第15期プロクイーンベスト16D卓レポート 楠原 遊

プロクイーンベスト16の残すところあと1戦となった。
ベスト8へ進出を決めたのはA卓より高田・西嶋、B卓より王・山脇、C卓より清水・佐月。
残された2つの椅子を巡って、D卓の戦いが始まろうとしている。

ルールは日本プロ麻雀連盟WRCルール、半荘4回戦で2名の勝ち上がり。
それではD卓に出場する対局者を紹介していこう。
(敬称略)

 

 

100

茅森早香(カヤモリサヤカ) 第11期女流最高位 前年度決勝進出
最高位戦日本プロ麻雀協会所属 北海道出身

 

 

100

仲田加南(ナカタカナ) 第4期11期女流桜花・第21期新人王
東京本部所属 21期生 五段 神奈川県出身
ロン2プロフィール

 

 

100

魚谷侑未(ウオタニユウミ) 第6期7期女流桜花
東京本部所属 25期生 四段 新潟県出身
ロン2プロフィール

 

 

100

古谷知美(フルタニトモミ)
東京本部所属 25期生 三段 千葉県出身
ロン2プロフィール

 

前年度ファイナリストで、最高位戦を代表する選手のひとりである茅森と、現女流桜花の仲田がここから登場。予選から勝ち上がってきた魚谷・古谷を迎え撃つ。
連盟所属の3名は、現桜花の仲田を含め全員桜花Aリーグに所属。お互いの手の内をよく知る間柄だけに、1回戦から全力での戦いを見ることが出来るのではないだろうか。

 

1回戦(起家から古谷→魚谷→仲田→茅森)

大きな点棒移動も無く迎えた東3局。北家・魚谷の手。

 

100

 

ここからテンパイ取らずの打9とする。巡目も早く、ドラの受け入れやタンヤオもある手。手に蓋をせずともの判断か。

そして次巡、二万を引き入れこの形。

二万三万三索四索五索二筒二筒二筒四筒四筒六筒七筒八筒  ドラ三筒

一万が自身を含め河に2枚、四万は生牌。
形と四万引きの打点・他家のスピードを鑑みての折り合いはついたと、ここで逡巡無くリーチ。
ドラトイツの茅森が仕掛け、他家は受けるが5巡後にしっかりと四万をツモり裏ドラも乗せ2,000・4,000のアガリ。そして更に付け加えるならば八索でのアガリのがしも無し。
フリテンリーチのリスクは承知の上、ここは他家の速度と自身の手のアガリやすさをしっかりと計算してアガリ切った魚谷らしい1局となった。

南4局1本場
前局、ラス親の茅森が2,000オールをアガリトップ目になった1本場。
ここまでの持ち点は 古谷29,800 魚谷31,800 仲田23,800 茅森34,600
ラス目の仲田も満貫をツモればトップまである点差。

西家・魚谷が西を仕掛けてドラの二筒を打っている状況。
8巡目親の茅森の手。

六万七万七索八索八索一筒一筒三筒八筒八筒八筒南南  ツモ二筒  ドラ二筒

目一杯に構えていた手に嬉しいドラのツモ。打一筒。ここに次巡、南を引いてトップをさらに盤石にするリーチをかける。この時点で山に6枚残っているリャンメン待ち。
その2巡後、その茅森の欲しい五万を引いてテンパイしたのは北家・仲田。

三万四万二筒三筒四筒五筒五筒六筒七筒八筒九筒白白  ツモ五万

高め一通になった手をリーチ、勝負といく。西家の魚谷もリャンメンと3メンチャンの1シャンテン。
いよいよオーラスが面白くなったと思う間もなく茅森が一発で四筒を掴みリーチ一発ドラの5,200のアガリとなった。この移動で仲田は2着に、茅森はラスになり1回戦が終了する。

1回戦結果
魚谷+16.8P 仲田+5.3P 古谷▲5.2P 茅森▲16.9P

 

2回戦(仲田→茅森→魚谷→古谷)

南3局、トップ目の魚谷が4万点を超え、それを追う茅森と古谷が3万点越え、ひとり1万点を切ってしまった仲田は親も無く苦しいラス前。

南家・古谷が4巡目から軽快に仕掛けてゆく。

一索一索四筒四筒  ポン南南南  ポン白白白  ポン発発発  ドラ西

8巡目にして跳満のテンパイを入れる。これを受け、西家・仲田の手がこちら。

 

100

 

六筒をツモってこの形。六万を切ると現状片アガリのテンパイ、三万五万を切るとタンヤオが確定する形。ここでの選択は六万。仲田が見ているのはこの先にある形。
そして2巡後にこの形となる。

二万二万三万三万四万五万五万六筒六筒六筒  暗カン牌の背三筒 上向き三筒 上向き牌の背  ツモ三万  ドラ西八索

待望の四暗刻テンパイ、ヤミテンとする。次巡ツモってきた北、これは最悪の場合字一色にもアタリの牌だが、こちらも勝負手、静かに切って行く。
この時二と五は山に残り3枚、1(4)も3枚残り。

両脇が完全に回った空気の中、残りツモは5回ほど。両者のツモ牌に注目が集まったが、アガリの声は聞こえない。そして巡ってきた仲田の最後のツモはドラの西。
手番がなくなっては勝負ができぬとここはオリ、古谷の1人テンパイで流局となる。
二五はテンパイ時そのまま、山に3枚眠っていた。

オーラスも国士無双の1シャンテンと大きな手作りを魅せた仲田だったが、アガリに結び付くことはなく4着で半荘終了。苦しいゲームとなった。

2回戦結果
魚谷+26.7P 茅森+10.4P 古谷▲0.4P 仲田▲37.7P(供託1)

トータル
魚谷+43.5P 古谷▲5.6P 茅森▲6.5P 仲田▲32.4P(供託1)

 

3回戦(魚谷→古谷→茅森→仲田)

折り返しを迎えここまで2連勝の魚谷が一歩抜けだした形。それを追うのは1ケタマイナスの古谷と茅森、そして2回戦大きなラスを引いてしまった仲田は、借金返済のために是が非でもポイントを積み上げたいところだろう。
残り2戦、各者の戦いを見ていきたい。

東2局1本場供託2
ここまで大きなアガリの無かった親の古谷のリーチ

四万五万五万六万六万七万三索四索六索六索二筒三筒四筒  リーチ  ドラ二筒

こちらを受け、トータルトップ目の北家・魚谷。

五索一筒二筒四筒五筒六筒六筒七筒八筒九筒九筒東東  ツモ東

手バラの配牌からソーズ、マンズのターツを外しゆっくりと手を作っていた魚谷だったが、ここで手が完成してしまう。待ちはリーチの現物。
小考して打ち出した五索で古谷に12,000は12,300。大きな放銃となってしまった。そしてアガった古谷は一転、トータルトップ目に立つ。

東2局2本場
そのポイント移動を眺めていた南家・茅森からの先制リーチに同巡、北家・魚谷からもリーチ。
それを受け、東家の古谷の手はこちら。

 

100

 

(下家が茅森、上家が魚谷の捨て牌)
ダブ東が暗刻でドラドラの手。
皆さんだったらどの牌を切るだろうか。

古谷が選択したのは三索のツモ切り。
しかしその三索に、魚谷の声が掛かる。

一万二万三万一索二索九索九索一筒二筒三筒七筒八筒九筒  リーチ  ドラ三筒  裏九索

リーチ一発純チャン三色ドラ3、16,000は16,600のアガリ。親の満貫をアガった相手に、子の倍満のお返しと、そう簡単にトータルトップの椅子には掛けさせてもらえない。

東3局
北家・古谷の手がいい。

一万二万三万九万九万九万一索二索三索七筒八筒九筒発  リーチ  ドラ白

仮テンの八索単騎から場に1枚切れの発を引いての8巡目リーチ。
それを受け、こちらも役無しカンチャンテンパイを入れていた魚谷、せっかく返してもらった点棒をそうやすやすとは返すわけにはいかないと、すっと引いて暗刻の牌を外してゆく。

そしてこのリーチに飛び込んでしまったのはここまで2人の点数移動を眺めていた茅森。タンヤオのテンパイに、手の内から切りだした発で6,400。
アガって放銃してまたアガリ、まるでジェットコースターのような麻雀。
古谷の前に出る姿勢のしっかりと現れた半荘となった。

3回戦結果
古谷+17.5P 魚谷+6.0P 茅森▲4.2P 仲田▲19.3P

トータル
魚谷+49.5P 古谷+11.9P 茅森▲10.7P 仲田▲51.7P (供託1)

 

最終戦(茅森→仲田→古谷→魚谷)

最終戦を迎え、ここまでトップトップ2着の魚谷。古谷と茅森の2位争いは22.6ポイント差と、若干古谷が有利だが着順次第でまだまだ分からない。
そしてポイントが欲しかった3回戦でラスを引いてしまった仲田。厳しい戦いではあるが、現女流桜花の大逆転を楽しみにしているファンのためにも、ここは大きく強く攻めてゆくだろう。

東2局
その仲田の親番、ドラドラとなった北家・茅森が仕掛けてゆく。

五索六索七筒七筒  ポン北北北  ポン九索 上向き九索 上向き九索 上向き  チー四筒 左向き三筒 上向き五筒 上向き  ドラ七筒

2つ仕掛け、最後に仲田から打たれた北をポンしてテンパイ。そして数巡後に引いてきた北を加カンしてリンシャンから引いてきた五索をツモ切ると、仲田からロンの声。

二索三索四索四索五索六索六索七索八索八索  チー二索 左向き三索 上向き四索 上向き  ドラ八筒白

勝負が長引いた結果、仲田の大きなアガリとなった。

南2局
最終半荘になり、ポイントを積み上げている仲田。ここで持ち点が6万点を超え迎えた親番。
しかしまだトータル2着目の古谷には届かない。
7巡目にこの形。

 

100

 

ここから一筒を切ってテンパイ外し。次巡ツモはドラの一筒。789の三色を強く意識した六万切りで、大きく構える。
そしてツモ九索で打四筒でカン三筒待ちの三色・ドラの7,700テンパイ。
そこにラス目の茅森からリーチが入るも、六筒を力強く押してゆく。

このままヤミテンか思われたが、次々巡、空切り出来る牌を引いての手出しリーチ。
この見事な手順に絡め取られたのは、既に受けていた南家・古谷。
手の内から切ったトイツの三筒が、リーチ一発三色表裏裏の18,000をライバルの仲田に放銃となってしまう。
自分の上にいた茅森・古谷から順に18,000をアガリ、仲田がトータル2位に躍り出る。

しかしここで古谷も諦めるわけにはいかない。
南2局3本場

三万三万四万四万五万二索三索四索二筒三筒四筒五筒五筒  ドラ中

この手をしっかりとリーチし、高めの二万をツモって3,000・6,000の3本場。長かった仲田の親を終わらせる。

南3局
ここまで、トータル2位の仲田と3位の古谷の差は5.7ポイント。オーラス、魚谷がトータルトップ目のまま親を迎えた場合、連荘は考えづらく、この古谷の親が落ちれば残り1局の勝負となる。
ベスト16D卓も、勝負の山場をむかえている。

6巡目、親の古谷が先行リーチ。
そして同巡、テンパイを入れたのは南家・魚谷がこの形。

 

100

 

テンパイ打牌の六筒はリーチの裏スジ。しかも一発目。
長考ののち、魚谷はそっとその牌を河に置く。
そして次巡、次々巡と引いてくる、通っていない中張牌をツモ切ってゆく。
この局をアガリ切ってしまえば、オーラスの戦い方がぐっと変わってくる。
ここをベスト8進出の勝負所と見て、押してゆく。

そして仕掛けを入れていた北家・仲田にもテンパイが入る。

三索四索五索八索八索白白白発発  ポン中中中

なんと高め大三元テンパイ。発は山に1枚。勝負の行方を大きく変える可能性のある超大物手。3者にとって、大きな大きな勝負となった局。
見ているこちら側もまばたきを忘れるめくり合いとなったが、アガリの声を発したのは魚谷だった。

六万六万五索六索六索七索七索二筒三筒四筒六筒七筒八筒  ツモ八索

自身の勝ち上がりをほぼ決める、自力でのアガリ。
楽をせずに戦う魚谷の姿勢がよく表れた一局となった。

オーラスは、トータル3位の古谷が粘って手を作るも流局、魚谷・仲田の勝ち上がりで、長かったベスト16の最後の卓の幕が閉じる。

最終戦結果
仲田+65.5P 古谷▲1.4P 魚谷▲14.8P 茅森▲49.3P

トータル
魚谷+34.7P 仲田+13.8P 古谷+10.5P 茅森▲60.0P(供託1)

勝ち上がり 魚谷 仲田

こうして、D卓の勝ち上がり者が決まり、プロクイーンベスト8進出者が全て出揃った。

ベスト8A卓 高田麻衣子vs山脇千文美vs清水香織vs仲田加南
ベスト8B卓 西嶋ゆかりvs王政芳vs佐月麻理子vs魚谷侑未

あと1回勝てば、女王・宮内こずえの待つ決勝卓。
今年は一体誰が、光り輝くティアラを戴冠することになるのか、ますます目が離せない。

 

100

プロクイーン決定戦 レポート/第15期プロクイーンベスト16D卓レポート 楠原 遊

プロクイーンベスト16の残すところあと1戦となった。
ベスト8へ進出を決めたのはA卓より高田・西嶋、B卓より王・山脇、C卓より清水・佐月。
残された2つの椅子を巡って、D卓の戦いが始まろうとしている。
ルールは日本プロ麻雀連盟WRCルール、半荘4回戦で2名の勝ち上がり。
それではD卓に出場する対局者を紹介していこう。
(敬称略)
 
 
100
茅森早香(カヤモリサヤカ) 第11期女流最高位 前年度決勝進出
最高位戦日本プロ麻雀協会所属 北海道出身
 
 
100
仲田加南(ナカタカナ) 第4期11期女流桜花・第21期新人王
東京本部所属 21期生 五段 神奈川県出身
ロン2プロフィール
 
 
100
魚谷侑未(ウオタニユウミ) 第6期7期女流桜花
東京本部所属 25期生 四段 新潟県出身
ロン2プロフィール
 
 
100
古谷知美(フルタニトモミ)
東京本部所属 25期生 三段 千葉県出身
ロン2プロフィール
 
前年度ファイナリストで、最高位戦を代表する選手のひとりである茅森と、現女流桜花の仲田がここから登場。予選から勝ち上がってきた魚谷・古谷を迎え撃つ。
連盟所属の3名は、現桜花の仲田を含め全員桜花Aリーグに所属。お互いの手の内をよく知る間柄だけに、1回戦から全力での戦いを見ることが出来るのではないだろうか。
 
1回戦(起家から古谷→魚谷→仲田→茅森)
大きな点棒移動も無く迎えた東3局。北家・魚谷の手。
 
100
 
ここからテンパイ取らずの打9とする。巡目も早く、ドラの受け入れやタンヤオもある手。手に蓋をせずともの判断か。
そして次巡、二万を引き入れこの形。
二万三万三索四索五索二筒二筒二筒四筒四筒六筒七筒八筒  ドラ三筒
一万が自身を含め河に2枚、四万は生牌。
形と四万引きの打点・他家のスピードを鑑みての折り合いはついたと、ここで逡巡無くリーチ。
ドラトイツの茅森が仕掛け、他家は受けるが5巡後にしっかりと四万をツモり裏ドラも乗せ2,000・4,000のアガリ。そして更に付け加えるならば八索でのアガリのがしも無し。
フリテンリーチのリスクは承知の上、ここは他家の速度と自身の手のアガリやすさをしっかりと計算してアガリ切った魚谷らしい1局となった。
南4局1本場
前局、ラス親の茅森が2,000オールをアガリトップ目になった1本場。
ここまでの持ち点は 古谷29,800 魚谷31,800 仲田23,800 茅森34,600
ラス目の仲田も満貫をツモればトップまである点差。
西家・魚谷が西を仕掛けてドラの二筒を打っている状況。
8巡目親の茅森の手。
六万七万七索八索八索一筒一筒三筒八筒八筒八筒南南  ツモ二筒  ドラ二筒
目一杯に構えていた手に嬉しいドラのツモ。打一筒。ここに次巡、南を引いてトップをさらに盤石にするリーチをかける。この時点で山に6枚残っているリャンメン待ち。
その2巡後、その茅森の欲しい五万を引いてテンパイしたのは北家・仲田。
三万四万二筒三筒四筒五筒五筒六筒七筒八筒九筒白白  ツモ五万
高め一通になった手をリーチ、勝負といく。西家の魚谷もリャンメンと3メンチャンの1シャンテン。
いよいよオーラスが面白くなったと思う間もなく茅森が一発で四筒を掴みリーチ一発ドラの5,200のアガリとなった。この移動で仲田は2着に、茅森はラスになり1回戦が終了する。
1回戦結果
魚谷+16.8P 仲田+5.3P 古谷▲5.2P 茅森▲16.9P
 
2回戦(仲田→茅森→魚谷→古谷)
南3局、トップ目の魚谷が4万点を超え、それを追う茅森と古谷が3万点越え、ひとり1万点を切ってしまった仲田は親も無く苦しいラス前。
南家・古谷が4巡目から軽快に仕掛けてゆく。
一索一索四筒四筒  ポン南南南  ポン白白白  ポン発発発  ドラ西
8巡目にして跳満のテンパイを入れる。これを受け、西家・仲田の手がこちら。
 
100
 
六筒をツモってこの形。六万を切ると現状片アガリのテンパイ、三万五万を切るとタンヤオが確定する形。ここでの選択は六万。仲田が見ているのはこの先にある形。
そして2巡後にこの形となる。
二万二万三万三万四万五万五万六筒六筒六筒  暗カン牌の背三筒 上向き三筒 上向き牌の背  ツモ三万  ドラ西八索
待望の四暗刻テンパイ、ヤミテンとする。次巡ツモってきた北、これは最悪の場合字一色にもアタリの牌だが、こちらも勝負手、静かに切って行く。
この時二と五は山に残り3枚、1(4)も3枚残り。
両脇が完全に回った空気の中、残りツモは5回ほど。両者のツモ牌に注目が集まったが、アガリの声は聞こえない。そして巡ってきた仲田の最後のツモはドラの西。
手番がなくなっては勝負ができぬとここはオリ、古谷の1人テンパイで流局となる。
二五はテンパイ時そのまま、山に3枚眠っていた。
オーラスも国士無双の1シャンテンと大きな手作りを魅せた仲田だったが、アガリに結び付くことはなく4着で半荘終了。苦しいゲームとなった。
2回戦結果
魚谷+26.7P 茅森+10.4P 古谷▲0.4P 仲田▲37.7P(供託1)
トータル
魚谷+43.5P 古谷▲5.6P 茅森▲6.5P 仲田▲32.4P(供託1)
 
3回戦(魚谷→古谷→茅森→仲田)
折り返しを迎えここまで2連勝の魚谷が一歩抜けだした形。それを追うのは1ケタマイナスの古谷と茅森、そして2回戦大きなラスを引いてしまった仲田は、借金返済のために是が非でもポイントを積み上げたいところだろう。
残り2戦、各者の戦いを見ていきたい。
東2局1本場供託2
ここまで大きなアガリの無かった親の古谷のリーチ
四万五万五万六万六万七万三索四索六索六索二筒三筒四筒  リーチ  ドラ二筒
こちらを受け、トータルトップ目の北家・魚谷。
五索一筒二筒四筒五筒六筒六筒七筒八筒九筒九筒東東  ツモ東
手バラの配牌からソーズ、マンズのターツを外しゆっくりと手を作っていた魚谷だったが、ここで手が完成してしまう。待ちはリーチの現物。
小考して打ち出した五索で古谷に12,000は12,300。大きな放銃となってしまった。そしてアガった古谷は一転、トータルトップ目に立つ。
東2局2本場
そのポイント移動を眺めていた南家・茅森からの先制リーチに同巡、北家・魚谷からもリーチ。
それを受け、東家の古谷の手はこちら。
 
100
 
(下家が茅森、上家が魚谷の捨て牌)
ダブ東が暗刻でドラドラの手。
皆さんだったらどの牌を切るだろうか。
古谷が選択したのは三索のツモ切り。
しかしその三索に、魚谷の声が掛かる。
一万二万三万一索二索九索九索一筒二筒三筒七筒八筒九筒  リーチ  ドラ三筒  裏九索
リーチ一発純チャン三色ドラ3、16,000は16,600のアガリ。親の満貫をアガった相手に、子の倍満のお返しと、そう簡単にトータルトップの椅子には掛けさせてもらえない。
東3局
北家・古谷の手がいい。
一万二万三万九万九万九万一索二索三索七筒八筒九筒発  リーチ  ドラ白
仮テンの八索単騎から場に1枚切れの発を引いての8巡目リーチ。
それを受け、こちらも役無しカンチャンテンパイを入れていた魚谷、せっかく返してもらった点棒をそうやすやすとは返すわけにはいかないと、すっと引いて暗刻の牌を外してゆく。
そしてこのリーチに飛び込んでしまったのはここまで2人の点数移動を眺めていた茅森。タンヤオのテンパイに、手の内から切りだした発で6,400。
アガって放銃してまたアガリ、まるでジェットコースターのような麻雀。
古谷の前に出る姿勢のしっかりと現れた半荘となった。
3回戦結果
古谷+17.5P 魚谷+6.0P 茅森▲4.2P 仲田▲19.3P
トータル
魚谷+49.5P 古谷+11.9P 茅森▲10.7P 仲田▲51.7P (供託1)
 
最終戦(茅森→仲田→古谷→魚谷)
最終戦を迎え、ここまでトップトップ2着の魚谷。古谷と茅森の2位争いは22.6ポイント差と、若干古谷が有利だが着順次第でまだまだ分からない。
そしてポイントが欲しかった3回戦でラスを引いてしまった仲田。厳しい戦いではあるが、現女流桜花の大逆転を楽しみにしているファンのためにも、ここは大きく強く攻めてゆくだろう。
東2局
その仲田の親番、ドラドラとなった北家・茅森が仕掛けてゆく。
五索六索七筒七筒  ポン北北北  ポン九索 上向き九索 上向き九索 上向き  チー四筒 左向き三筒 上向き五筒 上向き  ドラ七筒
2つ仕掛け、最後に仲田から打たれた北をポンしてテンパイ。そして数巡後に引いてきた北を加カンしてリンシャンから引いてきた五索をツモ切ると、仲田からロンの声。
二索三索四索四索五索六索六索七索八索八索  チー二索 左向き三索 上向き四索 上向き  ドラ八筒白
勝負が長引いた結果、仲田の大きなアガリとなった。
南2局
最終半荘になり、ポイントを積み上げている仲田。ここで持ち点が6万点を超え迎えた親番。
しかしまだトータル2着目の古谷には届かない。
7巡目にこの形。
 
