第29期鳳凰位決定戦 三日目観戦記

「瀬戸熊のポイントが100を越えると、追う者にとってはかなり厳しい数字になる。」

この日ニコ生放送の冒頭で、私はそう答えた。

初日、2日目を全て見たうえでの素直な気持ちだった。
瀬戸熊の10回戦までの全着順をご覧いただきたい。
「2、1、3、2、2、2、4、2、1、1」連帯率は実に8割である。
これをふまえて、ここまでのトータルポイントをおさらいしてみよう。

瀬戸熊+72.5P 前原+30.6P 藤崎▲47.0P 荒▲56.1P

堅実に積み重ねていった結果が、この得点差である。
前原にはまだ望みがあるが、藤崎で約120P差。
そして、荒に至っては、およそ130Pの差が開いてしまった。

今日、瀬戸熊が数字を伸ばすということは、追いかける3者でポイントを削り合うということに繋がる。
ひいては、優勝争いから脱落する人間も出てくるということである。それでも前に出なくてはならない。

瀬戸熊を追撃するために、協同戦線が敷かれる局面もあるだろう。もう相手の出方を伺っている段階ではない。ここからは、初日、2日目とは全く別の戦いが始まるのである。

houou

 

11回戦(起家から、瀬戸熊・荒・前原・藤崎)

東1局、真っ先にテンパイを入れたのは西家の前原。

一索二索三索六索七索八索九索九索六筒八筒八筒北北  ツモ九索  ドラ一筒

これがわずか2巡目である。
瀬戸熊の親ということもあり、ソーズのホンイツに向かって大きく狙うかと思っていると、前原の選択は打六筒での即リーチ。結果、瀬戸熊から八筒で1,300を出アガるのだが、どうも納得感には欠けるものがある。

houou

反対に瀬戸熊は、放銃したものの、前原の四万八万にポンテンを掛けず、この局を勝負局にしてやるとの強い思いがあったに違いない。
もし、前原が一度ヤミテンに構えていた場合、上手くホンイツに移行できて、瀬戸熊の7巡目の六索を捕まえていた可能性が高かっただけに、悔やまれるところだ。
前原にすれば、この親だから隙を与えずに攻めるという意味合いのリーチなのだろうが、やや焦りすぎと感じたのは私だけだろうか。

東2局、こちらは手材料を十分生かし切って、藤崎が2,000・4,000のツモアガリ。

七万七万七万六索七索七索八索九索中中   暗カン牌の背白白牌の背   リーチ  ツモ八索  ドラ西

ここからは簡単に経緯を記すと、
東3局、瀬戸熊→前原1,500。
東3局1本場、荒400・700は500・800。
東4局、藤崎1人テンパイ。
東4局1本場、藤崎、前原2人テンパイ。
東4局2本場、瀬戸熊1人ノーテン。

そしてここまでの得点が、
藤崎42,000、前原31,500、荒26,300、瀬戸熊19,200となっていた。

これこそが、瀬戸熊を追いかける者にとって理想の展開で、後は瀬戸熊にラスを押し付けたままどうやって得点を稼ぐかが重要になってくるわけである。

東4局3本場、藤崎の9巡目の手牌に注目していただきたい。

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ツモ四索ならばタンヤオでヤミテンが効くため、打中となるのが自然だが、現状役なしのテンパイ。
だとしても、その後の変化形やダイレクトの四万ツモがあるので、私ならここがドラの放し所と見るが、藤崎は打二万を選択する。

もちろん全体の捨て牌相もあっただろう。
一色系の荒から一索が余ったように見えなくもない。それでも、である。

巡目が深くなればなるだけ、このドラは切りづらくなるのが明白なのだ。
更に、ここでもし中が鳴かれたとしても、変化が効く分、藤崎の手牌だって十分戦えると私は考える。
ヤミテンが効かない形からドラを外すのは、藤崎のプレースタイルではなかったとしても、ここはもう少しギアチェンジを図ってもいい局面だったのではないだろうか。

houou

ここまで瀬戸熊を苦しめる展開を作り上げていただけに、この親落ちは非常に悔やまれるものとなってしまった。

 

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藤崎智プロ

そして迎えた南1局4本場、この1局が本日のクライマックスと言ってもいいほど、大きな大きな1局となる。
まずテンパイを入れたのは、8巡目の瀬戸熊。

六万六万七万七万八万四索五索六索七索七索三筒四筒五筒  ドラ三筒

親ということもあるが、白をトイツ落としでのリーチが手牌の高さを物語っている。
同巡、西家・前原も七索を引いて1シャンテン。

二万三万三万五索六索六索七索七索八索五筒六筒七筒七筒

そして南家・荒も前に出る。
瀬戸熊の現物である四万を藤崎が切り出すと、これをポン。

五万五万三索三索五索九筒九筒九筒南南  ポン四万四万四万

まだ1シャンテンではあるが、リーチを打っているのがトータルトップの瀬戸熊ということもあり、ここは敢然と勝負に向かう。その後三索も鳴け、荒は高目ダブ南トイトイのテンパイ。

五万五万九筒九筒九筒南南  ポン三索三索三索  ポン四万四万四万

この時点で瀬戸熊の五万八万は山に3枚。そして、荒の五万南も同じく山に3枚残っている。
前原は荒の仕掛けを見て受けに回ったため、勝負は瀬戸熊と荒の2人に絞られたかと思われた。
ところが、ここから前原のツモが突然伸び始め、実に8枚目の四万七万が入ってテンパイを果たしてしまう。

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頭を抱えて長考に入る前原。確かに難しい局面だ。
瀬戸熊のリーチだけならまだしも、荒の手をどう読むかである。
もしこれが1,000点や2,000点の手なら、荒が2フーロしてまで突っ込んでくるとは考えにくい。
荒が瀬戸熊を潰しに掛かっているなら、ここにドラの塊があると読むのが自然である。

だが、それだと引っ掛かるのは荒の四筒二筒の嫌い方だ。ここで三筒を2枚に固定してまで、四筒二筒を払うだろうか。あるとすれば、それは三筒が暗刻のケースである。或いはクイタンのポンテンから、トイトイに移行したケース。例えば以下の形である。

五万五万五万三索三索五索六索六索七索七索  ポン四万四万四万

荒の最終打牌が五索であるから、これも一応考えられるか。いずれにせよ、荒の2フーロには必ず意味がある。
それをふまえて前原がどのような選択をするのか。この手になれば恐らくオリはないだろう。
誰もが前原の選び出す一打に視線を傾けた。
前原が打ち出したのは七筒。このときの心境を前原はこう語る。

「瀬戸熊とのポイント差を考えて、純粋に打点の高いほうを選んだ。瀬戸熊からの出アガリならリーチ棒込みで18P。ツモアガリなら20P。これだけ縮まるということ。」

実際は、積み場や供託があるのでそれ以上ということにはなるが、いずれの現象が起こったとしても、その時点で前原がトータルポイントで瀬戸熊をかわす。本日の初戦にして、いきなりの山場。
瀬戸熊、荒、前原、3者の待ちが山に残っているだけに、解説席に座る我々も固唾を飲む。

五万八万三筒南

頭の中で繰り返し、瀬戸熊のツモ牌に注目する。七筒

三筒切りなら…」

五万六万七万五索六索六索七索七索八索五筒六筒七筒七筒

そう、前原がもしドラに手を掛けていたら、瀬戸熊からこの直撃を取ることに成功していたのである。
とはいえ、この三筒がそう簡単に打てる代物ではないことは誰の目から見ても明らかである。
瀬戸熊、荒に通る保障もなければ、七筒でアガれる保障だってどこにもないのだ。
ただ、ひとつ言えることがあるとすれば、前原がアガリを逃した事実だけは残ったということである。
そして、勝負はまだ終わっていないということである。

前原は自身の最後のツモで五万を引いた。私は正直、ここで前原はオリるだろうと思っていた。
三筒が通ったかどうかはわからないにしろ、とにかく七筒でのアガリ逃しだけは目に見えているからだ。
だが、それでも前原は五万をツモ切った。そこに一切の逡巡はなかった。
自分にツモ番はなくても、瀬戸熊のハイテイに賭けたのである。

六万六万七万七万八万四索五索六索七索七索三筒四筒五筒  リーチ  ロン五万  ドラ三筒

「あの11,600で勝負あったと思った。それほど大きなアガリだった。」
後に荒はそう語った。

たらればをいくら言ったところで仕方がない。
だが、前原があの七筒をもし捕らえていたら、前原があの五万で、もしブレーキを踏んでいたら、この後一体どんな結果が待ち受けていたのだろう。
少なくとも、瀬戸熊の独走を許す展開にはならなかったように思う。

「あのアガリ逃しで完全に軸がブレた。」

前原がこう語った通り、瀬戸熊のこのアガリは、追いかける者にとって、想像以上のダメージとなったことは間違いない。

11回戦成績
藤崎+28.0P  瀬戸熊+7.4P  前原▲15.3P  荒▲20.1P

11回戦終了時
瀬戸熊+79.9P  前原+15.3P  藤崎▲19.0P  荒▲76.2P

 

12回戦(起家から、前原・藤崎・荒・瀬戸熊)

藤崎に復調の兆しが見えてきた。もうすぐ、前原の背中も捉えようかという勢いである。
反対に、箍(たが)が外れたように放銃マシーンとなってしまったのが前原だ。

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前原雄大プロ

東3局、まずは荒に2,900の打ち込み。

二万三万四万七万七万二索四索六索六索六索  チー三筒二筒四筒  ロン三索  ドラ五筒

続く東3局1本場がこちら。

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荒にすれば、瀬戸熊からの直撃か、ツモアガリのチャンスだっただけに、喜びも半減といったところか。
東3局2本場もそうである。

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確かにテンパイはしているのである。
しかし、道中で受けに入った以上、攻め手が2人のところに向かってこの白を打ち出すのは、とても間尺に合わない。やはり、瀬戸熊に打ち上げたあの11,600がよほど尾を引いているのだろう。

前原は続く東3局3本場でも荒のリーチに放銃。

houou

歯止めが利かず、どこまでも転がり落ちていく。
こうなってくると、注目すべきはトータル2位の座である。

この時点で、荒と前原との差が20Pまで縮まってきたのである。
荒は前原をかわせば、いよいよ瀬戸熊とサシの勝負に持ち込めるチャンスを掴む。
この親は正に叩き時なのである。

三万四万二索三索四索三筒四筒五筒六筒六筒七筒八筒九筒  リーチ  ロン五万  ドラ七筒

東3局4本場は藤崎から5,800の出アガリ。
そして続く5本場では、この半荘実に5度目となる前原からの出アガリを果たす。

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前原はこれで箱を割り、トータルでもこの瞬間荒が前原を上回った。
こうなれば焦点は、荒がどれだけ瀬戸熊に詰め寄ることができるかだったが、前原が大きく沈んだことで余裕が生まれたか、逆に瀬戸熊は得点を伸ばして行く。
まずは南1局。

四万五万六万七万八万五索六索七索三筒三筒五筒五筒五筒  リーチ  ツモ六万  ドラ三万

そして南2局。

一万二万三万六筒六筒六筒西西白白白発発  リーチ  ツモ発  ドラ八索

出アガリで点棒を膨らませた荒とは対照的に、要所できっちりツモアガリを重ねてくる。
そして南4局2本場、親番でのリーチ。

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これを荒からアガって、遂にはトップを捲ろうかというところまで辿り着いてしまった。
強い。全く隙がない。そして気が付けば、瀬戸熊のポイントが100を越えていた。

 

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瀬戸熊直樹プロ

 

12回戦成績
荒+39.8P  瀬戸熊+23.9P  前原▲29.5P  藤崎▲34.2P

12回戦終了時
瀬戸熊+103.8P  前原▲14.2P  荒▲36.4P  藤崎▲53.2P

 

13回戦(起家から、前原・瀬戸熊・荒・藤崎)

恐れていた得点状況になってしまった。
全員で瀬戸熊を追い詰めようとする意識は、痛いほど伝わってくる。
しかし、肝心要の瀬戸熊のポイントを削ることは叶わず、下3人で点棒を奪い合う展開が続いてしまうのだ。
この13回戦でも、悪循環は続く。まずは東2局の荒。

三万五万三索四索五索六索六索七索八索九索五筒六筒七筒  ドラ四万

親ということもあり、せめて流局連荘には持ち込みたいリーチだったが、瀬戸熊がリャンカン選択を間違うことなく、荒を捕らえる。

二万三万四万五万五万四索六索三筒三筒四筒四筒五筒五筒  ロン五索

東3局、藤崎の親もそう。

三万四万五万五万五索五索六索六索七索七索二筒三筒四筒  リーチ  ドラ二筒

ここぞという場面ではしっかりアガリを決めてくる瀬戸熊とは対照的に、ツモアガリをさせてもらえる展開にならないのだ。ツモれば6,000オールというこのリーチも流局。
その1本場は、先にタンヤオのテンパイを入れていた藤崎が前原に5,200の放銃。

六索七索七索八索九索五筒六筒七筒西西西中中  ドラ中そういった意味では、東4局1本場も実に象徴的な1局だった。
8巡目、北家の藤崎が二筒を引いて8,000のテンパイ。

三筒四筒四筒六筒七筒八筒八筒北北北  ポン東東東  ドラ九筒  ツモ二筒

八筒がドラの指示牌ということもあるが、瀬戸熊が2巡目に四筒を切っていることから、藤崎は打八筒として一筒四筒の待ちに受ける。瀬戸熊が掴めば切るだろうとの算段があってのものだ。
ところが、狙い目でもあるその一筒は瀬戸熊に暗刻。そして直後、瀬戸熊に打たれたのはアガリ逃しともなる五筒
更に追い討ちをかけたのが、この局の結末である。

houou

五筒を引いて3メンチャンに受け変えたところで、前原への放銃。
藤崎にすれば、正に踏んだり蹴ったりの幕切れである。
藤崎は以降、一度もアガリに絡むことなく、4着に沈んだ。

だが、特筆すべきはやはり瀬戸熊の安定感である。
ここまでの悪い流れを振り払うかのように前原がトップを奪うも、自身はしっかり浮きの2着をキープ。
ゴールに向かって着々と歩を進めるその足取りには、微塵の不安も感じさせない力強さがある。
追いかける3者にとって、瀬戸熊の牙城を揺るがすのは、既に儚い夢となってしまったのだろうか。

13回戦成績
前原+23.3P  瀬戸熊+5.3P  荒▲11.3P  藤崎▲19.3P  供託2.0P

13回戦終了時
瀬戸熊+109.1  前原+9.1P  荒▲47.7P  藤崎▲72.5P  供託2.0P

 

14回戦(起家から、前原・瀬戸熊・藤崎・荒)

東1局、まずは荒が軽快に1,000・2,000をアガってリード。

二筒三筒五筒六筒七筒北北  ポン八筒八筒八筒  ポン東東東  ツモ一筒  ドラ六万

注目していただきたいのは東2局である。
9巡目(暗カンが入っているため)、北家の前原が先制リーチ。

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2巡目の六万切り、荒の五万暗カンから、七万は良い受けに映る。
それを受けた親、瀬戸熊の手牌が以下。

六万六万七万八万八万八万二索三索四索六索七索八索四筒  ツモ七筒  ドラ四筒

六万、おそらくほとんどの打ち手がそう構えるだろう。だが、瀬戸熊の選択には私も目を見張った。
七筒なのである。初日から通して、とにかくこの姿勢が徹底している。追う側が苦戦を強いられてきたのは、ここに理由がある。弱気によって引き起こされるミスが、瀬戸熊にはほぼ皆無なのだ。

自分が九筒を切っていること、八筒が既に2枚飛んでいること、ドラは打ち出さないこと、そして何より、真っ直ぐ攻め抜くこと、七筒を打ち出すには十分過ぎる理由があるというわけである。
五万のカンも大きい。七万が良く見えているのは、前原だけではない。ドラの四筒を重ねれば、カン七万の12,000。
いや、場合によってはリーチもあるかもしれない。
3者に浮上のきっかけを与えることのないよう、瀬戸熊は決してその手綱を緩めない。

六万七万八万八万八万二索三索四索六索七索八索三筒四筒  ロン二筒

今決定戦、何度こういうシーンを見てきただろう。
正に横綱相撲という表現がぴったりの打ち回しである。

東4局、荒の親番。

三万四万五万五万六万三索三索四索五索六索四筒五筒六筒  ドラ南

そして東4局1本場。

二万三万四万六万六万二索三索四索三筒四筒五筒六筒七筒  ドラ七万

いずれも高目タンピン三色という勝負手である。荒はそのいずれも、リーチでのアガリを物にする。
するのだが、そのいずれもが安目でのアガリ。そして出所も、前者が藤崎から、後者が前原からと、全く瀬戸熊の点棒を削ることができない。一度作られた4者の絡みは、なかなか崩れないということなのか。

 

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荒正義プロ

オーラス、前原が1,300・2,600をツモアガって、ようやく瀬戸熊の原点を割ることに成功するが、それでも瀬戸熊は2着を死守。この3日目、残すは後1戦。
明日に望みを繋げる者は現れるのだろうか。

14回戦成績
荒+17.0P  瀬戸熊▲1.8P  前原▲4.1P  藤崎▲11.1P

14回戦終了時
瀬戸熊+107.3P  前原+5.0P  荒▲30.7P  藤崎▲83.6P  供託2.0P

 

15回戦(起家から、前原・荒・藤崎・瀬戸熊)

この半荘、追いかける側の気持ちがようやく牌に伝わったのか、南1局まで瀬戸熊以外の3者がツモアガリを重ねる展開となった。
まずは東1局、荒が1,600・3,200。

六万七万八万九万九万一索二索三索白白   暗カン牌の背八筒八筒牌の背  リーチ  ツモ九万  ドラ六万

東2局は藤崎。

一万一万一万四万四万四万五万五索六索七索五筒六筒七筒  リーチ  ツモ六万  ドラ四筒

東3局は前原。

四万五万六万二索三索四索七索八索九索三筒四筒北北  リーチ  ツモ二筒

そして東4局も前原。

二万二万四万五万四索五索六索四筒五筒六筒  ポン三筒三筒三筒  ツモ三万  ドラ東

こちらは瀬戸熊の親リーチを潰しての価値あるアガリ。
そして南1局、こちらはまず全体牌譜をご覧いただこう。

houou

荒のリーチを受けた藤崎の、11巡目の手牌である。
全体の捨て牌からも、ベストはドラの八筒を重ねてのテンパイ。
五万八万の待ちが残れば、打点もあるし、勝ち目も十分といったところである。
そこに引いたのが4枚目の七万である。六万を打てばピンフ、ドラ1のテンパイ。
そして一手変われば、確定のタンピン三色である。
荒のリーチはあっても、藤崎はそう構えるものと思っていたが、安全度を追ったか、ノーチャンスの打八万を選択する。

六万六万七万七万七万七索八索九索五筒六筒六筒七筒八筒

すると次巡のツモが六索。藤崎はここで九索切りのリーチに出る。
そして2巡後、四筒をツモって2,000・3,900。アガるにはアガったが、やはり藤崎らしくはない。
ここまでの得点状況がそうさせるのか、精神の疲弊も相当なものがあったのだろう。

「攻撃力のない人間は初日に沈むときつい。やはり20戦を通しての戦術だから。」

この日の終わり、藤崎がそう話していたのが、ひどく胸に響いた。
南2局は前原が荒から3,900の出アガリ。

四万四万七万八万九万五索六索七索八索九索  ポン南南南  ロン四索  ドラ四万

荒はこの後も1人ノーテン、そして藤崎へ1,500放銃と、点棒を20,100にまで減らしてしまう。
前回1着を取った人間が、どうも勢いに乗り切れない流れが続いている。
それもまた、トータルトップを走る瀬戸熊の力ということが言えるのかもしれない。

南3局2本場、このアガリを見せ付けられれば、瀬戸熊がいかに緻密なゲームメイクをしているのかがお分かりいただけるのではないだろうか。

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ここまで攻撃面ばかりが光っているように見えて、やはり我慢すべきところはしっかり我慢しているのである。
失点は最小限に抑え、ここ一番でのアガリで相手を蹴落とす。そして、着実にトータルポイントを積み重ねる。

冒頭、瀬戸熊の10回戦目までの着順を振り返った。そして本日、ここまでが2、2、2、2である。
全員が前に出てくる状況下でのこの成績は、さすがの一言である。
局面、局面での押し引きの見極めが、それだけ正確であるということだ。

オーラス、瀬戸熊は荒に満貫を放銃する。

houou

こちらも攻めた上での放銃で、枚数こそ少ないもののアガリ目も十分という感触があったのだろう。
ラスには落ちたが、とにかく最終日に向けて一切の不安を残さないように、という瀬戸熊の気持ちが伝わってくるかのような放銃だった。
その前巡、打七万と、今日1日の収束に向かった前原とのコントラストが、凄く印象的だった。

15回戦成績
藤崎+23.2P 荒▲2.9P 前原▲5.4P 瀬戸熊▲14.9P

15回戦終了時
瀬戸熊+92.4P 前原▲0.4P 荒▲33.6P 藤崎▲60.4P 供託2.0P

 

これで残すは、最終日の5戦のみ。正直なところ、私はここまでの大差は予想できなかった。
もちろん、麻雀には何が起こるかわからない。
わからないが、この差をひっくり返すのは並大抵のことではない。

「大勢は決した」

私はノートにそう書き記し、会場を後にした。
その翌日、壮絶なドラマが待ち受けていることなど知ることもなく…

プロリーグ(鳳凰戦)決勝観戦記/第29期鳳凰位決定戦 三日目観戦記

「瀬戸熊のポイントが100を越えると、追う者にとってはかなり厳しい数字になる。」
この日ニコ生放送の冒頭で、私はそう答えた。
初日、2日目を全て見たうえでの素直な気持ちだった。
瀬戸熊の10回戦までの全着順をご覧いただきたい。
「2、1、3、2、2、2、4、2、1、1」連帯率は実に8割である。
これをふまえて、ここまでのトータルポイントをおさらいしてみよう。
瀬戸熊+72.5P 前原+30.6P 藤崎▲47.0P 荒▲56.1P
堅実に積み重ねていった結果が、この得点差である。
前原にはまだ望みがあるが、藤崎で約120P差。
そして、荒に至っては、およそ130Pの差が開いてしまった。
今日、瀬戸熊が数字を伸ばすということは、追いかける3者でポイントを削り合うということに繋がる。
ひいては、優勝争いから脱落する人間も出てくるということである。それでも前に出なくてはならない。
瀬戸熊を追撃するために、協同戦線が敷かれる局面もあるだろう。もう相手の出方を伺っている段階ではない。ここからは、初日、2日目とは全く別の戦いが始まるのである。

houou

 
11回戦(起家から、瀬戸熊・荒・前原・藤崎)
東1局、真っ先にテンパイを入れたのは西家の前原。
一索二索三索六索七索八索九索九索六筒八筒八筒北北  ツモ九索  ドラ一筒
これがわずか2巡目である。
瀬戸熊の親ということもあり、ソーズのホンイツに向かって大きく狙うかと思っていると、前原の選択は打六筒での即リーチ。結果、瀬戸熊から八筒で1,300を出アガるのだが、どうも納得感には欠けるものがある。

houou

反対に瀬戸熊は、放銃したものの、前原の四万八万にポンテンを掛けず、この局を勝負局にしてやるとの強い思いがあったに違いない。
もし、前原が一度ヤミテンに構えていた場合、上手くホンイツに移行できて、瀬戸熊の7巡目の六索を捕まえていた可能性が高かっただけに、悔やまれるところだ。
前原にすれば、この親だから隙を与えずに攻めるという意味合いのリーチなのだろうが、やや焦りすぎと感じたのは私だけだろうか。
東2局、こちらは手材料を十分生かし切って、藤崎が2,000・4,000のツモアガリ。
七万七万七万六索七索七索八索九索中中   暗カン牌の背白白牌の背   リーチ  ツモ八索  ドラ西
ここからは簡単に経緯を記すと、
東3局、瀬戸熊→前原1,500。
東3局1本場、荒400・700は500・800。
東4局、藤崎1人テンパイ。
東4局1本場、藤崎、前原2人テンパイ。
東4局2本場、瀬戸熊1人ノーテン。
そしてここまでの得点が、
藤崎42,000、前原31,500、荒26,300、瀬戸熊19,200となっていた。
これこそが、瀬戸熊を追いかける者にとって理想の展開で、後は瀬戸熊にラスを押し付けたままどうやって得点を稼ぐかが重要になってくるわけである。
東4局3本場、藤崎の9巡目の手牌に注目していただきたい。

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ツモ四索ならばタンヤオでヤミテンが効くため、打中となるのが自然だが、現状役なしのテンパイ。
だとしても、その後の変化形やダイレクトの四万ツモがあるので、私ならここがドラの放し所と見るが、藤崎は打二万を選択する。
もちろん全体の捨て牌相もあっただろう。
一色系の荒から一索が余ったように見えなくもない。それでも、である。
巡目が深くなればなるだけ、このドラは切りづらくなるのが明白なのだ。
更に、ここでもし中が鳴かれたとしても、変化が効く分、藤崎の手牌だって十分戦えると私は考える。
ヤミテンが効かない形からドラを外すのは、藤崎のプレースタイルではなかったとしても、ここはもう少しギアチェンジを図ってもいい局面だったのではないだろうか。

houou

ここまで瀬戸熊を苦しめる展開を作り上げていただけに、この親落ちは非常に悔やまれるものとなってしまった。
 

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藤崎智プロ

そして迎えた南1局4本場、この1局が本日のクライマックスと言ってもいいほど、大きな大きな1局となる。
まずテンパイを入れたのは、8巡目の瀬戸熊。
六万六万七万七万八万四索五索六索七索七索三筒四筒五筒  ドラ三筒
親ということもあるが、白をトイツ落としでのリーチが手牌の高さを物語っている。
同巡、西家・前原も七索を引いて1シャンテン。
二万三万三万五索六索六索七索七索八索五筒六筒七筒七筒
そして南家・荒も前に出る。
瀬戸熊の現物である四万を藤崎が切り出すと、これをポン。
五万五万三索三索五索九筒九筒九筒南南  ポン四万四万四万
まだ1シャンテンではあるが、リーチを打っているのがトータルトップの瀬戸熊ということもあり、ここは敢然と勝負に向かう。その後三索も鳴け、荒は高目ダブ南トイトイのテンパイ。
五万五万九筒九筒九筒南南  ポン三索三索三索  ポン四万四万四万
この時点で瀬戸熊の五万八万は山に3枚。そして、荒の五万南も同じく山に3枚残っている。
前原は荒の仕掛けを見て受けに回ったため、勝負は瀬戸熊と荒の2人に絞られたかと思われた。
ところが、ここから前原のツモが突然伸び始め、実に8枚目の四万七万が入ってテンパイを果たしてしまう。

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頭を抱えて長考に入る前原。確かに難しい局面だ。
瀬戸熊のリーチだけならまだしも、荒の手をどう読むかである。
もしこれが1,000点や2,000点の手なら、荒が2フーロしてまで突っ込んでくるとは考えにくい。
荒が瀬戸熊を潰しに掛かっているなら、ここにドラの塊があると読むのが自然である。
だが、それだと引っ掛かるのは荒の四筒二筒の嫌い方だ。ここで三筒を2枚に固定してまで、四筒二筒を払うだろうか。あるとすれば、それは三筒が暗刻のケースである。或いはクイタンのポンテンから、トイトイに移行したケース。例えば以下の形である。
五万五万五万三索三索五索六索六索七索七索  ポン四万四万四万
荒の最終打牌が五索であるから、これも一応考えられるか。いずれにせよ、荒の2フーロには必ず意味がある。
それをふまえて前原がどのような選択をするのか。この手になれば恐らくオリはないだろう。
誰もが前原の選び出す一打に視線を傾けた。
前原が打ち出したのは七筒。このときの心境を前原はこう語る。
「瀬戸熊とのポイント差を考えて、純粋に打点の高いほうを選んだ。瀬戸熊からの出アガリならリーチ棒込みで18P。ツモアガリなら20P。これだけ縮まるということ。」
実際は、積み場や供託があるのでそれ以上ということにはなるが、いずれの現象が起こったとしても、その時点で前原がトータルポイントで瀬戸熊をかわす。本日の初戦にして、いきなりの山場。
瀬戸熊、荒、前原、3者の待ちが山に残っているだけに、解説席に座る我々も固唾を飲む。
五万八万三筒南
頭の中で繰り返し、瀬戸熊のツモ牌に注目する。七筒
三筒切りなら…」
五万六万七万五索六索六索七索七索八索五筒六筒七筒七筒
そう、前原がもしドラに手を掛けていたら、瀬戸熊からこの直撃を取ることに成功していたのである。
とはいえ、この三筒がそう簡単に打てる代物ではないことは誰の目から見ても明らかである。
瀬戸熊、荒に通る保障もなければ、七筒でアガれる保障だってどこにもないのだ。
ただ、ひとつ言えることがあるとすれば、前原がアガリを逃した事実だけは残ったということである。
そして、勝負はまだ終わっていないということである。
前原は自身の最後のツモで五万を引いた。私は正直、ここで前原はオリるだろうと思っていた。
三筒が通ったかどうかはわからないにしろ、とにかく七筒でのアガリ逃しだけは目に見えているからだ。
だが、それでも前原は五万をツモ切った。そこに一切の逡巡はなかった。
自分にツモ番はなくても、瀬戸熊のハイテイに賭けたのである。
六万六万七万七万八万四索五索六索七索七索三筒四筒五筒  リーチ  ロン五万  ドラ三筒
「あの11,600で勝負あったと思った。それほど大きなアガリだった。」
後に荒はそう語った。
たらればをいくら言ったところで仕方がない。
だが、前原があの七筒をもし捕らえていたら、前原があの五万で、もしブレーキを踏んでいたら、この後一体どんな結果が待ち受けていたのだろう。
少なくとも、瀬戸熊の独走を許す展開にはならなかったように思う。
「あのアガリ逃しで完全に軸がブレた。」
前原がこう語った通り、瀬戸熊のこのアガリは、追いかける者にとって、想像以上のダメージとなったことは間違いない。
11回戦成績
藤崎+28.0P  瀬戸熊+7.4P  前原▲15.3P  荒▲20.1P
11回戦終了時
瀬戸熊+79.9P  前原+15.3P  藤崎▲19.0P  荒▲76.2P
 
12回戦(起家から、前原・藤崎・荒・瀬戸熊)
藤崎に復調の兆しが見えてきた。もうすぐ、前原の背中も捉えようかという勢いである。
反対に、箍(たが)が外れたように放銃マシーンとなってしまったのが前原だ。

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前原雄大プロ

東3局、まずは荒に2,900の打ち込み。
二万三万四万七万七万二索四索六索六索六索  チー三筒二筒四筒  ロン三索  ドラ五筒
続く東3局1本場がこちら。

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荒にすれば、瀬戸熊からの直撃か、ツモアガリのチャンスだっただけに、喜びも半減といったところか。
東3局2本場もそうである。

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確かにテンパイはしているのである。
しかし、道中で受けに入った以上、攻め手が2人のところに向かってこの白を打ち出すのは、とても間尺に合わない。やはり、瀬戸熊に打ち上げたあの11,600がよほど尾を引いているのだろう。
前原は続く東3局3本場でも荒のリーチに放銃。

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歯止めが利かず、どこまでも転がり落ちていく。
こうなってくると、注目すべきはトータル2位の座である。
この時点で、荒と前原との差が20Pまで縮まってきたのである。
荒は前原をかわせば、いよいよ瀬戸熊とサシの勝負に持ち込めるチャンスを掴む。
この親は正に叩き時なのである。
三万四万二索三索四索三筒四筒五筒六筒六筒七筒八筒九筒  リーチ  ロン五万  ドラ七筒
東3局4本場は藤崎から5,800の出アガリ。
そして続く5本場では、この半荘実に5度目となる前原からの出アガリを果たす。

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前原はこれで箱を割り、トータルでもこの瞬間荒が前原を上回った。
こうなれば焦点は、荒がどれだけ瀬戸熊に詰め寄ることができるかだったが、前原が大きく沈んだことで余裕が生まれたか、逆に瀬戸熊は得点を伸ばして行く。
まずは南1局。
四万五万六万七万八万五索六索七索三筒三筒五筒五筒五筒  リーチ  ツモ六万  ドラ三万
そして南2局。
一万二万三万六筒六筒六筒西西白白白発発  リーチ  ツモ発  ドラ八索
出アガリで点棒を膨らませた荒とは対照的に、要所できっちりツモアガリを重ねてくる。
そして南4局2本場、親番でのリーチ。

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これを荒からアガって、遂にはトップを捲ろうかというところまで辿り着いてしまった。
強い。全く隙がない。そして気が付けば、瀬戸熊のポイントが100を越えていた。
 

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瀬戸熊直樹プロ

 
12回戦成績
荒+39.8P  瀬戸熊+23.9P  前原▲29.5P  藤崎▲34.2P
12回戦終了時
瀬戸熊+103.8P  前原▲14.2P  荒▲36.4P  藤崎▲53.2P
 
13回戦(起家から、前原・瀬戸熊・荒・藤崎)
恐れていた得点状況になってしまった。
全員で瀬戸熊を追い詰めようとする意識は、痛いほど伝わってくる。
しかし、肝心要の瀬戸熊のポイントを削ることは叶わず、下3人で点棒を奪い合う展開が続いてしまうのだ。
この13回戦でも、悪循環は続く。まずは東2局の荒。
三万五万三索四索五索六索六索七索八索九索五筒六筒七筒  ドラ四万
親ということもあり、せめて流局連荘には持ち込みたいリーチだったが、瀬戸熊がリャンカン選択を間違うことなく、荒を捕らえる。
二万三万四万五万五万四索六索三筒三筒四筒四筒五筒五筒  ロン五索
東3局、藤崎の親もそう。
三万四万五万五万五索五索六索六索七索七索二筒三筒四筒  リーチ  ドラ二筒
ここぞという場面ではしっかりアガリを決めてくる瀬戸熊とは対照的に、ツモアガリをさせてもらえる展開にならないのだ。ツモれば6,000オールというこのリーチも流局。
その1本場は、先にタンヤオのテンパイを入れていた藤崎が前原に5,200の放銃。
六索七索七索八索九索五筒六筒七筒西西西中中  ドラ中そういった意味では、東4局1本場も実に象徴的な1局だった。
8巡目、北家の藤崎が二筒を引いて8,000のテンパイ。
三筒四筒四筒六筒七筒八筒八筒北北北  ポン東東東  ドラ九筒  ツモ二筒
八筒がドラの指示牌ということもあるが、瀬戸熊が2巡目に四筒を切っていることから、藤崎は打八筒として一筒四筒の待ちに受ける。瀬戸熊が掴めば切るだろうとの算段があってのものだ。
ところが、狙い目でもあるその一筒は瀬戸熊に暗刻。そして直後、瀬戸熊に打たれたのはアガリ逃しともなる五筒
更に追い討ちをかけたのが、この局の結末である。

