第39期 A2リーグ 第10節B卓レポート

古橋崇志、渾身の特大トップ!

12月13日、第39期鳳凰戦A2リーグ第10節B卓が放送された。
対局者は明石定家、ダンプ大橋、山田浩之、古橋崇志。

 

 

 

最終節の卓組が決まる大事な10節。4位以内に入っておきたいダンプ、山田を捕まえたい古橋・明石という卓となった。

 

★1回戦

古橋が幸先よくピンフドラドラのリーチ。仕掛けていた明石はトイツ落としで迂回するも、ドラの西を重ねてのアガリに。

 

 

東3局2本場には、道中1シャンテンとらずとした明石がフリテンの高目をツモり、タンヤオピンフツモ三色の4,000オール。

 

 

前節に続き独特な打ちまわしが形にハマった明石が、大きな1人浮きに。

明石  +32.2P
ダンプ ▲2.9P
山田  ▲6.2P
古橋  ▲23.1P

 

★2回戦

東1局、明石がリャンペーコードラドラのヤミテン。仕掛けた山田が白を暗カンするも、リンシャンから当たり牌を掘り起こし12,000の直撃。
 

 

瞬間、明石が山田・古橋をかわして降級圏を脱出するアガリに。一方、前節の2回戦以来アガリの無い古橋も東3局にツモピンフドラ1の慎重な700・1,300で加点すると、親番でブレイク。
山田との2軒リーチを制して3,900をアガリ、2本場でツモイーペーコードラの3,900オール!

 

 

古橋がトップを獲得し、残留争いは非常に僅差の戦いに。

古橋  +23.1P
ダンプ +11.7P
明石  +2.0P
山田  ▲36.8P

 

★3回戦

ここまで苦しい山田。東4局には明石のダブ東ポンにぶつけてタンヤオドラ3のリーチも、1人テンパイでの流局。南2局にはメンホンドラドラ・東西待ちのリーチをかけるが、ここも実らずアガリは明石。

 

 

3メンチャンを拒否してカン三万待ちに受け、ツモタンヤオ三色の2,000・3,900。
南4局には親番の明石がタンヤオピンフドラ1のリーチ。残留を決定づけるかというチャンスも、ドラ暗刻のダンプが追いつき2軒リーチに。ここは手詰まりした山田から発が選ばれ、ダンプのアガリ。

 

 

山田としては連続の1人沈みになる痛恨の8,000放銃となった。

明石  +6.1P
古橋  +7.8P
ダンプ +5.5P
山田  ▲29.4P

 

★4回戦

東2局、古橋に西北待ちのメンホン。山田からのアガリとなり、残留ラインが目前に。

 

 

この後の古橋の親番が落ちない。ダブ東の4,800、發ドラドラの2,000オール、ダブ東・發の7,700、リーチドラ1の3,900で持ち点7万点を越え、7本場でダメ押しの4,000オール!

 

 

南場の親番でも役ホンイツの2,600オールをアガリ、約9万点の特大トップを獲得した。

古橋  +71.5P
ダンプ ▲14.5P
山田  ▲21.4P
明石  ▲35.6P

4回戦終了時のトータルポイントは画像の通り。

 

 

 

4回戦特大トップの古橋が+79.3Pの卓内トップで、残留へ向け大きく前進。一方山田が▲93.8Pと大きく後退し、最終節は追いかける立場となった。
次回A22リーグの放送は12月19日(月)。

対局者は高橋良介、白鳥翔、客野直、内川幸太郎。
解説は一井慎也。次回も是非お楽しみに!

(文・浜野太陽)

第39期 A1リーグ 最終節C卓レポート

【第39期鳳凰戦A1リーグ最終節A卓 一井慎也と藤崎智の残留が確定】

本日の対局者は
9位 藤崎智 ▲64.5P
10位 一井慎也 ▲79.9P
11位 黒沢咲 ▲110.1P
12位 近藤久春 ▲193.3P

卓内上位2名に残れた者はA1残留が確定する。

 

 

【1回戦】

開局から近藤の大物手が炸裂。
純チャンドラドラのペン三索リーチをツモって6,000オール。

 

 

東2局。今度は黒沢がドラ暗刻のカン六万ツモで4,300オール。

 

 

オーラスには南ドラドラを一井からロン。

1回戦は黒沢、近藤、一井、藤崎の並びで終了。
黒沢が藤崎を100点上回って卓内最上位の9位まで浮上する。

 

【2回戦】

親番一井のリーチに藤崎が追っかけリーチで対抗するが、高めのダブ東を掴んで親満の放銃。

この瞬間、藤崎は降級圏の11位に足を踏み入れた。

 

 

一井は1本場も終局間際にドラの四万をツモって55,000点に。

一井がトップ目で藤崎がラス目なのは黒沢にとっても良い展開だったが、近藤の親リーチを受けてドラが出て行くテンパイ。

 

 

1シャンテン戻しの九万とするも、どちらもロン牌の形で7,700は8,000の放銃。

オーラスは黒沢と親番藤崎の2軒リーチとなり、黒沢がツモアガリでラス抜け。
一井も沈みの2着となり、ポイント差がぐっと縮まった。

 

 

2回戦は近藤の1人浮き。
一井、黒沢、藤崎の並びで終了。

 

【3回戦】

3回戦の勝負局は南2局2本場。
藤崎がドラ3枚使いのテンパイ。五万八万待ちを選択してリーチ。

近藤も三索四索待ちで追っかけリーチに出るが

 

 

アガったのはカン三索をツモった一井。
本場と供託を合わせて10,600点の収入となった。

3回戦は一井が1人浮きのトップ。
藤崎、近藤、黒沢の並びで終了。

 

【最終 4回戦】

 

 

3回戦を終えて一井はかなりの安全圏に。
10位藤崎と11位黒沢は8.6ポイント差。
近藤は藤崎と44.4ポイント差。実現可能な範囲ではあるが、近藤は藤崎と黒沢を両方かわさなくてはならない。

東1局。藤崎が六筒九筒待ちで先制リーチ。

近藤も国士無双1シャンテン、全面対決の構えだったが

 

 

またもアガったのは一井。
藤崎は5,800(+1,000)の放銃となり、この瞬間黒沢が残留圏に。

一刻も早く加点したい黒沢は一筒四筒待ちリーチを打つが

 

 

藤崎が三索六索追っかけリーチを打ち、2,600は3,200(+1,000)の直撃で再逆転。

東3局には藤崎がツモリ四暗刻、一索五索待ち。

一索は山に2枚ともあり、役満への期待も高まるが

 

 

結果は一井から五索ロンで跳満に。
役満にはならずとも残留を大きく手繰り寄せるアガリ。

南2局3本場。
黒沢がメンホン七対子北単騎をアガって何とか浮きに回るが

 

 

南3局の黒沢の親番は藤崎が全力で流してオーラスへ。

 

 

現状は一井・藤崎が残留。
親番は近藤で連荘必須。
黒沢は倍満ツモ条件(リーチ棒で条件が緩和される可能性あり)。

近藤が連荘するが、1本場に一井がアガって残留を確定させた。

 

 

以上の結果により、一井と藤崎の残留が確定、黒沢と近藤の降級もほぼ確定となった。

 

 

近藤「(藤崎に流局で)あれ開けられた時は、止められたのわかってイラっと来ました(笑)。今期は手が入った時は放銃が続いて下手な麻雀を見せてしまい、応援してくれた方にはとても申し訳ないですけど、来期またA2でやり直します。」

近藤がイラっと来て藤崎ファンが歓喜した二索ビタ止め2人テンパイの局はこちら。

 

 

 

黒沢「正直今日がどうこうではなくこれまでが酷かったので。牌は来ていたので私の中で完璧に打てれば残れたと思いますが、力及ばすという感じでした。明日からまた精一杯戦いたいと思います。」

 

 

藤崎「第6節から本当に苦しい半年でした。(最終節1回戦という)大事な所でノー和了のラスでドキドキしましたが、もう1年A1に居られるのでギリギリの戦いで頑張って行きたいです。」

 

 

一井「今日の3回戦は(麻雀牌に)助けられたという感じでした。終わるまで残留の確信はなかったですが、A2昇級の時よりも嬉しいです。ここで残れたらやっとA1リーガーになれると思ってやっていたので、来期は自信を持てるように仕上げて戦いたいです。」

次回A1リーグ最終節B卓は
2022/12/14(水) 16:00

西川淳
古川孝次
杉浦勘介
勝又健志

解説 佐々木寿人
実況 古橋崇志
ナビゲーター 阿久津翔太

(文・吾妻さおり)

第47期王位戦決勝レポート

【伝統ある第47期王位に就いたのは“強引グ・マイウェイ”石井良樹!杜の都に新たな歴史を刻む!!】

残暑の名残も遠退き、秋めいてきた街並みもすっかり哀愁漂う姿となった晩秋の頃。長い歴史を持つ王位戦決勝戦が今年も無事に開催された。

■システム
一発裏ドラ無し
日本プロ麻雀連盟公式ルール5回戦
■決勝進出者
石井良樹×蒼山秀佑×小野塚永遠×佐月麻理子(日本プロ麻雀協会)

 

 

解説:佐々木寿人・魚谷侑未
実況:吉井優
立会人:藤原隆弘

 

 

開始から僅か四半時、月日の流れにあやかるように卓上の光景も移ろっていった。

 

 

手牌ではなく点数テロップの方に注目して頂きたい。開局から怒涛の6連続のアガリにより石井が1人大きく抜け出している状況である。

 

 

昨今では地方にも熱い視線が注がれており、王位戦・マスターズ準優勝の菊田政俊をはじめ、今年の日本オープン覇者の皆川直毅といった選手らが在籍している東北本部がその代表の1つに挙がる。もともとは東京で活動していたがその拠点を東北へと移した石井。キャッチフレーズは“強引グ・マイウェイ”であり、その名の通り“強引に我が道を往く”攻めの特色が強く出たスタートとなった。

そんな火山のような幕開けとなった今期の決勝戦、噴火する石井を最初に鎮火させたのは昨年度の王位戦準優勝の蒼山である。

 

 

東1局6本場
西家・蒼山
七万七万七万八万八万三索三索五索六索七索三筒三筒三筒 ツモ八万 ドラ四筒

南1局
西家・蒼山
一万一万六筒六筒九筒九筒九筒西西西 ポン二筒 ロン一万 ドラ六筒

2年連続ファイナリストとなった蒼山は繋ぎの捌き手に定評があり、それが大連荘となって返ってくる“マグマ打法”が持ち味である。自身の十八番を石井に奪われる入りとはなったが、昨年度の思いを胸に石井の1人浮きを阻止した。

 

 

うってかわって2回戦は下位2名が先行する展開へ。
まずはプロ3年目の小野塚が親番にて蒼山より5,800の出アガリで存在を示す。

東2局
東家・小野塚
六万六万四索五索六索二筒四筒五筒六筒七筒 ポン二索 ロン三筒 ドラ六万

 

 

昨年度はデビュー1年目ながら王位戦を制した渡辺史哉の活躍が記憶に新しいが、小野塚もジャイアントキリングの再現を狙っているだろう。

そして小野塚に負けじと次に続いたのは、日本プロ麻雀協会所属の佐月であった。
東3局、親の石井がこの局も打点十分ながら“強引に”リーチと攻めの姿勢を貫いている。

一索三索四索五索六索七索八索九索七筒八筒九筒東東 リーチ ドラ八索

これに対して佐月も跳満級の手牌を武器に応戦すると、石井からこれ以上のない高め12,000の直撃に成功した。

 

 

 

