第21期中部プロリーグ A・B・Cリーグ 第2節レポート

 

Aリーグレポート:掛水洋徳

1卓 古川・掛水・寺戸・浅野
1回戦、浅野が50,000点を越えるリードをするも、南場に入り寺戸が正確なアガリを重ねトップを取ると、そのまま冷静にオールプラスで終了。トータルスコアも1位に。
古川は大きなラススタートながら立て直し少しのマイナスで抑える、流石である。

2卓 日下・毛受・杉浦・鈴木(基)
1節のポイントで頭一つ抜けた日下が接戦を制し、プラスを上乗せして上位をキープ。
連続決勝へ順調に前進した。
毛受はマイナスを最小限に抑えて次節以降に初決勝の望みを繋いだ。

3卓 村瀬・山田・渡辺・太田
この卓では1節の好不調がそのまま出る形になり、
その中でも太田が+61.9Pと大きくポイントを伸ばし決勝圏内までジャンプアップに成功。
また山田もプラスで終わり好位につける。
逆に残り3節あるが村瀬、渡辺は厳しい状況になってしまった。

4卓 伊藤・森下・三戸・佐藤
女流佐藤が制圧、今節トップの+67.0Pを叩き出し一気に3位まで浮上。
伊藤はしぶとくプラスにまとめたが、
佐藤の煽りを受けた森下、三戸が順位を下げる結果になった。

今節の私は2、4、2、4で今節ワーストの▲58.9Pで轟沈。
寺戸に丸かじりされました。
あと中部プロリーグ最近12期から20期の決勝進出者、9期分36名のデータを見ると、
3節終了時に6位以内から33名が進出し、内、1位は全員進出していた。
4節終了時は6位以内から34名が進出しており上位にいる事が終盤闘う上で必要であろう。
例外となった2例は、5節で大逆転したケースである。
15期の鈴木(雄)8位と19期の渡辺9位である。
最終節の勢いで決勝でも2名とも勢いに乗り優勝している。
私も次節で上位に食い込めるように反省と準備をしたい。

Aリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 寺戸 孝志 38.1 57.6 95.7
2 日下 健司 71.3 20.0 91.3
3 佐藤 あいり 17.0 67.0 84.0
4 太田 充 14.5 61.9 76.4
5 山田 優駿 21.6 15.0 36.6
6 鈴木 基芳 43.2 ▲ 20.7 22.5
7 杉浦 貴紀 11.6 4.9 16.5
8 森下 剛任 36.3 ▲ 40.9 ▲ 4.6
9 毛受 俊 ▲ 20.3 ▲ 6.2 ▲ 26.5
10 掛水 洋徳 28.4 ▲ 58.9 ▲ 30.5
11 古川 孝次 ▲ 22.6 ▲ 14.5 ▲ 37.1
12 三戸 亮祐 ▲ 9.9 ▲ 32.6 ▲ 42.5
13 伊藤 鉄也 ▲ 54.5 6.5 ▲ 48.0
14 村瀬 寛光 ▲ 34.8 ▲ 30.5 ▲ 65.3
15 浅野 文雅 ▲ 83.0 15.8 ▲ 67.2
16 渡辺 典夫 ▲ 56.9 ▲ 47.4 ▲ 104.3

Bリーグレポート:大滝聡

3月になり、暖かい日が続いていますが、同時に花粉症の人にはつらい季節がやってきました。
対局前の体調管理を怠らず、ベストな状態で対局に入れるよう今後も取り組んでいこうと思います。

第2節の私の対戦相手を見て、1つ気がついた事がありました。
私以外の選手は元Aリーグの選手ばかりだということです。
格上の選手ばかりですが、集中力を切らさずにミスをしなければ、必ずチャンスは訪れると思い、対局に臨みました。

《1回戦》
東1局、葛山の先制リーチを受けた鈴木(雄)が目の覚めるような純チャン三色ドラ1の18,000点を仕掛けを入れていた朝岡から出アガリ。
その後、葛山が丁寧な手順で徐々に加点していく展開。
迎えたオーラスも、何とか親番を維持したい朝岡から8,000点の出アガリで鈴木(雄)を交わす。
私は前に出ることも出来ずに、見ているだけの3着。▲7.7P。

《2回戦》
特に大きなアガリもなかったが私の3局連続の1人テンパイなどがあり、ラッキーなトップで+21.6P

《3回戦》
南1局の朝岡の3,000・6,000ツモで場が動き出すも、この日の私はツイていた。
トップ目の朝岡とは2,400点差で迎えたオーラス。逃げ切りを図り、仕掛けをいれる朝岡に対して、親番の鈴木(雄)がリーチ。
同巡、私はピンフドラ1の2,000点をテンパイ。
次巡、鈴木(雄)が私のロン牌をつかみ放銃で+14.2P。

《4回戦》
南1局の親番で痛恨のアガリ逃しをした1本場。
当然のように葛山の3,000・6,000ツモで親かぶり。それでも、この日の私はツイていた。
南3局、親の葛山から先制リーチが入ると同巡私もドラを重ねて戦闘体制。
最短の手順で七対子をツモリ2,000・4,000でトップを取り+18.4Pでトータル+46.5P

2節で終えた暫定順位を見てみると、まだ特に抜け出した選手はいない様子。
現状、下位に甘んじている選手もきっと巻き返してくるに違いない。
今節は運よく勝たせてもらったが、昇級争いはもちろんの事、残留争いも混戦が予想されるBリーグ。
次節以降も気を引き締めて対局に臨みたいと思います。

Bリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 樋口 新 45.4 23.2 68.6
2 中西 栄二 ▲ 3.4 63.2 59.8
3 木村 東平 20.8 32.4 53.2
4 葛山 英樹 7.0 43.8 50.8
5 牛尾 信之 15.7 26.0 41.7
6 大滝 聡 ▲ 18.8 46.5 27.7
7 菅野 直 26.6 ▲ 0.8 25.8
8 土岐 雄太 ▲ 8.0 17.2 9.2
9 櫛田 利太 16.3 ▲ 15.6 0.7
10 小坂 美樹 9.9 ▲ 12.9 ▲ 3.0
11 朝岡 祐 42.7 ▲ 56.1 ▲ 13.4
12 若松 正和 ▲ 55.0 11.3 ▲ 43.7
13 鈴木 雄介 ▲ 9.2 ▲ 35.2 ▲ 44.4
14 吉井 友直 ▲ 52.5 ▲ 12.5 ▲ 65.0
15 長谷川 弘 ▲ 19.8 ▲ 49.4 ▲ 69.2
16 原田 知彦 ▲ 17.7 ▲ 83.1 ▲ 100.8

Cリーグレポート:小野雅峻

毎年この時期は名古屋ウィメンズマラソンが行われ、外では世界中の選手たちが素晴らしい走りを見せている中、第2節が行われた。
第1節でいい結果を残せた者も、残念ながらつまずいてしまった者も様々な思いで第2節を迎えたことだろう。
23名いるCリーグから昇級できる枠は3枠と少なく、前期の昇格ボーダーはなんと+167.6Pだった。
これには毎節平均30P以上ださなければ届かないため第1節でポイントを叩いた者も手を緩めることなく、さらにポイントを上乗せしていかなければいけないだろう。
ではここから各卓の結果を見ていこう。

1卓 越川・杉村・中谷・小野・鈴木
私は1回戦、2回戦と20,000点台のラスをひかされ厳しい展開になり、前節のプラスをそのまま失ってしまうという結果になってしまった。
その中で結果を出したのが中谷と杉村。
杉村は4回戦で開局に8,000オールを引き50,000点を越えるトップをとった。
しかしその後うまく立ち回った中谷がその半荘をプラスとし、卓内トップは中谷がとり大きく加点することとなった。

2卓 大西・三谷・角谷・八木・大町
この卓には第1節で暫定1位であった大町がおり、ここで大きく叩かれると独走となるところだったのだが周りがうまく抑え込む結果となった。
また初参戦の八木がオールプラスで卓内トップをとった。

3卓 斎藤・岡本・河合・山本
この卓でも大きく加点したのは初参戦の山本。50Pを越える卓内トップをとった。
しかしここで大きくつまずいてしまったのは斎藤。
前節で好スタートを切れていただけに痛い失点となってしまった。

4卓 大高坂・家田・太田・山神
前節で大きなマイナスとなっていた山神だったが、大きなトップがないにもかかわらずしっかりと着順をとることで+60Pを叩きだした。

5卓 安藤・加賀美・岩井・原・加藤
前節と合わせて+81.5Pとなった加藤。次節以降どこまでポイントを叩いていくことができるか。
またここでも前節ポイントを叩いた原が大きな失点をする結果となってしまった。
前節から順位にも大きく変動があり今後どのような展開になっていくのか楽しみである。

Cリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 加藤 泰史 28.8 52.7 81.5
2 太田 峻也 50.1 28.7 78.8
3 山本 拓哉 14.9 53.5 68.4
4 杉村 泰治 21.6 37.0 58.6
5 八木 悠 15.4 37.9 53.3
6 大町 篤志 61.4 ▲ 11.6 49.8
7 安藤 大貴 10.9 35.2 46.1
8 中谷 彰吾 5.7 40.3 46.0
9 河合 慎悟 51.4 ▲ 12.8 38.6
10 山神 達也 ▲ 32.0 60.7 28.7
11 大西 義則 ▲ 4.6 27.5 22.9
12 岩井 健太 ▲ 41.6 50.6 9.0
13 小野 雅峻 25.0 ▲ 24.9 0.1
14 角谷 和幸 ▲ 2.9 2.7 ▲ 0.2
15 原 尚吾 48.3 ▲ 49.1 ▲ 0.8
16 斎藤 寛生 29.9 ▲ 59.2 ▲ 29.3
17 大高坂 松城 9.7 ▲ 55.9 ▲ 46.2
18 家田 みゆき ▲ 36.7 ▲ 33.5 ▲ 70.2
19 岡本 丈司 ▲ 61.2 ▲ 21.5 ▲ 82.7
20 三谷 卓也 ▲ 33.0 ▲ 56.5 ▲ 89.5
21 鈴木 淳 ▲ 85.3 ▲ 6.7 ▲ 92.0
22 越川 清一 ▲ 53.9 ▲ 45.7 ▲ 99.6
23 加賀美 幸孝 ▲ 22.9 ▲ 89.4 ▲ 112.3

中部プロリーグ レポート/第21期中部プロリーグ A・B・Cリーグ 第2節レポート

 
Aリーグレポート:掛水洋徳
1卓 古川・掛水・寺戸・浅野
1回戦、浅野が50,000点を越えるリードをするも、南場に入り寺戸が正確なアガリを重ねトップを取ると、そのまま冷静にオールプラスで終了。トータルスコアも1位に。
古川は大きなラススタートながら立て直し少しのマイナスで抑える、流石である。
2卓 日下・毛受・杉浦・鈴木(基)
1節のポイントで頭一つ抜けた日下が接戦を制し、プラスを上乗せして上位をキープ。
連続決勝へ順調に前進した。
毛受はマイナスを最小限に抑えて次節以降に初決勝の望みを繋いだ。
3卓 村瀬・山田・渡辺・太田
この卓では1節の好不調がそのまま出る形になり、
その中でも太田が+61.9Pと大きくポイントを伸ばし決勝圏内までジャンプアップに成功。
また山田もプラスで終わり好位につける。
逆に残り3節あるが村瀬、渡辺は厳しい状況になってしまった。
4卓 伊藤・森下・三戸・佐藤
女流佐藤が制圧、今節トップの+67.0Pを叩き出し一気に3位まで浮上。
伊藤はしぶとくプラスにまとめたが、
佐藤の煽りを受けた森下、三戸が順位を下げる結果になった。
今節の私は2、4、2、4で今節ワーストの▲58.9Pで轟沈。
寺戸に丸かじりされました。
あと中部プロリーグ最近12期から20期の決勝進出者、9期分36名のデータを見ると、
3節終了時に6位以内から33名が進出し、内、1位は全員進出していた。
4節終了時は6位以内から34名が進出しており上位にいる事が終盤闘う上で必要であろう。
例外となった2例は、5節で大逆転したケースである。
15期の鈴木(雄)8位と19期の渡辺9位である。
最終節の勢いで決勝でも2名とも勢いに乗り優勝している。
私も次節で上位に食い込めるように反省と準備をしたい。
Aリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 寺戸 孝志 38.1 57.6 95.7
2 日下 健司 71.3 20.0 91.3
3 佐藤 あいり 17.0 67.0 84.0
4 太田 充 14.5 61.9 76.4
5 山田 優駿 21.6 15.0 36.6
6 鈴木 基芳 43.2 ▲ 20.7 22.5
7 杉浦 貴紀 11.6 4.9 16.5
8 森下 剛任 36.3 ▲ 40.9 ▲ 4.6
9 毛受 俊 ▲ 20.3 ▲ 6.2 ▲ 26.5
10 掛水 洋徳 28.4 ▲ 58.9 ▲ 30.5
11 古川 孝次 ▲ 22.6 ▲ 14.5 ▲ 37.1
12 三戸 亮祐 ▲ 9.9 ▲ 32.6 ▲ 42.5
13 伊藤 鉄也 ▲ 54.5 6.5 ▲ 48.0
14 村瀬 寛光 ▲ 34.8 ▲ 30.5 ▲ 65.3
15 浅野 文雅 ▲ 83.0 15.8 ▲ 67.2
16 渡辺 典夫 ▲ 56.9 ▲ 47.4 ▲ 104.3

Bリーグレポート:大滝聡
3月になり、暖かい日が続いていますが、同時に花粉症の人にはつらい季節がやってきました。
対局前の体調管理を怠らず、ベストな状態で対局に入れるよう今後も取り組んでいこうと思います。
第2節の私の対戦相手を見て、1つ気がついた事がありました。
私以外の選手は元Aリーグの選手ばかりだということです。
格上の選手ばかりですが、集中力を切らさずにミスをしなければ、必ずチャンスは訪れると思い、対局に臨みました。
《1回戦》
東1局、葛山の先制リーチを受けた鈴木(雄)が目の覚めるような純チャン三色ドラ1の18,000点を仕掛けを入れていた朝岡から出アガリ。
その後、葛山が丁寧な手順で徐々に加点していく展開。
迎えたオーラスも、何とか親番を維持したい朝岡から8,000点の出アガリで鈴木(雄)を交わす。
私は前に出ることも出来ずに、見ているだけの3着。▲7.7P。
《2回戦》
特に大きなアガリもなかったが私の3局連続の1人テンパイなどがあり、ラッキーなトップで+21.6P
《3回戦》
南1局の朝岡の3,000・6,000ツモで場が動き出すも、この日の私はツイていた。
トップ目の朝岡とは2,400点差で迎えたオーラス。逃げ切りを図り、仕掛けをいれる朝岡に対して、親番の鈴木(雄)がリーチ。
同巡、私はピンフドラ1の2,000点をテンパイ。
次巡、鈴木(雄)が私のロン牌をつかみ放銃で+14.2P。
《4回戦》
南1局の親番で痛恨のアガリ逃しをした1本場。
当然のように葛山の3,000・6,000ツモで親かぶり。それでも、この日の私はツイていた。
南3局、親の葛山から先制リーチが入ると同巡私もドラを重ねて戦闘体制。
最短の手順で七対子をツモリ2,000・4,000でトップを取り+18.4Pでトータル+46.5P
2節で終えた暫定順位を見てみると、まだ特に抜け出した選手はいない様子。
現状、下位に甘んじている選手もきっと巻き返してくるに違いない。
今節は運よく勝たせてもらったが、昇級争いはもちろんの事、残留争いも混戦が予想されるBリーグ。
次節以降も気を引き締めて対局に臨みたいと思います。
Bリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 樋口 新 45.4 23.2 68.6
2 中西 栄二 ▲ 3.4 63.2 59.8
3 木村 東平 20.8 32.4 53.2
4 葛山 英樹 7.0 43.8 50.8
5 牛尾 信之 15.7 26.0 41.7
6 大滝 聡 ▲ 18.8 46.5 27.7
7 菅野 直 26.6 ▲ 0.8 25.8
8 土岐 雄太 ▲ 8.0 17.2 9.2
9 櫛田 利太 16.3 ▲ 15.6 0.7
10 小坂 美樹 9.9 ▲ 12.9 ▲ 3.0
11 朝岡 祐 42.7 ▲ 56.1 ▲ 13.4
12 若松 正和 ▲ 55.0 11.3 ▲ 43.7
13 鈴木 雄介 ▲ 9.2 ▲ 35.2 ▲ 44.4
14 吉井 友直 ▲ 52.5 ▲ 12.5 ▲ 65.0
15 長谷川 弘 ▲ 19.8 ▲ 49.4 ▲ 69.2
16 原田 知彦 ▲ 17.7 ▲ 83.1 ▲ 100.8

Cリーグレポート:小野雅峻
毎年この時期は名古屋ウィメンズマラソンが行われ、外では世界中の選手たちが素晴らしい走りを見せている中、第2節が行われた。
第1節でいい結果を残せた者も、残念ながらつまずいてしまった者も様々な思いで第2節を迎えたことだろう。
23名いるCリーグから昇級できる枠は3枠と少なく、前期の昇格ボーダーはなんと+167.6Pだった。
これには毎節平均30P以上ださなければ届かないため第1節でポイントを叩いた者も手を緩めることなく、さらにポイントを上乗せしていかなければいけないだろう。
ではここから各卓の結果を見ていこう。
1卓 越川・杉村・中谷・小野・鈴木
私は1回戦、2回戦と20,000点台のラスをひかされ厳しい展開になり、前節のプラスをそのまま失ってしまうという結果になってしまった。
その中で結果を出したのが中谷と杉村。
杉村は4回戦で開局に8,000オールを引き50,000点を越えるトップをとった。
しかしその後うまく立ち回った中谷がその半荘をプラスとし、卓内トップは中谷がとり大きく加点することとなった。
2卓 大西・三谷・角谷・八木・大町
この卓には第1節で暫定1位であった大町がおり、ここで大きく叩かれると独走となるところだったのだが周りがうまく抑え込む結果となった。
また初参戦の八木がオールプラスで卓内トップをとった。
3卓 斎藤・岡本・河合・山本
この卓でも大きく加点したのは初参戦の山本。50Pを越える卓内トップをとった。
しかしここで大きくつまずいてしまったのは斎藤。
前節で好スタートを切れていただけに痛い失点となってしまった。
4卓 大高坂・家田・太田・山神
前節で大きなマイナスとなっていた山神だったが、大きなトップがないにもかかわらずしっかりと着順をとることで+60Pを叩きだした。
5卓 安藤・加賀美・岩井・原・加藤
前節と合わせて+81.5Pとなった加藤。次節以降どこまでポイントを叩いていくことができるか。
またここでも前節ポイントを叩いた原が大きな失点をする結果となってしまった。
前節から順位にも大きく変動があり今後どのような展開になっていくのか楽しみである。
Cリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 加藤 泰史 28.8 52.7 81.5
2 太田 峻也 50.1 28.7 78.8
3 山本 拓哉 14.9 53.5 68.4
4 杉村 泰治 21.6 37.0 58.6
5 八木 悠 15.4 37.9 53.3
6 大町 篤志 61.4 ▲ 11.6 49.8
7 安藤 大貴 10.9 35.2 46.1
8 中谷 彰吾 5.7 40.3 46.0
9 河合 慎悟 51.4 ▲ 12.8 38.6
10 山神 達也 ▲ 32.0 60.7 28.7
11 大西 義則 ▲ 4.6 27.5 22.9
12 岩井 健太 ▲ 41.6 50.6 9.0
13 小野 雅峻 25.0 ▲ 24.9 0.1
14 角谷 和幸 ▲ 2.9 2.7 ▲ 0.2
15 原 尚吾 48.3 ▲ 49.1 ▲ 0.8
16 斎藤 寛生 29.9 ▲ 59.2 ▲ 29.3
17 大高坂 松城 9.7 ▲ 55.9 ▲ 46.2
18 家田 みゆき ▲ 36.7 ▲ 33.5 ▲ 70.2
19 岡本 丈司 ▲ 61.2 ▲ 21.5 ▲ 82.7
20 三谷 卓也 ▲ 33.0 ▲ 56.5 ▲ 89.5
21 鈴木 淳 ▲ 85.3 ▲ 6.7 ▲ 92.0
22 越川 清一 ▲ 53.9 ▲ 45.7 ▲ 99.6
23 加賀美 幸孝 ▲ 22.9 ▲ 89.4 ▲ 112.3

天空麻雀11 男性大会決勝レポート

tenku11_m_fin

トッププロ達が熱い戦いを繰り広げる天空麻雀も、今回で11回大会となりました。
現在、「エンタメ~テレ」で男性大会決勝戦が放送中となっています。
まだご覧になっていない方もいらっしゃると思いますので、少ーしだけですがその模様を紹介させて頂きます。

tenku11_m_fin

まずは決勝メンバーの紹介から。
A卓トップ通過は、過去10大会連続で予選敗退のない荒正義プロ。
今大会も安定感抜群の戦いで見事に決勝進出。

B卓トップ通過は、第8回大会以来2度目の優勝を狙う前原雄大プロ。
持ち前の大胆さと繊細さを兼ね備えた麻雀で、大激戦となったB卓を制し決勝進出。

準決勝からは、過去最多となる4度目の優勝を狙う佐々木寿人プロ。
予選では、あわや敗退という状況もあったが、圧倒的攻撃力を見せ逆転で準決勝へ進む。
勢いに乗った寿人プロ、準決勝では早々と当確ランプを灯し決勝進出。

もう1人は、2回目の出場にして嬉しい初の決勝への切符を手に入れた、私、勝又健志となりました。

第1戦東1局を制したのは前原プロ。

六万六万七万七万八万七筒七筒九筒九筒東東発発  ツモ八万  ドラ七筒

捨て牌に1つのかぶりもなく、最速のアガリをものにします。
先制点をあげた、前原プロの次局、

二索三索二筒二筒三筒三筒四筒四筒五筒七筒八筒九筒西西  ドラ一筒

ホンイツに向かう手も考えられますが、ここは相手にプレッシャーを与えるべくリーチにいきます。これが最高の結果に。跳満が狙える1シャンテンとなった寿人プロから一発で、

二索三索二筒二筒三筒三筒四筒四筒七筒八筒九筒西西  ロン四索  ドラ一筒  裏ドラ西

この12,000のアガリとなりました。
しかし、このまま前原プロの独走を許すわけにはいきません。この後は、反撃が始まります。

まずは、東3局1本場、親の前原プロが、

三万三万三万三筒四筒赤五筒五筒  チー四索二索三索  暗カン牌の背七万七万牌の背  ドラ中  カンドラ五筒

この12,000のテンパイをいれますが、私が前原プロから、

一万一万赤五万八万八万九筒九筒東東西西中中  ロン五万

この8,000をアガリます。
これは、前原プロの七万暗カンに対応して、早々と七対子に決め打った手がぴったりとハマり、自分でも大満足の一局でした。

続く東四索局は親の荒プロが、

四万五万三索三索四索四索五索五索六索七索八索発発  リーチ  ツモ三万  ドラ二索  裏ドラ八万

この2,000オールと前原プロを追いかけます。
さらに、東4局1本場、前原プロが、

一万一万一万四索六索二筒二筒三筒七筒九筒九筒東東  ドラ発

ここから東をポンすると、寿人プロからリーチが入ります。

二万三万四万赤五万五万五万八万八万九万四筒四筒四筒中中  打九万  リーチ

しかしこのリーチ、河を見るとなんと!!!
八万が1枚切れの上、中は2枚切れ。残り1枚の八万を求めにいったリーチでした。

これで困ったのは前原プロ。
なんと一発でラス牌の八万を掴んでしまいます。ここでオリに回らされます。

一方、寿人プロと前原プロのアガリがなくなりチャンスを得たのは私でした。
ツモに恵まれテンパイが入ると、寿人プロの現物待ちで前原プロからアガリとなりました。

二索二索三索三索五索五索八索八索三筒三筒六筒発発  ロン六筒  ドラ発

いやーそれにしても寿人プロのリーチには驚きました。結果はアガリには結び付きませんでしたが、このタイミングでのリーチが相手にどれほどのプレッシャーを与えるかを見極めたものであり、本当に素晴らしいと思いました。
森山プロと並び、天空麻雀3度の優勝を誇る寿人プロならではの、決勝を勝ち切るためのリーチでした。

続いて南1局。前局のアガリでトップ目に立った私にチャンスが訪れます。
9巡目に以下のテンパイが入ります。

四万五万六万三索四索五索六索七索八索八索四筒五筒北北  ドラ東

ここで私の選択は打八索のヤミテン。
三色同順の手変りを待ちつつ、確実にアガリをものにしようと考えたのでした。
結果は次巡、

四万五万六万三索四索五索六索七索八索四筒五筒北北  ツモ三筒

400・700のアガリとなりました。
アガリとはなったもののこの選択、書いていて自分でもちょっと情けなくなりました。
三色同順に手変わったとしても、安目でのアガリもあるので、一発裏ドラ有りのこのルールならば、ここはリーチの一手でした。
トップを決めうる高打点を狙うならば、北のトイツ落としをすべきであり、何とも中途半端な選択をしてしまいました。先ほどの、寿人プロの意志のこもったシャンポンリーチを見習って、今後もしっかりと勉強していかなければなりませんね。

さあ続いて局面は、南2局1本場。ここが1回戦最高に盛り上がった局となりました。
11巡目、序盤好調だったものの2着になってしまった前原プロからリーチが入ります。
その手牌はナント!

一万一万一筒一筒一筒赤五筒五筒西西西中中中  ドラ四索

四暗刻のテンパイでした。この局の結末は…
んー気になるところですが、今回のレポートはここまでとさせて頂きます。
みなさん続きは、是非「エンタメ~テレ」でお楽しみください!

この後も、トータルトップ目が何度も入れ換わる大熱戦でした。
さあ優勝は誰の手に。ではではみなさん、テレビの前でお会いしましょう!

