第17回ファン感謝祭

フォトギャラリー/第17回ファン感謝祭

ロン2CM 3人麻雀編

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日本プロ麻雀連盟 公式オンライン麻雀サイト『ロン2』のCM 三人麻雀スタート編です。

動画ギャラリー/ロン2CM 3人麻雀編

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日本プロ麻雀連盟 公式オンライン麻雀サイト『ロン2』のCM 三人麻雀スタート編です。

第13期九州プロリーグ Bリーグ(プロアマ混合) 後期第2節成績表

順位 名前 プロ/アマ 1 節 2 節 3 節 4 節 5 節 合計
1 大和田 篤史 プロ 41.1 62.7 103.8
2 貴田 純一 アマ 33.2 18 51.2
3 服部 学 プロ 14.8 9.2 24
4 藤原 琢 プロ 31 ▲ 8.3 22.7
5 錦辺 卓三 アマ 20.1 ▲ 2.9 17.2
6 藤岡 治之 プロ ▲ 11.4 26.8 15.4
7 小川 善章 プロ 11.6 2.8 14.4
8 中島 行泰 アマ 13.2 0 13.2
9 石原 忠道 アマ ▲ 12.5 20.2 7.7
10 藤井 崇勝 アマ ▲ 10.5 12.9 2.4
11 榎田 賢二郎 プロ ▲ 50.0 51.6 1.6
12 川崎 行広 プロ 2.7 ▲ 12.0 ▲ 9.3
13 福田 譲二 プロ ▲ 35.9 20.7 ▲ 15.2
14 菊池 豪 プロ ▲ 7.7 ▲ 7.9 ▲ 15.6
15 樋口 徹 プロ 17.4 ▲ 44.1 ▲ 26.7
16 安永 敏郎 アマ ▲ 19.1 ▲ 13.8 ▲ 32.9
17 氷室 哀華 プロ 10.7 ▲ 53.7 ▲ 43.0
18 矢野 拓郎 プロ ▲ 63.9 ▲ 33.6 ▲ 97.5
19 流水 聖人 プロ ▲ 55.8 ▲ 48.6 ▲ 104.4

昇降級ライン:未定

九州プロリーグ 成績表/第13期九州プロリーグ Bリーグ(プロアマ混合) 後期第2節成績表

順位 名前 プロ/アマ 1 節 2 節 3 節 4 節 5 節 合計
1 大和田 篤史 プロ 41.1 62.7 103.8
2 貴田 純一 アマ 33.2 18 51.2
3 服部 学 プロ 14.8 9.2 24
4 藤原 琢 プロ 31 ▲ 8.3 22.7
5 錦辺 卓三 アマ 20.1 ▲ 2.9 17.2
6 藤岡 治之 プロ ▲ 11.4 26.8 15.4
7 小川 善章 プロ 11.6 2.8 14.4
8 中島 行泰 アマ 13.2 0 13.2
9 石原 忠道 アマ ▲ 12.5 20.2 7.7
10 藤井 崇勝 アマ ▲ 10.5 12.9 2.4
11 榎田 賢二郎 プロ ▲ 50.0 51.6 1.6
12 川崎 行広 プロ 2.7 ▲ 12.0 ▲ 9.3
13 福田 譲二 プロ ▲ 35.9 20.7 ▲ 15.2
14 菊池 豪 プロ ▲ 7.7 ▲ 7.9 ▲ 15.6
15 樋口 徹 プロ 17.4 ▲ 44.1 ▲ 26.7
16 安永 敏郎 アマ ▲ 19.1 ▲ 13.8 ▲ 32.9
17 氷室 哀華 プロ 10.7 ▲ 53.7 ▲ 43.0
18 矢野 拓郎 プロ ▲ 63.9 ▲ 33.6 ▲ 97.5
19 流水 聖人 プロ ▲ 55.8 ▲ 48.6 ▲ 104.4

昇降級ライン:未定

第13期九州プロリーグ Cリーグ(プロアマ混合) 後期第2節成績表

順位 名前 プロ/アマ 1 節 2 節 3 節 4 節 5 節 合計
1 伊東 宏倫 プロ 68.5 44.9 113.4
2 和田 久 アマ 45.5 53.8 99.3
3 佐藤 健治 プロ 113.9 ▲ 21.8 92.1
4 水町 慎一 プロ 23.4 44.8 68.2
5 古本 和宏 アマ 21.9 35.7 57.6
6 筒井 久美子 プロ 87.4 ▲ 39.3 48.1
7 鶴 浩昭 プロ 48.1 ▲ 3.9 44.2
8 宮崎 皓之介 アマ ▲ 42.9 71.6 28.7
9 進 栄二 アマ 66.4 ▲ 38.4 28
10 松本 路也 アマ 47.4 ▲ 22.8 24.6
11 原 宙史 アマ ▲ 14.3 30.5 16.2
12 河野 みのり プロ 25.9 ▲ 10.5 15.4
13 麻生 征吾 プロ 3.2 10.3 13.5
14 山本 光男 アマ ▲ 24.1 34.7 10.6
15 山本 江利香 プロ ▲ 41.3 46.8 5.5
16 松尾 樹宏 プロ 21.6 ▲ 18.3 3.3
17 吉田 雄紀 アマ 21.9 ▲ 19.7 2.2
18 公文 寛明 アマ ▲ 47.7 34.9 ▲ 12.8
19 陣野 良貴 アマ ▲ 12.7 ▲ 5.8 ▲ 18.5
20 山本 秋桜里 アマ 10.3 ▲ 38.7 ▲ 28.4
21 北島 勇輝 プロ ▲ 70.3 27.5 ▲ 42.8
22 下山 哲也 プロ ▲ 42.8 ▲ 3.7 ▲ 46.5
23 平田 裕貴 アマ ▲ 32.0 ▲ 18.3 ▲ 50.3
24 濱田 貴幸 アマ ▲ 71.7 17.3 ▲ 54.4
25 西川 舞 プロ ▲ 28.6 ▲ 32.2 ▲ 60.8
26 田中 哲也 アマ ▲ 31.0 ▲ 48.0 ▲ 79.0
27 スカルリーパーA-ji プロ ▲ 42.6 ▲ 50.0 ▲ 92.6
28 河野 晃大 アマ ▲ 64.0 ▲ 61.3 ▲ 125.3
29 友保 美香里 アマ ▲ 41.4 ▲ 91.1 ▲ 132.5

昇降級ライン:未定

九州プロリーグ 成績表/第13期九州プロリーグ Cリーグ(プロアマ混合) 後期第2節成績表

順位 名前 プロ/アマ 1 節 2 節 3 節 4 節 5 節 合計
1 伊東 宏倫 プロ 68.5 44.9 113.4
2 和田 久 アマ 45.5 53.8 99.3
3 佐藤 健治 プロ 113.9 ▲ 21.8 92.1
4 水町 慎一 プロ 23.4 44.8 68.2
5 古本 和宏 アマ 21.9 35.7 57.6
6 筒井 久美子 プロ 87.4 ▲ 39.3 48.1
7 鶴 浩昭 プロ 48.1 ▲ 3.9 44.2
8 宮崎 皓之介 アマ ▲ 42.9 71.6 28.7
9 進 栄二 アマ 66.4 ▲ 38.4 28
10 松本 路也 アマ 47.4 ▲ 22.8 24.6
11 原 宙史 アマ ▲ 14.3 30.5 16.2
12 河野 みのり プロ 25.9 ▲ 10.5 15.4
13 麻生 征吾 プロ 3.2 10.3 13.5
14 山本 光男 アマ ▲ 24.1 34.7 10.6
15 山本 江利香 プロ ▲ 41.3 46.8 5.5
16 松尾 樹宏 プロ 21.6 ▲ 18.3 3.3
17 吉田 雄紀 アマ 21.9 ▲ 19.7 2.2
18 公文 寛明 アマ ▲ 47.7 34.9 ▲ 12.8
19 陣野 良貴 アマ ▲ 12.7 ▲ 5.8 ▲ 18.5
20 山本 秋桜里 アマ 10.3 ▲ 38.7 ▲ 28.4
21 北島 勇輝 プロ ▲ 70.3 27.5 ▲ 42.8
22 下山 哲也 プロ ▲ 42.8 ▲ 3.7 ▲ 46.5
23 平田 裕貴 アマ ▲ 32.0 ▲ 18.3 ▲ 50.3
24 濱田 貴幸 アマ ▲ 71.7 17.3 ▲ 54.4
25 西川 舞 プロ ▲ 28.6 ▲ 32.2 ▲ 60.8
26 田中 哲也 アマ ▲ 31.0 ▲ 48.0 ▲ 79.0
27 スカルリーパーA-ji プロ ▲ 42.6 ▲ 50.0 ▲ 92.6
28 河野 晃大 アマ ▲ 64.0 ▲ 61.3 ▲ 125.3
29 友保 美香里 アマ ▲ 41.4 ▲ 91.1 ▲ 132.5

