第29期鳳凰位決定戦 初日観戦記

私が初めてプロの対局というものを肌で感じたのは、今から9年前の「第20期鳳凰位決定戦」だった。
この年は、荒正義が挑戦者の立場で決定戦に進み、そしてその荒の採譜者を滝沢和典が務めていた。

プロ連盟の現在のタイトル戦はPCで採譜を行い、即日牌譜が観られる時代であるから、当時の手書きの紙牌譜というものが随分と懐かしく思える。

荒と知り合ったばかりの私は、その頃、麻雀プロに対する認識がほとんどなかった。
「早くプロになった方がいい」という荒の言葉の意味も、正直私にはよく理解できずにいたのである。
(そこに行けば何かわかるのだろうか)そんな思いから、私は試合会場である神楽坂へと足を運んだ。
そして気が付けば3日間全て、計18回戦に渡って荒の麻雀に見入っていた。
「プロというものは背中で魅せられる人のことを言うんだな」

この決定戦、荒は3着に敗れた。だが、一アマチュアの心を動かすには十分過ぎる戦いだった。
「この大きな舞台で自分もいつか戦いたい」
そんな思いが芽生えた瞬間でもあったのである。

昨年、荒はそれ以来の決定戦に進み、20年ぶりに鳳凰の座を奪還した。
今期は王者として、史上最高とも謳われるゴールデンカードでの防衛戦に挑むことになったのである。
その荒から私の元に電話があったのは、今期プロリーグの全日程が終了した翌日のことだった。
意外にもその内容は、今回の観戦記についてだった。断る理由はどこにもなかった。
いや、どこかで心の準備が出来ていたのかもしれない。
最後に放たれた荒の一言が凄く心に響いた。
「麻雀なんて二の次でいい。ヒサトなりの書き方で人間を描いてくれれば」
この言葉は、私に対してというより次の世代に向けてのメッセージのようにも聞こえた。
我々には、偉大な先輩達がいる。彼らが培ってきた伝統を受け継ぎ、後輩達に伝えていく。
間違いなく今、その段階に差し掛かっているのである。

それにしても凄いメンバーが集まったものである。
観戦記者という重責を背負ったこともあるが、自分以外の対局を前に寝付けなかったことなど、これが初めての経験である。
答えの出せない展開予測と、4者の戦前取材の言葉達が頭の中を行き交う。
ただ、その中でも1つだけ一致した言葉がある。

「先攻絶対有利」

皆それぞれ脚質は違えど、そこに重きを置いた戦いになるということなのだろうか。
決戦まであと8時間。もうすぐその答えが見つかる。

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左から荒正義プロ、瀬戸熊直樹プロ、前原雄大プロ、藤崎智プロ

1回戦(起家から、荒・藤崎・前原・瀬戸熊)

東1局、ドラ六索
対局室に張り詰めた空気が漂い、世紀の一戦に携わる全てのスタッフの緊張感もピークに達する。
「では、対局を開始して下さい」
午後1時15分、立会人藤原隆弘の合図により、2012年度の王者を争う長い長い戦いの火蓋が切って落とされた。
ニコニコ動画での有料放送が決まり、例年にも増して注目が集まる第29期鳳凰位決定戦の開局は、6巡目にして4者が1シャンテンという早い展開になる。
先攻有利を強く意識する各人にとっては、点棒の多寡もそうだが、まずは最初のアガリが欲しいところであろう。7巡目、最初のテンパイを入れたのは荒正義。

houou

ドラが2枚の七対子だ。
昨年の初戦で見せた、あの6,000オールが脳裏をよぎる。

五万五万九万九万九万六筒八筒  加カン東東東東  チー一索 左向き二索 上向き三索 上向き  リンシャンツモ七筒  ドラ九万

やはり今年も主導権を奪うのは荒か。
私はノートに目を落とし、そう書き記した。

houou

荒正義プロ

荒正義
現鳳凰位。第8期鳳凰位、第5期、29期王位、第10期最強位、第12期麻雀マスターズ、グランプリ2006など獲得タイトル多数。連覇に挑む“精密機械”が掲げる今回のテーマは「魅せる麻雀の追求」
戦前の取材では、「実際戦ってみなければわからないが、様々なシミュレーションは頭の中で出来上がっている。とにかく手を作って勢いを呼び込む」と答えてくれた。
1年間のブランクについても不安はなく、むしろ年間を通して対戦相手の打ち筋を研究できたことに大きな収穫があったようだ。鋭い読みと、鮮やかな手作りを武器とする荒の麻雀に死角はない。

ドラの六索がトイツになってテンパイが入ったこと、場に一索が1枚切れているが、二索が2枚飛んでいることなどから、ここで即リーチを打つ選択もあったが、荒は慎重にヤミテンを選択。
既に切っている前原はもちろん、藤崎の捨て牌からも一索はこぼれそうという判断か。
ところが10巡目、荒は場に2枚切れの東を引くと、ここが決断のときとばかり打一索としてリーチ。

七万七万三索三索四索四索六索六索東西西発発  リーチ  ドラ六索

いきなりの勝負手だけに、荒にとっては是が非でも結果を出したいところだ。
しかし同巡、西家・前原がすっと一索をツモ切る。荒の心中はいかばかりか。
その直後、北家・瀬戸熊も追いつく。

一万二万三万五万六万五索七索九索二筒二筒五筒六筒七筒  リーチ  ツモ六索

絶好のドラを引き入れ、高目3,000・6,000のリーチ。王者荒に敢然と勝負を挑む。
その荒のリーチ一発目のツモは、事もあろうになんと一索
前原からの9,600、或いは12,000、そして6,000オール、全てのアガリが泡となって消えた。
こうなれば圧倒的優位に立つ瀬戸熊。
12巡目に安目ながら四万を引き、今決定戦最初のアガリをものにする。

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瀬戸熊直樹プロ

瀬戸熊直樹
主な獲得タイトルは、第26、27期鳳凰位、第28、29期十段位、第14期發王位など。
日本プロ麻雀連盟が誇る“絶対的エース”が掲げる今回のテーマは「鳳凰奪還」
昨年は荒の徹底マークに遭い王座陥落となったが、下馬評では今期の優勝候補筆頭に挙げられる。
「とにかく自分との戦いになる。弱点のないメンバーばかりなので、いかに自分の麻雀を打ち続けられるかということに尽きるだろう。ただ、それが決して我がままな打牌にならないように、細心の注意を払って戦いに臨みたい」実に瀬戸熊らしい謙虚なコメントである。
昨年、自身2度目の十段位を獲得し、こちらも勝てば2度目となる鳳凰、十段のダブル戴冠を目指す。

続く東2局は、わずか5巡でのアガリが飛び出す。

五万五万五万二索二索七索八索二筒三筒四筒七筒八筒九筒  リーチ  ツモ九索  ドラ白

アガったのは親の藤崎。
1,000オールと得点こそ安いものの、まずはほっと一息のアガリといったところか。

houou

藤崎智プロ

藤崎智
主な獲得タイトルは、第16期十段位、第3期、5期、6期日本オープン、グランプリ2005など。
これが自身初となる鳳凰位決定戦に臨む“麻雀忍者”のテーマは「この1年応援してくれた人達のために最後まで頑張る」「今回の3人は間違いなく強い。だが、胸を借りる気はさらさらない。当然勝ちに行く。前日はパチンコでもして脳を休めるよ」
4者個別の戦前インタビューで、得意のジョークを交えながら最も多くの時間語ってくれた藤崎。
「逃げた人間について行って、最終日勝負に持ち込むのは難しくない。ただ、やっぱりこちらが逃げる展開にはしたい」
序盤に高いヤミテンをどれだけ作りだせるか。藤崎にとってはこれがひとつのポイントになりそうだ。

局面は進み、南1局。西家・前原の4巡目の手牌に注目頂きたい。

houou

上家の藤崎から、五筒が切られた場面である。
もっと言えば、前局に藤崎のリーチを掻い潜ってピンフをツモアガリ、2巡前にカン四索が埋まったばかりの場面でもある。前原はこの五筒にすかさずチーを入れ、打六万とする。
ニコ生放送の解説陣も思わず絶句するほどの仕掛けだ。
だが、これこそが前原の大局感のなせる業。
このあとカン四万も鳴け、流れるように鮮やかなアガリを仕留めてみせた。

三索四索五索一筒一筒八筒八筒  チー四万 左向き三万 上向き五万 上向き  チー五筒 左向き三筒 上向き四筒 上向き  ツモ一筒  ドラ一筒

この局について後に話を聞くと、荒の捨て牌が異常なことと、既に六筒九筒がほとんど残っていないだろうとの読みがあったと言う。五筒だから仕掛けられた、逆に言えば五筒以外からは仕掛けられなかったと振り返っていた。手格好ではなく、門前では勝負にならないとの読みがズバリ的中した一局であるということが言える。

houou

前原雄大プロ

前原雄大
第12期、25期鳳凰位、第14期、15期、24期、25期、26期十段位など獲得タイトル多数。
4期ぶりの鳳凰位返り咲きを狙う“卓上の超獣”が掲げるテーマは「きちんと攻めてきちんと放銃する」
日が近づくに連れ、恐怖心のようなものも若干芽生えてきていると口にしていた前原。
逆に、それだけ戦いに向けての高揚感があるということなのかもしれない。
「失点するかもしれないが、先攻していくのは自分なんだろう。成功すれば、初日はノーガードに近い形で行き切ってしまおうという思いはある」
良作、駄作を織り交ぜた独特の打ち回しで、いかに親番をブレークさせるか。
前原にとってはそこが鍵となる。

1回戦は、この2,000・3,900をものにした前原が、この後も危なげない麻雀でトップを奪った。
まだ20分の1が終わっただけとは言え、前原にとっては今後のゲームプランが立て易くなったか。
反対にラスを引いた荒は、やはり開局のアガリ逃しが痛かった。
現鳳凰がここからどう立て直してくるか、2回戦以降も興味は尽きない。

1回戦成績
前原+19.8P  瀬戸熊+7.7P  藤崎▲10.0P  荒▲17.5P

 

2回戦(起家から、前原・荒・藤崎・瀬戸熊)

流局が続く静かな立ち上がりだったが、荒が親で1,500をアガリ、3本の供託を含めてまずはリードを奪う形となった。ここで更なる連荘を重ねたい荒だったが、それにストップをかけたのが西家の瀬戸熊。

三索三索六索六索七索七索一筒二筒二筒五筒五筒白白  リーチ  ツモ一筒  ドラ三筒

瀬戸熊は、これがこの日最も感触のいいアガリだったと振り返った。
上昇気配のある荒の親を潰したこともあるだろう。そして、これで強く前に出て戦えるというきっかけにもなっただろう。ここから瀬戸熊のエンジンは全開となっていく。

東3局、親・藤崎。
配牌にマンズが偏っていた西家・前原が、わずか5巡にしてテンパイを入れる。

一万一万二万三万四万四万五万五万六万七万九万発発  ツモ三万  ドラ八万

少考の後、前原が出した答えは打一万でのリーチ。
一万が既に2枚飛んでいることもあっただろうが、この手は決め手になり得るとの判断か。
これに真っ向からぶつかっていくのが、南家・瀬戸熊である。

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前原のリーチを受けた一発目のツモでカン七万が埋まる。
直前に、親の藤崎が三筒をツモ切っていることから、これを外すケースもあるだろう。
また、既に二筒が3枚飛んでいることから、四筒七筒に手が掛かることもある。
しかし、瀬戸熊が選んだのは、リーチを全く視界に入れない打六万だった。
自信を持ってこの一打を選択できるところに、瀬戸熊の気力が充実していることがうかがえる。
「中途半端な気持ちで勝ち切れるか!」
そんな想いが伝わってくるかのような一打だった。

七万八万九万三筒四筒六筒七筒八筒西西西白白  リーチ  ロン二筒  ドラ八万

この局、瀬戸熊は真っ直ぐ攻め抜いて、前原から2,600を討ち取った。
次局の親に繋がる、点棒以上に大きなアガリである。

五万六万七万二索四索七筒七筒  暗カン牌の背白白牌の背  チー二筒 左向き三筒 上向き四筒 上向き  リンシャンツモ三索  ドラ三筒

瀬戸熊は続く東4局の親番で、この3,900オールをツモアガリ、この半荘のトップをほぼ手中に収めた。
道中で、荒に6,400、1,300と放銃し点差を縮められたが、攻めた上での放銃だけに本人も納得のものだったはずだ。
オーラス、追い上げる荒が1,000・2,000を引きアガって瀬戸熊に肉薄するが、序盤のリードが効き、2回戦は瀬戸熊が辛くもトップを守り切った。

2回戦成績
瀬戸熊+19.8P  荒+15.1P  藤崎▲14.4P  前原▲20.5P

2回戦終了時
瀬戸熊+27.5P  前原▲0.7P  荒▲2.4P  藤崎▲24.4P

 

3回戦(起家から、瀬戸熊・藤崎・荒・前原)

東1局は全員ノーテンで流局。
迎えた東2局、4巡目にテンパイを入れていた瀬戸熊が8巡目、リャンメン待ちに振り変わったところでリーチ。

二万三万四万五万六万七万四索五索七筒七筒白白白  リーチ  ドラ二筒

次巡、ドラを重ねた荒が追いつき、場に1枚切れの発タンキでリーチを打つ。

一万一万五万五万四索四索二筒二筒東東西西発  リーチ

ちょうど1回戦の開局と同じような構図となったが、ここも制したのは瀬戸熊。
荒から六索で2,600の出アガリとなった。
「徐々に瀬戸熊の体勢が出来つつあるか」このアガリを見て、私はそうノートに書き記した。

続く東3局、親の荒が5巡目にドラをトイツにしたところで二万を仕掛ける。

二万二万四索四索八索九索三筒五筒七筒八筒九筒発発  ドラ四索  二万打たれる

結果的にはこれが好判断で、その後二筒発と引き込み、七対子のテンパイが入っていた前原から、四筒で5,800を召し取ることに成功した。

四索四索二筒三筒七筒八筒九筒発発発  ポン二万 上向き二万 左向き二万 上向き  ロン四筒

さて、ここまで全くと言っていいほどチャンスに恵まれないのが藤崎である。
3者の攻めがきついこともあるが、何せ手が入らない。
しかし、このまま手をこまねいていては、1人おいてけぼりを喰らうことにもなりかねない。
そんな藤崎にこの東3局1本場、ようやく勝負手がやってくる。
まず先手を打ったのは南家の前原。6巡目に以下の形で即リーチ。

二万四万二索三索四索七索八索九索五筒六筒七筒東東  リーチ  ドラ九万

見る人が見れば、何だこれは、と言われそうなリーチだが、ケレン味たっぷりにこのリーチを打ち続けられるのが前原流。小技を使いながら相手の体勢を崩し、自分の流れに持ち込むのが得意の勝ちパターンである。
だが、当然のことながら前原と対戦歴の長い打ち手は、それを十分にわかっている。
戦前藤崎は、前原の麻雀を「ホップ、ステップ、ジャンプの麻雀」と形容した。
「ジャンプまで行かれたら、もう手が付けられない。どの段階で止められるかが重要だ。」
その言葉通り、今局藤崎は無スジを連打する。
前局、荒に5,800を打ち上げた相手、ということもあるだろう。
このクラスになれば、勝負所を見誤るケースはほとんどないと言っていい。
8巡目、ドラを引き込んだ藤崎がリーチ。

五万六万七万七万八万九万九万一筒二筒三筒五筒六筒七筒  リーチ

11巡目、手負いの前原から六万で7,700を討ち取った。
こうなれば藤崎の半荘になるか、というほど手応えのあるアガリに見えたが、これに待ったを掛けたのが、現鳳凰の荒だった。
ラス前の親番で、瀬戸熊から軽く1,500をアガると続く1本場でも、高目タンピン三色のリーチを打った瀬戸熊から5,800の出アガリ。

二筒三筒三筒四筒四筒五筒六筒  ポン九筒 上向き九筒 左向き九筒 上向き  ポン南南南  ロン六筒  ドラ一索

そして何より秀逸だったのは、流局を挟んで迎えた南3局3本場である。

動画再生

荒の最大の長所は、シュンツ手の捌き方である。とにかく柔らかく、そして正確なのだ。
7巡目の六索切りなどは、是非とも参考にしていただきたい一打である。
材料は多少いびつでも、じっくり手を掛けて、旨い料理に仕上げる、そんな表現がピッタリの素晴らしい打ち回しだった。

四万五万六万七万九万五索六索七索一筒二筒三筒発発  リーチ  ツモ八万  ドラ発

3回戦成績
荒+25.7P  藤崎+6.9P  瀬戸熊▲4.2P  前原▲28.4P

3回戦終了時
瀬戸熊+23.3P  荒+23.3P  藤崎▲6.9P  前原▲29.1P

 

4回戦(起家から、前原・荒・藤崎・瀬戸熊)

この日、最も点棒の動きが小さかった4回戦。局面が動いたのは東3局。
西家・前原が、3巡目に四索を引いたところで打八筒とする。

五万六万七万二索三索七索七索三筒四筒六筒八筒発発  ツモ四索  ドラ七索

発をトイツで払えば跳満まで見える手格好だが、ここは発を仕掛けて3,900でも十分の構えか。
5巡目には二筒を引き込んでテンパイ、そしてリーチ。
もしRをトイツ落としなら、ここでカン七筒のタンヤオ、ドラ二索のテンパイ。
だが、それだとヤミテンに構えそうな分、リーチの選択においてはこのシャンポン待ちのほうがやや有利に見える。
結果は、タンヤオ、イーペーコーのテンパイを入れて追いついた荒から発で8,000の出アガリ。
この後、大きなアガリが出なかったことも手伝って、前原がこの日2度目のトップをものにした。

4回戦成績
前原+14.1P  瀬戸熊+7.6P  荒▲6.7P  藤崎▲15.0P

4回戦終了時
瀬戸熊+30.9P  荒+16.6P  前原▲15.0P  藤崎▲32.5P

 

5回戦(起家から、前原・荒・瀬戸熊・藤崎)

これが初日の最終戦である。
ここまで好調をキープするのは、1回戦からオール連帯の瀬戸熊。
今期のプロリーグ同様、抜群の安定感である。

反対に厳しい展開が続くのは、そのプロリーグで年間通してトップを走り続けた藤崎だ。
藤崎は今期、わずか3節目にして決定戦進出の当確ランプを点灯させた。
だが、本人にとってはそれが相当なプレッシャーになったようで、実際に確信を持てたのは第8節が終了したときだったと語った。

そこに関して前原は、次のように言及している。
「今回の決定戦、藤崎はかなり苦戦すると思う。それは早々と決定戦進出が見えたことで、本来のリーグ戦とは違う形になってしまったから。モチベーションをキープさせるのも難しかっただろうし、過去のデータから見ても、リーグ戦を走った(独走した)人間が鳳凰を獲るケースはあまり記憶にない。」

今回が初の決定戦となる藤崎に対して、前原はこれが実に11度目の決定戦である。
加えて、藤崎以外の3者は、過去にそれぞれ2度、鳳凰位の栄冠を手にしている。
この長い戦いでは、どこかでそういった経験の差が出てくるということなのだろうか。

東1局、親・前原。
1人テンパイ、瀬戸熊から2,000は2,300とアガって迎えた2本場、遂に前原が親で火を噴く。
配牌は以下。

八万二索五索二筒二筒四筒六筒八筒九筒東南北白中  ドラ八筒

アガリを考えるとかなり厳しい部類の手牌だが、2巡目に中を重ね、藤崎の中を仕掛ける。
すると7巡目には、ピンズのホンイツ1シャンテンにまで漕ぎ着ける。

七索二筒二筒二筒四筒六筒八筒九筒東東  ポン中中中

同巡、瀬戸熊が以下の手牌でリーチ。

二万三万四万七万八万九万三索四索五索一筒一筒六筒七筒  リーチ

この時点で五筒八筒は残り4枚。対して前原は、七筒が既に山に残っておらず、瀬戸熊のアガリが時間の問題かと思われた。ところがここから前原は、八筒四筒五筒と引いて12巡目、遂に瀬戸熊に追いつく。

二筒二筒二筒四筒五筒六筒八筒八筒東東  ポン中中中

アガリ牌は瀬戸熊の五筒が2枚、そして前原の東が2枚という非常に見応えのある局面となったが、この息詰まる攻防を制したのは前原だった。

二筒二筒二筒四筒五筒六筒八筒八筒東東  ポン中中中  ツモ東

あの配牌からは想像だにできない、見事な6,000オールである。
前原は続く3本場でも、瞬く間に6巡目のリーチを放つ。

四万五万六万二索三索四索七索七索三筒四筒五筒東東  リーチ  ドラ一万

しかしと言うのか、やはりと言うのか、ここでも真っ向勝負に挑むのは西家の瀬戸熊。
リーチ後、前原のツモ切った八筒をポンして、食いタンで捌きに掛かる。

六万六万七万七万八万四索五索六索四筒四筒  ポン八筒 上向き八筒 左向き八筒 上向き

面白いことに、瀬戸熊が切る牌は全て前原の現物なのだが、見ているこちらには、どうも安全を保険に戦っているようには感じられないのである。
戦前、瀬戸熊は、「特にマークは設けない」と話していた。
だが、この5回戦までの打牌がそれを否定しているようにも思えた。
「前原を封じ込めなければ、優勝はない」瀬戸熊の表情には、そう感じさせる何かがあった。

六万六万七万七万八万四索五索六索四筒四筒  ポン八筒 上向き八筒 左向き八筒 上向き  ロン五万

瀬戸熊は前原からこの1,000は1,900を出アガると、荒の親番では、浮きに回る好手をしっかりとツモアガる。

三索四索五索六索六索一筒三筒四筒五筒六筒七筒八筒九筒  ツモ二筒  ドラ八筒

そして続く東3局、自らの親番でもきちっと加点を決める。

三万三万二索三索四索四索五索六索一筒一筒二筒三筒三筒  リーチ  ツモ二筒  ドラ一万

この半荘、最終的に前原を捲ることは叶わなかったが、5回戦通じて一番“打てている”のは、誰の目から見ても瀬戸熊であることは間違いない。ポイントもそうだ。
まだ4分の1を消化したばかりとは言っても、出来、不出来、或いは4人の絡みなど、浮き彫りになったものはたくさんあるはずだ。

今日調子の良かった者は、明日も同じように戦えばいい。
逆に、調子の悪かった者は、好調者を走らせないように、且つマイナスを削っていかなければならない。
不利な戦いを挑まなければならない局面も出てくるだろう。

「先攻絶対有利」

帰り道、戦前4者が口にしたこの言葉が、いつまでも頭から離れなかった。

5回戦成績
前原+28.6P  瀬戸熊+8.7P  荒▲12.8P  藤崎▲24.5P

5回戦終了時
瀬戸熊+39.6P  前原+13.6P  荒+3.8P  藤崎▲57.0P

 

初日を終えて

瀬戸熊「荒さん、前原さんの連荘中にぶつけに行くのは勇気がいるが、しっかり戦おうと思っていた。
負けてもおかしくない局面はたくさんあったが、自分らしく打てたと思う。」

前原「瀬戸熊は本当に強い。やっぱり力技だけではダメ。自分のダメさ加減がよくわかった。明日は決めに行かないように打つ。」

荒「初戦の東1局が全て。前原が一索をツモ切ったときは、ゾッとした。あれをアガリ逃して今日1日終わったなと。」

藤崎「5回戦やって、アガったのは4回。喋ることがないくらい辛かった。もしどうしてもと言うなら、2時間だけ付き合うけど。」

2日目に続く・・・

プロリーグ(鳳凰戦)決勝観戦記/第29期鳳凰位決定戦 初日観戦記

私が初めてプロの対局というものを肌で感じたのは、今から9年前の「第20期鳳凰位決定戦」だった。
この年は、荒正義が挑戦者の立場で決定戦に進み、そしてその荒の採譜者を滝沢和典が務めていた。
プロ連盟の現在のタイトル戦はPCで採譜を行い、即日牌譜が観られる時代であるから、当時の手書きの紙牌譜というものが随分と懐かしく思える。
荒と知り合ったばかりの私は、その頃、麻雀プロに対する認識がほとんどなかった。
「早くプロになった方がいい」という荒の言葉の意味も、正直私にはよく理解できずにいたのである。
(そこに行けば何かわかるのだろうか)そんな思いから、私は試合会場である神楽坂へと足を運んだ。
そして気が付けば3日間全て、計18回戦に渡って荒の麻雀に見入っていた。
「プロというものは背中で魅せられる人のことを言うんだな」
この決定戦、荒は3着に敗れた。だが、一アマチュアの心を動かすには十分過ぎる戦いだった。
「この大きな舞台で自分もいつか戦いたい」
そんな思いが芽生えた瞬間でもあったのである。
昨年、荒はそれ以来の決定戦に進み、20年ぶりに鳳凰の座を奪還した。
今期は王者として、史上最高とも謳われるゴールデンカードでの防衛戦に挑むことになったのである。
その荒から私の元に電話があったのは、今期プロリーグの全日程が終了した翌日のことだった。
意外にもその内容は、今回の観戦記についてだった。断る理由はどこにもなかった。
いや、どこかで心の準備が出来ていたのかもしれない。
最後に放たれた荒の一言が凄く心に響いた。
「麻雀なんて二の次でいい。ヒサトなりの書き方で人間を描いてくれれば」
この言葉は、私に対してというより次の世代に向けてのメッセージのようにも聞こえた。
我々には、偉大な先輩達がいる。彼らが培ってきた伝統を受け継ぎ、後輩達に伝えていく。
間違いなく今、その段階に差し掛かっているのである。
それにしても凄いメンバーが集まったものである。
観戦記者という重責を背負ったこともあるが、自分以外の対局を前に寝付けなかったことなど、これが初めての経験である。
答えの出せない展開予測と、4者の戦前取材の言葉達が頭の中を行き交う。
ただ、その中でも1つだけ一致した言葉がある。
「先攻絶対有利」
皆それぞれ脚質は違えど、そこに重きを置いた戦いになるということなのだろうか。
決戦まであと8時間。もうすぐその答えが見つかる。

houou
左から荒正義プロ、瀬戸熊直樹プロ、前原雄大プロ、藤崎智プロ

1回戦(起家から、荒・藤崎・前原・瀬戸熊)
東1局、ドラ六索
対局室に張り詰めた空気が漂い、世紀の一戦に携わる全てのスタッフの緊張感もピークに達する。
「では、対局を開始して下さい」
午後1時15分、立会人藤原隆弘の合図により、2012年度の王者を争う長い長い戦いの火蓋が切って落とされた。
ニコニコ動画での有料放送が決まり、例年にも増して注目が集まる第29期鳳凰位決定戦の開局は、6巡目にして4者が1シャンテンという早い展開になる。
先攻有利を強く意識する各人にとっては、点棒の多寡もそうだが、まずは最初のアガリが欲しいところであろう。7巡目、最初のテンパイを入れたのは荒正義。

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ドラが2枚の七対子だ。
昨年の初戦で見せた、あの6,000オールが脳裏をよぎる。
五万五万九万九万九万六筒八筒  加カン東東東東  チー一索 左向き二索 上向き三索 上向き  リンシャンツモ七筒  ドラ九万
やはり今年も主導権を奪うのは荒か。
私はノートに目を落とし、そう書き記した。