第26期麻雀マスターズを獲得している佐月は、今回の王位戦を優勝した場合、史上初女流による日本プロ麻雀連盟G1オープンタイトル戦制覇という歴史的快挙となる。解説席からも『気持ちの強い選手』、『発想力が豊か』等という高い評価のお墨付きだ。

1回戦
東4局1本場
東家・佐月
一万三万五万六索九索九索八筒八筒西西白発中 ドラ四筒

少し局面が戻ってしまうが何気ないこちらの手格好も佐月の手に掛かれば
一索一索三索四索西西西  ツモ五索  ポン九索  チー五索六索七索  ドラ四筒

と変幻自在である。
一発裏ドラ有りと比べると鳴きが有効な日本プロ麻雀連盟公式ルール。相手にプレッシャーを掛けながらも、その特性を活かした仕掛けやアガリが多く見られた。

2回戦オーラスは蒼山の高め九蓮宝燈の手を封じるドラ単騎で待ち構えていた佐月。

 

 

 

スピードや形よりも打点に重きを置く事に価値のあるルール。つまりドラは勝つ為にはシンプルで且つ効率の良い手段の1つであるのだ。

佐月のトップにより三つ巴の様相となった3回戦、今度は蒼山がそのドラを活かして石井に迫る。

東1局1本場
西家・蒼山
五万六万七万六索七索四筒四筒六筒七筒八筒 ポン西 ロン八索 ドラ西

ドラである自風の西を揃え、リーチを掛けていた小野塚から7,700の加点。石井の背中を捉えるアガリとなった。

一方で打点作りは何もドラだけが頼りという訳ではない。忘れてならないのが“テンパネ”である。

東2局
西家・石井
四万五万六万九万九万九万六索八索三筒四筒五筒南南 リーチ ツモ七索 ドラ五筒

石井がドラ1の愚形残りでリーチに踏み切ると七索を引き寄せリーチ・ツモ・ドラ1は“テンパネ”して1,300・2,600のツモアガリを見せた。これは出現頻度の高い点数計算で、子とは6,500、親とは7,800の差が付き全員とほぼ子の満貫分のリードを築けるお手頃ゾーンである。

そして最後に打点作りの王道は何と言っても手役だろう。

 

 

4回戦の開局、蒼山が3番手の佐月より発・ホンイツの8,000を決めて石井との一騎打ちに持ち込んだ。

その後はお互い譲らずのせめぎ合いが続いたが

 

 

オーラスに石井が蒼山からの直撃で逆転トップを掴み取ると

最終5回戦
東2局
西家・石井

二万二万二索二索六索六索八索九索九索六筒六筒東東 ツモ八索 ドラ八索

最終戦には七対子・ドラ2を手繰り寄せ、蒼山に役満級の条件を押し付けた。

そして予選から長い戦いであった王位戦もオーラスへ。
一番条件の軽い蒼山でさえ倍満直撃or役満ツモであったが最後まで見せ場が訪れる。

 

 

蒼山が最後に“マグマ”を噴火させるべく国士無双テンパイ。

しかし石井が“強引に”火口を封じて流局を迎えさせた。

 

 

その瞬間、新王位が誕生した。
第47期王位は石井良樹。最後まで攻めの姿勢である“強引グ・マイウェイ”を貫き、東北の地に新たな歴史を刻みました。

 

 

■第47期王位
石井良樹

▪️準優勝
蒼山秀佑
▪️3位
佐月麻理子(日本プロ麻雀協会)
▪️4位
小野塚永遠

 

 

石井良樹
『東北の仲間、地方で頑張っているプロ、そして支えて頂いた周りの方々のおかげでこの舞台に立てる事ができています。本当にありがとうございました。』

(文:小林正和)

第39期 A2リーグ 第10節A卓レポート

最終節は10節終えての順位によって卓組が決まり、

A卓(12月26日)10・12・14・16位
B卓(12月27日)9・11・13・15位
C卓(1月5日)5・6・7・8位
D卓(1月6日)1・2・3・4位

いかに有利な後半の卓にポイントを持って入るかが10節での思考になります。

 

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2位スタートの猿川は最終節D卓で有利に戦えるようにポイントを伸ばしたいところ。
同卓の三者の第一目標が残留となりそうなポイント状況ということもあり、猿川得意の積極的な動きで有利に展開していくかと思いきや

 

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序盤は柴田の仕掛けとダマテンでの局進行に、思うように攻撃が決まらず

 

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不意に入った中ドラ3の12,000に捕まり、失点を重ねて苦しいスタートとなります。

アガリが1,000点2回だけでトータル4位まで落ち、最終節D卓も危うくなったところで

 

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息を吹き返した猿川。

 

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リーチドラの手に嶺上開花もついて、親満二連発で一気に蘇りました。

その後、拮抗して進んだ勝負は4回戦で動き出し

 

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井出の一気通貫

 

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柴田のホンイツに捕まった三浦が大きく沈み

 

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完全に復活した猿川が親番で二度のツモアガリを決めて卓内トップでトータルも首位に浮上。
柴田はミッションクリアといえるトータルプラスの7位。
井出と三浦は入り替わり、別卓の結果が気になる10,11位で第10節を終えました。

 

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<第10節A卓最終結果>
猿川+16.0P 井出+11.0P 柴田▲2.7P 三浦▲24.3P
(文:越野智紀)

第39期 A2リーグ 第9節D卓レポート

明石が残留へ望みを繋ぐ!

12月6日(火)、第39期鳳凰戦A2リーグ第9節D卓が放送された。対局者は紺野真太郎、高橋良介、明石定家、井出康平。

 

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残留ラインの高橋・井出の争いに暫定最下位の明石が割って入れるか。紺野は少し余裕のあるポジションではあるが、大きな失点は避けていきたいところだ。

 

★1回戦
東1局、親番の明石にチートイツドラドラの白単騎。いきなり迎えたチャンスは、高橋のメンタンピンに引き勝っての4,000オールで決着。

 

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このリードを保ったまま迎えたオーラスは、4着目の高橋がピンフドラ1のヤミテン。トータルポイント僅差の井出を沈め、自身は3着へ浮上する値千金のアガリとなった。

 

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明石 +25.4
井出 ▲2.3
高橋 ▲8.8
紺野 ▲14.3

 

★2回戦

東1局、親の紺野が3巡目リーチをかけるも、井出が現物待ちのピンフイーペーコードラ3で追いつき、3,000・6,000のツモアガリ。

 

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初戦トップながらまだまだビハインドの明石。南2局の親番では高目イッツーのテンパイを入れる。2人の仕掛けが入る中ではあったが我慢強くヤミテンに構え、高目で2,600オール。

 

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この後もドラをツモっての2,000オールをアガり、井出に続いて2着につけた。

井出 +21.4
明石 +14.0
紺野 +2.8
高橋 ▲38.2

 

★3回戦

ここまで2着→トップと好調の明石がまたしても感触あるアガリ。南1局、2副露したホンイツの5,200を紺野から。

 

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リードして迎えた南3局1本場、またしても意表を突くアガリ!

 

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ピンフドラドラのヤミテン・5,800を紺野から。これがトップへの決め手となるアガリとなった。

明石 +18.5
高橋 +5.1
井出 ▲4.1
紺野 ▲19.5

 

★4回戦

1〜2飜のアガリが続き、平たい点数状況のまま南3局へ。均衡を崩すアガリを決めたのは紺野。
三色ドラドラ確定のリャンメンテンパイは、明石からのアガリ。明石としては浮き→沈みとなる痛恨の放銃となった。

 

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オーラスは親番の井出が2,000のアガリで連荘。浮きを目指すが、1本場で再び紺野の大物手。

 

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3副露のダブ南トイトイは2着目・高橋からの出アガリとなり、一人浮きのトップを決めた。

紺野 +27.5
高橋 ▲5.2
明石 ▲8.3
井出 ▲14.0

4回戦終了時点のトータルポイントは画像の通り。

 

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明石が+49.6Pの卓内トップで、残留に望みを繋ぐ結果となった。

(文・浜野太陽)

第39期 A2リーグ 第9節C卓レポート

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首位を走る瀬戸熊に5,6,7位の白鳥・ダンプ・柴田がどこまで迫れるかがポイントとなったC卓でしたが

 

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トップを走る瀬戸熊に1回戦から大物手。
八万のポンテンを取らず、三万暗カンで七筒を引き入れてのツモリ四暗刻のリーチ

 

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白鳥から中が出て12,000のアガって抜け出すと

 

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親番で追加点を決め会心のスタートを切りました。

2回戦以降苦しくなった追走組の反撃が始まり

 

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昇級への突破口を開くべく攻撃的な麻雀でダンプが差を詰めることに成功。

 

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3回戦を終えて1人沈みの状況に陥った白鳥は、1%しか残っていなくともその細い道は逃さないと抵抗。

 

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まずは確実に残留しようと手堅い路線に切り替えた柴田は速攻。

三者それぞれの思惑が絡み合い、次節へと繋ぎました。

 

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<第9節C卓最終結果>
ダンプ+37.4P 瀬戸熊+1.4P 柴田▲9.6P 白鳥▲29.2P
(文:越野智紀)

第39期 B1リーグSelect 後期第4節レポート

【第39期鳳凰戦 B1リーグSelect 後期第4節 前原が+54.9Pで昇級圏の2位をキープ】

本日の対局者は
1位 滝沢和典 +112.1P
2位 前原雄大 +101.8P
8位 福光聖雄 +4.5P
9位 蛯原朗 ▲1.9P

 

 

3回戦を終えて昇級争いの滝沢とほぼ並びだった前原。
4回戦東1局2本場にドラの六索ツモから始まり

 

 

次局は南白ドラドラの満貫。

親番を迎えた前原は
2,600オール
3,200オールは3,300オール
3,900オールは4,100オール
5局連続のアガリで+46.3Pの大トップ。

 

 

+54.9Pの大きくポイントを伸ばしたが、別卓の伊藤優孝が+109.4Pを叩いたため2位キープ。伊藤と前原、一期生コンビが存分に強さを見せつける節となった。

 

 

蛯原は1回戦オーラスの親番でドラの四万単騎でリーチ。3,900オールツモで1回戦トップを取る。

 

 

 

3回戦には満貫をツモって浮きの2着を取るが、要所で前原の大物手につかまってしまい、
▲11.0Pの8位となった。

 

 

滝沢は1回戦オーラス、16,100持ちラス目。福光の先制リーチを受けるが

 

 

タンヤオ七対子六索単騎で追っかけリーチを打ち6,400は6,700(+1,000)でラス抜け。

2回戦には前原の親リーチが入るが

 

 

絶好のペン三万引きで確定三色五筒八筒待ち。
7,700(+1,000)の直撃で2回戦トップ。

2度のカウンターは綺麗に決まったが▲17.7Pで3位に。伊藤・前原には差をつけられてしまったが、最終節にどちらかをかわして昇級を狙いたい。

 

 

福光は1回戦南1局に満貫をアガるが、オーラス滝沢への七対子六索放銃で2着。

 

 

2回戦にも満貫ツモ。オーラス親番で蛯原を捲りたい所で

 

 

前原の8,000に放銃してしまい、沈みの3着に。

あと1アガリが遠く▲26.2Pの10位となった。

 

 

 

(文・吾妻さおり)

第252回:プロ雀士インタビュー 石井 良樹  インタビュアー:増田 隆一

【石井と麻雀、私との出会い】

もう10年以上前の話。
私と石井の出会いは当時プロテストの最終審査的な位置付けであった「研修会」だった。
瀬戸熊と私で担当していた班の研修生であった石井は、当時から判断が早く迷いのない打牌を繰り返していたのが思い出される。

そこから少し時が経ち、ふらっと立ち寄ったとある雀荘で再会すると、自宅が近所であることが判明。
そこからは講師と研修生ではなく、1人の飲み友達としての付き合いが始まった。

時は20数年前に遡り、石井と麻雀の出会いは少年時代だと言う。
スポーツ全般が得意で、将来は芸能人を夢見る少年だった石井は、体育の時や休み時間、常にクラスの中心にいたそうだ。

「今で言うといわゆる陽キャですね(笑)」

では、そんな石井がなぜ麻雀にのめり込むことになったのか?