昇降級ライン:未定

たけしの等々力ベースレポート

昨年、BSフジで放送された、たけしの等々力ベース「麻雀道」に、
日本プロ麻雀連盟から、「ミスター麻雀」小島武夫、「北海の荒法師」荒正義、「暴君」瀬戸熊直樹、「越後の奇跡」滝沢和典が出演。

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過去の出演 前編 後編

そして今回、またもやその「麻雀道②」に同じメンバーでと出演オファーが入った!!

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昨年の麻雀道では、プロ雀士がビートたけしさんに勝利。

しかし今回はそのリベンジを果たすため、ビートたけしさんに、何やらプロを打ち破るための秘策があるとかないとか??
たけしさんは、プロ雀士へリベンジを果たすことができるのでしょうか!?

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ビートたけしvsプロ雀士!!

どうぞお楽しみに♪
http://www.bsfuji.tv/todoroki/

11月1日(木)23時~23時55分
11月15日(木)23時~23時55分
※15日は再放送。

(レポート:編集部)

特集企画/たけしの等々力ベースレポート

昨年、BSフジで放送された、たけしの等々力ベース「麻雀道」に、
日本プロ麻雀連盟から、「ミスター麻雀」小島武夫、「北海の荒法師」荒正義、「暴君」瀬戸熊直樹、「越後の奇跡」滝沢和典が出演。
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過去の出演 前編 後編
そして今回、またもやその「麻雀道②」に同じメンバーでと出演オファーが入った!!
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昨年の麻雀道では、プロ雀士がビートたけしさんに勝利。
しかし今回はそのリベンジを果たすため、ビートたけしさんに、何やらプロを打ち破るための秘策があるとかないとか??
たけしさんは、プロ雀士へリベンジを果たすことができるのでしょうか!?

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ビートたけしvsプロ雀士!!
どうぞお楽しみに♪
http://www.bsfuji.tv/todoroki/
11月1日(木)23時~23時55分
11月15日(木)23時~23時55分
※15日は再放送。
(レポート:編集部)

第87回:瀬戸熊 直樹

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第29期十段戦を優勝した瀬戸熊直樹プロ

瀬戸熊直樹プロが第29期十段戦を優勝し、皆が祝福する中で僕はこんな会話を耳にした。

編集者「十段戦優勝者のインタビューの記事を書きたいんですが、誰からインタビューされたいか、希望はありますか?」
瀬戸熊「考えておきます」

この会話を聞いた瞬間僕は感じた。
もしかして、僕が声をかけてもらえるのではないか、と。

それから1週間後、瀬戸熊さんと四ツ谷道場でお仕事をしている時のことだった。奥のほうから瀬戸熊さんに呼ばれた。
瀬戸熊「もしよかったら、インタビューをやってもらえる?」
まさかとは思っていたが、本当に自分に来るとは……。
プロになって2年目の自分が、15年目の、しかもあの元鳳凰位で現十段位の瀬戸熊さんにインタビューするという大役を任されるなんて、とても光栄だと思った。

僕がインタビュアーに、自分が指名された理由は他でもない。
最近、自分が瀬戸熊さんと一緒にいる機会が多いからである。
それは、決して仕事だけというわけではなく、プライベートにおいても一緒にいることが多いという意味である。
仕事の帰りで2人きりの時でも、瀬戸熊さんは僕の質問に答えてくれたり、相談に乗ってくれたりした。
もしかしたら、僕は気づかないうちに日々、瀬戸熊さんにインタビューをしていたのかもしれない……。

そんなわけで、今回のこのインタビューでは、瀬戸熊直樹プロが普段はどういう人なのかを出来る限り伝えていきたいと思う。

【十段戦決勝前日】
僕はその日、千葉にある瀬戸熊さんの御実家まで一緒に行く事になった。
瀬戸熊さんの御父上が、パソコンで十段戦の生放送を見られるようにセッティングしようとしていたのだが、
そこで機械に強い人間が必要になり、僕が選ばれたのであった。

まだ暑さが残る九月の朝の事だった。
瀬戸熊さんの家がある最寄りの駅のホームで待つこと数分、普段あまり見る事の出来ない貴重な私服姿で瀬戸熊さんは現れた。

三四郎「おはようございます!」
瀬戸熊「おはよう。今日もお母さんにちゃんとあいさつしたか?」
三四郎「まぁ、はい」

瀬戸熊さんと知り合って、僕が一番初めにしてもらった話は“あいさつ”の話だった。
『最近の若い子はあいさつが全然できてない。あいさつがチキンと出来るだけで全然印象が違うから、まずはお母さんでいいから朝起きたらおはようって言ってみ。』
その日以来、自分は瀬戸熊さんの教えを守り、あいさつは欠かさないようにしている。

そして僕らは千葉行きの電車に乗り込んだ。たあいの無い話で盛り上がる。
1時間も経った頃だっただろうか、途中の駅で降りてお昼休憩をすることになった。
ここまで一切麻雀の話はしていない。瀬戸熊さんの格好からしてオフである。
明日から長い戦いが始まるので、今日くらいは麻雀を忘れてゆっくりしたいのかもしれない。
といっても、今日の目的自体は麻雀関係なのだが。駅で降りて、近くにあった喫茶店に入った。

瀬戸熊「何か食うか?」
三四郎「じゃあこのサンドイッチを……」
瀬戸熊「飲み物は?」
三四郎「あ、抹茶ラテで……すいません」

喫茶店、ファミレス……、いつも代金は瀬戸熊さんに出してもらっている。
失礼なのは分かっているのだが、最近はサイフを出すフリだってしなくなってしまった。
席についてみると、瀬戸熊さんの机にはアイスコーヒーしか置かれていない。

三四郎「瀬戸熊さんは何も食べないんですか?」
瀬戸熊「今、ダイエット中なんだよね」
三四郎「じゃあ運動もしてるんですか?」
瀬戸熊「そうだね。最近は夜ランニングしたりしてるよ」

やはり3日で12半荘も打つとなると、体力作りも必要になるんだなぁ、と思った。
食事を終え、再び千葉へと電車に揺られること30分。ついに瀬戸熊さんの実家へと到着した。
中へ御邪魔すると、瀬戸熊さんの御父上が出迎えてくれた。とても真面目そうで、尚且つ優しそうな方だった。
さっそく作業に取り掛かる。

瀬戸熊さんはというと、自分がパソコンの作業をしている最中、ご自身の幼少期の頃のアルバムを眺めたり、
僕を残して外に散歩しにいったりと、久々の我が家を満喫している様子だった。
そんな中、一番衝撃的だったのが、瀬戸熊さんがベランダで「にゃーにゃー」言っていたことだった。
僕は、臆病にもその場でその事に触れることは出来なかった。
用事を終わらせ、瀬戸熊さんの実家を後にして、僕らは再び電車に乗り込んだ。僕は恐る恐る先ほどの事を尋ねた。

三四郎「さっきなんかベランダで、“にゃーにゃー”言ってませんでした?」
瀬戸熊「え?ああ、聞いてたんだ(笑)」
三四郎「まぁ……。聞こえちゃったというか……」
瀬戸熊「外にいた猫に話しかけてたんだよね。昔からよく話しかけたりするんだよね」
三四郎「イメージ崩れるんでやめて下さいよ!(笑)」