100
 
ここから一筒を切ってテンパイ外し。次巡ツモはドラの一筒。789の三色を強く意識した六万切りで、大きく構える。
そしてツモ九索で打四筒でカン三筒待ちの三色・ドラの7,700テンパイ。
そこにラス目の茅森からリーチが入るも、六筒を力強く押してゆく。
このままヤミテンか思われたが、次々巡、空切り出来る牌を引いての手出しリーチ。
この見事な手順に絡め取られたのは、既に受けていた南家・古谷。
手の内から切ったトイツの三筒が、リーチ一発三色表裏裏の18,000をライバルの仲田に放銃となってしまう。
自分の上にいた茅森・古谷から順に18,000をアガリ、仲田がトータル2位に躍り出る。
しかしここで古谷も諦めるわけにはいかない。
南2局3本場
三万三万四万四万五万二索三索四索二筒三筒四筒五筒五筒  ドラ中
この手をしっかりとリーチし、高めの二万をツモって3,000・6,000の3本場。長かった仲田の親を終わらせる。
南3局
ここまで、トータル2位の仲田と3位の古谷の差は5.7ポイント。オーラス、魚谷がトータルトップ目のまま親を迎えた場合、連荘は考えづらく、この古谷の親が落ちれば残り1局の勝負となる。
ベスト16D卓も、勝負の山場をむかえている。
6巡目、親の古谷が先行リーチ。
そして同巡、テンパイを入れたのは南家・魚谷がこの形。
 
100
 
テンパイ打牌の六筒はリーチの裏スジ。しかも一発目。
長考ののち、魚谷はそっとその牌を河に置く。
そして次巡、次々巡と引いてくる、通っていない中張牌をツモ切ってゆく。
この局をアガリ切ってしまえば、オーラスの戦い方がぐっと変わってくる。
ここをベスト8進出の勝負所と見て、押してゆく。
そして仕掛けを入れていた北家・仲田にもテンパイが入る。
三索四索五索八索八索白白白発発  ポン中中中
なんと高め大三元テンパイ。発は山に1枚。勝負の行方を大きく変える可能性のある超大物手。3者にとって、大きな大きな勝負となった局。
見ているこちら側もまばたきを忘れるめくり合いとなったが、アガリの声を発したのは魚谷だった。
六万六万五索六索六索七索七索二筒三筒四筒六筒七筒八筒  ツモ八索
自身の勝ち上がりをほぼ決める、自力でのアガリ。
楽をせずに戦う魚谷の姿勢がよく表れた一局となった。
オーラスは、トータル3位の古谷が粘って手を作るも流局、魚谷・仲田の勝ち上がりで、長かったベスト16の最後の卓の幕が閉じる。
最終戦結果
仲田+65.5P 古谷▲1.4P 魚谷▲14.8P 茅森▲49.3P
トータル
魚谷+34.7P 仲田+13.8P 古谷+10.5P 茅森▲60.0P(供託1)
勝ち上がり 魚谷 仲田
こうして、D卓の勝ち上がり者が決まり、プロクイーンベスト8進出者が全て出揃った。
ベスト8A卓 高田麻衣子vs山脇千文美vs清水香織vs仲田加南
ベスト8B卓 西嶋ゆかりvs王政芳vs佐月麻理子vs魚谷侑未
あと1回勝てば、女王・宮内こずえの待つ決勝卓。
今年は一体誰が、光り輝くティアラを戴冠することになるのか、ますます目が離せない。
 
100

第15期プロクイーンベスト16C卓レポート 楠原 遊

プロクイーンベスト16のも折り返しとなった。A卓からは高田麻衣子・西嶋ゆかりが、B卓からは王政芳・山脇千文美が勝ち上がりを決めた。
この日行われたC卓。一体誰が次のステージに進むのか、最後まで目の離せない戦いとなった。

ルールは日本プロ麻雀連盟WRCルール、半荘4回戦で2名の勝ち上がり。
次にベスト8へ進出する選手は誰なのか、それでは今週の対局者を紹介していこう。
(敬称略)

 

 

100

和久津晶(ワクツアキラ) 第9・12期プロクイーン 前年度決勝進出
東京本部所属 23期生 五段 東京都出身
ロン2プロフィール

 

 

100

佐月麻理子(サツキマリコ) 第26期マスターズ優勝・第14期女流雀王
日本プロ麻雀協会所属 東京都出身

 

 

100

清水香織(シミズカオリ) 第27期王位・第2期プロクイーン・第5期女流桜花
北関東支部所属 13期生 五段 栃木県出身
ロン2プロフィール

 

 

100

黒沢咲(クロサワサキ) 第6・7期プロクイーン
東京本部所属 21期生 五段 東京都出身
ロン2プロフィール

 

いきなりの全員タイトル経験者卓。現マスターズの佐月に、女流プロ唯一の王位戴冠経験のある清水、鳳凰位戦現A1・A2リーガーの和久津に黒沢。
まるで決勝戦と見紛えるような豪華なメンツでのベスト16に、否が応でも期待が高まる。

 

1回戦(起家から和久津→佐月→黒沢→清水)

開局から手と手がぶつかる展開となった1回戦。
東1局は黒沢のメンホンリーチに8,000、そして東2局は和久津のドラドラに3,900を打ち込んだ清水。幸先の悪いスタートとなったか。

東3局、ここで先手を取ったのは北家・佐月

二万三万四万一索二索三索九索九索一筒三筒七筒八筒九筒  ドラ西

一手変わりにチャンタや三色も見える手だが、8巡目リーチの選択とした。
一万は場に2枚切れ、清水・和久津の河に一筒が早く、四筒は2枚、五筒は3枚河に落ちている。二筒はどこかにまとまっているか、山にいる可能性も高いと踏んでのリーチ。

そのリーチを受けた清水の手がこちら。

 

100

 

テンパイを取るとしたら、三万七万の選択だが、どちらも通っていない牌。現物には困らない手ではあったが、ここは高目の可能性を追って打三万の勝負。
そして次巡九万を引き入れもう一度勝負の五万切りリーチ。
先行の佐月が八万をツモ切ったばかり、河に2枚切れのカンチャン待ちだがそんなことは問題ではない。1回戦を戦う姿勢がしっかりと現れた、非常に清水らしい選択となった。
そして6巡後、佐月がツモ切る八万に裏ドラがのって8,000のアガリ。
攻めの姿勢が生んだ大きな得点となる。

南4局1本場

ここまで、なかなかアガリに結び付かなかった佐月がラス目となり、和久津・黒沢・清水3者のトップ争いとなったオーラス。
ここでも清水が魅せる。

三万三万三索四索五索六索七索四筒六筒七筒八筒西西  ツモ七筒  ドラ五筒

現状2着目、連荘したい親番だがここはじっくりと構え西を落としてゆく。
そして仕上がった形がこちら。

三万三万二索三索四索五索六索七索四筒五筒六筒七筒八筒

西を切って1シャンテンとらずとしてから10巡後。終盤ともいえる巡目だが、この手も力を込めリーチ。
ここに仕掛けを入れていた和久津が飛び込み12,000は12,300。

最終形へのしっかりとしたこだわりと、それを実現化する強い攻め。
そんな清水の力強さが表れた1回戦となった。

1回戦結果 清水+27.1P 黒沢+14.6P 和久津▲16.3P 佐月▲26.4P

 

2回戦(佐月→黒沢→清水→和久津)

ここまで、テンパイはよく入るもののアガリが1人まだない佐月。1回戦4着だったこともあり、この半荘ではポイントを挽回していきたいところ。

東3局1本場8巡目、そんな佐月に再びテンパイが入る。

一索二索三索四索五索六索六索七索八索五筒六筒発発  ドラ八筒

発は生牌。九索は1枚切れ。場には比較的ソーズが安い。
ここまで躊躇なくカンチャンをリーチしていた佐月がこのリャンメンテンパイをヤミテンとする。もちろん手変わりも多い手だが、1回戦の各者の立ち廻りを見ての作戦変更ともとれる。
そしてすぐに四筒をツモ。初アガリは300・500。
普段から様々な公式戦に参加し、多様な打ち手と対局する機会の多い佐月。ルールやメンツへの順応力の高い、彼女らしい1局となった。

南3局2本場

東3局以降、二の矢となるアガリがないものの、テンパイ料で原点までわずかの西家・佐月からついに本手となるリーチ。

二万三万四万五万六万七万三索四索五索五索六索四筒四筒  リーチ  ドラ三筒

その宣言牌をポンしで勝負に出たのは南家・和久津。

三索五索七索七索六筒六筒六筒九筒九筒九筒  ポン三筒 上向き三筒 上向き三筒 上向き

決死の覚悟のように見える仕掛け。役なしテンパイだがここからトイトイやタンヤオを見たか。そしてすぐに佐月のアガリ牌である四索を食い取り九筒を落としてゆく。

そして親の清水もテンパイ。

二万三万四万六万七万八万四索五索六索七索八索七筒七筒

南家・黒沢もチーテンを入れる。

二索二索二索三索三索四筒四筒五筒五筒五筒  チー三万 左向き二万 上向き四万 上向き

佐月がリーチをかけてから5巡、全員の熱が感じられる局となった。
勝負の行方に注目が集まったが、ここで手を開いたのは佐月。清水がツモ切った四索にロンの声、裏ドラを1枚乗せ8,000は8,600のアガリに供託2本の大きな大きな収穫を得た。
1回戦ラスだった佐月がトップだった清水から直撃したことにより戦いが面白くなったが、オーラスは清水が2着をもぎとり一息つく結果となった。

2回戦結果 佐月+23.7P 清水+5.7P 和久津▲6.0P 黒沢▲23.4P

トータル 清水+32.8P 佐月▲2.7P 黒沢▲8.8P 和久津▲22.3P

 

3回戦(清水→佐月→黒沢→和久津)

この日の対局も折り返しを迎えた。
1人プラスの清水に、それを追う小さなマイナスの佐月・黒沢、そして少し離れてしまったが、その攻撃力で一気に駆け上がる展開も今まで何度となく見せてきた和久津。
1、2回戦のように手がぶつかりあう展開となるのか、それともにらみ合いが続く重い展開となるのか、片時も目が離せない。

大きな点数移動もなく迎えた南2局3巡目。東家の佐月が仕掛ける。

1枚目の一筒をポンして打六索、4シャンテンの形。どうにもアガリには時間がかかりそうな形だが、果敢に鳴いてゆく。ラス目、南場の落とせない親番、そうだとしてどれだけの打ち手がここで声を出せるだろうか。
そこに立ち向かっていくのは北家の清水。3巡目、1シャンテンとなった和久津から打ちだされたドラの東をポン。

二万二万二万四万六万五索六筒発発発  ポン東東東

そしてその直後、仕掛けが3つになった佐月の手牌。

二筒七筒南北  ポン西西西  チー三筒 左向き二筒 上向き四筒 上向き  ポン一筒 上向き一筒 上向き一筒 上向き

3フーローの2シャンテン。放送対局ではなかなか見ることのできないアグレッシブな仕掛けとなる。それだけ佐月がこの局に賭けている思いを感じることができる。
そこに西家の和久津が追い越してリーチ。

五万六万七万一索二索三索四索五索六索八索八索七筒八筒  リーチ

そのリーチを受け南家の黒沢。

678の三色の1シャンテンではあるが、親の3フーロー、子のリーチ・ドラポンに挟まれ手の内には生牌の中。まっすぐ打ちづらい状況かのように思われたがここで選択したのは無筋の五万
黒沢とて、一歩も退かない構えということだ。

8巡目にしてまばたきさえためらわれる様な、激しい展開となったが、ここで手を開けたのは前巡にテンパイを入れていた佐月。

五筒六筒七筒南  ポン西西西  チー三筒 左向き二筒 上向き四筒 上向き  ポン一筒 上向き一筒 上向き一筒 上向き  ツモ南

配牌を開けた各者の手を見た誰がこの結果を予想しただろうか。
3回戦にして新しい引き出しを開けて見せた佐月が、トップ目に立つ。

南4局
ここまでの点数は清水32,600 佐月30,500 黒沢30,700 和久津26,200
これだけ各者が攻める展開が続いているにも関わらず持ち点は平たく、誰がトップを取るのか全く予想のつかないオーラスとなった。

親番・和久津の手

八万を引いて1シャンテンとなった手。ここから打五筒
黒沢の仕掛けもあり、猶予の無い親番になるかもしれないが、ここはしっかりと手役を見つつ、アガリに向かう選択をした。そして九万八筒とツモって8巡目七索切りリーチ。

二万三万四万七万八万九万六索七索八索九索七筒八筒九筒  ドラ九万

この時点では山に六索が3枚、九索が2枚。
見事な手順を見せた和久津、3者も粘るがここは1人テンパイで流局。
オーラス1本場はアガリトップとなった黒沢が和久津から1,000は1,300をアガリ

3回戦結果 黒沢+17.0P 清水+6.6P 佐月▲5.5P 和久津▲18.1P

トータル 清水+39.4P 黒沢+8.2P 佐月▲8.2P 和久津▲40.4P 

 

最終戦(黒沢→佐月→清水→和久津)

さて、今までのA卓B卓とはうってかわり早い展開でむかえた最終戦。
ここまで順調にポイントを積み重ね先頭を走る清水に、3回戦のトップでトータルをプラスにした黒沢、それを16.4P差で追う佐月に、最後尾から一気に駆け上がりたい和久津。

おのおのの思惑を余所に、最終戦が今はじまった。

東3局4本場、各者大きなアガリもなくむかえた清水の親番。
先手を取ったのは西家・黒沢。

二万三万四万六万七万八万五索七索二筒二筒四筒四筒四筒  リーチ  ドラ白

ドラの白もそうそうに切り飛ばし10巡目リーチ。現在微差のラス目、トータルポイントでは佐月にまくられている状態からの攻めのリーチ。
それを受け和久津の手牌がこちら。

 

100

 

現物の七万を切れば、アタリ牌を使いきった三索六索待ち。
しかしここで和久津が選んだのは四万。メンタンピン、のほどほどの打点ではこのポイント差を覆すことができないと踏んだか、六万が2枚切れではあるが、567の三色でさらなる高めを目指してゆく。

ポイントゆえの苦しい打牌にも見えるが、和久津はごく自然に、いつもこんな選択を繰り返している気がする。そして決めた時に、一気に駆け上がる。
この局は実らず流局となったが、まだ親は2回残っている。アマゾネスはまだ、諦めていない。

南1局
ここまで3ゲームと東場、佐月にはなかなか大きなアガリがなかった。
満貫以上は2回戦のオーラスに清水からアガった8,600のみ。それ以外では1ハン、2ハンのアガリとテンパイ料でここまで戦ってきた。
その佐月についに大きなチャンスが訪れる。

六万七万一索一索二索二索三索三索二筒二筒三筒四筒五筒  ドラ五万

ライバル黒沢の親番、現状トップ目。この手をかわし手ではなく、決まり手としてしっかりとリーチしてゆく。
そしてほどなくしてツモったのはドラの五万。裏ドラは四索
この日はじめて本手をツモでアガリきった佐月。ここまで仕掛けやテンパイ取りで魅せてくれた佐月だったが、また新しい攻めを見せてくれた。

このまま清水と佐月のペースで進むゲーム。オーラス和久津の親番、ねばる和久津に、満貫直撃・跳満ツモ条件を満たす手作りをした黒沢だったが、最後も手を開けたのは佐月。

一万一万五万六万七万七万八万九万一索二索三索六索七索  ツモ八索  ドラ二筒

最終戦結果 佐月+32.9P 清水+2.5P 和久津▲12.1P 黒沢▲23.3P

トータル 清水+41.9P 佐月+27.7P 黒沢▲15.1P 和久津▲52.5P(供託1)

勝ち上がり 清水 佐月

こうして、C卓の勝ち上がり者2名が決まった。
あっという間に終わってしまった気がしたのは展開や打牌の早さだけではない。
激しく、そして繊細な彼女たちの闘牌に引きこまれた視聴者の方々も多いだろう。
勝ち上がった清水・佐月にはベスト8の戦いが待っている。

そしてプロクイーンベスト16もD卓を残すのみとなった。
果たして、決勝に進み女王・宮内こずえに挑戦できるのは誰になるのか。

プロクイーン決定戦 レポート/第15期プロクイーンベスト16C卓レポート 楠原 遊

プロクイーンベスト16のも折り返しとなった。A卓からは高田麻衣子・西嶋ゆかりが、B卓からは王政芳・山脇千文美が勝ち上がりを決めた。
この日行われたC卓。一体誰が次のステージに進むのか、最後まで目の離せない戦いとなった。
ルールは日本プロ麻雀連盟WRCルール、半荘4回戦で2名の勝ち上がり。
次にベスト8へ進出する選手は誰なのか、それでは今週の対局者を紹介していこう。
(敬称略)
 
 
100
和久津晶(ワクツアキラ) 第9・12期プロクイーン 前年度決勝進出
東京本部所属 23期生 五段 東京都出身
ロン2プロフィール
 
 
100
佐月麻理子(サツキマリコ) 第26期マスターズ優勝・第14期女流雀王
日本プロ麻雀協会所属 東京都出身
 
 
100
清水香織(シミズカオリ) 第27期王位・第2期プロクイーン・第5期女流桜花
北関東支部所属 13期生 五段 栃木県出身
ロン2プロフィール
 
 
100
黒沢咲(クロサワサキ) 第6・7期プロクイーン
東京本部所属 21期生 五段 東京都出身
ロン2プロフィール
 
いきなりの全員タイトル経験者卓。現マスターズの佐月に、女流プロ唯一の王位戴冠経験のある清水、鳳凰位戦現A1・A2リーガーの和久津に黒沢。
まるで決勝戦と見紛えるような豪華なメンツでのベスト16に、否が応でも期待が高まる。
 
1回戦(起家から和久津→佐月→黒沢→清水)
開局から手と手がぶつかる展開となった1回戦。
東1局は黒沢のメンホンリーチに8,000、そして東2局は和久津のドラドラに3,900を打ち込んだ清水。幸先の悪いスタートとなったか。
東3局、ここで先手を取ったのは北家・佐月
二万三万四万一索二索三索九索九索一筒三筒七筒八筒九筒  ドラ西
一手変わりにチャンタや三色も見える手だが、8巡目リーチの選択とした。
一万は場に2枚切れ、清水・和久津の河に一筒が早く、四筒は2枚、五筒は3枚河に落ちている。二筒はどこかにまとまっているか、山にいる可能性も高いと踏んでのリーチ。
そのリーチを受けた清水の手がこちら。
 
100
 
テンパイを取るとしたら、三万七万の選択だが、どちらも通っていない牌。現物には困らない手ではあったが、ここは高目の可能性を追って打三万の勝負。
そして次巡九万を引き入れもう一度勝負の五万切りリーチ。
先行の佐月が八万をツモ切ったばかり、河に2枚切れのカンチャン待ちだがそんなことは問題ではない。1回戦を戦う姿勢がしっかりと現れた、非常に清水らしい選択となった。
そして6巡後、佐月がツモ切る八万に裏ドラがのって8,000のアガリ。
攻めの姿勢が生んだ大きな得点となる。
南4局1本場
ここまで、なかなかアガリに結び付かなかった佐月がラス目となり、和久津・黒沢・清水3者のトップ争いとなったオーラス。
ここでも清水が魅せる。
三万三万三索四索五索六索七索四筒六筒七筒八筒西西  ツモ七筒  ドラ五筒
現状2着目、連荘したい親番だがここはじっくりと構え西を落としてゆく。
そして仕上がった形がこちら。
三万三万二索三索四索五索六索七索四筒五筒六筒七筒八筒
西を切って1シャンテンとらずとしてから10巡後。終盤ともいえる巡目だが、この手も力を込めリーチ。
ここに仕掛けを入れていた和久津が飛び込み12,000は12,300。
最終形へのしっかりとしたこだわりと、それを実現化する強い攻め。
そんな清水の力強さが表れた1回戦となった。
1回戦結果 清水+27.1P 黒沢+14.6P 和久津▲16.3P 佐月▲26.4P
 
2回戦(佐月→黒沢→清水→和久津)
ここまで、テンパイはよく入るもののアガリが1人まだない佐月。1回戦4着だったこともあり、この半荘ではポイントを挽回していきたいところ。
東3局1本場8巡目、そんな佐月に再びテンパイが入る。
一索二索三索四索五索六索六索七索八索五筒六筒発発  ドラ八筒
発は生牌。九索は1枚切れ。場には比較的ソーズが安い。
ここまで躊躇なくカンチャンをリーチしていた佐月がこのリャンメンテンパイをヤミテンとする。もちろん手変わりも多い手だが、1回戦の各者の立ち廻りを見ての作戦変更ともとれる。
そしてすぐに四筒をツモ。初アガリは300・500。
普段から様々な公式戦に参加し、多様な打ち手と対局する機会の多い佐月。ルールやメンツへの順応力の高い、彼女らしい1局となった。
南3局2本場
東3局以降、二の矢となるアガリがないものの、テンパイ料で原点までわずかの西家・佐月からついに本手となるリーチ。
二万三万四万五万六万七万三索四索五索五索六索四筒四筒  リーチ  ドラ三筒
その宣言牌をポンしで勝負に出たのは南家・和久津。
三索五索七索七索六筒六筒六筒九筒九筒九筒  ポン三筒 上向き三筒 上向き三筒 上向き
決死の覚悟のように見える仕掛け。役なしテンパイだがここからトイトイやタンヤオを見たか。そしてすぐに佐月のアガリ牌である四索を食い取り九筒を落としてゆく。
そして親の清水もテンパイ。
二万三万四万六万七万八万四索五索六索七索八索七筒七筒
南家・黒沢もチーテンを入れる。
二索二索二索三索三索四筒四筒五筒五筒五筒  チー三万 左向き二万 上向き四万 上向き
佐月がリーチをかけてから5巡、全員の熱が感じられる局となった。
勝負の行方に注目が集まったが、ここで手を開いたのは佐月。清水がツモ切った四索にロンの声、裏ドラを1枚乗せ8,000は8,600のアガリに供託2本の大きな大きな収穫を得た。
1回戦ラスだった佐月がトップだった清水から直撃したことにより戦いが面白くなったが、オーラスは清水が2着をもぎとり一息つく結果となった。
2回戦結果 佐月+23.7P 清水+5.7P 和久津▲6.0P 黒沢▲23.4P
トータル 清水+32.8P 佐月▲2.7P 黒沢▲8.8P 和久津▲22.3P
 
