豊後▲7.4P  筒井▲8.1P  内田▲83.2P

決勝進出者:清水香織・豊後葵

ベスト8 B卓(安田麻里菜、室伏理麻、魚谷侑未、白河雪菜)

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左から 白河 雪菜、安田 真里菜、魚谷 侑未、室伏 理麻

1回戦は、南3局に大きく動いた。
それまで36.000点持ちのトップ目北家・魚谷がリーチ。
三索四索五索八索八索八索三筒四筒五筒七筒八筒東東 リーチ ドラ八筒
親の安田が即追いかける。
四索五索九索九索一筒二筒三筒四筒五筒六筒七筒八筒九筒 リーチ
魚谷が一発で六索を掴んで18.000点!
この後、安田が4本積み1人浮きのデカトップスタート。

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安田 真里菜

2回戦は小場ながら初戦ラスの白河がトップでスコアを戻す。
3回戦は東4局、トップ目の親の室伏に、6巡目に早くて高いリーチが入る。
六万七万二索二索六索七索八索二筒三筒四筒六筒七筒八筒 リーチ ドラ三筒
安目の五万をツモったが、裏ドラも乗って6.000オール。
2回戦終わって、4番手にいたのだがこの大トップで一気にトータル2番手に浮上した。
3回戦終了時成績
安田+39.0P  室伏+14.7P  白河▲16.6P  魚谷▲37.1P
白河と魚谷は、次の4回戦で室伏より下の順位を取ると非常に苦しくなる。

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4回戦、魚谷の起家で室伏がメンピンツモドラ1の1.300、2.600を軽くツモアガる。
追う立場の、魚谷と白河には辛いスタートだが、続く東2局、親の安田が6巡目に五筒切りで二筒発のシャンポン待ちリーチ。(ただしドラが発である)
ここに、北家の魚谷が追いつく。
三万四万五万六万七万八万三索四索四索四索一筒二筒三筒発
發単騎で堪えて欲しかったが、魚谷は勝負を焦ったのか発を切ってリーチと行き親満の放銃。
「ここで魚谷ジ・エンド」と私はメモに書いた。
同1本場、またも安田が6巡目に親満リーチ。
三万三万三万一索二索三索四索五索六索九索九索九筒九筒 リーチ ドラ三万
今度は、皆懸命にオリるが、終盤手詰まった白河が、リーチの後スジを頼り九索をオリ打ち、「白河もジ・エンド」と私はメモに書いた。
安田は遥か彼方に、2位の室伏とも25.000点以上離れた魚谷と白河は、このままこの半荘が終われば最終5回戦を待たずに終戦である。
魚谷と白河が諦めずに必死で追いかけても、安田と室伏が手堅く場を回せば、勝負の流れが大きく傾いた今の状態から、勝敗が覆ることは無かろう。
そう思い私は観戦ノートを閉じた。
ところが南2局、安田の親で室伏がリーチ。
二索白のシャンポン待ちで二索ならリーチのみ、もう試合は詰めの段階に入り、勝っている者は安全に局を潰して行くのがトーナメントの闘い方ではなかろうか?
白で出アガリが利くならヤミテンで充分と思う。
願ってもない直撃チャンスに、魚谷が果敢に攻め返してまず満貫を直取り。だがまだ大差。
次局、室伏の親では少しだけ勢い付いた魚谷が先制リーチ。
三万四万五万七万九万三索四索五索三筒四筒五筒中中 リーチ
室伏は、一度は手を崩して受けに回ったようだったが、終盤1シャンテンになると、無筋の八万を打ち出して5.200点の放銃。
魚谷が2着になり、室伏が3着に落ちた。
「オリていれば良いのに….」と思うのは余計なお世話か?
これで消化試合になりそうだった最終戦に、難しいけど現実的な逆転条件が残った。
4回戦終了時成績
安田+72.8P  室伏+2.5P  魚谷▲32.8P  白河▲43.5P
トップとラスで30P変わるから、魚谷は普通のトップラス条件。
白河は、16.000点差のトップラス条件だ。
魚谷も白河も、まずトップが必要最低条件だから最初から攻める。
まず魚谷がリーチの白河から満貫。

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魚谷 侑未

五万六万三筒三筒六筒六筒六筒東東東 チー一万二万三万 ドラ六筒 ロン四万
ラス前は白河の親で、ラス親は室伏。
ここまで魚谷がトップ目で回ってきたが、室伏が2着目なのでまだまだ差がある。
この状況で、まず室伏がピンフ手で先制リーチ。
一索一索七索八索九索三筒四筒五筒六筒七筒七筒八筒八筒 リーチ ドラ一万
このままオーラスになれば、かなり安全だからリーチしなくても・・・・
行くしかない親の白河が追いかける。

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白河 雪菜

一万三万七万八万九万二索二索二索一筒二筒三筒西西 リーチ
ここは白河がツモッて、裏が乗り4.000点オール。
室伏が3着に落ちたので、状況が緊迫してきた。同1本場は白河がリーチ。
五万六万七万七万八万九万二索三索四索五筒六筒南南 リーチ ドラ六索
魚谷もリーチ。
五索六索九索九索三筒四筒五筒五筒六筒六筒七筒七筒八筒 リーチ
魚谷がこれをツモれば、室伏を逆転する勝負リーチだったが白河に放銃。
裏1枚の3.900点で、白河がトップ目になった。このため、室伏には順位1つ分の余裕が出来た。
2本場は、3人がアガリに向かったが、ドラドラ七対子をテンパイした魚谷の余り牌で、室伏が1.000点をアガって勝負有り!
オーラスは、白河が6.400直撃か跳満ツモ。
魚谷が、跳満直撃か跳満ツモ条件だったが、ここまで静観していた安田があっさりと満貫をツモって終了。
室伏がラスになり、白河との着順条件はクリアされたが、点差で届かず。室伏が逃げ切った。

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室伏 理麻

最終成績
安田+78.6P  室伏▲17.6P  白河▲21.3P  魚谷▲40.7P

決勝進出者:安田麻里菜・室伏理麻

決勝戦は、昨年、初戦から最後まで圧勝で初タイトルを奪取した、和久津晶を交えての2日制5人打ちとなる。
本命は、7年ぶり3度目の決勝で2度目の載冠を狙う清水だろうが、混戦で荒れる予感がする。
はたして第10期のクイーンとなるのは誰なのだろうか?