なんておちゃめな人なんだろうと思った。
あの瀬戸熊さんにも、子供っぽい一面があることを知ることが出来たのは収穫である。
以前より、ずっと接しやすくなっていったように思う。
そして東京に戻ってきた。僕は四ツ谷で用事があったので、そこでお別れとなった。

瀬戸熊「じゃあ明日は現場までトロフィー運ぶの手伝ってな」
三四郎「了解です!」
瀬戸熊「時間とかはメールします。今日はありがとうな。お疲れ!」
三四郎「おつかれさまでした!」

結局その日、麻雀の話は一切しなかった。
そしてついに十段戦決勝の日を迎える。

【十段戦決勝当日】
9月15日。今日は十段戦初日。日本の各地で30℃を超え、過ぎ去ったはずの真夏が返り咲くような天気であった。
僕はトロフィーを受け取るために、瀬戸熊さんの家に向かって歩いていた。
すると、目の前から大荷物を持った人がこちらに向かって歩いてくるのが見えた。
予定が変わったのか、瀬戸熊さんも駅に向かって歩き始めていたらしい。

三四郎「おはようございます!」
瀬戸熊「おはよう」
三四郎「トロフィーってこんなに大きかったんですね!持ちます!」
瀬戸熊「重いし暑いよー!これじゃあ駅に着くまでに汗でビショビショになっちゃうよ(笑)」

決勝当日だが、瀬戸熊さんは昨日と変わらないテンションで、緊張は全くしていない様子だった。当然かもしれないが。
大きい荷物をかかえて、電車に乗り込む。こういう座りたいときに限って、席は空いていない。
電車内を少し歩き、適当な所で瀬戸熊さんは吊革につかまった。自分も荷物を置いて、となりに立つ。
次の駅で、目の前に座っていた人が降りて瀬戸熊さんは座ることが出来た。

三四郎「運が良いですね。」
瀬戸熊「いや、偶然じゃないんだよ。その人の仕草とか動作とかで近いうちに降りそうってわかったりすることもあるんだよ。麻雀だって同じだよ。」

こういう話を聞くたびに、やはり瀬戸熊さんは凄い人だと思い知らされる。
そして会場がある駅に着いた。集合時間より1時間以上早く着いたので喫茶店で休憩する事になった。
瀬戸熊さんはいつも通りアイスコーヒー。僕は遠慮なく少し贅沢なパフェを頼んでしまう。
15分も経った頃である。突然、瀬戸熊さんが口を開いた。

瀬戸熊「ちょっと悪いんだけど、トロフィー持って先に行って、水を2本と、チョコレート買っておいてくれる?お釣りはいいから」

そういって1,000円渡された。

三四郎「瀬戸熊さんはここに残るんですか?」
瀬戸熊「うん。ちょっと今から戦闘モード入るからさ」

と、瀬戸熊さんは少し笑いながら言った。
意味をなんとなく理解した僕は、今日は頑張ってください!と言い残して早々にその場を去った。
それから1時間後、再び会場で会った瀬戸熊さんは、先程までとはまるで雰囲気が変わっていたように思えた。
この戦闘モードを解除させてはいけないと思った自分は、必要以上に話しかけたりしない方が良いかな、と自重する。

1日目が終わって、瀬戸熊さんに言いたい事などあったが、気を散らせてはいけないと思い、僕はメールすらするのを遠慮してしまった。
そして、瀬戸熊さんとあいさつ以外の絡みがないまま、2日目、最終日と大会は過ぎていった。

【十段戦決勝最終日】
表彰式も終わって打ちあげに向かう最中、瀬戸熊さんとやっと話をする機会が巡ってきた。

三四郎「お疲れ様です!おめでとうございます!」
瀬戸熊「ありがとう(笑)」
三四郎「トロフィー持ちますよ!」

戦闘モードは解かれたようで、いつも通りの笑顔の瀬戸熊さんに戻っていた。
飲み会の席でも瀬戸熊さんは元気に話していたが、少し疲れているようだった。
そして飲み会も終わり、僕と瀬戸熊さんは方面も一緒なので同じタクシーに乗って帰ることになった。

瀬戸熊「メールが何十件も来ているのを今から返信するね」

そう言って、瀬戸熊さんは携帯電話を取り出してずっと操作していた。
メールを打つ横顔が、とても幸せそうだったのが印象に残っている。
やがて家の前まで着くと、重いトロフィーを持って瀬戸熊さんは降りていった。

瀬戸熊「じゃあな。お疲れ!」
三四郎「本当にお疲れ様でした!おやすみなさい!」

こうして瀬戸熊さんの長い3日間が終わった。

タクシー内で1人になった自分は、あらためて瀬戸熊さんの優勝を認識した。
僕は1回戦が始まる前から、瀬戸熊さんの優勝しかないと思っていた。
最終戦で追う立場となったが、当たり前のように逆転してくれるんだろうな、と思っていた。
それはおそらく、打っている瀬戸熊さんも同じように感じていたのではないかと思う。
大逆転での優勝ということもあって、打ち上げの席で少しは舞い上がって興奮気味になるのではないかと思ったが、至って冷静だった。
それはやはり優勝して当然と思っていたからかもしれないし、単純に疲れていただけなのかもしれない。
ただ、試合後の落ちついたその姿に、十段位の貫禄を見せつけられた気がした。
来年もまた、トロフィーを持っていっては、持ってかえるだけになるような気がしてたまらなかった。
もし来年自分が決勝に残っれたら、どうやって瀬戸熊さんを倒そうか……そんな妄想をしながら、僕は眠りについていた。

【十段戦から1ヶ月後】
瀬戸熊さんの優勝から1ヶ月経った頃である。インタビューさせて頂くために、瀬戸熊さんを我が家へ招いた。
家には、お出かけ前の母がいたので、写真を撮ってもらった。

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瀬戸熊プロとインタビュアーの大庭三四郎プロ

僕の母と話す瀬戸熊さんは、シャキッとした顔をしていて、また背筋もピンと伸ばされていた。
めずらしく僕は、家族の前で他の人から褒められた。きっと、母の中での僕の評価も上がったに違いない。
母が出かけてしまうと、瀬戸熊さんはいつもの感じに戻っていて、まるで自宅にいるかのようにリラックスしていた。
そして数分くつろいだ後、ようやく本題のインタビューに入った。

~本題~

三四郎「1回戦目、東1局、親番の瀬戸熊さんが先制でテンパイが入りましたが、これをノータイムでリーチしましたね。
ヤミにする方もいると思うので、リーチした理由を聞きたいのですが……」

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瀬戸熊「ヤミにして東でアガれれば12,000点だけど、一万なんかがポロっと出ちゃった場合に3,900しかないんだよね。
まぁ確実にアガリたい手ではあるんだけど、12回戦の開局ということもあって、
自分はこういうスタイルで戦いたいっていう、意思表示も込めてリーチを打ったんだよね」

三四郎「なるほど!そういう事だったんですね!」
瀬戸熊「別にツモって6,000オールを狙っていたわけではなくて、ツモも良かったから、ここで急にヤミテンにするっていうのも違和感があったんでリーチを打ったね」
三四郎「いいですね!そして初日が終わって、大きくリードすることが出来ましたが、気持ち的にはどうでしたか?
このまま突っ走っちゃうおう、っていう感じだったんですか?」
瀬戸熊「今回、連盟の優勝者予想で、7人全員が僕が本命っていう予想だったでしょ。それとか、周りからの期待とかで、実はプレッシャーになってたんだよね。
だから今回は勝つとしても、圧勝したいなって思ってたんだよね」

三四郎「おおー!」
瀬戸熊「見ている側は、接戦のほうが絶対面白いんだけどね。でも、色々な決勝を見て、圧勝する大会にはならないだろうって分かっていたよ。
だから、初日は意外とリードを広げる事が出来たくらいに思っていたよ」