3回戦(清水→佐月→黒沢→和久津)
この日の対局も折り返しを迎えた。
1人プラスの清水に、それを追う小さなマイナスの佐月・黒沢、そして少し離れてしまったが、その攻撃力で一気に駆け上がる展開も今まで何度となく見せてきた和久津。
1、2回戦のように手がぶつかりあう展開となるのか、それともにらみ合いが続く重い展開となるのか、片時も目が離せない。
大きな点数移動もなく迎えた南2局3巡目。東家の佐月が仕掛ける。
1枚目の一筒をポンして打六索、4シャンテンの形。どうにもアガリには時間がかかりそうな形だが、果敢に鳴いてゆく。ラス目、南場の落とせない親番、そうだとしてどれだけの打ち手がここで声を出せるだろうか。
そこに立ち向かっていくのは北家の清水。3巡目、1シャンテンとなった和久津から打ちだされたドラの東をポン。
二万二万二万四万六万五索六筒発発発  ポン東東東
そしてその直後、仕掛けが3つになった佐月の手牌。
二筒七筒南北  ポン西西西  チー三筒 左向き二筒 上向き四筒 上向き  ポン一筒 上向き一筒 上向き一筒 上向き
3フーローの2シャンテン。放送対局ではなかなか見ることのできないアグレッシブな仕掛けとなる。それだけ佐月がこの局に賭けている思いを感じることができる。
そこに西家の和久津が追い越してリーチ。
五万六万七万一索二索三索四索五索六索八索八索七筒八筒  リーチ
そのリーチを受け南家の黒沢。
678の三色の1シャンテンではあるが、親の3フーロー、子のリーチ・ドラポンに挟まれ手の内には生牌の中。まっすぐ打ちづらい状況かのように思われたがここで選択したのは無筋の五万
黒沢とて、一歩も退かない構えということだ。
8巡目にしてまばたきさえためらわれる様な、激しい展開となったが、ここで手を開けたのは前巡にテンパイを入れていた佐月。
五筒六筒七筒南  ポン西西西  チー三筒 左向き二筒 上向き四筒 上向き  ポン一筒 上向き一筒 上向き一筒 上向き  ツモ南
配牌を開けた各者の手を見た誰がこの結果を予想しただろうか。
3回戦にして新しい引き出しを開けて見せた佐月が、トップ目に立つ。
南4局
ここまでの点数は清水32,600 佐月30,500 黒沢30,700 和久津26,200
これだけ各者が攻める展開が続いているにも関わらず持ち点は平たく、誰がトップを取るのか全く予想のつかないオーラスとなった。
親番・和久津の手
八万を引いて1シャンテンとなった手。ここから打五筒
黒沢の仕掛けもあり、猶予の無い親番になるかもしれないが、ここはしっかりと手役を見つつ、アガリに向かう選択をした。そして九万八筒とツモって8巡目七索切りリーチ。
二万三万四万七万八万九万六索七索八索九索七筒八筒九筒  ドラ九万
この時点では山に六索が3枚、九索が2枚。
見事な手順を見せた和久津、3者も粘るがここは1人テンパイで流局。
オーラス1本場はアガリトップとなった黒沢が和久津から1,000は1,300をアガリ
3回戦結果 黒沢+17.0P 清水+6.6P 佐月▲5.5P 和久津▲18.1P
トータル 清水+39.4P 黒沢+8.2P 佐月▲8.2P 和久津▲40.4P 
 
最終戦(黒沢→佐月→清水→和久津)
さて、今までのA卓B卓とはうってかわり早い展開でむかえた最終戦。
ここまで順調にポイントを積み重ね先頭を走る清水に、3回戦のトップでトータルをプラスにした黒沢、それを16.4P差で追う佐月に、最後尾から一気に駆け上がりたい和久津。
おのおのの思惑を余所に、最終戦が今はじまった。
東3局4本場、各者大きなアガリもなくむかえた清水の親番。
先手を取ったのは西家・黒沢。
二万三万四万六万七万八万五索七索二筒二筒四筒四筒四筒  リーチ  ドラ白
ドラの白もそうそうに切り飛ばし10巡目リーチ。現在微差のラス目、トータルポイントでは佐月にまくられている状態からの攻めのリーチ。
それを受け和久津の手牌がこちら。
 
100
 
現物の七万を切れば、アタリ牌を使いきった三索六索待ち。
しかしここで和久津が選んだのは四万。メンタンピン、のほどほどの打点ではこのポイント差を覆すことができないと踏んだか、六万が2枚切れではあるが、567の三色でさらなる高めを目指してゆく。
ポイントゆえの苦しい打牌にも見えるが、和久津はごく自然に、いつもこんな選択を繰り返している気がする。そして決めた時に、一気に駆け上がる。
この局は実らず流局となったが、まだ親は2回残っている。アマゾネスはまだ、諦めていない。
南1局
ここまで3ゲームと東場、佐月にはなかなか大きなアガリがなかった。
満貫以上は2回戦のオーラスに清水からアガった8,600のみ。それ以外では1ハン、2ハンのアガリとテンパイ料でここまで戦ってきた。
その佐月についに大きなチャンスが訪れる。
六万七万一索一索二索二索三索三索二筒二筒三筒四筒五筒  ドラ五万
ライバル黒沢の親番、現状トップ目。この手をかわし手ではなく、決まり手としてしっかりとリーチしてゆく。
そしてほどなくしてツモったのはドラの五万。裏ドラは四索
この日はじめて本手をツモでアガリきった佐月。ここまで仕掛けやテンパイ取りで魅せてくれた佐月だったが、また新しい攻めを見せてくれた。
このまま清水と佐月のペースで進むゲーム。オーラス和久津の親番、ねばる和久津に、満貫直撃・跳満ツモ条件を満たす手作りをした黒沢だったが、最後も手を開けたのは佐月。
一万一万五万六万七万七万八万九万一索二索三索六索七索  ツモ八索  ドラ二筒
最終戦結果 佐月+32.9P 清水+2.5P 和久津▲12.1P 黒沢▲23.3P
トータル 清水+41.9P 佐月+27.7P 黒沢▲15.1P 和久津▲52.5P(供託1)
勝ち上がり 清水 佐月
こうして、C卓の勝ち上がり者2名が決まった。
あっという間に終わってしまった気がしたのは展開や打牌の早さだけではない。
激しく、そして繊細な彼女たちの闘牌に引きこまれた視聴者の方々も多いだろう。
勝ち上がった清水・佐月にはベスト8の戦いが待っている。
そしてプロクイーンベスト16もD卓を残すのみとなった。
果たして、決勝に進み女王・宮内こずえに挑戦できるのは誰になるのか。

ロン2カップ2017summerレポート 紺野 真太郎

去る9月2日夏目坂スタジオにてロン2カップ2017summerが行われました。当日は9月頭とは思えないほど涼しく、人より常に厚着状態のおいらにとっては絶好の気候。
これはいいことあるかなと会場に向かいました。

放送の始めは大庭三四郎のアシスタント辞退の話題から・・
・・・まあ、彼にもいろいろあるのでしょう(笑)

今回のロン2カップ2017summerは4人打ちの三人麻雀で行われます。実はおいらはこのロン2カップ2回目の出場で、前回出場した2013summerもこの4人打ちの三人麻雀。
その時の成績はなんとびっくりの優勝。今回もと気合を入れて臨んだのでした。

 

予選1回戦 起家から アルさん 佐々木寿人 紺野真太郎 和久津晶


100

ユーザー代表のアルさんはこのロン2カップ3回目の出場。しかも初出場だった2016summerでは見事に優勝されています。もはやただのユーザー代表の域を超えています。

 

100

麻雀攻めダルマこと佐々木寿人。グランプリMAXのタイトルも獲得し、勢いに乗る佐々木プロ。この三人麻雀はその攻撃力を活かすのに適したルールで勝ち上がりを狙う。

 

100

駿河湾に現れた麻雀海坊主こと私、紺野真太郎。・・もう何とでも呼んでください。放送ではニックネームに負けないインパクトのある登場(笑)出オチとならなければいいが・・

 

100

超攻撃型麻雀アマゾネスこと和久津晶。最近では寿人棒に対抗すべく、ゾネスティックなるものが存在するらしい。「目が醒めるような放銃をします」とは本人の弁。

 

三人麻雀としては東場はあまり動きがなく迎えた南1局、紺野のリーチ。

五索六索七索七索九索九索九索二筒二筒二筒赤五筒六筒七筒  リーチ  ドラ七索二索

カンでドラも増えての勝負リーチ。そこに親のアルさんもぶつけて来る。

二索二索西西  ポン一筒 上向き一筒 上向き一筒 上向き  ポン三索 上向き三索 上向き三索 上向き  加カン発発発発

高め跳満のこちらも勝負手。この勝負はアルさんに軍配。西をツモり6,000オール。トップ目に立つ。

南4局。紺野は

二索三索四索六索七索八索四筒五筒六筒七筒八筒九筒九筒  リーチ  一発ロン  ドラ西  裏七索

と、この7,700は10,100をアガリトップで南場を終える。しかし、今大会は70分+1局の時間制限があり、まだ70分を経過していない為、終わらない。西入となる。

このアガリで勢いをつけたか紺野。西場で大きく得点を伸ばして88,200点。東場に返って再び東2局、時間的にはあと3局ほどか。

41,900点持ちの佐々木の親番。先にテンパイを入れたのは南家の紺野。

三索三索一筒二筒三筒四筒五筒五筒六筒七筒南南南  ドラ発

この手が八筒を引き入れ三筒六筒九筒待ちに変化。佐々木の親を流せれば勝ち上がりに大きく近づく紺野はヤミテンを続ける。

12巡目に佐々木からリーチ。和久津から打たれる六筒。その牌に2人のロンの声。

四索四索七索七索七索四筒五筒六筒七筒八筒発発発  リーチ  一発ロン六筒  ドラ発  裏七筒

佐々木の頭ハネ。18,000で紺野との差を詰める。

次局、またしても佐々木のリーチ。ここで70分経過のアナウンス。ここを凌げば・・

「ツモ」ハイテイで手を開いたのは佐々木だった。

九万九万六索七索五筒六筒七筒八筒八筒八筒東東東  リーチ  ハイテイツモ八索  ドラ六筒  裏東

なんと12,000オール。5万点弱の差をたった2局で捲くられてしまった。

最終局、紺野の条件は2,600オール以上。2,600オールだと同点というケースであったが、

三索三索七索八索九索一筒二筒三筒四筒五筒六筒八筒九筒  ツモ七筒  ドラ四筒

この3,900は4,500オールで再逆転。決勝進出を決めた。

勝ち上がり 紺野真太郎

 

予選2回戦 起家から マック紅坂さん はなりくさん 高宮まり 宮内こずえ


100

ユーザー代表マック紅坂さん。いきなり「スマイルしていますか?」と本家?マック赤坂さんのセリフで登場。三人麻雀は打った事が無いとのことで、どこまで女流プロ2人に迫れるか。

 

100

ユーザー代表、はなりくさん。初出場で緊張していらした様子も司会の井上絵美子とのやりとりで少しは緊張がほぐれたでしょうか。

 

100

純白の牌奏者こと宮内こずえ。三人麻雀発祥の地、四国の出身だが、三人麻雀は勝又建志と佐々木寿人に教えられたと本人の弁。得意の手なり進行で勝ち上がるか。

 

100

淑女なベルセルクこと高宮まり。麻雀中スイッチが入るとバーサーカー(狂戦士)と化す。
「見境なく放銃しますけどね・・」とこちらは控えめなお答え。

 

あまり動きの無い展開の中、東3局5本場、はなりくさんがこのメンホンを決める。

一筒二筒三筒四筒四筒四筒六筒七筒七筒八筒八筒白白  ツモ六筒  ドラ一万

4,000は5,500オールのアガリ。まだ序盤とはいえ、緊張をほぐすには十分であろう。

南1局マック紅坂さんの親番。白をポンしてこのテンパイ。

一筒二筒三筒六筒七筒九筒九筒発発発  ポン白白白  ドラ中

これに飛び込んだのが高宮。12,000でユーザーさんのワンツー体制。この後高宮がはなりくさんを追い上げるも南3局この手を高宮からロン。

一筒二筒四筒四筒四筒赤五筒六筒東東東  ポン南南南  ロン三筒  ドラ東六筒

強烈な16,000。はなりくさんが大きく抜け出す。しかし、これでも決まらないのが三人麻雀の怖さと面白さ。南4局、親の宮内がリーチ。

九万九万九万一索一索二索三索四索四索赤五索五筒赤五筒五筒  リーチ  ドラ六索

この後九万を暗カンそして六索をツモ。そして裏ドラが・・

なんと暗カンした九万と頭の一索!!親の三倍満18,000オールで一気に逆転。そのまま押し切り勝ち上がりを決めました。

それにしても18,000オールとは・・宮内恐るべし。

勝ち上がり 宮内こずえ

 

予選3回戦 起家から 灘麻太郎 前原雄大 滝沢和典 森山茂和


100

麻雀バガボンドこと滝沢和典。三人麻雀は得意種目の滝沢。しかし周りも歴戦の猛者達。「ここに放りこまれても・・」と少し困惑の表情も最後まで戦い抜くと最後は力強くインタビューを締めた。

 

100

現鳳凰位、麻雀閻魔こと前原雄大。「部長の佐々木と秘書の和久津が破れ去りました。チームがらくたの総帥としてこの対局に全てを注ぎたいと思います。」とコメント。
解説の佐々木からは「まあ、しっかり頑張って欲しいですけどね・・」とやや上からのコメント。
100

 

100

カミソリ灘こと灘麻太郎。「滝沢のコメントを聞いて、三人麻雀はハマると強烈だから、今日は滝沢をマークしなきゃいけないかな」と話す。しかし表情は柔らかく、いつも通りの自然体。

 

100

最後に日本プロ麻雀連盟会長、手役アーティストこと森山茂和。「前に前原プロと反対の席で前原プロから国士無双をアガったんだよね。今日は反対の席だから国士無双打ちます。狙ってみてください」
と本気とも冗談とも取れる言葉。しかし、この後直ぐにその国士無双が炸裂することになるとは・・

 

静かな立ち上がりで迎えた東3局、灘は静かにテンパイ。

一万九万一索九索一筒九筒東南南西北発中  ドラ三筒

そして次巡あっさりと白をツモ。冒頭で森山が話していた国士無双が現実のものに。
しかし、役満1つくらいでは決まらないのはここまでの2戦を見ても明らか。南4局1本場、親の森山が9,000オールで反撃開始。

三索四索赤五索七索八索九索三筒三筒三筒赤五筒七筒八筒八筒  リーチ  ツモ六筒  ドラ東  裏三筒

更に2本場

一筒一筒三筒四筒赤五筒六筒七筒八筒九筒九筒白白白  リーチ  ロン九筒  ドラ二索  裏北

この18,000を前原から。一気に灘を逆転してしまう。

そして最終局、東1局1本場。持ち点は森山61,100点、滝沢51,000点、灘40,600点。親は灘。アバウトだが滝沢は満貫ツモ、灘は満貫直撃が勝ち上がり条件。

わずか3巡、灘がテンパイ。

九万九万九万一索三索三筒三筒発発発  ポン九索 上向き九索 上向き九索 上向き  ドラ九万

森山からなら勝ち上がり、ツモか滝沢からなら2着で敗者復活戦へ。
直後の滝沢。手が止まる。

九万一索二索二索三索四索五索六索七索二筒三筒四筒七筒七筒  ドラ九万

満貫(3,900オール)が欲しい滝沢。手役とドラ重なりを見て二索か・・

ここは滝沢一索を選択。放銃を回避。続く森山。

二索三索四索赤五索四筒五筒赤五筒五筒六筒七筒八筒九筒南南  ドラ九万

こちらは一瞬テンパイ取りの二索に手が掛かるが、思い直したように役をつけるべく打五筒。勝負はもつれるかに思えたが、次巡、滝沢が二索を切り決着。灘は3着から2着になり、敗者復活戦へ。
勝ち上がりは森山となった。

勝ち上がり 森山茂和
100

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敗者復活戦 起家から 滝沢和典 はなりくさん 灘麻太郎 佐々木寿人

東1局いきなり動く。はなりくさんの手牌

三筒三筒三筒八筒九筒九筒九筒  ポン六筒 上向き六筒 上向き六筒 上向き  ポン五筒 上向き赤五筒 上向き五筒 上向き  ロン八筒  ドラ五筒

チンイツ、トイトイ、ドラ4の三倍満。これに飛び込んだのは灘。はなりくさんが決勝に1歩近づく。

逃げるはなりくさんを追い詰めていったのは佐々木。徐々に差を詰め、南2局この満貫ツモではなりくさんを捕らえた。

五索六索七索一筒二筒三筒三筒四筒四筒五筒六筒九筒九筒  リーチ  ツモ二筒  ドラ九筒  裏一万

その後もバランスの良い攻守で徐々に差を広げる佐々木。残り2局となった東3局で

五索六索七索七索七索二筒三筒赤五筒六筒七筒  ポン白白白  ツモ一筒  ドラ七索

この手で勝負あり。最終局には流し満貫のおまけ付きで決勝戦最後の椅子を物にした。

勝ち上がり 佐々木寿人

 

決勝戦 起家から 佐々木寿人 宮内こずえ 森山茂和 紺野真太郎

東1局2本場親の佐々木がメンホンリーチ。

二筒三筒四筒五筒五筒七筒七筒七筒北北発発発  リーチ  ドラ五筒

これがわずか4巡目。捨て牌も

九万 上向き一筒 上向き七索 上向き南

と全くメンホンには見えない。同巡紺野、追いかけリーチ。

一筒二筒三筒三筒四筒五筒六筒七筒八筒五索六索九索九索  リーチ

現物待ちもぶつけにいった。佐々木の捨て牌がもう少し派手だったらこれは打てなかった。結果は佐々木の一発放銃。この日好調の紺野。予選からの好調をキープしているようだ。

東4局紺野の親番、ここで2,900オール、5,800オール、12,000と一気に加点持ち点が9万点を越える。

追いかけてきたのは予選1回戦同様に佐々木。

二索二索三索四索五索六索七索三筒四筒四筒赤五筒五筒六筒  リーチ  ツモ二索  ドラ九万  裏五筒

この6,000オールで反撃開始。3万点弱の差で南1局1本場。紺野が先にテンパイ。

二索二索三索三索四索四索三筒三筒四筒赤五筒六筒七筒八筒  ドラ七筒

直接の敵佐々木の親だけにヤミテンに構える。同巡宮内。

二索二索一筒一筒一筒二筒二筒二筒北北白白白

このツモ四暗刻でリーチ。さらに佐々木もテンパイ。即追っかけリーチ。

六索六索六索八索八索八索四筒五筒六筒七筒八筒西西  リーチ

こうなると紺野も引けない。意を決してのリーチ。3人リーチのめくり合いに。
宮内が白を暗カン。嶺上からのツモは・・三筒であった。
2人同時にロンの声。しかし今度は予選とは反対に紺野の頭ハネ。裏ドラも乗り16,000のアガリとなり優勝に大きく近づいた。

それでも簡単に優勝できる訳では無い。西2局1本場、佐々木が倍満ツモ。

二索三索四索九索九索一筒二筒三筒五筒五筒五筒白白  リーチ  一発ツモ白  ドラ二索北  裏三筒五筒

最大で7万点近くあった差が2万点弱の差に。予選で一時逆転された場面が蘇る。

西3局、佐々木一筒ポン。紺野テンパイ。

一索二索三索四索赤五索三筒四筒四筒四筒五筒六筒七筒中  ツモ五筒  ドラ中

佐々木の捨て牌は手役があるようには見えない。役牌で見えてないのは場風の西とドラの中。当たれば並びか逆転か。それでも紺野は中を打った。

一索一索七索八索九索西西中中中  ポン一筒 上向き一筒 上向き一筒 上向き

佐々木は中暗刻。ギリギリですり抜けアガリ切った。
最後まで紺野を追い詰めた佐々木だったが、程なくタイムアップ。紺野の逃げ切りとなった。

ロン2カップ2017summer優勝は紺野真太郎。何と私優勝してしまいました。前回のロン2カップ2013summerに続いて連続優勝。しかもどちらも三人麻雀。
表彰式では「サンマ入道」と新たな異名を頂き、幕を閉じる事に・・

選手、スタッフ、ご視聴いただいた皆様、本当にありがとうございました。

次回ロン2カップ2017autumnは10月1日開催です。お楽しみに。

それではまた。
100

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その他イベント/ロン2カップ2017summerレポート 紺野 真太郎

去る9月2日夏目坂スタジオにてロン2カップ2017summerが行われました。当日は9月頭とは思えないほど涼しく、人より常に厚着状態のおいらにとっては絶好の気候。
これはいいことあるかなと会場に向かいました。
放送の始めは大庭三四郎のアシスタント辞退の話題から・・
・・・まあ、彼にもいろいろあるのでしょう(笑)
今回のロン2カップ2017summerは4人打ちの三人麻雀で行われます。実はおいらはこのロン2カップ2回目の出場で、前回出場した2013summerもこの4人打ちの三人麻雀。
その時の成績はなんとびっくりの優勝。今回もと気合を入れて臨んだのでした。
 
予選1回戦 起家から アルさん 佐々木寿人 紺野真太郎 和久津晶

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ユーザー代表のアルさんはこのロン2カップ3回目の出場。しかも初出場だった2016summerでは見事に優勝されています。もはやただのユーザー代表の域を超えています。
 
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麻雀攻めダルマこと佐々木寿人。グランプリMAXのタイトルも獲得し、勢いに乗る佐々木プロ。この三人麻雀はその攻撃力を活かすのに適したルールで勝ち上がりを狙う。
 
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駿河湾に現れた麻雀海坊主こと私、紺野真太郎。・・もう何とでも呼んでください。放送ではニックネームに負けないインパクトのある登場(笑)出オチとならなければいいが・・
 
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超攻撃型麻雀アマゾネスこと和久津晶。最近では寿人棒に対抗すべく、ゾネスティックなるものが存在するらしい。「目が醒めるような放銃をします」とは本人の弁。
 
三人麻雀としては東場はあまり動きがなく迎えた南1局、紺野のリーチ。
五索六索七索七索九索九索九索二筒二筒二筒赤五筒六筒七筒  リーチ  ドラ七索二索
カンでドラも増えての勝負リーチ。そこに親のアルさんもぶつけて来る。
二索二索西西  ポン一筒 上向き一筒 上向き一筒 上向き  ポン三索 上向き三索 上向き三索 上向き  加カン発発発発
高め跳満のこちらも勝負手。この勝負はアルさんに軍配。西をツモり6,000オール。トップ目に立つ。
南4局。紺野は
二索三索四索六索七索八索四筒五筒六筒七筒八筒九筒九筒  リーチ  一発ロン  ドラ西  裏七索
と、この7,700は10,100をアガリトップで南場を終える。しかし、今大会は70分+1局の時間制限があり、まだ70分を経過していない為、終わらない。西入となる。
このアガリで勢いをつけたか紺野。西場で大きく得点を伸ばして88,200点。東場に返って再び東2局、時間的にはあと3局ほどか。
41,900点持ちの佐々木の親番。先にテンパイを入れたのは南家の紺野。
三索三索一筒二筒三筒四筒五筒五筒六筒七筒南南南  ドラ発
この手が八筒を引き入れ三筒六筒九筒待ちに変化。佐々木の親を流せれば勝ち上がりに大きく近づく紺野はヤミテンを続ける。
12巡目に佐々木からリーチ。和久津から打たれる六筒。その牌に2人のロンの声。
四索四索七索七索七索四筒五筒六筒七筒八筒発発発  リーチ  一発ロン六筒  ドラ発  裏七筒
佐々木の頭ハネ。18,000で紺野との差を詰める。
次局、またしても佐々木のリーチ。ここで70分経過のアナウンス。ここを凌げば・・
「ツモ」ハイテイで手を開いたのは佐々木だった。
九万九万六索七索五筒六筒七筒八筒八筒八筒東東東  リーチ  ハイテイツモ八索  ドラ六筒  裏東
なんと12,000オール。5万点弱の差をたった2局で捲くられてしまった。
最終局、紺野の条件は2,600オール以上。2,600オールだと同点というケースであったが、
三索三索七索八索九索一筒二筒三筒四筒五筒六筒八筒九筒  ツモ七筒  ドラ四筒
この3,900は4,500オールで再逆転。決勝進出を決めた。
勝ち上がり 紺野真太郎
 