決勝進出者

和久津 晶(現タイトルホルダー) vs 清水香織 vs 安田麻里菜 vs 室伏理麻 vs 豊後葵(協会)

決勝:10月20、21日 12:00対局開始 会場:じゃん亭Nobu

(文中敬称略)

第29期プロリーグ A1 第7節レポート

29_a_07_01

長かった残暑も終わり心地よい秋晴れの10月上旬、プロリーグ第7節が開催された。
今節のA1は、上位3人がほぼ現状維持の成績だったので、降級争いを中心に見てみよう。

今回は、前節までの下位3人がそれぞれ各卓に分かれた。
最下位のダンプは、首位・藤崎、3位・伊藤、上位進出を狙うパワーヒッター望月との対戦。
ここでやられてしまうと、1人だけ寒い寒い冬場となるのだがこの日のダンプは強かった。

1回戦は、超小場だったがツモのみとピンフツモのみとメンピンのみをアガっただけで、+1.4Pでのラッキートップ。(3回もアガっているけど)

そして2回戦目に噴いた。南2局の親で、ドラのgreを切ってリーチ。

cha1cha1cha1cha2cha2cha3cha3cha4cha4cha5nornornor

安目ながらcha6をツモってトップ確定、南3局5本場では、

cha6cha6cha7cha8cha9bam6bam7bal4bal4bal5bal5bal6bal6  ドラcha6

この跳満ツモを狙わず、慎重にヤミテンで伊藤から打ち取り、プラス3万点越えの1人浮きに仕上げた。
3~4回戦は伊藤、藤崎の反撃にあうも、オールプラスでまとめ+68.4Pで、一気に4人抜いて降級ポジションを脱出した。
昨期は、土壇場の最終節で辛くも奇跡の残留を果たしたが、今期は早々とクリア。
ただし残り3節あるので、今度は下に狙われる立場、安心するのはまだまだ早い。

1人でマイナスを被った望月は、上位を狙うどころか下位2人のターゲットとなる位置まで後退してしまった。
前節ようやく最下位を脱出した右田の相手は、前原、沢崎、朝武と、ベテランの強豪ばかりの厳しい卓。
ここでまた潰されれば元の木阿弥となるが、勝てれば残留が現実的に見えてくる。

結果から言えば、前原が初戦から3連勝を決めて1人浮きとなり4位まで浮上。
3位・伊藤の姿が直ぐ目の前まで見えてきた。

1回戦南場、南家の前原のリーチが強烈に決まる。

cha1cha2cha3cha9cha9bam1bam2bam3bam7bam8bal1bal2bal3 リーチ ドラsou

河には、序盤からbam7bam8bam9と念入りに切られていて、やや変則にも見えるが、
ドラのsouが暗刻で1シャンテンだった右田が、bam9で跳満を打ったのは責められないだろう。

右田も沈んで再び最下位に落ちたが、前原の嵐のなかで▲17.7Pと堪えたので、ポイント的にはまだ残留の可能性は充分に残っている。
下2人から狙われる立場だった近藤は、開幕から毎節安定してポイントを重ね、
先日十段位を防衛したばかりの王者・瀬戸熊、前節から好調の柴田、ベテラン石渡との対戦。
A1リーグ1年目で、このまま下に捕まるかと思われていた近藤だが、この日は頑張った。
卓内の勝ち頭となり、マイナスを半分ほど返済。これで下に5人出来たので少し余裕の立場となった。

その煽りをくらった石渡が、トータル3桁のマイナスとなり降級ポジションまで順位を下げた。

来節から終盤戦に入る。
負の連鎖を止めた藤崎と、開幕からの連続プラスは止まったが、ほぼ現状維持の瀬戸熊の2人は残り3節で1節でもプラスすれば決定戦確定。
3番目の椅子は、本命の1人である前原が昇ってきたため、伊藤もうかうか出来ない。
ボーダーラインは、最終的に100P以上になると思うし、そうなると現状で可能性を残すのは6位の朝武までだろう。
マイナス組は、完全に降級逃れにギアチェンジしたほうが賢明である。

第8節組み合わせ

A卓 右田 勇一郎 vs 近藤 久春 vs ダンプ 大橋 vs 朝武 雅晴
B卓 石渡 正志 vs 藤崎 智 vs 柴田 弘幸 vs 前原 雄大
C卓 瀬戸熊 直樹 vs 望月 雅継 vs 伊藤 優孝 vs 沢崎 誠

(来節の見所)
A卓は逃げて行きそうな近藤とダンプを右田が引きずり落とせるか?
それともマイナス組3人を、朝武がまとめて喰って再浮上するのか?

B卓は、前原と柴田の3位を狙う位置取り争いが熾烈。

C卓は尻に火が着き、これ以上マイナスすると危なくなった沢崎と望月。
下に迫られ、もっとポイントを伸ばさなければ捕まりそうな伊藤。
この1節も落とせない3人と、決定戦にリーチをかけている前王者・瀬戸熊の実力者4人の最注目卓である。
ではまた来月をお楽しみに。

プロリーグ(鳳凰戦)レポート/第29期プロリーグ A1 第7節レポート

29_a_07_01
長かった残暑も終わり心地よい秋晴れの10月上旬、プロリーグ第7節が開催された。
今節のA1は、上位3人がほぼ現状維持の成績だったので、降級争いを中心に見てみよう。
今回は、前節までの下位3人がそれぞれ各卓に分かれた。
最下位のダンプは、首位・藤崎、3位・伊藤、上位進出を狙うパワーヒッター望月との対戦。
ここでやられてしまうと、1人だけ寒い寒い冬場となるのだがこの日のダンプは強かった。
1回戦は、超小場だったがツモのみとピンフツモのみとメンピンのみをアガっただけで、+1.4Pでのラッキートップ。(3回もアガっているけど)
そして2回戦目に噴いた。南2局の親で、ドラのgreを切ってリーチ。
cha1cha1cha1cha2cha2cha3cha3cha4cha4cha5nornornor
安目ながらcha6をツモってトップ確定、南3局5本場では、
cha6cha6cha7cha8cha9bam6bam7bal4bal4bal5bal5bal6bal6  ドラcha6
この跳満ツモを狙わず、慎重にヤミテンで伊藤から打ち取り、プラス3万点越えの1人浮きに仕上げた。
3~4回戦は伊藤、藤崎の反撃にあうも、オールプラスでまとめ+68.4Pで、一気に4人抜いて降級ポジションを脱出した。
昨期は、土壇場の最終節で辛くも奇跡の残留を果たしたが、今期は早々とクリア。
ただし残り3節あるので、今度は下に狙われる立場、安心するのはまだまだ早い。
1人でマイナスを被った望月は、上位を狙うどころか下位2人のターゲットとなる位置まで後退してしまった。
前節ようやく最下位を脱出した右田の相手は、前原、沢崎、朝武と、ベテランの強豪ばかりの厳しい卓。
ここでまた潰されれば元の木阿弥となるが、勝てれば残留が現実的に見えてくる。
結果から言えば、前原が初戦から3連勝を決めて1人浮きとなり4位まで浮上。
3位・伊藤の姿が直ぐ目の前まで見えてきた。
1回戦南場、南家の前原のリーチが強烈に決まる。
cha1cha2cha3cha9cha9bam1bam2bam3bam7bam8bal1bal2bal3 リーチ ドラsou
河には、序盤からbam7bam8bam9と念入りに切られていて、やや変則にも見えるが、
ドラのsouが暗刻で1シャンテンだった右田が、bam9で跳満を打ったのは責められないだろう。
右田も沈んで再び最下位に落ちたが、前原の嵐のなかで▲17.7Pと堪えたので、ポイント的にはまだ残留の可能性は充分に残っている。
下2人から狙われる立場だった近藤は、開幕から毎節安定してポイントを重ね、
先日十段位を防衛したばかりの王者・瀬戸熊、前節から好調の柴田、ベテラン石渡との対戦。
A1リーグ1年目で、このまま下に捕まるかと思われていた近藤だが、この日は頑張った。
卓内の勝ち頭となり、マイナスを半分ほど返済。これで下に5人出来たので少し余裕の立場となった。
その煽りをくらった石渡が、トータル3桁のマイナスとなり降級ポジションまで順位を下げた。
来節から終盤戦に入る。
負の連鎖を止めた藤崎と、開幕からの連続プラスは止まったが、ほぼ現状維持の瀬戸熊の2人は残り3節で1節でもプラスすれば決定戦確定。
3番目の椅子は、本命の1人である前原が昇ってきたため、伊藤もうかうか出来ない。
ボーダーラインは、最終的に100P以上になると思うし、そうなると現状で可能性を残すのは6位の朝武までだろう。
マイナス組は、完全に降級逃れにギアチェンジしたほうが賢明である。
第8節組み合わせ
A卓 右田 勇一郎 vs 近藤 久春 vs ダンプ 大橋 vs 朝武 雅晴
B卓 石渡 正志 vs 藤崎 智 vs 柴田 弘幸 vs 前原 雄大
C卓 瀬戸熊 直樹 vs 望月 雅継 vs 伊藤 優孝 vs 沢崎 誠
(来節の見所)
A卓は逃げて行きそうな近藤とダンプを右田が引きずり落とせるか?
それともマイナス組3人を、朝武がまとめて喰って再浮上するのか?
B卓は、前原と柴田の3位を狙う位置取り争いが熾烈。
C卓は尻に火が着き、これ以上マイナスすると危なくなった沢崎と望月。
下に迫られ、もっとポイントを伸ばさなければ捕まりそうな伊藤。
この1節も落とせない3人と、決定戦にリーチをかけている前王者・瀬戸熊の実力者4人の最注目卓である。
ではまた来月をお楽しみに。