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荒正義プロ

荒正義
現鳳凰位。第8期鳳凰位、第5期、29期王位、第10期最強位、第12期麻雀マスターズ、グランプリ2006など獲得タイトル多数。連覇に挑む“精密機械”が掲げる今回のテーマは「魅せる麻雀の追求」
戦前の取材では、「実際戦ってみなければわからないが、様々なシミュレーションは頭の中で出来上がっている。とにかく手を作って勢いを呼び込む」と答えてくれた。
1年間のブランクについても不安はなく、むしろ年間を通して対戦相手の打ち筋を研究できたことに大きな収穫があったようだ。鋭い読みと、鮮やかな手作りを武器とする荒の麻雀に死角はない。
ドラの六索がトイツになってテンパイが入ったこと、場に一索が1枚切れているが、二索が2枚飛んでいることなどから、ここで即リーチを打つ選択もあったが、荒は慎重にヤミテンを選択。
既に切っている前原はもちろん、藤崎の捨て牌からも一索はこぼれそうという判断か。
ところが10巡目、荒は場に2枚切れの東を引くと、ここが決断のときとばかり打一索としてリーチ。
七万七万三索三索四索四索六索六索東西西発発  リーチ  ドラ六索
いきなりの勝負手だけに、荒にとっては是が非でも結果を出したいところだ。
しかし同巡、西家・前原がすっと一索をツモ切る。荒の心中はいかばかりか。
その直後、北家・瀬戸熊も追いつく。
一万二万三万五万六万五索七索九索二筒二筒五筒六筒七筒  リーチ  ツモ六索
絶好のドラを引き入れ、高目3,000・6,000のリーチ。王者荒に敢然と勝負を挑む。
その荒のリーチ一発目のツモは、事もあろうになんと一索
前原からの9,600、或いは12,000、そして6,000オール、全てのアガリが泡となって消えた。
こうなれば圧倒的優位に立つ瀬戸熊。
12巡目に安目ながら四万を引き、今決定戦最初のアガリをものにする。

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瀬戸熊直樹プロ

瀬戸熊直樹
主な獲得タイトルは、第26、27期鳳凰位、第28、29期十段位、第14期發王位など。
日本プロ麻雀連盟が誇る“絶対的エース”が掲げる今回のテーマは「鳳凰奪還」
昨年は荒の徹底マークに遭い王座陥落となったが、下馬評では今期の優勝候補筆頭に挙げられる。
「とにかく自分との戦いになる。弱点のないメンバーばかりなので、いかに自分の麻雀を打ち続けられるかということに尽きるだろう。ただ、それが決して我がままな打牌にならないように、細心の注意を払って戦いに臨みたい」実に瀬戸熊らしい謙虚なコメントである。
昨年、自身2度目の十段位を獲得し、こちらも勝てば2度目となる鳳凰、十段のダブル戴冠を目指す。
続く東2局は、わずか5巡でのアガリが飛び出す。
五万五万五万二索二索七索八索二筒三筒四筒七筒八筒九筒  リーチ  ツモ九索  ドラ白
アガったのは親の藤崎。
1,000オールと得点こそ安いものの、まずはほっと一息のアガリといったところか。

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藤崎智プロ

藤崎智
主な獲得タイトルは、第16期十段位、第3期、5期、6期日本オープン、グランプリ2005など。
これが自身初となる鳳凰位決定戦に臨む“麻雀忍者”のテーマは「この1年応援してくれた人達のために最後まで頑張る」「今回の3人は間違いなく強い。だが、胸を借りる気はさらさらない。当然勝ちに行く。前日はパチンコでもして脳を休めるよ」
4者個別の戦前インタビューで、得意のジョークを交えながら最も多くの時間語ってくれた藤崎。
「逃げた人間について行って、最終日勝負に持ち込むのは難しくない。ただ、やっぱりこちらが逃げる展開にはしたい」
序盤に高いヤミテンをどれだけ作りだせるか。藤崎にとってはこれがひとつのポイントになりそうだ。
局面は進み、南1局。西家・前原の4巡目の手牌に注目頂きたい。

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上家の藤崎から、五筒が切られた場面である。
もっと言えば、前局に藤崎のリーチを掻い潜ってピンフをツモアガリ、2巡前にカン四索が埋まったばかりの場面でもある。前原はこの五筒にすかさずチーを入れ、打六万とする。
ニコ生放送の解説陣も思わず絶句するほどの仕掛けだ。
だが、これこそが前原の大局感のなせる業。
このあとカン四万も鳴け、流れるように鮮やかなアガリを仕留めてみせた。
三索四索五索一筒一筒八筒八筒  チー四万 左向き三万 上向き五万 上向き  チー五筒 左向き三筒 上向き四筒 上向き  ツモ一筒  ドラ一筒
この局について後に話を聞くと、荒の捨て牌が異常なことと、既に六筒九筒がほとんど残っていないだろうとの読みがあったと言う。五筒だから仕掛けられた、逆に言えば五筒以外からは仕掛けられなかったと振り返っていた。手格好ではなく、門前では勝負にならないとの読みがズバリ的中した一局であるということが言える。

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前原雄大プロ

前原雄大
第12期、25期鳳凰位、第14期、15期、24期、25期、26期十段位など獲得タイトル多数。
4期ぶりの鳳凰位返り咲きを狙う“卓上の超獣”が掲げるテーマは「きちんと攻めてきちんと放銃する」
日が近づくに連れ、恐怖心のようなものも若干芽生えてきていると口にしていた前原。
逆に、それだけ戦いに向けての高揚感があるということなのかもしれない。
「失点するかもしれないが、先攻していくのは自分なんだろう。成功すれば、初日はノーガードに近い形で行き切ってしまおうという思いはある」
良作、駄作を織り交ぜた独特の打ち回しで、いかに親番をブレークさせるか。
前原にとってはそこが鍵となる。
1回戦は、この2,000・3,900をものにした前原が、この後も危なげない麻雀でトップを奪った。
まだ20分の1が終わっただけとは言え、前原にとっては今後のゲームプランが立て易くなったか。
反対にラスを引いた荒は、やはり開局のアガリ逃しが痛かった。
現鳳凰がここからどう立て直してくるか、2回戦以降も興味は尽きない。
1回戦成績
前原+19.8P  瀬戸熊+7.7P  藤崎▲10.0P  荒▲17.5P
 
2回戦(起家から、前原・荒・藤崎・瀬戸熊)
流局が続く静かな立ち上がりだったが、荒が親で1,500をアガリ、3本の供託を含めてまずはリードを奪う形となった。ここで更なる連荘を重ねたい荒だったが、それにストップをかけたのが西家の瀬戸熊。
三索三索六索六索七索七索一筒二筒二筒五筒五筒白白  リーチ  ツモ一筒  ドラ三筒
瀬戸熊は、これがこの日最も感触のいいアガリだったと振り返った。
上昇気配のある荒の親を潰したこともあるだろう。そして、これで強く前に出て戦えるというきっかけにもなっただろう。ここから瀬戸熊のエンジンは全開となっていく。
東3局、親・藤崎。
配牌にマンズが偏っていた西家・前原が、わずか5巡にしてテンパイを入れる。
一万一万二万三万四万四万五万五万六万七万九万発発  ツモ三万  ドラ八万
少考の後、前原が出した答えは打一万でのリーチ。
一万が既に2枚飛んでいることもあっただろうが、この手は決め手になり得るとの判断か。
これに真っ向からぶつかっていくのが、南家・瀬戸熊である。

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前原のリーチを受けた一発目のツモでカン七万が埋まる。
直前に、親の藤崎が三筒をツモ切っていることから、これを外すケースもあるだろう。
また、既に二筒が3枚飛んでいることから、四筒七筒に手が掛かることもある。
しかし、瀬戸熊が選んだのは、リーチを全く視界に入れない打六万だった。
自信を持ってこの一打を選択できるところに、瀬戸熊の気力が充実していることがうかがえる。
「中途半端な気持ちで勝ち切れるか!」
そんな想いが伝わってくるかのような一打だった。
七万八万九万三筒四筒六筒七筒八筒西西西白白  リーチ  ロン二筒  ドラ八万
この局、瀬戸熊は真っ直ぐ攻め抜いて、前原から2,600を討ち取った。
次局の親に繋がる、点棒以上に大きなアガリである。
五万六万七万二索四索七筒七筒  暗カン牌の背白白牌の背  チー二筒 左向き三筒 上向き四筒 上向き  リンシャンツモ三索  ドラ三筒
瀬戸熊は続く東4局の親番で、この3,900オールをツモアガリ、この半荘のトップをほぼ手中に収めた。
道中で、荒に6,400、1,300と放銃し点差を縮められたが、攻めた上での放銃だけに本人も納得のものだったはずだ。
オーラス、追い上げる荒が1,000・2,000を引きアガって瀬戸熊に肉薄するが、序盤のリードが効き、2回戦は瀬戸熊が辛くもトップを守り切った。
2回戦成績
瀬戸熊+19.8P  荒+15.1P  藤崎▲14.4P  前原▲20.5P
2回戦終了時
瀬戸熊+27.5P  前原▲0.7P  荒▲2.4P  藤崎▲24.4P
 
3回戦(起家から、瀬戸熊・藤崎・荒・前原)
東1局は全員ノーテンで流局。
迎えた東2局、4巡目にテンパイを入れていた瀬戸熊が8巡目、リャンメン待ちに振り変わったところでリーチ。
二万三万四万五万六万七万四索五索七筒七筒白白白  リーチ  ドラ二筒
次巡、ドラを重ねた荒が追いつき、場に1枚切れの発タンキでリーチを打つ。
一万一万五万五万四索四索二筒二筒東東西西発  リーチ
ちょうど1回戦の開局と同じような構図となったが、ここも制したのは瀬戸熊。
荒から六索で2,600の出アガリとなった。
「徐々に瀬戸熊の体勢が出来つつあるか」このアガリを見て、私はそうノートに書き記した。
続く東3局、親の荒が5巡目にドラをトイツにしたところで二万を仕掛ける。
二万二万四索四索八索九索三筒五筒七筒八筒九筒発発  ドラ四索  二万打たれる
結果的にはこれが好判断で、その後二筒発と引き込み、七対子のテンパイが入っていた前原から、四筒で5,800を召し取ることに成功した。
四索四索二筒三筒七筒八筒九筒発発発  ポン二万 上向き二万 左向き二万 上向き  ロン四筒
さて、ここまで全くと言っていいほどチャンスに恵まれないのが藤崎である。
3者の攻めがきついこともあるが、何せ手が入らない。
しかし、このまま手をこまねいていては、1人おいてけぼりを喰らうことにもなりかねない。
そんな藤崎にこの東3局1本場、ようやく勝負手がやってくる。
まず先手を打ったのは南家の前原。6巡目に以下の形で即リーチ。
二万四万二索三索四索七索八索九索五筒六筒七筒東東  リーチ  ドラ九万
見る人が見れば、何だこれは、と言われそうなリーチだが、ケレン味たっぷりにこのリーチを打ち続けられるのが前原流。小技を使いながら相手の体勢を崩し、自分の流れに持ち込むのが得意の勝ちパターンである。
だが、当然のことながら前原と対戦歴の長い打ち手は、それを十分にわかっている。
戦前藤崎は、前原の麻雀を「ホップ、ステップ、ジャンプの麻雀」と形容した。
「ジャンプまで行かれたら、もう手が付けられない。どの段階で止められるかが重要だ。」
その言葉通り、今局藤崎は無スジを連打する。
前局、荒に5,800を打ち上げた相手、ということもあるだろう。
このクラスになれば、勝負所を見誤るケースはほとんどないと言っていい。
8巡目、ドラを引き込んだ藤崎がリーチ。
五万六万七万七万八万九万九万一筒二筒三筒五筒六筒七筒  リーチ
11巡目、手負いの前原から六万で7,700を討ち取った。
こうなれば藤崎の半荘になるか、というほど手応えのあるアガリに見えたが、これに待ったを掛けたのが、現鳳凰の荒だった。
ラス前の親番で、瀬戸熊から軽く1,500をアガると続く1本場でも、高目タンピン三色のリーチを打った瀬戸熊から5,800の出アガリ。
二筒三筒三筒四筒四筒五筒六筒  ポン九筒 上向き九筒 左向き九筒 上向き  ポン南南南  ロン六筒  ドラ一索
そして何より秀逸だったのは、流局を挟んで迎えた南3局3本場である。
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荒の最大の長所は、シュンツ手の捌き方である。とにかく柔らかく、そして正確なのだ。
7巡目の六索切りなどは、是非とも参考にしていただきたい一打である。
材料は多少いびつでも、じっくり手を掛けて、旨い料理に仕上げる、そんな表現がピッタリの素晴らしい打ち回しだった。
四万五万六万七万九万五索六索七索一筒二筒三筒発発  リーチ  ツモ八万  ドラ発
3回戦成績
荒+25.7P  藤崎+6.9P  瀬戸熊▲4.2P  前原▲28.4P
3回戦終了時
瀬戸熊+23.3P  荒+23.3P  藤崎▲6.9P  前原▲29.1P
 
4回戦(起家から、前原・荒・藤崎・瀬戸熊)
この日、最も点棒の動きが小さかった4回戦。局面が動いたのは東3局。
西家・前原が、3巡目に四索を引いたところで打八筒とする。
五万六万七万二索三索七索七索三筒四筒六筒八筒発発  ツモ四索  ドラ七索
発をトイツで払えば跳満まで見える手格好だが、ここは発を仕掛けて3,900でも十分の構えか。
5巡目には二筒を引き込んでテンパイ、そしてリーチ。
もしRをトイツ落としなら、ここでカン七筒のタンヤオ、ドラ二索のテンパイ。
だが、それだとヤミテンに構えそうな分、リーチの選択においてはこのシャンポン待ちのほうがやや有利に見える。
結果は、タンヤオ、イーペーコーのテンパイを入れて追いついた荒から発で8,000の出アガリ。
この後、大きなアガリが出なかったことも手伝って、前原がこの日2度目のトップをものにした。
4回戦成績
前原+14.1P  瀬戸熊+7.6P  荒▲6.7P  藤崎▲15.0P
4回戦終了時
瀬戸熊+30.9P  荒+16.6P  前原▲15.0P  藤崎▲32.5P
 
5回戦(起家から、前原・荒・瀬戸熊・藤崎)
これが初日の最終戦である。
ここまで好調をキープするのは、1回戦からオール連帯の瀬戸熊。
今期のプロリーグ同様、抜群の安定感である。
反対に厳しい展開が続くのは、そのプロリーグで年間通してトップを走り続けた藤崎だ。
藤崎は今期、わずか3節目にして決定戦進出の当確ランプを点灯させた。
だが、本人にとってはそれが相当なプレッシャーになったようで、実際に確信を持てたのは第8節が終了したときだったと語った。
そこに関して前原は、次のように言及している。
「今回の決定戦、藤崎はかなり苦戦すると思う。それは早々と決定戦進出が見えたことで、本来のリーグ戦とは違う形になってしまったから。モチベーションをキープさせるのも難しかっただろうし、過去のデータから見ても、リーグ戦を走った(独走した)人間が鳳凰を獲るケースはあまり記憶にない。」
今回が初の決定戦となる藤崎に対して、前原はこれが実に11度目の決定戦である。
加えて、藤崎以外の3者は、過去にそれぞれ2度、鳳凰位の栄冠を手にしている。
この長い戦いでは、どこかでそういった経験の差が出てくるということなのだろうか。
東1局、親・前原。
1人テンパイ、瀬戸熊から2,000は2,300とアガって迎えた2本場、遂に前原が親で火を噴く。
配牌は以下。
八万二索五索二筒二筒四筒六筒八筒九筒東南北白中  ドラ八筒
アガリを考えるとかなり厳しい部類の手牌だが、2巡目に中を重ね、藤崎の中を仕掛ける。
すると7巡目には、ピンズのホンイツ1シャンテンにまで漕ぎ着ける。
七索二筒二筒二筒四筒六筒八筒九筒東東  ポン中中中
同巡、瀬戸熊が以下の手牌でリーチ。
二万三万四万七万八万九万三索四索五索一筒一筒六筒七筒  リーチ
この時点で五筒八筒は残り4枚。対して前原は、七筒が既に山に残っておらず、瀬戸熊のアガリが時間の問題かと思われた。ところがここから前原は、八筒四筒五筒と引いて12巡目、遂に瀬戸熊に追いつく。
二筒二筒二筒四筒五筒六筒八筒八筒東東  ポン中中中
アガリ牌は瀬戸熊の五筒が2枚、そして前原の東が2枚という非常に見応えのある局面となったが、この息詰まる攻防を制したのは前原だった。
二筒二筒二筒四筒五筒六筒八筒八筒東東  ポン中中中  ツモ東
あの配牌からは想像だにできない、見事な6,000オールである。
前原は続く3本場でも、瞬く間に6巡目のリーチを放つ。
四万五万六万二索三索四索七索七索三筒四筒五筒東東  リーチ  ドラ一万
しかしと言うのか、やはりと言うのか、ここでも真っ向勝負に挑むのは西家の瀬戸熊。
リーチ後、前原のツモ切った八筒をポンして、食いタンで捌きに掛かる。
六万六万七万七万八万四索五索六索四筒四筒  ポン八筒 上向き八筒 左向き八筒 上向き
面白いことに、瀬戸熊が切る牌は全て前原の現物なのだが、見ているこちらには、どうも安全を保険に戦っているようには感じられないのである。
戦前、瀬戸熊は、「特にマークは設けない」と話していた。
だが、この5回戦までの打牌がそれを否定しているようにも思えた。
「前原を封じ込めなければ、優勝はない」瀬戸熊の表情には、そう感じさせる何かがあった。
六万六万七万七万八万四索五索六索四筒四筒  ポン八筒 上向き八筒 左向き八筒 上向き  ロン五万
瀬戸熊は前原からこの1,000は1,900を出アガると、荒の親番では、浮きに回る好手をしっかりとツモアガる。
三索四索五索六索六索一筒三筒四筒五筒六筒七筒八筒九筒  ツモ二筒  ドラ八筒
そして続く東3局、自らの親番でもきちっと加点を決める。
三万三万二索三索四索四索五索六索一筒一筒二筒三筒三筒  リーチ  ツモ二筒  ドラ一万
この半荘、最終的に前原を捲ることは叶わなかったが、5回戦通じて一番“打てている”のは、誰の目から見ても瀬戸熊であることは間違いない。ポイントもそうだ。
まだ4分の1を消化したばかりとは言っても、出来、不出来、或いは4人の絡みなど、浮き彫りになったものはたくさんあるはずだ。
今日調子の良かった者は、明日も同じように戦えばいい。
逆に、調子の悪かった者は、好調者を走らせないように、且つマイナスを削っていかなければならない。
不利な戦いを挑まなければならない局面も出てくるだろう。
「先攻絶対有利」
帰り道、戦前4者が口にしたこの言葉が、いつまでも頭から離れなかった。
5回戦成績
前原+28.6P  瀬戸熊+8.7P  荒▲12.8P  藤崎▲24.5P
5回戦終了時
瀬戸熊+39.6P  前原+13.6P  荒+3.8P  藤崎▲57.0P
 
初日を終えて
瀬戸熊「荒さん、前原さんの連荘中にぶつけに行くのは勇気がいるが、しっかり戦おうと思っていた。
負けてもおかしくない局面はたくさんあったが、自分らしく打てたと思う。」
前原「瀬戸熊は本当に強い。やっぱり力技だけではダメ。自分のダメさ加減がよくわかった。明日は決めに行かないように打つ。」
荒「初戦の東1局が全て。前原が一索をツモ切ったときは、ゾッとした。あれをアガリ逃して今日1日終わったなと。」
藤崎「5回戦やって、アガったのは4回。喋ることがないくらい辛かった。もしどうしてもと言うなら、2時間だけ付き合うけど。」
2日目に続く・・・

第7期女流桜花決定戦 最終観戦記

初日終了時のポイントは以下の通り。
初日終了時トータル
魚谷+52.3P  矢口+29.8P  和久津▲32.6P  内田▲49.5P

やや上下で離れたが、まだ折り返しで昨日と真逆が起きれば、内田の優勝の可能性も十分ある。
対局前にそれぞれにコメントをお願いした。

魚谷「しっかり眠れました。昨日は無心で打ち続けていましたけど、ポイント差も生まれて勝ちたいなという欲がメラメラと出てきました。その気持ちを上手くコントロールして冷静に麻雀と向き合いたいです」

矢口「ゆっくり眠れて、しっかりご飯も食べました。気合いれて昨日に引き続き頑張ります」

和久津「あまり眠れなかったよ。昨日は勝負に行けずもやもやしたから、今日は勝負をしたいね」

内田「昨日は自分の勢いを信じきれなかったので、結果を気にせず自分を信じて麻雀を打ち切りたいと思います」

 

6回戦(起家から、和久津、魚谷、内田、矢口)

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左から内田美乃里プロ、魚谷侑未プロ、和久津晶プロ、矢口加奈子プロ

最初にチャンスを掴んだのは東2局、親番での魚谷、ドラを暗刻にしての先制リーチ!

三万四万五万六万六万六万九万九万五索六索三筒四筒五筒  リーチ  ドラ六万

そこに追いついたのが、昨日はやや消極的に見えた矢口。

四索四索四索五索七索八索九索一筒二筒三筒七筒八筒九筒

打点はそれほどでもないが、首位魚谷に走らせまいとリーチで追いかけ三索で討ち取る。
今日はやる気で積極的だ。すごく良い感じに見えた。これで勢いに乗ると次局も、

一索三索四索四索五索五索六索北北北発発発  ツモ一索  ドラ四筒

このアガリで40,000点台のトップ目になり親を迎えた配牌がこれ。

二万三万八万二索四索六索九索一筒二筒二筒東東北北  ドラ四索

すぐにダブ東が鳴け、7巡目には5,800のテンパイ。

二万三万四万二索四索一筒二筒三筒北北  ポン東東東

ここで南家の和久津から勝負!とリーチが入る。

五万五万六万七万七万二索二索三索四索五索四筒五筒六筒  リーチ

勝負所になったなーと思いながら見ていると、矢口は1枚切れの南で手が止まる。
確かに待ちはドラ表示牌で苦しいが、この2局積極的に行って良い結果が出ていたし、和久津の捨て牌は比較的タンピン系の並びになっていたのでここは攻めて欲しかった。
現状トップ目で大事に行った結果とはいえ、オリた直後に和久津が三索をつかみ突き抜けるチャンスがあっただけに悔やまれる。

南1局1本場、親の和久津がリーチ三色の本手で先制を取る。
ここに勝負を挑んだのが、ここまで良い所のなかった内田。
先制リーチ後に有効牌を2枚引き入れ、ドラ切りの追いかけリーチで見事和久津からメンタンピンドラ1の7,700は8,000。昨日はなかった内田の思い切りのよいアガリが炸裂した。

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その後は細かく点数が動きオーラス、親の矢口40,300、和久津28,800、魚谷24,700、内田26,200という並び。皆の考えとしては、このままトータル首位の魚谷をラスにしたまま終えたいといった所か。
道中丁寧に打ちまとめ、先手をとったのはまたしても和久津。
アガリこそ無いものの、この半荘4回目の本手である。攻め続けると手が入るものなのか?

三万四万一索一索二索三索四索七索八索九索二筒三筒四筒  ドラ九索

そこにこちらも丁寧にまとめた魚谷が同巡、追いかけリーチ。

二万三万六万七万八万六索七索八索三筒三筒六筒七筒八筒  リーチ

これを一発で高めの四万で引きアガリ、とても大きな3,000・6,000。
ワンチャンスを見事に生かし2日目をトップスタートとした。
魚谷強し、である。

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魚谷侑未プロ

6回戦成績
魚谷+15.7P  矢口+8.3P  和久津▲9.2P  内田▲14.8P

トータル成績
魚谷+68.0P  矢口+38.1P  和久津▲41.8P  内田▲64.3P

 

7回戦(起家から矢口、魚谷、内田、和久津)

6回戦のオーラスまで、魚谷をラスの位置に居させただけに、最後の逆転トップのアガリは他の者達にとって相当強烈であった。いよいよポイント差も下位とは100P差を越え、残り4回戦ということを考えると自身のポイントを伸ばすのはもちろんの事、魚谷を原点以下、できれば大きくマイナスさせることが優勝するために必要な条件になってきた。

開局に矢口がファーストテンパイ。

二索三索四索七索七索七索九索九索九索七筒八筒九筒西  ドラ西

しかし、これをヤミテン。なぜ?
打点の高い手を競技ルールで作るのは大変なだけに、ドラ単騎は有効な作戦である。
役ありのヤミテンなら理解できるのだが、親で先手、ドラ単騎待ちとはいえ打点もあるのに役なしでリーチに行かない理由が僕にはわからない。
ツモる自信がなかったのか、それとも手変わりを待ったのかもしれないが、同巡にアガれない西を魚谷に打たれる事になる。その結果、魚谷が発ホンイツの5,200を和久津からアガリこの局を終える。
矢口はリーチにさえ踏み切れば、最悪テンパイ連荘出来そうであったので実に悔やまれる。

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矢口加奈子プロ

三万四万七万八万九万白白発発発  ポン六万六万六万  ロン二万

東2局、魚谷の親で和久津が意地を見せる。

四万四万四万六万七万八万五索五索六索六索七索三筒三筒  リーチ  ツモ七索  ドラ一万

これ以上好きにさせないぞ、と高めツモの2,000・3,900。
実は、前局簡単に二万を放銃してしまった様に見えたのだが、それも攻め続けるという意思の下であれば納得である。
続く東3局は、親の内田が今度は私の番よと言わんばかりに、7巡目リーチのメンタンピンツモの2,600オール。

二万三万四万五万六万三索四索五索六索七索八索二筒二筒  リーチ  ツモ七万  ドラ三筒

下位2人が奮闘する展開になるかと思われたが、対する魚谷も次局この配牌を、

三万八万九万一索一筒二筒二筒四筒五筒六筒南白発  ドラ発

第一ツモが三索で丁寧に八万から切りだしていく。
魚谷の麻雀はよく、アガリに対するスピードを重視していると取り沙汰されているが、今回のようにアガリには遠いであろう配牌の時はきちんと手役を追い、打点とスピードのバランスをしっかり取っている。
スピードが早ければ打点は幾分下がっても良いし、スピードが遅いようなら打点を高く仕上げて持っていくのがセオリーだと思う。
それがしっかり出来ているし、引き際も常に考えているのでマイナス収支(放銃)も少ない。

二筒二筒二筒四筒四筒五筒五筒五筒六筒七筒  ポン一筒一筒一筒 1人テンパイ

オーラスを迎え、最後に捌いてトップを取ったのはやはりこの人だった。

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7回戦成績
魚谷+11.5P  内田+6.7P  和久津▲4.9P  矢口▲13.3P

トータル成績
魚谷+79.5P  矢口+24.8P  和久津▲46.7P  内田▲57.6P

 

8回戦(起家から内田、矢口、魚谷、和久津)

首位・魚谷とのそれぞれの差がおおまかに矢口と55P、和久津と125P、内田と135Pとなった。
なかなか魚谷を捕まえられないのは、やはり魚谷の守備力の高さ故であろう。
ここまで4ハン以上の高い打点に放銃したのは、3回戦の内田への12,0001回きり。
それも、親の跳満が見込める1シャンテンの手であったので、そんなに酷い打ちこみという訳でもない。
誰か、逃げる魚谷を捕まえる者は出てくるのだろうか。

東1局、配牌ドラ2であった魚谷が7巡目にリーチ。

二万三万四万六万七万四索五索六索四筒五筒六筒南南  リーチ  ドラ南

ここに、親の内田が無筋を3枚切って追い掛けリーチを打つも、同巡に魚谷が八万をツモリ2,000・4,000。
強い。正直、このアガリで魚谷の沈みがほとんど無いかと思わせた。

東2局、和久津が10巡目にリーチ!