予選2回戦 起家から マック紅坂さん はなりくさん 高宮まり 宮内こずえ

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ユーザー代表マック紅坂さん。いきなり「スマイルしていますか?」と本家?マック赤坂さんのセリフで登場。三人麻雀は打った事が無いとのことで、どこまで女流プロ2人に迫れるか。
 
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ユーザー代表、はなりくさん。初出場で緊張していらした様子も司会の井上絵美子とのやりとりで少しは緊張がほぐれたでしょうか。
 
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純白の牌奏者こと宮内こずえ。三人麻雀発祥の地、四国の出身だが、三人麻雀は勝又建志と佐々木寿人に教えられたと本人の弁。得意の手なり進行で勝ち上がるか。
 
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淑女なベルセルクこと高宮まり。麻雀中スイッチが入るとバーサーカー(狂戦士)と化す。
「見境なく放銃しますけどね・・」とこちらは控えめなお答え。
 
あまり動きの無い展開の中、東3局5本場、はなりくさんがこのメンホンを決める。
一筒二筒三筒四筒四筒四筒六筒七筒七筒八筒八筒白白  ツモ六筒  ドラ一万
4,000は5,500オールのアガリ。まだ序盤とはいえ、緊張をほぐすには十分であろう。
南1局マック紅坂さんの親番。白をポンしてこのテンパイ。
一筒二筒三筒六筒七筒九筒九筒発発発  ポン白白白  ドラ中
これに飛び込んだのが高宮。12,000でユーザーさんのワンツー体制。この後高宮がはなりくさんを追い上げるも南3局この手を高宮からロン。
一筒二筒四筒四筒四筒赤五筒六筒東東東  ポン南南南  ロン三筒  ドラ東六筒
強烈な16,000。はなりくさんが大きく抜け出す。しかし、これでも決まらないのが三人麻雀の怖さと面白さ。南4局、親の宮内がリーチ。
九万九万九万一索一索二索三索四索四索赤五索五筒赤五筒五筒  リーチ  ドラ六索
この後九万を暗カンそして六索をツモ。そして裏ドラが・・
なんと暗カンした九万と頭の一索!!親の三倍満18,000オールで一気に逆転。そのまま押し切り勝ち上がりを決めました。
それにしても18,000オールとは・・宮内恐るべし。
勝ち上がり 宮内こずえ
 
予選3回戦 起家から 灘麻太郎 前原雄大 滝沢和典 森山茂和

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麻雀バガボンドこと滝沢和典。三人麻雀は得意種目の滝沢。しかし周りも歴戦の猛者達。「ここに放りこまれても・・」と少し困惑の表情も最後まで戦い抜くと最後は力強くインタビューを締めた。
 
100
現鳳凰位、麻雀閻魔こと前原雄大。「部長の佐々木と秘書の和久津が破れ去りました。チームがらくたの総帥としてこの対局に全てを注ぎたいと思います。」とコメント。
解説の佐々木からは「まあ、しっかり頑張って欲しいですけどね・・」とやや上からのコメント。
100
 
100
カミソリ灘こと灘麻太郎。「滝沢のコメントを聞いて、三人麻雀はハマると強烈だから、今日は滝沢をマークしなきゃいけないかな」と話す。しかし表情は柔らかく、いつも通りの自然体。
 
100
最後に日本プロ麻雀連盟会長、手役アーティストこと森山茂和。「前に前原プロと反対の席で前原プロから国士無双をアガったんだよね。今日は反対の席だから国士無双打ちます。狙ってみてください」
と本気とも冗談とも取れる言葉。しかし、この後直ぐにその国士無双が炸裂することになるとは・・
 
静かな立ち上がりで迎えた東3局、灘は静かにテンパイ。
一万九万一索九索一筒九筒東南南西北発中  ドラ三筒
そして次巡あっさりと白をツモ。冒頭で森山が話していた国士無双が現実のものに。
しかし、役満1つくらいでは決まらないのはここまでの2戦を見ても明らか。南4局1本場、親の森山が9,000オールで反撃開始。
三索四索赤五索七索八索九索三筒三筒三筒赤五筒七筒八筒八筒  リーチ  ツモ六筒  ドラ東  裏三筒
更に2本場
一筒一筒三筒四筒赤五筒六筒七筒八筒九筒九筒白白白  リーチ  ロン九筒  ドラ二索  裏北
この18,000を前原から。一気に灘を逆転してしまう。
そして最終局、東1局1本場。持ち点は森山61,100点、滝沢51,000点、灘40,600点。親は灘。アバウトだが滝沢は満貫ツモ、灘は満貫直撃が勝ち上がり条件。
わずか3巡、灘がテンパイ。
九万九万九万一索三索三筒三筒発発発  ポン九索 上向き九索 上向き九索 上向き  ドラ九万
森山からなら勝ち上がり、ツモか滝沢からなら2着で敗者復活戦へ。
直後の滝沢。手が止まる。
九万一索二索二索三索四索五索六索七索二筒三筒四筒七筒七筒  ドラ九万
満貫(3,900オール)が欲しい滝沢。手役とドラ重なりを見て二索か・・
ここは滝沢一索を選択。放銃を回避。続く森山。
二索三索四索赤五索四筒五筒赤五筒五筒六筒七筒八筒九筒南南  ドラ九万
こちらは一瞬テンパイ取りの二索に手が掛かるが、思い直したように役をつけるべく打五筒。勝負はもつれるかに思えたが、次巡、滝沢が二索を切り決着。灘は3着から2着になり、敗者復活戦へ。
勝ち上がりは森山となった。
勝ち上がり 森山茂和
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敗者復活戦 起家から 滝沢和典 はなりくさん 灘麻太郎 佐々木寿人
東1局いきなり動く。はなりくさんの手牌
三筒三筒三筒八筒九筒九筒九筒  ポン六筒 上向き六筒 上向き六筒 上向き  ポン五筒 上向き赤五筒 上向き五筒 上向き  ロン八筒  ドラ五筒
チンイツ、トイトイ、ドラ4の三倍満。これに飛び込んだのは灘。はなりくさんが決勝に1歩近づく。
逃げるはなりくさんを追い詰めていったのは佐々木。徐々に差を詰め、南2局この満貫ツモではなりくさんを捕らえた。
五索六索七索一筒二筒三筒三筒四筒四筒五筒六筒九筒九筒  リーチ  ツモ二筒  ドラ九筒  裏一万
その後もバランスの良い攻守で徐々に差を広げる佐々木。残り2局となった東3局で
五索六索七索七索七索二筒三筒赤五筒六筒七筒  ポン白白白  ツモ一筒  ドラ七索
この手で勝負あり。最終局には流し満貫のおまけ付きで決勝戦最後の椅子を物にした。
勝ち上がり 佐々木寿人
 
決勝戦 起家から 佐々木寿人 宮内こずえ 森山茂和 紺野真太郎
東1局2本場親の佐々木がメンホンリーチ。
二筒三筒四筒五筒五筒七筒七筒七筒北北発発発  リーチ  ドラ五筒
これがわずか4巡目。捨て牌も
九万 上向き一筒 上向き七索 上向き南
と全くメンホンには見えない。同巡紺野、追いかけリーチ。
一筒二筒三筒三筒四筒五筒六筒七筒八筒五索六索九索九索  リーチ
現物待ちもぶつけにいった。佐々木の捨て牌がもう少し派手だったらこれは打てなかった。結果は佐々木の一発放銃。この日好調の紺野。予選からの好調をキープしているようだ。
東4局紺野の親番、ここで2,900オール、5,800オール、12,000と一気に加点持ち点が9万点を越える。
追いかけてきたのは予選1回戦同様に佐々木。
二索二索三索四索五索六索七索三筒四筒四筒赤五筒五筒六筒  リーチ  ツモ二索  ドラ九万  裏五筒
この6,000オールで反撃開始。3万点弱の差で南1局1本場。紺野が先にテンパイ。
二索二索三索三索四索四索三筒三筒四筒赤五筒六筒七筒八筒  ドラ七筒
直接の敵佐々木の親だけにヤミテンに構える。同巡宮内。
二索二索一筒一筒一筒二筒二筒二筒北北白白白
このツモ四暗刻でリーチ。さらに佐々木もテンパイ。即追っかけリーチ。
六索六索六索八索八索八索四筒五筒六筒七筒八筒西西  リーチ
こうなると紺野も引けない。意を決してのリーチ。3人リーチのめくり合いに。
宮内が白を暗カン。嶺上からのツモは・・三筒であった。
2人同時にロンの声。しかし今度は予選とは反対に紺野の頭ハネ。裏ドラも乗り16,000のアガリとなり優勝に大きく近づいた。
それでも簡単に優勝できる訳では無い。西2局1本場、佐々木が倍満ツモ。
二索三索四索九索九索一筒二筒三筒五筒五筒五筒白白  リーチ  一発ツモ白  ドラ二索北  裏三筒五筒
最大で7万点近くあった差が2万点弱の差に。予選で一時逆転された場面が蘇る。
西3局、佐々木一筒ポン。紺野テンパイ。
一索二索三索四索赤五索三筒四筒四筒四筒五筒六筒七筒中  ツモ五筒  ドラ中
佐々木の捨て牌は手役があるようには見えない。役牌で見えてないのは場風の西とドラの中。当たれば並びか逆転か。それでも紺野は中を打った。
一索一索七索八索九索西西中中中  ポン一筒 上向き一筒 上向き一筒 上向き
佐々木は中暗刻。ギリギリですり抜けアガリ切った。
最後まで紺野を追い詰めた佐々木だったが、程なくタイムアップ。紺野の逃げ切りとなった。
ロン2カップ2017summer優勝は紺野真太郎。何と私優勝してしまいました。前回のロン2カップ2013summerに続いて連続優勝。しかもどちらも三人麻雀。
表彰式では「サンマ入道」と新たな異名を頂き、幕を閉じる事に・・
選手、スタッフ、ご視聴いただいた皆様、本当にありがとうございました。
次回ロン2カップ2017autumnは10月1日開催です。お楽しみに。
それではまた。
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第31期新人王戦 決勝戦観戦記 藤井 崇勝

2017年9月3日
第31期新人王戦決勝戦、決勝進出を決めた若手プロ4名が夏目坂スタジオに集まった。
この決勝戦は生放送での映像対局となり、若手プロにとっては自身をアピールできる絶好の場である。
優勝者には各タイトル戦のシード権が与えられる他、年度末のグランプリMAXや特別昇級リーグの出場権など若手プロにとって今後一層の活躍のチャンスが増える。

前日の予選を見事勝ち上がり、決勝へと進出した選手は以下の4名。(以下敬称略)

 

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予選1位通過:山下将浩
九州本部所属33期
「決勝も気合いと根性で!頑張っていこうと思います。」

予選2位通過:大橋幸正
中部本部所属33期
「沢山の方に激励の言葉を頂いたので応えられるように自分らしく打って優勝したいと思います。」

予選3位通過:稲垣悠
関西本部所属32期
「緊張していますが、優勝目指して頑張って打ちたいと思います。」

予選4位通過:小野雅峻
中部本部所属29期
第26期中部リーグ優勝
第33期 十段戦ベスト16
「いいチャンスに巡りあったと思うのでぜひ優勝したい。内容よく丁寧に打っていきたいと思います。」

今期の新人王戦決勝戦は全員が地方所属の4名での決戦になった。小野以外、映像対局が初めてとなる。
山下と大橋が入会して半年、稲垣が入会して1年、対して小野だけが入会して5年目と共に映像対局の経験や実績があるため3名より精神的にも有利に思える。
他3名が緊張しすぎて決勝の雰囲気に呑まれないようにいつも通りに打ってもらいたい。

 

【1回戦】(起家から山下・稲垣・小野・大橋)

開局から山下がいい立ち上がりを見せる。
東1局 親:山下
9巡目 に西家の小野から今日初のリーチが入る。

一万二万三万四万五万六万七万七万四索五索六索三筒四筒  リーチ  ドラ四索

アガれずに1人テンパイで流局と思われたが、流局間際に山下がテンパイ。2人テンパイで流局する。

そして次局

東1局 1本場
前局を意識してか小野が果敢に仕掛けていく。だが親の山下が7巡目にテンパイ。

一万一万一万八万八万四索五索六索三筒四筒四筒五筒五筒  リーチ  ドラ八万

これを12巡目に山下が三筒をツモり、4,000は4,100オールのアガリとなった。
初戦の親番から仕上がりつつある山下。

東1局 3本場

二筒二筒三筒三筒八筒九筒九筒西西白白中中  ドラ一万

山下がこれを3巡目にテンパイ。待ちごろの牌を探しながら道中ツモれば6,000オールの大物手。いつリーチが入るかと思っていた7巡目に北家の大橋がテンパイ。

四万六万七万八万九万一筒二筒三筒七筒七筒東東東

このカン五万を大橋がツモり、山下の大物手をかわす結果となった。山下がリーチを選択していたら大橋は押せずに結果は違っていたかもしれない。

東3局 親:小野
今度は小野が勢いづく。

三万四万五万六索八索二筒三筒四筒五筒五筒六筒七筒八筒  リーチ  ツモ七索  ドラ八索

4巡目テンパイからすぐにツモアガリ3,900オール。前局も2,000・4,000をツモった小野が山下を逆転し一気にトップへ駆け上がる高打点の叩き合いとなる。

東3局 1本場 ドラ五筒
9巡目に小野が中を暗刻にしてテンパイ。

二万三万四万二索三索四索六索七索西西中中中  リーチ

このリーチに今日初テンパイの稲垣。

二万三万四万五万二索三索四索二筒三筒五筒七筒七筒七筒  ツモ四筒

強気に小野に無筋の五万を押して高め追求を選択するか現物のドラの五筒を切るかの選択で稲垣は五筒切りを選択する。強気にリーチしていれば大橋からすぐに5,200をアガっているか、2,000・3,900をツモっていた。結果アガリ逃しとなった稲垣に続き、大橋も追いつく。

二索二索三索四索四索五索五索七索八索八索九索九索東  ツモ東

河にソーズの情報が全くない中、大橋はノータイムで三索を切る。次巡にすぐさま七索をツモり3,000・6,000は3,100・6,100のアガリで正解を引き当てる。
牌の流れを意識すると言っていた大橋だが、前局の小野のアガリが七索だったことを踏まえての三索切りの選択だったと大橋は話していた。
このアガリで浮きにまわり、安定した麻雀で局を進めた大橋が2着に 浮上し、親被りをした小野がテンパイノーテン等で更に点棒を削られてマイナスの3着に落ち、1回戦が終了となった。

1回戦成績
山下:+18.0P 大橋:+9.4P 小野:▲10.4P 稲垣:▲17.0P

 

2回戦】(起家から山下・小野・大橋・稲垣)

東1局 親:山下
南家の小野が7巡目にテンパイするが手変わり待ちでヤミテンを選択。

一万二万三万四万五万六万七万七万四筒五筒六筒九筒九筒  ドラ九万

きちんと打点と手作りを意識した小野がドラの九万を引き入れて一通のカン八万待ちでリーチ。

11巡目に追いついた山下。

一万二万三万五万六万七万七万八万九万南南白白

リーチをしていた小野がすぐに白を掴み山下へ12,000の痛い放銃となる。これ以上マイナスになると優勝が遠くなってしまう小野が意地を見せる。

東1局 1本場 10巡目

二万三万四万二索三索四索五索六索二筒三筒四筒八筒八筒  リーチ  ドラ二万

これを小野がリーチ。次巡に四索をツモり、3,000・6,000は3,100・6,100。前局に失った点棒を一気に取り戻した。

東4局 親:稲垣 ドラ九万
ここまでそれほど目立った局のなかった稲垣が親番で点数を増やす。
6巡目に大橋がテンパイ。

五万六万七万二索三索四索四索五索四筒四筒八筒八筒八筒

手変わり待ちもしくは稲垣の親を軽く流すのが目的でヤミテンを選択する。
リーチもなく自由に打てた稲垣が11巡目にテンパイ。

六万六万三索四索五索六索六索七索七索八索白白白  リーチ

このリーチに対してヤミテンで押せる牌は押していた大橋が二索を掴み、稲垣に3,900を放銃する。予選を通して見た中では大橋らしくない放銃であった。
親のリーチに対して放銃しないためのヤミテンをしていた大橋だったがそれを制御しきれなくて本線だと思っていた牌で放銃するというミスを犯してしまう。

東4局 2本場 ドラ発

小野が仕掛けて7巡目にテンパイ。次巡に待ちを変える。

五索五索六索七索八索八筒八筒  ポン二万 上向き二万 上向き二万 上向き  暗カン牌の背二索 上向き二索 上向き牌の背

その同巡に親の稲垣が七対子ドラ2をテンパイ。待ちごろの牌を探しヤミテンを選択する。

四万四万七万七万八万八万二筒二筒七筒七筒東発発

14巡目に小野が二索を暗カンしているのに1枚も見えていない一索を持ってきた稲垣が待ちを変える。その牌を小野が掴み、稲垣に9,600は10,200の放銃となってしまう。
稲垣がリーチをしていたら小野はこの牌が止まっていたかもしれない。

南1局 親:山下
大橋がここもしっかりと打点を作ってリーチをする。

三万四万六索七索八索二筒二筒三筒四筒四筒五筒五筒六筒  リーチ  ドラ三索

このリーチに稲垣がリーチ宣言牌の四索をチーしてテンパイ。

二万三万四万五万六万六索六索五筒六筒七筒  チー四索 左向き三索 上向き五索 上向き

そんな中、小野の手牌

一万九万一索九索一筒九筒東東南西発中中  ツモ白

北待ちで国士無双をテンパイ。この時点で山には北は3枚あり小野がアガって優勝へと駆け上がるのかと思われたが、その同巡にリーチの現物で稲垣の捨て牌を見ると通りやすそうと感じた山下が、七万を切って稲垣に2,000の放銃となり小野の国士無双は成就しなかった。

南4局 親:稲垣

小野は3着までの点差が倍満ツモもしくはリーチ棒が出て跳満ツモで変わる点差。
10巡目に41,400点持ちの山下が44,900点持ちの稲垣を逆転するためのリーチを打つ。

三万四万五万七万八万九万六索七索五筒六筒七筒八筒八筒  リーチ  ドラ五索

ヤミテンでドラの五索をツモっても山下は稲垣を逆転できる点差であったが強気にリーチ。
リーチ棒が出て跳満ツモで3着へと上がることが出来るようになった小野が山下のリーチに追いつきリーチをする。

四索五索五索六索六索七索八索八索二筒三筒四筒六筒七筒  リーチ

結果は山下が小野に8,000の放銃となる。この山下のリーチは開局ならば何とも思わないが、オーラスで点棒を持っている状況や1回戦でトップを取っている状況を加味すると、リターンよりもリスクが高いリーチではないかと感じた 。
連盟公式ルールはいかに素点を大事にするかが重要であると考える。
山下との点差を縮めることの出来た3名にとっては嬉しいオーラスになったのには違いない。

2回戦成績
山下:+6.4P 稲垣:+22.9P 大橋:▲9.4P 小野:▲19.9P

2回戦終了時
山下:+24.4P 稲垣:+5.9P 大橋:±0P 小野:▲30.3P

 

【3回戦】(起家から大橋・山下・小野・稲垣)

東1局から山下が勢いをさらに加速させていく。この局は南家の山下が2,000・3,900をツモる。

七万八万九万五索五索一筒二筒二筒三筒四筒  暗カン牌の背南南牌の背  リーチ  ツモ三筒

東2局 親:山下

五万六万七万七万八万九万七索八索三筒四筒四筒四筒五筒  リーチ  ドラ四索

これをツモアガリ1,300オール。次局は稲垣から3,900は4,200。ここまでで山下が一気に47,000点まで加点に成功する。

東2局 2本場は山下と稲垣の2人テンパイ。

3本場 小野

一万二万三万二筒四筒五筒五筒五筒七筒七筒七筒八筒九筒  リーチ  ドラ二万

このリーチを受けた山下だったが小野のリーチを完全に無視して自分の都合で押し切り2,900は3,800を小野からアガる。

4本場まできて山下の親を大橋が2,000・4,000は2,400・4,400をアガリ切り長い親を終わらせた。だが山下の勢いはまだ止まらない。東3局は山下が3,900と加点。

南2局 親:山下

七万八万九万一索一索五索六索七索六筒七筒七筒八筒八筒  リーチ

これをツモアガリ1,300オール。ここまでの親番全て連荘してきた山下が一気に1人飛び抜けた。

南3局  親:小野

この半荘山下にツモられて失点や放銃で点数を削られた小野にチャンスとなる手牌がくる。

三万四万一筒一筒二筒三筒四筒七筒七筒八筒九筒東東  ツモ六筒  ドラ東

小野9巡目で分岐点。場に2枚切られていた一筒を選択する。東単騎で七対子のテンパイをしていた上家の山下から三筒五筒が溢れるが、トータルポイントのマイナスからメンゼンで打点をと考えて、鳴かずにアガるという意志が見られた。
しかし流局までテンパイ出来ずに1人ノーテンでこの局が終わってしまった。
小野が鳴きを視野に入れていたらこのような形でアガリがあったかもしれない。

三万四万一筒二筒三筒七筒八筒九筒東東  チー五筒 左向き四筒 上向き六筒 上向き  ロン二万

南4局も山下が軽くアガリ終局。山下の大きなトップで終了となった。

3回戦成績
山下:+38.9P 大橋:▲1.7P 稲垣:▲11.0P 小野:▲26.2P

3回戦終了時
山下:+63.3P 大橋:▲1.7P 稲垣:▲5.1P 小野:▲56.5P

 

【最終4回戦】(起家から大橋・稲垣・小野・山下)
日本プロ麻雀連盟公式タイトル戦、最終戦規定により席順が決まる。
トータルトップ目の山下にこれほどポイント差をつけられてしまった3名は、山下をまずはラスにしてと考えてから点数を増やすことを考えて最終戦に臨んだであろう。
ここまでポイント差がつくと普通に逆転するのは難しい数字と言える。山下は1つ1つ局を潰していけば優勝が決まる。

東1局は山下が1,000点をアガリ、まずは1局終わらせる。

東2局 北家:大橋
10巡目にこのテンパイ。山下からの出アガリを期待してヤミテンを選択。

一万二万三万一索二索三索一筒二筒五筒五筒西西西  ドラ西

12巡目に山下がピンフのみを強気にリーチ宣言。

一索二索三索三索四索五索五索六索七索三筒三筒六筒七筒  リーチ

これを待っていた大橋はツモ切りリーチで追いかける。山下からこの手を直撃出来れば大橋に逆転優勝が見えてくる。しかししっかりと山下が700・1,300をツモり局をまた1つ進めた。
順調に優勝へと1つ1つ局を進める山下。