第29期プロリーグ A2 第7節レポート

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29_a2_07_03 29_a2_07_04

何処までも突き抜けるような空の高さと、蒼さが秋の気配を漂わせる中、第7節のプロリーグが始まった。
私自身の対局終了後、A2を観戦すべく遅い昼食を摂る。
腹が空かないのは、まだ血流が頭の方に行っているせいなのだろう。

喫茶店でパンを二切れほど、アイスコーヒーで流し込み会場に向う。
見上げた空は鰯雲が漂っていた。子供のころからずっと夏の入道雲が好きだった。
鰯雲はどこか淋しげで何となく好きになれなかったが、いつの頃からかはわからないが、いつのまにか好ましく思えるようになった。

___人は変わるものなんだな。
そんなことを考えながら会場に戻った。

今回の採譜卓は、中村毅、板川和俊、黒沢咲、二階堂亜樹{起家より}
3位に着ける黒沢と、昇級アンケート1位で現在5位の板川。
今節ブレイクすれば、首位グループに位置できる二階堂(亜樹)。
そして、最下位ながらこのままでは終えられないはずの中村。

それぞれに勝負処の節と見たからである。
ところが、同じ思いを持った観戦者が多く、きちんと観戦が叶わない。

難しかったのが、東2局、西家・二階堂の12巡目。

一筒二筒二筒三筒三筒四索五筒五筒六筒六筒七筒七筒七筒 ツモ四索 ドラ北

場況は、圧倒的にピンズが悪く一筒が狙い目の局面。二階堂も冷静に打七筒とヤミテンに構える。

すると、2巡後ラス牌のツモ四索のツモアガリである。
確かに二階堂の読み通り、一筒は山に2枚残っており、誰が掴んでも出る局面である。
付け加えるならば、仮にピンズに受けていたら山には1枚も残っていなかった。
この的確なヨミが、多くのファンを引き付けるのだろう。
必然の手順であり、最善の手筋である。その結果、2,700点の収入なのは致し方ないところだろう。

大事なのは、この結果を二階堂がどう受け止めてどのように今日を戦い抜くかである。
次局にもまた二階堂に手が入る。

七万八万九万一筒二筒三筒一索二索三索発発発whi ドラ六万

これが僅か4巡目のテンパイである。
ちなみに捨て牌は、北六筒五万三筒

ここも二階堂はヤミテンに構える。そう構えるのが本手だろうとは思う。
ヨミ通り、配牌から受けに向っている中村が1枚持っている以外、全て山に残っており、誰も二階堂のテンパイ気配を感じていない。
そして、肝心のwhi以外字牌は、次々打ち出されて行く。

この時点で3シャンテンだった板川が手を育て、9巡目にリーチを打ち12巡目にに引きアガる。

三万四万六万七万八万一索二索三索五筒六筒七筒九筒九筒 リーチ ツモ五万

こういう結果が出るから麻雀は面白いし、難しい。

この2局を見て思うのは、今日は二階堂の日ではないということである。
耐えるしかないのである。良い日もあれば悪い日もある。
晴れた日に思いきり暴れれば良いし、雨の日はじっと家に籠るしかないのである。
正しい考えかどうかはわからないが、それが私の考え方である。
翌日、二階堂から送られたメールである。

「今まで何節もリーグ戦を闘ってきましたが、今節が今までで一番最低な麻雀だったと思います。
練習不足やメンタルが安定していないこと。拙いのは勿論ですが、一番は覚悟が無かったなと。
振り返ってみれば、負けたのは自分で負ける麻雀を打っていたからです。
もっと、まともに打てるようにならなきゃ自分はここに居てはいけないと思うので、頑張っていきたいと思います。」
二階堂亜樹

この文面を読み、流石だなと私は思った。
良く自分自身を理解している。

二階堂とは逆に、晴れの日だったのが黒沢。
オーラスを迎えて28,000点持ちである。

二万四万一索五索六索一筒二筒二筒七筒七筒八筒東南 ドラ八索

この配牌を大胆かつ丁寧に仕上げ、8巡目にポンテンにとる。

七筒七筒八筒九筒九筒東東東西西 ポン二筒二筒二筒

次巡にツモ西で打八筒。そして15巡目に七筒のツモアガリである。
この跳満のアガリは黒沢にとっても大きかった。

一番被害を蒙ったのは、親番の二階堂かもしれない。
4巡目に1シャンテンの二階堂の手牌。

三万四万五万五万七万九万五索六索七索八索九索北北

この手牌が黒沢のアガリを見た15巡目の最終形。

三万四万四万五万五万六万五索五索八索八索九筒北北

真っ直ぐに打っていても何処にもアガリ形はない。
手残りの九筒が、二階堂の麻雀に対するプライドなのだろう。
麻雀に対する誠実さという言葉に置き換えても良いと私は考える。