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五筒を引いて3メンチャンに受け変えたところで、前原への放銃。
藤崎にすれば、正に踏んだり蹴ったりの幕切れである。
藤崎は以降、一度もアガリに絡むことなく、4着に沈んだ。
だが、特筆すべきはやはり瀬戸熊の安定感である。
ここまでの悪い流れを振り払うかのように前原がトップを奪うも、自身はしっかり浮きの2着をキープ。
ゴールに向かって着々と歩を進めるその足取りには、微塵の不安も感じさせない力強さがある。
追いかける3者にとって、瀬戸熊の牙城を揺るがすのは、既に儚い夢となってしまったのだろうか。
13回戦成績
前原+23.3P  瀬戸熊+5.3P  荒▲11.3P  藤崎▲19.3P  供託2.0P
13回戦終了時
瀬戸熊+109.1  前原+9.1P  荒▲47.7P  藤崎▲72.5P  供託2.0P
 
14回戦(起家から、前原・瀬戸熊・藤崎・荒)
東1局、まずは荒が軽快に1,000・2,000をアガってリード。
二筒三筒五筒六筒七筒北北  ポン八筒八筒八筒  ポン東東東  ツモ一筒  ドラ六万
注目していただきたいのは東2局である。
9巡目(暗カンが入っているため)、北家の前原が先制リーチ。

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2巡目の六万切り、荒の五万暗カンから、七万は良い受けに映る。
それを受けた親、瀬戸熊の手牌が以下。
六万六万七万八万八万八万二索三索四索六索七索八索四筒  ツモ七筒  ドラ四筒
六万、おそらくほとんどの打ち手がそう構えるだろう。だが、瀬戸熊の選択には私も目を見張った。
七筒なのである。初日から通して、とにかくこの姿勢が徹底している。追う側が苦戦を強いられてきたのは、ここに理由がある。弱気によって引き起こされるミスが、瀬戸熊にはほぼ皆無なのだ。
自分が九筒を切っていること、八筒が既に2枚飛んでいること、ドラは打ち出さないこと、そして何より、真っ直ぐ攻め抜くこと、七筒を打ち出すには十分過ぎる理由があるというわけである。
五万のカンも大きい。七万が良く見えているのは、前原だけではない。ドラの四筒を重ねれば、カン七万の12,000。
いや、場合によってはリーチもあるかもしれない。
3者に浮上のきっかけを与えることのないよう、瀬戸熊は決してその手綱を緩めない。
六万七万八万八万八万二索三索四索六索七索八索三筒四筒  ロン二筒
今決定戦、何度こういうシーンを見てきただろう。
正に横綱相撲という表現がぴったりの打ち回しである。
東4局、荒の親番。
三万四万五万五万六万三索三索四索五索六索四筒五筒六筒  ドラ南
そして東4局1本場。
二万三万四万六万六万二索三索四索三筒四筒五筒六筒七筒  ドラ七万
いずれも高目タンピン三色という勝負手である。荒はそのいずれも、リーチでのアガリを物にする。
するのだが、そのいずれもが安目でのアガリ。そして出所も、前者が藤崎から、後者が前原からと、全く瀬戸熊の点棒を削ることができない。一度作られた4者の絡みは、なかなか崩れないということなのか。
 

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荒正義プロ

オーラス、前原が1,300・2,600をツモアガって、ようやく瀬戸熊の原点を割ることに成功するが、それでも瀬戸熊は2着を死守。この3日目、残すは後1戦。
明日に望みを繋げる者は現れるのだろうか。
14回戦成績
荒+17.0P  瀬戸熊▲1.8P  前原▲4.1P  藤崎▲11.1P
14回戦終了時
瀬戸熊+107.3P  前原+5.0P  荒▲30.7P  藤崎▲83.6P  供託2.0P
 
15回戦(起家から、前原・荒・藤崎・瀬戸熊)
この半荘、追いかける側の気持ちがようやく牌に伝わったのか、南1局まで瀬戸熊以外の3者がツモアガリを重ねる展開となった。
まずは東1局、荒が1,600・3,200。
六万七万八万九万九万一索二索三索白白   暗カン牌の背八筒八筒牌の背  リーチ  ツモ九万  ドラ六万
東2局は藤崎。
一万一万一万四万四万四万五万五索六索七索五筒六筒七筒  リーチ  ツモ六万  ドラ四筒
東3局は前原。
四万五万六万二索三索四索七索八索九索三筒四筒北北  リーチ  ツモ二筒
そして東4局も前原。
二万二万四万五万四索五索六索四筒五筒六筒  ポン三筒三筒三筒  ツモ三万  ドラ東
こちらは瀬戸熊の親リーチを潰しての価値あるアガリ。
そして南1局、こちらはまず全体牌譜をご覧いただこう。

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荒のリーチを受けた藤崎の、11巡目の手牌である。
全体の捨て牌からも、ベストはドラの八筒を重ねてのテンパイ。
五万八万の待ちが残れば、打点もあるし、勝ち目も十分といったところである。
そこに引いたのが4枚目の七万である。六万を打てばピンフ、ドラ1のテンパイ。
そして一手変われば、確定のタンピン三色である。
荒のリーチはあっても、藤崎はそう構えるものと思っていたが、安全度を追ったか、ノーチャンスの打八万を選択する。
六万六万七万七万七万七索八索九索五筒六筒六筒七筒八筒
すると次巡のツモが六索。藤崎はここで九索切りのリーチに出る。
そして2巡後、四筒をツモって2,000・3,900。アガるにはアガったが、やはり藤崎らしくはない。
ここまでの得点状況がそうさせるのか、精神の疲弊も相当なものがあったのだろう。
「攻撃力のない人間は初日に沈むときつい。やはり20戦を通しての戦術だから。」
この日の終わり、藤崎がそう話していたのが、ひどく胸に響いた。
南2局は前原が荒から3,900の出アガリ。
四万四万七万八万九万五索六索七索八索九索  ポン南南南  ロン四索  ドラ四万
荒はこの後も1人ノーテン、そして藤崎へ1,500放銃と、点棒を20,100にまで減らしてしまう。
前回1着を取った人間が、どうも勢いに乗り切れない流れが続いている。
それもまた、トータルトップを走る瀬戸熊の力ということが言えるのかもしれない。
南3局2本場、このアガリを見せ付けられれば、瀬戸熊がいかに緻密なゲームメイクをしているのかがお分かりいただけるのではないだろうか。

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ここまで攻撃面ばかりが光っているように見えて、やはり我慢すべきところはしっかり我慢しているのである。
失点は最小限に抑え、ここ一番でのアガリで相手を蹴落とす。そして、着実にトータルポイントを積み重ねる。
冒頭、瀬戸熊の10回戦目までの着順を振り返った。そして本日、ここまでが2、2、2、2である。
全員が前に出てくる状況下でのこの成績は、さすがの一言である。
局面、局面での押し引きの見極めが、それだけ正確であるということだ。
オーラス、瀬戸熊は荒に満貫を放銃する。

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こちらも攻めた上での放銃で、枚数こそ少ないもののアガリ目も十分という感触があったのだろう。
ラスには落ちたが、とにかく最終日に向けて一切の不安を残さないように、という瀬戸熊の気持ちが伝わってくるかのような放銃だった。
その前巡、打七万と、今日1日の収束に向かった前原とのコントラストが、凄く印象的だった。
15回戦成績
藤崎+23.2P 荒▲2.9P 前原▲5.4P 瀬戸熊▲14.9P
15回戦終了時
瀬戸熊+92.4P 前原▲0.4P 荒▲33.6P 藤崎▲60.4P 供託2.0P
 
これで残すは、最終日の5戦のみ。正直なところ、私はここまでの大差は予想できなかった。
もちろん、麻雀には何が起こるかわからない。
わからないが、この差をひっくり返すのは並大抵のことではない。
「大勢は決した」
私はノートにそう書き記し、会場を後にした。
その翌日、壮絶なドラマが待ち受けていることなど知ることもなく…

第3期グランプリMAX ベスト16レポート

 

2次予選を勝ち上がった12名に、
前回王者の勝又健志、鳳凰位・十段位と現在2冠の瀬戸熊直樹、ポイント上位の前原雄大、藤崎智の4名を加えた16名で行われる第3期グランプリMAXベスト16。
ここではシード選手を中心に激闘の模様をお伝えしたい。

 

1卓:勝又健志 古川孝次 嶋村泰之 安田麻里菜

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左から勝又健志、嶋村泰之、古川孝次、安田麻里菜

第2期グランプリMAXで念願の初のタイトルを獲得した勝又健志。
牌理の強さ、生放送などでの的確な解説から一部では「麻雀IQ220」と呼ばれている。
また、トーナメントの強さにも定評があり、どの様な戦い方を見せてくれるのか非常に楽しみだ。

2回戦東2局、南家の勝又が5巡目に以下の手牌。

三万四万一索二索三索一筒二筒二筒三筒四筒五筒六筒七筒  ツモ八筒  ドラ四万

即リーチしてもおかしくない手格好であるが勝又はヤミテンを選択。
次巡、ドラの四万をツモるとノータイムで三万切りリーチ!
対局後、ピンズの下が良かったので二筒をツモりにいったと語る勝又。
一発目のツモは…何とドラの四万!狙いとは違ったが2,000・4,000の大きなアガリをモノにした。

そして南2局、8巡目に発をポンして以下の形。

三万四万五万二索三索三索三筒三筒四筒四筒  ポン発発発  ドラ四筒

ここにツモ四索で打三索

三万四万五万二索三索四索三筒三筒四筒四筒  ポン発発発

ドラとドラ表示牌のシャンポン待ちだけに苦しいなと思ったところにツモ五筒
ここで勝又は打三筒。そしてツモ五索でドラの四筒切り。
程なくして古川から二索がこぼれ3,900のアガリとなった。

三万四万五万二索三索四索五索三筒四筒五筒  ポン発発発  ロン二索

苦しい形で押すよりも、場に安いソーズで待ちたかったとの事。
牌理だけでなく手牌、山読みの技術は連盟トップクラスであろう。
この2局を見ただけで分かる様に、勝又らしさが凝縮された半荘であった。

2回戦成績
勝又+31.0P  安田▲3.1P  嶋村▲11.3P  古川▲16.6P

3回戦以降は、古川のビッグウエーブが到来し怒涛の3連勝。
古川の勢いを止められないと見るや否や、2着通過に照準を絞る勝又。
嵐の中しっかりと身を伏せ、止んだ隙を見て顔を出す。
古川のサーフボードを盾に、ベスト8への切符を手に入れた。

勝ち上がり:古川孝次 勝又健志

 

2卓:瀬戸熊直樹 西川淳 堀内正人 黒沢咲

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左から堀内正人、西川淳、瀬戸熊直樹、黒沢咲

今期鳳凰位・十段位2冠の「卓上の暴君」瀬戸熊直樹。
優勝者予想でも8人中6人が本命に挙げる。
瀬戸熊時代到来を予感させる中、前人未到の3冠なるか?

3回戦を終了して以下の成績。
瀬戸熊+27.3P 黒沢+3.3P 堀内▲7.4P 西川▲23.2P

瀬戸熊はトータルトップであるが、油断できないポイント差である。
最終戦を有利に迎える為にも、浮きだけは確保したいところか。

4回戦東1局、北家・瀬戸熊の配牌。

一万二万三万三索五索七索七索八索九索一筒二筒三筒白  ドラ三筒

ドラ面子が完成しており123の三色も見える好配牌だ。しかしここからツモが利かない。
あっという間に黒沢が2フーロでテンパイ気配、そして親の堀内からリーチが入る。

親・堀内
一万二万五万五万六万七万八万三筒四筒五筒北北北  リーチ

南家・黒沢
六索七索西西発発発  チー三索四索五索  加カン中中中中

さすがの暴君も、2シャンテンから向かっていく事は無く流局。
しかし、あの配牌からベタオリになるとは思いもよらなかったろう。
そして、堀内の連荘が始まるのだが、状態が悪いと思ったのか徹底して受けに回る瀬戸熊。
虎視眈々とチャンスが来るのを待つ。

東2局、堀内の連荘が終わり、西家・瀬戸熊8巡目にチャンス手が入る。

一万一万七万八万九万一索二索二索三索三索七索八索九索  ドラ西

これをヤミテンに構え、10巡目に黒沢から打たれた四索を見逃し。
次巡、黒沢が一索をツモ切ると瀬戸熊からロンの声。
しかし黒沢も黙ってはいない。東4局、西家・黒沢10巡目にリーチ。

二索三索三索四索四索五索五索六索七索七索八索白白  リーチ  ドラ五万

今までに、何度見たであろうか黒沢得意のメンホンリーチである。
これに追っかけリーチで飛び込んだのが親番の瀬戸熊。
結局、この放銃が響き3着となり、最終戦に不安を残す結果となった。

4回戦成績
西川+17.4P  堀内+10.9P  瀬戸熊▲6.5P  黒沢▲21.8P

4回戦終了時成績
瀬戸熊+20.8P  堀内+3.5P  西川▲5.8P  黒沢▲18.5P

最終5回戦は、全員に可能性がある半荘となった。
オーラスを迎え、瀬戸熊・西川はアガれば勝ち上がり。
黒沢は親番なので、連チャンが必要だが2,000オールでトップ目に立つ。
そして、堀内の条件は跳満ツモ。10巡目、堀内が条件を満たしたリーチを放つ。
引けない黒沢も無筋を連打し13巡目にテンパイ。
しかし、そのテンパイ打牌は無常にも西川への当たり牌であった。

十段戦で瀬戸熊をあと一歩のところまで追い詰めた堀内。
今度こそは、の気持ちは非常に強かったが、またしても瀬戸熊という大きな壁を乗り越えることはできなかった。

勝ち上がり:瀬戸熊直樹 西川淳

 

3卓:前原雄大 山井弘 柴田弘幸 灘麻太郎

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左から灘麻太郎、前原雄大、山井弘、柴田弘幸

鳳凰位戦で瀬戸熊との激闘を演じた前原雄大。
卓上を制圧するその姿はまさに「閻魔大王」の名が相応しい。

1、2回戦、灘・前原に圧倒され連続ラスの山井であったが
3、4回戦持ち前の攻撃力で巻き返し、何とか最終戦に望みを繋いだ。

4回戦終了時成績
灘+45.3P  前原+23.7P  山井▲8.0P  柴田▲61.0P

灘が抜けており、柴田にとっては厳しい状況。実質、前原と山井の争いだろう。
東4局、2巡目にテンパイを入れていた前原。

二万三万四万六万七万八万一索五索六索七索一筒二筒三筒  ドラ五索

4巡目に二万をツモり、待ち替えか?と思ったのも束の間、二万を空切りしてリーチ!

捨て牌
南二索二索二万リーチ

これが巷で噂のガラクタリーチか?放銃者の精神まで崩壊させてしまいそうなリーチである。
これを灘から討ち取り、山井を一歩リードする。

そして迎えた南3局。山井最後の親番である。

配牌が
三万一索三索五索五索六索七索二筒二筒三筒五筒七筒南西  ドラ西

これを8巡目に、

三万五万三索四索五索五索六索七索二筒二筒三筒五筒七筒

ここまで仕上げるが、ツモ四万で打七筒とすると灘からロンの声。
山井の戦いはここで終焉を迎えた。

勝ち上がり:灘麻太郎 前原雄大

 

4卓:藤崎智 ダンプ大橋 近藤久春 小島武夫

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左からダンプ大橋、小島武夫、近藤久晴、藤崎智

前原と同じく、鳳凰位戦で瀬戸熊を苦しめた男、藤崎智。
気配を殺し、ヤミテンで相手を仕留める姿から「麻雀忍者」の異名を取る。

1回戦南1局3本場、南家のダンプが3巡目に、

三万七万一索二索二筒二筒四筒九筒九筒南南北中  ドラ六筒

ここからダブ南をポン!牽制の意味が大きい仕掛けではあるが、ダブ南を打ち出したのは藤崎。
9巡目、やはりテンパイを入れていた藤崎が、小島の切った一筒に静かに手を倒す。

一万一万二万二万三万三万六万六万一筒六筒六筒七筒七筒  ロン一筒

鳴いたダンプより、鳴かせた藤崎をマークしなければいけないのは小島、近藤も分かっているはずだが、これはさすがに止められないか。

このアガリをものにした藤崎だが決して油断はしない。
南2局1本場、南家・藤崎の12巡目。

四万四万四万一索一索四筒四筒五筒東東中中中  ドラ東

この1シャンテンから1をポン。ドラの東をツモれば倍満だけに、五筒切りとする打ち手もいると思うのだが、藤崎は冷静に打四筒。しっかりと六筒をツモり1,300・2,600。

オーラスにも
四万四万七万七万六筒七筒八筒六索七索七索七索七索八索 ツモ四万
ドラ七万 この手をあっさりと引きアガり5万点オーバーのトップ。
随所に持ち味を発揮した藤崎圧巻の半荘となった。

1回戦成績
藤崎+28.6P  小島+10.2P  近藤▲5.9P  ダンプ▲32.9P

藤崎は、初戦の勢いそのままに着実にポイントを積み重ねていく。
何と4回戦までオールプラス。素晴らしい安定感だ。

4回戦終了時成績
藤崎+62.5P  小島+19.4P  近藤▲13.6P  ダンプ▲68.3P

最終戦、小島と近藤の争いとなったが、東4局5本場、親番の小島がわずか4巡目でこのリーチ。

六万七万六索七索八索三筒四筒五筒六筒七筒八筒白白  リーチ  ドラ西
8巡目で、高めの八万を引き寄せ3,900は4,400オール。

そして東4局6本場、

一索一索一索四索五索五索五索六索七索七索八索八索九索

近藤の3巡目リーチを受けるものの、メンチンの4メンチャンテンパイ。
近藤が3を掴み18,000は19,600。これで勝負あり。
さすがミスター麻雀、圧倒的破壊力で7万点オーバーのトップで藤崎をも捲くり、
1位通過で勝ち上がりを決めた。

勝ち上がり:小島武夫 藤崎智

 

ベスト8組み合わせ

1卓:古川孝次 西川淳 灘麻太郎 藤崎智

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古川孝次
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西川淳
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灘麻太郎
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藤崎智

2卓:勝又健志 瀬戸熊直樹 前原雄大 小島武夫

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勝又健志
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瀬戸熊直樹
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前原雄大
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小島武夫

ここまで来たら楽な戦いなどあるはずもない。決勝の椅子を手にするのは誰であろうか。
1局たりとも目が離せない戦いになるのは間違いないだろう。

グランプリ レポート/第3期グランプリMAX ベスト16レポート

 
2次予選を勝ち上がった12名に、
前回王者の勝又健志、鳳凰位・十段位と現在2冠の瀬戸熊直樹、ポイント上位の前原雄大、藤崎智の4名を加えた16名で行われる第3期グランプリMAXベスト16。
ここではシード選手を中心に激闘の模様をお伝えしたい。
 
1卓:勝又健志 古川孝次 嶋村泰之 安田麻里菜

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左から勝又健志、嶋村泰之、古川孝次、安田麻里菜

第2期グランプリMAXで念願の初のタイトルを獲得した勝又健志。
牌理の強さ、生放送などでの的確な解説から一部では「麻雀IQ220」と呼ばれている。
また、トーナメントの強さにも定評があり、どの様な戦い方を見せてくれるのか非常に楽しみだ。
2回戦東2局、南家の勝又が5巡目に以下の手牌。
三万四万一索二索三索一筒二筒二筒三筒四筒五筒六筒七筒  ツモ八筒  ドラ四万
即リーチしてもおかしくない手格好であるが勝又はヤミテンを選択。
次巡、ドラの四万をツモるとノータイムで三万切りリーチ!
対局後、ピンズの下が良かったので二筒をツモりにいったと語る勝又。
一発目のツモは…何とドラの四万!狙いとは違ったが2,000・4,000の大きなアガリをモノにした。
そして南2局、8巡目に発をポンして以下の形。
三万四万五万二索三索三索三筒三筒四筒四筒  ポン発発発  ドラ四筒
ここにツモ四索で打三索
三万四万五万二索三索四索三筒三筒四筒四筒  ポン発発発
ドラとドラ表示牌のシャンポン待ちだけに苦しいなと思ったところにツモ五筒
ここで勝又は打三筒。そしてツモ五索でドラの四筒切り。
程なくして古川から二索がこぼれ3,900のアガリとなった。
三万四万五万二索三索四索五索三筒四筒五筒  ポン発発発  ロン二索
苦しい形で押すよりも、場に安いソーズで待ちたかったとの事。
牌理だけでなく手牌、山読みの技術は連盟トップクラスであろう。
この2局を見ただけで分かる様に、勝又らしさが凝縮された半荘であった。
2回戦成績
勝又+31.0P  安田▲3.1P  嶋村▲11.3P  古川▲16.6P
3回戦以降は、古川のビッグウエーブが到来し怒涛の3連勝。
古川の勢いを止められないと見るや否や、2着通過に照準を絞る勝又。
嵐の中しっかりと身を伏せ、止んだ隙を見て顔を出す。
古川のサーフボードを盾に、ベスト8への切符を手に入れた。
勝ち上がり:古川孝次 勝又健志
 
2卓:瀬戸熊直樹 西川淳 堀内正人 黒沢咲

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左から堀内正人、西川淳、瀬戸熊直樹、黒沢咲

今期鳳凰位・十段位2冠の「卓上の暴君」瀬戸熊直樹。
優勝者予想でも8人中6人が本命に挙げる。
瀬戸熊時代到来を予感させる中、前人未到の3冠なるか?
3回戦を終了して以下の成績。
瀬戸熊+27.3P 黒沢+3.3P 堀内▲7.4P 西川▲23.2P
瀬戸熊はトータルトップであるが、油断できないポイント差である。
最終戦を有利に迎える為にも、浮きだけは確保したいところか。
4回戦東1局、北家・瀬戸熊の配牌。
一万二万三万三索五索七索七索八索九索一筒二筒三筒白  ドラ三筒
ドラ面子が完成しており123の三色も見える好配牌だ。しかしここからツモが利かない。
あっという間に黒沢が2フーロでテンパイ気配、そして親の堀内からリーチが入る。
親・堀内
一万二万五万五万六万七万八万三筒四筒五筒北北北  リーチ
南家・黒沢
六索七索西西発発発  チー三索四索五索  加カン中中中中
さすがの暴君も、2シャンテンから向かっていく事は無く流局。
しかし、あの配牌からベタオリになるとは思いもよらなかったろう。
そして、堀内の連荘が始まるのだが、状態が悪いと思ったのか徹底して受けに回る瀬戸熊。
虎視眈々とチャンスが来るのを待つ。
東2局、堀内の連荘が終わり、西家・瀬戸熊8巡目にチャンス手が入る。
一万一万七万八万九万一索二索二索三索三索七索八索九索  ドラ西
これをヤミテンに構え、10巡目に黒沢から打たれた四索を見逃し。
次巡、黒沢が一索をツモ切ると瀬戸熊からロンの声。
しかし黒沢も黙ってはいない。東4局、西家・黒沢10巡目にリーチ。
二索三索三索四索四索五索五索六索七索七索八索白白  リーチ  ドラ五万
今までに、何度見たであろうか黒沢得意のメンホンリーチである。
これに追っかけリーチで飛び込んだのが親番の瀬戸熊。
結局、この放銃が響き3着となり、最終戦に不安を残す結果となった。
4回戦成績
西川+17.4P  堀内+10.9P  瀬戸熊▲6.5P  黒沢▲21.8P
4回戦終了時成績
瀬戸熊+20.8P  堀内+3.5P  西川▲5.8P  黒沢▲18.5P
最終5回戦は、全員に可能性がある半荘となった。
オーラスを迎え、瀬戸熊・西川はアガれば勝ち上がり。
黒沢は親番なので、連チャンが必要だが2,000オールでトップ目に立つ。
そして、堀内の条件は跳満ツモ。10巡目、堀内が条件を満たしたリーチを放つ。
引けない黒沢も無筋を連打し13巡目にテンパイ。
しかし、そのテンパイ打牌は無常にも西川への当たり牌であった。
十段戦で瀬戸熊をあと一歩のところまで追い詰めた堀内。
今度こそは、の気持ちは非常に強かったが、またしても瀬戸熊という大きな壁を乗り越えることはできなかった。
勝ち上がり:瀬戸熊直樹 西川淳
 
3卓:前原雄大 山井弘 柴田弘幸 灘麻太郎

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左から灘麻太郎、前原雄大、山井弘、柴田弘幸

鳳凰位戦で瀬戸熊との激闘を演じた前原雄大。
卓上を制圧するその姿はまさに「閻魔大王」の名が相応しい。
1、2回戦、灘・前原に圧倒され連続ラスの山井であったが
3、4回戦持ち前の攻撃力で巻き返し、何とか最終戦に望みを繋いだ。
4回戦終了時成績
灘+45.3P  前原+23.7P  山井▲8.0P  柴田▲61.0P
灘が抜けており、柴田にとっては厳しい状況。実質、前原と山井の争いだろう。
東4局、2巡目にテンパイを入れていた前原。
二万三万四万六万七万八万一索五索六索七索一筒二筒三筒  ドラ五索
4巡目に二万をツモり、待ち替えか?と思ったのも束の間、二万を空切りしてリーチ!
捨て牌
南二索二索二万リーチ
これが巷で噂のガラクタリーチか?放銃者の精神まで崩壊させてしまいそうなリーチである。
これを灘から討ち取り、山井を一歩リードする。
そして迎えた南3局。山井最後の親番である。
配牌が
三万一索三索五索五索六索七索二筒二筒三筒五筒七筒南西  ドラ西
これを8巡目に、
三万五万三索四索五索五索六索七索二筒二筒三筒五筒七筒
ここまで仕上げるが、ツモ四万で打七筒とすると灘からロンの声。
山井の戦いはここで終焉を迎えた。
勝ち上がり:灘麻太郎 前原雄大
 
4卓:藤崎智 ダンプ大橋 近藤久春 小島武夫

gpmax
左からダンプ大橋、小島武夫、近藤久晴、藤崎智

前原と同じく、鳳凰位戦で瀬戸熊を苦しめた男、藤崎智。
気配を殺し、ヤミテンで相手を仕留める姿から「麻雀忍者」の異名を取る。
1回戦南1局3本場、南家のダンプが3巡目に、
三万七万一索二索二筒二筒四筒九筒九筒南南北中  ドラ六筒
ここからダブ南をポン!牽制の意味が大きい仕掛けではあるが、ダブ南を打ち出したのは藤崎。
9巡目、やはりテンパイを入れていた藤崎が、小島の切った一筒に静かに手を倒す。
一万一万二万二万三万三万六万六万一筒六筒六筒七筒七筒  ロン一筒
鳴いたダンプより、鳴かせた藤崎をマークしなければいけないのは小島、近藤も分かっているはずだが、これはさすがに止められないか。
このアガリをものにした藤崎だが決して油断はしない。
南2局1本場、南家・藤崎の12巡目。
四万四万四万一索一索四筒四筒五筒東東中中中  ドラ東
この1シャンテンから1をポン。ドラの東をツモれば倍満だけに、五筒切りとする打ち手もいると思うのだが、藤崎は冷静に打四筒。しっかりと六筒をツモり1,300・2,600。
オーラスにも
四万四万七万七万六筒七筒八筒六索七索七索七索七索八索 ツモ四万
ドラ七万 この手をあっさりと引きアガり5万点オーバーのトップ。
随所に持ち味を発揮した藤崎圧巻の半荘となった。
1回戦成績
藤崎+28.6P  小島+10.2P  近藤▲5.9P  ダンプ▲32.9P
藤崎は、初戦の勢いそのままに着実にポイントを積み重ねていく。
何と4回戦までオールプラス。素晴らしい安定感だ。
4回戦終了時成績
藤崎+62.5P  小島+19.4P  近藤▲13.6P  ダンプ▲68.3P
最終戦、小島と近藤の争いとなったが、東4局5本場、親番の小島がわずか4巡目でこのリーチ。
六万七万六索七索八索三筒四筒五筒六筒七筒八筒白白  リーチ  ドラ西
8巡目で、高めの八万を引き寄せ3,900は4,400オール。
そして東4局6本場、
一索一索一索四索五索五索五索六索七索七索八索八索九索
近藤の3巡目リーチを受けるものの、メンチンの4メンチャンテンパイ。
近藤が3を掴み18,000は19,600。これで勝負あり。
さすがミスター麻雀、圧倒的破壊力で7万点オーバーのトップで藤崎をも捲くり、
1位通過で勝ち上がりを決めた。
勝ち上がり:小島武夫 藤崎智
 
ベスト8組み合わせ
1卓:古川孝次 西川淳 灘麻太郎 藤崎智

gpmax
古川孝次
gpmax
西川淳
gpmax
灘麻太郎
gpmax
藤崎智

2卓:勝又健志 瀬戸熊直樹 前原雄大 小島武夫

gpmax
勝又健志
gpmax
瀬戸熊直樹
gpmax
前原雄大
gpmax
小島武夫

ここまで来たら楽な戦いなどあるはずもない。決勝の椅子を手にするのは誰であろうか。
1局たりとも目が離せない戦いになるのは間違いないだろう。

第75回『確率と経験則』

これまで5回に渡ってこの中級講座を担当させて頂いたが、今回が最終回となる。
講座というよりは、ただ自分が思うことをありのままに書いてきた。読者の皆様に、少しでも自分の考え方が分かって頂けたなら幸いである。この最終回も、自分の考えを伝えて締めたいと思う。

さて、いきなりだが次の問題に直感で答えてほしい。
「今ランダムに30人が集められたとして、少なくともその中の2人の誕生日が同じである確率は何%でしょう?」

これはインターネットで見つけた問題なのだが、答えから書いてしまうと、きちんと計算すると70%を超えるらしい。直感的に、これよりかなり低く見積もっていた人がほとんどなのではないか、と思う。
この問題を、「確率」を重視して麻雀を打っている打ち手に聞いてみても、直感で、と言われたら大幅に誤差がでるのではないか?