「家に帰ると父親が麻雀ゲームをやっていて興味持ったんですよね」

興味は持ったものの、卓球選手として中学時代山形県優勝、高校時代山形県準優勝のレベルであり、練習もハードで、あくまでたまの息抜きに麻雀ゲームをする生活。

「実は地元の釣り大会でも優勝経験があり、卓球、釣り、最後に趣味で麻雀と言う位置付けでした」

では何をきっかけにプロの道を志すことになったのだろう?

「高校3年生の時に、プロ雀士に興味を持った人が出てきて、それをきっかけに自分も意識するようになりました」

部活を引退し、ぽっかりと空いてしまった心の隙間と時間。
小学校からの夢である芸能人も、具体的に何か話がある訳でもなく、かと言って他に何かやりたいことがある訳でもない。とにかく何かしなければと言う焦りに近い気持ちが石井を動かす。

「とにかく動いてみようと言うことで東京行きを決めました。水道関係の会社に就職も決まり、後は上京して芸能人になるのか麻雀プロになるのかやってみようと」

正直、俳優でも芸人でも歌手でも麻雀プロでも有名になれれば何でも良かったそうだ。

「ビッグになりたい」

若い時だからこそ出来る、計画性のない無鉄砲な行動。
ただ、動かなければ何も始まらないのも事実。
少しの勇気が石井を後押しし、プロ連盟の門を叩くことになる。

しかし、この時点で石井はまだ何者でもない。

 

【夢半ばで帰郷へ】

東京での生活にも馴染み、結婚。そして嫁との間に第一子を授かる。

「実家の両親から、子供もできたことだし、そろそろ戻ってきて家業を継いで欲しいと言われたんですよね」

結果、東京での生活に終わりを告げて実家の会社に勤めることになるのだが、麻雀プロを続けることにかなりの葛藤があったと言う。

「芸能人はもう諦めてましたけど、麻雀プロは諦めたくなかった。でも実家に帰ればチャンスも減って、出られる試合も限られてくるし、(麻雀プロを)続けるか悩みましたね…中途半端なまま続けていいものかと…」

話は飛ぶが、先日の王位戦決勝、実家の会社は営業日にも関わらず快く休暇をくれたと言う。
石井の晴れ舞台を応援するため、家族総出で仕事をカバーしてくれたらしい。

そして優勝が決まった時には、「明日もゆっくり休め」と改めて休暇をもらった。
このような家族の協力があったからこそ王位戴冠に繋がる。

と、ここまで見ると常に家族の協力の下で石井がプロ活動を続けて来たと思うだろうが、実は王位戦まではむしろ麻雀プロとしての活動を反対されていたらしい。
タイトル戦は勝てば次のステージへ進む戦いなので、勝てば勝つほど日程が埋まって行く。
プロとしては喜ばしい話である反面、他に仕事を持っている人間からしたらたまったものではない。勝てば勝つほど仕事を休まなくてはならないのだ。

石井の勤め先は、父親が代表とは言え会社組織である。従業員も抱えて周囲の目もあり、更にまだ何者でもない石井のプロ活動は社内でも趣味的に見られており、試合で休暇を取ることを快くは思われていなかったのだと言う。

また、石井は2児の父でもある。子供たちの楽しみは、休日に父親と外出すること。タイトル戦での活躍はすなわち休日が潰れることであり、家族団らんの時間が減ることを意味する。会社同様、家庭内でも麻雀の試合に参加することは快く思われていなかった。

「(今期)マスターズのベスト16に残った時に、父親が“もう1回勝てば放送対局だったのか、惜しかったな“と家族の中で初めてプロ活動に肯定的な声を掛けてくれました」

家族や会社の中で少しだけ“空気”が変わった瞬間であった。
ところが続く十段戦は、決勝までかなりの日程を要する長丁場と言うこともあり、参加の許可が降りなかったそうだ。

「インターネット麻雀選手権でもベスト16まで残ったことで、趣味的ではなく、プロとしてキチンと頑張っていると理解してくれたのか、“天翔位のシードは1年だろ?折角のチャンスだから行ってこい“と、王位戦は初めて快く送り出してもらえました」

そして王位戴冠。

「今は、“王位になって1年間色々とチャンスがあるのだろ?仕事は何とかするから気にせずに、精一杯やってこい“と、会社では父親が、そして家庭では妻が先頭に立って応援してくれています」

よくよく聞いてみると家族や会社の協力は、石井が実績を見せ付け、自らの手で掴み取った物だった。

「何か決め手があって麻雀プロを続けることにした訳ではありませんが、4時間くらいかけて移動し、試合に臨む以上は負けられない気持ちが今までよりもっと強くなりました。こうして結果も出せたので、今となっては実家に帰って良かったのかもしれませんね。妻も王位戦がきっかけで、麻雀に興味を持ってくれましたし」

何が幸いするか分からないが、石井にとって実家に帰ったことは間違いなくプラスになったに違いない。

 

【人への気遣い】

ここで1つ、石井の人柄が見えるエピソードを紹介したい。
実は私も東北リーグへ出場させてもらっている。
きっかけは地方チャンピオンシップで東京へ来ていた石井との飲みの席であった。

「オレ、結婚して実家に帰り東京のリーグ戦出れないんですけど、本当は東京でがんばって昇級して増田さんとリーグ戦やりたいんですよ」

正直、私も酔っていた。

「じゃあ東北リーグ出るか」

酔った勢いの軽い気持ちの言葉だったが、その週が明けた頃には本部長まで話が通っており、私の東北リーグ参加が決まっていた。
全ては石井の段取りである。

私が東北リーグに参加するにあたり、往復の交通費が約¥25,000、状況次第で宿泊となれば更に¥10,000くらい、移動時間が約4時間の負担となる。
私に金銭的、時間的に負担を掛けていることを石井も分かっており、前乗りすれば車を出して送り迎えしてくれたり、地元の名産品を送ってくれたりと色々良くしてくれた。

 

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翌日の東北リーグは対戦。石井は早速、有志からのお祝いのネクタイを着用
今回も真っ先に連絡が。

「優勝インタビュー、東北の若手に頼もうかと思ったんですが、まずは増田さんがやってくれるかどうか聞くのが筋だと思い、連絡しました」

“強引ぐマイウェイ”

麻雀は強引にでも我が道を行くスタイルだが、実生活においては実に気配りの人である。

 

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左から石井、増田
スマホで王位戦の動画を見ながら確認中
【東北への想い】

山形県へ帰郷したことで、東京本部から東北本部へと移籍となった。
移籍した当初、周りは後輩の方が多く、そんな後輩達が活躍して行く。

「波奈(美里)さんが新人王を取って、武藤(武)東北本部長がマスターズ準優勝、菊田(政俊)君が入会してすぐ天翔位取ってマスターズ準優勝、王位戦準優勝と活躍しました。東北に移籍してすぐのことだったので、まだ(東北本部に)馴染めていなかった時期ですね」

後輩の活躍に対して、焦りや悔しさを持つ選手も多いだろうが、石井の心中はどうだったのだろうか?

「不思議と悔しいとかはなくて、単純にスゲーって気持ちでしたね(笑)。東北に活気が出てきた時期だったので、天翔位を取れば自分も変われるかも?と前向きな気持ちを持たせてもらいました」

まだ何者でもない自分が、東北本部所属選手から刺激を受けることで、何者かになれるかもしれない。
中途半端な気持ちでなんとなく麻雀プロを続けたが、そんな自分も変われるかもしれない。

「そしてこの盛り上がりの中で、皆川(直毅)さんが日本オープンを勝って、それが自分のことのように嬉しくて。菊田くんや波奈さんからは刺激をもらったし、櫻井(勇馬)や小熊(良衡)、佐々木(俊哉)も若獅子戦で上位まで残って嬉しかったです」

東北地方は実に広い。東京在住の私が、東北リーグへ参加する際の移動時間は2時間弱。これに対して同じ東北地方にも関わらず、石井は約3時間かかる。
石井にとって仙台の地は遠く、移籍をした当初は実感も薄く部外者感も強かったのではないか?

それが今や、お互いが刺激し合い、仲間の活躍を祝い合う。
こうしてインタビュー会場にたくさんの人達が駆け付けてくれたことこそ、今や石井が東北本部に欠かせない仲間として認められた何よりの証拠だろう。

「これだけみんなの活躍が嬉しいってことは、本当の意味で東北本部の一員になれたんだなと思っています」

そして石井は「天翔位を取れば何か変わるかも?」の気持ち通り、2度目の天翔位戴冠によりシードを獲得し、そのまま王位戴冠。

少しずつ石井の人生が動き始めた。

 

【王位戦の話】

さて、そろそろ麻雀の話に移ろうと思うが、ここからは集まってくれた若手に任せることにする。
10年以上の付き合いで、私は石井の麻雀を知っているし、それなりに理解もしており、今更新しいことを聞き出せるとは思えないからだ。

なので、若手に投げたのは決して手抜きではない。
以下が参加してくれた東北本部所属プロ。岡崎は本人ではなくお祝いのお花が代理で参加している。

 

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左手前から時計回りに、櫻井、石井、菊田、星乃、小栗、波奈
有志から石井にプレゼントが送られた
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左手前から時計回りに、皆川、鈴木、津藤、菅原、石井
石井に様々な声が掛かり和気あいあいと麻雀談義
武藤武(本部長) 18期生 第26期麻雀マスターズ準優勝

皆川直毅 20期生 第18期日本オープン優勝/第1・7期東北王座優勝(東北プロアマ)

菊田政俊 32期生 第26.27.29期天翔位/第44期王位戦準優勝、第28期麻雀マスターズ準優勝

菅原直哉 28期生 第26期新人王戦準優勝 常に打っていると言われるほど、龍龍の打半荘数で有名。

波奈美里 30期生 第29期新人王 東京のプロリーグ、女流桜花にも参戦し選手としても活躍中だが、裏方としても東北の麻雀普及に力を入れるアイディアウーマン。

櫻井勇馬 35期生 第29・30期天翔位決勝進出、若獅子戦でも2期連続でベスト8進出。東北の若手随一の実績を誇り、東京のプロリーグにも意欲的に参戦。

小栗隆成 37期生 若獅子戦など東京のタイトル戦にも出場する意欲的で東北期待の若手。プロアマリーグ「帝社戦」では運営のサポートなど、内部運営もこなす。

星乃あみ 37期生 来期より東北Aリーグに昇級。波奈と共に女性向け麻雀サークル「麻雀女子会」を主宰するなど、東北で女性に対する麻雀普及活動にも力を入れる。

鈴木勝也 36期生 東北Bリーグでは圧倒的な力を見せつけて、来期より東北Aリーグに昇級。休みにも関わらず、私と石井のことをホテルまで車で迎えに来てくれたいい男。集計システムの管理など、裏方としても活躍。

加藤勇飛 38期生 新人ながら東北代表を勝ち取り、WRCリーグトーナメントに参戦(2次まで勝ち進むも敗退)。私と石井のために、一緒に30分近くかけてタクシーを探してくれたいい男。

 

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氷点下の寒さの中、タクシーまで送ってくれた加藤と1枚
津藤孝幸 36期生 アマチュア時代、プロアマリーグで優勝し、鳴り物入りで入会した実力者。