「第7節でしたが、開幕戦だと思って臨みました。1回戦のオーラス、浮きを目指したホンイツの仕掛け(ポンテン)から、
ツモが効いて最高形で跳満をツモアガリ、沈みから一気にトップを逆転しました。
そんな最高の結果に気が緩んでしまったのか、2回戦以降に少し攻めの姿勢が崩れてしまったと反省しています。
今節は、堅く打っていないのに放銃がほとんどなく、もっと大きく攻めるべきでした。
残り3節、どんな結果が待ち受けているかわかりませんが、強敵相手でも縮こまることなく、自分らしい大きな麻雀を打ちたいです。
最後まで精一杯頑張ります!!」
黒沢咲

確かに黒沢の記す通り、初戦18.0Pのデキからすれば、大きく抜け出すチャンスだったのかも知れない。
ただ、それも相手あってのことである。
相手も必至に戦っている。
板川の受けの強さがなければ、黒沢のワンサイドゲームになっていたかも知れない。
中村も、最下位のポジションは変わらないが、プラスポイントに纏め上げたのが次節に繋がる可能性はある。

「今期の対局に臨むにあたって、必ずA1に復帰することはもちろんのこと、その内容、スコアにもこだわって闘うように自分に言い聞かせてきました。
平均アベレージ25P、トータル250Pをターゲットに自分との闘いが始まりました。第2節が終わり、90Pを超え順調な滑り出し。
ところが、慢心したわけではないのですが、心のどこかで隙が生まれたのか、自分らしい麻雀が打てない、あるいは打たせてもらえない状況が続き、
じりじりとポイントを減らしていきました。前半最終節の5節、組み合わせが変わっての後半戦の第6節と、若手の伸び盛りのメンバーとの対局。
久々にわくわくする対局の連続でした。彼らと正面から向き合うには、自分自身の準備が足りないと感じていたので、8月は10日間の休みをすべて東京での麻雀、
9月に入っても麻雀格闘倶楽部、ロン2に時間の許す限り参戦し、勝負勘を取り戻す訓練を行ってきました。
第6節、今回の第7節共に、初戦からの展開は自分のイメージどおりでした。
しかし、第6節では前半我慢をしていたら、猿川プロに後半ブレイクするきっかけを与える不用意な放銃。
第7節は、初戦トップ目のオーラス、ホンイツ気配の黒沢プロに二筒を鳴かし跳満ツモで捲くられる。まだ何かが足りない。
その何かを身につけるために全力で鍛錬し、80P差を捲くりに行きます。」
板川和俊

他の卓も観戦しようとするのだが、如何せんギャラリーがどの卓もいっぱいである。
それだけ魅力のあるA2リーグになっている証で喜ばしい限りではあるが、観戦子泣かせでもある。
運営席に戻り、瀬戸君に今後の展開を尋ねると、
「誰が残るかはわかりませんが古川さんは昇級すると思います」
「やはりそう考えるんだね」
「後は、猿川も良いかもしれませんね」

猿川の卓を観戦にいくと放銃が目立った。
ただし、会場の関係で猿川の手牌はまるで見えない。
必然の放銃なのか過失の放銃なのかは判然としない。
ただ、今日の麻雀のデキは良くはないのだろう。

「今節はツイていたの一言に尽きます。今回の自分の目標は+50Pオーバーでした。最終節をむかえるにあたって、どうしても首位にいたいからです。
勝ちたいと思って勝てるものではないことは重々分かっているつもりですが、上下が分かれている分、チャンスなのも事実だと思っていました。
その思考のせいか、メンタルの弱さかは分かりませんが、今節の麻雀は非常に雑だったと思っています。
結果は、奇跡的に+10.5Pで上位をキープ出来ましたが、ただ振り回しただけの拳がたまたまヒットしただけであり、
しかも、10回振り回して1回当たるかどうかの攻撃で、自分の弱さを強調している節とも取れると思いました。
残り3節に不安が残りますが、やれることをやろうと思っています。
実力が秀でている訳ではないので、せっかくのチャンス悔いの残らないようにモチベーションだけは高めて対局に臨みたいと思っています。」
猿川真寿

古川に電話で感想を訊いてみた。
「私にとっては最後の昇級のチャンスだと思っております。{年齢的にも体力的にも}今回を逃したら、まずA1への昇級は叶わないと覚悟しています。」

短いコメントだったがわかるような気がした。
それは、私自身が古川と同じ気持ちをここ数年思っているからである。

若い頃、夏の湧き上がるような入道雲が好きだったのは、そこに力強さを、自分自身を投影させていたようにも思う。
「年に一度も天和がアガれなくなったら麻雀プロは辞める」
そう公言して憚らなかった若く、そして愚かな自分がいた。
もう十年ほど天和はおろか、リーグ戦ではメンチンさえアガった記憶がない。

秋の鰯雲が好きになったのも、どこか儚げでちからを失いつつある自分を投影させているのかもしれない。
そして、いずれ間違いなく冬は訪れる。古川にも私にも、そして現鳳凰である荒正義にも冬は訪れる。
冬が訪れ私達が枯れ果てても、それは仕方ないことである。むしろ、良いことだとさえ思える。
今、確実に若い芽が育ちつつあるのだから。新陳代謝のない世界は滅びるのが必定なのだから。

古川の覚悟が優るのか、それとも若い芽達が育つのが優るのかそれはわからないことだが、懸命に麻雀に立ち向かうことは何らかわりはないことである。
昇級争いも降級争いも、本当に一打一打が直接結果と結びつく縦長の展開である。
来月がまた楽しみな、そして過酷な戦いが繰り広げられることであろう。

第8節組み合わせ

A卓  古川 孝次 vs 板川 和俊 vs 白鳥 翔 vs 遠藤 啓太
B卓  勝又 健志 vs 猿川 真寿 vs 老月 貴紀 vs 二階堂 亜樹
C卓  四柳 弘樹 vs 金子 貴行 vs 山井 弘 vs 中村 毅
D卓  吉田 直 vs 黒沢 咲 vs 仁平 宣明 vs 山田 浩之