「確率」というものを重視している打ち手であっても、麻雀と比べたらよほど簡単と思われる確率計算も瞬時に判断することはなかなか難しい。つまり麻雀という、より複雑で難解なものに対して、その場その場で様々な確率を正確に計算することはできないのだ。

様々な確率とは、例えばある牌を切った時の鳴かれる確率だったり、鳴かれた場合の失点率、鳴かれなかった場合は・・・などだ。

「確率」を追い求めている上級者のプレイヤーでも、局面毎に正確な計算をして打牌しているわけではない。
では、全てのプレイヤーが何を根拠に打牌しているかといえば「経験則」というものも少なからずあると思う。全く同じ局面など来ないが、似たような局面、手牌は多々存在していて、それまでの経験からどれを切るかを瞬時に体感で判断している。

上に記した、直感で答えてほしいといった確率の問題に答えてもらった時、なぜ大幅に誤差がでるのかといえば、同じ様な問題を解いたことがないからだ。

例えば、終盤に危険牌を持ってきた時に、そろそろオリた方がいいのか・・・と自分自身は瞬間的に感じることがある。理屈で言えば、安手の1シャンテンで、カンチャンも残っているし・・・など、様々な理由付けはできるが、これまでの経験や結果から体感で感じているのだと思う。

ある人から見れば、選択A、選択B、選択C、と3つの選択肢が経験則から浮かび、その中から1つを思考して選択するが、それより雀力が上の人からは選択A、選択Bの2つの中からの選択になったり、または選択A、選択Dの2択になったりする。

この体感を養うには、とにかくひたすら打つことで、これを養うのも雀力向上の為に必要だと考えている。
「第一感」とよく言うが、私はこれを経験則に基づいたものから瞬時に判断しているものだと思っている為、決してオカルトだとは思っていない。修練の積み重ねこそが、その様な瞬時の判断力を生む。

ただ、その自らの経験則を養う訓練自体が間違っているものだとしたらどうだろうか。
インターネットの記事から、「他家のテンパイが入っている時、大抵の1シャンテンから攻めるより、安手でもテンパイから攻めた方が有利」という文章を見つけたことがある。

以前にも似たような状況を記したが、東1局、南家からリーチが入っている6巡目、自分は西家で、

三万四万五万四索四索五索五索六索三筒四筒六筒六筒北  ドラ三万

この様な牌姿で、南家から二筒が打たれたとする。
この記事の内容だけで考えれば、チーテンをとることが得策なようだが、果たしてあっているのか、更にあっていたとして、全ての状況で適用されるものなのか、自分自身で考える必要がある。

チーした場合の失点率や和了率、または最終的な順位にどの程度影響するか、順位点はどうなるか・・・。
他家の捨て牌や動きによっても、それら全ては変わってくるだろう。
重要なのは、これは局単位で考えた収支データであるので、自身の置かれた点数状況からの順位点の相関などは全く考慮されていないということだ。

例えばこれが、南2局の北家、7,000点持ち、他の3人が31,000点持ち位で競っているとしたら、絶対にチーすべきではないだろう。自分はもう親もない北家で、このチャンス手を2,000点で終わらせてしまえば、残り2局、3人が僅差で競り合うという、その後の展開を考えてみてもかなり不利なものになるのは間違いない。

しかし、門前でリーチをかけてアガることができれば、一気にトップ争いに食い込むことができ、順位点の大幅な上昇も十分見込むことができる。
この記事を否定する気はもちろんないのだが、要は使い方次第ということだ。

最近は、インターネットなどから、データやそれに伴った知識を得やすくなったのは間違いないが、その知識をそのまま当て嵌めて使っているだけ、という場合が多い。知識が増えるのはもちろんいいが、自らでそのデータの検証をしているのか?まだまだ未開拓で歴史が浅い為、間違ったデータが世に広まっていったとしても不思議ではないだろう。

本当は「ミス」なのに、それに気付かずデータを鵜呑みにしたり、間違ったデータの使い方でずっとその手法を取り続けてしまう、というのが最も恐れなくてはならないと思う。

毎回似た局面や手牌で、損な選択をしてしまうだけでなく、それを積み重ねてしまうことによって、自らの経験則として蓄積されてしまいかねない。常に疑問を持ち続けながら訓練し、自らの経験則や体感の精度を上げていくことも、雀力アップに必要ではないだろうか。

中級/第75回『確率と経験則』

これまで5回に渡ってこの中級講座を担当させて頂いたが、今回が最終回となる。
講座というよりは、ただ自分が思うことをありのままに書いてきた。読者の皆様に、少しでも自分の考え方が分かって頂けたなら幸いである。この最終回も、自分の考えを伝えて締めたいと思う。
さて、いきなりだが次の問題に直感で答えてほしい。
「今ランダムに30人が集められたとして、少なくともその中の2人の誕生日が同じである確率は何%でしょう?」
これはインターネットで見つけた問題なのだが、答えから書いてしまうと、きちんと計算すると70%を超えるらしい。直感的に、これよりかなり低く見積もっていた人がほとんどなのではないか、と思う。
この問題を、「確率」を重視して麻雀を打っている打ち手に聞いてみても、直感で、と言われたら大幅に誤差がでるのではないか?
「確率」というものを重視している打ち手であっても、麻雀と比べたらよほど簡単と思われる確率計算も瞬時に判断することはなかなか難しい。つまり麻雀という、より複雑で難解なものに対して、その場その場で様々な確率を正確に計算することはできないのだ。
様々な確率とは、例えばある牌を切った時の鳴かれる確率だったり、鳴かれた場合の失点率、鳴かれなかった場合は・・・などだ。
「確率」を追い求めている上級者のプレイヤーでも、局面毎に正確な計算をして打牌しているわけではない。
では、全てのプレイヤーが何を根拠に打牌しているかといえば「経験則」というものも少なからずあると思う。全く同じ局面など来ないが、似たような局面、手牌は多々存在していて、それまでの経験からどれを切るかを瞬時に体感で判断している。
上に記した、直感で答えてほしいといった確率の問題に答えてもらった時、なぜ大幅に誤差がでるのかといえば、同じ様な問題を解いたことがないからだ。
例えば、終盤に危険牌を持ってきた時に、そろそろオリた方がいいのか・・・と自分自身は瞬間的に感じることがある。理屈で言えば、安手の1シャンテンで、カンチャンも残っているし・・・など、様々な理由付けはできるが、これまでの経験や結果から体感で感じているのだと思う。
ある人から見れば、選択A、選択B、選択C、と3つの選択肢が経験則から浮かび、その中から1つを思考して選択するが、それより雀力が上の人からは選択A、選択Bの2つの中からの選択になったり、または選択A、選択Dの2択になったりする。
この体感を養うには、とにかくひたすら打つことで、これを養うのも雀力向上の為に必要だと考えている。
「第一感」とよく言うが、私はこれを経験則に基づいたものから瞬時に判断しているものだと思っている為、決してオカルトだとは思っていない。修練の積み重ねこそが、その様な瞬時の判断力を生む。
ただ、その自らの経験則を養う訓練自体が間違っているものだとしたらどうだろうか。
インターネットの記事から、「他家のテンパイが入っている時、大抵の1シャンテンから攻めるより、安手でもテンパイから攻めた方が有利」という文章を見つけたことがある。
以前にも似たような状況を記したが、東1局、南家からリーチが入っている6巡目、自分は西家で、
三万四万五万四索四索五索五索六索三筒四筒六筒六筒北  ドラ三万
この様な牌姿で、南家から二筒が打たれたとする。
この記事の内容だけで考えれば、チーテンをとることが得策なようだが、果たしてあっているのか、更にあっていたとして、全ての状況で適用されるものなのか、自分自身で考える必要がある。
チーした場合の失点率や和了率、または最終的な順位にどの程度影響するか、順位点はどうなるか・・・。
他家の捨て牌や動きによっても、それら全ては変わってくるだろう。
重要なのは、これは局単位で考えた収支データであるので、自身の置かれた点数状況からの順位点の相関などは全く考慮されていないということだ。
例えばこれが、南2局の北家、7,000点持ち、他の3人が31,000点持ち位で競っているとしたら、絶対にチーすべきではないだろう。自分はもう親もない北家で、このチャンス手を2,000点で終わらせてしまえば、残り2局、3人が僅差で競り合うという、その後の展開を考えてみてもかなり不利なものになるのは間違いない。
しかし、門前でリーチをかけてアガることができれば、一気にトップ争いに食い込むことができ、順位点の大幅な上昇も十分見込むことができる。
この記事を否定する気はもちろんないのだが、要は使い方次第ということだ。
最近は、インターネットなどから、データやそれに伴った知識を得やすくなったのは間違いないが、その知識をそのまま当て嵌めて使っているだけ、という場合が多い。知識が増えるのはもちろんいいが、自らでそのデータの検証をしているのか?まだまだ未開拓で歴史が浅い為、間違ったデータが世に広まっていったとしても不思議ではないだろう。
本当は「ミス」なのに、それに気付かずデータを鵜呑みにしたり、間違ったデータの使い方でずっとその手法を取り続けてしまう、というのが最も恐れなくてはならないと思う。
毎回似た局面や手牌で、損な選択をしてしまうだけでなく、それを積み重ねてしまうことによって、自らの経験則として蓄積されてしまいかねない。常に疑問を持ち続けながら訓練し、自らの経験則や体感の精度を上げていくことも、雀力アップに必要ではないだろうか。

第20回静岡リーグ 決勝戦観戦記

決勝進出率8割。
50名程度で行うリーグ戦において、8割の決勝進出率は尋常ではない。
静岡支部設立直後には、望月支部長が4回連続、日吉プロが3回連続決勝進出の記録があるが、当時は今と比べれば参加人数は遥に少なかった。

静岡リーグも20回目の開催を迎えることとなり、改めて一般参加の方々の支えあってのものだと身が引き締まる。そんな記念すべき20回目の静岡リーグ決勝進出者は以下の通り。

予選第1位
竹内仁さん 全5回出場 4回目の決勝進出 最高成績:3位
サンプル数は少ないものの8割の決勝進出率。
繊細な手組からの高打点を生み出すパワーは観る者も引きつける。
一般参加でありながら経験も豊富。今回の優勝候補であろう。

予選第2位
関根秀介さん 初出場 初の決勝進出
初出場にしていきなりの決勝進出はお見事。
我慢が効き、点数を持ったら崩すのは難しい。
打点力は劣るが、丁寧な手組から最速のアガリも目指す。

予選第3位
鮎川卓プロ 全7回出場 初の決勝進出
実績では断然格上。静岡プロリーグでは堂々の連覇を果たした。
メンタルは非常に強く、誤解を恐れずに記せば≪図太い≫麻雀である。
放銃を重ねても、いつのまにか戦線に復帰する。
もちろん理にかなった打牌からの攻撃力は学ぶべきところが多い。

予選第4位
鷲見隼人プロ 全10回出場 3回目の決勝進出 最高成績:優勝
鳳凰位戦では連続昇級、静岡プロリーグは第2位。今年度、結果を残した1人ではなかろうか。
他家の打牌に敏感に反応できる受け重視の麻雀。非常に繊細な麻雀を打つ。

予選第5位
京平遥プロ 全10回出場 初の決勝進出
リーグ最終節では古橋プロとの直接対決を制し初の決勝進出。
支部長が【跳満の申し子】なら彼女は【倍満プリンセス】か。
先行した時の彼女の攻撃麻雀は見事である。その反面、受けに回った時に課題が残る。
いずれにしろ今回の決勝のキーパーソンになるであろう。

静岡リーグ決勝戦は予選通過順に、
1位通過+40.0P 2位通過+30.0P 3位通過+20.0P 4位通過+10.0P 5位通過+0.0P
この通過ポイントが加算される。このポイント差こそが、静岡リーグ決勝戦の特徴である。

(以下敬称略)

 

1回戦(起家から 鮎川・京平・鷲見・関根)抜け番:竹内

誰がスタートダッシュを決めるのか。
東1局

六万七万五筒五筒六筒七筒八筒二索三索四索六索七索八索  リーチ  ドラ東

南家・京平は得意の三色リーチ。
これを高目で引きアガれば、点数的にはもちろん気分的にも大きなアドバンテージになる。結果は流局。

東2局1本場、

一万一万二万二万五万五万九万九万四索四索八索中中  ロン八索  ドラ九万

初アガリは鷲見。関根から打ち取り6,400は6,700。
次局、鮎川が500・1,000のツモアガリ。

開局から点棒を出し続けている関根の親番。
東4局

配牌
五万八万九万一筒五筒七筒九筒一索三索四索四索五索九索北  ドラ七筒

この苦しい手牌を七対子に仕上げ4,000オール。

八万八万九万九万七筒七筒九筒九筒三索四索四索五索五索  ツモ三索

このアガリでトップ目に立った関根は、南場に入り5,200、2,000、5,800と加点し終わってみれば、45,600のトップ。
予選1位の竹内が抜け番の今回、予選2位の関根がトップ。追う立場の3人には苦しいスタートとなった。

1回戦成績
関根+23.6P  鷲見+6.8P  鮎川▲11.4P  京平▲20.0P

1回戦終了時
関根+53.6P  竹内+40.0P  鷲見+16.8P  鮎川+8.6P  京平▲20.0P

 

2回戦(起家から 竹内・関根・京平・鮎川)抜け番:鷲見

8割男、竹内の登場。私も竹内の背後に位置取りメモを走らせる。
東3局2本場、

五万六万七万一筒二筒二筒三筒三筒七筒八筒九筒東東  リーチ  ドラ東

鮎川がドラを重ね10巡目リーチ。4巡後に2,000・3,900。
ここまで目立った動きのなかった鮎川。
私は【このアガリの次局が鮎川にとって分岐になる】とメモに記した。

良い状態の時は誰でもアガれる。その状態を如何に作るか。鮎川はこの時の、二の矢、三の矢が非常に優れている。決して派手な形ではない。それでもアガリに結び付けてくる。これが鮎川の≪図太さ≫。

東4局、親番を迎えた鮎川が、5巡目にツモ二万で以下のテンパイ。

二万二万三万三万四万四万六万二筒三筒四筒一索二索六索六索  ドラ四索

ここからテンパイ取らずの打一索
鮎川はこのテンパイ取らずをしないタイプだと認識していただけに、私は少々驚いた。

9巡目、鮎川のツモは四万。ここで鮎川の判断はリーチ。

二万二万三万三万四万四万四万六万二筒三筒四筒六索六索  リーチ

確かに巡目、打点とも申し分ない。しかし気になるのは残されたカンチャン待ちと、直前に処理された竹内の五万。私はメモに【微妙・・・】と記す。この鮎川にぶつけたのが京平。同巡に四筒を引き入れて、

六万六万七万八万九万四筒五筒五筒六筒六筒四索四索四索  リーチ

結果は、鮎川が16巡目に七筒を掴み8,000の放銃となった。
鮎川も対局後、この局について悔いていた。
この後、全体を通して丁寧に戦うも、態勢が上がってくることはなかった。
鮎川にとって分岐となった1局。河の14巡目には三索が置かれていた。

南4局1本場、

二万三万四万六万七万八万六筒七筒六索七索八索八索八索  ロン八筒  ドラ六索

ここまでまったく参加出来なかった竹内の一撃。
鮎川のツモ切りの八筒を捕まえ8,000。鮎川は序盤から以下の手牌。

一万二万三万二筒三筒七筒七筒二索三索三索四索五索六索

6,000オールまである1シャンテンから9巡ツモ切りでの放銃。
鮎川にしては淡泊に映る放銃だった。

2回戦成績
京平+13.5P  竹内+6.4P  鮎川▲5.5P  関根▲14.4P

2回戦終了時
竹内+46.4P  関根+39.2P  鷲見+16.8P  鮎川+3.1P  京平▲6.5P

 

3回戦(起家から 京平・鮎川・竹内・鷲見)抜け番:関根

重い場が続く。7局目にあたる東3局。ここからいきなりの乱打戦となる。
鷲見は5巡目にテンパイ。一手替わりチャンタ、イーペーコーもありここはヤミテン。
東3局

六万七万七万八万八万九万一筒一筒一筒二索三索白白  ドラ南

8巡目、京平がツモ三筒四筒のリーチ。

二万二万三万三万四万六万六万六万三筒三筒五索六索七索  リーチ

このリーチに一発で鷲見が四万を放銃。このような放銃はあまり記憶にない。
【らしくない放銃、鷲見危うし】とメモ。

この後、京平は実に5回ものアガリを積み重ねる。
完全に京平の半荘かと思いきや、竹内が2回の満貫ツモアガリ、鮎川も2度の1人テンパイで粘り、鷲見の1人沈みとなる。

3回戦成績
京平+19.2P  竹内+5.6P  鮎川+1.1P  鷲見▲26.9P

3回戦終了時
竹内+52.0P  関根+39.2P  京平12.7P  鮎川+4.2P  鷲見▲10.1P

 

4回戦(起家から 鷲見・京平・関根・竹内)抜け番:鮎川

現在トータルポイント最下位の鷲見はトップが欲しい半荘。
東場を小さいアガリながら着実に加点し、43,700点まで持ち点を伸ばす。
南場の親は流れるも次局には以下の好配牌。
南2局

配牌
一万二万三万五万六万七万九万一筒西北北発発  ドラ北

3巡目、発をポン、4巡目に八万を引き高目12,000のテンパイ。

一万二万三万五万六万七万八万九万北北  ポン発発発

6巡目、関根の七万を捕え8,000。持ち点を50,000点オーバーとし望みをつなぐ。
このまま鷲見の独走で終わるかと思われたこの半荘。京平が粘る。
南3局1本場

配牌
四万五万六万六万七万七万六索西白発発中中  ドラ六万

8巡目にテンパイ。

一万一万四万四万五万六万六万七万七万発発中中

待ち牌の五万はドラ表示牌と河に1枚。9巡目一筒をツモリ待ち変え。
序盤に二筒が3枚3者から切られている。13巡目に2,000・4,000。大きな原点回帰。
これにより5回戦終了後の敗退は関根・鮎川・鷲見の3人のいずれかという混戦へ。

4回戦成績
鷲見+25.1P  京平+10.3P  竹内▲12.4P  関根▲24.0P

4回戦終了時
竹内+39.6P  京平+23.0P  関根+15.2P  鷲見+15.0P  鮎川+4.2P

 

5回戦(起家から 関根・竹内・鮎川・鷲見)抜け番:京平

小場の展開で迎えた南1局。鮎川5巡目に、仮テンのタンヤオテンパイ。10巡目に六筒を引きリーチ。
南1局

四万五万六万六万七万八万二筒三筒四筒六筒八筒八筒八筒  リーチ  ドラ八万

その折、鷲見は8巡目に1シャンテン。

二万三万四万四万四筒五筒六筒三索三索五索五索六索七索

11巡目七筒を引かされ打五索と勝負。12巡目ツモ三万、打七筒とし5,200放銃となった。
開かれた牌姿を見つめる鷲見の表情は(やっちまった・・)。対局後鷲見は、

「直前まで四筒を切ろうと思っていたんですが、三万ツモった瞬間七筒つまんでいました・・」

残りは最終6回戦。鷲見は規定により敗退となった。

この半荘トップは関根。苦しい展開ながら後手を踏んだ時にはしっかりと対応。
竹内へ挑戦状を叩きつける。

5回戦成績
関根+17.6P  鮎川+11.6P  竹内+7.3P  鷲見▲36.5P

5回戦終了時
竹内+46.9P  関根+32.8P  京平+23.0P  鮎川+15.8P  鷲見▲21.5P

 

6回戦(起家から 関根・京平・鮎川・竹内)

東2局2本場

七万八万九万八筒九筒二索三索四索七索八索九索発発  ドラ七筒

親番の京平は10巡目にテンパイ。これを引きアガることができれば、初優勝が見えてくる。
しかし、鮎川が京平を捕え5,200。

三索四索八索八索八索東東東中中  チー六索五索七索  ロン二索

親番を迎えた鮎川。5巡目1シャンテンもこの日はここからが長い。見ているこちらが辛くなる。
やはり14巡目までツモ切りが続き河に放った五索に【ロン!】の声。
南家・竹内が開いた手牌はツモリ四暗刻。
東3局1本場

四万四万四万五万五万五万八万八万八万四筒四筒五索五索  ドラ一索

まだ東場ではあるが、同卓者には強烈なインパクトを与える。
このまま竹内優勝の空気が漂い始めるも、最後の波乱・・・・
やはりこの日のキーパーソンは京平だった。

南3局を迎え、親番の落ちた京平、関根はかなり苦しい条件となった。
親番の鮎川が10巡目リーチ。竹内はリーチの瞬間に現物を抜いた。隙がない。
1度のツモアガリは仕方なしの構えか。そして、このリーチに対し一発目から無筋を放つ京平。
私は即座に得点が記されている掲示板に目をむけた。

【役満しかないだろう・・・】
ツモアガリなら一撃で逆転・・・

14巡目、安牌に詰まった関根が手にかけたのはそれだった。
南3局

一万九万一筒九筒一索一索九索東南西白発中  ロン北  ドラ五筒

このアガリにより、一転して緊迫のオーラスを迎えることとなる。
京平の条件は、5200出アガリ、1000・2000ツモアガリ、2600直撃。
南4局

一万三万七筒九筒九筒三索三索六索七索九索東白発  ドラ一万

京平はこの配牌をどのように仕上げるのか。直撃、出アガリの期待は出来ない以上、ツモアガリが現実的である。考えられるのは、リーチツモドラ一索、またはリーチツモ役牌あたりか。
2巡目、京平が選んだ白が無情にも3連続で河に並んだ・・・・

最後に気まぐれな麻雀の女神は、最強のアマチュアを選んだ。

6回戦成績
京平+30.7P  竹内+11.5P  鮎川+3.8P  関根▲46.0P

6回戦終了時
竹内+58.4P  京平+53.7P  鮎川+19.6P  関根▲13.2P  鷲見▲21.5P

 

アマチュアでありながら、下馬評で断然の支持受けた竹内さんが初優勝。
竹内さんおめでとうございます。

対局者の皆様今回も素晴らしい対局ありがとうございました。

静岡プロリーグ レポート/第20回静岡リーグ 決勝戦観戦記

決勝進出率8割。
50名程度で行うリーグ戦において、8割の決勝進出率は尋常ではない。
静岡支部設立直後には、望月支部長が4回連続、日吉プロが3回連続決勝進出の記録があるが、当時は今と比べれば参加人数は遥に少なかった。
静岡リーグも20回目の開催を迎えることとなり、改めて一般参加の方々の支えあってのものだと身が引き締まる。そんな記念すべき20回目の静岡リーグ決勝進出者は以下の通り。
予選第1位
竹内仁さん 全5回出場 4回目の決勝進出 最高成績:3位
サンプル数は少ないものの8割の決勝進出率。
繊細な手組からの高打点を生み出すパワーは観る者も引きつける。
一般参加でありながら経験も豊富。今回の優勝候補であろう。
予選第2位
関根秀介さん 初出場 初の決勝進出
初出場にしていきなりの決勝進出はお見事。
我慢が効き、点数を持ったら崩すのは難しい。
打点力は劣るが、丁寧な手組から最速のアガリも目指す。
予選第3位
鮎川卓プロ 全7回出場 初の決勝進出
実績では断然格上。静岡プロリーグでは堂々の連覇を果たした。
メンタルは非常に強く、誤解を恐れずに記せば≪図太い≫麻雀である。
放銃を重ねても、いつのまにか戦線に復帰する。
もちろん理にかなった打牌からの攻撃力は学ぶべきところが多い。
予選第4位
鷲見隼人プロ 全10回出場 3回目の決勝進出 最高成績:優勝
鳳凰位戦では連続昇級、静岡プロリーグは第2位。今年度、結果を残した1人ではなかろうか。
他家の打牌に敏感に反応できる受け重視の麻雀。非常に繊細な麻雀を打つ。
予選第5位
京平遥プロ 全10回出場 初の決勝進出
リーグ最終節では古橋プロとの直接対決を制し初の決勝進出。
支部長が【跳満の申し子】なら彼女は【倍満プリンセス】か。
先行した時の彼女の攻撃麻雀は見事である。その反面、受けに回った時に課題が残る。
いずれにしろ今回の決勝のキーパーソンになるであろう。
静岡リーグ決勝戦は予選通過順に、
1位通過+40.0P 2位通過+30.0P 3位通過+20.0P 4位通過+10.0P 5位通過+0.0P
この通過ポイントが加算される。このポイント差こそが、静岡リーグ決勝戦の特徴である。
(以下敬称略)
 
1回戦(起家から 鮎川・京平・鷲見・関根)抜け番:竹内
誰がスタートダッシュを決めるのか。
東1局
六万七万五筒五筒六筒七筒八筒二索三索四索六索七索八索  リーチ  ドラ東
南家・京平は得意の三色リーチ。
これを高目で引きアガれば、点数的にはもちろん気分的にも大きなアドバンテージになる。結果は流局。
東2局1本場、
一万一万二万二万五万五万九万九万四索四索八索中中  ロン八索  ドラ九万
初アガリは鷲見。関根から打ち取り6,400は6,700。
次局、鮎川が500・1,000のツモアガリ。
開局から点棒を出し続けている関根の親番。
東4局
配牌
五万八万九万一筒五筒七筒九筒一索三索四索四索五索九索北  ドラ七筒
この苦しい手牌を七対子に仕上げ4,000オール。
八万八万九万九万七筒七筒九筒九筒三索四索四索五索五索  ツモ三索
このアガリでトップ目に立った関根は、南場に入り5,200、2,000、5,800と加点し終わってみれば、45,600のトップ。
予選1位の竹内が抜け番の今回、予選2位の関根がトップ。追う立場の3人には苦しいスタートとなった。
1回戦成績
関根+23.6P  鷲見+6.8P  鮎川▲11.4P  京平▲20.0P
1回戦終了時
関根+53.6P  竹内+40.0P  鷲見+16.8P  鮎川+8.6P  京平▲20.0P
 
2回戦(起家から 竹内・関根・京平・鮎川)抜け番:鷲見
8割男、竹内の登場。私も竹内の背後に位置取りメモを走らせる。
東3局2本場、
五万六万七万一筒二筒二筒三筒三筒七筒八筒九筒東東  リーチ  ドラ東
鮎川がドラを重ね10巡目リーチ。4巡後に2,000・3,900。
ここまで目立った動きのなかった鮎川。
私は【このアガリの次局が鮎川にとって分岐になる】とメモに記した。
良い状態の時は誰でもアガれる。その状態を如何に作るか。鮎川はこの時の、二の矢、三の矢が非常に優れている。決して派手な形ではない。それでもアガリに結び付けてくる。これが鮎川の≪図太さ≫。
東4局、親番を迎えた鮎川が、5巡目にツモ二万で以下のテンパイ。
二万二万三万三万四万四万六万二筒三筒四筒一索二索六索六索  ドラ四索
ここからテンパイ取らずの打一索
鮎川はこのテンパイ取らずをしないタイプだと認識していただけに、私は少々驚いた。
9巡目、鮎川のツモは四万。ここで鮎川の判断はリーチ。
二万二万三万三万四万四万四万六万二筒三筒四筒六索六索  リーチ
確かに巡目、打点とも申し分ない。しかし気になるのは残されたカンチャン待ちと、直前に処理された竹内の五万。私はメモに【微妙・・・】と記す。この鮎川にぶつけたのが京平。同巡に四筒を引き入れて、
六万六万七万八万九万四筒五筒五筒六筒六筒四索四索四索  リーチ
結果は、鮎川が16巡目に七筒を掴み8,000の放銃となった。
鮎川も対局後、この局について悔いていた。
この後、全体を通して丁寧に戦うも、態勢が上がってくることはなかった。
鮎川にとって分岐となった1局。河の14巡目には三索が置かれていた。
南4局1本場、
二万三万四万六万七万八万六筒七筒六索七索八索八索八索  ロン八筒  ドラ六索
ここまでまったく参加出来なかった竹内の一撃。
鮎川のツモ切りの八筒を捕まえ8,000。鮎川は序盤から以下の手牌。
一万二万三万二筒三筒七筒七筒二索三索三索四索五索六索
6,000オールまである1シャンテンから9巡ツモ切りでの放銃。
鮎川にしては淡泊に映る放銃だった。
2回戦成績
京平+13.5P  竹内+6.4P  鮎川▲5.5P  関根▲14.4P
2回戦終了時
竹内+46.4P  関根+39.2P  鷲見+16.8P  鮎川+3.1P  京平▲6.5P
 
3回戦(起家から 京平・鮎川・竹内・鷲見)抜け番:関根
重い場が続く。7局目にあたる東3局。ここからいきなりの乱打戦となる。
鷲見は5巡目にテンパイ。一手替わりチャンタ、イーペーコーもありここはヤミテン。
東3局
六万七万七万八万八万九万一筒一筒一筒二索三索白白  ドラ南
8巡目、京平がツモ三筒四筒のリーチ。
二万二万三万三万四万六万六万六万三筒三筒五索六索七索  リーチ
このリーチに一発で鷲見が四万を放銃。このような放銃はあまり記憶にない。
【らしくない放銃、鷲見危うし】とメモ。
この後、京平は実に5回ものアガリを積み重ねる。
完全に京平の半荘かと思いきや、竹内が2回の満貫ツモアガリ、鮎川も2度の1人テンパイで粘り、鷲見の1人沈みとなる。
3回戦成績
京平+19.2P  竹内+5.6P  鮎川+1.1P  鷲見▲26.9P
3回戦終了時
竹内+52.0P  関根+39.2P  京平12.7P  鮎川+4.2P  鷲見▲10.1P
 
4回戦(起家から 鷲見・京平・関根・竹内)抜け番:鮎川
現在トータルポイント最下位の鷲見はトップが欲しい半荘。
東場を小さいアガリながら着実に加点し、43,700点まで持ち点を伸ばす。
南場の親は流れるも次局には以下の好配牌。
南2局
配牌
一万二万三万五万六万七万九万一筒西北北発発  ドラ北
3巡目、発をポン、4巡目に八万を引き高目12,000のテンパイ。
一万二万三万五万六万七万八万九万北北  ポン発発発
6巡目、関根の七万を捕え8,000。持ち点を50,000点オーバーとし望みをつなぐ。
このまま鷲見の独走で終わるかと思われたこの半荘。京平が粘る。
南3局1本場
配牌
四万五万六万六万七万七万六索西白発発中中  ドラ六万
8巡目にテンパイ。
一万一万四万四万五万六万六万七万七万発発中中
待ち牌の五万はドラ表示牌と河に1枚。9巡目一筒をツモリ待ち変え。
序盤に二筒が3枚3者から切られている。13巡目に2,000・4,000。大きな原点回帰。
これにより5回戦終了後の敗退は関根・鮎川・鷲見の3人のいずれかという混戦へ。
4回戦成績
鷲見+25.1P  京平+10.3P  竹内▲12.4P  関根▲24.0P
4回戦終了時
竹内+39.6P  京平+23.0P  関根+15.2P  鷲見+15.0P  鮎川+4.2P
 
5回戦(起家から 関根・竹内・鮎川・鷲見)抜け番:京平
小場の展開で迎えた南1局。鮎川5巡目に、仮テンのタンヤオテンパイ。10巡目に六筒を引きリーチ。
南1局
四万五万六万六万七万八万二筒三筒四筒六筒八筒八筒八筒  リーチ  ドラ八万
その折、鷲見は8巡目に1シャンテン。
二万三万四万四万四筒五筒六筒三索三索五索五索六索七索
11巡目七筒を引かされ打五索と勝負。12巡目ツモ三万、打七筒とし5,200放銃となった。
開かれた牌姿を見つめる鷲見の表情は(やっちまった・・)。対局後鷲見は、
「直前まで四筒を切ろうと思っていたんですが、三万ツモった瞬間七筒つまんでいました・・」
残りは最終6回戦。鷲見は規定により敗退となった。
この半荘トップは関根。苦しい展開ながら後手を踏んだ時にはしっかりと対応。
竹内へ挑戦状を叩きつける。
5回戦成績
関根+17.6P  鮎川+11.6P  竹内+7.3P  鷲見▲36.5P
5回戦終了時
竹内+46.9P  関根+32.8P  京平+23.0P  鮎川+15.8P  鷲見▲21.5P
 
6回戦(起家から 関根・京平・鮎川・竹内)
東2局2本場
七万八万九万八筒九筒二索三索四索七索八索九索発発  ドラ七筒
親番の京平は10巡目にテンパイ。これを引きアガることができれば、初優勝が見えてくる。
しかし、鮎川が京平を捕え5,200。
三索四索八索八索八索東東東中中  チー六索五索七索  ロン二索
親番を迎えた鮎川。5巡目1シャンテンもこの日はここからが長い。見ているこちらが辛くなる。
やはり14巡目までツモ切りが続き河に放った五索に【ロン!】の声。
南家・竹内が開いた手牌はツモリ四暗刻。
東3局1本場
四万四万四万五万五万五万八万八万八万四筒四筒五索五索  ドラ一索
まだ東場ではあるが、同卓者には強烈なインパクトを与える。
このまま竹内優勝の空気が漂い始めるも、最後の波乱・・・・
やはりこの日のキーパーソンは京平だった。
南3局を迎え、親番の落ちた京平、関根はかなり苦しい条件となった。
親番の鮎川が10巡目リーチ。竹内はリーチの瞬間に現物を抜いた。隙がない。
1度のツモアガリは仕方なしの構えか。そして、このリーチに対し一発目から無筋を放つ京平。
私は即座に得点が記されている掲示板に目をむけた。
【役満しかないだろう・・・】
ツモアガリなら一撃で逆転・・・
14巡目、安牌に詰まった関根が手にかけたのはそれだった。
南3局
一万九万一筒九筒一索一索九索東南西白発中  ロン北  ドラ五筒
このアガリにより、一転して緊迫のオーラスを迎えることとなる。
京平の条件は、5200出アガリ、1000・2000ツモアガリ、2600直撃。
南4局
一万三万七筒九筒九筒三索三索六索七索九索東白発  ドラ一万
京平はこの配牌をどのように仕上げるのか。直撃、出アガリの期待は出来ない以上、ツモアガリが現実的である。考えられるのは、リーチツモドラ一索、またはリーチツモ役牌あたりか。
2巡目、京平が選んだ白が無情にも3連続で河に並んだ・・・・
最後に気まぐれな麻雀の女神は、最強のアマチュアを選んだ。
6回戦成績
京平+30.7P  竹内+11.5P  鮎川+3.8P  関根▲46.0P
6回戦終了時
竹内+58.4P  京平+53.7P  鮎川+19.6P  関根▲13.2P  鷲見▲21.5P
 
アマチュアでありながら、下馬評で断然の支持受けた竹内さんが初優勝。
竹内さんおめでとうございます。
対局者の皆様今回も素晴らしい対局ありがとうございました。

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2013年01月01日  ツイートから振り返る2012、くっだらねーランキングベスト5
※このブログは2010年10月にロン2ブログで掲載されたものです。

ron2_blog

新年明けましておめでとうございます!
わたくし、2013年は年男になります。
そして、その日が昇級を賭けたプロリーグ最終節とかぶっています。

歳を重ねることにはもう大した感慨もないので、どうにか最高の結果を出してその日を終えられることを願うばかりであります。

※見事昇級されました。

さて、新年一発目のブログは、昨年始めたツイッターを題材にしようと思います。
麻雀プロの中にも、荒さんをはじめ瀬戸熊さんやサルなどブログをやっている人たちが多数います。
私も誘いを受けたことはありますが、天性のズボラさから続かないことは目に見えているので、頑なに拒んでまいりました。

ツイッターもそうです。
私の生活は同じことの繰り返しで、劇的なものなどひとつもありゃしないのです。
だからどうせネタにつまって放置することになる。
だったらハナからやらない方がいい。
これが持論だったのです。

しかし、いざ決意して始めてみると、これが意外に役立つことに気付きます。
別につぶやくだけがツイートではなく、例えば本を出す、麻雀格闘倶楽部やロン2に参戦する、
テレビ対局に出演する、地方にゲストに行く、など優れた宣伝媒体の意味合いも持ち合わせていたのです。

ブログをやっていなければ全国の皆さんに色々な情報を発信することもできませんが、ツイッターはその役割も担ってくれます。
しかも楽チン。

振り返ると自分が思っていたよりは活用したような気がします。
ただまぁ中身のないものも多かった。

今回はその中でも特にくだらないと思われるトップ5を解説付きでご紹介したいと思います。
ではどうかお気楽にご覧下さい。

 

●第5位:11月28日のツイート

「ママチャリに乗ってファイトクラブやりに行きます。
中、高生のときは恥ずかしくて絶対乗れなかっただろうな。
なんてったってチャイルドシートつきだもん。この間職質かけられたわ…そんだけ怪しいってことか。」

この歳にもなると羞恥心みたいなものが減退してきます。
若い頃ならどこか突っ張ったところがあって、変な拘りなんかもあったのですが、段々細かいことは気にしない性格になってきました。
このママチャリに平気で乗れる行為なんかがその最たるものかもしれません。

ある日の昼下がり、ママチャリ号で近場のゲームセンターへ。
競技ルールを四回ほどやって入口を出たところ、背後からバタバタと走ってくる音が。

「すいません、ヒサトプロですよね?一緒に写真撮ってもらえませんか?」

急いでいるところをみるとプレー中だったのでしょう。
私は快諾して写真を撮り、ママチャリ号に乗り込みます。

いつものようにチンタラ走っていると、あることに気付きました。
そういえばもうすぐ体力系の収録(そのうち放映されます)があったな。少しは鍛えておくか。

私は完全な思いつきでペダルを速く漕ぎ始めました。
昔に比べれば衰えは顕著で、すぐに息が上がり始めました。
しかしここで諦めては男が廃るので、私はさらに速度を上げようとしました。

と、そのときです。

後ろから「すいません!」の声。

今日は随分(たったの2人目)とファンの人がいるな、と後ろを振り向くとそこには制服を着たお巡りさんが!

「防犯登録の番号を見せていただけますか?」

ママチャリとは言え、全速力で漕いでいるおっさんがいれば怪しいということなんでしょうな。
皆さんもお気をつけ下さい。

 

●第4位:12月20日のツイート

「昨日の朝、天気がいいなぁと布団を干しました。
忘年会から帰ってきてさぁ寝るかと思ったら、まだ干してました…外はすっかり星が輝いていました。
アンガー!!冷たくってとっても眠れません。」

出かける前の2時間だけでも干しておくかと思ったのが大間違い。
玄関を出るときにはすっかりそんな記憶は飛んでいます。

ただ…

私には家族がいたような…

何で取り入れてもらえなかったんだろうか…

皆さんもお気をつけ下さい。

 

●第3位:9月30日のツイート

「誰も気にしてないだろうけど、メーター中継もこれで終了です。155,500円!トリビアもんだな。
10時前に新宿に着きました。富山のAさんはじめ、色々な方に感謝しています。」

富山の麻雀店で2日間のゲスト。
ところが2日目、非常に大きな台風が列島を直撃します。
20時に富山空港を発つはずが、早い時間に欠航が決まってしまいました。

電車もそうです。
どうやらこの日に東京に戻るのは無理な模様です。

しかし、私はこの日中にどうしても戻らなくてはならない理由があったのです。
それはこの次の日に、第13回モンド杯の初回撮影があったからです。

入り時間も早いので、朝イチの飛行機でも間に合いません。
ということで昔お世話になったAさんが奥の手を用意して下さいました。

それが、富山‐東京間タクシーの旅であります。
食事はコンビニで買ったおにぎり2個、途中休憩2回で到着まで5時間半。
そしてメーターが155,500円!