南1局 2本場 親:大橋

7巡目にこのテンパイ、親の大橋がリーチ。

二万三万四万六万七万八万六索六索一筒二筒三筒八筒九筒  リーチ  ドラ九筒

小野が8巡目に追いつき山下から直撃も しくはツモアガリを期待して高打点を作りリーチ。

五索五索七索七索八索八索西西白白発発中  リーチ

対する山下はテンパイ取らずからのリーチを受けてこのテンパイ。

四索四索四索五索六索七索四筒四筒五筒六筒六筒六筒七筒

誰がアガってもおかしくない状況でアガったのは山下。11巡目に四筒をツモアガリさらに優勝が見えてきた。
そしてこれで流局もしくは山下がアガってしまえば実質最終局となる南3局。

南3局 親:小野

まずは小野・山下の2人テンパイで流局。

南3局 1本場 西家:大橋

配牌:三万七万二索四索四索五索六索七索七索八索九索白白  ツモ一索  ドラ三万

この手牌を無駄ヅモなしで4巡目にこのテンパイ。

一索二索三索四索四索五索六索六索七索七索八索九索九索

5巡目に一索を持ってきて 一索九索のシャンポン待ちにするが、ある役満がじわじわと見えてくる。そして6巡目。

一索一索二索三索四索五索六索六索七索七索八索九索九索  ツモ一索

アガリではあるがここまでのポイント差が離れている状況であったため、九蓮宝燈を狙いにいった大橋。三倍満のツモアガリもある六索切りでフリテンリーチをするかと思われたが打七索でヤミテン。
そこにこの局も潰しにきた山下が8巡目にリーチ。

一万一万一万二索三索四索五索六索二筒三筒四筒五筒五筒  リーチ

待ちは山下から見えてはいないが枚数の少ない待ち。

次巡・大橋

一索一索一索二索三索四索五索六索六索七索八索九索九索  ツモ一索

リーチを受けた以上はツモらなければいけない一索を持ってくる。山下のアガリ牌でもある一索を悩みながら優勝を目指して役満を目指し、河に一索を置き山下に1,300の放銃となった。
もしここで三倍満ツモを大橋がすると最終局オーラスに三倍満直撃もしくは役満ツモアガリ条件が出来、まだ優勝が少し見えていた大橋。
最終局は全員がダブル役満以上の条件となり目指すも、山下のウイニングランとなり優勝が決まった。

第4位:小野雅峻
「リーチ後のめくり合いでほとんど負けて放銃したのが非常にきつかった。悔しいです。」

第3位:稲垣悠
「山下さんとの勢いの差が出ていたかなと思います。入りで緊張していたのが反省です。」

第2位:大橋幸正
「悔しいですが完敗です。山下さんが強かったです。」

優勝:山下将浩
「新人ということもあり気持ちをぶつけていこうと精一杯打ちきれました。実感はまだないですがこれからも頑張っていこうと思います。」

今回の第31期新人王は九州本部所属の山下将浩が新人王に輝いた。3年連続地方所属のプロが新人王になり、2年連続で九州本部から新人王が出たことは九州本部所属の藤井も嬉しい限りである。
全体を通してみると粗いところが多少あった山下だったが、それをものともせずに勢いを大事にして打った山下の圧勝劇だった。

第31期新人王、山下将浩プロ、おめでとうございます!

 

100

 

新人王 決勝観戦記/第31期新人王戦 決勝戦観戦記 藤井 崇勝

2017年9月3日
第31期新人王戦決勝戦、決勝進出を決めた若手プロ4名が夏目坂スタジオに集まった。
この決勝戦は生放送での映像対局となり、若手プロにとっては自身をアピールできる絶好の場である。
優勝者には各タイトル戦のシード権が与えられる他、年度末のグランプリMAXや特別昇級リーグの出場権など若手プロにとって今後一層の活躍のチャンスが増える。
前日の予選を見事勝ち上がり、決勝へと進出した選手は以下の4名。(以下敬称略)
 

100

 
予選1位通過:山下将浩
九州本部所属33期
「決勝も気合いと根性で!頑張っていこうと思います。」
予選2位通過:大橋幸正
中部本部所属33期
「沢山の方に激励の言葉を頂いたので応えられるように自分らしく打って優勝したいと思います。」
予選3位通過:稲垣悠
関西本部所属32期
「緊張していますが、優勝目指して頑張って打ちたいと思います。」
予選4位通過:小野雅峻
中部本部所属29期
第26期中部リーグ優勝
第33期 十段戦ベスト16
「いいチャンスに巡りあったと思うのでぜひ優勝したい。内容よく丁寧に打っていきたいと思います。」
今期の新人王戦決勝戦は全員が地方所属の4名での決戦になった。小野以外、映像対局が初めてとなる。
山下と大橋が入会して半年、稲垣が入会して1年、対して小野だけが入会して5年目と共に映像対局の経験や実績があるため3名より精神的にも有利に思える。
他3名が緊張しすぎて決勝の雰囲気に呑まれないようにいつも通りに打ってもらいたい。
 
【1回戦】(起家から山下・稲垣・小野・大橋)
開局から山下がいい立ち上がりを見せる。
東1局 親:山下
9巡目 に西家の小野から今日初のリーチが入る。
一万二万三万四万五万六万七万七万四索五索六索三筒四筒  リーチ  ドラ四索
アガれずに1人テンパイで流局と思われたが、流局間際に山下がテンパイ。2人テンパイで流局する。
そして次局
東1局 1本場
前局を意識してか小野が果敢に仕掛けていく。だが親の山下が7巡目にテンパイ。
一万一万一万八万八万四索五索六索三筒四筒四筒五筒五筒  リーチ  ドラ八万
これを12巡目に山下が三筒をツモり、4,000は4,100オールのアガリとなった。
初戦の親番から仕上がりつつある山下。
東1局 3本場
二筒二筒三筒三筒八筒九筒九筒西西白白中中  ドラ一万
山下がこれを3巡目にテンパイ。待ちごろの牌を探しながら道中ツモれば6,000オールの大物手。いつリーチが入るかと思っていた7巡目に北家の大橋がテンパイ。
四万六万七万八万九万一筒二筒三筒七筒七筒東東東
このカン五万を大橋がツモり、山下の大物手をかわす結果となった。山下がリーチを選択していたら大橋は押せずに結果は違っていたかもしれない。
東3局 親:小野
今度は小野が勢いづく。
三万四万五万六索八索二筒三筒四筒五筒五筒六筒七筒八筒  リーチ  ツモ七索  ドラ八索
4巡目テンパイからすぐにツモアガリ3,900オール。前局も2,000・4,000をツモった小野が山下を逆転し一気にトップへ駆け上がる高打点の叩き合いとなる。
東3局 1本場 ドラ五筒
9巡目に小野が中を暗刻にしてテンパイ。
二万三万四万二索三索四索六索七索西西中中中  リーチ
このリーチに今日初テンパイの稲垣。
二万三万四万五万二索三索四索二筒三筒五筒七筒七筒七筒  ツモ四筒
強気に小野に無筋の五万を押して高め追求を選択するか現物のドラの五筒を切るかの選択で稲垣は五筒切りを選択する。強気にリーチしていれば大橋からすぐに5,200をアガっているか、2,000・3,900をツモっていた。結果アガリ逃しとなった稲垣に続き、大橋も追いつく。
二索二索三索四索四索五索五索七索八索八索九索九索東  ツモ東
河にソーズの情報が全くない中、大橋はノータイムで三索を切る。次巡にすぐさま七索をツモり3,000・6,000は3,100・6,100のアガリで正解を引き当てる。
牌の流れを意識すると言っていた大橋だが、前局の小野のアガリが七索だったことを踏まえての三索切りの選択だったと大橋は話していた。
このアガリで浮きにまわり、安定した麻雀で局を進めた大橋が2着に 浮上し、親被りをした小野がテンパイノーテン等で更に点棒を削られてマイナスの3着に落ち、1回戦が終了となった。
1回戦成績
山下:+18.0P 大橋:+9.4P 小野:▲10.4P 稲垣:▲17.0P
 
2回戦】(起家から山下・小野・大橋・稲垣)
東1局 親:山下
南家の小野が7巡目にテンパイするが手変わり待ちでヤミテンを選択。
一万二万三万四万五万六万七万七万四筒五筒六筒九筒九筒  ドラ九万
きちんと打点と手作りを意識した小野がドラの九万を引き入れて一通のカン八万待ちでリーチ。
11巡目に追いついた山下。
一万二万三万五万六万七万七万八万九万南南白白
リーチをしていた小野がすぐに白を掴み山下へ12,000の痛い放銃となる。これ以上マイナスになると優勝が遠くなってしまう小野が意地を見せる。
東1局 1本場 10巡目
二万三万四万二索三索四索五索六索二筒三筒四筒八筒八筒  リーチ  ドラ二万
これを小野がリーチ。次巡に四索をツモり、3,000・6,000は3,100・6,100。前局に失った点棒を一気に取り戻した。
東4局 親:稲垣 ドラ九万
ここまでそれほど目立った局のなかった稲垣が親番で点数を増やす。
6巡目に大橋がテンパイ。
五万六万七万二索三索四索四索五索四筒四筒八筒八筒八筒
手変わり待ちもしくは稲垣の親を軽く流すのが目的でヤミテンを選択する。
リーチもなく自由に打てた稲垣が11巡目にテンパイ。
六万六万三索四索五索六索六索七索七索八索白白白  リーチ
このリーチに対してヤミテンで押せる牌は押していた大橋が二索を掴み、稲垣に3,900を放銃する。予選を通して見た中では大橋らしくない放銃であった。
親のリーチに対して放銃しないためのヤミテンをしていた大橋だったがそれを制御しきれなくて本線だと思っていた牌で放銃するというミスを犯してしまう。
東4局 2本場 ドラ発
小野が仕掛けて7巡目にテンパイ。次巡に待ちを変える。
五索五索六索七索八索八筒八筒  ポン二万 上向き二万 上向き二万 上向き  暗カン牌の背二索 上向き二索 上向き牌の背
その同巡に親の稲垣が七対子ドラ2をテンパイ。待ちごろの牌を探しヤミテンを選択する。
四万四万七万七万八万八万二筒二筒七筒七筒東発発
14巡目に小野が二索を暗カンしているのに1枚も見えていない一索を持ってきた稲垣が待ちを変える。その牌を小野が掴み、稲垣に9,600は10,200の放銃となってしまう。
稲垣がリーチをしていたら小野はこの牌が止まっていたかもしれない。
南1局 親:山下
大橋がここもしっかりと打点を作ってリーチをする。
三万四万六索七索八索二筒二筒三筒四筒四筒五筒五筒六筒  リーチ  ドラ三索
このリーチに稲垣がリーチ宣言牌の四索をチーしてテンパイ。
二万三万四万五万六万六索六索五筒六筒七筒  チー四索 左向き三索 上向き五索 上向き
そんな中、小野の手牌
一万九万一索九索一筒九筒東東南西発中中  ツモ白
北待ちで国士無双をテンパイ。この時点で山には北は3枚あり小野がアガって優勝へと駆け上がるのかと思われたが、その同巡にリーチの現物で稲垣の捨て牌を見ると通りやすそうと感じた山下が、七万を切って稲垣に2,000の放銃となり小野の国士無双は成就しなかった。
南4局 親:稲垣
小野は3着までの点差が倍満ツモもしくはリーチ棒が出て跳満ツモで変わる点差。
10巡目に41,400点持ちの山下が44,900点持ちの稲垣を逆転するためのリーチを打つ。
三万四万五万七万八万九万六索七索五筒六筒七筒八筒八筒  リーチ  ドラ五索
ヤミテンでドラの五索をツモっても山下は稲垣を逆転できる点差であったが強気にリーチ。
リーチ棒が出て跳満ツモで3着へと上がることが出来るようになった小野が山下のリーチに追いつきリーチをする。
四索五索五索六索六索七索八索八索二筒三筒四筒六筒七筒  リーチ
結果は山下が小野に8,000の放銃となる。この山下のリーチは開局ならば何とも思わないが、オーラスで点棒を持っている状況や1回戦でトップを取っている状況を加味すると、リターンよりもリスクが高いリーチではないかと感じた 。
連盟公式ルールはいかに素点を大事にするかが重要であると考える。
山下との点差を縮めることの出来た3名にとっては嬉しいオーラスになったのには違いない。
2回戦成績
山下:+6.4P 稲垣:+22.9P 大橋:▲9.4P 小野:▲19.9P
2回戦終了時
山下:+24.4P 稲垣:+5.9P 大橋:±0P 小野:▲30.3P
 
【3回戦】(起家から大橋・山下・小野・稲垣)
東1局から山下が勢いをさらに加速させていく。この局は南家の山下が2,000・3,900をツモる。
七万八万九万五索五索一筒二筒二筒三筒四筒  暗カン牌の背南南牌の背  リーチ  ツモ三筒
東2局 親:山下
五万六万七万七万八万九万七索八索三筒四筒四筒四筒五筒  リーチ  ドラ四索
これをツモアガリ1,300オール。次局は稲垣から3,900は4,200。ここまでで山下が一気に47,000点まで加点に成功する。
東2局 2本場は山下と稲垣の2人テンパイ。
3本場 小野
一万二万三万二筒四筒五筒五筒五筒七筒七筒七筒八筒九筒  リーチ  ドラ二万
このリーチを受けた山下だったが小野のリーチを完全に無視して自分の都合で押し切り2,900は3,800を小野からアガる。
4本場まできて山下の親を大橋が2,000・4,000は2,400・4,400をアガリ切り長い親を終わらせた。だが山下の勢いはまだ止まらない。東3局は山下が3,900と加点。
南2局 親:山下
七万八万九万一索一索五索六索七索六筒七筒七筒八筒八筒  リーチ
これをツモアガリ1,300オール。ここまでの親番全て連荘してきた山下が一気に1人飛び抜けた。
南3局  親:小野
この半荘山下にツモられて失点や放銃で点数を削られた小野にチャンスとなる手牌がくる。
三万四万一筒一筒二筒三筒四筒七筒七筒八筒九筒東東  ツモ六筒  ドラ東
小野9巡目で分岐点。場に2枚切られていた一筒を選択する。東単騎で七対子のテンパイをしていた上家の山下から三筒五筒が溢れるが、トータルポイントのマイナスからメンゼンで打点をと考えて、鳴かずにアガるという意志が見られた。
しかし流局までテンパイ出来ずに1人ノーテンでこの局が終わってしまった。
小野が鳴きを視野に入れていたらこのような形でアガリがあったかもしれない。
三万四万一筒二筒三筒七筒八筒九筒東東  チー五筒 左向き四筒 上向き六筒 上向き  ロン二万
南4局も山下が軽くアガリ終局。山下の大きなトップで終了となった。
3回戦成績
山下:+38.9P 大橋:▲1.7P 稲垣:▲11.0P 小野:▲26.2P
3回戦終了時
山下:+63.3P 大橋:▲1.7P 稲垣:▲5.1P 小野:▲56.5P
 
【最終4回戦】(起家から大橋・稲垣・小野・山下)
日本プロ麻雀連盟公式タイトル戦、最終戦規定により席順が決まる。
トータルトップ目の山下にこれほどポイント差をつけられてしまった3名は、山下をまずはラスにしてと考えてから点数を増やすことを考えて最終戦に臨んだであろう。
ここまでポイント差がつくと普通に逆転するのは難しい数字と言える。山下は1つ1つ局を潰していけば優勝が決まる。
東1局は山下が1,000点をアガリ、まずは1局終わらせる。
東2局 北家:大橋
10巡目にこのテンパイ。山下からの出アガリを期待してヤミテンを選択。
一万二万三万一索二索三索一筒二筒五筒五筒西西西  ドラ西
12巡目に山下がピンフのみを強気にリーチ宣言。
一索二索三索三索四索五索五索六索七索三筒三筒六筒七筒  リーチ
これを待っていた大橋はツモ切りリーチで追いかける。山下からこの手を直撃出来れば大橋に逆転優勝が見えてくる。しかししっかりと山下が700・1,300をツモり局をまた1つ進めた。
順調に優勝へと1つ1つ局を進める山下。
南1局 2本場 親:大橋
7巡目にこのテンパイ、親の大橋がリーチ。
二万三万四万六万七万八万六索六索一筒二筒三筒八筒九筒  リーチ  ドラ九筒
小野が8巡目に追いつき山下から直撃も しくはツモアガリを期待して高打点を作りリーチ。
五索五索七索七索八索八索西西白白発発中  リーチ
対する山下はテンパイ取らずからのリーチを受けてこのテンパイ。
四索四索四索五索六索七索四筒四筒五筒六筒六筒六筒七筒
誰がアガってもおかしくない状況でアガったのは山下。11巡目に四筒をツモアガリさらに優勝が見えてきた。
そしてこれで流局もしくは山下がアガってしまえば実質最終局となる南3局。
南3局 親:小野
まずは小野・山下の2人テンパイで流局。
南3局 1本場 西家:大橋
配牌:三万七万二索四索四索五索六索七索七索八索九索白白  ツモ一索  ドラ三万
この手牌を無駄ヅモなしで4巡目にこのテンパイ。
一索二索三索四索四索五索六索六索七索七索八索九索九索
5巡目に一索を持ってきて 一索九索のシャンポン待ちにするが、ある役満がじわじわと見えてくる。そして6巡目。
一索一索二索三索四索五索六索六索七索七索八索九索九索  ツモ一索
アガリではあるがここまでのポイント差が離れている状況であったため、九蓮宝燈を狙いにいった大橋。三倍満のツモアガリもある六索切りでフリテンリーチをするかと思われたが打七索でヤミテン。
そこにこの局も潰しにきた山下が8巡目にリーチ。
一万一万一万二索三索四索五索六索二筒三筒四筒五筒五筒  リーチ
待ちは山下から見えてはいないが枚数の少ない待ち。
次巡・大橋
一索一索一索二索三索四索五索六索六索七索八索九索九索  ツモ一索
リーチを受けた以上はツモらなければいけない一索を持ってくる。山下のアガリ牌でもある一索を悩みながら優勝を目指して役満を目指し、河に一索を置き山下に1,300の放銃となった。
もしここで三倍満ツモを大橋がすると最終局オーラスに三倍満直撃もしくは役満ツモアガリ条件が出来、まだ優勝が少し見えていた大橋。
最終局は全員がダブル役満以上の条件となり目指すも、山下のウイニングランとなり優勝が決まった。
第4位:小野雅峻
「リーチ後のめくり合いでほとんど負けて放銃したのが非常にきつかった。悔しいです。」
第3位:稲垣悠
「山下さんとの勢いの差が出ていたかなと思います。入りで緊張していたのが反省です。」
第2位:大橋幸正
「悔しいですが完敗です。山下さんが強かったです。」
優勝:山下将浩
「新人ということもあり気持ちをぶつけていこうと精一杯打ちきれました。実感はまだないですがこれからも頑張っていこうと思います。」
今回の第31期新人王は九州本部所属の山下将浩が新人王に輝いた。3年連続地方所属のプロが新人王になり、2年連続で九州本部から新人王が出たことは九州本部所属の藤井も嬉しい限りである。
全体を通してみると粗いところが多少あった山下だったが、それをものともせずに勢いを大事にして打った山下の圧勝劇だった。
第31期新人王、山下将浩プロ、おめでとうございます!
 