一万二万三万三万四万五万七万八万九万北北白白  リーチ  ドラ九万

その捨て牌は、完全にマンズホンイツの河である。
結果流局したのだが、1回くらいヤミテンにしろよ!と思った視聴者の方もいたはずではないか?
僕もそう思ったが、これが彼女のやり方で、スタイルなのである。

東3局、内田が魚谷から七対子ドラ2の6,400を打ち取ると、このアガリをきっかけに反撃にでる。
東4局は、和久津からメンピンドラ1の3,900のアガリ。親番となった南1局は5巡目の本手リーチ。

三万四万五万三索四索五索四筒五筒六筒六筒  暗カン牌の背白白牌の背 ドラ南

高めの三筒は、リーチ時2枚山にあったが、脇に流れて流局。
この親はおとせないと、1本場も3巡目テンパイのリーチ中の3,900は4,200を和久津から出アガリ。
2本場はドラ暗刻の配牌を得るがここまで。最後のひと押しが決まらず内田の反撃は終えた。

南2局、リーチは和久津の捨て牌である。

九万八筒七筒五万五万九筒南九筒五索リーチ

残りツモ2回の所で、勢いよく發を引きアガリ3,000・6,000。

一索二索三索五索六索七索七索八索九索西西発発  リーチ  ツモ発  ドラ八索

それ!東2局に流局した牌姿そっくりやん!それでもリーチって、、、その信念、本当に素晴らしい。
そして、ここからが和久津の真骨頂、1回スイッチが入るとオーラス親番で、

四万六万七万八万九万四索五索六索四筒四筒東東東  リーチ  ロン五万  ドラ七万

七万八万九万九索九索三筒三筒五筒六筒七筒北北北  リーチ  ツモ九索  ドラ九索

五万五万六万七万八万七索八索一筒二筒三筒六筒七筒八筒  リーチ  ツモ九索  ドラ八万

アマゾネスRUSH!たった3局で30,000点程加点して大きいトップとなった。

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和久津晶プロ

8回戦成績
和久津+41.7P  内田+10.7P  魚谷▲12.4P  矢口▲40.0P

トータル成績
魚谷+67.1P  和久津▲5.0P  矢口▲15.2P  内田▲46.9P

 

9回戦(起家から矢口、内田、魚谷、和久津)

ついに超攻撃型アマゾネスが覚醒した8回戦。
首位を走る魚谷も、1番追われたくない相手が番手に着けたので気が気でないであろう。
マイナス域に落ちた矢口ももう攻めるしかないし、内田も同様だ。

ouka

内田美乃里プロ

東1局に、内田が渾身のリーチ。

一万二万三万八万九万九筒九筒南南南北北北  リーチ  ツモ七万  ドラ八筒

このアガリをきっかけに、この9回戦は物凄い乱打戦となった。
東3局、親の魚谷が2つ仕掛けて3,900オールでトップ目に。

二筒四筒六筒七筒八筒北北  ポン西西西  チー八筒七筒九筒  ツモ三筒  ドラ北

続く1本場は、和久津が親の魚谷の先制リーチにひるまず突っ込み、

四万五万五万六万六万七万五索六索七索八索八索六筒七筒  リーチ  ロン五筒  ドラ四索

これを矢口から高め五筒で討ち取ると、続く親番が凄かった。

動画再生

結果の5,800出アガリはラッキーな感じだが、内田のメンホンリーチに12巡目に形テンで仕掛けると、超危険牌の九索も切り飛ばし必死の連荘狙い。
この親は絶対落とさないという気持ちが内田のアガリ牌を食い下げ、自身のアガリに結びついたのだ。
もはや技術云々でなく、勝ちたい気持ちが前面に現れた一局であった。

※第7期女流桜花全10回戦は、こちらの動画サイトから視聴することが出来ます。
(一部有料)

追われる魚谷も次局、和久津に負けてはいられないと、内田の先制リーチに突っ込みアガリきり再びトップ目に。

五筒六筒七筒八筒九筒白白  明カン牌の背中中牌の背  ポン東東東  ロン七筒  ドラ五筒

矢口も親で必死に連荘し、内田も本手のリーチを再三打つが、

七万八万九万三索三索四索四索五索五索八索七筒八筒九筒  リーチ  ツモ八索  ドラ八索

和久津のこのアガリでこの半荘勝負あり、見事2連勝を飾った。

9回戦成績
和久津+22.8P 魚谷+7.5P 矢口▲6.2P 内田▲24.1P

トータル成績
魚谷+74.6P 和久津+17.8P 矢口▲21.4P 内田▲71.0P

 

10回戦(起家から和久津、矢口、内田、魚谷)

2日間に渡り、長かった戦いもいよいよ終焉を迎える。
ここに来ての2連勝で波に乗る和久津は、7回戦を終えた時点で、魚谷と126.2Pあった差が今や56.8P。
首位・魚谷がこのまま逃げ切るのか、はたまた和久津の大逆転はあるのか?
運命のサイコロが振られ静かに最終回が始まった。

ouka

開局、起家の和久津の親番。
魚谷、和久津、双方にとって1つ目の山場である。

四万四万五万六万七万二索三索七索八索九索八筒八筒八筒  リーチ  ツモ一索  ドラ六万

12巡目に、先制リーチを打った和久津がツモアガリを果たす。
続く1本場、親を早い所で落したい魚谷がドラ2でリーチ。

五万六万七万二索三索三索四索五索七索七索七索五筒五筒  ドラ三索

同巡に追いついた和久津も、全面戦争の構えで無筋を連打、早速の勝負所に見つめる観衆も息を飲む。

四筒五筒六筒七筒八筒九筒北北発発  チー三筒二筒四筒

このめくり合いは決着付かず流局となり、次局は矢口がツモアガリ和久津の親は落ちる。

東2局、またしても先手をとったのは和久津、8巡目に、

一万二万八万八万二索三索四索五索六索七索一筒二筒三筒  ツモ三万  ドラ東

ここから七索切りの高め三色のフリテンリーチを敢行。
このリーチには親の矢口がドラの東を鳴いて反撃するも、14巡目に和久津が再び七索をツモアガる。
東3局は、和久津が2,000点をアガリ、東4局は魚谷の先制リーチを矢口がかわしての南1局、2度目の山場である。

現在の着順のままならば、6,000オール1回で首位が変わる所まで詰めた和久津。
気合を入れてサイコロボタンに手を伸ばした配牌がこうで、

三万五万六万七万八万四索五索九索一筒二筒三筒四筒九筒西

これを丁寧に仕上げ12巡目に高め6,000オールのリーチを放つ。
この時高めの三索が3枚、六索が1枚山に残っていたが、ここは六索をツモで2,600オール。

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次局は、内田が先制リーチを打つも、和久津が真っ向勝負で六万を打ち取る。

内田
五万六万七万九万九万三筒三筒三筒三筒四筒五筒西西  リーチ  ドラ三筒

和久津
七万八万二索三索四索六索六索六索七索七索七索五筒五筒  リーチ  ロン六万

南1局2本場、再び和久津がどれだけ「持っている」のであろう、メンタンピン高め三色のリーチ。

三万三万五万六万七万二索三索四索六索七索五筒六筒七筒 ドラ一索

これが6,000オールとなれば、魚谷をかわし逆に15P程のリードを得る事になるのだが、ここも安めの八索ツモアガリで2,600は2,800オールとなった。

安めであったが、ついに2回戦の四暗刻単騎をアガって以来、首位を守り続けてきた魚谷がその座を和久津に奪われる。とはいえ、その差は1.9Pと2,000点で変わる点差で、同3本場。

二万三万四万三索三索八索八索六筒七筒八筒  チー四筒三筒五筒  ツモ八索  ドラ北

魚谷が300・500は600・800をツモアガリ再度逆転すると、

二万二万六万六万七万七万二索二索四索四索六筒六筒七筒  ロン七筒  ドラ五万

六索六索五筒六筒七筒中中  チー七筒八筒九筒  チー九万七万八万  ツモ中  ドラ五万

これらの連続アガリで、和久津との点差を広げ運命のオーラスを迎えた。

現状の点差は8.5P魚谷がリードという事で、相当早い巡目に魚谷に手が入らない限りは、1局での勝負になると予想される。
和久津に与えられた条件は、4,500以上直撃か、1,600・3,200以上のツモアガリ、他家から跳満の出アガリである。

魚谷の配牌は、
二万五万七万四索六索九索一筒九筒北北白発発中  ドラ北

早いアガリが見込め無さそうなので、第一打を五万とし今局での終局を目指す。

和久津の配牌は、

二万三万三万四万五万六万九万五索七索五筒八筒南南

ダブ南に、ホンイツに、一通に三色に色々見え、なんとか条件を満たそうと一手一手慎重に進める。
14巡目に待望の南を引きいれテンパイするも、

ouka

しかしこの時点で七万は他家の手に全て入っており、純カラ。
知る由のない魚谷は、和久津がツモる度に祈る。和久津は自身の優勝を掴むため全力で模打を繰り返す。
その映像をバックにしてのニコ生視聴者からの「魚谷おめでとう」「和久津よくやった」という沢山のコメントが流れている絵が大変印象的であった。

最後のツモを力無くツモ切り、長い戦いが終わった。

10回戦成績
和久津+45.3P 魚谷▲6.0P 矢口▲13.7P 内田▲26.6P

最終成績
魚谷+68.6P 和久津+63.1P 矢口▲35.1P 内田▲97.6P 供託1.0P

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優勝者、魚谷のコメント

第7期女流桜花を優勝して、今大会を連覇する事が出来ました。
まずは、皆様に御礼を言わせて下さい。本当に本当にありがとうございました。
私が今回、女流桜花を連覇する事ができたのは、私の周りに居て下さる皆様のお陰だと心から思っています。
優しく愛のある指導をして下さるプロ連盟の先輩方。共に切磋琢磨して来た同期や後輩達。
そして、私をいつも応援して下さる皆さん。
たくさんの方々の支えがあったからこその優勝だと思っています、本当にありがとうございました。
「第6期・7期女流桜花連覇」という肩書に恥じぬよう、更に精進していかなくてはならないと思っています。まだまだ麻雀も人間性も未熟な私ではありますが、全てにおいてもっと成長出来るように頑張ります!
そして、大好きな麻雀の素晴らしさを少しでも多くの人に伝えていけるように麻雀プロとして麻雀の普及活動にも貢献していきたいと思っています。
これからも精一杯頑張りますので、応援宜しくお願いします!

※第7期女流桜花全10回戦は、こちらの動画サイトから視聴することが出来ます。
(一部有料)

女流プロリーグ(女流桜花) 決勝観戦記/第7期女流桜花決定戦 最終観戦記

初日終了時のポイントは以下の通り。
初日終了時トータル
魚谷+52.3P  矢口+29.8P  和久津▲32.6P  内田▲49.5P
やや上下で離れたが、まだ折り返しで昨日と真逆が起きれば、内田の優勝の可能性も十分ある。
対局前にそれぞれにコメントをお願いした。
魚谷「しっかり眠れました。昨日は無心で打ち続けていましたけど、ポイント差も生まれて勝ちたいなという欲がメラメラと出てきました。その気持ちを上手くコントロールして冷静に麻雀と向き合いたいです」
矢口「ゆっくり眠れて、しっかりご飯も食べました。気合いれて昨日に引き続き頑張ります」
和久津「あまり眠れなかったよ。昨日は勝負に行けずもやもやしたから、今日は勝負をしたいね」
内田「昨日は自分の勢いを信じきれなかったので、結果を気にせず自分を信じて麻雀を打ち切りたいと思います」
 
6回戦(起家から、和久津、魚谷、内田、矢口)

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左から内田美乃里プロ、魚谷侑未プロ、和久津晶プロ、矢口加奈子プロ

最初にチャンスを掴んだのは東2局、親番での魚谷、ドラを暗刻にしての先制リーチ!
三万四万五万六万六万六万九万九万五索六索三筒四筒五筒  リーチ  ドラ六万
そこに追いついたのが、昨日はやや消極的に見えた矢口。
四索四索四索五索七索八索九索一筒二筒三筒七筒八筒九筒
打点はそれほどでもないが、首位魚谷に走らせまいとリーチで追いかけ三索で討ち取る。
今日はやる気で積極的だ。すごく良い感じに見えた。これで勢いに乗ると次局も、
一索三索四索四索五索五索六索北北北発発発  ツモ一索  ドラ四筒
このアガリで40,000点台のトップ目になり親を迎えた配牌がこれ。
二万三万八万二索四索六索九索一筒二筒二筒東東北北  ドラ四索
すぐにダブ東が鳴け、7巡目には5,800のテンパイ。
二万三万四万二索四索一筒二筒三筒北北  ポン東東東
ここで南家の和久津から勝負!とリーチが入る。
五万五万六万七万七万二索二索三索四索五索四筒五筒六筒  リーチ
勝負所になったなーと思いながら見ていると、矢口は1枚切れの南で手が止まる。
確かに待ちはドラ表示牌で苦しいが、この2局積極的に行って良い結果が出ていたし、和久津の捨て牌は比較的タンピン系の並びになっていたのでここは攻めて欲しかった。
現状トップ目で大事に行った結果とはいえ、オリた直後に和久津が三索をつかみ突き抜けるチャンスがあっただけに悔やまれる。
南1局1本場、親の和久津がリーチ三色の本手で先制を取る。
ここに勝負を挑んだのが、ここまで良い所のなかった内田。
先制リーチ後に有効牌を2枚引き入れ、ドラ切りの追いかけリーチで見事和久津からメンタンピンドラ1の7,700は8,000。昨日はなかった内田の思い切りのよいアガリが炸裂した。

ouka

その後は細かく点数が動きオーラス、親の矢口40,300、和久津28,800、魚谷24,700、内田26,200という並び。皆の考えとしては、このままトータル首位の魚谷をラスにしたまま終えたいといった所か。
道中丁寧に打ちまとめ、先手をとったのはまたしても和久津。
アガリこそ無いものの、この半荘4回目の本手である。攻め続けると手が入るものなのか?
三万四万一索一索二索三索四索七索八索九索二筒三筒四筒  ドラ九索
そこにこちらも丁寧にまとめた魚谷が同巡、追いかけリーチ。
二万三万六万七万八万六索七索八索三筒三筒六筒七筒八筒  リーチ
これを一発で高めの四万で引きアガリ、とても大きな3,000・6,000。
ワンチャンスを見事に生かし2日目をトップスタートとした。
魚谷強し、である。

ouka
魚谷侑未プロ

6回戦成績
魚谷+15.7P  矢口+8.3P  和久津▲9.2P  内田▲14.8P
トータル成績
魚谷+68.0P  矢口+38.1P  和久津▲41.8P  内田▲64.3P
 
7回戦(起家から矢口、魚谷、内田、和久津)
6回戦のオーラスまで、魚谷をラスの位置に居させただけに、最後の逆転トップのアガリは他の者達にとって相当強烈であった。いよいよポイント差も下位とは100P差を越え、残り4回戦ということを考えると自身のポイントを伸ばすのはもちろんの事、魚谷を原点以下、できれば大きくマイナスさせることが優勝するために必要な条件になってきた。
開局に矢口がファーストテンパイ。
二索三索四索七索七索七索九索九索九索七筒八筒九筒西  ドラ西
しかし、これをヤミテン。なぜ?
打点の高い手を競技ルールで作るのは大変なだけに、ドラ単騎は有効な作戦である。
役ありのヤミテンなら理解できるのだが、親で先手、ドラ単騎待ちとはいえ打点もあるのに役なしでリーチに行かない理由が僕にはわからない。
ツモる自信がなかったのか、それとも手変わりを待ったのかもしれないが、同巡にアガれない西を魚谷に打たれる事になる。その結果、魚谷が発ホンイツの5,200を和久津からアガリこの局を終える。
矢口はリーチにさえ踏み切れば、最悪テンパイ連荘出来そうであったので実に悔やまれる。

ouka
矢口加奈子プロ

三万四万七万八万九万白白発発発  ポン六万六万六万  ロン二万
東2局、魚谷の親で和久津が意地を見せる。
四万四万四万六万七万八万五索五索六索六索七索三筒三筒  リーチ  ツモ七索  ドラ一万
これ以上好きにさせないぞ、と高めツモの2,000・3,900。
実は、前局簡単に二万を放銃してしまった様に見えたのだが、それも攻め続けるという意思の下であれば納得である。
続く東3局は、親の内田が今度は私の番よと言わんばかりに、7巡目リーチのメンタンピンツモの2,600オール。
二万三万四万五万六万三索四索五索六索七索八索二筒二筒  リーチ  ツモ七万  ドラ三筒
下位2人が奮闘する展開になるかと思われたが、対する魚谷も次局この配牌を、
三万八万九万一索一筒二筒二筒四筒五筒六筒南白発  ドラ発
第一ツモが三索で丁寧に八万から切りだしていく。
魚谷の麻雀はよく、アガリに対するスピードを重視していると取り沙汰されているが、今回のようにアガリには遠いであろう配牌の時はきちんと手役を追い、打点とスピードのバランスをしっかり取っている。
スピードが早ければ打点は幾分下がっても良いし、スピードが遅いようなら打点を高く仕上げて持っていくのがセオリーだと思う。
それがしっかり出来ているし、引き際も常に考えているのでマイナス収支(放銃)も少ない。
二筒二筒二筒四筒四筒五筒五筒五筒六筒七筒  ポン一筒一筒一筒 1人テンパイ
オーラスを迎え、最後に捌いてトップを取ったのはやはりこの人だった。

ouka

7回戦成績
魚谷+11.5P  内田+6.7P  和久津▲4.9P  矢口▲13.3P
トータル成績
魚谷+79.5P  矢口+24.8P  和久津▲46.7P  内田▲57.6P
 
8回戦(起家から内田、矢口、魚谷、和久津)
首位・魚谷とのそれぞれの差がおおまかに矢口と55P、和久津と125P、内田と135Pとなった。
なかなか魚谷を捕まえられないのは、やはり魚谷の守備力の高さ故であろう。
ここまで4ハン以上の高い打点に放銃したのは、3回戦の内田への12,0001回きり。
それも、親の跳満が見込める1シャンテンの手であったので、そんなに酷い打ちこみという訳でもない。
誰か、逃げる魚谷を捕まえる者は出てくるのだろうか。
東1局、配牌ドラ2であった魚谷が7巡目にリーチ。
二万三万四万六万七万四索五索六索四筒五筒六筒南南  リーチ  ドラ南
ここに、親の内田が無筋を3枚切って追い掛けリーチを打つも、同巡に魚谷が八万をツモリ2,000・4,000。
強い。正直、このアガリで魚谷の沈みがほとんど無いかと思わせた。
東2局、和久津が10巡目にリーチ!
一万二万三万三万四万五万七万八万九万北北白白  リーチ  ドラ九万
その捨て牌は、完全にマンズホンイツの河である。
結果流局したのだが、1回くらいヤミテンにしろよ!と思った視聴者の方もいたはずではないか?
僕もそう思ったが、これが彼女のやり方で、スタイルなのである。
東3局、内田が魚谷から七対子ドラ2の6,400を打ち取ると、このアガリをきっかけに反撃にでる。
東4局は、和久津からメンピンドラ1の3,900のアガリ。親番となった南1局は5巡目の本手リーチ。
三万四万五万三索四索五索四筒五筒六筒六筒  暗カン牌の背白白牌の背 ドラ南
高めの三筒は、リーチ時2枚山にあったが、脇に流れて流局。
この親はおとせないと、1本場も3巡目テンパイのリーチ中の3,900は4,200を和久津から出アガリ。
2本場はドラ暗刻の配牌を得るがここまで。最後のひと押しが決まらず内田の反撃は終えた。
南2局、リーチは和久津の捨て牌である。
九万八筒七筒五万五万九筒南九筒五索リーチ
残りツモ2回の所で、勢いよく發を引きアガリ3,000・6,000。
一索二索三索五索六索七索七索八索九索西西発発  リーチ  ツモ発  ドラ八索
それ!東2局に流局した牌姿そっくりやん!それでもリーチって、、、その信念、本当に素晴らしい。
そして、ここからが和久津の真骨頂、1回スイッチが入るとオーラス親番で、
四万六万七万八万九万四索五索六索四筒四筒東東東  リーチ  ロン五万  ドラ七万
七万八万九万九索九索三筒三筒五筒六筒七筒北北北  リーチ  ツモ九索  ドラ九索
五万五万六万七万八万七索八索一筒二筒三筒六筒七筒八筒  リーチ  ツモ九索  ドラ八万
アマゾネスRUSH!たった3局で30,000点程加点して大きいトップとなった。

ouka
和久津晶プロ

8回戦成績
和久津+41.7P  内田+10.7P  魚谷▲12.4P  矢口▲40.0P
トータル成績
魚谷+67.1P  和久津▲5.0P  矢口▲15.2P  内田▲46.9P
 
9回戦(起家から矢口、内田、魚谷、和久津)
ついに超攻撃型アマゾネスが覚醒した8回戦。
首位を走る魚谷も、1番追われたくない相手が番手に着けたので気が気でないであろう。
マイナス域に落ちた矢口ももう攻めるしかないし、内田も同様だ。

ouka
内田美乃里プロ

東1局に、内田が渾身のリーチ。
一万二万三万八万九万九筒九筒南南南北北北  リーチ  ツモ七万  ドラ八筒
このアガリをきっかけに、この9回戦は物凄い乱打戦となった。
東3局、親の魚谷が2つ仕掛けて3,900オールでトップ目に。
二筒四筒六筒七筒八筒北北  ポン西西西  チー八筒七筒九筒  ツモ三筒  ドラ北
続く1本場は、和久津が親の魚谷の先制リーチにひるまず突っ込み、
四万五万五万六万六万七万五索六索七索八索八索六筒七筒  リーチ  ロン五筒  ドラ四索
これを矢口から高め五筒で討ち取ると、続く親番が凄かった。
動画再生
結果の5,800出アガリはラッキーな感じだが、内田のメンホンリーチに12巡目に形テンで仕掛けると、超危険牌の九索も切り飛ばし必死の連荘狙い。
この親は絶対落とさないという気持ちが内田のアガリ牌を食い下げ、自身のアガリに結びついたのだ。
もはや技術云々でなく、勝ちたい気持ちが前面に現れた一局であった。
※第7期女流桜花全10回戦は、こちらの動画サイトから視聴することが出来ます。
(一部有料)
追われる魚谷も次局、和久津に負けてはいられないと、内田の先制リーチに突っ込みアガリきり再びトップ目に。
五筒六筒七筒八筒九筒白白  明カン牌の背中中牌の背  ポン東東東  ロン七筒  ドラ五筒
矢口も親で必死に連荘し、内田も本手のリーチを再三打つが、
七万八万九万三索三索四索四索五索五索八索七筒八筒九筒  リーチ  ツモ八索  ドラ八索
和久津のこのアガリでこの半荘勝負あり、見事2連勝を飾った。
9回戦成績
和久津+22.8P 魚谷+7.5P 矢口▲6.2P 内田▲24.1P
トータル成績
魚谷+74.6P 和久津+17.8P 矢口▲21.4P 内田▲71.0P
 
10回戦(起家から和久津、矢口、内田、魚谷)
2日間に渡り、長かった戦いもいよいよ終焉を迎える。
ここに来ての2連勝で波に乗る和久津は、7回戦を終えた時点で、魚谷と126.2Pあった差が今や56.8P。
首位・魚谷がこのまま逃げ切るのか、はたまた和久津の大逆転はあるのか?
運命のサイコロが振られ静かに最終回が始まった。

ouka

開局、起家の和久津の親番。
魚谷、和久津、双方にとって1つ目の山場である。
四万四万五万六万七万二索三索七索八索九索八筒八筒八筒  リーチ  ツモ一索  ドラ六万
12巡目に、先制リーチを打った和久津がツモアガリを果たす。
続く1本場、親を早い所で落したい魚谷がドラ2でリーチ。
五万六万七万二索三索三索四索五索七索七索七索五筒五筒  ドラ三索
同巡に追いついた和久津も、全面戦争の構えで無筋を連打、早速の勝負所に見つめる観衆も息を飲む。
四筒五筒六筒七筒八筒九筒北北発発  チー三筒二筒四筒
このめくり合いは決着付かず流局となり、次局は矢口がツモアガリ和久津の親は落ちる。
東2局、またしても先手をとったのは和久津、8巡目に、
一万二万八万八万二索三索四索五索六索七索一筒二筒三筒  ツモ三万  ドラ東
ここから七索切りの高め三色のフリテンリーチを敢行。
このリーチには親の矢口がドラの東を鳴いて反撃するも、14巡目に和久津が再び七索をツモアガる。
東3局は、和久津が2,000点をアガリ、東4局は魚谷の先制リーチを矢口がかわしての南1局、2度目の山場である。
現在の着順のままならば、6,000オール1回で首位が変わる所まで詰めた和久津。
気合を入れてサイコロボタンに手を伸ばした配牌がこうで、
三万五万六万七万八万四索五索九索一筒二筒三筒四筒九筒西
これを丁寧に仕上げ12巡目に高め6,000オールのリーチを放つ。
この時高めの三索が3枚、六索が1枚山に残っていたが、ここは六索をツモで2,600オール。

ouka

次局は、内田が先制リーチを打つも、和久津が真っ向勝負で六万を打ち取る。
内田
五万六万七万九万九万三筒三筒三筒三筒四筒五筒西西  リーチ  ドラ三筒
和久津
七万八万二索三索四索六索六索六索七索七索七索五筒五筒  リーチ  ロン六万
南1局2本場、再び和久津がどれだけ「持っている」のであろう、メンタンピン高め三色のリーチ。
三万三万五万六万七万二索三索四索六索七索五筒六筒七筒 ドラ一索
これが6,000オールとなれば、魚谷をかわし逆に15P程のリードを得る事になるのだが、ここも安めの八索ツモアガリで2,600は2,800オールとなった。
安めであったが、ついに2回戦の四暗刻単騎をアガって以来、首位を守り続けてきた魚谷がその座を和久津に奪われる。とはいえ、その差は1.9Pと2,000点で変わる点差で、同3本場。
二万三万四万三索三索八索八索六筒七筒八筒  チー四筒三筒五筒  ツモ八索  ドラ北
魚谷が300・500は600・800をツモアガリ再度逆転すると、
二万二万六万六万七万七万二索二索四索四索六筒六筒七筒  ロン七筒  ドラ五万
六索六索五筒六筒七筒中中  チー七筒八筒九筒  チー九万七万八万  ツモ中  ドラ五万
これらの連続アガリで、和久津との点差を広げ運命のオーラスを迎えた。
現状の点差は8.5P魚谷がリードという事で、相当早い巡目に魚谷に手が入らない限りは、1局での勝負になると予想される。
和久津に与えられた条件は、4,500以上直撃か、1,600・3,200以上のツモアガリ、他家から跳満の出アガリである。
魚谷の配牌は、
二万五万七万四索六索九索一筒九筒北北白発発中  ドラ北
早いアガリが見込め無さそうなので、第一打を五万とし今局での終局を目指す。
和久津の配牌は、
二万三万三万四万五万六万九万五索七索五筒八筒南南
ダブ南に、ホンイツに、一通に三色に色々見え、なんとか条件を満たそうと一手一手慎重に進める。
14巡目に待望の南を引きいれテンパイするも、

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しかしこの時点で七万は他家の手に全て入っており、純カラ。
知る由のない魚谷は、和久津がツモる度に祈る。和久津は自身の優勝を掴むため全力で模打を繰り返す。
その映像をバックにしてのニコ生視聴者からの「魚谷おめでとう」「和久津よくやった」という沢山のコメントが流れている絵が大変印象的であった。
最後のツモを力無くツモ切り、長い戦いが終わった。
10回戦成績
和久津+45.3P 魚谷▲6.0P 矢口▲13.7P 内田▲26.6P
最終成績
魚谷+68.6P 和久津+63.1P 矢口▲35.1P 内田▲97.6P 供託1.0P

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優勝者、魚谷のコメント
第7期女流桜花を優勝して、今大会を連覇する事が出来ました。
まずは、皆様に御礼を言わせて下さい。本当に本当にありがとうございました。
私が今回、女流桜花を連覇する事ができたのは、私の周りに居て下さる皆様のお陰だと心から思っています。
優しく愛のある指導をして下さるプロ連盟の先輩方。共に切磋琢磨して来た同期や後輩達。
そして、私をいつも応援して下さる皆さん。
たくさんの方々の支えがあったからこその優勝だと思っています、本当にありがとうございました。
「第6期・7期女流桜花連覇」という肩書に恥じぬよう、更に精進していかなくてはならないと思っています。まだまだ麻雀も人間性も未熟な私ではありますが、全てにおいてもっと成長出来るように頑張ります!
そして、大好きな麻雀の素晴らしさを少しでも多くの人に伝えていけるように麻雀プロとして麻雀の普及活動にも貢献していきたいと思っています。
これからも精一杯頑張りますので、応援宜しくお願いします!
※第7期女流桜花全10回戦は、こちらの動画サイトから視聴することが出来ます。
(一部有料)