プロリーグ(鳳凰戦)レポート/第29期プロリーグ A2 第7節レポート

29_a2_07_01 29_a2_07_02
29_a2_07_03 29_a2_07_04

何処までも突き抜けるような空の高さと、蒼さが秋の気配を漂わせる中、第7節のプロリーグが始まった。
私自身の対局終了後、A2を観戦すべく遅い昼食を摂る。
腹が空かないのは、まだ血流が頭の方に行っているせいなのだろう。
喫茶店でパンを二切れほど、アイスコーヒーで流し込み会場に向う。
見上げた空は鰯雲が漂っていた。子供のころからずっと夏の入道雲が好きだった。
鰯雲はどこか淋しげで何となく好きになれなかったが、いつの頃からかはわからないが、いつのまにか好ましく思えるようになった。
___人は変わるものなんだな。
そんなことを考えながら会場に戻った。
今回の採譜卓は、中村毅、板川和俊、黒沢咲、二階堂亜樹{起家より}
3位に着ける黒沢と、昇級アンケート1位で現在5位の板川。
今節ブレイクすれば、首位グループに位置できる二階堂(亜樹)。
そして、最下位ながらこのままでは終えられないはずの中村。
それぞれに勝負処の節と見たからである。
ところが、同じ思いを持った観戦者が多く、きちんと観戦が叶わない。
難しかったのが、東2局、西家・二階堂の12巡目。
一筒二筒二筒三筒三筒四索五筒五筒六筒六筒七筒七筒七筒 ツモ四索 ドラ北
場況は、圧倒的にピンズが悪く一筒が狙い目の局面。二階堂も冷静に打七筒とヤミテンに構える。
すると、2巡後ラス牌のツモ四索のツモアガリである。
確かに二階堂の読み通り、一筒は山に2枚残っており、誰が掴んでも出る局面である。
付け加えるならば、仮にピンズに受けていたら山には1枚も残っていなかった。
この的確なヨミが、多くのファンを引き付けるのだろう。
必然の手順であり、最善の手筋である。その結果、2,700点の収入なのは致し方ないところだろう。
大事なのは、この結果を二階堂がどう受け止めてどのように今日を戦い抜くかである。
次局にもまた二階堂に手が入る。
七万八万九万一筒二筒三筒一索二索三索発発発whi ドラ六万
これが僅か4巡目のテンパイである。
ちなみに捨て牌は、北六筒五万三筒
ここも二階堂はヤミテンに構える。そう構えるのが本手だろうとは思う。
ヨミ通り、配牌から受けに向っている中村が1枚持っている以外、全て山に残っており、誰も二階堂のテンパイ気配を感じていない。
そして、肝心のwhi以外字牌は、次々打ち出されて行く。
この時点で3シャンテンだった板川が手を育て、9巡目にリーチを打ち12巡目にに引きアガる。
三万四万六万七万八万一索二索三索五筒六筒七筒九筒九筒 リーチ ツモ五万
こういう結果が出るから麻雀は面白いし、難しい。
この2局を見て思うのは、今日は二階堂の日ではないということである。
耐えるしかないのである。良い日もあれば悪い日もある。
晴れた日に思いきり暴れれば良いし、雨の日はじっと家に籠るしかないのである。
正しい考えかどうかはわからないが、それが私の考え方である。
翌日、二階堂から送られたメールである。
「今まで何節もリーグ戦を闘ってきましたが、今節が今までで一番最低な麻雀だったと思います。
練習不足やメンタルが安定していないこと。拙いのは勿論ですが、一番は覚悟が無かったなと。
振り返ってみれば、負けたのは自分で負ける麻雀を打っていたからです。
もっと、まともに打てるようにならなきゃ自分はここに居てはいけないと思うので、頑張っていきたいと思います。」
二階堂亜樹
この文面を読み、流石だなと私は思った。
良く自分自身を理解している。
二階堂とは逆に、晴れの日だったのが黒沢。
オーラスを迎えて28,000点持ちである。
二万四万一索五索六索一筒二筒二筒七筒七筒八筒東南 ドラ八索
この配牌を大胆かつ丁寧に仕上げ、8巡目にポンテンにとる。
七筒七筒八筒九筒九筒東東東西西 ポン二筒二筒二筒
次巡にツモ西で打八筒。そして15巡目に七筒のツモアガリである。
この跳満のアガリは黒沢にとっても大きかった。
一番被害を蒙ったのは、親番の二階堂かもしれない。
4巡目に1シャンテンの二階堂の手牌。
三万四万五万五万七万九万五索六索七索八索九索北北
この手牌が黒沢のアガリを見た15巡目の最終形。
三万四万四万五万五万六万五索五索八索八索九筒北北
真っ直ぐに打っていても何処にもアガリ形はない。
手残りの九筒が、二階堂の麻雀に対するプライドなのだろう。
麻雀に対する誠実さという言葉に置き換えても良いと私は考える。
「第7節でしたが、開幕戦だと思って臨みました。1回戦のオーラス、浮きを目指したホンイツの仕掛け(ポンテン)から、
ツモが効いて最高形で跳満をツモアガリ、沈みから一気にトップを逆転しました。
そんな最高の結果に気が緩んでしまったのか、2回戦以降に少し攻めの姿勢が崩れてしまったと反省しています。
今節は、堅く打っていないのに放銃がほとんどなく、もっと大きく攻めるべきでした。
残り3節、どんな結果が待ち受けているかわかりませんが、強敵相手でも縮こまることなく、自分らしい大きな麻雀を打ちたいです。
最後まで精一杯頑張ります!!」
黒沢咲
確かに黒沢の記す通り、初戦18.0Pのデキからすれば、大きく抜け出すチャンスだったのかも知れない。
ただ、それも相手あってのことである。
相手も必至に戦っている。
板川の受けの強さがなければ、黒沢のワンサイドゲームになっていたかも知れない。
中村も、最下位のポジションは変わらないが、プラスポイントに纏め上げたのが次節に繋がる可能性はある。
「今期の対局に臨むにあたって、必ずA1に復帰することはもちろんのこと、その内容、スコアにもこだわって闘うように自分に言い聞かせてきました。
平均アベレージ25P、トータル250Pをターゲットに自分との闘いが始まりました。第2節が終わり、90Pを超え順調な滑り出し。
ところが、慢心したわけではないのですが、心のどこかで隙が生まれたのか、自分らしい麻雀が打てない、あるいは打たせてもらえない状況が続き、
じりじりとポイントを減らしていきました。前半最終節の5節、組み合わせが変わっての後半戦の第6節と、若手の伸び盛りのメンバーとの対局。
久々にわくわくする対局の連続でした。彼らと正面から向き合うには、自分自身の準備が足りないと感じていたので、8月は10日間の休みをすべて東京での麻雀、
9月に入っても麻雀格闘倶楽部、ロン2に時間の許す限り参戦し、勝負勘を取り戻す訓練を行ってきました。
第6節、今回の第7節共に、初戦からの展開は自分のイメージどおりでした。
しかし、第6節では前半我慢をしていたら、猿川プロに後半ブレイクするきっかけを与える不用意な放銃。
第7節は、初戦トップ目のオーラス、ホンイツ気配の黒沢プロに二筒を鳴かし跳満ツモで捲くられる。まだ何かが足りない。
その何かを身につけるために全力で鍛錬し、80P差を捲くりに行きます。」
板川和俊
他の卓も観戦しようとするのだが、如何せんギャラリーがどの卓もいっぱいである。
それだけ魅力のあるA2リーグになっている証で喜ばしい限りではあるが、観戦子泣かせでもある。
運営席に戻り、瀬戸君に今後の展開を尋ねると、
「誰が残るかはわかりませんが古川さんは昇級すると思います」
「やはりそう考えるんだね」
「後は、猿川も良いかもしれませんね」
猿川の卓を観戦にいくと放銃が目立った。
ただし、会場の関係で猿川の手牌はまるで見えない。
必然の放銃なのか過失の放銃なのかは判然としない。
ただ、今日の麻雀のデキは良くはないのだろう。
「今節はツイていたの一言に尽きます。今回の自分の目標は+50Pオーバーでした。最終節をむかえるにあたって、どうしても首位にいたいからです。
勝ちたいと思って勝てるものではないことは重々分かっているつもりですが、上下が分かれている分、チャンスなのも事実だと思っていました。
その思考のせいか、メンタルの弱さかは分かりませんが、今節の麻雀は非常に雑だったと思っています。
結果は、奇跡的に+10.5Pで上位をキープ出来ましたが、ただ振り回しただけの拳がたまたまヒットしただけであり、
しかも、10回振り回して1回当たるかどうかの攻撃で、自分の弱さを強調している節とも取れると思いました。
残り3節に不安が残りますが、やれることをやろうと思っています。
実力が秀でている訳ではないので、せっかくのチャンス悔いの残らないようにモチベーションだけは高めて対局に臨みたいと思っています。」
猿川真寿
古川に電話で感想を訊いてみた。
「私にとっては最後の昇級のチャンスだと思っております。{年齢的にも体力的にも}今回を逃したら、まずA1への昇級は叶わないと覚悟しています。」
短いコメントだったがわかるような気がした。
それは、私自身が古川と同じ気持ちをここ数年思っているからである。
若い頃、夏の湧き上がるような入道雲が好きだったのは、そこに力強さを、自分自身を投影させていたようにも思う。
「年に一度も天和がアガれなくなったら麻雀プロは辞める」
そう公言して憚らなかった若く、そして愚かな自分がいた。
もう十年ほど天和はおろか、リーグ戦ではメンチンさえアガった記憶がない。
秋の鰯雲が好きになったのも、どこか儚げでちからを失いつつある自分を投影させているのかもしれない。
そして、いずれ間違いなく冬は訪れる。古川にも私にも、そして現鳳凰である荒正義にも冬は訪れる。
冬が訪れ私達が枯れ果てても、それは仕方ないことである。むしろ、良いことだとさえ思える。
今、確実に若い芽が育ちつつあるのだから。新陳代謝のない世界は滅びるのが必定なのだから。
古川の覚悟が優るのか、それとも若い芽達が育つのが優るのかそれはわからないことだが、懸命に麻雀に立ち向かうことは何らかわりはないことである。
昇級争いも降級争いも、本当に一打一打が直接結果と結びつく縦長の展開である。
来月がまた楽しみな、そして過酷な戦いが繰り広げられることであろう。
第8節組み合わせ
A卓  古川 孝次 vs 板川 和俊 vs 白鳥 翔 vs 遠藤 啓太
B卓  勝又 健志 vs 猿川 真寿 vs 老月 貴紀 vs 二階堂 亜樹
C卓  四柳 弘樹 vs 金子 貴行 vs 山井 弘 vs 中村 毅
D卓  吉田 直 vs 黒沢 咲 vs 仁平 宣明 vs 山田 浩之