岡崎圭吾 36期生 当日は参加できなかったものの、「せっかく写真撮るのに殺風景にならないように」とお祝いのお花を送ってくれた優しい男。

 

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お祝いのお花と共に、嬉しそうな石井
(※順不同)

 

文字数もあり、全ての局面を書くわけにはいかないので、特に話が盛り上がった局面を抜粋したいと思う。
まずは準決勝のオーラス。アガリ続けなくてはならない局面だ。

 

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「ピンフ高め三色のリーチが流局した時に、もうダメかもしれないと感じました。蒼山プロのテンパイ気配をほぼ毎局感じて、とにかく早いテンパイを取って先制しないといけないっていう気持ちでしかありませんでした」

見ていても常に紙一重。いつ蒼山からロンやツモの発声があり終局してもおかしくない綱渡りが続く中、石井の5,800は7,000(4本場)が決まり、勝ち上がりのポイントに届く。

そして5本場。奈良(圭純)からこのリーチ。

 

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奈良からリーチ棒が出たので、ノーテンで伏せられるものの、1,300・2,600ツモか3,900直撃で石井は敗退となる局面。
放銃は即敗退だが、黙っていてもツモなら敗退、対してこの手をアガればほぼ勝ちが決まる葛藤。

 

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石井の決断はオリ。

「蒼山プロの四筒2枚落としでオリたと判断し、ノーテンでの終局狙いという判断になりました」

実際はすでに奈良の欲しい一筒は山になかったのだが、見事な決断となり決勝進出を決めた。

そして決勝戦。

「とにかくツイてましたね(笑)。自分の中で決めていたのは“貫こう“と言うことです。東北本部の仲間にもいつも通り攻めるって宣言したんで(笑)」

4回戦オーラスが話題になった。状況は蒼山が5,800は6,700(3本場)で石井を逆転し、2人テンパイを経た5本場。

蒼山からリーチが入る。

 

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蒼山に多少加点を許しても最終戦はほぼ並び勝負となり、決定打にはならないが、12,000クラスを放銃してしまうと石井もこの回沈みになりかなり厳しくなる。オリを選択して“保留“する者も多そうな局面だ。

「4回戦は3本場で、蒼山プロ5,800は6,700で逆転されて、4本場は逆転が現実的なポイントなので逆転を狙いましたが、それも厳しいので形式テンパイを取って、次局こそ決めようと思っていたところ親の蒼山プロの先制リーチが入り、ポイント状況的にもう自分しかこの親を止めることができないと判断し、なおかつ(この回のトップ)逆転の可能性がある場面だったので勝負所と判断し、リーチで真っ向勝負にいきました」

 

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これが功を制し、蒼山から直撃を召し取りトップも逆転。ここで優勝を意識したという。

「勝負所で迂回の牌を選んだらもうこの先勝負できなくなる気がしました。だから気持ちを強く持ち続けるために自分を奮起させ、目一杯の牌で押し、勝負することを決めていました」

何切る問題になっている局も同じ気持ちで勝負したそうだ。

“一貫性”

言うは易く行うは難し。“攻める”気持ちはあれども、ポイントやリーチや仕掛け、信念を曲げたくなる局面は多々あった。その中で、“最後まで信念を貫いた”石井に皆から感嘆の声が掛けられていたことを記しておきたい。

 

【そして何者かに…】

現在、石井の元に、テレビ局や新聞社から取材が入っていると言う。

「今の段階で4社から取材を受けました。まあ、あまりニュースもない田舎なんで(笑)」

と、石井は謙遜して見せるが、これも石井が自らの手で掴み取った物。

10数年前、ただただ有名になりたい。そんな若者特有の青臭い想いを抱いて上京した石井は、何者にもなれず夢半ばで帰郷した。
その時は叶わなかった夢が、今叶いつつある。

当時、何者でもなかった石井は今、麻雀プロ、現王位石井良樹として、マスコミから取材を受ける存在にまでなった。
今後1年間、現王位として、取材や放送対局の登場、各タイトル戦のシードなど、まだまだ輝ける舞台は数多く用意されている。
また、そこで輝きを見せれば、再び同じ舞台に立つことも出来るし、更なる高い舞台も用意されることだろう。

石井良樹の物語はまだ始まったばかり。今後の活躍にも注目したい。
最後にインタビュアーの立場ではなく、1人の友人として…

本当に嬉しかったよ!おめでとう!

 

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第39期 A1リーグ 第12節C卓レポート

【第39期鳳凰戦 A1リーグ第12節C卓 古川が四暗刻ツモで降級圏脱出 前田がトータル首位に】

本日の対局者は
1位 HIRO柴田 +147.9P
2位 前田直哉 +121.1P
8位 黒沢咲 ▲47.2P
11位 古川孝次 ▲91.5P

 

 

開局500オールをツモったH柴田が、1本場でも四筒七筒待ちで先制リーチ。

 

 

これを受けた古川がホンイツテンパイ。
ロン牌が出ていかない三筒四筒五筒待ちの高めツモリ四暗刻に受けると

五筒ツモで役満のアガリ。

一撃で降級圏を脱出する。

 

 

南場には西南トイトイでさらに満貫の加点。

+75.7Pを叩いた古川は7位に浮上。残留をほぼ手中に収めた。

 

 

ここまで▲1.4Pの前田は3回戦オーラス、ドラの五筒三筒のシャンポン待ちでドラをツモれてラス回避。

 

 

4回戦東2局には南中ホンイツトイトイ。

 

 

南2局にはツモメンホン七対子と2回の跳満ツモで1人浮きトップに。

+32.5Pの前田はついにトータル首位に浮上。少し余裕があるポイントで最終節を迎えられる。

 

 

一方、四暗刻親被りで苦しい立ち上がりとなったH柴田。

 

 

東3局に高めの六万ツモで跳満を決めるも、1回戦のラスは回避出来ず。

4回戦もラス目で南3局まで来てしまうが、黒沢のテンパイ打牌で

 

 

白ホンイツトイトイ。ラス回避に成功した。

ずっと首位を走り続けたH柴田だが、今節▲45.3Pで終えての3位。決定戦争いは最終節まで持ち越された。

 

 

黒沢は2回戦南3局の親番、ドラドラの手牌で仮テンパイの八筒単騎に取ると、その瞬間に前田からリーチが入る。

八筒にアタリを感じたのか、意を決して追っかけリーチ。勝負勘は素晴らしいが結果は

 

 

五筒を掴んで7,700(+1,000)の放銃となってしまう。

3回戦にタンヤオピンフのヤミテンから高め234変化を待ってのリーチ。

 

 

高めの二索で跳満ツモ。
ようやく黒沢らしい綺麗なアガリが見られ3回戦はトップを取れたが、大きなマイナスは埋め切れず。

▲62.9Pでトータル11位。最終節はプラス必須のポジションとなった。

 

 

 

次回A1リーグ最終節A卓は
2022/12/7(水) 16:00

9位 藤崎智
10位 一井慎也
11位 黒沢咲
12位 近藤久春

解説 瀬戸熊直樹
実況 古橋崇志
ナビゲーター 齋藤豪

 

 

(文・吾妻さおり)

第47期王位戦準決勝レポート

【第47期 王位戦準決勝 蒼山秀佑 小野塚永遠 佐月麻理子 石井良樹が決勝進出】

王位戦準決勝は、現王位渡辺史哉と予選を勝ち上がった15名によって行われた。

 

【準決勝システム】

①連盟公式ルールで総当たり5回戦を行い、上位8名が6回戦に進出
②6回戦A卓は2・3・6・7位
③6回戦B卓は1・4・5・8位
④上位4名が決勝進出

1〜5回戦は4卓同時開催。毎回A卓を生放送する。

 

【1回戦】

 

石井良樹
白鳥翔
奈良圭純
蒼山秀佑

解説 阿久津翔太
実況 松田彩花

昨年準優勝の蒼山が一通確定のカン二万ツモでリードすると

 

 

ドラ暗刻のリーチを石井からロンでさらに加点。

1回戦は蒼山、白鳥、石井、奈良の並びで終了。

 

【2回戦】

 

佐月麻理子(協会)
山地義昌(一般)
内川幸太郎
白鳥翔

2回戦はリーチツモドラドラ、親番佐月の4,000オールでスタート。

 

 

一般の山地さんも2回高打点を決めるが、佐月が1人浮きトップ。

 

 

2回戦は佐月、白鳥、山地、内川の並びで終了。

 

【3回戦】

 

清原継光
佐月麻理子(協会)
森下剛任
奈良圭純

開局に奈良が国士無双北待ちテンパイを入れるが

 

 

形式テンパイを取った清原がハイテイドラドラ、2,000オールのアガリ。

勝負手をアガれなかった奈良だが、東4局の親番でトイトイ三暗刻の4,100オールを決め

 

 

南場には白南ホンイツのアガリ。

3回戦は奈良、佐月、森下、清原の並びで終了。

 

【4回戦】

 

内川幸太郎
小野塚永遠
奈良圭純
藤島健二郎

東4局2本場、供託4,000点の状況で小野塚がハイテイで満貫ツモ。

 

 

4回戦は小野塚、奈良、内川、藤島の並びで終了。

 

【5回戦】

 

森下剛任
白鳥翔
渡辺史哉
小野塚永遠

解説 柴田吉和
実況 吉井優

南3局。現王位の渡辺が三色確定のカン八索待ち。

白鳥も4フーロでドラ単騎に漕ぎつける。

 

 

しかしドラをツモったのは小野塚。満貫のアガリで大トップ。

5回戦は小野塚、白鳥、森下、渡辺の並びで終了。

 

 

5回戦終了時、上位8名がポイント持ち越しで6回戦進出。6回戦はA卓B卓ともに放送卓となり、上位4名が決勝進出。

 

【6回戦(プレイオフ)A卓】

 

②佐月麻理子+56.5P
③小野塚永遠+52.5P
⑥清原継光+27.8P
⑦石立岳大+12.4P

A卓は佐月が7,700のアガリ。小野塚が2,600オールとポイント上位者が先行。

 

 

清原が南3局の親番で2,100オールのアガリを決めるが、A卓3位でB卓の結果待ちとなった。

 

 

【6回戦(プレイオフ)B卓】

 

①蒼山秀佑+66.3P
⑤石井良樹+35.4P
⑥奈良圭純+35.2P
⑦福田大志+5.9P

東4局1本場。福田が中白ホンイツを石井から直撃。

 

 

蒼山はほぼ確定。奈良、福田、石井の三つ巴でオーラスへ。
条件はこの卓で2位に、かつ清原の+44.4Pを超えなければならない。

 

 

3本場に、奈良が高め345の二索五索待ちリーチ。
しかし唯一ロン出来ない石井から五索が打たれてしまい、石井のアガリで連荘。

4本場に石井が5,800は7,000を福田からアガって条件達成。

 

 

以上で全対局が終了。

第47期王位戦決勝は
2022/11/27(日) 13:00

蒼山秀佑
小野塚永遠
佐月麻理子(協会)
石井良樹

解説 佐々木寿人・魚谷侑未
実況 吉井優

 

 

(文・吾妻さおり)

麻雀日本シリーズ2022プレーオフ4~6回戦対局レポート

2022年12月17日土曜日、麻雀日本シリーズ2022のプレーオフ4.5.6回戦が行われた。
5回戦終了時上位1名が決勝へ。6回戦終了時の上位1名が決勝へ進むことができる。

 

 

プレーオフ4回戦

 

瀬戸熊直樹、河野高志、荒正義、前田直哉

本日の最初の対局、先日最強位を連覇した瀬戸熊に注目が行く中、前田が親でホンイツ小三元の6,000オールをアガリ、次に望みを繋ぐ大きなトップに。

 