長距離割引って欄があったから、実際はもうちょっと安かったかもしれません。
ただいずれにしてもとんでもない金額であることには違いありません。
Aさん、ありがとうございました!

 

●第2位:12月16日のツイート

「この間の勉強会、麻雀を打っていると何やら山井さんが近づいてきます。
どうせ私の麻雀に惚れ込んだのだろうと思いきや、おもむろにメジャーを取り出してひとの座高を測り出すってんだから驚きです。
「高いっすね!」とか言いながら公表しおって。恥ずかしいじゃあねぇか。」

山井さんは“オフェンスマスター”と呼ばれていますが、そもそもは守備的な麻雀を打っていました。
ところがあるときを境に打法を180度転換して、超がつくほどの攻撃型に変身してしまったのです。
前に出るときは何にも考えていないかのように(実際考えていないと思いますが)
いらないものをすっ飛ばし、当たるなら当たれの構えで攻め抜いてきます。

後で聞いたところによると、攻撃型に転換する際、参考にしたのが私の麻雀だったとか。
山井さんは先見の明があるなぁと、私は感心しました。
この日も後ろから近づいてくるので、「仕方ない、盗みなさい。」と口には出さないものの、
椅子を数センチだけ後ろに引いてあげるという優しさを見せてしまいました。

するとそのときです。

「ちょっと失礼します。」

「え?」

山井さんが取り出したのはメジャーでした。
そして何の説明もなく私の座高を測り出しました。
「〇〇センチっと。結構高いっすね!」

うぜー!

「ちなみにガースにも勝ってますよ(笑)!」

余計なお世話じゃ!
そういえばあのおっさん(失礼!)女性のも測ってたな。
何の仕事やってる人なんだろう。
いや、驚いたわ…

 

●第1位:12月13日のツイート

「今週放送中のモンド杯、開局私は北家。西家の山井さんが1回もツモることなく3フーロ。
手の内はこう。(1)3北白。鳴いているもんはそこそこの牌なんだけど、
現場でこの4枚だけを撮って荒さんに送ったタコスケがいたそうです。
ゲタゲタ笑いながら…どうしようもねぇ野郎だ。」

それが冒頭の写真であります。

今回のためにタコスケにメールで送ってもらいました。
こっちは必死でやってんのに、控え室ではそんなことが行われていたんです。

その映像がくっきりと頭に浮かびます。
アホ面ぶら下げて、画面に近づいて、ブレないように…
ほんっとにくだらねぇ!

お付き合いありがとうございました。
くだらなかったでしょ?

じゃあ最後は宣伝!
1月17日にマイナビから新著が発売されます。
タイトルは、「ヒサトvs滝沢麻雀戦術30番勝負」です。

これは面白いです!
2人の戦術の違いあり、対談ありでかなりの仕上がりになっていると思いますので是非ご覧下さい。

お求めはこちら 書籍・出版物ご紹介はこちら

ほんじゃあまた!

近日開催予定のロン2イベント紹介

2012christmas
◆モンド麻雀バトルGPロン2予選
MONDOTVとロン2のコラボイベント!人気プロ雀士とリアル対決出来る!!

 

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インターネット麻雀日本選手権2013 予選開催中!
インターネット麻雀の強者が一堂に集結!
日本プロ麻雀連盟のプロも参戦し、日本一の称号をかけた闘いが今、始まります!
real16
第16回リアル麻雀大会 5/19開催!
3/23には招待権利争奪ワンデー大会も開催!

 

 

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大人気!プロ雀士グッズを貰えるのはロン2だけ!
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その他イベント/公式オンライン麻雀ロン2 人気コンテンツ紹介『プロ雀士ブログ』

ロン2ブログ紹介:佐々木寿人
2013年01月01日  ツイートから振り返る2012、くっだらねーランキングベスト5
※このブログは2010年10月にロン2ブログで掲載されたものです。
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新年明けましておめでとうございます!
わたくし、2013年は年男になります。
そして、その日が昇級を賭けたプロリーグ最終節とかぶっています。
歳を重ねることにはもう大した感慨もないので、どうにか最高の結果を出してその日を終えられることを願うばかりであります。
※見事昇級されました。
さて、新年一発目のブログは、昨年始めたツイッターを題材にしようと思います。
麻雀プロの中にも、荒さんをはじめ瀬戸熊さんやサルなどブログをやっている人たちが多数います。
私も誘いを受けたことはありますが、天性のズボラさから続かないことは目に見えているので、頑なに拒んでまいりました。
ツイッターもそうです。
私の生活は同じことの繰り返しで、劇的なものなどひとつもありゃしないのです。
だからどうせネタにつまって放置することになる。
だったらハナからやらない方がいい。
これが持論だったのです。
しかし、いざ決意して始めてみると、これが意外に役立つことに気付きます。
別につぶやくだけがツイートではなく、例えば本を出す、麻雀格闘倶楽部やロン2に参戦する、
テレビ対局に出演する、地方にゲストに行く、など優れた宣伝媒体の意味合いも持ち合わせていたのです。
ブログをやっていなければ全国の皆さんに色々な情報を発信することもできませんが、ツイッターはその役割も担ってくれます。
しかも楽チン。
振り返ると自分が思っていたよりは活用したような気がします。
ただまぁ中身のないものも多かった。
今回はその中でも特にくだらないと思われるトップ5を解説付きでご紹介したいと思います。
ではどうかお気楽にご覧下さい。
 
●第5位:11月28日のツイート
「ママチャリに乗ってファイトクラブやりに行きます。
中、高生のときは恥ずかしくて絶対乗れなかっただろうな。
なんてったってチャイルドシートつきだもん。この間職質かけられたわ…そんだけ怪しいってことか。」
この歳にもなると羞恥心みたいなものが減退してきます。
若い頃ならどこか突っ張ったところがあって、変な拘りなんかもあったのですが、段々細かいことは気にしない性格になってきました。
このママチャリに平気で乗れる行為なんかがその最たるものかもしれません。
ある日の昼下がり、ママチャリ号で近場のゲームセンターへ。
競技ルールを四回ほどやって入口を出たところ、背後からバタバタと走ってくる音が。
「すいません、ヒサトプロですよね?一緒に写真撮ってもらえませんか?」
急いでいるところをみるとプレー中だったのでしょう。
私は快諾して写真を撮り、ママチャリ号に乗り込みます。
いつものようにチンタラ走っていると、あることに気付きました。
そういえばもうすぐ体力系の収録(そのうち放映されます)があったな。少しは鍛えておくか。
私は完全な思いつきでペダルを速く漕ぎ始めました。
昔に比べれば衰えは顕著で、すぐに息が上がり始めました。
しかしここで諦めては男が廃るので、私はさらに速度を上げようとしました。
と、そのときです。
後ろから「すいません!」の声。
今日は随分(たったの2人目)とファンの人がいるな、と後ろを振り向くとそこには制服を着たお巡りさんが!
「防犯登録の番号を見せていただけますか?」
ママチャリとは言え、全速力で漕いでいるおっさんがいれば怪しいということなんでしょうな。
皆さんもお気をつけ下さい。
 
●第4位:12月20日のツイート
「昨日の朝、天気がいいなぁと布団を干しました。
忘年会から帰ってきてさぁ寝るかと思ったら、まだ干してました…外はすっかり星が輝いていました。
アンガー!!冷たくってとっても眠れません。」
出かける前の2時間だけでも干しておくかと思ったのが大間違い。
玄関を出るときにはすっかりそんな記憶は飛んでいます。
ただ…
私には家族がいたような…
何で取り入れてもらえなかったんだろうか…
皆さんもお気をつけ下さい。
 
●第3位:9月30日のツイート
「誰も気にしてないだろうけど、メーター中継もこれで終了です。155,500円!トリビアもんだな。
10時前に新宿に着きました。富山のAさんはじめ、色々な方に感謝しています。」
富山の麻雀店で2日間のゲスト。
ところが2日目、非常に大きな台風が列島を直撃します。
20時に富山空港を発つはずが、早い時間に欠航が決まってしまいました。
電車もそうです。
どうやらこの日に東京に戻るのは無理な模様です。
しかし、私はこの日中にどうしても戻らなくてはならない理由があったのです。
それはこの次の日に、第13回モンド杯の初回撮影があったからです。
入り時間も早いので、朝イチの飛行機でも間に合いません。
ということで昔お世話になったAさんが奥の手を用意して下さいました。
それが、富山‐東京間タクシーの旅であります。
食事はコンビニで買ったおにぎり2個、途中休憩2回で到着まで5時間半。
そしてメーターが155,500円!
長距離割引って欄があったから、実際はもうちょっと安かったかもしれません。
ただいずれにしてもとんでもない金額であることには違いありません。
Aさん、ありがとうございました!
 
●第2位:12月16日のツイート
「この間の勉強会、麻雀を打っていると何やら山井さんが近づいてきます。
どうせ私の麻雀に惚れ込んだのだろうと思いきや、おもむろにメジャーを取り出してひとの座高を測り出すってんだから驚きです。
「高いっすね!」とか言いながら公表しおって。恥ずかしいじゃあねぇか。」
山井さんは“オフェンスマスター”と呼ばれていますが、そもそもは守備的な麻雀を打っていました。
ところがあるときを境に打法を180度転換して、超がつくほどの攻撃型に変身してしまったのです。
前に出るときは何にも考えていないかのように(実際考えていないと思いますが)
いらないものをすっ飛ばし、当たるなら当たれの構えで攻め抜いてきます。
後で聞いたところによると、攻撃型に転換する際、参考にしたのが私の麻雀だったとか。
山井さんは先見の明があるなぁと、私は感心しました。
この日も後ろから近づいてくるので、「仕方ない、盗みなさい。」と口には出さないものの、
椅子を数センチだけ後ろに引いてあげるという優しさを見せてしまいました。
するとそのときです。
「ちょっと失礼します。」
「え?」
山井さんが取り出したのはメジャーでした。
そして何の説明もなく私の座高を測り出しました。
「〇〇センチっと。結構高いっすね!」
うぜー!
「ちなみにガースにも勝ってますよ(笑)!」
余計なお世話じゃ!
そういえばあのおっさん(失礼!)女性のも測ってたな。
何の仕事やってる人なんだろう。
いや、驚いたわ…
 
●第1位:12月13日のツイート
「今週放送中のモンド杯、開局私は北家。西家の山井さんが1回もツモることなく3フーロ。
手の内はこう。(1)3北白。鳴いているもんはそこそこの牌なんだけど、
現場でこの4枚だけを撮って荒さんに送ったタコスケがいたそうです。
ゲタゲタ笑いながら…どうしようもねぇ野郎だ。」
それが冒頭の写真であります。
今回のためにタコスケにメールで送ってもらいました。
こっちは必死でやってんのに、控え室ではそんなことが行われていたんです。
その映像がくっきりと頭に浮かびます。
アホ面ぶら下げて、画面に近づいて、ブレないように…
ほんっとにくだらねぇ!
お付き合いありがとうございました。
くだらなかったでしょ?
じゃあ最後は宣伝!
1月17日にマイナビから新著が発売されます。
タイトルは、「ヒサトvs滝沢麻雀戦術30番勝負」です。
これは面白いです!
2人の戦術の違いあり、対談ありでかなりの仕上がりになっていると思いますので是非ご覧下さい。
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ほんじゃあまた!

近日開催予定のロン2イベント紹介

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インターネット麻雀日本選手権2013 予選開催中!
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日本プロ麻雀連盟のプロも参戦し、日本一の称号をかけた闘いが今、始まります!
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第3期グランプリMAX 二次予選レポート

2次予選からは灘、小島を筆頭に今年度活躍したプロ達がシードとして登場する。
1次予選を勝ち上がった勢いのあるプロとそれを待ち構えるシード選手。
ベスト16を懸けて戦いの火蓋が切って落とされる。

 

1卓:小島武夫 鮎川卓 内川幸太郎 古川孝次

gpmax小島武夫
gpmax鮎川卓
gpmax内川幸太郎
gpmax古川孝次

ご存知「ミスター麻雀」小島武夫。喜寿を迎えた今になってもその麻雀は衰えを知らない。
魅せる麻雀で2度目のグランプリ獲得を狙う。

鮎川卓。
プロリーグでは惜しくもBリーグ昇級を逃すものの、静岡プロリーグを制し2次予選シードに。

1回戦東1局から鮎川に大物手が入る。

二万二万白白発発発  ポン南南南  ポン中中中

安目でも倍満、高目で大三元である。
残念ながら流局となったが、鮎川の今年度の勢いを感じさせられた。

1回戦はこの勢いから鮎川がトップを取るが、易々と逃げさせてもらえる面子ではない。
2回戦以降は古川、小島のベテランの味が光り4回戦を終え以下の成績に。

4回戦終了時成績
古川+41.2P  鮎川+3.5P  小島+0.8P  内川▲46.5P

小島と鮎川の着順勝負となったのだが、東2局、親・小島、

七万八万一索二索三索七索八索九索七筒八筒九筒東東  ツモ九万  ドラ七索

十八番の三色をリーチしてツモアガリ6,000オール。
一撃で勝負を決めた。

勝ち上がり:古川孝次 小島武夫

 

2卓:灘麻太郎 西川淳 奈良圭純 森山茂和

gpmax灘麻太郎
gpmax西川淳
gpmax奈良圭純
gpmax森山茂和

「カミソリ灘」こと灘麻太郎。その読みの精度は言わずもがな超一流である。

そして第22期チャンピオンズリーグを制しシードを手にした西川。
奈良と共にベテラン2人に挑む。

1・2回戦は灘の独壇場。煽りを受けた奈良が、連続ラスと崖っぷちに立たされる。
後が無い3回戦、小さいながらも1人浮きのトップを取ると4回戦もトップを取り最終戦に望みを繋いだ。

4回戦終了時成績
灘+13.9P  西川+6.4P  奈良▲10.1P  森山▲11.2P

4者に十分な可能性があり、1つのミスも許されない最終戦となった。
東3局、親・西川、ここで西川がギャラリーを釘づけにする。

三万三万三万二索二索三索四索二筒二筒三筒四筒四筒四筒五筒

ここからテンパイ取らずの打三筒、ツモ三索で打五筒、ツモ二索で打四索
三万三万三万二索二索二索三索三索二筒二筒四筒四筒四筒

ツモり四暗刻に仕上げると、難無く三索をツモり上げ16,000オール。

これで3者の争いとなったのだが、ここは百戦錬磨のカミソリ灘。
この様な展開も幾度となく打破してきたのだろう。
抜群の局回しで浮きを確保し2位通過となった。

勝ち上がり:西川淳 灘麻太郎

 

3卓:魚谷侑未 山井弘 黒沢咲 滝沢和典

gpmax魚谷侑未
gpmax山井弘
gpmax黒沢咲
gpmax滝沢和典

マスターズベスト16、十段戦ベスト8とあと一歩で決勝の椅子を逃した山井。
今年度最後のタイトル戦に懸ける思いは人一倍であろう。

女流桜花連覇を果たした魚谷。グランプリでも嬉し涙を流すことができるか。

序盤戦、黒沢が1次予選の勢いそのままに突き進む。
滝沢は苦しい展開が続くが、何とか持ち堪えマイナスを最小限に抑える。

4回戦終了時成績
黒沢+48.4P  山井+6.8P  滝沢▲27.0P  魚谷▲28.2P

黒沢は当確。滝沢と魚谷は山井を沈めての大きなトップが必要となる。

ターゲットにされた山井であったが、今年度の鬱憤を晴らすかのようなアガリを見せる。
まずは南3局、親・山井。

一索二索三索五索五索五索七索八索白白  ポン南南南  ツモ九索  ドラ七索

この4,000オール。そして1本場では、

二筒三筒四筒六筒六筒七筒七筒八筒八筒東東東白  ツモ白

この6,100オール!
終わってみれば、黒沢を捲って堂々の首位通過。
さすがオフェンスマスターである。

勝ち上がり:山井弘 黒沢咲

 

4卓:安田麻里菜 浜上文吾 望月雅継 ダンプ大橋

gpmax安田麻里菜
gpmax浜上文吾
gpmax望月雅継
gpmaxダンプ大橋

4卓では、第10期プロクイーンの安田。十段戦ファイナリストの浜上が登場。
AⅠリーガーの望月、ダンプに挑む。
地方を背負って立つ望月と浜上は、負けられない戦いである。

1回戦、1次予選で絶不調であったのが嘘かの様にダンプが軽快に走る。
また安田も倍満をツモり上げるなど、その持ち味を存分に発揮した。

1回戦終了時成績
ダンプ+26.3P  安田+18.4P  望月▲6.5P  浜上▲38.2P

この流れは最後まで変わらず、ダンプ・安田の勝ち上がりとなった。
特にダンプは相手を寄せ付けない圧倒的勝利。まさに横綱相撲である。

勝ち上がり:ダンプ大橋 安田麻里菜

 

5卓:仁平宣明 荒正義 嶋村泰之 近藤久春

gpmax仁平宣明
gpmax荒正義
gpmax嶋村泰之
gpmax近藤久春

現役最強との呼び声高い荒正義。鳳凰位決定戦での激闘も記憶に新しい。
浜上と同じく十段戦ファイナリストの仁平。決勝の舞台には幾度となく上っているが今回はどうであろうか。
Aリーガー3人に囲まれた嶋村が、どういった戦いを見せるのかにも注目したい。

序盤戦、調子の良い近藤に逆らわず身を伏せる荒。
トーナメントを知り尽くしている荒らしい戦い方だ。
嶋村は要所要所で本手をアガリAリーガーに堂々と渡り合っている。

4回戦終了時成績
近藤+36.5P  嶋村▲0.4P  荒▲12.0P  仁平▲24.1P

近藤は大きく沈まなければ勝ち上がり。他の3者の2位争いであろう。

小場で局が進み、トータル着順の変わらないままオーラスを迎える。
荒の条件は跳満ツモ。そして10巡目以下の手牌に。

二万三万四万四万五万六万七万八万九万四索四索六索七索八索  ドラ三万

親は嶋村。場に一万は3枚切れ、三万は顔を見せていない。荒の選択は九万切りリーチ!
ギャラリーが固唾を飲んで見守る中、荒のツモにも自然と力が入る。
しかし結果は無情にも流局。荒がまさかの2次予選敗退となった。

勝ち上がり:近藤久春 嶋村泰之

 

6卓:堀内正人 柴田弘幸 平田孝章 高沢智

gpmax堀内正人
gpmax柴田弘幸
gpmax平田孝章
gpmax高沢智

第29期十段戦で、瀬戸熊との激闘を演じた堀内。その雪辱を誓う為、ここで負ける訳にはいかない。
AⅠリーグでは惜しくも決定戦進出を逃した柴田。その悔しさをグランプリにぶつける。
初戦から柴田が走りAⅠリーガーとの格の違いを3者に見せつける。

3回戦終了時成績
柴田+71.8P  堀内▲7.8P  平田▲19.1P  高沢▲45.9P

柴田の状態の良さを見たら、他の3者はこの時点で2位に照準を合わせるのが当然である。
その意思を最も感じたのがトーナメント巧者の堀内。
柴田には逆らわず、着実に局を進め瀬戸熊の待つベスト16に駒を進めた。

勝ち上がり:柴田弘幸 堀内正人

 

以上の勝ち上がり者12名に、前年度グランプリ王者・勝又健志、現鳳凰位、十段位・瀬戸熊直樹、前原雄大、藤崎智の4名を加えベスト16の戦いが行われる。
負けられない戦いはまだまだ続く。

グランプリ レポート/第3期グランプリMAX 二次予選レポート

2次予選からは灘、小島を筆頭に今年度活躍したプロ達がシードとして登場する。
1次予選を勝ち上がった勢いのあるプロとそれを待ち構えるシード選手。
ベスト16を懸けて戦いの火蓋が切って落とされる。
 
1卓:小島武夫 鮎川卓 内川幸太郎 古川孝次

gpmax小島武夫
gpmax鮎川卓
gpmax内川幸太郎
gpmax古川孝次

ご存知「ミスター麻雀」小島武夫。喜寿を迎えた今になってもその麻雀は衰えを知らない。
魅せる麻雀で2度目のグランプリ獲得を狙う。
鮎川卓。
プロリーグでは惜しくもBリーグ昇級を逃すものの、静岡プロリーグを制し2次予選シードに。
1回戦東1局から鮎川に大物手が入る。
二万二万白白発発発  ポン南南南  ポン中中中
安目でも倍満、高目で大三元である。
残念ながら流局となったが、鮎川の今年度の勢いを感じさせられた。
1回戦はこの勢いから鮎川がトップを取るが、易々と逃げさせてもらえる面子ではない。
2回戦以降は古川、小島のベテランの味が光り4回戦を終え以下の成績に。
4回戦終了時成績
古川+41.2P  鮎川+3.5P  小島+0.8P  内川▲46.5P
小島と鮎川の着順勝負となったのだが、東2局、親・小島、
七万八万一索二索三索七索八索九索七筒八筒九筒東東  ツモ九万  ドラ七索
十八番の三色をリーチしてツモアガリ6,000オール。
一撃で勝負を決めた。
勝ち上がり:古川孝次 小島武夫
 
2卓:灘麻太郎 西川淳 奈良圭純 森山茂和

gpmax灘麻太郎
gpmax西川淳
gpmax奈良圭純
gpmax森山茂和

「カミソリ灘」こと灘麻太郎。その読みの精度は言わずもがな超一流である。
そして第22期チャンピオンズリーグを制しシードを手にした西川。
奈良と共にベテラン2人に挑む。
1・2回戦は灘の独壇場。煽りを受けた奈良が、連続ラスと崖っぷちに立たされる。
後が無い3回戦、小さいながらも1人浮きのトップを取ると4回戦もトップを取り最終戦に望みを繋いだ。
4回戦終了時成績
灘+13.9P  西川+6.4P  奈良▲10.1P  森山▲11.2P
4者に十分な可能性があり、1つのミスも許されない最終戦となった。
東3局、親・西川、ここで西川がギャラリーを釘づけにする。
三万三万三万二索二索三索四索二筒二筒三筒四筒四筒四筒五筒
ここからテンパイ取らずの打三筒、ツモ三索で打五筒、ツモ二索で打四索
三万三万三万二索二索二索三索三索二筒二筒四筒四筒四筒
ツモり四暗刻に仕上げると、難無く三索をツモり上げ16,000オール。
これで3者の争いとなったのだが、ここは百戦錬磨のカミソリ灘。
この様な展開も幾度となく打破してきたのだろう。
抜群の局回しで浮きを確保し2位通過となった。
勝ち上がり:西川淳 灘麻太郎
 
3卓:魚谷侑未 山井弘 黒沢咲 滝沢和典

gpmax魚谷侑未
gpmax山井弘
gpmax黒沢咲
gpmax滝沢和典

マスターズベスト16、十段戦ベスト8とあと一歩で決勝の椅子を逃した山井。
今年度最後のタイトル戦に懸ける思いは人一倍であろう。
女流桜花連覇を果たした魚谷。グランプリでも嬉し涙を流すことができるか。
序盤戦、黒沢が1次予選の勢いそのままに突き進む。
滝沢は苦しい展開が続くが、何とか持ち堪えマイナスを最小限に抑える。
4回戦終了時成績
黒沢+48.4P  山井+6.8P  滝沢▲27.0P  魚谷▲28.2P
黒沢は当確。滝沢と魚谷は山井を沈めての大きなトップが必要となる。
ターゲットにされた山井であったが、今年度の鬱憤を晴らすかのようなアガリを見せる。
まずは南3局、親・山井。
一索二索三索五索五索五索七索八索白白  ポン南南南  ツモ九索  ドラ七索
この4,000オール。そして1本場では、
二筒三筒四筒六筒六筒七筒七筒八筒八筒東東東白  ツモ白
この6,100オール!
終わってみれば、黒沢を捲って堂々の首位通過。
さすがオフェンスマスターである。
勝ち上がり:山井弘 黒沢咲
 
4卓:安田麻里菜 浜上文吾 望月雅継 ダンプ大橋

gpmax安田麻里菜
gpmax浜上文吾
gpmax望月雅継
gpmaxダンプ大橋

4卓では、第10期プロクイーンの安田。十段戦ファイナリストの浜上が登場。
AⅠリーガーの望月、ダンプに挑む。
地方を背負って立つ望月と浜上は、負けられない戦いである。
1回戦、1次予選で絶不調であったのが嘘かの様にダンプが軽快に走る。
また安田も倍満をツモり上げるなど、その持ち味を存分に発揮した。
1回戦終了時成績
ダンプ+26.3P  安田+18.4P  望月▲6.5P  浜上▲38.2P
この流れは最後まで変わらず、ダンプ・安田の勝ち上がりとなった。
特にダンプは相手を寄せ付けない圧倒的勝利。まさに横綱相撲である。
勝ち上がり:ダンプ大橋 安田麻里菜
 
5卓:仁平宣明 荒正義 嶋村泰之 近藤久春

gpmax仁平宣明
gpmax荒正義
gpmax嶋村泰之
gpmax近藤久春

現役最強との呼び声高い荒正義。鳳凰位決定戦での激闘も記憶に新しい。
浜上と同じく十段戦ファイナリストの仁平。決勝の舞台には幾度となく上っているが今回はどうであろうか。
Aリーガー3人に囲まれた嶋村が、どういった戦いを見せるのかにも注目したい。
序盤戦、調子の良い近藤に逆らわず身を伏せる荒。
トーナメントを知り尽くしている荒らしい戦い方だ。
嶋村は要所要所で本手をアガリAリーガーに堂々と渡り合っている。
4回戦終了時成績
近藤+36.5P  嶋村▲0.4P  荒▲12.0P  仁平▲24.1P
近藤は大きく沈まなければ勝ち上がり。他の3者の2位争いであろう。
小場で局が進み、トータル着順の変わらないままオーラスを迎える。
荒の条件は跳満ツモ。そして10巡目以下の手牌に。
二万三万四万四万五万六万七万八万九万四索四索六索七索八索  ドラ三万
親は嶋村。場に一万は3枚切れ、三万は顔を見せていない。荒の選択は九万切りリーチ!
ギャラリーが固唾を飲んで見守る中、荒のツモにも自然と力が入る。
しかし結果は無情にも流局。荒がまさかの2次予選敗退となった。
勝ち上がり:近藤久春 嶋村泰之
 
6卓:堀内正人 柴田弘幸 平田孝章 高沢智

gpmax堀内正人
gpmax柴田弘幸
gpmax平田孝章
gpmax高沢智

第29期十段戦で、瀬戸熊との激闘を演じた堀内。その雪辱を誓う為、ここで負ける訳にはいかない。
AⅠリーグでは惜しくも決定戦進出を逃した柴田。その悔しさをグランプリにぶつける。
初戦から柴田が走りAⅠリーガーとの格の違いを3者に見せつける。
3回戦終了時成績
柴田+71.8P  堀内▲7.8P  平田▲19.1P  高沢▲45.9P
柴田の状態の良さを見たら、他の3者はこの時点で2位に照準を合わせるのが当然である。
その意思を最も感じたのがトーナメント巧者の堀内。
柴田には逆らわず、着実に局を進め瀬戸熊の待つベスト16に駒を進めた。
勝ち上がり:柴田弘幸 堀内正人
 
以上の勝ち上がり者12名に、前年度グランプリ王者・勝又健志、現鳳凰位、十段位・瀬戸熊直樹、前原雄大、藤崎智の4名を加えベスト16の戦いが行われる。
負けられない戦いはまだまだ続く。

第30期関西プロアマリーグ冬の陣最終節レポート

 

第30期関西プロアマリーグも最終節を迎えて、梅田の会場には70名近い選手が一同に集まりました。
とりわけ、関西の一般参加者の熱意は高く、全国でも活躍の機会は多い。
この意識の灯を大切にしていかなくてはいけないと感じます。

第4節まではその意識の灯が煌々と燃え上がったのか、一般参加者が上位を占めました。
それでは、今期も上位のラインナップを紹介していきたいと思います。

暫定1位、花岡章生プロ 265.1P

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花岡章生プロ

現在の花岡は関西で1、2を争う安定感のあるプロ。前期のプロアマリーグでは総合2位、今年のゴールデンカップも2位入賞。関西プロリーグ「太閤位戦」は、4期連続決定戦出場と、あらゆる試合で入賞圏内に確実に足を進めている実力者でもあります。今回はその彼が首位を走る中、誰がその鉄壁の牙城を打ち崩せるかに注目が集まります。

暫定2位、米津紘平さん 222.9P

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米津紘平さん

関西プロアマリーグではすでに常連選手であり、面前主体の粘り強い打風で前半戦の首位を牽引してきました。最終節を迎えていよいよ直接対決となっても、プロである花岡に負けない気概を見せてもらえることでしょう。

暫定3位、中山千鶴プロ 203.3P

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中山千鶴プロ

関西ではまだ若手の存在ながら、麻雀に対する情熱では誰にも負けない気持ちを持っている女性選手。最近の彼女には、努力の中での成長が見られます。首位とのポイントは離れていますが、花岡プロに食らいつくガッツでトライしてくれそうです。

暫定4位、藤井一弘さん 194.0P

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藤井一弘さん

藤井さんはオンライン麻雀で鍛えた実力を存分に発揮して、今期を安定した成績を叩き出してきました。戦いは常に平常心を心がける姿勢を目指し、一歩一歩、確実に登りつめることでしょう。

暫定5位、奥田丞志さん 190.8P

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奥田丞志さん

関西プロアマリーグ初参戦という慣れない中での堂々たる成績。先日行われたゴールデンカップでも、優勝に迫るところまでの勢いを見せ、その悔しさを気炎に変えておりました。5位という位置からの立ち上がりで、相手がプロ3名と苦しいところでありますが、逆境を乗り越えて頂きたいところです。

ここから首位卓を中心に、運営リーダーこと私、近野理智男と、運営担当の坂本誠裕が実況を行っていきたいと思います。

 

1回戦(起家から)花岡、中山、藤井、米津(以下、敬称略)

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どんな試合でも、スタートがその展開を象徴することが多い。
開幕の中山からは、優勝を目指してひたすら得点を叩きに行こうという意思が感じられた。
開幕は筆者が振り向く間もなくリーチを決めて1,300・2,600のツモ。今回は成績が順位点に大きく左右されるため、順位によってはポイント差をひっくり返すことも可能だ。

東2局は親を飛ばされた花岡が、北のみのアガリで軽く場を流す。その花岡の次局の捨て牌、

花岡
五筒四筒四万六万八索九万一索七索九筒  ドラ六筒

こう並ぶと場に緊張が走るが、ただ黙っては終わらない3者。
米津が12巡目にピンフドラ1の五筒八筒ピン待ちでリーチ。流局すれば花岡以外の3人がテンパイだったが、実は最初にテンパイしていたのは花岡。六筒ピン単騎の七対子であったが、米津の手をドラ使いの好形と読み切って、自身の待ちは薄いと無筋を一発で切り飛ばさなかった。結果的には、その為にアガリ逃しをしてしまう訳だが、これがその後の展開にどう影響するか注目していきたい。

次局も、1人テンパイを決めた米津が、気運を高めて迎えた親番の7巡目、トイツ気配が漂う中で以下の牌姿を迎える。

米津
二万三万三万五万五万九万九万一筒一筒五索五索発中  ツモ三索  ドラ発

二万中も打ち取りやすい牌だが、場に3枚切れの六索を見て、ここの選択は打二万。これは鋭い選択ではないかと場を見守る中、読みが当たれば嵐が吹き荒れるかもと感じた瞬間、吸い込まれるようにすぐの三索引き。これで意を決した米津が高らかにリーチを宣言し、ドラをツモりあげた。

米津
三万三万五万五万九万九万一筒一筒三索三索五索五索発  リーチ  ツモ発  ドラ発

米津の僥倖に対して普通ならば動揺する場面でも、相手にどんなアガリを見せつけられても動じないのが花岡の強みである。米津には連荘でさらに好手が入っていたが、花岡は何かを感じとったかのように真っすぐ牌を切り出していく。そして、ここでリーチを決めてアガったまさかの牌姿が、

花岡
四筒四筒七筒七筒六索六索八索八索南南北
ツモ北  ドラ北

先ほどの、米津のアガリの相似形であった。やられた事はやり返せばいい。そんなセリフが聞こえてきそうな展開に、まるで格闘漫画を思わせるような最終節らしい熱い攻防となってきた。

南場に入っては、2人の跳満に追いつかれた形となった中山が気合いの攻めを見せた。5巡目に八万をポンした親の花岡は、いかにもドラがありそうな仕掛けに見える。これに対して、中山がドラ切りリーチで果敢に挑むと、これも吸い込まれるようにポン。

中山
五万五万六万六万二索三索四索八索八索八索東東東  ツモ五万 ドラ二万

しかし、ここは中山の気合が勝って、望外のツモを得た。ここまでツモによる失点だけでもお互いを疲弊する乱打戦。ここでさらに中山が米津から5,800を打ち取りトップ目に立った。

最後の親番で少しでも苦境を覆したいのが藤井だったが、親満のホンイツテンパイもむなしく、花岡のリーチに突き刺ささってしまう。
次局で、1回戦は50分の時間切れを迎えた。今まで展開に恵まれなかった藤井が最後に迎えたチャンス手、しかしテンパイが遅かった。

藤井
一索一索三索四索四索七索七索八索八索南南白白  ドラ一筒

藤井はここであえてリーチを選択した。その理由として、ダンラスである以上、どこから出ても順位は変わらないからである。あくまで最後は最高形を目指したという意思表示の為に牌を横にしてリーチとした。普段から折り目正しい藤井らしい、美しい姿勢だと感じた。

1回戦から波乱を含んだ戦いはまず、中山と米津が首位の花岡に条件を押しつけた形となった。しかし、花岡にはまだ大きな失策は見受けられない。この壁をうち崩すまでにはまだ時間がかかりそうだ。

坂本:2番卓は関西Aリーガーの貫録を見せつけた貫上が場を圧倒させるトップを取り、総合4位に浮上した模様です。これで首位卓はプロの濃度がますます高くなりましたね。

1回戦終了時、
1位:花岡章生262.0P 2位:米津紘平235.6P 3位:中山千鶴228.3P 4位:貫上洋志202.3P

 

2回戦(起家から)、中山、貫上、米津、花岡 

houou

競技の鉄則として、負けた者と勝った者が入れ代わる。2番卓を制したのは貫上洋志、これで1番卓のプロは3名となった。花岡と貫上は共に関西のAリーガーであり、互いに同じ意識を持ってプロアマリーグに参加してくれている。一般選手に対して、技術やマナーでプロ選手としての責任を果たすこと。2人ともそれができるレベルであることは間違いない。