100

 

第34期十段戦決勝 最終日観戦記 柴田 吉和

『神は乗り越えられる試練しか与えない』
私は、麻雀対局で厳しい条件に追い込まれた時、何故かこのフレーズがよく頭をよぎる。
今決定戦に、神が4名に与えた最後の試練は≪現十段位藤崎の圧倒的リードを4半荘で乗り越えろ≫である。
さらに藤崎は、層の厚い連盟の中でも一番といって過言ではない程、先行させたら捕らえる事が難しいイメージを持っているのは私だけではないだろう。
神様、なんて無謀な試練なんですか!辛すぎます!せめてもうちょい易しい試練にして下さい!なんて神様にツッコミを入れてしまいそうだが、幾ら泣き言を言っても4名はこの試練を乗り越えなければ頂点は無い。

 

100

 

8回戦終了時成績
藤崎:+84.6P 上田:+15.8P 青山:+1.9P 仁平:▲33.9P 瀬戸熊:▲68.4P

 

9回戦(起家から、瀬戸熊・上田・藤崎・青山)抜け番:仁平

現在首位を走る藤崎からの点差
上田 : 68.8P
青山 : 82.7P
仁平 :118.5P
瀬戸熊:153.0P
※10回戦終了時に最下位者が敗退。

東3局1本場 親:藤崎 ドラ二万

 

100

 

藤崎チンイツ1シャンテン、3者テンパイでぶつかったが、果敢にリーチといった青山のアガリ。

南2局 親:上田 ドラ:八索(瀬戸熊:28,500・上田:25,800・藤崎:30,500・青山:35,200)

 

100

 

上田2巡目に切った白を藤崎が仕掛ける。まだ局流しに入るには早いので、藤崎の1鳴きを考えればドラドラ以上濃厚に映っただろう。

 

100

 

藤崎、6巡目九索チー。7巡目三筒チー。滅多にお目にかかる事のない藤崎の3フーロ。緊急事態である。
それでも青山は1,300リーチを打った。今まで観てきた青山であれば、尚更ヤミテンに構えそうだったので、より意外なリーチ選択だった。
観ている側からすれば、優勝を決定付けかねない無謀なリーチ。

 

100

 

キッチリと結果を出した。
緊急事態なんて百も承知。闘わずして優勝は無い。気持ちで闘うんだ。ようやく腹を据えて今日一日戦い抜く事を、青山から感じ取る事ができた瞬間であった。

 

100

 

今半荘は、藤崎以外の親連荘が無く、安手で局が進んで行く。藤崎にとって理想的な半荘となった。
青山が18P藤崎と差を詰めるも、藤崎からして見れば2番手が上田から青山に代わっただけ。2番手とのポイントはほぼ現状維持で今半荘を終えられた。

9回戦成績
青山:+13.5P 瀬戸熊:+5.5P 藤崎:▲4.5P 上田:▲14.5P

9回戦終了時成績
藤崎:+80.1P 青山:+15.4P 上田:+1.3P 仁平:▲33.9P 瀬戸熊:▲62.9P

現在首位を走る藤崎からの点差
青山 : 64.7P
上田 : 78.8P
仁平 :114.0P
瀬戸熊:143.0P

 

10回戦(起家から、藤崎・仁平・青山・瀬戸熊)抜け番:上田

残り半荘がこの回を入れて後3半荘。
上田が今回抜け番の為、藤崎としてはターゲットの青山を沈めて自身が浮くことができれば、かなり優勝に近づく事になる。
もう一方で、この10回戦終了後、最下位者が敗退となる為、敗退争いにも注目が集まる。
仁平・瀬戸熊は勿論優勝目指して打つわけだが、今半荘で敗退してしまうと100%優勝は無い。しかしギリギリのポイントで通過しても、残り2半荘で臨みの残るポイントにしなければならなく、
2人にとってはバランスの取り方が難しい半荘となりそうだ。
敗退者が出るこの10回戦、大味な麻雀が増え例年荒れる傾向にあるが、首位を走る藤崎が台風に巻き込まれずに切り抜けられるかにも注目だ。

仁平、瀬戸熊より29.0Pリードでスタート。

東2局3本場 親:仁平 ドラ:二万

 

100

 

先制は瀬戸熊。
ドラをツモリ2,000・3,900は2,300・4,200供託1,000。仁平の親被りにも成功。
現状トータルポントでも仁平より1.6Pリードした。

東3局 親:青山 ドラ:五索

 

100

 

瀬戸熊ドラドラで跳満まで見えそうなチャンス手だが、6巡目青山の切った2枚目七索にチーを入れた。通常の瀬戸熊のスタイルではまずない仕掛けなので、かなり仁平との点差を意識しているのが見て取れた。

 

100

 

青山の親リーチを受けるが、押し切って加点に成功する。

南1局 親:藤崎 ドラ:六筒

 

100

 

現状瀬戸熊6.6Pリード。
親藤崎が1巡目に切られた自風の東を1鳴き。
仁平6巡目2シャンテンから強気に切った中ポン。東1鳴きを考えると、ドラが固まっているかホンイツか、いずれにせよ藤崎は勝負手に見える。
そうは言っても仁平は追いかける立場、そうそう簡単にオリられない状況でツモ五索の場面。
藤崎が北白の後に手出し一万が不気味に光っているが、仁平は強く二万を選択した。この選択は、もう多少強引にでも加点しに行かなければならない程追い込まれているという証拠でもある。

 

100

 

今度は藤崎視点から。
親番、河でマンズのホンイツ模様の高打点を演出しつつ5,800をテンパイ。
そこへ仁平からリーチ、強烈な二万のトイツ落としで親に向かってきたとなれば高打点は明白。
自身アガれば5,800と今半荘をほぼ浮きで終わる事ができそうだが、8,000を打ってしまえば折角沈んでいる青山と並んでしまう。
無スジは打ちにくいだろうなと思い観ていた所へド無スジのツモ八筒

 

100

 

外野の予想などどこ吹く風。藤崎の選択はノータイムで八筒をツモ切った!そしてあっさり七筒を捕まえる。
藤崎がこれまでに培ってきた、勝負所の見極めの経験値が打たせたノータイム打八筒
私は観戦記者席で、「ワァ」と言葉が飛び出そうなになり必死でこらえたのを覚えている程、インパクトある一打だった。

瀬戸熊15.6Pリード。

南2局2本場 親:仁平 ドラ:九筒

 

100
100
仁平、今半荘最後の親番。強引に仕掛け始め、強引にねじ込む。
瀬戸熊4.2Pリード。

南2局3本場 ドラ:南
青山6巡目リーチのみを打つが、親仁平が南バック、瀬戸熊七対子ドラ単騎で追いつき、一歩も引かない捲り合いになるが、青山のツモアガリ。500.・1,000は800・1,300。
瀬戸熊8.7Pリード。

南3局 親:青山
瀬戸熊、藤崎のタンヤオ・ドラ1の2,600へ放銃。
瀬戸熊6.1Pリード。

南4局 親:瀬戸熊 ドラ:八万(藤崎:36,200・仁平:21,000・青山:22,700・瀬戸熊:40,100)
オーラス。現状瀬戸熊が6.1Pリードしているが、仁平は2,100点以上のアガリで敗退を免れるデッドヒート。

 

100

 

結果は瀬戸熊が高め三色を冷静にヤミテンに構え、見事高めを仁平から打ち取り決着となった。

10回戦成績
瀬戸熊:+37.7P 藤崎:+5.4P 青山:▲14.5P 仁平:▲28.6P

10回戦終了時成績
藤崎:+85.5P 上田:+1.3P 青山:+0.9P 瀬戸熊:▲25.2P 仁平:▲62.5P(敗退)

 

11回戦(起家から、上田・青山・瀬戸熊・藤崎)

現在首位を走る藤崎からの点差
上田 : 84.2P
青山 : 84.6P
瀬戸熊:110.7P

直接対決とはいえ残り2半荘。3者は自分が優勝の為には藤崎と2連続トップラスが必須か。最終戦に向けまずは藤崎への挑戦権を賭けた闘いである。

東1局2本場 親:上田 ドラ:三筒

 

100

 

先制パンチは青山。ピンズの波をしっかり捕まえた。

さらに青山自身の親番で加点に成功する。

東2局 親:青山 ドラ:八万

八万八万五索六索七索二筒三筒四筒七筒八筒  ポン一万 上向き一万 上向き一万 上向き  ロン六筒

ホウテイで手の詰まった上田の放銃で5,800。

東2局1本場
青山・藤崎の2人テンパイで流局。

東2局2本場 ドラ:八索

三万四万五万八万九万一索二索三索八索八索三筒三筒三筒  リーチ

青山ドラドラリーチ打つも1人テンパイで流局。

現状トータルポイント
藤崎:+79.3P 青山+37.3P 上田:▲17.7P 瀬戸熊:▲37.4P

青山が藤崎まで42.0P差。
青山、今半荘開始時の84.2P差が東場だけで半分詰める猛追撃。完全に射程圏に捕らえる。

東2局3本場

 

100

 

親番青山が今局も先手を取りリーチと行く。これをツモれば34P差、もう本当に現実的な数字だ。
と思っていた矢先、急に上田のツモがのびを見せる。
リーチを受けた時点で国士無双9種10牌。連続で九筒一索白とツモりあっという間にテンパイ。
そして、

 

100
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最終ツモで念願の国士無双成就。
藤崎への挑戦権は青山と思いきや、まさかの親被り。上田が挑戦権を獲得した。

 

100

 

35.8P差。

東3局 親:瀬戸熊 ドラ:六筒
高打点が飛び交う乱打戦。ここに瀬戸熊も参戦。

 

100
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藤崎の7巡目リーチを受けた時点で瀬戸熊は1シャンテンだったが、選択を間違えず押し切り一発ツモ4,000オール。さらに藤崎にラスを押し付けた。

現状トータルポイント
藤崎:+59.0P 上田+29.2P 青山:+8.0P 瀬戸熊:▲33.7P
藤崎上田が29.8P差。とうとう30Pを切った。
藤崎もまさか東場で50Pも貯金を使ってしまうとは、想像もしていなかっただろう。

南1局 親:上田 ドラ:九索

 

100

 

藤崎丁寧に手牌進行し、12巡目最高の入り目でテンパイ1番乗り。

 

100

 

瀬戸熊13巡目、藤崎の切った1枚目の南を仕掛けて打五索。あからさまなホインツ高打点が見て取れる河。藤崎次巡ツモ六索で選択。
自身高め7,700テンパイだが、六索での放銃は7,700以上の失点必須。今半荘ラス目、現状2位上田と約30P差。
攻守のバランスが非常に難しい場面だが、藤崎はノータイムで攻めの六索ツモ切りを選択した。
得点に余裕があるうちに、リスクを負って加点する事が大事。私もこの理屈は頭では分かっている。しかし、優勝が見え始め大プレッシャーが掛かっているこの場面で、ノータイムで選択できる腹の座った選手がどれぐらいるだろうか?
このノータイム選択は、長年大舞台での経験・実績がなければできない、トッププロの証明だと思う。
100
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結果は、藤崎の切った六索を瀬戸熊が責任払いを狙った大明カン。カン七索の8,000テンパイだったが、次巡六万で決着を見た。
藤崎が押し切りきっちり結果を出した。勝負所を間違えないトッププロの選択だった。

その後、南場で決定打のアガリは発生せず終局。
上田が見事1人浮きトップ、藤崎をラスに沈め最終戦に望みを繋いだ。

11回戦成績
上田:+29.9P 青山:▲1.9P 瀬戸熊:▲10.6P 藤崎:▲17.4P

11回戦終了時成績
藤崎:+68.1P 上田:+31.2P 青山:▲1.0P 瀬戸熊:▲35.8P

 

最終12回戦(起家から、上田・青山・瀬戸熊・藤崎)

現在首位を走る藤崎からの点差
上田 : 36.9P
青山 : 69.1P
瀬戸熊:103.9P

最終戦、実質藤崎・上田の一騎打ち。

東1局 親:上田 ドラ:五筒

三万五万三索三索六索六索七索七索八索八索七筒八筒九筒  リーチ

上田11巡目リーチを打つも1人テンパイ流局。

東1局1本場R1 ドラ:三万

 

100

 

3人リーチも流局。藤崎1人ノーテン。
上田1人浮き。藤崎ラスの順位点で26P詰めぐっと近づく。
藤崎10.9Pリード。

東1局2本場R4 ドラ:中
供託4,600点。自分が加点したいのは勿論だが、相手に与えたくないと思える供託点だ。

 

100

 

上田、形は不安定な2シャンテンだが三色などすべて取りこぼさない様にドラをツモ切り。
このドラを藤崎が仕掛け、ターツ選択が成功し次巡すぐに二万五万テンパイ。

 

100

 

青山、四暗刻2シャンテンではあったが、藤崎のドラポン・2枚目の四索とあってポン打六万でカン三万テンパイを取る。

 

100

 

藤崎すぐに放銃牌三万を掴むが、またしてもノータイムで打四万、放銃回避して三万五索八索へ待ち変え。

 

100

 

すぐに上田から直撃のアガリ。本当に勝負所を間違えない。
これで藤崎71.5Pリード。このアガリが実質ゲームセットとなるアガリとなった。

前年、藤崎が十段位に輝いた打上げ席のスピーチで、私や上田・若手スタッフに向け「今後は若い子がどんどん大きなタイトルを取って活躍して連盟を盛り上げて欲しい。心からそう思ってます。」
何気ない短い言葉だが、先輩の優しさ思いやりの詰まった後輩想いが、私の心に強烈に突き刺さったのを覚えている。

今決定戦も、藤崎十段位は若手の大きな壁となり立ちはだかった。自分の壁の高さを見せつけ、若手後輩にメッセージを込めた。自分達を乗り越えて連盟・麻雀界を一緒に盛り上げようと。
先輩達の高い高い壁を乗り越えられないまでも、影が踏める位置まで辿り着ける若手がより多く出てくれば、麻雀界は益々の発展・進展を遂げるはずであり、世界中に認められる日もそう遠くはないはずである。

 

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十段戦 決勝観戦記/第34期十段戦決勝 最終日観戦記 柴田 吉和

『神は乗り越えられる試練しか与えない』
私は、麻雀対局で厳しい条件に追い込まれた時、何故かこのフレーズがよく頭をよぎる。
今決定戦に、神が4名に与えた最後の試練は≪現十段位藤崎の圧倒的リードを4半荘で乗り越えろ≫である。
さらに藤崎は、層の厚い連盟の中でも一番といって過言ではない程、先行させたら捕らえる事が難しいイメージを持っているのは私だけではないだろう。
神様、なんて無謀な試練なんですか!辛すぎます!せめてもうちょい易しい試練にして下さい!なんて神様にツッコミを入れてしまいそうだが、幾ら泣き言を言っても4名はこの試練を乗り越えなければ頂点は無い。
 
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8回戦終了時成績
藤崎:+84.6P 上田:+15.8P 青山:+1.9P 仁平:▲33.9P 瀬戸熊:▲68.4P
 
9回戦(起家から、瀬戸熊・上田・藤崎・青山)抜け番:仁平
現在首位を走る藤崎からの点差
上田 : 68.8P
青山 : 82.7P
仁平 :118.5P
瀬戸熊:153.0P
※10回戦終了時に最下位者が敗退。
東3局1本場 親:藤崎 ドラ二万
 
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藤崎チンイツ1シャンテン、3者テンパイでぶつかったが、果敢にリーチといった青山のアガリ。
南2局 親:上田 ドラ:八索(瀬戸熊:28,500・上田:25,800・藤崎:30,500・青山:35,200)
 
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上田2巡目に切った白を藤崎が仕掛ける。まだ局流しに入るには早いので、藤崎の1鳴きを考えればドラドラ以上濃厚に映っただろう。
 
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藤崎、6巡目九索チー。7巡目三筒チー。滅多にお目にかかる事のない藤崎の3フーロ。緊急事態である。
それでも青山は1,300リーチを打った。今まで観てきた青山であれば、尚更ヤミテンに構えそうだったので、より意外なリーチ選択だった。
観ている側からすれば、優勝を決定付けかねない無謀なリーチ。
 
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キッチリと結果を出した。
緊急事態なんて百も承知。闘わずして優勝は無い。気持ちで闘うんだ。ようやく腹を据えて今日一日戦い抜く事を、青山から感じ取る事ができた瞬間であった。
 
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今半荘は、藤崎以外の親連荘が無く、安手で局が進んで行く。藤崎にとって理想的な半荘となった。
青山が18P藤崎と差を詰めるも、藤崎からして見れば2番手が上田から青山に代わっただけ。2番手とのポイントはほぼ現状維持で今半荘を終えられた。
9回戦成績
青山:+13.5P 瀬戸熊:+5.5P 藤崎:▲4.5P 上田:▲14.5P
9回戦終了時成績
藤崎:+80.1P 青山:+15.4P 上田:+1.3P 仁平:▲33.9P 瀬戸熊:▲62.9P
現在首位を走る藤崎からの点差
青山 : 64.7P
上田 : 78.8P
仁平 :114.0P
瀬戸熊:143.0P
 
10回戦(起家から、藤崎・仁平・青山・瀬戸熊)抜け番:上田
残り半荘がこの回を入れて後3半荘。
上田が今回抜け番の為、藤崎としてはターゲットの青山を沈めて自身が浮くことができれば、かなり優勝に近づく事になる。
もう一方で、この10回戦終了後、最下位者が敗退となる為、敗退争いにも注目が集まる。
仁平・瀬戸熊は勿論優勝目指して打つわけだが、今半荘で敗退してしまうと100%優勝は無い。しかしギリギリのポイントで通過しても、残り2半荘で臨みの残るポイントにしなければならなく、
2人にとってはバランスの取り方が難しい半荘となりそうだ。
敗退者が出るこの10回戦、大味な麻雀が増え例年荒れる傾向にあるが、首位を走る藤崎が台風に巻き込まれずに切り抜けられるかにも注目だ。
仁平、瀬戸熊より29.0Pリードでスタート。
東2局3本場 親:仁平 ドラ:二万
 
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先制は瀬戸熊。
ドラをツモリ2,000・3,900は2,300・4,200供託1,000。仁平の親被りにも成功。
現状トータルポントでも仁平より1.6Pリードした。
東3局 親:青山 ドラ:五索
 
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瀬戸熊ドラドラで跳満まで見えそうなチャンス手だが、6巡目青山の切った2枚目七索にチーを入れた。通常の瀬戸熊のスタイルではまずない仕掛けなので、かなり仁平との点差を意識しているのが見て取れた。
 
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青山の親リーチを受けるが、押し切って加点に成功する。
南1局 親:藤崎 ドラ:六筒
 
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現状瀬戸熊6.6Pリード。
親藤崎が1巡目に切られた自風の東を1鳴き。
仁平6巡目2シャンテンから強気に切った中ポン。東1鳴きを考えると、ドラが固まっているかホンイツか、いずれにせよ藤崎は勝負手に見える。
そうは言っても仁平は追いかける立場、そうそう簡単にオリられない状況でツモ五索の場面。
藤崎が北白の後に手出し一万が不気味に光っているが、仁平は強く二万を選択した。この選択は、もう多少強引にでも加点しに行かなければならない程追い込まれているという証拠でもある。
 
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今度は藤崎視点から。
親番、河でマンズのホンイツ模様の高打点を演出しつつ5,800をテンパイ。
そこへ仁平からリーチ、強烈な二万のトイツ落としで親に向かってきたとなれば高打点は明白。
自身アガれば5,800と今半荘をほぼ浮きで終わる事ができそうだが、8,000を打ってしまえば折角沈んでいる青山と並んでしまう。
無スジは打ちにくいだろうなと思い観ていた所へド無スジのツモ八筒
 
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外野の予想などどこ吹く風。藤崎の選択はノータイムで八筒をツモ切った!そしてあっさり七筒を捕まえる。
藤崎がこれまでに培ってきた、勝負所の見極めの経験値が打たせたノータイム打八筒
私は観戦記者席で、「ワァ」と言葉が飛び出そうなになり必死でこらえたのを覚えている程、インパクトある一打だった。
瀬戸熊15.6Pリード。
南2局2本場 親:仁平 ドラ:九筒
 
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仁平、今半荘最後の親番。強引に仕掛け始め、強引にねじ込む。
瀬戸熊4.2Pリード。
南2局3本場 ドラ:南
青山6巡目リーチのみを打つが、親仁平が南バック、瀬戸熊七対子ドラ単騎で追いつき、一歩も引かない捲り合いになるが、青山のツモアガリ。500.・1,000は800・1,300。
瀬戸熊8.7Pリード。
南3局 親:青山
瀬戸熊、藤崎のタンヤオ・ドラ1の2,600へ放銃。
瀬戸熊6.1Pリード。
南4局 親:瀬戸熊 ドラ:八万(藤崎:36,200・仁平:21,000・青山:22,700・瀬戸熊:40,100)
オーラス。現状瀬戸熊が6.1Pリードしているが、仁平は2,100点以上のアガリで敗退を免れるデッドヒート。
 
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結果は瀬戸熊が高め三色を冷静にヤミテンに構え、見事高めを仁平から打ち取り決着となった。
10回戦成績
瀬戸熊:+37.7P 藤崎:+5.4P 青山:▲14.5P 仁平:▲28.6P
10回戦終了時成績
藤崎:+85.5P 上田:+1.3P 青山:+0.9P 瀬戸熊:▲25.2P 仁平:▲62.5P(敗退)
 
11回戦(起家から、上田・青山・瀬戸熊・藤崎)
現在首位を走る藤崎からの点差
上田 : 84.2P
青山 : 84.6P
瀬戸熊:110.7P
直接対決とはいえ残り2半荘。3者は自分が優勝の為には藤崎と2連続トップラスが必須か。最終戦に向けまずは藤崎への挑戦権を賭けた闘いである。
東1局2本場 親:上田 ドラ:三筒
 
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先制パンチは青山。ピンズの波をしっかり捕まえた。
さらに青山自身の親番で加点に成功する。
東2局 親:青山 ドラ:八万
八万八万五索六索七索二筒三筒四筒七筒八筒  ポン一万 上向き一万 上向き一万 上向き  ロン六筒
ホウテイで手の詰まった上田の放銃で5,800。
東2局1本場
青山・藤崎の2人テンパイで流局。
東2局2本場 ドラ:八索
三万四万五万八万九万一索二索三索八索八索三筒三筒三筒  リーチ
青山ドラドラリーチ打つも1人テンパイで流局。
現状トータルポイント
藤崎:+79.3P 青山+37.3P 上田:▲17.7P 瀬戸熊:▲37.4P
青山が藤崎まで42.0P差。
青山、今半荘開始時の84.2P差が東場だけで半分詰める猛追撃。完全に射程圏に捕らえる。
東2局3本場
 
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親番青山が今局も先手を取りリーチと行く。これをツモれば34P差、もう本当に現実的な数字だ。
と思っていた矢先、急に上田のツモがのびを見せる。
リーチを受けた時点で国士無双9種10牌。連続で九筒一索白とツモりあっという間にテンパイ。
そして、
 
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最終ツモで念願の国士無双成就。
藤崎への挑戦権は青山と思いきや、まさかの親被り。上田が挑戦権を獲得した。
 
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35.8P差。
東3局 親:瀬戸熊 ドラ:六筒
高打点が飛び交う乱打戦。ここに瀬戸熊も参戦。
 
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藤崎の7巡目リーチを受けた時点で瀬戸熊は1シャンテンだったが、選択を間違えず押し切り一発ツモ4,000オール。さらに藤崎にラスを押し付けた。
現状トータルポイント
藤崎:+59.0P 上田+29.2P 青山:+8.0P 瀬戸熊:▲33.7P
藤崎上田が29.8P差。とうとう30Pを切った。
藤崎もまさか東場で50Pも貯金を使ってしまうとは、想像もしていなかっただろう。
南1局 親:上田 ドラ:九索
 
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藤崎丁寧に手牌進行し、12巡目最高の入り目でテンパイ1番乗り。
 
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瀬戸熊13巡目、藤崎の切った1枚目の南を仕掛けて打五索。あからさまなホインツ高打点が見て取れる河。藤崎次巡ツモ六索で選択。
自身高め7,700テンパイだが、六索での放銃は7,700以上の失点必須。今半荘ラス目、現状2位上田と約30P差。
攻守のバランスが非常に難しい場面だが、藤崎はノータイムで攻めの六索ツモ切りを選択した。
得点に余裕があるうちに、リスクを負って加点する事が大事。私もこの理屈は頭では分かっている。しかし、優勝が見え始め大プレッシャーが掛かっているこの場面で、ノータイムで選択できる腹の座った選手がどれぐらいるだろうか?
このノータイム選択は、長年大舞台での経験・実績がなければできない、トッププロの証明だと思う。
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結果は、藤崎の切った六索を瀬戸熊が責任払いを狙った大明カン。カン七索の8,000テンパイだったが、次巡六万で決着を見た。
藤崎が押し切りきっちり結果を出した。勝負所を間違えないトッププロの選択だった。
その後、南場で決定打のアガリは発生せず終局。
上田が見事1人浮きトップ、藤崎をラスに沈め最終戦に望みを繋いだ。
11回戦成績
上田:+29.9P 青山:▲1.9P 瀬戸熊:▲10.6P 藤崎:▲17.4P
11回戦終了時成績
藤崎:+68.1P 上田:+31.2P 青山:▲1.0P 瀬戸熊:▲35.8P
 
最終12回戦(起家から、上田・青山・瀬戸熊・藤崎)
現在首位を走る藤崎からの点差
上田 : 36.9P
青山 : 69.1P
瀬戸熊:103.9P
最終戦、実質藤崎・上田の一騎打ち。
東1局 親:上田 ドラ:五筒
三万五万三索三索六索六索七索七索八索八索七筒八筒九筒  リーチ
上田11巡目リーチを打つも1人テンパイ流局。
東1局1本場R1 ドラ:三万
 
100
 
3人リーチも流局。藤崎1人ノーテン。
上田1人浮き。藤崎ラスの順位点で26P詰めぐっと近づく。
藤崎10.9Pリード。
東1局2本場R4 ドラ:中
供託4,600点。自分が加点したいのは勿論だが、相手に与えたくないと思える供託点だ。
 
100
 
上田、形は不安定な2シャンテンだが三色などすべて取りこぼさない様にドラをツモ切り。
このドラを藤崎が仕掛け、ターツ選択が成功し次巡すぐに二万五万テンパイ。
 
100
 
青山、四暗刻2シャンテンではあったが、藤崎のドラポン・2枚目の四索とあってポン打六万でカン三万テンパイを取る。
 
100
 
藤崎すぐに放銃牌三万を掴むが、またしてもノータイムで打四万、放銃回避して三万五索八索へ待ち変え。
 
100
 
すぐに上田から直撃のアガリ。本当に勝負所を間違えない。
これで藤崎71.5Pリード。このアガリが実質ゲームセットとなるアガリとなった。
前年、藤崎が十段位に輝いた打上げ席のスピーチで、私や上田・若手スタッフに向け「今後は若い子がどんどん大きなタイトルを取って活躍して連盟を盛り上げて欲しい。心からそう思ってます。」
何気ない短い言葉だが、先輩の優しさ思いやりの詰まった後輩想いが、私の心に強烈に突き刺さったのを覚えている。
今決定戦も、藤崎十段位は若手の大きな壁となり立ちはだかった。自分の壁の高さを見せつけ、若手後輩にメッセージを込めた。自分達を乗り越えて連盟・麻雀界を一緒に盛り上げようと。
先輩達の高い高い壁を乗り越えられないまでも、影が踏める位置まで辿り着ける若手がより多く出てくれば、麻雀界は益々の発展・進展を遂げるはずであり、世界中に認められる日もそう遠くはないはずである。
 
100
 

第2回リーチ麻雀世界選手権 優勝は ともたけ雅晴!