第91回:滝沢 和典

紺野「もう13年か早いな・・」
滝沢「ホントあっと言う間でしたね・・」

なんかの合間に何の気無しに話した。
お互い良い時もあれば悪い時もあったし、特にここ最近は大変だった。

滝沢「Bに戻れた時、喜びました?」
紺野「・・喜んだってよりはホッとしたかな・・」

自分の事を置いといて笑顔で返してくれる。優しい男だ・・

紺野「俺の事より、そっちこそよく戻ったなあ。実は心配してたんだよ・・」
滝沢「うっす・・」

滝沢とはプロテスト以来の付き合いだが、会話はいつもこんなもんだ。でも、それでいい。
お互い形は違えど、目指す方向は同じだと理解しあえていると思うから。

そんなある日編集部から依頼が届く。
編集部「滝沢さんがモンド杯で優勝したのでインタビューをお願い出来ますか?」
紺野「はい。いいですよ」
2つ返事でOKしたが、本心はただ滝沢と話がしたいだけだったかもしれない・・。

紺野「モンドも勝ったんだって?言えよ。水臭いな」
滝沢「まあ、放送もまだだったですし・・」

当然、選手は放送が済むまで結果を漏らす訳にはいかない。それを守るっていうこともあるが、元々滝沢は自分の勝ちをひけらかすような男ではない。私もくだらない事を言ったもんだ。

紺野「てな訳でインタビューやるからよろしく」
滝沢「うっす・・」

場所は酒を飲みながらでも・・とも思ったが、せっかくなので、モンドの決勝戦を見ながらということにした。ただ単に私が見たかったこともあるが・・

091_01
091_02

紺野「この決勝のシステムは?」
滝沢「予選の持ち越し無し。順位点が10-20の25,000点持ち30,000点返しの2回戦です」
紺野「じゃあ最初トップとれたら相当有利だね。トップとったの?」
滝沢「まあ、それは見てからということで・・」

1回戦東1局いきなり滝沢にチャンス手が入る。
8巡目に、

六万七万八万二筒四筒七筒七筒七筒八筒八筒九筒五索五索  ドラ五索

この1シャンテン。

紺野「これって八筒のポンテンは取るの?(九筒が2枚切られている)」
滝沢「1枚目は少なくとも取らないです。これを鳴くのって1,000点で捌くのとあんまり変わらないと思うんですよ」
紺野「順位点やオカを考えればか・・だよな・・ドラの五索ならともかくなあ・・」
滝沢「緊急事態ならもちろん話は違うんですけど」

この後、10巡目に三筒を引き七筒切りリーチ。

六万七万八万二筒三筒四筒七筒七筒八筒八筒九筒五索五索  リーチ

紺野「これも即リーチに行ったね」
滝沢「九筒が2枚飛んでいるし、ヤミで3,900も流局テンパイも大差ないかなあって。
九筒が1枚切れならまた違うんですけど・・」
紺野「確かに九筒がもう1枚あると感覚的に全然違うよね。九筒がもう1枚あれば満貫を拾いに行く気も起きるけど、1枚しかないなら、跳満引きにいっちゃえみたいなところでしょ?」
滝沢「うっす・・」

この局は流局となり、また見進める・・と、東3局10巡目に再び興味を引く手牌に。

四万五万二筒二筒三筒四筒五筒六筒六筒六筒七筒八筒五索  ツモ六万  打五索  ドラ二索

紺野「六筒九筒二筒かあ。各1枚しかないし、ヤミは分かるんだけど、テンパイとるんだ・・」
滝沢「まだ、この後があるんですよ」

程なくして、九筒をツモ。

紺野「お、300.500か・・ん・・」

ツモアガるかと思ったが、画面の滝沢は二筒を切ってリーチしていた。

紺野「へえ、これを行くんだ。ノータイムだったけど、決めていたの?」
滝沢「九筒ツモは決めていました。周りの速度も感じなかったし、東パツの考え方と似てるんですけど、
チャンスを掴みにいこうかなと。失敗してもなんとかなるかなと」

紺野「ふーん。掴むと言うよりは作りにいった感じかな」
滝沢「うっす」

画面の中で、解説の前原も言っていたが、こんな滝沢を見た記憶がなかった。
アガれる手はアガるのが滝沢だと思っていたからだ。
滝沢本人は「けっこうやりますよ」と言っていたが・・

紺野「こういうことが出来たから勝てたんじゃないかなあ。このモンドもリーグ戦も」
滝沢「どうなんですかね・・」

たまに持ち上げようとすると交わす滝沢。謙虚な男だ・・

1回戦2着だった滝沢は、優勝する為にはこの2回戦のトップが最低条件。
そんな中、東1局に1,000・2,000をアガる。

一万二万三万四筒五筒六筒八筒八筒五索六索七索中中  リーチ  ツモ八筒  ドラ七索

1度ペン七筒のテンパイを外して八筒を重ねてツモアガった。

紺野「ふーん(何か言いたげ)」
滝沢「最近、こういう場面で強い人ならどうすんだろうってよく考えるんですよ。荒さんならどうするんだろうとか、前原さんなら、森山さんなら・・別に大御所の先輩だけでなく、同世代や後輩でも強いなって思う人のは参考にしてます。それを場面に応じて使い分けて・・」
紺野「それだけ引き出しとその中身が増えたってことかな・・」

こっちが質問することなく答えを返す滝沢。勘がいい男だ・・
その次局、親で2,600オールをアガリ優勝に近付く滝沢。だが・・

紺野「乗ってきたね。こりゃTT(タッキータイム)の始まりかな」
滝沢「そのつもりでしたけど・・」

とある牌姿で画面を一時停止させる滝沢。

滝沢「これ何切ります?」

二万三万四万五万六筒七筒八筒三索五索五索六索七索七索  ツモ五筒  ドラ三万

東2局1本場、親3巡目。

紺野「何って三索切ればいいんじゃないの?」
滝沢「そうですよねえ・・」

と言いながら画面の滝沢は二万を切っていた・・

その後の関連牌のツモは五万七索六万・・うまく打っていると一万四万七万待ちの高め三色となっていた。
その後下家から中の暗カン、そしてリーチが入る。

紺野「うまく打っていたらアガリがあったかもしれないじゃん。この時の心境は?」
滝沢「必死にアガリがあったかを頭の中で検証していました。アガリがあったとしたらオリも考えなきゃなと。でもチーが入って難しくなって(笑)」
紺野「そうだよな。そういうとこで戦ってるんだもんな」

結局、オリを選択して事無きを得た。ミスを認めさっと引く。
言葉では簡単だが、なかなか実践するのは難しい。

南2局の親で滝沢は、立続けに2,000オール、2,600オールとアガリ抜け出す。
そしてオーラス、この局をアガリ切れば悲願の、本当に悲願の初優勝となる。その配牌。

六万七万八万一筒六筒八筒五索七索東東發發中  ドラ一索  西家

(画面の中)滝沢「チー」

紺野「あれ、まだ何もツモってないけど鳴いているよこの人」
滝沢「(笑)いいんですかね?」
紺野「でも、なんて言うのかな。これって魂の鳴きって感じがするな。もちろん、普段はしないもんな。滝沢でもこういうことするんだって。それだけ勝負賭けてんだなって。小島先生だってグランプリ勝ったとき、最後の勝負処で3フーロしての1,000点てあったけど、やっぱり勝負に対する執念みたいなものを感じさせてくれたもんな。めったに開けない引き出しの1つならいいんじゃないかな」
滝沢「最後ならいいかなって・・」
紺野「うん。伝わると思うよ」

六索チー、重ねた六筒をポンとしてテンパイ。親からリーチが入っても怯まない。

紺野「(親リーチに対して押した絵を見て)これ發ツモるんだろうな・・」
滝沢「ここで怯むようなら元々発進していませんよ」
紺野「そうだよな・・だから、魂の鳴きなんだよな・・」

そして、滝沢は發を静かに手元に置き優勝を飾った。

紺野「おめでとう。これってプロレスで言ったらG1クライマックスを勝ったようなもんなんだから、
今度はIWGPっていうベルト(鳳凰位)を目指さないとな。ほらここではチャンピオン(瀬戸熊)倒したんだからさ。」
滝沢「あ、そうか。そうっすよね」
紺野「あ、そうだ。今度なんかの時に『瀬戸熊さん僕の挑戦受けてください』ってマイクパフォーマンスやれば(笑)」
滝沢「(笑)怒られますよ・・」
紺野「(笑)そうだな・・ま、本当におめでとう」
滝沢「うっす(笑)」

滝沢と私、実はお互い自分からあんまり話すほうではない。ただ、麻雀のこと、連盟のことに関してはお互いいつまで話していても、話は尽きない。そしてこんな男と同期であることを幸せに思う。これからも見守っていきたいと思う・・

・・・いや違う。見守るのでは無く、同じ場所に立たねば・・・

おめでとう、そしてありがとう・・・

プロ雀士インタビュー/第91回:滝沢 和典

紺野「もう13年か早いな・・」
滝沢「ホントあっと言う間でしたね・・」
なんかの合間に何の気無しに話した。
お互い良い時もあれば悪い時もあったし、特にここ最近は大変だった。
滝沢「Bに戻れた時、喜びました?」
紺野「・・喜んだってよりはホッとしたかな・・」
自分の事を置いといて笑顔で返してくれる。優しい男だ・・
紺野「俺の事より、そっちこそよく戻ったなあ。実は心配してたんだよ・・」
滝沢「うっす・・」
滝沢とはプロテスト以来の付き合いだが、会話はいつもこんなもんだ。でも、それでいい。
お互い形は違えど、目指す方向は同じだと理解しあえていると思うから。
そんなある日編集部から依頼が届く。
編集部「滝沢さんがモンド杯で優勝したのでインタビューをお願い出来ますか?」
紺野「はい。いいですよ」
2つ返事でOKしたが、本心はただ滝沢と話がしたいだけだったかもしれない・・。
紺野「モンドも勝ったんだって?言えよ。水臭いな」
滝沢「まあ、放送もまだだったですし・・」
当然、選手は放送が済むまで結果を漏らす訳にはいかない。それを守るっていうこともあるが、元々滝沢は自分の勝ちをひけらかすような男ではない。私もくだらない事を言ったもんだ。
紺野「てな訳でインタビューやるからよろしく」
滝沢「うっす・・」
場所は酒を飲みながらでも・・とも思ったが、せっかくなので、モンドの決勝戦を見ながらということにした。ただ単に私が見たかったこともあるが・・

091_01
091_02

紺野「この決勝のシステムは?」
滝沢「予選の持ち越し無し。順位点が10-20の25,000点持ち30,000点返しの2回戦です」
紺野「じゃあ最初トップとれたら相当有利だね。トップとったの?」
滝沢「まあ、それは見てからということで・・」
1回戦東1局いきなり滝沢にチャンス手が入る。
8巡目に、
六万七万八万二筒四筒七筒七筒七筒八筒八筒九筒五索五索  ドラ五索
この1シャンテン。
紺野「これって八筒のポンテンは取るの?(九筒が2枚切られている)」
滝沢「1枚目は少なくとも取らないです。これを鳴くのって1,000点で捌くのとあんまり変わらないと思うんですよ」
紺野「順位点やオカを考えればか・・だよな・・ドラの五索ならともかくなあ・・」
滝沢「緊急事態ならもちろん話は違うんですけど」
この後、10巡目に三筒を引き七筒切りリーチ。
六万七万八万二筒三筒四筒七筒七筒八筒八筒九筒五索五索  リーチ
紺野「これも即リーチに行ったね」
滝沢「九筒が2枚飛んでいるし、ヤミで3,900も流局テンパイも大差ないかなあって。
九筒が1枚切れならまた違うんですけど・・」
紺野「確かに九筒がもう1枚あると感覚的に全然違うよね。九筒がもう1枚あれば満貫を拾いに行く気も起きるけど、1枚しかないなら、跳満引きにいっちゃえみたいなところでしょ?」
滝沢「うっす・・」
この局は流局となり、また見進める・・と、東3局10巡目に再び興味を引く手牌に。
四万五万二筒二筒三筒四筒五筒六筒六筒六筒七筒八筒五索  ツモ六万  打五索  ドラ二索
紺野「六筒九筒二筒かあ。各1枚しかないし、ヤミは分かるんだけど、テンパイとるんだ・・」
滝沢「まだ、この後があるんですよ」
程なくして、九筒をツモ。
紺野「お、300.500か・・ん・・」
ツモアガるかと思ったが、画面の滝沢は二筒を切ってリーチしていた。
紺野「へえ、これを行くんだ。ノータイムだったけど、決めていたの?」
滝沢「九筒ツモは決めていました。周りの速度も感じなかったし、東パツの考え方と似てるんですけど、
チャンスを掴みにいこうかなと。失敗してもなんとかなるかなと」

紺野「ふーん。掴むと言うよりは作りにいった感じかな」
滝沢「うっす」
画面の中で、解説の前原も言っていたが、こんな滝沢を見た記憶がなかった。
アガれる手はアガるのが滝沢だと思っていたからだ。
滝沢本人は「けっこうやりますよ」と言っていたが・・
紺野「こういうことが出来たから勝てたんじゃないかなあ。このモンドもリーグ戦も」
滝沢「どうなんですかね・・」
たまに持ち上げようとすると交わす滝沢。謙虚な男だ・・
1回戦2着だった滝沢は、優勝する為にはこの2回戦のトップが最低条件。
そんな中、東1局に1,000・2,000をアガる。
一万二万三万四筒五筒六筒八筒八筒五索六索七索中中  リーチ  ツモ八筒  ドラ七索
1度ペン七筒のテンパイを外して八筒を重ねてツモアガった。
紺野「ふーん(何か言いたげ)」
滝沢「最近、こういう場面で強い人ならどうすんだろうってよく考えるんですよ。荒さんならどうするんだろうとか、前原さんなら、森山さんなら・・別に大御所の先輩だけでなく、同世代や後輩でも強いなって思う人のは参考にしてます。それを場面に応じて使い分けて・・」
紺野「それだけ引き出しとその中身が増えたってことかな・・」
こっちが質問することなく答えを返す滝沢。勘がいい男だ・・
その次局、親で2,600オールをアガリ優勝に近付く滝沢。だが・・
紺野「乗ってきたね。こりゃTT(タッキータイム)の始まりかな」
滝沢「そのつもりでしたけど・・」
とある牌姿で画面を一時停止させる滝沢。
滝沢「これ何切ります?」
二万三万四万五万六筒七筒八筒三索五索五索六索七索七索  ツモ五筒  ドラ三万
東2局1本場、親3巡目。
紺野「何って三索切ればいいんじゃないの?」
滝沢「そうですよねえ・・」
と言いながら画面の滝沢は二万を切っていた・・
その後の関連牌のツモは五万七索六万・・うまく打っていると一万四万七万待ちの高め三色となっていた。
その後下家から中の暗カン、そしてリーチが入る。
紺野「うまく打っていたらアガリがあったかもしれないじゃん。この時の心境は?」
滝沢「必死にアガリがあったかを頭の中で検証していました。アガリがあったとしたらオリも考えなきゃなと。でもチーが入って難しくなって(笑)」
紺野「そうだよな。そういうとこで戦ってるんだもんな」
結局、オリを選択して事無きを得た。ミスを認めさっと引く。
言葉では簡単だが、なかなか実践するのは難しい。
南2局の親で滝沢は、立続けに2,000オール、2,600オールとアガリ抜け出す。
そしてオーラス、この局をアガリ切れば悲願の、本当に悲願の初優勝となる。その配牌。
六万七万八万一筒六筒八筒五索七索東東發發中  ドラ一索  西家
(画面の中)滝沢「チー」
紺野「あれ、まだ何もツモってないけど鳴いているよこの人」
滝沢「(笑)いいんですかね?」
紺野「でも、なんて言うのかな。これって魂の鳴きって感じがするな。もちろん、普段はしないもんな。滝沢でもこういうことするんだって。それだけ勝負賭けてんだなって。小島先生だってグランプリ勝ったとき、最後の勝負処で3フーロしての1,000点てあったけど、やっぱり勝負に対する執念みたいなものを感じさせてくれたもんな。めったに開けない引き出しの1つならいいんじゃないかな」
滝沢「最後ならいいかなって・・」
紺野「うん。伝わると思うよ」
六索チー、重ねた六筒をポンとしてテンパイ。親からリーチが入っても怯まない。
紺野「(親リーチに対して押した絵を見て)これ發ツモるんだろうな・・」
滝沢「ここで怯むようなら元々発進していませんよ」
紺野「そうだよな・・だから、魂の鳴きなんだよな・・」
そして、滝沢は發を静かに手元に置き優勝を飾った。
紺野「おめでとう。これってプロレスで言ったらG1クライマックスを勝ったようなもんなんだから、
今度はIWGPっていうベルト(鳳凰位)を目指さないとな。ほらここではチャンピオン(瀬戸熊)倒したんだからさ。」
滝沢「あ、そうか。そうっすよね」
紺野「あ、そうだ。今度なんかの時に『瀬戸熊さん僕の挑戦受けてください』ってマイクパフォーマンスやれば(笑)」
滝沢「(笑)怒られますよ・・」
紺野「(笑)そうだな・・ま、本当におめでとう」
滝沢「うっす(笑)」
滝沢と私、実はお互い自分からあんまり話すほうではない。ただ、麻雀のこと、連盟のことに関してはお互いいつまで話していても、話は尽きない。そしてこんな男と同期であることを幸せに思う。これからも見守っていきたいと思う・・
・・・いや違う。見守るのでは無く、同じ場所に立たねば・・・
おめでとう、そしてありがとう・・・

第23期チャンピオンズリーグ優勝特別インタビュー:中村 慎吾

中村慎吾(なかむらしんご)
先日行われた、第23期チャンピオンズリーグ決勝戦にて、見事優勝の栄冠を手にした27歳の新鋭プロである。これを読む大多数の人は、おそらく彼のことを知らないだろう。
それもそのはず、彼はまだプロ入りして2年に満たないルーキーなのだから。

だが、彼のことを知っている者たちの彼への評価は総じて高い。
今まではあくまで「知る人ぞ知る中村慎吾」であったが、今回のインタビュー記事を通して、中村の魅力を広く世間に伝えていけたらと思う。

インタビュアーは私、26期生の嶋村泰之が務めさせていただきます。

2月某日、東京は中野の居酒屋にて。

嶋村「わざわざ中野まで呼び出しちゃってゴメン。仕事帰りだよね?お疲れ様。」
中村「完全にいつものメンバーだね。祝勝会なんだからもっと声かけて人を集めてくれても良くない?」
嶋村「中村君は誰か誘ってないの?」
中村「俺が呼ぶの?俺の祝勝会に来てくれって?おかしいでしょ。」
嶋村「とりあえず乾杯しよう。中村君、チャンピオンズリーグ優勝おめでとう!」

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瀬戸熊プロ(現鳳凰位・十段位)命名、『雑魚軍団』。左から中村、犬見、嶋村、吉野

嶋村「早速だけどインタビュー始めていこうかな。じゃあまずは簡単に自己紹介をお願いします!」
中村「中村慎吾、東京本部27期生で所属リーグはD2。茨城県出身の27歳。仕事は麻雀店従業員です。」
嶋村「茨城から出てきたんだよね。いくつの時に東京に引っ越してきたの?」
中村「25歳の時かな。」
嶋村「全然最近だね。ちなみにそれは、麻雀プロとして生きていくと決めての上京?」
中村「いや、プロ試験を受ける前だよ。それと茨城は関東だからね。東京へ出るのに上京とか言わないから。怒られるよ。」
嶋村「麻雀プロになろうと思った、大きなきっかけはあるの?」
中村「当時働いていた麻雀店に常勤の麻雀プロがいて、その人の影響が大きいかな。
麻雀プロの世界がすごく魅力的に感じたんだ。って言うかさ、さっきから必死にメモっているけど、
インタビューなんだからボイスレコーダーを使えば良くない?持ってきていたよね?」
嶋村「うーん…中村君、すごく滑舌が悪いから、ボイレコだと録れないかもと思って…」
中村「そんなわけないでしょ!そもそも俺、滑舌悪くないし!」
嶋村「いや、かなりのものだよ。早口だし噛みまくるし喋りながら笑い出すから…
正直、こないだの決勝戦でも、発声がちゃんと出来るか心配してハラハラしたよ。」
中村「麻雀中の発声って、ポンとかツモの二文字じゃねぇかよ。」
嶋村「センサンビャク・ニセンロッピャクとかの長い発声もあるからさ。」
中村「長くないよ!余計な心配だよ!」
嶋村「冗談だよ。メモは念のためだよ。」

アルコールが入っているせいか、今日の中村慎吾はいつも以上に滑舌が悪い。
ボイスレコーダーではなくメモを主体にしていて本当に良かった。

嶋村「麻雀は毎月どれくらい打っているの?」
中村「お店やセットで打つのと、公式戦で打つのを足せば、200半荘くらいは打っているかな。
それプラス、3人麻雀やネット麻雀も打つし。」

嶋村「けっこう打ち込んでいるね。」
中村「日頃から牌にたくさん触っておくことは大事だからね。瀬戸熊さんも『20代のうちは、とにかくボロボロになるまで麻雀を打て』って昔ブログで書いていたし。」
嶋村「なるほど。じゃあ次の質問だけど、尊敬するプロは?今ちょうど話に出た瀬戸熊さんかな?」
中村「もちろん瀬戸熊さん。何よりも麻雀がカッコイイ。人柄も素晴らしいし。尊敬もだけど目標かな。
いつかあの人みたいな麻雀プロになりたい。」

嶋村「瀬戸熊さんには憧れるよね。さて次の質問、趣味は?」
中村「プロレス観るのが好き。あと将棋かな。」
嶋村「中村君、将棋やるの?」
中村「たいして強くはないけど、将棋は小さい頃から続けているよ。毎週日曜のNHKの将棋番組はかかさず録画しているし。それに、将棋ってどこか麻雀に通じる部分があるよ。」

確かに、将棋や囲碁の上級者は麻雀も強いという話は良く聞く。実際、将棋のプロ棋士の方たちの中にも雀豪は多い。中村慎吾の麻雀の強さの基礎力となるものも、幼い頃から慣れ親しんだ将棋によって培われてきたものなのかもしれない。

嶋村「いつ将棋から麻雀にシフトチェンジしたの?」
中村「麻雀の楽しさに気づいたのは20歳くらいかな。でも、その頃はまだ仲間内だけのいわゆる家庭麻雀みたいなものだし、本格的に麻雀を打つようになったのはもう少し後かも。」
嶋村「そういえば、今まで聞いたことなかったけど、中村君は20歳前後の頃は何をしていたの?学生?それとも働いていた?」
中村「探偵の仕事をしたくて、探偵養成の学校に通っていたよ。卒業してから勤務にも就いていたし。」
嶋村「探偵?養成学校?え?なにそれ?勤務にも就いていた?探偵事務所とかで働いていたってこと?」
中村「あ、ゴメン。その話は今度のエッセィに自分で書くから今回は触れないで。インタビューはチャンピオンズリーグ決勝の話を中心で行こうよ。」
嶋村「出し惜しみ?決勝の観戦記担当は北野さん(北野由実プロ)だから、きっと凝った内容になっていると思うし、このインタビューは、プライベート中心で行こうかと思ったんだけど…」

前職が探偵だったという人に出会ったのは生まれて初めてだ。しかも目の前にいる男は、探偵という職業のイメージからあまりにも遠くかけ離れている。俄かには信じがたい話ではあるが、後日掲載される彼のリレーエッセィを楽しみにしておこう。

嶋村「じゃあ決勝の話を聞こうかな。中村君は今回がタイトル戦の初決勝だったわけだよね?
やっぱり緊張した?」
中村「始まる前はそれなりに緊張していたけど、いざ闘牌開始しちゃえば自分の世界に入れるよ。
自然体で麻雀を打てていたんじゃないかなと思う。嶋村さんから見てどうだった?」

嶋村「始まる前は明らかに硬かったね。対局前のコメントも弱気だったし。いつもはお喋りでお調子者の中村君なのに、借りてきた猫みたいに大人しくなっていたよ。」
中村「そうかなぁ。自分だとわからないね。コメントも弱気だった?普段通りの麻雀を打ちます、とか決勝まできたら後はもう4分の1です、とか言ったような気もするけど。」
嶋村「負けてもいい、みたいなこと言っていたよ。」
中村「さすがにそんなことは言わないよ。ちゃんとしたコメントしたよ。間違いない。」
嶋村「観戦記がアップされたら中村君のコメントも載るだろうし、その時にわかるよ。」

後日掲載された観戦記によると、中村のコメントは「トーナメントは負けて元々の気持ちで臨んだら、ベスト8まで非常に恵まれた展開で勝ち進むことができた。昨日で力を出し切ってしまったから、もう今日は4位になっちゃうんじゃないんですかね。」とある。

嶋村「決勝の相手について何か思うことはあった?対策を練ったりとかさ」
中村「3人とも明らかに俺より格上だし、そういう意味じゃ開き直ってぶつかっていけるよね。対策は特に立てなかったよ。」
嶋村「経験や技術の差は別として、今回の3人だと中村君はスタイルの問題で戦いづらいかなと思ったんだよね。」
中村「ああ、みんな門前手役派だもんね。俺はどちらかと言えば仕掛け多用派だし。それは確かに思ったけど、だからって相手によって打ち方を変えたりはしないよ。普段通りの麻雀を打つことが大事だし。嶋村さん記録係として俺の牌譜を採っていたじゃん?いつもの俺の麻雀だったでしょ?」
嶋村「そうだね。手組みもリーチ判断も、仕掛けも押し引きも中村君テイストな麻雀だったよ。よく場況が見えているなぁと感心する局面もあったし。2回戦目のオーラスが特に良かった。吉田幸雄プロのリーチに2をビタ止めしたよね。」

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中村「もちろん一点読みしたわけじゃないよ。マンズの4~7、ピンズの下、ソーズの1~6を引いたら即オリようと思っていたから。」

押し引きの判断は難しい。中村を凄いと思ったのは、当たり牌を止めたことにではない。そこまで組んでいた手を、逡巡なくノータイムで諦めたことにである。日頃から、実戦でかなりの打荘数をこなしていることが、こういった場面で如実に現れる。

嶋村「4回戦目の開局で、直さん(吉田直プロ)の親リーチに、ドラの四万で放銃したよね。
あそこでの12,000点は、かなり痛かったと思うけど、内心どうだったの?」

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中村「何も思わないよ。行くべき手で勝負して放銃しただけだし。はい次の局、って感じ。」
嶋村「でも、実際あの12,000点で優勝は遠のいたわけだからね。本当は膝ガクガクなってたんじゃなくて?次の局は、気持ち打牌もゆっくりになっていたようにも見えたけど。」
中村「ノーダメージだよ!瀬戸熊さんの言葉で「真っ直ぐ行っての放銃は致命傷にならない。点棒も後で返ってくる」っていうのがあるんだけど、俺も本当にそう思う。」
嶋村「終わってみれば、4回戦も浮きだったからね。それにしても中村君はホント瀬戸熊さん大好きだよね。」
中村「尊敬しているプロだからね。最初の頃は、嶋村さんたちが瀬戸熊さんに雑魚軍団(※)って言われてからかわれているのも羨ましかったし。」

(※)リーグ戦では芽が出ず、集まればお酒ばかり飲んでいる私の周りのグループに対して、瀬戸熊プロが叱咤激励を込めてつけてくれたネーミング。おそらく軍団長は私。今回の中村慎吾を始め、雑魚軍団という名前のわりにはタイトル戦ではなかなか強かったりする。

嶋村「これで中村君は副軍団長だね。話を戻すけど、優勝だと思ったのはどの辺りから?」
中村「それはホント最後の最後だよ。麻雀の怖さは良く知っているし、途中で浮かれてられないよ。」
嶋村「吉田幸雄プロに、瞬間トータルポイントで逆転された時とか、奥歯ガタガタ鳴らしていたもんね。」
中村「鳴らしていません。嶋村さんが思っているより、俺メンタル強いからね。」

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酒も進み上機嫌の中村慎吾。
話す時に、人を指差すのはやめなさいと、以前から何度も注意しているのだが直らず。