第70回『読み』

今回から中級講座を担当させて頂くことになりました、白鳥翔です。
読んでくれている方々に、これから色々と伝えたいことがあるのですが、文章力のなさ故に伝わり辛い所もあるかと思いますがよろしくお願いします。

「白鳥君は麻雀をどう考えているの?デジタル?」
「はぁ・・・まぁ・・。」

この質問をされる事が多々あるが大抵返答に困ってしまう。
僕自身、いわゆる「流れ」というものが「確実に存在しない」とも思っていないし、そもそも「流れ」に関する定義付け、感じ方も人それぞれである様に思う。

しかし、その「流れ」というものや「ツキ」というものに関して、僕はなるべく意識しない様にしてこれまで麻雀を打ってきたのは事実である。
それを理解して実戦で使うにはあまりにも早い、と感じていたのももちろんあるが、
初級者~中級者、もしくは上級者に関してもそうなのかもしれないが、基礎的な雀力をあげる為には、それを排除して論理的に考えた方が上達が早いと思うからだ。

さて、冒頭の質問に対して、僕が何故返答に困ってしまうのか?
「流れ」というものに関してもそうだが、「デジタル」ということに関してもきちんとした定義付けはされていない様に思うが、
一般的には下記の様な打ち方のことを指すのだと思う。

1.確率論や統計で求められている解に基づいて打牌をする
2.確定している情報を用いて、不確定な情報は(極力)用いない

あるデジタルを標榜する打ち手Aと、
「残りツモ番のない所から自分はテンパイ、他家からリーチが入っていてどの程度の危険牌までテンパイ料の為に切って良いのか」、
ということについて麻雀談義をしていた。

A「リーチの筋くらいなら切っていいんじゃないかな?」
僕「相手が七対子だったとしたら?それを一概に良しとするのは危険じゃない?」
A「でも、七対子の出現率って2.5%くらいなんだよね。だから考えなくていいんじゃない?」

果たしてこれはデジタルと呼べるのだろうか?確率論や統計に頼りすぎで、「読み」を放棄している。
読みに優れた打ち手であれば、河を見て「七対子の確率100%」という打ち手もいるはずである。
その場合、1枚切れの字牌や筋などが危険牌に映るだろう。
この「読み」という部分こそ、麻雀の醍醐味であり、重視すべき部分であると思う。

以前、滝沢プロも言っていたと思うのだが、麻雀は不確定な要素が多い分、読みに裏切られることも多いし、読めない部分も多々ある。
だからといって、それを全て放棄してしまっては、更なる雀力の向上には繋がらない、と私も思う。

「読み」ということに関してもう1つ。
一発・裏ドラ・赤牌ありの麻雀での出来事。(赤牌は赤五万が1枚、赤五筒が2枚、赤五索が1枚の計4枚)
ドラは四筒で自分は、

一索二索三索四筒四筒五筒赤五筒七万八万九万 ポン白白白 ドラ四筒

この形で待ちは悪いものの一応満貫テンパイ。場には五筒が1枚切れていた。
厄介なのは下家の親が仕掛けていて、

牌の背牌の背牌の背牌の背牌の背牌の背牌の背 ポン発発発 チー四索三索赤五索

こうなっていた。ここに中盤で親が八筒を小考してツモ切りした。
次巡、僕が八筒を持ってきてツモ切りすると、なんと下家の親が六筒七筒で晒してこれをチー。そして打七筒
この時親は、序盤に九筒を切っていた。

少し読みを入れれば、親は??四筒五筒六筒七筒七筒の形が残っていて、七筒と何かのシャンポンでテンパイ。
フリテンになる為八筒をツモ切り、その後八筒を喰い伸ばした、ほぼこのケースだろうと読める。
しかも、今回は四筒がドラで且つ残り1枚の五筒は赤なので、打点も12,000だ。

この様に少し読みをいれるだけで分かるケースがあるが、これは相手の手牌が見えていないからといって、

「2.確定している情報を用いて、不確定な情報は(極力)用いない」 に分類されるのだろうか。

数値だけでいえば、自分が満貫テンパイからならば危険牌を押してもいいのかもしれないが・・・。

僕は、仮に役満をテンパイしていたとしても、この三筒六筒だけは打ってはいけない牌だろうと思う。
何故なら、親の待ちが三筒六筒であることも、打点が12,000であることも「確定している」情報だからである。