三四郎「そうですか。僕は、圧勝しちゃうんじゃないかと思いました。」
瀬戸熊「でも2日目、色々やらかして混戦になる原因を持ってきちゃったんだよね。実は、内容は接戦でもいいけど、ポイントでは圧勝したいと思っていた。
でも、そうはいかなかったんだけど。初日が終わったときには、最低、優勝争いはできるなって思ったよ」

三四郎「なるほど!」
瀬戸熊「最悪なのが、まぁ余り考えてなかったけど、途中敗退になることだったね。イメージした時に、まさかそれはマズいよねって思っていたし。
それと、最終戦で全然優勝争いじゃ無いのも嫌だったね。ちゃんと最後まで優勝争い出来る立場にはいたいなって思っていた」

三四郎「下馬評の高かった瀬戸熊さんが、途中敗退なんてみんなビックリしちゃいますもんね!」
瀬戸熊「まわりの予想とかは関係なく、強欲なんだけど圧勝したいなっていう気持ちが出過ぎちゃったのかもしれない。
自分の意識の中で留めておけばよかったんだけど、スコア的に圧勝になりかけたんだ、少しあせっちゃったね。
そこがまだまだ自分の課題かなって思ったね」

三四郎「あせったっていうのは?」
瀬戸熊「だからようは、もっとポイント積み重ねて、相手が追えないようにしちゃおうって思っちゃったの。
三四郎にも分かると思うけど、決まらないって散々言ってる『楽になりたいリーチ』っていうやつみたいなね」

三四郎「なるほど、凄くよく分かります」
瀬戸熊「これが決まれば決定打になるっていうのを、勇み足みたいな感じで、若干早めに決めにいっちゃったね」
三四郎「そして3日目に入って、なんか調子が悪いように感じたんですが、どう思われました?」
瀬戸熊「南2局に、やっぱり後がない仁平さんなんかが、こうやってドラ単騎をツモっているのを見ると、なんか自分にちょっと今日も勢い無いかな、と感じたね」

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三四郎「2日目と同様にですか?」
瀬戸熊「いや、2日目は自分でこけた部分もあったんだけど、今日は相当苦しむなって思ったんで、ギリギリまで点棒とポイントを削られるのはしょうがないけど、
もう我慢しきろうと思っていたね。この辺までは」

三四郎「では、瀬戸熊さんの中で決定打となった局を教えて下さい!」

瀬戸熊「決定打はないなぁ、だって最終局までもつれたもんね。でも、しいてあげるなら、東3局、カン四万で2,600をアガったときに、
ちょっと風向きが変わるかなと思ったね」

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三四郎「2,600点ながらも大きいアガりですね。この後の最後の親番で連荘出来たのも、このアガリがあってこそのものということですね」
瀬戸熊「そうだね。そんなところだね」
三四郎「今回の十段戦を振り返って、何か思った事はありますか?」
瀬戸熊「3日間通して思ったのは、周りの4人の十段戦に対する強い想いと執念みたいなのを感じたね。
所属リーグとか段位とか関係なく、4人とも凄く強かったなって素直に思ったね。
ただ僕が勝ったのは、今までに何度かの痛い負けや、凄く苦しい戦いを経験したことが最後に出たのかもしれないね」

三四郎「では最後に、今年もプロ試験には20歳前後の若い人たちが応募してきましたが、
僕も含め、彼ら若い世代の人が今後勝っていくためには、どうすべきだと思いますか?」
瀬戸熊「昔から言ってるんだけど、とにかく20代の時は、稽古稽古で自分の時間を作って、ボロボロになるまで麻雀を打つべきだと思うよ。
僕はそうやってちょっとづつ強くなっていったね」

三四郎「なるほど!参考になります!!今日はありがとうございました!」

インタビューを終え、家を出て瀬戸熊さんと一緒に駅に向かった。
駅に向かう途中も、ずっと会話は絶えなかった。いつもと同じように麻雀の話はほとんどしなかった。
A1リーガーであり、数々のタイトルを獲っている大先輩なのに、自分のような新人をかまってくれる瀬戸熊さんは本当に素敵な先輩である。

瀬戸熊さんは、普通にサラリーマンをして働いていたことだってある。ごく普通な人生を歩んでいたのである。
あいさつの話もそうだが、日常生活をしっかり送ることが、麻雀の上達への第一歩だと自分は解釈している。
だから自分は、これからも瀬戸熊さんの教えを聞き、それを実践して生きていきたいと思う。
10年後に、瀬戸熊さんのようなみんなに慕われる麻雀プロになれることを夢見て、僕は今日も学校に行き、帰りに道場へ行って麻雀を打つのであった。

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(このインタビューは2012年10月現在のものです)