嶋村「終わってみれば、決勝5回戦全てプラスの完勝劇だったよね。運にも恵まれていたけど内容も良かった。2年目の新人とは思えない麻雀だよね。普段から強い人たちに稽古をつけてもらっているっていうのも大きいのかな?」

中村「大きいよ。最近だと山井さん(山井弘プロ)やウッチーさん(内川幸太郎プロ)にセットで胸を貸してもらっているし、トーナメント前に相沢さん(相沢かおるプロ)と直さん(吉田直プロ)に調整セットを組んでもらって、俺の麻雀のダメなところを色々と言ってもらえたのも勉強になった。
強い人、巧い人と打つのは本当にためになるよ。」

通常、新人プロの稽古相手といえば、同期、もしくは近い代の先輩くらいである。日頃からベテランプロと接する機会の多い中村は、環境に恵まれているとも言える。ただ、その恵まれた環境は自然と出来たものではなく、中村自身が作り上げたものだ。自分から積極的に先輩プロに稽古を頼み、観戦可能な決勝や、上位リーグの対局はほぼ全てを観に行き、またどういった集まりのイベントや飲み会にも参加し(呼ばれてなくても)顔を売り人脈を広める。「ほんとコイツはどこにでもいるな」となかば呆れるほどである。

嶋村「ウッチーさんや直さんの名前が出て思い出したけど、中村君もその2人みたいに、ゆくゆくは麻雀教室の講師もやりたいって言っていたよね?」
中村「そう!今はまだプレイヤーとして基礎力を高めていくべき時期だけど、いずれは教室を持つ講師もしたい。競技者としてだけじゃなく、もっと総合的に麻雀プロとして活動していきたいんだ。」
嶋村「中村君のそういうところは本当に尊敬出来るよ。口で言うだけじゃなくすぐ行動に移すしね。ただ、講師の仕事は中村君には向いてないと思う。滑舌悪いから、生徒さんは話についてこれないよ。」
中村「滑舌悪くないからね。こないだのニコ生の放送でも、緊張していたけどちゃんと喋れていたし。
観てないの?」

嶋村「本当かなぁ。」

時間は終電近くになり・・

嶋村「そろそろまとめに入ろうかな。中村君は早くにタイトルをひとつ獲れてしまったわけだけど、今後の目標としては?」
中村「まずはCリーグ以上に上がりたいね。特別昇級リーグの出場権も得られたわけだし頑張るよ。それとグランプリMAX!こんなチャンス、今後もう無いかもしれないからね。勝ち上がっていきたい。」
嶋村「今年のグランプリMAXは、俺も新人王枠で出るから、中村君に頑張ってとは言えないなぁ。」
中村「人間が小さいねぇ。そうそう、新人王戦も次が3年目でラストチャンスだから絶対に勝ちたい。
もし獲れたら、今度は女の子にインタビューを受けたい。」

嶋村「打ち上げの席で、インタビュアーが俺に決まった時も不満そうだったよね。女の子が良かったって。残念だけど、中村君が勝ったらまた俺が書くよ。さて、今日は時間割いてくれてありがとね。」
中村「いえいえ。」
嶋村「最後に、この記事を読んでくれている人たちに何か一言もらえるかな?」
中村「今回優勝出来たのは、セットを組んで頂いた先輩方や応援してくれた仲間達のおかげだと思っています。まだまだ拙い麻雀だと思っているので、これからも勉強する姿勢を忘れず、更なる高みを目指して頑張っていきます。」

先程も少し触れたが、中村慎吾は自身を成長させることに対して努力を惜しまない。
純粋な雀力の向上はもちろん、麻雀プロとしての総合的な能力を高めるために。言葉は悪いがその姿勢は「貪欲」とも言える。今時の若者風といった外見に飄々としたキャラクター、ともすれば軽そうにも見られてしまう中村であるが芯は強く熱い。
今回のチャンピオンズリーグ優勝によって、中村の前にはたくさんの可能性が開けてくることだろう。
そして、このチャンスを無駄にするような中村でもないだろう。

これからの中村慎吾、要注目ですよ。

プロ雀士インタビュー/第23期チャンピオンズリーグ優勝特別インタビュー:中村 慎吾

中村慎吾(なかむらしんご)
先日行われた、第23期チャンピオンズリーグ決勝戦にて、見事優勝の栄冠を手にした27歳の新鋭プロである。これを読む大多数の人は、おそらく彼のことを知らないだろう。
それもそのはず、彼はまだプロ入りして2年に満たないルーキーなのだから。
だが、彼のことを知っている者たちの彼への評価は総じて高い。
今まではあくまで「知る人ぞ知る中村慎吾」であったが、今回のインタビュー記事を通して、中村の魅力を広く世間に伝えていけたらと思う。
インタビュアーは私、26期生の嶋村泰之が務めさせていただきます。
2月某日、東京は中野の居酒屋にて。
嶋村「わざわざ中野まで呼び出しちゃってゴメン。仕事帰りだよね?お疲れ様。」
中村「完全にいつものメンバーだね。祝勝会なんだからもっと声かけて人を集めてくれても良くない?」
嶋村「中村君は誰か誘ってないの?」
中村「俺が呼ぶの?俺の祝勝会に来てくれって?おかしいでしょ。」
嶋村「とりあえず乾杯しよう。中村君、チャンピオンズリーグ優勝おめでとう!」

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瀬戸熊プロ(現鳳凰位・十段位)命名、『雑魚軍団』。左から中村、犬見、嶋村、吉野
嶋村「早速だけどインタビュー始めていこうかな。じゃあまずは簡単に自己紹介をお願いします!」
中村「中村慎吾、東京本部27期生で所属リーグはD2。茨城県出身の27歳。仕事は麻雀店従業員です。」
嶋村「茨城から出てきたんだよね。いくつの時に東京に引っ越してきたの?」
中村「25歳の時かな。」
嶋村「全然最近だね。ちなみにそれは、麻雀プロとして生きていくと決めての上京?」
中村「いや、プロ試験を受ける前だよ。それと茨城は関東だからね。東京へ出るのに上京とか言わないから。怒られるよ。」
嶋村「麻雀プロになろうと思った、大きなきっかけはあるの?」
中村「当時働いていた麻雀店に常勤の麻雀プロがいて、その人の影響が大きいかな。
麻雀プロの世界がすごく魅力的に感じたんだ。って言うかさ、さっきから必死にメモっているけど、
インタビューなんだからボイスレコーダーを使えば良くない?持ってきていたよね?」
嶋村「うーん…中村君、すごく滑舌が悪いから、ボイレコだと録れないかもと思って…」
中村「そんなわけないでしょ!そもそも俺、滑舌悪くないし!」
嶋村「いや、かなりのものだよ。早口だし噛みまくるし喋りながら笑い出すから…
正直、こないだの決勝戦でも、発声がちゃんと出来るか心配してハラハラしたよ。」
中村「麻雀中の発声って、ポンとかツモの二文字じゃねぇかよ。」
嶋村「センサンビャク・ニセンロッピャクとかの長い発声もあるからさ。」
中村「長くないよ!余計な心配だよ!」
嶋村「冗談だよ。メモは念のためだよ。」
アルコールが入っているせいか、今日の中村慎吾はいつも以上に滑舌が悪い。
ボイスレコーダーではなくメモを主体にしていて本当に良かった。
嶋村「麻雀は毎月どれくらい打っているの?」
中村「お店やセットで打つのと、公式戦で打つのを足せば、200半荘くらいは打っているかな。
それプラス、3人麻雀やネット麻雀も打つし。」

嶋村「けっこう打ち込んでいるね。」
中村「日頃から牌にたくさん触っておくことは大事だからね。瀬戸熊さんも『20代のうちは、とにかくボロボロになるまで麻雀を打て』って昔ブログで書いていたし。」
嶋村「なるほど。じゃあ次の質問だけど、尊敬するプロは?今ちょうど話に出た瀬戸熊さんかな?」
中村「もちろん瀬戸熊さん。何よりも麻雀がカッコイイ。人柄も素晴らしいし。尊敬もだけど目標かな。
いつかあの人みたいな麻雀プロになりたい。」

嶋村「瀬戸熊さんには憧れるよね。さて次の質問、趣味は?」
中村「プロレス観るのが好き。あと将棋かな。」
嶋村「中村君、将棋やるの?」
中村「たいして強くはないけど、将棋は小さい頃から続けているよ。毎週日曜のNHKの将棋番組はかかさず録画しているし。それに、将棋ってどこか麻雀に通じる部分があるよ。」
確かに、将棋や囲碁の上級者は麻雀も強いという話は良く聞く。実際、将棋のプロ棋士の方たちの中にも雀豪は多い。中村慎吾の麻雀の強さの基礎力となるものも、幼い頃から慣れ親しんだ将棋によって培われてきたものなのかもしれない。
嶋村「いつ将棋から麻雀にシフトチェンジしたの?」
中村「麻雀の楽しさに気づいたのは20歳くらいかな。でも、その頃はまだ仲間内だけのいわゆる家庭麻雀みたいなものだし、本格的に麻雀を打つようになったのはもう少し後かも。」
嶋村「そういえば、今まで聞いたことなかったけど、中村君は20歳前後の頃は何をしていたの?学生?それとも働いていた?」
中村「探偵の仕事をしたくて、探偵養成の学校に通っていたよ。卒業してから勤務にも就いていたし。」
嶋村「探偵?養成学校?え?なにそれ?勤務にも就いていた?探偵事務所とかで働いていたってこと?」
中村「あ、ゴメン。その話は今度のエッセィに自分で書くから今回は触れないで。インタビューはチャンピオンズリーグ決勝の話を中心で行こうよ。」
嶋村「出し惜しみ?決勝の観戦記担当は北野さん(北野由実プロ)だから、きっと凝った内容になっていると思うし、このインタビューは、プライベート中心で行こうかと思ったんだけど…」
前職が探偵だったという人に出会ったのは生まれて初めてだ。しかも目の前にいる男は、探偵という職業のイメージからあまりにも遠くかけ離れている。俄かには信じがたい話ではあるが、後日掲載される彼のリレーエッセィを楽しみにしておこう。
嶋村「じゃあ決勝の話を聞こうかな。中村君は今回がタイトル戦の初決勝だったわけだよね?
やっぱり緊張した?」
中村「始まる前はそれなりに緊張していたけど、いざ闘牌開始しちゃえば自分の世界に入れるよ。
自然体で麻雀を打てていたんじゃないかなと思う。嶋村さんから見てどうだった?」

嶋村「始まる前は明らかに硬かったね。対局前のコメントも弱気だったし。いつもはお喋りでお調子者の中村君なのに、借りてきた猫みたいに大人しくなっていたよ。」
中村「そうかなぁ。自分だとわからないね。コメントも弱気だった?普段通りの麻雀を打ちます、とか決勝まできたら後はもう4分の1です、とか言ったような気もするけど。」
嶋村「負けてもいい、みたいなこと言っていたよ。」
中村「さすがにそんなことは言わないよ。ちゃんとしたコメントしたよ。間違いない。」
嶋村「観戦記がアップされたら中村君のコメントも載るだろうし、その時にわかるよ。」
後日掲載された観戦記によると、中村のコメントは「トーナメントは負けて元々の気持ちで臨んだら、ベスト8まで非常に恵まれた展開で勝ち進むことができた。昨日で力を出し切ってしまったから、もう今日は4位になっちゃうんじゃないんですかね。」とある。
嶋村「決勝の相手について何か思うことはあった?対策を練ったりとかさ」
中村「3人とも明らかに俺より格上だし、そういう意味じゃ開き直ってぶつかっていけるよね。対策は特に立てなかったよ。」
嶋村「経験や技術の差は別として、今回の3人だと中村君はスタイルの問題で戦いづらいかなと思ったんだよね。」
中村「ああ、みんな門前手役派だもんね。俺はどちらかと言えば仕掛け多用派だし。それは確かに思ったけど、だからって相手によって打ち方を変えたりはしないよ。普段通りの麻雀を打つことが大事だし。嶋村さん記録係として俺の牌譜を採っていたじゃん?いつもの俺の麻雀だったでしょ?」
嶋村「そうだね。手組みもリーチ判断も、仕掛けも押し引きも中村君テイストな麻雀だったよ。よく場況が見えているなぁと感心する局面もあったし。2回戦目のオーラスが特に良かった。吉田幸雄プロのリーチに2をビタ止めしたよね。」

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中村「もちろん一点読みしたわけじゃないよ。マンズの4~7、ピンズの下、ソーズの1~6を引いたら即オリようと思っていたから。」
押し引きの判断は難しい。中村を凄いと思ったのは、当たり牌を止めたことにではない。そこまで組んでいた手を、逡巡なくノータイムで諦めたことにである。日頃から、実戦でかなりの打荘数をこなしていることが、こういった場面で如実に現れる。
嶋村「4回戦目の開局で、直さん(吉田直プロ)の親リーチに、ドラの四万で放銃したよね。
あそこでの12,000点は、かなり痛かったと思うけど、内心どうだったの?」

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中村「何も思わないよ。行くべき手で勝負して放銃しただけだし。はい次の局、って感じ。」
嶋村「でも、実際あの12,000点で優勝は遠のいたわけだからね。本当は膝ガクガクなってたんじゃなくて?次の局は、気持ち打牌もゆっくりになっていたようにも見えたけど。」
中村「ノーダメージだよ!瀬戸熊さんの言葉で「真っ直ぐ行っての放銃は致命傷にならない。点棒も後で返ってくる」っていうのがあるんだけど、俺も本当にそう思う。」
嶋村「終わってみれば、4回戦も浮きだったからね。それにしても中村君はホント瀬戸熊さん大好きだよね。」
中村「尊敬しているプロだからね。最初の頃は、嶋村さんたちが瀬戸熊さんに雑魚軍団(※)って言われてからかわれているのも羨ましかったし。」
(※)リーグ戦では芽が出ず、集まればお酒ばかり飲んでいる私の周りのグループに対して、瀬戸熊プロが叱咤激励を込めてつけてくれたネーミング。おそらく軍団長は私。今回の中村慎吾を始め、雑魚軍団という名前のわりにはタイトル戦ではなかなか強かったりする。
嶋村「これで中村君は副軍団長だね。話を戻すけど、優勝だと思ったのはどの辺りから?」
中村「それはホント最後の最後だよ。麻雀の怖さは良く知っているし、途中で浮かれてられないよ。」
嶋村「吉田幸雄プロに、瞬間トータルポイントで逆転された時とか、奥歯ガタガタ鳴らしていたもんね。」
中村「鳴らしていません。嶋村さんが思っているより、俺メンタル強いからね。」

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酒も進み上機嫌の中村慎吾。
話す時に、人を指差すのはやめなさいと、以前から何度も注意しているのだが直らず。
嶋村「終わってみれば、決勝5回戦全てプラスの完勝劇だったよね。運にも恵まれていたけど内容も良かった。2年目の新人とは思えない麻雀だよね。普段から強い人たちに稽古をつけてもらっているっていうのも大きいのかな?」
中村「大きいよ。最近だと山井さん(山井弘プロ)やウッチーさん(内川幸太郎プロ)にセットで胸を貸してもらっているし、トーナメント前に相沢さん(相沢かおるプロ)と直さん(吉田直プロ)に調整セットを組んでもらって、俺の麻雀のダメなところを色々と言ってもらえたのも勉強になった。
強い人、巧い人と打つのは本当にためになるよ。」

通常、新人プロの稽古相手といえば、同期、もしくは近い代の先輩くらいである。日頃からベテランプロと接する機会の多い中村は、環境に恵まれているとも言える。ただ、その恵まれた環境は自然と出来たものではなく、中村自身が作り上げたものだ。自分から積極的に先輩プロに稽古を頼み、観戦可能な決勝や、上位リーグの対局はほぼ全てを観に行き、またどういった集まりのイベントや飲み会にも参加し(呼ばれてなくても)顔を売り人脈を広める。「ほんとコイツはどこにでもいるな」となかば呆れるほどである。
嶋村「ウッチーさんや直さんの名前が出て思い出したけど、中村君もその2人みたいに、ゆくゆくは麻雀教室の講師もやりたいって言っていたよね?」
中村「そう!今はまだプレイヤーとして基礎力を高めていくべき時期だけど、いずれは教室を持つ講師もしたい。競技者としてだけじゃなく、もっと総合的に麻雀プロとして活動していきたいんだ。」
嶋村「中村君のそういうところは本当に尊敬出来るよ。口で言うだけじゃなくすぐ行動に移すしね。ただ、講師の仕事は中村君には向いてないと思う。滑舌悪いから、生徒さんは話についてこれないよ。」
中村「滑舌悪くないからね。こないだのニコ生の放送でも、緊張していたけどちゃんと喋れていたし。
観てないの?」

嶋村「本当かなぁ。」
時間は終電近くになり・・
嶋村「そろそろまとめに入ろうかな。中村君は早くにタイトルをひとつ獲れてしまったわけだけど、今後の目標としては?」
中村「まずはCリーグ以上に上がりたいね。特別昇級リーグの出場権も得られたわけだし頑張るよ。それとグランプリMAX!こんなチャンス、今後もう無いかもしれないからね。勝ち上がっていきたい。」
嶋村「今年のグランプリMAXは、俺も新人王枠で出るから、中村君に頑張ってとは言えないなぁ。」
中村「人間が小さいねぇ。そうそう、新人王戦も次が3年目でラストチャンスだから絶対に勝ちたい。
もし獲れたら、今度は女の子にインタビューを受けたい。」

嶋村「打ち上げの席で、インタビュアーが俺に決まった時も不満そうだったよね。女の子が良かったって。残念だけど、中村君が勝ったらまた俺が書くよ。さて、今日は時間割いてくれてありがとね。」
中村「いえいえ。」
嶋村「最後に、この記事を読んでくれている人たちに何か一言もらえるかな?」
中村「今回優勝出来たのは、セットを組んで頂いた先輩方や応援してくれた仲間達のおかげだと思っています。まだまだ拙い麻雀だと思っているので、これからも勉強する姿勢を忘れず、更なる高みを目指して頑張っていきます。」
先程も少し触れたが、中村慎吾は自身を成長させることに対して努力を惜しまない。
純粋な雀力の向上はもちろん、麻雀プロとしての総合的な能力を高めるために。言葉は悪いがその姿勢は「貪欲」とも言える。今時の若者風といった外見に飄々としたキャラクター、ともすれば軽そうにも見られてしまう中村であるが芯は強く熱い。
今回のチャンピオンズリーグ優勝によって、中村の前にはたくさんの可能性が開けてくることだろう。
そして、このチャンスを無駄にするような中村でもないだろう。
これからの中村慎吾、要注目ですよ。

第3期グランプリMAX 優勝者予想

正解者の中から抽選で1名の方に、第3期グランプリMAX戴冠後の直筆サインをプレゼント致します。
また、応募された方の中から抽選で2名の方に、決勝進出プロ寄せ書きサインをプレゼント致します。

応募方法:優勝すると思われるプロを記載し、こちら からご応募ください。

※1メールアドレスに対し、1応募とさせて頂きます。
※1メールアドレスより複数の応募があった場合、最後に応募されたもののみ受け付けられます。

なお当選者の発表は賞品の発送を以って代えさせて頂きます。

締め切り:2013年2月28日(木)

番号 名前
段位
プロフィール 伊藤 望月 猿川 宮内 和久津 魚谷 編集部
1

灘麻太郎
九段

第9・17期十段位

第10・11・12・13期王位 他

ロン2プロフィールはこちら

2
小島武夫
九段

第1期無双位

第2期最強位

第1期グランプリMAX 

ロン2プロフィールはこちら

3

古川孝次
九段

第16・17・18期鳳凰位

ロン2プロフィールはこちら

4

前原雄大
九段

第12・25期鳳凰位

第14・15・24・25・26期十段位

ロン2プロフィールはこちら

5

藤崎智
七段

第16期十段位

グランプリ2005 他

ロン2プロフィールはこちら

6

瀬戸熊直樹
七段

第26・27・29期鳳凰位

第28・29期十段位

ロン2プロフィールはこちら

7

山井弘
六段

第20期チャンピオンズリーグ

ロン2プロフィールはこちら

8

勝又健志
五段

第2期グランプリMAX

ロン2プロフィールはこちら

9

柴田弘幸
六段
 ロン2プロフィールはこちら
10

近藤久春
五段
 現A1リーグ在籍
11

ダンプ大橋
五段

第34期王位

第18期新人王

ロン2プロフィールはこちら

12

西川淳
四段

第22期チャンピオンズリーグ

ロン2プロフィールはこちら

13

黒沢咲
四段

第6・7期プロクイーン

ロン2プロフィールはこちら

14

堀内正人
四段

第27期十段位

第17期チャンピオンズリーグ

ロン2プロフィールはこちら

15

安田麻里菜
二段

第10期プロクイーン

ロン2プロフィールはこちら

16

嶋村泰之
二段

第26期新人王

第18期チャンピオンズリーグ

 

ベスト16トーナメント
A卓:勝又健志 vs 嶋村泰之 vs 安田麻里菜 vs 古川孝次
B卓:瀬戸熊直樹 vs 堀内正人 vs 黒沢咲 vs 西川淳
C卓:前原雄大 vs 山井弘 vs 柴田弘幸 vs 灘麻太郎
D卓:藤崎智 vs 近藤久春 vs ダンプ大橋 vs 小島武夫

予想とコメント

荒正義

今、一番打ち盛り瀬戸熊が本命。次が実績の前原。トーナメント戦の巧さで藤崎。
決勝に残れば、爆発力の山井と見ました。

◎ 瀬戸熊直樹
〇 前原雄大
▲ 藤崎智
注 山井弘

伊藤優孝

今、充実期にある瀬戸熊を本命にするしかないでしょう。
対抗はなんと言っても鳳凰戦準優勝の前原。
▲は麻雀が変身した感がある柴田。注は本来地力のある山井とします。

◎ 瀬戸熊直樹
〇 前原雄大
▲ 柴田弘幸
注 山井弘

望月雅継

一発勝負のトーナメントだけに、非常に予想は難しいので、ファン目線で自分が見てみたい組み合わせを選んでみました。瀬戸熊の三冠と小島の2度目の優勝に期待したい所だが、注目はA1復帰の古川。
一次、二次予選共に、危なげなく勝ち進む姿を見て、往年の勝負強さの復活を願って印をつけさせてもらいました。

◎ 瀬戸熊直樹
〇 小島武夫
▲ 前原雄大
注 古川孝次

猿川真寿

鳳凰戦組は、基本的に疲れ果てているはずなので外したいところだが、年齢のわりに体力がある前原が本命。
対抗はダンプ。一次予選で自分を倒した勢いがあるのでそのままいっちゃいそう。
(最終戦で、約45ポイント差をまくられました)
単穴は柴田。A1でも安定しているのでそろそろタイトルがあってもいい頃かなと。
やはり、一番の注意人物は小島先生。去年連覇寸前で勝又にまくられたものの、2期連続決勝は相性の良さを感じさせる。

◎ 前原雄大
〇 ダンプ大橋
▲ 柴田弘幸
注 小島武夫

宮内こずえ

この間の鳳凰戦を見れば、瀬戸熊さんと前原さんは外せません!
2人のせめぎあいが観たいので本命と対抗はこのお二人。
前回のグランプリ覇者で理論派の勝又君も食い込んでくるのでは!?
女性Aリーガーの黒沢さんは瞬発力に期待。応援の意味も込めて注目したいですね。

◎ 瀬戸熊直樹
〇 前原雄大
▲ 勝又健志
注 黒沢咲

和久津晶

グランプリMAXは、今年一番活躍したプロが獲るのが自然だと思います。
十段戦、鳳凰戦と全ての局をくまなく観ましたが、どうしても魅了されてしまう瀬戸熊プロ。
憧れと尊敬の意を込めて本命に。
それから手役、Aルールといえば小島先生ですよね。去年の準決勝ではその力を見せつけられて、私は負けました!!タイトル戦には相性みたいなモノも存在すると思うので対抗に。
「なにがなんでも」という感じがする山井プロ。そろそろ何かやってくれそう…と期待もあって▲を。
女の子だから、と油断すれば安田プロにも優勝のチャンスが!
卓が引き締まる程に力を発揮する要注意人物です。
私はあっさり敗退しましたが、タイトルホルダーや実力者がひしめくベスト16から、決勝戦まで…。
一時も目が離せまんね!!

◎ 瀬戸熊直樹
〇 小島武夫
▲ 山井弘
注 安田麻里菜

魚谷侑未

本命は瀬戸熊プロ。やはりなんと言っても強いです。
そして、鳳凰戦の勢いのままにグランプリMAXも優勝してしまうのでは…?
対抗は小島プロ。私を含め全国の麻雀ファンの方が、小島先生の決勝戦で戦う姿を見たいと思っていると思います。
▲は山井プロ。二次予選での爆発力が凄まじかったです。安定した麻雀と爆発力で初タイトル奪取も!?
注は堀内プロ。十段戦での瀬戸熊プロとのバトルは記憶に新しいです。
トーナメント戦に強い堀内プロの一発もあるかもしれません。

◎ 瀬戸熊直樹
〇 小島武夫
▲ 山井弘
注 堀内正人

編集部

本命は、カミソリ灘の異名を持つ灘麻太郎会長。その鋭い仕掛けからのアガリは未だ健在。
対抗はインターネット麻雀選手権から、久しぶりの決勝を狙うダンプ大橋。
▲はニコ生などの実況ではお馴染みの勝又。的確な状況判断を武器に2連覇を目指す。
注意は、今年度の新人王嶋村。勝負どころのクレージーとも思える暴牌が通れば勝機もあり!