 

瀬戸熊 +6.3P
河野 ▲12.4P
荒 ▲30.0P
前田 +36.1P

 

プレーオフ5回戦

 

鈴木優、竹内元太、二階堂瑠美、小林剛

Mリーガー3名と、最高位を取った竹内の攻防は、小林が持ち前の仕掛けや手数の多さが上手く行きトップに。
鈴木はオーラスにトップまであと少しと迫るが、チームメイトのリーダー小林にトップを譲るも、ポイント上位1位で終了したため、決勝進出が決まった。

 

 

鈴木 +17.6P
竹内 ▲32.4P
瑠美 ▲16.0P
小林 +30.8P

 

プレーオフ6回戦

 

瀬戸熊直樹、小林剛、竹内元太、前田直哉

6回戦はこの中でトータルポイント1位のみが決勝へ進むことが出来る。
瀬戸熊は+66.6Pで他3名と約40ポイントほど差があるため、3名は瀬戸熊のポイントを上回ることを目標とし対局が始まった。

南3局に竹内が瀬戸熊と同じポイントに並び、オーラスにトータルトップ目に立つ。
他3名が現実的な条件のなか、前田が満貫を一発でツモり逆転トップとなり、決勝進出を決めた。

 

 

プレーオフ終了時の成績はこちら。

 

決勝戦の対局メンバーは
渋川難波
佐々木寿人
鈴木優
前田直哉
となりました。

決勝戦の放送は12月25日 14時放送スタートです。

自らクリスマスプレゼントを掴み取るのは誰になるのか、
次回の放送もお楽しみに。

(文:鈴木誠)

第4期若獅子戦決勝レポート

【第4期若獅子戦決勝、笠原拓樹が優勝】

「こいつら、あと5年以上も若獅子戦に出てくるのかよ・・・」
正直、こう思った若獅子諸君(20代の選手)も多かったのではないだろうか。

11/24に行われた第4期若獅子戦の決勝、ベスト8のレポートでも触れたが、実績も実力もある4選手が残った。

 

 

笠原拓樹、前期(第11期)JPMLWRC決勝
岡崎涼太、最強戦2022FINAL(ベスト16)、第1期若獅子戦2位
渡辺史哉、現王位(第46期、決勝当日時点)
梅本翔、第3期と第4期の北陸プロリーグ決勝

彼らの正確な年齢はわからないが、インタビューによると24、5歳らしい。
それにも関わらず、実況・解説からこんなコメントも出るほどの内容だった。
早川林香(実況)「決勝戦なのに、みんなスピーディですね。場慣れしていますね。」
藤崎智(解説)「場慣れしちゃって可愛くない。」
阿久津翔太(解説)「若獅子っぽくない。」

 

前置きのついでに、彼らの非凡な1局から取り上げる。

 

 

1回戦南4局、親の笠原がチーしてテンパイを取る。
ドラもないし、三色同順への手替わりもし辛い形。
それであればスピードを重視するという当然の一手。
普段なら、あっさり1,500のアガリになっているだろう。

打点が安いとはいえ、簡単に親の連荘にさせない3者の対応力が光った。
渡辺は、笠原の待ちの三万六万を使い切り、アガって浮きをキープする。
ドラもないから安いし…と安易に放銃する人は見習ってほしい1局である。

 

 

さて前置きは長くなったが、決勝戦(全4回戦)を振り返っていきたい。
1回戦、好スタートを切ったのは梅本…とおもいきや岡崎だった。

 

 

 

梅本にとっては、絶好の五索八索ソー待ちのリーチが打てたと思ったところ、岡崎にチャンタ、ドラ1の6,400の放銃。
麻雀の神様よ、北陸から毎回上京しているのに、こんな放銃は厳しすぎないかい?とは僕の感想。

この日1日、梅本はお手本のような高打点の手組みを見せるが、ほとんどが空振りで終わるという不遇な日だった。
解説の藤崎も、「今日はノーチャンスだった」と言い切ってしまうほど。
この1番の大勝負でノーチャンスは本当に辛いのだが、次こそ、いや、何度でも掴みに来てほしい。
ここに梅本の手牌を供養しておく。

2回戦東2局
安目7,700、高目12,000で追いかけリーチも、親の岡崎が2,600オールのツモアガリ。

梅本
六万七万二筒三筒四筒五筒五筒六筒七筒八筒六索七索八索 リーチ ドラ七索

岡崎(親)
三万 上向き四万 上向き一筒 上向き一筒 上向き二筒 上向き二筒 上向き三筒 上向き三筒 上向き四筒 上向き四筒 上向き二索 上向き三索 上向き四索 上向き リーチ ツモ五万 上向き ドラ七索 上向き

2回戦東2局1本場
三色同順の先制リーチも、岡崎がヤミテンで追いつき2,000点の放銃

梅本
二万二万三万四万五万七万八万九万三筒五筒三索四索五索 リーチ ドラ発

岡崎(親)

二万 上向き三万 上向き四万 上向き六万 上向き六万 上向き六万 上向き六筒 上向き六筒 上向き六筒 上向き七筒 上向き八筒 上向き三索 上向き四索 上向き ロン五索 上向き ドラ発

2回戦東4局
親番で高目18,000、安目11,600。
道中、九万二筒のシャンポンのテンパイを外して、このリーチにしたのは、藤崎からも「お見事」の一言。
これはアガリにさせてあげたかった。

 

 

 

 

しかし、結果は無情だった。
仕掛けていた笠原が、発、ドラ2のツモアガリ。
笠原はドラ2ということもあり、最終盤以外は、掴んだらそのまま切っていただろう。
さすがにこの引き負けはグッとくるものがあったはずだ。

この2回戦、ポイントになった局があるので、こちらにも触れたい。
親の渡辺に、ダブ東、ドラ1、7,700のテンパイが入る。
渡辺はセオリー通りヤミテンに構えた。
阿久津「これはテンパイ連荘では満足できず、アガリたい手。」と解説。

 

 

しかし、ヤミテンにしたことで、岡崎からリーチ。
渡辺はヤミテンのまま押すも、岡崎のツモアガリとなった。

 

 

渡辺がリーチをしていれば、岡崎のリーチはなく、このアガリもなかったはずだ。
『リーチをしていたらどうだったか…』
こうコメントをする人が多いのだが、渡辺は戦後のインタビューで次のように語った。

渡辺「いわゆる普通の選択をしてしまったというか…六万九万(待ち)にするのが悪いってことはないと思うんですけど、場況を見て、二筒とか、アガれる道はいっぱいあったと思うんですよね。あれはアガらなきゃダメですね。」
非凡だ…目指しているレベルの高さを感じてやまない。

 

2回戦終了時
笠原+35.5P、岡崎+12.4P、渡辺▲16.6P、梅本▲31.3P

全4回戦の3回戦目、ここで笠原に浮きを取られると、追う3者はかなり厳しくなる。
そんな折り、梅本の刀がとうとう笠原を捕らえた。

 

 

地獄待ちの中単騎、リーチ、七対子、ドラ2の8,000。
これは直撃を狙ってリーチに踏み切った梅本が見事だった。
岡崎、渡辺も放銃は脱落だっただけに、肝を冷やしたし、「梅本ナイス!」と思ったことだろう。

続く東4局、渡辺の親番、絶好の七万を引き入れて、ピンフ、ドラ2の先制リーチだ。
河からは待ちの四筒七筒はあまり他家に使われていないように見える。
おそらく渡辺もかなり感触がよかったリーチだっただろう。

 

 

しかし、ここで勝因の1局となったアガリが飛び出す。
このリーチに対して、振りかぶっての追いかけリーチは笠原。
叩き切ったのはドラの五索!(倒れている牌は六索

 

 

まだリードしている立場にもかかわらず、親のリーチに対し、ドラを切ったのも、リーチに踏み切ったのも素晴らしかった。
その勇気に牌も応える。

 

 

先程の失点を取り返す、2,000・3,900。
優勝にグッと近づいたアガリだった。

それでも、このあとの南場で笠原にラスを押し付けるのだから、本当に全員のレベルが高い。
一例をあげると、南1局の渡辺、梅本の親番を安い手で消化するのは笠原が喜ぶだけになると、ヤミテンからのホンイツ移行。
見れば理由はわかるものだが、この一打は簡単にできるものではない。
『決勝戦を面白くするのは、敗者の麻雀』
4者で作り上げた、素晴らしい決勝戦だったと思う。

 

 

3回戦
笠原▲11.2P、岡崎▲1.5P、渡辺+18.5P、梅本▲5.8P

3回戦終了時
笠原+24.3P、岡崎+10.9P、渡辺+1.9P、梅本▲37.1P

 

梅本はやや厳しくなってしまったが、笠原、岡崎、渡辺は僅差で迎えた最終戦、
東1局にいきなりクライマックスが訪れた。

 

 

発を暗カンしている、ツモり四暗刻のリーチ。

 

 

笠原、東、三暗刻の三筒六筒待ち

 

 

親の岡崎もペン三筒待ちリーチ。ツモは2,600オールだ。
六筒は山になく、二索は山に1枚。
奇しくも三筒の引き合いになった。
アガった人が優勝に近づく中、制したのは…

 

 

命運を分ける三筒は笠原の手元に舞い降りた。

優勝:笠原拓樹
「西川淳さんや千葉の皆様が、何回も言う事になっちゃうんですけど、ホントにホントに応援してくれて、応援のおかげで今日がありまして、それで勝てたと思うので、本当にありがとうございました。これからもたくさん活躍できるように頑張りたいと思いますので、応援よろしくお願いします。」
闘う姿勢を全面に出したカッコいい麻雀でした。
優勝おめでとうございます。

 

 

 

(文:福光聖雄)

第39期 A2リーグ 第9節B卓レポート

【第39期鳳凰戦A2リーグ 第9節B卓 三浦が卓内トップ 客野が小四喜】

 

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本日の対局者は
8位 山田浩之
11位 石渡正志
13位 三浦智博
16位 客野直

 

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三浦は3回戦東1局の親番、役なしのカン六筒待ちをヤミテン。

客野からリーチが入った後に567三色に手がわり、追っかけリーチ。

 

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7,700(+1,000)のアガリで3回戦トップを取ると、4回戦には余りなしの門前清一色九万単騎を決めて後半2連勝。

 

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三浦は9位に浮上。第3節以来の嬉しいプラスで降級圏を脱出した。

 

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残留するにはプラス必須の客野は2回戦東1局6本場に客風の西からポン。南東もポン出来て

 

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北をツモって役満。小四喜のアガリ。

 

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東3局には東ドラ3でさらに加点し、客野は2回戦+58.8の特大トップ。

しかし3・4回戦はマイナスしてしまい、+28.8で15位となった。

 

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石渡のヤミテン選択がピタリとハマって12,000をアガったのが1回戦南3局。

山田は浮かせていたドラの八筒を重ねて雀頭振りかえ。終盤には暗刻になり打点は申し分ないがツモが噛み合わず、六索放銃。

 

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石渡がリーチした場合は一旦六索単騎に受ける可能性が高かっただけに、ヤミテン大正解の局となった。

3回戦オーラスには、山田と客野を沈めての浮き2着をキープするアガリ。

 

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石渡は▲7.7でトータル13位。まだ降級枠にはいるものの、要所でアガって失点を抑えた。

 

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山田は2回戦起家で大連荘。2本場には高めの一万ロンもあり、6本場には54,600点持ちとなっていた。

 

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今局も役なし四万七万テンパイ。客野が風牌を3種ポンしているため、ヤミテンとするが

 

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客野にドラ四万を打たれてロン出来ず、役満を親被りしてしまい、厳しい1日に。

 

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山田は▲58.9でトータル10位となった。

 

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(文・吾妻さおり)

第17期女流桜花決定戦~初日~レポート

山脇が首位で2日目へ!