プロ雀士インタビュー/第87回:瀬戸熊 直樹

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第29期十段戦を優勝した瀬戸熊直樹プロ

瀬戸熊直樹プロが第29期十段戦を優勝し、皆が祝福する中で僕はこんな会話を耳にした。
編集者「十段戦優勝者のインタビューの記事を書きたいんですが、誰からインタビューされたいか、希望はありますか?」
瀬戸熊「考えておきます」
この会話を聞いた瞬間僕は感じた。
もしかして、僕が声をかけてもらえるのではないか、と。
それから1週間後、瀬戸熊さんと四ツ谷道場でお仕事をしている時のことだった。奥のほうから瀬戸熊さんに呼ばれた。
瀬戸熊「もしよかったら、インタビューをやってもらえる?」
まさかとは思っていたが、本当に自分に来るとは……。
プロになって2年目の自分が、15年目の、しかもあの元鳳凰位で現十段位の瀬戸熊さんにインタビューするという大役を任されるなんて、とても光栄だと思った。
僕がインタビュアーに、自分が指名された理由は他でもない。
最近、自分が瀬戸熊さんと一緒にいる機会が多いからである。
それは、決して仕事だけというわけではなく、プライベートにおいても一緒にいることが多いという意味である。
仕事の帰りで2人きりの時でも、瀬戸熊さんは僕の質問に答えてくれたり、相談に乗ってくれたりした。
もしかしたら、僕は気づかないうちに日々、瀬戸熊さんにインタビューをしていたのかもしれない……。
そんなわけで、今回のこのインタビューでは、瀬戸熊直樹プロが普段はどういう人なのかを出来る限り伝えていきたいと思う。
【十段戦決勝前日】
僕はその日、千葉にある瀬戸熊さんの御実家まで一緒に行く事になった。
瀬戸熊さんの御父上が、パソコンで十段戦の生放送を見られるようにセッティングしようとしていたのだが、
そこで機械に強い人間が必要になり、僕が選ばれたのであった。
まだ暑さが残る九月の朝の事だった。
瀬戸熊さんの家がある最寄りの駅のホームで待つこと数分、普段あまり見る事の出来ない貴重な私服姿で瀬戸熊さんは現れた。
三四郎「おはようございます!」
瀬戸熊「おはよう。今日もお母さんにちゃんとあいさつしたか?」
三四郎「まぁ、はい」
瀬戸熊さんと知り合って、僕が一番初めにしてもらった話は“あいさつ”の話だった。
『最近の若い子はあいさつが全然できてない。あいさつがチキンと出来るだけで全然印象が違うから、まずはお母さんでいいから朝起きたらおはようって言ってみ。』
その日以来、自分は瀬戸熊さんの教えを守り、あいさつは欠かさないようにしている。
そして僕らは千葉行きの電車に乗り込んだ。たあいの無い話で盛り上がる。
1時間も経った頃だっただろうか、途中の駅で降りてお昼休憩をすることになった。
ここまで一切麻雀の話はしていない。瀬戸熊さんの格好からしてオフである。
明日から長い戦いが始まるので、今日くらいは麻雀を忘れてゆっくりしたいのかもしれない。
といっても、今日の目的自体は麻雀関係なのだが。駅で降りて、近くにあった喫茶店に入った。
瀬戸熊「何か食うか?」
三四郎「じゃあこのサンドイッチを……」
瀬戸熊「飲み物は?」
三四郎「あ、抹茶ラテで……すいません」
喫茶店、ファミレス……、いつも代金は瀬戸熊さんに出してもらっている。
失礼なのは分かっているのだが、最近はサイフを出すフリだってしなくなってしまった。
席についてみると、瀬戸熊さんの机にはアイスコーヒーしか置かれていない。
三四郎「瀬戸熊さんは何も食べないんですか?」
瀬戸熊「今、ダイエット中なんだよね」
三四郎「じゃあ運動もしてるんですか?」
瀬戸熊「そうだね。最近は夜ランニングしたりしてるよ」
やはり3日で12半荘も打つとなると、体力作りも必要になるんだなぁ、と思った。
食事を終え、再び千葉へと電車に揺られること30分。ついに瀬戸熊さんの実家へと到着した。
中へ御邪魔すると、瀬戸熊さんの御父上が出迎えてくれた。とても真面目そうで、尚且つ優しそうな方だった。
さっそく作業に取り掛かる。
瀬戸熊さんはというと、自分がパソコンの作業をしている最中、ご自身の幼少期の頃のアルバムを眺めたり、
僕を残して外に散歩しにいったりと、久々の我が家を満喫している様子だった。
そんな中、一番衝撃的だったのが、瀬戸熊さんがベランダで「にゃーにゃー」言っていたことだった。
僕は、臆病にもその場でその事に触れることは出来なかった。
用事を終わらせ、瀬戸熊さんの実家を後にして、僕らは再び電車に乗り込んだ。僕は恐る恐る先ほどの事を尋ねた。
三四郎「さっきなんかベランダで、“にゃーにゃー”言ってませんでした?」
瀬戸熊「え?ああ、聞いてたんだ(笑)」
三四郎「まぁ……。聞こえちゃったというか……」
瀬戸熊「外にいた猫に話しかけてたんだよね。昔からよく話しかけたりするんだよね」
三四郎「イメージ崩れるんでやめて下さいよ!(笑)」
なんておちゃめな人なんだろうと思った。
あの瀬戸熊さんにも、子供っぽい一面があることを知ることが出来たのは収穫である。
以前より、ずっと接しやすくなっていったように思う。
そして東京に戻ってきた。僕は四ツ谷で用事があったので、そこでお別れとなった。
瀬戸熊「じゃあ明日は現場までトロフィー運ぶの手伝ってな」
三四郎「了解です!」
瀬戸熊「時間とかはメールします。今日はありがとうな。お疲れ!」
三四郎「おつかれさまでした!」
結局その日、麻雀の話は一切しなかった。
そしてついに十段戦決勝の日を迎える。
【十段戦決勝当日】
9月15日。今日は十段戦初日。日本の各地で30℃を超え、過ぎ去ったはずの真夏が返り咲くような天気であった。
僕はトロフィーを受け取るために、瀬戸熊さんの家に向かって歩いていた。
すると、目の前から大荷物を持った人がこちらに向かって歩いてくるのが見えた。
予定が変わったのか、瀬戸熊さんも駅に向かって歩き始めていたらしい。
三四郎「おはようございます!」
瀬戸熊「おはよう」
三四郎「トロフィーってこんなに大きかったんですね!持ちます!」
瀬戸熊「重いし暑いよー!これじゃあ駅に着くまでに汗でビショビショになっちゃうよ(笑)」
決勝当日だが、瀬戸熊さんは昨日と変わらないテンションで、緊張は全くしていない様子だった。当然かもしれないが。
大きい荷物をかかえて、電車に乗り込む。こういう座りたいときに限って、席は空いていない。
電車内を少し歩き、適当な所で瀬戸熊さんは吊革につかまった。自分も荷物を置いて、となりに立つ。
次の駅で、目の前に座っていた人が降りて瀬戸熊さんは座ることが出来た。
三四郎「運が良いですね。」
瀬戸熊「いや、偶然じゃないんだよ。その人の仕草とか動作とかで近いうちに降りそうってわかったりすることもあるんだよ。麻雀だって同じだよ。」
こういう話を聞くたびに、やはり瀬戸熊さんは凄い人だと思い知らされる。
そして会場がある駅に着いた。集合時間より1時間以上早く着いたので喫茶店で休憩する事になった。
瀬戸熊さんはいつも通りアイスコーヒー。僕は遠慮なく少し贅沢なパフェを頼んでしまう。
15分も経った頃である。突然、瀬戸熊さんが口を開いた。
瀬戸熊「ちょっと悪いんだけど、トロフィー持って先に行って、水を2本と、チョコレート買っておいてくれる?お釣りはいいから」
そういって1,000円渡された。
三四郎「瀬戸熊さんはここに残るんですか?」
瀬戸熊「うん。ちょっと今から戦闘モード入るからさ」
と、瀬戸熊さんは少し笑いながら言った。
意味をなんとなく理解した僕は、今日は頑張ってください!と言い残して早々にその場を去った。
それから1時間後、再び会場で会った瀬戸熊さんは、先程までとはまるで雰囲気が変わっていたように思えた。
この戦闘モードを解除させてはいけないと思った自分は、必要以上に話しかけたりしない方が良いかな、と自重する。
1日目が終わって、瀬戸熊さんに言いたい事などあったが、気を散らせてはいけないと思い、僕はメールすらするのを遠慮してしまった。
そして、瀬戸熊さんとあいさつ以外の絡みがないまま、2日目、最終日と大会は過ぎていった。
【十段戦決勝最終日】
表彰式も終わって打ちあげに向かう最中、瀬戸熊さんとやっと話をする機会が巡ってきた。
三四郎「お疲れ様です!おめでとうございます!」
瀬戸熊「ありがとう(笑)」
三四郎「トロフィー持ちますよ!」
戦闘モードは解かれたようで、いつも通りの笑顔の瀬戸熊さんに戻っていた。
飲み会の席でも瀬戸熊さんは元気に話していたが、少し疲れているようだった。
そして飲み会も終わり、僕と瀬戸熊さんは方面も一緒なので同じタクシーに乗って帰ることになった。
瀬戸熊「メールが何十件も来ているのを今から返信するね」
そう言って、瀬戸熊さんは携帯電話を取り出してずっと操作していた。
メールを打つ横顔が、とても幸せそうだったのが印象に残っている。
やがて家の前まで着くと、重いトロフィーを持って瀬戸熊さんは降りていった。
瀬戸熊「じゃあな。お疲れ!」
三四郎「本当にお疲れ様でした!おやすみなさい!」
こうして瀬戸熊さんの長い3日間が終わった。
タクシー内で1人になった自分は、あらためて瀬戸熊さんの優勝を認識した。
僕は1回戦が始まる前から、瀬戸熊さんの優勝しかないと思っていた。
最終戦で追う立場となったが、当たり前のように逆転してくれるんだろうな、と思っていた。
それはおそらく、打っている瀬戸熊さんも同じように感じていたのではないかと思う。
大逆転での優勝ということもあって、打ち上げの席で少しは舞い上がって興奮気味になるのではないかと思ったが、至って冷静だった。
それはやはり優勝して当然と思っていたからかもしれないし、単純に疲れていただけなのかもしれない。
ただ、試合後の落ちついたその姿に、十段位の貫禄を見せつけられた気がした。
来年もまた、トロフィーを持っていっては、持ってかえるだけになるような気がしてたまらなかった。
もし来年自分が決勝に残っれたら、どうやって瀬戸熊さんを倒そうか……そんな妄想をしながら、僕は眠りについていた。
【十段戦から1ヶ月後】
瀬戸熊さんの優勝から1ヶ月経った頃である。インタビューさせて頂くために、瀬戸熊さんを我が家へ招いた。
家には、お出かけ前の母がいたので、写真を撮ってもらった。

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瀬戸熊プロとインタビュアーの大庭三四郎プロ

僕の母と話す瀬戸熊さんは、シャキッとした顔をしていて、また背筋もピンと伸ばされていた。
めずらしく僕は、家族の前で他の人から褒められた。きっと、母の中での僕の評価も上がったに違いない。
母が出かけてしまうと、瀬戸熊さんはいつもの感じに戻っていて、まるで自宅にいるかのようにリラックスしていた。
そして数分くつろいだ後、ようやく本題のインタビューに入った。
~本題~
三四郎「1回戦目、東1局、親番の瀬戸熊さんが先制でテンパイが入りましたが、これをノータイムでリーチしましたね。
ヤミにする方もいると思うので、リーチした理由を聞きたいのですが……」
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瀬戸熊「ヤミにして東でアガれれば12,000点だけど、一万なんかがポロっと出ちゃった場合に3,900しかないんだよね。
まぁ確実にアガリたい手ではあるんだけど、12回戦の開局ということもあって、
自分はこういうスタイルで戦いたいっていう、意思表示も込めてリーチを打ったんだよね」