放送スケジュール&詳細はこちらよりご確認ください。


「エンタメ~テレ」 HPはこちら

「天空麻雀11」 番組HPは こちら

特集企画/天空麻雀11 男性大会決勝レポート

tenku11_m_fin

トッププロ達が熱い戦いを繰り広げる天空麻雀も、今回で11回大会となりました。
現在、「エンタメ~テレ」で男性大会決勝戦が放送中となっています。
まだご覧になっていない方もいらっしゃると思いますので、少ーしだけですがその模様を紹介させて頂きます。

tenku11_m_fin

まずは決勝メンバーの紹介から。
A卓トップ通過は、過去10大会連続で予選敗退のない荒正義プロ。
今大会も安定感抜群の戦いで見事に決勝進出。
B卓トップ通過は、第8回大会以来2度目の優勝を狙う前原雄大プロ。
持ち前の大胆さと繊細さを兼ね備えた麻雀で、大激戦となったB卓を制し決勝進出。
準決勝からは、過去最多となる4度目の優勝を狙う佐々木寿人プロ。
予選では、あわや敗退という状況もあったが、圧倒的攻撃力を見せ逆転で準決勝へ進む。
勢いに乗った寿人プロ、準決勝では早々と当確ランプを灯し決勝進出。
もう1人は、2回目の出場にして嬉しい初の決勝への切符を手に入れた、私、勝又健志となりました。
第1戦東1局を制したのは前原プロ。
六万六万七万七万八万七筒七筒九筒九筒東東発発  ツモ八万  ドラ七筒
捨て牌に1つのかぶりもなく、最速のアガリをものにします。
先制点をあげた、前原プロの次局、
二索三索二筒二筒三筒三筒四筒四筒五筒七筒八筒九筒西西  ドラ一筒
ホンイツに向かう手も考えられますが、ここは相手にプレッシャーを与えるべくリーチにいきます。これが最高の結果に。跳満が狙える1シャンテンとなった寿人プロから一発で、
二索三索二筒二筒三筒三筒四筒四筒七筒八筒九筒西西  ロン四索  ドラ一筒  裏ドラ西
この12,000のアガリとなりました。
しかし、このまま前原プロの独走を許すわけにはいきません。この後は、反撃が始まります。
まずは、東3局1本場、親の前原プロが、
三万三万三万三筒四筒赤五筒五筒  チー四索二索三索  暗カン牌の背七万七万牌の背  ドラ中  カンドラ五筒
この12,000のテンパイをいれますが、私が前原プロから、
一万一万赤五万八万八万九筒九筒東東西西中中  ロン五万
この8,000をアガリます。
これは、前原プロの七万暗カンに対応して、早々と七対子に決め打った手がぴったりとハマり、自分でも大満足の一局でした。
続く東四索局は親の荒プロが、
四万五万三索三索四索四索五索五索六索七索八索発発  リーチ  ツモ三万  ドラ二索  裏ドラ八万
この2,000オールと前原プロを追いかけます。
さらに、東4局1本場、前原プロが、
一万一万一万四索六索二筒二筒三筒七筒九筒九筒東東  ドラ発
ここから東をポンすると、寿人プロからリーチが入ります。
二万三万四万赤五万五万五万八万八万九万四筒四筒四筒中中  打九万  リーチ
しかしこのリーチ、河を見るとなんと!!!
八万が1枚切れの上、中は2枚切れ。残り1枚の八万を求めにいったリーチでした。
これで困ったのは前原プロ。
なんと一発でラス牌の八万を掴んでしまいます。ここでオリに回らされます。
一方、寿人プロと前原プロのアガリがなくなりチャンスを得たのは私でした。
ツモに恵まれテンパイが入ると、寿人プロの現物待ちで前原プロからアガリとなりました。
二索二索三索三索五索五索八索八索三筒三筒六筒発発  ロン六筒  ドラ発
いやーそれにしても寿人プロのリーチには驚きました。結果はアガリには結び付きませんでしたが、このタイミングでのリーチが相手にどれほどのプレッシャーを与えるかを見極めたものであり、本当に素晴らしいと思いました。
森山プロと並び、天空麻雀3度の優勝を誇る寿人プロならではの、決勝を勝ち切るためのリーチでした。
続いて南1局。前局のアガリでトップ目に立った私にチャンスが訪れます。
9巡目に以下のテンパイが入ります。
四万五万六万三索四索五索六索七索八索八索四筒五筒北北  ドラ東
ここで私の選択は打八索のヤミテン。
三色同順の手変りを待ちつつ、確実にアガリをものにしようと考えたのでした。
結果は次巡、
四万五万六万三索四索五索六索七索八索四筒五筒北北  ツモ三筒
400・700のアガリとなりました。
アガリとはなったもののこの選択、書いていて自分でもちょっと情けなくなりました。
三色同順に手変わったとしても、安目でのアガリもあるので、一発裏ドラ有りのこのルールならば、ここはリーチの一手でした。
トップを決めうる高打点を狙うならば、北のトイツ落としをすべきであり、何とも中途半端な選択をしてしまいました。先ほどの、寿人プロの意志のこもったシャンポンリーチを見習って、今後もしっかりと勉強していかなければなりませんね。
さあ続いて局面は、南2局1本場。ここが1回戦最高に盛り上がった局となりました。
11巡目、序盤好調だったものの2着になってしまった前原プロからリーチが入ります。
その手牌はナント!
一万一万一筒一筒一筒赤五筒五筒西西西中中中  ドラ四索
四暗刻のテンパイでした。この局の結末は…
んー気になるところですが、今回のレポートはここまでとさせて頂きます。
みなさん続きは、是非「エンタメ~テレ」でお楽しみください!
この後も、トータルトップ目が何度も入れ換わる大熱戦でした。
さあ優勝は誰の手に。ではではみなさん、テレビの前でお会いしましょう!

放送スケジュール&詳細はこちらよりご確認ください。


「エンタメ~テレ」 HPはこちら
「天空麻雀11」 番組HPは こちら

第13期九州皇帝位決勝戦二日目レポート

■7回戦(起家から、東谷・西原・浜上・藤原)

初日を終え、選手はどのような気持ちで眠りについたのだろう。
ひょっとしたら、眠ることすら困難だったのかもしれない。
それぞれの1年間の想いが濃縮された日の朝、初日を全力で闘ったという意味ではベストとは言えぬ身体を太陽の光が優しく包み込む。今日で皇帝位が決まるのだ。

2日目初戦の7回戦は東2局、最終日も東谷(西家)の華麗な1,300・2,600ツモアガリからスタートする。

五万五万五万四索五索九索九索白白白  ポン東東東  ツモ三索  ドラ五索

東谷は3巡目に二万をツモってきた場面、

五万五万七万九万二索五索九索九索東東南白白  ツモ二万  打七万

ここで打七万とする。二索南を抱えているのは、構想にホンイツを入れているからである。二万の孤立牌より七万九万ターツの方が部分だけみれば優れてるわけだが、東谷の打点も踏まえた構成では後に七万九万ターツを打ち出していくのを理想としていた。よってここでソーズや孤立字牌に手をかけず、更にはカンチャン六万の受けが残る打九万でもない打七万としたのは、私としては素晴らしいの一言。このように、アガリの完成形だけでは解らぬところに打ち手の意志が垣間見える。

東3局、今度は初日トップで終えた藤原にアガリが出る。

二万二万二万一索二索三索八索八索七筒七筒八筒八筒九筒  リーチ  ロン九筒  ドラ八索

東場を終えて、ポイント下位の浜上と西原が共に沈んだ状態で南場入り。2人にとっては苦しい展開となるが果たして・・・・

南1局、浜上(西家)がアッサリ2,000・3,900をツモる。

二万三万四万三索三索五索五索六索六索七索七索四筒六筒  ツモ五筒  ドラ二万

浜上はピンズを一筒九筒しか切っておらず、もしこれがリャンメンに振り替わっていたらリーチをしていただろう。しかし初日とは違い、あっさりアガリ牌を引き当てるあたり、本人は小さな変化、もしくは風のようなものを感じただろうか?

南3局、これに呼応するように西原が連続でアガリを決める。まずは以下、

二万三万一索二索三索五索六索七索三筒四筒五筒八筒八筒  リーチ  ツモ四万  ドラ四筒

次のアガリはオーラス、各者の持ち点は、
東家:藤原 29,700
南家:東谷 26,600
西家:西原 25,500
北家:浜上 38,200
こうなっている場面。

藤原がドラ色のソーズホンイツに走る中、東谷と西原がぶつかった。まずは西原が11巡目にテンパイを入れ、続いて東谷が15巡目に意を決しリーチ。

西原  一万二万三万四万五万六万八万九万四索四索五索六索七索  ドラ五索

東谷  一万一万七万八万九万一索二索七筒八筒九筒西西西  リーチ

西原は、親の藤原が七万を持ってきたら出ると読んでいる。また、巡目が深くなったこともあり、ソーズをどこまで打ち出すのかも相談しながら、必死に気配を殺してヤミにしている。東谷は捌くだけなら違う手組みやヤミの選択も出来た訳だが、本人にそんな気は更々なかった。ラスを覚悟した上での、ハイリスク・ハイリターンを狙う。そして、東谷がリーチをした巡目に、西原のところに七万が舞い降りた。これによりトータルポイント下位2人のワンツーで2日目がスタートする。

晴天のまぶしさの中、商売っ気に溢れた街の一角で、
密かに上位2名には暗雲が立ち込めた・・・・。

7回戦成績
浜上+14.2P  西原+8.4P  藤原▲8.2P  東谷▲14.4P

7回戦終了時
藤原+58.7P  東谷+24.2P  西原▲41.4P  浜上▲41.5P

■8回戦(起家から、浜上・西原・藤原・東谷)
まずは東2局、藤原(南家)と西原(西家)の本手がぶつかる。

藤原 三万三万三万五万五万八万八万八万六筒六筒  ポン六索六索六索  ドラ八索

西原 七万七万七万九万九万三筒三筒三筒中中  ポン四筒四筒四筒

両者ともトイトイでドラ無し。そして河にドラは放たれていない。
リーグ戦1位通過の西原と、2位通過の藤原が(相手の手牌にドラがトイツ以上であるかもしれないという不安なぞ入り込む余地もなく)自分の育てた手を信じ、ただただ真っ直ぐ不要牌を打ち出し、遂に最終巡目に藤原が西原から六筒でロンアガリした。

続く東3局は、西原(北家)が土俵際の踏ん張りで3,900をアガリ、東4局も果敢にリーチ。

一万二万五万六万七万一索二索三索一筒二筒三筒西西  リーチ  ドラ五筒

このリーチに気配殺して水面下で藤原を引きずり下ろさんとする東谷(東家)がヤミテンを入れる。

三筒三筒四筒六筒七筒七筒八筒八筒八筒北白白白  ツモ五筒

北とする。東谷はまだ三万四万のターツがある4巡目に、2枚切れの中と1枚切れの白中をリリースしている。はっきりとタンピンが見える手牌なだけに、先に白を処理する打ち手も少なくないが、次巡、白を重ね、迷わず三万四万のターツに手をかけた。大きく成長した東谷を、私は何度見たことだろう。そして西原が持ってきた牌は息をひそめた東谷のアタリ牌である七筒であった。

三筒三筒四筒五筒六筒七筒七筒八筒八筒八筒白白白  ロン七筒

東4局1本場、藤原(北家、39,100持ち)が何食わぬ顔でリーチと発声。手牌を見ると、

七万七万九万九万二索二索四索四索四筒四筒五筒五筒南  リーチ  ドラ一筒

なんと七対子である。私はトータルトップの者なら、この持ち点で七対子のテンパイがくれば、ドラを持ってきた時のことや、局を1局でも低リスクで進めることを考えてヤミが普通であると考えている。しかも南は生牌である。それを藤原はいとも簡単にリーチと言ったのだ。他の3人が私と同じような考えなら、一体このリーチはどう映るだろう?

(凄くいい待ちなのか?打点は高いのだろう。)

色んな思考が頭をよぎり、そして次の瞬間からは対応を強いられることになる。藤原は初日から、ただただ自分の手牌に真っ直ぐであり、手役を追い、形になった時には純粋にアガリに向かう、という麻雀を打っている。だがその影に、ひょっとしたらこう打てば、こういう仕掛けをすれば、相手がどう対応するか?まで計算されていたのかもしれない。私は無表情でNをツモる藤原を見ながら、恐怖にも似た底しれぬ不安を抱いた。

そして南3局、藤原(東家、46,600持ち)の羅針盤がある方向でピタッと止まる。

五索五索八索二筒二筒四筒四筒四筒五筒六筒六筒八筒発  ドラ北

上記の牌姿から7巡目に藤原は二筒をポンする。次巡、ツモ二万で藤原の手が止まった。

五索五索四筒四筒四筒五筒六筒六筒八筒発  ポン二筒二筒二筒  ツモ二万

全体の河を見ても、さほどマンズの下が良いようには思えない。が藤原のアンテナはここからまさかの打五筒とさせる。シャンテン数も落とし、ピンズのチンイツを捨てる打牌。この不可思議な打牌は数巡後に以下になる。

二万二万二万五索五索四筒四筒四筒六筒六筒  ポン二筒二筒二筒  ロン六筒

西原のメンタンピンイーペーコーのリーチ宣言牌を捕えての7,700。
衝撃とも言えるこのアガリ。藤原という男には一体何が見えているのだろう?
4人の手牌を自由に見ることができる私でさえも、この二万はキャッチ出来ていない。しかし、これが偶然の打牌ではないことは、重なるかどうか分からない二万を抱え、ピンズのチンイツを消す打牌をする意味を考えたらわかっていただけると思う。観戦記者として説明が出来ない自分が歯がゆいが、確かに藤原にはこの二万が見えていた。
そしてその羅針盤は、決勝という荒波の大海原の中で優勝の方角を指している。

8回戦成績
藤原+32.3P  東谷+7.8P  浜上+2.4P  西原▲42.5P

8回戦終了時
藤原+91.0P  東谷+32.0P  浜上▲39.1P  西原▲83.9P

■9回戦(起家から、浜上・藤原・東谷・西原)
決勝も残り4半荘。トータルポイントで西原にもうマイナスは許されない。それは浜上もさほど変わらず、唯一東谷だけが、距離を計りつつ闘える位置にいる。その中で各自がどのような心境と共に展開を繰り広げるかが注目される。

東1局、浜上(東家)がテンパイ即リーチ。

一万一万五索七索一筒二筒二筒三筒三筒四筒六筒七筒八筒  リーチ  ドラ五索

チャンタやイーぺーコー、ホンイツを付けたかった。それでもツモが効かずやっと入れたテンパイだから、といったところか。これに東谷(西家)が二索を1枚勝負して追いつく。

一索二索三索四索五索六索六索七索八索九索  ポン東東東

そして藤原が手牌に2人の共通安全牌を切らしたところに、仕方なく浜上の現物である九索を打ち出し、東谷はようやく藤原から直撃することに成功した。

南1局、ここまで幾度となくアガリを阻まれてきた浜上(東家)にやっと風が吹く。

四索五索五索五索五索六索七索八索九索南  ポン中中中  ツモ南  ドラ五索

この6,000オール。次局、下記の配牌から、

一万五万七万八万二索七索七索八索九索一筒二筒四筒五筒五筒  ドラ七万

七万八万九万二索二索二索七索八索九索四筒四筒八筒九筒  リーチ  ツモ七筒

こう仕上げて、4,100オールで一気に60,000到達。どこまで盛り返す?

そんな空気に包まれた南1局2本場、浜上の連荘を阻止するべく東谷(西家)がリーチを打つ。

捨て牌 九索九筒六筒四万六万四索一筒七万←リーチ

二万二万五万五万八万八万三索三索七索七索四筒七筒七筒  リーチ  ドラ四筒

ドラ単騎の七対子だ。河も変則手模様を醸し出していて、なかなか他の3人も行きづらいリーチである。それでも浜上は(ここは全て行く)と腹を決め、生牌の白を打ち出す。

すると、ここまでおとなしかった西原(北家)がこれをポンして打西。西原は、更に次巡も打西とする。全て行くつもりだった浜上だが、西原の仕掛けと打ち出された牌を見て、場の異様さに気付く。
西家である東谷のリーチは変則手模様である。それに対し、西原は打西と1枚押すならわかるが、トイツ落としは何か解せないと読んだのだ。つまり西のトイツ落としをしてまでも押す理由はそれ相当の絵が入っていることになり、この瞬間、浜上は(どうしても1人浮きが欲しい)という欲求を抑え、ここで我慢して引く決断をする。

【浜上の足を止める為】にリーチを打った東谷。【どうしても1人浮きが欲しくて】オリを決断した浜上。
西原の手牌が開かれた時、2人の思考から導き出された1つの展開(選択)が2人の明暗を分けた・・・・・。

二万二万三万四万五万発発発中中  ポン白白白  ロン中

西原の大三元である。放銃したのは東谷だった。
浜上の手牌には今にも場に出そうかとしていた中があった。東谷がリーチと来た時、浜上は全てぶつける心算でいたはずだが、それ以上の覚悟を持って向かっていく西原の熱が、逆に浜上に冷静さを取り戻させた。
東谷にとっては、この結末は意識の外だったろう。浜上の連荘を止めたい。ただその一心で打ったリーチが、思わぬ結果を生んでしまったのだから。

その後、東谷はこの半荘の流局以外の全ての局で放銃することになる。ここまで積み上げてきた東谷の、技術が成し得たアガリも、会心のツモも全てが1つのリーチで無に戻った瞬間だった。
一生懸命平常を装おうとする東谷に、「去年の雪辱を果たすならここからが勝負だ。」と、私は観戦記者の立場でありながら、心の中で東谷にそう声をかけた。
麻雀は本当に孤独な競技である。誰も東谷の肩代わりは出来ないのだから、東谷は自分の足で再び卓上に上がるしかないのだ。最終的にその時に背中を押してくれるのは過去の自分しかいない。いくつもの敗戦の度、流した涙と汗の量だけが自身を再び闘いの舞台へといざなう。

9回戦成績
浜上+38.3P  西原+31.5P  藤原▲10.6P  東谷▲57.2P

9回戦終了時
藤原+80.4P  浜上▲0.8P  東谷▲27.2P  西原▲52.4P

■10回戦(起家から、藤原・東谷・浜上・西原)
残り3半荘。今まで2対2の並びが、今回から1対3の構図になった。1人抜けている藤原を捕えるには、追う3人が包囲網を引く必要がある。でなければ、ただでさえ心身ともに充実している藤原を、残り3半荘で捕えるのは難しく感じる。

東1局、東谷(南家)が意地を見せる。9巡目にテンパイし、14巡目に藤原(東家)が中をツモ切った局面。

一索一索二索二索四索四索六索六索東東北北西  ツモ中  ドラ二万

まさに今、藤原が何食わぬ顔で切った中に待ちを変更。山越しだ。東谷は心の中で「もう1枚掴めっ!」と念じる。だがなんと直後の西原のツモが中で、たった今、藤原が切った中なだけに西原は止める理由がなく、東谷に放銃してしまう。東谷は打ち取りたい相手ではなかったにしても、贅沢は言えない立場でこれをロンアガリする。私が東谷と同じ立場でもこれは同じ選択をしたと思う。

だが、現実問題、藤原とのポイント差は100Pを超えている。だとすれば、西原が切った中をスルーして、次巡ツモ切りリーチも面白かったかもしれない。そうすれば、ひょっとすれば。それぐらいの予想しか出来ないがあるいは、藤原にその中がきても藤原は打ち出していたかもしれない。

東2局、東谷(東場)が8巡目に以下の捨て牌と牌姿でリーチ。

捨て牌 南五筒三筒五索四筒八万九索三万←リーチ

二万二万四万四万六万六万七万七万一筒二筒二筒九筒九筒  リーチ  ドラ東

ドラはないが、どうにも山にいそうな七対子の一筒待ち。しかしこれも藤原(北家)からでなく浜上(南家)からの打ち取り。前の半荘の結果に精神が揺さぶられているはずの東谷。それを必死で抑え、諦めない姿勢が熱を帯びて会場の温度が高く感じる。

東2局1本場、観戦者の誰もが追う3者の熱に残りの半荘が接戦となることを期待する。そんな中で今度は浜上(南家)から9巡目のツモの声。

一万九万九索一筒九筒東東南西北白発中  ツモ一索  ドラ南

「8000・16000は、8100・16100。」

浜上の手牌を観戦していなかったものは誰もが驚いたであろう。まるで300・500をツモったかのようなトーンの発声で、舞い降りた鳳凰を静かに見つめ手牌を倒す浜上。
今から遡ること数カ月前、浜上は王位戦の本戦でも絶望的な状況南3局から、倍満、役満と立て続けにアガリ、勝ち上がりを決めた一幕がある。しかも、その役満もラス牌を一発ツモであった。どうして?こんな事が?もはや観戦者も、対局者である本人達でさえも、目の前に起きた現象を冷静に受け止められるものは1人もいないように思えた。
ただただ浮かび上がる疑問と、(この男ならあるいは逆転も・・・・・)という期待と不安だけが、この場の空気を支配していった。唯一、浜上だけが冷静な面持ちでサイコロを振る。

東3局1本場、東谷(北家)が以下の牌姿でリーチといく。

二索二索五索五索六索六索七索三筒四筒五筒六筒七筒八筒  リーチ  ドラ六万

これを西原から安めの四索でロンアガリ。浜上の国士無双を親被りした東谷だが、早々に原点復帰を果たす。

東4局、またしても東谷(西家)がリーチ。

七万七万六筒六筒八筒九筒九筒二索二索発発中中  リーチ  ドラ三索

これも浜上からロンアガリし3,200加点する。東谷は手を作り果敢にリーチにいくもトータルトップの藤原からは、当然アタリ牌は出てこない。

この時私は、トータルポイントと残りの半荘数を考慮して、既に執拗に直取りしていかないといけない局面に来ているのでは?と思ってみていたが、他の観戦者や皆さんはどう感じているだろうか?

この半荘を終えると、残る半荘は後2回。それで100Pを捲るのは、かなりハードルが高い。しかも、それほどまでに引き離された現実も含めると、ただリーチで打点を上げるだけの作戦を選んだのは正直、少々疑問を感じる。決勝の舞台にすら残っていないお前が何言っている?こんな言葉を浴びせられるかもしれないが、私は東谷の取ったこの作戦は九州本部全体の課題だと思っている。麻雀の性質上、結果としてポイントを大きく離された状態で終盤戦に入るのは今後、幾度となく出てくるだろう。そういった時に、対局者の目的がみな【優勝】という1点で一致しているならば、どのように闘うか?は非常に大きなテーマであり、みんなで真剣に考えるべき課題だ。
地方の中では、非常に大きな部類に入る九州であるからこそ、今後はこういう課題にみなで真剣に考え、取り組みながらひとつの大きなモノを作り上げていくというのが私たちの使命だと思う。

南3局、ついにここまで攻め続けた東谷(北家)と藤原(西家)がぶつかる。
東谷が10巡目に以下でリーチをすれば、

四万四万五万六万四索五索五索六索六索七索五筒六筒七筒  リーチ  ドラ西

藤原が以下の牌姿で押し返す。

四万五万六万七万七万南南  チー一万二万三万  暗カン牌の背白白牌の背

正にがっぷり4つの形相。藤原はこの半荘1度もアガることはなく、1度も放銃することもなかったが、おかげで点棒は21,000まで落ち込んでいた。それでもこの手牌は見方によれば、白を暗カンしなくてもいいかもしれない。

道中、ソーズの三索四索ターツ落としをせず、打点を作りにいかず、捌くだけの局、もしくは半荘にしてもよかっただろう。だが、藤原はこの2日間一貫して、自分が描くアガリ形を崩すことなく打ち続けた。そして絵になった時は、ただただ自分の打牌に対して素直に真っ直ぐ押した。結果は、藤原が力強く南をツモアガリ。

四万五万六万七万七万南南  チー一万二万三万  暗カン牌の背白白牌の背   ツモ南

もともと破壊力に定評があった藤原だが、こうして2日間観戦記者をさせて頂くと、藤原の強さが細分化され、私にもハッキリわかるようになった。自分の構想力を信頼しているからこそ、我慢する局面でジッと耐えることが出来る。反対に構想通りになった時はどこまでも押せる。その強さを改めて感じさせられた。そして藤原のアガリには半荘を決定づけるものが多く、そうした彼の打ち方そのものがこれだけのポイントをかき集めた1つの要因だと言えるだろう。

だが、10回戦はオーラスに西原(東家)が奮起して浜上の1人浮きに終わった。
藤原はあまりポイントを減らさずして残り2回を闘えるが、すぐ後ろには浜上が来た!
既に射程圏内だ。

10回戦成績
浜上+37.7P  藤原▲6.0P  東谷▲12.5P  西原▲19.2P

10回戦終了時
藤原+74.4P  浜上+36.9P  東谷▲39.7P  西原▲71.6P

■11回戦(起家から、東谷・西原・浜上・藤原)
東1局、初日から苦しい闘いの末、遂に藤原の背中が見えた浜上(西家)が8巡目に早くもリーチ。

一万二万三万五万六万八索八索八索三筒四筒五筒七筒七筒  リーチ  ドラ七筒

これに東谷(東家)が次巡、待望の六万を引き入れて、渾身のリーチ。

四万五万六万七万七万二索三索四索五索六索四筒五筒六筒  リーチ

ツモれば2,000・3,900の浜上。一索ならロンアガリでも親満の東谷。観戦者の方々はどちらにもアガって欲しい、もしくは結果が見たくない、そんな気持ちに自然となっただろう。
結果、軍配は東谷が一索で浜上からロンアガリ。その顔からはまだ諦めてはいない表情が見てとれる。悔しい想いをした去年、あれからたった1年であるかもしれない。だが東谷の中では大きな1年であり長い長い1年だったろう。今、全身全霊で持っている力を全てぶつける。その瞳が追う浜上と逃げる藤原を見つめた。

東2局、西原(東家)の10巡目、

三万三万一筒一筒  ポン二筒二筒二筒  ポン四筒四筒四筒  ポン中中中  ドラ一筒

これに遅れること4巡、浜上(南家)が追いつき、リーチを打つ。

五万六万一索二索三索四索五索六索六索七索八索一筒一筒  リーチ

だが、これは親の本手を警戒してヤミにしていた東谷(北家)に捌かれる。

東3局、親は浜上。今回が勝負と言っていた浜上は、この半荘でマイナス終了すれば条件はかなり厳しくなる。東1局にリーチを打った本手も思わぬ形で破られ、前局も捌かれた。追い上げる浜上に期待をしている観戦者とは裏腹に、本人には重い重圧がのしかかっていると思う。
それを象徴するかのように、浜上は4巡目に早くも以下の牌姿から

一索一索四索五索六索九索九索四筒五筒西白中中  ドラ七万

九索をポンする。いつもはメンホンやメンホン七対子になれば良しの構えでこの九索はスルーする浜上もこの親番だけは絶対落とせない、という気持ちの表れだろう。そのポンに東谷(西家)のツモが効き、本手に成就させぶつける。

四万四万五万六万七万三索三索四索四索五索三筒四筒五筒 リーチ ツモ五索

高目五索ツモの3,000・6,000。10回戦のリーチ構成の賛否は置いておき、この終盤に来ての東谷の手作りとぶつけ方はすさまじいものがあった。中には道中安いテンパイを拒否した牌姿もあり、その中でこれほどの足が使えるのは気迫のなせる技なのか?と思ってしまう。
だが、トータルトップの藤原は3着目の東谷が走る分には構わないと思っているだろう。だからこそ10回戦同様、我慢する局面はジッと我慢する。

東4局1本場、藤原は7巡目にドラ三索のリーチ。

五万六万七万八万八万八万二筒二筒五筒五筒五筒七筒八筒  リーチ  ドラ八万

10巡目に西原(西家)が追い掛けリーチを打つも、

一万一万六万七万八万三索四索五索七索八索九索三筒四筒  リーチ

西原の二筒五筒は、藤原だけで5枚持たれていて非常に苦しい。結果は、やはりというべきか六筒を持ってきて12,000の放銃になってしまった。ひと叩きで40,000点を超えた藤原、
つづく2本場はなんと3巡目にリーチ。

一万一万七万八万九万一索二索三索五索六索七索中中  リーチ  ドラ六万

今度は、浜上が一万で放銃し、藤原は更に加点する。
押せ押せムードとなった3本場だが、今度はこの手をヤミに構え、

四索五索二筒二筒三筒四筒五筒六筒七筒八筒発発発  ドラ八筒

浜上からロンアガリする。
そして4本場、7巡目テンパイ。ヤミに受け、放銃者は東谷。

四万五万六万六万二索三索四索二筒二筒二筒六筒七筒八筒  ドラ八万

この時点で、藤原は持ち点53,000を超えた。12,000を放銃した西原。
藤原に安全圏に行かれ優勝が遠のいた東谷。持ち点が4,300しかない浜上。

対局者は、麻雀とは思うように行かない競技だというのをわかっているからこそ、どこかで負けを意識するだろう。どうしても欲しいものが手に入らない時、たいていの人はどこかで諦める。だが、ここに座っている4人は『麻雀だけは』という気持ちでプロとして歩んできた。心のどこかで押し寄せる負けの意識に対し、それでも尚、最後まで闘うとは一体どういうことなのだろう?と、私は筆を走らせながら、自分で考えてみると同時にとある先輩の一言を思い出していた。

「俺達は、アスリートであり表現者でなければいけない。普段やっているトレーニングや訓練を卓上で表現するこということは、ある意味勝ち負けより重要じゃないか?」

プロであるから結果が全てであり、勝つことが絶対であるのが勝負の世界。私たちはこれを誰もが目を背けてはいけないことだと捉え、自問自答しながら闘っている。それでも私は、上記の先輩の言葉に響くものがあった。
そのような先輩の言葉をお借りするなら、負けを意識しても尚、闘うことは何かを表現することであり、ある意味、その意志や気持ちは勝負の外側に存在するのでは?と。