12月18日(日)、第17期女流桜花決定戦初日が放送された。
現女流桜花の魚谷侑未に挑戦するのは、リーグ戦を勝ち抜いた内田美乃里、山脇千文美、白銀紗希。

 

 

★1回戦

東1局から内田・白銀・山脇の3軒リーチに。
制したのは3軒目の山脇!内田からリーチ・ピンフ・ドラドラの11,600。

 

 

初戦トップはこのアガリを決めた山脇。現桜花の魚谷も、リーチに対しペンチャン待ちで押しきっての2,000・3,900など効果的なアガリを決め、2着に食い込む。

 

 

山脇+24.4P
魚谷+11.6P
白銀▲12.7P
内田▲23.3P

 

★2回戦

魚谷が中打点のアガリを重ね、安定感ある進行で南場へ。
勝負所は南2局。魚谷がドラ暗刻のペン七筒で先制リーチ!親の内田も六筒”>–<img decoding=待ちで追いかけ、連荘を狙うも…

 

 

ここは薄い七筒を掴み、8,000の放銃に。
オーラスは内田が三色ドラ1のリーチ。白銀・山脇もドラ単騎でテンパイを入れていたが、先に待ちを変えた山脇が放銃に。

 

 

白銀が浮きに回る結果となった。

魚谷+20.0P
白銀+5.3P
内田▲9.1P
山脇▲16.2P

 

★3回戦

東2局、ここまで苦しい内田が親番で七対子ドラドラの9,600。

 

 

ようやく感触の良いアガリをものにし、トップを狙いたいところであったが…南場では手数の多さで山脇がトップを逆転。
さらに南3局2本場で山脇のヤミテンが炸裂。

 

 

六筒暗カンの6,800。このアガリが決め手となり、3回戦は山脇が2回目のトップ。

山脇+29.1P
内田+11.5P
魚谷▲16.5P
白銀▲24.1P

 

★4回戦

白銀がリーチツモピンフドラの1,300・2,600、親番で高目のイーペーコーをツモっての2,000オールなど中打点の加点。

 

 

白銀1人浮きで迎えたオーラスは、内田・魚谷の2軒リーチに、ホンイツで仕掛けた山脇もテンパイで3者によるめくり合いに。
ここは魚谷がめくり合いを制し、浮きに回った。

 

 

白銀+19.3P
魚谷+4.5P
山脇▲4.4P
内田▲19.4P

初日終了時点のトータル成績は画像の通り。

 

 

トップ2回の山脇がトータル首位となった。
女流桜花決定戦2日目の放送は12月28日(水)14時〜。
解説は仲田加南・白鳥翔が務めます。

次回も是非お楽しみに!

(文・浜野太陽)

第39期 A1リーグ 最終節成績表

A2 B~E

第38期鳳凰位
佐々木 寿人

順位 名前 合計 1節 2節 3節 4節 5節 6節 7節 8節 9節 10節 11節 12節 13節
1 前田 直哉 151.5 25.6 ▲ 8.7 ▲ 25.2 10.0 ▲ 34.9 ▲ 7.6 11.9 53.5 66.9 ▲ 6.1 35.7 32.5 ▲ 2.1
2 HIRO柴田 132.9 46.9 5.2 39.1 16.6 ▲ 31.8 57.9 9.6 47.3 ▲ 21.6 ▲ 29.6 8.3 ▲ 45.3 30.3
3 吉田 直 102.0 16.5 ▲ 9.4 22.5 53.9 9.2 ▲ 23.2 43.8 ▲ 45.3 ▲ 41.3 ▲ 29.5 93.2 1.1 10.5
4 西川 淳 75.9 26.2 ▲ 22.1 ▲ 3.4 ▲ 25.4 40.0 22.3 33.0 ▲ 78.2 69.9 ▲ 19.5 79.8 ▲ 62.4 15.7
5 藤島 健二郎 70.1 ▲ 18.1 ▲ 0.6 ▲ 30.2 1.1 57.5 37.8 ▲ 41.1 71.3 ▲ 63.3 46.4 45.1 2.9 ▲ 38.7
6 勝又 健志 ▲ 7.1 ▲ 0.8 ▲ 24.8 22.6 15.9 ▲ 88.1 ▲ 7.8 39.8 3.6 32.9 ▲ 32.1 ▲ 47.6 50.7 28.6
7 杉浦 勘介 ▲ 33.1 6.0 ▲ 21.0 ▲ 29.8 29.8 ▲ 5.2 57.7 ▲ 62.1 ▲ 29.6 ▲ 24.2 12.2 32.6 9.2 ▲ 8.7
8 一井 慎也 ▲ 64.7 ▲ 16.1 ▲ 48.7 2.2 ▲ 47.5 ▲ 43.1 ▲ 6.5 54.8 24.4 27.1 ▲ 17.0 ▲ 67.9 58.4 15.2
9 古川 孝次 ▲ 71.4 51.8 10.6 ▲ 16.9 ▲ 0.5 ▲ 36.0 11.7 ▲ 64.8 0.3 18.7 ▲ 0.6 ▲ 65.8 75.7 ▲ 55.6
10 藤崎 智 ▲ 92.7 ▲ 30.0 3.8 ▲ 16.1 23.9 129.0 ▲ 71.8 6.4 ▲ 22.7 ▲ 61.5 2.7 ▲ 10.9 ▲ 17.3 ▲ 28.2
11 黒沢 咲 ▲ 122.2 51.8 34.8 ▲ 18.4 ▲ 40.3 2.2 ▲ 28.0 ▲ 46.7 ▲ 15.8 23.9 25.0 ▲ 35.7 ▲ 62.9 ▲ 12.1
12 近藤 久春 ▲ 168.2 ▲ 82.6 2.7 50.6 ▲ 38.5 1.2 ▲ 42.5 15.4 ▲ 8.8 ▲ 27.5 47.1 ▲ 67.8 ▲ 42.6 25.1

第39期 A2リーグ 第9節A卓レポート

例年最終節を4位以内で迎えD卓での上位直接対決の席を確保することが昇級への第一関門となっているA2リーグ。

 

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その4つの席に近い和久津・猿川・内川と、前節降級圏から抜け出し11位まで浮上した古橋を合わせた4名での試合。

 

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まず自風でドラの南が序盤に鳴け2,000・3,900のツモアガリが出た古橋。

上位3名がお互いのポイントを意識する展開になれば古橋有利に試合は傾いていくかと思われていましたが、古橋のアガリはこの1回だけ。

そこから50局以上も砂被り席で上位3名の熱い勝負を見ることになり、痛恨の1人沈みとなりました。

 

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1回戦はオーラスの親で2,600オールから連荘が始まった猿川が7本場まで積んで60,000点超え。

 

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2回戦では内川が1人浮きのトップ。

 

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公式ルールでは珍しいリーチのみのフリテンリーチが出るなど、終盤戦らしい駆け引きも出てきました。

 

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猿川・内川にかわされトータル2位から4位まで落ちていた和久津でしたが、親の猿川の一打目に切られた一索を仕掛けて反撃開始。

 

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この和久津らしいアガリでペースを掴むと

 

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親番でトイトイ・三暗刻の満貫をツモって大きく加点し

 

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オーラスのリーチ・ツモ・ピンフでこの試合のマイナスを全て返してプラスに転じる特大トップを決め、土俵際から中央まで押し返して第9節を終えました。

 

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<第9節A卓最終結果>
猿川+47.9P 内川+1.6P 和久津+0.4P 古橋▲49.9P
(文:越野智紀)

「~終わりなき旅~」 佐々木 寿人

最終日を迎え、各者のポイント状況はこのようになっていた。

佐々木+77.2P 古川▲1.8P 前田▲3.7P 黒沢▲73.7P

残すは4回戦。このぐらいの点差になると、どこかで山越しを狙われる場面も出てくることだろう。
だが、ごちゃごちゃとネガティブなことばかりを考えるのは無駄な作業だ。
どの道ここから逃げ回って勝ち切れるほど勝負事は甘いものではない。
更に突き放して盤石な体制を築き上げればいいのである。

とは言え13回戦の入りは、多少の不安も持ち合わせていた。
序盤で躓けば相手も息を吹き返す。
私はペースを掴むアガリを何よりも欲していた。
 
13回戦東1局、私は起家スタートとなった。
ある意味で恵まれたかなと思った。相手の出方を探る前に攻め込むことができるからだ。
 
13巡目、絶好のドラが重なった。

 

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八索は1枚切れだが、七索が3枚顔を見せていていい待ちに見える。
普段は字牌待ちを好む私も、さすがにこの場面は白を打ち出した。

同巡、その八索を前田さんがツモ切った。9,600。

少し体が熱くなった。

そして最初の不安もなくなっていた。
同1本場、ツモが効いてわずか5巡でテンパイした。

六万六万七万七万一索二索三索七索三筒四筒五筒九筒九筒  ツモ八万  ドラ二筒

迷いなくリーチを打った。
ドラの振り替わりなど待つ気もなかった。

そこにあったのは、攻め続けてこの半荘で決めてやるという思いだけである。
これがすぐに黒沢さんからの出アガリ。

高目の八万で5,800は6,100。
同2本場は8巡目にチーテン。

三索四索五索五索六索七索八索八索五筒七筒  チー四筒 左向き三筒 上向き五筒 上向き  ドラ六索

六筒は山にはなかったが、手が進んだ古川さんから2,900は3,500の出アガリ。
図らずもこれで3者から1回ずつ直撃を取ったことになる。

3本場こそ前田さんに700・1,300で蹴られたが、まずは幸先のいいスタートを切ることができたと言えよう。
このリードを生かし、正確に局を回していくことがここからのテーマとなる。

東3局2本場は以下のアガリ。

六万七万三索四索五索二筒二筒  ポン西西西  ポン一万 上向き一万 上向き一万 上向き  ツモ五万  ドラ二筒

続く東4局も捌き手が決まる。

五筒六筒六筒六筒七筒発発  ポン中中中  チー九索 左向き七索 上向き八索 上向き  ロン発  ドラ二筒

再び親が回ってくると、7巡目にテンパイ。

四万五万六万七万八万四索四索五筒六筒七筒発発発  ドラ西

当然の即リーチは、既にピンフのテンパイが入っていた黒沢さんから3,900。

親が落ちた南2局は2フーロ。

七万七万五索六索二筒三筒四筒  ポン八筒 上向き八筒 上向き八筒 上向き  チー三索 左向き二索 上向き四索 上向き  ドラ七万

これも黒沢さんからの出アガリで3,900。
終わってみれば、この13回戦は7度のアガリをモノにして、完全に私のゲームとなった。
そして実質的にここでの1人浮きが、鳳凰位連覇への決め手となったのだった。

とにかく親番に拘って戦ってきた私にとって、まさに今決定戦のベストゲームと言えるだろう。
 
終了後のインタビューで、「この1か月間、本当にきつかった」と述べた。
素直な気持ちだった。

2日目を終えた時点で3者にかなりの差をつけたが、だからこそ戦う姿勢を忘れてはならないと自らに言い聞かせる毎日だった。
リードを奪うと、早く無難に終えたいという思いが強くなる。ただ、逃げよう、逃げようという気持ちが強くなりすぎると、どこかで必ず墓穴を掘る。

自分は無敗の王者なんかじゃないし、寧ろ敗戦数の方がよっぽど多い分だけ負けパターンもよくわかっているつもりだ。
全て勝ちたくても勝てない葛藤と一体何年向き合ってきただろう。
当然のことながら、現役である限りそれは一生続いていくものである。