◎ 灘麻太郎
〇 ダンプ大橋
▲ 勝又健志
注 嶋村泰之

グランプリ レポート/第3期グランプリMAX 優勝者予想

正解者の中から抽選で1名の方に、第3期グランプリMAX戴冠後の直筆サインをプレゼント致します。
また、応募された方の中から抽選で2名の方に、決勝進出プロ寄せ書きサインをプレゼント致します。
応募方法:優勝すると思われるプロを記載し、こちら からご応募ください。
※1メールアドレスに対し、1応募とさせて頂きます。
※1メールアドレスより複数の応募があった場合、最後に応募されたもののみ受け付けられます。
なお当選者の発表は賞品の発送を以って代えさせて頂きます。
締め切り:2013年2月28日(木)

番号 名前
段位
プロフィール 伊藤 望月 猿川 宮内 和久津 魚谷 編集部
1

灘麻太郎
九段
第9・17期十段位
第10・11・12・13期王位 他
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2
小島武夫
九段
第1期無双位
第2期最強位
第1期グランプリMAX 
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3

古川孝次
九段
第16・17・18期鳳凰位
ロン2プロフィールはこちら
4

前原雄大
九段
第12・25期鳳凰位
第14・15・24・25・26期十段位
ロン2プロフィールはこちら
5

藤崎智
七段
第16期十段位
グランプリ2005 他
ロン2プロフィールはこちら
6

瀬戸熊直樹
七段
第26・27・29期鳳凰位
第28・29期十段位
ロン2プロフィールはこちら
7

山井弘
六段
第20期チャンピオンズリーグ
ロン2プロフィールはこちら
8

勝又健志
五段
第2期グランプリMAX
ロン2プロフィールはこちら
9

柴田弘幸
六段
 ロン2プロフィールはこちら
10

近藤久春
五段
 現A1リーグ在籍
11

ダンプ大橋
五段
第34期王位
第18期新人王
ロン2プロフィールはこちら
12

西川淳
四段
第22期チャンピオンズリーグ
ロン2プロフィールはこちら
13

黒沢咲
四段
第6・7期プロクイーン
ロン2プロフィールはこちら
14

堀内正人
四段
第27期十段位
第17期チャンピオンズリーグ
ロン2プロフィールはこちら
15

安田麻里菜
二段
第10期プロクイーン
ロン2プロフィールはこちら
16

嶋村泰之
二段
第26期新人王
第18期チャンピオンズリーグ

 
ベスト16トーナメント
A卓:勝又健志 vs 嶋村泰之 vs 安田麻里菜 vs 古川孝次
B卓:瀬戸熊直樹 vs 堀内正人 vs 黒沢咲 vs 西川淳
C卓:前原雄大 vs 山井弘 vs 柴田弘幸 vs 灘麻太郎
D卓:藤崎智 vs 近藤久春 vs ダンプ大橋 vs 小島武夫
予想とコメント
荒正義
今、一番打ち盛り瀬戸熊が本命。次が実績の前原。トーナメント戦の巧さで藤崎。
決勝に残れば、爆発力の山井と見ました。
◎ 瀬戸熊直樹
〇 前原雄大
▲ 藤崎智
注 山井弘
伊藤優孝
今、充実期にある瀬戸熊を本命にするしかないでしょう。
対抗はなんと言っても鳳凰戦準優勝の前原。
▲は麻雀が変身した感がある柴田。注は本来地力のある山井とします。
◎ 瀬戸熊直樹
〇 前原雄大
▲ 柴田弘幸
注 山井弘
望月雅継
一発勝負のトーナメントだけに、非常に予想は難しいので、ファン目線で自分が見てみたい組み合わせを選んでみました。瀬戸熊の三冠と小島の2度目の優勝に期待したい所だが、注目はA1復帰の古川。
一次、二次予選共に、危なげなく勝ち進む姿を見て、往年の勝負強さの復活を願って印をつけさせてもらいました。
◎ 瀬戸熊直樹
〇 小島武夫
▲ 前原雄大
注 古川孝次
猿川真寿
鳳凰戦組は、基本的に疲れ果てているはずなので外したいところだが、年齢のわりに体力がある前原が本命。
対抗はダンプ。一次予選で自分を倒した勢いがあるのでそのままいっちゃいそう。
(最終戦で、約45ポイント差をまくられました)
単穴は柴田。A1でも安定しているのでそろそろタイトルがあってもいい頃かなと。
やはり、一番の注意人物は小島先生。去年連覇寸前で勝又にまくられたものの、2期連続決勝は相性の良さを感じさせる。
◎ 前原雄大
〇 ダンプ大橋
▲ 柴田弘幸
注 小島武夫
宮内こずえ
この間の鳳凰戦を見れば、瀬戸熊さんと前原さんは外せません!
2人のせめぎあいが観たいので本命と対抗はこのお二人。
前回のグランプリ覇者で理論派の勝又君も食い込んでくるのでは!?
女性Aリーガーの黒沢さんは瞬発力に期待。応援の意味も込めて注目したいですね。
◎ 瀬戸熊直樹
〇 前原雄大
▲ 勝又健志
注 黒沢咲
和久津晶
グランプリMAXは、今年一番活躍したプロが獲るのが自然だと思います。
十段戦、鳳凰戦と全ての局をくまなく観ましたが、どうしても魅了されてしまう瀬戸熊プロ。
憧れと尊敬の意を込めて本命に。
それから手役、Aルールといえば小島先生ですよね。去年の準決勝ではその力を見せつけられて、私は負けました!!タイトル戦には相性みたいなモノも存在すると思うので対抗に。
「なにがなんでも」という感じがする山井プロ。そろそろ何かやってくれそう…と期待もあって▲を。
女の子だから、と油断すれば安田プロにも優勝のチャンスが!
卓が引き締まる程に力を発揮する要注意人物です。
私はあっさり敗退しましたが、タイトルホルダーや実力者がひしめくベスト16から、決勝戦まで…。
一時も目が離せまんね!!
◎ 瀬戸熊直樹
〇 小島武夫
▲ 山井弘
注 安田麻里菜
魚谷侑未
本命は瀬戸熊プロ。やはりなんと言っても強いです。
そして、鳳凰戦の勢いのままにグランプリMAXも優勝してしまうのでは…?
対抗は小島プロ。私を含め全国の麻雀ファンの方が、小島先生の決勝戦で戦う姿を見たいと思っていると思います。
▲は山井プロ。二次予選での爆発力が凄まじかったです。安定した麻雀と爆発力で初タイトル奪取も!?
注は堀内プロ。十段戦での瀬戸熊プロとのバトルは記憶に新しいです。
トーナメント戦に強い堀内プロの一発もあるかもしれません。
◎ 瀬戸熊直樹
〇 小島武夫
▲ 山井弘
注 堀内正人
編集部
本命は、カミソリ灘の異名を持つ灘麻太郎会長。その鋭い仕掛けからのアガリは未だ健在。
対抗はインターネット麻雀選手権から、久しぶりの決勝を狙うダンプ大橋。
▲はニコ生などの実況ではお馴染みの勝又。的確な状況判断を武器に2連覇を目指す。
注意は、今年度の新人王嶋村。勝負どころのクレージーとも思える暴牌が通れば勝機もあり!
◎ 灘麻太郎
〇 ダンプ大橋
▲ 勝又健志
注 嶋村泰之

第3期グランプリMAX予選組み合わせ発表

第29期鳳凰戦が幕を降ろし、ついに第三期グランプリMAXの組み合わせが確定しました。
グランプリMAXとは、日本プロ麻雀連盟のポイントシステムを使った、今年度の年間チャンピオンを決めるタイトル戦です。

一次予選、二次予選、ベスト16、準決勝、決勝と進みます。

ベスト16にシードされるのは、昨年度優勝の勝又健志。
激闘の鳳凰戦を制した、瀬戸熊直樹。
そして、本来ならここにマスターズチャンピオンや王位、ポイント上位者がシードされるのですが、今年度は該当者がいないため、ポイント上位の前原雄大、藤崎智の4名までのシードとなりました。

ベスト16組み合わせ
A卓:勝又健志+予選勝ち上がり者3名
B卓:瀬戸熊直樹+予選勝ち上がり者3名
C卓:前原雄大+予選勝ち上がり者3名
D卓:藤崎智+予選勝ち上がり者3名

※組み合わせは、都合により変更となる場合がございます。

二次予選シードは、“カミソリ灘”こと灘麻太郎会長や、“ミスター麻雀“小島武夫といった、日本プロ麻雀連盟を、いや麻雀界を代表するトッププロのお二人に、今年度活躍した、女流桜花・魚谷侑未、プロクイーン・安田麻里菜、チャンピオンズリーグ前期優勝者・西川淳(ポイント上位のため)などのタイトル獲得者に、その他、年間ポイント上位者7名がシードされました。

二次予選組み合わせ
1卓:小島武夫 鮎川卓+予選勝ち上がり者2名
2卓:灘麻太郎 西川淳+予選勝ち上がり者2名
3卓:魚谷侑未 山井弘+予選勝ち上がり者2名
4卓:安田麻里菜 浜上文吾+予選勝ち上がり者2名
5卓:仁平宣明 荒正義+予選勝ち上がり者2名
6卓:堀内正人 柴田弘幸+予選勝ち上がり者2名

※組み合わせは、都合により変更となる場合がございます。

一次予選は、九段シードの伊藤優孝、森山茂和、古川孝次などのベテラン選手が出場。
そして、チャンピオンズリーグ後期優勝の中村慎吾、新人王・嶋村泰之など若手を代表する選手が挑戦!
その他にも、Aリーグなどを代表する選手が続々登場します。

一次予選組み合わせ
1卓:森山茂和vs朝武雅晴vs白鳥翔vs黒沢咲
2卓:古川孝次vs井出一寛vs望月雅継vs吉田直
3卓:嶋村泰之vs石渡正志vs高沢智vs山田浩之
4卓:中村慎吾vs近藤久春vs平田孝章vs安東裕允
5卓:伊藤優孝vsダンプ大橋vs猿川真寿vs内川幸太郎
6卓:和久津晶vs沢崎誠vs滝沢和典vs奈良圭純

※組み合わせは、都合により変更となる場合がございます。

この激戦は、

2月23日(土)一次予選
2月24日(日)二次予選
3月1日(金)ベスト16
3月2日(土)準決勝

そして、決勝はニコニコ生放送で配信が予定されています。
日本プロ麻雀連盟の年間チャンピオンは誰の手に!?

プロ雀士コラム/第3期グランプリMAX予選組み合わせ発表

第29期鳳凰戦が幕を降ろし、ついに第三期グランプリMAXの組み合わせが確定しました。
グランプリMAXとは、日本プロ麻雀連盟のポイントシステムを使った、今年度の年間チャンピオンを決めるタイトル戦です。
一次予選、二次予選、ベスト16、準決勝、決勝と進みます。
ベスト16にシードされるのは、昨年度優勝の勝又健志。
激闘の鳳凰戦を制した、瀬戸熊直樹。
そして、本来ならここにマスターズチャンピオンや王位、ポイント上位者がシードされるのですが、今年度は該当者がいないため、ポイント上位の前原雄大、藤崎智の4名までのシードとなりました。
ベスト16組み合わせ
A卓:勝又健志+予選勝ち上がり者3名
B卓:瀬戸熊直樹+予選勝ち上がり者3名
C卓:前原雄大+予選勝ち上がり者3名
D卓:藤崎智+予選勝ち上がり者3名
※組み合わせは、都合により変更となる場合がございます。

二次予選シードは、“カミソリ灘”こと灘麻太郎会長や、“ミスター麻雀“小島武夫といった、日本プロ麻雀連盟を、いや麻雀界を代表するトッププロのお二人に、今年度活躍した、女流桜花・魚谷侑未、プロクイーン・安田麻里菜、チャンピオンズリーグ前期優勝者・西川淳(ポイント上位のため)などのタイトル獲得者に、その他、年間ポイント上位者7名がシードされました。

二次予選組み合わせ
1卓:小島武夫 鮎川卓+予選勝ち上がり者2名
2卓:灘麻太郎 西川淳+予選勝ち上がり者2名
3卓:魚谷侑未 山井弘+予選勝ち上がり者2名
4卓:安田麻里菜 浜上文吾+予選勝ち上がり者2名
5卓:仁平宣明 荒正義+予選勝ち上がり者2名
6卓:堀内正人 柴田弘幸+予選勝ち上がり者2名
※組み合わせは、都合により変更となる場合がございます。

一次予選は、九段シードの伊藤優孝、森山茂和、古川孝次などのベテラン選手が出場。
そして、チャンピオンズリーグ後期優勝の中村慎吾、新人王・嶋村泰之など若手を代表する選手が挑戦!
その他にも、Aリーグなどを代表する選手が続々登場します。

一次予選組み合わせ
1卓:森山茂和vs朝武雅晴vs白鳥翔vs黒沢咲
2卓:古川孝次vs井出一寛vs望月雅継vs吉田直
3卓:嶋村泰之vs石渡正志vs高沢智vs山田浩之
4卓:中村慎吾vs近藤久春vs平田孝章vs安東裕允
5卓:伊藤優孝vsダンプ大橋vs猿川真寿vs内川幸太郎
6卓:和久津晶vs沢崎誠vs滝沢和典vs奈良圭純
※組み合わせは、都合により変更となる場合がございます。

この激戦は、

2月23日(土)一次予選
2月24日(日)二次予選
3月1日(金)ベスト16
3月2日(土)準決勝
そして、決勝はニコニコ生放送で配信が予定されています。
日本プロ麻雀連盟の年間チャンピオンは誰の手に!?

第13期九州プロリーグ 皇帝位決定戦成績

初日

1日目 西原 亨 藤原 英司 東谷 達矢 浜上 文吾 供託
1回戦 得失点
▲ 3.8
0.0
25.6
▲ 21.8
0.0
順位点
▲ 4.0
4.0
8.0
▲ 8.0
0.0
▲ 7.8
4.0
33.6
▲ 29.8
0.0
2回戦 得失点
13.8
▲ 6.1
▲ 0.4
▲ 7.3
0.0
順位点
12.0
▲ 3.0
▲ 1.0
▲ 8.0
0.0
25.8
▲ 9.1
▲ 1.4
▲ 15.3
0.0
3回戦 得失点
▲ 16.2
8.4
1.1
6.7
0.0
順位点
▲ 12.0
8.0
1.0
3.0
0.0
▲ 28.2
16.4
2.1
9.7
0.0
4回戦 得失点
▲ 14.2
26.8
2.1
▲ 14.7
0.0
順位点
▲ 4.0
8.0
4.0
▲ 8.0
0.0
▲ 18.2
34.8
6.1
▲ 22.7
0.0
5回戦 得失点
▲ 19.3
22.0
8.2
▲ 10.9
0.0
順位点
▲ 8.0
8.0
4.0
▲ 4.0
0.0
▲ 27.3
30.0
12.2
▲ 14.9
0.0
6回戦 得失点
1.9
▲ 5.2
▲ 6.0
9.3
0.0
順位点
4.0
▲ 4.0
▲ 8.0
8.0
0.0
5.9
▲ 9.2
▲ 14.0
17.3
0.0
ペナルティ
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
6回戦計
▲ 49.8
66.9
38.6
▲ 55.7
0.0

最終日

2日目 西原 亨 藤原 英司 東谷 達矢 浜上 文吾 供託
7回戦 得失点 4.4 ▲ 4.2 ▲ 6.4 6.2
0.0
順位点 4.0 ▲ 4.0 ▲ 8.0 8.0
0.0
8.4 ▲ 8.2 ▲ 14.4 14.2
0.0
8回戦 得失点 ▲ 30.5 24.3 4.8 1.4
0.0
順位点 ▲ 12.0 8.0 3.0 1.0
0.0
▲ 42.5 32.3 7.8 2.4
0.0
9回戦 得失点 27.5 ▲ 6.6 ▲ 51.2 30.3
0.0
順位点 4.0 ▲ 4.0 ▲ 8.0 8.0
0.0
31.5 ▲ 10.6 ▲ 59.2 38.3
0.0
10回戦 得失点 ▲ 11.2 ▲ 5.0 ▲ 9.5 25.7
0.0
順位点 ▲ 8.0 ▲ 1.0 ▲ 3.0 12.0
0.0
▲ 19.2 ▲ 6.0 ▲ 12.5 37.7
0.0
11回戦 得失点 ▲ 14.9 10.8 49.4 ▲ 45.3
0.0
順位点 ▲ 4.0 4.0 8.0 ▲ 8.0
0.0
▲ 18.9 14.8 57.4 ▲ 53.3
0.0
12回戦 得失点 ▲ 34.2 ▲ 2.7 ▲ 11.0 47.9
0.0
順位点 ▲ 8.0 ▲ 1.0 ▲ 3.0 12.0
0.0
▲ 42.2 ▲ 3.7 ▲ 14.0 59.9
0.0
ペナルティ ▲ 20.0 0.0 0.0 0.0
0.0
12回戦計 ▲ 152.7 85.5 3.7 43.5
0.0

九州プロリーグ 成績表/第13期九州プロリーグ 皇帝位決定戦成績

初日

1日目 西原 亨 藤原 英司 東谷 達矢 浜上 文吾 供託
1回戦 得失点
▲ 3.8
0.0
25.6
▲ 21.8
0.0
順位点
▲ 4.0
4.0
8.0
▲ 8.0
0.0
▲ 7.8
4.0
33.6
▲ 29.8
0.0
2回戦 得失点
13.8
▲ 6.1
▲ 0.4
▲ 7.3
0.0
順位点
12.0
▲ 3.0
▲ 1.0
▲ 8.0
0.0
25.8
▲ 9.1
▲ 1.4
▲ 15.3
0.0
3回戦 得失点
▲ 16.2
8.4
1.1
6.7
0.0
順位点
▲ 12.0
8.0
1.0
3.0
0.0
▲ 28.2
16.4
2.1
9.7
0.0
4回戦 得失点
▲ 14.2
26.8
2.1
▲ 14.7
0.0
順位点
▲ 4.0
8.0
4.0
▲ 8.0
0.0
▲ 18.2
34.8
6.1
▲ 22.7
0.0
5回戦 得失点
▲ 19.3
22.0
8.2
▲ 10.9
0.0
順位点
▲ 8.0
8.0
4.0
▲ 4.0
0.0
▲ 27.3
30.0
12.2
▲ 14.9
0.0
6回戦 得失点
1.9
▲ 5.2
▲ 6.0
9.3
0.0
順位点
4.0
▲ 4.0
▲ 8.0
8.0
0.0
5.9
▲ 9.2
▲ 14.0
17.3
0.0
ペナルティ
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
6回戦計
▲ 49.8
66.9
38.6
▲ 55.7
0.0

最終日

2日目 西原 亨 藤原 英司 東谷 達矢 浜上 文吾 供託
7回戦 得失点 4.4 ▲ 4.2 ▲ 6.4 6.2
0.0
順位点 4.0 ▲ 4.0 ▲ 8.0 8.0
0.0
8.4 ▲ 8.2 ▲ 14.4 14.2
0.0
8回戦 得失点 ▲ 30.5 24.3 4.8 1.4
0.0
順位点 ▲ 12.0 8.0 3.0 1.0
0.0
▲ 42.5 32.3 7.8 2.4
0.0
9回戦 得失点 27.5 ▲ 6.6 ▲ 51.2 30.3
0.0
順位点 4.0 ▲ 4.0 ▲ 8.0 8.0
0.0
31.5 ▲ 10.6 ▲ 59.2 38.3
0.0
10回戦 得失点 ▲ 11.2 ▲ 5.0 ▲ 9.5 25.7
0.0
順位点 ▲ 8.0 ▲ 1.0 ▲ 3.0 12.0
0.0
▲ 19.2 ▲ 6.0 ▲ 12.5 37.7
0.0
11回戦 得失点 ▲ 14.9 10.8 49.4 ▲ 45.3
0.0
順位点 ▲ 4.0 4.0 8.0 ▲ 8.0
0.0
▲ 18.9 14.8 57.4 ▲ 53.3
0.0
12回戦 得失点 ▲ 34.2 ▲ 2.7 ▲ 11.0 47.9
0.0
順位点 ▲ 8.0 ▲ 1.0 ▲ 3.0 12.0
0.0
▲ 42.2 ▲ 3.7 ▲ 14.0 59.9
0.0
ペナルティ ▲ 20.0 0.0 0.0 0.0
0.0
12回戦計 ▲ 152.7 85.5 3.7 43.5
0.0

第7期女流桜花決定戦 初日観戦記

ouka

今回で第7期となる女流桜花の決勝戦。
いまや女流リーグもCリーグまで増え、参加者はのべ75名。
第1期が39名で発足していたので、約倍近くに拡大した事となる。

競争も激しくなり、全体のレベルも確実に上がっていることは間違いない。
また、昨年より「ニコ生」での放送も採用され、数万人以上の人達がリアルタイムで観戦でき、これまでとは全く比べものにならないくらい、多勢の方々に注目されている。

注目度が上がるということは、それだけプレッシャーも同じだけ増加する。
普段との勝手の違いでうまく打つことができず大きなミスをしてしまうと、大多数の視聴者の前で実力不足を露呈することとなる。

麻雀の力だけではなく、そういったプレッシャーなどにも打ち勝つ新たな力が今のタイトル戦決勝には必要なのである。

今回の選手達には失敗を恐れず、それぞれの持ち味を遺憾なく発揮して、多くの視聴者の方に感動を届けて頂きたいと思う。

【選手紹介】

魚谷侑未
25期生 三段 現女流桜花

ouka

魚谷侑未プロ

昨年、一番の躍進を遂げた女流プロである。
第6期女流桜花をタイトル戦決勝初めての挑戦で奪取し、第10回女流モンド杯も初出場での優勝。
彼女の強さは手牌構成や状況判断と言ったものも優れてはいると思うが、なんといっても「揺れない心」ではなかろうか。
連盟ホームページでの優勝者予想で前原雄大はこう書いている。

「魚谷を本命に推したのは、いかなる局面になろうとも途切れることのない集中力の高さと、
局面を読む力、ラフな攻撃力よりも守備力を買う。」

対戦前本人コメント
「自分としてはいい状態で持って来られたので、準備は万全だと思います。
あとは力を出し切れるように頑張ります」

内田美乃里
23期生 三段 第8期プロクイーン決定戦 決勝進出

ouka

内田美乃里プロ

女流Aリーグ1位通過。
鳳凰戦プロリーグでもC1リーグを圧勝で優勝し、その実力は連盟内で周知されている。
先の優勝者予想でもタイトルホルダーである魚谷、和久津を差し置いての一番人気。
不安要素としては、タイトル戦決勝経験が2回目と少ない事とテレビ対局が初めてといったところか。

対戦前本人コメント
「2日間で10回戦ということもあり、今日は優勝を狙える位置につけたいと思います。
追いていかれないようにしたいです」

和久津晶
23期生 三段 第9期プロクイーン優勝

ouka

和久津晶プロ

超攻撃型アマゾネス、一体誰が付けたのであろうか。イメージぴったりである。
僕も何回か対戦した事があるが、あの押しっぷりは圧巻!
下手に愚形リーチを打つものなら、こちらが窮地に陥るのは間違いない。
今回は第10期プロクイーンの鬱憤を晴らそうと燃えているに違いないであろう。

対戦前本人コメント
「いつも通り攻撃重視で頑張ります!」

矢口加奈子
24期生 二段

ouka

矢口加奈子プロ

連盟タイトル戦初めての決勝進出。本人にとってこの舞台に立てることはとても嬉しい事であろう。
私は彼女の麻雀をあまり良く知らないのだが、事前の取材に依ると受け重視の雀風のようだ。
プレーオフの同卓者は、清水香織、二階堂亜樹、仲田加南という実力者たちで、その3人を相手に逃げ切りで通過を果たしたのも自信となっているであろう。

対戦前本人コメント
「自分の力を出し切れるように望みたいと思います」

1回戦(起家から、矢口・魚谷・内田・和久津)

選手インタビューが終わり緊張感漂う中、開局のサイコロが振られる。

ouka

左から魚谷侑未プロ、矢口加奈子プロ、和久津晶プロ、内田美乃里プロ

まず、チャンスを得たのは起家の矢口。ドラが三万で配牌はこれ。

一万四万四万五万六万六万四索七索③筒四筒四筒五筒白中  ドラ三万

丁寧に牌を選びながら6巡目にはこのテンパイ。

四万五万六万六万六万四索五索五索六索七索③筒四筒五筒

345、456の三色変化とドラ引きを見てヤミテンを選択。
一発裏ドラのない、競技ルールの2,600オールは十分満足できるアガリだけに、即リーチに行く人も多いのではないだろうか。もちろん2手で6,000オールの可能性があるのでここの判断は難しい所ではある。

初決勝開局の場面となれば、ややかかり気味にリーチに踏み切りそうなものだが、少なくともヤミテンできるということは、矢口が焦ってはおらず落ち着いて対局に入れているなと感じられた。
結果は終盤までもつれ、追いついてテンパイが入った内田から2,900出アガリ。

東1局1本場は、魚谷がトイトイ含みで仕掛けるも流局。
うん、魚谷もしっかり対局に入り込めているようだ。

大きく点数が動いたのが東3局。
親の内田が先制でリーチ。

一索一索六索七索八索二筒③筒四筒七筒八筒  カン牌の背五万五万牌の背  リーチ  ドラ一筒

ここにぶつけたのは、ドラを暗刻にした和久津。

一万一万七索八索九索一筒一筒一筒二筒③筒四筒四筒五筒  リーチ

勝負は終盤までもつれ、和久津の最後のツモ牌が暗刻であるドラの一筒
これを暗カンしてリンシャンから六筒をツモリあげた。
初アガリがリーチツモリンシャンドラ4の3,000・6,000とは、さすが攻撃型高打点の和久津である。
途中の手順も攻撃型らしく、3巡目に発では無くダブ東から打ち出している。
こういう所にアガリの精度というか、押し引きのメリハリが見てとれると思う。

ouka

内田もここでは負けたものの次局、和久津の親でこの形の先制リーチ。

一万二万三万七万八万九万四索五索六索七索八索五筒五筒  リーチ  ドラ一万

これを和久津から打ち取り3,900をアガると、続く南1局も内田がツモアガリをし、その勢いのまま南2局に本手の先制リーチ!

三万四万一索二索三索五索六索七索六筒七筒八筒南南  リーチ  ツモ二万 ドラ南

この2,000・3,900は相当感触が良かったのではないだろうか、そして親を迎える。
3局連続でのアガリに、この時解説していた瀬戸熊、藤崎プロもこの親番はかなり危険ですね、との見解。
麻雀には流れというか、人の心理的なものは必ず絡むものである。
そこから来ている発言である。
連続でアガられている所に、さらに親でリーチと来られたら、前の局の印象もありなかなか勝負には行けないものである。

 

ouka

 

注目の南3局は、ここまでアガリのない魚谷が先制リーチ。

三万四万四万五万五万六万三索三索五筒五筒六筒七筒七筒   リーチ  ドラ東

この時親の内田はこの1シャンテン。

四万五万二索二索二索七索七索八索八索九索二筒③筒四筒

リーチを受けての一発目のツモが4枚目の二索
リーチ者に対して危険牌であるし、六索九索がこの時場に4枚見えている事も考えると、カンをするのが自然ではあるが、カンをしてしまうと雀頭候補が無くなってしまうのでツモ切る手もある。(後者の方がより攻撃的か)
内田は少考の末、現物の八索切りを選択。
確かにドラの東が全く見えていないことと、ラス目の魚谷のリーチで有る事から打点は有る程度高いと思えるのは仕方ない所であるが、ここはもっとアグレッシブな選択をして欲しかった。
この局は流局となるが、内田の捨て牌には上手くいけばアガリもあったし、最低テンパイの形があっただけに実に惜しい。

オーラスは矢口が満貫をツモリ逆転トップとなり、魚谷はこのアガリで1人沈みのラスとなってしまい厳しいスタートとなった。

1回戦成績
矢口+15.1P  内田+4.5P  和久津+2.3P  魚谷▲21.9P

2回戦(起家から、内田・和久津・魚谷・矢口)

1回戦トップをとった矢口が、開局からドラ2の先制リーチを打つも、親・内田との2軒テンパイで流局。
同1本場に、親権を維持した内田に会心のアガリが出る。

二万三万七万七万二索三索四索二筒③筒四筒六筒七筒八筒  ツモ四万  ドラ五索

この6,000オールで一気に抜け出し、次局も700は900オール。
3本場も5巡目にこの形。

二万三万三索四索七索九索九索二筒③筒四筒五筒五筒六筒  ドラ七万

これは続きそうな親番だなと思っていたが、これがテンパイせず流局。
道中、魚谷の仕掛けが入ったのだが、どこか簡単に親を手放してしまったように見えたのは、筆者だけであろうか。
1回戦の南3局といい、なにか普段の内田とは違う違和感を感じずにはいられない。
しかし、6,000オールは大きくトップは硬いかと思われたその時、驚愕のアガリが出る。

動画再生

わずか7巡での見事な四暗刻単騎!アガったのはここまで苦しかった、魚谷。
このアガリ1つで一気に総合でも首位に立つ。対局者の凍りついた表情が大変印象的であった。

ouka

 

 

2回戦終了時成績
魚谷+46.9P  内田▲1.1P  矢口▲19.4P  和久津▲26.4P

トータル成績
魚谷+25.0P  内田+3.4P  矢口▲4.3P  和久津▲24.1P

3回戦(起家から、和久津・内田・魚谷・矢口)

いまいち波に乗れない起家となった和久津が、開局から大物手をテンパイ。

六万七万二索三索四索八索八索八索二筒二筒二筒六筒六筒  ドラ二筒

これを逡巡もせず即リーチ!
結果は流局となるが、迷いもせずにリーチと行けるのが和久津の強さであろう。
対局者もテンパイ形を見せられて、脅威に感じるのは間違いない。

東3局に内田が秀逸なアガリを見せる。
ここまでに、細かいアガリを積み重ねたトップ目の魚谷の配牌がよかったのだが、そこへの対応となったのがこの場面。

ouka

ここからソーズと字牌を一切下ろさずに、ピンズのメンツ落しで親に対応すると、ツモ二索、ツモ五索と来てこの形のテンパイでリーチ!