11回戦は、東場に点棒を集めた藤原と東谷の2人浮きで終わる。各自のポイントから考えても、トータルトップの藤原を逆転するのは、条件としては簡単とは言えない。それでも4人は次が最後の闘いであるのを理解した上で、乾いた喉に水を流し込んだ。

11回戦成績
東谷+57.4P  藤原+14.8P  西原▲18.9P  浜上▲53.3P

11回戦終了時
藤原+89.2P  東谷+17.7P  浜上▲16.4P  西原▲90.5P

■最終12回戦(起家から、東谷・浜上・西原・藤原)
これが最後の半荘。現実的に厳しい西原を除けば、東谷も浜上も、もう前に出続けるしかない。
東1局は東谷の親番。3巡目に1シャンテンで以下。

三万四万五索六索七索三筒三筒五筒五筒七筒南南南  ドラ三万

親でこの手牌ならどこがどう来てもリーチであろう。頭の中は、どれでもいい早くテンパイしたいと思っていることだと思う。しかし、なんとここから東谷は無情にも、ソーズを三索四索五索に変化させただけで、残りツモ15回を12回ただただ河に並べただけでノーテンに終わってしまった。本人のこれまでの闘い方を見れば、まだ南場の親があるなどとは1ミリも思ってないだろう。辛く悲しい気持ちがよくわかる。

東2局1本場 浜上(東家)が14巡目、やっとテンパイ。

三万三万五万六万七万六索七索三筒四筒五筒六筒七筒南  ツモ八索  ドラ南

テンパイ打牌のドラの南は4巡目に持ってきてから、ずっと抱えていた牌である。
これがまだ中盤戦なら、どこかでリリースしていたかもしれないが、最後まで引っ張ったのは放銃するリスクが高くなってでも、雀頭の振り替わりに重きを置いていた証拠である。
18巡目の最後のツモで二筒をツモり1,300は1,400オール。
これが早い巡目なら浜上は、八索切りのフリテンリーチを打っていただろう。

東2局2本場、浜上はなんとしても親を落とすわけにはいかない。
8巡目に以下でテンパイし、

三万四万五万六万六万七万八万九万二索三索四索四筒五筒  ドラ六筒

三万六万を持ってくればタンヤオに、五索を持ってくれば高目三色に変化するのでヤミ。
2巡後、三万を引き入れて、タンピンになったところでリーチを打つが、これは1人テンパイの流局。

東2局3本場、今度はテンパイ即リーチを打つ。

三索三索六索七索八索九索九索九索東東東西西  リーチ  ドラ八筒

変則的な捨て牌模様で、ヤミでもツモれば親倍だが、リーチを選択したのは、対局者を自由に打たせたくなかったのが一番の理由か?いや、ひょっとしたらそんな損得勘定とは別の、ある種の意志として打ったリーチかもしれない。これを西原から三索でロンアガリし、18,000は18,900の加点。

東2局4本場、逆転が現実的になってきた浜上の配牌。

五万六万一索四索九索一筒一筒二筒四筒九筒南西発中  ドラ一筒

決して軽いとは言えないものの、ドラがトイツのチャンス手。なんとしても決めたい。
この手が形になってきた11巡目、

五万六万四索五索五索一筒一筒四筒五筒南南発中  ツモ六筒  打五索

目いっぱい構えるというなら発中が最もマジョリティだろうか?
それでも浜上は字牌を抱え、他者の捨て牌からそろそろテンパイを入れるものがいるだろうと踏んで、ここで手牌をスリムのする為に五索を先に処理する。
すると、この五索が藤原になんと1巡だけ間に合わず、放銃となってしまった。

二万三万四万八万八万三索四索一筒二筒三筒七筒八筒九筒  ロン五索

東3局も藤原が2,000のチーテンを入れ捌く。優勝に向けて、確実に一歩一歩階段を上る姿勢、今まであれだけ放銃を恐れず真っ直ぐな打ち筋をしてきた藤原が、石橋を叩くほどの慎重さがここにある。

東4局、その慎重な藤原からロンアガリしたのが浜上。

三万四万五万六万八万四索四索二筒二筒二筒三筒三筒三筒  ドラ四索  ロン七万

タンヤオドラ2の5,200である。トータルトップの藤原からなので上下差10,400点縮めたことになる。浜上の最初のテンパイは8巡目と早く、六万九万でありタンヤオが付いてない形であった。ドラが2枚あることを考えれば、リーチの選択もおかしくはない場面だが、よもやのツモ四索やツモり三暗刻の変化などを考慮しロンアガリの効かないヤミを選択していた。そして13巡目にやっとツモ六万でタンヤオが付いてのアガリである。

南場入りした時点で各自の持ち点は、
東谷:26,600
浜上:57,100
西原:5,700
藤原:30,600
となっている。

南1局、最後の東谷の親は浜上がピンフで捌く。
思えば、東谷は手役を作ることに重点を置き、常に踏み込むことを恐れず闘ってきた。そういった側面では藤原と似たような戦術であったが、道中のちょっとした選択があの大三元放銃を生んでしまった。私はその布石として5回戦東2局の連荘中の藤原にいずれも生牌のダブ東と発をぶつけた時の心境を挙げた。あの時、ポイントではまだまだ優勢だった東谷だが、内情は展開の怪しさに焦りを感じていたのだろう。それが大三元放銃の局面にも浜上の連荘を止めたい一心で打った七対子ドラ待ちのリーチにも同じように感じられた。ドラだからヤミに構えても出てくることはあまり期待出来ない。自分の河が変則手だからリーチを打てば対応するだろう。色々なメリットと思える思考が、三元牌が場に顔を見せていないというわずかな危険察知を霞めさせ、大局観としてリーチで蓋をする選択をした。
その他の局面では素晴らしい闘牌を見せていただけに、たった1つの選択が致命傷となったケースとしては非常に無念でもあるだろう。東谷は2年連続で優勝に手が届かなかったが、この経験を彼は必ず活かしてくると私は思っている。競技麻雀のわびさびとも言えるべき深い構想力も、ちょっとした選択で生まれた大三元放銃も、今の東谷を象徴する出来事だった。

南2局、東谷が親落ちした今、ポイントから考えて逆転の可能性はほぼ浜上しかいない。それでも東場の浜上の親を自らの手で落とした藤原が、息の根を止めにきた。

五万六万六万七万七万三筒四筒五筒五筒六筒七筒八筒中中  リーチ  ドラ九索

7巡目の早いリーチであり、ドラは無いが待ちとしては充分だ。
この時1シャンテンだった浜上。無筋を2枚押し、10巡目にテンパイを入れ追いかける。

一万一万八万八万七索八索九索三筒四筒五筒六筒七筒八筒  リーチ

五万なら藤原に放銃で終了。八万なら続行だ。そしてリーチ一発目に持ってきたのは八万だった。

同2本場、5巡目に藤原がリャンメンのチーから入る。

三万三万五万七万七万二索二索三索九索三筒四筒  チー六筒七筒八筒  ドラ八万

仕掛けた方が早そうではあるが、上家の西原(南家)は自身の優勝がなくとも有効牌をそう簡単に下ろしたりはしないだろう。それでもこの仕掛けを入れたのは、やはり追われる側の不安ということなのだろうか?ましてや前局は浜上に待ち牌である八万をツモられているから嫌な感触もあるだろう。このリャンメンチーの仕掛けを見て浜上も遠いところから仕掛けるが、結果は2人テンパイの流局。

同3本場、4巡目の浜上の手牌。

二万五万五万七万二索二索四索二筒四筒六筒七筒七筒八筒  ツモ四万  ドラ六筒

少し前ではあるが「ポンよし。チーよし。ポンチーよし。」という言葉があったと思う。
要するに、チー出来る部分、ポン出来る部分、ポンもチーも出来る部分で手組みをしていたら効率的には大丈夫だ、というようなことだったと記憶しているが、この四万をツモってくる前から浜上の手牌にある二万は、当然234の三色を意識してのものだろう。ツモ四万ときたら落とせない親だけに打二万としたくなるが、浜上は打七万とした。
14巡目、浜上がツモ切った南に藤原がポンテンを入れる。

二万二万三万四万六万七万八万二筒二筒三筒三筒南南

二万とし、この二万で今度は浜上がポンしてテンパイ。

五万五万五万二索二索二筒四筒六筒七筒八筒九筒  ポン二万二万二万

九筒とするが、またしても2人テンパイの流局。浜上はあの時打二万としていたら少なくともこのテンパイはできていなかった。

同4本場、13巡目と決して早くないが浜上がリーチをする。

三万三万三万一索二索三索七索八索二筒三筒四筒五筒五筒  リーチ  ドラ一索

そして2巡後に九索をツモアガリ。これで持ち点が79,300になった。

同5本場、親の第1打の西を藤原がポン。

六万七万一索二索二索九索五筒七筒東南西西北  ドラ三筒

これも良い形とは言えなかったものの、遂には9巡目に、

六万七万八万二索二索二索五筒五筒七筒八筒  ポン西西西  ツモ六筒

これで決着がついた。

その後、南4局は藤原の400・700ツモアガリ。
最終戦オーラスはノーテンとし、これにて全対局は終了した。

12回戦成績
浜上+59.9P  藤原▲3.7P  東谷▲14.0P  西原▲42.2P

第13期皇帝位戦決勝結果
優勝:藤原+85.5P  準優勝:浜上+43.5P  3位:東谷+3.7P  4位:西原▲132.7P

 

藤原は下馬評を覆し、見事な闘いっぷりで栄冠を掴んだ。
藤原の雄姿を一目見ようと、故郷である山口県から藤原の多くの友人が応援に駆けつけていたのがとても印象的だった。これにより皇帝位は初めて関門海峡を渡ることとなる。

対局者のみなさん、2日間の長き闘いお疲れ様でした。
また決勝に残れなかった身でありながら、みなさんの麻雀をほとんどの部分主観で表現しましたことどうかお許し下さい。

そしてお付き合い下さった読者の方、九州本部は今、プレイヤーの年齢が非常に若くまだまだこれからの組織です。個々の麻雀の技術の向上や雀風の確立とは別に、文中でも申し上げました通り、プロ団体として九州本部全体で考える課題も数多くあります。
しかしながら、私達はこれに臆することなく一歩一歩前進していきたいと思っております。
どうか今後とも暖かい目で見守って下さいますようよろしくお願いします。
最後まで読んで下さりありがとうございました。

九州プロリーグ レポート/第13期九州皇帝位決勝戦二日目レポート

■7回戦(起家から、東谷・西原・浜上・藤原)
初日を終え、選手はどのような気持ちで眠りについたのだろう。
ひょっとしたら、眠ることすら困難だったのかもしれない。
それぞれの1年間の想いが濃縮された日の朝、初日を全力で闘ったという意味ではベストとは言えぬ身体を太陽の光が優しく包み込む。今日で皇帝位が決まるのだ。
2日目初戦の7回戦は東2局、最終日も東谷(西家)の華麗な1,300・2,600ツモアガリからスタートする。
五万五万五万四索五索九索九索白白白  ポン東東東  ツモ三索  ドラ五索
東谷は3巡目に二万をツモってきた場面、
五万五万七万九万二索五索九索九索東東南白白  ツモ二万  打七万
ここで打七万とする。二索南を抱えているのは、構想にホンイツを入れているからである。二万の孤立牌より七万九万ターツの方が部分だけみれば優れてるわけだが、東谷の打点も踏まえた構成では後に七万九万ターツを打ち出していくのを理想としていた。よってここでソーズや孤立字牌に手をかけず、更にはカンチャン六万の受けが残る打九万でもない打七万としたのは、私としては素晴らしいの一言。このように、アガリの完成形だけでは解らぬところに打ち手の意志が垣間見える。
東3局、今度は初日トップで終えた藤原にアガリが出る。
二万二万二万一索二索三索八索八索七筒七筒八筒八筒九筒  リーチ  ロン九筒  ドラ八索
東場を終えて、ポイント下位の浜上と西原が共に沈んだ状態で南場入り。2人にとっては苦しい展開となるが果たして・・・・
南1局、浜上(西家)がアッサリ2,000・3,900をツモる。
二万三万四万三索三索五索五索六索六索七索七索四筒六筒  ツモ五筒  ドラ二万
浜上はピンズを一筒九筒しか切っておらず、もしこれがリャンメンに振り替わっていたらリーチをしていただろう。しかし初日とは違い、あっさりアガリ牌を引き当てるあたり、本人は小さな変化、もしくは風のようなものを感じただろうか?
南3局、これに呼応するように西原が連続でアガリを決める。まずは以下、
二万三万一索二索三索五索六索七索三筒四筒五筒八筒八筒  リーチ  ツモ四万  ドラ四筒
次のアガリはオーラス、各者の持ち点は、
東家:藤原 29,700
南家:東谷 26,600
西家:西原 25,500
北家:浜上 38,200
こうなっている場面。
藤原がドラ色のソーズホンイツに走る中、東谷と西原がぶつかった。まずは西原が11巡目にテンパイを入れ、続いて東谷が15巡目に意を決しリーチ。
西原  一万二万三万四万五万六万八万九万四索四索五索六索七索  ドラ五索
東谷  一万一万七万八万九万一索二索七筒八筒九筒西西西  リーチ
西原は、親の藤原が七万を持ってきたら出ると読んでいる。また、巡目が深くなったこともあり、ソーズをどこまで打ち出すのかも相談しながら、必死に気配を殺してヤミにしている。東谷は捌くだけなら違う手組みやヤミの選択も出来た訳だが、本人にそんな気は更々なかった。ラスを覚悟した上での、ハイリスク・ハイリターンを狙う。そして、東谷がリーチをした巡目に、西原のところに七万が舞い降りた。これによりトータルポイント下位2人のワンツーで2日目がスタートする。
晴天のまぶしさの中、商売っ気に溢れた街の一角で、
密かに上位2名には暗雲が立ち込めた・・・・。
7回戦成績
浜上+14.2P  西原+8.4P  藤原▲8.2P  東谷▲14.4P
7回戦終了時
藤原+58.7P  東谷+24.2P  西原▲41.4P  浜上▲41.5P
■8回戦(起家から、浜上・西原・藤原・東谷)
まずは東2局、藤原(南家)と西原(西家)の本手がぶつかる。
藤原 三万三万三万五万五万八万八万八万六筒六筒  ポン六索六索六索  ドラ八索
西原 七万七万七万九万九万三筒三筒三筒中中  ポン四筒四筒四筒
両者ともトイトイでドラ無し。そして河にドラは放たれていない。
リーグ戦1位通過の西原と、2位通過の藤原が(相手の手牌にドラがトイツ以上であるかもしれないという不安なぞ入り込む余地もなく)自分の育てた手を信じ、ただただ真っ直ぐ不要牌を打ち出し、遂に最終巡目に藤原が西原から六筒でロンアガリした。
続く東3局は、西原(北家)が土俵際の踏ん張りで3,900をアガリ、東4局も果敢にリーチ。
一万二万五万六万七万一索二索三索一筒二筒三筒西西  リーチ  ドラ五筒
このリーチに気配殺して水面下で藤原を引きずり下ろさんとする東谷(東家)がヤミテンを入れる。
三筒三筒四筒六筒七筒七筒八筒八筒八筒北白白白  ツモ五筒
北とする。東谷はまだ三万四万のターツがある4巡目に、2枚切れの中と1枚切れの白中をリリースしている。はっきりとタンピンが見える手牌なだけに、先に白を処理する打ち手も少なくないが、次巡、白を重ね、迷わず三万四万のターツに手をかけた。大きく成長した東谷を、私は何度見たことだろう。そして西原が持ってきた牌は息をひそめた東谷のアタリ牌である七筒であった。
三筒三筒四筒五筒六筒七筒七筒八筒八筒八筒白白白  ロン七筒
東4局1本場、藤原(北家、39,100持ち)が何食わぬ顔でリーチと発声。手牌を見ると、
七万七万九万九万二索二索四索四索四筒四筒五筒五筒南  リーチ  ドラ一筒
なんと七対子である。私はトータルトップの者なら、この持ち点で七対子のテンパイがくれば、ドラを持ってきた時のことや、局を1局でも低リスクで進めることを考えてヤミが普通であると考えている。しかも南は生牌である。それを藤原はいとも簡単にリーチと言ったのだ。他の3人が私と同じような考えなら、一体このリーチはどう映るだろう?
(凄くいい待ちなのか?打点は高いのだろう。)
色んな思考が頭をよぎり、そして次の瞬間からは対応を強いられることになる。藤原は初日から、ただただ自分の手牌に真っ直ぐであり、手役を追い、形になった時には純粋にアガリに向かう、という麻雀を打っている。だがその影に、ひょっとしたらこう打てば、こういう仕掛けをすれば、相手がどう対応するか?まで計算されていたのかもしれない。私は無表情でNをツモる藤原を見ながら、恐怖にも似た底しれぬ不安を抱いた。
そして南3局、藤原(東家、46,600持ち)の羅針盤がある方向でピタッと止まる。
五索五索八索二筒二筒四筒四筒四筒五筒六筒六筒八筒発  ドラ北
上記の牌姿から7巡目に藤原は二筒をポンする。次巡、ツモ二万で藤原の手が止まった。
五索五索四筒四筒四筒五筒六筒六筒八筒発  ポン二筒二筒二筒  ツモ二万
全体の河を見ても、さほどマンズの下が良いようには思えない。が藤原のアンテナはここからまさかの打五筒とさせる。シャンテン数も落とし、ピンズのチンイツを捨てる打牌。この不可思議な打牌は数巡後に以下になる。
二万二万二万五索五索四筒四筒四筒六筒六筒  ポン二筒二筒二筒  ロン六筒
西原のメンタンピンイーペーコーのリーチ宣言牌を捕えての7,700。
衝撃とも言えるこのアガリ。藤原という男には一体何が見えているのだろう?
4人の手牌を自由に見ることができる私でさえも、この二万はキャッチ出来ていない。しかし、これが偶然の打牌ではないことは、重なるかどうか分からない二万を抱え、ピンズのチンイツを消す打牌をする意味を考えたらわかっていただけると思う。観戦記者として説明が出来ない自分が歯がゆいが、確かに藤原にはこの二万が見えていた。
そしてその羅針盤は、決勝という荒波の大海原の中で優勝の方角を指している。
8回戦成績
藤原+32.3P  東谷+7.8P  浜上+2.4P  西原▲42.5P
8回戦終了時
藤原+91.0P  東谷+32.0P  浜上▲39.1P  西原▲83.9P
■9回戦(起家から、浜上・藤原・東谷・西原)
決勝も残り4半荘。トータルポイントで西原にもうマイナスは許されない。それは浜上もさほど変わらず、唯一東谷だけが、距離を計りつつ闘える位置にいる。その中で各自がどのような心境と共に展開を繰り広げるかが注目される。
東1局、浜上(東家)がテンパイ即リーチ。
一万一万五索七索一筒二筒二筒三筒三筒四筒六筒七筒八筒  リーチ  ドラ五索
チャンタやイーぺーコー、ホンイツを付けたかった。それでもツモが効かずやっと入れたテンパイだから、といったところか。これに東谷(西家)が二索を1枚勝負して追いつく。
一索二索三索四索五索六索六索七索八索九索  ポン東東東
そして藤原が手牌に2人の共通安全牌を切らしたところに、仕方なく浜上の現物である九索を打ち出し、東谷はようやく藤原から直撃することに成功した。
南1局、ここまで幾度となくアガリを阻まれてきた浜上(東家)にやっと風が吹く。
四索五索五索五索五索六索七索八索九索南  ポン中中中  ツモ南  ドラ五索
この6,000オール。次局、下記の配牌から、
一万五万七万八万二索七索七索八索九索一筒二筒四筒五筒五筒  ドラ七万
七万八万九万二索二索二索七索八索九索四筒四筒八筒九筒  リーチ  ツモ七筒
こう仕上げて、4,100オールで一気に60,000到達。どこまで盛り返す?
そんな空気に包まれた南1局2本場、浜上の連荘を阻止するべく東谷(西家)がリーチを打つ。
捨て牌 九索九筒六筒四万六万四索一筒七万←リーチ
二万二万五万五万八万八万三索三索七索七索四筒七筒七筒  リーチ  ドラ四筒
ドラ単騎の七対子だ。河も変則手模様を醸し出していて、なかなか他の3人も行きづらいリーチである。それでも浜上は(ここは全て行く)と腹を決め、生牌の白を打ち出す。
すると、ここまでおとなしかった西原(北家)がこれをポンして打西。西原は、更に次巡も打西とする。全て行くつもりだった浜上だが、西原の仕掛けと打ち出された牌を見て、場の異様さに気付く。
西家である東谷のリーチは変則手模様である。それに対し、西原は打西と1枚押すならわかるが、トイツ落としは何か解せないと読んだのだ。つまり西のトイツ落としをしてまでも押す理由はそれ相当の絵が入っていることになり、この瞬間、浜上は(どうしても1人浮きが欲しい)という欲求を抑え、ここで我慢して引く決断をする。
【浜上の足を止める為】にリーチを打った東谷。【どうしても1人浮きが欲しくて】オリを決断した浜上。
西原の手牌が開かれた時、2人の思考から導き出された1つの展開(選択)が2人の明暗を分けた・・・・・。
二万二万三万四万五万発発発中中  ポン白白白  ロン中
西原の大三元である。放銃したのは東谷だった。
浜上の手牌には今にも場に出そうかとしていた中があった。東谷がリーチと来た時、浜上は全てぶつける心算でいたはずだが、それ以上の覚悟を持って向かっていく西原の熱が、逆に浜上に冷静さを取り戻させた。
東谷にとっては、この結末は意識の外だったろう。浜上の連荘を止めたい。ただその一心で打ったリーチが、思わぬ結果を生んでしまったのだから。
その後、東谷はこの半荘の流局以外の全ての局で放銃することになる。ここまで積み上げてきた東谷の、技術が成し得たアガリも、会心のツモも全てが1つのリーチで無に戻った瞬間だった。
一生懸命平常を装おうとする東谷に、「去年の雪辱を果たすならここからが勝負だ。」と、私は観戦記者の立場でありながら、心の中で東谷にそう声をかけた。
麻雀は本当に孤独な競技である。誰も東谷の肩代わりは出来ないのだから、東谷は自分の足で再び卓上に上がるしかないのだ。最終的にその時に背中を押してくれるのは過去の自分しかいない。いくつもの敗戦の度、流した涙と汗の量だけが自身を再び闘いの舞台へといざなう。
9回戦成績
浜上+38.3P  西原+31.5P  藤原▲10.6P  東谷▲57.2P
9回戦終了時
藤原+80.4P  浜上▲0.8P  東谷▲27.2P  西原▲52.4P
■10回戦(起家から、藤原・東谷・浜上・西原)
残り3半荘。今まで2対2の並びが、今回から1対3の構図になった。1人抜けている藤原を捕えるには、追う3人が包囲網を引く必要がある。でなければ、ただでさえ心身ともに充実している藤原を、残り3半荘で捕えるのは難しく感じる。
東1局、東谷(南家)が意地を見せる。9巡目にテンパイし、14巡目に藤原(東家)が中をツモ切った局面。
一索一索二索二索四索四索六索六索東東北北西  ツモ中  ドラ二万
まさに今、藤原が何食わぬ顔で切った中に待ちを変更。山越しだ。東谷は心の中で「もう1枚掴めっ!」と念じる。だがなんと直後の西原のツモが中で、たった今、藤原が切った中なだけに西原は止める理由がなく、東谷に放銃してしまう。東谷は打ち取りたい相手ではなかったにしても、贅沢は言えない立場でこれをロンアガリする。私が東谷と同じ立場でもこれは同じ選択をしたと思う。
だが、現実問題、藤原とのポイント差は100Pを超えている。だとすれば、西原が切った中をスルーして、次巡ツモ切りリーチも面白かったかもしれない。そうすれば、ひょっとすれば。それぐらいの予想しか出来ないがあるいは、藤原にその中がきても藤原は打ち出していたかもしれない。
東2局、東谷(東場)が8巡目に以下の捨て牌と牌姿でリーチ。
捨て牌 南五筒三筒五索四筒八万九索三万←リーチ
二万二万四万四万六万六万七万七万一筒二筒二筒九筒九筒  リーチ  ドラ東
ドラはないが、どうにも山にいそうな七対子の一筒待ち。しかしこれも藤原(北家)からでなく浜上(南家)からの打ち取り。前の半荘の結果に精神が揺さぶられているはずの東谷。それを必死で抑え、諦めない姿勢が熱を帯びて会場の温度が高く感じる。
東2局1本場、観戦者の誰もが追う3者の熱に残りの半荘が接戦となることを期待する。そんな中で今度は浜上(南家)から9巡目のツモの声。
一万九万九索一筒九筒東東南西北白発中  ツモ一索  ドラ南
「8000・16000は、8100・16100。」
浜上の手牌を観戦していなかったものは誰もが驚いたであろう。まるで300・500をツモったかのようなトーンの発声で、舞い降りた鳳凰を静かに見つめ手牌を倒す浜上。
今から遡ること数カ月前、浜上は王位戦の本戦でも絶望的な状況南3局から、倍満、役満と立て続けにアガリ、勝ち上がりを決めた一幕がある。しかも、その役満もラス牌を一発ツモであった。どうして?こんな事が?もはや観戦者も、対局者である本人達でさえも、目の前に起きた現象を冷静に受け止められるものは1人もいないように思えた。
ただただ浮かび上がる疑問と、(この男ならあるいは逆転も・・・・・)という期待と不安だけが、この場の空気を支配していった。唯一、浜上だけが冷静な面持ちでサイコロを振る。
東3局1本場、東谷(北家)が以下の牌姿でリーチといく。
二索二索五索五索六索六索七索三筒四筒五筒六筒七筒八筒  リーチ  ドラ六万
これを西原から安めの四索でロンアガリ。浜上の国士無双を親被りした東谷だが、早々に原点復帰を果たす。
東4局、またしても東谷(西家)がリーチ。
七万七万六筒六筒八筒九筒九筒二索二索発発中中  リーチ  ドラ三索
これも浜上からロンアガリし3,200加点する。東谷は手を作り果敢にリーチにいくもトータルトップの藤原からは、当然アタリ牌は出てこない。
この時私は、トータルポイントと残りの半荘数を考慮して、既に執拗に直取りしていかないといけない局面に来ているのでは?と思ってみていたが、他の観戦者や皆さんはどう感じているだろうか?
この半荘を終えると、残る半荘は後2回。それで100Pを捲るのは、かなりハードルが高い。しかも、それほどまでに引き離された現実も含めると、ただリーチで打点を上げるだけの作戦を選んだのは正直、少々疑問を感じる。決勝の舞台にすら残っていないお前が何言っている?こんな言葉を浴びせられるかもしれないが、私は東谷の取ったこの作戦は九州本部全体の課題だと思っている。麻雀の性質上、結果としてポイントを大きく離された状態で終盤戦に入るのは今後、幾度となく出てくるだろう。そういった時に、対局者の目的がみな【優勝】という1点で一致しているならば、どのように闘うか?は非常に大きなテーマであり、みんなで真剣に考えるべき課題だ。
地方の中では、非常に大きな部類に入る九州であるからこそ、今後はこういう課題にみなで真剣に考え、取り組みながらひとつの大きなモノを作り上げていくというのが私たちの使命だと思う。
南3局、ついにここまで攻め続けた東谷(北家)と藤原(西家)がぶつかる。
東谷が10巡目に以下でリーチをすれば、
四万四万五万六万四索五索五索六索六索七索五筒六筒七筒  リーチ  ドラ西
藤原が以下の牌姿で押し返す。
四万五万六万七万七万南南  チー一万二万三万  暗カン牌の背白白牌の背
正にがっぷり4つの形相。藤原はこの半荘1度もアガることはなく、1度も放銃することもなかったが、おかげで点棒は21,000まで落ち込んでいた。それでもこの手牌は見方によれば、白を暗カンしなくてもいいかもしれない。
道中、ソーズの三索四索ターツ落としをせず、打点を作りにいかず、捌くだけの局、もしくは半荘にしてもよかっただろう。だが、藤原はこの2日間一貫して、自分が描くアガリ形を崩すことなく打ち続けた。そして絵になった時は、ただただ自分の打牌に対して素直に真っ直ぐ押した。結果は、藤原が力強く南をツモアガリ。
四万五万六万七万七万南南  チー一万二万三万  暗カン牌の背白白牌の背   ツモ南
もともと破壊力に定評があった藤原だが、こうして2日間観戦記者をさせて頂くと、藤原の強さが細分化され、私にもハッキリわかるようになった。自分の構想力を信頼しているからこそ、我慢する局面でジッと耐えることが出来る。反対に構想通りになった時はどこまでも押せる。その強さを改めて感じさせられた。そして藤原のアガリには半荘を決定づけるものが多く、そうした彼の打ち方そのものがこれだけのポイントをかき集めた1つの要因だと言えるだろう。
だが、10回戦はオーラスに西原(東家)が奮起して浜上の1人浮きに終わった。
藤原はあまりポイントを減らさずして残り2回を闘えるが、すぐ後ろには浜上が来た!
既に射程圏内だ。
10回戦成績
浜上+37.7P  藤原▲6.0P  東谷▲12.5P  西原▲19.2P
10回戦終了時
藤原+74.4P  浜上+36.9P  東谷▲39.7P  西原▲71.6P
■11回戦(起家から、東谷・西原・浜上・藤原)
東1局、初日から苦しい闘いの末、遂に藤原の背中が見えた浜上(西家)が8巡目に早くもリーチ。
一万二万三万五万六万八索八索八索三筒四筒五筒七筒七筒  リーチ  ドラ七筒
これに東谷(東家)が次巡、待望の六万を引き入れて、渾身のリーチ。
四万五万六万七万七万二索三索四索五索六索四筒五筒六筒  リーチ
ツモれば2,000・3,900の浜上。一索ならロンアガリでも親満の東谷。観戦者の方々はどちらにもアガって欲しい、もしくは結果が見たくない、そんな気持ちに自然となっただろう。
結果、軍配は東谷が一索で浜上からロンアガリ。その顔からはまだ諦めてはいない表情が見てとれる。悔しい想いをした去年、あれからたった1年であるかもしれない。だが東谷の中では大きな1年であり長い長い1年だったろう。今、全身全霊で持っている力を全てぶつける。その瞳が追う浜上と逃げる藤原を見つめた。
東2局、西原(東家)の10巡目、
三万三万一筒一筒  ポン二筒二筒二筒  ポン四筒四筒四筒  ポン中中中  ドラ一筒
これに遅れること4巡、浜上(南家)が追いつき、リーチを打つ。
五万六万一索二索三索四索五索六索六索七索八索一筒一筒  リーチ
だが、これは親の本手を警戒してヤミにしていた東谷(北家)に捌かれる。
東3局、親は浜上。今回が勝負と言っていた浜上は、この半荘でマイナス終了すれば条件はかなり厳しくなる。東1局にリーチを打った本手も思わぬ形で破られ、前局も捌かれた。追い上げる浜上に期待をしている観戦者とは裏腹に、本人には重い重圧がのしかかっていると思う。
それを象徴するかのように、浜上は4巡目に早くも以下の牌姿から
一索一索四索五索六索九索九索四筒五筒西白中中  ドラ七万
九索をポンする。いつもはメンホンやメンホン七対子になれば良しの構えでこの九索はスルーする浜上もこの親番だけは絶対落とせない、という気持ちの表れだろう。そのポンに東谷(西家)のツモが効き、本手に成就させぶつける。
四万四万五万六万七万三索三索四索四索五索三筒四筒五筒 リーチ ツモ五索
高目五索ツモの3,000・6,000。10回戦のリーチ構成の賛否は置いておき、この終盤に来ての東谷の手作りとぶつけ方はすさまじいものがあった。中には道中安いテンパイを拒否した牌姿もあり、その中でこれほどの足が使えるのは気迫のなせる技なのか?と思ってしまう。
だが、トータルトップの藤原は3着目の東谷が走る分には構わないと思っているだろう。だからこそ10回戦同様、我慢する局面はジッと我慢する。
東4局1本場、藤原は7巡目にドラ三索のリーチ。
五万六万七万八万八万八万二筒二筒五筒五筒五筒七筒八筒  リーチ  ドラ八万
10巡目に西原(西家)が追い掛けリーチを打つも、
一万一万六万七万八万三索四索五索七索八索九索三筒四筒  リーチ
西原の二筒五筒は、藤原だけで5枚持たれていて非常に苦しい。結果は、やはりというべきか六筒を持ってきて12,000の放銃になってしまった。ひと叩きで40,000点を超えた藤原、
つづく2本場はなんと3巡目にリーチ。
一万一万七万八万九万一索二索三索五索六索七索中中  リーチ  ドラ六万
今度は、浜上が一万で放銃し、藤原は更に加点する。
押せ押せムードとなった3本場だが、今度はこの手をヤミに構え、
四索五索二筒二筒三筒四筒五筒六筒七筒八筒発発発  ドラ八筒
浜上からロンアガリする。
そして4本場、7巡目テンパイ。ヤミに受け、放銃者は東谷。
四万五万六万六万二索三索四索二筒二筒二筒六筒七筒八筒  ドラ八万
この時点で、藤原は持ち点53,000を超えた。12,000を放銃した西原。
藤原に安全圏に行かれ優勝が遠のいた東谷。持ち点が4,300しかない浜上。
対局者は、麻雀とは思うように行かない競技だというのをわかっているからこそ、どこかで負けを意識するだろう。どうしても欲しいものが手に入らない時、たいていの人はどこかで諦める。だが、ここに座っている4人は『麻雀だけは』という気持ちでプロとして歩んできた。心のどこかで押し寄せる負けの意識に対し、それでも尚、最後まで闘うとは一体どういうことなのだろう?と、私は筆を走らせながら、自分で考えてみると同時にとある先輩の一言を思い出していた。
「俺達は、アスリートであり表現者でなければいけない。普段やっているトレーニングや訓練を卓上で表現するこということは、ある意味勝ち負けより重要じゃないか?」
プロであるから結果が全てであり、勝つことが絶対であるのが勝負の世界。私たちはこれを誰もが目を背けてはいけないことだと捉え、自問自答しながら闘っている。それでも私は、上記の先輩の言葉に響くものがあった。
そのような先輩の言葉をお借りするなら、負けを意識しても尚、闘うことは何かを表現することであり、ある意味、その意志や気持ちは勝負の外側に存在するのでは?と。
11回戦は、東場に点棒を集めた藤原と東谷の2人浮きで終わる。各自のポイントから考えても、トータルトップの藤原を逆転するのは、条件としては簡単とは言えない。それでも4人は次が最後の闘いであるのを理解した上で、乾いた喉に水を流し込んだ。
11回戦成績
東谷+57.4P  藤原+14.8P  西原▲18.9P  浜上▲53.3P
11回戦終了時
藤原+89.2P  東谷+17.7P  浜上▲16.4P  西原▲90.5P
■最終12回戦(起家から、東谷・浜上・西原・藤原)
これが最後の半荘。現実的に厳しい西原を除けば、東谷も浜上も、もう前に出続けるしかない。
東1局は東谷の親番。3巡目に1シャンテンで以下。
三万四万五索六索七索三筒三筒五筒五筒七筒南南南  ドラ三万
親でこの手牌ならどこがどう来てもリーチであろう。頭の中は、どれでもいい早くテンパイしたいと思っていることだと思う。しかし、なんとここから東谷は無情にも、ソーズを三索四索五索に変化させただけで、残りツモ15回を12回ただただ河に並べただけでノーテンに終わってしまった。本人のこれまでの闘い方を見れば、まだ南場の親があるなどとは1ミリも思ってないだろう。辛く悲しい気持ちがよくわかる。
東2局1本場 浜上(東家)が14巡目、やっとテンパイ。
三万三万五万六万七万六索七索三筒四筒五筒六筒七筒南  ツモ八索  ドラ南
テンパイ打牌のドラの南は4巡目に持ってきてから、ずっと抱えていた牌である。
これがまだ中盤戦なら、どこかでリリースしていたかもしれないが、最後まで引っ張ったのは放銃するリスクが高くなってでも、雀頭の振り替わりに重きを置いていた証拠である。
18巡目の最後のツモで二筒をツモり1,300は1,400オール。
これが早い巡目なら浜上は、八索切りのフリテンリーチを打っていただろう。
東2局2本場、浜上はなんとしても親を落とすわけにはいかない。
8巡目に以下でテンパイし、
三万四万五万六万六万七万八万九万二索三索四索四筒五筒  ドラ六筒
三万六万を持ってくればタンヤオに、五索を持ってくれば高目三色に変化するのでヤミ。
2巡後、三万を引き入れて、タンピンになったところでリーチを打つが、これは1人テンパイの流局。
東2局3本場、今度はテンパイ即リーチを打つ。
三索三索六索七索八索九索九索九索東東東西西  リーチ  ドラ八筒
変則的な捨て牌模様で、ヤミでもツモれば親倍だが、リーチを選択したのは、対局者を自由に打たせたくなかったのが一番の理由か?いや、ひょっとしたらそんな損得勘定とは別の、ある種の意志として打ったリーチかもしれない。これを西原から三索でロンアガリし、18,000は18,900の加点。
東2局4本場、逆転が現実的になってきた浜上の配牌。
五万六万一索四索九索一筒一筒二筒四筒九筒南西発中  ドラ一筒
決して軽いとは言えないものの、ドラがトイツのチャンス手。なんとしても決めたい。
この手が形になってきた11巡目、
五万六万四索五索五索一筒一筒四筒五筒南南発中  ツモ六筒  打五索
目いっぱい構えるというなら発中が最もマジョリティだろうか?
それでも浜上は字牌を抱え、他者の捨て牌からそろそろテンパイを入れるものがいるだろうと踏んで、ここで手牌をスリムのする為に五索を先に処理する。
すると、この五索が藤原になんと1巡だけ間に合わず、放銃となってしまった。
二万三万四万八万八万三索四索一筒二筒三筒七筒八筒九筒  ロン五索
東3局も藤原が2,000のチーテンを入れ捌く。優勝に向けて、確実に一歩一歩階段を上る姿勢、今まであれだけ放銃を恐れず真っ直ぐな打ち筋をしてきた藤原が、石橋を叩くほどの慎重さがここにある。
東4局、その慎重な藤原からロンアガリしたのが浜上。
三万四万五万六万八万四索四索二筒二筒二筒三筒三筒三筒  ドラ四索  ロン七万
タンヤオドラ2の5,200である。トータルトップの藤原からなので上下差10,400点縮めたことになる。浜上の最初のテンパイは8巡目と早く、六万九万でありタンヤオが付いてない形であった。ドラが2枚あることを考えれば、リーチの選択もおかしくはない場面だが、よもやのツモ四索やツモり三暗刻の変化などを考慮しロンアガリの効かないヤミを選択していた。そして13巡目にやっとツモ六万でタンヤオが付いてのアガリである。
南場入りした時点で各自の持ち点は、
東谷:26,600
浜上:57,100
西原:5,700
藤原:30,600
となっている。
南1局、最後の東谷の親は浜上がピンフで捌く。
思えば、東谷は手役を作ることに重点を置き、常に踏み込むことを恐れず闘ってきた。そういった側面では藤原と似たような戦術であったが、道中のちょっとした選択があの大三元放銃を生んでしまった。私はその布石として5回戦東2局の連荘中の藤原にいずれも生牌のダブ東と発をぶつけた時の心境を挙げた。あの時、ポイントではまだまだ優勢だった東谷だが、内情は展開の怪しさに焦りを感じていたのだろう。それが大三元放銃の局面にも浜上の連荘を止めたい一心で打った七対子ドラ待ちのリーチにも同じように感じられた。ドラだからヤミに構えても出てくることはあまり期待出来ない。自分の河が変則手だからリーチを打てば対応するだろう。色々なメリットと思える思考が、三元牌が場に顔を見せていないというわずかな危険察知を霞めさせ、大局観としてリーチで蓋をする選択をした。
その他の局面では素晴らしい闘牌を見せていただけに、たった1つの選択が致命傷となったケースとしては非常に無念でもあるだろう。東谷は2年連続で優勝に手が届かなかったが、この経験を彼は必ず活かしてくると私は思っている。競技麻雀のわびさびとも言えるべき深い構想力も、ちょっとした選択で生まれた大三元放銃も、今の東谷を象徴する出来事だった。
南2局、東谷が親落ちした今、ポイントから考えて逆転の可能性はほぼ浜上しかいない。それでも東場の浜上の親を自らの手で落とした藤原が、息の根を止めにきた。
五万六万六万七万七万三筒四筒五筒五筒六筒七筒八筒中中  リーチ  ドラ九索
7巡目の早いリーチであり、ドラは無いが待ちとしては充分だ。
この時1シャンテンだった浜上。無筋を2枚押し、10巡目にテンパイを入れ追いかける。
一万一万八万八万七索八索九索三筒四筒五筒六筒七筒八筒  リーチ
五万なら藤原に放銃で終了。八万なら続行だ。そしてリーチ一発目に持ってきたのは八万だった。
同2本場、5巡目に藤原がリャンメンのチーから入る。
三万三万五万七万七万二索二索三索九索三筒四筒  チー六筒七筒八筒  ドラ八万
仕掛けた方が早そうではあるが、上家の西原(南家)は自身の優勝がなくとも有効牌をそう簡単に下ろしたりはしないだろう。それでもこの仕掛けを入れたのは、やはり追われる側の不安ということなのだろうか?ましてや前局は浜上に待ち牌である八万をツモられているから嫌な感触もあるだろう。このリャンメンチーの仕掛けを見て浜上も遠いところから仕掛けるが、結果は2人テンパイの流局。
同3本場、4巡目の浜上の手牌。
二万五万五万七万二索二索四索二筒四筒六筒七筒七筒八筒  ツモ四万  ドラ六筒
少し前ではあるが「ポンよし。チーよし。ポンチーよし。」という言葉があったと思う。
要するに、チー出来る部分、ポン出来る部分、ポンもチーも出来る部分で手組みをしていたら効率的には大丈夫だ、というようなことだったと記憶しているが、この四万をツモってくる前から浜上の手牌にある二万は、当然234の三色を意識してのものだろう。ツモ四万ときたら落とせない親だけに打二万としたくなるが、浜上は打七万とした。
14巡目、浜上がツモ切った南に藤原がポンテンを入れる。
二万二万三万四万六万七万八万二筒二筒三筒三筒南南
二万とし、この二万で今度は浜上がポンしてテンパイ。
五万五万五万二索二索二筒四筒六筒七筒八筒九筒  ポン二万二万二万
九筒とするが、またしても2人テンパイの流局。浜上はあの時打二万としていたら少なくともこのテンパイはできていなかった。
同4本場、13巡目と決して早くないが浜上がリーチをする。
三万三万三万一索二索三索七索八索二筒三筒四筒五筒五筒  リーチ  ドラ一索
そして2巡後に九索をツモアガリ。これで持ち点が79,300になった。
同5本場、親の第1打の西を藤原がポン。
六万七万一索二索二索九索五筒七筒東南西西北  ドラ三筒
これも良い形とは言えなかったものの、遂には9巡目に、
六万七万八万二索二索二索五筒五筒七筒八筒  ポン西西西  ツモ六筒
これで決着がついた。
その後、南4局は藤原の400・700ツモアガリ。
最終戦オーラスはノーテンとし、これにて全対局は終了した。
12回戦成績
浜上+59.9P  藤原▲3.7P  東谷▲14.0P  西原▲42.2P
第13期皇帝位戦決勝結果
優勝:藤原+85.5P  準優勝:浜上+43.5P  3位:東谷+3.7P  4位:西原▲132.7P
 