しかし、米津の背中からは熱い闘志が消えることはなかった。普段から決して無茶をする打ち手ではないだけに、静かに牌に向き合う姿に迫力が感じられた。

軽く場が流れて迎えた東3局2本場、親の米津に対して西家・中山、4巡目の手牌。

中山
一万二万三万七万八万九万二筒四筒七筒九筒六索七索八索東  ドラ六筒

ここから安易に東を切らないのがプロの手筋。打九筒ピンとすると、米津の6巡目テンパイは以下の形だった。

米津リーチ
三万四万五万一筒二筒三筒四索四索六索七索八索東東  リーチ  ドラ六筒

きっちりとした抑えを見せた東3局3本場、ご褒美とばかりに中山にチャンス手が入る。以下のテンパイを果たしてからすぐの12巡目、

中山
一筒二筒三筒四筒六筒六筒七筒八筒九筒九筒九筒南南  ツモ九筒

まだ他家にわかりやすい動きが無い中、ここはリスクを冒してでも六筒切りの一手だと筆者は思ったのだが、ここで中山が選んだのは九筒のカンであった。
リーチでアガリやすい形ならまだいいが、ここでは南を3枚にした時に有効枚数を損なうのと、カンドラが他家のリーチを誘発しないかという不安が浮上する。もちろん、リンシャンでツモれば、これはこれでドラマチックだが、やはり親の米津からリーチがかけられた。

米津リーチ
一万二万五万六万七万二筒三筒四筒五筒五筒四索五索六索  リーチ  ツモ三万  ドラ二万一万  ウラ六万三索

カンが入らなくても米津がリーチしたら、結果的には同じだったかもしれないが、気持ちの上では中山が失敗した感覚になるのが麻雀の難しいところだ。それにしても米津が強い。

米津がトップの状態で、南2局1本場。再びカウンターを決めたい花岡に面白い手が来た。

花岡
二万三万三万四万三筒四筒五筒二索三索三索四索四索四索  ツモ四筒  ドラ四万

ドラが四万だけに悩ましいところだが、一引きが残念な形である。確定タンヤオとすぐの三色を見て三万切りが妙味かなと筆者は感じたが、ここでの花岡の選択はノータイムで打四筒。結果、すぐの二筒引きで裏目かと思いきや、最終形が懐の深く、花岡の強さを垣間見た。

花岡
二万二万三万四万五万三筒四筒五筒二索三索三索四索四索  ロン五索  ドラ四万

全てをテンビンにかけていた花岡に、元よりリーチの選択などなかったわけである。どちらに掴まっても沈黙の満貫。ここでは貫上が蜘蛛の糸にからめ捕られた。

ポイントはまだまだ首位に届かない中、ここはひたすら攻めたい中山がひたむきに前に出る。しかし、守備の固い選手が3人揃うと、前に出る者が不利になるのは多数決の原理か。再び親の米津を前にして、

米津リーチ
一万二万三万六万八万三索四索五索西西北北北  ロン七万  ドラ三万  ウラ三索

東場のアヤだろうか、手痛い打ち込みでここは惜しくも中山が大きく後退してしまった。
米津がトップのまま迎えたオーラス、我慢してきた花岡のテンパイが早い。6巡目のリーチ、

花岡
四万四万九万六筒六筒七筒七筒八筒八筒九索九索北北  リーチ  ドラ九万

ここにきて流れが掴めていない貫上が、花岡と同時にピンフのみのテンパイを入れた。花岡とは5,600点開いた3着目という悩ましい状況で、普段ならヤミに構えたいところだ。しかし花岡の気合のこもり方で打点の高いリーチであることを理解していた貫上は、条件を満たさないリーチで果敢に戦いを挑んだ。こういう場面で逆が打てるのが貫上の強さである。

貫上
五万六万七万二筒三筒四筒九筒九筒二索三索四索七索八索  リーチ  ツモ六索  ドラ九万  ウラ三索

貫上にとって、プレイヤーとして意識すべきは首位の花岡の存在である。この手を花岡より先にツモりあげた瞬間、裏ドラの存在も必然だったように思えた。タイミングを心得たアガリは、その意識の現れだと思ってもいいのだろうか。

ここでラスに落ちてしまった中山は首位卓から脱落。厳しいながら、彼女は本当によく頑張った。この経験は、必ずこれからの活躍の機会に活きてくることだろう。そして、この戦いで2回連続、花岡に3着を押し付けた米津が、ついに花岡の得点を抜き去り首位に立った。

これが最終戦であれば嬉しいところだろうが、まだ戦いが続く限り米津も簡単には表情を崩さない。そして、花岡もこのまま沈黙で終わらないはずだ。
今期のプロアマリーグはプロvsアマチュアの対決の様相を呈してきた。

坂本:2番卓では下位から上がってきた宮田プロがさらなるリードを伸ばし、総合3位へ。若い選手だけに先輩プロたちを相手に下剋上を果たしてやろうという気合がみなぎっています。

2回戦終了時、1位:米津紘平268.3 2位:花岡章生 254.3 3位:宮田豊夢:238.0 4位:貫上洋志210.5

 

3回戦(起家から)、花岡、宮田、米津、貫上

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2回戦で敗れた者に代わり上がってきたのが、関西の若手プロの宮田。今期関西プロリーグもBリーグへ昇格を決めて勢いがある。

麻雀に流れはあるか、そんなテーマは昔からされてきた。しかし、間違いなく言えることは勝負事の基本はミスの少ない者に有利に働くということだ。ここまで花岡に大きなミスはない。米津のファインプレーが花岡を苦しめてきたものの、どれだけ押し切られても横綱のように簡単に土俵を割らない粘りを見せつけていた。

麻雀はこれまでの積み重ねが必ず結果に繋がる競技だと言った者がいた。いよいよ折り返し地点となる3回戦。あえて、その言葉を借りるとすれば、ここで誰がその結果に繋げていくのだろうか。

3回戦、東1局から事件は起きた。何の前触れもなかったところに、突如吹き荒れた一陣の強風。何事もなかったかのような表情で一発でツモった、花岡の6,000オールだった。

花岡
三万三万六万七万八万一筒二筒三筒三筒四筒五筒七索八索  リーチ  一発ツモ六索  ドラ三万  ウラ中

そして、このアガリを皮切りに嵐は訪れる。東1局1本場、早く親を流したい宮田が仕掛けるも、再び親の花岡がリーチを入れた。危機を感じた貫上も、ストップをかける為に追いかけるのだが、

花岡
三万四万五万六万七万八万四筒四筒六筒八筒二索三索四索  リーチ  ツモ七筒  ドラ八万  ウラ六万

しかし、軍配はまたも花岡。これもまた地面を割るような大きいアガリだった。まだ、3回戦が始まって、たった2局のことである。その後も花岡の勢いは止まらず、2本場もテンパイしている宮田から花岡が打ち取り3,900は4,500。怒涛の3連荘を決めた。

3本場、花岡の手にはドラの七筒が2枚あり、また形がよかった。突然訪れた花岡の好調は、ライバルである米津にとって悪夢でしかない。これが決まれば完全に形勢が逆転するといった良手だが、もはやこれ以上の連荘は許さないと、普段は仕掛けない米津が翻牌の西と東を叩いた。これに煽られた宮田が10巡目にリーチをかけると、その時の花岡が以下の手牌。

花岡10巡目
一万二万三万二筒二筒六筒六筒七筒七筒四索四索五索六索  ツモ北  ドラ七筒

さあここでどう打つのだろうか。まずは米津の鳴きが本手かどうか見極めたいところだが、北1枚を勝負してもいいと思わせる好手でもある。

ここで花岡は少考することなく、先程までの猛攻から一転、あっさりと安全なマンズ面子を崩した。そして次巡、すぐに宮田のロン牌の九筒を掴む。

宮田テンパイ
三万四万五万三筒三筒三筒四筒五筒七筒八筒五索六索七索

あの手牌で、これが止まるのだから凄い。1回戦のレポートを振り返ってもらうとわかるのだが、一番最初に七対子ドラ2のテンパイを果たしながら、米津のリーチに無筋の四索を打たなかった場面がある。1回戦で止めた四索は当たりではなかったが、ドラ含みのピンフ形の牌姿はずばり読みの範疇だった。この局も米津がソーズの本手である危険性を考慮し、かつ宮田がアガリやすい形の待ちであれば、花岡にとってはドラ2の1シャンテンも止まるべき赤信号だったのだ。これが積み重ねというのであれば、これからの花岡にさらなる加速の予感を感じ、恐ろしく思えてきた。
結果は、米津が2,600で宮田からロンアガリをするも、花岡が宮田に打ちこんでくれた方が展開的にはありがたかったに違いない。

宮田は若い選手で麻雀はまだ荒いが、攻撃的で手数を繰り出すタイプの打ち手である。ましてや一発裏ドラありのBルール、局の半分近くもリーチをかけられると、前に出なければならない立場の米津は辛かった。本来ならば、少しでも花岡の得点に追いつきたいところ。しかし、宮田の動きに合わせてしまうと、米津自身の仕掛けもリーチも早くて安くなるジレンマが発生する。常に卓上には敵が4人いる。相手3人と、そして何より自分自身だ。これが麻雀の真に難しいところだろう。

そして展開は最後まで花岡に有利になった。激しく攻める2人から一歩距離を置いたところに身を置くと、南1局1本場で花岡は親の宮田から七対子ツドラ2を射抜いた。オーラス、ドラ2枚を抱えてなんとかものにしたい米津が果敢に仕掛けるも、

米津、
六万六万四筒四筒五筒八索八索八索中中  ポン七索七索七索  ドラ六万

しかし、ここは仕掛けのタイミングが上回り、花岡に軍配が上がる。

花岡
一万一万五索六索七索南南南発発  チー九万七万八万  ロン一万  ドラ六万

土壇場を迎えて、花岡の麻雀が場を震撼させた3回戦だった。麻雀はたった1回の半荘の出来事でも、それまでの軌跡を塗り替えることができる。これで暫定首位が再び花岡に戻ってきたが、これで諦める米津ではない。

そしてついに、長かったリーグ戦も佳境を迎え、参加する全ての選手にとって残すところあと1回戦となった。

坂本:3回戦は先ほど脱落したばかりの中山プロが、もう一度息を吹き返して決勝卓にリベンジを挑みます。アマチュア2位も接戦となり、奥田さん、藤井さん、佐藤さんがその座を争う模様となりました。みなさん真剣な表情で戦いに臨まれていますね。

3回戦終了時、1位:花岡章生314.6 2位:米津紘平263.7 3位:中山千鶴 203.9 4位:宮田豊夢:201.8

 

最終戦(起家から)宮田、花岡、中山、米津

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プロアマリーグは大会の順位以外にも、プロアマの上位2名ずつにマスターズ本戦シードの権利がかかっている。そのため、注目される対決は首位卓のみではない。優勝争いは花岡、米津の直接対決に絞られたが、アマチュアの2位枠は藤井、奥田、佐藤の順番で争われた。

決勝卓は首位の花岡がポイント差を大きく開けたものの、順位点があるため着順によってはまだひっくり返せる可能性がある。米津にとっても優勝のかかったラストチャンス。ここまで懸命に活躍を見せただけに、できる限り踏ん張ってもらいたい。

2回戦で脱落した中山が再び決勝卓へ戻ってきた。これができるのは地力がある証拠である。優勝までのポイントは果てしなく遠いが、それでも最後まで挑み続けるのがプロの麻雀だろう。

この局は宮田の自己主張から始まった。総合優勝の他に本戦シードがかかっているだけに、どの選手も可能性がある限り諦めないのがリーグ戦の醍醐味である。ポイント差は大きく開けど、がんがんと攻める宮田を咎められない。

東3局、仕掛けの早い宮田の親番に対してアガリを決めたい米津であったが、

宮田
五筒六筒四索四索  ポン八万八万八万  ポン五索五索五索  ポン発発発  ドラ四索

米津
四万五万七万八万九万七筒八筒六索七索八索九索北北  ツモ七筒

ここは宮田の仕掛けに七筒が打てず、打八筒とする。さすがと言いたいところだが、ここでロン牌を掴むあたり波に乗れていない。

東3局1本場、花岡の第一打のドラ二筒に宮田が飛びついた。花岡にとっては、意識しなくてはならないのは米津の動向。例え誰かにドラを叩かれたとしても、それが米津に対する押さえつけになれば、自身に有利に働くことを知っている。結果、アガリには結びつかなかったが、2度の1人テンパイで宮田が3本場を迎える。

そして、その3本場で波乱が巻き起こった。面前指向で大きく叩きたい中山は、以下の手牌から、セオリーとばかりにテンパイと同時にカンをしてリーチをかけた。これだけで裏ドラが乗れば満貫。手順を考えれば仕方がない、と言いたいところだが、流れを掴めていない状態のカンは、これまでも自分の首を絞めてきた。そして、ここでツモったのは花岡。見事なまでの漁夫の利という他ならない。

中山
二万二万三筒四筒六筒六筒七筒八筒四索五索  暗カン牌の背九索九索牌の背  ドラ白六索

花岡
三万四万五万一筒二筒三筒六索六索白白  ポン東東東  ツモ六索

東4局、大きすぎる点差に対しても米津はまだ諦めない。花岡の親を押さえつけようと激しく仕掛ける。しかし、波に乗った花岡の手牌はすでに6巡目でテンパイ。さらに、これをリーチすることなくツモ。

花岡
二万三万四万五万一索二索三索四索五索六索七索八索九索  ツモ五万  ドラ八万

1本場、上げ潮とはまさにこのことを言う。この配牌も最速の手順で決めた。

花岡配牌
七筒四索四索五索六索七索八索北北白白白発中  ドラ四万

花岡8巡目
四索四索五索六索七索七索八索  暗カン牌の背白白牌の背  ポン北北北  ツモ六索

いよいよ時間切れを迎えたオーラスは米津が親だったが、配牌を見ればため息が出そうだ。

米津配牌
二万六万八万六筒六筒七筒四索六索南西北北発発中  ドラ九万

しかし、米津は最後までしっかりと手役を見据えて打った。一打、一打、これまで培ってきた姿勢を崩さず、大事にツモに力を込める。これまでの積み重ねが、自分をこの場に立たせてくれている。花岡という厚い壁さえなければ、優勝してもおかしくないポイントを叩き出してきた。

米津17巡目
一筒一筒九筒南西西北北白発発中中  ツモ九筒

最後のツモでホンロー七対子のテンパイが取ることもできた。しかし、米津は安全牌を2枚重ねて落とし、綺麗に幕を降ろすことを選んだ。本当にこの半年間、その丁寧な姿勢を崩さず戦ってきたことを心より評価したい。

こうして、第30期関西プロアマリーグの優勝が決定した。300P超えという圧巻の実力を見せた花岡章生プロに、共に戦ってきた参加選手たちから惜しみない拍手が送られたのだった。

坂本:花岡プロの優勝の舞台裏では、アマチュアシードをめぐって熱い戦いが行われました。そちらでは奥田さん、佐藤さん、藤井さんという3つ巴の中、冷静な打ちまわしでリードを保ち、ポイントを守りきった藤井さんがアマチュア2位の座を獲得されました。

最終節終了時、優勝:花岡章生プロ358.1P 2位入賞:米津紘平さん243.9P 3位入賞宮田豊夢プロ209.7P 4位入賞、藤井一弘さん203.5P

gpmax優勝、花岡章生プロ
gpmax2位入賞、米津紘平さん
gpmax3位入賞、宮田豊夢プロ
gpmax4位入賞、藤井一弘さん

全ての試合が終わった後は、会場はいつものような和やかな雰囲気に戻っていた。戦いは悲喜こもごもだが、そこにはやりきった清々しさが残る。これは、リーグ戦という長い道のりを乗り越えた者だけにしかわからない達成感である。機会があれば、一度は味わって頂きたい感覚である。

優勝した花岡章生プロにコメントを頂いた。

houou

花岡「開幕は選手を意識するより、まずはミスをしないことを重視して考えていました。けれど、1回戦、東3局で6巡目に七対子のドラ単騎をテンパイしていたのだけど、米津さんのリーチにドラのピンフ気配があったから、待ちが弱いために無筋が打ち切れず、オリてしまったんですよね。その結果、自分にアガリ逃しが生まれたので、その後の米津さんの6,000オールを受けても、これは自分にとってのミスだと感じました。

それからの試合に対しても、極力ミスをなくして相手の動向に惑わされることなく、自身の麻雀の内容を重視して戦ってきた結果、3回戦からは自分に運が向いてきたのだと感じています。最後は米津さんとの一騎打ちになったので意識をしましたが、最後までいい波に乗れましたね。これからもミスをなくして、いい麻雀を積み重ねることで色々な大会で優勝を狙っていきたいと思います。これからも宜しくお願いします。」

余談にはなるが、16期生の私と、17期生の花岡との付き合いは長い。学生時代の彼を知っているのは関西でも貴重な存在だ。その時から自分というものを曲げずに対局に取り組んできたのが彼である。そんな彼だからこそ、これからももっと色々な舞台で飛躍して欲しいと思う。意識を持って、結果を生み出すことのできる実力のあるプロだからこそ。

花岡プロは近く、関西プロリーグの頂点を決める太閤位決定戦を控えている。こちらの試合もぜひ楽しみにして頂きたい。

最後になりましたが、今年もたくさんの方に関西プロアマリーグにご参加頂き、本当にありがとうございました。これからも関西本部一同、麻雀を心の底から楽しんで貰えるような競技リーグを目指して頑張っていきたいと思います。どうぞ、どなた様もお気軽に会場にお越し頂き、競技麻雀の熱意に触れて下さい。
拙いレポートになりましたが、ご精読ありがとうございました。

関西プロリーグ レポート/第30期関西プロアマリーグ冬の陣最終節レポート

 
第30期関西プロアマリーグも最終節を迎えて、梅田の会場には70名近い選手が一同に集まりました。
とりわけ、関西の一般参加者の熱意は高く、全国でも活躍の機会は多い。
この意識の灯を大切にしていかなくてはいけないと感じます。
第4節まではその意識の灯が煌々と燃え上がったのか、一般参加者が上位を占めました。
それでは、今期も上位のラインナップを紹介していきたいと思います。
暫定1位、花岡章生プロ 265.1P

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花岡章生プロ

現在の花岡は関西で1、2を争う安定感のあるプロ。前期のプロアマリーグでは総合2位、今年のゴールデンカップも2位入賞。関西プロリーグ「太閤位戦」は、4期連続決定戦出場と、あらゆる試合で入賞圏内に確実に足を進めている実力者でもあります。今回はその彼が首位を走る中、誰がその鉄壁の牙城を打ち崩せるかに注目が集まります。
暫定2位、米津紘平さん 222.9P

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米津紘平さん

関西プロアマリーグではすでに常連選手であり、面前主体の粘り強い打風で前半戦の首位を牽引してきました。最終節を迎えていよいよ直接対決となっても、プロである花岡に負けない気概を見せてもらえることでしょう。
暫定3位、中山千鶴プロ 203.3P

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中山千鶴プロ

関西ではまだ若手の存在ながら、麻雀に対する情熱では誰にも負けない気持ちを持っている女性選手。最近の彼女には、努力の中での成長が見られます。首位とのポイントは離れていますが、花岡プロに食らいつくガッツでトライしてくれそうです。
暫定4位、藤井一弘さん 194.0P

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藤井一弘さん

藤井さんはオンライン麻雀で鍛えた実力を存分に発揮して、今期を安定した成績を叩き出してきました。戦いは常に平常心を心がける姿勢を目指し、一歩一歩、確実に登りつめることでしょう。
暫定5位、奥田丞志さん 190.8P

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奥田丞志さん

関西プロアマリーグ初参戦という慣れない中での堂々たる成績。先日行われたゴールデンカップでも、優勝に迫るところまでの勢いを見せ、その悔しさを気炎に変えておりました。5位という位置からの立ち上がりで、相手がプロ3名と苦しいところでありますが、逆境を乗り越えて頂きたいところです。
ここから首位卓を中心に、運営リーダーこと私、近野理智男と、運営担当の坂本誠裕が実況を行っていきたいと思います。
 
1回戦(起家から)花岡、中山、藤井、米津(以下、敬称略)

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どんな試合でも、スタートがその展開を象徴することが多い。
開幕の中山からは、優勝を目指してひたすら得点を叩きに行こうという意思が感じられた。
開幕は筆者が振り向く間もなくリーチを決めて1,300・2,600のツモ。今回は成績が順位点に大きく左右されるため、順位によってはポイント差をひっくり返すことも可能だ。
東2局は親を飛ばされた花岡が、北のみのアガリで軽く場を流す。その花岡の次局の捨て牌、
花岡
五筒四筒四万六万八索九万一索七索九筒  ドラ六筒
こう並ぶと場に緊張が走るが、ただ黙っては終わらない3者。
米津が12巡目にピンフドラ1の五筒八筒ピン待ちでリーチ。流局すれば花岡以外の3人がテンパイだったが、実は最初にテンパイしていたのは花岡。六筒ピン単騎の七対子であったが、米津の手をドラ使いの好形と読み切って、自身の待ちは薄いと無筋を一発で切り飛ばさなかった。結果的には、その為にアガリ逃しをしてしまう訳だが、これがその後の展開にどう影響するか注目していきたい。
次局も、1人テンパイを決めた米津が、気運を高めて迎えた親番の7巡目、トイツ気配が漂う中で以下の牌姿を迎える。
米津
二万三万三万五万五万九万九万一筒一筒五索五索発中  ツモ三索  ドラ発
二万中も打ち取りやすい牌だが、場に3枚切れの六索を見て、ここの選択は打二万。これは鋭い選択ではないかと場を見守る中、読みが当たれば嵐が吹き荒れるかもと感じた瞬間、吸い込まれるようにすぐの三索引き。これで意を決した米津が高らかにリーチを宣言し、ドラをツモりあげた。
米津
三万三万五万五万九万九万一筒一筒三索三索五索五索発  リーチ  ツモ発  ドラ発
米津の僥倖に対して普通ならば動揺する場面でも、相手にどんなアガリを見せつけられても動じないのが花岡の強みである。米津には連荘でさらに好手が入っていたが、花岡は何かを感じとったかのように真っすぐ牌を切り出していく。そして、ここでリーチを決めてアガったまさかの牌姿が、
花岡
四筒四筒七筒七筒六索六索八索八索南南北
ツモ北  ドラ北
先ほどの、米津のアガリの相似形であった。やられた事はやり返せばいい。そんなセリフが聞こえてきそうな展開に、まるで格闘漫画を思わせるような最終節らしい熱い攻防となってきた。
南場に入っては、2人の跳満に追いつかれた形となった中山が気合いの攻めを見せた。5巡目に八万をポンした親の花岡は、いかにもドラがありそうな仕掛けに見える。これに対して、中山がドラ切りリーチで果敢に挑むと、これも吸い込まれるようにポン。
中山
五万五万六万六万二索三索四索八索八索八索東東東  ツモ五万 ドラ二万
しかし、ここは中山の気合が勝って、望外のツモを得た。ここまでツモによる失点だけでもお互いを疲弊する乱打戦。ここでさらに中山が米津から5,800を打ち取りトップ目に立った。
最後の親番で少しでも苦境を覆したいのが藤井だったが、親満のホンイツテンパイもむなしく、花岡のリーチに突き刺ささってしまう。
次局で、1回戦は50分の時間切れを迎えた。今まで展開に恵まれなかった藤井が最後に迎えたチャンス手、しかしテンパイが遅かった。
藤井
一索一索三索四索四索七索七索八索八索南南白白  ドラ一筒
藤井はここであえてリーチを選択した。その理由として、ダンラスである以上、どこから出ても順位は変わらないからである。あくまで最後は最高形を目指したという意思表示の為に牌を横にしてリーチとした。普段から折り目正しい藤井らしい、美しい姿勢だと感じた。
1回戦から波乱を含んだ戦いはまず、中山と米津が首位の花岡に条件を押しつけた形となった。しかし、花岡にはまだ大きな失策は見受けられない。この壁をうち崩すまでにはまだ時間がかかりそうだ。
坂本:2番卓は関西Aリーガーの貫録を見せつけた貫上が場を圧倒させるトップを取り、総合4位に浮上した模様です。これで首位卓はプロの濃度がますます高くなりましたね。
1回戦終了時、
1位:花岡章生262.0P 2位:米津紘平235.6P 3位:中山千鶴228.3P 4位:貫上洋志202.3P
 
2回戦(起家から)、中山、貫上、米津、花岡 

houou

競技の鉄則として、負けた者と勝った者が入れ代わる。2番卓を制したのは貫上洋志、これで1番卓のプロは3名となった。花岡と貫上は共に関西のAリーガーであり、互いに同じ意識を持ってプロアマリーグに参加してくれている。一般選手に対して、技術やマナーでプロ選手としての責任を果たすこと。2人ともそれができるレベルであることは間違いない。
しかし、米津の背中からは熱い闘志が消えることはなかった。普段から決して無茶をする打ち手ではないだけに、静かに牌に向き合う姿に迫力が感じられた。
軽く場が流れて迎えた東3局2本場、親の米津に対して西家・中山、4巡目の手牌。
中山
一万二万三万七万八万九万二筒四筒七筒九筒六索七索八索東  ドラ六筒
ここから安易に東を切らないのがプロの手筋。打九筒ピンとすると、米津の6巡目テンパイは以下の形だった。
米津リーチ
三万四万五万一筒二筒三筒四索四索六索七索八索東東  リーチ  ドラ六筒
きっちりとした抑えを見せた東3局3本場、ご褒美とばかりに中山にチャンス手が入る。以下のテンパイを果たしてからすぐの12巡目、
中山
一筒二筒三筒四筒六筒六筒七筒八筒九筒九筒九筒南南  ツモ九筒
まだ他家にわかりやすい動きが無い中、ここはリスクを冒してでも六筒切りの一手だと筆者は思ったのだが、ここで中山が選んだのは九筒のカンであった。
リーチでアガリやすい形ならまだいいが、ここでは南を3枚にした時に有効枚数を損なうのと、カンドラが他家のリーチを誘発しないかという不安が浮上する。もちろん、リンシャンでツモれば、これはこれでドラマチックだが、やはり親の米津からリーチがかけられた。
米津リーチ
一万二万五万六万七万二筒三筒四筒五筒五筒四索五索六索  リーチ  ツモ三万  ドラ二万一万  ウラ六万三索
カンが入らなくても米津がリーチしたら、結果的には同じだったかもしれないが、気持ちの上では中山が失敗した感覚になるのが麻雀の難しいところだ。それにしても米津が強い。
米津がトップの状態で、南2局1本場。再びカウンターを決めたい花岡に面白い手が来た。
花岡
二万三万三万四万三筒四筒五筒二索三索三索四索四索四索  ツモ四筒  ドラ四万
ドラが四万だけに悩ましいところだが、一引きが残念な形である。確定タンヤオとすぐの三色を見て三万切りが妙味かなと筆者は感じたが、ここでの花岡の選択はノータイムで打四筒。結果、すぐの二筒引きで裏目かと思いきや、最終形が懐の深く、花岡の強さを垣間見た。
花岡
二万二万三万四万五万三筒四筒五筒二索三索三索四索四索  ロン五索  ドラ四万
全てをテンビンにかけていた花岡に、元よりリーチの選択などなかったわけである。どちらに掴まっても沈黙の満貫。ここでは貫上が蜘蛛の糸にからめ捕られた。
ポイントはまだまだ首位に届かない中、ここはひたすら攻めたい中山がひたむきに前に出る。しかし、守備の固い選手が3人揃うと、前に出る者が不利になるのは多数決の原理か。再び親の米津を前にして、
米津リーチ
一万二万三万六万八万三索四索五索西西北北北  ロン七万  ドラ三万  ウラ三索
東場のアヤだろうか、手痛い打ち込みでここは惜しくも中山が大きく後退してしまった。
米津がトップのまま迎えたオーラス、我慢してきた花岡のテンパイが早い。6巡目のリーチ、
花岡
四万四万九万六筒六筒七筒七筒八筒八筒九索九索北北  リーチ  ドラ九万
ここにきて流れが掴めていない貫上が、花岡と同時にピンフのみのテンパイを入れた。花岡とは5,600点開いた3着目という悩ましい状況で、普段ならヤミに構えたいところだ。しかし花岡の気合のこもり方で打点の高いリーチであることを理解していた貫上は、条件を満たさないリーチで果敢に戦いを挑んだ。こういう場面で逆が打てるのが貫上の強さである。
貫上
五万六万七万二筒三筒四筒九筒九筒二索三索四索七索八索  リーチ  ツモ六索  ドラ九万  ウラ三索
貫上にとって、プレイヤーとして意識すべきは首位の花岡の存在である。この手を花岡より先にツモりあげた瞬間、裏ドラの存在も必然だったように思えた。タイミングを心得たアガリは、その意識の現れだと思ってもいいのだろうか。
ここでラスに落ちてしまった中山は首位卓から脱落。厳しいながら、彼女は本当によく頑張った。この経験は、必ずこれからの活躍の機会に活きてくることだろう。そして、この戦いで2回連続、花岡に3着を押し付けた米津が、ついに花岡の得点を抜き去り首位に立った。
これが最終戦であれば嬉しいところだろうが、まだ戦いが続く限り米津も簡単には表情を崩さない。そして、花岡もこのまま沈黙で終わらないはずだ。
今期のプロアマリーグはプロvsアマチュアの対決の様相を呈してきた。
坂本:2番卓では下位から上がってきた宮田プロがさらなるリードを伸ばし、総合3位へ。若い選手だけに先輩プロたちを相手に下剋上を果たしてやろうという気合がみなぎっています。
2回戦終了時、1位:米津紘平268.3 2位:花岡章生 254.3 3位:宮田豊夢:238.0 4位:貫上洋志210.5
 
3回戦(起家から)、花岡、宮田、米津、貫上

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2回戦で敗れた者に代わり上がってきたのが、関西の若手プロの宮田。今期関西プロリーグもBリーグへ昇格を決めて勢いがある。
麻雀に流れはあるか、そんなテーマは昔からされてきた。しかし、間違いなく言えることは勝負事の基本はミスの少ない者に有利に働くということだ。ここまで花岡に大きなミスはない。米津のファインプレーが花岡を苦しめてきたものの、どれだけ押し切られても横綱のように簡単に土俵を割らない粘りを見せつけていた。
麻雀はこれまでの積み重ねが必ず結果に繋がる競技だと言った者がいた。いよいよ折り返し地点となる3回戦。あえて、その言葉を借りるとすれば、ここで誰がその結果に繋げていくのだろうか。
3回戦、東1局から事件は起きた。何の前触れもなかったところに、突如吹き荒れた一陣の強風。何事もなかったかのような表情で一発でツモった、花岡の6,000オールだった。
花岡
三万三万六万七万八万一筒二筒三筒三筒四筒五筒七索八索  リーチ  一発ツモ六索  ドラ三万  ウラ中
そして、このアガリを皮切りに嵐は訪れる。東1局1本場、早く親を流したい宮田が仕掛けるも、再び親の花岡がリーチを入れた。危機を感じた貫上も、ストップをかける為に追いかけるのだが、
花岡
三万四万五万六万七万八万四筒四筒六筒八筒二索三索四索  リーチ  ツモ七筒  ドラ八万  ウラ六万
しかし、軍配はまたも花岡。これもまた地面を割るような大きいアガリだった。まだ、3回戦が始まって、たった2局のことである。その後も花岡の勢いは止まらず、2本場もテンパイしている宮田から花岡が打ち取り3,900は4,500。怒涛の3連荘を決めた。
3本場、花岡の手にはドラの七筒が2枚あり、また形がよかった。突然訪れた花岡の好調は、ライバルである米津にとって悪夢でしかない。これが決まれば完全に形勢が逆転するといった良手だが、もはやこれ以上の連荘は許さないと、普段は仕掛けない米津が翻牌の西と東を叩いた。これに煽られた宮田が10巡目にリーチをかけると、その時の花岡が以下の手牌。
花岡10巡目
一万二万三万二筒二筒六筒六筒七筒七筒四索四索五索六索  ツモ北  ドラ七筒
さあここでどう打つのだろうか。まずは米津の鳴きが本手かどうか見極めたいところだが、北1枚を勝負してもいいと思わせる好手でもある。
ここで花岡は少考することなく、先程までの猛攻から一転、あっさりと安全なマンズ面子を崩した。そして次巡、すぐに宮田のロン牌の九筒を掴む。
宮田テンパイ
三万四万五万三筒三筒三筒四筒五筒七筒八筒五索六索七索
あの手牌で、これが止まるのだから凄い。1回戦のレポートを振り返ってもらうとわかるのだが、一番最初に七対子ドラ2のテンパイを果たしながら、米津のリーチに無筋の四索を打たなかった場面がある。1回戦で止めた四索は当たりではなかったが、ドラ含みのピンフ形の牌姿はずばり読みの範疇だった。この局も米津がソーズの本手である危険性を考慮し、かつ宮田がアガリやすい形の待ちであれば、花岡にとってはドラ2の1シャンテンも止まるべき赤信号だったのだ。これが積み重ねというのであれば、これからの花岡にさらなる加速の予感を感じ、恐ろしく思えてきた。
結果は、米津が2,600で宮田からロンアガリをするも、花岡が宮田に打ちこんでくれた方が展開的にはありがたかったに違いない。
宮田は若い選手で麻雀はまだ荒いが、攻撃的で手数を繰り出すタイプの打ち手である。ましてや一発裏ドラありのBルール、局の半分近くもリーチをかけられると、前に出なければならない立場の米津は辛かった。本来ならば、少しでも花岡の得点に追いつきたいところ。しかし、宮田の動きに合わせてしまうと、米津自身の仕掛けもリーチも早くて安くなるジレンマが発生する。常に卓上には敵が4人いる。相手3人と、そして何より自分自身だ。これが麻雀の真に難しいところだろう。
そして展開は最後まで花岡に有利になった。激しく攻める2人から一歩距離を置いたところに身を置くと、南1局1本場で花岡は親の宮田から七対子ツドラ2を射抜いた。オーラス、ドラ2枚を抱えてなんとかものにしたい米津が果敢に仕掛けるも、
米津、
六万六万四筒四筒五筒八索八索八索中中  ポン七索七索七索  ドラ六万
しかし、ここは仕掛けのタイミングが上回り、花岡に軍配が上がる。
花岡
一万一万五索六索七索南南南発発  チー九万七万八万  ロン一万  ドラ六万
土壇場を迎えて、花岡の麻雀が場を震撼させた3回戦だった。麻雀はたった1回の半荘の出来事でも、それまでの軌跡を塗り替えることができる。これで暫定首位が再び花岡に戻ってきたが、これで諦める米津ではない。
そしてついに、長かったリーグ戦も佳境を迎え、参加する全ての選手にとって残すところあと1回戦となった。
坂本:3回戦は先ほど脱落したばかりの中山プロが、もう一度息を吹き返して決勝卓にリベンジを挑みます。アマチュア2位も接戦となり、奥田さん、藤井さん、佐藤さんがその座を争う模様となりました。みなさん真剣な表情で戦いに臨まれていますね。
3回戦終了時、1位:花岡章生314.6 2位:米津紘平263.7 3位:中山千鶴 203.9 4位:宮田豊夢:201.8
 