一索二索三索五索六索七索八索八索八索西西中中  リーチ  ドラ一索

これを、親の魚谷から中で打ち取り12,000の大きなアガリ。
ようやく内田のバランスの良さがでた一局になった。

オーラスを迎えて、内田47,000、和久津32,900、魚谷25,400、矢口14,700という並び。
この半荘良いところがなかった矢口の親だったので、1局で終わるのかなと思って見ていたが、矢口が執念の粘りを見せる。

一万二万三万四万四万一索二索三索四索五索五筒五筒五筒  リーチ  ロン六索  ドラ八索

魚谷との2軒リーチでこのアガリを手にしてから、打点こそないものの8本場まで積み上げトップ目に立ち、最終局に魚谷が、

八万八万四索四索五索五索八索八索九索二筒二筒八筒八筒 ツモ九索 ドラ八万

この満貫を引きアガリ矢口が1人浮きのトップ。魚谷もマイナスの小さな3着まであがった。
1人沈みから1人浮きになった矢口、素点を大幅に回復させての3着の魚谷は、相当気分をよくしたであろうし、オーラスまでトップ目にいた内田は、2万点程削られてまさかの沈み2着。和久津も小さなラスとはいえ、点数以上にメンタルにダメージを受ける結果となったのではないだろうか。

3回戦成績
矢口+19.0P  内田▲2.1P  魚谷▲5.5P  和久津▲11.4P

トータル成績
魚谷+19.5P  矢口+14.7P  内田+1.3P  和久津▲35.5P

4回戦(起家から、和久津・矢口・魚谷・内田)

トータルで1人沈みとなり、トップとの差も50P程離された和久津。
休憩時間に目が合うなりいきなり衝撃の一言「ウッチー、ビンタして。目醒まさなきゃ」
いやいや(汗)勿論そんなことはしないが、本人も気持ちの入れなおしが必要だと良くわかっているようだ。

気持ちの入れ替えが上手く出来たのか、開局、起家となった和久津が先制リーチ。

一万一万五万六万六万七万七万二索三索四索六筒六筒六筒  リーチ  ドラ一万

ここに内田が、同巡追いつき追いかけリーチ。

一万二万三万三索四索五索七索八索五筒五筒七筒八筒九筒  リーチ

魚谷も内田の宣言牌をポンしてテンパイで捌きにかかる。
壮絶なめくり合いは、内田が和久津の高めの五万をつかみ12,000の放銃となった。

魚谷が動いてなければ、和久津のツモアガリであったのは結果論だが、魚谷にとって積極的な行動が良い結果になったのは明らかだった。

同1本場は、和久津が二の矢を放ち、

一万一万二索二索三索三索四索四筒五筒六筒六筒七筒八筒  リーチ  ツモ一索  ドラ三万

安めながらツモアガリ、そして2本場もこの配牌。

五万六万五索六索六索六索七索七索八索四筒七筒九筒東西  ドラ六索

2巡目に八筒を引き入れ、4巡目に七万を引きテンパイ。

五万六万七万五索六索六索六索七索七索八索七筒八筒九筒

跳満、倍満まで伸びそうなのと、場に九索が2枚打たれていることで、ここはヤミテンとするが、何とか親を落としたい魚谷が、8巡目に追いつきカン四筒ツモで難を逃れる。

一万二万三万四索四索四索③筒③筒四筒五筒五筒南南  ツモ四筒  ドラ六索

違う結果はなかったのか?と自分の河に目を落とす和久津。
ピンチの後にチャンスあり、苦あれば楽ありとはよく言ったもので、ピンチを脱出した魚谷にチャンスが訪れる。

ouka

これに飛び込んだのが、チャンスを活かしきれなかった和久津。
自身の手牌も7巡目にタンヤオ三色の1シャンテンであったが、入り目が役なしになる六万で、リーチを打たざるを得ない形となり、リーチ後に先ほどまで待ち望んだ六索が来るのは単なる偶然であろうか。
役アリのピンフ形ならリーチ者の現物を切ってのヤミテンにした公算が高いだけに、脇に流れた六筒九筒でのアガリはあったであろう。
先人らが言う、「ツモの強弱」とはこういう事を言うのだろう。

チャンスをものにした魚谷は東4局にも、

一万一万九万九万九万北北白白白 明カン西西西西 ツモ北  ドラ七索

ホンイツ、ホンロウ、トイトイ、三暗刻、北白の、長ーい呪文の倍満!
持ち点も60,000点を超え、この半荘のトップを確実にした。

4回戦終了時成績
魚谷+36.7P  和久津+19.9P  内田▲24.3P  矢口▲32.3P

トータル成績
魚谷+56.2P  和久津▲15.6P  矢口▲17.6P  内田▲23.0P

5回戦(起家から、魚谷・和久津・矢口・内田)

本日の最終戦を前に、現女流桜花の魚谷が1人抜け出した。
他の3人は綺麗に横一直線で、最終戦なんとか浮きで終えて、黒字で明日を迎えたいところであろう。

東2局、4回戦から静かであった矢口が先制リーチを放つ。

一万一万一万二万二万一索二索四索五索六索七索八索九索  リーチ  ドラ一索

競技ルールではヤミテンを選択する人も多いこの手組ならば、ここまでヤミテンの多い矢口は、ここもリーチに行かないだろうと思って見ていたで、このリーチは少し意外であった。

これをきっちりツモりあげ2,000・4,000のアガリ。
このアガリをきっかけに南1局も

五万六万③筒四筒五筒七筒八筒九筒東東南南南  リーチ  ツモ七万  ドラ南

これは、親の魚谷との同テンを引き勝ち3,000・6,000の価値あるアガリ。
親の魚谷も噴きあがりそうなタイミングの勝負手であっただけに、この跳満はダメージになったのではないだろうか。こうなると楽しみなのは矢口の親番。
予想通り南3局での親番で、

三万四万五万三索四索五索八索八索八索③筒③筒五筒六筒  リーチ  ツモ七筒  ドラ八索

この6,000オールで60,000点を超えるトップとなった。
これをリーチに踏み切れる強さ、矢口のリーチ判断の精度が高いと伺える半荘であった。

5回戦終了時
矢口+47.4P  魚谷▲3.9P  和久津▲17.0P  内田▲26.5P

初日終了時トータル
魚谷+52.3P  矢口+29.8P  和久津▲32.6P  内田▲49.5P

初日を終えて、現女流桜花の魚谷が首位で折り返した。

四暗刻単騎や、倍満などの大きなアガリがあってのこのポイントだが、終始安定した試合運びで不用意な放銃はほぼ皆無であった。

2位で魚谷を追うのは、5回戦をダントツトップで終えた矢口。
序盤は一見、消極的とも取れるヤミテンを多用していたが、ひとたび勢いを味方に付けると、
“リーチ”“リーチ“と攻め立てた。また、そのツモアガリ精度も良いものがあった。

和久津はやや展開に見放された感じが取れた。
トップとは約85P程であるが、彼女の攻撃力を持ってすれば、1半荘でひっくり返す事も可能であろう。

内田は初のテレビ対局を意識してしまったのか、全体的に堅い気がしてならない。
僕は彼女の雀質は上手いタイプで無く、強いタイプであると思っている。
今日の手役思考での綺麗な打ち方で無く、押し引きの上手さとややラフでも大暴れする内田を明日は見てみたい。

女流プロリーグ(女流桜花) 決勝観戦記/第7期女流桜花決定戦 初日観戦記

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今回で第7期となる女流桜花の決勝戦。
いまや女流リーグもCリーグまで増え、参加者はのべ75名。
第1期が39名で発足していたので、約倍近くに拡大した事となる。
競争も激しくなり、全体のレベルも確実に上がっていることは間違いない。
また、昨年より「ニコ生」での放送も採用され、数万人以上の人達がリアルタイムで観戦でき、これまでとは全く比べものにならないくらい、多勢の方々に注目されている。
注目度が上がるということは、それだけプレッシャーも同じだけ増加する。
普段との勝手の違いでうまく打つことができず大きなミスをしてしまうと、大多数の視聴者の前で実力不足を露呈することとなる。
麻雀の力だけではなく、そういったプレッシャーなどにも打ち勝つ新たな力が今のタイトル戦決勝には必要なのである。
今回の選手達には失敗を恐れず、それぞれの持ち味を遺憾なく発揮して、多くの視聴者の方に感動を届けて頂きたいと思う。
【選手紹介】
魚谷侑未
25期生 三段 現女流桜花

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魚谷侑未プロ

昨年、一番の躍進を遂げた女流プロである。
第6期女流桜花をタイトル戦決勝初めての挑戦で奪取し、第10回女流モンド杯も初出場での優勝。
彼女の強さは手牌構成や状況判断と言ったものも優れてはいると思うが、なんといっても「揺れない心」ではなかろうか。
連盟ホームページでの優勝者予想で前原雄大はこう書いている。
「魚谷を本命に推したのは、いかなる局面になろうとも途切れることのない集中力の高さと、
局面を読む力、ラフな攻撃力よりも守備力を買う。」
対戦前本人コメント
「自分としてはいい状態で持って来られたので、準備は万全だと思います。
あとは力を出し切れるように頑張ります」
内田美乃里
23期生 三段 第8期プロクイーン決定戦 決勝進出

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内田美乃里プロ

女流Aリーグ1位通過。
鳳凰戦プロリーグでもC1リーグを圧勝で優勝し、その実力は連盟内で周知されている。
先の優勝者予想でもタイトルホルダーである魚谷、和久津を差し置いての一番人気。
不安要素としては、タイトル戦決勝経験が2回目と少ない事とテレビ対局が初めてといったところか。
対戦前本人コメント
「2日間で10回戦ということもあり、今日は優勝を狙える位置につけたいと思います。
追いていかれないようにしたいです」
和久津晶
23期生 三段 第9期プロクイーン優勝

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和久津晶プロ

超攻撃型アマゾネス、一体誰が付けたのであろうか。イメージぴったりである。
僕も何回か対戦した事があるが、あの押しっぷりは圧巻!
下手に愚形リーチを打つものなら、こちらが窮地に陥るのは間違いない。
今回は第10期プロクイーンの鬱憤を晴らそうと燃えているに違いないであろう。
対戦前本人コメント
「いつも通り攻撃重視で頑張ります!」
矢口加奈子
24期生 二段

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矢口加奈子プロ

連盟タイトル戦初めての決勝進出。本人にとってこの舞台に立てることはとても嬉しい事であろう。
私は彼女の麻雀をあまり良く知らないのだが、事前の取材に依ると受け重視の雀風のようだ。
プレーオフの同卓者は、清水香織、二階堂亜樹、仲田加南という実力者たちで、その3人を相手に逃げ切りで通過を果たしたのも自信となっているであろう。
対戦前本人コメント
「自分の力を出し切れるように望みたいと思います」

1回戦(起家から、矢口・魚谷・内田・和久津)

選手インタビューが終わり緊張感漂う中、開局のサイコロが振られる。

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左から魚谷侑未プロ、矢口加奈子プロ、和久津晶プロ、内田美乃里プロ

まず、チャンスを得たのは起家の矢口。ドラが三万で配牌はこれ。
一万四万四万五万六万六万四索七索③筒四筒四筒五筒白中  ドラ三万
丁寧に牌を選びながら6巡目にはこのテンパイ。
四万五万六万六万六万四索五索五索六索七索③筒四筒五筒
345、456の三色変化とドラ引きを見てヤミテンを選択。
一発裏ドラのない、競技ルールの2,600オールは十分満足できるアガリだけに、即リーチに行く人も多いのではないだろうか。もちろん2手で6,000オールの可能性があるのでここの判断は難しい所ではある。
初決勝開局の場面となれば、ややかかり気味にリーチに踏み切りそうなものだが、少なくともヤミテンできるということは、矢口が焦ってはおらず落ち着いて対局に入れているなと感じられた。
結果は終盤までもつれ、追いついてテンパイが入った内田から2,900出アガリ。
東1局1本場は、魚谷がトイトイ含みで仕掛けるも流局。
うん、魚谷もしっかり対局に入り込めているようだ。
大きく点数が動いたのが東3局。
親の内田が先制でリーチ。
一索一索六索七索八索二筒③筒四筒七筒八筒  カン牌の背五万五万牌の背  リーチ  ドラ一筒
ここにぶつけたのは、ドラを暗刻にした和久津。
一万一万七索八索九索一筒一筒一筒二筒③筒四筒四筒五筒  リーチ
勝負は終盤までもつれ、和久津の最後のツモ牌が暗刻であるドラの一筒
これを暗カンしてリンシャンから六筒をツモリあげた。
初アガリがリーチツモリンシャンドラ4の3,000・6,000とは、さすが攻撃型高打点の和久津である。
途中の手順も攻撃型らしく、3巡目に発では無くダブ東から打ち出している。
こういう所にアガリの精度というか、押し引きのメリハリが見てとれると思う。

ouka

内田もここでは負けたものの次局、和久津の親でこの形の先制リーチ。
一万二万三万七万八万九万四索五索六索七索八索五筒五筒  リーチ  ドラ一万
これを和久津から打ち取り3,900をアガると、続く南1局も内田がツモアガリをし、その勢いのまま南2局に本手の先制リーチ!
三万四万一索二索三索五索六索七索六筒七筒八筒南南  リーチ  ツモ二万 ドラ南
この2,000・3,900は相当感触が良かったのではないだろうか、そして親を迎える。
3局連続でのアガリに、この時解説していた瀬戸熊、藤崎プロもこの親番はかなり危険ですね、との見解。
麻雀には流れというか、人の心理的なものは必ず絡むものである。
そこから来ている発言である。
連続でアガられている所に、さらに親でリーチと来られたら、前の局の印象もありなかなか勝負には行けないものである。
 

ouka
 

注目の南3局は、ここまでアガリのない魚谷が先制リーチ。
三万四万四万五万五万六万三索三索五筒五筒六筒七筒七筒   リーチ  ドラ東
この時親の内田はこの1シャンテン。
四万五万二索二索二索七索七索八索八索九索二筒③筒四筒
リーチを受けての一発目のツモが4枚目の二索
リーチ者に対して危険牌であるし、六索九索がこの時場に4枚見えている事も考えると、カンをするのが自然ではあるが、カンをしてしまうと雀頭候補が無くなってしまうのでツモ切る手もある。(後者の方がより攻撃的か)
内田は少考の末、現物の八索切りを選択。
確かにドラの東が全く見えていないことと、ラス目の魚谷のリーチで有る事から打点は有る程度高いと思えるのは仕方ない所であるが、ここはもっとアグレッシブな選択をして欲しかった。
この局は流局となるが、内田の捨て牌には上手くいけばアガリもあったし、最低テンパイの形があっただけに実に惜しい。
オーラスは矢口が満貫をツモリ逆転トップとなり、魚谷はこのアガリで1人沈みのラスとなってしまい厳しいスタートとなった。
1回戦成績
矢口+15.1P  内田+4.5P  和久津+2.3P  魚谷▲21.9P

2回戦(起家から、内田・和久津・魚谷・矢口)

1回戦トップをとった矢口が、開局からドラ2の先制リーチを打つも、親・内田との2軒テンパイで流局。
同1本場に、親権を維持した内田に会心のアガリが出る。
二万三万七万七万二索三索四索二筒③筒四筒六筒七筒八筒  ツモ四万  ドラ五索
この6,000オールで一気に抜け出し、次局も700は900オール。
3本場も5巡目にこの形。
二万三万三索四索七索九索九索二筒③筒四筒五筒五筒六筒  ドラ七万
これは続きそうな親番だなと思っていたが、これがテンパイせず流局。
道中、魚谷の仕掛けが入ったのだが、どこか簡単に親を手放してしまったように見えたのは、筆者だけであろうか。
1回戦の南3局といい、なにか普段の内田とは違う違和感を感じずにはいられない。
しかし、6,000オールは大きくトップは硬いかと思われたその時、驚愕のアガリが出る。
動画再生
わずか7巡での見事な四暗刻単騎!アガったのはここまで苦しかった、魚谷。
このアガリ1つで一気に総合でも首位に立つ。対局者の凍りついた表情が大変印象的であった。

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2回戦終了時成績
魚谷+46.9P  内田▲1.1P  矢口▲19.4P  和久津▲26.4P
トータル成績
魚谷+25.0P  内田+3.4P  矢口▲4.3P  和久津▲24.1P

3回戦(起家から、和久津・内田・魚谷・矢口)

いまいち波に乗れない起家となった和久津が、開局から大物手をテンパイ。
六万七万二索三索四索八索八索八索二筒二筒二筒六筒六筒  ドラ二筒
これを逡巡もせず即リーチ!
結果は流局となるが、迷いもせずにリーチと行けるのが和久津の強さであろう。
対局者もテンパイ形を見せられて、脅威に感じるのは間違いない。
東3局に内田が秀逸なアガリを見せる。
ここまでに、細かいアガリを積み重ねたトップ目の魚谷の配牌がよかったのだが、そこへの対応となったのがこの場面。

ouka

ここからソーズと字牌を一切下ろさずに、ピンズのメンツ落しで親に対応すると、ツモ二索、ツモ五索と来てこの形のテンパイでリーチ!
一索二索三索五索六索七索八索八索八索西西中中  リーチ  ドラ一索
これを、親の魚谷から中で打ち取り12,000の大きなアガリ。
ようやく内田のバランスの良さがでた一局になった。
オーラスを迎えて、内田47,000、和久津32,900、魚谷25,400、矢口14,700という並び。
この半荘良いところがなかった矢口の親だったので、1局で終わるのかなと思って見ていたが、矢口が執念の粘りを見せる。
一万二万三万四万四万一索二索三索四索五索五筒五筒五筒  リーチ  ロン六索  ドラ八索
魚谷との2軒リーチでこのアガリを手にしてから、打点こそないものの8本場まで積み上げトップ目に立ち、最終局に魚谷が、
八万八万四索四索五索五索八索八索九索二筒二筒八筒八筒 ツモ九索 ドラ八万
この満貫を引きアガリ矢口が1人浮きのトップ。魚谷もマイナスの小さな3着まであがった。
1人沈みから1人浮きになった矢口、素点を大幅に回復させての3着の魚谷は、相当気分をよくしたであろうし、オーラスまでトップ目にいた内田は、2万点程削られてまさかの沈み2着。和久津も小さなラスとはいえ、点数以上にメンタルにダメージを受ける結果となったのではないだろうか。
3回戦成績
矢口+19.0P  内田▲2.1P  魚谷▲5.5P  和久津▲11.4P
トータル成績
魚谷+19.5P  矢口+14.7P  内田+1.3P  和久津▲35.5P

4回戦(起家から、和久津・矢口・魚谷・内田)

トータルで1人沈みとなり、トップとの差も50P程離された和久津。
休憩時間に目が合うなりいきなり衝撃の一言「ウッチー、ビンタして。目醒まさなきゃ」
いやいや(汗)勿論そんなことはしないが、本人も気持ちの入れなおしが必要だと良くわかっているようだ。
気持ちの入れ替えが上手く出来たのか、開局、起家となった和久津が先制リーチ。
一万一万五万六万六万七万七万二索三索四索六筒六筒六筒  リーチ  ドラ一万
ここに内田が、同巡追いつき追いかけリーチ。
一万二万三万三索四索五索七索八索五筒五筒七筒八筒九筒  リーチ
魚谷も内田の宣言牌をポンしてテンパイで捌きにかかる。
壮絶なめくり合いは、内田が和久津の高めの五万をつかみ12,000の放銃となった。
魚谷が動いてなければ、和久津のツモアガリであったのは結果論だが、魚谷にとって積極的な行動が良い結果になったのは明らかだった。
同1本場は、和久津が二の矢を放ち、
一万一万二索二索三索三索四索四筒五筒六筒六筒七筒八筒  リーチ  ツモ一索  ドラ三万
安めながらツモアガリ、そして2本場もこの配牌。
五万六万五索六索六索六索七索七索八索四筒七筒九筒東西  ドラ六索
2巡目に八筒を引き入れ、4巡目に七万を引きテンパイ。
五万六万七万五索六索六索六索七索七索八索七筒八筒九筒
跳満、倍満まで伸びそうなのと、場に九索が2枚打たれていることで、ここはヤミテンとするが、何とか親を落としたい魚谷が、8巡目に追いつきカン四筒ツモで難を逃れる。
一万二万三万四索四索四索③筒③筒四筒五筒五筒南南  ツモ四筒  ドラ六索
違う結果はなかったのか?と自分の河に目を落とす和久津。
ピンチの後にチャンスあり、苦あれば楽ありとはよく言ったもので、ピンチを脱出した魚谷にチャンスが訪れる。

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これに飛び込んだのが、チャンスを活かしきれなかった和久津。
自身の手牌も7巡目にタンヤオ三色の1シャンテンであったが、入り目が役なしになる六万で、リーチを打たざるを得ない形となり、リーチ後に先ほどまで待ち望んだ六索が来るのは単なる偶然であろうか。
役アリのピンフ形ならリーチ者の現物を切ってのヤミテンにした公算が高いだけに、脇に流れた六筒九筒でのアガリはあったであろう。
先人らが言う、「ツモの強弱」とはこういう事を言うのだろう。
チャンスをものにした魚谷は東4局にも、
一万一万九万九万九万北北白白白 明カン西西西西 ツモ北  ドラ七索
ホンイツ、ホンロウ、トイトイ、三暗刻、北白の、長ーい呪文の倍満!
持ち点も60,000点を超え、この半荘のトップを確実にした。
4回戦終了時成績
魚谷+36.7P  和久津+19.9P  内田▲24.3P  矢口▲32.3P
トータル成績
魚谷+56.2P  和久津▲15.6P  矢口▲17.6P  内田▲23.0P

5回戦(起家から、魚谷・和久津・矢口・内田)

本日の最終戦を前に、現女流桜花の魚谷が1人抜け出した。
他の3人は綺麗に横一直線で、最終戦なんとか浮きで終えて、黒字で明日を迎えたいところであろう。
東2局、4回戦から静かであった矢口が先制リーチを放つ。
一万一万一万二万二万一索二索四索五索六索七索八索九索  リーチ  ドラ一索
競技ルールではヤミテンを選択する人も多いこの手組ならば、ここまでヤミテンの多い矢口は、ここもリーチに行かないだろうと思って見ていたで、このリーチは少し意外であった。
これをきっちりツモりあげ2,000・4,000のアガリ。
このアガリをきっかけに南1局も
五万六万③筒四筒五筒七筒八筒九筒東東南南南  リーチ  ツモ七万  ドラ南
これは、親の魚谷との同テンを引き勝ち3,000・6,000の価値あるアガリ。
親の魚谷も噴きあがりそうなタイミングの勝負手であっただけに、この跳満はダメージになったのではないだろうか。こうなると楽しみなのは矢口の親番。
予想通り南3局での親番で、
三万四万五万三索四索五索八索八索八索③筒③筒五筒六筒  リーチ  ツモ七筒  ドラ八索
この6,000オールで60,000点を超えるトップとなった。
これをリーチに踏み切れる強さ、矢口のリーチ判断の精度が高いと伺える半荘であった。
5回戦終了時
矢口+47.4P  魚谷▲3.9P  和久津▲17.0P  内田▲26.5P
初日終了時トータル
魚谷+52.3P  矢口+29.8P  和久津▲32.6P  内田▲49.5P

初日を終えて、現女流桜花の魚谷が首位で折り返した。

四暗刻単騎や、倍満などの大きなアガリがあってのこのポイントだが、終始安定した試合運びで不用意な放銃はほぼ皆無であった。
2位で魚谷を追うのは、5回戦をダントツトップで終えた矢口。
序盤は一見、消極的とも取れるヤミテンを多用していたが、ひとたび勢いを味方に付けると、
“リーチ”“リーチ“と攻め立てた。また、そのツモアガリ精度も良いものがあった。
和久津はやや展開に見放された感じが取れた。
トップとは約85P程であるが、彼女の攻撃力を持ってすれば、1半荘でひっくり返す事も可能であろう。
内田は初のテレビ対局を意識してしまったのか、全体的に堅い気がしてならない。
僕は彼女の雀質は上手いタイプで無く、強いタイプであると思っている。
今日の手役思考での綺麗な打ち方で無く、押し引きの上手さとややラフでも大暴れする内田を明日は見てみたい。

第74回『開き直る力』

ヒサトVS滝沢麻雀戦術30番勝負を面白く読んだ。
その中で冒頭の部分にこう記されている。
「もっとも良くないのは佐々木プロと一緒になったり、滝沢プロと一緒になったりすることだ。
半々位になるということはフォームに問題がありそうだ」

__なるほど。
そう得心したうえで読み続けていた。

私自身、彼等のことは近しい距離にあるし、ある程度理解しているつもりである。
読み続けて行く上で不思議に思うことがいくつかあった。
彼等に対してではなく私自身に対してである。

具体的に記せば考え方、記してあることは滝沢寄りになるのだが、出てくる答えはヒサト寄りになることである。
__これはどういうことなのだろうか?
私なりにある程度このことに対する答えは見つけたが、本人たちに訊くのが良いだろうと思い尋ねてみた。

「へ~、そうなんですか?そういうことがあっても良いんじゃないですか?」
滝沢君の言葉である。この方の言葉はいつもやわらかい。
このことに限ったことではなく、自分の意見なり、主張があっても、まず相手の立場に立って物事に処する。おそらく、相手が傷つく姿を見て滝沢君自身が傷つく人なのかもしれない。

ヒサトにも訊いてみた。
「前原さんもまだまだ麻雀の真実が解っていないということでしょうね。
ボクの領域に至るまでには、未だ道遥かなり、ってことでしょう」
ヒサトに電話したことを後悔しながら、
「ありがとう・・・」そう言って電話を切った。

ヒサトが連盟に入って良かったことの1つに、こういった冗談が言えるようになったことだと、私は思う。
__冗談じゃなく、本気だったりして・・・・。

class_3_74_01

そんな2人が意見、考え方、答え、全て一致し、私と異なったのがこの例題。

四万赤五万二索三索四索六索七索八索三筒四筒六筒七筒八筒  ツモ八筒  ドラ四筒

2人とも打六筒七筒と答えている。
論点は、上図の牌姿にツモ八筒で、その八筒をツモった意味を考える、というのがお題である。
「打八筒が最もテンパイチャンスは広いですが、もし、三万六万をツモったら目も当てられない。
これだけのチャンス手を四筒単騎にしてアガれなくするのは最悪ですからね」
滝沢君の答えである。

「強い形でリーチを打ちたい。この八筒は非常にありがたい。もう絶対六筒七筒切りしかない。」
ヒサトの答えである。

ある意味ごもっともである。私も平たい局面であればそう打っただろう。
実際、この時一番ツモりたくない牌が八筒であり、八筒をツモらねば良いなと考えていた。
六筒七筒が重なるならまだしも、八筒は最悪のツモと考えていた。
裏スジを作りたくなかったのが、小さな理由の1つである。
ツモ六筒ならまだしも、ツモ七筒、ツモ八筒が私にとっては嫌なツモだった。
ツモ七筒ならば打六筒とは行かず打八筒と構え、宣言牌を打六筒とする一手も候補にあった。

例えば、

二万三万四万五万六万七万八万七索八索三筒四筒六筒八筒  ツモ八万

この牌姿から何を切るかと問われれば、打六筒が第一候補に上がるだろう。
当然のことながら裏スジが出来上がる。
裏スジは打ち手の心理としては作りたくないものだが、やはり作らざるを得ない局面は存在する。

逆に、裏スジを露骨に作る局面も存在する。それは、明らかに状態が良い場面である。
こちら側に圧倒的好調な局面ならば、ツモアガリをしたいがために、相手に放銃させたくないがために、故意に裏スジを作ることがある。

今局であれば、持ち点が50,000点をオーバーしていれば素直に打六筒としただろう。
ここまでの部分は小さな理由であり、枝葉であり、各論とも言うべきところである。

まず見なければならない部分、考えなくてはならない部分は私の持ち点である。
まだ東3局だというのに、6,900点しかないということである。
持ち点が少ないということは、態勢、状態、置かれている状況など全てが悪いと考えるべきである。

“半ツキ”という言葉がある。
テンパイは何度も入るのだが、テンパイが入ったがために放銃を重ねることである。
私に言わせれば半ツキではなく絶不調なのである。この時が正にそうだった。
勿論、悪くさせたのは自分自身である。