三四郎「なるほど!そういう事だったんですね!」
瀬戸熊「別にツモって6,000オールを狙っていたわけではなくて、ツモも良かったから、ここで急にヤミテンにするっていうのも違和感があったんでリーチを打ったね」
三四郎「いいですね!そして初日が終わって、大きくリードすることが出来ましたが、気持ち的にはどうでしたか?
このまま突っ走っちゃうおう、っていう感じだったんですか?」
瀬戸熊「今回、連盟の優勝者予想で、7人全員が僕が本命っていう予想だったでしょ。それとか、周りからの期待とかで、実はプレッシャーになってたんだよね。
だから今回は勝つとしても、圧勝したいなって思ってたんだよね」

三四郎「おおー!」
瀬戸熊「見ている側は、接戦のほうが絶対面白いんだけどね。でも、色々な決勝を見て、圧勝する大会にはならないだろうって分かっていたよ。
だから、初日は意外とリードを広げる事が出来たくらいに思っていたよ」

三四郎「そうですか。僕は、圧勝しちゃうんじゃないかと思いました。」
瀬戸熊「でも2日目、色々やらかして混戦になる原因を持ってきちゃったんだよね。実は、内容は接戦でもいいけど、ポイントでは圧勝したいと思っていた。
でも、そうはいかなかったんだけど。初日が終わったときには、最低、優勝争いはできるなって思ったよ」

三四郎「なるほど!」
瀬戸熊「最悪なのが、まぁ余り考えてなかったけど、途中敗退になることだったね。イメージした時に、まさかそれはマズいよねって思っていたし。
それと、最終戦で全然優勝争いじゃ無いのも嫌だったね。ちゃんと最後まで優勝争い出来る立場にはいたいなって思っていた」

三四郎「下馬評の高かった瀬戸熊さんが、途中敗退なんてみんなビックリしちゃいますもんね!」
瀬戸熊「まわりの予想とかは関係なく、強欲なんだけど圧勝したいなっていう気持ちが出過ぎちゃったのかもしれない。
自分の意識の中で留めておけばよかったんだけど、スコア的に圧勝になりかけたんだ、少しあせっちゃったね。
そこがまだまだ自分の課題かなって思ったね」

三四郎「あせったっていうのは?」
瀬戸熊「だからようは、もっとポイント積み重ねて、相手が追えないようにしちゃおうって思っちゃったの。
三四郎にも分かると思うけど、決まらないって散々言ってる『楽になりたいリーチ』っていうやつみたいなね」

三四郎「なるほど、凄くよく分かります」
瀬戸熊「これが決まれば決定打になるっていうのを、勇み足みたいな感じで、若干早めに決めにいっちゃったね」
三四郎「そして3日目に入って、なんか調子が悪いように感じたんですが、どう思われました?」
瀬戸熊「南2局に、やっぱり後がない仁平さんなんかが、こうやってドラ単騎をツモっているのを見ると、なんか自分にちょっと今日も勢い無いかな、と感じたね」
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三四郎「2日目と同様にですか?」
瀬戸熊「いや、2日目は自分でこけた部分もあったんだけど、今日は相当苦しむなって思ったんで、ギリギリまで点棒とポイントを削られるのはしょうがないけど、
もう我慢しきろうと思っていたね。この辺までは」

三四郎「では、瀬戸熊さんの中で決定打となった局を教えて下さい!」
瀬戸熊「決定打はないなぁ、だって最終局までもつれたもんね。でも、しいてあげるなら、東3局、カン四万で2,600をアガったときに、
ちょっと風向きが変わるかなと思ったね」

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三四郎「2,600点ながらも大きいアガりですね。この後の最後の親番で連荘出来たのも、このアガリがあってこそのものということですね」
瀬戸熊「そうだね。そんなところだね」
三四郎「今回の十段戦を振り返って、何か思った事はありますか?」
瀬戸熊「3日間通して思ったのは、周りの4人の十段戦に対する強い想いと執念みたいなのを感じたね。
所属リーグとか段位とか関係なく、4人とも凄く強かったなって素直に思ったね。
ただ僕が勝ったのは、今までに何度かの痛い負けや、凄く苦しい戦いを経験したことが最後に出たのかもしれないね」

三四郎「では最後に、今年もプロ試験には20歳前後の若い人たちが応募してきましたが、
僕も含め、彼ら若い世代の人が今後勝っていくためには、どうすべきだと思いますか?」
瀬戸熊「昔から言ってるんだけど、とにかく20代の時は、稽古稽古で自分の時間を作って、ボロボロになるまで麻雀を打つべきだと思うよ。
僕はそうやってちょっとづつ強くなっていったね」

三四郎「なるほど!参考になります!!今日はありがとうございました!」
インタビューを終え、家を出て瀬戸熊さんと一緒に駅に向かった。
駅に向かう途中も、ずっと会話は絶えなかった。いつもと同じように麻雀の話はほとんどしなかった。
A1リーガーであり、数々のタイトルを獲っている大先輩なのに、自分のような新人をかまってくれる瀬戸熊さんは本当に素敵な先輩である。
瀬戸熊さんは、普通にサラリーマンをして働いていたことだってある。ごく普通な人生を歩んでいたのである。
あいさつの話もそうだが、日常生活をしっかり送ることが、麻雀の上達への第一歩だと自分は解釈している。
だから自分は、これからも瀬戸熊さんの教えを聞き、それを実践して生きていきたいと思う。
10年後に、瀬戸熊さんのようなみんなに慕われる麻雀プロになれることを夢見て、僕は今日も学校に行き、帰りに道場へ行って麻雀を打つのであった。

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(このインタビューは2012年10月現在のものです)

『借力』

鳳凰戦の予選は40回戦。12名の中から上位3名が挑戦権を得ます。
そして、決定戦は20回戦となります。
今日と明日の2日間がその総決算、泣いても笑ってもそれですべてが決します。

選手の思いは皆同じで、自分のすべてを出し切ること。これに尽きます。不完全燃焼では悔いが残るからです。
全部出しきって、それで負けたらしょうがない。そこには運の要素もあるし、勝負のアヤもある。
しかし、敗者は負けの因をそのせいにしてはならない。すべては自分の能力と思うことが大事です。
そしてまた鍛錬に励み、次のチャンスを待つ。これができるのが一流の打ち手の、条件といえます。

しかしこの年の決定戦、望月雅継は不調だったといえるでしょう。
手が入らないしアガリも単発で、後が思うように続かない。
満を持して臨んだ11回戦でしたが、1人沈みのラスを引く。

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やることなすこと暖簾に腕押し、ヌカに釘です。
彼の実力はこんなものではない。それはボクも知っているし、瀬戸熊も右田も承知しています。
ボクが望月に持つ印象は、麻雀に対する姿勢が純真あること、そして雀風がパワフル。
純真さとパワフル…これも一流の打ち手には大事な要素です。

11回戦終了時
荒+56.8P  右田+45.8P  瀬戸熊▲7.8P  望月▲92.8P

その望月が、今までのうっ憤を晴らしたのが次の12回戦。
瀬戸熊が親で連荘して好調でしたが、その親で満貫を引いてまず逆転。

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次が親番で、泣く子も黙る6,000オール。

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連盟のAルール(一発・裏無し)でも打点が高いのが、望月の持ち味です。
こんなアガリをされたら、誰だって…(そりゃあニャーだろう)と云いたくなります。
そしてダメ押しの止めがこれです。

hououi_03_08_04_smpwidth290_ktaiwidth240

今度は4,000オールで、これが望月のパワーなのです。
こうした流れで戦い抜くコツは、頭を低くし好調の望月にけっして逆らわないことです。
嵐が過ぎるまで、家の中でじっと我慢です。それが賢明。