最終戦(起家から)宮田、花岡、中山、米津

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プロアマリーグは大会の順位以外にも、プロアマの上位2名ずつにマスターズ本戦シードの権利がかかっている。そのため、注目される対決は首位卓のみではない。優勝争いは花岡、米津の直接対決に絞られたが、アマチュアの2位枠は藤井、奥田、佐藤の順番で争われた。
決勝卓は首位の花岡がポイント差を大きく開けたものの、順位点があるため着順によってはまだひっくり返せる可能性がある。米津にとっても優勝のかかったラストチャンス。ここまで懸命に活躍を見せただけに、できる限り踏ん張ってもらいたい。
2回戦で脱落した中山が再び決勝卓へ戻ってきた。これができるのは地力がある証拠である。優勝までのポイントは果てしなく遠いが、それでも最後まで挑み続けるのがプロの麻雀だろう。
この局は宮田の自己主張から始まった。総合優勝の他に本戦シードがかかっているだけに、どの選手も可能性がある限り諦めないのがリーグ戦の醍醐味である。ポイント差は大きく開けど、がんがんと攻める宮田を咎められない。
東3局、仕掛けの早い宮田の親番に対してアガリを決めたい米津であったが、
宮田
五筒六筒四索四索  ポン八万八万八万  ポン五索五索五索  ポン発発発  ドラ四索
米津
四万五万七万八万九万七筒八筒六索七索八索九索北北  ツモ七筒
ここは宮田の仕掛けに七筒が打てず、打八筒とする。さすがと言いたいところだが、ここでロン牌を掴むあたり波に乗れていない。
東3局1本場、花岡の第一打のドラ二筒に宮田が飛びついた。花岡にとっては、意識しなくてはならないのは米津の動向。例え誰かにドラを叩かれたとしても、それが米津に対する押さえつけになれば、自身に有利に働くことを知っている。結果、アガリには結びつかなかったが、2度の1人テンパイで宮田が3本場を迎える。
そして、その3本場で波乱が巻き起こった。面前指向で大きく叩きたい中山は、以下の手牌から、セオリーとばかりにテンパイと同時にカンをしてリーチをかけた。これだけで裏ドラが乗れば満貫。手順を考えれば仕方がない、と言いたいところだが、流れを掴めていない状態のカンは、これまでも自分の首を絞めてきた。そして、ここでツモったのは花岡。見事なまでの漁夫の利という他ならない。
中山
二万二万三筒四筒六筒六筒七筒八筒四索五索  暗カン牌の背九索九索牌の背  ドラ白六索
花岡
三万四万五万一筒二筒三筒六索六索白白  ポン東東東  ツモ六索
東4局、大きすぎる点差に対しても米津はまだ諦めない。花岡の親を押さえつけようと激しく仕掛ける。しかし、波に乗った花岡の手牌はすでに6巡目でテンパイ。さらに、これをリーチすることなくツモ。
花岡
二万三万四万五万一索二索三索四索五索六索七索八索九索  ツモ五万  ドラ八万
1本場、上げ潮とはまさにこのことを言う。この配牌も最速の手順で決めた。
花岡配牌
七筒四索四索五索六索七索八索北北白白白発中  ドラ四万
花岡8巡目
四索四索五索六索七索七索八索  暗カン牌の背白白牌の背  ポン北北北  ツモ六索
いよいよ時間切れを迎えたオーラスは米津が親だったが、配牌を見ればため息が出そうだ。
米津配牌
二万六万八万六筒六筒七筒四索六索南西北北発発中  ドラ九万
しかし、米津は最後までしっかりと手役を見据えて打った。一打、一打、これまで培ってきた姿勢を崩さず、大事にツモに力を込める。これまでの積み重ねが、自分をこの場に立たせてくれている。花岡という厚い壁さえなければ、優勝してもおかしくないポイントを叩き出してきた。
米津17巡目
一筒一筒九筒南西西北北白発発中中  ツモ九筒
最後のツモでホンロー七対子のテンパイが取ることもできた。しかし、米津は安全牌を2枚重ねて落とし、綺麗に幕を降ろすことを選んだ。本当にこの半年間、その丁寧な姿勢を崩さず戦ってきたことを心より評価したい。
こうして、第30期関西プロアマリーグの優勝が決定した。300P超えという圧巻の実力を見せた花岡章生プロに、共に戦ってきた参加選手たちから惜しみない拍手が送られたのだった。
坂本:花岡プロの優勝の舞台裏では、アマチュアシードをめぐって熱い戦いが行われました。そちらでは奥田さん、佐藤さん、藤井さんという3つ巴の中、冷静な打ちまわしでリードを保ち、ポイントを守りきった藤井さんがアマチュア2位の座を獲得されました。
最終節終了時、優勝:花岡章生プロ358.1P 2位入賞:米津紘平さん243.9P 3位入賞宮田豊夢プロ209.7P 4位入賞、藤井一弘さん203.5P

gpmax優勝、花岡章生プロ
gpmax2位入賞、米津紘平さん
gpmax3位入賞、宮田豊夢プロ
gpmax4位入賞、藤井一弘さん

全ての試合が終わった後は、会場はいつものような和やかな雰囲気に戻っていた。戦いは悲喜こもごもだが、そこにはやりきった清々しさが残る。これは、リーグ戦という長い道のりを乗り越えた者だけにしかわからない達成感である。機会があれば、一度は味わって頂きたい感覚である。
優勝した花岡章生プロにコメントを頂いた。

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花岡「開幕は選手を意識するより、まずはミスをしないことを重視して考えていました。けれど、1回戦、東3局で6巡目に七対子のドラ単騎をテンパイしていたのだけど、米津さんのリーチにドラのピンフ気配があったから、待ちが弱いために無筋が打ち切れず、オリてしまったんですよね。その結果、自分にアガリ逃しが生まれたので、その後の米津さんの6,000オールを受けても、これは自分にとってのミスだと感じました。
それからの試合に対しても、極力ミスをなくして相手の動向に惑わされることなく、自身の麻雀の内容を重視して戦ってきた結果、3回戦からは自分に運が向いてきたのだと感じています。最後は米津さんとの一騎打ちになったので意識をしましたが、最後までいい波に乗れましたね。これからもミスをなくして、いい麻雀を積み重ねることで色々な大会で優勝を狙っていきたいと思います。これからも宜しくお願いします。」
余談にはなるが、16期生の私と、17期生の花岡との付き合いは長い。学生時代の彼を知っているのは関西でも貴重な存在だ。その時から自分というものを曲げずに対局に取り組んできたのが彼である。そんな彼だからこそ、これからももっと色々な舞台で飛躍して欲しいと思う。意識を持って、結果を生み出すことのできる実力のあるプロだからこそ。
花岡プロは近く、関西プロリーグの頂点を決める太閤位決定戦を控えている。こちらの試合もぜひ楽しみにして頂きたい。
最後になりましたが、今年もたくさんの方に関西プロアマリーグにご参加頂き、本当にありがとうございました。これからも関西本部一同、麻雀を心の底から楽しんで貰えるような競技リーグを目指して頑張っていきたいと思います。どうぞ、どなた様もお気軽に会場にお越し頂き、競技麻雀の熱意に触れて下さい。
拙いレポートになりましたが、ご精読ありがとうございました。

第29期鳳凰位決定戦 二日目観戦記

「寝ることも戦いである。」
決定戦直前、瀬戸熊直樹はそう語った。
2005年、瀬戸熊は自身初の鳳凰位決定戦に臨み、最終戦まで優勝争いに絡みながら、最後は3着に散った経験を持つ。その最終日、道中で意識朦朧とした瞬間があって、それがどうしても許せなかったのだそうだ。

当時の決定戦は18回戦で、連続する3日間で6回ずつ戦う方式が取られていた。
実際戦ったことのある者にしかわからないが、その期間の体調、意識を含めた自己管理たるや、かなりシビアなものとなるのだろう。

もちろんその中には睡眠も含まれる。神経が昂ぶった状態では、当然眠りにつくまでの時間も掛かるし、眠りにつけたとしても、それはほとんどの場合浅いものでしかない。
これに関しては荒も同じようなことを言っているし、前原も「良い睡眠」という言葉をよく口にする。

瀬戸熊が、どれほどの苦しみを背負ってそのときの鳳凰位決定戦を戦っていたのか、それは本人にしか知る余地がない。ただ、冒頭の言葉は、そのときの経験が教訓になってのものであるということは間違いないだろう。

鳳凰位決定戦は、昨年からニコ生放送との兼ね合いもあって、全20回戦、4日制となった。
しかも初日、2日目を連続して戦った後、3日目まではほぼ1週間の時間的猶予を与えられる。
これは選手にとって、体調を管理する上でも非常に大きな休養期間と言ってもいい。
個々の持っているパフォーマンスを十分に発揮するためには、やはり心身の疲労がネックになってくる。
これくらいの期間があれば、そういった不安は拭い去れるだろうし、細かいゲームプランの立て直しだって図れる。

まずはこの2日目、各者がどのポジションで折り返せるか、荒の起家で6回戦がスタートした。

houou

 

6回戦(起家から、荒・前原・藤崎・瀬戸熊)

この日の開局を制したのは、初日トップの瀬戸熊。

二万三万四万九万九万一索二索一筒二筒三筒発発発  ツモ三索  ドラ三筒

わずか6巡での仕上がりである。
一手変わればヤミテンでも跳満の手だったが、リードする瀬戸熊にとっては何ら不満のないアガリだ。
ここからいかに得点を積み上げていくか、それが肝心なのである。

続く東2局は、親の前原が2局続けての1人テンパイで、本場を積む。
そして2本場で瀬戸熊をかわす。

一索一索一索七索八索九索二筒三筒四筒七筒八筒西西  リーチ  ツモ六筒  ドラ九万

この後は流局が続き、5本場となったところで瀬戸熊が親を迎える。
そして6巡目でのリーチ。

一万二万三万四索五索六索三筒四筒五筒六筒七筒九筒九筒  リーチ  ドラ三筒

終局間際、これを引きアガって2,600は3,100オール。
この東場を見ただけでも、初日調子の良かった瀬戸熊、前原がレース展開を引っ張って行くであろうことが予測できる。一方の荒、藤崎としては、これ以上2人に好き勝手させたくないところだ。

続く東4局6本場、まずは藤崎の配牌をご覧いただこう。

二万二万二万三万六万七万八万四索六索四筒六筒七筒白  ドラ四索

ここまでの点棒が21,400であるから、この手はどうにか高く仕上げたい。
そして24,100持ちである荒の5巡目の手牌が以下。

一万二万三万六万七万八万九万五索五索七索五筒六筒七筒

こちらも、一通や678の三色など、高打点の可能性を多分に秘めた手牌である。
瀬戸熊の手牌の進行具合からいっても、この局はどちらかのアガリが濃厚だなと思って見ていると、そこに立ちはだかったのが西家の前原。

六索六索三筒四筒五筒五筒八筒八筒九筒九筒南西西

6巡目、七対子の1シャンテンから荒の切った西に動き、ピンズのホンイツへ向かう。
前原の仕掛けで、ドラの指示牌が埋まった瀬戸熊の手牌は以下。

五万五万七万九万二索四索六索七索八索八筒九筒中中  ツモ三索

瀬戸熊の選択は、ピンズのペンター払いだ。前原は当然これを仕掛ける。
八筒九筒と両方鳴けて、あっという間のテンパイ一番乗りである。

三筒四筒五筒五筒  ポン九筒 上向き九筒 左向き九筒 上向き  ポン八筒 上向き八筒 左向き八筒 上向き  ポン西西西

これに即捕まったのが南家の荒。
前原が3フーロしているとは言え、ここからベタオリを決め込むわけにもいかず、二筒で3,900は5,700の手痛い放銃となってしまった。

南場に入っても、荒、藤崎には辛い展開が続き、各々の親は上積みなく流されてしまう。
その後、荒はどうにか2度のアガリを取るが、いずれも安手。
藤崎に至っては、結局この半荘ノー和了で終わってしまう。

いや、藤崎にもチャンスはあった。

二索三索四索六索七索八索西中中中  ポン東東東  ドラ二索

南1局1本場、荒の親で13巡目にこのテンパイ。
16巡目には五索を引いて、ノベタンの三メンチャンへと変化を遂げる。
巡目も深く、残りツモは2回であったが、この時点で二索五索八索は山に5枚も生きていた。
しかし、これを阻止したのが南家の前原。

五万六万七万二筒二筒五筒六筒 ポン四筒 左向き四筒 上向き四筒 上向き ポン八万 上向き八万 上向き八万 左向き ツモ七筒

こちらは実に8枚目の四筒七筒である。
残り枚数で勝負は決まらないとは言え、この局の結末にはさすがに藤崎もガックリ肩を落としたことだろう。

終わってみれば、前原が前日の4回戦から数えて3連勝。いや、それだけではない。
この3回の並びが全て同じなのである。つまりは、藤崎が3ラスを喰ったということである。

過去の鳳凰位決定戦において、このポイントから優勝を勝ち取った人間を私は知らない。
だが、今期のプロリーグで一度も首位の座を明け渡さなかった男が、このままズルズルマイナスを重ねていくのは、本人も、そしてファンも納得しないはず。

「負けている人間を応援したくなるのが日本人の気質」と藤崎は話していたが、
それでも状況はかなり逼迫していると言っていい。

6回戦成績
前原+19.5P  瀬戸熊+10.2P  荒▲9.9P  藤崎▲19.8P

6回戦終了時
瀬戸熊+49.8P  前原+33.1P  荒▲6.1P  藤崎▲76.8P

 

7回戦(起家から、前原・荒・瀬戸熊・藤崎)

今回のメンバーが決まったとき、「やってみなければ、どうなるかわからない。」と前置きした上で、荒はこうも付け加えた。
「恐らくは前原、瀬戸熊の叩き合いになるだろうから、そこで弱った方を潰しに掛かる手は当然考えている。」
ここまでは荒にとって、ある種読み通りの展開と言えるのだろうが、問題はその両者がポイントを伸ばしていることである。
いずれ、その大勢は崩れてくるとしても、早く手を打たなければ、手遅れになるケースも十分に考えられる。

藤崎にしてもそうだ。
仮にマイナスが100を超えるようなことになれば、その時点で優勝はなくなったと見ていいだろう。
マイナスの小さな荒はともかく、藤崎にとってはここからが正念場なのである。

東1局、まずは親の前原が4巡目にテンパイ。
次巡、八索を引いたところでリーチと打って出る。

一万二万三万四索五索六索六索七索八索八索六筒七筒八筒  リーチ  ドラ七筒

7巡目、瀬戸熊も追いついてこちらもリーチ。

一索二索三索三索三索五索六索七索四筒五筒八筒八筒八筒  リーチ

初日からとにかくこの構図が続く。
荒にしてみれば、打ち合いを望むところなのだろうが、なかなかそういう展開になってくれない。
麻雀は自分1人の力ではどうにもし難い部分がたくさんある。
上位2人のポイントを削るために、その2人の力を上手く利用する。
確かにこれも合理的な戦術である。

この局の結末は11巡目、瀬戸熊が五索を掴んで、前原に5,800の放銃となった。
これで荒、藤崎にとっては、上位とのポイントを大きく詰めうるお膳立てが出来た。
トータルトップの瀬戸熊を沈めた状態で、いかに自らが得点を伸ばせるか。
優勝以外に意味のない条件戦では、ここが鍵になってくるのだ。

東1局1本場、まずは2巡目に親の前原が中を仕掛ける。

五万六万六万二索六索三筒五筒七筒七筒白発中中  ドラ三筒  中打たれる

前原にしてはやや遠い仕掛けであるが、ここは他家への牽制の意味もあったか。
この仕掛けによって好牌を引き入れたのが、南家の荒。

七万七万三索四索五索七索七索七索二筒三筒四筒六筒六筒

6巡目にタンヤオ、ドラ1のテンパイ。
前原の仕掛けによって入ったテンパイということで、即リーチの手もあるところだが、荒は変化を待ってヤミテンに構える。すると前原が瞬く間に3フーロで追いつく。

三筒五筒七筒七筒  ポン六万 上向き六万 左向き六万 上向き ポン発発発 ポン中中中

荒にとっては肝を冷やす展開となったが、結果はこのまま押し切った荒の粘り勝ち。
七万を引いて、1,000・2,000は1,100・2,100のアガリとなった。

荒は続く東2局、親で先制リーチを打つ。
アガリこそ奪えなかったが、1人テンパイで持ち点を36,300に伸ばす。
この親番が勝負と見たか、荒はその1本場で果敢に仕掛ける。

一万一万二万二万六万九万九万五索二筒六筒南北中  ドラ中この手牌から、西家の藤崎が一打目に切った一万をポンである。およそ荒の麻雀からは想像し難い仕掛けだ。
ただ、間違いなく圧力にはなる。ドラが中であることも大きい。
アガリに結びつかなくても、数ある字牌が打ち切れず、相手が手を曲げてくれるケースも十分に考えられるからだ。それで流局連荘となっても御の字の構えである。

8巡目、まずテンパイを果たしたのが南家・瀬戸熊。

三万四万六万八万三索三索三筒四筒五筒六筒七筒八筒中  ツモ七万

仮にここで場に生牌の東なり、白なりを持ってきていたなら、いかな瀬戸熊でもブレーキを踏んだことだろう。それこそが荒の目論む展開だったはずだが、この七万引きはゴーサイン。
瀬戸熊はドラを叩き切ってテンパイを組む。そして次巡、荒も追いつく。

二万二万六万六万南南中  ポン九万 上向き九万 上向き九万 左向き  ポン一万 上向き一万 左向き一万 上向き  ツモ南ホンイツ、トイトイで親満のテンパイだ。
瀬戸熊は、前原、荒が中を合わせてきたことを見てツモ切りリーチに出る。
荒は瀬戸熊から直撃を取れれば、この半荘一気に突き抜ける。
さぁ、大事な勝負所である。

同巡、西家・藤崎にもテンパイが入る。

四万五万八万八万八万四索四索六筒七筒八筒西西西

点数こそ安いものの、藤崎にとってもここでアガれれば、浮上のきっかけを掴めるかもしれない。
誰がアガリを奪うのか、非常に見応えのある一局となったが、ここを制したのは瀬戸熊。
荒から五万で、価値ある3,900(1本場で4,200)をものにした。

このアガリを見た限り、今回も瀬戸熊がポイントを伸ばしそうな予感もあったが、東4局1本場、ここまで息を潜めていた親の藤崎が値千金のアガリをものにする。

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ドラ3の勝負手だった瀬戸熊から、7,700は8,000の直撃である。
藤崎は流局を挟んだ東4局3本場でも、これぞ藤崎という打ち回しを見せる。

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荒のリーチ、そしてやや気配は読み辛いが、瀬戸熊の満貫テンパイを掻い潜っての価値あるアガリである。
11巡目、瀬戸熊の二索に微動だにせず六筒を引き入れたことも大きかった。
藤崎はこの半荘、7回戦目にして待望のトップを手にした。

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藤崎智プロ

願わくば1人浮きのトップを取りたいところであったが、オーラスの攻防がまた面白かった。

動画再生

※第29期鳳凰位決定戦全20回戦は、こちらの動画サイトから視聴することが出来ます。
(一部有料)

荒と前原は1,000点のアガリで浮きに回るという非常に大切な局面。
というのももちろん、瀬戸熊が大きく沈んだラス目だからである。
藤崎にとっても、大きく得点を稼げるチャンスだけに、このラス親は簡単には終わらせたくないところだ。
反対に瀬戸熊にとっては、自らがアガってトータルラス目の藤崎に、1人浮きのトップを取ってもらった方が有難い場面。

4者がそれぞれの思惑を抱えて打ち合ったこのオーラス。制したのは南家の前原だった。
親の藤崎がピンズのホンイツ模様のところに、二筒四筒と被せ、裏目の三筒を持ってきたところで、ソーズのリャンメンターツを払って行く。
後に、「山に濃いのがピンズと思った。」と語った通り、四筒二筒と引き返してのテンパイ、そしてアガリはさすがの一言である。

この7回戦、遂に瀬戸熊が沈んだ。そして、トータルでも前原が上に立った。
藤崎がトップを取ったこともあり、戦いはまだまだ予想の付かないものになって行く。

7回戦成績
藤崎+23.2P  前原+6.3P  荒▲4.4P  瀬戸熊▲25.1P

7回戦終了時
前原+39.4P  瀬戸熊+24.7P  荒▲10.5P  藤崎▲53.6P

 

8回戦(起家から、藤崎・瀬戸熊・前原・荒)

東1局、まずは荒が軽快にアガリを取る。

五万五万五万五索六索七索八索五筒六筒七筒七筒八筒九筒  リーチ  ロン八索  ドラ五索

ドラがトイツの勝負手だった瀬戸熊から、2,600の出アガリである。
続く東2局は、前回のトップで勢いに乗りたい藤崎が、気配のない七対子をビシッと仕留める。

一万一万八万八万五索五索三筒四筒四筒五筒五筒六筒六筒  ロン三筒  ドラ三筒

これに刺さったのは、またも瀬戸熊。

二万二万四万四万九万九万二索二索四索四索四索三筒四筒  ツモ二索

ツモり四暗刻の1シャンテンとなったところでの放銃だけに、いたしかたないところだが、連続放銃はどうも具合が悪い。

これを見て3者は、間違いなく瀬戸熊の喉元を喰らいにくるはずだ。
瀬戸熊からすれば、7回戦から続く悪い流れを早く断ち切りたいところである。

東3局、その瀬戸熊が5巡目に絶好のカン三万を引き入れてリーチ。

二万三万四万五索六索七索五筒五筒南南北北北  ドラ二万

南は1枚切れているが、山に3枚残りなら十分の受けだろう。
その3枚が誰の手にも吸収されぬまま12巡目、藤崎が追いつく。

五万一索三索三索四索四索五索五索六索六索七索八索九索  ツモ六万

不満を言えばキリのないテンパイではあるが、ここは瀬戸熊を叩くチャンスである。
藤崎は少考の後、打一索でリーチの決断を下す。
親の前原にもピンフのテンパイが入っており、今後の趨勢を占う大切な一局だったが、ここは瀬戸熊が意地を見せて、藤崎から五筒で5,200を討ち取る。

そしてこの8回戦、最も盛り上がりを見せたのが東4局1本場である。

動画再生

※第29期鳳凰位決定戦全20回戦は、こちらの動画サイトから視聴することが出来ます。
(一部有料)

前原のテンパイ、

二筒二筒七筒八筒  ポン発発発 チー六万 左向き四万 上向き五万 上向き ポン白白白

藤崎のテンパイ、

四筒四筒九筒九筒九筒北北  ポン南南南  ポン中中中

そして荒の親リーチ。

二万三万四万七万八万九万三索五索五索五索五筒六筒七筒  リーチ

これらを受けた瀬戸熊の手が以下である。

二万三万四万三索三索六索七索八索九索一筒二筒三筒八筒  ツモ四索

私なら間違いなく三筒を抜く。決して割って入ることなくベタオリを選択する。
だが、この男の下した決断は違う。
一歩間違えば、とんでもない大怪我をするような場面でも、頭から突っ込んで行く。
出アガリも効かず、分が悪い勝負であっても果敢に戦いを挑んで行くのだ。

「ここをもしアガリ切ることが出来たら、自分の流れになると思った。」

瀬戸熊はそう述懐した。
確かに瀬戸熊が、こういうギリギリの局面で役なしのヤミテンを貫き通し、アガリを奪ってブレークする場面は、私も何度となく目にしてきた。
瀬戸熊の言うところの「しっかり戦う」とは、全20回戦を見据えた上で、自分から背中を見せるようなことはしないということの表れなのかもしれない。
結果こそ、前原の2,000・3,900のツモアガリとなったが、瀬戸熊の鳳凰に対する強い意志を感じさせるには、十分過ぎる一局だった。

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瀬戸熊直樹プロ

南場に入ると、まずは親の藤崎が1,300オールのツモアガリ。

四筒五筒六筒六筒七筒八筒九筒九筒白白  チー二筒一筒三筒  ツモ九筒

供託も含めてわずかながら前原をかわす。
藤崎連荘となった南1局2本場、西家の前原が8巡目のリーチ。

二万三万四万二索三索二筒三筒四筒東東東西西  リーチ  ドラ九索

11巡目、連続でのラスは避けたい瀬戸熊も追いつく。

五万六万七万七索八索八索九索九索一筒一筒五筒六筒七筒

こちらは直前、前原に七索を打たれたこともあり、当然のヤミテンとする。
しかし、決着は早かった。
12巡目、瀬戸熊が前原にとっての高目を掴んで、5,200は5,800の打ち込み。
この放銃で瀬戸熊の持ち点は16,400。ヘタをすれば、6回戦まで積み上げたポイントがたった2回で帳消しとなってしまう可能性も出てきてしまった。瀬戸熊にとってはここが踏ん張りどころである。

迎えた親番、かなりの好配牌をもらうも、他家の九種九牌で流局。
続く1本場は、丁寧に手牌をまとめて、終盤藤崎からピンフの出アガリ。
そして2本場、今度は8巡目のリーチだ。

一万二万三万五索六索七索二筒三筒四筒五筒五筒六筒七筒  リーチ  ドラ八筒

瀬戸熊の長所は、とにかく徹底した攻めの姿勢にある。
ここからは私の主観で、合っているかはわからない。
ただ、恐らく瀬戸熊は、攻め続けることで、微妙に揺れ動く精神のバランスを保とうとしているのではないだろうか。
そして、その方法論を取り始めてから、タイトル戦の勝率をグンと上げたような気がする。

「攻撃は最大の防御なり」

私が好きな言葉である。そしてまた、瀬戸熊の麻雀にもぴったりな言葉である。
今局、瀬戸熊はラス牌の八筒を引きアガった。
3本場で親は落とされたが、続く南3局では、前原から非常に価値ある直撃を取る。

houou

後に前原はこの放銃を猛省していた。
「あそこはしっかり瀬戸熊を沈めておかなければならない半荘だった。仕掛けが早過ぎたんだろう。」
オーラスこそ前原は、荒から1,000点をアガって浮きをキープするが、瀬戸熊を浮きに回らせてしまった現実は、今後の展開を大きく左右させるものとなったのだった。

8回戦成績
藤崎+10.1P  瀬戸熊+4.8P  前原+2.3P  荒▲17.2P

8回戦終了時
前原+41.7P  瀬戸熊+29.5P  荒▲27.7P  藤崎▲43.5P

 

9回戦(起家から、藤崎・前原・瀬戸熊・荒)

7、8回戦と藤崎が連勝を飾り、ようやくその実力の片鱗を見せ始めた。
藤崎としては、できればこの2日目で負債を帳消しにしたいところだ。

逆に、悪い展開が続くのが、4回戦以降全てマイナスの荒である。
荒にとっても、どこかで歯止めを利かせなければ、優勝争いから取り残されてしまう。
数字自体は大きな凹みではないものの、それ以上に雰囲気の悪さを感じてしまうのは私だけだろうか。

東2局、まず幸先のいいスタートを切ったのが瀬戸熊。

一万二万三万六索七索八索四筒四筒九筒九筒  ポン中中中  ツモ四筒  ドラ四筒

荒のリーチも勝負手だっただけに、このアガリの持つ意味は点棒以上に大きい。

四万五万六万五筒六筒東東東南南白白白

これで気を良くしたか、瀬戸熊は続く親でも隙なく一色手を仕上げる。

三万三万三万五万六万七万七万七万八万九万  加カン東東東東  ツモ四万  ドラ中この4,000オールで持ち点は50,000点を越えた。
こうなれば瀬戸熊の更なる目標は、自身の加点と共に、8回戦までトータルトップの前原をいかに沈めるかである。

こういった長い戦いでは、誰しも好不調の波はある。
好調時にライバルとの差をいかに詰め、いかに広げるか。
最終日を見据えれば、これは必ず大きなプラスとなって返ってくるのである。

東3局1本場は瀬戸熊の1人テンパイ。
そして続く東3局2本場、瀬戸熊にとっては願ったり叶ったりのアガリが飛び出す。

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自らの加点ではないものの、放銃したのが前原となれば、これは次善手ということが言える。

東4局1本場には、荒が久々のアガリで浮上のきっかけを掴む。

三索四索五索六索七索八索一筒一筒一筒東東白白  リーチ  ツモ白  ドラ中続く東4局2本場は、瀬戸熊が1,000・2,000のアガリ。

三万四万五万九万九万五索五索五索一筒二筒三筒六筒七筒  リーチ  ツモ五筒  ドラ三筒

なんとなく、なんとなく、前原包囲網の構図が出来上がりつつある。
そして南1局、藤崎が得意のヤミテンで前原を仕留める。

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10巡目、藤崎がテンパイを果たすと同時に、荒がそのTを掴む。
場面の不穏な空気を既に察知している荒は、その手前で受けに入っているからこれが止まる。
一方で、なんとか挽回を図りたい前原は、追い込まれている分だけギリギリまで攻め込んでしまう。
藤崎の捨て牌がわかりづらいこともあったが、前原にとっては痛恨の放銃となってしまった。
これによって前原は、遂に箱を割る。
この時点で3者が浮いているため、焦点はここから誰が飛躍を遂げるかということに移されるはずだった。

ところが、である。やはり前原はただでは死なない男だった。

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前原雄大プロ

この9,600放銃の後、1本場で500・1,000をツモアガると、次局の親では7巡目にこのリーチ。

八万八万八万一索二索三索三筒三筒三筒六筒六筒南南  リーチ  ドラ二万

藤崎が果敢に被せてピンフ、ドラ2の追いかけリーチを放つも、山に4枚残りのこの受けが勝り、しっかりと南を手繰り寄せた。

するとその1本場では、これぞ前原と言わんばかりのリーチ。

六万七万八万一索二索三索四索五索七索八索九索北北  リーチ  ドラ北

高目でアガれば一気にプラスの世界へ転じることもあり、前原にとっては非常に大事な一局だったが、ここは藤崎が丁寧に捌く。

三万三万四万四万六万六万五索七索七索八索八索中中  ツモ五索

藤崎は、瀬戸熊の親でもしっかりピンフをツモってこの半荘の2着をキープ。
前日とは打って変わり、ヤミテン主体の藤崎らしいアガリが随所で見られるようになってきた。

そして9回戦オーラス、結果は瀬戸熊が前原に満貫を打ち上げるのだが、ここも賛否両論分かれるところではないだろうか。

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ポイント状況からすれば、このドラは打たないことの方が得策のように思える。
ただ瀬戸熊にしてみれば、前原を叩けるチャンスでもあるし、ここでオリを選んでことで、自分の型が崩れる方を嫌ったのかもしれない。
ひとつ言えるとすれば、瀬戸熊がこの一局面を見ているのではなく、もっと先を睨んでの打牌であるということは間違いない。

9回戦成績
瀬戸熊+18.8P  藤崎+10.3P  荒▲9.1P  前原▲20.0P

9回戦終了時
瀬戸熊+48.3P  前原+21.7P  藤崎▲33.2P  荒▲36.8P

 

10回戦(起家から、前原・荒・藤崎・瀬戸熊)

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どうも荒の調子が上がってこない。いや、見ている者を魅了する場面は数多くある。
この東1局もそうだ。11巡目、荒は以下の形でテンパイ。

三万五万七万七万四索五索二筒三筒四筒四筒五筒六筒南  ツモ三索  ドラ三万

三筒引きや五筒引き、或いはドラの三万引きなど、優秀な変化形があるため、ここはヤミテンを選択。
この時点で親の前原の手牌は以下。

三万四万五索六索七索七索九索六筒六筒八筒八筒北北

ここに七筒五索六索と連続して引き入れ、14巡目にはテンパイ。

三万四万五索五索六索六索七索七索六筒七筒八筒北北

これを一度はヤミテンに構えるが、次巡、前原はツモ切りリーチに打って出る。
それを受けた南家・荒のツモが二万

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もしこれが瀬戸熊や前原だったら、どんな選択をしたのだろう。
荒が少考に入った瞬間、そんなことが頭をよぎる。

この手だったら…
そう思いながら目を落とした瞬間、荒はスッと現物の三索を抜いた。

「やっぱ、この人はすげーわ。」この胆力は一体どこからくるのだろう。
これだけマイナス街道が続いても、ひたすら我慢し続けられるその精神力に、私は感動すら覚えた。

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荒正義プロ

「勝負はまだ長いということなんだな。」
でも、だからこそ、受けの場面でなく、今度は攻めに転じる荒の姿を見たくなるのは私だけではないはずだ。昨年の勝ち方が強く印象に残っているだけに、ここからの巻き返しを期待したいところだ。

東2局1本場、珍しい場面に遭遇する。

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前原が2フーロしているところから、上家瀬戸熊の白に大明カンを入れたのである。
これも普段のプロリーグならまず見られない光景だが、頭獲りならではの戦術ということが言えるかもしれない。
前原がこれをリンシャンから引きアガれば、瀬戸熊の責任払いとなり、5,200か6,400の直取りを果たせるチャンスだからである。

結果は、荒が前原に放銃となるのだが、これが後に新たな火種を生むきっかけになるとは誰も知る由がなかった。

まずは東4局1本場、終局間際の牌譜をご覧いただこう。

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この三索に前原がチーを入れ、ドラの四筒を切る。
いつもの前原なら考えられないような仕掛けと言ってもいい。
先に挙げた大明カンもそうだし、どことなく勝負を急いでいる感が否めないのだ。

このチーで、親の瀬戸熊にハイテイが流れ、テンパイを入れさせてしまう。
私だったら、これだけで次局が不気味でしかない。
やはり本来ないはずの1局というのは、もう何が起こっても不思議ではないからである。

二万三万四万三索四索六索七索八索一筒二筒三筒五筒五筒  ロン二索  ドラ北

瀬戸熊のこのアガリだって当然なかったし、3本場でのこの配牌だってあるはずがないのだ。

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4巡目、瀬戸熊は白のポンテン。

四索五索三筒三筒四筒四筒四筒六筒六筒六筒  ポン白白白  ドラ六筒

一方、南家の前原は以下の形から八索をチー。

二索三索七索八索八索九索六筒東東発  ポン南南南

そして打六筒。これに瀬戸熊が、先ほどのお返しとばかりに大明カンを入れる。
瀬戸熊と前原にとっては、既に2人の戦いに入っているのだろう。
ここまで激しく互いが互いを意識し合った戦いを、私は見た記憶がない。
まさにノーガードの殴り合いである。