藤原は下馬評を覆し、見事な闘いっぷりで栄冠を掴んだ。
藤原の雄姿を一目見ようと、故郷である山口県から藤原の多くの友人が応援に駆けつけていたのがとても印象的だった。これにより皇帝位は初めて関門海峡を渡ることとなる。
対局者のみなさん、2日間の長き闘いお疲れ様でした。
また決勝に残れなかった身でありながら、みなさんの麻雀をほとんどの部分主観で表現しましたことどうかお許し下さい。
そしてお付き合い下さった読者の方、九州本部は今、プレイヤーの年齢が非常に若くまだまだこれからの組織です。個々の麻雀の技術の向上や雀風の確立とは別に、文中でも申し上げました通り、プロ団体として九州本部全体で考える課題も数多くあります。
しかしながら、私達はこれに臆することなく一歩一歩前進していきたいと思っております。
どうか今後とも暖かい目で見守って下さいますようよろしくお願いします。
最後まで読んで下さりありがとうございました。

第13期九州皇帝位決勝戦初日レポート

今回のレポートを担当させて頂きます、九州本部26期生、福田正道です。
どうぞ、最後までお付き合い願います。まずは決勝メンバーの御紹介。

・リーグ戦1位通過 西原亨
Bリーグから昇級し、今期が初のAリーグで勢いそのままに40半荘の闘いもぶっちぎりで決勝進出!
1歳になった娘に優勝の二文字をプレゼント出来るか?

・リーグ戦2位通過 藤原英司
Aリーグ在籍4期目にして念願の決勝戦へと駒を進めた。
真っ直ぐな攻め、そこからくる爆発力には定評があり、大舞台でどこまで力を発揮出来るかに注目される。
悲願の初優勝なるか?

・リーグ戦3位通過 東谷達矢
九州の若きエースの1人。既に九州プロアマ混合(ばってん)リーグでの優勝経験あり。
今年度新人王3位。去年の皇帝位決勝惨敗の悔しさを忘れず、精神と技術を磨き再び決勝の舞台に返ってきた。今年こそは!の想いで優勝を狙う。

・リーグ戦4位通過 浜上文吾
現皇帝位であり、九州プロ1期生。言わずもがな九州のエース。
今年度の十段戦の決勝は記憶に新しく、受けの麻雀を基本とし、何度も訓練し身に付けた構想力で初手からアガリまでを見る打ち方は、麻雀示現流(じげんりゅう)と恐れられる。
勝ちよりも、勝ち方に拘って最大の敵、自分自身に打ち勝ち、前人未到の皇帝位2連覇の金字塔を打ちたてられるか?

~プロローグ~
今回のレポートは私自らが志願しました。
書くにあたり注意した点は、打ち手の心情を計りながら書くこと。また間違っていてもいいから私がプロ活動を通じて感じたり、身に付けた考えもふまえて局面を紹介していくことです。そうすることで麻雀という競技が心理面に置いて多分に勝敗を左右する要因になりえることや読んでくださる皆様が競技麻雀に少しでも興味を持って頂けたらという想いで書きました。しかし何分文章を書くのが下手な私ですので、感じた事や言いたい事が上手く伝わらないこともあるかと思いますが、その点御了承頂けたらと思います。

■1回戦(起家から、浜上・西原・藤原・東谷)
1回戦の闘い方はその日1日のテーマや方向性を模索する闘い方でもあると位置付けられる。誰がどのような手組みをし、勝負にどう入っていくかに着目したい。そして対局者には、これから長い長い試練の道が各々に科せられる。

東1局、9巡目。無風状態で東谷(北家)が先制リーチを打つ。

捨て牌 六筒二万二万中四筒南五万北←リーチ

八万九万一索二索三索七索八索九索一筒二筒三筒発発  リーチ  ドラ西

最初のリーチ者が東谷なら、最初の放銃者は藤原(西家)であった。
藤原は半ばオリ打ち気味な放銃であった。これは4者の河に五万が全て見えていたことに起因するかもしれないが、東谷の河を見れば変則手も匂わせる河である。
放銃したことは致し方ないが、(これで打てば高いな。)という覚悟があっただろうか?

東2局、11巡目。浜上(北家)が、

三万一索二索三索一筒一筒二筒七筒八筒九筒東中中

ここにツモ一万で1シャンテンになったところで生牌のダブ東をリリースし、これをドラ色ホンイツ気配の藤原(南家)がポン。すると浜上の次のツモが二万でこれを以下の牌姿でノータイムリーチ。

一万二万三万一索二索三索一筒二筒七筒八筒九筒中中  リーチ

藤原は、前巡に五万をトイツ落とししており、ドラ色のホンイツ模様でドラが1枚でもあれば打点は7,700からである。ましてや、自身の手はペン三筒のドラ待ち。いったいどれほどの打ち手がノータイムでリーチと発声出来るだろうか?と私は思った。
実際には、藤原にソーズのターツがあり、ホンイツではなく結果として藤原に2,000を捌かれるものの、ここに浜上が今回の決勝をどう闘うかの姿勢が見える。

東3局、またしても浜上(西家)が終局間際の残りツモ1回で、

三万四万四万五万五万六万七万八万九万九万一索二索三索 ドラ八万

これをリーチする。ツモればハイテイがつき、高目の三万ツモで3,000・6,000だがこれもほとんどの打ち手はリーチしないのではないだろうか?結果は、順当ともいえる流局。
しかし、テンパイ形を見た他の打ち手はどう感じただろうか?私なら一発裏ドラがないこのルールで、リーチ棒を投げ出して、まさかの3,000・6,000を狙いにくる姿勢に恐さを感じる。

東4局1本場、東谷が2枚目の白をポンしてほどなくテンパイ。

一筒二筒三筒五筒六筒八筒八筒南南南  ポン白白白  ドラ北

これに藤原(北家)が以下の牌姿から打七筒で7,700に飛び込んでしまう。

一万三万五万五万五万二筒二筒五筒五筒五筒東東北

東谷は、白ポンの後に手出しで九筒を切っている。
ドラの北がポツリと浮いているこの手牌では、厳しいと私なら判断する。ここはマンズを払って再構築の道もあったはずだが、藤原はどういう心境でこの七筒を打ち出したのだろう?ひょっとしたら自分の手牌に素直に構え、その上での放銃なら全くもって普通の事象だと捉えていて、失点ほどのダメージなど無いのかもしれない。と、能面のように変わらない藤原の表情を見て私は思った。

同3本場、今度は浜上(南家)が東谷に以下のヤミテンに放銃。

二万二万二万三万四万五万三索四索五索三筒五筒七筒七筒  ロン四筒  ドラ六万

この時点で、東谷は50,000を超えて南入。去年の決勝では、まだ緊張して顔が強張っていた印象があるが、今年は1度経験した分、どうやら初戦から落ち着いているように見えた。

南場に入り、最初にアガリを重ねた東谷が、1人気持ちよく打っているのに対し他3人は苦しい展開が続く。そして1本場として迎えた南3局、この時点の各者の持ち点は、
東家:藤原 21,000
南家:東谷 60,500
西家:浜上 9,200
北家:西原 29,300
こうなっている。既に親番がない西原は、今後の展開も視野に入れてここはなんとしても浮きの2着で終わりたいと思っているだろう。無論、他の2人も西原が浮く分には良しと構えているはずである。しかし南3局1本場は、その西原の1人ノーテンで流局。

南3局、2本場。6巡目に西原(北家、持ち点26,300)が以下の牌姿でテンパイを入れる。

五万六万七万三索四索六索六索四筒五筒六筒白白白  ドラ四万

そして、西原の選択はヤミ。確かにドラの振り替わりもあり、役牌がある分、ヤミでもロンアガリ可能なことを考えれば正解なのかもしれない。だが、私なら迷わずリーチをする。親番のない残り2局。まだ始まったばかりの1回戦とはいえ、東谷に60,000超えの1人浮きトップを取らすこと、それ即ち東谷を楽にさせると考えるからだ。
結果は、東谷から五索をロンアガリし1,900を加点するが、やはりラス前フォーメーションとしては弱く感じたが、皆さんの選択はどうだろうか?

そして南4局。西原(西家)の手に着目していると思わぬところから声があがる。
「ツモ。2,000・4,000。」声の主はなんと藤原(北家)。

五万六万六索六索七索七索八索八索二筒二筒四筒五筒六筒  ツモ四万  ドラ六筒

私はてっきり、浜上と藤原はこの半荘は沈みで終わるだろうと予想していた。藤原に関しては、2度ほど手牌が整っていないところからの放銃があったので、浮上はないとふんでいたのだが。ところが、である。
開かれた手牌は立派な満貫で、藤原の持ち点は22,000だったのでこれが2,000・3,900でも浮きは確保出来ていなかった(無論その場合はリーチを打つだろうが)。

このアガリに私は、東3局2本場の親番にアガれなかった藤原の手のその手順を思い出した。それは、

五万六万七万八万四索五索五索六索八索七筒八筒西西  ツモ六筒  ドラ八筒

この1シャンテンで、藤原は打五万と構えた。次巡、ツモ三索で、

六万七万八万四索五索五索六索八索六筒七筒八筒西西  ツモ三索  打五索

五索のリーチといったのだ。
結果は、手牌が開かれることはなかったが、藤原自身の意志が確かに感じられるものだった。そして改めて、2度の手バラからの放銃も藤原にとっては、アガリの可能性を放棄することの方が恐ろしいことだったのかもしれないと思わされた。
なにはともあれ、これをもって決勝の幕が開けたのである。

1回戦成績
東谷+33.6P  藤原+4.0P  西原▲7.8P  浜上▲29.8P

■2回戦(起家から、浜上・藤原・西原・東谷)
東1局は浜上(東家)が場に間に合わせるように2,000オールをアガる。
同1本場、浜上が7巡目にダブ東を西原(西家)からポンする。
ポンさせた西原は、

五万六万七万六索七索三筒三筒三筒五筒六筒七筒八筒八筒  ドラ五索

こうで、リーチに行く。ポンさせた後に三筒五筒と立て続けに引き入れた高目3,000・6,000の本手であるから感触は悪くない。しかしこれは浜上が西原から四索をロンアガリ。

六万六万二索三索四索五索六索四筒五筒六筒  ポン東東東  ロン四索

初戦ラススタートの浜上にとっては、いい再スタートになったという感情か。

東2局、先程競り負けた西原が4巡目に中を一鳴きする。
浜上(北家)は「狼煙はもうあがってんだぜ」と言わんばかりに、ドラの九索をリリースして、これを西原(南家)がポンして1シャンテン。

六万六万八万六索七索八索五筒  ポン九索九索九索  ポン中中中  ドラ九索

これに対し浜上は、ドラを鳴かせた以上、後退なしの構えでリーチで圧をかけにいくが、

三万四万五万七万七万五索六索二筒三筒四筒五筒六筒七筒  リーチ

ドラをリリースして、鳴かせた以上、最後までという打ち手もいれば、ドラを鳴かれてもロンアガリが効くならヤミが得策だろうと思う方もいるとおもう。リーチの賛否は打ち手にとって、最も悩ましい議題のひとつだと私は思っている。どちらが正解というのはないが、いつも浜上の後ろで彼の麻雀を見てきた私がひとつだけ言えることは、昔の浜上ならこのようなリスキーな選択は出来なかっただろうということ。今は自分を成長させる為なら、自ら進んで棘の道を踏み込むということではないだろうか?と、私はみる。そして軍配はまたしても浜上に上がる。

三万四万五万七万七万五索六索二筒三筒四筒五筒六筒七筒  リーチ  ツモ四索

東3局、ここまで2度とも競り負けた西原(東家)。配牌では上手に寄せれば三色が見える手を観戦者の期待通り西原は8巡目、丁寧に以下に仕上げる。

三万五万三索四索五索八索八索八索三筒四筒五筒西西  ドラ西

これを慎重にヤミにした西原。私は後ろで観戦しながら、どうしてもアガリたい西原の心境と、もし誰かがこの手に放銃したとしたらそのダメージの大きさからメンタルのブレが生じるかもしれない、という2つの事を考えていた。
結果は、2度競り負けした相手、浜上からのリーチ宣言牌を捕える。文字通り3度目の正直で待望の本手を決めた西原。この半荘が西原を勢いづけ、1人浮きのトップをもぎ取ることとなる。
反対に、やり返される形となった浜上。放銃する前の持ち点は44,500で、1回戦のラスを帳消しにしたかっただろう。しかし無情にも浜上はここから3度の流局と1度の放銃でこの半荘もラスになってしまう。きっと浜上は、今日は相当な我慢が必要だと、思ったに違いない。