100

 

優勝:ともたけ雅晴 準優勝:増田隆一 第3位:山田浩之 第4位:中村ゆたか(麻将連合)

10月5日~10月8日の4日間
※アメリカ時間
開催地:ラスベガス

日本プロ麻雀連盟からは62名がエントリーしました。

連盟インフォメーション/第2回リーチ麻雀世界選手権 優勝は ともたけ雅晴!

100

 
優勝:ともたけ雅晴 準優勝:増田隆一 第3位:山田浩之 第4位:中村ゆたか(麻将連合)
10月5日~10月8日の4日間
※アメリカ時間
開催地:ラスベガス
日本プロ麻雀連盟からは62名がエントリーしました。

麻雀日本シリーズ2017 第4節レポート 黒木 真生

100

 

大爆発した人が2人いた。
1人は全試合を終了し2位に浮上してきた鈴木達也プロ。自身の第5回戦目で87,000点のトップをとり、プレーオフ進出どころか決勝進出へ向けてかなり優位な位置まで上がってきた。
もう1人は最終戦で78,000点のトップを取った前原雄大。
同じくマイナスから浮上して、プレーオフ進出をほぼ確定させた。

WRCルールはこれがある。
プロ協会やRTDルールと比べ、順位点が小さく、トップ賞もないため、素点の影響がかなり大きい。
素点で何とかなるということは、親の連荘で何とかなるということでもある。
意外と、順位点が小さいルールの方が、大逆転の可能性が最後まで残るのである。

大爆発を起こした2人とは対照的に、終始安定した成績を保っているのが首位の沢崎誠、3位の白鳥翔、5位の藤田晋さんだ。
3人の中で最も大きなマイナスは、白鳥の▲10.2P。
数字だけを見ても、この3者がいかにうまくポイントをまとめているかが分かる。
もちろん、理不尽な不幸に見舞われてしまうのが麻雀であり、他者がポイントをまとめるのが下手だと言っているわけではない。
試合巧者と名高い選手ばかりが集まっているこの日本シリーズだが、少し歯車が狂っただけで、大きく負け越してしまうこともある。

4位の勝又健志と7位の忍田幸夫プロは、緒戦でラスを引いたが、すぐに挽回し、以降をきっちりとまとめ、好位置につけている。

逆にそのまま波に乗れなかったのが藤崎智と近藤千雄プロだ。
特に近藤千雄プロは自分の麻雀を打たせてもらえないまま、敗退濃厚となった。
藤崎は最後の1回を残しており、鈴木プロや前原のように大爆発ができれば、プレーオフに進出することもできる。

10位の佐々木寿人も同様で、4万点台のトップをとれば、ボーダーにいる多井隆晴をかわしてすべりこみセーフとなる。
最終戦の見どころはここにあると言ってもいいだろう。

白鳥と藤田さんが大きく崩れたら落ちる可能性もあるが、それは数字上の話だ。
やはりターゲットになるのはボーダー上の多井プロである。
自力ではなにもできないだけに、ただひたすら祈りながら見守るしかない。
藤崎か佐々木が浮上してきた瞬間に3連覇の夢はついえてしまうのだから。

全試合を終えて勝ち残りの可能性がなくなってしまった萩原聖人さんと前田直哉プロ。
2人とも、予選で負けるイメージがあまりない人たちなのだが、よくよく考えてみれば、出場選手全員がそうなのである。
まさに、方々で勝ちまくってきた人たちの集まりなのであり、全員が勝つというのも無理なのだから、必然的に誰かが敗者となる。
2人とも、来期、出場の機会がもしあれば、再び私たちを、ハラハラドキドキさせてくれることだろう。

さて、予選は残り1戦。その後プレーオフもある。
私たちは結果とともに内容を楽しむ立場であるが、選手たちにとっては「結果こそがすべて」という戦い方になるだろう。
麻雀のルールが分かる方全員に見ていただきたい。きっと、他では見られない、煮詰まり切った、濃いエスプレッソのような麻雀がお届けできるはずである。

※予選最終21回戦及びプレーオフの対局は終了いたしました。

決勝進出者
白鳥翔 勝又健志 鈴木達也 沢崎誠
放送日:10月28日(土)14:00~ 半荘4回戦

システム

■予選全21回戦(各自6回対局)を行いポイント上位8名がプレーオフ進出
■プレーオフ全4回戦(各自2回対局)ポイント持ち越し上位4名が決勝進出
■決勝全4回戦

プレーオフ成績

順位 名前 予選合計 プレーオフ1回戦 プレーオフ2回戦 合計
1 白鳥翔(連盟会長推薦) 133.3 13.5 ▲ 5.6 141.2
2 勝又健志(連盟会長推薦) 60.7 26.0 4.5 91.2
3 鈴木達也(連盟会長推薦) 69.1 24.1 ▲ 5.2 88.0
4 沢崎誠(連盟会長推薦) 86.5 12.0 ▲ 41.0 57.5
5 前原雄大(鳳凰位) 28.3 ▲ 39.0 39.7 29.0
6 藤田晋(連盟会長推薦) 2.4 ▲ 1.3 19.4 20.5
7 多井隆晴(麻雀日本シリーズ2016優勝) ▲ 3.6 ▲ 1.5 6.5 1.4
8 忍田幸夫(将王) 1.8 ▲ 34.8 ▲ 19.3 ▲ 52.3

予選成績

順位 名前 1回戦 2回戦 3回戦 4回戦 5回戦 6回戦 合計
1 白鳥翔(連盟会長推薦) 12.0 29.7 ▲ 10.2 27.1 9.0 65.7 133.3
2 沢崎誠(連盟会長推薦) 34.7 22.4 3.8 9.6 27.0 ▲ 11.0 86.5
3 鈴木達也(連盟会長推薦) 16.4 ▲ 3.3 5.9 ▲ 37.3 72.0 15.4 69.1
4 勝又健志(連盟会長推薦) ▲ 31.5 21.7 39.2 ▲ 6.9 10.6 27.6 60.7
5 前原雄大(鳳凰位) ▲ 23.9 ▲ 25.0 6.6 11.4 ▲ 4.4 63.6 28.3
6 藤田晋(連盟会長推薦) ▲ 2.9 14.0 11.2 28.0 ▲ 4.7 ▲ 43.2 2.4
7 忍田幸夫(将王) ▲ 31.4 ▲ 6.0 22.4 21.5 10.1 ▲ 14.8 1.8
8 多井隆晴(麻雀日本シリーズ2016優勝) ▲ 9.7 ▲ 8.2 27.0 ▲ 23.6 39.1 ▲ 28.2 ▲ 3.6
9 近藤誠一(最高位) 33.5 12.1 17.8 ▲ 27.4 ▲ 9.6 ▲ 30.3 ▲ 3.9
10 藤崎 智(十段位) ▲ 41.1 26.7 ▲ 31.9 ▲ 13.4 14.7 0.8 ▲ 44.2
11 佐々木寿人(麻雀グランプリMAX優勝) ▲ 18.4 ▲ 7.4 ▲ 10.6 33.9 ▲ 28.1 ▲ 23.3 ▲ 53.9
12 前田直哉(連盟会長推薦) 30.4 12.6 ▲ 29.4 ▲ 22.2 ▲ 27.0 ▲ 24.5 ▲ 60.1
13 萩原聖人(連盟会長推薦) 8.9 ▲ 7.9 ▲ 24.2 ▲ 71.4 30.7 ▲ 5.8 ▲ 69.7
14 近藤千雄(最強位) ▲ 43.8 ▲ 0.8 ▲ 45.7 ▲ 16.9 ▲ 11.2 ▲ 35.3 ▲ 153.7

麻雀日本シリーズ/麻雀日本シリーズ2017 第4節レポート 黒木 真生

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大爆発した人が2人いた。
1人は全試合を終了し2位に浮上してきた鈴木達也プロ。自身の第5回戦目で87,000点のトップをとり、プレーオフ進出どころか決勝進出へ向けてかなり優位な位置まで上がってきた。
もう1人は最終戦で78,000点のトップを取った前原雄大。
同じくマイナスから浮上して、プレーオフ進出をほぼ確定させた。
WRCルールはこれがある。
プロ協会やRTDルールと比べ、順位点が小さく、トップ賞もないため、素点の影響がかなり大きい。
素点で何とかなるということは、親の連荘で何とかなるということでもある。
意外と、順位点が小さいルールの方が、大逆転の可能性が最後まで残るのである。
大爆発を起こした2人とは対照的に、終始安定した成績を保っているのが首位の沢崎誠、3位の白鳥翔、5位の藤田晋さんだ。
3人の中で最も大きなマイナスは、白鳥の▲10.2P。
数字だけを見ても、この3者がいかにうまくポイントをまとめているかが分かる。
もちろん、理不尽な不幸に見舞われてしまうのが麻雀であり、他者がポイントをまとめるのが下手だと言っているわけではない。
試合巧者と名高い選手ばかりが集まっているこの日本シリーズだが、少し歯車が狂っただけで、大きく負け越してしまうこともある。
4位の勝又健志と7位の忍田幸夫プロは、緒戦でラスを引いたが、すぐに挽回し、以降をきっちりとまとめ、好位置につけている。
逆にそのまま波に乗れなかったのが藤崎智と近藤千雄プロだ。
特に近藤千雄プロは自分の麻雀を打たせてもらえないまま、敗退濃厚となった。
藤崎は最後の1回を残しており、鈴木プロや前原のように大爆発ができれば、プレーオフに進出することもできる。
10位の佐々木寿人も同様で、4万点台のトップをとれば、ボーダーにいる多井隆晴をかわしてすべりこみセーフとなる。
最終戦の見どころはここにあると言ってもいいだろう。
白鳥と藤田さんが大きく崩れたら落ちる可能性もあるが、それは数字上の話だ。
やはりターゲットになるのはボーダー上の多井プロである。
自力ではなにもできないだけに、ただひたすら祈りながら見守るしかない。
藤崎か佐々木が浮上してきた瞬間に3連覇の夢はついえてしまうのだから。
全試合を終えて勝ち残りの可能性がなくなってしまった萩原聖人さんと前田直哉プロ。
2人とも、予選で負けるイメージがあまりない人たちなのだが、よくよく考えてみれば、出場選手全員がそうなのである。
まさに、方々で勝ちまくってきた人たちの集まりなのであり、全員が勝つというのも無理なのだから、必然的に誰かが敗者となる。
2人とも、来期、出場の機会がもしあれば、再び私たちを、ハラハラドキドキさせてくれることだろう。
さて、予選は残り1戦。その後プレーオフもある。
私たちは結果とともに内容を楽しむ立場であるが、選手たちにとっては「結果こそがすべて」という戦い方になるだろう。
麻雀のルールが分かる方全員に見ていただきたい。きっと、他では見られない、煮詰まり切った、濃いエスプレッソのような麻雀がお届けできるはずである。
※予選最終21回戦及びプレーオフの対局は終了いたしました。
決勝進出者
白鳥翔 勝又健志 鈴木達也 沢崎誠
放送日:10月28日(土)14:00~ 半荘4回戦
システム
■予選全21回戦(各自6回対局)を行いポイント上位8名がプレーオフ進出
■プレーオフ全4回戦(各自2回対局)ポイント持ち越し上位4名が決勝進出
■決勝全4回戦
プレーオフ成績

順位 名前 予選合計 プレーオフ1回戦 プレーオフ2回戦 合計
1 白鳥翔(連盟会長推薦) 133.3 13.5 ▲ 5.6 141.2
2 勝又健志(連盟会長推薦) 60.7 26.0 4.5 91.2
3 鈴木達也(連盟会長推薦) 69.1 24.1 ▲ 5.2 88.0
4 沢崎誠(連盟会長推薦) 86.5 12.0 ▲ 41.0 57.5
5 前原雄大(鳳凰位) 28.3 ▲ 39.0 39.7 29.0
6 藤田晋(連盟会長推薦) 2.4 ▲ 1.3 19.4 20.5
7 多井隆晴(麻雀日本シリーズ2016優勝) ▲ 3.6 ▲ 1.5 6.5 1.4
8 忍田幸夫(将王) 1.8 ▲ 34.8 ▲ 19.3 ▲ 52.3

予選成績

順位 名前 1回戦 2回戦 3回戦 4回戦 5回戦 6回戦 合計
1 白鳥翔(連盟会長推薦) 12.0 29.7 ▲ 10.2 27.1 9.0 65.7 133.3
2 沢崎誠(連盟会長推薦) 34.7 22.4 3.8 9.6 27.0 ▲ 11.0 86.5
3 鈴木達也(連盟会長推薦) 16.4 ▲ 3.3 5.9 ▲ 37.3 72.0 15.4 69.1
4 勝又健志(連盟会長推薦) ▲ 31.5 21.7 39.2 ▲ 6.9 10.6 27.6 60.7
5 前原雄大(鳳凰位) ▲ 23.9 ▲ 25.0 6.6 11.4 ▲ 4.4 63.6 28.3
6 藤田晋(連盟会長推薦) ▲ 2.9 14.0 11.2 28.0 ▲ 4.7 ▲ 43.2 2.4
7 忍田幸夫(将王) ▲ 31.4 ▲ 6.0 22.4 21.5 10.1 ▲ 14.8 1.8
8 多井隆晴(麻雀日本シリーズ2016優勝) ▲ 9.7 ▲ 8.2 27.0 ▲ 23.6 39.1 ▲ 28.2 ▲ 3.6
9 近藤誠一(最高位) 33.5 12.1 17.8 ▲ 27.4 ▲ 9.6 ▲ 30.3 ▲ 3.9
10 藤崎 智(十段位) ▲ 41.1 26.7 ▲ 31.9 ▲ 13.4 14.7 0.8 ▲ 44.2
11 佐々木寿人(麻雀グランプリMAX優勝) ▲ 18.4 ▲ 7.4 ▲ 10.6 33.9 ▲ 28.1 ▲ 23.3 ▲ 53.9
12 前田直哉(連盟会長推薦) 30.4 12.6 ▲ 29.4 ▲ 22.2 ▲ 27.0 ▲ 24.5 ▲ 60.1
13 萩原聖人(連盟会長推薦) 8.9 ▲ 7.9 ▲ 24.2 ▲ 71.4 30.7 ▲ 5.8 ▲ 69.7
14 近藤千雄(最強位) ▲ 43.8 ▲ 0.8 ▲ 45.7 ▲ 16.9 ▲ 11.2 ▲ 35.3 ▲ 153.7

第2期JPML WRCリーグ 決勝観戦記 瀬戸熊 直樹

第2期WRC決勝も大詰めの場面。
皆さんには藤島健二郎の立場にたって考えてみて頂きたい。

最終戦、南入して下写真のスコア状況である。
ここまでのトータルを着順込みで計算してみると
藤島+49.7p 近藤+5.6p 中川▲11.5p 井出▲45.8p
(順位ウマ、トップ+10 2着+5 三着▲5 ラス▲10 30,000点持ち、30,000点返し)
藤島の目から見れば、そんなに悪くない、いやむしろやりやすい並びで南入となっていた。

追う近藤、中川、井出に残された親は1回ずつ。
まずは、中川の親番、最終戦とはいえ、この場面はまだ3人がアガりに向かってくる為、
時間的余裕もなく、本当に厳しい親番となっていた。
運よく早いリーチをかけて、相手を牽制することが出来た。
100
藤島も蹴りに行きたいが、ドラの発をつかみノーテンということもありいったん廻る。
100
そして、結果から見て、一番のターニングポイントとなる局面の六万をツモり今度はテンパイ。
皆さん、目をつむって藤島の立場となって考えて頂きたい。
100
中川との差は40ポイント以上、近藤とは約35ポイント。
数字上は勝負を先延ばしにするのが普通に見える。(二索五索は5枚切れ)
実際、僕も解説で「アカギじゃないと切れない」と例えるくらいの場面。

この発を切れる人がいるのだろうか?

ちょっと条件を変えてみよう。もしも藤島が中川との着順勝負だったらどうだろうか?
以外にも条件を変えるだけで、切ると答える人がかなり増えたのではないだろうか?

実際、その条件でなら僕でも切ると思います。

数日たって藤島にこの時の心境を聞いてみた。

(藤島)「勝つ道があったのは確かだと思っているので、とても悔しいですし、まだうまく割り切れていない状態です。
最終戦、東場に局を潰すという手法をとっていたので、ドラの発打ちは未だにアリだったと感じています。
東場の立ち回りがそこまで悪い結果になっていなかったことで流れの変動にまるで気付いていませんでした。
今となっては、あの場面だけが最後に残されたチャンスであったので敗因の一つと捉えています。
もちろん東場の入りがそれに起因していると感じています。
早い巡目の作為性のないリーチだったのと、近藤さんに気配があったのでドラを持っているなら近藤さん。つまり発はリーチには多分通るとは思っていました。
ただ、二番手に浮上している近藤さんに、ポンされるのを嫌った部分も多少ありますが、通しやすい牌を押せなかったということは事実です」

冷静な分析だと思う。藤島も自覚しているように、東場は少しあせった鳴きで、バランスを崩していたように思う。
しかし、幸いだったのは、それでツイたのが近藤だったという事。
そして分析通り、ドラ発は近藤が2枚持ち。
5枚切れといっても二索五索マチは絶好のマチである。
そこまで読んでいる藤島の力量を考えると、決して怖い牌ではなかったという事になる。
ドラだから、万が一当たり牌なら数字上ひどい事になる。
こういう考えをしてない藤島の実力なら切れたのではと悔やまれる。
参考までにいえば、結果は発を切って近藤が鳴けば藤島のツモアガリ。
鳴かなければ中川の放銃だった。
100

藤島は17期生である。
近藤も17期生であるが、他にも前田、柴田、勝又、猿川、山田など「花の17期生」と呼ばれている中の一人である。
藤島は同期の活躍をどんな気持ちで見ていたのだろうか。
17期生は、麻雀スキルが全員高いと思うし、藤島だって引けを取らないくらい、麻雀をよく理解している打ち手である。
特に体勢を考え、攻守のバランスをとる手法は、連盟イズムを正統継承していると思える数少ない打ち手である。

同期がAリーグ、団体戦、RTD、モンド、その他メディアで活躍するのを
「きっと、いつか俺だって」と思っているはずである。
だからこそ、このチャンスを逃せない、逃したくない気持ちは4人の中で一番強かったに違いない。
そんな藤島ならこの発は切れたのかもしれないと、僕も今は考えてしまう。

数字や確率じゃない、勝負として大事なものをつかむ為に。

しかし、藤島は無難な道を選ぶ。むしろそれは当然の事のように見えた。
中川1人テンパイ。得点差は、まだ藤島が圧倒的に有利だ。
100
しかし、ここから勝負の恐ろしさを目にするとは、選手も視聴者も誰も思っていなかっただろう。

続く1本場、井出のリーチをかいくぐり、中川が1,300オールを引きアガる。
ついに、河は決壊したのである。
100
2本場、手なりで4,000は4,200オール。
100

100
まだ藤島が上だ。しかし、「流れ」は完全に中川。

同3本場、ピンフドラ2を5巡目リーチ。もう誰も追いつけない。
あっさり一万をツモり、ウラものって6,000は6,300オール。
100

100
20分前は、藤島圧勝ムードだったのが、スコアは中川が逆に20,000点以上引き離した縦長の展開で、実質藤島は20,000点アガリ返さなければならない。
近藤が中川を再逆転すれば、10,000点のアガりが必要。

次局の中川に、決定打が飛び出す。

上家、藤島から切られた2枚の三索を見えていないかのようにスルーして、七筒をツモりテンパイ。同巡、近藤から三索が出て、12,000は13,500のアガり。
100
そして、麻雀がいわゆる「仕上がる」状態になった次局の配牌。
100
勝負ありとなってしまった。
100
中川は、Eリーグスタートの3年目の選手。
昨年、新人王戦の決勝にのっているとはいえ、相手3人は完全に格上である。
その中川の、この親番での追い上げは、まるで20年目選手のように堂々としたものであった。中川をベスト16あたりから見ていたが、インタビューでいつも反省の局を認識し、
家に帰り、すぐVTRチェックしている姿が非常に印象的であった。

優勝して後日、印象に残った局を尋ねると、
「2回戦の三色逃して、追っかけリーチすら打てずアガり逃しをした局と、3回戦に中途半端な打牌で、藤島さんに9,600を打った局面です」と、敗者のようなコメントが返ってきた。
普段の稽古量はと尋ねると、「調整セット週1、2回で見るのが優先です」とのこと。
何とも謙虚な返答で、あの親番での輝きや強さの源が見えてこない。
コメントだけもらうつもりが、中川の秘密を知りたくなり、ラインのキャッチボールが続く。
熊:「真似している人や参考にしている人はいる?」
中:「いっぱいいますが、特に荒さんです」
打ち上げでもつかめなかったが、どうも要領を得ない。
しかし、成長する人間に一番必要だと思う「素直さ」と「研究熱心」この2つを、彼に強く感じたのは確かだ。
麻雀プロで一番質が悪いのは、「教えて下さい」と言いながら、頑固で直せない人だと思う。
中川は、そう言う人たちと一番対極にいると思う。
何でも鵜呑みにするのではなく、しっかり自分で考え、直すべき所を直すことができるのが最大の長所だと思う。
これからも見続けていきたいと思える、将来有望な選手の一人である。

もう2人の敗れた近藤と井出。
100
まずは近藤、

「決勝戦なのに、リスクを負わずに勝とうと思った自分の甘さ、先行されてバランスを崩してしまった事。反省ばかりでした。自分の弱さが浮き彫りになった様で悔しいけど勉強になりました。
逆にアガリに向かって、純粋に真っすぐ突き進む中川さんの麻雀が素晴らしかったと思います。タイトルを奪取するには、今現在の私の麻雀では難しいと思いました。
今回の反省点をキッチリ修正して、次回のチャンスに向けて準備だけはして行きます」