四索五索三筒三筒四筒四筒四筒  大明カン六筒 上向き六筒 上向き六筒 上向き六筒 左向き  ポン白白白  ツモ三索

「瀬戸熊が突き抜けるんだろうな」
このアガリが出た瞬間、誰もがそう思ったに違いない。
ところがそれをさせなかったのが、目下のライバル前原である。
正直、この展開なら連続ラスもあるな、と私は見ていた。
そして前原にもその覚悟は出来ていたように思う。

しかし南2局、突然のようにこんな配牌がやってきて、

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あっという間にアガリをさらってしまうのだから、麻雀とはわからないものである。

三索四索五索一筒一筒一筒二筒三筒三筒四筒  ポン中中中  ツモ五筒  ドラ一筒

藤崎の親番でもそうだ。

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満貫というものは、こんなにあっさり決まるものなのだろうか。
いい表現が見つからないが、とにかく前原の生命力には感心させられるばかりである。

10回戦成績
瀬戸熊+24.2P  前原+8.9P  藤崎▲13.8P  荒▲19.3P

10回戦終了時
瀬戸熊+72.5P  前原+30.6P  藤崎▲47.0P  荒▲56.1P

 

これで全日程の半分を消化したことになる。依然トップを快走するのは瀬戸熊直樹。
「昨日はよく眠れた。」と試合前に語っていた通り、懸念材料もなく、初日同様満足のいく内容だったように感じた。

一方、トータルラスに落ちたのが前年度王者の荒正義。
これだけのポイント差を捲るとなれば、3日目からはかなり前掛かりとなって攻め込まねばならない。

トータル2着は前原雄大。
初日からの上積みはわずか2.0Pで、後半はやや危なっかしさも見受けられた。
しかし、瀬戸熊を叩かないことには逆転もない。3日目もこの戦い方を貫いてくることが予測される。

そしてトータル3着が藤崎智。
マイナスを10.0P減らしたものの、やはり優勝を狙うには3日目の成績が大きく物を言う。
もし3日目も瀬戸熊が数字を伸ばすようなことがあれば、3者共に優勝の可能性はかなり厳しくなると言っていい。

勝負は6日後。各人がどんな戦略を練ってくるのか。
非常に楽しみである。

プロリーグ(鳳凰戦)決勝観戦記/第29期鳳凰位決定戦 二日目観戦記

「寝ることも戦いである。」
決定戦直前、瀬戸熊直樹はそう語った。
2005年、瀬戸熊は自身初の鳳凰位決定戦に臨み、最終戦まで優勝争いに絡みながら、最後は3着に散った経験を持つ。その最終日、道中で意識朦朧とした瞬間があって、それがどうしても許せなかったのだそうだ。
当時の決定戦は18回戦で、連続する3日間で6回ずつ戦う方式が取られていた。
実際戦ったことのある者にしかわからないが、その期間の体調、意識を含めた自己管理たるや、かなりシビアなものとなるのだろう。
もちろんその中には睡眠も含まれる。神経が昂ぶった状態では、当然眠りにつくまでの時間も掛かるし、眠りにつけたとしても、それはほとんどの場合浅いものでしかない。
これに関しては荒も同じようなことを言っているし、前原も「良い睡眠」という言葉をよく口にする。
瀬戸熊が、どれほどの苦しみを背負ってそのときの鳳凰位決定戦を戦っていたのか、それは本人にしか知る余地がない。ただ、冒頭の言葉は、そのときの経験が教訓になってのものであるということは間違いないだろう。
鳳凰位決定戦は、昨年からニコ生放送との兼ね合いもあって、全20回戦、4日制となった。
しかも初日、2日目を連続して戦った後、3日目まではほぼ1週間の時間的猶予を与えられる。
これは選手にとって、体調を管理する上でも非常に大きな休養期間と言ってもいい。
個々の持っているパフォーマンスを十分に発揮するためには、やはり心身の疲労がネックになってくる。
これくらいの期間があれば、そういった不安は拭い去れるだろうし、細かいゲームプランの立て直しだって図れる。
まずはこの2日目、各者がどのポジションで折り返せるか、荒の起家で6回戦がスタートした。

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6回戦(起家から、荒・前原・藤崎・瀬戸熊)
この日の開局を制したのは、初日トップの瀬戸熊。
二万三万四万九万九万一索二索一筒二筒三筒発発発  ツモ三索  ドラ三筒
わずか6巡での仕上がりである。
一手変わればヤミテンでも跳満の手だったが、リードする瀬戸熊にとっては何ら不満のないアガリだ。
ここからいかに得点を積み上げていくか、それが肝心なのである。
続く東2局は、親の前原が2局続けての1人テンパイで、本場を積む。
そして2本場で瀬戸熊をかわす。
一索一索一索七索八索九索二筒三筒四筒七筒八筒西西  リーチ  ツモ六筒  ドラ九万
この後は流局が続き、5本場となったところで瀬戸熊が親を迎える。
そして6巡目でのリーチ。
一万二万三万四索五索六索三筒四筒五筒六筒七筒九筒九筒  リーチ  ドラ三筒
終局間際、これを引きアガって2,600は3,100オール。
この東場を見ただけでも、初日調子の良かった瀬戸熊、前原がレース展開を引っ張って行くであろうことが予測できる。一方の荒、藤崎としては、これ以上2人に好き勝手させたくないところだ。
続く東4局6本場、まずは藤崎の配牌をご覧いただこう。
二万二万二万三万六万七万八万四索六索四筒六筒七筒白  ドラ四索
ここまでの点棒が21,400であるから、この手はどうにか高く仕上げたい。
そして24,100持ちである荒の5巡目の手牌が以下。
一万二万三万六万七万八万九万五索五索七索五筒六筒七筒
こちらも、一通や678の三色など、高打点の可能性を多分に秘めた手牌である。
瀬戸熊の手牌の進行具合からいっても、この局はどちらかのアガリが濃厚だなと思って見ていると、そこに立ちはだかったのが西家の前原。
六索六索三筒四筒五筒五筒八筒八筒九筒九筒南西西
6巡目、七対子の1シャンテンから荒の切った西に動き、ピンズのホンイツへ向かう。
前原の仕掛けで、ドラの指示牌が埋まった瀬戸熊の手牌は以下。
五万五万七万九万二索四索六索七索八索八筒九筒中中  ツモ三索
瀬戸熊の選択は、ピンズのペンター払いだ。前原は当然これを仕掛ける。
八筒九筒と両方鳴けて、あっという間のテンパイ一番乗りである。
三筒四筒五筒五筒  ポン九筒 上向き九筒 左向き九筒 上向き  ポン八筒 上向き八筒 左向き八筒 上向き  ポン西西西
これに即捕まったのが南家の荒。
前原が3フーロしているとは言え、ここからベタオリを決め込むわけにもいかず、二筒で3,900は5,700の手痛い放銃となってしまった。
南場に入っても、荒、藤崎には辛い展開が続き、各々の親は上積みなく流されてしまう。
その後、荒はどうにか2度のアガリを取るが、いずれも安手。
藤崎に至っては、結局この半荘ノー和了で終わってしまう。
いや、藤崎にもチャンスはあった。
二索三索四索六索七索八索西中中中  ポン東東東  ドラ二索
南1局1本場、荒の親で13巡目にこのテンパイ。
16巡目には五索を引いて、ノベタンの三メンチャンへと変化を遂げる。
巡目も深く、残りツモは2回であったが、この時点で二索五索八索は山に5枚も生きていた。
しかし、これを阻止したのが南家の前原。
五万六万七万二筒二筒五筒六筒 ポン四筒 左向き四筒 上向き四筒 上向き ポン八万 上向き八万 上向き八万 左向き ツモ七筒
こちらは実に8枚目の四筒七筒である。
残り枚数で勝負は決まらないとは言え、この局の結末にはさすがに藤崎もガックリ肩を落としたことだろう。
終わってみれば、前原が前日の4回戦から数えて3連勝。いや、それだけではない。
この3回の並びが全て同じなのである。つまりは、藤崎が3ラスを喰ったということである。
過去の鳳凰位決定戦において、このポイントから優勝を勝ち取った人間を私は知らない。
だが、今期のプロリーグで一度も首位の座を明け渡さなかった男が、このままズルズルマイナスを重ねていくのは、本人も、そしてファンも納得しないはず。
「負けている人間を応援したくなるのが日本人の気質」と藤崎は話していたが、
それでも状況はかなり逼迫していると言っていい。
6回戦成績
前原+19.5P  瀬戸熊+10.2P  荒▲9.9P  藤崎▲19.8P
6回戦終了時
瀬戸熊+49.8P  前原+33.1P  荒▲6.1P  藤崎▲76.8P
 
7回戦(起家から、前原・荒・瀬戸熊・藤崎)
今回のメンバーが決まったとき、「やってみなければ、どうなるかわからない。」と前置きした上で、荒はこうも付け加えた。
「恐らくは前原、瀬戸熊の叩き合いになるだろうから、そこで弱った方を潰しに掛かる手は当然考えている。」
ここまでは荒にとって、ある種読み通りの展開と言えるのだろうが、問題はその両者がポイントを伸ばしていることである。
いずれ、その大勢は崩れてくるとしても、早く手を打たなければ、手遅れになるケースも十分に考えられる。
藤崎にしてもそうだ。
仮にマイナスが100を超えるようなことになれば、その時点で優勝はなくなったと見ていいだろう。
マイナスの小さな荒はともかく、藤崎にとってはここからが正念場なのである。
東1局、まずは親の前原が4巡目にテンパイ。
次巡、八索を引いたところでリーチと打って出る。
一万二万三万四索五索六索六索七索八索八索六筒七筒八筒  リーチ  ドラ七筒
7巡目、瀬戸熊も追いついてこちらもリーチ。
一索二索三索三索三索五索六索七索四筒五筒八筒八筒八筒  リーチ
初日からとにかくこの構図が続く。
荒にしてみれば、打ち合いを望むところなのだろうが、なかなかそういう展開になってくれない。
麻雀は自分1人の力ではどうにもし難い部分がたくさんある。
上位2人のポイントを削るために、その2人の力を上手く利用する。
確かにこれも合理的な戦術である。
この局の結末は11巡目、瀬戸熊が五索を掴んで、前原に5,800の放銃となった。
これで荒、藤崎にとっては、上位とのポイントを大きく詰めうるお膳立てが出来た。
トータルトップの瀬戸熊を沈めた状態で、いかに自らが得点を伸ばせるか。
優勝以外に意味のない条件戦では、ここが鍵になってくるのだ。
東1局1本場、まずは2巡目に親の前原が中を仕掛ける。
五万六万六万二索六索三筒五筒七筒七筒白発中中  ドラ三筒  中打たれる
前原にしてはやや遠い仕掛けであるが、ここは他家への牽制の意味もあったか。
この仕掛けによって好牌を引き入れたのが、南家の荒。
七万七万三索四索五索七索七索七索二筒三筒四筒六筒六筒
6巡目にタンヤオ、ドラ1のテンパイ。
前原の仕掛けによって入ったテンパイということで、即リーチの手もあるところだが、荒は変化を待ってヤミテンに構える。すると前原が瞬く間に3フーロで追いつく。
三筒五筒七筒七筒  ポン六万 上向き六万 左向き六万 上向き ポン発発発 ポン中中中
荒にとっては肝を冷やす展開となったが、結果はこのまま押し切った荒の粘り勝ち。
七万を引いて、1,000・2,000は1,100・2,100のアガリとなった。
荒は続く東2局、親で先制リーチを打つ。
アガリこそ奪えなかったが、1人テンパイで持ち点を36,300に伸ばす。
この親番が勝負と見たか、荒はその1本場で果敢に仕掛ける。
一万一万二万二万六万九万九万五索二筒六筒南北中  ドラ中この手牌から、西家の藤崎が一打目に切った一万をポンである。およそ荒の麻雀からは想像し難い仕掛けだ。
ただ、間違いなく圧力にはなる。ドラが中であることも大きい。
アガリに結びつかなくても、数ある字牌が打ち切れず、相手が手を曲げてくれるケースも十分に考えられるからだ。それで流局連荘となっても御の字の構えである。
8巡目、まずテンパイを果たしたのが南家・瀬戸熊。
三万四万六万八万三索三索三筒四筒五筒六筒七筒八筒中  ツモ七万
仮にここで場に生牌の東なり、白なりを持ってきていたなら、いかな瀬戸熊でもブレーキを踏んだことだろう。それこそが荒の目論む展開だったはずだが、この七万引きはゴーサイン。
瀬戸熊はドラを叩き切ってテンパイを組む。そして次巡、荒も追いつく。
二万二万六万六万南南中  ポン九万 上向き九万 上向き九万 左向き  ポン一万 上向き一万 左向き一万 上向き  ツモ南ホンイツ、トイトイで親満のテンパイだ。
瀬戸熊は、前原、荒が中を合わせてきたことを見てツモ切りリーチに出る。
荒は瀬戸熊から直撃を取れれば、この半荘一気に突き抜ける。
さぁ、大事な勝負所である。
同巡、西家・藤崎にもテンパイが入る。
四万五万八万八万八万四索四索六筒七筒八筒西西西
点数こそ安いものの、藤崎にとってもここでアガれれば、浮上のきっかけを掴めるかもしれない。
誰がアガリを奪うのか、非常に見応えのある一局となったが、ここを制したのは瀬戸熊。
荒から五万で、価値ある3,900(1本場で4,200)をものにした。
このアガリを見た限り、今回も瀬戸熊がポイントを伸ばしそうな予感もあったが、東4局1本場、ここまで息を潜めていた親の藤崎が値千金のアガリをものにする。

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ドラ3の勝負手だった瀬戸熊から、7,700は8,000の直撃である。
藤崎は流局を挟んだ東4局3本場でも、これぞ藤崎という打ち回しを見せる。

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荒のリーチ、そしてやや気配は読み辛いが、瀬戸熊の満貫テンパイを掻い潜っての価値あるアガリである。
11巡目、瀬戸熊の二索に微動だにせず六筒を引き入れたことも大きかった。
藤崎はこの半荘、7回戦目にして待望のトップを手にした。

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藤崎智プロ

願わくば1人浮きのトップを取りたいところであったが、オーラスの攻防がまた面白かった。
動画再生

※第29期鳳凰位決定戦全20回戦は、こちらの動画サイトから視聴することが出来ます。
(一部有料)
荒と前原は1,000点のアガリで浮きに回るという非常に大切な局面。
というのももちろん、瀬戸熊が大きく沈んだラス目だからである。
藤崎にとっても、大きく得点を稼げるチャンスだけに、このラス親は簡単には終わらせたくないところだ。
反対に瀬戸熊にとっては、自らがアガってトータルラス目の藤崎に、1人浮きのトップを取ってもらった方が有難い場面。
4者がそれぞれの思惑を抱えて打ち合ったこのオーラス。制したのは南家の前原だった。
親の藤崎がピンズのホンイツ模様のところに、二筒四筒と被せ、裏目の三筒を持ってきたところで、ソーズのリャンメンターツを払って行く。
後に、「山に濃いのがピンズと思った。」と語った通り、四筒二筒と引き返してのテンパイ、そしてアガリはさすがの一言である。
この7回戦、遂に瀬戸熊が沈んだ。そして、トータルでも前原が上に立った。
藤崎がトップを取ったこともあり、戦いはまだまだ予想の付かないものになって行く。
7回戦成績
藤崎+23.2P  前原+6.3P  荒▲4.4P  瀬戸熊▲25.1P
7回戦終了時
前原+39.4P  瀬戸熊+24.7P  荒▲10.5P  藤崎▲53.6P
 
8回戦(起家から、藤崎・瀬戸熊・前原・荒)
東1局、まずは荒が軽快にアガリを取る。
五万五万五万五索六索七索八索五筒六筒七筒七筒八筒九筒  リーチ  ロン八索  ドラ五索
ドラがトイツの勝負手だった瀬戸熊から、2,600の出アガリである。
続く東2局は、前回のトップで勢いに乗りたい藤崎が、気配のない七対子をビシッと仕留める。
一万一万八万八万五索五索三筒四筒四筒五筒五筒六筒六筒  ロン三筒  ドラ三筒
これに刺さったのは、またも瀬戸熊。
二万二万四万四万九万九万二索二索四索四索四索三筒四筒  ツモ二索
ツモり四暗刻の1シャンテンとなったところでの放銃だけに、いたしかたないところだが、連続放銃はどうも具合が悪い。
これを見て3者は、間違いなく瀬戸熊の喉元を喰らいにくるはずだ。
瀬戸熊からすれば、7回戦から続く悪い流れを早く断ち切りたいところである。
東3局、その瀬戸熊が5巡目に絶好のカン三万を引き入れてリーチ。
二万三万四万五索六索七索五筒五筒南南北北北  ドラ二万
南は1枚切れているが、山に3枚残りなら十分の受けだろう。
その3枚が誰の手にも吸収されぬまま12巡目、藤崎が追いつく。
五万一索三索三索四索四索五索五索六索六索七索八索九索  ツモ六万
不満を言えばキリのないテンパイではあるが、ここは瀬戸熊を叩くチャンスである。
藤崎は少考の後、打一索でリーチの決断を下す。
親の前原にもピンフのテンパイが入っており、今後の趨勢を占う大切な一局だったが、ここは瀬戸熊が意地を見せて、藤崎から五筒で5,200を討ち取る。
そしてこの8回戦、最も盛り上がりを見せたのが東4局1本場である。
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※第29期鳳凰位決定戦全20回戦は、こちらの動画サイトから視聴することが出来ます。
(一部有料)
前原のテンパイ、
二筒二筒七筒八筒  ポン発発発 チー六万 左向き四万 上向き五万 上向き ポン白白白
藤崎のテンパイ、
四筒四筒九筒九筒九筒北北  ポン南南南  ポン中中中
そして荒の親リーチ。
二万三万四万七万八万九万三索五索五索五索五筒六筒七筒  リーチ
これらを受けた瀬戸熊の手が以下である。
二万三万四万三索三索六索七索八索九索一筒二筒三筒八筒  ツモ四索
私なら間違いなく三筒を抜く。決して割って入ることなくベタオリを選択する。
だが、この男の下した決断は違う。
一歩間違えば、とんでもない大怪我をするような場面でも、頭から突っ込んで行く。
出アガリも効かず、分が悪い勝負であっても果敢に戦いを挑んで行くのだ。
「ここをもしアガリ切ることが出来たら、自分の流れになると思った。」
瀬戸熊はそう述懐した。
確かに瀬戸熊が、こういうギリギリの局面で役なしのヤミテンを貫き通し、アガリを奪ってブレークする場面は、私も何度となく目にしてきた。
瀬戸熊の言うところの「しっかり戦う」とは、全20回戦を見据えた上で、自分から背中を見せるようなことはしないということの表れなのかもしれない。
結果こそ、前原の2,000・3,900のツモアガリとなったが、瀬戸熊の鳳凰に対する強い意志を感じさせるには、十分過ぎる一局だった。

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瀬戸熊直樹プロ

南場に入ると、まずは親の藤崎が1,300オールのツモアガリ。
四筒五筒六筒六筒七筒八筒九筒九筒白白  チー二筒一筒三筒  ツモ九筒
供託も含めてわずかながら前原をかわす。
藤崎連荘となった南1局2本場、西家の前原が8巡目のリーチ。
二万三万四万二索三索二筒三筒四筒東東東西西  リーチ  ドラ九索
11巡目、連続でのラスは避けたい瀬戸熊も追いつく。
五万六万七万七索八索八索九索九索一筒一筒五筒六筒七筒
こちらは直前、前原に七索を打たれたこともあり、当然のヤミテンとする。
しかし、決着は早かった。
12巡目、瀬戸熊が前原にとっての高目を掴んで、5,200は5,800の打ち込み。
この放銃で瀬戸熊の持ち点は16,400。ヘタをすれば、6回戦まで積み上げたポイントがたった2回で帳消しとなってしまう可能性も出てきてしまった。瀬戸熊にとってはここが踏ん張りどころである。
迎えた親番、かなりの好配牌をもらうも、他家の九種九牌で流局。
続く1本場は、丁寧に手牌をまとめて、終盤藤崎からピンフの出アガリ。
そして2本場、今度は8巡目のリーチだ。
一万二万三万五索六索七索二筒三筒四筒五筒五筒六筒七筒  リーチ  ドラ八筒
瀬戸熊の長所は、とにかく徹底した攻めの姿勢にある。
ここからは私の主観で、合っているかはわからない。
ただ、恐らく瀬戸熊は、攻め続けることで、微妙に揺れ動く精神のバランスを保とうとしているのではないだろうか。
そして、その方法論を取り始めてから、タイトル戦の勝率をグンと上げたような気がする。
「攻撃は最大の防御なり」
私が好きな言葉である。そしてまた、瀬戸熊の麻雀にもぴったりな言葉である。
今局、瀬戸熊はラス牌の八筒を引きアガった。
3本場で親は落とされたが、続く南3局では、前原から非常に価値ある直撃を取る。

houou

後に前原はこの放銃を猛省していた。
「あそこはしっかり瀬戸熊を沈めておかなければならない半荘だった。仕掛けが早過ぎたんだろう。」
オーラスこそ前原は、荒から1,000点をアガって浮きをキープするが、瀬戸熊を浮きに回らせてしまった現実は、今後の展開を大きく左右させるものとなったのだった。
8回戦成績
藤崎+10.1P  瀬戸熊+4.8P  前原+2.3P  荒▲17.2P
8回戦終了時
前原+41.7P  瀬戸熊+29.5P  荒▲27.7P  藤崎▲43.5P
 
9回戦(起家から、藤崎・前原・瀬戸熊・荒)
7、8回戦と藤崎が連勝を飾り、ようやくその実力の片鱗を見せ始めた。
藤崎としては、できればこの2日目で負債を帳消しにしたいところだ。
逆に、悪い展開が続くのが、4回戦以降全てマイナスの荒である。
荒にとっても、どこかで歯止めを利かせなければ、優勝争いから取り残されてしまう。
数字自体は大きな凹みではないものの、それ以上に雰囲気の悪さを感じてしまうのは私だけだろうか。
東2局、まず幸先のいいスタートを切ったのが瀬戸熊。
一万二万三万六索七索八索四筒四筒九筒九筒  ポン中中中  ツモ四筒  ドラ四筒
荒のリーチも勝負手だっただけに、このアガリの持つ意味は点棒以上に大きい。
四万五万六万五筒六筒東東東南南白白白
これで気を良くしたか、瀬戸熊は続く親でも隙なく一色手を仕上げる。
三万三万三万五万六万七万七万七万八万九万  加カン東東東東  ツモ四万  ドラ中この4,000オールで持ち点は50,000点を越えた。
こうなれば瀬戸熊の更なる目標は、自身の加点と共に、8回戦までトータルトップの前原をいかに沈めるかである。
こういった長い戦いでは、誰しも好不調の波はある。
好調時にライバルとの差をいかに詰め、いかに広げるか。
最終日を見据えれば、これは必ず大きなプラスとなって返ってくるのである。
東3局1本場は瀬戸熊の1人テンパイ。
そして続く東3局2本場、瀬戸熊にとっては願ったり叶ったりのアガリが飛び出す。

houou

自らの加点ではないものの、放銃したのが前原となれば、これは次善手ということが言える。
東4局1本場には、荒が久々のアガリで浮上のきっかけを掴む。
三索四索五索六索七索八索一筒一筒一筒東東白白  リーチ  ツモ白  ドラ中続く東4局2本場は、瀬戸熊が1,000・2,000のアガリ。
三万四万五万九万九万五索五索五索一筒二筒三筒六筒七筒  リーチ  ツモ五筒  ドラ三筒
なんとなく、なんとなく、前原包囲網の構図が出来上がりつつある。
そして南1局、藤崎が得意のヤミテンで前原を仕留める。

houou

10巡目、藤崎がテンパイを果たすと同時に、荒がそのTを掴む。
場面の不穏な空気を既に察知している荒は、その手前で受けに入っているからこれが止まる。
一方で、なんとか挽回を図りたい前原は、追い込まれている分だけギリギリまで攻め込んでしまう。
藤崎の捨て牌がわかりづらいこともあったが、前原にとっては痛恨の放銃となってしまった。
これによって前原は、遂に箱を割る。
この時点で3者が浮いているため、焦点はここから誰が飛躍を遂げるかということに移されるはずだった。
ところが、である。やはり前原はただでは死なない男だった。

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前原雄大プロ

この9,600放銃の後、1本場で500・1,000をツモアガると、次局の親では7巡目にこのリーチ。
八万八万八万一索二索三索三筒三筒三筒六筒六筒南南  リーチ  ドラ二万
藤崎が果敢に被せてピンフ、ドラ2の追いかけリーチを放つも、山に4枚残りのこの受けが勝り、しっかりと南を手繰り寄せた。
するとその1本場では、これぞ前原と言わんばかりのリーチ。
六万七万八万一索二索三索四索五索七索八索九索北北  リーチ  ドラ北
高目でアガれば一気にプラスの世界へ転じることもあり、前原にとっては非常に大事な一局だったが、ここは藤崎が丁寧に捌く。
三万三万四万四万六万六万五索七索七索八索八索中中  ツモ五索
藤崎は、瀬戸熊の親でもしっかりピンフをツモってこの半荘の2着をキープ。
前日とは打って変わり、ヤミテン主体の藤崎らしいアガリが随所で見られるようになってきた。
そして9回戦オーラス、結果は瀬戸熊が前原に満貫を打ち上げるのだが、ここも賛否両論分かれるところではないだろうか。

houou

ポイント状況からすれば、このドラは打たないことの方が得策のように思える。
ただ瀬戸熊にしてみれば、前原を叩けるチャンスでもあるし、ここでオリを選んでことで、自分の型が崩れる方を嫌ったのかもしれない。
ひとつ言えるとすれば、瀬戸熊がこの一局面を見ているのではなく、もっと先を睨んでの打牌であるということは間違いない。
9回戦成績
瀬戸熊+18.8P  藤崎+10.3P  荒▲9.1P  前原▲20.0P
9回戦終了時
瀬戸熊+48.3P  前原+21.7P  藤崎▲33.2P  荒▲36.8P
 
10回戦(起家から、前原・荒・藤崎・瀬戸熊)

houou

どうも荒の調子が上がってこない。いや、見ている者を魅了する場面は数多くある。
この東1局もそうだ。11巡目、荒は以下の形でテンパイ。
三万五万七万七万四索五索二筒三筒四筒四筒五筒六筒南  ツモ三索  ドラ三万
三筒引きや五筒引き、或いはドラの三万引きなど、優秀な変化形があるため、ここはヤミテンを選択。
この時点で親の前原の手牌は以下。
三万四万五索六索七索七索九索六筒六筒八筒八筒北北
ここに七筒五索六索と連続して引き入れ、14巡目にはテンパイ。
三万四万五索五索六索六索七索七索六筒七筒八筒北北
これを一度はヤミテンに構えるが、次巡、前原はツモ切りリーチに打って出る。
それを受けた南家・荒のツモが二万

houou

もしこれが瀬戸熊や前原だったら、どんな選択をしたのだろう。
荒が少考に入った瞬間、そんなことが頭をよぎる。
この手だったら…
そう思いながら目を落とした瞬間、荒はスッと現物の三索を抜いた。
「やっぱ、この人はすげーわ。」この胆力は一体どこからくるのだろう。
これだけマイナス街道が続いても、ひたすら我慢し続けられるその精神力に、私は感動すら覚えた。

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荒正義プロ

「勝負はまだ長いということなんだな。」
でも、だからこそ、受けの場面でなく、今度は攻めに転じる荒の姿を見たくなるのは私だけではないはずだ。昨年の勝ち方が強く印象に残っているだけに、ここからの巻き返しを期待したいところだ。
東2局1本場、珍しい場面に遭遇する。

houou

前原が2フーロしているところから、上家瀬戸熊の白に大明カンを入れたのである。
これも普段のプロリーグならまず見られない光景だが、頭獲りならではの戦術ということが言えるかもしれない。
前原がこれをリンシャンから引きアガれば、瀬戸熊の責任払いとなり、5,200か6,400の直取りを果たせるチャンスだからである。
結果は、荒が前原に放銃となるのだが、これが後に新たな火種を生むきっかけになるとは誰も知る由がなかった。
まずは東4局1本場、終局間際の牌譜をご覧いただこう。

houou

この三索に前原がチーを入れ、ドラの四筒を切る。
いつもの前原なら考えられないような仕掛けと言ってもいい。
先に挙げた大明カンもそうだし、どことなく勝負を急いでいる感が否めないのだ。
このチーで、親の瀬戸熊にハイテイが流れ、テンパイを入れさせてしまう。
私だったら、これだけで次局が不気味でしかない。
やはり本来ないはずの1局というのは、もう何が起こっても不思議ではないからである。
二万三万四万三索四索六索七索八索一筒二筒三筒五筒五筒  ロン二索  ドラ北
瀬戸熊のこのアガリだって当然なかったし、3本場でのこの配牌だってあるはずがないのだ。

houou

4巡目、瀬戸熊は白のポンテン。
四索五索三筒三筒四筒四筒四筒六筒六筒六筒  ポン白白白  ドラ六筒
一方、南家の前原は以下の形から八索をチー。
二索三索七索八索八索九索六筒東東発  ポン南南南
そして打六筒。これに瀬戸熊が、先ほどのお返しとばかりに大明カンを入れる。
瀬戸熊と前原にとっては、既に2人の戦いに入っているのだろう。
ここまで激しく互いが互いを意識し合った戦いを、私は見た記憶がない。
まさにノーガードの殴り合いである。
四索五索三筒三筒四筒四筒四筒  大明カン六筒 上向き六筒 上向き六筒 上向き六筒 左向き  ポン白白白  ツモ三索
「瀬戸熊が突き抜けるんだろうな」
このアガリが出た瞬間、誰もがそう思ったに違いない。
ところがそれをさせなかったのが、目下のライバル前原である。
正直、この展開なら連続ラスもあるな、と私は見ていた。
そして前原にもその覚悟は出来ていたように思う。
しかし南2局、突然のようにこんな配牌がやってきて、

houou

あっという間にアガリをさらってしまうのだから、麻雀とはわからないものである。
三索四索五索一筒一筒一筒二筒三筒三筒四筒  ポン中中中  ツモ五筒  ドラ一筒
藤崎の親番でもそうだ。

houou

満貫というものは、こんなにあっさり決まるものなのだろうか。
いい表現が見つからないが、とにかく前原の生命力には感心させられるばかりである。
10回戦成績
瀬戸熊+24.2P  前原+8.9P  藤崎▲13.8P  荒▲19.3P
10回戦終了時
瀬戸熊+72.5P  前原+30.6P  藤崎▲47.0P  荒▲56.1P
 
これで全日程の半分を消化したことになる。依然トップを快走するのは瀬戸熊直樹。
「昨日はよく眠れた。」と試合前に語っていた通り、懸念材料もなく、初日同様満足のいく内容だったように感じた。
一方、トータルラスに落ちたのが前年度王者の荒正義。
これだけのポイント差を捲るとなれば、3日目からはかなり前掛かりとなって攻め込まねばならない。
トータル2着は前原雄大。
初日からの上積みはわずか2.0Pで、後半はやや危なっかしさも見受けられた。
しかし、瀬戸熊を叩かないことには逆転もない。3日目もこの戦い方を貫いてくることが予測される。
そしてトータル3着が藤崎智。
マイナスを10.0P減らしたものの、やはり優勝を狙うには3日目の成績が大きく物を言う。
もし3日目も瀬戸熊が数字を伸ばすようなことがあれば、3者共に優勝の可能性はかなり厳しくなると言っていい。
勝負は6日後。各人がどんな戦略を練ってくるのか。
非常に楽しみである。

第7期女流桜花優勝特別インタビュー:魚谷侑未

 

『ああいう子は強くなるよ。』

約3年前、会場で同卓者に牌のさらし方の間違いを指摘している女の子がいた。
その姿を見て、隣で観戦していた人がこうつぶやいた。

芯の強そうな子だなぁ・・その時はそう感じただけだったが、今思えばこの未来を予知していたのかもしれない。

第7期女流桜花決勝、そこには1年前と同じく勝利して涙を流す魚谷プロの姿があった。

1年前よりも一段と強くなって帰ってきた彼女は、まさに“ディフェンディングチャンピオン”の名にふさわしい堂々とした戦いぶりだった。

努力して努力して、我慢を重ねて勝利を勝ち取った彼女が流すまっすぐな涙だからこそ、観る人を感動させるのだろう。

そんな風に思った。

第6期・7期女流桜花&女流モンド杯優勝と今ではすっかり遠い存在になってしまいましたが、そんな女流桜花様と実は同期のわたし、古谷知美が今回インタビュアーを務めさせて頂きます☆

2月某日、居酒屋にて仕事終わりのゆーみん(魚谷プロ)と待ち合わせた。

魚谷『ともちん(わたし)お疲れー!』
古谷『ゆーみんー(^^)』
魚谷『はいこれ(インタビューで使う)ボイスレコーダー借りてきたよ!あとなに飲む?いつも通り梅酒ソーダでいい?あ、すみませーん!(店員さんに向かって)』

・・インタビューされる側なのにこの手際の良さ・・(・。・;
ゆーみんはとってもしっかり者なのです☆

こうして仲良く梅酒のソーダ割りを飲みながらインタビューが始まりました。

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撮影される時も手際がいいです
魚谷侑未プロ
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女流桜花連覇記念
魚谷侑未プロと古谷知美プロ
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魚谷侑未プロと古谷知美プロ
spe25
左から魚谷侑未プロ、齋藤麻衣子プロ、高宮まりプロ

≪女流桜花決勝≫

古谷『ゆーみん、桜花連覇本当におめでとう!!』
魚谷『ありがとうー!!』
古谷『決勝前の優勝者予想では、連覇も期待してゆーみんを本命にしてたんだけど、本当に連覇しちゃうなんて!タイトルとるだけでもすごい事だけど、連覇っていうと本当に実力者って感じだね!』
魚谷『いやいやそんな事ないよ。本当にツイてたなって思う。』
古谷『実は女流桜花のプレーオフを記者として観戦した時に、みんな上手くて強くて、レベルの高さにびっくりしたんだ。でもゆーみんが、今その頂点なんだもんね!』
魚谷『ありがとうございます(照)。』

謙虚な姿勢は女流桜花になる前も、後も、連覇した後もずっと変わらない。

古谷『去年は挑戦者として、今年は現女流桜花として戦ったわけだけど、やっぱり気持ちの面では違った?』
魚谷『実は、決勝の2週間くらい前から、めちゃくちゃ不安になったの。この1年間あった【現女流桜花】の肩書が無くなるかもしれない、無くなる可能性の方が高いって思って。』
古谷『確かに確率でいえば4分の1だもんね。』
魚谷『なんかもう不安でグチャグチャになっちゃってひどかった。だけど3日くらい前に去年の女流桜花のプレーオフ前の気持ちを思い返して、吹っ切れて挑戦者の気持ちで戦おう!って気持ちを立て直せたの。』

タイトルホルダーならではの気持ちなのでしょう。
自分の気持ちの立て直し方までわかっている人は、そういないのではないでしょうか。

魚谷『でも終わった後は本当にツイてたなーって思ったよ。』
古谷『ツイてた・・かな?確かに牌が寄ってきていた局面はあったけど、それはゆーみんがきちんといつも通りの麻雀を打った結果、手繰り寄せたって感じがしたよ。2回戦のスッタンツモとか!』
魚谷『あれね、わたし高い手アガった後に手震えちゃう事がよくあるんだけど、あの時は震えなかったの。スッタンツモっても嬉しくなかった・・いや嬉しかったんだけど、これで優勝できなきゃ意味ないって思っていた。1回戦は1人沈みだったし。』

女流桜花決勝の舞台で四暗刻をアガったら、少しは舞い上がってもいいのに・・どこまで冷静なのだろうか?彼女の強さはこの冷静さにも起因している。

魚谷『でも、最後はあんなに苦しくなるとは思わなかったなぁ・・最終戦が始まる時は、よっぽどの事がない限り、自分が前に出なきゃいけなくなる事はないだろうって思ってたら・・』
古谷『すぐによっぽどの事が起きちゃったわけですね。』
魚谷『そう(苦笑)』

(10回戦開始時に56.8Pあった和久津プロとの点差が、和久津プロの猛烈な追い上げによって一時は捲られ、そこからまたゆーみんが追い抜かし、オーラスは、和久津プロの1,600・3,200ツモ条件という、とても白熱した展開になったのです!)