2回戦成績
西原+25.8P  東谷▲1.4P  藤原▲9.1P  浜上▲15.3P

2回戦終了時
東谷+32.2P  西原18.0P  藤原▲5.1P  浜上▲45.1P

■3回戦(起家から、西原・浜上・藤原・東谷)
東3局3本場、東谷の手筋。
東谷(南家)が以下の配牌から14巡目にツモアガる。

一万五万五万七万七万三索二筒九筒北白発中中  ドラ三筒

一万二万三万五万五万七万七万中中中  ポン発発発  ツモ七万

初手三索。ポイントは2巡目の打二筒で、ドラが三筒なのでもう少し抱える人もいるだろう。
東谷はドラを持ってくれば七対子に移行も出来るし、メンホンの場合もギリギリまで引っ張れる手組みであるとし、早くも二筒をリリースし、受けと攻め攻守兼用の牌を1牌でも多く手牌に抱える。このアガリには東谷が自分の麻雀をこの1年考えてきた証が凝縮されていた。

南1局、今度は浜上(南家)が示現流を炸裂させる。

二万三万一索二索三索一筒二筒三筒南南南西西  リーチ  ツモ一万  ドラ四索

場に2枚切れている高目の一万をツモりあげての4,000・8,000である。実はこのアガリ、注目すべきは打点ではなく別のところにある。浜上の手牌は5巡目に以下で、ツモ西ときたところである。

二万三万一索二索六索六索一筒二筒三筒六筒八筒南南  ツモ西

三色が見えるチャンス手。ここで浜上は、親の現物でもある場に1枚切れの西を抱え、打六筒としカンチャン七筒に見切りをつける。ちなみに、七筒はまだ1枚も姿を見せていない。
七筒をツモってきたら打六索とする手順もある為、この選択が出来る打ち手は少ないのではないか?しかし、浜上の構想では4メンツ1雀頭は決まっていて、この何気ないツモ西の局面にこそ分岐点があり相手との距離感が抱えさせた西であった。この選択が功を奏し、もう1枚ツモ西と持ってきたことでチャンタがついた。今の九州本部にこのアガリを成就させられる者は、浜上以外にほとんどいないと私は思う。浜上は自身が持つスキルを惜しむことなく後輩に教える義務があり、そして、後輩は浜上から盗めるだけ盗むべきである。

話がずれてしまって申し訳ない。話題を卓上へと戻そう。
示現流を炸裂させ、高打点を成就させた浜上であったが、この半荘でトップをもぎ取ったのは藤原。
そのアガリが以下である。

六万六万九万五索五索九索九索四筒四筒七筒七筒南南 ツモ九万 ドラ七筒

このアガリを詳しく解説するために話を戻そう。

局面は南3局1本場、25,300持ちの親番である。6巡目までの各者の捨て牌が以下。
南家:東谷 五索八万二万四万七索  ※仕掛けが入り1巡飛ばされている
西家:西原 九万五万二筒九索一索三索
北家:浜上 九索西発八万二索発
藤原は7巡目に以下の牌姿になる。

二万三万六万六万五索五索九索九索四筒四筒四筒七筒七筒  ツモ南  打四筒

南場の親番でドラが2枚なら形はどうあれ、どうしてもアガリたいのが打ち手の心情だろう。しかし藤原はこの各者の捨て牌相から、ツモってきたNを絞る選択をする。
「どうしてもアガリたい」のだからツモ切ることは簡単であり、手牌MAXで構えたい気持ちはやまやまなのだが、それをグッと堪えた藤原。打二万三万)としなかったのは、マンズにアガリがあると読んだのだろう。実のところこの藤原の距離感はピシャリで、この局は藤原以外が全員2巡目の時点で既に1シャンテンとなっていた。
この我慢が功を奏し、2巡後に南を重ね東谷のリーチと西原の仕掛けを掻い潜り、アガリを手繰り寄せた。

3回戦成績
藤原+16.4P  浜上+9.7P  東谷+2.1P  西原▲28.2P

3回戦終了時
東谷+34.3P  藤原+11.3P  西原▲10.2P  浜上▲35.4P

■4回戦 (西原、東谷、藤原、浜上)
東場では藤原がひとり抜け出し、オーラス5本場を迎えた時点で各者の点棒は以下。
東家:浜上 16,300
南家:西原 29,300
西家:東谷 32,100
北家:藤原 41,300
原点確保して終わりたい西原だったが、最後のツモで藤原に放銃してしまう。

七索七索七索三筒三筒北北  ポン白白白  ポン二索二索二索  ロン三筒  ドラ七索

跳満である。放銃した西原の手牌は以下、

六万六万六万六索二筒二筒二筒発発発  暗カン牌の背五索五索牌の背

こちらはなんと四暗刻単騎である。道中、三暗刻のみのテンパイも組めたのだが、その時点でテンパイ打牌になる六索を、西原は既に危険だと読んでいたのだろう。そのため三暗刻のみを拒否し、六索を使い切る形で闘おうとした結果が、上記の四暗刻単騎まで成長した。
この局面、藤原は6巡目に二索ポンから仕掛けている。そして次巡すぐさま白ポン。

藤原捨て牌 西一万八万中四万四索三万

5巡目の打四万と、白をポンした時の打三万は両方手出しであるから、2度受け以外は、これがただの局を終了させたい一心で仕掛けた打点の低い仕掛けではないことは明白である。その2度受けも、西原自身が直後に打五万とし、否定されている。
元よりテンパイさえしてしまえば、アガれる公算が立つ手組みなら二索から仕掛けずともよいので、白を鳴かれた時点でこの仕掛けに対しては、やはり本手の可能性高く、更にリャンメンターツ拒否から縦の仕掛けと読むのが妥当だろう。
西原はアガリを追うなら、場に安い色で勝負したかっただろう。親の浜上がリーチをしていることも加味し、残りツモがないことを考えると、流局するという選択も視野にあったはずだが、ここはこの六索と共に最後まで行くと決めて果敢に踏み込んだ上での放銃であった。

4回戦成績
藤原+34.8P  東谷+6.1P  西原▲18.2P  浜上▲22.7P

4回戦終了時
藤原+46.1P  東谷+40.4P  西原▲28.4P  浜上▲58.1P

■5回戦(起家から、西原・藤原・東谷・浜上)
東2局1本場、藤原が以下の牌姿と捨て牌で12巡目にリーチにいく。

四万五万六万二索三索四索五索六索四筒五筒六筒西西  リーチ  ドラ五万

捨て牌 南二万白八索六万九索二万南発一万発発←リーチ

この手牌に放銃したのは西原(北家)。リーチ一発目に持ってきたのは中で、

五万一索一索二索二索四索四索六索三筒四筒五筒六筒 ツモ中

一索で放銃する。見事に現物が1枚もなかったので、一見仕方ないようにも思える。
しかし、藤原の捨て牌にある発の内、2枚は手出しであることが西原に見えていたなら、かなり特殊なケースを除き、「この中は通る」と読み切り1巡は回避出来ただろう。
読者の方に私がわかって頂きたいのは、いつもの彼ならその手出しに気付いているはずが、気付けずに一索で放銃してしまったのには、前回(4回戦)のオーラスに三筒で放銃したことが彼にとって、少なからず精神的な面で影響を及ぼしているのではないか?ということである。そして、それがこの決勝という舞台と相まったなら、誰でもそうなる可能性があるということが伝えたいことの1つだ。
前回のオーラスに起きた事象と、今回の12,000放銃は全く別の事象と思ってはならないと私は考えている。それほどまでに、麻雀は精神面が大きく結果を左右させる競技なのだ。
この辺りから、私や観戦者にはより明確に歯車が咬み合うものと、狂ってきているものが傍からみて感じられただろう。

同2本場、前局12,000をアガった藤原が5巡目に仕掛けを入れる。

八万一索一索四索五索五索七索八索九索北北  チー四索五索六索  ドラ八万

リャンメンチーから入り、打ち出されたのがドラの八万である。これを西原がポンをし、そこに東谷(南家)が、8巡目、

七万八万六索七索一筒一筒三筒四筒六筒六筒六筒東発 ツモ九万

ここで打発とし、続く9巡目も、

七万八万九万六索七索一筒一筒三筒四筒六筒六筒六筒東 ツモ西

東と被せる。
藤原は親で2,000、12,300とアガリ46,300持っている。その藤原がリャンメンチーから入り、ドラをリリースしてきた。藤原はこの局面で、1,500や2,900のテンパイを5巡目リャンメンチーから入れる打ち手ではない。それはリーグ戦を闘ってきたからよくわかる。私が対局者なら、チーテンの役牌で7,700、ダブ東で満貫以上と読む。実際には、この発もダブ東も声は掛からなかった。ではかからなかった時はどうか?
それは役満が隠れているか、チンイツである可能性が高くなる。(この時点では北のトイツがあるが、直後に三索をツモりテンパイ取らずの打北として実際にチンイツに向かっている。)つまりこの発とダブTは通ろうが通るまいが、切らない方がよいのでは?東谷のポイントは+40.4Pあり、無理をせず受けにまわって欲しかったと言うのが私の本音であり、それこそが東谷の試練だと思う。

結果は、藤原の仕掛けに丁寧に対応した浜上(西家)が七対子で捌く。
この局を取り上げたのは、東谷には打たずして受けに回る繊細さがあるはずだが、打たせてしまったのは、あくまで主観だが、ある種のプレッシャー、もしくは焦りを感じていたのかもしれないな。という風に私には感じられた。
結果としては影響がなかったが、今後どこかしらで影響してくるのでは?と心配させる場面でもあった。

5回戦成績
藤原+30.0P 東谷+12.2P 浜上▲14.9P 西原▲27.3P

5回戦終了時
藤原+76.1P 東谷52.6P 西原▲55.7P 浜上▲73.0

■6回戦(起家から、東谷・西原・藤原・浜上)
5回戦を終え、初日も残すところあと1回戦となった。
浜上と西原はこれ以上、上位2人にポイントを許すと、2日目最終日に更なる厳しい闘いを挑むこととなる。対局者1人1人が己の中に抱える重圧と葛藤の狭間で、いい形で締め括り、2日目へと繋げたい気持ちは手に取るように分かった。

オーラスの点棒状況は以下の通り。
東家:浜上 36,900
南家:東谷 32,000
西家:西原 26,300
北家:藤原 24,800

オーラスを迎えて、トータルトップの藤原が微差ながらラスにいる。
各自の思惑は何だろう?東谷は親の浜上に対して無理はしないこと。西原は原点復帰だろうか。藤原はトータルポイントで少し余裕がある分、ラスを受け入れた打ち方をしてくるかもしれない。
そんな4者の思考を考えていると、親の浜上から13巡目にリーチが入る。

七万八万九万一索一索一索二索三索四索九筒九筒北北  リーチ  ドラ四筒

競技麻雀のルールは、オーラスの親のアガリ止めは無いルールなので、出来るだけ連荘して、少しでも藤原のポイントを減らした上で明日を迎えたい気持ちが、親の浜上にはあるだろう。
しかしこの時、わずか1巡前にテンパイしていた者がいる。西原だ。

四万四万五万六万六万二索二索二索六索六索七筒八筒九筒

西原の持ち点は26,300であるから、ロンアガリでも当然原点には足りない。浜上がリーチ料を出す前は、例えリーチしたところでロンアガリなら同じく足らない。仮に1人テンパイで終局しテンパイ料3,000を得たところでも結果は変わらない。となると、ここは親のリーチや仕掛けに対応するべくヤミにしていたのは良い判断だと私は見ていた。
焦点は、親のリーチが入った今、どこまで押すのか?というところにある。幸いにも親の現物に五万がある・・・・・・・と思っていた西原の次のツモがなんと五万である。

四万四万五万六万六万二索二索二索六索六索七筒八筒九筒  ツモ五万  打九筒

ツモ・イーペーコーの500・1,000であるが、浜上のリーチ料と足しても原点には足らないことが、西原をある1つの決断をさせる。
ツモアガリを拒否したのだ。この打九筒は浜上の宣言牌六筒があって選ばれた九筒だろう。しかしこの打九筒が浜上のシャンポンリーチにブスリと刺さる。
九筒における賛否は卓で勝負しているもので無ければ問えないと、私は思っている。しかしそれでも、言うなれば西原の優先順位の中に【藤原がラスであること】というのが含まれてなかったのだろうか?
麻雀は、一索巡変わるだけで劇的な変化をする競技である。それは巡目が進めば進むほど比例して変化する。私もよく、ツモってきた牌によって当初イメージしてあった優先順位を変えてしまい失着打をすることがあるが、ポイントは西原の中で【自分が原点復帰すること】と【藤原がラスであること】の優劣をどう捉えていたか?による。
これを放銃する形となってしまった西原は、自身が選択した決断に苦い表情を思わず浮かべてしまった。

オーラス1本場、勝負の世界に「失敗はしても後悔はしない。」という言葉がある。勝負の最中に後悔なんかしても、何1つ良いことは無いのは頭ではわかっていても、心はテレビのチャンネルを変えるように簡単には切り替わってくれない。
それでも西原は、必死でもがき苦しみながらも7巡目にリーチにこぎつける。

三万四万五万七万八万三索四索五索三筒四筒五筒七筒七筒  リーチ  ドラ一万

前局の選択を自問自答しながらも、誰もが悩むターツ選択を正解させたのは流石の一言。
まだまだ負けるわけにはいかないのだ。これに東谷(南家)が以下の牌姿で7,700(8,000)を放銃する。

一万二万四万四万五万七万八万九万六筒南南中中  ツモ八万

九万で放銃となる。六筒よりも九万が先となったのは、本人の中で九万が通るであろう算段があったのかもしれない。
ここまでも東谷は、1回戦目でトップスタートを切りポイントを持ってからも東谷は一貫してアグレッシブに攻めてきた。それは多少放銃しても闘える心算があったからに他ならない。
自身が放銃して原点割れをしたとしても、3着ならまだ闘えるという心算がそこにはあるが、では反対にもしこの打牌が放銃になり自分がラスに転落してしまった場合、トータルトップ藤原とのポイント差は離れてしまうという危険察知はどうだったのだろう?
【自身が放銃して半荘が終了するケース】の中に、3着ならまだ闘えるという心算があるからこそ、そこにスポットライトが強くあたり、【ラスになれば、藤原とのポイント差は離れてしまう】というケースが闇に隠れてしまったのかもしれない。どちらが自分や周りにとって避けたい結果だったか?は今一度考える必要があっただろう。
決勝という特別な舞台が醸し出す見えない重圧。
この半荘はその重圧を一人ひとりが必死に耐え、自分自身と闘う姿がヒシヒシと感じられた、そんな半荘だった。