これは天空麻雀の局面であり、普通のリーグ戦や巷の麻雀であればアガリを求めるべき局面ではなく、ひたすら頭を下げ続けるべきところであろう。
しかし、天空麻雀であれば1回戦勝負であり、無理を承知で攻め込まねばならない。
ならば、絶不調の中で普通の手組をして行って、アガリが求められるように考えるのは難しいと思うのが道理だろう。

簡単に記すならば、ひねこびた(素直でない)ツモをこの時、想定していた。
雀頭を固定したならば、ツモはマンズ、もしくはドラを筆頭にピンズの部分が重なるだろうと思えたし、⑧を打って行けば、リャンメンターツが埋まるだろうと考えていた。

とにかく、まともに打って行けば良くて流局、普通ならば放銃で収束だろう。
ならば、どう構えるか。

長期戦ならば前述したように、何処までも頭を下げ続け、じっと膝を抱え、流されないように、台風が過ぎ去り晴れの日を待つのが本手と考える。
一番イケないのは、手牌に踊らされることだと私は思う。

短期戦ならば、どうするか?開き直るべきだと考える。
今局で例えるならば、まずは、どういう形であれ、リーチを打って可能性は低いが、荒正義プロに退いてもらう。その上で、まかり間違って私が引きアガる可能性に掛ける。

あきらめるのではなく、投げやりになるのでもなく、冷静に、おそらくさらなる悪い結果を享受する心の整理をつけて攻め込む__。
それが、開き直る力だと考える。

class_3_74_02

結果は流局で収束を見た。
譜をご覧になればわかるように、私はどのような形に持っていってもアガリ形は無かった。
開き直る力は大切なように私は思っている。
ただ、誤解されないように付け加えるならば、開き直らなければならない状況になってしまわないようにすべきことが最も肝心なことである。

最後になったが、このヒサトVS滝沢麻雀戦術30番勝負は、読んで自分自身を見直せる良書である。
従来の戦術本とは違い、これが正しい戦い方などとはどこにも記されていない。
ある意味、相反する2人がお互いを認め合い、そういう戦い方、考え方があっても良いと思う、ただ、ヒサトはヒサトの麻雀を貫けば良い、そして滝沢は滝沢の麻雀を極めようというお互いの麻雀観が見て取れる本音のトーキングバトルを活字にしたものである。

麻雀に正しいマニュアル、システムは存在しないと私は考える。
なぜならば、人それぞれ気質、性格がある以上、正しい気質、正しい性格など存在しないということに少し近いように思えてならない。
__ああ、そういう麻雀観もあるのだと、気づかせてくれる一冊ではある。

上級/第74回『開き直る力』

ヒサトVS滝沢麻雀戦術30番勝負を面白く読んだ。
その中で冒頭の部分にこう記されている。
「もっとも良くないのは佐々木プロと一緒になったり、滝沢プロと一緒になったりすることだ。
半々位になるということはフォームに問題がありそうだ」
__なるほど。
そう得心したうえで読み続けていた。
私自身、彼等のことは近しい距離にあるし、ある程度理解しているつもりである。
読み続けて行く上で不思議に思うことがいくつかあった。
彼等に対してではなく私自身に対してである。
具体的に記せば考え方、記してあることは滝沢寄りになるのだが、出てくる答えはヒサト寄りになることである。
__これはどういうことなのだろうか?
私なりにある程度このことに対する答えは見つけたが、本人たちに訊くのが良いだろうと思い尋ねてみた。
「へ~、そうなんですか?そういうことがあっても良いんじゃないですか?」
滝沢君の言葉である。この方の言葉はいつもやわらかい。
このことに限ったことではなく、自分の意見なり、主張があっても、まず相手の立場に立って物事に処する。おそらく、相手が傷つく姿を見て滝沢君自身が傷つく人なのかもしれない。
ヒサトにも訊いてみた。
「前原さんもまだまだ麻雀の真実が解っていないということでしょうね。
ボクの領域に至るまでには、未だ道遥かなり、ってことでしょう」
ヒサトに電話したことを後悔しながら、
「ありがとう・・・」そう言って電話を切った。
ヒサトが連盟に入って良かったことの1つに、こういった冗談が言えるようになったことだと、私は思う。
__冗談じゃなく、本気だったりして・・・・。

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そんな2人が意見、考え方、答え、全て一致し、私と異なったのがこの例題。
四万赤五万二索三索四索六索七索八索三筒四筒六筒七筒八筒  ツモ八筒  ドラ四筒
2人とも打六筒七筒と答えている。
論点は、上図の牌姿にツモ八筒で、その八筒をツモった意味を考える、というのがお題である。
「打八筒が最もテンパイチャンスは広いですが、もし、三万六万をツモったら目も当てられない。
これだけのチャンス手を四筒単騎にしてアガれなくするのは最悪ですからね」
滝沢君の答えである。
「強い形でリーチを打ちたい。この八筒は非常にありがたい。もう絶対六筒七筒切りしかない。」
ヒサトの答えである。
ある意味ごもっともである。私も平たい局面であればそう打っただろう。
実際、この時一番ツモりたくない牌が八筒であり、八筒をツモらねば良いなと考えていた。
六筒七筒が重なるならまだしも、八筒は最悪のツモと考えていた。
裏スジを作りたくなかったのが、小さな理由の1つである。
ツモ六筒ならまだしも、ツモ七筒、ツモ八筒が私にとっては嫌なツモだった。
ツモ七筒ならば打六筒とは行かず打八筒と構え、宣言牌を打六筒とする一手も候補にあった。
例えば、
二万三万四万五万六万七万八万七索八索三筒四筒六筒八筒  ツモ八万
この牌姿から何を切るかと問われれば、打六筒が第一候補に上がるだろう。
当然のことながら裏スジが出来上がる。
裏スジは打ち手の心理としては作りたくないものだが、やはり作らざるを得ない局面は存在する。
逆に、裏スジを露骨に作る局面も存在する。それは、明らかに状態が良い場面である。
こちら側に圧倒的好調な局面ならば、ツモアガリをしたいがために、相手に放銃させたくないがために、故意に裏スジを作ることがある。
今局であれば、持ち点が50,000点をオーバーしていれば素直に打六筒としただろう。
ここまでの部分は小さな理由であり、枝葉であり、各論とも言うべきところである。
まず見なければならない部分、考えなくてはならない部分は私の持ち点である。
まだ東3局だというのに、6,900点しかないということである。
持ち点が少ないということは、態勢、状態、置かれている状況など全てが悪いと考えるべきである。
“半ツキ”という言葉がある。
テンパイは何度も入るのだが、テンパイが入ったがために放銃を重ねることである。
私に言わせれば半ツキではなく絶不調なのである。この時が正にそうだった。
勿論、悪くさせたのは自分自身である。
これは天空麻雀の局面であり、普通のリーグ戦や巷の麻雀であればアガリを求めるべき局面ではなく、ひたすら頭を下げ続けるべきところであろう。
しかし、天空麻雀であれば1回戦勝負であり、無理を承知で攻め込まねばならない。
ならば、絶不調の中で普通の手組をして行って、アガリが求められるように考えるのは難しいと思うのが道理だろう。
簡単に記すならば、ひねこびた(素直でない)ツモをこの時、想定していた。
雀頭を固定したならば、ツモはマンズ、もしくはドラを筆頭にピンズの部分が重なるだろうと思えたし、⑧を打って行けば、リャンメンターツが埋まるだろうと考えていた。
とにかく、まともに打って行けば良くて流局、普通ならば放銃で収束だろう。
ならば、どう構えるか。
長期戦ならば前述したように、何処までも頭を下げ続け、じっと膝を抱え、流されないように、台風が過ぎ去り晴れの日を待つのが本手と考える。
一番イケないのは、手牌に踊らされることだと私は思う。
短期戦ならば、どうするか?開き直るべきだと考える。
今局で例えるならば、まずは、どういう形であれ、リーチを打って可能性は低いが、荒正義プロに退いてもらう。その上で、まかり間違って私が引きアガる可能性に掛ける。
あきらめるのではなく、投げやりになるのでもなく、冷静に、おそらくさらなる悪い結果を享受する心の整理をつけて攻め込む__。
それが、開き直る力だと考える。

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結果は流局で収束を見た。
譜をご覧になればわかるように、私はどのような形に持っていってもアガリ形は無かった。
開き直る力は大切なように私は思っている。
ただ、誤解されないように付け加えるならば、開き直らなければならない状況になってしまわないようにすべきことが最も肝心なことである。
最後になったが、このヒサトVS滝沢麻雀戦術30番勝負は、読んで自分自身を見直せる良書である。
従来の戦術本とは違い、これが正しい戦い方などとはどこにも記されていない。
ある意味、相反する2人がお互いを認め合い、そういう戦い方、考え方があっても良いと思う、ただ、ヒサトはヒサトの麻雀を貫けば良い、そして滝沢は滝沢の麻雀を極めようというお互いの麻雀観が見て取れる本音のトーキングバトルを活字にしたものである。
麻雀に正しいマニュアル、システムは存在しないと私は考える。
なぜならば、人それぞれ気質、性格がある以上、正しい気質、正しい性格など存在しないということに少し近いように思えてならない。
__ああ、そういう麻雀観もあるのだと、気づかせてくれる一冊ではある。

プロテスト受験にあたって

■プロテスト受験にあたって
プロテスト――毎年たくさんの受験者がおり、今回も大勢の方が受験したそれは、プロになるための試験である。
アシスタントとしてプロテスト実行委員会に入った自分は、半年間プロテストの仕事に携わってきた。
その一部始終を、2年前はまだ受験者だった自分自身を思い出しながら、書いていきたいと思う。

【一次試験】
まず、一次試験は書類審査である。
履歴書や、プロ試験申込書の内容などから審査する。

【二次試験】
二次試験は2日間にわたって行われる。
1日目に筆記と面接を行い、それに合格した者だけが2日目の実技に進めるというものである。

2年前……。
前日に会場の下見に来てみたり、当日も30分前には席に座り、余裕を持って待機していた。
段々人が集まってきて、そこで自分はある異変に気付く。
なんと、受験者の大体がスーツを着ていたのである。
実はこの日、自分は何も考えずに私服で来てしまっていたのだ。
結果自分は、スーツに囲まれ、周りから浮いた状態でテストを受けることになったのであった。

※どこにも書いてはいないが、プロテストを受ける側としては、それなりの服装で来るのが相応しいと言えよう。
その辺りの常識があるかどうかも、審査の中に入っているのかもしれない。(とすれば、自分はどうだったのかという話だが・・)

ともあれ、二次試験が始まった。

≪筆記試験≫
筆記試験は、例年の傾向から3つの項目が出題される事が多い。それは以下の通りである

①点数計算
当然、点数計算が出来ないとプロにはなれない。
70符以降の、普段あまり出る事がない点数も当然の如く答えられなければならない。
当時の自分は、2,300、4,500、3,600、7,100…と1つ1つ暗記したものだが、符と翻から出す元々の点数計算を覚えてしまえば、確実に答えを導き出すことが出来る。
そうすれば、わざわざ暗記する必要もなくなってくるので、計算のスピードを上げれば時間が足りなくなるということもないだろう。

②何待ち問題
染まっている時の、何が待ちなのであるかは素早く正確に把握したいものである。
これはパズルのようなものなので、サクッと解いてしまいたい。
練習すれば、満点近くを取ることが出来るようになるはずである。
何を切れば何待ちか、などを考えながら打つことで、自然とチンイツにも慣れていく。やがて問題にもすぐ答えられるようになるはずである。

③条件問題
これが分からなければ、条件があるオーラスで自分が何点アガればいいのか、分からなくなってしまう。
リーグ戦やタイトル戦の予選などで条件計算が必要な場面に遅かれ早かれ必ず出くわす。
その時のためにも出来るようになっておかなければならないのである。
ただし、計算が苦手な人は、これだけは本当に練習をして出来るようにしておかなければ、まず本番でも出来ないだろう。

以上の3つが、例年メインで出題される事が多い。当然、今年も出題された。
ちなみに、正解率が高かったのは『何待ち問題』で、正解率が低かったのはやはりというべきか『条件問題』であった。
こういう正解率の低い『条件問題』などは、正解すると講師陣に注目されるチャンスである。
是非、ここで先手を取ってもらいたいと思う。

2年前……。
自分は筆記試験には自信があった。
なぜなら、試験1週間前位から麻雀も打たずに、ひたすら点数計算と何待ち問題の練習をずっとやっていたからである。
その甲斐あってか、筆記試験ではそこそこ優秀な点数を取ることが出来た。
しかし、この筆記試験重視の偏った勉強方法が後々響いてくることになるとは、その時の自分は思いもしなかったのである……。

筆記試験の後は、順番に面接が始まる。

≪面接≫
5人1組くらいのグループずつで集団面接を行う。
有名なプロを目の前にして、しっかりと話せるかどうかが大事である。
おそらくは、なぜプロになろうと思ったのかなど、志望理由を中心に質問されると思う。
勿論、理由は人それぞれあると思うが、どんな理由であれ、そこに熱い想いを持っていれば回答に困ったりする事はない。そんな質問ばかりだと思う。
しかし、「ただなんとなくプロになりたい」という理由ではやはり合格は難しい。

筆記試験、面接の結果によって、翌日に行われる実技試験に進めるものが決まり、発表される。
筆記が極端に悪かったりしなければ、大抵の人は実技に進むことが出来るだろうと思う。

≪実技試験≫
試験内容だが、まず半荘を4回打つ。そこでポイント成績下位の何人かがそこで終了となり、最後に残った上位者で半荘を1回打つ。
成績が悪く、4回戦目で終わり、最後の半荘に進めなかったからといって、すぐに不合格になるというわけではない。
この実技試験では、ポイントも大事だが、打ち方やマナーもしっかりと見られている。
講師陣が審査表を持ちながら自分の卓の周辺を歩く中、緊張せずしっかりと打てるかどうかが大事である。
普段から牌に触れていて、かつ良い姿勢で麻雀に取り組んでいれば、特に問題はないとは思う。

2年前……。
筆記試験と面接を、なんとか通過して実技試験に臨むことができた自分は……。
なんとこの日も私服で来てしまっていた。再び、自分は周りから浮くことになる。
昨日(筆記・面接試験当日)、私服で来たことについてとくに注意を受けなかったため、問題ないと考えてしまったのである。
余談だが、当時の自分は実技試験の成績は調子が良く、実はトップクラスだった。
そのため「よかった、三次試験に進めそうだ」と勝手に思っていたのだが、牌捌きや内容がかなり酷かったため、最終的にはギリギリ合格ラインだったらしい。

そして、それらを通過したものは、数日後に三次試験へと進むこととなる。

【三次試験】
三次試験は月に一度程度、計5回行われる。
麻雀の内容については勿論のこと、その他にも、打牌のフォームをチェックするためビデオカメラで撮影し、後でそれを見て修正点を教えてもらったり、自分の麻雀を採譜してデータをもらったり……普段は経験出来ないようなことを体験することが出来る。
そして、毎回宿題という形で様々なお題が与えられ、小論文という形で提出しなければならない。
全5回の三次試験の最後には再び試験があり、そこでプロとしての基準を満たしてると判断された者のみが、晴れてプロとなることが出来るのである。

二年前…
二次試験を突破することが出来た自分は、それはもう浮かれており、何もせずにただ三次試験が来るのを待っていた。
そして当日、やはり自分は私服で来てしまっていた。理由は前回と同様で、とくに注意されなかったからである。
会場で受付を済ませて、席に着こうとした時である。
ついに呼び出された。
理由はもちろん服装についてだった。そういう軽い気持ちならば受けに来ないでほしい、という話だった。全くもってその通りである。
しかし当時の自分は、ここで初めて自分のしてきた過ちに気づいたのだ。情けない話である。
結局、その後も自分は麻雀のフォーム・内容などで注意され続けた。注意されるのに慣れていなかった自分はおのずとメンタルがボロボロになっていった。
最後に課題の説明をされて、とてもとても長い1日がようやく終わった。と、駅で一息つこうとした時に、自分は最後の失敗に気付く。
講師から頂いた資料一式を、試験会場に忘れてきてしまったのだ。
最大限に焦り、ダッシュで会場に走って戻り、何回も謝って、なんとか次回への望みを繋いだのである。
その日からである。自分にスイッチが入り、麻雀に取り組む姿勢も変わったのは。
課題の提出。本当に見てもらえるかどうか心配だったが、自分なりに頑張って書いたものを出す。
印象最下位からのスタートだったに違いない自分は、2回目以降の三次試験も注意されっぱなしだった。
ここで諦めてしまう人もいるのだろうな、と思いながら、しかし自分は絶対に諦めなかった。
時間があれば四ツ谷の連盟道場に見学・採譜しに行き、ひたすらプロになるための勉強を続けた。
そして、三次試験の最終5回目の試験を終え、自分は無事に合格することが出来た。

今年、全5回の三次試験を見て、色々な事を学ばせてもらった。
毎回出される論文の課題、自分が受けた当時は本当に読んでもらえるのかどうか不安だったものだが、講師側になって、審査表を項目別にしっかりと全員分、毎回記入していることを知る。
講師陣は、プロになっても大丈夫かどうか判別するのに、一切手を抜いていなかった。
全5回を終えた後の、合格か不合格かの判定会議においても、講師陣は真面目に話し合い、公平に判定していた。(これは最近聞いた話だが、2年前自分を合格にするか不合格にするかで30分ほど講師陣は議論したらしい)

結局のところ、まず大切なのはやる気である。
どんなに麻雀が上手くても、それだけで受かるわけではない。そして、たとえ麻雀が下手であっても、やる気があれば受かる可能性はゼロでは無い。
講師陣が見ているのは、その人の伸びしろである。現在の雀力よりも、今後伸びていくのかどうか、その人に期待が持てるかの方が大事である。
それに必要なものは、やはりやる気だと自分は思う。
今回の三次試験では、残念ながら途中でリタイアしてしまった方も数名いた。その気持ちは、自分にもよく分かる。
それでも、自分が最後まで頑張ることが出来たのは、担当講師のこんな言葉のおかげだった。

『プロになることばかり考えるんじゃなくて、プロになってからのことを考えた方がいい』

プロテストは、半年という長い期間に渡り行われるため、しばし合格するための手段に集中しすぎて、なぜプロになろうと思ったかという本来の目的を見失ってしまうことがある。
そんな時は、プロテストに応募した時の事を思い出してほしい。
そこには必ず、熱い想いがあるはずである。
是非ともそれらを思い出し、モチベーションを高く保った状態で、長いプロ試験を良い結果で終わらせていただけるよう、心から願っている。

次の試験は3月16日に始まります。締め切りは3月8日です。
プロへの熱い想いを持ったあなたの応募を心からお待ちしております。

プロ雀士コラム/プロテスト受験にあたって

■プロテスト受験にあたって 大庭三四郎
プロテスト――毎年たくさんの受験者がおり、今回も大勢の方が受験したそれは、プロになるための試験である。
アシスタントとしてプロテスト実行委員会に入った自分は、半年間プロテストの仕事に携わってきた。
その一部始終を、2年前はまだ受験者だった自分自身を思い出しながら、書いていきたいと思う。

【一次試験】
まず、一次試験は書類審査である。
履歴書や、プロ試験申込書の内容などから審査する。

【二次試験】
二次試験は2日間にわたって行われる。
1日目に筆記と面接を行い、それに合格した者だけが2日目の実技に進めるというものである。

2年前……。
前日に会場の下見に来てみたり、当日も30分前には席に座り、余裕を持って待機していた。
段々人が集まってきて、そこで自分はある異変に気付く。
なんと、受験者の大体がスーツを着ていたのである。
実はこの日、自分は何も考えずに私服で来てしまっていたのだ。
結果自分は、スーツに囲まれ、周りから浮いた状態でテストを受けることになったのであった。
※どこにも書いてはいないが、プロテストを受ける側としては、それなりの服装で来るのが相応しいと言えよう。
その辺りの常識があるかどうかも、審査の中に入っているのかもしれない。(とすれば、自分はどうだったのかという話だが・・)
ともあれ、二次試験が始まった。

≪筆記試験≫
筆記試験は、例年の傾向から3つの項目が出題される事が多い。それは以下の通りである

①点数計算
当然、点数計算が出来ないとプロにはなれない。
70符以降の、普段あまり出る事がない点数も当然の如く答えられなければならない。
当時の自分は、2,300、4,500、3,600、7,100…と1つ1つ暗記したものだが、符と翻から出す元々の点数計算を覚えてしまえば、確実に答えを導き出すことが出来る。
そうすれば、わざわざ暗記する必要もなくなってくるので、計算のスピードを上げれば時間が足りなくなるということもないだろう。

②何待ち問題
染まっている時の、何が待ちなのであるかは素早く正確に把握したいものである。
これはパズルのようなものなので、サクッと解いてしまいたい。
練習すれば、満点近くを取ることが出来るようになるはずである。
何を切れば何待ちか、などを考えながら打つことで、自然とチンイツにも慣れていく。やがて問題にもすぐ答えられるようになるはずである。

③条件問題
これが分からなければ、条件があるオーラスで自分が何点アガればいいのか、分からなくなってしまう。
リーグ戦やタイトル戦の予選などで条件計算が必要な場面に遅かれ早かれ必ず出くわす。
その時のためにも出来るようになっておかなければならないのである。
ただし、計算が苦手な人は、これだけは本当に練習をして出来るようにしておかなければ、まず本番でも出来ないだろう。
以上の3つが、例年メインで出題される事が多い。当然、今年も出題された。
ちなみに、正解率が高かったのは『何待ち問題』で、正解率が低かったのはやはりというべきか『条件問題』であった。
こういう正解率の低い『条件問題』などは、正解すると講師陣に注目されるチャンスである。
是非、ここで先手を取ってもらいたいと思う。

2年前……。
自分は筆記試験には自信があった。
なぜなら、試験1週間前位から麻雀も打たずに、ひたすら点数計算と何待ち問題の練習をずっとやっていたからである。
その甲斐あってか、筆記試験ではそこそこ優秀な点数を取ることが出来た。
しかし、この筆記試験重視の偏った勉強方法が後々響いてくることになるとは、その時の自分は思いもしなかったのである……。
筆記試験の後は、順番に面接が始まる。

≪面接≫
5人1組くらいのグループずつで集団面接を行う。
有名なプロを目の前にして、しっかりと話せるかどうかが大事である。
おそらくは、なぜプロになろうと思ったのかなど、志望理由を中心に質問されると思う。
勿論、理由は人それぞれあると思うが、どんな理由であれ、そこに熱い想いを持っていれば回答に困ったりする事はない。そんな質問ばかりだと思う。
しかし、「ただなんとなくプロになりたい」という理由ではやはり合格は難しい。
筆記試験、面接の結果によって、翌日に行われる実技試験に進めるものが決まり、発表される。
筆記が極端に悪かったりしなければ、大抵の人は実技に進むことが出来るだろうと思う。

≪実技試験≫
試験内容だが、まず半荘を4回打つ。そこでポイント成績下位の何人かがそこで終了となり、最後に残った上位者で半荘を1回打つ。
成績が悪く、4回戦目で終わり、最後の半荘に進めなかったからといって、すぐに不合格になるというわけではない。
この実技試験では、ポイントも大事だが、打ち方やマナーもしっかりと見られている。
講師陣が審査表を持ちながら自分の卓の周辺を歩く中、緊張せずしっかりと打てるかどうかが大事である。
普段から牌に触れていて、かつ良い姿勢で麻雀に取り組んでいれば、特に問題はないとは思う。

2年前……。
筆記試験と面接を、なんとか通過して実技試験に臨むことができた自分は……。
なんとこの日も私服で来てしまっていた。再び、自分は周りから浮くことになる。
昨日(筆記・面接試験当日)、私服で来たことについてとくに注意を受けなかったため、問題ないと考えてしまったのである。
余談だが、当時の自分は実技試験の成績は調子が良く、実はトップクラスだった。
そのため「よかった、三次試験に進めそうだ」と勝手に思っていたのだが、牌捌きや内容がかなり酷かったため、最終的にはギリギリ合格ラインだったらしい。
そして、それらを通過したものは、数日後に三次試験へと進むこととなる。

【三次試験】
三次試験は月に一度程度、計5回行われる。
麻雀の内容については勿論のこと、その他にも、打牌のフォームをチェックするためビデオカメラで撮影し、後でそれを見て修正点を教えてもらったり、自分の麻雀を採譜してデータをもらったり……普段は経験出来ないようなことを体験することが出来る。
そして、毎回宿題という形で様々なお題が与えられ、小論文という形で提出しなければならない。
全5回の三次試験の最後には再び試験があり、そこでプロとしての基準を満たしてると判断された者のみが、晴れてプロとなることが出来るのである。
二年前…
二次試験を突破することが出来た自分は、それはもう浮かれており、何もせずにただ三次試験が来るのを待っていた。
そして当日、やはり自分は私服で来てしまっていた。理由は前回と同様で、とくに注意されなかったからである。
会場で受付を済ませて、席に着こうとした時である。
ついに呼び出された。
理由はもちろん服装についてだった。そういう軽い気持ちならば受けに来ないでほしい、という話だった。全くもってその通りである。
しかし当時の自分は、ここで初めて自分のしてきた過ちに気づいたのだ。情けない話である。
結局、その後も自分は麻雀のフォーム・内容などで注意され続けた。注意されるのに慣れていなかった自分はおのずとメンタルがボロボロになっていった。
最後に課題の説明をされて、とてもとても長い1日がようやく終わった。と、駅で一息つこうとした時に、自分は最後の失敗に気付く。
講師から頂いた資料一式を、試験会場に忘れてきてしまったのだ。
最大限に焦り、ダッシュで会場に走って戻り、何回も謝って、なんとか次回への望みを繋いだのである。
その日からである。自分にスイッチが入り、麻雀に取り組む姿勢も変わったのは。
課題の提出。本当に見てもらえるかどうか心配だったが、自分なりに頑張って書いたものを出す。
印象最下位からのスタートだったに違いない自分は、2回目以降の三次試験も注意されっぱなしだった。
ここで諦めてしまう人もいるのだろうな、と思いながら、しかし自分は絶対に諦めなかった。
時間があれば四ツ谷の連盟道場に見学・採譜しに行き、ひたすらプロになるための勉強を続けた。
そして、三次試験の最終5回目の試験を終え、自分は無事に合格することが出来た。
今年、全5回の三次試験を見て、色々な事を学ばせてもらった。
毎回出される論文の課題、自分が受けた当時は本当に読んでもらえるのかどうか不安だったものだが、講師側になって、審査表を項目別にしっかりと全員分、毎回記入していることを知る。
講師陣は、プロになっても大丈夫かどうか判別するのに、一切手を抜いていなかった。
全5回を終えた後の、合格か不合格かの判定会議においても、講師陣は真面目に話し合い、公平に判定していた。(これは最近聞いた話だが、2年前自分を合格にするか不合格にするかで30分ほど講師陣は議論したらしい)
結局のところ、まず大切なのはやる気である。
どんなに麻雀が上手くても、それだけで受かるわけではない。そして、たとえ麻雀が下手であっても、やる気があれば受かる可能性はゼロでは無い。
講師陣が見ているのは、その人の伸びしろである。現在の雀力よりも、今後伸びていくのかどうか、その人に期待が持てるかの方が大事である。
それに必要なものは、やはりやる気だと自分は思う。
今回の三次試験では、残念ながら途中でリタイアしてしまった方も数名いた。その気持ちは、自分にもよく分かる。
それでも、自分が最後まで頑張ることが出来たのは、担当講師のこんな言葉のおかげだった。
『プロになることばかり考えるんじゃなくて、プロになってからのことを考えた方がいい』
プロテストは、半年という長い期間に渡り行われるため、しばし合格するための手段に集中しすぎて、なぜプロになろうと思ったかという本来の目的を見失ってしまうことがある。
そんな時は、プロテストに応募した時の事を思い出してほしい。
そこには必ず、熱い想いがあるはずである。
是非ともそれらを思い出し、モチベーションを高く保った状態で、長いプロ試験を良い結果で終わらせていただけるよう、心から願っている。
次の試験は3月16日に始まります。締め切りは3月8日です。
プロへの熱い想いを持ったあなたの応募を心からお待ちしております。