願いは、身近なライバルが勇気もって戦ってくれるのを祈ります。そして勢いの差で、たぶん彼に討たれる。これが、よこしまなボクの考え。
いくら望月がツモアガろうと、出ない限りボクと、瀬戸熊、右田との点差は詰まらないからです。これも戦いの兵法でしょう。

しかし、残念ながらそんなことは皆、百も承知ですから誰も出ていきませんでした。
ここで勇気を出す打ち手は、A1の椅子には座れない。なぜなら、それは勇気ではなく一見、勇気に見える無謀に他ならないからです。
結果、この半チャンの結末は次の通り。

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ボクはこの後、粘って幸運にも浮きに回ることができました。これで十分です。
近かった右田とは点差が開き、マークしていた瀬戸熊とは、約90Pの差となっています。
麻雀は自分の力だけに頼らず、状況に応じて相手の運量を見極め、その反動を利用することが大事。

これが相手の力を借りる、借力です。

この半荘、ボクには理想の展開だったといえます。
一方、望月は失点を大きく減らし名前の通り…次に望みを継いだといえるでしょう。
しかし、どちらにせよ勝負はまだ途中経過、油断は禁物です。

12回戦終了時
荒+61.6P  右田+18.7P  瀬戸熊▲34.9P  望月 ▲43.4P

そして13回戦のサプライズ。
それは、ボクが南2局の親のときです。この時点でボクの持ち点は27,500。
一方の瀬戸熊は、38,400。右田は32,000で、望月が22,100。
望月はやっぱり不調。前回あれだけのトップを掴み取ったにかかわらず、今度はラス目。普通の流れなら2、3連勝と続くものです。
瀬戸熊からすれば、トップ走者のボクを沈めてトップを決める絶好のチャンスです。そうすれば一気に点差が詰まる。

瀬戸熊の8巡目の仕掛けが、自風の西を鳴いてこう。

牌の背牌の背牌の背牌の背牌の背牌の背牌の背 ポン一万 上向き一万 上向き一万 左向き ポン西西西

そして、瀬戸熊の河がこう。

七索 上向き四索 上向き東北七筒 上向き五索 上向き
九筒 上向き三万 上向き

ボクには、ホンイチのテンパイに見える。この時、ボクの手がこうである。

六万七万八万一索三索五索六索九索九索四筒四筒南南

親で四筒がドラだから、ただ指を食えて見ているわけにはいかない。
取りあえず、上家の右田から出た七索に食いを入れてみた。遠い仕掛けは覚悟の上です。
いわばアガキ、よく言えば粘りです。

この食いを誰がどう見るか、それは分らない。
ただ、ボクの両面鳴きは相当の手が入っている証拠と、瀬戸熊は見ることは確かです。
ドラドラか、ドラ3のクイタンです。すると、このチーで下りてきたのが二万白南の3牌なのです。
そして手牌がこう。

二万六万七万八万四筒四筒南南南白 チー七索 左向き五索 上向き六索 上向き

白で当たると満貫、トイトイが付くと跳満まであるから打つ気はありませんでした。
でも、二万なら一度は勝負するつもりです。

すると、瀬戸熊から一瞬の間があって、手出しの八万が出てきました。謎です。
どうも…怪しい。手が決まっているなら、手出しはないのが普通です。となれば、ノーテンの場合もあり得る。
単純な手変わりなら危険なのは四万七万か、ボクはそう考えます。そしてボクの次のツモがドラの四筒。で、二万を勝負します。

六万七万八万四筒四筒四筒南南南白 チー七索 左向き五索 上向き六索 上向き

もちろん、この手がアガれるとは思ってもいない。流局で御の字です。
ところが、最後の打牌で瀬戸熊から一瞬の間があって、なんと白がツモ切られたのでした。
間があるのが妙で、これも謎です。

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ボクは、ただア然です。これがサプライズ。
この時ボクは、瀬戸熊の精気が消えていくのを感じました。
しかしサプライズは、連動したのです。
八万白の謎の検証は、次回となります。(以下次号に続く)

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鳳凰の部屋/『借力』

鳳凰戦の予選は40回戦。12名の中から上位3名が挑戦権を得ます。
そして、決定戦は20回戦となります。
今日と明日の2日間がその総決算、泣いても笑ってもそれですべてが決します。
選手の思いは皆同じで、自分のすべてを出し切ること。これに尽きます。不完全燃焼では悔いが残るからです。
全部出しきって、それで負けたらしょうがない。そこには運の要素もあるし、勝負のアヤもある。
しかし、敗者は負けの因をそのせいにしてはならない。すべては自分の能力と思うことが大事です。
そしてまた鍛錬に励み、次のチャンスを待つ。これができるのが一流の打ち手の、条件といえます。
しかしこの年の決定戦、望月雅継は不調だったといえるでしょう。
手が入らないしアガリも単発で、後が思うように続かない。
満を持して臨んだ11回戦でしたが、1人沈みのラスを引く。
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やることなすこと暖簾に腕押し、ヌカに釘です。
彼の実力はこんなものではない。それはボクも知っているし、瀬戸熊も右田も承知しています。
ボクが望月に持つ印象は、麻雀に対する姿勢が純真あること、そして雀風がパワフル。
純真さとパワフル…これも一流の打ち手には大事な要素です。
11回戦終了時
荒+56.8P  右田+45.8P  瀬戸熊▲7.8P  望月▲92.8P
その望月が、今までのうっ憤を晴らしたのが次の12回戦。
瀬戸熊が親で連荘して好調でしたが、その親で満貫を引いてまず逆転。
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次が親番で、泣く子も黙る6,000オール。
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連盟のAルール(一発・裏無し)でも打点が高いのが、望月の持ち味です。
こんなアガリをされたら、誰だって…(そりゃあニャーだろう)と云いたくなります。
そしてダメ押しの止めがこれです。
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今度は4,000オールで、これが望月のパワーなのです。
こうした流れで戦い抜くコツは、頭を低くし好調の望月にけっして逆らわないことです。
嵐が過ぎるまで、家の中でじっと我慢です。それが賢明。
願いは、身近なライバルが勇気もって戦ってくれるのを祈ります。そして勢いの差で、たぶん彼に討たれる。これが、よこしまなボクの考え。
いくら望月がツモアガろうと、出ない限りボクと、瀬戸熊、右田との点差は詰まらないからです。これも戦いの兵法でしょう。
しかし、残念ながらそんなことは皆、百も承知ですから誰も出ていきませんでした。
ここで勇気を出す打ち手は、A1の椅子には座れない。なぜなら、それは勇気ではなく一見、勇気に見える無謀に他ならないからです。
結果、この半チャンの結末は次の通り。
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ボクはこの後、粘って幸運にも浮きに回ることができました。これで十分です。
近かった右田とは点差が開き、マークしていた瀬戸熊とは、約90Pの差となっています。
麻雀は自分の力だけに頼らず、状況に応じて相手の運量を見極め、その反動を利用することが大事。
これが相手の力を借りる、借力です。
この半荘、ボクには理想の展開だったといえます。
一方、望月は失点を大きく減らし名前の通り…次に望みを継いだといえるでしょう。
しかし、どちらにせよ勝負はまだ途中経過、油断は禁物です。
12回戦終了時
荒+61.6P  右田+18.7P  瀬戸熊▲34.9P  望月 ▲43.4P
そして13回戦のサプライズ。
それは、ボクが南2局の親のときです。この時点でボクの持ち点は27,500。
一方の瀬戸熊は、38,400。右田は32,000で、望月が22,100。
望月はやっぱり不調。前回あれだけのトップを掴み取ったにかかわらず、今度はラス目。普通の流れなら2、3連勝と続くものです。
瀬戸熊からすれば、トップ走者のボクを沈めてトップを決める絶好のチャンスです。そうすれば一気に点差が詰まる。
瀬戸熊の8巡目の仕掛けが、自風の西を鳴いてこう。
牌の背牌の背牌の背牌の背牌の背牌の背牌の背 ポン一万 上向き一万 上向き一万 左向き ポン西西西
そして、瀬戸熊の河がこう。
七索 上向き四索 上向き東北七筒 上向き五索 上向き
九筒 上向き三万 上向き
ボクには、ホンイチのテンパイに見える。この時、ボクの手がこうである。
六万七万八万一索三索五索六索九索九索四筒四筒南南
親で四筒がドラだから、ただ指を食えて見ているわけにはいかない。
取りあえず、上家の右田から出た七索に食いを入れてみた。遠い仕掛けは覚悟の上です。
いわばアガキ、よく言えば粘りです。
この食いを誰がどう見るか、それは分らない。
ただ、ボクの両面鳴きは相当の手が入っている証拠と、瀬戸熊は見ることは確かです。
ドラドラか、ドラ3のクイタンです。すると、このチーで下りてきたのが二万白南の3牌なのです。
そして手牌がこう。
二万六万七万八万四筒四筒南南南白 チー七索 左向き五索 上向き六索 上向き
白で当たると満貫、トイトイが付くと跳満まであるから打つ気はありませんでした。
でも、二万なら一度は勝負するつもりです。
すると、瀬戸熊から一瞬の間があって、手出しの八万が出てきました。謎です。
どうも…怪しい。手が決まっているなら、手出しはないのが普通です。となれば、ノーテンの場合もあり得る。
単純な手変わりなら危険なのは四万七万か、ボクはそう考えます。そしてボクの次のツモがドラの四筒。で、二万を勝負します。
六万七万八万四筒四筒四筒南南南白 チー七索 左向き五索 上向き六索 上向き
もちろん、この手がアガれるとは思ってもいない。流局で御の字です。
ところが、最後の打牌で瀬戸熊から一瞬の間があって、なんと白がツモ切られたのでした。
間があるのが妙で、これも謎です。
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ボクは、ただア然です。これがサプライズ。
この時ボクは、瀬戸熊の精気が消えていくのを感じました。
しかしサプライズは、連動したのです。
八万白の謎の検証は、次回となります。(以下次号に続く)
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第20期 Aリーグ 後期第1節レポート