6回戦成績
浜上+17.3P  西原+5.9P  藤原▲9.2P  東谷▲14.0P

6回戦終了時(初日最終成績)
藤原+66.9P  東谷+38.6P  西原▲49.8  浜上▲55.7

九州プロリーグ レポート/第13期九州皇帝位決勝戦初日レポート

今回のレポートを担当させて頂きます、九州本部26期生、福田正道です。
どうぞ、最後までお付き合い願います。まずは決勝メンバーの御紹介。
・リーグ戦1位通過 西原亨
Bリーグから昇級し、今期が初のAリーグで勢いそのままに40半荘の闘いもぶっちぎりで決勝進出!
1歳になった娘に優勝の二文字をプレゼント出来るか?
・リーグ戦2位通過 藤原英司
Aリーグ在籍4期目にして念願の決勝戦へと駒を進めた。
真っ直ぐな攻め、そこからくる爆発力には定評があり、大舞台でどこまで力を発揮出来るかに注目される。
悲願の初優勝なるか?
・リーグ戦3位通過 東谷達矢
九州の若きエースの1人。既に九州プロアマ混合(ばってん)リーグでの優勝経験あり。
今年度新人王3位。去年の皇帝位決勝惨敗の悔しさを忘れず、精神と技術を磨き再び決勝の舞台に返ってきた。今年こそは!の想いで優勝を狙う。
・リーグ戦4位通過 浜上文吾
現皇帝位であり、九州プロ1期生。言わずもがな九州のエース。
今年度の十段戦の決勝は記憶に新しく、受けの麻雀を基本とし、何度も訓練し身に付けた構想力で初手からアガリまでを見る打ち方は、麻雀示現流(じげんりゅう)と恐れられる。
勝ちよりも、勝ち方に拘って最大の敵、自分自身に打ち勝ち、前人未到の皇帝位2連覇の金字塔を打ちたてられるか?
~プロローグ~
今回のレポートは私自らが志願しました。
書くにあたり注意した点は、打ち手の心情を計りながら書くこと。また間違っていてもいいから私がプロ活動を通じて感じたり、身に付けた考えもふまえて局面を紹介していくことです。そうすることで麻雀という競技が心理面に置いて多分に勝敗を左右する要因になりえることや読んでくださる皆様が競技麻雀に少しでも興味を持って頂けたらという想いで書きました。しかし何分文章を書くのが下手な私ですので、感じた事や言いたい事が上手く伝わらないこともあるかと思いますが、その点御了承頂けたらと思います。
■1回戦(起家から、浜上・西原・藤原・東谷)
1回戦の闘い方はその日1日のテーマや方向性を模索する闘い方でもあると位置付けられる。誰がどのような手組みをし、勝負にどう入っていくかに着目したい。そして対局者には、これから長い長い試練の道が各々に科せられる。
東1局、9巡目。無風状態で東谷(北家)が先制リーチを打つ。
捨て牌 六筒二万二万中四筒南五万北←リーチ
八万九万一索二索三索七索八索九索一筒二筒三筒発発  リーチ  ドラ西
最初のリーチ者が東谷なら、最初の放銃者は藤原(西家)であった。
藤原は半ばオリ打ち気味な放銃であった。これは4者の河に五万が全て見えていたことに起因するかもしれないが、東谷の河を見れば変則手も匂わせる河である。
放銃したことは致し方ないが、(これで打てば高いな。)という覚悟があっただろうか?
東2局、11巡目。浜上(北家)が、
三万一索二索三索一筒一筒二筒七筒八筒九筒東中中
ここにツモ一万で1シャンテンになったところで生牌のダブ東をリリースし、これをドラ色ホンイツ気配の藤原(南家)がポン。すると浜上の次のツモが二万でこれを以下の牌姿でノータイムリーチ。
一万二万三万一索二索三索一筒二筒七筒八筒九筒中中  リーチ
藤原は、前巡に五万をトイツ落とししており、ドラ色のホンイツ模様でドラが1枚でもあれば打点は7,700からである。ましてや、自身の手はペン三筒のドラ待ち。いったいどれほどの打ち手がノータイムでリーチと発声出来るだろうか?と私は思った。
実際には、藤原にソーズのターツがあり、ホンイツではなく結果として藤原に2,000を捌かれるものの、ここに浜上が今回の決勝をどう闘うかの姿勢が見える。
東3局、またしても浜上(西家)が終局間際の残りツモ1回で、
三万四万四万五万五万六万七万八万九万九万一索二索三索 ドラ八万
これをリーチする。ツモればハイテイがつき、高目の三万ツモで3,000・6,000だがこれもほとんどの打ち手はリーチしないのではないだろうか?結果は、順当ともいえる流局。
しかし、テンパイ形を見た他の打ち手はどう感じただろうか?私なら一発裏ドラがないこのルールで、リーチ棒を投げ出して、まさかの3,000・6,000を狙いにくる姿勢に恐さを感じる。
東4局1本場、東谷が2枚目の白をポンしてほどなくテンパイ。
一筒二筒三筒五筒六筒八筒八筒南南南  ポン白白白  ドラ北
これに藤原(北家)が以下の牌姿から打七筒で7,700に飛び込んでしまう。
一万三万五万五万五万二筒二筒五筒五筒五筒東東北
東谷は、白ポンの後に手出しで九筒を切っている。
ドラの北がポツリと浮いているこの手牌では、厳しいと私なら判断する。ここはマンズを払って再構築の道もあったはずだが、藤原はどういう心境でこの七筒を打ち出したのだろう?ひょっとしたら自分の手牌に素直に構え、その上での放銃なら全くもって普通の事象だと捉えていて、失点ほどのダメージなど無いのかもしれない。と、能面のように変わらない藤原の表情を見て私は思った。
同3本場、今度は浜上(南家)が東谷に以下のヤミテンに放銃。
二万二万二万三万四万五万三索四索五索三筒五筒七筒七筒  ロン四筒  ドラ六万
この時点で、東谷は50,000を超えて南入。去年の決勝では、まだ緊張して顔が強張っていた印象があるが、今年は1度経験した分、どうやら初戦から落ち着いているように見えた。
南場に入り、最初にアガリを重ねた東谷が、1人気持ちよく打っているのに対し他3人は苦しい展開が続く。そして1本場として迎えた南3局、この時点の各者の持ち点は、
東家:藤原 21,000
南家:東谷 60,500
西家:浜上 9,200
北家:西原 29,300
こうなっている。既に親番がない西原は、今後の展開も視野に入れてここはなんとしても浮きの2着で終わりたいと思っているだろう。無論、他の2人も西原が浮く分には良しと構えているはずである。しかし南3局1本場は、その西原の1人ノーテンで流局。
南3局、2本場。6巡目に西原(北家、持ち点26,300)が以下の牌姿でテンパイを入れる。
五万六万七万三索四索六索六索四筒五筒六筒白白白  ドラ四万
そして、西原の選択はヤミ。確かにドラの振り替わりもあり、役牌がある分、ヤミでもロンアガリ可能なことを考えれば正解なのかもしれない。だが、私なら迷わずリーチをする。親番のない残り2局。まだ始まったばかりの1回戦とはいえ、東谷に60,000超えの1人浮きトップを取らすこと、それ即ち東谷を楽にさせると考えるからだ。
結果は、東谷から五索をロンアガリし1,900を加点するが、やはりラス前フォーメーションとしては弱く感じたが、皆さんの選択はどうだろうか?
そして南4局。西原(西家)の手に着目していると思わぬところから声があがる。
「ツモ。2,000・4,000。」声の主はなんと藤原(北家)。
五万六万六索六索七索七索八索八索二筒二筒四筒五筒六筒  ツモ四万  ドラ六筒
私はてっきり、浜上と藤原はこの半荘は沈みで終わるだろうと予想していた。藤原に関しては、2度ほど手牌が整っていないところからの放銃があったので、浮上はないとふんでいたのだが。ところが、である。
開かれた手牌は立派な満貫で、藤原の持ち点は22,000だったのでこれが2,000・3,900でも浮きは確保出来ていなかった(無論その場合はリーチを打つだろうが)。
このアガリに私は、東3局2本場の親番にアガれなかった藤原の手のその手順を思い出した。それは、
五万六万七万八万四索五索五索六索八索七筒八筒西西  ツモ六筒  ドラ八筒
この1シャンテンで、藤原は打五万と構えた。次巡、ツモ三索で、
六万七万八万四索五索五索六索八索六筒七筒八筒西西  ツモ三索  打五索
五索のリーチといったのだ。
結果は、手牌が開かれることはなかったが、藤原自身の意志が確かに感じられるものだった。そして改めて、2度の手バラからの放銃も藤原にとっては、アガリの可能性を放棄することの方が恐ろしいことだったのかもしれないと思わされた。
なにはともあれ、これをもって決勝の幕が開けたのである。
1回戦成績
東谷+33.6P  藤原+4.0P  西原▲7.8P  浜上▲29.8P
■2回戦(起家から、浜上・藤原・西原・東谷)
東1局は浜上(東家)が場に間に合わせるように2,000オールをアガる。
同1本場、浜上が7巡目にダブ東を西原(西家)からポンする。
ポンさせた西原は、
五万六万七万六索七索三筒三筒三筒五筒六筒七筒八筒八筒  ドラ五索
こうで、リーチに行く。ポンさせた後に三筒五筒と立て続けに引き入れた高目3,000・6,000の本手であるから感触は悪くない。しかしこれは浜上が西原から四索をロンアガリ。
六万六万二索三索四索五索六索四筒五筒六筒  ポン東東東  ロン四索
初戦ラススタートの浜上にとっては、いい再スタートになったという感情か。
東2局、先程競り負けた西原が4巡目に中を一鳴きする。
浜上(北家)は「狼煙はもうあがってんだぜ」と言わんばかりに、ドラの九索をリリースして、これを西原(南家)がポンして1シャンテン。
六万六万八万六索七索八索五筒  ポン九索九索九索  ポン中中中  ドラ九索
これに対し浜上は、ドラを鳴かせた以上、後退なしの構えでリーチで圧をかけにいくが、
三万四万五万七万七万五索六索二筒三筒四筒五筒六筒七筒  リーチ
ドラをリリースして、鳴かせた以上、最後までという打ち手もいれば、ドラを鳴かれてもロンアガリが効くならヤミが得策だろうと思う方もいるとおもう。リーチの賛否は打ち手にとって、最も悩ましい議題のひとつだと私は思っている。どちらが正解というのはないが、いつも浜上の後ろで彼の麻雀を見てきた私がひとつだけ言えることは、昔の浜上ならこのようなリスキーな選択は出来なかっただろうということ。今は自分を成長させる為なら、自ら進んで棘の道を踏み込むということではないだろうか?と、私はみる。そして軍配はまたしても浜上に上がる。
三万四万五万七万七万五索六索二筒三筒四筒五筒六筒七筒  リーチ  ツモ四索
東3局、ここまで2度とも競り負けた西原(東家)。配牌では上手に寄せれば三色が見える手を観戦者の期待通り西原は8巡目、丁寧に以下に仕上げる。
三万五万三索四索五索八索八索八索三筒四筒五筒西西  ドラ西
これを慎重にヤミにした西原。私は後ろで観戦しながら、どうしてもアガリたい西原の心境と、もし誰かがこの手に放銃したとしたらそのダメージの大きさからメンタルのブレが生じるかもしれない、という2つの事を考えていた。
結果は、2度競り負けした相手、浜上からのリーチ宣言牌を捕える。文字通り3度目の正直で待望の本手を決めた西原。この半荘が西原を勢いづけ、1人浮きのトップをもぎ取ることとなる。
反対に、やり返される形となった浜上。放銃する前の持ち点は44,500で、1回戦のラスを帳消しにしたかっただろう。しかし無情にも浜上はここから3度の流局と1度の放銃でこの半荘もラスになってしまう。きっと浜上は、今日は相当な我慢が必要だと、思ったに違いない。
2回戦成績
西原+25.8P  東谷▲1.4P  藤原▲9.1P  浜上▲15.3P
2回戦終了時
東谷+32.2P  西原18.0P  藤原▲5.1P  浜上▲45.1P
■3回戦(起家から、西原・浜上・藤原・東谷)
東3局3本場、東谷の手筋。
東谷(南家)が以下の配牌から14巡目にツモアガる。
一万五万五万七万七万三索二筒九筒北白発中中  ドラ三筒
一万二万三万五万五万七万七万中中中  ポン発発発  ツモ七万
初手三索。ポイントは2巡目の打二筒で、ドラが三筒なのでもう少し抱える人もいるだろう。
東谷はドラを持ってくれば七対子に移行も出来るし、メンホンの場合もギリギリまで引っ張れる手組みであるとし、早くも二筒をリリースし、受けと攻め攻守兼用の牌を1牌でも多く手牌に抱える。このアガリには東谷が自分の麻雀をこの1年考えてきた証が凝縮されていた。
南1局、今度は浜上(南家)が示現流を炸裂させる。
二万三万一索二索三索一筒二筒三筒南南南西西  リーチ  ツモ一万  ドラ四索
場に2枚切れている高目の一万をツモりあげての4,000・8,000である。実はこのアガリ、注目すべきは打点ではなく別のところにある。浜上の手牌は5巡目に以下で、ツモ西ときたところである。
二万三万一索二索六索六索一筒二筒三筒六筒八筒南南  ツモ西
三色が見えるチャンス手。ここで浜上は、親の現物でもある場に1枚切れの西を抱え、打六筒としカンチャン七筒に見切りをつける。ちなみに、七筒はまだ1枚も姿を見せていない。
七筒をツモってきたら打六索とする手順もある為、この選択が出来る打ち手は少ないのではないか?しかし、浜上の構想では4メンツ1雀頭は決まっていて、この何気ないツモ西の局面にこそ分岐点があり相手との距離感が抱えさせた西であった。この選択が功を奏し、もう1枚ツモ西と持ってきたことでチャンタがついた。今の九州本部にこのアガリを成就させられる者は、浜上以外にほとんどいないと私は思う。浜上は自身が持つスキルを惜しむことなく後輩に教える義務があり、そして、後輩は浜上から盗めるだけ盗むべきである。
話がずれてしまって申し訳ない。話題を卓上へと戻そう。
示現流を炸裂させ、高打点を成就させた浜上であったが、この半荘でトップをもぎ取ったのは藤原。
そのアガリが以下である。
六万六万九万五索五索九索九索四筒四筒七筒七筒南南 ツモ九万 ドラ七筒
このアガリを詳しく解説するために話を戻そう。
局面は南3局1本場、25,300持ちの親番である。6巡目までの各者の捨て牌が以下。
南家:東谷 五索八万二万四万七索  ※仕掛けが入り1巡飛ばされている
西家:西原 九万五万二筒九索一索三索
北家:浜上 九索西発八万二索発
藤原は7巡目に以下の牌姿になる。
二万三万六万六万五索五索九索九索四筒四筒四筒七筒七筒  ツモ南  打四筒
南場の親番でドラが2枚なら形はどうあれ、どうしてもアガリたいのが打ち手の心情だろう。しかし藤原はこの各者の捨て牌相から、ツモってきたNを絞る選択をする。
「どうしてもアガリたい」のだからツモ切ることは簡単であり、手牌MAXで構えたい気持ちはやまやまなのだが、それをグッと堪えた藤原。打二万三万)としなかったのは、マンズにアガリがあると読んだのだろう。実のところこの藤原の距離感はピシャリで、この局は藤原以外が全員2巡目の時点で既に1シャンテンとなっていた。
この我慢が功を奏し、2巡後に南を重ね東谷のリーチと西原の仕掛けを掻い潜り、アガリを手繰り寄せた。
3回戦成績
藤原+16.4P  浜上+9.7P  東谷+2.1P  西原▲28.2P
3回戦終了時
東谷+34.3P  藤原+11.3P  西原▲10.2P  浜上▲35.4P
■4回戦 (西原、東谷、藤原、浜上)
東場では藤原がひとり抜け出し、オーラス5本場を迎えた時点で各者の点棒は以下。
東家:浜上 16,300
南家:西原 29,300
西家:東谷 32,100
北家:藤原 41,300
原点確保して終わりたい西原だったが、最後のツモで藤原に放銃してしまう。
七索七索七索三筒三筒北北  ポン白白白  ポン二索二索二索  ロン三筒  ドラ七索
跳満である。放銃した西原の手牌は以下、
六万六万六万六索二筒二筒二筒発発発  暗カン牌の背五索五索牌の背
こちらはなんと四暗刻単騎である。道中、三暗刻のみのテンパイも組めたのだが、その時点でテンパイ打牌になる六索を、西原は既に危険だと読んでいたのだろう。そのため三暗刻のみを拒否し、六索を使い切る形で闘おうとした結果が、上記の四暗刻単騎まで成長した。
この局面、藤原は6巡目に二索ポンから仕掛けている。そして次巡すぐさま白ポン。
藤原捨て牌 西一万八万中四万四索三万
5巡目の打四万と、白をポンした時の打三万は両方手出しであるから、2度受け以外は、これがただの局を終了させたい一心で仕掛けた打点の低い仕掛けではないことは明白である。その2度受けも、西原自身が直後に打五万とし、否定されている。
元よりテンパイさえしてしまえば、アガれる公算が立つ手組みなら二索から仕掛けずともよいので、白を鳴かれた時点でこの仕掛けに対しては、やはり本手の可能性高く、更にリャンメンターツ拒否から縦の仕掛けと読むのが妥当だろう。
西原はアガリを追うなら、場に安い色で勝負したかっただろう。親の浜上がリーチをしていることも加味し、残りツモがないことを考えると、流局するという選択も視野にあったはずだが、ここはこの六索と共に最後まで行くと決めて果敢に踏み込んだ上での放銃であった。
4回戦成績
藤原+34.8P  東谷+6.1P  西原▲18.2P  浜上▲22.7P
4回戦終了時
藤原+46.1P  東谷+40.4P  西原▲28.4P  浜上▲58.1P
■5回戦(起家から、西原・藤原・東谷・浜上)
東2局1本場、藤原が以下の牌姿と捨て牌で12巡目にリーチにいく。
四万五万六万二索三索四索五索六索四筒五筒六筒西西  リーチ  ドラ五万
捨て牌 南二万白八索六万九索二万南発一万発発←リーチ
この手牌に放銃したのは西原(北家)。リーチ一発目に持ってきたのは中で、
五万一索一索二索二索四索四索六索三筒四筒五筒六筒 ツモ中
一索で放銃する。見事に現物が1枚もなかったので、一見仕方ないようにも思える。
しかし、藤原の捨て牌にある発の内、2枚は手出しであることが西原に見えていたなら、かなり特殊なケースを除き、「この中は通る」と読み切り1巡は回避出来ただろう。
読者の方に私がわかって頂きたいのは、いつもの彼ならその手出しに気付いているはずが、気付けずに一索で放銃してしまったのには、前回(4回戦)のオーラスに三筒で放銃したことが彼にとって、少なからず精神的な面で影響を及ぼしているのではないか?ということである。そして、それがこの決勝という舞台と相まったなら、誰でもそうなる可能性があるということが伝えたいことの1つだ。
前回のオーラスに起きた事象と、今回の12,000放銃は全く別の事象と思ってはならないと私は考えている。それほどまでに、麻雀は精神面が大きく結果を左右させる競技なのだ。
この辺りから、私や観戦者にはより明確に歯車が咬み合うものと、狂ってきているものが傍からみて感じられただろう。
同2本場、前局12,000をアガった藤原が5巡目に仕掛けを入れる。
八万一索一索四索五索五索七索八索九索北北  チー四索五索六索  ドラ八万
リャンメンチーから入り、打ち出されたのがドラの八万である。これを西原がポンをし、そこに東谷(南家)が、8巡目、
七万八万六索七索一筒一筒三筒四筒六筒六筒六筒東発 ツモ九万
ここで打発とし、続く9巡目も、
七万八万九万六索七索一筒一筒三筒四筒六筒六筒六筒東 ツモ西
東と被せる。
藤原は親で2,000、12,300とアガリ46,300持っている。その藤原がリャンメンチーから入り、ドラをリリースしてきた。藤原はこの局面で、1,500や2,900のテンパイを5巡目リャンメンチーから入れる打ち手ではない。それはリーグ戦を闘ってきたからよくわかる。私が対局者なら、チーテンの役牌で7,700、ダブ東で満貫以上と読む。実際には、この発もダブ東も声は掛からなかった。ではかからなかった時はどうか?
それは役満が隠れているか、チンイツである可能性が高くなる。(この時点では北のトイツがあるが、直後に三索をツモりテンパイ取らずの打北として実際にチンイツに向かっている。)つまりこの発とダブTは通ろうが通るまいが、切らない方がよいのでは?東谷のポイントは+40.4Pあり、無理をせず受けにまわって欲しかったと言うのが私の本音であり、それこそが東谷の試練だと思う。
結果は、藤原の仕掛けに丁寧に対応した浜上(西家)が七対子で捌く。
この局を取り上げたのは、東谷には打たずして受けに回る繊細さがあるはずだが、打たせてしまったのは、あくまで主観だが、ある種のプレッシャー、もしくは焦りを感じていたのかもしれないな。という風に私には感じられた。
結果としては影響がなかったが、今後どこかしらで影響してくるのでは?と心配させる場面でもあった。
5回戦成績
藤原+30.0P 東谷+12.2P 浜上▲14.9P 西原▲27.3P
5回戦終了時
藤原+76.1P 東谷52.6P 西原▲55.7P 浜上▲73.0
■6回戦(起家から、東谷・西原・藤原・浜上)
5回戦を終え、初日も残すところあと1回戦となった。
浜上と西原はこれ以上、上位2人にポイントを許すと、2日目最終日に更なる厳しい闘いを挑むこととなる。対局者1人1人が己の中に抱える重圧と葛藤の狭間で、いい形で締め括り、2日目へと繋げたい気持ちは手に取るように分かった。
オーラスの点棒状況は以下の通り。
東家:浜上 36,900
南家:東谷 32,000
西家:西原 26,300
北家:藤原 24,800
オーラスを迎えて、トータルトップの藤原が微差ながらラスにいる。
各自の思惑は何だろう?東谷は親の浜上に対して無理はしないこと。西原は原点復帰だろうか。藤原はトータルポイントで少し余裕がある分、ラスを受け入れた打ち方をしてくるかもしれない。
そんな4者の思考を考えていると、親の浜上から13巡目にリーチが入る。
七万八万九万一索一索一索二索三索四索九筒九筒北北  リーチ  ドラ四筒
競技麻雀のルールは、オーラスの親のアガリ止めは無いルールなので、出来るだけ連荘して、少しでも藤原のポイントを減らした上で明日を迎えたい気持ちが、親の浜上にはあるだろう。
しかしこの時、わずか1巡前にテンパイしていた者がいる。西原だ。
四万四万五万六万六万二索二索二索六索六索七筒八筒九筒
西原の持ち点は26,300であるから、ロンアガリでも当然原点には足りない。浜上がリーチ料を出す前は、例えリーチしたところでロンアガリなら同じく足らない。仮に1人テンパイで終局しテンパイ料3,000を得たところでも結果は変わらない。となると、ここは親のリーチや仕掛けに対応するべくヤミにしていたのは良い判断だと私は見ていた。
焦点は、親のリーチが入った今、どこまで押すのか?というところにある。幸いにも親の現物に五万がある・・・・・・・と思っていた西原の次のツモがなんと五万である。
四万四万五万六万六万二索二索二索六索六索七筒八筒九筒  ツモ五万  打九筒
ツモ・イーペーコーの500・1,000であるが、浜上のリーチ料と足しても原点には足らないことが、西原をある1つの決断をさせる。
ツモアガリを拒否したのだ。この打九筒は浜上の宣言牌六筒があって選ばれた九筒だろう。しかしこの打九筒が浜上のシャンポンリーチにブスリと刺さる。
九筒における賛否は卓で勝負しているもので無ければ問えないと、私は思っている。しかしそれでも、言うなれば西原の優先順位の中に【藤原がラスであること】というのが含まれてなかったのだろうか?
麻雀は、一索巡変わるだけで劇的な変化をする競技である。それは巡目が進めば進むほど比例して変化する。私もよく、ツモってきた牌によって当初イメージしてあった優先順位を変えてしまい失着打をすることがあるが、ポイントは西原の中で【自分が原点復帰すること】と【藤原がラスであること】の優劣をどう捉えていたか?による。
これを放銃する形となってしまった西原は、自身が選択した決断に苦い表情を思わず浮かべてしまった。
オーラス1本場、勝負の世界に「失敗はしても後悔はしない。」という言葉がある。勝負の最中に後悔なんかしても、何1つ良いことは無いのは頭ではわかっていても、心はテレビのチャンネルを変えるように簡単には切り替わってくれない。
それでも西原は、必死でもがき苦しみながらも7巡目にリーチにこぎつける。
三万四万五万七万八万三索四索五索三筒四筒五筒七筒七筒  リーチ  ドラ一万
前局の選択を自問自答しながらも、誰もが悩むターツ選択を正解させたのは流石の一言。
まだまだ負けるわけにはいかないのだ。これに東谷(南家)が以下の牌姿で7,700(8,000)を放銃する。
一万二万四万四万五万七万八万九万六筒南南中中  ツモ八万
九万で放銃となる。六筒よりも九万が先となったのは、本人の中で九万が通るであろう算段があったのかもしれない。
ここまでも東谷は、1回戦目でトップスタートを切りポイントを持ってからも東谷は一貫してアグレッシブに攻めてきた。それは多少放銃しても闘える心算があったからに他ならない。
自身が放銃して原点割れをしたとしても、3着ならまだ闘えるという心算がそこにはあるが、では反対にもしこの打牌が放銃になり自分がラスに転落してしまった場合、トータルトップ藤原とのポイント差は離れてしまうという危険察知はどうだったのだろう?
【自身が放銃して半荘が終了するケース】の中に、3着ならまだ闘えるという心算があるからこそ、そこにスポットライトが強くあたり、【ラスになれば、藤原とのポイント差は離れてしまう】というケースが闇に隠れてしまったのかもしれない。どちらが自分や周りにとって避けたい結果だったか?は今一度考える必要があっただろう。
決勝という特別な舞台が醸し出す見えない重圧。
この半荘はその重圧を一人ひとりが必死に耐え、自分自身と闘う姿がヒシヒシと感じられた、そんな半荘だった。
6回戦成績
浜上+17.3P  西原+5.9P  藤原▲9.2P  東谷▲14.0P
6回戦終了時(初日最終成績)
藤原+66.9P  東谷+38.6P  西原▲49.8  浜上▲55.7

第11期九州グランプリ 成績表

決勝

名前 合計  
山本 江利香 18.5 15.0 33.5
優勝
河野 みのり 0.8 5.0 5.8  
哀河 斗南 ▲ 2.9 ▲ 5.0 ▲ 7.9  
安東 裕允 ▲ 16.4 ▲ 15.0 ▲ 31.4  
供託 0.0  

準決勝

名前 合計
安東 裕允 5.3 5.0 10.3
中島 行泰 ▲ 41.4 ▲ 15.0 ▲ 56.4
氏家 義成 4.5 ▲ 5.0 ▲ 0.5
哀河 斗南 31.6 15.0 46.6
供託 0.0
名前 合計
河野 みのり 22.8 15.0 37.8
山本 江利香 0.5 5.0 5.5
西川 舞 ▲ 21.0 ▲ 15.0 ▲ 36.0
浜上 文吾 ▲ 2.3 ▲ 5.0 ▲ 7.3
供託 0.0

予選

順位 名前 1回戦 2回戦 3回戦 4回戦 5回戦 6回戦 合計
1 浜上 文吾 15.2 41.4 19.4 20.2 準決勝へ勝ち抜け 96.2
2 安東 裕允 31.4 7.4 ▲ 13.6 9.2 66.8 8.2 109.4
3 西川 舞 33.3 ▲ 25.2 33.8 21.1 ▲ 11.7 53.1 104.4
4 中島 行泰 ▲ 12.1 30.6 7.4 10.3 17.4 41.2 94.8
5 山本 江利香 23.2 3.5 27.2 36.3 ▲ 16.9 11.9 85.2
6 哀河 斗南 16.6 35.0 19.5 22.7 31.4 ▲ 50.1 75.1
7 河野 みのり 11.7 24.1 10.3 5.9 ▲ 5.0 23.4 70.4
8 氏家 義成 21.4 19.8 20.7 29.0 ▲ 27.1 1.7 65.5
9 松本 路也 ▲ 2.5 11.5 ▲ 8.7 31.6 8.0 19.6 59.5
10 宮崎 皓之介 ▲ 22.9 19.3 40.6 ▲ 7.8 28.6 ▲ 5.0 52.8
11 菊池 豪 15.0 23.9 ▲ 41.8 24.4 33.5 ▲ 11.7 43.3
12 東谷 達矢 9.4 10.8 33.1 19.6 ▲ 24.9 ▲ 38.0 10.0
13 青木 胤道 ▲ 1.0 ▲ 10.9 31.0 15.7 9.2 ▲ 56.3 ▲ 12.3
14 古本 和宏 28.5 14.7 22.4 ▲ 25.9 ▲ 15.6 24.1
15 小車 祥 ▲ 12.2 21.8 ▲ 24.1 54.2 ▲ 33.5 6.2
16 鶴 浩昭 ▲ 36.7 30.6 ▲ 6.4 31.1 ▲ 16.3 2.3
17 柴田 祐一朗 ▲ 30.7 ▲ 27.7 13.7 71.8 ▲ 44.9 ▲ 17.8
18 石原 忠道 24.5 ▲ 32.1 ▲ 21.8 46.7 17.3
19 進 栄二 12.4 32.2 ▲ 25.1 ▲ 2.9 16.6
20 福田 正道 ▲ 22.8 ▲ 11.9 40.2 10.8 16.3
21 中村 政時 5.8 ▲ 1.6 19.4 ▲ 9.7 13.9
22 矢野 拓郎 32.4 4.6 ▲ 16.2 ▲ 10.7 10.1
23 服部 学 ▲ 29.8 8.3 44.1 ▲ 22.1 0.5
24 塚本 将之 ▲ 10.7 ▲ 4.5 ▲ 8.5 23.9 0.2
25 阿部 紀彦 ▲ 15.2 32.1 10.2 ▲ 45.7 ▲ 18.6
26 名倉 徹 11.5 ▲ 7.7 ▲ 30.2 ▲ 1.2 ▲ 27.6
27 安永 敏郎 26.7 ▲ 27.5 ▲ 1.0 ▲ 28.1 ▲ 29.9
28 伊東 宏倫 ▲ 4.0 ▲ 9.8 1.7 ▲ 20.7 ▲ 32.8
29 大和田 篤史 14.4 ▲ 5.7 ▲ 20.4 ▲ 38.1 ▲ 49.8
30 樋口 徹 ▲ 38.7 ▲ 21.0 ▲ 4.2 6.0 ▲ 57.9
31 中尾 多門 ▲ 8.6 ▲ 18.6 7.6 ▲ 39.2 ▲ 58.8
32 水町 慎一 ▲ 13.3 ▲ 48.8 11.7 ▲ 8.9 ▲ 59.3
33 藤岡 治之 ▲ 28.2 24.5 ▲ 23.4 ▲ 35.5 ▲ 62.6
34 松尾 樹宏 28.4 5.9 ▲ 10.9 ▲ 86.8 ▲ 63.4
35 吉田 彩乃 28.1 ▲ 30.9 ▲ 15.5 ▲ 45.8 ▲ 64.1
36 新谷 翔平 ▲ 39.4 ▲ 24.8 ▲ 34.7 28.5 ▲ 70.4
37 西原 亨 6.2 ▲ 12.9 ▲ 40.1 ▲ 33.3 ▲ 80.1
38 山本 秋桜里 ▲ 26.2 ▲ 31.0 ▲ 33.9 ▲ 6.2 ▲ 97.3
39 ジャガー真鍋 ▲ 28.6 ▲ 42.1 ▲ 10.8 ▲ 20.3 ▲ 101.8
40 北島 勇輝 ▲ 33.5 ▲ 9.3 ▲ 25.7 ▲ 34.1 ▲ 102.6

九州プロリーグ 成績表/第11期九州グランプリ 成績表

決勝

名前 合計  
山本 江利香 18.5 15.0 33.5
優勝
河野 みのり 0.8 5.0 5.8  
哀河 斗南 ▲ 2.9 ▲ 5.0 ▲ 7.9  
安東 裕允 ▲ 16.4 ▲ 15.0 ▲ 31.4  
供託 0.0  

準決勝

名前 合計
安東 裕允 5.3 5.0 10.3
中島 行泰 ▲ 41.4 ▲ 15.0 ▲ 56.4
氏家 義成 4.5 ▲ 5.0 ▲ 0.5
哀河 斗南 31.6 15.0 46.6
供託 0.0
名前 合計
河野 みのり 22.8 15.0 37.8
山本 江利香 0.5 5.0 5.5
西川 舞 ▲ 21.0 ▲ 15.0 ▲ 36.0
浜上 文吾 ▲ 2.3 ▲ 5.0 ▲ 7.3
供託 0.0

予選

順位 名前 1回戦 2回戦 3回戦 4回戦 5回戦 6回戦 合計
1 浜上 文吾 15.2 41.4 19.4 20.2 準決勝へ勝ち抜け 96.2
2 安東 裕允 31.4 7.4 ▲ 13.6 9.2 66.8 8.2 109.4
3 西川 舞 33.3 ▲ 25.2 33.8 21.1 ▲ 11.7 53.1 104.4
4 中島 行泰 ▲ 12.1 30.6 7.4 10.3 17.4 41.2 94.8
5 山本 江利香 23.2 3.5 27.2 36.3 ▲ 16.9 11.9 85.2
6 哀河 斗南 16.6 35.0 19.5 22.7 31.4 ▲ 50.1 75.1
7 河野 みのり 11.7 24.1 10.3 5.9 ▲ 5.0 23.4 70.4
8 氏家 義成 21.4 19.8 20.7 29.0 ▲ 27.1 1.7 65.5
9 松本 路也 ▲ 2.5 11.5 ▲ 8.7 31.6 8.0 19.6 59.5
10 宮崎 皓之介 ▲ 22.9 19.3 40.6 ▲ 7.8 28.6 ▲ 5.0 52.8
11 菊池 豪 15.0 23.9 ▲ 41.8 24.4 33.5 ▲ 11.7 43.3
12 東谷 達矢 9.4 10.8 33.1 19.6 ▲ 24.9 ▲ 38.0 10.0
13 青木 胤道 ▲ 1.0 ▲ 10.9 31.0 15.7 9.2 ▲ 56.3 ▲ 12.3
14 古本 和宏 28.5 14.7 22.4 ▲ 25.9 ▲ 15.6 24.1
15 小車 祥 ▲ 12.2 21.8 ▲ 24.1 54.2 ▲ 33.5 6.2
16 鶴 浩昭 ▲ 36.7 30.6 ▲ 6.4 31.1 ▲ 16.3 2.3
17 柴田 祐一朗 ▲ 30.7 ▲ 27.7 13.7 71.8 ▲ 44.9 ▲ 17.8
18 石原 忠道 24.5 ▲ 32.1 ▲ 21.8 46.7 17.3
19 進 栄二 12.4 32.2 ▲ 25.1 ▲ 2.9 16.6
20 福田 正道 ▲ 22.8 ▲ 11.9 40.2 10.8 16.3
21 中村 政時 5.8 ▲ 1.6 19.4 ▲ 9.7 13.9
22 矢野 拓郎 32.4 4.6 ▲ 16.2 ▲ 10.7 10.1
23 服部 学 ▲ 29.8 8.3 44.1 ▲ 22.1 0.5
24 塚本 将之 ▲ 10.7 ▲ 4.5 ▲ 8.5 23.9 0.2
25 阿部 紀彦 ▲ 15.2 32.1 10.2 ▲ 45.7 ▲ 18.6
26 名倉 徹 11.5 ▲ 7.7 ▲ 30.2 ▲ 1.2 ▲ 27.6
27 安永 敏郎 26.7 ▲ 27.5 ▲ 1.0 ▲ 28.1 ▲ 29.9
28 伊東 宏倫 ▲ 4.0 ▲ 9.8 1.7 ▲ 20.7 ▲ 32.8
29 大和田 篤史 14.4 ▲ 5.7 ▲ 20.4 ▲ 38.1 ▲ 49.8
30 樋口 徹 ▲ 38.7 ▲ 21.0 ▲ 4.2 6.0 ▲ 57.9
31 中尾 多門 ▲ 8.6 ▲ 18.6 7.6 ▲ 39.2 ▲ 58.8
32 水町 慎一 ▲ 13.3 ▲ 48.8 11.7 ▲ 8.9 ▲ 59.3
33 藤岡 治之 ▲ 28.2 24.5 ▲ 23.4 ▲ 35.5 ▲ 62.6
34 松尾 樹宏 28.4 5.9 ▲ 10.9 ▲ 86.8 ▲ 63.4
35 吉田 彩乃 28.1 ▲ 30.9 ▲ 15.5 ▲ 45.8 ▲ 64.1
36 新谷 翔平 ▲ 39.4 ▲ 24.8 ▲ 34.7 28.5 ▲ 70.4
37 西原 亨 6.2 ▲ 12.9 ▲ 40.1 ▲ 33.3 ▲ 80.1
38 山本 秋桜里 ▲ 26.2 ▲ 31.0 ▲ 33.9 ▲ 6.2 ▲ 97.3
39 ジャガー真鍋 ▲ 28.6 ▲ 42.1 ▲ 10.8 ▲ 20.3 ▲ 101.8
40 北島 勇輝 ▲ 33.5 ▲ 9.3 ▲ 25.7 ▲ 34.1 ▲ 102.6

第8期 北陸リーグ 第1節レポート

お初の方は初めまして。ご存知の方はご無沙汰しておりました。
第8期北陸リーグのレポートを担当させて戴きます22期生の荒谷と申します。
拙い文章ですが半年間のお付き合い、どうか宜しくお願い致します。

私事ではありますが、このたび中部本部より北陸支部に移籍して、戦いの場を地元である北陸の地に移させて戴きました。アマチュアの方も入るリーグ戦は初めてという事で、心機一転、新人の気持ちで臨みたいと思いながらも、中部プロリーグで鳳凰位戦のA・Bリーガーやタイトルホルダーと戦い続けてきた自負もあるだけに、中部の名に恥じぬ麻雀を心掛けようという想いを胸に、今期を戦い抜きたいと考えています。

さて、プロアマ総勢21名が集まった第8期の北陸リーグだが、1節目にして早くも縦長の展開となり、今後の各人の戦略が問われる機会が多くなりそうである。

只一人100P越えの森田繁基さんは、2回戦、3回戦と四暗刻を連続でアガる豪腕を発揮し、見事なスタートダッシュに成功。早々に決勝の椅子を予約したかに見える。

オールプラスで2位に着けた小泉さん共々、彼らはアマチュアながら北陸では実力・実績の兼ね備えた打ち手で、その重厚な打ち筋は私も度々セットの場で勉強させて戴いている。

「今節はTV対局モードで行く」と開始前に意気込みを述べていた山井も好位置につけている。
リーグ内でも特に注目を集める立場だけに、今後も他者のマークの中で決勝の椅子を確実に狙ってくるだろう。

逆に、大きく躓いてしまった後藤、松原は、次節以降の巻き返しに期待がかかる。
ただ、目の前の1局のみに全霊を傾けるのではなく、全節を見据えての押し引きができる『大局観』。
長いリーグ戦を戦い抜く上で、この部分の有無に関しては今更語るまでもない両名。
今期終了時には、キッチリとスコアを纏めてくるのではないだろうか。

私自身に関しては、結果的には良い順位に居るが、1回戦で箱をかぶる1人沈みのラスという見事な立ち上がり(?)からの3連勝。粗い麻雀と言われても返す言葉も無い。ただ、これが打撃戦を旨とする私の平常運転。北陸リーグのデビュー戦、その初手で横っ面を豪快に張り倒されたおかげで、かえって己の雀風を見失わずに貫く事が出来た事を、スコア以上の収穫としたい。

北陸リーグには昇級/降級のシステムがなく、アマチュアの方も多い為、次節以降の戦略等勝手の異なる部分も多いが、全5節全てを学びの場とし、プロアマの隔てなくリーグ戦にて勉強させて戴き、その上で尚、己の雀風を貫く気概を忘れずに今期を戦い抜きたいと思う。

順位 名前 プロ/アマ 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 森田繁基 アマ 110.2 110.2
2 小泉陽平 アマ 53.5 53.5
3 荒谷誠 プロ 46.4 46.4
4 飯田輝雄 アマ 42.5 42.5
5 本田朋広 プロ 33.7 33.7
6 山井弘 プロ 30.6 30.6
7 平澤憲一 アマ 26.7 26.7
8 窪田一彦 アマ 22.4 22.4
9 恵比須均 アマ 18.9 18.9
10 濱平光朗 プロ 16.9 16.9
11 谷口真悟 アマ 8.5 8.5
12 押川憲一 アマ ▲ 9.8 ▲ 9.8
13 香林明子 プロ ▲ 12.4 ▲ 12.4
14 光岡大幸 アマ ▲ 24.8 ▲ 24.8
15 谷内口遥 プロ ▲ 30.1 ▲ 30.1
16 高村和人 アマ ▲ 31.3 ▲ 31.3
17 森田有一 アマ ▲ 41.6 ▲ 41.6
18 後藤正博 プロ ▲ 54.4 ▲ 54.4
19 松原健志 プロ ▲ 58.2 ▲ 58.2
20 小坂智徳 アマ ▲ 66.5 ▲ 66.5
21 北川光 アマ ▲ 83.2 ▲ 83.2