この読みの例に関しては極端な例かもしれないが、最近の若手に多く見られる傾向として、それをあまりに放棄していることが多いと思う。
確率論や統計に関しても、インターネットの普及や、新しい戦術本がどんどん世に出ていっているので、知識として得やすい。
それを知識として知っておくことに損はないが、それをそのまま使っていいのかという疑問を持ち取捨選択すること、或いは応用させることが重要であると考える。

例えば、あるデータの1つに「東1局に1,000点をアガると、4着率が約20%(以下)になる」というデータがあるらしい。
だからといって、東1局の序盤に入ったチャンス手を鳴いて1,000点でアガしてしまうのはもったいないし、
自分の成績を向上させる為の正しい方法論とも思えない。

更に、このデータを果たしてそのまま自分に適用していいのか、という所が問題だ。
このデータというのは、インターネット麻雀を使って、東1局に1,000点をアガった「不特定多数」のサンプルから集められたものであるのだと思う。
東1局に1,000点をアガった後の打ち方も人によって異なるだろうし、雀力によっても差が出てくるだろう。
故に、それを自分にそのまま当て嵌めてしまうことは危険なのである。

これらに頼りすぎて読みを放棄することは、ヤミテンや仕掛けに対してのケアなどがおろそかになったり、
後手からの踏み込みが浅くなったりと、淡白で浅い麻雀になりかねないと思う。

単純に見えている牌の枚数だけではなく、捨て牌の切り順などから、山に残っている牌や相手の手牌を推測し、それを選択の拠り所にする。
そこまでいって初めて損得勘定は成立する。
上級者、更にその上を行く為には読みというものが必要不可欠なのである。

中級/第70回『読み』

今回から中級講座を担当させて頂くことになりました、白鳥翔です。
読んでくれている方々に、これから色々と伝えたいことがあるのですが、文章力のなさ故に伝わり辛い所もあるかと思いますがよろしくお願いします。
「白鳥君は麻雀をどう考えているの?デジタル?」
「はぁ・・・まぁ・・。」
この質問をされる事が多々あるが大抵返答に困ってしまう。
僕自身、いわゆる「流れ」というものが「確実に存在しない」とも思っていないし、そもそも「流れ」に関する定義付け、感じ方も人それぞれである様に思う。
しかし、その「流れ」というものや「ツキ」というものに関して、僕はなるべく意識しない様にしてこれまで麻雀を打ってきたのは事実である。
それを理解して実戦で使うにはあまりにも早い、と感じていたのももちろんあるが、
初級者~中級者、もしくは上級者に関してもそうなのかもしれないが、基礎的な雀力をあげる為には、それを排除して論理的に考えた方が上達が早いと思うからだ。
さて、冒頭の質問に対して、僕が何故返答に困ってしまうのか?
「流れ」というものに関してもそうだが、「デジタル」ということに関してもきちんとした定義付けはされていない様に思うが、
一般的には下記の様な打ち方のことを指すのだと思う。
1.確率論や統計で求められている解に基づいて打牌をする
2.確定している情報を用いて、不確定な情報は(極力)用いない

あるデジタルを標榜する打ち手Aと、
「残りツモ番のない所から自分はテンパイ、他家からリーチが入っていてどの程度の危険牌までテンパイ料の為に切って良いのか」、
ということについて麻雀談義をしていた。
A「リーチの筋くらいなら切っていいんじゃないかな?」
僕「相手が七対子だったとしたら?それを一概に良しとするのは危険じゃない?」
A「でも、七対子の出現率って2.5%くらいなんだよね。だから考えなくていいんじゃない?」
果たしてこれはデジタルと呼べるのだろうか?確率論や統計に頼りすぎで、「読み」を放棄している。
読みに優れた打ち手であれば、河を見て「七対子の確率100%」という打ち手もいるはずである。
その場合、1枚切れの字牌や筋などが危険牌に映るだろう。
この「読み」という部分こそ、麻雀の醍醐味であり、重視すべき部分であると思う。
以前、滝沢プロも言っていたと思うのだが、麻雀は不確定な要素が多い分、読みに裏切られることも多いし、読めない部分も多々ある。
だからといって、それを全て放棄してしまっては、更なる雀力の向上には繋がらない、と私も思う。
「読み」ということに関してもう1つ。
一発・裏ドラ・赤牌ありの麻雀での出来事。(赤牌は赤五万が1枚、赤五筒が2枚、赤五索が1枚の計4枚)
ドラは四筒で自分は、
一索二索三索四筒四筒五筒赤五筒七万八万九万 ポン白白白 ドラ四筒
この形で待ちは悪いものの一応満貫テンパイ。場には五筒が1枚切れていた。
厄介なのは下家の親が仕掛けていて、
牌の背牌の背牌の背牌の背牌の背牌の背牌の背 ポン発発発 チー四索三索赤五索
こうなっていた。ここに中盤で親が八筒を小考してツモ切りした。
次巡、僕が八筒を持ってきてツモ切りすると、なんと下家の親が六筒七筒で晒してこれをチー。そして打七筒
この時親は、序盤に九筒を切っていた。
少し読みを入れれば、親は??四筒五筒六筒七筒七筒の形が残っていて、七筒と何かのシャンポンでテンパイ。
フリテンになる為八筒をツモ切り、その後八筒を喰い伸ばした、ほぼこのケースだろうと読める。
しかも、今回は四筒がドラで且つ残り1枚の五筒は赤なので、打点も12,000だ。
この様に少し読みをいれるだけで分かるケースがあるが、これは相手の手牌が見えていないからといって、
「2.確定している情報を用いて、不確定な情報は(極力)用いない」 に分類されるのだろうか。
数値だけでいえば、自分が満貫テンパイからならば危険牌を押してもいいのかもしれないが・・・。
僕は、仮に役満をテンパイしていたとしても、この三筒六筒だけは打ってはいけない牌だろうと思う。
何故なら、親の待ちが三筒六筒であることも、打点が12,000であることも「確定している」情報だからである。
この読みの例に関しては極端な例かもしれないが、最近の若手に多く見られる傾向として、それをあまりに放棄していることが多いと思う。
確率論や統計に関しても、インターネットの普及や、新しい戦術本がどんどん世に出ていっているので、知識として得やすい。
それを知識として知っておくことに損はないが、それをそのまま使っていいのかという疑問を持ち取捨選択すること、或いは応用させることが重要であると考える。
例えば、あるデータの1つに「東1局に1,000点をアガると、4着率が約20%(以下)になる」というデータがあるらしい。
だからといって、東1局の序盤に入ったチャンス手を鳴いて1,000点でアガしてしまうのはもったいないし、
自分の成績を向上させる為の正しい方法論とも思えない。
更に、このデータを果たしてそのまま自分に適用していいのか、という所が問題だ。
このデータというのは、インターネット麻雀を使って、東1局に1,000点をアガった「不特定多数」のサンプルから集められたものであるのだと思う。
東1局に1,000点をアガった後の打ち方も人によって異なるだろうし、雀力によっても差が出てくるだろう。
故に、それを自分にそのまま当て嵌めてしまうことは危険なのである。
これらに頼りすぎて読みを放棄することは、ヤミテンや仕掛けに対してのケアなどがおろそかになったり、
後手からの踏み込みが浅くなったりと、淡白で浅い麻雀になりかねないと思う。
単純に見えている牌の枚数だけではなく、捨て牌の切り順などから、山に残っている牌や相手の手牌を推測し、それを選択の拠り所にする。
そこまでいって初めて損得勘定は成立する。
上級者、更にその上を行く為には読みというものが必要不可欠なのである。