後期となり点数も気持ちもいったんリセット。
良い出だしを切ったのは高橋、粕谷、佐藤、渡部の4人が横一線。
前期1、2、3位の東、遠藤、皆川は揃って原点付近とまあまあか。
ここから抜き出てくるのは一体誰になるのであろうか。 

順位 名前 後期 1 節 後期 2 節 後期 3 節 後期 4 節 後期 5 節 後期 合計
1 高橋 清隆 42.9 42.9
2 粕谷 勇吉 41.6 41.6
3 佐藤 大介 41.6 41.6
4 渡部 稔 38.7 38.7
5 青木 武 25.4 25.4
6 泉 亮多 24.1 24.1
7 藤本 修二 11.1 11.1
8 杜 麻沙也 5.9 5.9
9 皆川 直毅 2.7 2.7
10 東 幸一郎 0 0
11 遠藤 昭太 ▲ 2.4 ▲ 2.4
12 吉田 勝弥 ▲ 14.8 ▲ 14.8
13 今 貴聡 ▲ 18.0 ▲ 18.0
14 工藤 宏紀 ▲ 18.1 ▲ 18.1
15 菅原 直哉 ▲ 22.5 ▲ 22.5
16 齋藤 大介 ▲ 47.5 ▲ 47.5
17 国丸 仁哉 ▲ 50 ▲ 50.0
18 大里 奈美 ▲ 50.9 ▲ 50.9
19 平田 孝章 ▲ 61.8 ▲ 61.8

東北プロリーグ レポート/第20期 Aリーグ 後期第1節レポート

後期となり点数も気持ちもいったんリセット。
良い出だしを切ったのは高橋、粕谷、佐藤、渡部の4人が横一線。
前期1、2、3位の東、遠藤、皆川は揃って原点付近とまあまあか。
ここから抜き出てくるのは一体誰になるのであろうか。 

順位 名前 後期 1 節 後期 2 節 後期 3 節 後期 4 節 後期 5 節 後期 合計
1 高橋 清隆 42.9 42.9
2 粕谷 勇吉 41.6 41.6
3 佐藤 大介 41.6 41.6
4 渡部 稔 38.7 38.7
5 青木 武 25.4 25.4
6 泉 亮多 24.1 24.1
7 藤本 修二 11.1 11.1
8 杜 麻沙也 5.9 5.9
9 皆川 直毅 2.7 2.7
10 東 幸一郎 0 0
11 遠藤 昭太 ▲ 2.4 ▲ 2.4
12 吉田 勝弥 ▲ 14.8 ▲ 14.8
13 今 貴聡 ▲ 18.0 ▲ 18.0
14 工藤 宏紀 ▲ 18.1 ▲ 18.1
15 菅原 直哉 ▲ 22.5 ▲ 22.5
16 齋藤 大介 ▲ 47.5 ▲ 47.5
17 国丸 仁哉 ▲ 50 ▲ 50.0
18 大里 奈美 ▲ 50.9 ▲ 50.9
19 平田 孝章 ▲ 61.8 ▲ 61.8

第7期 北陸リーグ 第2節成績表

順位 名前 プロ/ アマ 1 節 2 節 3 節 4 節 5 節 合計
1 小泉 陽平 アマ 5.9 61 66.9
2 越井 信也 アマ 30 27.4 57.4
3 森田 有一 アマ 24.2 12 36.2
4 松原 健志 プロ 0.8 24 24.8
5 光岡 大幸 アマ 37.7 ▲ 18.3 19.4
6 高村 和人 アマ 0 15.4 15.4
7 後藤 正博 プロ ▲ 22.5 26.5 4
8 木戸 僚之 プロ ▲ 27.0 29.5 2.5
9 森田 繁基 アマ 22.9 ▲ 26.3 ▲ 3.4
10 本田 朋広 プロ ▲ 39.1 29.8 ▲ 9.3
11 濱平 光朗 プロ 24.5 ▲ 34.7 ▲ 10.2
12 窪田 一彦 アマ ▲ 4.7 ▲ 13.3 ▲ 18.0
13 北川 光 アマ 15.4 ▲ 55.6 ▲ 40.2
14 谷口 真吾 アマ ▲ 69.1 ▲ 35.2 ▲ 104.3

決定戦進出ライン:順位枠内に表示

北陸リーグ 成績表/第7期 北陸リーグ 第2節成績表

順位 名前 プロ/ アマ 1 節 2 節 3 節 4 節 5 節 合計
1 小泉 陽平 アマ 5.9 61 66.9
2 越井 信也 アマ 30 27.4 57.4
3 森田 有一 アマ 24.2 12 36.2
4 松原 健志 プロ 0.8 24 24.8
5 光岡 大幸 アマ 37.7 ▲ 18.3 19.4
6 高村 和人 アマ 0 15.4 15.4
7 後藤 正博 プロ ▲ 22.5 26.5 4
8 木戸 僚之 プロ ▲ 27.0 29.5 2.5
9 森田 繁基 アマ 22.9 ▲ 26.3 ▲ 3.4
10 本田 朋広 プロ ▲ 39.1 29.8 ▲ 9.3
11 濱平 光朗 プロ 24.5 ▲ 34.7 ▲ 10.2
12 窪田 一彦 アマ ▲ 4.7 ▲ 13.3 ▲ 18.0
13 北川 光 アマ 15.4 ▲ 55.6 ▲ 40.2
14 谷口 真吾 アマ ▲ 69.1 ▲ 35.2 ▲ 104.3

決定戦進出ライン:順位枠内に表示

第10期プロクイーン決定戦 優勝は安田麻里菜!!

優勝:安田麻里菜
準優勝:清水香織 第3位:和久津 晶 第4位:室伏理麻 第5位:豊後葵(協会)

開催概要 ・ベスト16レポートベスト8レポート初日観戦記最終日観戦記

連盟インフォメーション/第10期プロクイーン決定戦 優勝は安田麻里菜!!

優勝:安田麻里菜
準優勝:清水香織 第3位:和久津 晶 第4位:室伏理麻 第5位:豊後葵(協会)

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