と、コメントを残してくれた。近藤らしい、優しく実に冷静な分析である。
彼らしくない放銃が2つくらいあって、波に乗れず、置いて行かれた展開となってしまったとはいえ、押しも押されぬA1リーガーである。近い将来タイトルを手中に収めることは間違いないだろう。
ただ、中川の純粋な攻めは、近藤をはじめ、多くのベテラン雀士が忘れかけていた大切なことを、思い出させてくれたように思う。
100
そして、過去王位を獲っている井出。
3回戦終了時は、中川、藤島と並びであり、この時点では獲得経験もある井出が一歩リードと思われていた。
そんな井出はこうコメントしてくれた。

「今回の決勝は、覚悟が最後まで持続できた人が勝ったのだと思います。
自分の覚悟は、展開の読みに消えて行きました。
また、心を磨く修行を一から始めます。中川くん、おめでとう」

王位を獲りリーグ戦を降級していった井出も数々の苦労をしてきたと思う。
そして、久々のチャンスに燃えていたであろう。
そして、G1タイトルを獲った井出だからこそ、タイトルを獲得する為に最も大事なものを知っているからの感想。

最後に中川の素晴らしい一打を皆さんに紹介したい。

南2局、大連荘が終わり、追われる立場となった中川が藤島のリーチを受けた場面。
中川はドラの二万を切った。
100
藤島のマチはペン三万の一通リーチだった。
冒頭の場面の逆の立場で中川はドラを打ち抜いた。
この一打を、打つ打たない、打てる打てないは、理論ではない。
この日の中川は、誰よりも麻雀と向き合っていたのだと思う。
本当に素晴らしい戦いだったと思います。
初タイトルの時は、後から後から嬉しさが込み上げてくるものです。
VTRを観て、回りから祝福されて、色々なシードをもらって、そして観戦記を擦り切れるまで読んで・・・・僕も経験があるから解かります。
だからこの観戦記で、中川が微笑んでくれれば幸いです。
そして健二郎が、悔しさを胸に刻んでくれれば。

中川君優勝おめでとう。連盟タイトルにふさわしい素晴らしい麻雀でした。

日本プロ麻雀連盟  瀬戸熊直樹

 

100

JPML WRCリーグ 決勝観戦記/第2期JPML WRCリーグ 決勝観戦記 瀬戸熊 直樹

第2期WRC決勝も大詰めの場面。
皆さんには藤島健二郎の立場にたって考えてみて頂きたい。
最終戦、南入して下写真のスコア状況である。
ここまでのトータルを着順込みで計算してみると
藤島+49.7p 近藤+5.6p 中川▲11.5p 井出▲45.8p
(順位ウマ、トップ+10 2着+5 三着▲5 ラス▲10 30,000点持ち、30,000点返し)
藤島の目から見れば、そんなに悪くない、いやむしろやりやすい並びで南入となっていた。
追う近藤、中川、井出に残された親は1回ずつ。
まずは、中川の親番、最終戦とはいえ、この場面はまだ3人がアガりに向かってくる為、
時間的余裕もなく、本当に厳しい親番となっていた。
運よく早いリーチをかけて、相手を牽制することが出来た。
100
藤島も蹴りに行きたいが、ドラの発をつかみノーテンということもありいったん廻る。
100
そして、結果から見て、一番のターニングポイントとなる局面の六万をツモり今度はテンパイ。
皆さん、目をつむって藤島の立場となって考えて頂きたい。
100
中川との差は40ポイント以上、近藤とは約35ポイント。
数字上は勝負を先延ばしにするのが普通に見える。(二索五索は5枚切れ)
実際、僕も解説で「アカギじゃないと切れない」と例えるくらいの場面。
この発を切れる人がいるのだろうか?
ちょっと条件を変えてみよう。もしも藤島が中川との着順勝負だったらどうだろうか?
以外にも条件を変えるだけで、切ると答える人がかなり増えたのではないだろうか?
実際、その条件でなら僕でも切ると思います。
数日たって藤島にこの時の心境を聞いてみた。
(藤島)「勝つ道があったのは確かだと思っているので、とても悔しいですし、まだうまく割り切れていない状態です。
最終戦、東場に局を潰すという手法をとっていたので、ドラの発打ちは未だにアリだったと感じています。
東場の立ち回りがそこまで悪い結果になっていなかったことで流れの変動にまるで気付いていませんでした。
今となっては、あの場面だけが最後に残されたチャンスであったので敗因の一つと捉えています。
もちろん東場の入りがそれに起因していると感じています。
早い巡目の作為性のないリーチだったのと、近藤さんに気配があったのでドラを持っているなら近藤さん。つまり発はリーチには多分通るとは思っていました。
ただ、二番手に浮上している近藤さんに、ポンされるのを嫌った部分も多少ありますが、通しやすい牌を押せなかったということは事実です」
冷静な分析だと思う。藤島も自覚しているように、東場は少しあせった鳴きで、バランスを崩していたように思う。
しかし、幸いだったのは、それでツイたのが近藤だったという事。
そして分析通り、ドラ発は近藤が2枚持ち。
5枚切れといっても二索五索マチは絶好のマチである。
そこまで読んでいる藤島の力量を考えると、決して怖い牌ではなかったという事になる。
ドラだから、万が一当たり牌なら数字上ひどい事になる。
こういう考えをしてない藤島の実力なら切れたのではと悔やまれる。
参考までにいえば、結果は発を切って近藤が鳴けば藤島のツモアガリ。
鳴かなければ中川の放銃だった。
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藤島は17期生である。
近藤も17期生であるが、他にも前田、柴田、勝又、猿川、山田など「花の17期生」と呼ばれている中の一人である。
藤島は同期の活躍をどんな気持ちで見ていたのだろうか。
17期生は、麻雀スキルが全員高いと思うし、藤島だって引けを取らないくらい、麻雀をよく理解している打ち手である。
特に体勢を考え、攻守のバランスをとる手法は、連盟イズムを正統継承していると思える数少ない打ち手である。
同期がAリーグ、団体戦、RTD、モンド、その他メディアで活躍するのを
「きっと、いつか俺だって」と思っているはずである。
だからこそ、このチャンスを逃せない、逃したくない気持ちは4人の中で一番強かったに違いない。
そんな藤島ならこの発は切れたのかもしれないと、僕も今は考えてしまう。
数字や確率じゃない、勝負として大事なものをつかむ為に。
しかし、藤島は無難な道を選ぶ。むしろそれは当然の事のように見えた。
中川1人テンパイ。得点差は、まだ藤島が圧倒的に有利だ。
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しかし、ここから勝負の恐ろしさを目にするとは、選手も視聴者も誰も思っていなかっただろう。
続く1本場、井出のリーチをかいくぐり、中川が1,300オールを引きアガる。
ついに、河は決壊したのである。
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2本場、手なりで4,000は4,200オール。
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まだ藤島が上だ。しかし、「流れ」は完全に中川。
同3本場、ピンフドラ2を5巡目リーチ。もう誰も追いつけない。
あっさり一万をツモり、ウラものって6,000は6,300オール。
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20分前は、藤島圧勝ムードだったのが、スコアは中川が逆に20,000点以上引き離した縦長の展開で、実質藤島は20,000点アガリ返さなければならない。
近藤が中川を再逆転すれば、10,000点のアガりが必要。
次局の中川に、決定打が飛び出す。
上家、藤島から切られた2枚の三索を見えていないかのようにスルーして、七筒をツモりテンパイ。同巡、近藤から三索が出て、12,000は13,500のアガり。
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そして、麻雀がいわゆる「仕上がる」状態になった次局の配牌。
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勝負ありとなってしまった。
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中川は、Eリーグスタートの3年目の選手。
昨年、新人王戦の決勝にのっているとはいえ、相手3人は完全に格上である。
その中川の、この親番での追い上げは、まるで20年目選手のように堂々としたものであった。中川をベスト16あたりから見ていたが、インタビューでいつも反省の局を認識し、
家に帰り、すぐVTRチェックしている姿が非常に印象的であった。
優勝して後日、印象に残った局を尋ねると、
「2回戦の三色逃して、追っかけリーチすら打てずアガり逃しをした局と、3回戦に中途半端な打牌で、藤島さんに9,600を打った局面です」と、敗者のようなコメントが返ってきた。
普段の稽古量はと尋ねると、「調整セット週1、2回で見るのが優先です」とのこと。
何とも謙虚な返答で、あの親番での輝きや強さの源が見えてこない。
コメントだけもらうつもりが、中川の秘密を知りたくなり、ラインのキャッチボールが続く。
熊:「真似している人や参考にしている人はいる?」
中:「いっぱいいますが、特に荒さんです」
打ち上げでもつかめなかったが、どうも要領を得ない。
しかし、成長する人間に一番必要だと思う「素直さ」と「研究熱心」この2つを、彼に強く感じたのは確かだ。
麻雀プロで一番質が悪いのは、「教えて下さい」と言いながら、頑固で直せない人だと思う。
中川は、そう言う人たちと一番対極にいると思う。
何でも鵜呑みにするのではなく、しっかり自分で考え、直すべき所を直すことができるのが最大の長所だと思う。
これからも見続けていきたいと思える、将来有望な選手の一人である。
もう2人の敗れた近藤と井出。
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まずは近藤、
「決勝戦なのに、リスクを負わずに勝とうと思った自分の甘さ、先行されてバランスを崩してしまった事。反省ばかりでした。自分の弱さが浮き彫りになった様で悔しいけど勉強になりました。
逆にアガリに向かって、純粋に真っすぐ突き進む中川さんの麻雀が素晴らしかったと思います。タイトルを奪取するには、今現在の私の麻雀では難しいと思いました。
今回の反省点をキッチリ修正して、次回のチャンスに向けて準備だけはして行きます」
と、コメントを残してくれた。近藤らしい、優しく実に冷静な分析である。
彼らしくない放銃が2つくらいあって、波に乗れず、置いて行かれた展開となってしまったとはいえ、押しも押されぬA1リーガーである。近い将来タイトルを手中に収めることは間違いないだろう。
ただ、中川の純粋な攻めは、近藤をはじめ、多くのベテラン雀士が忘れかけていた大切なことを、思い出させてくれたように思う。
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そして、過去王位を獲っている井出。
3回戦終了時は、中川、藤島と並びであり、この時点では獲得経験もある井出が一歩リードと思われていた。
そんな井出はこうコメントしてくれた。
「今回の決勝は、覚悟が最後まで持続できた人が勝ったのだと思います。
自分の覚悟は、展開の読みに消えて行きました。
また、心を磨く修行を一から始めます。中川くん、おめでとう」
王位を獲りリーグ戦を降級していった井出も数々の苦労をしてきたと思う。
そして、久々のチャンスに燃えていたであろう。
そして、G1タイトルを獲った井出だからこそ、タイトルを獲得する為に最も大事なものを知っているからの感想。
最後に中川の素晴らしい一打を皆さんに紹介したい。
南2局、大連荘が終わり、追われる立場となった中川が藤島のリーチを受けた場面。
中川はドラの二万を切った。
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藤島のマチはペン三万の一通リーチだった。
冒頭の場面の逆の立場で中川はドラを打ち抜いた。
この一打を、打つ打たない、打てる打てないは、理論ではない。
この日の中川は、誰よりも麻雀と向き合っていたのだと思う。
本当に素晴らしい戦いだったと思います。
初タイトルの時は、後から後から嬉しさが込み上げてくるものです。
VTRを観て、回りから祝福されて、色々なシードをもらって、そして観戦記を擦り切れるまで読んで・・・・僕も経験があるから解かります。
だからこの観戦記で、中川が微笑んでくれれば幸いです。
そして健二郎が、悔しさを胸に刻んでくれれば。
中川君優勝おめでとう。連盟タイトルにふさわしい素晴らしい麻雀でした。

日本プロ麻雀連盟  瀬戸熊直樹

 

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Mr.Xの連盟Weekly!

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【第31期新人王】
 
 

第31期新人王は、九州本部所属の山下将浩!

 

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前年度の藤井祟勝に続き、またしても九州本部から新人王が誕生した。

 

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今後の活躍に注目が集まる!

 
 
 

【第2期JPML WRCリーグ決勝】
 
 

A1の近藤久春、元王位の井出一寛、B1の藤島健二郎を破り、第2期JPML WRCの覇者となったのは、中川基輝!(なかがわもとき)

 

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最終戦で大捲りを決め、歴史に名を刻んだ。

打ち上げの席では、トレードマークの黒渕眼鏡を酔っぱらいの先輩に取り上げられる場面もあった。

 

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【日本シリーズ2017決勝メンバー決定!】
 
 

配信で初の役満(なんとフリテン四暗刻単騎!)をアガった白鳥は見事首位通過を決めた。

 

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決勝は10/28(土)14時スタート!
白鳥翔vs勝又健志vs鈴木達也vs沢崎誠
実況:山井弘
解説:前原雄大・滝沢和典


放送予定 10/28 14:00~

麻雀日本シリーズ2017 決勝戦


放送ページはこちら

 
 
 

【日テレプラス】
 
 

 

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『女流雀士のノックアウト★マッチ~麻雀・日テレプラス杯2017頂上決戦』10/1(日)~放送!人気女流プロ雀士が火花を散らす!女流雀士No.1を決めるガチンコ勝負、初代女王は誰の手に?!

 

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最近地上波で良く見かけるこの人にも注目だ!

 

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【さいとう ごう】
 
 

奈良圭純が「BIG1カップ」を獲得したのは、記憶に新しいが、今度は28期生の齋藤豪が第11期「RMUクラウン」を獲得してきた!

 

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B2リーグ所属 ■函館出身■
また新たなスター候補が現れたね!

 
 
 

【函館のバンドと言えばやはりこの人!】
 
 

 

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「飲まなきゃいけない日だってあるんだ..」

【そして、中川君に捲られてしまった人!】
 
 

 

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「飲まなきゃやってられない日だってあるんだ..」

プロ雀士コラム/Mr.Xの連盟Weekly!

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【第31期新人王】
 
 
第31期新人王は、九州本部所属の山下将浩!
 

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前年度の藤井祟勝に続き、またしても九州本部から新人王が誕生した。
 

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今後の活躍に注目が集まる!
 
 
 
【第2期JPML WRCリーグ決勝】
 
 
A1の近藤久春、元王位の井出一寛、B1の藤島健二郎を破り、第2期JPML WRCの覇者となったのは、中川基輝!(なかがわもとき)
 

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最終戦で大捲りを決め、歴史に名を刻んだ。
打ち上げの席では、トレードマークの黒渕眼鏡を酔っぱらいの先輩に取り上げられる場面もあった。
 

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【日本シリーズ2017決勝メンバー決定!】
 
 
配信で初の役満(なんとフリテン四暗刻単騎!)をアガった白鳥は見事首位通過を決めた。
 

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決勝は10/28(土)14時スタート!
白鳥翔vs勝又健志vs鈴木達也vs沢崎誠
実況:山井弘
解説:前原雄大・滝沢和典

放送予定 10/28 14:00~

麻雀日本シリーズ2017 決勝戦


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【日テレプラス】
 
 
 

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『女流雀士のノックアウト★マッチ~麻雀・日テレプラス杯2017頂上決戦』10/1(日)~放送!人気女流プロ雀士が火花を散らす!女流雀士No.1を決めるガチンコ勝負、初代女王は誰の手に?!
 

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最近地上波で良く見かけるこの人にも注目だ!
 

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【さいとう ごう】
 
 
奈良圭純が「BIG1カップ」を獲得したのは、記憶に新しいが、今度は28期生の齋藤豪が第11期「RMUクラウン」を獲得してきた!
 

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B2リーグ所属 ■函館出身■
また新たなスター候補が現れたね!
 
 
 
【函館のバンドと言えばやはりこの人!】
 
 
 

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「飲まなきゃいけない日だってあるんだ..」
【そして、中川君に捲られてしまった人!】
 
 
 

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「飲まなきゃやってられない日だってあるんだ..」

麻雀日本シリーズ2017 プレーオフ成績表

システム

■予選全21回戦(各自6回対局)を行いポイント上位8名がプレーオフ進出
■プレーオフ全4回戦(各自2回対局)ポイント持ち越し上位4名が決勝進出
■決勝全4回戦

プレーオフ成績

順位 名前 予選合計 プレーオフ1回戦 プレーオフ2回戦 合計
1 白鳥翔(連盟会長推薦) 133.3 13.5 ▲ 5.6 141.2
2 勝又健志(連盟会長推薦) 60.7 26.0 4.5 91.2
3 鈴木達也(連盟会長推薦) 69.1 24.1 ▲ 5.2 88.0
4 沢崎誠(連盟会長推薦) 86.5 12.0 ▲ 41.0 57.5
5 前原雄大(鳳凰位) 28.3 ▲ 39.0 39.7 29.0
6 藤田晋(連盟会長推薦) 2.4 ▲ 1.3 19.4 20.5
7 多井隆晴(麻雀日本シリーズ2016優勝) ▲ 3.6 ▲ 1.5 6.5 1.4
8 忍田幸夫(将王) 1.8 ▲ 34.8 ▲ 19.3 ▲ 52.3

予選成績

順位 名前 1回戦 2回戦 3回戦 4回戦 5回戦 6回戦 合計
1 白鳥翔(連盟会長推薦) 12.0 29.7 ▲ 10.2 27.1 9.0 65.7 133.3
2 沢崎誠(連盟会長推薦) 34.7 22.4 3.8 9.6 27.0 ▲ 11.0 86.5
3 鈴木達也(連盟会長推薦) 16.4 ▲ 3.3 5.9 ▲ 37.3 72.0 15.4 69.1
4 勝又健志(連盟会長推薦) ▲ 31.5 21.7 39.2 ▲ 6.9 10.6 27.6 60.7
5 前原雄大(鳳凰位) ▲ 23.9 ▲ 25.0 6.6 11.4 ▲ 4.4 63.6 28.3
6 藤田晋(連盟会長推薦) ▲ 2.9 14.0 11.2 28.0 ▲ 4.7 ▲ 43.2 2.4
7 忍田幸夫(将王) ▲ 31.4 ▲ 6.0 22.4 21.5 10.1 ▲ 14.8 1.8
8 多井隆晴(麻雀日本シリーズ2016優勝) ▲ 9.7 ▲ 8.2 27.0 ▲ 23.6 39.1 ▲ 28.2 ▲ 3.6
9 近藤誠一(最高位) 33.5 12.1 17.8 ▲ 27.4 ▲ 9.6 ▲ 30.3 ▲ 3.9
10 藤崎 智(十段位) ▲ 41.1 26.7 ▲ 31.9 ▲ 13.4 14.7 0.8 ▲ 44.2
11 佐々木寿人(麻雀グランプリMAX優勝) ▲ 18.4 ▲ 7.4 ▲ 10.6 33.9 ▲ 28.1 ▲ 23.3 ▲ 53.9
12 前田直哉(連盟会長推薦) 30.4 12.6 ▲ 29.4 ▲ 22.2 ▲ 27.0 ▲ 24.5 ▲ 60.1
13 萩原聖人(連盟会長推薦) 8.9 ▲ 7.9 ▲ 24.2 ▲ 71.4 30.7 ▲ 5.8 ▲ 69.7
14 近藤千雄(最強位) ▲ 43.8 ▲ 0.8 ▲ 45.7 ▲ 16.9 ▲ 11.2 ▲ 35.3 ▲ 153.7

麻雀日本シリーズ 成績表/麻雀日本シリーズ2017 プレーオフ成績表

システム
■予選全21回戦(各自6回対局)を行いポイント上位8名がプレーオフ進出
■プレーオフ全4回戦(各自2回対局)ポイント持ち越し上位4名が決勝進出
■決勝全4回戦
プレーオフ成績

順位 名前 予選合計 プレーオフ1回戦 プレーオフ2回戦 合計
1 白鳥翔(連盟会長推薦) 133.3 13.5 ▲ 5.6 141.2
2 勝又健志(連盟会長推薦) 60.7 26.0 4.5 91.2
3 鈴木達也(連盟会長推薦) 69.1 24.1 ▲ 5.2 88.0
4 沢崎誠(連盟会長推薦) 86.5 12.0 ▲ 41.0 57.5
5 前原雄大(鳳凰位) 28.3 ▲ 39.0 39.7 29.0
6 藤田晋(連盟会長推薦) 2.4 ▲ 1.3 19.4 20.5
7 多井隆晴(麻雀日本シリーズ2016優勝) ▲ 3.6 ▲ 1.5 6.5 1.4
8 忍田幸夫(将王) 1.8 ▲ 34.8 ▲ 19.3 ▲ 52.3

予選成績

順位 名前 1回戦 2回戦 3回戦 4回戦 5回戦 6回戦 合計
1 白鳥翔(連盟会長推薦) 12.0 29.7 ▲ 10.2 27.1 9.0 65.7 133.3
2 沢崎誠(連盟会長推薦) 34.7 22.4 3.8 9.6 27.0 ▲ 11.0 86.5
3 鈴木達也(連盟会長推薦) 16.4 ▲ 3.3 5.9 ▲ 37.3 72.0 15.4 69.1
4 勝又健志(連盟会長推薦) ▲ 31.5 21.7 39.2 ▲ 6.9 10.6 27.6 60.7
5 前原雄大(鳳凰位) ▲ 23.9 ▲ 25.0 6.6 11.4 ▲ 4.4 63.6 28.3
6 藤田晋(連盟会長推薦) ▲ 2.9 14.0 11.2 28.0 ▲ 4.7 ▲ 43.2 2.4
7 忍田幸夫(将王) ▲ 31.4 ▲ 6.0 22.4 21.5 10.1 ▲ 14.8 1.8
8 多井隆晴(麻雀日本シリーズ2016優勝) ▲ 9.7 ▲ 8.2 27.0 ▲ 23.6 39.1 ▲ 28.2 ▲ 3.6
9 近藤誠一(最高位) 33.5 12.1 17.8 ▲ 27.4 ▲ 9.6 ▲ 30.3 ▲ 3.9
10 藤崎 智(十段位) ▲ 41.1 26.7 ▲ 31.9 ▲ 13.4 14.7 0.8 ▲ 44.2
11 佐々木寿人(麻雀グランプリMAX優勝) ▲ 18.4 ▲ 7.4 ▲ 10.6 33.9 ▲ 28.1 ▲ 23.3 ▲ 53.9
12 前田直哉(連盟会長推薦) 30.4 12.6 ▲ 29.4 ▲ 22.2 ▲ 27.0 ▲ 24.5 ▲ 60.1
13 萩原聖人(連盟会長推薦) 8.9 ▲ 7.9 ▲ 24.2 ▲ 71.4 30.7 ▲ 5.8 ▲ 69.7
14 近藤千雄(最強位) ▲ 43.8 ▲ 0.8 ▲ 45.7 ▲ 16.9 ▲ 11.2 ▲ 35.3 ▲ 153.7