タイトル戦を勝った喜びなど一日、二日で消えてしまうし、自らに求められるものも日に日に大きくなっていく。
ただ、それでいいのだと思う。

我々は年間でも数多くのタイトル戦に出場するわけで、何かに勝ったとしてもそれはすぐに過去のものとなっていく。
3か月も4か月もその喜びに浸っている時間はないのである。
 
「三麻やります?」

鳳凰戦を勝ってすぐ黒木真生さんに声を掛けた。

「ほんま寿人は凄いわ。尊敬する」

そんな言葉が欲しいわけではなかった。

連覇は達成したが、Mリーグの不調がある。
どうせ打ち上げもないのなら、やることは1つしかないではないか。

残念ながらこの日はスタジオのスタッフに全振りされたが、この姿勢だけは忘れずに生きていきたい。
どこまでいってもゴールに辿り着ける日はこないのだから。
 
 
 

第39期後期プロテスト 執筆:阿久津翔太

(文:阿久津翔太)

まずは最初に感謝を述べたい。
このコラムを見に来てくれた皆さんに。

おそらくこれを見ている貴方はいつも連盟のコラムや連盟の放送対局などを見てくださっている方、あるいは連盟員、あるいはこれから日本プロ麻雀連盟のプロテストを受けようとする者であろう。
いつも連盟を、あるいはプロ麻雀業界全体を応援してくださっている方々には本当に伝えきれない感謝がある。皆さんがいなければ麻雀プロという業界も、もちろん連盟も成り立たない。そして1人1人の声が自分達の活動のモチベーションにもなる。本当にありがたい。
同じ連盟でプロとして時に戦い時に協力し合う先輩、後輩、仲間の皆さんにも数えきれない感謝がある。

今、私はスタジオの裏方をやることもあるし、実況や解説をすることもあるし、選手として座ることもある。それ自体非常にありがたいことだし、自分は恵まれているなと思うと同時に、色々な仕事をしていく中で、選手というのはとても多くのスタッフによって成り立っているのだなと実感する。
自分もするからこそ実況や解説の前にはその人の対局を見たり、人となりを調べたりと色んな準備をして、選手を輝かせるための最大限の努力を皆していることを知っている。
僕の尊敬する実況者の1人である日吉辰哉プロは、私の10倍準備をする。10倍というのは大げさに聞こえるかもしれないが、決して比喩ではない。だからあれだけの人々に麻雀の面白さや感動を伝えられる。

数多くのプロによって支えられてることへの感謝は忘れてはならない。

そして、これから日本プロ麻雀連盟に入るため、プロテストを受ける皆さんにも感謝を伝えたい。
連盟には必要なのだ。新しいスターが。
もちろん自分がそうなりたいという気持ちは誰よりもあると思っているが、スターは何人いても困ることはない。

麻雀業界にはプロとして合格しても上のリーグに行ったり、放送対局に出るまで長い時間がかかるという問題があった。
しかし、今は若獅子戦や桜蕾戦という30歳未満の方にとっては一気に有名になったり、上のリーグに行ったりと大活躍できるチャンスが年に2回もあるし、それ以外にも鸞和戦やWRCリーグや、新しく開設された赤入りのWRC-Rリーグなど、プロになってすぐ放送対局に出れるチャンスがいっぱいある。

実力さえあれば有名になったり上のリーグへ行けたりするチャンスが十分あるということはとても画期的であり、若手やこれから入るプロにとっては本当に本当にありがたいことだ。

私は第1期の若獅子戦を優勝したことでリーグもC1、B2と上がって、Focus Mをはじめ、色んな対局に出たり、解説もしたり、こうしてコラムも書いている。
誰よりも恩恵を受けてきたからこそ、本当に恵まれている時代だということは誰よりも心の底から皆さんに伝えたい。
だから実力に自信がある者はぜひ日本プロ麻雀連盟のプロテストを受けにきてほしい。

麻雀プロは他の業界と比べて、『なること』よりも『なった後どうするか』が大切だ。

今回のプロテストは入会審査部よりのオファーを受けて私が担当させていただいた。
構成、チェック等は勿論、先輩にキチンとしていただいた。
内容は当然言えないが、少し難しめではあると思う。
だが、どんな問題が出てきても解けるぐらいの雀力と自信をつけて挑んでほしい。

若手は特にプロになってすぐ放送対局に出る可能性がある。そこでたくさんの方に見られたり応援していただいたりする。
そこで情けない麻雀やミスをしてしまっても、見ている側からすれば良い経験になれば良いねというものだが、そんなミスや敗北を許せないのは誰よりも自分自身だろう。
チャンスがたくさんある時代とは言え決して無限ではない。限りあるチャンスを最大限に生かし、勝利を、感動を得るためにはやはりある程度の雀力と知識は必要だ。

だから、筆記試験の問題は、これが全部解ければすぐに放送対局に出ても良い麻雀が打てるであろうというレベルを意識して作らせていただいた。
どうか、たくさん麻雀を打って、たくさん麻雀の勉強をして、自信を身につけて、日本プロ麻雀連盟の門を叩きに来てほしい。

輝くための舞台は用意されている。

1人の連盟員として、1人の麻雀打ちとして、私は貴方の挑戦と、貴方の麻雀を楽しみに待っています。

最後までこのコラムを読んでくれた皆さんと、プロテストを受ける決意を固めた皆さんに感謝し、皆さんとの再会を楽しみに待っています。

麻雀日本シリーズ2022 予選最終成績表

【システム】

■16人で予選全28回戦(各自7回戦)を行い上位1名が決勝進出、下位3名が敗退

■12人でポイントを持ち越しプレーオフ全3回戦(各自1回戦)を行い上位1名が決勝進出、下位3名が敗退

■8人でポイントを持ち越しプレーオフ全2回戦(各自1回戦)を行い上位1名が決勝進出、下位3名が敗退

■4人でポイントを持ち越しプレーオフ全1回戦(各自1回戦)を行い上位1名が決勝進出

■ポイントをリセットし決勝4回戦

【ルール】

30,000点持ち30,000点返し

順位点5,000-15,000

一発・裏ドラあり

その他WRCルールに準ずる

麻雀日本シリーズ2022決勝戦 12/25(土) 14:00 ~

渋川難波vs佐々木寿人vs鈴木優vs前田直哉

解説:瀬戸熊直樹・齋藤豪

実況:梅中悠介

番組ページはこちら

プレーオフ3回戦

順位 名前(敬称略) P2合計 P3回戦 合計
1 前田直哉 26.9 27.5 54.4
2 竹内元太 27.6 9.6 37.2
3 瀬戸熊直樹 66.6 ▲ 32.1 34.5
4 小林剛 28.1 ▲ 5.0 23.1

 

 

プレーオフ2回戦

順位 名前(敬称略) P1合計 P2回戦 合計
1 鈴木優 62.4 17.6 80.0
2 瀬戸熊直樹 60.3 6.3 66.6
3 小林剛 ▲ 2.7 30.8 28.1
4 竹内元太 60.0 ▲ 32.4 27.6
5 前田直哉 ▲ 9.2 36.1 26.9
6 河野高志 27.1 ▲ 12.4 14.7
7 二階堂瑠美 21.5 ▲ 16.0 5.5
8 荒正義 17.7 ▲ 30.0 ▲ 12.3

 

 

プレーオフ1回戦

順位 名前(敬称略) 1次合計 P1回戦 合計
1 佐々木寿人 83.9 24.6 108.5
2 鈴木優 57.7 4.7 62.4
3 瀬戸熊直樹 69.2 ▲ 8.9 60.3
4 竹内元太 51.7 8.3 60.0
5 河野高志 58.6 ▲ 31.5 27.1
6 二階堂瑠美 1.0 20.5 21.5
7 荒正義 16.8 0.9 17.7
8 小林剛 3.8 ▲ 6.5 ▲ 2.7
9 前田直哉 ▲ 53.7 44.5 ▲ 9.2
10 多井隆晴 0.4 ▲ 13.9 ▲ 13.5
11 白鳥翔 ▲ 3.7 ▲ 22.8 ▲ 26.5
12 柴田吉和 ▲ 25.4 ▲ 19.9 ▲ 45.3

 

 

予選

順位 名前(敬称略) 合計 1回戦 2回戦 3回戦 4回戦 5回戦 6回戦 7回戦 合計
1 渋川難波 96.5 ▲ 19.3 27.3 14.0 13.7 18.5 25.0 17.3 96.5
2 佐々木寿人 83.9 10.2 26.5 ▲ 4.9 44.7 0.7 ▲ 19.5 26.2 83.9
3 瀬戸熊直樹 69.2 3.3 11.1 32.9 7.8 ▲ 33.1 52.9 ▲ 5.7 69.2
4 河野高志 58.6 39.5 8.5 ▲ 5.9 ▲ 27.4 ▲ 30.2 41.6 32.5 58.6
5 鈴木優 57.7 22.6 27.6 ▲ 37.1 24.3 7.7 8.1 4.5 57.7
6 竹内元太 51.7 25.9 ▲ 29.4 ▲ 25.1 58.8 ▲ 9.0 9.4 21.1 51.7
7 荒正義 16.8 10.6 27.6 18.1 ▲ 11.2 10.8 ▲ 20.9 ▲ 18.2 16.8
8 小林剛 3.8 ▲ 13.7 10.8 ▲ 30.7 ▲ 14.6 26.5 ▲ 24.6 50.1 3.8
9 二階堂瑠美 1.0 19.0 ▲ 40.7 29.1 ▲ 7.1 ▲ 21.5 13.6 8.6 1.0
10 多井隆晴 0.4 ▲ 11.0 24.3 ▲ 7.4 29.5 ▲ 4.7 ▲ 3.5 ▲ 26.8 0.4
11 白鳥翔 ▲ 3.7 ▲ 31.7 ▲ 24.7 ▲ 18.8 32.7 4.9 20.0 13.9 ▲ 3.7
12 柴田吉和 ▲ 25.4 ▲ 23.4 11.9 ▲ 40.0 24.1 6.4 2.3 ▲ 6.7 ▲ 25.4
13 前田直哉 ▲ 53.7 ▲ 3.2 11.5 ▲ 26.2 9.4 31.4 ▲ 27.4 ▲ 49.2 ▲ 53.7
14 仲林圭 ▲ 96.5 ▲ 22.4 ▲ 13.3 ▲ 22.5 ▲ 36.6 35.5 ▲ 13.2 ▲ 24.0 ▲ 96.5
15 黒沢咲 ▲ 123.5 ▲ 30.4 ▲ 9.8 ▲ 26.3 ▲ 9.3 ▲ 1.9 ▲ 32.5 ▲ 13.3 ▲ 123.5
16 魚谷侑未 ▲ 140.8 10.5 ▲ 11.9 ▲ 25.7 ▲ 13.0 ▲ 36.1 ▲ 34.3 ▲ 30.3 ▲ 140.8

第4期桜蕾戦決勝レポート

【桜の蕾を咲かせたのは北陸の地から舞い降りた“さくさくさくちゃん”宮成さく!】

桜の芽にはいくつかの種類に分かれる。葉になる葉芽、葉か花になる混芽、そして花を咲かせる花芽。桜蕾戦とは満開の花びらとなる蕾を内に秘めた新たな花芽を見出すタイトル戦。伊達朱里紗、菅原千瑛、廣岡璃奈と歴代の蕾は大きく開花する中、早くも4期目の決勝戦を迎えた。

⌘宮成さく(38期前期・1年目)
北陸支部

 

⌘廣岡璃奈(36期後期・3年目)
静岡支部
第3期桜蕾戦優勝

 