決勝進出ライン:順位枠内に表示

北陸リーグ レポート/第8期 北陸リーグ 第1節レポート

お初の方は初めまして。ご存知の方はご無沙汰しておりました。
第8期北陸リーグのレポートを担当させて戴きます22期生の荒谷と申します。
拙い文章ですが半年間のお付き合い、どうか宜しくお願い致します。
私事ではありますが、このたび中部本部より北陸支部に移籍して、戦いの場を地元である北陸の地に移させて戴きました。アマチュアの方も入るリーグ戦は初めてという事で、心機一転、新人の気持ちで臨みたいと思いながらも、中部プロリーグで鳳凰位戦のA・Bリーガーやタイトルホルダーと戦い続けてきた自負もあるだけに、中部の名に恥じぬ麻雀を心掛けようという想いを胸に、今期を戦い抜きたいと考えています。
さて、プロアマ総勢21名が集まった第8期の北陸リーグだが、1節目にして早くも縦長の展開となり、今後の各人の戦略が問われる機会が多くなりそうである。
只一人100P越えの森田繁基さんは、2回戦、3回戦と四暗刻を連続でアガる豪腕を発揮し、見事なスタートダッシュに成功。早々に決勝の椅子を予約したかに見える。
オールプラスで2位に着けた小泉さん共々、彼らはアマチュアながら北陸では実力・実績の兼ね備えた打ち手で、その重厚な打ち筋は私も度々セットの場で勉強させて戴いている。
「今節はTV対局モードで行く」と開始前に意気込みを述べていた山井も好位置につけている。
リーグ内でも特に注目を集める立場だけに、今後も他者のマークの中で決勝の椅子を確実に狙ってくるだろう。
逆に、大きく躓いてしまった後藤、松原は、次節以降の巻き返しに期待がかかる。
ただ、目の前の1局のみに全霊を傾けるのではなく、全節を見据えての押し引きができる『大局観』。
長いリーグ戦を戦い抜く上で、この部分の有無に関しては今更語るまでもない両名。
今期終了時には、キッチリとスコアを纏めてくるのではないだろうか。
私自身に関しては、結果的には良い順位に居るが、1回戦で箱をかぶる1人沈みのラスという見事な立ち上がり(?)からの3連勝。粗い麻雀と言われても返す言葉も無い。ただ、これが打撃戦を旨とする私の平常運転。北陸リーグのデビュー戦、その初手で横っ面を豪快に張り倒されたおかげで、かえって己の雀風を見失わずに貫く事が出来た事を、スコア以上の収穫としたい。
北陸リーグには昇級/降級のシステムがなく、アマチュアの方も多い為、次節以降の戦略等勝手の異なる部分も多いが、全5節全てを学びの場とし、プロアマの隔てなくリーグ戦にて勉強させて戴き、その上で尚、己の雀風を貫く気概を忘れずに今期を戦い抜きたいと思う。

順位 名前 プロ/アマ 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 森田繁基 アマ 110.2 110.2
2 小泉陽平 アマ 53.5 53.5
3 荒谷誠 プロ 46.4 46.4
4 飯田輝雄 アマ 42.5 42.5
5 本田朋広 プロ 33.7 33.7
6 山井弘 プロ 30.6 30.6
7 平澤憲一 アマ 26.7 26.7
8 窪田一彦 アマ 22.4 22.4
9 恵比須均 アマ 18.9 18.9
10 濱平光朗 プロ 16.9 16.9
11 谷口真悟 アマ 8.5 8.5
12 押川憲一 アマ ▲ 9.8 ▲ 9.8
13 香林明子 プロ ▲ 12.4 ▲ 12.4
14 光岡大幸 アマ ▲ 24.8 ▲ 24.8
15 谷内口遥 プロ ▲ 30.1 ▲ 30.1
16 高村和人 アマ ▲ 31.3 ▲ 31.3
17 森田有一 アマ ▲ 41.6 ▲ 41.6
18 後藤正博 プロ ▲ 54.4 ▲ 54.4
19 松原健志 プロ ▲ 58.2 ▲ 58.2
20 小坂智徳 アマ ▲ 66.5 ▲ 66.5
21 北川光 アマ ▲ 83.2 ▲ 83.2

決勝進出ライン:順位枠内に表示

第74回:中村慎吾

201303リレーエッセィ:中村慎吾

3年前の冬、私は某大手探偵事務所で働いていた。
探偵と聞くと、ピンと来ない方もいると思うが、仕事内容の9割以上が浮気調査や人捜しである。
同じ場所に1日中張り込む事なんて当たり前で、不審がられて警察を呼ばれたこともあった(笑)。

南は九州の宮崎までドライブしたこともあったなぁ。
途中、降雪により高速道路が通行止めになり、下道を長時間掛けて走ったのは、今ではいい思い出である。
そんなハードな生活を続けていたのだが、久しぶりの休日に出会った麻雀格闘倶楽部の出現により、私の人生は大きな転機を迎える事となる。

探偵事務所に勤務する前は、暇さえあればフリー雀荘に通うほど麻雀が好きだった。しかし、中々休みが貰えず、麻雀から掛け離れた生活がずっと続いていた。そんな中、プレイした麻雀格闘倶楽部は私に衝撃を与えた。気が付くと1日中虜になって遊んでいた。
その日を境に、暇さえあれば頭に過るのは麻雀の事ばかり。調査中に、危うく対象者(追っている人)を見失いそうになり、このままではまずいと思い、今後の人生について真剣に考えた。そして熟考の末、麻雀店のメンバーとして第二の人生を歩んで行くことを決意したのである。

メンバーになった当初、当たり前ではあるが、右も左も分からない状態だった。しかし、自分にはフリー雀荘で培ってきた経験があると意気揚々に卓に入ったのだが、結果は見るも無残な惨敗。このままではいかんと思い、戦術書を読み漁り、上手い人の後ろで、打ち筋や押し引き等を見させて貰い必死に勉強した。勉強の甲斐あって、成績は徐々に向上されていった。

そんな中、麻雀プロの存在に出会ったのである。
プロの世界で自分の実力を試してみたいと思った私は、麻雀プロや麻雀団体の事を事細かに調べた。
そして、一発裏ドラのないルールでタイトル戦の多い、日本プロ麻雀連盟を受験することを決意した。

晴れてプロになった私は、最初のリーグ戦を2位通過。特別昇級リーグの権利を得たが、そこでは無念の4回戦敗退。正直、その当時の私は、Aルールというものを全然理解していなかった。巷の一発裏ドラ赤ありルールとほとんど打ち方を変えていなかったのだ。よくそんな打ち方で昇級できたなという突っ込みは置いといて、とにかくAルール麻雀を徹底的に勉強し直す必要があると考えた私は、翌年のリーグ戦から毎月A1リーグの観戦に行くことを誓った。

特に観戦したのが瀬戸熊プロ。読みが鋭く、攻撃的な麻雀は思わず見惚れてしまう程だ。観戦だけでは上手くならないと思い、暇を見つけては先輩方とAルールセットを組んだ。分からない局面があったら積極的に質問し、自分の中で納得させてから岐路に着く。そんな日々を過ごしていた私にチャンスが訪れる。

第23期チャンピオンズリーグの決勝に駒を進めたのだ。
過去2回チャンピオンズリーグに出場したのだが、ベスト16とベスト28で敗退と言う結果に終わっていた。決勝に残ったからには、目指すは優勝しかないと精神統一してから会場に向かった。

会場に着いて刻々と迫る開始時間。周りから見た私の表情は硬いように映ったかもしれないが、当の本人は全く緊張していなかった。日頃から打ち慣れているせいか、卓に着いてもその緊張が来ることもなく、立会人の合図により対局が開始された。

詳しい内容は、観戦記やインタビュー記事を見て貰う事にして、個人的に気になった局面を1つ紹介したい。

4回戦(起家から、吉田(直)・吉田(幸)・中村・高沢)
3回戦までのトータルポイントは以下。
吉田(直)+3.3P 吉田(幸)+44.3P 中村+27.2P 高沢▲74.8P

南3局2本場、西家の吉田(直)から以下の捨牌でリーチが入る。

発一万 上向き九筒 上向き三万 上向き七索 左向き西三筒 上向き白

ここまでの点数状況は、吉田(直)23100 吉田(幸)19000 中村36400 高沢41500
9巡目、親の私は以下の手牌になった。

二万二万七万八万一索二索四索六索八索九索七筒七筒八筒  ツモ二万  ドラ五索

essay_67_02

簡単に記すと、愚形2シャンテンで、親番とはいえ勝負に行くのは厳しい形。
トータルポイント的にも、完全にオリたいのだが、筋もワンチャンスも何もない。さてどうする?

こういった状況でよく聞くのが、どうせ安牌が1枚もないのだからリーチを無視して自分の都合に合わせて手を進めるという意見と、捨牌と切られている牌から手役を消していき、放銃しても安そうな牌から切っていくという意見。

前者は、この状況ではリスクが高すぎるように思う。もう少し好形ならば勝負に行く選択肢もあると思うが・・・。勿論この親番を落とすともう後がないというのなら話は別だが、今は満貫以上を打つと沈みの3着まで落ちてしまうという状況。この局面には見合ってない戦法だと思う。後者はヒントが少なすぎて、三色から一通まですべて見える。唯一、切り順からタンピン系と読めるのが精一杯だろう。

私の選択は打二万。暗刻の牌を打って、振り込んだら最悪だろうという声も聞こえてきそうだが、これこそ最善の一打だと私は思う。まず、シャンポン待ちには絶対当たらない。次に吉田(直)プロが、2巡目に一万を切っており、場に一万が3枚枯れ、カン二万待ちの可能性は低い。当たるとしたら、ほぼ二万五万待ちのケースだろう。

そして、最大の理由が3巡凌げるという事。もう一度手牌を見て貰いたい。七筒切り以外は、次にもう一度無筋を持ってきたらまた新たに開拓しなければならない。3巡凌げれば、よっぽどの事がない限り安牌に窮することはないだろう。そして可能性は低いが、二万を切って行くうちにツモが効いて、闘える形に復活する場合もある。

正直、これは敗因になる事はあっても勝因になることは決してない。しかし、この細かい事の積み重ねが大切だと私は思う。この二万をノータイムで切れたのは、日頃の訓練の賜物だろう(それが正解かどうかは別として)。この半荘は浮きの2着を取り、最終5回戦はトップで締めくくり第23期チャンピオンズリーグは優勝という最高の形で幕を閉じた。

後日、牌譜データサービスを使って、改めて自分の打牌を検証したが、細かいミスが多かった。
結果的に致命傷に繋がってはいないが、こんな麻雀を打っていたのでは、A1リーグなんて夢のまた夢である。夢ではなく現実にする為に、私は来期のA1リーグも観戦に行くだろう。そして、その努力が実り、いつの日か鳳凰位に就けると信じている。

長々と私の拙い文章にお付き合い頂きありがとうございました。
今月で28歳の誕生日を迎える、2年目の27期生中村慎吾がお届け致しました。

最後に、元探偵という異色の経歴ということで、浮気で困っている方がいましたら、無料で相談に乗りますよ~(笑)。

それでは次回は、麻雀格闘倶楽部や2013年日本プロ麻雀連盟カレンダー等で大活躍中の小笠原奈央プロにバトンを渡したいと思います。1年目からこんなにメディアに露出できて正直羨ましいぞ(笑)。
今後もブレイク間違いなしの彼女に要注目!!小笠原プロ宜しくお願いします。

リレーエッセィ/第74回:中村慎吾

201303リレーエッセィ:中村慎吾
3年前の冬、私は某大手探偵事務所で働いていた。
探偵と聞くと、ピンと来ない方もいると思うが、仕事内容の9割以上が浮気調査や人捜しである。
同じ場所に1日中張り込む事なんて当たり前で、不審がられて警察を呼ばれたこともあった(笑)。
南は九州の宮崎までドライブしたこともあったなぁ。
途中、降雪により高速道路が通行止めになり、下道を長時間掛けて走ったのは、今ではいい思い出である。
そんなハードな生活を続けていたのだが、久しぶりの休日に出会った麻雀格闘倶楽部の出現により、私の人生は大きな転機を迎える事となる。
探偵事務所に勤務する前は、暇さえあればフリー雀荘に通うほど麻雀が好きだった。しかし、中々休みが貰えず、麻雀から掛け離れた生活がずっと続いていた。そんな中、プレイした麻雀格闘倶楽部は私に衝撃を与えた。気が付くと1日中虜になって遊んでいた。
その日を境に、暇さえあれば頭に過るのは麻雀の事ばかり。調査中に、危うく対象者(追っている人)を見失いそうになり、このままではまずいと思い、今後の人生について真剣に考えた。そして熟考の末、麻雀店のメンバーとして第二の人生を歩んで行くことを決意したのである。
メンバーになった当初、当たり前ではあるが、右も左も分からない状態だった。しかし、自分にはフリー雀荘で培ってきた経験があると意気揚々に卓に入ったのだが、結果は見るも無残な惨敗。このままではいかんと思い、戦術書を読み漁り、上手い人の後ろで、打ち筋や押し引き等を見させて貰い必死に勉強した。勉強の甲斐あって、成績は徐々に向上されていった。
そんな中、麻雀プロの存在に出会ったのである。
プロの世界で自分の実力を試してみたいと思った私は、麻雀プロや麻雀団体の事を事細かに調べた。
そして、一発裏ドラのないルールでタイトル戦の多い、日本プロ麻雀連盟を受験することを決意した。
晴れてプロになった私は、最初のリーグ戦を2位通過。特別昇級リーグの権利を得たが、そこでは無念の4回戦敗退。正直、その当時の私は、Aルールというものを全然理解していなかった。巷の一発裏ドラ赤ありルールとほとんど打ち方を変えていなかったのだ。よくそんな打ち方で昇級できたなという突っ込みは置いといて、とにかくAルール麻雀を徹底的に勉強し直す必要があると考えた私は、翌年のリーグ戦から毎月A1リーグの観戦に行くことを誓った。
特に観戦したのが瀬戸熊プロ。読みが鋭く、攻撃的な麻雀は思わず見惚れてしまう程だ。観戦だけでは上手くならないと思い、暇を見つけては先輩方とAルールセットを組んだ。分からない局面があったら積極的に質問し、自分の中で納得させてから岐路に着く。そんな日々を過ごしていた私にチャンスが訪れる。
第23期チャンピオンズリーグの決勝に駒を進めたのだ。
過去2回チャンピオンズリーグに出場したのだが、ベスト16とベスト28で敗退と言う結果に終わっていた。決勝に残ったからには、目指すは優勝しかないと精神統一してから会場に向かった。
会場に着いて刻々と迫る開始時間。周りから見た私の表情は硬いように映ったかもしれないが、当の本人は全く緊張していなかった。日頃から打ち慣れているせいか、卓に着いてもその緊張が来ることもなく、立会人の合図により対局が開始された。
詳しい内容は、観戦記やインタビュー記事を見て貰う事にして、個人的に気になった局面を1つ紹介したい。
4回戦(起家から、吉田(直)・吉田(幸)・中村・高沢)
3回戦までのトータルポイントは以下。
吉田(直)+3.3P 吉田(幸)+44.3P 中村+27.2P 高沢▲74.8P
南3局2本場、西家の吉田(直)から以下の捨牌でリーチが入る。
発一万 上向き九筒 上向き三万 上向き七索 左向き西三筒 上向き白
ここまでの点数状況は、吉田(直)23100 吉田(幸)19000 中村36400 高沢41500
9巡目、親の私は以下の手牌になった。
二万二万七万八万一索二索四索六索八索九索七筒七筒八筒  ツモ二万  ドラ五索
essay_67_02
簡単に記すと、愚形2シャンテンで、親番とはいえ勝負に行くのは厳しい形。
トータルポイント的にも、完全にオリたいのだが、筋もワンチャンスも何もない。さてどうする?
こういった状況でよく聞くのが、どうせ安牌が1枚もないのだからリーチを無視して自分の都合に合わせて手を進めるという意見と、捨牌と切られている牌から手役を消していき、放銃しても安そうな牌から切っていくという意見。
前者は、この状況ではリスクが高すぎるように思う。もう少し好形ならば勝負に行く選択肢もあると思うが・・・。勿論この親番を落とすともう後がないというのなら話は別だが、今は満貫以上を打つと沈みの3着まで落ちてしまうという状況。この局面には見合ってない戦法だと思う。後者はヒントが少なすぎて、三色から一通まですべて見える。唯一、切り順からタンピン系と読めるのが精一杯だろう。
私の選択は打二万。暗刻の牌を打って、振り込んだら最悪だろうという声も聞こえてきそうだが、これこそ最善の一打だと私は思う。まず、シャンポン待ちには絶対当たらない。次に吉田(直)プロが、2巡目に一万を切っており、場に一万が3枚枯れ、カン二万待ちの可能性は低い。当たるとしたら、ほぼ二万五万待ちのケースだろう。
そして、最大の理由が3巡凌げるという事。もう一度手牌を見て貰いたい。七筒切り以外は、次にもう一度無筋を持ってきたらまた新たに開拓しなければならない。3巡凌げれば、よっぽどの事がない限り安牌に窮することはないだろう。そして可能性は低いが、二万を切って行くうちにツモが効いて、闘える形に復活する場合もある。
正直、これは敗因になる事はあっても勝因になることは決してない。しかし、この細かい事の積み重ねが大切だと私は思う。この二万をノータイムで切れたのは、日頃の訓練の賜物だろう(それが正解かどうかは別として)。この半荘は浮きの2着を取り、最終5回戦はトップで締めくくり第23期チャンピオンズリーグは優勝という最高の形で幕を閉じた。
後日、牌譜データサービスを使って、改めて自分の打牌を検証したが、細かいミスが多かった。
結果的に致命傷に繋がってはいないが、こんな麻雀を打っていたのでは、A1リーグなんて夢のまた夢である。夢ではなく現実にする為に、私は来期のA1リーグも観戦に行くだろう。そして、その努力が実り、いつの日か鳳凰位に就けると信じている。
長々と私の拙い文章にお付き合い頂きありがとうございました。
今月で28歳の誕生日を迎える、2年目の27期生中村慎吾がお届け致しました。
最後に、元探偵という異色の経歴ということで、浮気で困っている方がいましたら、無料で相談に乗りますよ~(笑)。
それでは次回は、麻雀格闘倶楽部や2013年日本プロ麻雀連盟カレンダー等で大活躍中の小笠原奈央プロにバトンを渡したいと思います。1年目からこんなにメディアに露出できて正直羨ましいぞ(笑)。
今後もブレイク間違いなしの彼女に要注目!!小笠原プロ宜しくお願いします。

第3期グランプリMAX ベスト8レポート

第3期グランプリMAXもいよいよ佳境に入る。
灘・小島を筆頭とする歴戦の猛者を相手に、若手の(この中では)西川・勝又がどう立ち向かうのか。
決勝の椅子を賭けた闘いが今始まる。

1卓:古川孝次 西川淳 灘麻太郎 藤崎智

gpmax
左から藤崎智、灘麻太郎、古川孝次、西川淳

2回戦、静かな立ち上がりであったが、迎えた東3局、局面が一気に動き出す。
灘の8巡目、

三万三万六万七万五索六索二筒三筒四筒五筒六筒七筒中  ドラ七索

跳満まで見える1シャンテンになったかと思えば、西川が同巡にリーチ!

四万五万六万七万七万三索四索五索六索七索六筒七筒八筒  リーチ

7,700確定の3面張である。この2人の戦いかと思ったのも束の間「ツモ」の声。
手を開いたのは息を潜めていた藤崎であった。

二万三万七万八万九万一索一索七索八索九索一筒二筒三筒  ツモ一万

この3,000・6,000でトップ目に立つと、東4局、

二万三万四万二索三索四索二筒三筒四筒五筒七筒八筒九筒  ロン五筒  ドラ七筒

またしてもヤミテンで、灘から五筒を討ち取り点棒を5万点近くまで伸ばす。

南1局、藤崎に待ったをかけたい親番の西川。
3巡目に、2つ仕掛けて以下の形。

四万四万三筒東南中中  ポン五万五万五万  ポン一索一索一索  ドラ三索

この仕掛けを見てか、南家の古川も動き出す。

四索五索六索七索七索九索九索発発発  チー一索二索三索

さすがに仕掛けに関しては古川が1枚上手か。程なくして九索をツモリ2,000・4,000。
南2局、波に乗ってきた古川が、

二万三万四万六万七万八万八万八万四索五索六索五筒六筒  ロン七筒  ドラ四索

藤崎のお株を奪うヤミテンで、その藤崎から直撃する。
このアガリで、古川と藤崎の2人浮きと思われたが、そう簡単に終わらせないのが百戦錬磨のカミソリ灘。
オーラス。

九万九万二索二索三索九索九索四筒四筒九筒九筒南南  ドラ二索

わずか4巡でこのテンパイをすると何と即リーチ!終盤に、力強く三索を引き寄せ6,000オール。
古川を捲り藤崎に肉薄する。
1本場で1,500は1,800、2本場で1,500は2,100と小刻みにアガリ迎えた3本場。

二万二万五万六万四索五索六索五筒七筒八筒南南南中  ドラ四索

なんと配牌1シャンテン。2巡目に九筒を引き入れリーチ!
3巡目に南を暗カンして5巡目にツモ!

二万二万五万六万四索五索六索七筒八筒九筒  暗カン牌の背南南牌の背  リーチ  ツモ七万  ドラ四索

4,000は4,300オールで6万点を超えるトップ。
藤崎・古川共に随所に持ち味を発揮したが、終わってみれば灘圧巻の半荘であった。

2回戦成績
灘+41.6P  藤崎+14.1P  古川▲13.1P  西川▲42.6P

3回戦も灘が止まらない。
2回戦の勢いそのままに連続トップを取り以下の成績。

3回戦終了時成績
灘+65.5P  藤崎+24.4P  古川+13.4P  西川▲103.3P

残り2回戦となったが、実質、藤崎・古川の2着争いであろう。
古川の起家で始まった4回戦、東1局1,600オール、1本場に1,300は1,400オールをアガると、
2本場、

二万三万四万六万七万東東  加カン中中中中  加カン発発発発  ツモ五万  ドラ六筒

4,000は4,200オールをツモりアガリ早くも5万点を超える。
東4局2本場には、10巡目に高目三色のリーチを西川から討ち取る。

二万三万四万三索四索二筒三筒四筒六筒七筒八筒南南  リーチ  ロン二索  ドラ二万

南1局にも2,600オールをツモると、南1局1本場8巡目にこのリーチ!

一万二万三万六万七万八万七索八索五筒五筒六筒七筒八筒  ドラ一万  リーチ

安目ながら九索をツモり2,600は2,700オールで6万点を超え、1人浮きの大トップをものにした。

4回戦成績
古川+47.8P  灘▲10.3P  藤崎▲14.5P  西川▲24.0P

4回戦終了時成績
古川+61.2P  灘+55.2P  藤崎+9.9P  西川▲127.3P

古川・灘が絶対有利の最終戦、藤崎が最後の最後まで粘り、オーラス1,300・2,600ツモ条件まで迫ったものの、
流局しここで涙を飲んだ。灘・古川に共通するのが鳴きで、流れを持ってきて最後は門前で決めるところだ。
自分の勝ちパターンで完勝した両名にトッププロの真髄を見た。

勝ち上がり:灘麻太郎 古川孝次

 

2卓:勝又健志 瀬戸熊直樹 前原雄大 小島武夫

gpmax
左から瀬戸熊直樹、前原雄大、勝又健志、小島武夫

1回戦、親番の前原が早速「らしさ」を見せる。
東1局2本場8巡目、

六万七万三索四索四索六索六索六索七索八索八索四筒五筒  ドラ五筒

三筒チー打七索、次巡、ツモ二索四索

六万七万二索三索四索六索六索六索八索八索  チー三筒四筒五筒  ロン八万  ドラ五筒

8巡目で両面チーをする打ち手は少ないと思う。
しかし、前原の中では点数ではなく状態・流れを意識した仕掛けなのだろう。

南1局、ここまでノーホーラの勝又だったが、わずか3巡目でこのリーチ。

五万一索一索四索四索六索六索五筒五筒八筒八筒中中  ドラ五万  リーチ

これを一発でツモり上げ、3,000・6,000と大きな初アガリとなった。
南2局、勝又に触発されたのか、小島も8巡目リーチを一発ツモ!