第29期 A1リーグ 第7節詳細成績

第7節 望月 ダンプ 伊藤 藤崎 供託
1回戦 得失点 0.3 1.4 ▲ 2.1 0.4 0
順位点 1 8 ▲ 12.0 3
1.3 9.4 ▲ 14.1 3.4 0
2回戦 得失点 ▲ 10.4 30.3 ▲ 14.6 ▲ 5.3 0
順位点 ▲ 3.0 12 ▲ 8.0 ▲ 1.0
▲ 13.4 42.3 ▲ 22.6 ▲ 6.3 0
3回戦 得失点 ▲ 17.9 10.7 17 ▲ 9.8 0
順位点 ▲ 8.0 4 8 ▲ 4.0
▲ 25.9 14.7 25 ▲ 13.8 0
4回戦 得失点 ▲ 20.2 1 8.2 11 0
順位点 ▲ 12.0 1 3 8
▲ 32.2 2 11.2 19 0
ペナ
合計 ▲ 70.2 68.4 ▲ 0.5 2.3 0
第7節 瀬戸熊 柴田 近藤 石渡 供託
1回戦 得失点 ▲ 16.5 5.7 23.9 ▲ 13.1 0
順位点 ▲ 8.0 4 8 ▲ 4.0
▲ 24.5 9.7 31.9 ▲ 17.1 0
2回戦 得失点 21.1 ▲ 0.4 ▲ 21.4 0.7 0
順位点 8 ▲ 4.0 ▲ 8.0 4
29.1 ▲ 4.4 ▲ 29.4 4.7 0
3回戦 得失点 1.3 ▲ 0.3 13.4 ▲ 14.4 0
順位点 4 ▲ 4.0 8 ▲ 8.0
5.3 ▲ 4.3 21.4 ▲ 22.4 0
4回戦 得失点 ▲ 6.2 7.4 2.4 ▲ 3.6 0
順位点 ▲ 8.0 8 4 ▲ 4.0
▲ 14.2 15.4 6.4 ▲ 7.6 0
ペナ
合計 ▲ 4.3 16.4 30.3 ▲ 42.4 0
第7節 右田 朝武 沢崎 前原 供託
1回戦 得失点 6.9 ▲ 14.6 ▲ 6.5 14.2 0
順位点 4 ▲ 8.0 ▲ 4.0 8
10.9 ▲ 22.6 ▲ 10.5 22.2 0
2回戦 得失点 ▲ 10.1 ▲ 4.4 2.2 12.3 0
順位点 ▲ 8.0 ▲ 4.0 4 8
▲ 18.1 ▲ 8.4 6.2 20.3 0
3回戦 得失点 ▲ 8.2 ▲ 2.9 ▲ 0.1 11.2 0
順位点 ▲ 8.0 ▲ 3.0 ▲ 1.0 12
▲ 16.2 ▲ 5.9 ▲ 1.1 23.2 0
4回戦 得失点 1.7 8.7 ▲ 10.1 ▲ 0.3 0
順位点 4 8 ▲ 8.0 ▲ 4.0
5.7 16.7 ▲ 18.1 ▲ 4.3 0
ペナ
合計 ▲ 17.7 ▲ 20.2 ▲ 23.5 61.4 0

プロリーグ(鳳凰戦)成績表/第29期 A1リーグ 第7節詳細成績

第7節 望月 ダンプ 伊藤 藤崎 供託
1回戦 得失点 0.3 1.4 ▲ 2.1 0.4 0
順位点 1 8 ▲ 12.0 3
1.3 9.4 ▲ 14.1 3.4 0
2回戦 得失点 ▲ 10.4 30.3 ▲ 14.6 ▲ 5.3 0
順位点 ▲ 3.0 12 ▲ 8.0 ▲ 1.0
▲ 13.4 42.3 ▲ 22.6 ▲ 6.3 0
3回戦 得失点 ▲ 17.9 10.7 17 ▲ 9.8 0
順位点 ▲ 8.0 4 8 ▲ 4.0
▲ 25.9 14.7 25 ▲ 13.8 0
4回戦 得失点 ▲ 20.2 1 8.2 11 0
順位点 ▲ 12.0 1 3 8
▲ 32.2 2 11.2 19 0
ペナ
合計 ▲ 70.2 68.4 ▲ 0.5 2.3 0
第7節 瀬戸熊 柴田 近藤 石渡 供託
1回戦 得失点 ▲ 16.5 5.7 23.9 ▲ 13.1 0
順位点 ▲ 8.0 4 8 ▲ 4.0
▲ 24.5 9.7 31.9 ▲ 17.1 0
2回戦 得失点 21.1 ▲ 0.4 ▲ 21.4 0.7 0
順位点 8 ▲ 4.0 ▲ 8.0 4
29.1 ▲ 4.4 ▲ 29.4 4.7 0
3回戦 得失点 1.3 ▲ 0.3 13.4 ▲ 14.4 0
順位点 4 ▲ 4.0 8 ▲ 8.0
5.3 ▲ 4.3 21.4 ▲ 22.4 0
4回戦 得失点 ▲ 6.2 7.4 2.4 ▲ 3.6 0
順位点 ▲ 8.0 8 4 ▲ 4.0
▲ 14.2 15.4 6.4 ▲ 7.6 0
ペナ
合計 ▲ 4.3 16.4 30.3 ▲ 42.4 0
第7節 右田 朝武 沢崎 前原 供託
1回戦 得失点 6.9 ▲ 14.6 ▲ 6.5 14.2 0
順位点 4 ▲ 8.0 ▲ 4.0 8
10.9 ▲ 22.6 ▲ 10.5 22.2 0
2回戦 得失点 ▲ 10.1 ▲ 4.4 2.2 12.3 0
順位点 ▲ 8.0 ▲ 4.0 4 8
▲ 18.1 ▲ 8.4 6.2 20.3 0
3回戦 得失点 ▲ 8.2 ▲ 2.9 ▲ 0.1 11.2 0
順位点 ▲ 8.0 ▲ 3.0 ▲ 1.0 12
▲ 16.2 ▲ 5.9 ▲ 1.1 23.2 0
4回戦 得失点 1.7 8.7 ▲ 10.1 ▲ 0.3 0
順位点 4 8 ▲ 8.0 ▲ 4.0
5.7 16.7 ▲ 18.1 ▲ 4.3 0
ペナ
合計 ▲ 17.7 ▲ 20.2 ▲ 23.5 61.4 0