⌘加護優愛(38期後期・1年目)
東京本部

 

⌘渡部美樹(38期後期・1年目)
東京本部

 

▪️解説   和久津晶        二階堂亜樹         ▪️実況 大和

 

    ▪️立会人 ともたけ雅晴

 

■現桜蕾ピンチ!?
プロ1年目の宮成、加護、渡部に対して3年目現桜蕾の廣岡が受けて立つ構図となった今期のフレッシュな決勝戦。廣岡はこの舞台を一度経験しているが、他3者にとってはデビュー間もない未知なる戦いである。大きな期待と一体どのような対局になるのだろうという思いが入り混じる中、まずは渡部によって薄紅色の幕が開いた。

 

 

普段は麻雀店に勤務しているという渡部。インタビューでは柔らかい雰囲気であったが、卓に座ると一変して淡々と腰を据えた姿が印象的である。ピンフのみという何気ないオープニングのアガリではあるが、一連の動きを追っていくと高い雀力が隠れていた。

 

 

前巡のカン七万払いの際に八万切りでツモ五万に対応できる選択を取ると、場に重いピンズに見切りを付ける打三筒でターツの振り替え。そして読み通りに七万を捉えての最速ルートを辿っていたのである。

 

 

相手との距離感を把握し、広げられる時は目一杯に構える。そして場の情報をしっかり精査しながら選択する所からも普段から深く考えて麻雀に取り組んでいる事が伝わってきた。

この後も渡部の良さが際立つ。

 

 

配牌8種8牌の手も丁寧に進めながら東・西・ホンイツまで仕上げて廣岡から満貫の加点に成功すると、親の加護からリーチを受けた東3局では、通りそうな端牌や字牌などには手を掛けず今度は守備に回って放銃回避。メリハリのある麻雀をこの大舞台で披露した。

 

 

 

 

この局、渡部とは対照的に押し返す姿を見せたのは廣岡。

 

 

ディフェンディングとして迎えた決勝戦、確実な安牌が無いのもあったが前半は攻めていくと決めていたのだろう。
連覇して静岡にタイトルを持ち帰るんだという気迫が伝わる迷いのない三筒打ちとなった。
しかし、9,600の失点は想定よりも少し高かったのかもしれない。表情が物語っているように1回戦は廣岡の痛すぎる1人沈みとなり、序盤ながら早くも連覇に黄色信号が灯った。

 

 

 

 

■麻雀は苦しい時こそ差が出る!?
ベスト16以降は先行するパターンで勝ち上がって来た宮成だったが、一転して2回戦からは追いかける立場へ。そして局は進むと東4局7本場、親の加護が連荘を重ね徐々に下との差を広げている状況が訪れる。
親落としも有効な場面であったが、宮成はポンテンの取れる発を2枚とも見送った。これは捌く事よりもぶつける事を意味している。そして以下のテンパイを引き込むとリーチの一言を添えた。

 

 

普段は富山県で会社員として勤めているという宮成。燐とした表情に隠れる熱い意思に満ちたこの手牌は、トップ目の加護から高め九万を溢れさせるという最高の結果を生み出した。
劣勢を自身の力で振り払った宮成、そうなると麻雀の風向きが変わるのも必然である。

 

 
リーチ・ピンフ・ドラ2を“さくっ”とツモり、瞬く間に1人浮のトップ目に躍り出た。

 

 

3着スタートとなった宮成が一歩抜け出す展開の中、1人苦しい廣岡にも決断の時間がやって来る。

 

 

2回戦のオーラス、タンヤオのテンパイだが浮き牌はドラの二筒。1つ補足するならば、この半荘1人大きく沈んでいる親の加護が
牌の背牌の背牌の背牌の背 ポン南南南 ポン北北北 ポン三筒 上向き三筒 上向き三筒 左向き
と周りに威圧を掛けている。

 

 

さてどうするか。
廣岡の選択は雀頭の七索切りによるテンパイ取らずであった。

 

 

確かに実際に卓上で打っている本人と視聴者の立場では見え方が違う。と言うのも見ている側は答えを知っているからだ。何故テンパイ取ってリーチ行かないのだと指摘するのは酷な話である。
しかし廣岡本人が
① ドラだから打たない
② タンヤオのみのテンパイなので拒否
の理由で切れないのであればもう一度深く考える必要がある。

まず①の理由についてだが、加護の仕掛けが珍しく3連続ポンであったのである程度の手牌構成が透ける点に注目したい。逆算するとドラの二筒が放銃になるケースは目に見えている関連牌から単独単騎かシャンポン待ちしか残っていないのである。もし単騎テンパイの場合は
二筒三筒三筒四筒牌の背牌の背牌の背 ポン南 ポン北
となる為、ポンの前にロンアガリの形。またシャンポンの場合は
二筒二筒三筒三筒四筒九筒発南南北北牌の背牌の背
となる為、七対子・ドラ2の1シャンテンを崩す形となる。仮に崩したとしても
二筒二筒三筒三筒四筒牌の背牌の背 ポン南 ポン北
の5,800テンパイから打点は上がるがアガリ率の下がるトイトイに受け変える形となる。

次に②についてだが、1回戦目トップ・2着の渡部、加護がそれぞれ原点割れをしている点に注目したい。もともと3者から大きく離されている廣岡にとって3番手の宮成がトップである並びはある意味ラッキーなのである。もちろん打点はあるに越した事はないが、この局面は不確定な数ポイントの為に2,600を8,000に、1,000・2,000を2,000・4,000に固執する事よりも渡部と加護とのポイント差を縮める二筒切りリーチの価値が通常よりも高い。レアケースで放銃になる事もあるだろうが、アガリには多少のリスクは避けられないのだ。

そして麻雀には絶対的な正解はないので、①と②を踏まえた上でテンパイを取らないのであればその選択は尊重したいと思う。ただし、知っているのと知らないとの差は成長度合いに大きく関わってくるので今後の期待を込めてあえて掘り下げた。

 

 

この先は結果論になってしまうが、廣岡がツモアガリ逃しの形で二筒単騎リーチするも加護と廣岡の2人テンパイで流局。
そして流れた南4局1本場、渡部がフリテンながら値千金のタンヤオ・ドラ1の500・1,000は600・1,100のアガリ。前局の廣岡のリーチ供託を合わせてピッタリ原点を確保して2回戦を終えた。

 

 

 

 

■果てしなく続く茨の道
微差ながらトップ目に位置付けた宮成が3回戦も3者を引き離す展開へ。

 

 

山には残り1枚のアガリ牌であったが、リーチ・ツモ・三暗刻・ドラ1の満貫を“さくっ”と成就させ追い風に乗ると、

 

 

優勝という二文字のプレッシャーが近づく中、南場の親番ではしっかりとリーチと発して戦う道を切り開いた。
こうなると追いかける者にも違った種のプレッシャーがのしかかってくるのだが、ポジティブに考えれば直撃チャンスとも言える。そして、試練を与えるかのように廣岡の元へその機会が巡りやって来た。

 

 

廣岡はプロ受験で一度挫折を経験し、出身地である静岡で研鑽しながら正規合格に至った経緯を持つ。苦境の今だからこそ、その教わった事を1つ1つ思い出しながら打っている事だろう。
手牌に戻るとメンゼンチンイツの1シャンテンであり、上家から待望の二万が切られた。

 

 

二万は既に場に2枚目で且つ自身で1枚使っているので実質3枚目。また一万は目に見えて残っておらず、リーチに対して6枚持ちの危険筋である三万を処理できるメリットもあるのでチーして現物の九万切りテンパイ取りも視野に入る所。さてどうするのだろうか。

 

 

廣岡が導き出した選択は“スルー”する事。そして自力でテンパイへ辿り着く。

 

 

それはまるで挫折から救いの手を差し伸べてくれた当時の静岡支部長、望月雅継の代名詞“跳満ベース”が重なる、廣岡璃奈が今できる麻雀を体現した1局であった。

 

 

しかし無情にも宮成にそのテンパイ打牌がつかまり、廣岡の連覇への道はここで途絶える事となった。

 

 

対局後のインタビューでは感情を隠す事なく悔し涙を見せた廣岡であったが、解説の亜樹、和久津からは激励と期待に満ちたコメントが送られた。

亜樹
『負けて泣けるのも凄く幸せだと思うんですよね。(一方で)この舞台で戦えない人もたくさんいるので、その人達の分までたくさん勉強して練習して次は勝った時に泣けるように今後も頑張って欲しいと思います。』

和久津
『廣岡さんが打ちたい麻雀を打って応援してくれた人達に見てもらえたのはとても素晴らしい事でした。(一方で)勝ちたいと思ったら自分の麻雀を捨てないといけない時があって、それに向けて今はチャレンジする時期だと思います。一緒にがんばりましょう。今日も頑張りました!』

廣岡と最初に出会ったのは2年前だったが、その頃から人一倍負けず嫌いで幾度となく悔し涙を流す姿を見てきた。この決勝戦で流した涙も是非とも大きな糧に繋げて、これから通るであろう茨の道にも負けずに前へ進んでほしい。

 

 

■決勝戦に潜む試練というトゲ
対局前のインタビューではいつも通りの強気の麻雀を見せたいと語った加護。今回の対局者の中では最年少ながら普段は新潟で麻雀店の経営に携わっているという一面も合わせ持つ。

 

 

ここまではポイント的に見ると上位陣に離されず耐え忍んでいる印象であるが、その道中は意気込み通りのアグレッシブさが光った。

 

 

 

 

今年の夏にプロデビューしたばかりとは思えない程の堂々とした佇まいであり、加護らしさが出ているように映る。そして常に前に出続ける姿勢がここに来て実を結んだ。

親の廣岡が連荘中の最終戦の東3局2本場、宮成が2フーロしている所に加護がメンホンテンパイ。そしてこの局も迷いなくリーチ宣言とする。

 

 

これに対して宮成は一体どうするのだろうか。

 

 

少考の後、宮成は今まで見せてこなかった顔を卓上に示す。それは加護の現物待ちとなる四万単騎への強気の待ち変えであった。しかしこの発に声が掛かってしまう。

 

 

8,000点という大きな直撃となり、加護が一気に二番手まで浮上した。

 

 

一方で対照的な表情を浮かべたのは宮成。

 

 

なかなか局が回らない展開で早く決着させたいという考えがよぎったのかもしれない。対局後のインタビューでは“生きた心地がしなかった”と表現したように正に決勝戦ならでは押し引きが見られた。

このアガリを皮切りに加護に展開が傾く。

 

 

 

 

 

 

怒涛のアガリによって加護にとっては少しずつ宮成の背中が、宮成にとっては少しずつ加護が歩み寄り、そして迎えた最終局。

 

 

焦点は加護の跳満ツモに絞られたが、最後の最後で条件を満たすテンパイが加護に入る。

 

 

選ばれし桜蕾は山に1枚眠っている八万の行方に委ねられ、そして遂に決着の時を迎えた。

 

 

 

 

運命の1牌は加護のツモ筋の隣に眠り、それと同時に新たな蕾が咲きほころんだ。

 

 

第4期桜蕾に輝いたのは“さくさくさくちゃん”こと宮成さく。最後に待ち構えていた試練も乗り越え、デビュー1年目ながら見事に満開のタイトルを北陸へ届けました。

 

 

⌘2位
加護優愛

⌘3位
渡部美樹

⌘4位
廣岡璃奈

 

 

⌘第4期桜蕾戦優勝
宮成さく

『支えて頂きました方々には“ありがとう”という言葉だけでは足りないくらいの感謝の気持ちでいっぱいです。そして今後も共に励んで行けたらと思います。』
 
■最終結果

 

(文:小林正和)

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