魚谷『和久津さん本当に強かった・・解説では“捲れらても魚谷プロは全然平気そうですね”なんて言われていたけど、内心はすごい焦ってたよ!でも逆に、もう1回捲られちゃったんだから、自分が前にいくしかないって腹を括れたかな。安牌を持たないで前に出ていくのって、やっぱりすごく怖いんだけど、自分がいかなきゃダメだって。だから腹を括って、南3局では役牌バックで押したの。オーラスでノーテンで伏せられるようにしたかったから。』
古谷『あのアガリはゆーみんらしかったね!オーラスで聞きたかったんだけど、ゆーみんの手牌がドラと役牌がトイツで・・そこから迷わずオリたよね?あの和久津さんの勢いだったら、条件満たしてツモられちゃいそうだから、多少はアガリにむかうのかなー?と思ったんだよね。』
魚谷『んー・・あれはどうだったんだろう?1,600・3,200ツモって、ほとんど満貫条件じゃん?わたし満貫ツモって中々満たせない条件だと思っていて。ああいう状況じゃ、役牌が鳴ける事も期待できないしと思ってそうしたんだけど、でもどうだったのかな?今でもよくわからないかも。』
古谷『(ゆーみんが後でこんなに悩むなんて珍しいかも・・)和久津さんが条件満たしてリーチかけた時はどうだったの?やっぱりドキドキだよね?』
魚谷『もうお祈りだよ!神様っっって!!』
古谷『なんかゆーみんが神様にお祈りって意外かも(^_^.)いつも現実的だから(笑)』

≪女流研修≫

古谷『そういえば、ゆーみんとよく話すようになったのって、女流研修がきっかけだよね。それまではあんまり深く話した事無かったよね・・わたしが人見知りすぎるのがいけないんだけど((笑))』
魚谷『あはは(笑)』
古谷『女流研修は、基礎的な部分を学ぶ事が多いから、わたしはすごく勉強になるんだけど、ゆーみんはもう滝沢さんと山井さんと同じ講師って感じかも。』
魚谷『そんな事ないよ。わたし基本に忠実に麻雀を打とうって心がけてるんだけど、それって実はすごく難しいの。自分でも気づかない内に基本から反れちゃっている部分が研修によって正されるし、他の子に指摘する事で、自分でも再認識する事もできるから、わたしにとっても勉強の場だよ。』
古谷『ふむふむなるほど。』
魚谷『基本に忠実に打って、もっと進化したらそこから自分の個性をつけられると思うの。だから個性がつくのはこれからかな。』
古谷『最速マーメイドって呼び名がつく位だし、もう十分個性的に打てていると思うけどね!』
魚谷『ありがとうございます(照)。』

照れると、ひたすらありがとうございますと連呼する桜花様は、なんだかとっても可愛らしい。

≪これから≫

古谷『女流桜花連覇して女流モンド杯も優勝して・・もうそれだけで素晴らしい経歴だけど、ゆーみんにとってこれからの目標ってある?』
魚谷『うーん目標というか、これからもっと自分がしっかりしなきゃいけないと思う。現状に甘えて満足していたら、後は堕ちるだけだから。努力し続けて、麻雀だけじゃなくて、普段の自分の立ち振る舞いとか行いとかでも、人間的に尊敬してもらえるような人になりたいな。そう思えるのは周りの先輩達のおかげかな。』
古谷『さすが意識が高いね!』
魚谷『あと、タイトルでいうならプロクイーンとりたい!女流桜花と女流モンド杯とプロクイーンとったら三冠にできるからね!』

三冠・・絵空事のような話だけど、ゆーみんが言うとなんだか実現してしまうような気がしてしまう。

【私、よく色んな人に(メンタルが強い)って言われるけど、そんな事全然ないんだよ。本当はちょー弱いし、緊張しいだし、ブレそうになる】

女流桜花決勝の4日前、彼女は自身のブログにこう記している。
それでもわたしは、ゆーみんはやっぱり強い精神力を持っている、強い人だと思う。
そうでなければ、周りからの期待やプレッシャーで押しつぶされそうになった時、50ポイント以上あった点差を和久津プロの凄まじい追い上げで、一時は捲られてしまった時、表情一つ変えずに自分のいつも通りの麻雀を貫く事なんてできない。

真面目で努力家で、とっても謙虚、そして常に上を目指し続けているゆーみん。
こんなプロに、自分もなりたいと思う。

ゆーみん、連覇本当におめでとう!
これからも強くて冷静でカッコいいゆーみんでいつづけてね☆

プロ雀士インタビュー/第7期女流桜花優勝特別インタビュー:魚谷侑未

 
『ああいう子は強くなるよ。』
約3年前、会場で同卓者に牌のさらし方の間違いを指摘している女の子がいた。
その姿を見て、隣で観戦していた人がこうつぶやいた。
芯の強そうな子だなぁ・・その時はそう感じただけだったが、今思えばこの未来を予知していたのかもしれない。
第7期女流桜花決勝、そこには1年前と同じく勝利して涙を流す魚谷プロの姿があった。
1年前よりも一段と強くなって帰ってきた彼女は、まさに“ディフェンディングチャンピオン”の名にふさわしい堂々とした戦いぶりだった。
努力して努力して、我慢を重ねて勝利を勝ち取った彼女が流すまっすぐな涙だからこそ、観る人を感動させるのだろう。
そんな風に思った。
第6期・7期女流桜花&女流モンド杯優勝と今ではすっかり遠い存在になってしまいましたが、そんな女流桜花様と実は同期のわたし、古谷知美が今回インタビュアーを務めさせて頂きます☆
2月某日、居酒屋にて仕事終わりのゆーみん(魚谷プロ)と待ち合わせた。
魚谷『ともちん(わたし)お疲れー!』
古谷『ゆーみんー(^^)』
魚谷『はいこれ(インタビューで使う)ボイスレコーダー借りてきたよ!あとなに飲む?いつも通り梅酒ソーダでいい?あ、すみませーん!(店員さんに向かって)』
・・インタビューされる側なのにこの手際の良さ・・(・。・;
ゆーみんはとってもしっかり者なのです☆
こうして仲良く梅酒のソーダ割りを飲みながらインタビューが始まりました。

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撮影される時も手際がいいです
魚谷侑未プロ
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女流桜花連覇記念
魚谷侑未プロと古谷知美プロ
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魚谷侑未プロと古谷知美プロ
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左から魚谷侑未プロ、齋藤麻衣子プロ、高宮まりプロ

≪女流桜花決勝≫
古谷『ゆーみん、桜花連覇本当におめでとう!!』
魚谷『ありがとうー!!』
古谷『決勝前の優勝者予想では、連覇も期待してゆーみんを本命にしてたんだけど、本当に連覇しちゃうなんて!タイトルとるだけでもすごい事だけど、連覇っていうと本当に実力者って感じだね!』
魚谷『いやいやそんな事ないよ。本当にツイてたなって思う。』
古谷『実は女流桜花のプレーオフを記者として観戦した時に、みんな上手くて強くて、レベルの高さにびっくりしたんだ。でもゆーみんが、今その頂点なんだもんね!』
魚谷『ありがとうございます(照)。』
謙虚な姿勢は女流桜花になる前も、後も、連覇した後もずっと変わらない。
古谷『去年は挑戦者として、今年は現女流桜花として戦ったわけだけど、やっぱり気持ちの面では違った?』
魚谷『実は、決勝の2週間くらい前から、めちゃくちゃ不安になったの。この1年間あった【現女流桜花】の肩書が無くなるかもしれない、無くなる可能性の方が高いって思って。』
古谷『確かに確率でいえば4分の1だもんね。』
魚谷『なんかもう不安でグチャグチャになっちゃってひどかった。だけど3日くらい前に去年の女流桜花のプレーオフ前の気持ちを思い返して、吹っ切れて挑戦者の気持ちで戦おう!って気持ちを立て直せたの。』
タイトルホルダーならではの気持ちなのでしょう。
自分の気持ちの立て直し方までわかっている人は、そういないのではないでしょうか。
魚谷『でも終わった後は本当にツイてたなーって思ったよ。』
古谷『ツイてた・・かな?確かに牌が寄ってきていた局面はあったけど、それはゆーみんがきちんといつも通りの麻雀を打った結果、手繰り寄せたって感じがしたよ。2回戦のスッタンツモとか!』
魚谷『あれね、わたし高い手アガった後に手震えちゃう事がよくあるんだけど、あの時は震えなかったの。スッタンツモっても嬉しくなかった・・いや嬉しかったんだけど、これで優勝できなきゃ意味ないって思っていた。1回戦は1人沈みだったし。』
女流桜花決勝の舞台で四暗刻をアガったら、少しは舞い上がってもいいのに・・どこまで冷静なのだろうか?彼女の強さはこの冷静さにも起因している。
魚谷『でも、最後はあんなに苦しくなるとは思わなかったなぁ・・最終戦が始まる時は、よっぽどの事がない限り、自分が前に出なきゃいけなくなる事はないだろうって思ってたら・・』
古谷『すぐによっぽどの事が起きちゃったわけですね。』
魚谷『そう(苦笑)』
(10回戦開始時に56.8Pあった和久津プロとの点差が、和久津プロの猛烈な追い上げによって一時は捲られ、そこからまたゆーみんが追い抜かし、オーラスは、和久津プロの1,600・3,200ツモ条件という、とても白熱した展開になったのです!)
魚谷『和久津さん本当に強かった・・解説では“捲れらても魚谷プロは全然平気そうですね”なんて言われていたけど、内心はすごい焦ってたよ!でも逆に、もう1回捲られちゃったんだから、自分が前にいくしかないって腹を括れたかな。安牌を持たないで前に出ていくのって、やっぱりすごく怖いんだけど、自分がいかなきゃダメだって。だから腹を括って、南3局では役牌バックで押したの。オーラスでノーテンで伏せられるようにしたかったから。』
古谷『あのアガリはゆーみんらしかったね!オーラスで聞きたかったんだけど、ゆーみんの手牌がドラと役牌がトイツで・・そこから迷わずオリたよね?あの和久津さんの勢いだったら、条件満たしてツモられちゃいそうだから、多少はアガリにむかうのかなー?と思ったんだよね。』
魚谷『んー・・あれはどうだったんだろう?1,600・3,200ツモって、ほとんど満貫条件じゃん?わたし満貫ツモって中々満たせない条件だと思っていて。ああいう状況じゃ、役牌が鳴ける事も期待できないしと思ってそうしたんだけど、でもどうだったのかな?今でもよくわからないかも。』
古谷『(ゆーみんが後でこんなに悩むなんて珍しいかも・・)和久津さんが条件満たしてリーチかけた時はどうだったの?やっぱりドキドキだよね?』
魚谷『もうお祈りだよ!神様っっって!!』
古谷『なんかゆーみんが神様にお祈りって意外かも(^_^.)いつも現実的だから(笑)』
≪女流研修≫
古谷『そういえば、ゆーみんとよく話すようになったのって、女流研修がきっかけだよね。それまではあんまり深く話した事無かったよね・・わたしが人見知りすぎるのがいけないんだけど((笑))』
魚谷『あはは(笑)』
古谷『女流研修は、基礎的な部分を学ぶ事が多いから、わたしはすごく勉強になるんだけど、ゆーみんはもう滝沢さんと山井さんと同じ講師って感じかも。』
魚谷『そんな事ないよ。わたし基本に忠実に麻雀を打とうって心がけてるんだけど、それって実はすごく難しいの。自分でも気づかない内に基本から反れちゃっている部分が研修によって正されるし、他の子に指摘する事で、自分でも再認識する事もできるから、わたしにとっても勉強の場だよ。』
古谷『ふむふむなるほど。』
魚谷『基本に忠実に打って、もっと進化したらそこから自分の個性をつけられると思うの。だから個性がつくのはこれからかな。』
古谷『最速マーメイドって呼び名がつく位だし、もう十分個性的に打てていると思うけどね!』
魚谷『ありがとうございます(照)。』
照れると、ひたすらありがとうございますと連呼する桜花様は、なんだかとっても可愛らしい。
≪これから≫
古谷『女流桜花連覇して女流モンド杯も優勝して・・もうそれだけで素晴らしい経歴だけど、ゆーみんにとってこれからの目標ってある?』
魚谷『うーん目標というか、これからもっと自分がしっかりしなきゃいけないと思う。現状に甘えて満足していたら、後は堕ちるだけだから。努力し続けて、麻雀だけじゃなくて、普段の自分の立ち振る舞いとか行いとかでも、人間的に尊敬してもらえるような人になりたいな。そう思えるのは周りの先輩達のおかげかな。』
古谷『さすが意識が高いね!』
魚谷『あと、タイトルでいうならプロクイーンとりたい!女流桜花と女流モンド杯とプロクイーンとったら三冠にできるからね!』
三冠・・絵空事のような話だけど、ゆーみんが言うとなんだか実現してしまうような気がしてしまう。
【私、よく色んな人に(メンタルが強い)って言われるけど、そんな事全然ないんだよ。本当はちょー弱いし、緊張しいだし、ブレそうになる】
女流桜花決勝の4日前、彼女は自身のブログにこう記している。
それでもわたしは、ゆーみんはやっぱり強い精神力を持っている、強い人だと思う。
そうでなければ、周りからの期待やプレッシャーで押しつぶされそうになった時、50ポイント以上あった点差を和久津プロの凄まじい追い上げで、一時は捲られてしまった時、表情一つ変えずに自分のいつも通りの麻雀を貫く事なんてできない。
真面目で努力家で、とっても謙虚、そして常に上を目指し続けているゆーみん。
こんなプロに、自分もなりたいと思う。
ゆーみん、連覇本当におめでとう!
これからも強くて冷静でカッコいいゆーみんでいつづけてね☆

第21期中部プロリーグ A・B・Cリーグ 第1節レポート

中部リーグレポート

Aリーグレポート:掛水洋徳

21期生の掛水です。
初めてのレポートで拙い文章ですが、半年間のお付き合いよろしくお願いします。
第21期中部プロリーグ第1節、まずは連盟員全員の挨拶も終わり、一斉に対局がスタート。
全節そうだがプラスのスコアを維持し、次節以降を自分のスタイルで戦いたい。
トータルでマイナスでは次第に戦術や戦略面で制限が出てしまうからだ。
そのためか1節目の1回戦は同卓者からいつもより集中力、緊張感が伝わってくる。

1卓は古川・森下・渡辺・鈴木
注目は20期で久しぶりの優勝、鳳凰戦もA1復帰と絶好調の古川。
しかし好発進したのは鈴木、森下であった。
両者がプラスで終わり、古川、渡辺がマイナスとなった。
渡辺は3回戦まで厳しい流れも4回戦で意地のトップで終了。
古川、渡辺とも優勝経験者なので2節以降の挽回に期待したい。

2卓は、村瀬・毛受・寺戸・佐藤
3期連続決勝を狙う村瀬がマイナスとなったが、2、3、4回戦は軽微のマイナスで負けた気がしないだろう。
卓内トップは寺戸で3、1、2、1の+38.1P。
2度目の昇級の佐藤もプラスでまとめ、中部プロリーグ初の女流プロ決勝へ一歩前進、ぜひ頑張って貰いたい。

3卓は伊藤・杉浦・掛水・太田
初のAリーグの太田、1回戦東1局東家スタート。
かなり緊張していたと思うが5本場まで積み、いきなり5万点オーバー、そのまま1回戦トップを取る。
1節を通してもプラスで終わり、まずはノルマをクリアか。
伊藤は終始苦しい展開だったが4回戦のオーラスで一矢報いる。
2,000・3,900をツモり4回戦をプラスで終え、次節に繋がるアガりをした。
昇級組が揃って好スタートを切り、前回決勝組が苦戦をする結果となった。
私は1、2回戦は浮きで、3回戦は大トップ。
しかし4回戦では自分の判断ミスで高打点に放銃、その後も自分の状態を過信し失点を回復しようと前に出ると、3人から集中砲火の箱ラス、無念。

Aリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 日下 健司 71.3 71.3
2 鈴木 基芳 43.2 43.2
3 寺戸 孝志 38.1 38.1
4 森下 剛任 36.3 36.3
5 掛水 洋徳 28.4 28.4
6 山田 優駿 21.6 21.6
7 佐藤 あいり 17.0 17.0
8 太田 充 14.5 14.5
9 杉浦 貴紀 11.6 11.6
10 三戸 亮祐 ▲ 9.9 ▲ 9.9
11 毛受 俊 ▲ 20.3 ▲ 20.3
12 古川 孝次 ▲ 22.6 ▲ 22.6
13 村瀬 寛光 ▲ 34.8 ▲ 34.8
14 伊藤 鉄也 ▲ 54.5 ▲ 54.5
15 渡辺 典夫 ▲ 56.9 ▲ 56.9
16 浅野 文雅 ▲ 83.0 ▲ 83.0

Bリーグレポート:大滝聡

今回、中部プロリーグBリーグのレポート担当を致します24期生の大滝です。
物事を客観的に見る器用さに欠ける為、主観的な内容になってしまうかもしれませんが、
半年間お付き合いの程よろしくお願い致します。

東京では鳳凰位決定戦が行われている中、第21期中部プロリーグが開幕しました。
毎回、開幕戦では恒例である新人プロ5人を含む自己紹介および各選手の挨拶の後対局がスタートした。

その中で、やはり多く耳にしたのは「昇級を目指す。」Aリーグにおいては「決勝選手を目指す。」というものでした。
各自おもうところは、第1節はプラスで終えていいスタートを切りたいということでしょう。今回、私がリーグ戦を迎えるにあたって意識する点としては2点あります。

1つ目は各節、目的をもって取組むという点
2つ目は素点にこだわった打ち方をしようという点です。

当たり前のことではありますが、過去そのような点に欠けていた為に昇級を逃したり、降級をしてしまいました。
Aルールにおいて、素点の重要性を軽視していた事も反省点の1つに挙げられます。
やはり昇級を狙う際、トータルでスコアを残す為には、1半荘で大きなプラスを作ることが大切で、野球で言えばビッグイニングが必要だと思います。
つまり、序盤に持点が増える展開になっても、安易に局をまわしたりするような楽をしてはいけない。あくまでも行けると判断した時は、貪欲に加点する(攻撃する姿勢)が素点を叩くということにつながると思います。
さて、私事の前置きはこの辺にして結果の方に目を移してみると
樋口+45.4P(第19期マスターズ優勝)
朝岡+42.7P(弟15期中部プロリーグ2位)
菅野+26.6P(弟4・6期静岡プロリーグ優勝)
といった実力者が上位を占めていました。
私はというと4、3、4、1の▲18.8P・・・でした。

3回線終了時では、ほぼ空気のような存在でいたが、4半荘のトップで大きなマイナスにならずにすみました。
まだ戦いは始まったばかり、こうした舞台で好きな麻雀が打てる事に感謝しつつ、次節以降の戦いが楽しみです。

Bリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 樋口 新 45.4 45.4
2 朝岡 祐 42.7 42.7
3 菅野 直 26.6 26.6
4 木村 東平 20.8 20.8
5 櫛田 利太 16.3 16.3
6 牛尾 信之 15.7 15.7
7 小坂 美樹 9.9 9.9
8 葛山 英樹 7.0 7.0
9 中西 栄二 ▲ 3.4 ▲ 3.4
10 土岐 雄太 ▲ 8.0 ▲ 8.0
11 鈴木 雄介 ▲ 9.2 ▲ 9.2
12 原田 知彦 ▲ 17.7 ▲ 17.7
13 大滝 聡 ▲ 18.8 ▲ 18.8
14 長谷川 弘 ▲ 19.8 ▲ 19.8
15 吉井 友直 ▲ 52.5 ▲ 52.5
16 若松 正和 ▲ 55.0 ▲ 55.0

Cリーグレポート:小野雅峻

今期、中部プロCリーグのレポートを書かせていただく29期生の小野雅峻です。
拙い文章ではありますが、半年間お付き合いいただければ幸いです。

先月のAリーグ決勝も記憶に新しい中、第21期中部プロリーグが開催された。
決勝では、古川プロがまさに王者の麻雀を見せつけ、堂々の3回目の優勝となった。いい刺激をもらった若手も少なくないのではと思う。ぜひ私も見ている人を引きつけるような闘牌をしたいものである。

さて、今期Cリーグで注目していきたいのは、やはり杉村プロではないだろうか。
前期降級組の中でも、Aリーグで優勝経験もあり、静岡プロリーグでも素晴らしい結果を残している杉村プロ、なんと2期連続の降級となってしまった。このままではいけないと思っているのか、最初の挨拶でもどこかいつも以上の気迫が感じられた。

初戦の私の同卓者は角谷、安藤、三谷であった。出足よく得点を集めることができ、好調を感じていた3回戦目のオーラスのことである。私の持ち点は38,300点のトップ目で、2着目が35,800点でラス親の角谷。7巡目に角谷からリーチが入った。この時の手牌が、
 三万四万五万六万八万九万二筒五筒五筒六筒七筒白白  ツモ六索  ドラ一筒

ドラも1枚も見えていないためオリるべきなのだが、手牌には安牌がメンツを崩していく六筒しかなく、オリきれないと感じた私は、形が悪いながらも2シャンテンだったこともあり素直に手牌を進めた。
ペンチャンの九万、八と切ったところ、八万で7,700は8,000の放銃となった。
仕方ないかと思っていた私だったが、観戦していた先輩プロに、あれはメンツを崩してでも六筒でオリるべきだとアドバイスをもらった。

麻雀、特に競技麻雀において「押し引き」というのは勝つためにとても重要な要素ではないかと思う。
明確な答えがあるわけでもないが、押し引きがうまい人は、やはり勝てる人なのだろう。
私ももっと経験を積み、押し引きの技術を身につけたい。

1節目の結果だが、トップは+61.4Pで大町となった。その他にも+50P前後が3人も出ている。
また、今期から出場の新人プロ達がそろってプラスで終えるという結果になった。
緊張はあったと思うが、その中で結果を出すというのは素晴らしいと感じた。
次節以降も期待したいと思う。

Cリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 大町 篤志 61.4 61.4
2 河合 慎悟 51.4 51.4
3 太田 峻也 50.1 50.1
4 原 尚吾 48.3 48.3
5 斎藤 寛生 29.9 29.9
6 加藤 泰史 28.8 28.8
7 小野 雅峻 25.0 25.0
8 杉村 泰治 21.6 21.6
9 八木 悠 15.4 15.4
10 山本 拓哉 14.9 14.9
11 安藤 大貴 10.9 10.9
12 大高坂 松城 9.7 9.7
13 中谷 彰吾 5.7 5.7
14 角谷 和幸 ▲ 2.9 ▲ 2.9
15 大西 義則 ▲ 4.6 ▲ 4.6
16 加賀美 幸孝 ▲ 22.9 ▲ 22.9
17 山神 達也 ▲ 32.0 ▲ 32.0
18 三谷 卓也 ▲ 33.0 ▲ 33.0
19 家田 みゆき ▲ 36.7 ▲ 36.7
20 岩井 健太 ▲ 41.6 ▲ 41.6
21 越川 清一 ▲ 53.9 ▲ 53.9
22 岡本 丈司 ▲ 61.2 ▲ 61.2
23 鈴木 淳 ▲ 85.3 ▲ 85.3
24 今枝 美月 ▲ 100.0 ▲ 100.0

中部プロリーグ レポート/第21期中部プロリーグ A・B・Cリーグ 第1節レポート

中部リーグレポート
Aリーグレポート:掛水洋徳
21期生の掛水です。
初めてのレポートで拙い文章ですが、半年間のお付き合いよろしくお願いします。
第21期中部プロリーグ第1節、まずは連盟員全員の挨拶も終わり、一斉に対局がスタート。
全節そうだがプラスのスコアを維持し、次節以降を自分のスタイルで戦いたい。
トータルでマイナスでは次第に戦術や戦略面で制限が出てしまうからだ。
そのためか1節目の1回戦は同卓者からいつもより集中力、緊張感が伝わってくる。
1卓は古川・森下・渡辺・鈴木
注目は20期で久しぶりの優勝、鳳凰戦もA1復帰と絶好調の古川。
しかし好発進したのは鈴木、森下であった。
両者がプラスで終わり、古川、渡辺がマイナスとなった。
渡辺は3回戦まで厳しい流れも4回戦で意地のトップで終了。
古川、渡辺とも優勝経験者なので2節以降の挽回に期待したい。
2卓は、村瀬・毛受・寺戸・佐藤
3期連続決勝を狙う村瀬がマイナスとなったが、2、3、4回戦は軽微のマイナスで負けた気がしないだろう。
卓内トップは寺戸で3、1、2、1の+38.1P。
2度目の昇級の佐藤もプラスでまとめ、中部プロリーグ初の女流プロ決勝へ一歩前進、ぜひ頑張って貰いたい。
3卓は伊藤・杉浦・掛水・太田
初のAリーグの太田、1回戦東1局東家スタート。
かなり緊張していたと思うが5本場まで積み、いきなり5万点オーバー、そのまま1回戦トップを取る。
1節を通してもプラスで終わり、まずはノルマをクリアか。
伊藤は終始苦しい展開だったが4回戦のオーラスで一矢報いる。
2,000・3,900をツモり4回戦をプラスで終え、次節に繋がるアガりをした。
昇級組が揃って好スタートを切り、前回決勝組が苦戦をする結果となった。
私は1、2回戦は浮きで、3回戦は大トップ。
しかし4回戦では自分の判断ミスで高打点に放銃、その後も自分の状態を過信し失点を回復しようと前に出ると、3人から集中砲火の箱ラス、無念。
Aリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 日下 健司 71.3 71.3
2 鈴木 基芳 43.2 43.2
3 寺戸 孝志 38.1 38.1
4 森下 剛任 36.3 36.3
5 掛水 洋徳 28.4 28.4
6 山田 優駿 21.6 21.6
7 佐藤 あいり 17.0 17.0
8 太田 充 14.5 14.5
9 杉浦 貴紀 11.6 11.6
10 三戸 亮祐 ▲ 9.9 ▲ 9.9
11 毛受 俊 ▲ 20.3 ▲ 20.3
12 古川 孝次 ▲ 22.6 ▲ 22.6
13 村瀬 寛光 ▲ 34.8 ▲ 34.8
14 伊藤 鉄也 ▲ 54.5 ▲ 54.5
15 渡辺 典夫 ▲ 56.9 ▲ 56.9
16 浅野 文雅 ▲ 83.0 ▲ 83.0

Bリーグレポート:大滝聡
今回、中部プロリーグBリーグのレポート担当を致します24期生の大滝です。
物事を客観的に見る器用さに欠ける為、主観的な内容になってしまうかもしれませんが、
半年間お付き合いの程よろしくお願い致します。
東京では鳳凰位決定戦が行われている中、第21期中部プロリーグが開幕しました。
毎回、開幕戦では恒例である新人プロ5人を含む自己紹介および各選手の挨拶の後対局がスタートした。
その中で、やはり多く耳にしたのは「昇級を目指す。」Aリーグにおいては「決勝選手を目指す。」というものでした。
各自おもうところは、第1節はプラスで終えていいスタートを切りたいということでしょう。今回、私がリーグ戦を迎えるにあたって意識する点としては2点あります。
1つ目は各節、目的をもって取組むという点
2つ目は素点にこだわった打ち方をしようという点です。
当たり前のことではありますが、過去そのような点に欠けていた為に昇級を逃したり、降級をしてしまいました。
Aルールにおいて、素点の重要性を軽視していた事も反省点の1つに挙げられます。
やはり昇級を狙う際、トータルでスコアを残す為には、1半荘で大きなプラスを作ることが大切で、野球で言えばビッグイニングが必要だと思います。
つまり、序盤に持点が増える展開になっても、安易に局をまわしたりするような楽をしてはいけない。あくまでも行けると判断した時は、貪欲に加点する(攻撃する姿勢)が素点を叩くということにつながると思います。
さて、私事の前置きはこの辺にして結果の方に目を移してみると
樋口+45.4P(第19期マスターズ優勝)
朝岡+42.7P(弟15期中部プロリーグ2位)
菅野+26.6P(弟4・6期静岡プロリーグ優勝)
といった実力者が上位を占めていました。
私はというと4、3、4、1の▲18.8P・・・でした。
3回線終了時では、ほぼ空気のような存在でいたが、4半荘のトップで大きなマイナスにならずにすみました。
まだ戦いは始まったばかり、こうした舞台で好きな麻雀が打てる事に感謝しつつ、次節以降の戦いが楽しみです。
Bリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 樋口 新 45.4 45.4
2 朝岡 祐 42.7 42.7
3 菅野 直 26.6 26.6
4 木村 東平 20.8 20.8
5 櫛田 利太 16.3 16.3
6 牛尾 信之 15.7 15.7
7 小坂 美樹 9.9 9.9
8 葛山 英樹 7.0 7.0
9 中西 栄二 ▲ 3.4 ▲ 3.4
10 土岐 雄太 ▲ 8.0 ▲ 8.0
11 鈴木 雄介 ▲ 9.2 ▲ 9.2
12 原田 知彦 ▲ 17.7 ▲ 17.7
13 大滝 聡 ▲ 18.8 ▲ 18.8
14 長谷川 弘 ▲ 19.8 ▲ 19.8
15 吉井 友直 ▲ 52.5 ▲ 52.5
16 若松 正和 ▲ 55.0 ▲ 55.0

Cリーグレポート:小野雅峻
今期、中部プロCリーグのレポートを書かせていただく29期生の小野雅峻です。
拙い文章ではありますが、半年間お付き合いいただければ幸いです。
先月のAリーグ決勝も記憶に新しい中、第21期中部プロリーグが開催された。
決勝では、古川プロがまさに王者の麻雀を見せつけ、堂々の3回目の優勝となった。いい刺激をもらった若手も少なくないのではと思う。ぜひ私も見ている人を引きつけるような闘牌をしたいものである。
さて、今期Cリーグで注目していきたいのは、やはり杉村プロではないだろうか。
前期降級組の中でも、Aリーグで優勝経験もあり、静岡プロリーグでも素晴らしい結果を残している杉村プロ、なんと2期連続の降級となってしまった。このままではいけないと思っているのか、最初の挨拶でもどこかいつも以上の気迫が感じられた。
初戦の私の同卓者は角谷、安藤、三谷であった。出足よく得点を集めることができ、好調を感じていた3回戦目のオーラスのことである。私の持ち点は38,300点のトップ目で、2着目が35,800点でラス親の角谷。7巡目に角谷からリーチが入った。この時の手牌が、
 三万四万五万六万八万九万二筒五筒五筒六筒七筒白白  ツモ六索  ドラ一筒
ドラも1枚も見えていないためオリるべきなのだが、手牌には安牌がメンツを崩していく六筒しかなく、オリきれないと感じた私は、形が悪いながらも2シャンテンだったこともあり素直に手牌を進めた。
ペンチャンの九万、八と切ったところ、八万で7,700は8,000の放銃となった。
仕方ないかと思っていた私だったが、観戦していた先輩プロに、あれはメンツを崩してでも六筒でオリるべきだとアドバイスをもらった。
麻雀、特に競技麻雀において「押し引き」というのは勝つためにとても重要な要素ではないかと思う。
明確な答えがあるわけでもないが、押し引きがうまい人は、やはり勝てる人なのだろう。
私ももっと経験を積み、押し引きの技術を身につけたい。
1節目の結果だが、トップは+61.4Pで大町となった。その他にも+50P前後が3人も出ている。
また、今期から出場の新人プロ達がそろってプラスで終えるという結果になった。
緊張はあったと思うが、その中で結果を出すというのは素晴らしいと感じた。
次節以降も期待したいと思う。
Cリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 大町 篤志 61.4 61.4
2 河合 慎悟 51.4 51.4
3 太田 峻也 50.1 50.1
4 原 尚吾 48.3 48.3
5 斎藤 寛生 29.9 29.9
6 加藤 泰史 28.8 28.8
7 小野 雅峻 25.0 25.0
8 杉村 泰治 21.6 21.6
9 八木 悠 15.4 15.4
10 山本 拓哉 14.9 14.9
11 安藤 大貴 10.9 10.9
12 大高坂 松城 9.7 9.7
13 中谷 彰吾 5.7 5.7
14 角谷 和幸 ▲ 2.9 ▲ 2.9
15 大西 義則 ▲ 4.6 ▲ 4.6
16 加賀美 幸孝 ▲ 22.9 ▲ 22.9
17 山神 達也 ▲ 32.0 ▲ 32.0
18 三谷 卓也 ▲ 33.0 ▲ 33.0
19 家田 みゆき ▲ 36.7 ▲ 36.7
20 岩井 健太 ▲ 41.6 ▲ 41.6
21 越川 清一 ▲ 53.9 ▲ 53.9
22 岡本 丈司 ▲ 61.2 ▲ 61.2
23 鈴木 淳 ▲ 85.3 ▲ 85.3
24 今枝 美月 ▲ 100.0 ▲ 100.0