七万七万八万八万九万九万五索五索三筒四筒六筒七筒八筒  リーチ  ツモ五筒  ドラ五筒

しかし、最後はやはり前原が締めた。オーラス5巡目、

五万六万七万九万九万三索四索四索五索五索六索二筒四筒  ドラ六万

この手を当然の様にリーチと行き、当然の様にツモる。
前原が自らの勝ちパターンで幸先の良いスタートを切った。

1回戦成績
前原+15.2P  勝又+9.1P  瀬戸熊▲6.3P  小島▲18.0P

3回戦、東場は小場で進み迎えた南2局、小島が5巡目にリーチ。

六万六万七万七万二索二索五索五索六筒六筒七筒七筒南  ドラ七筒

リーチを受けた親番の前原が動き出す。あっという間の3フーロで以下の形。

八万七索八索九索  チー二索三索四索  チー一索二索三索  ポン白白白  ドラ七筒

この仮テンをあっさりとツモり500オール。
1本場で2,600は2,700オールをツモると、2本場6巡目で手変わり待たずの押さえ込みリーチ。

一万二万三万七万八万九万四索四索四索五筒五筒六筒六筒  リーチ  ドラ南

前原と幾度となく激闘を繰り広げてきた瀬戸熊。10巡目に以下の手牌。

一筒二筒三筒四筒四筒六筒六筒七筒八筒九筒南南白  ドラ南

親リーチで先制されるが、ここが勝負所と踏んだか無筋を連打。
しかし、流局濃厚な15巡目、ラス牌の五筒を前原が力強く叩きつけ1,000は1,200オール。
点数以上に、流れを引き寄せる価値のあるアガリである。これが前原の勝ちパターンであろう。

オーラスを迎え、トータルラス目の親番・瀬戸熊。絶対に落とせない親番で何とダブリーの手が入る。

四万五万五索六索七索一筒一筒四筒五筒六筒七筒八筒九筒  ダブルリーチ  ドラ五筒

しかし、小島も2巡目に追っかけリーチ。

七万八万九万一索三索五索六索七索九索九索発発発  リーチ  ドラ五筒

アガれば30,000点を越えるだけに、ツモにも力が入るが、無情にも三万を掴み11,600の放銃となってしまった。
瀬戸熊は1本場に2,000は2,300をアガリトップ目となるが、立ちはだかったのはやはり前原。
オーラス2本場、

二索三索四索六索七索八索二筒三筒四筒五筒六筒七筒八筒  ドラ北

これを瀬戸熊から直撃し、この半荘をトップで終える。

3回戦成績
前原+17.5P  瀬戸熊+6.7P  勝又+2.8P  小島▲27.0P

3回戦終了時成績
前原+23.3P  勝又+21.2P  瀬戸熊▲18.9P  小島▲25.6P

4回戦、瀬戸熊・小島は最終戦に望みを繋ぐ為にも、絶対にラスは引けない半荘となるが、結果は小島のトップ。
瀬戸熊は1人沈みのラスを引いてしまい三冠の夢はここで潰えた。

4回戦終了時成績
勝又+25.9P  前原+25.0P  小島+7.0P  瀬戸熊▲57.9P

5回戦、やはり場をリードするのは前原と勝又。東1局、前原が3巡目リーチ。

二万三万四万五万五万七万九万七索八索九索南南南  リーチ  ドラ白

そして勝又が5巡目に追っかけリーチ。

二索三索四索六索七索八索三筒三筒三筒五筒五筒六筒七筒  リーチ

勝又が圧倒的有利かと思われたが、7巡目に八万を掴みここは前原に軍配が上がる。
東2局、今度は勝又が魅せる。6巡目に以下の形。

一万二万三万三万四万五万五万七万七万七万九万白白  ツモ七万  ドラ東

場には八万が1枚切れ、九万が1枚切れ、六万は生牌。ここで勝又は、打五万としカン八万のテンパイを取る。
8巡目、瀬戸熊の切った白をポンし打七万

一万二万三万三万四万五万七万七万七万九万  ポン白白白

しかし同巡、瀬戸熊から親リーチが入ってしまう。そしてツモ六万三万が現物だけに、打三万の高目一通のテンパイに取るのだろうと思ったのも束の間、勝又はノータイムで打九万とし、フリテンの5面張に受ける。
対局後勝又は語る。

「あの場面で、6巡目に前原さんが打九万とした時に、八万はトイツ以上だと読めた。
どうせ瀬戸熊さん以外からは出ないのだから、ツモり易い待ちに受けるのは当然でしょ?」

次巡、読み通り二万を手元に引き寄せる勝又。
ここへ来て、その読みの精度は更に冴え渡っている。

そして最後に小島が魅せてくれた。オーラスを迎え、トップ目は勝又、2着目に前原。
3着目の小島の条件は、前原からの満貫直撃か跳満ツモ。絶対に放銃できない前原は、配牌オリを選択。
14巡目、小島から力強いリーチの声。

三万四万四万五万六万三索四索五索五索六索七索八索八索  リーチ  ドラ五万

リーチが入った瞬間、観戦記者としての仕事を忘れ、純粋に1人の麻雀ファンとして魅入ってしまった。
小島なら五万をツモってしまうのではないか。ギャラリーもそう思ったであろう。
もしかしたら、前原でさえそう思ったかも知れない。

結果は流局であったが、小島武夫の圧倒的存在感を見せ付けた1局であった。

5回戦成績
勝又+14.5P  前原+4.6P  小島▲5.5P  瀬戸熊▲14.6P

勝ち上がり:勝又健志 前原雄大

 

王位戦4連覇の灘。
鳳凰戦3連覇の古川。
十段戦3連覇の前原。
歴史に名を刻んできたトッププロ3名に、連覇を賭け勝又が挑む。

gpmax 灘麻太郎
gpmax 古川孝次
gpmax 前原雄大
gpmax 勝又健志

新たな時代の幕開けとなるのか。王者を決める物語はいよいよ最終章を迎える。

グランプリ レポート/第3期グランプリMAX ベスト8レポート

第3期グランプリMAXもいよいよ佳境に入る。
灘・小島を筆頭とする歴戦の猛者を相手に、若手の(この中では)西川・勝又がどう立ち向かうのか。
決勝の椅子を賭けた闘いが今始まる。
1卓:古川孝次 西川淳 灘麻太郎 藤崎智

gpmax
左から藤崎智、灘麻太郎、古川孝次、西川淳

2回戦、静かな立ち上がりであったが、迎えた東3局、局面が一気に動き出す。
灘の8巡目、
三万三万六万七万五索六索二筒三筒四筒五筒六筒七筒中  ドラ七索
跳満まで見える1シャンテンになったかと思えば、西川が同巡にリーチ!
四万五万六万七万七万三索四索五索六索七索六筒七筒八筒  リーチ
7,700確定の3面張である。この2人の戦いかと思ったのも束の間「ツモ」の声。
手を開いたのは息を潜めていた藤崎であった。
二万三万七万八万九万一索一索七索八索九索一筒二筒三筒  ツモ一万
この3,000・6,000でトップ目に立つと、東4局、
二万三万四万二索三索四索二筒三筒四筒五筒七筒八筒九筒  ロン五筒  ドラ七筒
またしてもヤミテンで、灘から五筒を討ち取り点棒を5万点近くまで伸ばす。
南1局、藤崎に待ったをかけたい親番の西川。
3巡目に、2つ仕掛けて以下の形。
四万四万三筒東南中中  ポン五万五万五万  ポン一索一索一索  ドラ三索
この仕掛けを見てか、南家の古川も動き出す。
四索五索六索七索七索九索九索発発発  チー一索二索三索
さすがに仕掛けに関しては古川が1枚上手か。程なくして九索をツモリ2,000・4,000。
南2局、波に乗ってきた古川が、
二万三万四万六万七万八万八万八万四索五索六索五筒六筒  ロン七筒  ドラ四索
藤崎のお株を奪うヤミテンで、その藤崎から直撃する。
このアガリで、古川と藤崎の2人浮きと思われたが、そう簡単に終わらせないのが百戦錬磨のカミソリ灘。
オーラス。
九万九万二索二索三索九索九索四筒四筒九筒九筒南南  ドラ二索
わずか4巡でこのテンパイをすると何と即リーチ!終盤に、力強く三索を引き寄せ6,000オール。
古川を捲り藤崎に肉薄する。
1本場で1,500は1,800、2本場で1,500は2,100と小刻みにアガリ迎えた3本場。
二万二万五万六万四索五索六索五筒七筒八筒南南南中  ドラ四索
なんと配牌1シャンテン。2巡目に九筒を引き入れリーチ!
3巡目に南を暗カンして5巡目にツモ!
二万二万五万六万四索五索六索七筒八筒九筒  暗カン牌の背南南牌の背  リーチ  ツモ七万  ドラ四索
4,000は4,300オールで6万点を超えるトップ。
藤崎・古川共に随所に持ち味を発揮したが、終わってみれば灘圧巻の半荘であった。
2回戦成績
灘+41.6P  藤崎+14.1P  古川▲13.1P  西川▲42.6P
3回戦も灘が止まらない。
2回戦の勢いそのままに連続トップを取り以下の成績。
3回戦終了時成績
灘+65.5P  藤崎+24.4P  古川+13.4P  西川▲103.3P
残り2回戦となったが、実質、藤崎・古川の2着争いであろう。
古川の起家で始まった4回戦、東1局1,600オール、1本場に1,300は1,400オールをアガると、
2本場、
二万三万四万六万七万東東  加カン中中中中  加カン発発発発  ツモ五万  ドラ六筒
4,000は4,200オールをツモりアガリ早くも5万点を超える。
東4局2本場には、10巡目に高目三色のリーチを西川から討ち取る。
二万三万四万三索四索二筒三筒四筒六筒七筒八筒南南  リーチ  ロン二索  ドラ二万
南1局にも2,600オールをツモると、南1局1本場8巡目にこのリーチ!
一万二万三万六万七万八万七索八索五筒五筒六筒七筒八筒  ドラ一万  リーチ
安目ながら九索をツモり2,600は2,700オールで6万点を超え、1人浮きの大トップをものにした。
4回戦成績
古川+47.8P  灘▲10.3P  藤崎▲14.5P  西川▲24.0P
4回戦終了時成績
古川+61.2P  灘+55.2P  藤崎+9.9P  西川▲127.3P
古川・灘が絶対有利の最終戦、藤崎が最後の最後まで粘り、オーラス1,300・2,600ツモ条件まで迫ったものの、
流局しここで涙を飲んだ。灘・古川に共通するのが鳴きで、流れを持ってきて最後は門前で決めるところだ。
自分の勝ちパターンで完勝した両名にトッププロの真髄を見た。
勝ち上がり:灘麻太郎 古川孝次
 
2卓:勝又健志 瀬戸熊直樹 前原雄大 小島武夫

gpmax
左から瀬戸熊直樹、前原雄大、勝又健志、小島武夫

1回戦、親番の前原が早速「らしさ」を見せる。
東1局2本場8巡目、
六万七万三索四索四索六索六索六索七索八索八索四筒五筒  ドラ五筒
三筒チー打七索、次巡、ツモ二索四索
六万七万二索三索四索六索六索六索八索八索  チー三筒四筒五筒  ロン八万  ドラ五筒
8巡目で両面チーをする打ち手は少ないと思う。
しかし、前原の中では点数ではなく状態・流れを意識した仕掛けなのだろう。
南1局、ここまでノーホーラの勝又だったが、わずか3巡目でこのリーチ。
五万一索一索四索四索六索六索五筒五筒八筒八筒中中  ドラ五万  リーチ
これを一発でツモり上げ、3,000・6,000と大きな初アガリとなった。
南2局、勝又に触発されたのか、小島も8巡目リーチを一発ツモ!
七万七万八万八万九万九万五索五索三筒四筒六筒七筒八筒  リーチ  ツモ五筒  ドラ五筒
しかし、最後はやはり前原が締めた。オーラス5巡目、
五万六万七万九万九万三索四索四索五索五索六索二筒四筒  ドラ六万
この手を当然の様にリーチと行き、当然の様にツモる。
前原が自らの勝ちパターンで幸先の良いスタートを切った。
1回戦成績
前原+15.2P  勝又+9.1P  瀬戸熊▲6.3P  小島▲18.0P
3回戦、東場は小場で進み迎えた南2局、小島が5巡目にリーチ。
六万六万七万七万二索二索五索五索六筒六筒七筒七筒南  ドラ七筒
リーチを受けた親番の前原が動き出す。あっという間の3フーロで以下の形。
八万七索八索九索  チー二索三索四索  チー一索二索三索  ポン白白白  ドラ七筒
この仮テンをあっさりとツモり500オール。
1本場で2,600は2,700オールをツモると、2本場6巡目で手変わり待たずの押さえ込みリーチ。
一万二万三万七万八万九万四索四索四索五筒五筒六筒六筒  リーチ  ドラ南
前原と幾度となく激闘を繰り広げてきた瀬戸熊。10巡目に以下の手牌。
一筒二筒三筒四筒四筒六筒六筒七筒八筒九筒南南白  ドラ南
親リーチで先制されるが、ここが勝負所と踏んだか無筋を連打。
しかし、流局濃厚な15巡目、ラス牌の五筒を前原が力強く叩きつけ1,000は1,200オール。
点数以上に、流れを引き寄せる価値のあるアガリである。これが前原の勝ちパターンであろう。
オーラスを迎え、トータルラス目の親番・瀬戸熊。絶対に落とせない親番で何とダブリーの手が入る。
四万五万五索六索七索一筒一筒四筒五筒六筒七筒八筒九筒  ダブルリーチ  ドラ五筒
しかし、小島も2巡目に追っかけリーチ。
七万八万九万一索三索五索六索七索九索九索発発発  リーチ  ドラ五筒
アガれば30,000点を越えるだけに、ツモにも力が入るが、無情にも三万を掴み11,600の放銃となってしまった。
瀬戸熊は1本場に2,000は2,300をアガリトップ目となるが、立ちはだかったのはやはり前原。
オーラス2本場、
二索三索四索六索七索八索二筒三筒四筒五筒六筒七筒八筒  ドラ北
これを瀬戸熊から直撃し、この半荘をトップで終える。
3回戦成績
前原+17.5P  瀬戸熊+6.7P  勝又+2.8P  小島▲27.0P
3回戦終了時成績
前原+23.3P  勝又+21.2P  瀬戸熊▲18.9P  小島▲25.6P
4回戦、瀬戸熊・小島は最終戦に望みを繋ぐ為にも、絶対にラスは引けない半荘となるが、結果は小島のトップ。
瀬戸熊は1人沈みのラスを引いてしまい三冠の夢はここで潰えた。
4回戦終了時成績
勝又+25.9P  前原+25.0P  小島+7.0P  瀬戸熊▲57.9P
5回戦、やはり場をリードするのは前原と勝又。東1局、前原が3巡目リーチ。
二万三万四万五万五万七万九万七索八索九索南南南  リーチ  ドラ白
そして勝又が5巡目に追っかけリーチ。
二索三索四索六索七索八索三筒三筒三筒五筒五筒六筒七筒  リーチ
勝又が圧倒的有利かと思われたが、7巡目に八万を掴みここは前原に軍配が上がる。
東2局、今度は勝又が魅せる。6巡目に以下の形。
一万二万三万三万四万五万五万七万七万七万九万白白  ツモ七万  ドラ東
場には八万が1枚切れ、九万が1枚切れ、六万は生牌。ここで勝又は、打五万としカン八万のテンパイを取る。
8巡目、瀬戸熊の切った白をポンし打七万
一万二万三万三万四万五万七万七万七万九万  ポン白白白
しかし同巡、瀬戸熊から親リーチが入ってしまう。そしてツモ六万三万が現物だけに、打三万の高目一通のテンパイに取るのだろうと思ったのも束の間、勝又はノータイムで打九万とし、フリテンの5面張に受ける。
対局後勝又は語る。
「あの場面で、6巡目に前原さんが打九万とした時に、八万はトイツ以上だと読めた。
どうせ瀬戸熊さん以外からは出ないのだから、ツモり易い待ちに受けるのは当然でしょ?」
次巡、読み通り二万を手元に引き寄せる勝又。
ここへ来て、その読みの精度は更に冴え渡っている。
そして最後に小島が魅せてくれた。オーラスを迎え、トップ目は勝又、2着目に前原。
3着目の小島の条件は、前原からの満貫直撃か跳満ツモ。絶対に放銃できない前原は、配牌オリを選択。
14巡目、小島から力強いリーチの声。
三万四万四万五万六万三索四索五索五索六索七索八索八索  リーチ  ドラ五万
リーチが入った瞬間、観戦記者としての仕事を忘れ、純粋に1人の麻雀ファンとして魅入ってしまった。
小島なら五万をツモってしまうのではないか。ギャラリーもそう思ったであろう。
もしかしたら、前原でさえそう思ったかも知れない。
結果は流局であったが、小島武夫の圧倒的存在感を見せ付けた1局であった。
5回戦成績
勝又+14.5P  前原+4.6P  小島▲5.5P  瀬戸熊▲14.6P
勝ち上がり:勝又健志 前原雄大
 
王位戦4連覇の灘。
鳳凰戦3連覇の古川。
十段戦3連覇の前原。
歴史に名を刻んできたトッププロ3名に、連覇を賭け勝又が挑む。

gpmax 灘麻太郎
gpmax 古川孝次
gpmax 前原雄大
gpmax 勝又健志

新たな時代の幕開けとなるのか。王者を決める物語はいよいよ最終章を迎える。

第75回『稽古』

__どうしたら麻雀が強くなるのでしょうか?
もう20年以上も前の、冬の夜中のことである。
かなりの時間、麻雀を打ち終えた後、少しだけ呑もうとIさんの言葉に従い、当時、下戸に近い私と2人、新宿の酒場に立ち寄り、しばらく飲んだ頃、私はほぼ酩酊状態になってこう尋ねた。

「それを考え続けて行くことが、お前たちの仕事だろう」

しばらくの沈黙の時が流れた。私は自分の言った言葉に後悔していた。
私の後悔の思いが表情に出ていたのかもしれない。
「今、何時ごろだ?」
「もうすぐ4時です」
「少し、私に付き合ってくれないか」
「はい」

新宿駅に向かい、Iさんは2人分の切符を買い、1枚を渡してくれた。
そして、茨木か群馬のとある駅でおり、しばらくの間歩き続け、ある陸橋の上で2人立っていた。

まだ、太陽が昇ったかどうかの頃合いで、酔いも醒め、寒かった記憶があるから冬だったのだろう。
道の向こう側から1台の自転車が、私には信じられないようなスピードで、私達の立っている陸橋を通り過ぎ彼方へ飛んで行った。

「じゃあ、帰ろう」
そう言うと、Iさんは来た道をまた戻り始めた。

Iさんが何を見せたかったのか、何を教えたかったのか私には良く解らなかった。
帰りすがら私は尋ねた。
「知り合いの方ですか?」
「贔屓にしている競輪の選手だ」
「毎日、皆、選手は走る練習をするのですか?」
「それは人それぞれだろう、走る距離も、1日100キロ以上走る選手もいれば、走らない選手もいる。練習のメニューも選手それぞれ違うだろう。」

私は競輪という競技を全く知らなかったし、今も知らない。

「怠けようと思えばいくらでもできる。全ては己次第だ」
「どの世界も同じことだろう。資質には差があれど、強い選手、強い人間など存在しないように思う。強くあろうとする人間と、たいしたこともせずに、強くなりたがる人間の2種類しかいないように思う。」

遠い昔のことだから、正確な言葉ではないが、Iさんの言葉に、私は自分自身の問うた言葉、自分の在り方を恥じた。そして、私の問いに言葉だけではなく、何時間もかけ、この陸橋まで連れて来てくださったことに感謝したが、返す言葉が見つからなかった。私は結局、一言もお礼の言葉を返すことが出来なかった。

【稽古】

いつの頃か定かではないが、私は稽古という言葉を好んで使うようになった。それは多分、私の血筋の影響が大きいと考える。母親の系統に、囲碁、百人一首、将棋に関わる血が流れていることもあり、稽古という言葉に違和感がなかったのかもしれない。大雑把に記せば、過去を考え、今の正しさを知るという言葉の意味合いである。

「稽古」の「古」は、「古い、いにしえ」という意味であり、「口」は大切なものを収める箱、「十」は「干」で、その箱を護る「盾(たて)」。厳重に保管されている「何か」ということであり、そして、「稽」は「考える」という意味である。つまり「稽古」とはいにしえを考える、ただのプラクティスやレッスンやトレーニングとは違うということである。

麻雀というゲームは奥が深く面白い。一般の方々はその面白さを楽しめば良いと思う。
稽古などと考える必要もないように思える。

数年前、麻雀トライアスロンで、競輪界の伏見俊昭さんにお会いした時、
「練習は辛くないですか?」
この私の馬鹿げた問いに、
「我々にとっては練習が仕事ですから」
さり気無く答えてくれた言葉は重かった。

 

第27期鳳凰位決定戦 二日目観戦記より
http://archive.archive2020.ma-jan.or.jp/title_fight/houousen_27_2.php

class_3_75_01

『1日目終了後の深夜、宿泊先のホテルに戻り取材ノートをまとめながら原稿の準備をしていると、突然携帯が鳴った。着信を見ると前原からの電話。急いで電話に出ると開口一番、
「瀬戸クンの一筒はすごいよ!」
「あの一筒を見ると、やっぱり稽古を積んでいるんだなぁって感じるよね。」
誤解の無いように記しておくと、対局者には1日の対局の終了後、観戦記用にコメントをもらう段取りとなっていた。
しかし前原からはコメントをもらえず、「後程連絡をする。」との事。それが冒頭の言葉である。
鳳凰位決定戦を終えた打ち上げの席での一コマ。
「あの一筒で山井さんを超えたよね。(笑)」とは、瀬戸熊談。
攻撃力が強く、勝負となれば何でも切っていく山井の攻撃力を越えたという意味のコメントである。
冒頭の前原の言葉は、もちろん瀬戸熊の牌姿を確認することなく発したものである。
前原にはどのような牌姿から放たれた一筒なのかはわからないが、瀬戸熊が間違いなく放銃を覚悟してのモノだったに違いない。
放銃を恐れない瀬戸熊のその姿勢に、前原は賛辞を送ったのである。

鳳凰位決定戦開始前のコメントで、前原は私にこう語っている。
「麻雀の本質とはぶつかり合うこと。」そして、
「放銃すべき手はきちんと放銃しようと、心に決めている。」
それは、前原自身がやらねばならないことを瀬戸熊が実践したのだということ。

前原から瀬戸熊が学んだことを、実際の対局で、それも鳳凰位決定戦というプロ連盟最高峰の戦いの場で、
しかも前原相手に打ち切ってくれたことが、前原にとっては嬉しかったのだろう。
牌姿を目にしたら、どう感じるかはわからない。結果だけで言えば、放銃をしていい局面など限られている。
それでも前原が、この放銃に賛辞を贈るのは、前原自身の言葉を借りれば、
「リーグ戦でもタイトル戦でも、ゴールに向けての最善手を打っている。一局単位の最善手をもとめないんだ
ということなんだろう。』

と、望月は記している。

この打一筒の局面に関しては、何度か書こうと考えていたが、こちらがわの筆力の問題で、上手く読んだ方々に伝わるか不安もあり、しばらくの間、冷静に観られるまで記すのは辞めていた。

瀬戸熊直樹はタイトル戦に向けて、走り込みをし、食事制限もし、あらゆる場面をシミュレートする。
これが稽古の本質だと私は捉えている。そのシミュレートの中に、こういう場面も想定の中に入っていたのだろう。この一筒は、確かに誰も打たない、もしくは打てない牌ではある。9割方放銃を避けられない場面である。

それでも瀬戸熊が、打一筒としたのは、僅かに残された可能性に掛ける気持ちよりも、ここで放銃しても悪い結果にはならないだろうとの確信があったものだろう。実際、瀬戸熊はこの半荘もトップを取り切っている。
私はこの点棒の横移動でショックを受け平常心を失われていく。
心技体という言葉があるが、心が乱されてしまったら、そう勝てるものではない。

この打一筒が、正しい一打かと問われれば疑問だが、間違いなく素晴らしい一打であることは間違いないと私は思う。磨くべきは、技術や肉体はもちろんのことだが、稽古の在り方を磨くべきではないだろうか。

上級/第75回『稽古』

__どうしたら麻雀が強くなるのでしょうか?
もう20年以上も前の、冬の夜中のことである。
かなりの時間、麻雀を打ち終えた後、少しだけ呑もうとIさんの言葉に従い、当時、下戸に近い私と2人、新宿の酒場に立ち寄り、しばらく飲んだ頃、私はほぼ酩酊状態になってこう尋ねた。
「それを考え続けて行くことが、お前たちの仕事だろう」
しばらくの沈黙の時が流れた。私は自分の言った言葉に後悔していた。
私の後悔の思いが表情に出ていたのかもしれない。
「今、何時ごろだ?」
「もうすぐ4時です」
「少し、私に付き合ってくれないか」
「はい」
新宿駅に向かい、Iさんは2人分の切符を買い、1枚を渡してくれた。
そして、茨木か群馬のとある駅でおり、しばらくの間歩き続け、ある陸橋の上で2人立っていた。
まだ、太陽が昇ったかどうかの頃合いで、酔いも醒め、寒かった記憶があるから冬だったのだろう。
道の向こう側から1台の自転車が、私には信じられないようなスピードで、私達の立っている陸橋を通り過ぎ彼方へ飛んで行った。
「じゃあ、帰ろう」
そう言うと、Iさんは来た道をまた戻り始めた。
Iさんが何を見せたかったのか、何を教えたかったのか私には良く解らなかった。
帰りすがら私は尋ねた。
「知り合いの方ですか?」
「贔屓にしている競輪の選手だ」
「毎日、皆、選手は走る練習をするのですか?」
「それは人それぞれだろう、走る距離も、1日100キロ以上走る選手もいれば、走らない選手もいる。練習のメニューも選手それぞれ違うだろう。」
私は競輪という競技を全く知らなかったし、今も知らない。
「怠けようと思えばいくらでもできる。全ては己次第だ」
「どの世界も同じことだろう。資質には差があれど、強い選手、強い人間など存在しないように思う。強くあろうとする人間と、たいしたこともせずに、強くなりたがる人間の2種類しかいないように思う。」
遠い昔のことだから、正確な言葉ではないが、Iさんの言葉に、私は自分自身の問うた言葉、自分の在り方を恥じた。そして、私の問いに言葉だけではなく、何時間もかけ、この陸橋まで連れて来てくださったことに感謝したが、返す言葉が見つからなかった。私は結局、一言もお礼の言葉を返すことが出来なかった。
【稽古】
いつの頃か定かではないが、私は稽古という言葉を好んで使うようになった。それは多分、私の血筋の影響が大きいと考える。母親の系統に、囲碁、百人一首、将棋に関わる血が流れていることもあり、稽古という言葉に違和感がなかったのかもしれない。大雑把に記せば、過去を考え、今の正しさを知るという言葉の意味合いである。
「稽古」の「古」は、「古い、いにしえ」という意味であり、「口」は大切なものを収める箱、「十」は「干」で、その箱を護る「盾(たて)」。厳重に保管されている「何か」ということであり、そして、「稽」は「考える」という意味である。つまり「稽古」とはいにしえを考える、ただのプラクティスやレッスンやトレーニングとは違うということである。
麻雀というゲームは奥が深く面白い。一般の方々はその面白さを楽しめば良いと思う。
稽古などと考える必要もないように思える。
数年前、麻雀トライアスロンで、競輪界の伏見俊昭さんにお会いした時、
「練習は辛くないですか?」
この私の馬鹿げた問いに、
「我々にとっては練習が仕事ですから」
さり気無く答えてくれた言葉は重かった。
 
第27期鳳凰位決定戦 二日目観戦記より
http://archive.ma-jan.or.jp/title_fight/houousen_27_2.php

class_3_75_01

『1日目終了後の深夜、宿泊先のホテルに戻り取材ノートをまとめながら原稿の準備をしていると、突然携帯が鳴った。着信を見ると前原からの電話。急いで電話に出ると開口一番、
「瀬戸クンの一筒はすごいよ!」
「あの一筒を見ると、やっぱり稽古を積んでいるんだなぁって感じるよね。」
誤解の無いように記しておくと、対局者には1日の対局の終了後、観戦記用にコメントをもらう段取りとなっていた。
しかし前原からはコメントをもらえず、「後程連絡をする。」との事。それが冒頭の言葉である。
鳳凰位決定戦を終えた打ち上げの席での一コマ。
「あの一筒で山井さんを超えたよね。(笑)」とは、瀬戸熊談。
攻撃力が強く、勝負となれば何でも切っていく山井の攻撃力を越えたという意味のコメントである。
冒頭の前原の言葉は、もちろん瀬戸熊の牌姿を確認することなく発したものである。
前原にはどのような牌姿から放たれた一筒なのかはわからないが、瀬戸熊が間違いなく放銃を覚悟してのモノだったに違いない。
放銃を恐れない瀬戸熊のその姿勢に、前原は賛辞を送ったのである。
鳳凰位決定戦開始前のコメントで、前原は私にこう語っている。
「麻雀の本質とはぶつかり合うこと。」そして、
「放銃すべき手はきちんと放銃しようと、心に決めている。」
それは、前原自身がやらねばならないことを瀬戸熊が実践したのだということ。
前原から瀬戸熊が学んだことを、実際の対局で、それも鳳凰位決定戦というプロ連盟最高峰の戦いの場で、
しかも前原相手に打ち切ってくれたことが、前原にとっては嬉しかったのだろう。
牌姿を目にしたら、どう感じるかはわからない。結果だけで言えば、放銃をしていい局面など限られている。
それでも前原が、この放銃に賛辞を贈るのは、前原自身の言葉を借りれば、
「リーグ戦でもタイトル戦でも、ゴールに向けての最善手を打っている。一局単位の最善手をもとめないんだ
ということなんだろう。』
と、望月は記している。
この打一筒の局面に関しては、何度か書こうと考えていたが、こちらがわの筆力の問題で、上手く読んだ方々に伝わるか不安もあり、しばらくの間、冷静に観られるまで記すのは辞めていた。
瀬戸熊直樹はタイトル戦に向けて、走り込みをし、食事制限もし、あらゆる場面をシミュレートする。
これが稽古の本質だと私は捉えている。そのシミュレートの中に、こういう場面も想定の中に入っていたのだろう。この一筒は、確かに誰も打たない、もしくは打てない牌ではある。9割方放銃を避けられない場面である。
それでも瀬戸熊が、打一筒としたのは、僅かに残された可能性に掛ける気持ちよりも、ここで放銃しても悪い結果にはならないだろうとの確信があったものだろう。実際、瀬戸熊はこの半荘もトップを取り切っている。
私はこの点棒の横移動でショックを受け平常心を失われていく。
心技体という言葉があるが、心が乱されてしまったら、そう勝てるものではない。
この打一筒が、正しい一打かと問われれば疑問だが、間違いなく素晴らしい一打であることは間違いないと私は思う。磨くべきは、技術や肉体はもちろんのことだが、稽古の在り方を磨くべきではないだろうか。

第29期鳳凰位決定戦

フォトギャラリー/第29期鳳凰位決定戦